説明

通信用半導体集積回路および無線通信システム

受信用VCO(250)と送信用VCO(240a,240b)と中間周波数用VCO(230)のうち少なくとも1つのVCOが変復調回路と共に1つの半導体チップ上に形成された通信用半導体集積回路において、オンチップのVCOを複数の周波数帯で動作可能に構成し、また該VCOの発振周波数を測定する回路(22)および測定された値を記憶する記憶回路(18)と該記憶回路に記憶されている測定値と外部からの設定値とを比較して上記VCOの使用周波数帯を決定する回路(19)を設けるとともに、該記憶回路の記憶データを外部へ読出しまた外部から書き込むことができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、VCO(電圧制御発振回路)の特性の測定および電源オフ時の測定値の保存方式に適用して有効な技術に関し、例えばVCOを内蔵し複数バンドの信号を送受信可能な無線通信システムにおいて送受信信号を変復調する高周波用半導体集積回路およびそれを用いた携帯電話機に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
携帯電話機のような無線通信システムにおいては、受信信号や送信信号と合成される所定の周波数の発振信号を発生するためVCOが用いられている。従来提案されている携帯電話機には、例えば880〜915MHz帯のGSM(Global System for Mobile Communication)と1710〜1785MHz帯のDCS(Digital Cellular System)のような2つの周波数帯の信号を扱えるデュアルバンド方式の携帯電話機がある。また、かかるデュアルバンド方式の携帯電話機においては、PLL回路(フェーズ・ロックド・ループ)内のVCOの周波数を切り替えることにより一つのPLL回路で2つのバンドに対応することができるようにしたものがある。
ところが、近年においては、GSMやDCSの他に例えば1850〜1915MHz帯のPCS(Personal Communication System)の信号を扱えるトリプルバンド方式の携帯電話機に対する要求がある。また、携帯電話機は今後さらに多くのバンドに対応できるものが要求されることが考えられる。
このような複数のバンドに対応できる携帯電話機に使用される送信信号の変調や受信信号の復調を行なう高周波用半導体集積回路(以下、高周波ICと称する)には、部品点数の低減という観点からダイレクトコンバージョン方式が有効である。しかしながら、ダイレクトコンバージョン方式は、複数のバンドに対応することが比較的容易ではあるが、VCOの発振可能な周波数範囲を広くする必要がある。ここで、一つのVCOで全ての周波数に対応しようとすると、VCOの制御電圧の感度が高くなり外来ノイズや電源電圧変動に弱くなるという不具合がある。
一方、従来は一般に高周波ICとは別個のモジュールとして構成されることが多いVCOを、高周波ICと同一の半導体チップ上に形成することが、部品点数の低減にとっては有効である。しかしながら、現在の製造技術ではVCOをオンチップとした場合には、発振周波数の絶対値のバラツキが大きくなるので、製造後に発振周波数を補正する機能が不可欠となる。そして、このバラツキの補正を従来の半導体集積回路に用いられている一般的なマスクオプションやボンディングワイヤオプションによるトリミングで行なおうとすると、コストアップが避けられなくなる。
そこで、本発明者等は、送受信に使用される高周波の信号を生成する発振回路(RFVCO)を複数の帯域で動作可能に構成し、発振回路の制御電圧を所定の値に固定した状態で各帯域での発振回路の発振周波数を測定して記憶回路に記憶しておいて、PLL起動時に与えられる周波数指定用の設定値と上記記憶しておいた周波数の測定値とを比較して、その比較結果から実際に発振回路において使用する帯域を決定するように構成する。これにより、複数の通信方式に対応するためVCOの発振可能な周波数範囲を広くしても、VCOの制御電圧の感度が高くならず外来ノイズや電源電圧変動による影響を受けにくいとともに、VCOの発振周波数のバラツキを内部回路で自動的に補正することができるPLL回路を備えた通信用半導体集積回路(高周波IC)を開発し、先に出願した(特願2002−11050号)。
前記先願においては、VCOの発振周波数を測定しその測定結果をレジスタのような揮発性の記憶回路に保持し、その測定結果を用いてVCOの特性バラツキを内部回路で自動的に補正するように構成されている。そのため、電源がオフされるとその測定結果が失われてしまうので、電源が再投入されたときに再度VCOの周波数の測定と補正を行なう必要があり、その処理に要する時間が長くなるとともに、消費電力も増大するという課題がある。
ここで、電源がオフされても測定結果が失われないように記憶回路を不揮発性メモリで構成することも考えられる。しかしながら、現在の技術では、不揮発性メモリをチップ内部に設けようとするとプロセスが複雑になってチップコストが大幅に上昇するとともに、不揮発性メモリの書込みのためには高電圧が必要であるため昇圧回路を設けなくてはならず、それによってチップサイズが増加するとともに昇圧回路における消費電力が多くなってしまい、VCOの測定省略で消費電力を減らしたとしてもトータルの消費電力はそれほど減少しないかもしくはかえって増加するおそれがあるという不具合がある。
ところで、電池で駆動される携帯電話機は1回の充電で駆動できる時間を長くするため、システムを構成する半導体チップはそれぞれできるだけ低消費電力であることが望まれる。これとともに、携帯電話機では、待ち受け時等において制御用のCPU(マイクロプロセッサ)やベースバンド用のLSIのみ動作させ高周波ICはその電源をオフするような制御が行なわれることが多い。
上記先願発明のように、VCOの発振周波数を測定しその測定結果をレジスタのような揮発性の記憶回路に保持させるように構成されていると、高周波ICの電源がオフされると、電源再投入の際にVCOの発振周波数を再度測定してその測定結果に基づいて特性バラツキを補正する動作を行なう必要がある。しかも、複数バンドの信号を送受信可能な携帯電話機を構成する高周波ICは、VCOを複数の周波数帯で発振動作可能に構成するのが望ましいが、そのようにすると各周波数帯の周波数を測定する必要があり、単一周波数帯で動作するVCOに比べて測定時間が長くなるという不具合がある。
この発明の目的は、複数バンドの信号を送受信可能な携帯電話機を構成するのに好適でかつ消費電力の少ない通信用半導体集積回路を提供することにある。
この発明の他の目的は、内蔵発振回路(VCO)およびその特性バラツキを測定しその測定値に基づいて補正可能な仕組みを備え、送信信号の変調や受信信号の復調を行なう通信用半導体集積回路(高周波IC)において、電源がオフされ再投入された際にVCOの発振周波数を測定する必要がなくそれによって消費電力を低減することができる通信用半導体集積回路を提供することにある。
この発明の他の目的は、内蔵発振回路(VCO)およびその特性バラツキを測定しその測定値に基づいて補正可能な仕組みを備え、送信信号の変調や受信信号の復調を行なう通信用半導体集積回路(高周波IC)において、電源がオフされ再投入された際に、短時間にシステムを通常動作状態に移行させることができる通信用半導体集積回路を提供することにある。
この発明のさらに他の目的は、電池寿命が長くなり1回の充電で動作可能な時間が長い携帯電話機を提供することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添附図面から明らかになるであろう。
【発明の開示】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
受信用VCO(電圧制御発振器)と送信用VCOと中間周波数用VCOのうち少なくとも1つのVCOが変復調回路と共に1つの半導体チップ上に形成された通信用半導体集積回路において、オンチップのVCOを複数のバンドで動作可能に構成し、また該VCOの発振周波数を測定する回路および測定された値を記憶する記憶回路と該記憶回路に記憶されている測定値と外部からの設定値とを比較して上記VCOの使用バンドを決定する回路を設けるとともに、該記憶回路の記憶データを外部へ読出しまた外部から書き込むことができるように構成したものである。
上記した手段によれば、記憶回路に記憶されているVCOの発振周波数測定値を当該通信用半導体集積回路の電源オフ時に外部のメモリに退避し、電源再投入時に退避データを元の記憶回路に復帰させることにより、電源投入毎にVCOの発振周波数を測定する必要がなくなり、半導体集積回路としての消費電力を減らすことができる。また、システムの立上り時間すなわち送受信動作を開始できる通常動作モードに達するまでの時間を短縮することができるとともに、通信用半導体集積回路の電源をオフさせることでシステム全体としての消費電力を低減することができるようになる。
ここで、記憶回路の記憶データを外部へ読出しまた外部から書き込むことができるようにする方式としては、外部端子を設ける方式と、元々通信用半導体集積回路が備えているデータの送受信の機能を利用する方式と、VCOの周波数測定値を記憶する記憶回路に電源電圧を供給する給電線を記憶回路以外の回路の給電線と分離して設け、電源遮断時に記憶回路のデータが失われないようにバックアップする方式などがある。
記憶回路の記憶データを外部へ読出しまた外部から書き込むことができる外部端子を設ける場合にも、専用の端子として設けても良いが、既にある他の信号のための端子を利用することができる。記憶回路の給電線を記憶回路以外の回路の給電線と分離して設けるバックアップ方式の場合、通信用半導体集積回路内にあるVCOの発振信号に基づいて外部に他の半導体チップの動作クロックを生成して出力する回路を同一のチップ上に設け、該回路には記憶回路と同一の給電線で電源電圧を供給するように構成すると良い。これにより、通信用半導体集積回路の電源をオフさせても、記憶回路のデータの消失を防止できかつ他のチップに対しては動作クロックを供給し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路(高周波IC)及びそれを用いた無線通信システムの要部の構成例を示すブロック図である。
図2は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路(高周波IC)におけるRFVCOを含むPLL回路の一実施例を示すブロック図である。
図3は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路(高周波IC)における電圧制御発振回路(VCO)の一実施例を示す回路図である。
図4は、RFVCOの周波数可変範囲を連続的に変化させる場合と複数の帯域に分けて変化させる場合における制御電圧Vcと発振周波数fRFとの関係を示すグラフである。
図5は、RFPLL回路の概略構成とRFVCOの周波数測定値を記憶する記憶回路のデータを外部へ読み出す仕組みの一例を示すブロック図である。
図6は図2の実施例の高周波ICを用いた図5の無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および待ち受け時等における高周波ICの電源遮断/復帰動作の手順を示すフローチャートである。
図7は、図2の実施例の高周波ICを用いた無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および測定結果に基づく周波数特性の補正(使用バンドの決定)のタイミングを示すタイミングチャートである。
図8は、本発明の第2の実施例の通信用半導体集積回路(高周波IC)及びそれを用いた無線通信システムの要部の構成例を示すブロック図である。
図9は、本発明の第3の実施例の通信用半導体集積回路(高周波IC)及びそれを用いた無線通信システムの要部の構成例を示すブロック図である。
図10は、図9の実施例の高周波ICを用いた無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および待ち受け時等における高周波ICの電源遮断/復帰動作の手順を示すフローチャートである。
発明を実施するため最良の形態
次に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路(高周波IC)及びそれを用いた無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、100は信号電波の送受信用アンテナ、110は送受信切り替え用のスイッチ、120a〜120cは受信信号から不要波を除去するSAWフィルタなどからなる高周波フィルタ、130は送信信号を増幅する高周波電力増幅回路、200は受信信号を復調したり送信信号を変調したりする高周波IC、300は送信データをI,Q信号に変換したり高周波IC200を制御したりするベースバンド回路(LSI)である。高周波IC200は1つの半導体チップ上に半導体集積回路として構成される。
特に制限されるものでないが、この実施例の高周波IC200は、GSM850とGSM900、DCS1800、PCS1900の4つの通信方式による信号の変復調が可能に構成されている。また、これに応じて、高周波フィルタは、GSM系の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120aと、DCS1800の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120bと、PCS1900の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120cとが設けられる。GSM850とGSM900は周波数帯が近いので、この実施例では共通のフィルタ120aが用いられる。
本実施例の高周波IC200は、大きく分けると、受信系回路RXCと、送信系回路TXCと、それ以外の制御回路やクロック生成回路など送受信系に共通の回路からなる制御系回路CTCとで構成される。
受信系回路RXCは、受信信号を増幅するロウノイズアンプ210a,210b,210cと、高周波用発振回路(RFVCO)250で生成された発振信号φRFを分周し互いに90°位相がずれた直交信号を生成する移相分周回路211と、ロウノイズアンプ210a,210b,210cで増幅された受信信号に移相分周回路211で分周された直交信号を合成することで復調を行なうミキサからなる復調回路212a,212bと、復調されたI,Q信号をそれぞれ増幅してベースバンド回路300へ出力する高利得増幅部220A,220Bと、高利得増幅部220A,220B内のアンプの入力DCオフセットをキャンセルするためのオフセットキャンセル回路213などからなる。
高利得増幅部220Aは、複数のロウパスフィルタLPF11,LPF12,LPF13,LPF14と利得制御アンプPGA11,PGA12,PGA13とが交互に直列形態に接続され、最終段に利得が固定のアンプAMP1が接続された構成を有しており、I信号を増幅してベースバンド回路300へ出力する。高利得増幅部220Bも同様に、複数のロウパスフィルタLPF21,LPF22,LPF23,LPF24と利得制御アンプPGA21,PGA22,PGA23とが交互に直列形態に接続され、最終段に利得が固定のアンプAMP2が接続された構成を有しており、Q信号を増幅してベースバンド回路300へ出力する。
オフセットキャンセル回路213は、各利得制御アンプPGA11〜PGA23に対応して設けられ入力端子間を短絡した状態におけるそれらの出力電位差をディジタル信号に変換するAD変換回路(ADC)と、これらのAD変換回路による変換結果に基づき対応する利得制御アンプPGA11〜23の出力のDCオフセットを「0」とするような入力オフセット電圧を生成し差動入力に対して与えるDA変換回路(DAC)と、これらのAD変換回路(ADC)とDA変換回路(DAC)を制御してオフセットキャンセル動作を行なわせる制御回路などから構成される。
送信系回路TXCは、例えば640MHzのような中間周波数の発振信号φIFを生成する発振回路(IFVCO)230と、該発振回路230で生成された発振信号φIFを1/4分周して160MHzのような信号を生成する分周回路231と、該分周回路231で分周された信号をさらに分周しかつ互いに90°位相がずれた直交信号を生成する移相分周回路232と、生成された直交信号をベースバンド回路300から供給されるI信号とQ信号により変調をかける変調回路233a,233bと、変調された信号を合成する加算器234と、所定の周波数の送信信号φTXを発生する送信用発振回路(TXVCO)240と、送信用発振回路(TXVCO)240から出力される送信信号φTXをカプラ等で抽出したフィードバック信号と高周波用発振回路(RFVCO)250で生成された発振信号φRFを分周した信号φRF’とをミキシングすることでそれらの周波数差に相当する周波数の信号を生成するオフセットミキサ236と、該オフセットミキサ236の出力と前記加算器234で合成された信号TXIFとを比較して位相差を検出するアナログ位相比較器237aおよびディジタル位相比較器237bと、該位相検出回路237a,237bの出力に応じた電圧を生成するループフィルタ238などから構成されている。
なお、ループフィルタ238を構成する抵抗および容量は、外付け素子として実施例の高周波ICの外部端子に接続される。送信用発振回路(TXVCO)240は、GSM850とGMS900の送信信号を生成する発振回路240aと、DCS1800とPCS1900の送信信号を生成する発振回路240bとからなる。このように発振回路を2つ設けているのは、送信用発振回路は、高周波用発振回路250や中間周波数の発振回路230に比べて周波数の可変範囲が広く1つの発振回路ですべてカバーできる回路を設計するのは容易でないためである。
アナログ位相比較器237aとディジタル位相比較器237bが設けられているのは、PLL回路の動作開始時における引込み動作を早くするためである。具体的には、送信開始時は先ずディジタル位相比較器237bで位相比較を行ない、その後アナログ位相比較器237aに切り替えることで、高速で位相ループをロックさせることができるようにされる。
また、この実施例の高周波IC200のチップ上には、チップ全体を制御する制御回路260と、前記高周波用発振回路(RFVCO)250と共にRF用PLL回路を構成するRFシンセサイザ261と、前記中間周波数の発振回路(IFVCO)230と共にIF用PLL回路を構成するIFシンセサイザ262と、これらのシンセサイザ261および262の基準信号となるクロック信号φrefを生成する基準発振回路(VCXO)264とが設けられている。シンセサイザ261および262は、位相比較回路とチャージポンプとループフィルタなどで構成される。
なお、基準発振信号φrefは周波数精度の高いことが要求されるため、基準発振回路264には外付けの水晶振動子が接続される。基準発振信号φrefとしては、26MHzあるいは13MHzのような周波数が選択される。かかる周波数の水晶振動子は比較的安価に手に入るからである。
図1において1/2,1/4などの分数が付記されているブロックはそれぞれ分周回路、符号BFFで示されているのはバッファ回路である。また、SW1,SW2,SW3は、GSM方式に従った送受信を行なうGSMモードとDCSまたはPCS方式に従った送受信を行なうDCS/PCSモードとで接続状態が切り替えられて、伝達される信号の分周比を選択するスイッチである。SW4は送信時にベースバンド回路300からのI,Q信号を変調用ミキサ233a,233bに供給すべくオン、オフ制御されるスイッチである。これらのスイッチSW1〜SW4は制御回路260からの信号によって制御される。
制御回路260には、コントロールレジスタCRGが設けられ、このレジスタCRGはベースバンド回路300からの信号に基づいて設定が行なわれる。具体的には、ベースバンド回路300から高周波用IC200に対して同期用のクロック信号CLKと、データ信号SDATAと、制御信号としてのロードイネーブル信号LENとが供給されており、制御回路260は、ロードイネーブル信号LENが有効レベルにアサートされると、ベースバンド回路300から伝送されてくるデータ信号SDATAをクロック信号CLKに同期して順次取り込んで、上記コントロールレジスタCRGにセットする。特に制限されるものでないが、データ信号SDATAはシリアルで伝送される。ベースバンド回路300はマイクロプロセッサなどから構成される。
コントロールレジスタCRGは、特に制限されるものでないが、高周波用発振回路(RFVCO)250や中間周波数の発振回路(IFVCO)230におけるVCOの周波数測定を開始させる制御ビットや、受信モード、送信モード、アイドルモード、ウォームアップモードなどのモードを指定するビットフィールドなどが設けられる。ここで、アイドルモードは待受け時等ごく一部の回路のみ動作し少なくとも発振回路を含む大部分の回路が停止するスリープ状態となるモード、ウォームアップモードは送信または受信の直前にPLL回路を起動させるモードである。
この実施例では、位相検出回路237a,237bと、ループフィルタ238、送信用発振回路(TXVCO)240a,240bおよびオフセットミキサ236とによって周波数変換を行なう送信用PLL回路(TXPLL)が構成される。本実施例のマルチバンド方式の無線通信システムでは、例えばベースバンド回路300からの指令によって制御回路260が、送受信時に高周波用発振回路250の発振信号の周波数φRFを使用するチャネルに応じて変更すると共に、GSMモードかDCS/PCSモードかに応じて上記スイッチSW2を切り替えることで、オフセットミキサ236に供給される信号の周波数が変更されることによって送信周波数の切り替えが行なわれる。
表1は、本実施例のクウォッドバンド用の高周波ICにおける中間周波用発振回路(IFVCO)230、送信用発振回路(TXVCO)240および高周波用発振回路(RFVCO)250の発振信号φIF,φTX,φRFの周波数の設定例を示す。
【表1】

表1に示されているように、本実施例では、中間周波用発振回路(IFVCO)230の発振周波数はGSM、DCS、PCSいずれの場合にも640MHzに設定され、これが分周回路231と移相分周回路232で1/8に分周されて80MHzの搬送波(TXIF)が生成されて変調が行なわれる。
一方、高周波用発振回路(RFVCO)250の発振周波数は、受信モードと送信モードとで異なる値に設定される。高周波用発振回路(RFVCO)250の発振周波数fRFは、送信モードでは、例えばGSM850の場合3616〜3716MHzに、GSM900の場合3840〜3980MHzに、またDCSの場合3610〜3730MHzに、さらにPCSの場合3860〜3980MHzに設定され、これが分周回路でGSMの場合は1/4に分周され、またDCSとPCSの場合は1/2に分周されてφRF’としてオフセットミキサ236に供給される。
オフセットミキサ236では、このφRF’と送信用発振回路130からの送信用発振信号φTXの周波数の差(fRF’−fTX)に相当する信号が出力され、この差信号の周波数が変調信号TXIFの周波数と一致するように送信用PLL(TXPLL)が動作する。言いかえると、TXVCO240は、RFVCO250からの発振信号φRF’の周波数(fRF/4)と変調信号TXIFの周波数(fTX)の差に相当する周波数で発振するように制御される。これが、いわゆるオフセットPLL方式と呼ばれるシステムにおける送信動作である。
図2には、VCOの周波数測定機能と測定結果に基づいてVCOの周波数特性を補正する機能を備えたPLL回路の具体例が示されている。
図2において、250は高周波用発振回路(RFVCO)、また、12はRFVCO250の発振信号φRFを分周する可変分周回路、13は基準発振回路264からの基準発振信号φrefを1/65に分周する固定分周回路、14は上記可変分周回路12と固定分周回路13で分周された信号の位相を比較して位相差に応じた電圧UP,DOWNを出力する位相比較器、15はチャージポンプ、16はループフィルタであり、チャージポンプ15によってループフィルタ16の容量素子がチャージアップされて上記RFVCO250の制御電圧Vcとして出力され、RFVCO250が所定の周波数で発振動作されるPLLループが構成されている。ループフィルタ16を構成する容量や抵抗は外付け素子として接続される。
この実施例のPLL回路は、図2に示されているように、チャージポンプ15とループフィルタ16との間に、周波数測定時やPLL引込み時にチャージポンプ15からの電圧Vcの代わりに所定の直流電圧VDCをループフィルタ16に供給可能なスイッチSW0と、チャージポンプ15に印加される直流電圧VDCを生成する直流電圧源17が設けられている。また、可変分周回路12により計数された値を記憶するレジスタなどからなる記憶回路18と、該記憶回路18に記憶されている周波数値と外部からカウンタ22に設定される設定値N8〜N0およびA5,A4とを比較してRFVCO250のバンド切り替え信号VB3〜VB0を生成する使用バンド決定回路19等が設けられている。なお、この使用バンド決定回路19は前記制御回路260の一部として構成することも可能である。測定時の直流電圧VDCを供給可能なスイッチSW0は、ループフィルタ16とRFVCO250との間に設けても良い。
周波数測定時、スイッチSW0により供給される直流電圧VDCは、制御電圧Vcの有効可変範囲内であればどのような電圧値であってもよい。本実施例では、制御電圧Vcの可変範囲の上限値(Vcp−max)が選択される。周波数測定中、直流電圧VDCは、バンドを切り替えても同一の値とされる。上記スイッチSW0、可変分周回路12、記憶回路18および使用バンド決定回路19は、前記制御回路260によって制御される。可変分周回路12と固定分周回路13、位相比較器14、チャージポンプ15、記憶回路18および使用バンド決定回路19により、図1に示されているRFシンセサイザ261が構成される。
RFVCO250は、例えばLC共振回路を用いた例えば図3に示すような発振回路で構成される。図3のRFVCO250は、LC共振回路を構成する容量素子C11,C12〜C41,C42が各々スイッチ素子SW11〜SW14を介して複数個並列に設けられており、そのスイッチ素子SW11〜SW14を上記バンド切り替え信号VB3〜VB0で選択的にオンさせることにより、接続される容量素子すなわちLC共振回路のCの値を切り替えることで発振周波数を段階的に切り替えることができるように構成されている。
より具体的には、RFVCO250は、互いのベースとコレクタが直流カットの容量C1,C2を介して交差結合された一対のバイポーラトランジスタQ1,Q2と、該トランジスタQ1,Q2の共通エミッタと接地点GNDとの間に接続された定電流源Icと、各トランジスタQ1,Q2のコレクタと電源電圧端子Vccとの間にそれぞれ接続されたインダクタ(コイル)L1,L2と、上記トランジスタQ1,Q2のコレクタ端子間に直列に接続された可変容量素子としてのバリキャップダイオードDv1,Dv2とを有しており、上記ループフィルタ16からの制御電圧Vcによりこのバリキャップダイオードの容量値が変化され、発振周波数が連続的に変化される。
VCOがカバーすべき周波数範囲を広くしたい場合、制御電圧Vcによるバリキャップダイオードの容量値の変化のみで行なおうとすると、図4に破線Aで示すように、Vc−fRF特性が急峻になり、VCOの感度すなわち周波数変化量と制御電圧変化量との比(Δf/ΔVc)が大きくなってノイズに弱くなる。つまり、制御電圧Vcに僅かなノイズがのっただけでVCOの発振周波数fRFが大きく変化してしまう。
そこで、この実施例のRFVCO250は、LC共振回路を構成する容量素子を複数個並列に設けて、バンド切替え信号VB3〜VB0で使用する容量素子を切り替えてCの値を例えば16段階に変化させることで、図4に実線で示すように、複数のVc−fRF特性線に従った発振制御を行なえるように構成したものである。しかも、この実施例では、記憶回路18と使用バンド決定回路19とを設けたことにより、従来のPLL回路で行なわれている周波数の合わせ込みという調整作業が不要になっている。
すなわち、従来のPLL回路では、例えば図4のような複数のVc−fRF特性線を有するVCOを構成する場合にも、VCOを動作させて周波数を測定し各複数のVc−fRF特性線が所定の初期値と所定の傾きとなるように、周波数の合わせ込みを行なっていた。これに対し、本実施例のPLL回路は、予めスイッチSW0を切り替えて所定の直流電圧VDCをRFVCO250に印加して各バンドでの周波数を測定して記憶回路18に記憶しておき、実際の使用に際しては、外部からカウンタ22に与えられる指定バンドに応じた設定値N8〜N0およびA5,A4と記憶回路18に記憶されている測定値を比較して、その指定バンドの周波数範囲をカバーできるものを、図4のような複数(16個)のVc−fRF特性線の中から1つだけ選んでその特性線に従って発振制御動作するように、RFVCOの切り替え(容量素子の切り替え)を行なうようにする。
このような方式によれば、予めカバーしたい周波数範囲よりもバラツキを考慮した分だけ少し広めの範囲をカバーするとともに、図4のように16段階のVc−fRF特性線を隣接するもの同士で少しずつ(望ましくは半分ずつ)周波数範囲が重なるようにRFVCOを設計しておけば、必ず指定された周波数範囲をカバーできる特性線が存在することになる。従って、測定によって分かった実際の特性に基づいて、各指定バンドに対応しているものを選択すればよく、周波数の合わせ込みが不要となるとともに、予め使用バンドとRFVCOの切り替え状態とを1対1で対応させておく必要がない。
可変分周回路12は、RFVCO250の発振信号を分周するプリスケーラ21と、プリスケーラ21で分周された信号をさらに分周する第1カウンタ22Nおよび第2カウンタ22Aからなるモジュロカウンタ22とにより構成されている。
プリスケーラ21とモジュロカウンタ22による分周の仕方は既に公知の技術である。プリスケーラ21は、例えば1/64分周と1/65分周のように、分周比の異なる2種類の分周が可能に構成されており、第2カウンタ22Aのカウント終了信号で切り替えが行なわれる。第1カウンタ22Nと第2カウンタ22Aはプログラマブルカウンタで、第1カウンタ22Nには、所望の周波数(出力として得たいVCOの発振周波数fRF)を基準発振信号φref’の周波数fref’とプリスケーラ21の第1の分周比(実施例では64)とで割り算したときの整数部が、また第2カウンタ22Aには、その余り(MOD)が設定され、その設定された値を計数するとカウントを終了し、再度設定値のカウントを行なう。
具体的には、例えば基準発振信号φref’の周波数fref’が400kHzで、所望のVCOの発振周波数fRFが3789.6MHzの場合を考えると、3789.6÷0.4÷64=148余り2であるので、第1カウンタ22Nに設定される値Nは「148」で、第2カウンタ22Aに設定される値Aは「2」である。このような値が設定された状態でプリスケーラ21とモジュロカウンタ22が動作すると、プリスケーラ21は先ず1/64分周動作をし、その出力を第2カウンタ22Aが設定値の「2」まで計数すると、第2カウンタ22Aからカウント終了信号MCが出力され、この信号MCによってプリスケーラ21の動作が切り替えられ、再び第2カウンタ22Aが設定値の「2」を計数するまでプリスケーラ21は1/65分周で動作する。
このような動作をすることによって、モジュロカウンタ22は整数比でなく、小数部を有する比で分周を行なうことができるようになる。実施例のPLL回路は、第1カウンタ22Nの出力の周波数が基準発振信号φref’の周波数fref’(400kHz)と一致するようにフィードバックがかかってRFVCO250が発振制御されるため、第1カウンタ22Nに設定される値Nが「148」で、第2カウンタ22Aに設定される値Aが「2」である上記具体例の場合には、RFVCO250の発振周波数fRFは、
fRF=(64×148+2)×fref’=9474×400=3789600
より、3789.6MHzとなる。
なお、第1カウンタ22Nと第2カウンタ22Aは実際にはバイナリカウンタで構成されるので、第1カウンタ22Nに設定される値Nと第2カウンタ22Aに設定される値Aは、バイナリコードで与えられる。この実施例では、特に制限されるものでないが、PLL動作時には第1カウンタ22Nは9ビットカウンタとして、また第2カウンタ22Aは6ビットカウンタとして動作するため、第1カウンタ22Nに設定される値は9ビットコードN8〜N0で、また第2カウンタ22Aに設定される値は、6ビットコードA5〜A0で与えられるようにされる。
さらに、この実施例では、第1カウンタ22Nは周波数の測定時には11ビットのカウンタとして動作できるように構成されている。RFVCO250は16バンドすなわち16段階で発振周波数を切り替えることができるように構成され、記憶回路18にはこの16バンドのそれぞれについて測定された周波数を記憶するため16個のレジスタREG0〜REG15が設けられている。また、使用バンド決定回路19は、記憶回路18のレジスタREG0〜REG15に記憶されている値と第1カウンタ22Nに設定される9ビットコードN8〜N0および第2カウンタ22Aに設定される6ビットコードA5〜A0のうち上位2ビットA5,A4とを比較する11ビットのコンパレータを備え、RFVCO250に対するバンド切り替え信号として4ビットのコードVB3〜VB0を出力するように構成されている。
制御回路260は、周波数測定時には、RFVCO250に対して16個のバンドを順番に選択するように切り替え信号VB3〜VB0を生成して出力する。さらに、制御回路260は、周波数測定時には、第1カウンタ22Nを11ビットのカウンタとして動作させるとともに基準発振信号φref’の1周期ではなく例えば4周期のような長い期間におけるクロック数を計数するように第1カウンタ22Nを制御する。また、制御回路260は、周波数測定時には、第2カウンタ22Aの動作を停止させ、プリスケーラ22の分周比の切り替えが行なわれないように制御する。これによって、周波数測定時には、プリスケーラ22は1/64のみの分周動作を行なうようにされる。
この実施例において、周波数測定時に基準発振信号φref’の1周期ではなく4周期にわたって計数動作させるようにしているのは、測定精度を高くするためである。すなわち、プリスケーラ21が設けられていることによって、φref’の1周期の測定でカウンタ22Nにおいて生じる最大誤差つまりφref’の1周期の測定でカウンタ22Nが1パルスカウントエラーを起こしたとすると、そのときの誤差はプリスケーラ21の分周比である64倍に拡大される。そのため、基準発振信号φref’が400kHzの場合にはカウンタ22Nの最大誤差は25,6MHz(=400kHz×64)であるが、4周期の測定でカウンタ22Nにおいて生じる誤差は1/4の約6.4MHzに低減される。
周波数測定時に第1カウンタ22Nによって計数された11ビットの計数値は記憶回路18のいずれかのレジスタに格納される。そして、この格納された値は、PLL動作時には、上位8ビットが整数部とみなされて使用バンド決定回路19において、外部から供給される第1カウンタ22Nの設定コードN8〜N0と比較される。また、記憶回路18のレジスタに格納された値のうち下位2ビットは小数部とみなされて使用バンド決定回路19において、外部から供給される第2カウンタ22Aの設定コードA5〜A0のうち上位2ビットA5,A4と比較される。
使用バンド決定回路19は、コンパレータとイクスクルーシブORゲートなどから構成されおり、記憶回路18の各レジスタREG0〜REG15の格納値と設定コードN8〜N0およびA5,A4との比較結果からRFVCO250の使用バンドを決定し、そのバンドを選択するようなバンド切り替えコードVB3〜VB0が生成されてRFVCO250に供給される。RFVCO250は、GSMのような通信システムに使用されるPLL回路の場合には、各バンドがGSMのチャンネル間隔に応じて例えば400kHzのような間隔に設定される。
以下、この実施例のPLL回路における制御回路260による周波数測定および周波数特性の補正の手順を説明する。なお、このRFVCOの周波数測定と測定結果に基づく周波数特性の補正は、例えばアイドルモード中にベースバンド回路300から所定のコマンドが入力される度に行なわれる。
制御回路260は、RFVCO250の周波数測定が開始されると、先ずスイッチSW0を切り替えてループフィルタ16に直流電圧VDCを供給する。そして、ループフィルタ16の電圧Vcが安定し、RFVCO250の発振周波数が安定するのを待つ。次に、プリスケーラ21の分周比を1/64に固定するとともに、第1カウンタ22Nが11ビットカウンタとして動作するように設定する。それから、選択バンドを示すポインタを参照してRFVCO250のバンドを選択するコードVB3〜VB0を出力する。ここで、最初に選択されるバンドは、例えば周波数範囲が最も低いBAND0である。
次に、第1カウンタ22Nを基準発振信号φref’の4周期にわたって計数動作させ、カウンタの計数値を記憶回路18のいずれかのレジスタに格納する。最初に格納されるレジスタは第1レジスタREG0である。それから、全てのバンドの周波数測定を終了したか判定する。ここで、終了していなければ選択バンドを示すポインタの値を加算(+1)して上記の動作を繰り返す。
その後、スタンバイ状態で送受信開始に伴いベースバンド回路から使用チャネルに応じた周波数設定値が供給されると、使用バンド決定回路19においてその周波数設定値に基づいて記憶回路18の各レジスタREG0〜REG15の格納値と設定コードN8〜N0およびA5,A4との比較結果からRFVCO250の使用バンドが決定され、RFVCO250にバンド選択信号VB3〜VB0が供給されて周波数特性が補正される。
図1の実施例の高周波IC200においては、中間周波数用VCO(IFVCO)230と送信用VCO(TXVCO)240に関しても周波数測定機能と測定結果に基づく周波数特性の補正機能が設けられている。しかも、これらの機能を共通の回路により実行できるように構成することで、回路規模の増加を抑制している。IFVCO230とTXVCO240の周波数測定機能と、測定結果に基づく周波数特性の補正機能を実現する構成は、RFVCO250の周波数測定機能と補正機能とほぼ同様であるので説明は省略する。本発明は、RFVCO250に関してのみ周波数測定機能と補正機能が設けられている高周波ICに対しても有効である。
本実施例の高周波ICは、RFVCO250の各バンドの周波数測定値を記憶する上記記憶回路18に記憶されている値および中間周波数用VCO(IFVCO)230と送信用VCO(TXVCO)240の各バンドの周波数測定値を記憶する図示しない記憶回路に記憶されている値が、電源遮断時等にチップ外部へ読み出されて外部のメモリに記憶され、電源再投入時には逆に外部メモリに退避されていた測定値を記憶回路18に復帰できるように構成されている。
記憶回路18等からの測定値の読出しを可能にするため、RF用PLL回路を構成するRFシンセサイザ261には、記憶回路18の各レジスタREG0〜REG15を順に選択する信号を生成するカウンタ31と、並列に読み出された測定値をシリアルデータに変換し、逆に外部からシリアルに入力されたデータをパラレルデータに変換してレジスタに供給するシリアル/パラレル変換回路32とが設けられている。特に制限されるものでないが、カウンタ31とシリアル/パラレル変換回路32は、基準発振回路264により生成される基準発振信号φrefによって動作される。
本実施例の高周波IC200は、待ち受け時のような送信も受信も行なわないアイドルモード、送信や受信の直前にPLLを起動してロックさせるウォームアップモード、受信系回路を動作させて信号の受信を行なう受信モード、送信系回路を動作させて信号の送信を行なう送信モードのような複数の動作モードを備えている。そして、これらのモードは、ベースバンドIC300から高周波IC200の制御回路260に対して供給されるコマンドによって開始される。コマンドは例えば8ビットや16ビットのような所定のビット長のコード(以下、Wordと記す)によって構成されており、予め複数種類のコマンドコードが用意されている。
図5には、本実施例の高周波IC200とこれを制御するベースバンドLSI300や高周波ICから読み出されたデータを記憶するメモリを有する他の半導体チップ400との関係が示されている。図5の実施例においては、上記記憶回路18に記憶されている値を電源遮断時等に退避するスタックメモリを提供する半導体チップ400として、内部メモリ410を有するシングルチップマイコン(CPU)が用いられており、高周波IC200にはCPU400とシリアル通信でデータを送受信するための端子272が設けられている。
このデータ入出力端子272は既存の他の端子(例えばRF−PLLを高速でロックさせるための電圧を生成する外付け抵抗を接続するための端子:図8の端子「39」参照)と兼用させることができる。500は、高周波IC200の電源電圧Vccを発生するDC−DCコンバータのようなスイッチング・レギュレータ、281は基準発振回路264の一部を構成する水晶振動子や容量素子などの素子からなる外付け回路、271は基準発振回路264で生成された発振信号を外部の同期用クロックとして出力する外部端子である。
この実施例においては、CPU400がベースバンドIC300に対して高周波IC200の電源をオフするように指令するコマンドを送ると、ベースバンドIC300が高周波IC200の制御回路260に対して記憶回路18に記憶されている測定値を外部へ出力するように指令を与える。すると、制御回路260からの制御信号によってカウンタ31がレジスタ指定信号を順次生成して記憶回路18からデータの読み出しを行ない、読み出されたデータはシリアル/パラレル変換回路32でシリアルデータに変換されて外部端子272へ出力され、CPU400がそのデータをシリアルポート等を介して内部に取り込み、内部メモリ(RAMもしくはフラッシュメモリのような書替え可能な不揮発性メモリ)410等に格納する。また、高周波IC200の電源を再投入する際には外部のメモリに退避されていたデータが元の記憶回路18等に復帰される。
この実施例では、高周波IC200の電源のオフはCPU400からベースバンドIC300へのコマンドによってなされるので、CPU400は電源オフコマンドを発行した後、所定時間経過したのを見計らってシリアルポートからデータを取り込めば良く、CPU400から高周波IC200に対して何らコマンドや制御信号を送る必要がない。外部のメモリに退避されていたデータを戻す場合も同様である。
以下、本実施例の高周波ICを用いた図5の無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および測定結果に基づく周波数特性の補正(使用バンドの決定)の手順および待ち受け時等における高周波ICの電源遮断/復帰動作の手順について、図6および図7を用いて詳細に説明する。
システムの電源が投入されるとレギュレータ500が起動され、高周波IC200に対して電源の供給が開始される。電源の立上り後にベースバンドIC300から高周波IC200に対して例えばビットB1,B0が[00]に設定された“Word1”なるコマンドが供給されると、制御回路260によって高周波IC200内部のレジスタなどの回路がリセット状態にされ、高周波IC200はアイドルモード(コマンド待ち状態)に入る(図6ステップS1,図7タイミングt1)。このアイドルモードでは、各VCOの発振動作は停止される。その後、ベースバンドIC300からのVCOの測定を指示する所定のビットコードからなるコマンド(Word7)を受けると、高周波IC200内の各VCOの周波数測定処理が行なわれる(ステップS2,図7タイミングt2)。
実施例の高周波IC200においては、RFVCO250とIFVCO230の各バンドの周波数測定は並行して行なわれる。ここで、RFVCO250は16バンド、IFVCO230は8バンドであるため、IFVCO230の周波数測定の方が早く終了する(図7タイミングt3)。すると、IFVCO230の周波数測定に使用したカウンタを用いた送信用TXVCO240aの周波数測定を行ない、それが終了すると、TXVCO240bの周波数測定を行なう(図7タイミングt4)。なお、IFVCO230に関しては、その周波数測定終了時点で直ちに使用バンドの選択を行なうようにされている。
ベースバンドIC300は“Word7”の送信後、適当な時間が経過すると初期設定を指令する“Word5,6”を送って来る。TXVCO240bの周波数測定が終了すると、終了が制御回路260に通知されるように構成されており、制御回路260は測定終了後に高周波IC200内部を送受信動作のために初期設定する(ステップS3,図7タイミングt5)。
この初期設定が終了すると、ベースバンドIC300から高周波IC200に対して、カウンタ22に設定する値(使用チャネルの周波数情報)を含むコマンド“Word1”が供給され、制御回路260はVCOを起動するウォームアップモードに入る(ステップS4,図7タイミングt6,t8)。このコマンドには送信または受信を指示するビット[TR]も含まれており、そのビットに応じて受信の時はベースバンドからの周波数情報と記憶回路18(レジスタREG0〜REG14)に記憶されている周波数測定結果に基づいてRFVCO250の使用バンドを選択するとともにカウンタ22に周波数値を設定する。そして、RFVCO250を発振動作させ、受信用PLLループをロック状態にさせる。
また、送信の時はベースバンドIC300からの周波数情報と記憶回路18等に記憶されている周波数測定結果に基づいてRFVCO250とTXVCO240の使用バンドを選択するとともに、カウンタ22等に周波数値を設定する。そして、RFVCO250とIFVCO230を発振動作させ、RFPLLおよびIFPLLループをロック状態にさせる。TXVCO240aまたは240bのいずれを使用するかは、ベースバンドIC300から供給されるコマンドに含まれる所定のコードで決定される。さらに、このウォームアップモードでは制御回路260は、オフセットキャンセル回路213を起動させて高利得増幅部220A,220B内のアンプの入力DCオフセットキャンセルを行なわせる。
その後、前記コマンド“Word1”内のビット[TR]の応じてベースバンドIC300から高周波IC200に対して、受信動作を指令する“Word2”または送信動作を指令する“Word3”を送って来る。“Word2”を受信すると、制御回路260は受信モードに入り、受信系回路RXCを動作させて受信信号の増幅、復調を行なわせる(ステップS5,図7タイミングt7)。また、制御回路260は、GSMかDCS/PCSかに応じてスイッチSW1などの切替え制御も行なう。
一方、“Word3”を受信すると、制御回路260は送信モードに入り、送信信号の変調、増幅を行なわせる(ステップS6,図7タイミングt9)。また、制御回路260は、送信切替えスイッチSW4をオンさせると共に、GSMかDCS/PCSかに応じてスイッチSW2などの切替え制御も行なう。なお、上記受信モードおよび送信モードは、それぞれタイムスロットと呼ばれる時間単位(例えば577μ秒)で実行される。
通常は上記“Word1”と“Word2”による受信モードまたは“Word1”と“Word3”による送信モードを繰返し実行するが、CPU400がベースバンドIC300に対して高周波IC200の電源オフを指令するコマンドを送ると、ベースバンドIC300は高周波IC200に対して、データのリード/ライトを指令するコマンド“Word0”を送って来る(図7タイミングt10)。
このコマンド“Word0”には、記憶回路18(レジスタREG0〜REG14)等に記憶されている測定値のリード/ライトを示すビット[wr]が含まれており、制御回路260は“Word0”のビット[wr]を参照して[0]ならばそのままターンオフ状態に移行し、[wr]が[1]なら記憶回路18(レジスタREG0〜REG14)等に記憶されている測定値を読み出して外部端子271より出力させる(ステップS7,S8)。出力されたデータはCPU400によってCPUの内部メモリ410に格納される。
続いて、ベースバンドIC300はスイッチング・レギュレータ500に対してその動作を停止させる信号P−OFFを送る(ステップS9)。すると、レギュレータ500は動作を停止して高周波IC200に対する電源電圧Vccの供給が停止され、高周波IC200はターンオフ状態に移行する(ステップS10)。なお、高周波IC200がターンオフされても、ベースバンドIC300とCPU400は動作を継続する。
その後、ベースバンドIC300がスイッチング・レギュレータ500に対して動作開始信号P−ONを送る(ステップS11)と、レギュレータ500は動作を開始して高周波IC200に対して電源電圧Vccを供給し、高周波IC200はターンオンする(ステップS12)。そして、ベースバンドIC300は高周波IC200に対してデータのリード/ライトを示すビット[wr]を含むコマンド“Word0”を送る。また、このコマンド“Word0”でビット[wr]を“リード”を示す[1]にしたときには、続けてアイドルモードへの移行を指示するコマンド“Word1”を送る。一方、コマンド“Word0”でビット[wr]を“ライト”を示す[0]にしたときには、続けて初期設定を指令するコマンド“Word5,6”を送る。
すると、制御回路260はステップS13でコマンド“Word0”のビット[wr]を参照して[0]ならばCPU400によって内部メモリ410から読み出された退避データを外部端子271より取り込み、記憶回路18(レジスタREG0〜REG14)等に格納する(ステップS14)。その後、ステップS3へ移行し、ベースバンドIC300からの初期設定を指令するコマンド“Word5,6”を受けて、高周波IC200内部を送受信動作のために初期設定させる。
一方、高周波IC200の制御回路260は、ステップS13で[wr]が[1]と判定したなら、続くコマンド“Word1”を受けてステップS1のアイドルモードへ移行し、その後各VCOの周波数測定を指示するコマンド“Word7”を受けて周波数の測定を行なう(ステップS2)。通常はビット[wr]は[0]に設定され外部メモリに退避したデータが記憶回路18等に復帰される動作が行なわれると考えられるが、ビット[wr]があることによって、必要に応じていつでも高周波IC200にVCOの周波数の測定を実行させることができ、高周波IC200の信頼性が向上する。
なお、図6においては、高周波IC200の電源が再投入された際に先ず外部メモリに退避していたデータを記憶回路18等に復帰させる処理(ステップS14,S15)をしてから初期設定(ステップS3)を行なっているが、初期設定(ステップS3)の後で復帰処理(ステップS14,S15)を行なうようにしても良い。さらに、PLLの起動を指令するコマンド“Word1”に含まれる送信または受信を示すビット[TR]を参照してウォームアップを行なっている間に復帰処理(ステップS14,S15)を行なうようにすることも可能である。この場合、受信または送信に応じてそれぞれのVCOに対応した測定データのみを記憶回路18等に復帰させるようにしても良い。
図8には、本発明を適用した高周波IC200の他の実施例を示す。図8において、図1や図2に示されている回路や信号には同一の符号を付して重複した説明は省略する。特に制限されるものでないが、この実施例の高周波IC200では各回路間の電源ラインを介したノイズの回込みを防止するため複数の電源ピン(VCC)とグランドピン(GND)が設けられている。
この実施例の高周波IC200は、記憶回路18(レジスタREG0〜REG14)等に記憶されている周波数測定値を、専用の外部端子(図6の端子271に相当)を用いずに、ベースバンドIC300との間でコマンド等のシリアルデータSDATAの送受信のために設けられている端子(図8の符号「32」の端子)を用いて外部へ読み出すようにしたものである。
図8には示されていないが、制御回路260と各PLL回路の記憶回路18等との間にはデータを転送する信号線が設けられる。この信号線は1本でも良いし、レジスタREG0〜REG15のビット数に対応した本数の信号線群(バス)であっても良い。なお、図8において、符号281は基準発振回路264の一部を構成する水晶振動子や容量素子などの素子からなる外付け回路、282はIFシンセサイザ262とともにIF用PLL回路を構成するIF用ループフィルタである。
ベースバンドIC300が内部メモリを有する場合には高周波IC200から読み出されたデータはベースバンドIC300の内部メモリ310に格納しても良いし、ベースバンドIC300が内部メモリを有していない場合や内部メモリがあってもその記憶容量が充分でない場合にはベースバンドIC300を経由してCPU400へ転送しCPUの内部メモリ410に格納するようにしても良い。ベースバンドICの機能をCPUにより行なうシステムでは、高周波IC200の電源オフ時に高周波IC200から読み出されたデータはベースバンドIC300の内部メモリ310に格納される。
上記のようにして高周波IC200の電源オフ時に外部のメモリに退避された周波数測定値は、高周波IC200への電源再投入時に上記と逆のルートで元の記憶回路18等に復帰される。第1の実施例とはデータ(測定値)のルートが異なるだけで、データの退避/復帰の手順は図6に示されているフローチャートと同一とされる。記憶回路18(レジスタREG0〜REG15)等に記憶されている周波数測定値の読出しと書込みは、例えばデータのリード/ライトを示すコマンド“Word0”に設けられているデータ格納フィールドに入れて行なうようにすることができる。
なお、図8において、符号DIVONが付された端子「42」は、基準発振回路264で生成され外部端子271に出力されるクロックをそのまま出力するか1/2分周して出力するか制御する信号もしくは電圧が印加される端子であり、これにより外部端子271に出力されるクロックの周波数を13MHzまたは26MHzのいずれかに設定することができる。
図9には、本発明を適用した高周波IC200の第3の実施例を示す。図9においては、図5に示されている回路や信号と同一の回路や信号には同一の符号を付して重複した説明は省略する。この実施例の高周波IC200は、電源オフ時に保護したいデータが格納されている記憶回路18(レジスタREG0〜REG15)等の記憶回路および基準発振回路264と、それ以外の回路とで電源ラインおよび電源端子を分離したものである。
また、これに応じて、この高周波IC200を用いた通信システムではレギュレータに関しても、記憶回路用の電源電圧Vcc1を供給する第1のレギュレータ500の他に、記憶回路以外の回路に電源電圧Vcc2を供給する第2のレギュレータ510とを設けられている。ベースバンドIC300には、記憶回路用の第1のレギュレータ500で生成された電源電圧Vcc1が供給される。待ち受け時等消費電力を下げたい場合においては、ベースバンドIC300から第2のレギュレータ510に対してのみオフ信号P−OFFが与えられて、第2のレギュレータ510が動作を停止して電源電圧Vcc2の供給を停止する。
この実施例においては、記憶回路18等の電源電圧がチップの電源オフ時にも供給されバックアップされるので、電源オフ時に記憶回路に格納されている周波数測定値をチップ外部へ退避する必要がない。そのため、記憶回路18から順次データを読み出すための信号を生成するカウンタ31やシリアル/パラレル変換回路32、データを入出力する外部端子272も不要とされる。
さらに、本実施例の高周波IC200は基準発振回路264に対しても記憶回路18等バックアップされる回路と同一の電源電圧Vcc1が供給され、高周波IC200の電源オフ時にもクロック信号を生成して外部のチップの動作クロックとして外部端子271より出力するように構成されている。従って、この外部端子271より出力されるクロック(13MHzまたは26MHz)をベースバンドIC300やCPU400の動作クロックとして使用することで、別途ベースバンドIC300やCPU400の動作クロックを生成する回路を設けなくて済むという利点がある。
図10には、図9の実施例の高周波ICを用いた無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および測定結果に基づく周波数特性の補正(使用バンドの決定)の手順および待ち受け時等における高周波ICの電源遮断/復帰動作の手順が示されている。図10の手順は、図6に示されている第1実施例の高周波ICを用いた無線通信システムにおける各VCOの周波数測定および高周波ICの電源遮断/復帰動作の手順とほぼ同じである。
図10の手順が図6の手順と異なる点は、高周波ICの電源オフの直前に記憶回路18(レジスタREG0〜REG15)等に格納されているデータを読み出すステップS8と、高周波ICの電源再投入後に外部メモリから退避データを記憶回路18(レジスタREG0〜REG15)等に復帰させるステップS14,S15がない点と、電源オフ・ステップS9ではレギュレータ510のみをオフし、その後電源再投入のステップS11ではレギュレータ510をオンさせる点にある。この実施例ではステップS7の[wr]の判定は省略することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記第1の実施例では、記憶回路18等に記憶されているデータを外部へリードし、かつ外部からライトするための端子272を設けているが、この端子はデータのリードのみ可能であるように構成してもよい。この場合、記憶回路18等への退避データのライトは、例えばベースバンドIC300からシリアルデータSDATA,クロックCLKおよび制御信号LEを使用して行なうようにすることができる。端子272がデータのリードのみ可能に構成された高周波IC200であっても、読み出されたデータを解析して内蔵VCOの特性を解析するのに利用することができるという利点がある。
また、前記実施例では、受信用VCOと送信用VCOと中間周波数用VCOの3つのVCOが変復調回路と共に1つの半導体チップ上に形成された高周波ICについて説明したが、本発明はいずれか1つのVCOが変復調回路と共に1つの半導体チップ上に形成された高周波ICにおいても適用することができる。
さらに、前記実施例では、記憶回路18にはRFVCO250の16バンドのそれぞれについて測定された周波数を記憶するため16個のレジスタREG0〜REG15が設けられているとしたが、15個のレジスタREG0〜REG14を設けて15個のバンドBand0〜Band14についてのみ測定を行なって記憶させ、外部からの周波数設定値に対応する測定値がレジスタREG0〜REG14に存在しない場合には自動的に16番目のバンドBand15が選択されるように構成しても良い。IFVCOおよびTXVCOについても同様である。このようにレジスタの数を減らすことによりチップサイズを低減できるとともに、測定値の読出し書込み時間も短縮できる。
【産業上の利用可能性】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるGSM850とGSM900、DCS1800、PCS1900の4つの通信方式による通信が可能な携帯電話機の無線通信システムに用いられる高周波ICに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、GSMにおける位相変調に振幅変調を加えたようなQPSK変調モードを有するEDGEと呼ばれる通信方式にも対応可能な携帯電話機に用いられる高周波ICやCDMA方式の携帯電話機あるいは無線LANやブルートゥースと呼ばれる無線通信システムおよびそれを構成する高周波ICに対しても本発明を適用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信用発振回路と送信用発振回路と中間周波数用発振回路のうち少なくとも1つの発振回路が変復調回路と共に1つの半導体チップに形成された通信用半導体集積回路であって、
半導体チップに形成された上記発振回路は複数の周波数帯で動作可能に構成され、該発振回路の発振周波数を測定する回路および測定された値を記憶する記憶回路と、該記憶回路に記憶されている測定値と外部からの設定値とを比較して上記発振回路の使用周波数帯を決定する回路とを備え、上記記憶回路の記憶データを外部へ読み出すことができるように構成されてなることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項2】
上記記憶回路へ外部からデータを格納することができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
【請求項3】
上記記憶回路の記憶データを外部へ読み出す経路と上記記憶回路へ外部からデータを格納する経路とは同一であることを特徴とする請求項2に記載の通信用半導体集積回路。
【請求項4】
外部から入力されたコマンドを解読して内部の制御信号を生成する制御回路を備え、該制御回路は外部から所定のコマンドが入力されたことに応じて上記記憶回路の記憶データを外部へ出力するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信用半導体集積回路。
【請求項5】
外部から上記記憶回路へ格納されるデータは、上記コマンドが入力される経路と同一の経路を介して入力されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の通信用半導体集積回路。
【請求項6】
上記記憶回路の記憶データを外部へ出力する専用の経路を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通信用半導体集積回路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の通信用半導体集積回路と、
該通信用半導体集積回路によって所望の周波数までダウンコンバートされた受信信号からデータを抽出したり送信データをI,Q信号に変換したりするベースバンド回路と、
内部メモリを備え、システム全体を制御するマイクロプロセッサと、
上記通信用半導体集積回路の電源電圧を生成する電圧発生回路と、
を含む無線通信システムであって、
上記記憶回路の記憶データが外部へ出力され上記マイクロプロセッサの上記内部メモリに退避された後で、上記ベースバンド回路または上記マイクロプロセッサからの指令により上記電圧発生回路の動作が停止されるように構成されてなることを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の通信用半導体集積回路と、
内部メモリを備え、上記通信用半導体集積回路によって所望の周波数までダウンコンバートされた受信信号からデータを抽出したり送信データをI,Q信号に変換したりするベースバンド回路と、
システム全体を制御するマイクロプロセッサと、
上記通信用半導体集積回路の電源電圧を生成する電圧発生回路と、
を含む無線通信システムであって、
上記記憶回路の記憶データが外部へ出力され上記ベースバンド回路の上記内部メモリに退避された後で、上記ベースバンド回路または上記マイクロプロセッサからの指令により上記電圧発生回路の動作が停止されるように構成されてなることを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
上記ベースバンド回路または上記マイクロプロセッサからの指令により上記電圧発生回路が再起動された後、上記内部メモリに退避されていたデータが上記記憶回路に復帰された後に、送受信動作が可能にされるように構成されてなることを特徴とする請求項7または8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
受信用発振回路と送信用発振回路と中間周波数用発振回路のうち少なくとも1つの発振回路が変復調回路と共に1つの半導体チップに形成された通信用半導体集積回路であって、
半導体チップに形成された上記発振回路は複数の周波数帯で動作可能に構成され、該発振回路の発振周波数を測定する回路および測定された値を記憶する記憶回路と、該記憶回路に記憶されている測定値と外部からの設定値とを比較して上記発振回路の使用周波数帯を決定する回路とを備え、上記記憶回路へ電源電圧を供給する給電線が該記憶回路以外の回路へ電源電圧を供給する給電線と分離されていることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項11】
基準となる発振信号を生成する基準発振回路および該基準発振回路の発振信号に基づいて所定の周波数のクロック信号を生成して出力するクロック生成回路を備え、上記基準発振回路およびクロック生成回路は上記記憶回路と同一の給電線により供給される電源電圧で動作されるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の通信用半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10または11に記載の通信用半導体集積回路と、
該通信用半導体集積回路によって所望の周波数までダウンコンバートされた受信信号からデータを抽出したり送信データをI,Q信号に変換したりするベースバンド回路と、
システム全体を制御するマイクロプロセッサと、
上記記憶回路の電源電圧を生成する第1の電圧発生回路と、
上記記憶回路以外の回路の電源電圧を生成する第2の電圧発生回路と、
を含む無線通信システムであって、
上記第2の電圧発生回路は、上記第1の電圧発生回路の動作中においても、上記ベースバンド回路または上記マイクロプロセッサからの指令により動作が停止可能に構成されていることを特徴とする無線通信システム。

【国際公開番号】WO2004/025849
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535848(P2004−535848)
【国際出願番号】PCT/JP2002/009394
【国際出願日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】