車両用走行支援装置および車両用走行支援方法
【課題】障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制すること。
【解決手段】回避経路情報演算手段が、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する。車両挙動制御手段が、算出した回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って自車両が走行するように自車両の挙動を制御する。このため、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。そして、自車両が障害物に近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【解決手段】回避経路情報演算手段が、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する。車両挙動制御手段が、算出した回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って自車両が走行するように自車両の挙動を制御する。このため、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。そして、自車両が障害物に近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両と障害物との接触を回避する車両用走行支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載されている技術がある。この従来技術では、自車両の走行の障害となる障害物を検出すると、操舵制御により、自車両を障害物の側方方向に回頭させ、その後、自車両を障害物の側方方向からもとの進行方向に回頭させることで、自車両が障害物の側方を通り抜けるようにする。
【特許文献1】特開2005−173663
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このように障害物との接触を操舵制御により回避する技術では、一般に、自車両が障害物と車幅方向で重なる前に、操舵制御を完了する。
そのため、自車両を障害物の側方方向からもとの進行方向に回頭させるときに、自車両が障害物に近づく方向に向かっているような違和感を運転者が覚える可能性がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨー角と自車両のヨーレートとの少なくとも一方が、障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように車両の挙動を制御するようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両が障害物から遠ざかる向きに回頭することになる。このため、自車両が障害物に近づく方向に向かっているように運転者に感じさせることを防止できる。
この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明に係る走行支援装置を車両に適用した例を示す。
この車両は、自車両SWの走行の障害となる障害物SMを検出し、自車両SWと障害物SMとの接触を回避するように操舵制御を行うものである。
この操舵制御を、以下、「障害物回避制御」とも呼ぶ。
【0007】
(構成)
まず、本実施形態の車両の構成を説明する。
図1は、本実施形態の車両を示す概略構成図である。
車両1は、制動ユニット2、操舵ユニット3、外界環境検出ユニット4、車両状態検出ユニット5およびメインコントロールユニット6を備える。
制動ユニット2は、ブレーキペダル8、ブースタ9、マスタシリンダ10およびホイールシリンダ11FL〜11RRを備える。そして、運転者によるブレーキペダル8の踏み込み量に応じて、マスタシリンダ10で昇圧した制動流体を各ホイールシリンダ11FL〜11RRに供給する。これにより、各車輪7FL〜7RRに制動力が発生する。
【0008】
また、制動ユニット2は、マスタシリンダ10と各ホイールシリンダ11FL〜11RRとを繋ぐ油圧配管に介装した、制動流体圧制御部12を備える。
制動流体圧制御部12は、メインコントロールユニット6が出力する制動流体圧指令(後述)に従って、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの制動流体圧を制御する。これにより、各車輪7FL〜7RRの制動力を制御する。
【0009】
操舵ユニット3は、ステアリングホイール13およびステアリングコラム14を備える。そして、運転者によるステアリングホイール13の操作量に応じて、ステアリングコラム14が回転する。これにより、各車輪7FL〜7RRに転舵角が発生する。
また、操舵ユニット3は、ステアリングコラム14に配した操舵制御部15を備える。
操舵制御部15は、メインコントロールユニット6が出力する操舵指令(後述)に従って、ステアリングコラム14に操舵トルクを付与する。これにより、各車輪7FL〜7RRの転舵角を制御する。
【0010】
外界環境検出ユニット4は、レーザーレーダ16、CCDカメラ17、および外界環境検出部18を備える。レーザーレーダ16、CCDカメラ17は、検出結果の情報を外界環境検出部18に出力する。
レーザーレーダ16は、車両1前方にレーザ光を照射し、車両1前方の物体で反射した反射光を受光する。CCDカメラ17は、車両1前方の走行路の状況を撮像する。
外界環境検出部18は、自車両SW前方における、自車両SWの走行の障害となる障害物SM(例えば、他の車両、歩行者等)の有無および位置情報を検出する。障害物SMの有無および位置情報の検出は、レーザーレーダ16による反射光の受光結果およびCCDカメラ17による走行路の状況の撮像結果に基づいて行う。
【0011】
また、外界環境検出部18は、障害物SMが存在する場合には、障害物座標(St、Sy)、自車両SWと障害物SMとの間の距離、障害物SMの横方向速度Sv、走行路環境および走行路領域も併せて検出する。そして、障害物SMの有無、障害物座標(St、Sy)、自車両SWと障害物SMとの間の距離、障害物SMの横方向速度Sv、走行路環境および走行路領域それぞれの情報をメインコントロールユニット6に出力する。
ここで、障害物座標(St、Sy)とは、自車両SWを基準とした車両座標系(x、y)で表す障害物SMの位置である。車両座標系は、互いに直交するx軸およびy軸を有する座標系である。自車両SWを平面視したときの重心位置を原点(0.0)とし、自車両SWの前方向をx軸の正方向とし、自車両SWの右方向をy軸の正方向とする。
【0012】
障害物SMの横方向速度Svとは、障害物SMの移動速度のy軸方向成分である。
車両状態検出ユニット5は、スロットル開度センサ19、ブレーキ踏み込み量センサ20、制動流体圧センサ21、操舵角センサ22、車輪速センサ23FL〜23RR、ヨーレートセンサ24および加速度センサ25を備える。これらセンサは、検出結果の情報をメインコントロールユニット6に出力する。
【0013】
スロットル開度センサ19は、スロットル開度を検出する。ブレーキ踏み込み量センサ20は、ブレーキペダル8の踏み込み量を検出する。制動流体圧センサ21は、マスタシリンダ10で昇圧した制動流体圧を検出する。操舵角センサ22は、ステアリングホイール13の操舵角を検出する。車輪速センサ23FL〜23RRは、各車輪7FL〜7RRの回転速度を検出する。ヨーレートセンサ24は、車両1のヨーレートYrを検出する。加速度センサ25は、車両1の前後方向および左右方向の加速度を検出する。
【0014】
メインコントロールユニット6は、マイクロプロセッサからなる。
マイクロプロセッサは、A/D変換回路、D/A変換回路、中央処理装置およびメモリ等で構成した集積回路を備える。そして、メモリに格納したプログラムに従って障害物回避制御を実行する。障害物回避制御では、外界環境検出ユニット4および車両状態検出ユニット5が出力する各種情報に基づいて、制動ユニット2に制動指令を出力し、且つ、操舵ユニット3に操舵指令を出力する。
【0015】
(メインコントロールユニットの構成)
次に、メインコントロールユニット6の構成についてより詳細に説明する。
図2は、メインコントロールユニット6の機能構成を示すブロックフロー図である。
メインコントロールユニット6は、図2に示すように、外界環境検出手段30、障害物位置検出手段31、自車両状態検出手段32、障害物到達時間演算手段33、障害物幅演算手段34、回避余裕域演算手段35を備える。また、回避目標地点演算手段36、目標地点到達時間演算手段37、車両ヨー運動制御制限手段38、回避経路演算手段39およびアクチュエータ制御手段40を備える。
【0016】
外界環境検出手段30は、外界環境検出部18が出力する障害物SMの有無の情報および走行路領域の情報を取得する。
障害物位置検出手段31は、外界環境検出部18が出力する障害物座標(St、Sy)の情報および障害物SMの横方向速度Svの情報を取得する。
自車両状態検出手段32は、車輪速センサ23FL〜23RRが出力する各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報、およびヨーレートセンサ24が出力するヨーレートYrの情報を取得する。また、自車両状態検出手段32は、取得した各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報に基づいて自車速Vcを算出する。
【0017】
また、自車両状態検出手段32は、スロットル開度センサ19が出力するスロットル開度の情報、ブレーキ踏み込み量センサ20が出力する踏み込み量の情報、および制動流体圧センサ21が出力する制動流体圧の情報を取得する。また、自車両状態検出手段32は、取得したスロットル開度の情報、踏み込み量の情報、および制動流体圧の情報に基づいて、各車輪7FL〜7RRの制駆動力を算出する。
障害物到達時間演算手段33は、障害物到達時間TTCの算出を行う。障害物到達時間TTCとは、自車両SWが障害物SMのx軸方向位置に到達するまでの時間である。
障害物到達時間TTCの算出は、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)の情報、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報に基づいて行う。
【0018】
例えば、障害物到達時間TTC[sec.]の算出は、障害物座標(St[m]、Sy[m])の情報、自車速Vc[m/sec.]の情報に基づき、下記(1)式に従って行う。
TTC=St/Vc ・・・(1)
障害物幅演算手段34は、障害物幅Shの算出を行う。障害物幅Shとは、障害物移動領域Pの障害物移動方向側の端部のy軸方向成分である。
障害物移動領域Pとは、障害物SMが移動する可能性が高い領域である。
障害物移動領域Pは、x軸に平行な2辺とy軸に平行な2辺とで囲まれた、平面視で四角形状の領域となる。
【0019】
具体的には、障害物幅演算手段34は、まず、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)、障害物SMの横方向速度Svそれぞれの情報、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCに基づいて障害物移動可能位置を算出する。障害物移動可能位置とは、障害物到達時間TTC後に障害物SMが移動している可能性がある位置のy軸方向成分である。次に、障害物幅演算手段34は、障害物移動可能位置に障害物SMのy軸方向幅およびマージンを加えて、障害物幅Shを算出する。
【0020】
例えば、障害物幅Sh[m]の算出は、障害物座標(St[m]、Sy[m])、障害物SMの横方向速度Sv[m/sec.]障害物到達時間TTC[sec.]に基づき、下記(2)式に従って行う。
Sh = [Sy + (Sv × TTC) ] ×Sk ・・・(2)
ここで、Skは障害物SMのy軸方向幅とマージンとに応じて設定する係数である。
また、障害物幅演算手段34は、ヨーレートYr、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、下記(3)式に従って自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)を算出する。
(Vx、Vy) = TTC×Vc×Yr ・・・(3)
地点(Vx、Vy)のy軸方向成分Vyを、以下、「横移動量」と呼ぶ。
【0021】
回避余裕域演算手段35は、回避余裕域Qの算出を行う。回避余裕域Qとは、走行路領域内において、障害物SMとの接触回避の観点から走行が許される領域である。
具体的には、回避余裕域演算手段35は、まず、外界環境検出手段30で取得した走行路領域の情報、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報を取得する。次に、回避余裕域演算手段35は、取得した走行路領域、自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物幅演算手段34で算出した障害物幅Shに基づいて、回避余裕域Qを算出する。
また、回避余裕域演算手段35は、算出した回避余裕域Qが、自車両SWが障害物回避制御で適切に走行可能な領域であることを確認する演算処理を実行する。
【0022】
図3は、自車両の走行可能性を確認する演算処理のフローチャートである。
図4は、自車両の走行可能性の確認方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS11では、図4(a)(b)に示すように、障害物移動領域Pが走行路領域の左右いずれの側に存在しているかを判定する。そして、障害物移動領域Pが走行路領域の左側に存在していると判定した場合には(左側)ステップS12に移行する。一方、障害物移動領域Pが走行路領域の右側に存在していると判定した場合には(右側)ステップS13に移行する。
【0023】
次に、ステップS12では、障害物移動領域Pの右端で且つ自車両SW側の角の座標(x1、y1)を検出する。また、走行路領域の右端にある、当該座標(x1、y1)に最も近い点の座標(x2、y2)を検出する。そして、座標(x1、y1)(x2、y2)の検出を終えると、ステップS14に移行する。
一方、ステップS13では、障害物移動領域Pの左端で且つ自車両SW側の角の座標(x1、y1)を検出する。また、走行路領域の左端にある、当該座標(x1、y1)に最も近い点の座標(x2、y2)を検出する。そして、座標(x1、y1)(x2、y2)の検出を終えると、ステップS14に移行する。
【0024】
次に、ステップS14では、ヨーレートYr、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、前記(3)式に従って自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)を算出する。
次に、ステップS15では、自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にあるか否かを判定する。そして、地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にあると判定した場合には(Yes)ステップS16に移行する。一方、地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にないと判定した場合には(No)ステップS17に移行する。
【0025】
次に、ステップS16では、算出した回避余裕域Qが、障害物回避制御で適切に走行可能な領域であると判定する。
これにより、障害物SMの側方に、障害物回避制御により自車両SWが走行可能な領域があると判定する。
一方、ステップS17では、算出した回避余裕域Qが、障害物回避制御で適切に走行可能な領域でないと判定する。
なお、回避余裕域演算手段35は、回避余裕域Qが障害物回避制御で適切に走行可能な領域でないと判定した場合、障害物回避制御の実行を禁止する。
回避目標地点演算手段36は、回避目標地点座標Mpの算出を行う。回避目標地点座標Mpとは、障害物回避制御を終了する最終地点のx軸方向成分である。回避目標地点座標Mpは、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側に設定する。
【0026】
図5は、回避目標地点座標Mpを算出する演算処理のフローチャートである。
図6は、回避目標地点座標Mpの算出方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS21では、外界環境検出手段30で取得した走行路領域の情報、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)の情報を取得する。また、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCの情報を取得する。次に、図6に示すように、取得した障害物座標(St、Sy)等の情報、障害物幅演算手段34で検出した障害物幅Shおよび回避余裕域演算手段35で算出した回避余裕域Qに基づいて、仮の回避目標地点座標Xaを算出する。
【0027】
次に、ステップS22では、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vcと障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCとの乗算結果(TTC×Vc)が仮の回避目標地点座標Xaより小さいか否かを判定する。そして、TTC×VcがXaより小さいと判定した場合には(Yes)ステップS23に移行する。一方、TTC×VcがXa以上であると判定した場合には(No)ステップS24に移行する。
【0028】
次に、ステップS23では、自車速Vcと障害物到達時間TTCとの乗算結果(TTC×Vc)をもって、回避目標地点座標Mpとする。
一方、前記ステップS24では、仮の回避目標地点座標Xaをもって、回避目標地点座標Mpとする。
目標地点到達時間演算手段37は、目標地点到達時間TTCmの算出を行う。目標地点到達時間TTCmとは、自車両SWが回避目標地点座標Mpに到達するまでにかかる時間である。
【0029】
目標地点到達時間TTCmを演算は、目標地点到達時間演算手段37は、自車両状態検出手段32で検出した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、回避目標地点演算手段36で演算した回避目標地点座標Mpに基づいて行う。
例えば、目標地点到達時間TTCm[sec.]の算出は、自車速Vc[m/sec.]、回避目標地点座標Mp[m]に基づき、下記(4)式に従って行う。
TTCm = Mp / Vc ・・・(4)
【0030】
車両ヨー運動制御制限手段38は、ヨー運動制限値の算出を行う。ヨー運動制限値とは、障害物回避制御に用いられる、回避余裕域演算手段35で検出した座標(x1、y1)を車両1が通過する際のヨーレートYrの上限値である。
ヨー運動制限値の算出は、回避余裕域演算手段35で算出した回避余裕域Qに基づいて行う。
回避経路演算手段39は、目標操舵角パターンの算出を行う。目標操舵角パターンとは、障害物回避制御に用いられる、障害物回避のための目標操舵角の時系列データである。
ここで、操舵角は、ステアリングホイール13に正対して、ステアリングホイール13の右回り方向を正方向とし、ステアリングホイール13の左回り方向を負方向とする。
【0031】
具体的には、回避経路演算手段39は、まず、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物幅演算手段34で算出した障害物幅Shを取得する。次に、取得した情報、車両ヨー運動制御制限手段38で算出したヨー運動制限値、回避目標地点演算手段36で算出した回避目標地点座標Mpに基づいて、目標操舵角パターンを算出する。
【0032】
図7は、目標操舵角パターンの算出方法を説明するための説明図である。
例えば、目標操舵角パターンの算出は、図7に示すように、車両モデル部41、ヨー角制限部42および経路算出部43を用いて行う。
車両モデル部41は、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCおよび障害物幅演算手段34で算出した横移動量Vyに基づき、メモリに格納した目標操舵角パターンを取得する。
【0033】
図8は、目標操舵角パターンを説明するための説明図である。
目標操舵角パターンは、障害物到達時間TTC後に自車両SWをy軸方向へ横移動量Vy分移動させ、且つ、(TTC×2+α)時間後に障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側の目標到達地点に自車両SWを到達させる時系列データである。そして、自車両SWが障害物SMとの接触を回避して走行可能な回避経路を示す情報でもある。
【0034】
これにより、自車両SWと障害物SMとが車幅方向で重なり始めるときに、自車両SWのヨーレートが、障害物SMから自車両SWが遠ざかる向きに発生する。
目標操舵角パターンのメモリへの格納は、図8に示すように、目標操舵角の時間に対する変化を正弦波で表す正弦関数、または当該正弦波を近似する多項式の形式で行う。
また、前記αは、センササンプリング周期の遅れに応じて設定する定数である。例えば、センササンプリング周期の最大遅れが300[msec.]である場合には、前記αは、500[msec.]に設定する。
ヨー角制限部42は、車両モデル部41で取得した目標操舵角パターンを補正する演算処理を実行する。
【0035】
図9は、目標操舵角パターンを補正する演算処理のフローチャートである。
図10は、目標操舵角パターンの補正方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS31では、目標操舵角パターン、つまり、目標操舵角の時系列データの先頭のデータが正負いずれの値であるかを判定する。そして、当該先頭のデータが正値であると判定した場合(正値)ステップS32に移行する。一方、当該先頭のデータが負値であると判定した場合(負値)ステップS33に移行する。
【0036】
次に、ステップS32では、まず、当該時系列データから、先頭のデータから障害物到達時間TTC分のデータまでのデータ列を検出する。次に、図10の範囲Aに示すように、検出したデータ列のうち、操舵角が減少傾向にあり且つ所定のしきい値a(>0)より小さい操舵角を当該しきい値aで置換する。
この置換により、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過するまでは、ステアリングホイール13の操舵角がニュートラル位置を超えて、自車両SWが障害物SMに近づく方向に転舵されることを防止できる。この結果、自車両SWが障害物SMに近づく方向にヨーレートが発生することを防止できる。
しきい値aは、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過したときに、自車両SWのヨーレートYrがヨー運動制限値以下のヨーレートとなるように設定する。
【0037】
図11は、目標操舵角パターンの補正方法の変形例を説明するための説明図である。
なお、本実施形態では、障害物到達時間TTCまでの時系列データのうち、しきい値a以下のものを当該しきい値aで置換する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図11に示すように、時系列データの各値が少なくとも障害物到達時間TTCまでは正値となるように、目標操舵角パターン全体を補正するようにしてもよい。
【0038】
次に、ステップS33では、まず、当該時系列データから、先頭のデータから障害物到達時間TTC分のデータまでのデータ列を検出する。次に、検出したデータ列のうち、増大傾向にあり且つしきい値−aより大きい操舵角を当該しきい値−aで置換する。
図12は、操舵角の時系列データの抽出方法を説明するための説明図である。
経路算出部43は、図12に示すように、ヨー角制限部42で補正した目標操舵角パターン、つまり、舵角の時系列データから、先頭のデータから目標地点到達時間TTCm分のデータまでのデータ列を抽出する。
【0039】
なお、目標操舵角パターンの時系列データが表す時間(TTC×2+α)が目標地点到達時間TTCmよりも短い場合には、目標操舵角パターンから抽出したデータ列として、当該目標操舵角パターンによる舵角の時系列データの全部を用いる。
アクチュエータ制御手段40は、操舵指令を操舵制御部15に出力する。操舵指令とは、ステアリングホイール13の操舵角を、経路算出部43で目標操舵角パターンから抽出した操舵角の時系列データに追従させる指令である。そして、当該時系列データが示す回避経路に沿って自車両SWが走行するように自車両SWの挙動を制御する指令でもある。
【0040】
なお、本実施形態では、ステアリングホイール13の操舵角を制御することで障害物回避制御を実現する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、操舵角の制御に代えて、制駆動力制御を行うことで障害物回避制御を実現することができる。具体的には、アクチュエータ制御手段40は、左右輪の制動力差によってヨーレートを発生し、障害物回避制御が実現するように、制動流体圧制御部12に制動流体圧指令を出力する。
また、アクチュエータ制御手段40は、実際の操舵角パターンや自車速Vcの情報、障害物座標(St、Sy)に基づいて、障害物回避制御の終了を判定する。
【0041】
なお、本実施形態では、目標操舵角パターンから目標地点到達時間TTCm分の時系列データを抽出し、抽出した時系列データにステアリングホイール13の操舵角を全て追従させる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、目標操舵角パターンから制御実行時のデータを1つ抽出し、抽出した1つのデータにステアリングホイール13の操舵角を追従させることもできる。そして、1つのデータの抽出および当該1つのデータへのステアリングホイール13の操舵角の追従を終えるたびに、新しい目標操舵角パターンを演算し、それら抽出および操舵角の追従を繰り返し実行させることもできる。
【0042】
(動作)
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、車両1の走行中に、運転者が、メインコントロールユニット6に衝突回避制御の開始操作を行ったとする。すると、メインコントロールユニット6が、外界環境検出部18から、障害物SMの有無の情報および走行路領域の情報を取得する。取得した情報が、障害物SMがないことを表す場合には、これらの情報の取得動作を繰り返す。
ここで、自車両SW前方の走行路に歩行者が飛び出し、メインコントロールユニット6が、当該歩行者を自車両SWの走行の障害となる障害物SMとして検出したとする。すると、メインコントロールユニット6が、外界環境検出部18から障害物座標(St、Sy)の情報および障害物SMの横方向速度Svの情報を取得する。
【0043】
これらの情報を取得すると、続いてメインコントロールユニット6が、車輪速センサ23FL〜23RRから各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報、制駆動力の情報およびヨーレートYrの情報を取得する。また、メインコントロールユニット6が、取得した各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報に基づいて自車速Vcを算出する。
自車速Vcの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、スロットル開度センサ19からスロットル開度の情報、ブレーキ踏み込み量センサ20から踏み込み量の情報、制動流体圧センサ21から制動流体圧の情報を取得する。また、メインコントロールユニット6が、取得したスロットル開度の情報、踏み込み量の情報および制動流体圧の情報に基づいて各車輪7FL〜7RRの制駆動力を算出する。
【0044】
制駆動力の算出を終えると、メインコントロールユニット6が、障害物座標(St、Sy)の情報および自車速Vcの情報に基づき、自車両SWが障害物SMのx軸方向位置に到達するまでにかかる障害物到達時間TTCを算出する。
障害物到達時間TTCの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、障害物座標(St、Sy)、障害物SMの横方向速度Svおよび障害物到達時間TTCに基づき、障害物移動領域Pのy軸方向端部の座標である、障害物幅Shを算出する。
【0045】
障害物幅Shの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vc、ヨーレートYrおよび障害物到達時間TTCに基づき、走行路領域内の領域であって、障害物SMとの接触回避の観点から走行が許される回避余裕域Qを算出する。
回避余裕域Qの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、障害物回避制御を終了する地点のx軸方向成分である、回避目標地点座標Mpを算出する。
ここで、回避目標地点座標Mpは、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側に設定する。
【0046】
回避目標地点座標Mpの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vcおよび回避目標地点座標Mpに基づき、自車両SWが回避目標地点座標Mpの位置に到達するまでにかかる目標地点到達時間TTCmを算出する。
目標地点到達時間TTCmの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、回避余裕域Qに基づき、自車両SWが障害物SMの側方の通過を開始する時点の、自車両SWのヨー角の下限を制限するヨー運動制限値Yraを設定する。
ヨー運動制限値Yraの設定を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vc、ヨーレートYr、障害物幅Sh、ヨー運動制限値Yra、回避目標地点座標Mpに基づいて、自車両SWと障害物SMとの接触を回避する目標操舵角パターンを算出する。
【0047】
この目標操舵角パターンでは、障害物回避制御を開始すると、まず、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向にステアリングホイール13を転舵する。また、当該方向への転舵は、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎるまで続く。すなわち、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎるまでは、ステアリングホイール13の操舵角がニュートラル位置を超えて、自車両SWが障害物SMに近づく方向への転舵を禁止する。
【0048】
目標操舵角パターンの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車両SWの操舵角を目標操舵角パターンに追従させる操舵指令を操舵制御部15に出力する。
操舵指令の出力を終えると、操舵制御部15が、当該操舵指令に従って障害物回避制御を開始し、ステアリングコラム14に操舵トルクを付与する。
そして、障害物回避制御が始まると、まず、ステアリングホイール13が、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向に操舵する。また、ステアリングホイール13を操舵することで、自車両SWの操向輪7FL、7FRが、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向に転舵する。さらに、操向輪7FL、7FRを転舵することで、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きに自車両SWにヨーレートが発生し、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きに自車両SWが回頭し、図6に示すように、当該向きに走行する。
【0049】
また、当該転舵を継続して、自車両SWが障害物SMの側方を通過するときにも、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きにヨーレートが発生した状態となる。
この結果、自車両SWが障害物SMの側方を通過するときに、自車両SWが障害物SMに近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。
また、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎた後に、操向輪7FL、7FRの切り戻しを開始し、自車両SWの前後方向が走行路の接線方向と平行になる。
【0050】
図13は、比較例を説明するための説明図である。
ちなみに、回避目標地点座標Mpを、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向手前側に設定した場合、操向輪7FL、7FRの切り戻しを行ったときに、自車両SWが障害物SMに近づく方向に向かっているような違和感を運転者が覚える。
ここで、本実施形態では、図1の外界環境検出ユニット4、メインコントロールユニット6、レーザーレーダ16、CCDカメラ17、図2の外界環境検出手段30が走行路領域検出手段および障害物位置検出手段を構成する。以下同様に、図1のメインコントロールユニット6、車輪速センサ23FL〜23RR、図2の自車両状態検出手段33が自車両運動状態検出手段を構成する。図1のメインコントロールユニット6、図2の回避目標地点演算手段36、目標値点到達時間演算手段37、車両ヨー運動制御制限手段38、回避経路演算手段39が回避経路情報演算手段を構成する。図1の操舵ユニット3、メインコントロールユニット6、操舵制御部15、図2のアクチュエータ制御手段40が車両挙動制御手段を構成する。図1のメインコントロールユニット6、図2の回避余裕域演算手段35が走行可能判定手段および制御実行禁止手段を構成する。
【0051】
(本実施形態の効果)
(1)回避経路情報演算手段が、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する。そして、車両挙動制御手段が、算出した回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って自車両が走行するように自車両の挙動を制御する。
このため、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。これにより、自車両が障害物に近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。
この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【0052】
(2)回避経路情報演算手段が、目標到達地点を、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始める位置よりも自車両の進行方向前方側に設定する。
このため、障害物との接触を回避するための制御中に、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めることになる。これにより、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。
また、自車両が障害物と車幅方向で重なった後、自車両が目標到達地点に到達するまでの間に、自車両を目標到達地点に適した向きに回頭させることができる。
【0053】
(3)走行可能判定手段が、障害物の側方に自車両が走行可能な領域があるか否かを判定する。そして、制御実行禁止手段が、自車両が走行可能な領域がないと判定した場合には、自車両の挙動の制御の実行を禁止する。
このため、障害物の側方を自車両が通り抜けることができない場合には、自車両の挙動の制御の実行を禁止することができる。
【0054】
(変形例)
(1)なお、本実施形態では、回避経路情報演算手段が、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが、自車両が障害物から遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、自車両のヨーレートに代えて、自車両のヨー角が障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出することもできる。
【0055】
具体的には、まず、車両ヨー運動制御制限手段38は、回避余裕域演算手段35で検出した座標(x1、y1)と車両座標系の原点(0、0)とを結ぶ線分がx軸となす角を算出し、その算出結果をもって、ヨー運動制限値とする。そして、ヨー角制限部42は、しきい値aとして、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過したときに、x軸に対する自車両SWのヨー角がヨー運動制限値以上の角度となる値を設定する。
なお、その際、x軸に対する自車両SWのヨー角に代えて、走行路の接線方向に対する自車両SWのヨー角を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の車両を示す概略構成図である。
【図2】メインコントロールユニット6の機能構成を示すブロックフロー図である。
【図3】自車両の走行可能性を確認する演算処理のフローチャートである。
【図4】自車両の走行可能性の確認方法を説明するための説明図である。
【図5】回避目標地点座標Mpを算出する演算処理のフローチャートである。
【図6】回避目標地点座標Mpの算出方法を説明するための説明図である。
【図7】目標操舵角パターンの算出方法を説明するための説明図である。
【図8】目標操舵角パターンを説明するための説明図である。
【図9】目標操舵角パターンを補正する演算処理のフローチャートである。
【図10】目標操舵角パターンの補正方法を説明するための説明図である。
【図11】目標操舵角パターンの補正方法の変形例を説明するための説明図である。
【図12】目標操舵角の時系列データの抽出方法を説明するための説明図である。
【図13】比較例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0057】
3は操舵ユニット(車両挙動制御手段)、4は外界環境検出ユニット(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、6はメインコントロールユニット(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段、自車両運動状態検出手段、回避経路情報演算手段、車両挙動制御手段、走行可能判定手段)、15は操舵制御部(車両挙動制御手段)、16はレーザーレーダ(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、17はCCDカメラ(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、23FL〜23RRは車輪速センサ(自車両運動状態検出手段)、30は外界環境検出手段(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、33は障害物到達時間演算手段(自車両運動状態検出手段)、35は回避余裕域演算手段(走行可能判定手段、制御実行禁止手段)、36は回避目標地点演算手段(回避経路情報演算手段)、37は目標地点到達時間演算手段(回避経路情報演算手段)、38は車両ヨー運動制御制限手段(回避経路情報演算手段)、39は回避経路演算手段(回避経路情報演算手段)、40はアクチュエータ制御手段(車両挙動制御手段)、Vcは自車速(自車両の運動状態)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両と障害物との接触を回避する車両用走行支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載されている技術がある。この従来技術では、自車両の走行の障害となる障害物を検出すると、操舵制御により、自車両を障害物の側方方向に回頭させ、その後、自車両を障害物の側方方向からもとの進行方向に回頭させることで、自車両が障害物の側方を通り抜けるようにする。
【特許文献1】特開2005−173663
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このように障害物との接触を操舵制御により回避する技術では、一般に、自車両が障害物と車幅方向で重なる前に、操舵制御を完了する。
そのため、自車両を障害物の側方方向からもとの進行方向に回頭させるときに、自車両が障害物に近づく方向に向かっているような違和感を運転者が覚える可能性がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨー角と自車両のヨーレートとの少なくとも一方が、障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように車両の挙動を制御するようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両が障害物から遠ざかる向きに回頭することになる。このため、自車両が障害物に近づく方向に向かっているように運転者に感じさせることを防止できる。
この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明に係る走行支援装置を車両に適用した例を示す。
この車両は、自車両SWの走行の障害となる障害物SMを検出し、自車両SWと障害物SMとの接触を回避するように操舵制御を行うものである。
この操舵制御を、以下、「障害物回避制御」とも呼ぶ。
【0007】
(構成)
まず、本実施形態の車両の構成を説明する。
図1は、本実施形態の車両を示す概略構成図である。
車両1は、制動ユニット2、操舵ユニット3、外界環境検出ユニット4、車両状態検出ユニット5およびメインコントロールユニット6を備える。
制動ユニット2は、ブレーキペダル8、ブースタ9、マスタシリンダ10およびホイールシリンダ11FL〜11RRを備える。そして、運転者によるブレーキペダル8の踏み込み量に応じて、マスタシリンダ10で昇圧した制動流体を各ホイールシリンダ11FL〜11RRに供給する。これにより、各車輪7FL〜7RRに制動力が発生する。
【0008】
また、制動ユニット2は、マスタシリンダ10と各ホイールシリンダ11FL〜11RRとを繋ぐ油圧配管に介装した、制動流体圧制御部12を備える。
制動流体圧制御部12は、メインコントロールユニット6が出力する制動流体圧指令(後述)に従って、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの制動流体圧を制御する。これにより、各車輪7FL〜7RRの制動力を制御する。
【0009】
操舵ユニット3は、ステアリングホイール13およびステアリングコラム14を備える。そして、運転者によるステアリングホイール13の操作量に応じて、ステアリングコラム14が回転する。これにより、各車輪7FL〜7RRに転舵角が発生する。
また、操舵ユニット3は、ステアリングコラム14に配した操舵制御部15を備える。
操舵制御部15は、メインコントロールユニット6が出力する操舵指令(後述)に従って、ステアリングコラム14に操舵トルクを付与する。これにより、各車輪7FL〜7RRの転舵角を制御する。
【0010】
外界環境検出ユニット4は、レーザーレーダ16、CCDカメラ17、および外界環境検出部18を備える。レーザーレーダ16、CCDカメラ17は、検出結果の情報を外界環境検出部18に出力する。
レーザーレーダ16は、車両1前方にレーザ光を照射し、車両1前方の物体で反射した反射光を受光する。CCDカメラ17は、車両1前方の走行路の状況を撮像する。
外界環境検出部18は、自車両SW前方における、自車両SWの走行の障害となる障害物SM(例えば、他の車両、歩行者等)の有無および位置情報を検出する。障害物SMの有無および位置情報の検出は、レーザーレーダ16による反射光の受光結果およびCCDカメラ17による走行路の状況の撮像結果に基づいて行う。
【0011】
また、外界環境検出部18は、障害物SMが存在する場合には、障害物座標(St、Sy)、自車両SWと障害物SMとの間の距離、障害物SMの横方向速度Sv、走行路環境および走行路領域も併せて検出する。そして、障害物SMの有無、障害物座標(St、Sy)、自車両SWと障害物SMとの間の距離、障害物SMの横方向速度Sv、走行路環境および走行路領域それぞれの情報をメインコントロールユニット6に出力する。
ここで、障害物座標(St、Sy)とは、自車両SWを基準とした車両座標系(x、y)で表す障害物SMの位置である。車両座標系は、互いに直交するx軸およびy軸を有する座標系である。自車両SWを平面視したときの重心位置を原点(0.0)とし、自車両SWの前方向をx軸の正方向とし、自車両SWの右方向をy軸の正方向とする。
【0012】
障害物SMの横方向速度Svとは、障害物SMの移動速度のy軸方向成分である。
車両状態検出ユニット5は、スロットル開度センサ19、ブレーキ踏み込み量センサ20、制動流体圧センサ21、操舵角センサ22、車輪速センサ23FL〜23RR、ヨーレートセンサ24および加速度センサ25を備える。これらセンサは、検出結果の情報をメインコントロールユニット6に出力する。
【0013】
スロットル開度センサ19は、スロットル開度を検出する。ブレーキ踏み込み量センサ20は、ブレーキペダル8の踏み込み量を検出する。制動流体圧センサ21は、マスタシリンダ10で昇圧した制動流体圧を検出する。操舵角センサ22は、ステアリングホイール13の操舵角を検出する。車輪速センサ23FL〜23RRは、各車輪7FL〜7RRの回転速度を検出する。ヨーレートセンサ24は、車両1のヨーレートYrを検出する。加速度センサ25は、車両1の前後方向および左右方向の加速度を検出する。
【0014】
メインコントロールユニット6は、マイクロプロセッサからなる。
マイクロプロセッサは、A/D変換回路、D/A変換回路、中央処理装置およびメモリ等で構成した集積回路を備える。そして、メモリに格納したプログラムに従って障害物回避制御を実行する。障害物回避制御では、外界環境検出ユニット4および車両状態検出ユニット5が出力する各種情報に基づいて、制動ユニット2に制動指令を出力し、且つ、操舵ユニット3に操舵指令を出力する。
【0015】
(メインコントロールユニットの構成)
次に、メインコントロールユニット6の構成についてより詳細に説明する。
図2は、メインコントロールユニット6の機能構成を示すブロックフロー図である。
メインコントロールユニット6は、図2に示すように、外界環境検出手段30、障害物位置検出手段31、自車両状態検出手段32、障害物到達時間演算手段33、障害物幅演算手段34、回避余裕域演算手段35を備える。また、回避目標地点演算手段36、目標地点到達時間演算手段37、車両ヨー運動制御制限手段38、回避経路演算手段39およびアクチュエータ制御手段40を備える。
【0016】
外界環境検出手段30は、外界環境検出部18が出力する障害物SMの有無の情報および走行路領域の情報を取得する。
障害物位置検出手段31は、外界環境検出部18が出力する障害物座標(St、Sy)の情報および障害物SMの横方向速度Svの情報を取得する。
自車両状態検出手段32は、車輪速センサ23FL〜23RRが出力する各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報、およびヨーレートセンサ24が出力するヨーレートYrの情報を取得する。また、自車両状態検出手段32は、取得した各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報に基づいて自車速Vcを算出する。
【0017】
また、自車両状態検出手段32は、スロットル開度センサ19が出力するスロットル開度の情報、ブレーキ踏み込み量センサ20が出力する踏み込み量の情報、および制動流体圧センサ21が出力する制動流体圧の情報を取得する。また、自車両状態検出手段32は、取得したスロットル開度の情報、踏み込み量の情報、および制動流体圧の情報に基づいて、各車輪7FL〜7RRの制駆動力を算出する。
障害物到達時間演算手段33は、障害物到達時間TTCの算出を行う。障害物到達時間TTCとは、自車両SWが障害物SMのx軸方向位置に到達するまでの時間である。
障害物到達時間TTCの算出は、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)の情報、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報に基づいて行う。
【0018】
例えば、障害物到達時間TTC[sec.]の算出は、障害物座標(St[m]、Sy[m])の情報、自車速Vc[m/sec.]の情報に基づき、下記(1)式に従って行う。
TTC=St/Vc ・・・(1)
障害物幅演算手段34は、障害物幅Shの算出を行う。障害物幅Shとは、障害物移動領域Pの障害物移動方向側の端部のy軸方向成分である。
障害物移動領域Pとは、障害物SMが移動する可能性が高い領域である。
障害物移動領域Pは、x軸に平行な2辺とy軸に平行な2辺とで囲まれた、平面視で四角形状の領域となる。
【0019】
具体的には、障害物幅演算手段34は、まず、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)、障害物SMの横方向速度Svそれぞれの情報、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCに基づいて障害物移動可能位置を算出する。障害物移動可能位置とは、障害物到達時間TTC後に障害物SMが移動している可能性がある位置のy軸方向成分である。次に、障害物幅演算手段34は、障害物移動可能位置に障害物SMのy軸方向幅およびマージンを加えて、障害物幅Shを算出する。
【0020】
例えば、障害物幅Sh[m]の算出は、障害物座標(St[m]、Sy[m])、障害物SMの横方向速度Sv[m/sec.]障害物到達時間TTC[sec.]に基づき、下記(2)式に従って行う。
Sh = [Sy + (Sv × TTC) ] ×Sk ・・・(2)
ここで、Skは障害物SMのy軸方向幅とマージンとに応じて設定する係数である。
また、障害物幅演算手段34は、ヨーレートYr、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、下記(3)式に従って自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)を算出する。
(Vx、Vy) = TTC×Vc×Yr ・・・(3)
地点(Vx、Vy)のy軸方向成分Vyを、以下、「横移動量」と呼ぶ。
【0021】
回避余裕域演算手段35は、回避余裕域Qの算出を行う。回避余裕域Qとは、走行路領域内において、障害物SMとの接触回避の観点から走行が許される領域である。
具体的には、回避余裕域演算手段35は、まず、外界環境検出手段30で取得した走行路領域の情報、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報を取得する。次に、回避余裕域演算手段35は、取得した走行路領域、自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物幅演算手段34で算出した障害物幅Shに基づいて、回避余裕域Qを算出する。
また、回避余裕域演算手段35は、算出した回避余裕域Qが、自車両SWが障害物回避制御で適切に走行可能な領域であることを確認する演算処理を実行する。
【0022】
図3は、自車両の走行可能性を確認する演算処理のフローチャートである。
図4は、自車両の走行可能性の確認方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS11では、図4(a)(b)に示すように、障害物移動領域Pが走行路領域の左右いずれの側に存在しているかを判定する。そして、障害物移動領域Pが走行路領域の左側に存在していると判定した場合には(左側)ステップS12に移行する。一方、障害物移動領域Pが走行路領域の右側に存在していると判定した場合には(右側)ステップS13に移行する。
【0023】
次に、ステップS12では、障害物移動領域Pの右端で且つ自車両SW側の角の座標(x1、y1)を検出する。また、走行路領域の右端にある、当該座標(x1、y1)に最も近い点の座標(x2、y2)を検出する。そして、座標(x1、y1)(x2、y2)の検出を終えると、ステップS14に移行する。
一方、ステップS13では、障害物移動領域Pの左端で且つ自車両SW側の角の座標(x1、y1)を検出する。また、走行路領域の左端にある、当該座標(x1、y1)に最も近い点の座標(x2、y2)を検出する。そして、座標(x1、y1)(x2、y2)の検出を終えると、ステップS14に移行する。
【0024】
次に、ステップS14では、ヨーレートYr、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、前記(3)式に従って自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)を算出する。
次に、ステップS15では、自車両SWが障害物到達時間TTC後に到達する地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にあるか否かを判定する。そして、地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にあると判定した場合には(Yes)ステップS16に移行する。一方、地点(Vx、Vy)が(x1、y1)と(x2、y2)との間にないと判定した場合には(No)ステップS17に移行する。
【0025】
次に、ステップS16では、算出した回避余裕域Qが、障害物回避制御で適切に走行可能な領域であると判定する。
これにより、障害物SMの側方に、障害物回避制御により自車両SWが走行可能な領域があると判定する。
一方、ステップS17では、算出した回避余裕域Qが、障害物回避制御で適切に走行可能な領域でないと判定する。
なお、回避余裕域演算手段35は、回避余裕域Qが障害物回避制御で適切に走行可能な領域でないと判定した場合、障害物回避制御の実行を禁止する。
回避目標地点演算手段36は、回避目標地点座標Mpの算出を行う。回避目標地点座標Mpとは、障害物回避制御を終了する最終地点のx軸方向成分である。回避目標地点座標Mpは、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側に設定する。
【0026】
図5は、回避目標地点座標Mpを算出する演算処理のフローチャートである。
図6は、回避目標地点座標Mpの算出方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS21では、外界環境検出手段30で取得した走行路領域の情報、障害物位置検出手段31で取得した障害物座標(St、Sy)の情報を取得する。また、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCの情報を取得する。次に、図6に示すように、取得した障害物座標(St、Sy)等の情報、障害物幅演算手段34で検出した障害物幅Shおよび回避余裕域演算手段35で算出した回避余裕域Qに基づいて、仮の回避目標地点座標Xaを算出する。
【0027】
次に、ステップS22では、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vcと障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCとの乗算結果(TTC×Vc)が仮の回避目標地点座標Xaより小さいか否かを判定する。そして、TTC×VcがXaより小さいと判定した場合には(Yes)ステップS23に移行する。一方、TTC×VcがXa以上であると判定した場合には(No)ステップS24に移行する。
【0028】
次に、ステップS23では、自車速Vcと障害物到達時間TTCとの乗算結果(TTC×Vc)をもって、回避目標地点座標Mpとする。
一方、前記ステップS24では、仮の回避目標地点座標Xaをもって、回避目標地点座標Mpとする。
目標地点到達時間演算手段37は、目標地点到達時間TTCmの算出を行う。目標地点到達時間TTCmとは、自車両SWが回避目標地点座標Mpに到達するまでにかかる時間である。
【0029】
目標地点到達時間TTCmを演算は、目標地点到達時間演算手段37は、自車両状態検出手段32で検出した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、回避目標地点演算手段36で演算した回避目標地点座標Mpに基づいて行う。
例えば、目標地点到達時間TTCm[sec.]の算出は、自車速Vc[m/sec.]、回避目標地点座標Mp[m]に基づき、下記(4)式に従って行う。
TTCm = Mp / Vc ・・・(4)
【0030】
車両ヨー運動制御制限手段38は、ヨー運動制限値の算出を行う。ヨー運動制限値とは、障害物回避制御に用いられる、回避余裕域演算手段35で検出した座標(x1、y1)を車両1が通過する際のヨーレートYrの上限値である。
ヨー運動制限値の算出は、回避余裕域演算手段35で算出した回避余裕域Qに基づいて行う。
回避経路演算手段39は、目標操舵角パターンの算出を行う。目標操舵角パターンとは、障害物回避制御に用いられる、障害物回避のための目標操舵角の時系列データである。
ここで、操舵角は、ステアリングホイール13に正対して、ステアリングホイール13の右回り方向を正方向とし、ステアリングホイール13の左回り方向を負方向とする。
【0031】
具体的には、回避経路演算手段39は、まず、自車両状態検出手段32で取得した自車速Vc、制駆動力、ヨーレートYrそれぞれの情報、障害物幅演算手段34で算出した障害物幅Shを取得する。次に、取得した情報、車両ヨー運動制御制限手段38で算出したヨー運動制限値、回避目標地点演算手段36で算出した回避目標地点座標Mpに基づいて、目標操舵角パターンを算出する。
【0032】
図7は、目標操舵角パターンの算出方法を説明するための説明図である。
例えば、目標操舵角パターンの算出は、図7に示すように、車両モデル部41、ヨー角制限部42および経路算出部43を用いて行う。
車両モデル部41は、障害物到達時間演算手段33で算出した障害物到達時間TTCおよび障害物幅演算手段34で算出した横移動量Vyに基づき、メモリに格納した目標操舵角パターンを取得する。
【0033】
図8は、目標操舵角パターンを説明するための説明図である。
目標操舵角パターンは、障害物到達時間TTC後に自車両SWをy軸方向へ横移動量Vy分移動させ、且つ、(TTC×2+α)時間後に障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側の目標到達地点に自車両SWを到達させる時系列データである。そして、自車両SWが障害物SMとの接触を回避して走行可能な回避経路を示す情報でもある。
【0034】
これにより、自車両SWと障害物SMとが車幅方向で重なり始めるときに、自車両SWのヨーレートが、障害物SMから自車両SWが遠ざかる向きに発生する。
目標操舵角パターンのメモリへの格納は、図8に示すように、目標操舵角の時間に対する変化を正弦波で表す正弦関数、または当該正弦波を近似する多項式の形式で行う。
また、前記αは、センササンプリング周期の遅れに応じて設定する定数である。例えば、センササンプリング周期の最大遅れが300[msec.]である場合には、前記αは、500[msec.]に設定する。
ヨー角制限部42は、車両モデル部41で取得した目標操舵角パターンを補正する演算処理を実行する。
【0035】
図9は、目標操舵角パターンを補正する演算処理のフローチャートである。
図10は、目標操舵角パターンの補正方法を説明するための説明図である。
まず、ステップS31では、目標操舵角パターン、つまり、目標操舵角の時系列データの先頭のデータが正負いずれの値であるかを判定する。そして、当該先頭のデータが正値であると判定した場合(正値)ステップS32に移行する。一方、当該先頭のデータが負値であると判定した場合(負値)ステップS33に移行する。
【0036】
次に、ステップS32では、まず、当該時系列データから、先頭のデータから障害物到達時間TTC分のデータまでのデータ列を検出する。次に、図10の範囲Aに示すように、検出したデータ列のうち、操舵角が減少傾向にあり且つ所定のしきい値a(>0)より小さい操舵角を当該しきい値aで置換する。
この置換により、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過するまでは、ステアリングホイール13の操舵角がニュートラル位置を超えて、自車両SWが障害物SMに近づく方向に転舵されることを防止できる。この結果、自車両SWが障害物SMに近づく方向にヨーレートが発生することを防止できる。
しきい値aは、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過したときに、自車両SWのヨーレートYrがヨー運動制限値以下のヨーレートとなるように設定する。
【0037】
図11は、目標操舵角パターンの補正方法の変形例を説明するための説明図である。
なお、本実施形態では、障害物到達時間TTCまでの時系列データのうち、しきい値a以下のものを当該しきい値aで置換する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図11に示すように、時系列データの各値が少なくとも障害物到達時間TTCまでは正値となるように、目標操舵角パターン全体を補正するようにしてもよい。
【0038】
次に、ステップS33では、まず、当該時系列データから、先頭のデータから障害物到達時間TTC分のデータまでのデータ列を検出する。次に、検出したデータ列のうち、増大傾向にあり且つしきい値−aより大きい操舵角を当該しきい値−aで置換する。
図12は、操舵角の時系列データの抽出方法を説明するための説明図である。
経路算出部43は、図12に示すように、ヨー角制限部42で補正した目標操舵角パターン、つまり、舵角の時系列データから、先頭のデータから目標地点到達時間TTCm分のデータまでのデータ列を抽出する。
【0039】
なお、目標操舵角パターンの時系列データが表す時間(TTC×2+α)が目標地点到達時間TTCmよりも短い場合には、目標操舵角パターンから抽出したデータ列として、当該目標操舵角パターンによる舵角の時系列データの全部を用いる。
アクチュエータ制御手段40は、操舵指令を操舵制御部15に出力する。操舵指令とは、ステアリングホイール13の操舵角を、経路算出部43で目標操舵角パターンから抽出した操舵角の時系列データに追従させる指令である。そして、当該時系列データが示す回避経路に沿って自車両SWが走行するように自車両SWの挙動を制御する指令でもある。
【0040】
なお、本実施形態では、ステアリングホイール13の操舵角を制御することで障害物回避制御を実現する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、操舵角の制御に代えて、制駆動力制御を行うことで障害物回避制御を実現することができる。具体的には、アクチュエータ制御手段40は、左右輪の制動力差によってヨーレートを発生し、障害物回避制御が実現するように、制動流体圧制御部12に制動流体圧指令を出力する。
また、アクチュエータ制御手段40は、実際の操舵角パターンや自車速Vcの情報、障害物座標(St、Sy)に基づいて、障害物回避制御の終了を判定する。
【0041】
なお、本実施形態では、目標操舵角パターンから目標地点到達時間TTCm分の時系列データを抽出し、抽出した時系列データにステアリングホイール13の操舵角を全て追従させる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、目標操舵角パターンから制御実行時のデータを1つ抽出し、抽出した1つのデータにステアリングホイール13の操舵角を追従させることもできる。そして、1つのデータの抽出および当該1つのデータへのステアリングホイール13の操舵角の追従を終えるたびに、新しい目標操舵角パターンを演算し、それら抽出および操舵角の追従を繰り返し実行させることもできる。
【0042】
(動作)
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、車両1の走行中に、運転者が、メインコントロールユニット6に衝突回避制御の開始操作を行ったとする。すると、メインコントロールユニット6が、外界環境検出部18から、障害物SMの有無の情報および走行路領域の情報を取得する。取得した情報が、障害物SMがないことを表す場合には、これらの情報の取得動作を繰り返す。
ここで、自車両SW前方の走行路に歩行者が飛び出し、メインコントロールユニット6が、当該歩行者を自車両SWの走行の障害となる障害物SMとして検出したとする。すると、メインコントロールユニット6が、外界環境検出部18から障害物座標(St、Sy)の情報および障害物SMの横方向速度Svの情報を取得する。
【0043】
これらの情報を取得すると、続いてメインコントロールユニット6が、車輪速センサ23FL〜23RRから各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報、制駆動力の情報およびヨーレートYrの情報を取得する。また、メインコントロールユニット6が、取得した各車輪7FL〜7RRの回転速度の情報に基づいて自車速Vcを算出する。
自車速Vcの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、スロットル開度センサ19からスロットル開度の情報、ブレーキ踏み込み量センサ20から踏み込み量の情報、制動流体圧センサ21から制動流体圧の情報を取得する。また、メインコントロールユニット6が、取得したスロットル開度の情報、踏み込み量の情報および制動流体圧の情報に基づいて各車輪7FL〜7RRの制駆動力を算出する。
【0044】
制駆動力の算出を終えると、メインコントロールユニット6が、障害物座標(St、Sy)の情報および自車速Vcの情報に基づき、自車両SWが障害物SMのx軸方向位置に到達するまでにかかる障害物到達時間TTCを算出する。
障害物到達時間TTCの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、障害物座標(St、Sy)、障害物SMの横方向速度Svおよび障害物到達時間TTCに基づき、障害物移動領域Pのy軸方向端部の座標である、障害物幅Shを算出する。
【0045】
障害物幅Shの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vc、ヨーレートYrおよび障害物到達時間TTCに基づき、走行路領域内の領域であって、障害物SMとの接触回避の観点から走行が許される回避余裕域Qを算出する。
回避余裕域Qの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vcおよび障害物到達時間TTCに基づき、障害物回避制御を終了する地点のx軸方向成分である、回避目標地点座標Mpを算出する。
ここで、回避目標地点座標Mpは、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向前方側に設定する。
【0046】
回避目標地点座標Mpの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vcおよび回避目標地点座標Mpに基づき、自車両SWが回避目標地点座標Mpの位置に到達するまでにかかる目標地点到達時間TTCmを算出する。
目標地点到達時間TTCmの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、回避余裕域Qに基づき、自車両SWが障害物SMの側方の通過を開始する時点の、自車両SWのヨー角の下限を制限するヨー運動制限値Yraを設定する。
ヨー運動制限値Yraの設定を終えると、メインコントロールユニット6が、自車速Vc、ヨーレートYr、障害物幅Sh、ヨー運動制限値Yra、回避目標地点座標Mpに基づいて、自車両SWと障害物SMとの接触を回避する目標操舵角パターンを算出する。
【0047】
この目標操舵角パターンでは、障害物回避制御を開始すると、まず、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向にステアリングホイール13を転舵する。また、当該方向への転舵は、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎるまで続く。すなわち、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎるまでは、ステアリングホイール13の操舵角がニュートラル位置を超えて、自車両SWが障害物SMに近づく方向への転舵を禁止する。
【0048】
目標操舵角パターンの算出を終えると、メインコントロールユニット6が、自車両SWの操舵角を目標操舵角パターンに追従させる操舵指令を操舵制御部15に出力する。
操舵指令の出力を終えると、操舵制御部15が、当該操舵指令に従って障害物回避制御を開始し、ステアリングコラム14に操舵トルクを付与する。
そして、障害物回避制御が始まると、まず、ステアリングホイール13が、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向に操舵する。また、ステアリングホイール13を操舵することで、自車両SWの操向輪7FL、7FRが、自車両SWが障害物SMから遠ざかる方向に転舵する。さらに、操向輪7FL、7FRを転舵することで、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きに自車両SWにヨーレートが発生し、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きに自車両SWが回頭し、図6に示すように、当該向きに走行する。
【0049】
また、当該転舵を継続して、自車両SWが障害物SMの側方を通過するときにも、自車両SWが障害物SMから遠ざかる向きにヨーレートが発生した状態となる。
この結果、自車両SWが障害物SMの側方を通過するときに、自車両SWが障害物SMに近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。
また、自車両SWが障害物SMの側方を通り過ぎた後に、操向輪7FL、7FRの切り戻しを開始し、自車両SWの前後方向が走行路の接線方向と平行になる。
【0050】
図13は、比較例を説明するための説明図である。
ちなみに、回避目標地点座標Mpを、障害物移動領域Pよりも自車両SWの進行方向手前側に設定した場合、操向輪7FL、7FRの切り戻しを行ったときに、自車両SWが障害物SMに近づく方向に向かっているような違和感を運転者が覚える。
ここで、本実施形態では、図1の外界環境検出ユニット4、メインコントロールユニット6、レーザーレーダ16、CCDカメラ17、図2の外界環境検出手段30が走行路領域検出手段および障害物位置検出手段を構成する。以下同様に、図1のメインコントロールユニット6、車輪速センサ23FL〜23RR、図2の自車両状態検出手段33が自車両運動状態検出手段を構成する。図1のメインコントロールユニット6、図2の回避目標地点演算手段36、目標値点到達時間演算手段37、車両ヨー運動制御制限手段38、回避経路演算手段39が回避経路情報演算手段を構成する。図1の操舵ユニット3、メインコントロールユニット6、操舵制御部15、図2のアクチュエータ制御手段40が車両挙動制御手段を構成する。図1のメインコントロールユニット6、図2の回避余裕域演算手段35が走行可能判定手段および制御実行禁止手段を構成する。
【0051】
(本実施形態の効果)
(1)回避経路情報演算手段が、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する。そして、車両挙動制御手段が、算出した回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って自車両が走行するように自車両の挙動を制御する。
このため、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。これにより、自車両が障害物に近づく方向に向かうような感覚を運転者に与えることを防止できる。
この結果、障害物回避制御を行う場合に、運転者の違和感を抑制できる。
【0052】
(2)回避経路情報演算手段が、目標到達地点を、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始める位置よりも自車両の進行方向前方側に設定する。
このため、障害物との接触を回避するための制御中に、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めることになる。これにより、自車両が障害物と車幅方向で重なり始めたときに、自車両を障害物から遠ざかる向きに回頭させることができる。
また、自車両が障害物と車幅方向で重なった後、自車両が目標到達地点に到達するまでの間に、自車両を目標到達地点に適した向きに回頭させることができる。
【0053】
(3)走行可能判定手段が、障害物の側方に自車両が走行可能な領域があるか否かを判定する。そして、制御実行禁止手段が、自車両が走行可能な領域がないと判定した場合には、自車両の挙動の制御の実行を禁止する。
このため、障害物の側方を自車両が通り抜けることができない場合には、自車両の挙動の制御の実行を禁止することができる。
【0054】
(変形例)
(1)なお、本実施形態では、回避経路情報演算手段が、自車両と障害物とが車幅方向で重なり始めるときに、自車両のヨーレートが、自車両が障害物から遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、自車両のヨーレートに代えて、自車両のヨー角が障害物から自車両が遠ざかる向きとなるように回避経路の情報を算出することもできる。
【0055】
具体的には、まず、車両ヨー運動制御制限手段38は、回避余裕域演算手段35で検出した座標(x1、y1)と車両座標系の原点(0、0)とを結ぶ線分がx軸となす角を算出し、その算出結果をもって、ヨー運動制限値とする。そして、ヨー角制限部42は、しきい値aとして、障害物回避制御の開始から障害物到達時間TTCが経過したときに、x軸に対する自車両SWのヨー角がヨー運動制限値以上の角度となる値を設定する。
なお、その際、x軸に対する自車両SWのヨー角に代えて、走行路の接線方向に対する自車両SWのヨー角を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の車両を示す概略構成図である。
【図2】メインコントロールユニット6の機能構成を示すブロックフロー図である。
【図3】自車両の走行可能性を確認する演算処理のフローチャートである。
【図4】自車両の走行可能性の確認方法を説明するための説明図である。
【図5】回避目標地点座標Mpを算出する演算処理のフローチャートである。
【図6】回避目標地点座標Mpの算出方法を説明するための説明図である。
【図7】目標操舵角パターンの算出方法を説明するための説明図である。
【図8】目標操舵角パターンを説明するための説明図である。
【図9】目標操舵角パターンを補正する演算処理のフローチャートである。
【図10】目標操舵角パターンの補正方法を説明するための説明図である。
【図11】目標操舵角パターンの補正方法の変形例を説明するための説明図である。
【図12】目標操舵角の時系列データの抽出方法を説明するための説明図である。
【図13】比較例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0057】
3は操舵ユニット(車両挙動制御手段)、4は外界環境検出ユニット(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、6はメインコントロールユニット(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段、自車両運動状態検出手段、回避経路情報演算手段、車両挙動制御手段、走行可能判定手段)、15は操舵制御部(車両挙動制御手段)、16はレーザーレーダ(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、17はCCDカメラ(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、23FL〜23RRは車輪速センサ(自車両運動状態検出手段)、30は外界環境検出手段(走行路領域検出手段、障害物位置検出手段)、33は障害物到達時間演算手段(自車両運動状態検出手段)、35は回避余裕域演算手段(走行可能判定手段、制御実行禁止手段)、36は回避目標地点演算手段(回避経路情報演算手段)、37は目標地点到達時間演算手段(回避経路情報演算手段)、38は車両ヨー運動制御制限手段(回避経路情報演算手段)、39は回避経路演算手段(回避経路情報演算手段)、40はアクチュエータ制御手段(車両挙動制御手段)、Vcは自車速(自車両の運動状態)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の走行路領域を検出する走行路領域検出手段と、
前記自車両前方の障害物の位置を検出する障害物位置検出手段と、
前記自車両の運動状態を検出する自車両運動状態検出手段と、
前記走行路領域、前記障害物の位置および前記自車両の運動状態に基づき、前記自車両が前記障害物との接触を回避して走行可能な回避経路の情報を演算する回避経路情報演算手段と、
前記回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って前記自車両が走行するように前記自車両の挙動を制御する車両挙動制御手段と、を備え、
前記回避経路情報演算手段は、前記自車両が前記障害物と車幅方向で重なり始めるときに、前記自車両のヨー角および前記自車両のヨーレートの少なくとも一方が、前記障害物から前記自車両が遠ざかる向きとなる前記回避経路の情報を演算すること
を特徴とする車両用走行支援装置。
【請求項2】
前記回避経路情報演算手段は、前記障害物との接触を回避するための走行を終了する地点である目標到達地点までの経路を表す前記回避経路の情報を演算し、
且つ、前記目標到達地点を、前記自車両と前記障害物とが車幅方向で重なり始める位置よりも前記自車両の進行方向前方側に設定すること
を特徴とする請求項1記載の車両用走行支援装置。
【請求項3】
前記走行路領域、前記障害物の位置および前記自車両の運動状態に基づき、前記障害物の側方に前記自車両が走行可能な領域があるか否かを判定する走行可能判定手段と、
前記自車両が走行可能な領域がないと判定した場合には、前記自車両の挙動の制御の実行を禁止する制御実行禁止手段と、を備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の車両用走行支援装置。
【請求項4】
自車両が障害物との接触を回避するように前記自車両の挙動を制御する場合、前記自車両が前記障害物と車幅方向で重なり始めるときに、前記自車両のヨー角と前記自車両のヨーレートとの少なくとも一方が、前記障害物から前記自車両が遠ざかる向きとなるように前記自車両の挙動を制御することを特徴とする車両用走行支援方法。
【請求項1】
自車両前方の走行路領域を検出する走行路領域検出手段と、
前記自車両前方の障害物の位置を検出する障害物位置検出手段と、
前記自車両の運動状態を検出する自車両運動状態検出手段と、
前記走行路領域、前記障害物の位置および前記自車両の運動状態に基づき、前記自車両が前記障害物との接触を回避して走行可能な回避経路の情報を演算する回避経路情報演算手段と、
前記回避経路の情報に基づき、当該回避経路に沿って前記自車両が走行するように前記自車両の挙動を制御する車両挙動制御手段と、を備え、
前記回避経路情報演算手段は、前記自車両が前記障害物と車幅方向で重なり始めるときに、前記自車両のヨー角および前記自車両のヨーレートの少なくとも一方が、前記障害物から前記自車両が遠ざかる向きとなる前記回避経路の情報を演算すること
を特徴とする車両用走行支援装置。
【請求項2】
前記回避経路情報演算手段は、前記障害物との接触を回避するための走行を終了する地点である目標到達地点までの経路を表す前記回避経路の情報を演算し、
且つ、前記目標到達地点を、前記自車両と前記障害物とが車幅方向で重なり始める位置よりも前記自車両の進行方向前方側に設定すること
を特徴とする請求項1記載の車両用走行支援装置。
【請求項3】
前記走行路領域、前記障害物の位置および前記自車両の運動状態に基づき、前記障害物の側方に前記自車両が走行可能な領域があるか否かを判定する走行可能判定手段と、
前記自車両が走行可能な領域がないと判定した場合には、前記自車両の挙動の制御の実行を禁止する制御実行禁止手段と、を備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の車両用走行支援装置。
【請求項4】
自車両が障害物との接触を回避するように前記自車両の挙動を制御する場合、前記自車両が前記障害物と車幅方向で重なり始めるときに、前記自車両のヨー角と前記自車両のヨーレートとの少なくとも一方が、前記障害物から前記自車両が遠ざかる向きとなるように前記自車両の挙動を制御することを特徴とする車両用走行支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−36856(P2010−36856A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205605(P2008−205605)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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