説明

運転支援方法及び運転支援装置

【課題】対向車両の有無の判断が困難である際に、運転支援を行うことができる運転支援方法及び運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転支援ユニット2は、自車両前方の停止車両を検出する画像プロセッサ20と、自車両周辺の他車両に対して、自車両に対する対向車両に関する対向車属性データ及び周辺モニタデータの送信要求を行う通信I/F部18及び制御部10を備える。制御部10は、対向車属性データ又は周辺モニタデータの受信の有無、或いは周辺モニタデータに基づいて、対向車両が存在するか否かを判断し、対向車両が存在すると判断した場合には、警告出力処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の円滑な走行を図るために、高度道路交通システム(ITS,Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。このシステムの一環として、自車両前
方の停止車両等の前方障害物に関する情報提供、警告、操作支援等を行うシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両前方に取り付けられたカメラによって撮影された画像を用いて、前方の駐車車両に関する警告を行うシステムが記載されている。このシステムでは、カメラによって撮影された撮影画像を画像処理して、自車両の前方の駐車車両を検出する。そして、駐車車両が駐車されている車線のうち、駐車車両の横のスペース幅を画像処理によって演算して、自車両の車幅と比較し、自車両がその駐車車両の横を通過できるか否かを判断する。また、駐車車両及び対向車両を前方に検出した場合には、駐車車両及び対向車両の間のスペース幅を検出し、自車両が駐車車両及び対向車両の間を通過できるか否かを判断する。通過できないと判断した場合には、ドライバーの注意を喚起するための警報を発する。
【特許文献1】特開2005−182753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したシステムでは、カメラの画角に対向車両が入る場合、即ちドライバーが対向車両をほぼ視認している場合において通過可否を判断し警告するが、カメラの画角に対向車両が入らない場合に、対向車両に関する情報を提供することは困難である。このため、駐車車両を回避するために、自車両が対向レーンにはみ出す必要がある場合や、駐車車両の後方から対向車両がはみ出してくる可能性がある場合等、対向車両の有無の判断が困難である場合に、安全運転を支援することができない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対向車両の有無の判断が困難である際に、運転支援を行うことができる運転支援方法及び運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、路上に停止車両が存在する際に自車両の運転を支援する運転支援方法において、自車両前方の停止車両を検出した際に、前記自車両に対する対向車両から送信された対向車データ、又は前記停止車両から送信された対向車検出データに基づいて、前記対向車両が存在するか否かを判断し、前記対向車両の有無に基づき、前記停止車両を通過する際の運転支援を行うことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、路上に停止車両が存在する際に自車両の運転を支援する運転支援装置において、自車両前方の前記停止車両を検出する停止車両検出手段と、前記自車両に対する対向車両から送信された対向車データ、又は前記停止車両から送信された対向車検出データに基づいて、前記対向車両が存在するか否かを判断する状況判断手段と、前記状況判断手段に基づき、前記停止車両を通過する際の運転支援を行う支援制御手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の運転支援装置において、前記停止車両が停車しているレーンを検出し、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである否かを判断するレーン検出手段をさらに備えるとともに、前記状況判断手段は、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである場合に、前記対向車データ、又は前記対向車検出データに基づいて、前記停止車両の前方であって、前記自車両が走行するレーンと対向するレーン内の対向車両の有無を判断し、前記支援制御手段は、前記状況判断手段に基づき、前記自車両が走行するレーンをはみ出して走行する際の支援を行うことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の運転支援装置において、前記停止車両が停車しているレーンを検出し、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである否かを判断するレーン検出手段をさらに備えるとともに、前記状況判断手段は、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが対向する場合に、前記対向車データ、又は前記対向車検出データに基づいて、前記停止車両の後方であって、前記自車両が走行するレーンと対向する対向レーン内の対向車両の有無を判断し、前記支援制御手段は、前記状況判断手段に基づき、前記対向レーンをはみ出して走行する前記対向車両を回避するための支援を行うことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の運転支援装置において、前記自車両に搭載された撮影装置から画像データを入力する画像データ入力手段と、入力した画像データを用いて、前記停止車両の側方の残りレーン幅を検出するレーン幅検出手段と、前記残りレーン幅に基づき、前記対向車両が前記停止車両を通過する際に、前記対向レーンからはみ出すか否かを判断するはみ出し判定手段とをさらに備えるとともに、前記支援制御手段は、前記はみ出し判定手段が前記対向車両が前記対向レーンからはみ出して走行すると推測した場合に、前記自車両のドライバーに対して警告することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、停止車両を検出し、自車両周辺の他車両に対し、対向車データの送信要求を行う。また、対向車データの受信の有無、対向車データに含まれる対向車検出データに基づき、対向車両の有無を推測し、その推測に応じた運転支援を行う。このため、停止車両を回避するため、自車両がやむを得ずレーンからはみ出す場合に、対向車両に関する情報の提供、警告等を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、運転支援装置は、停止車両を検出し、自車両周辺の他車両に対し、対向車データの送信要求を行う。また、対向車データの受信の有無、対向車データに含まれる対向車検出データに基づき、対向車両の有無を推測し、その推測に応じた運転支援を行う。このため、停止車両を回避するため、自車両がやむを得ずレーンからはみ出す場合に、対向車両に関する情報の提供、警告等を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、停止車両が停車しているレーンを検出し、停止車両が自車両と同じレーン上にあるか否かが判断される。そして、自車両及び停止車両が同じレーンにある場合に、停車車両の前方の対向車両の有無が判断され、対向車両の有無に応じた案内を行う。このため、自車両が停止車両を回避するためにレーンからはみ出して走行する際に、対向車両の有無に応じた案内を行うことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、停止車両が停車しているレーンを検出し、自車両及び停止車両が異なるレーンにある場合、即ち、対向車両が対向レーンからはみ出してくる可能性がある場合、その対向車両を回避するための支援が行われる。このため、自車両が走行するレーンに、停止車両を回避した対向車両が進入してくる可能性がある場合にも支援を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、レーン幅判断手段により、画像データに基づき、停止車両の脇の残りレーン幅が検出される。また、残りレーン幅に基づき、対向車両が対向レーンからはみ出す可能性が高いか否かが判断される。また、支援制御手段は、少なくとも対向車両が対向レーンからはみ出す場合に警告を行う。このため、残りレーン幅が十分大きい場合の警告等、不必要な注意喚起又は警告による煩わしさを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図17に従って説明する。図1は、自車両C1(図2参照)に実装された運転支援システム1の構成を説明するブロック図である。
【0017】
運転支援システム1は、自車両C1(図2参照)に搭載され、図1に示すように、運転支援装置としての運転支援ユニット2、表示手段としてのディスプレイ3、スピーカ4、撮影装置としての前方カメラ5及び後方カメラ6を備えている。
【0018】
運転支援ユニット2は、停止車両検出手段、送信要求手段、状況判断手段、支援制御手段、はみ出し判定手段、送信要求受付手段、検出手段、対向車データ送信手段としての制御部10、不揮発性のメインメモリ11、ROM12、GPS受信部13を備えている。制御部10は、CPU、MPU又はASIC等であって、ROM12に格納された運転支援プログラムに従って、各処理の主制御を行う。メインメモリ11は、制御部10の演算結果を一時記憶する。
【0019】
制御部10は、GPS衛星からGPS受信部13が受信した、緯度・経度等の座標を示す位置検出信号を入力して、電波航法により自車両の絶対位置を算出する。また、制御部10は、運転支援ユニット2の車両側I/F部14を介して、自車に設けられた車速センサ30及びジャイロ31から車速パルス、角速度をそれぞれ入力する。そして、制御部10は、車速パルス及び角速度を用いる自律航法により、基準位置からの相対位置を算出し、電波航法で算出した絶対位置と組み合わせて自車位置を特定する。
【0020】
また、運転支援ユニット2は、地図データベース(以下、地図DB15という)を備えている。地図DB15は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体である。この地図DB15には、目的地までの経路を探索するための各経路ネットワークデータ(以下、経路データ16という)と、ディスプレイ3に地図画面(図示略)を出力するための各地図描画データ17とが記憶されている。
【0021】
経路データ16は、交差点又は道路の端点等を示すノードや、各ノードを接続するリンクに関するデータを有している。また、経路データ16には、道路のレーン数、幅員等が格納されている。地図描画データ17は、道路形状、背景等を描画するためのデータであって、道路名、道路種別、道路のレーン数の他、道路の幅員、曲率等が格納されている。運転支援ユニット2の停止車両検出手段、レーン検出手段及びレーン幅検出手段としての画像プロセッサ20は、この地図描画データ17を地図DB15から読出して、地図出力用データに基づく地図画面をディスプレイ3に出力する。
【0022】
また、運転支援ユニット2は、送信要求手段、送信要求受付手段、検出手段及び対向車データ送信手段としての通信I/F部18を有している。通信I/F部18は、他車両に搭載された車車間通信装置との間で、対向車データとしての対向車属性データ40、検出データとしての送信要求データ41、対向車データとしての周辺モニタデータ42を送受信するようになっている。
【0023】
対向車属性データ40は、自車両C1(又は他車両)の存在を周辺の車両に通知するためのデータである。例えば、対向車属性データ40は、自車両C1の運転支援ユニット2が他車両から送信要求を受信した際に、自車両C1から、その他車両に対して送信される。これにより、自車両C1の存在を他車両に通知することができる。また、自車両C1が他車両に対し送信要求を行った際に、他車両に搭載された車車間通信装置は、自車両C1に対して対向車属性データを送信する。これにより、自車両C1の運転支援ユニット2は他車両の存在を確認できる。
【0024】
図3(a)に示すように、対向車属性データ40は、送信元を示す自車両C1(又は他車両)のID40a、自車位置40b、車速40c、走行レーン40d、進行方向40e、対向車接近フラグ40f、相対距離40g等を有している。自車位置40b及び車速40cは、自車両C1(又は他車両)の位置及び速度をそれぞれ示す。走行レーン40dは、自車両C1(又は他車両)が走行しているレーンを示す。進行方向40eは、自車両C1(又は他車両)の進行方向を示す。対向車接近フラグ40fは、自車両C1(又は他車両)が送信元の車両に対して接近していることを示すフラグである。相対距離40gは、自車両C1の前方に停止車両C2(図9参照)が停車している場合に、その停止車両C2との距離を示すデータが記憶されている。尚、停止車両C2とは、路上駐車している車両、一時停車している車両等、所定時間以上停止している車両を指す。
【0025】
また、送信要求データ41は、自車両C1(又は他車両)が、他車両(又は自車両C1を含む各周辺車両)に対し、対向車属性データ40の送信を要求するデータであって、所定のタイミングで不特定多数の車両に送信される。また、この送信要求データ41を、自車両C1の運転支援ユニット2が受信した際、自車両C1が走行中である場合には、上記した対向車属性データ40を送信する。また、自車両C1が停車中である場合には、後述する周辺モニタデータ42を送信する。
【0026】
図3(b)に示すように、送信要求データ41は、自車両C1(又は他車両)のID41a、自車位置41b、走行レーン41c、進行方向41d、相対距離41eを有している。自車位置41b、走行レーン41c及び進行方向41dは、自車両C1(又は他車両)の位置、走行レーン及び進行方向をそれぞれ示す。相対距離41eは、自車両C1(又は他車両)の前方に停止車両C2が存在する場合に、その停止車両C2との距離を示す。
【0027】
周辺モニタデータ42は、路上の停止車両(自車両C1又は他車両)が、その前方又は後方で検出した周辺車両に関するデータである。自車両C1の運転支援ユニット2は、運転支援システム1が起動状態又はスリープ状態の際であって、送信要求データ41を受信した場合に、周辺モニタデータ42を送信する。スリープ状態とは、運転支援を行っていないが、通信I/F部18が各種データを送受信可能な状態をいう。また、自車両C1が送信した送信要求データ41を、停車中の他車両の車車間通信装置が受信した場合、その車車間通信装置は、他車両周辺の車両をモニタした周辺モニタデータ42を自車両C1に対して送信する。
【0028】
図3(c)に示すように、周辺モニタデータ42は、ID42a及び周辺車両データ42Aを有している。ID42aは、周辺モニタデータ42の送信元である自車両C1(又は他車両)のIDである。また、周辺車両データ42Aは、自車両C1(又は他車両)の運転支援ユニット2が検出した他車両(又は自車両を含む周辺車両)に関するデータである。周辺車両データ42Aは、対向車検出データとしての対向車接近フラグ42b、周辺車両ID42c、対向車検出データとしての周辺車両位置42d、相対距離42e、進行方向42f等を有している。対向車接近フラグ42bは、自車両C1(又は他車両)の後方の他車両等に対する対向車が存在するか否かを示すフラグである。自車両C1(又は他車両)は、送信要求データ41を他車両から受信した際に、その送信要求の送信元である
他車両に対する対向車を検出する。そして、その対向車が存在する場合に、対向車接近フラグ42bをオンに設定する。
【0029】
周辺車両ID42cは、検出した周辺車両の識別子であって、周辺車両が送信した対向車属性データ40に含まれるID40a、又は自車両C1(又は他車両)が付与した識別子が格納されている。周辺車両位置42d及び進行方向42fは、周辺車両の位置及び方向をそれぞれ示す。相対距離42eは、送信要求を行った他車両と、その他車両に対する対向車両C3との相対距離を示す。
【0030】
また、自車両C1が停車している場合には、自車両C1の通信I/F部18は、周辺モニタデータ42とともに、画像データとしての前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2を送信する。
【0031】
この前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2は、前方カメラ5及び後方カメラ6によって撮影される。前方カメラ5及び後方カメラ6は、カラー画像を撮影するカメラであって、レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮影素子(いずれも図示せず)等を備えている。図2に示すように、前方カメラ5は、自車両C1の前端に取り付けられ、自車両C1の前方領域Z1を撮影する。後方カメラ6は、自車両C1の後端に取り付けられ、自車両C1の後方領域Z2を撮影する。
【0032】
制御部10は、停車している際に、他車両から送信要求を受信すると、画像データ入力手段としての画像データ入力部22を介して前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2を取得する。そして、周辺モニタデータ42とともに、前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2を送信する。尚、自車両C1の前方の停止車両C2に、車車間通信装置と、単数又は複数のカメラが搭載されている場合には、自車両C1の通信I/F部18は、周辺モニタデータ42とともに前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2のうち少なくとも一方を受信する。
【0033】
また、運転支援ユニット2は、音声プロセッサ21を備えている。音声プロセッサ21は、図示しない音声ファイルを有し、対向車両の有無に基づき、警告音声等を出力する。さらに、運転支援ユニット2は、ユーザ入力I/F部19を備えている。ユーザ入力I/F部19は、ディスプレイ3に隣接された操作スイッチ26、タッチパネル式のディスプレイ3から、ユーザの入力操作に基づいた入力信号を入力し、制御部10に出力する。
【0034】
次に、本実施形態の処理手順について、図4〜8に従って説明する。図4は、本実施形態のメインフローの説明図である。まず、制御部10は、運転支援の開始を待機する(ステップS1)。本実施形態では、運転支援システム1が起動状態又はスリープ状態であって、シャットダウンされていない場合に、運転支援を開始すると判断する。
【0035】
運転支援を開始すると判断すると(ステップS1においてYES)、自車両C1が現在走行している道路の曲率が、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS2)。即ち、カーブを走行している際、前方に停止車両C2が存在すると見通しが悪くなるため、所定値以上の曲率を有する道路を走行している場合に運転支援を行う。道路の曲率が所定値未満である場合、ステップS1に戻る。道路の曲率が所定値以上である場合(ステップS2においてYES)、ステップS3に進む。
【0036】
ステップS3では、制御部10は、自車両C1が走行状態であるか否かを判断する。具体的には、車速センサ30から入力した車速パルスに基づき、自車両C1が所定時間停車しているか否かを判断する。所定時間以上停車していない、即ち走行状態であると判断すると(ステップS3においてYES)、ステップS4に進む。所定時間以上停車している
と判断すると(ステップS3においてNO)、自車両C1は停車状態であると判断して、後述する周辺監視データ送信処理(図8参照、ステップS12−1)を行う。
【0037】
ステップS4では、制御部10は、画像プロセッサ20を制御して前方停止車両判定を行う。前方停止車両判定では、自車両C1が走行するレーン101内に停車した停止車両C2(図9参照)、自車両C1が走行するレーン101と進行方向が反対である対向レーン102内に停車した停止車両C2(図14参照)の両方を検出する。例えば、画像プロセッサ20は、前方カメラ5により所定のフレームレート(例えば数ミリ秒毎)で撮影された画像データを、画像データ入力部22を介して取得する。そして、取得した各画像データGを公知の方法で画像処理して前方の他車両を認識する。
【0038】
他車両を認識した場合、その他車両の移動量を検出し、他車両が停車しているか否かを判断する。例えば、画像プロセッサ20は、画像処理結果に基づいて、認識した他車両位置と自車両C1との相対距離dを算出し、相対距離dの変化量Δdが、自車両C1の移動距離と同じであるか否かを判断する。相対距離dの変化量Δdが、自車両C1の移動距離と同じである場合には、前方の他車両が停車していると判断する。
【0039】
前方停止車両判定を行うと、制御部10は、対向レーン102の対向車両C3から送信要求データ41を受信したか否かを判断する(ステップS5)。図10に示すように、自車両C1が現在走行しているレーン101に対向する対向レーン102上に、対向車両C3が存在し、その対向車両C3から、送信要求データ41を受信した場合(ステップS5においてYES)、制御部10は、対向車属性データ送信処理を行う(ステップS6)。一方、対向レーン102内に対向車両C3が存在しない場合、或いは対向車両C3に車車間通信装置が搭載されていない場合、対向車両C3からは送信要求データ41等を受信しないため(ステップS5においてNO)、対向車属性データ送信処理を行わずステップS7に進む。
【0040】
この対向車属性データ送信処理について、図5に従って説明する。図5に示すように、まず、制御部10は、受信した送信要求データ41の自車位置41b、走行レーン41c、進行方向41dに基づき、自車両C1が、送信要求データ41の送信元の他車両に対して前方の対向車両C3であるか否かを判断する(ステップS6−1)。走行レーン41c及び進行方向41dが、自車両C1のレーン及び進行方向と同じである場合、送信元の他車両に対して、自車両C1が対向車両C3ではないと判断して(ステップS6−1においてNO)、対向車属性データ送信処理を終了し、対向車属性データ40を送信しない。また、送信要求データ41の自車位置41bと自車両C1の自車位置とを比較し、自車両C1と既にすれ違っている場合等、自車両C1が送信元の他車両の前方にないとき、自車両C1が対向車両C3ではないと判断して(ステップS6−1においてNO)、対向車属性データ送信処理を終了する。即ち、自車両C1が、送信元の他車両に対して対向車両C3である場合にのみ、自車両C1から対向車属性データ40が送信される。
【0041】
送信要求データ41の送信元の他車両に対して、自車両C1が、他車両の前方の対向車両C3であると判断すると(ステップS6−1においてYES)、制御部10は、自車位置及び車速を取得する(ステップS6−2)。また、画像プロセッサ20が算出した停止車両C2との相対距離dを取得する(ステップS6−3)。さらに、制御部10は、経路データ16等に基づき、自車両C1が走行しているレーンと、進行方向とを取得する(ステップS6−4)。
【0042】
また、制御部10は、受信した送信要求データ41から、対向車両C3の停止車両C2との相対距離41e、又は自車位置41bに基づき、自車両C1と対向車両C3との相対距離を算出する(ステップS6−5)。自車両C1と対向車両C3との相対距離を算出す
ると、その距離を相対距離40gとして対向車属性データ40を生成し、対向車両C3に送信する(ステップS6−6)。このとき、制御部10は、対向車属性データ40の対向車接近フラグ40fをオンに設定する。
【0043】
また、図4に示すように対向車属性データ送信処理が完了したとき、又は対向車両C3等から送信要求データ41を受信しなかった場合(ステップS5においてNO)、制御部10は、画像プロセッサ20を制御して、停止車両C2が、自車両C1が走行するレーン101(図9参照)と同じレーンの前方にあるか否かを判断する(ステップS7)。このとき、他車両認識とともに、各レーン101,102を区画する中央線等を検出する白線認識を行って、他車両認識で算出された前方車両の位置と白線認識結果等に基づき、自車両C1と同じレーン101の前方に、停止車両C2があるか否かを判断する。図9に示すように、自車両C1が走行するレーン101と同じレーンの前方に、停止車両C2がある場合(ステップS7においてYES)、自車両C1は、停止車両C2を回避するためにレーン101からはみ出す可能性がある。このため、制御部10は、対向車両C3の有無に応じて警告等を行う障害物回避処理を行う。
【0044】
この障害物回避案内について、図6に従って説明する。制御部10は、画像プロセッサ20を制御して、自車両C1が停止車両C2の脇を通過する際に、レーン101をはみ出すか否かを判断する(ステップS8−1)。詳述すると、制御部10は、画像プロセッサ20を制御して、公知の画像処理により、停止車両C2の車幅W1(図9参照)を検出する。また、経路データ16又は地図描画データ17から、自車両C1が走行するレーン101の幅員W2を取得するか、画像データGに対して公知の白線認識処理等を行い、中央線等を検出して、自車両C1が走行するレーン101の幅員W2を取得する。そして、レーン101の幅員W2から停止車両C2の車幅W1を減算して、残りレーン幅W3を算出する。
【0045】
残りレーン幅W3を算出すると、制御部10は、残りレーン幅W3が、自車両C1の車幅W4と、停止車両C2の脇を通過する際に最低限必要な間隔とを加算した値よりも大きいと判断した場合、即ち、停止車両C2を回避する際にレーンをはみ出さないと予測される場合、後述するステップS8−9に進む。また、残りレーン幅W3が、自車両C1の車幅W4と、通過時に最低限必要な停止車両C2との間隔とを加算した値よりも小さいと判断した場合、即ち、停止車両C2を回避する際にレーンをはみ出すと予測される場合、ステップS8−2に進む。
【0046】
ステップS8−2では、ステップS6で検出した同じレーン101内の停止車両C2の前方の対向車両C3の有無を判断するために、送信要求を行う。このとき、制御部10は、送信要求データ41を周辺の他車両に向けて送信する。送信要求を行うと、その送信要求に対して対向車属性データ40を受信したか否かを判断する(ステップS8−3)。
【0047】
対向車属性データ40を受信した場合(ステップS8−3においてYES)、受信した対向車属性データ40に基づき、送信元の他車両が、対向車両C3であるか否か、即ち対向レーン102に存在し、停止車両C2の前方に存在するか否かを判断する(ステップS8−4)。このとき、制御部10は、対向車接近フラグ40fがオンであるか否か、対向車属性データ40の自車位置40bが停止車両C2の前方であるか否か、走行レーン40dに基づき、自車両C1が走行するレーン101と隣り合う対向レーン102を走行しているか否かを判断する。送信元の他車両の進行方向が、自車両C1の進行方向と反対方向であっても、自車両C1のレーン101と隣り合っていないレーンを走行している場合には、その他車両は対向車両C3でないと判断する。
【0048】
対向車両C3が存在すると判断した場合(ステップS8−4においてYES)、ステッ
プS8−5に進み、警告出力処理を行う。例えば、図11に示すように、制御部10は、音声プロセッサ21を制御して、スピーカ4から「対向車があります。一時停止してください」等の一時停止を促す警告音声V1、又は警告音を出力する。又は、前方の停止車両C2から、前方モニタ画像データM1を受信している場合は、画像プロセッサ20は、前方モニタ画像データM1をディスプレイ3に出力し、停止車両C2の前方の画像を表示して、対向車両C3の存在を画像にて報知する。自車両C1のドライバーは、警告音声V1や画像等に従い、はみ出し走行せずに一時停止して、対向車両C3の通過を待つ。
【0049】
一方、ステップS8−4で対向車両C3が存在しない、又は対向車両C3の存在が明確でないと判断した場合(ステップS8−4においてNO)、即ち、対向車属性データ40を受信したものの、自車両C1と既にすれ違った他車両のデータであった場合、ステップS8−6に進む。また、ステップS8−3において、対向車属性データ40を受信しないと判断した場合にも(ステップS8−3においてNO)、ステップS8−6に進む。
【0050】
ステップS8−6では、前方の停止車両C2から、周辺モニタデータ42を受信したか否かを判断する。停止車両C2が、車車間通信装置を搭載し、且つその装置が起動又はスリープ状態の場合、停止車両C2の車車間通信装置は、ステップS8−2で送信した送信要求データ41に対して周辺モニタデータ42を送信する。
【0051】
周辺モニタデータ42を受信したと判断すると(ステップS8−6においてYES)、その周辺モニタデータ42に含まれる対向車接近フラグ42bがオンであるか否かを判断する(ステップS8−7)。対向車接近フラグ42bがオンであると判断すると(ステップS8−7においてYES)、停止車両C2が対向車両C3を検出しているため、ステップS8−5に進み、警告出力処理を行う。このとき、周辺モニタデータ42に含まれる相対距離42eに基づき、対向車両C3までの距離を案内するようにしてもよい。
【0052】
一方、ステップS8−7において、対向車接近フラグ42bがオフであると判断した場合(ステップS8−7においてNO)、又はステップS8−1において自車両C1がレーン101からはみ出さないと判断した場合(ステップS8−1においてNO)には、回避案内処理を行う(ステップS8−8)。この回避案内処理では、例えば図13に示すように、音声プロセッサ21により注意を促しながら、走行可能であることを示す案内音声V3や案内音をスピーカ4から出力する。或いは、前方モニタ画像データM1を受信している場合には、前方モニタ画像データM1に基づく画像をディスプレイ3に出力するようにしてもよい。自車両C1のドライバーは、案内音声V3等に従って、停止車両C2を回避する。
【0053】
一方、ステップS8−6において、周辺モニタデータ42を受信していない場合には、車車間通信装置を搭載していない対向車両C3が存在する可能性があるため、注意喚起処理を行う(ステップS8−9)。例えば、図12に示すように、対向車両C3に対する注意を促す注意喚起音声V2又は警告音を出力する。或いは、前方モニタ画像データM1を受信している場合には、前方モニタ画像データM1をディスプレイ3に出力するようにしてもよい。ドライバーは、注意喚起音声V2等に従って、徐行しながら停止車両C2を回避する。
【0054】
障害物回避処理を終了すると、図4に示すステップS9に進み、制御部10は、運転支援を終了するか否かを判断する。運転支援システム1が起動状態である場合、運転支援を終了しないと判断して(ステップS9においてYES)、ステップS2に戻り、上記した処理を繰り返す。そして、自車両C1が、同じレーン101内の停止車両C2を回避した場合、ステップS7及びステップS10において停止車両C2がないと判断して、新たに停止車両C2を検出するまで待機する。
【0055】
一方、図4に示すステップS7において、自車両C1が走行するレーン101と同じレーンに停止車両C2が無いと判断すると(ステップS7においてNO)、対向レーン102に停止車両C2があるか否かを判断する(ステップS10)。図14に示すように、対向レーン102に停止車両C2があると判断すると(ステップS10においてYES)、走行案内を行う(ステップS11)。即ち、この場合には、自車両C1は停止車両C2を回避するためのはみ出し走行を行わないが、対向レーン102の対向車両C3が、自車両C1のレーン101に対してはみ出し走行をする場合があるため、対向車両C3のはみ出し走行に関する情報提供、警告を行う。
【0056】
走行案内について、図7に従って説明する。図7に示すように、走行案内では、制御部10は、送信要求データ41を送信して、対向車属性データ40の送信要求を行い(ステップS11−1)、この送信要求に対する対向車属性データ40を受信したか否かを判断する(ステップS11−2)。対向車属性データ40を受信した場合(ステップS11−2においてYES)、対向車属性データ40の自車位置40b又は相対距離40g等に基づき、対向レーン102内であって、停止車両C2の後方に対向車両C3が存在するか否かを判断する(ステップS11−3)。
【0057】
停止車両C2の後方に対向車両C3がいると判断すると(ステップS11−3においてYES)、制御部10は、警告出力処理を行う(ステップS11−4)。例えば、図15に示すように、制御部10は画像プロセッサ20を制御して、一時停止を促す警告音声V4をスピーカ4から出力する。また、停止車両C2から、車両後方を撮影した後方モニタ画像データM2を受信した場合には、その後方モニタ画像データM2に基づく画像をディスプレイ3に表示する。ドライバーは、警告音声V4等に従って、徐行しながら停止車両C2を通過する。
【0058】
対向車属性データ40を受信していないと判断した場合(ステップS11−2においてNO)、制御部10は、見通し判定を行う(ステップS11−5)。このとき制御部10は、各種条件に基づいて、時間的状況、地理的状況等について、前方の見通しの善し悪しを判断する。例えば、制御部10は、内蔵時計(図示略)等に基づいて、現在が昼間であるか夜間であるかを判断する。そして、昼である場合には見通しが良く、夜である場合には見通しが悪いと判断する。また、制御部10は、地図描画データ17等に基づき、自車位置周辺の道路100の曲率等を取得する。曲率が所定値未満である場合、見通しが良いと判断し、曲率が所定値以上である場合には見通しが悪いと判断する。
【0059】
続いて、画像プロセッサ20は、残りレーン幅判定を行う(ステップS11−6)。具体的には、画像プロセッサ20は、公知の画像処理により、停止車両C2の車幅W1(図16参照)を検出する。また、地図描画データ17から、対向レーン102の幅員W2(図16参照)を取得するか、画像データGに対して公知の白線認識処理等を行い、中央線等を検出して、対向レーン102の幅員W2を取得する。そして、対向レーン102の幅員W2から車幅W1を減算して、残りレーン幅W3を算出する。
【0060】
残りレーン幅W3を算出すると、制御部10は、はみ出し走行に対する注意喚起を行うか否かを判断する(ステップS11−7)。詳述すると、ステップS11−5において、見通しが悪いと判断された場合、対向車両C3が、対向レーン102の停止車両C2を回避してはみ出し走行した場合に、対向車両C3の認識が遅くなるので注意喚起が必要であると判断し(ステップS11−7においてYES)、注意喚起処理を行う(ステップS11−8)。また、ステップS11−6において算出された残りレーン幅W3と、普通車両の一般的な車幅及び通過の際に必要な停止車両C2との間隔とを比較して、残りレーン幅W3が普通車両が通過する際に十分な大きさではないと判断した場合、注意喚起が必要で
あると判断し(ステップS11−7においてYES)、注意喚起処理を行う(ステップS11−8)。
【0061】
注意喚起処理では、例えば、図16に示すように、制御部10は、音声プロセッサ21を制御して、対向車両C3の有無が検出できない状態であること等を報知する注意喚起音声V5を出力する。或いは、停止車両C2から後方モニタ画像データM2を受信した際は、その画像データに基づく画像をディスプレイ3に表示する。ドライバーは、注意喚起音声V5や画像等に基づいて、対向車両C3に注意し、徐行しながら停止車両C2を通過する。
【0062】
一方、ステップS11−5及びステップS11−6において、見通しが良く、残りレーン幅W3が十分あると判断した場合、注意喚起が必要でないと判断して(ステップS11−7においてNO)、走行案内処理を行う(ステップS11−9)。ここでは、図17に示すように、制御部10は、音声プロセッサ21を制御して、対向車両C3に対する注意は必要であるが、通過可能であること等を報知する走行案内音声V6をスピーカ4から出力する。或いは、停止車両C2から後方モニタ画像データM2を受信した際は、その画像データに基づく画像をディスプレイ3に表示する。尚、対向車属性データ40を受信したが、対向レーン102内に存在し、停止車両C2の後方の対向車両C3から送信された対向車属性データ40ではない場合(ステップS11−3においてNO)にも走行案内処理を行う。
【0063】
走行案内を終了すると、ステップS9において運転支援が終了であるか否かを判断し、運転支援を終了しないと判断した場合には(ステップS9においてNO)、上記した処理を繰り返す。
【0064】
一方、図4に示すステップS3において、自車両C1が走行中でないと判断すると(ステップS3においてNO)、図8に示す周辺車両モニタ処理を行う。この処理は、自車両C1が、図9及び図14に示すような停止車両C2のように、道路100上で停車している場合に、周辺の他車両に関する情報を提供する処理である。
【0065】
まず、制御部10は、周囲の車両から送信された送信要求の有無を判断する(ステップS12−1)。送信要求データ41を受信したと判断すると(ステップS12−1においてYES)、制御部10は、運転支援システム1を起動する。また、受信した対向車属性データ40をメインメモリ11に記憶する。そして、送信要求データ41の自車位置41b及び走行レーン41c等に基づき、送信要求を行った他車両を基準とした対向車両C3が存在するか否かを判断する(ステップS12−2)。このとき、例えば、対向車両C3から送信された送信要求データ41、又は対向車属性データ40を取得して、対向車両C3の有無を判断してもよい。或いは、カメラ5,6から前方モニタ画像データM1又は後方モニタ画像データM2を取得して、前方モニタ画像データM1又は後方モニタ画像データM2を画像処理することにより、対向車両C3を検出するようにしてもよい。
【0066】
送信要求を送信した他車両に対する対向車両C3があると判断した場合(ステップS12−2においてYES)、制御部10は、画像データ入力部22を介して、前方モニタ画像データM1及び後方モニタ画像データM2をカメラ5,6から取得する(ステップS12−3)。
【0067】
また、送信要求データ41に含まれる他車両の自車位置41bと、検出した対向車両C3の位置に基づき、制御部10は、他車両から対向車両C3までの距離を取得する(ステップS12−4)。そして、取得した距離を相対距離42eとした周辺モニタデータ42を、送信要求データ41を送信した他車両に送信する(ステップS12−5)。このとき
、制御部10は、周辺モニタデータ42の対向車接近フラグ42bをオンにする。
【0068】
一方、ステップS12−2で、対向車両C3を検出できないと判断すると(ステップS12−2においてNO)、対向車接近フラグ42bをオフとし(ステップS12−6)、周辺車両位置42d等を格納しない周辺モニタデータ42を送信する(ステップS12−5)。
【0069】
このように、周辺車両モニタ処理を終了すると、図4に示すステップS2に戻り、停車中であるか否かの判断を繰り返す。そして、ステップS9において、制御部10が終了トリガを入力した場合、運転支援処理を終了したと判断して(ステップS9においてYES)、支援処理を終了する。
【0070】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、運転支援ユニット2は、画像プロセッサ20により、自車両前方の停止車両C2を検出するとともに、停止車両C2が停車しているレーンを判断するようにした。また、制御部10は、停止車両C2が停車しているレーンと、自車両C1が走行するレーンとが同じである場合に、停止車両C2又は停止車両C2の前方に存在する可能性がある対向車両C3に対して送信要求データ41を送信し、対向車両C3から対向車属性データ40を受信した際に警告出力処理を行うようにした。また、停止車両C2から受信した周辺モニタデータ42に基づき、対向車両C3が存在すると判断した場合にも、警告出力処理を行うようにした。さらに、対向車両C3の存在が明確でない場合には、注意喚起処理を行い、対向車両C3が存在しないと推測される場合には、走行案内処理を行うようにした。このため、停止車両C2を回避するため、自車両C1がやむを得ずレーン101からはみ出す場合に、自車両C1のドライバーが確認できない対向車両C3の有無に応じた支援を行うことができる。このため、ドライバーは、警告、注意喚起又は走行案内に従って、一時停止したり徐行したりすることができる。従って、停止車両C2を回避する際の、自車両C1の安全運転を支援することができる。
【0071】
(2)上記実施形態では、制御部10は、停止車両C2が停車しているレーンと、自車両C1が走行するレーンとが異なる場合に、対向車両C3に対して送信要求データ41を送信するようにした。また、対向車属性データ40を受信した場合に、対向車両C3が存在すると判断し、警告出力処理を行うようにした。対向車属性データ40を受信しない場合に、道路100の見通し、残りレーン幅W3等を判断し、判断結果に応じて注意喚起処理又は走行案内処理を行うようにした。このため、自車両C1が走行するレーン101に、停止車両C2を回避した対向車両C3が進入してくる可能性がある場合にも支援を行うことができる。
【0072】
(3)上記実施形態では、画像プロセッサ20は、停止車両C2が停車しているレーンと、自車両C1が走行するレーンとが異なる場合であって、対向車両C3からの対向車属性データ40を受信しない場合に、停止車両C2の脇の残りレーン幅W3を画像データに基づき算出するようにした。そして、制御部10は、残りレーン幅W3が、一般的な車幅及び通過に必要な間隔よりも小さい場合に、注意喚起処理を行うようにした。このため、残りレーン幅W3が十分大きい場合の警告等、不必要な注意喚起又は警告による煩わしさを軽減することができる。
【0073】
(4)上記実施形態では、自車両C1が停車している場合でも、送信要求データ41を送信した他車両に対し、周辺モニタデータ42、前方モニタ画像データM1、後方モニタ画像データM2を送信するようにした。このため、停車中でも、自車両周辺の他車両に対して、対向車両C3に関する情報を提供することができる。
【0074】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、停止車両C2は、所定時間以上停車している車両としたが、画像プロセッサ20により、ウィンカーを点灯させずに停車している車両を検出した場合に、停止車両C2が存在すると判断するようにしても良い。
【0075】
・上記実施形態では、自車両C1が存在する道路の曲率が所定値以上である場合に上記した運転支援を行うようにしたが、これ以外の道路属性値に基づいて判断してもよい。例えば、3レーン以上有する道路の場合、自車両C1が存在するレーンの隣が、対向レーンであって、その対向レーンに停止車両C2がある場合に支援を開始するようにしてもよい。又は停止車両C2が存在するレーンの幅が狭い場合に、支援を開始するようにしてもよい。又は、停止車両C2が、バス、トラック等の大型車両である場合に、支援を開始するようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、画像処理によって前方の他車両を認識した後、その他車両が停車しているかを判断するようにした。これ以外に、ミリ波レーダ等を用いて前方車両を検出し、前方車両が検出された際に、その車両が停車しているか否かを判断するようにしてもよい。また、自車両C1が停車している際に、ミリ波レーダ等により、対向車両C3を検出するようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、運転支援システム1が起動状態又はスリープ状態の場合に、運転支援を開始すると判断した。これ以外に、ディスプレイ3に隣設された操作スイッチ26又はタッチパネルの所定の入力操作に基づき開始するようにしてもよい。又は、イグニッションモジュールのオン信号を開始トリガとしてもよい。
【0078】
・障害物回避処理では、自車両C1の制御部10が、周辺の他車両に対して送信要求データ41を送信するようにしたが、周辺の他車両からの送信要求データ41の有無を判断するようにしてもよい。そして、受信の有無に基づき自車両C1の前方に対向車両C3が存在するか否かを判断するようにしてもよい。
【0079】
・障害物回避処理において、停止車両C2から受信した周辺モニタデータ42の対向車接近フラグ42bがオフであると判断した場合(ステップS8−7においてNO)、回避案内処理を行うようにした(ステップS8−8)。これ以外に、対向車接近フラグ42bがオフであると判断した場合(ステップS8−7においてNO)、停止車両C2から受信した前方モニタ画像データM1を画像プロセッサ20により画像処理して、対向車両C3の有無を確認するようにしてもよい。そして、画像処理に基づき、対向車両C3が無いと判断した場合に、回避案内処理を行うようにしてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、対向車両C3の有無に基づき、警告出力処理、注意喚起処理等を行うようにした。これ以外に、対向車属性データ40の車速40c、停止車両C2までの相対距離40gに基づき、自車両C1が停止車両C2の脇を通過する際に、対向車両C3が到達する位置を推測するようにしてもよい。そして、自車両C1と対向車両C3との相対距離が所定距離以下である際に、警告出力処理を行い、自車両C1と対向車両C3との相対距離が十分大きい場合(所定距離超)に、注意喚起処理又は走行案内処理を行うようにしてもよい。
【0081】
・制御部10は、運転支援として、対向車両C3の有無等の情報提供又は警告の他、操作支援を行うようにしてもよい。例えば、対向車両C3を検出した際に、減速制御するようにしてもよい。
【0082】
・上記実施形態では、停止車両C2及び対向車両C3から、周辺モニタデータ42及び
対向車属性データ40をそれぞれ受信するようにしたが、自車両C1と既にすれ違った対向車両、自車両C1の前方を走行する同じレーン内の他車両から、対向車データとしての対向車検出データを受信してもよい。そして、その対向車検出データに基づいて、対向車両を検出するようにしても良い。また、制御部10は、停車中ではなく、走行中に送信要求データ41を受信した際に、その送信元の他車両に対する対向車両C3を検出し、その対向車両C3に関する周辺モニタデータ42を送信するようにしても良い。
【0083】
・上記実施形態では、自車両C1は、前方カメラ5及び後方カメラ6を搭載するようにしたが、どちらか一方を搭載するようにしてもよい。また、前方カメラ5又は後方カメラ6を、サイドミラー付近等、自車両C1の側方に取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態の運転支援システムのブロック図。
【図2】前方カメラ及び後方カメラの撮影領域の説明図。
【図3】(a)は対向車属性データ、(b)は送信要求データ、(c)は周辺モニタデータの説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の対向車属性データ送信処理の処理手順の説明図。
【図6】本実施形態の障害物回避処理の処理手順の説明図。
【図7】本実施形態の走行案内の処理手順の説明図。
【図8】本実施形態の停車中の処理の処理手順の説明図。
【図9】自車両が停止車両と同じレーン内にある状態の説明図。
【図10】対向車両が停止車両に接近した状態の説明図。
【図11】警告出力処理の説明図。
【図12】注意喚起処理の説明図。
【図13】走行案内処理の説明図。
【図14】自車両が停止車両と異なるレーン内にある状態の説明図。
【図15】警告出力処理の説明図。
【図16】注意喚起処理の説明図。
【図17】走行案内処理の説明図。
【符号の説明】
【0085】
1…運転支援システム、2…運転支援装置としての運転支援ユニット、5…撮影装置としての前方カメラ、6…撮影装置としての後方カメラ、10…停止車両検出手段、送信要求手段、状況判断手段、支援制御手段、はみ出し判定手段、送信要求受付手段、検出手段、対向車データ送信手段としての制御部、18…送信要求手段、送信要求受付手段、検出手段及び対向車データ送信手段としての通信I/F部、20…停止車両検出手段、レーン検出手段及びレーン幅検出手段としての画像プロセッサ、22…画像データ入力手段としての画像データ入力部、40…対向車データとしての対向車属性データ、41…検出データとしての送信要求データ、42…対向車データとしての周辺モニタデータ、42b…対向車検出データとしての対向車接近フラグ、42d…対向車検出データとしての周辺車両位置、42e…対向車検出データとしての相対距離、42f…対向車検出データとしての進行方向、101,102…レーン、C1…自車両、C2…停止車両、C3…対向車両、M1…画像データとしての前方モニタ画像データ、G…画像データ、M2…画像データとしての後方モニタ画像データ、W3…残りレーン幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上に停止車両が存在する際に自車両の運転を支援する運転支援方法において、
自車両前方の停止車両を検出した際に、前記自車両に対する対向車両から送信された対向車データ、又は前記停止車両から送信された対向車検出データに基づいて、前記対向車両が存在するか否かを判断し、前記対向車両の有無に基づき、前記停止車両を通過する際の運転支援を行うことを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
路上に停止車両が存在する際に自車両の運転を支援する運転支援装置において、
自車両前方の前記停止車両を検出する停止車両検出手段と、
前記自車両に対する対向車両から送信された対向車データ、又は前記停止車両から送信された対向車検出データに基づいて、前記対向車両が存在するか否かを判断する状況判断手段と、
前記状況判断手段に基づき、前記停止車両を通過する際の運転支援を行う支援制御手段と
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記停止車両が停車しているレーンを検出し、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである否かを判断するレーン検出手段をさらに備えるとともに、
前記状況判断手段は、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである場合に、前記対向車データ、又は前記対向車検出データに基づいて、前記停止車両の前方であって、前記自車両が走行するレーンと対向するレーン内の対向車両の有無を判断し、
前記支援制御手段は、前記状況判断手段に基づき、前記自車両が走行するレーンをはみ出して走行する際の支援を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記停止車両が停車しているレーンを検出し、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが同じである否かを判断するレーン検出手段をさらに備えるとともに、
前記状況判断手段は、前記停止車両が停車しているレーンと、前記自車両が走行するレーンとが対向する場合に、前記対向車データ、又は前記対向車検出データに基づいて、前記停止車両の後方であって、前記自車両が走行するレーンと対向する対向レーン内の対向車両の有無を判断し、
前記支援制御手段は、前記状況判断手段に基づき、前記対向レーンをはみ出して走行する前記対向車両を回避するための支援を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の運転支援装置において、
前記自車両に搭載された撮影装置から画像データを入力する画像データ入力手段と、
入力した画像データを用いて、前記停止車両の側方の残りレーン幅を検出するレーン幅検出手段と、
前記残りレーン幅に基づき、前記対向車両が前記停止車両を通過する際に、前記対向レーンからはみ出すか否かを判断するはみ出し判定手段とをさらに備えるとともに、
前記支援制御手段は、前記はみ出し判定手段が前記対向車両が前記対向レーンからはみ出して走行すると推測した場合に、前記自車両のドライバーに対して警告することを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−102690(P2008−102690A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283924(P2006−283924)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】