車両用駆動装置
【課題】ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設すること。
【解決手段】
左右の駆動輪W2毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニット110を備え、駆動ユニット110が、出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置されたモータ111と、モータ111の出力軸111a’、111b’に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部112と、変速ギヤ部112の出力を駆動輪W2に伝達するドライブシャフト113と、を備える。
【解決手段】
左右の駆動輪W2毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニット110を備え、駆動ユニット110が、出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置されたモータ111と、モータ111の出力軸111a’、111b’に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部112と、変速ギヤ部112の出力を駆動輪W2に伝達するドライブシャフト113と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両をモータによって駆動させる技術として、例えば、特許文献1では、2つのモータを出力軸が車幅方向外側に向くように配設し、モータの出力をドライブシャフトに伝達する技術が開示されている。また、特許文献2では、2つのモータを出力軸が車幅方向外側に向くようにサブフレームに配設すると共に、車両の旋回状態に応じて、サスペンションの特性を調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平05−116540号公報
【特許文献2】特開2007−22276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2で開示されている技術では、2つのモータの出力軸が車幅方向外側を向いているため、ドライブシャフトの長さが制約されてしまう。このため、駆動輪の上下動に伴うドライブシャフトの揺動角度が大きくなり、ジョイントの許容揺動角や駆動輪のジオメトリの制約から駆動輪の上下ストロークを大きくすることができない。よって、駆動輪の上下ストロークを大きくする必要のある車両に適用することが困難であった。
【0004】
従って、本発明の目的は、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、左右の駆動輪毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニットを備え、前記駆動ユニットが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されたモータと、前記モータの出力軸に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部と、前記変速ギヤ部の出力を前記駆動輪に伝達するドライブシャフトと、を備えたことを特徴とする車両用駆動装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、前記モータが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されるため、前記ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保することができる。よって、駆動輪の上下ストローク量を十分に確保することが容易となる。
【0007】
また、本発明においては、前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達手段を更に備えていてもよい。本発明によれば、前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御することにより、前記車両の走行安全性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明においては、前記変速ギヤ部は、外歯歯車であるサンギヤと、内歯歯車であり、前記サンギヤを外側から囲むように配されるリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとの間に配され、該サンギヤ及び該リングギヤと歯合する複数の遊星ギヤと、を有しており、前記動力伝達手段は、前記サンギヤ、前記リングギヤ、又は前記遊星ギヤのいずれかのギヤの動力を伝達してもよい。本発明によれば、前記変速ギヤ部が前記サンギヤ、前記リングギヤ、及び前記遊星ギヤとを有するため、前記変速ギヤ部をコンパクトに配設することができる。これにより、前記ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を更に確保することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記駆動輪は後輪であり、前記モータは、前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されてもよい。本発明によれば、前記モータが前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されるため、前記車両の重心を中心に近接させることができる。これにより、前記車両の操安性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明においては、前記駆動輪は後輪であり、前記車両は、前記モータを駆動するための電力を発電するために設けられ、前記駆動ユニットよりも前記車両の前後方向前方に配置されたエンジンと、前記エンジンから前記車両の前後方向後方に延びる排気管と、を備え、該一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けてもよい。本発明によれば、前記一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けたため、前記駆動ユニットの上下方向における配置の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上述べた通り、本発明によれば、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動装置100の機能構成図であり、図2は、駆動装置100の上面図である。また、図3は、駆動装置100の側面図であり、図4は、駆動装置100の正面図である。
【0013】
車両Aは、車両Aの前後方向後方に配された駆動装置100と、駆動装置100より車両Aの前後方向前方に配された発電装置200と、を備える。車両Aは、発電装置200でモータ111を駆動するための電力を発電することにより駆動装置100を駆動し、又はその電力でバッテリを充電する。すなわち、駆動装置100は、発電装置200で発電された電力、又はバッテリの電力の少なくとも一方の電力を用いて、駆動装置100により後輪W2を駆動する、いわゆるシリーズ式のハイブリッド自動車である。
【0014】
また、駆動装置100は、後輪W2を駆動するものであるため、前輪W1は、非駆動輪であり、後輪W2は、駆動輪である。なお、駆動輪W2には、車両Aの上下方向の動きに従動させるために用いられるアーム1が接続され、駆動輪W2の近傍には、車両Aが地面から受ける振動を減衰させるサスペンション2が設けられている。
【0015】
駆動装置100は、左右の駆動輪W2毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニット110(左側を110a、右側を110bとする。)と、一対の駆動ユニット110間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達部120と、変速ギヤ部112のギヤの回転を係止する係止部130と、を備える。なお、係止部130については、駆動装置100の詳細構成で後述する。
【0016】
駆動ユニット110は、後述する出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置されたモータ111(左側を111a、右側を111bとする。)と、出力軸111a’、111b’に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部112(左側を112a、右側を112bとする。)と、変速ギヤ部112の出力を駆動輪W2に伝達するドライブシャフト113(左側を113a、右側を113bとする。)と、を備える。
【0017】
モータ111は、図3で示すように、車室DとトランクルームEとの間において、ドライブシャフト113の前方かつ上方に配置される。これにより、車両Aの重量重心が中心位置に近接することになるため、車両AのトランクルームEを広く確保することができると共に、車両Aの操安性を向上させることができる。なお、変速ギヤ部112a、112bには、それぞれ駆動輪W2の回転速度を検出する車輪速センサ(例えば、角度センサ)11、12が取り付けられている。
【0018】
動力伝達部120は、図5で示すように、車幅方向に延設され、一対の駆動ユニット110a、110b間で動力を伝達する伝達シャフト121a、121bと、伝達シャフト121a、121b間に連結され、伝達シャフト121a、121bの回転数差を制御する制御部123と、を備える。
【0019】
発電装置200は、発電部210と、発電部210を冷却する冷却部220と、発電部210にガソリン燃焼時に必要である空気を供給する吸気部230と、発電部210からガソリン燃焼後の空気を排気する排気部240と、を備える。
【0020】
発電部210は、シリンダを有するエンジン211と、エンジン211に供給するためのガソリン等の燃料を貯蔵する燃料タンク212と、熱シール方式やフライホイール方式等によるジョイント213aを介して、エンジン211に固定される発電機213と、発電機213に並設されるインバータ214と、発電機213により発電された電力を蓄電するバッテリ215と、を備える。
【0021】
エンジン211は、駆動ユニット110よりも車両Aの前後方向前方に配置され、モータを駆動するための電力を発電し、その電力をバッテリ215に供給したり、その電力によりモータ111を駆動させるために設けられる。バッテリ215は、エンジン211で発電された電力及びモータ111で回生された電力を蓄電するために設けられる。
【0022】
冷却部220は、エンジン211を冷却させる冷却水の放熱を行うラジエータ221を有する。吸気部230は、エンジン211のシリンダヘッドに取り付けられ、シリンダ内に空気を供給する吸気マニホールド231を備える。排気部240は、エンジン211のシリンダヘッドに取り付けられ、シリンダ内から燃焼ガスや残った空気を排気する排気マニホールド241と、エンジン211に取り付けられた排気マニホールド241から車両Aの前後方向後方に延びる排気管242と、排気管242の途中で一酸化炭素等の大気汚染物質を除去する触媒コンバータ243と、排気管242から排出される直前で排気音を低減するマフラ244と、を備える。
【0023】
ここで、一対の駆動ユニット110a、110b間には、排気管242の通過スペースSが設けられており、排気管242は、この通過スペースSを通過するように配置される。
【0024】
上述の構成によれば、モータ111が、出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置され、変速ギヤ部112が、モータ111の出力軸111a’、111b’に連結されるため、出力軸111a’、111b’が車幅方向外側を向いて配置される場合に比べて、変速ギヤ部112と駆動輪W2との間の距離を長く確保することができる。これにより、ドライブシャフトの長さの設定範囲を広くすることができる。従って、ドライブシャフト113の車幅方向における設計余裕度を確保することができる。
【0025】
例えば、SUV(Sport−Utility Vehicle)のように、山道や河原等のオフロードを走行する車両は、駆動輪W2が大きく上下動又は振動するため、たとえ、その上下動又は振動をサスペンション2で減衰しても、ドライブシャフト113が短い場合には、駆動輪W2の上下動に対するドライブシャフト113の揺動角の変化が大きく、ジョイントの許容揺動角や駆動輪W2のジオメトリの制約から、駆動輪W2の車体に対する上下ストロークが小さいため、車体にその上下動又は振動の大部分が伝達されてしまう。このため、本発明では、ドライブシャフト113を長く設定可能とすべく、モータ111の出力軸111a’、111b’を車幅方向内側に向けて配置することにより、特に、SUV等の車両の操安性を向上したことに特徴がある。
【0026】
[駆動装置100の詳細構成]
図5において、(a)は駆動装置100の正面図であり、(b)は図5(a)のB部断面図である。なお、図5(a)では、サブフレーム116を破線で示し、その内部構造を示す。
【0027】
変速ギヤ部112は、外歯歯車であるサンギヤ112cと、内歯歯車であり、サンギヤ112cを外側から囲むように配されるリングギヤ112dと、サンギヤ112cとリングギヤ112dとの間に配され、サンギヤ112c及びリングギヤ112dと歯合する複数(例えば、3つ)の遊星ギヤ112eと、を有する。以下、これらのギヤをまとめて、プラネタリーギヤとも呼ぶ。
【0028】
左右の変速ギヤ部112a、112bのサンギヤ112cは、それぞれ対応するモータ111a、111bの出力軸111a’、111b’に連結されている。また、複数の遊星ギヤ112eは、モータ111の位置に対して、相対的に位置が固定されたキャリア112fに回転可能に保持されている。
【0029】
リングギヤ112dは、本実施形態では、遊星ギヤ112eとの間で回転力を伝達する内歯歯車112d’と、内歯歯車112d’に固定され、ギヤ113cを介して、ギヤ113dとの間で回転力を伝達する外歯歯車112d”と、を有する。内歯歯車112d’は、それぞれ対応する伝達シャフト121a、121bと連結されている。ギヤ113dは、回転軸113d’を有しており、その回転軸113d’には、等速ジョイント113eが連結されている。
【0030】
これらの構成の動作手順について簡潔に説明する。モータ111aの出力軸111a’が回転すると、サンギヤ112cが回転し、その回転力が遊星ギヤ112eを介してリングギヤ112dに伝達される。次に、リングギヤ112dが回転すると、外歯歯車112d”から減速された回転力がギヤ113cを介して、ギヤ113dに伝達される。。次に、ギヤ113dが回転すると、回転軸113d’及び等速ジョイント113eを介して、ドライブシャフト113が回転することとなる。変速ギヤ部112がサンギヤ112c、リングギヤ112d、及び遊星ギヤ112eを有するため、変速ギヤ部112をコンパクトに配設することができる。また、変速ギヤ部112の最も内側に配されるリングギヤ112dの外歯歯車112d”から回転力を取り出すため、ドライブシャフト113の車幅方向における設計余裕度を更に確保することができる。
【0031】
一方、リングギヤ112dの回転力は、伝達シャフト121aにも伝達される。なお、モータ111bの出力軸111b’が回転した場合にも同様に、伝達シャフト121bが回転することとなる。従って、動力伝達部120は、本実施形態では、駆動ユニット110a、110b間で、リングギヤ112dの動力を伝達することになる。
【0032】
ここで、制御部123は、図6で詳細な構成を示すように、伝達シャフト121a、121bを連結可能に保持するカップリング部123aを備える。これにより、動力伝達部120は、一対の駆動ユニット110a、110b間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な構成となる。制御部123は、例えば、伝達シャフト121の回転数差が閾値以上の場合には、カップリング部123aにより伝達シャフト121a、121bを連結する。
【0033】
図6において、(a)は通電前のカップリング部123aの断面図であり、(b)は通電時のカップリング部123aの断面図である。カップリング部123aは、伝達シャフト121a、121b間に連結され、伝達シャフト121a、121bの回転数差を調整する。
【0034】
カップリング部123aは、電磁コイルであるソレノイド123bと、パイロットカム123c’を有するパイロットクラッチ部123cと、メインカム123d’を有するメインクラッチ部123dと、パイロットカム123c’とメインカム123d’との間に配されたボール123eと、を備える。
【0035】
図6(a)で示すように、ソレノイド123bに電流が通電されていない場合には、パイロットクラッチ部123cにトルクが発生しない。この際、パイロットカム123c’とメインカム123d’は、ボール123eを介して、同方向に回転しており、メインカム123d’をメインクラッチ部123d側に押す力は発生しない。従って、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間では、駆動力が伝達されない。
【0036】
図6(b)で示すように、ソレノイド123bに電流が通電されると、ソレノイド123bに磁束が発生する。磁束が発生すると、アーマチュア123fが磁束によりソレノイド123b側に吸引され、パイロットクラッチ部123cが結合する。これにより、パイロットクラッチ部123cに摩擦トルクが発生し、パイロットクラッチ部123cに結合しているパイロットカム123c’にトルクが伝達される。
【0037】
パイロットカム123c’とメインカム123d’との間に回転数差が生じると、相対ねじり力によりカム機構が作動し、トルクがパイロットカム123c’からボール123eへ、ボール123eからメインカム123d’へと伝達され、メインクラッチ部123dの押し付け力が増幅される。このようにして、メインクラッチ部123dが結合され、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間で、駆動力が伝達される。
【0038】
なお、メインカム123d’がメインクラッチ部123d側に押される力、すなわち、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間で伝達される駆動力の強さは、パイロットクラッチ部123cを結合させるパイロットカム123c’に作用する力に比例して変化する。従って、ECU10からソレノイド123bへの単位時間当たりの通電時間を調整することで、伝達シャフト121a、121b間で伝達される駆動力の強さ、すなわち、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間の結合の強さを制御することができる。
【0039】
例えば、伝達シャフト121aの回転数が60回転/秒、伝達シャフト121bの回転数が100回転/秒であった場合に、各伝達シャフト121a、121bの回転数を80回転/秒で完全に一致させるのではなく、結合の強さを制御することによって、各伝達シャフト121a、121bに所望の回転数差(例えば、伝達シャフト121aの回転数が70回転/秒、伝達シャフト121bの回転数が90回転/秒)が生じるように調整することもできる。
【0040】
従って、制御部123は、ECU10からのソレノイド123bへの通電時間を制御することにより、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間の回転数差を制御することができる。
【0041】
図7(a)は、係止部130の構成及び動作手順を説明するための図であり、図7(b)は図7(a)に示すC部からの矢視図である。
【0042】
駆動装置100は、駆動ユニット110a、110b毎に設けられ、複数の遊星ギヤ112eのうち、いずれかの遊星ギヤ112eを係止して、遊星ギヤ112eの回転を阻止可能である係止部130(左側を130a、右側を130bとする。)を更に備える。
【0043】
すなわち、係止部130は、ドライバがシフトレバーをパーキングレンジ(Pレンジ)にシフトした際に、機械的に遊星ギヤ112eをロックするいわゆるパーキングロック機構である。
【0044】
係止部130は、図7で示すように、シフトレバーの操作に連動して、後述する係止部材133の一方端部133aを上方へ押し上げるカム部132と、カム部132の動作に連動して、係止部材133の他方端部133bを遊星ギヤ112eに係止する係止部材133と、を有する。
【0045】
カム部132は、円柱形状の小径部132bと、小径部132bよりも大きい直径の円柱形状である大径部132cと、小径部132bと大径部132cとを接続した斜面部132aと、一方端部が大径部132cに接続され、他方端部がシフトレバーに連結されたロッド132dと、を有する。
【0046】
まず、ドライバがシフトレバーをPレンジにシフトすると、ロッド132dが水平方向(矢印a方向)に押し出されると共に、カム部132も同様に矢印a方向に押し出される。ここで、ロッド132dが押し出される前には、係止部材133の一方端部133aは、小径部132bに支持されているが、ロッド132dが押し出された後には、係止部材133の一方端部133aは、大径部132cに支持されることになる。このため、係止部材133は、端部133aの位置が上昇するため、回転軸133cを中心に回転する。従って、他方端部133bの位置が下降し、係止部130は、遊星ギヤ112eに係止されることになる。
【0047】
図8は、制御部123の機能構成図である。制御部123は、車載制御ユニットであるECU10と、ECU10に接続された種々のセンサと、ECU10により制御されるカップリング部123aと、を備える。
【0048】
本実施形態では、種々のセンサとして、例えば、左側の車輪の回転速度を検出する左車輪速センサ11と、右側の車輪の回転速度を検出する右車輪速センサ12と、パーキングロックのロック状態を検出するパーキングロックセンサ13と、ハンドルの操舵角度を検出する操舵角センサ14と、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ15と、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ16と、車両Aの車幅方向への加速度を検出する横加速度センサ17と、ヨーレートセンサ18とが接続される。
【0049】
従って、上述の構成によれば、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、エンジン211は、発電用として設けられるものとしたが、一般に普及しているタイプのハイブリッド自動車、例えば、始動時には、モータを用いて駆動し、燃費効率の良い安定走行時には、エンジンを用いて駆動する車両においても、本発明を適用することができる。
【0051】
また、動力伝達部120は、本実施形態では、リングギヤ112dの動力を伝達することとしたが、プラネタリーギヤ(サンギヤ112c、リングギヤ112d、又は遊星ギヤ112e)のいずれかのギヤの動力を伝達するものであってもよい。
【0052】
また、係止部130は、本実施形態では、遊星ギヤ112eを係止することとしたが、プラネタリーギヤのいずれかのギヤを係止して、いずれかのギヤの回転を阻止するものであってもよい。
【0053】
[動作手順]
次に、制御部123の動作手順について、各実施形態で説明する。なお、装置構成は、前述と同様であるため、各実施形態では同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
(第1の実施形態)
図9は、第1の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。モータが故障した際や摩擦係数μの小さい道路を走行する際に、左右の車輪の回転速度が異なると、スピン等を生じる可能性がある。このため、本実施形態では、左車輪速センサ11、右車輪速センサ12からの信号を制御部123に随時送信しており、左車輪速センサ11と右車輪速センサ12によって検出された回転数差が閾値以上となった場合には、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0055】
まず、ステップS101において、右車輪速センサ12から回転数に関する情報を受信し、ステップS102において、左車輪速センサ11から回転数に関する情報を受信する。次に、ステップS103において、得られた回転数の情報に基づいて、右車輪速センサ12と左車輪速センサ11との間の回転数差を算出する。
【0056】
次に、ステップS104において、ステップS103で算出した回転数差が閾値(例えば、10回転)以上であるか否かを判定する。ステップS104で回転数差が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS104で回転数差が閾値以上であると判定された場合には、ステップS105でカップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、左右の車輪速センサから得られる回転数情報に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。車線変更時やコーナリング時等には、左右輪の回転速度と駆動力が異なる場合、所望の挙動を確保できない可能性がある。このため、左車輪速センサ11及び右車輪速センサ12からの回転速度、操舵角センサ14からの操舵角、横加速度センサ17からの横加速度、ヨーレートセンサ18からのヨーレート等の信号を制御部123に送信する。
【0059】
制御部123は、演算を行い、各車速、各操舵角での目標横加速度、目標ヨーレートと、実横加速度、実ヨーレートを比較する。そして、目標値と実測値との差が閾値以上になると、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0060】
まず、ステップS201において、右車輪速センサ12から回転数に関する情報を受信する。同様に、ステップS202において、左車輪速センサ11から回転数に関する情報を受信する。次に、ステップS203において、操舵角センサ14から操舵角に関する情報を受信する。次に、ステップS204において、横加速度センサ17から横加速度に関する情報を受信する。次に、ステップS205において、ヨーレートセンサ18からヨーレートに関する情報を受信する。次に、ステップS206において、右車輪速センサ12の回転速度から速度を算出する。次に、ステップS207において、目標値と実測値とを比較する。次に、ステップS208において、目標値と実測値との差が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS208で目標値と実測値との差が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS208で目標値と実測値との差が閾値以上であると判定された場合には、ステップS209において、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0061】
本実施形態によれば、車両Aの様々な制御状態を複数のセンサによって検出し、その検出された情報に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【0062】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。車両Aの停止時にシフトレバーをPレンジに操作した場合、係止部130は、遊星ギヤ112eの回転をロックする。この際、パーキングロックセンサ13からの情報に基づいて、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出した場合には、制御部123は、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0063】
まず、ステップS301において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロック状態を検出する。次に、ステップS302において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出しなかった場合には、一連の処理を終了する。次に、ステップS303において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出した場合には、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0064】
本実施形態によれば、制御部123は、係止部130が変速ギヤ部112aの遊星ギヤ112eを係止している場合には、伝達シャフト121a、121bを連結するため、変速ギヤ部112bの遊星ギヤ112eを係止する必要がない。従って、制御部123をこのように制御することにより簡易な構成とすることが可能となる。
【0065】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。急発進、急加速、又は急減速等のように車両Aに大きな加速度が加わる場合、左右輪の回転速度が異なると、スピン等を生じる可能性がある。このため、アクセルペダルセンサ15、ブレーキペダルセンサ16の踏み込み変化量が閾値以上となった場合には、制御部123は、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0066】
まず、ステップS401において、アクセルペダルセンサ15及びブレーキペダルセンサ16から各ペダルの踏み込み量に関する情報を受信する。次に、ステップS402において、各ペダルの踏み込み変化量を算出する。次に、ステップS403において、アクセルペダルの踏み込み変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS403でアクセルペダルの踏み込み変化量が閾値より小さいと判定された場合には、ステップS404において、ブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS404でブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS403でアクセルペダルの踏み込み変化量が閾値以上であると判定された場合、又はステップS404でブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値以上であると判定された場合には、ステップS405でカップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0068】
本実施形態によれば、車両Aに大きな加速度が加わる場合であっても、検出されたアクセルペダル及びブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る駆動装置100の機能構成図である。
【図2】駆動装置100の上面図である。
【図3】駆動装置100の側面図である。
【図4】駆動装置100の正面図である。
【図5】(a)は駆動装置100の正面図であり、(b)は図5(a)のB部断面図である。
【図6】(a)は通電前のカップリング部123aの断面図であり、(b)は通電時のカップリング部123aの断面図である。
【図7】(a)は係止部130の構成及び動作手順を説明するための図であり、(b)は図7(a)に示すC部からの矢視図である。
【図8】制御部123の機能構成図である。
【図9】第1の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
A 車両
W2 駆動輪
100 車両用駆動装置
110 駆動ユニット
111 モータ
111a’、111b’ 出力軸
112 変速ギヤ部
113 ドライブシャフト
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両をモータによって駆動させる技術として、例えば、特許文献1では、2つのモータを出力軸が車幅方向外側に向くように配設し、モータの出力をドライブシャフトに伝達する技術が開示されている。また、特許文献2では、2つのモータを出力軸が車幅方向外側に向くようにサブフレームに配設すると共に、車両の旋回状態に応じて、サスペンションの特性を調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平05−116540号公報
【特許文献2】特開2007−22276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2で開示されている技術では、2つのモータの出力軸が車幅方向外側を向いているため、ドライブシャフトの長さが制約されてしまう。このため、駆動輪の上下動に伴うドライブシャフトの揺動角度が大きくなり、ジョイントの許容揺動角や駆動輪のジオメトリの制約から駆動輪の上下ストロークを大きくすることができない。よって、駆動輪の上下ストロークを大きくする必要のある車両に適用することが困難であった。
【0004】
従って、本発明の目的は、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、左右の駆動輪毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニットを備え、前記駆動ユニットが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されたモータと、前記モータの出力軸に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部と、前記変速ギヤ部の出力を前記駆動輪に伝達するドライブシャフトと、を備えたことを特徴とする車両用駆動装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、前記モータが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されるため、前記ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保することができる。よって、駆動輪の上下ストローク量を十分に確保することが容易となる。
【0007】
また、本発明においては、前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達手段を更に備えていてもよい。本発明によれば、前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御することにより、前記車両の走行安全性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明においては、前記変速ギヤ部は、外歯歯車であるサンギヤと、内歯歯車であり、前記サンギヤを外側から囲むように配されるリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとの間に配され、該サンギヤ及び該リングギヤと歯合する複数の遊星ギヤと、を有しており、前記動力伝達手段は、前記サンギヤ、前記リングギヤ、又は前記遊星ギヤのいずれかのギヤの動力を伝達してもよい。本発明によれば、前記変速ギヤ部が前記サンギヤ、前記リングギヤ、及び前記遊星ギヤとを有するため、前記変速ギヤ部をコンパクトに配設することができる。これにより、前記ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を更に確保することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記駆動輪は後輪であり、前記モータは、前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されてもよい。本発明によれば、前記モータが前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されるため、前記車両の重心を中心に近接させることができる。これにより、前記車両の操安性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明においては、前記駆動輪は後輪であり、前記車両は、前記モータを駆動するための電力を発電するために設けられ、前記駆動ユニットよりも前記車両の前後方向前方に配置されたエンジンと、前記エンジンから前記車両の前後方向後方に延びる排気管と、を備え、該一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けてもよい。本発明によれば、前記一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けたため、前記駆動ユニットの上下方向における配置の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上述べた通り、本発明によれば、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動装置100の機能構成図であり、図2は、駆動装置100の上面図である。また、図3は、駆動装置100の側面図であり、図4は、駆動装置100の正面図である。
【0013】
車両Aは、車両Aの前後方向後方に配された駆動装置100と、駆動装置100より車両Aの前後方向前方に配された発電装置200と、を備える。車両Aは、発電装置200でモータ111を駆動するための電力を発電することにより駆動装置100を駆動し、又はその電力でバッテリを充電する。すなわち、駆動装置100は、発電装置200で発電された電力、又はバッテリの電力の少なくとも一方の電力を用いて、駆動装置100により後輪W2を駆動する、いわゆるシリーズ式のハイブリッド自動車である。
【0014】
また、駆動装置100は、後輪W2を駆動するものであるため、前輪W1は、非駆動輪であり、後輪W2は、駆動輪である。なお、駆動輪W2には、車両Aの上下方向の動きに従動させるために用いられるアーム1が接続され、駆動輪W2の近傍には、車両Aが地面から受ける振動を減衰させるサスペンション2が設けられている。
【0015】
駆動装置100は、左右の駆動輪W2毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニット110(左側を110a、右側を110bとする。)と、一対の駆動ユニット110間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達部120と、変速ギヤ部112のギヤの回転を係止する係止部130と、を備える。なお、係止部130については、駆動装置100の詳細構成で後述する。
【0016】
駆動ユニット110は、後述する出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置されたモータ111(左側を111a、右側を111bとする。)と、出力軸111a’、111b’に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部112(左側を112a、右側を112bとする。)と、変速ギヤ部112の出力を駆動輪W2に伝達するドライブシャフト113(左側を113a、右側を113bとする。)と、を備える。
【0017】
モータ111は、図3で示すように、車室DとトランクルームEとの間において、ドライブシャフト113の前方かつ上方に配置される。これにより、車両Aの重量重心が中心位置に近接することになるため、車両AのトランクルームEを広く確保することができると共に、車両Aの操安性を向上させることができる。なお、変速ギヤ部112a、112bには、それぞれ駆動輪W2の回転速度を検出する車輪速センサ(例えば、角度センサ)11、12が取り付けられている。
【0018】
動力伝達部120は、図5で示すように、車幅方向に延設され、一対の駆動ユニット110a、110b間で動力を伝達する伝達シャフト121a、121bと、伝達シャフト121a、121b間に連結され、伝達シャフト121a、121bの回転数差を制御する制御部123と、を備える。
【0019】
発電装置200は、発電部210と、発電部210を冷却する冷却部220と、発電部210にガソリン燃焼時に必要である空気を供給する吸気部230と、発電部210からガソリン燃焼後の空気を排気する排気部240と、を備える。
【0020】
発電部210は、シリンダを有するエンジン211と、エンジン211に供給するためのガソリン等の燃料を貯蔵する燃料タンク212と、熱シール方式やフライホイール方式等によるジョイント213aを介して、エンジン211に固定される発電機213と、発電機213に並設されるインバータ214と、発電機213により発電された電力を蓄電するバッテリ215と、を備える。
【0021】
エンジン211は、駆動ユニット110よりも車両Aの前後方向前方に配置され、モータを駆動するための電力を発電し、その電力をバッテリ215に供給したり、その電力によりモータ111を駆動させるために設けられる。バッテリ215は、エンジン211で発電された電力及びモータ111で回生された電力を蓄電するために設けられる。
【0022】
冷却部220は、エンジン211を冷却させる冷却水の放熱を行うラジエータ221を有する。吸気部230は、エンジン211のシリンダヘッドに取り付けられ、シリンダ内に空気を供給する吸気マニホールド231を備える。排気部240は、エンジン211のシリンダヘッドに取り付けられ、シリンダ内から燃焼ガスや残った空気を排気する排気マニホールド241と、エンジン211に取り付けられた排気マニホールド241から車両Aの前後方向後方に延びる排気管242と、排気管242の途中で一酸化炭素等の大気汚染物質を除去する触媒コンバータ243と、排気管242から排出される直前で排気音を低減するマフラ244と、を備える。
【0023】
ここで、一対の駆動ユニット110a、110b間には、排気管242の通過スペースSが設けられており、排気管242は、この通過スペースSを通過するように配置される。
【0024】
上述の構成によれば、モータ111が、出力軸111a’、111b’が車幅方向内側を向いて配置され、変速ギヤ部112が、モータ111の出力軸111a’、111b’に連結されるため、出力軸111a’、111b’が車幅方向外側を向いて配置される場合に比べて、変速ギヤ部112と駆動輪W2との間の距離を長く確保することができる。これにより、ドライブシャフトの長さの設定範囲を広くすることができる。従って、ドライブシャフト113の車幅方向における設計余裕度を確保することができる。
【0025】
例えば、SUV(Sport−Utility Vehicle)のように、山道や河原等のオフロードを走行する車両は、駆動輪W2が大きく上下動又は振動するため、たとえ、その上下動又は振動をサスペンション2で減衰しても、ドライブシャフト113が短い場合には、駆動輪W2の上下動に対するドライブシャフト113の揺動角の変化が大きく、ジョイントの許容揺動角や駆動輪W2のジオメトリの制約から、駆動輪W2の車体に対する上下ストロークが小さいため、車体にその上下動又は振動の大部分が伝達されてしまう。このため、本発明では、ドライブシャフト113を長く設定可能とすべく、モータ111の出力軸111a’、111b’を車幅方向内側に向けて配置することにより、特に、SUV等の車両の操安性を向上したことに特徴がある。
【0026】
[駆動装置100の詳細構成]
図5において、(a)は駆動装置100の正面図であり、(b)は図5(a)のB部断面図である。なお、図5(a)では、サブフレーム116を破線で示し、その内部構造を示す。
【0027】
変速ギヤ部112は、外歯歯車であるサンギヤ112cと、内歯歯車であり、サンギヤ112cを外側から囲むように配されるリングギヤ112dと、サンギヤ112cとリングギヤ112dとの間に配され、サンギヤ112c及びリングギヤ112dと歯合する複数(例えば、3つ)の遊星ギヤ112eと、を有する。以下、これらのギヤをまとめて、プラネタリーギヤとも呼ぶ。
【0028】
左右の変速ギヤ部112a、112bのサンギヤ112cは、それぞれ対応するモータ111a、111bの出力軸111a’、111b’に連結されている。また、複数の遊星ギヤ112eは、モータ111の位置に対して、相対的に位置が固定されたキャリア112fに回転可能に保持されている。
【0029】
リングギヤ112dは、本実施形態では、遊星ギヤ112eとの間で回転力を伝達する内歯歯車112d’と、内歯歯車112d’に固定され、ギヤ113cを介して、ギヤ113dとの間で回転力を伝達する外歯歯車112d”と、を有する。内歯歯車112d’は、それぞれ対応する伝達シャフト121a、121bと連結されている。ギヤ113dは、回転軸113d’を有しており、その回転軸113d’には、等速ジョイント113eが連結されている。
【0030】
これらの構成の動作手順について簡潔に説明する。モータ111aの出力軸111a’が回転すると、サンギヤ112cが回転し、その回転力が遊星ギヤ112eを介してリングギヤ112dに伝達される。次に、リングギヤ112dが回転すると、外歯歯車112d”から減速された回転力がギヤ113cを介して、ギヤ113dに伝達される。。次に、ギヤ113dが回転すると、回転軸113d’及び等速ジョイント113eを介して、ドライブシャフト113が回転することとなる。変速ギヤ部112がサンギヤ112c、リングギヤ112d、及び遊星ギヤ112eを有するため、変速ギヤ部112をコンパクトに配設することができる。また、変速ギヤ部112の最も内側に配されるリングギヤ112dの外歯歯車112d”から回転力を取り出すため、ドライブシャフト113の車幅方向における設計余裕度を更に確保することができる。
【0031】
一方、リングギヤ112dの回転力は、伝達シャフト121aにも伝達される。なお、モータ111bの出力軸111b’が回転した場合にも同様に、伝達シャフト121bが回転することとなる。従って、動力伝達部120は、本実施形態では、駆動ユニット110a、110b間で、リングギヤ112dの動力を伝達することになる。
【0032】
ここで、制御部123は、図6で詳細な構成を示すように、伝達シャフト121a、121bを連結可能に保持するカップリング部123aを備える。これにより、動力伝達部120は、一対の駆動ユニット110a、110b間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な構成となる。制御部123は、例えば、伝達シャフト121の回転数差が閾値以上の場合には、カップリング部123aにより伝達シャフト121a、121bを連結する。
【0033】
図6において、(a)は通電前のカップリング部123aの断面図であり、(b)は通電時のカップリング部123aの断面図である。カップリング部123aは、伝達シャフト121a、121b間に連結され、伝達シャフト121a、121bの回転数差を調整する。
【0034】
カップリング部123aは、電磁コイルであるソレノイド123bと、パイロットカム123c’を有するパイロットクラッチ部123cと、メインカム123d’を有するメインクラッチ部123dと、パイロットカム123c’とメインカム123d’との間に配されたボール123eと、を備える。
【0035】
図6(a)で示すように、ソレノイド123bに電流が通電されていない場合には、パイロットクラッチ部123cにトルクが発生しない。この際、パイロットカム123c’とメインカム123d’は、ボール123eを介して、同方向に回転しており、メインカム123d’をメインクラッチ部123d側に押す力は発生しない。従って、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間では、駆動力が伝達されない。
【0036】
図6(b)で示すように、ソレノイド123bに電流が通電されると、ソレノイド123bに磁束が発生する。磁束が発生すると、アーマチュア123fが磁束によりソレノイド123b側に吸引され、パイロットクラッチ部123cが結合する。これにより、パイロットクラッチ部123cに摩擦トルクが発生し、パイロットクラッチ部123cに結合しているパイロットカム123c’にトルクが伝達される。
【0037】
パイロットカム123c’とメインカム123d’との間に回転数差が生じると、相対ねじり力によりカム機構が作動し、トルクがパイロットカム123c’からボール123eへ、ボール123eからメインカム123d’へと伝達され、メインクラッチ部123dの押し付け力が増幅される。このようにして、メインクラッチ部123dが結合され、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間で、駆動力が伝達される。
【0038】
なお、メインカム123d’がメインクラッチ部123d側に押される力、すなわち、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間で伝達される駆動力の強さは、パイロットクラッチ部123cを結合させるパイロットカム123c’に作用する力に比例して変化する。従って、ECU10からソレノイド123bへの単位時間当たりの通電時間を調整することで、伝達シャフト121a、121b間で伝達される駆動力の強さ、すなわち、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間の結合の強さを制御することができる。
【0039】
例えば、伝達シャフト121aの回転数が60回転/秒、伝達シャフト121bの回転数が100回転/秒であった場合に、各伝達シャフト121a、121bの回転数を80回転/秒で完全に一致させるのではなく、結合の強さを制御することによって、各伝達シャフト121a、121bに所望の回転数差(例えば、伝達シャフト121aの回転数が70回転/秒、伝達シャフト121bの回転数が90回転/秒)が生じるように調整することもできる。
【0040】
従って、制御部123は、ECU10からのソレノイド123bへの通電時間を制御することにより、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとの間の回転数差を制御することができる。
【0041】
図7(a)は、係止部130の構成及び動作手順を説明するための図であり、図7(b)は図7(a)に示すC部からの矢視図である。
【0042】
駆動装置100は、駆動ユニット110a、110b毎に設けられ、複数の遊星ギヤ112eのうち、いずれかの遊星ギヤ112eを係止して、遊星ギヤ112eの回転を阻止可能である係止部130(左側を130a、右側を130bとする。)を更に備える。
【0043】
すなわち、係止部130は、ドライバがシフトレバーをパーキングレンジ(Pレンジ)にシフトした際に、機械的に遊星ギヤ112eをロックするいわゆるパーキングロック機構である。
【0044】
係止部130は、図7で示すように、シフトレバーの操作に連動して、後述する係止部材133の一方端部133aを上方へ押し上げるカム部132と、カム部132の動作に連動して、係止部材133の他方端部133bを遊星ギヤ112eに係止する係止部材133と、を有する。
【0045】
カム部132は、円柱形状の小径部132bと、小径部132bよりも大きい直径の円柱形状である大径部132cと、小径部132bと大径部132cとを接続した斜面部132aと、一方端部が大径部132cに接続され、他方端部がシフトレバーに連結されたロッド132dと、を有する。
【0046】
まず、ドライバがシフトレバーをPレンジにシフトすると、ロッド132dが水平方向(矢印a方向)に押し出されると共に、カム部132も同様に矢印a方向に押し出される。ここで、ロッド132dが押し出される前には、係止部材133の一方端部133aは、小径部132bに支持されているが、ロッド132dが押し出された後には、係止部材133の一方端部133aは、大径部132cに支持されることになる。このため、係止部材133は、端部133aの位置が上昇するため、回転軸133cを中心に回転する。従って、他方端部133bの位置が下降し、係止部130は、遊星ギヤ112eに係止されることになる。
【0047】
図8は、制御部123の機能構成図である。制御部123は、車載制御ユニットであるECU10と、ECU10に接続された種々のセンサと、ECU10により制御されるカップリング部123aと、を備える。
【0048】
本実施形態では、種々のセンサとして、例えば、左側の車輪の回転速度を検出する左車輪速センサ11と、右側の車輪の回転速度を検出する右車輪速センサ12と、パーキングロックのロック状態を検出するパーキングロックセンサ13と、ハンドルの操舵角度を検出する操舵角センサ14と、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ15と、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ16と、車両Aの車幅方向への加速度を検出する横加速度センサ17と、ヨーレートセンサ18とが接続される。
【0049】
従って、上述の構成によれば、ドライブシャフトの車幅方向における設計余裕度を確保しながら、2つのモータを車幅方向に並べて配設することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、エンジン211は、発電用として設けられるものとしたが、一般に普及しているタイプのハイブリッド自動車、例えば、始動時には、モータを用いて駆動し、燃費効率の良い安定走行時には、エンジンを用いて駆動する車両においても、本発明を適用することができる。
【0051】
また、動力伝達部120は、本実施形態では、リングギヤ112dの動力を伝達することとしたが、プラネタリーギヤ(サンギヤ112c、リングギヤ112d、又は遊星ギヤ112e)のいずれかのギヤの動力を伝達するものであってもよい。
【0052】
また、係止部130は、本実施形態では、遊星ギヤ112eを係止することとしたが、プラネタリーギヤのいずれかのギヤを係止して、いずれかのギヤの回転を阻止するものであってもよい。
【0053】
[動作手順]
次に、制御部123の動作手順について、各実施形態で説明する。なお、装置構成は、前述と同様であるため、各実施形態では同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
(第1の実施形態)
図9は、第1の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。モータが故障した際や摩擦係数μの小さい道路を走行する際に、左右の車輪の回転速度が異なると、スピン等を生じる可能性がある。このため、本実施形態では、左車輪速センサ11、右車輪速センサ12からの信号を制御部123に随時送信しており、左車輪速センサ11と右車輪速センサ12によって検出された回転数差が閾値以上となった場合には、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0055】
まず、ステップS101において、右車輪速センサ12から回転数に関する情報を受信し、ステップS102において、左車輪速センサ11から回転数に関する情報を受信する。次に、ステップS103において、得られた回転数の情報に基づいて、右車輪速センサ12と左車輪速センサ11との間の回転数差を算出する。
【0056】
次に、ステップS104において、ステップS103で算出した回転数差が閾値(例えば、10回転)以上であるか否かを判定する。ステップS104で回転数差が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS104で回転数差が閾値以上であると判定された場合には、ステップS105でカップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、左右の車輪速センサから得られる回転数情報に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。車線変更時やコーナリング時等には、左右輪の回転速度と駆動力が異なる場合、所望の挙動を確保できない可能性がある。このため、左車輪速センサ11及び右車輪速センサ12からの回転速度、操舵角センサ14からの操舵角、横加速度センサ17からの横加速度、ヨーレートセンサ18からのヨーレート等の信号を制御部123に送信する。
【0059】
制御部123は、演算を行い、各車速、各操舵角での目標横加速度、目標ヨーレートと、実横加速度、実ヨーレートを比較する。そして、目標値と実測値との差が閾値以上になると、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0060】
まず、ステップS201において、右車輪速センサ12から回転数に関する情報を受信する。同様に、ステップS202において、左車輪速センサ11から回転数に関する情報を受信する。次に、ステップS203において、操舵角センサ14から操舵角に関する情報を受信する。次に、ステップS204において、横加速度センサ17から横加速度に関する情報を受信する。次に、ステップS205において、ヨーレートセンサ18からヨーレートに関する情報を受信する。次に、ステップS206において、右車輪速センサ12の回転速度から速度を算出する。次に、ステップS207において、目標値と実測値とを比較する。次に、ステップS208において、目標値と実測値との差が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS208で目標値と実測値との差が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS208で目標値と実測値との差が閾値以上であると判定された場合には、ステップS209において、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0061】
本実施形態によれば、車両Aの様々な制御状態を複数のセンサによって検出し、その検出された情報に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【0062】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。車両Aの停止時にシフトレバーをPレンジに操作した場合、係止部130は、遊星ギヤ112eの回転をロックする。この際、パーキングロックセンサ13からの情報に基づいて、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出した場合には、制御部123は、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0063】
まず、ステップS301において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロック状態を検出する。次に、ステップS302において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出しなかった場合には、一連の処理を終了する。次に、ステップS303において、パーキングロックセンサ13が係止部130のロックを検出した場合には、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0064】
本実施形態によれば、制御部123は、係止部130が変速ギヤ部112aの遊星ギヤ112eを係止している場合には、伝達シャフト121a、121bを連結するため、変速ギヤ部112bの遊星ギヤ112eを係止する必要がない。従って、制御部123をこのように制御することにより簡易な構成とすることが可能となる。
【0065】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。急発進、急加速、又は急減速等のように車両Aに大きな加速度が加わる場合、左右輪の回転速度が異なると、スピン等を生じる可能性がある。このため、アクセルペダルセンサ15、ブレーキペダルセンサ16の踏み込み変化量が閾値以上となった場合には、制御部123は、カップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結する。
【0066】
まず、ステップS401において、アクセルペダルセンサ15及びブレーキペダルセンサ16から各ペダルの踏み込み量に関する情報を受信する。次に、ステップS402において、各ペダルの踏み込み変化量を算出する。次に、ステップS403において、アクセルペダルの踏み込み変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS403でアクセルペダルの踏み込み変化量が閾値より小さいと判定された場合には、ステップS404において、ブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ステップS404でブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値より小さいと判定された場合には、一連の処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS403でアクセルペダルの踏み込み変化量が閾値以上であると判定された場合、又はステップS404でブレーキペダルの踏み込み変化量が閾値以上であると判定された場合には、ステップS405でカップリング部123aによって、伝達シャフト121aと伝達シャフト121bとを連結して、一連の処理を終了する。
【0068】
本実施形態によれば、車両Aに大きな加速度が加わる場合であっても、検出されたアクセルペダル及びブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、伝達シャフト121a、121bの回転数差を確実に制御して、車両Aの走行安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る駆動装置100の機能構成図である。
【図2】駆動装置100の上面図である。
【図3】駆動装置100の側面図である。
【図4】駆動装置100の正面図である。
【図5】(a)は駆動装置100の正面図であり、(b)は図5(a)のB部断面図である。
【図6】(a)は通電前のカップリング部123aの断面図であり、(b)は通電時のカップリング部123aの断面図である。
【図7】(a)は係止部130の構成及び動作手順を説明するための図であり、(b)は図7(a)に示すC部からの矢視図である。
【図8】制御部123の機能構成図である。
【図9】第1の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る制御部123の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
A 車両
W2 駆動輪
100 車両用駆動装置
110 駆動ユニット
111 モータ
111a’、111b’ 出力軸
112 変速ギヤ部
113 ドライブシャフト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の駆動輪毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニットを備え、
前記駆動ユニットが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されたモータと、前記モータの出力軸に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部と、前記変速ギヤ部の出力を前記駆動輪に伝達するドライブシャフトと、を備えたことを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記変速ギヤ部は、外歯歯車であるサンギヤと、内歯歯車であり、前記サンギヤを外側から囲むように配されるリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとの間に配され、該サンギヤ及び該リングギヤと歯合する複数の遊星ギヤと、を有しており、
前記動力伝達手段は、前記サンギヤ、前記リングギヤ、又は前記遊星ギヤのいずれかのギヤの動力を伝達することを特徴とする請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記駆動輪は後輪であり、
前記モータは、前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記駆動輪は後輪であり、
前記車両は、
前記モータを駆動するための電力を発電するために設けられ、前記駆動ユニットよりも前記車両の前後方向前方に配置されたエンジンと、
前記エンジンから前記車両の前後方向後方に延びる排気管と、を備え、
該一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項1】
左右の駆動輪毎に設けられ、車幅方向に並設された一対の駆動ユニットを備え、
前記駆動ユニットが、出力軸が車幅方向内側を向いて配置されたモータと、前記モータの出力軸に連結され、その回転数を変速させる変速ギヤ部と、前記変速ギヤ部の出力を前記駆動輪に伝達するドライブシャフトと、を備えたことを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記一対の駆動ユニット間で回転数差を制御しながら、動力を伝達可能な動力伝達手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記変速ギヤ部は、外歯歯車であるサンギヤと、内歯歯車であり、前記サンギヤを外側から囲むように配されるリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤとの間に配され、該サンギヤ及び該リングギヤと歯合する複数の遊星ギヤと、を有しており、
前記動力伝達手段は、前記サンギヤ、前記リングギヤ、又は前記遊星ギヤのいずれかのギヤの動力を伝達することを特徴とする請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記駆動輪は後輪であり、
前記モータは、前記ドライブシャフトの前方かつ上方に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記駆動輪は後輪であり、
前記車両は、
前記モータを駆動するための電力を発電するために設けられ、前記駆動ユニットよりも前記車両の前後方向前方に配置されたエンジンと、
前記エンジンから前記車両の前後方向後方に延びる排気管と、を備え、
該一対の駆動ユニット間に前記排気管の通過スペースを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−120127(P2009−120127A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298567(P2007−298567)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]