説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】簡易な構成で、ユーザに必要な最新の地図情報を追加する車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両の周囲を撮影する撮影手段と、撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するパターン検出手段と、画像パターンが撮影された位置を検出する位置検出手段と、画像パターンおよび当該画像パターンが撮影された位置を含むパターン情報を報知する報知手段と、パターン情報の記憶を指示する指示手段と、指示に基づきパターン情報を記憶するパターン情報記憶手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられているカメラで撮影した画像データから、任意の地点に存在する施設等を地図データベースに追加する車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
新しい道路の開通や、道路周辺情報の変化(例えばコンビニエンスストアの開店等)は日々起こっている。車載用ナビゲーション装置の地図更新の方法としては、記録媒体(CD−ROMやDVDなど)の変更や、通信によるデータ配信などが行われている。ただ、地図情報の更新を必要とする変化(道路周辺情報の変化等)は国内各所で日々起きており、その情報を取りまとめて電子データに変換して、車載用ナビゲーション装置のユーザに届くまでは相当の時間がかかる。また、都市部以外の情報は集まりにくいという実情もある。こうしたことから、地図上に表示されたコンビニエンスストアのマークが実際のマークと一致しない等、画面に表示される地図情報と実際の情報が一致しないことがよく起きている。
【0004】
そこで、車載カメラの情報から得たランドマーク/新設道路などの情報で、地図情報を自動で更新する情報処理装置および情報処理システムが考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、車載カメラと地図情報とによって、車両の検出位置を補正する位置検出装置が考案されている。(特許文献2参照)。
【0006】
また、車両の停車などの車両の状態から、もしくは車両に取り付けられているテレビカメラで撮影した画像データから、任意の地点に存在する施設を地図データベースに自動的に追加する車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−045051号公報
【特許文献2】特開平07−083689号公報
【特許文献3】特開平11−351888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の例では、情報処理装置とセンタ装置により構成されているため、システムに適合する情報処理装置を使用しなければならないという問題がある。また、情報処理装置もセンタ装置との通信機能等を備える必要があり、センタやセンタとの通信中継設備の設置等も相まって、システムの大型化,高コスト化は免れない。
【0009】
特許文献2の例では、近年、種々のセンサの精度向上や位置検出アルゴリズムの向上もあって、検出位置の精度は格段に向上してきたため、必ずしも補正が必要ではなくなったという問題がある。
【0010】
特許文献3の例では、カメラで撮影した画像から抽出された施設を地図データベースに自動的に追加する構成であるため、ユーザにとって不必要な施設が追加されたり、同じ施設が二重に追加されてしまうという問題がある。
【0011】
上記問題を背景として、本発明の課題は、簡易な構成で、ユーザに必要な最新の地図情報を追加する車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置を提供するものである。すなわち、車両の周囲を撮影する撮影手段と、撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するパターン検出手段と、画像パターンが撮影された位置を検出する位置検出手段と、画像パターンおよび当該画像パターンが撮影された位置を含むパターン情報を報知する報知手段と、パターン情報の記憶を指示する指示手段と、指示に基づきパターン情報を記憶するパターン情報記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、外部からの情報更新を待つのでなく、カメラで撮影された画像データを元に、車載用ナビゲーション装置内でパターン情報の更新の記録または地図情報の更新をすることによって、画面に表示される地図情報を実際の情報に直ちに一致させることが可能となる。また、ユーザにとって必要なパターン情報のみを更新可能であるため、不要なパターン情報を記憶することによる記憶容量の増大を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、画像データから所定の画像パターンを検出するためのパターンデータを記憶するパターンデータ記憶手段を備えるように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、撮影された画像データから所定の画像パターンを検出する処理の速度を速くすることが可能となり、一連のパターン情報を記憶するまでの動作時間を短縮することが可能となる。
【0016】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、パターンデータを設定するパターンデータ設定手段を備えるように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、ユーザが任意のパターンデータを設定することができ、ユーザが必要とするパターン情報を常に最新の状態にすることが可能となる。
【0018】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、画像パターンが撮影された位置を修正する位置修正手段を備えるように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、地図上で当該画像パターンが表示される場合に、地図データ等に含まれて既に表示されている文字等がその画像パターンによって見えなくなることを防ぐことが可能となる。また、当該画像パターンの位置および地図上での表示位置をより正確なものとすることができる。
【0020】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、記憶された画像パターンが検出された位置と車両の現在位置との距離を計測する距離計測手段を備え、距離が所定の値を上回る場合に新たな画像パターンの検出を行うように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、パターン情報が検出・記憶された場所から十分離れた位置で新たな画像パターンの検出を行なうため、先に検出された同じ画像パターンを何回も検出することを防ぎユーザの運転以外の操作負荷の増大を防ぐが可能となる。
【0022】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段を備え、パターン情報記憶手段は地図情報記憶手段とは別に設けられるように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、地図情報のデータ形式あるいはデータ構造に関係なくパターン情報を記憶することが可能となる。また、CD−ROM等のように地図情報が書き込みのできない記憶媒体に記憶されている場合にも、別の記憶媒体を用いてパターン情報を記憶することが可能となる。
【0024】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両の状態を判定する車両状態判定手段を備え、パターン検出手段は車両が所定の状態にあると判定された場合に撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するように構成することもできる。
【0025】
上記構成によって、同じ画像パターンを何回も検出することを防ぎユーザの運転以外の操作負荷の増大を防ぐが可能となる。
【0026】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両が停止しているかどうかを判定する停止判定手段を備え、パターン検出手段は車両が停止していると判定された場合に撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するように構成することもできる。
【0027】
車両が停止している場合は撮影される画像データも殆ど変化がなく画像パターン検出の精度が向上し、車両の現在位置も変化しないので画像パターンが検出された位置の検出精度も向上する。上記構成によって、より精度の高いパターン情報を得ることが可能となる。
【0028】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、撮影された画像データに基準画像が含まれているかどうかを判定する画像判定手段を備え、パターン検出手段は基準画像が含まれていると判定された場合に撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するように構成することもできる。
【0029】
例えば車両が停止していることを、例えば赤信号表示のような基準画像が含まれているかどうか等の撮影された画像の状態から判定することが可能となる。上記構成によっても、より精度の高いパターン情報を得ることが可能となる。
【0030】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるパターン情報記憶手段はパターン情報が記憶された日時を記憶し、指示手段により所定数を上回るパターン情報の記憶を指示された場合、最も記憶日時の古いパターン情報を削除して指示されたパターン情報を記憶するように構成することもできる。
【0031】
上記構成によって、限られたパターン情報記憶手段の記憶領域を有効に利用することが可能となる。
【0032】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるパターン情報は表示手段において地図情報に上書き表示されるように構成することもできる。
【0033】
上記構成によって、常に最新のパターン情報すなわち最新の地図情報を表示手段に表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
簡易な構成で、ユーザに必要な最新の地図情報を追加する車載用ナビゲーション装置を提供する目的を、カメラで撮影された画像データを元に、車載用ナビゲーション装置内でパターン情報の記録または更新をユーザの指示によって行い、画面に表示される地図情報を実際の情報に直ちに一致させる構成により実現した。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0036】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両101(図2参照)の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両101の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両101の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段および車両位置検出手段に相当する。
【0037】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、タッチパネル22とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッション(図示せず)にメカニカルなスイッチを配置してもよい。
【0038】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。なお、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31が本発明の指示手段,パターンデータ設定手段,および位置修正手段に相当する。
【0039】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0040】
また、ETC車載器16と通信することにより、例えばETC車載器16が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込み表示器10に表示することができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0041】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,画像処理部88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の距離計測手段に相当する。
【0042】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0043】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0044】
画像処理部88は、公知のパターン認識などの技術によってカメラ28によって撮影された画像の解析を行う画像処理回路を含んで構成される。なお、画像処理部88が本発明のパターン検出手段,車両状態判定手段,および画像判定手段に相当する。
【0045】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標,距離,所要時間,道幅,車線数,制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標,右左折車線数,接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の地図情報記憶手段に相当する。
【0046】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。また、データベース21dにはパターンデータ(図5:後述),基準画像記憶領域(図6:後述),およびパターン情報(図10:後述)等も記憶されている。なお、データベース21dが本発明のパターン情報記憶手段およびパターンデータ記憶手段に相当する。
【0047】
また、ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0048】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9はナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0049】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の報知手段に相当する。
【0050】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0051】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両101の速度に換算して、車両101の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両101の走行区間毎の平均車速を算出する。なお、車速センサ23が本発明の車両状態判定手段および停止判定手段に相当する。
【0052】
通信ユニット25は周知の無線通信機として構成され、インターネット等の外部ネットワークとの通信を行う。
【0053】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行ってもよい。
【0054】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0055】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両101の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0056】
図2にナビゲーション装置100とカメラ28の取り付け例を示す。カメラ28は例えば天井部前方中央部のように、車両101の前方を撮影可能な場所に設置される。また、沿道を重点的に撮影するために、車両101のダッシュパネルの左前方,中央(Cの位置),あるいは右前方に設置してもよい。図2(a)の例では、カメラ28の上下方向の撮影可能範囲Aは交通信号機等を撮影可能となっている。また、図2(b)のように、カメラ28の左右方向の撮影可能範囲Bは、例えば広角レンズを用いて、沿道にある施設・看板等を撮影可能となっている。ナビゲーション装置100の取り付け位置に特に制約はないが、図2(a)の例では、ダッシュパネル中央部に表示器10が取り付けられている。
【0057】
なお、カメラ28は例えば公知のCCDカメラ等で構成される。また、カメラ28を車両101への侵入者を検知する不審者侵入検知用カメラ,車間距離測定用に車両101の前方を撮影する前方監視カメラ,あるいはいわゆるレーンキープシステムの前方撮影用カメラと共用すれば、ナビゲーション装置100の製造コストを抑制することができる。また、カメラ28が本発明の撮影手段に相当する。
【0058】
図3のフロー図を用いて、本発明のパターン情報収集処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ他の処理とともに繰り返し実行される。まず、直近にパターン情報を記憶した位置と位置検出器1で検出される車両101の現在位置との距離を測定し、その距離が所定の値を上回る場合(S1:Yes)、制御回路8からカメラ28に指令を送り、撮影を開始する(S2)。撮影された映像データは、位置検出器1で検出された車両101の現在位置のデータとともに制御回路8に送られる。
【0059】
なお、カメラ28による撮影は、ナビゲーション装置100の起動中は常に行う構成としてもよいし、ユーザの操作スイッチ群7等の操作によって撮影の開始/停止を行う構成としてもよい。
【0060】
直近にパターン情報を記憶した位置の有無は、まず、ナビゲーション装置100が起動されたときの日時情報(起動日時)を取得してRAM83に記憶しておき、データベース21dのパターン情報記憶領域(図10参照)に、その起動日時よりも後に記憶されたパターン情報あるいはナビゲーション装置100の起動日と同日に記憶されたパターン情報があるかを調べることにより判定できる。該当するパターン情報がある場合はそのパターン情報に含まれる位置データを読み出す。
【0061】
なお、日時情報はGPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いる。また、また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタ(図示せず)を基にして日時情報を生成してもよい。また、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するリアルタイムクロックICとも呼ばれる時計IC(図示せず)を用い、CPU81が時計ICから日時情報を取得する方法を用いてもよい。
【0062】
映像データは、画像処理部88において、その映像信号に一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データに変換される。そして、得られた多値画像データから、一般的な画像処理手法を用いて所定の画像パターンが含まれているかを判別する。
【0063】
次に、車速センサ23で検出された車速から車両101が停車中であるかどうかを調べる。例えば、車速が5km/hを下回る場合に車両101が停止していると判定する。車両101が停車中である場合(S3:Yes)、停車中の場所が例えば交差点等の所定の場所であるかを調べる。
【0064】
図4はカメラ28で撮影された映像の一例である。車両101は交差点Dの横断歩道43bの手前で赤信号のため停車中である。交差点Dには、信号機41,停止線42,あるいは横断歩道43a〜43c等が設置されている。よって、停車中の場所が交差点Dであるかを判定する場合は、映像データに信号機(赤信号),停止線,横断歩道等の基準画像の少なくとも一つが含まれているかを調べればよい。図6のように、これら基準画像はHDDのデータベース21dに含まれる基準画像記憶領域に記憶されている。画像処理部88において変換された多値画像データに基準画像が含まれているかを判別する。また、位置検出器1で検出された車両の現在位置が交差点のような所定の場所であるかを調べる方法でもよい。
【0065】
車両101が所定の位置に停車中している場合(S4:Yes)、撮影された映像データに所定の画像パターン(施設)が含まれているかを調べるパターン認識処理(S5:後述)を行う。
【0066】
図3の例では同じパターン(施設)を重複して記憶しないように車速あるいは停車位置の条件を設けていたが、いずれか一方の条件を用いる構成としても、これらの条件を用いない構成としてもよい。
【0067】
図7を用いて、図3のステップS5に相当するパターン認識処理について説明する。カメラ28で撮影され画像処理部88で変換された多値画像データに、図5のパターンデータが含まれているかを調べる。パターンデータには、図5のパターン番号1あるいは2のように、施設・店舗の種類を表すパターン種類,パターン種類に対応するパターン名称,およびその画像パターン等が含まれている。つまり、多値画像データに上述のパターンデータが含まれているかを調べる。
【0068】
図7に戻り、多値画像データに上述のABCコンビニ44の看板45のような画像パターンが含まれている場合(S11:Yes)、地図データ21mを参照して地図データ21mの当該位置にABCコンビニ44が存在しない場合、図8のように、表示器10の表示画面上にその画像パターンの名称であるABCコンビニ44が検出された旨を「×」印で表示し、ユーザに記憶するかどうかを問い合わせる(S12)。なお、車両101の現在位置はPで示されている。
【0069】
また、このとき、『ABCコンビニを検出しました。データを記憶しますか。』のような音声メッセージをスピーカ15から送出してもよい。
【0070】
図8の画面で、ユーザが「はい」ボタンを押下すると(S13:Yes)、図9のように、表示画面上にABCコンビニ44の画像パターン(45)が表示される。また、図5を参照して画像パターンに対応する名称(ABCコンビニ)を合わせて表示してもよい。そして、データベース21dに含まれるパターン情報記憶領域(図10参照)に検出されたパターン番号とその位置(二次元座標),および記憶日時が記憶される(S14)。
【0071】
このとき、ユーザが画像パターンの表示位置を変更可能な構成としてもよい。すなわち、リモコン端末12あるいは操作スイッチ群7に含まれるカーソルキー等で「×」印の位置を所望の位置に移動させた後に「はい」ボタンを押下するものである。そして、移動された「×」印の位置がパターン情報記憶領域に記憶される。
【0072】
図10にパターン情報記憶領域の一例を示す。図10の例では最大n個のパターン情報を記憶することができる。新たにパターン情報が記憶される場合は、データが格納されていないことを示すデータ(16進数の00,FF等)が記憶されている空き領域を検索して、検索された空き領域に記憶される。記憶日時の古い順にソートしてパターン情報記憶領域の先頭から順に記憶してもよい。
【0073】
また、パターン情報記憶領域の全てにパターン情報が記憶されている場合、記憶日時を参照して最も古いパターン情報を検索し、そのパターン情報が記憶されている領域に上書き保存する。図10の例では最も古いパターン情報は2005年10月1日に記憶されたものである。
【0074】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】カメラの取り付け位置の例を示す図。
【図3】パターン情報収集処理を説明するフロー図。
【図4】撮影された画像の一例を示す図。
【図5】パターンデータ記憶領域の一例を示す図。
【図6】基準画像記憶領域の一例を示す図。
【図7】パターン認識処理を説明するフロー図。
【図8】画像パターン検出時の表示画面の一例を示す図。
【図9】パターン情報記憶時の表示画面の一例を示す図。
【図10】パターン情報記憶領域の一例を示す図。
【符号の説明】
【0076】
1 位置検出器(位置検出手段,車両位置検出手段)
7 操作スイッチ群(指示手段,パターンデータ設定手段,位置修正手段)
8 制御回路(距離計測手段)
10 表示器(報知手段)
12 リモコン端末(指示手段,パターンデータ設定手段,位置修正手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(パターン情報記憶手段,パターンデータ記憶手段)
21m 地図データ(地図情報記憶手段)
22 タッチパネル(指示手段,パターンデータ設定手段,位置修正手段)
23 車速センサ(車両状態判定手段および停止判定手段)
28 カメラ(撮影手段)
31 マイク(指示手段,パターンデータ設定手段,位置修正手段)
81 CPU
88 画像処理部(パターン検出手段,車両状態判定手段,画像判定手段)
100 車載用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を撮影する撮影手段と、
前記撮影された画像データから所定の画像パターンを検出するパターン検出手段と、
前記画像パターンが撮影された位置を検出する位置検出手段と、
前記画像パターンおよび当該画像パターンが撮影された位置を含むパターン情報を報知する報知手段と、
前記パターン情報の記憶を指示する指示手段と、
前記指示に基づき前記パターン情報を記憶するパターン情報記憶手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記画像データから前記所定の画像パターンを検出するためのパターンデータを記憶するパターンデータ記憶手段を備える請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記パターンデータを設定するパターンデータ設定手段を備える請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記画像パターンが撮影された位置を修正する位置修正手段を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
車両の現在位置を検出する車両位置検出手段と、
前記記憶された画像パターンが検出された位置と前記車両の現在位置との距離を計測する距離計測手段を備え、
前記距離が所定の値を上回る場合に新たな画像パターンの検出を行う請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段を備え、
前記パターン情報記憶手段は前記地図情報記憶手段とは別に設けられる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車両の状態を判定する車両状態判定手段を備え、
前記パターン検出手段は前記車両が所定の状態にあると判定された場合に前記撮影された画像データから所定の画像パターンを検出する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記車両が停止しているかどうかを判定する停止判定手段を備え、
前記パターン検出手段は前記車両が停止していると判定された場合に前記撮影された画像データから所定の画像パターンを検出する請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記撮影された画像データに基準画像が含まれているかどうかを判定する画像判定手段を備え、
前記パターン検出手段は前記基準画像が含まれていると判定された場合に前記撮影された画像データから前記所定の画像パターンを検出する請求項7または8に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記パターン情報記憶手段は前記パターン情報が記憶された日時を記憶し、
前記指示手段により前記所定数を上回るパターン情報の記憶を指示された場合、最も記憶日時の古いパターン情報を削除して前記指示されたパターン情報を記憶する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記パターン情報は前記表示手段において前記地図情報に上書き表示される請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−232787(P2007−232787A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50993(P2006−50993)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】