説明

貫通電極基板及びその製造方法、並びに貫通電極基板を用いた半導体装置

【課題】基板の表裏を導通する導通部における電流損失を低減した貫通電極基板及びそれを用いた半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明の貫通電極基板100は、表裏を貫通する貫通孔104を有する基板102と、貫通孔104内に充填される金属材料を含む導通部106と、を備え、導通部106の金属材料は、結晶粒径が29μm以上の結晶粒を含む。また、導通部106の金属材料は、面積重み付けした平均結晶粒径が13μm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表裏を貫通する貫通電極を備えた貫通電極基板及びその製造方法、並びに貫通電極基板を用いた半導体装置に関する。本明細書において、半導体装置とは、半導体特性を利用して機能し得る装置全般を指し、半導体集積回路、電子機器は半導体装置の範囲に含むものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高密度、小型化が進み、LSIチップが半導体パッケージと同程度まで縮小化しており、LSIチップを2次元配置することのみによる高密度化は限界に達しつつある。そこで実装密度を上げるためにLSIチップを分け、それらを3次元に積層する必要がある。また、LSIチップを積層した半導体パッケージ全体を高速動作させるために積層回路同士を近づけ、積層回路間の配線距離を短くする必要がある。
【0003】
そこで、上記の要求に応えるべく、LSIチップ間のインターポーザとして基板の表裏を導通する導通部を備えた貫通電極基板が提案されている(特許文献1)。特許文献1によれば、貫通電極基板は、基板に設けられた貫通孔内部を電解めっきによって導電材(Cu)を充填することで形成される。
【特許文献1】特開2006−54307号公報
【特許文献2】特開2006−147971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貫通電極基板を複数のLSIチップ間の接続あるいはLSIチップとMEMSデバイスなどとの間の接続に用いる場合には、電解めっきで形成された導通部において確実に導通性が確保できること、そして電流損失が少ないことが求められる。
【0005】
一方、貫通電極の製造工程において、ボイド(空隙)を低減する技術が特許文献2などに開示されている。しかしながら、特許文献2では、導通部の導通性確保に対するアプローチが検討されているが、導通部における電流損失に関して検討がなされていない。
【0006】
そこで、本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、基板の表裏を導通する導通部における電流損失を低減した貫通電極基板及びそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、表裏を貫通する貫通孔を有する基板と、前記貫通孔内に充填され、金属材料を含む導通部と、を備え、前記導通部の前記金属材料は、結晶粒径が29μm以上の結晶粒を含むことを特徴とする貫通電極基板が提供される。
【0008】
前記導通部の前記金属材料は、面積重み付けした平均結晶粒径が13μm以上であることが好ましい。
【0009】
前記導通部の前記金属材料の断面は、後方散乱電子回折法で検出される{101}面の以下の式(A)で示される配向率が21%以上であり、且つ、後方散乱電子回折法で検出される{221}面の以下の式(B)で示される配向率が11%以上であることが好ましい。
配向率(%)={101}面と前記導通部の断面の表面とがなす角が8°以内の測定点の和/測定点の全数 ・・・(A)
配向率(%)={221}面と前記導通部の断面の表面とがなす角が8°以内の測定点の和/測定点の全数 ・・・(B)
【0010】
前記基板はシリコンからなり、前記導通部は、少なくとも前記基板側に設けた絶縁層上に形成されているようにしてもよい。
【0011】
前記貫通孔の開口径は10μm〜100μmであり、かつ前記基板の厚みは20〜100μmであるのが好ましい。
【0012】
前記貫通孔の開口径は10μm〜100μmであり、かつ前記基板の厚みは300〜800μmであるのが好ましい。
【0013】
前記貫通電極基板を複数積層してもよい。
【0014】
接続端子部を備えた半導体チップを少なくとも1つ含み、前記接続端子部と前記貫通電極基板の導通部とを接続して半導体装置を構成してもよい。
【0015】
また、本発明の一実施形態によると、基板に表裏を貫通する貫通孔を形成し、前記基板及び前記貫通孔の表面に絶縁膜を形成し、前記基板の少なくとも一方の面及び/又は前記貫通孔に金属からなるシード膜を形成し、前記シード膜にパルス電圧を給電する電解めっき法により、前記貫通孔内に金属材料を充填する貫通電極基板の製造方法が提供される。
【0016】
前記電解めっき法は、前記シード膜にプラス電圧とマイナス電圧を周期的に印加することによって行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明よれば、基板の表裏を導通する導通部における電流損失を低減した貫通電極基板及びその製造方法並びにそれを用いた半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る貫通電極基板及びその製造方法について説明する。但し、本発明の貫通電極基板は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
(1.貫通電極基板の構成)
図1は本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の断面図である。本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100は、コアとなる基板102の表裏を貫通する貫通孔104を備えている。貫通孔104の内部には導通部106が形成されている。基板102はシリコンなどの半導体材料からなり、後述するがエッチング、レーザー、サンドブラスなどの方法により貫通孔104が形成されている。基板102の厚みは例えば10〜800μmであるが、これに限定されるものではない。なお、図1においては、説明の便宜上、貫通孔104を1つしか示していないが、基板102に複数の貫通孔104が形成され、それぞれの貫通孔104に導通部106が形成されるようにしてもよい。また、好ましくは、300〜800μm、又は20〜100μmの範囲の厚さの基板を用途に合わせて適宜選択すればよい。
【0020】
本実施形態において、貫通孔104の内壁及び基板102の表面には電気絶縁性確保のための絶縁膜108が設けられている。絶縁膜108は例えばSiO2からなり、熱酸化法、CVD法などにより形成される。絶縁膜108の厚みは0.1〜2μm程度であり、十分な絶縁性が確保できればその厚みは特に限定されない。
【0021】
本実施形態においては、貫通孔104の開口径は10〜100μm程度である。なお、貫通孔104の開口径はこれに限定されるわけではなく、貫通電極基板100の用途等に応じて適宜設定し得る。
【0022】
本実施形態において、導通部106は貫通電極基板100の表裏の導通をとる配線であり、金属材料を含む導電材料が充填されている。本実施形態においては、導通部106は、後述するように電解めっきにより金属材料が充填される。導通部106に用いる金属材料としては、例えば、銅を用いることができる。
【0023】
本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100において、導通部106の金属材料は、後述するとおり、最大結晶粒径が29μm以上の結晶粒を含んでいる。また、本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100において、導通部106の金属材料は、後述するとおり、面積重み付けした平均結晶粒径が13μm以上の結晶粒を含んでいる。本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100において、上記構成により導通部106での電流損失を低減することができる。
【0024】
また、本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100において、後述するとおり、導通部106の断面領域は、後方散乱電子回折法で検出される{101}面の導通部断面の表面となす角が8度以内である割合が21%以上であり、且つ、後方散乱電子回折法で検出される{221}面の導通部断面の表面となす角が8度以内である割合が11%以上であることが好ましい。このように、特定の方向に結晶配向している割合が多いことで、導通部106における電流損失をさらに低減することができる。
【0025】
(2.貫通電極基板100の製造方法)
ここで、図2及び図3を参照して本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の製造方法について説明する。
【0026】
(2−1.貫通電極基板100の製造方法1)
(1)基板102の準備及び貫通孔104の穿設(図2(A))
本実施形態においては、シリコンからなる基板102を準備する。基板102の厚みは特に限定されないが、300〜800μmである。基板102の一方の面側にレジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属などから選択されるマスク(図示せず)を形成した後、そのマスクを介して基板102を厚み方向にエッチングし、貫通孔104を形成する。エッチング方法としてはRIE法、DRIE法などを用いることができる。なお、基板102に対して表裏貫通する貫通孔104をエッチングのみで形成してもよいし、基板102に有底孔を形成した後バックグラインドにより研磨して開口させることによって貫通孔104を形成してもよい。研磨により、基板102の厚みを300μm以下にしてもよい。
【0027】
(2)絶縁膜108の形成(図2(B))
基板102の表面に絶縁膜108を形成する。本実施形態においては、絶縁膜108は酸化シリコン膜であり、熱酸化法あるいはCVD法により形成する。絶縁膜108には、酸化シリコン膜の他、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、それらの積層膜などを用いてもよい。
【0028】
(3)シード層の形成(図2(C))
基板102の少なくとも一方の面にシード層110を形成する。シード層110は基板102側にTi層、その上にCu層(以下、Cu/Ti層)、Cu層/TiN層又はCu/Cr層などにより構成される。本実施形態においては、シード層110にはCu/Cr層を用いる。シード層110の成膜方法は、PVD、スパッタ法などから適宜選択できる。シード層110に用いる金属材料は、導通部106の金属材料によって適宜選択することができる。シード層110は、電解メッキによって導通部106を形成するためのシード部及び給電部となる。
【0029】
(4)導通部106の形成(図2(D))
電解めっき法を用いてシード層110に給電し、貫通孔104内に金属材料を充填していく。本実施形態においては、貫通孔104に充填する金属材料として、銅(Cu)を用いる。本実施形態においては、図4又は図5に示すように、シード層110に電流をパルス状に供給する電解めっき法によって、貫通孔104内に金属材料を充填する。図4に示すパルス電流の供給方法は、極性を反転させないパルス電流をシード層110に供給する方法である。また、図5に示すパルス電流の供給方法は、周期的に極性を反転させたパルス電流をシード層110に印加する方法である。図5に示すパルス電流の供給によるめっき方法は、PRC(Periodical Reversed Current)法と呼ばれ、シード層110にプラス電圧とマイナス電圧を周期的に印加することによって、シード層110に流れる電流を一定の周期でフォワード(めっきされる側、即ちシード層110側がマイナス電位となる状態(正電流が流れる状態))とリバース(めっきされる側、即ちシード層110側がプラス電位となる状態(負電流が流れる状態))とを切り替えて行うめっき方法の一つであり、好ましいめっき方法の一つである。また、本実施形態のパルス電流による電解めっきにおいては、印加電圧、供給電流、電流密度、パルス切り替え時間(デューティー比)を適宜選択することができる。また、印加電圧、電流密度、パルス切り替え時間(デューティー比)を電解めっきの途中で変化させてもよい。パルス電流を供給することによってシード層110に流れる電流は、正電圧が印加されているときには0.5以上1.5A以下の電流が流れ、負電圧が印加されているときには−6以上−2A以下の電流が流れるようにしてもよい。
【0030】
なお、パルス電流を供給する前に、図6に示すように、一定の直流電流をシード層110に供給する電解めっき法により、シード層110が形成されている面の貫通孔104の底部に蓋状の金属層を形成するようにしてもよい。貫通孔104に充填する金属材料としては、Cuの他、金(Au)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、白金(Pt)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の金属及びこれらの合金などから選択され組み合わせた材料を用いることができる。
【0031】
(5)不要な部分の除去(図2E)
シード層110及び導通部106の不要部をエッチングあるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)により除去することにより、導通部106を形成する。以上のプロセスによって、本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100を得ることができる。
【0032】
(2−2.貫通電極基板の製造方法2)
ここでは、本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の製造方法の別の例について説明する。上述の貫通電極基板100の製造方法1と同様の構成については、改めて説明しない場合がある。なお、ここで説明する本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の製造方法2は、貫通孔の深さが比較的浅い場合(例えば、20μm〜100μm程度)の又は厚さが20〜100μm程度の薄い貫通電極基板を得たい場合によく用いられる。
【0033】
(1)基板102の準備及び孔の形成(図3(A))
基板102の一方の面側にレジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、金属などから選択されるマスク(図示せず)を形成した後、そのマスクを介して基板102を厚み方向にエッチングし、基板102を貫通しない有底孔112を形成する。エッチング方法としてはRIE法、DRIE法などを用いることができる。
【0034】
(2)絶縁膜108の形成(図3(B))
基板102の表面に絶縁膜108を形成する。
【0035】
(3)シード層の形成(図3(C))
絶縁膜108が形成されている基板102面にシード層114を形成する。このシード層114は、図3(C)に示すように、孔112の内部にも形成する。シード層114は、上述のシード層110と同様、Cu層/Ti層などにより構成される。シード層114は、シード層110と同様、電解メッキによって導通部106を形成するためのシード部及び給電部となる。シード層114は、MOCVD法、スパッタ法又は蒸着法等によって形成される。
【0036】
(4)導通部106の形成(図3(D))
電解めっき法を用いてシード層114に給電し、孔112内に金属材料を充填していく。本実施形態の貫通電極基板の製造方法2においても、貫通電極基板の製造方法1と同様、図4又は図5に示すように、シード層110に電流をパルス状に供給する電解めっき法によって、貫通孔112内に金属材料を充填する。なお、パルス電流を供給する前に、図6に示すように、一定の直流電流をシード層110に供給してもよい。本実施形態においては、孔112に充填する金属材料として、銅(Cu)を用いた。貫通孔104に充填する金属材料としては、銅の他、金(Au)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、白金(Pt)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の金属及びこれらの合金などから選択され組み合わせた材料を用いることができる。
【0037】
(5)不要な部分の除去(図3(E))
シード層114及び導通部106の不要部をエッチングあるいはCMPにより除去する。また、孔112が形成されている側と反対側の基板102面をバックグラインドによって導通部106の表面が露出するまで研磨することにより、導通部106を形成する。研磨により、基板102の厚さを薄くしてもよい。以上のプロセスによって、本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100を得ることができる。
【0038】
(実施例1)
以下、本発明の貫通電極基板100の実施例について説明する。厚さ650μmの基板102を洗浄後、基板102の一方の面側にレジストを塗布し、露光、現像することにより、マスク(図示せず)を形成する。その後、そのマスクを介して基板102を厚み方向にDRIE法によりエッチングし、430μmの有底孔112を形成する(図2(A))。レジストからなるマスクを除去した後、バックグラインドにより400μmの厚さとなるまで基板102を研磨する。
【0039】
基板102を洗浄後、熱酸化法により基板102の表面に厚さ1μmの熱酸化膜を形成する。その後、LPCVD法により、厚さ200nmの窒化シリコン膜を形成する。これら熱酸化膜及び窒化シリコン膜が絶縁膜108を構成する(図2(B))。
【0040】
基板102の一方の面に厚さ30nmのCrと厚さ200nmのCuを順に蒸着することによりシード層110を形成する(図2(C))。
【0041】
その後、基板102をアッシングする。次に、図6に示す直流電流の供給による電解めっき法を用いて、シード層110に給電し、シード層110が形成されている面の貫通孔104の底部に蓋状の金属層を形成する。本実施例1においては、電流1.54A、電流密度1A/dm2の直流電流を供給したその後、図5に示すパルス電圧の印加による電解めっき法を用いて、シード層110に給電し、貫通孔104内にCuを充填する(図2(D))。パルス切り替え時間は、正電流を80msec、負電流を2msec供給するようにした。正電流が供給されているときには1.05Aの電流が流れ(電流密度3A/dm2)、負電流が供給されているときには−4.2Aの電流(電流密度−12A/dm2)が流れた。
【0042】
なお、図5に示すパルス電流の供給による電解めっき法によってCuを充填し始める際、最初の1時間程度は小さな電流を供給し、正電流が供給されているときには0.35Aの電流が流れ(電流密度1A/dm2)、負電流が供給されているときには−1.4Aの電流(電流密度−4A/dm2)が流れるようにしてもよい。
【0043】
基板102を洗浄後、シード層110及び導通部106の不要部をCMPにより除去することにより、導通部106を形成する。以上のプロセスによって、本実施例に係る本発明の貫通電極基板100を得ることができた。
【0044】
(3.後方散乱電子線回折法(Electron backscatter diffraction Pattern:EBSD)による結晶状態の分析)
ここで、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る導通部106の金属材料の結晶粒径及び結晶配向状態の分析に用いる後方散乱電子線回折法(Electron backscatter diffraction Pattern:EBSD)について説明する。
【0045】
(3−1.EBSDの説明)
(A)結晶方位の測定
本実施形態に係る導通部106の断面の結晶方位は、EBSD法によって測定する。図7はEBSD装置の構成を説明する図である。また、図8はEBSD装置により測定する試料測定の概念を説明する図である。本実施形態に係る導通部106の断面の結晶方位を測定するにあたっては、貫通部106の断面部に電子線212が照射されるように調節する。
【0046】
EBSD装置200は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)202に専用の検出器204を設け、一次電子の後方散乱電子から結晶方位を分析する手法である。具体的には、電子銃210から出射される電子線212を鏡体214を通して試料室205内の試料台206に載置された結晶構造を持った試料208に入射させる(照射する)と、試料208で非弾性散乱が起こり、後方散乱電子216が発生する。その中には試料208中でブラッグ回折による結晶方位に特有の線状パターン(一般的に菊地像と呼ばれる)も合わせて観察される。この後方散乱電子216をスクリーン218を通してSEM202の検出器204で検出する。そして、検出された菊地像を解析することにより試料208の結晶方位を求めることができる。
【0047】
各結晶粒が異なった結晶方位を持っている多結晶構造の場合においては、試料208に当てる電子線212の位置を移動させつつ方位解析を繰り返す(マッピング測定)ことで、面状の試料208について結晶方位または配向の情報を得ることができる。マッピング測定により各結晶方位がすべて決まると、試料208上の膜に対する結晶配向の状態を統計的に表示することができる。なお、多結晶構造を有する結晶体の配向分布を表示する図として逆極点図(逆極点図の例を図12に示す)が多く用いられ、逆極点からは、測定試料のある特定の面が、どの格子面に優先配向しているかという情報を得ることができる。
【0048】
マッピング測定及び逆極点図により、各格子面の特定の指数({100}、{110}、{111}など)において、その指数近傍にどの程度の結晶粒が集まっているか、その割合を数値化することで、各配向の存在比率をよりイメージしやすくなる。そこで、逆極点図において各格子面の特定の指数からのずれ角が8°以下の範囲(許容値)に存在する点数の全体に対するそれぞれの割合を各配向率として以下の式(1)に求めて示すことができる。ここで、許容値を8°としているのは、結晶粒の示す結晶方位には揺らぎがあることが予想されるためである。
【0049】
配向率(%)=
格子面と膜表面がなす角が許容値以内(8°以下)の測定点の和/測定点の全数
・・・(1)
【0050】
(B)結晶粒径の測定
本実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106を構成する金属材料の結晶粒径の測定は、EBSD法によって行う。各結晶粒径が異なった結晶構造の場合には、試料208に照射する電子線の位置を移動させつつ結晶粒径測定を繰り返す(マッピング測定)ことで、面状の試料208について結晶粒径の情報を得ることができる。結晶粒の面積(A)は結晶粒の数(N)に測定のステップサイズ(s)で決まる測定点の面積をかけて算出する。EBSD測定では測定点を六角形として表わすことで、結晶粒の面積(A)は以下の式(2)で表すことができる。
【0051】
A= N×√3/(2s2) ・・・(2)
【0052】
結晶粒径(D)は結晶粒の面積(A)と等しい面積を持つ円の直径として計算する。結晶粒径(D)は以下の式(3)で表すことができる。
【0053】
D=(4A/π)1/2 (但し、πは円周率) ・・・(3)
【0054】
本明細書で定義する「結晶方位」、「結晶粒径」とは、以上のようにして測定した値を指すものとする。また、結晶粒径の測定においては、エッジグレイン(Edge Grain)を含むものとする。
【0055】
次に、実施例1による本発明の貫通電極基板100の導通部106を構成する金属材料、並びに比較例1及び2による貫通電極基板の導通部を構成する金属材料をEBSD測定した結果について説明する。ここでは、それぞれの導通部を構成する金属材料の断面をアルゴンイオンにより加工する、いわゆるイオンポリッシュ法によって測定試料を作製した。また、EBSD測定における測定ポイントは、それぞれ、導通部の深さ方向中央部辺りである。
【0056】
図9は実施例1による本発明の貫通電極基板100の導通部106を構成する金属材料の結晶の面積重み付けした結晶粒径分布図である。結晶粒径(D)を横軸にとり、面積率(R)を縦軸にとったヒストグラムによって、導通部106を構成する結晶粒径の最大値、および平均値を算出できる。
【0057】
ここで、面積率R(結晶粒径を含む割合(面積重み付け))は、測定領域の面積(S)を用いて、以下の式(4)で表すことができる。
【0058】
= A×(N/S) ・・・(4)
【0059】
図9に示すヒストグラムの横軸は結晶粒径の値(D)、縦軸(area fraction)はその値の結晶粒を含む割合を面積重み付けして示している。例えば図9の縦軸の0.15は割合15%を意味している。そして、各結晶粒径(D)に対して、その割合(R)を掛けたものを積算すると以下の式(5)のとおり面積重み付けした平均結晶粒径(D)が決まる。
【0060】
=Σ{R*D} ・・・(5)
【0061】
本実施例においては、結晶粒径の測定において、測定領域を有限(本実施例では50μm×150μmの領域)とするため、所望の領域から上記面積領域を切出して観測することになる。測定領域の縁(Edge)に含まれた結晶粒(Grain)を含んだ値を本明細書では結晶粒径としている。また、分析結果は誤差を含んでいるため、小数点以下を考慮せず、切り捨てした数値を用いることにする。
【0062】
測定条件は以下のとおりである。
使用した分析装置
SEM 日本電子製 JSM−7000F
EBSD TSL社製 OIM ソフトウエアVer.4.6
観察条件
EBSD測定
加速電圧 25kV
試料傾斜角 70°
測定ステップ 0.3μm
【0063】
実施例1による本発明の貫通電極基板100の導通部106の金属材料の最大粒径は29μm、平均粒径(面積重み付け)は13μmであった。高周波領域における伝送特性評価の結果、実施例1による本発明の貫通電極基板100の導通部106の電流損失は小さく、導通部106は優れた電気特性を有し、優位性があることが確認された。
【0064】
一方、比較例1(プロセスの詳細については後述する。)による貫通電極基板の導通部を構成する金属材料の結晶の面積重み付けした結晶粒径分布図を図10に示す。比較例1による貫通電極基板の導通部を構成する金属材料の最大粒径は10μm、平均粒径(面積重み付け)は2μmであった。比較例1による貫通電極基板の導通部106の電流損失は高く、導通部の電気特性は悪かった。
【0065】
また、比較例2(プロセスの詳細については後述する。)による貫通電極基板の導通部を構成する金属材料の結晶の面積重み付けした結晶粒径分布図を図11に示す。比較例2による貫通電極基板の導通部を構成する金属材料の最大粒径は11μm、平均粒径(面積重み付け)は2μmであった。比較例2による貫通電極基板の導通部106の電流損失は高く、導通部の電気特性は悪かった。
【0066】
図12はEBSDにより求められる実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106の逆極点図の一例である。マッピングにおける測定点を標準三角形と呼ばれる扇状の枠内プロットしたものである。配向率の高低を等高線図として示している。
【0067】
図13A、図13B及び図13Cは、実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである。なお、図14に示すように、得られたEBSDパターンからは、ND(Normal Direction)方向(Z軸方向)の結晶方位マップだけではなく、TD(Transverse Direction)方向(Y軸方向)、RD(Reference Direction)方向(X軸方向)の結晶方位マップを得ることができる。本実施形態においては、基板表面に対して垂直方向をND方向(Z軸方向)、基板表面と平行方向をTD方向(Y軸方向)及びRD方向(X軸方向)(但し、TD方向とRD方向は互いに垂直関係にある)とする。図13A、図13B及び図13Cは、それぞれ、ND方向、TD方向、RD方向の結晶方位マップである。実施例1の導通部106のND軸方向の結晶方位マップにおける上述の式(1)による配向率は、{101}面を有する配向が21%、{111}面を有する配向が1%、{001}面を有する配向が0%、{221}面を有する配向が11%、{511}面を有する配向が1%であった。
【0068】
一方、図15A、図15B及び図15Cは、比較例1に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである。図15A、図15B及び図15Cは、それぞれ、ND方向、TD方向、RD方向の結晶方位マップである。比較例1の導通部のND軸方向の結晶方位マップにおける上述の式(1)による配向率は、{101}面を有する配向が14%、{111}面を有する配向が2%、{001}面を有する配向が1%、{221}面を有する配向が14%、{511}面を有する配向が3%であった。
【0069】
また、図16A、図16B及び図16Cは、比較例2に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである。図15A、図15B及び図15Cは、それぞれ、ND方向、TD方向、RD方向の結晶方位マップである。比較例2の導通部のND軸方向の結晶方位マップにおける上述の式(1)による配向率は、{101}面を有する配向が6%、{111}面を有する配向が2%、{001}面を有する配向が1%、{221}面を有する配向が22%、{511}面を有する配向が2%であった
【0070】
ここで、実施例1、比較例1及び比較例2における最大粒径、平均粒径、{101}面を有する配向率、{221}面を有する配向率に注目すると、以下の表のとおり示すことができる。
【表1】

【0071】
以上の結果により、貫通電極基板100の導通部106の最大粒径が29μm以上のとき、電流損失が小さく、導通部106は優れた電気特性を有することがわかる。これは、貫通電極基板100の導通部106の金属粒径が大きいと、電流損失が小さくなり、抵抗が小さくなるためであると考えられる。また、貫通電極基板100の導通部106の平均粒径(面積重み付け)が13μm以上のとき、電流損失が小さく、導通部106は優れた電気特性を有することがわかる。また、貫通電極基板100の導通部106の後方散乱電子回折法で検出される{101}面の配向率が21%以上のとき、且つ{221}面の配向率が11%以上のとき、電流損失が小さく、導通部106は優れた電気特性を有することがわかる。
【0072】
これは、本発明の貫通電極基板の貫通孔に充填されている金属材料は、電流が流れる方向への金属結晶の配向割合が多く、結晶粒界が少ないからであると考えられる。本発明の貫通電極基板の製造方法においては、貫通孔の一方向にめっき金属層を成長するものである。従って貫通孔方向に沿った結晶配向の割合が多い結晶が形成される。
【0073】
電流が流れる方向に金属結晶が全て配向し、結晶粒界が無いことが理想的な状態である。EBSDのND方向(Z軸方向)で{001}に全て配向しているのが望ましい。{101}配向も電流が流れる方向に配向しており、電流の流れやすさという点においては{001}面に続いて重要な配向面である。{001}や{101}配向比率が高い程、貫通孔の上下間の電気の流れが優れており望ましい。一般的に多結晶はランダムに配向している状態が多く占めるが、本発明の貫通電極基板の貫通孔は電流が流れる方向に水平に近い{101}面の配向性比率が高いため、従来例と比較して、電流損失が小さくなる効果があることがわかる。
【0074】
以下、上述した比較例1及び2について説明する。
(比較例1)
貫通孔に金属材料を充填する前までの工程については、実施例1と同様である。基板にシード層を形成した後、電解めっき法を用いて図6に示す直流電流をシード層に供給し、導通部に金属材料を充填する。このときの電流は1.54(電流密度1A/dm2)であった。その後の工程は実施例1と同様であった。
【0075】
(比較例2)
貫通孔に金属材料を充填する前までの工程については、2−2.貫通電極基板の製造方法2と同様である基板にシード層を形成した後、電解めっき法を用いて図6に示す直流電流をシード層に供給し、導通部に金属材料を充填する。このときの電流は1.54A(電流密度1A/dm2)であった。その後の工程は実施例1と同様であった。
【0076】
(実施形態2)
本実施形態2においては、実施形態1に係る本発明の貫通電極基板100上にLSIチップが積層された半導体装置の例及び実施形態1に係る本発明の貫通電極基板100を複数層積層した半導体装置の例について説明する。なお、実施形態1と同様の構成や製造方法については、ここでは改めて説明しない。
【0077】
図17(A)及び(B)を参照する。図17(A)には、3つの実施形態1に係る本発明の貫通電極基板100が積層された本実施形態に係る半導体装置が示されている。貫通電極基板100にはDRAM等の半導体素子が形成されている。3つの貫通電極基板100は積層され、バンプ302を介して互いに接続されている。貫通電極基板100は、それぞれに形成されたDRAMを電気的に接続するインターボーザとしての役割を果たしている。3層に積層された貫通電極基板100は、バンプ302を介してLSI基板304に接続される。なお、積層する貫通電極基板100の数は3層に限定されない。バンプ304には、In(インジウム)、Cu、Au等の金属を用いることができる。また、貫通電極基板100同士の接合には、主として、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)などの樹脂を用いて、塗布、焼成して接着してもよい。また、貫通電極基板100同士の接合には、エポキシ樹脂を用いてもよい。さらに、貫通電極基板100同士の接合には、プラズマ活性化による接合、共晶接合などを用いてもよい。
【0078】
本実施形態のように本発明の貫通電極基板100が積層した場合、本発明の貫通電極基板100の導通部106(貫通孔)の抵抗をRi、積層し接続する本発明の貫通電極基板100の積層数をNとすると、直列に接続される導通部106(貫通孔)全体の抵抗はN×Riとなり、導通部106(貫通孔)の抵抗を小さくすることができる。
【0079】
図17(B)には、MEMSデバイスやCPU、メモリ等のLSIチップ(半導体チップ)306−1及び306−2が搭載された貫通電極基板100を有する半導体装置の例を示す。LSIチップ306−1及び306−2の接続端子である電極パッド308−1及び308−2がそれぞれバンプ304を介して貫通電極基板100の導通部106と電気的に接続されている。LSIチップ306−1及び306−2が搭載された貫通電極基板100は、LSI基板306に搭載され、LSI基板306とLSIチップ306−1とがワイヤボンディングによって接続されている。例えば、LSIチップ306−1を3軸加速度センサとし、LSIチップ306−2を2軸磁気センサとすることによって、5軸モーションセンサを一つのモジュールで実現することができる。このように、実施形態1に係る本発明の貫通電極基板100は、複数のLSIチップ同士を3次元実装するためのインターポーザとして用いることができる。
(実施形態3)
本実施形態3においては、上述の実施形態1及び2の貫通電極基板に搭載されるLSIチップとして、MEMSデバイスを用いる場合について説明する。本実施形態においては、MEMSデバイスは、物理量センサ302−1を例にとって説明する。
【0080】
以下、物理量センサ302−1により検出される加速度の変位信号を処理する処理回路について説明する。
【0081】
<処理回路>
上記物理量センサ302−1により検出される加速度の変位信号を処理する各処理回路の構成例について図18を参照して説明する。
【0082】
図18は、物理量センサ302−1により検出される加速度の変位信号を処理する加速度処理回路400の回路構成を示す図である。この場合、物理量センサはピエゾ抵抗型加速度センサである。図18において、加速度処理回路400は、増幅回路401と、サンプルホールド回路(S/H)402〜404と、出力抵抗Routと、キャパシタCx,Cy,Czと、から構成される。なお、図中のX軸出力、Y軸出力、Z軸出力は、印加される加速度に応じて物理量センサ302−1から出力されるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各変位信号である。なお、出力抵抗RoutとキャパシタCx,Cy,Czは、加速度信号に対応する周波数成分を通過させるローパスフィルタとして機能する。
【0083】
増幅回路401は、印加される加速度に応じて物理量センサ302−1から出力されるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各変位信号(静電容量変化)を所定の増幅率で増幅してサンプルホールド回路402〜404にそれぞれ出力する。サンプルホールド回路402は、増幅回路401で増幅されたX軸方向変位信号を所定のタイミングでサンプル/ホールドして出力抵抗Rout及びキャパシタCxを介してX方向の加速度検出信号Xoutを出力する。サンプルホールド回路403は、増幅回路401で増幅されたY軸方向変位信号を所定のタイミングでサンプル/ホールドして出力抵抗Rout及びキャパシタCyを介してY方向の加速度検出信号Youtを出力する。サンプルホールド回路404は、増幅回路401で増幅されたZ軸方向変位信号を所定のタイミングでサンプル/ホールドして出力抵抗Rout及びキャパシタCzを介してZ方向の加速度検出信号Zoutを出力する。
【0084】
この物理量センサ302−1と処理回路400等を実装した本発明の貫通電極基板100又は本発明の積層型貫通電極基板300は、センサモジュールとして携帯情報端末や携帯電話などに搭載される。図19は、物理量センサ302−1と処理回路400等を実装した本発明の貫通電極基板100又は本発明の積層型貫通電極基板300を実装した半導体装置の一例である携帯型情報端末500の一例を示す図である。図19において、携帯型情報端末500は、筐体501、ディスプレイ部502と、キーボード部503、から構成される。センサモジュールは、キーボード部502の内部に実装されている。携帯型情報端末500は、その内部に各種プログラムを記憶し、各種プログラムにより通信処理や情報処理等を実行する機能を有する。この携帯型情報端末500では、物理量センサ302−1と処理回路400等が実装されたセンサモジュールにより検出される加速度や角速度をアプリケーションプログラムで利用することにより、例えば、落下時の加速度を検出して電源をオフさせる等の機能を付加することが可能になる。
【0085】
上記のように物理量センサ302−1と処理回路400等が実装されたセンサモジュールをモバイル端末機に実装することにより、新たな機能を実現することができ、モバイル端末機の利便性や信頼性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の断面図である。
【図2】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の製造工程を説明する図である。
【図3】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の製造工程を説明する図である。
【図4】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の貫通部106に金属材料を充填するための電解めっきに用いるパルス電圧を説明する図である。
【図5】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の貫通部106に金属材料を充填するための電解めっきに用いるパルス電圧を説明する図である。
【図6】一実施形態に係る本発明の貫通電極基板100の貫通部106に金属材料を充填するための電解めっきに用いる直流電圧を説明する図である。
【図7】EBSD装置の構成を説明する図である。
【図8】EBSDにより測定する試料測定の概念を説明する図である。
【図9】実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の貫通部106の金属材料の面積重み付けした結晶粒径分布図である。
【図10】比較例1に係る貫通電極基板の貫通部の金属材料の面積重み付けした結晶粒径分布図である。
【図11】比較例2に係る貫通電極基板の貫通部の金属材料の面積重み付けした結晶粒径分布図である。
【図12】EBSDにより測定した逆極点図の例である。
【図13A】実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(ND方向)。
【図13B】実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(TD方向)。
【図13C】実施例1に係る本発明の貫通電極基板100の導通部106のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(RD方向)。
【図14】EBSDパターンにおける、ND(Normal Direction)方向(Z軸方向)、TD(Transverse Direction)方向(Y軸方向)、RD(Reference Direction)方向(X軸方向)の結晶方位マップの説明図である。
【図15A】比較例1に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(ND方向)。
【図15B】比較例1に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(TD方向)。
【図15C】比較例1に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(RD方向)。
【図16A】比較例2に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(ND方向)。
【図16B】比較例2に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(TD方向)。
【図16C】比較例2に係る貫通電極基板の導通部のマッピング測定及び逆極点図による結晶方位マップである(RD方向)。
【図17】本発明に係る貫通電極基板100上にLSIチップが積層された半導体装置及び本発明に係る貫通電極基板100を積層した積層型貫通電極基板300を説明するための断面図である。
【図18】物理量センサにより検出される加速度の変位信号を処理する加速度処理回路の一例を示す図である。
【図19】センサモジュールを実装したモバイル端末機の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100:貫通電極基板
102:基板
104:貫通孔
106:導通部
108:絶縁膜
110:シード層
302:バンプ
304、306:LSI基板
306−1、306−2:チップ
308−1、308−2:電極パッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏を貫通する貫通孔を有する基板と、
前記貫通孔内に充填され、金属材料を含む導通部と、
を備え、
前記導通部の前記金属材料は、結晶粒径が29μm以上の結晶粒を含むことを特徴とする貫通電極基板。
【請求項2】
前記導通部の前記金属材料は、面積重み付けした平均結晶粒径が13μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の貫通電極基板。
【請求項3】
前記導通部の前記金属材料の断面は、後方散乱電子回折法で検出される{101}面の以下の式(A)で示される配向率が21%以上であり、且つ、後方散乱電子回折法で検出される{221}面の以下の式(B)で示される配向率が11%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通電極基板。
配向率(%)={101}面と前記導通部の断面の表面とがなす角が8°以内の測定点の和/測定点の全数 ・・・(A)
配向率(%)={221}面と前記導通部の断面の表面とがなす角が8°以内の測定点の和/測定点の全数 ・・・(B)
【請求項4】
前記基板はシリコンからなり、
前記導通部は、少なくとも前記基板側に設けた絶縁層上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項5】
前記貫通孔の開口径は10μm〜100μmであり、かつ前記基板の厚みは20〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項6】
前記貫通孔の開口径は10μm〜100μmであり、かつ前記基板の厚みは300〜800μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一に記載の貫通電極基板を複数有し、前記複数の貫通電極基板が積層されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
接続端子部を備えた半導体チップを少なくとも1つ含み、
前記接続端子部と請求項1乃至7のいずれか一項に記載の貫通電極基板の導通部とを接続して構成された半導体装置。
【請求項9】
基板に表裏を貫通する貫通孔を形成し、
前記基板及び前記貫通孔の表面に絶縁膜を形成し、
前記基板の少なくとも一方及び/又は前記貫通孔に金属からなるシード膜を形成し、
前記シード膜にパルス電流を供給する電解めっき法により、前記貫通孔内に金属材料を充填することを特徴とする貫通電極基板の製造方法。
【請求項10】
前記電解めっき法は、前記シード膜にプラス電圧とマイナス電圧を周期的に印加することによって行うことを特徴とする請求項9に記載の貫通電極基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図14】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate


【公開番号】特開2010−98140(P2010−98140A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267865(P2008−267865)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】