説明

電気光学装置および投射型表示装置

【課題】熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生することを防止することができる電気光学装置、および該電気光学装置を用いた投射型表示装置提供する。
【解決手段】電気光学装置100の素子基板10において、ノンドープシリコン酸化膜からなる第3層間絶縁膜44と、アルミニウム膜等からなる画素電極9aとの間にはドープトシリコン酸化膜からなる応力緩和膜46が形成されている。応力緩和膜46は、ドープトシリコン酸化膜からなり、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接するとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。また、各層の熱膨張係数は以下の関係第3層間絶縁膜44<応力緩和膜46<画素電極9aにある。このため、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間において熱膨張係数の差を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射性画素電極が形成された素子基板を備えた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の電気光学装置では、基板本体の一方面側に画素トランジスター、層間絶縁膜、画素電極がこの順に設けられた素子基板が用いられている。例えば、電気光学装置のうち、反射型の液晶装置に用いられる素子基板は、基板本体の一方面側に画素トランジスター、層間絶縁膜、アルミニウム膜等の反射性の画素電極、配向膜がこの順に設けられた構成になっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、液晶装置において、反射性の画素電極の表面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる絶縁膜が形成されることがある。例えば、配向膜としてシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜が用いられる場合、反射性の画素電極の表面に、絶縁膜として、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる平坦化絶縁膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−139862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、反射性の画素電極を形成した後、画素電極の上層側に絶縁膜を形成すると、絶縁膜を成膜する際の熱が原因で画素電極に大きな熱応力が発生し、かかる熱応力は、画素電極の表面にヒロック等の欠陥を低下させるという問題点がある。例えば、ノンドープシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜の上層にアルミニウム膜からなる画素電極を形成した状態で絶縁膜を形成すると、アルミニウム膜の熱膨張係数(23.1×10-6/℃)と、ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数(0.5×10-6/℃)との差が大きいため、画素電極に大きな熱応力が発生する。その結果、熱応力によって、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生して画素電極表面の平滑度が低下し、画素電極の反射率が低下してしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生することを防止することができる電気光学装置、および該電気光学装置を用いた投射型表示装置提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、素子基板用の基板本体の一方面側に設けられた画素トランジスターと、該画素トランジスターを前記基板本体が位置する側とは反対側で覆う層間絶縁膜と、前記画素トランジスターに対応して前記層間絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に設けられ、当該層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有する反射性の画素電極と、該画素電極を前記基板本体が位置する側とは反対側で覆う透光性の絶縁膜と、前記層間絶縁膜と前記画素電極との層間に設けられ、当該層間絶縁膜に接する部分が当該層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有するとともに、前記画素電極と接する部分が当該画素電極と異なる熱膨張係数を有する絶縁性の応力緩和膜と、を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、「層間絶縁膜に接する部分が層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有するとともに、画素電極と接する部分が画素電極と異なる熱膨張係数を有する絶縁性の応力緩和膜」とは、応力緩和膜が単層膜である場合、かかる単層膜が層間絶縁膜および画素電極と異なる熱膨張係数を有していることを意味する。また、応力緩和膜が多層膜である場合、応力緩和膜において、層間絶縁膜に接する層が層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有しており、画素電極に接する層が画素電極と異なる熱膨張係数を有していることを意味する。
【0009】
本発明では、層間絶縁膜と画素電極との間には応力緩和膜が介在しており、かかる応力緩和膜は、層間絶縁膜と異なる熱膨張係数をもって層間絶縁膜に接するとともに、画素電極と異なる熱膨張係数をもって画素電極に接している。このため、絶縁膜を形成する際、層間絶縁膜の熱膨張係数と画素電極の熱膨張係数との差に起因する熱応力が画素電極に発生する場合でも、層間絶縁膜と画素電極とが直接、接している場合と比較して、熱応力の発生を軽減することができる。従って、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生するのを防止することができるので、画素電極表面の平滑度が低下して画素電極の反射率が低下するのを回避することができる。
【0010】
本発明は、前記画素電極の最表層がアルミニウム膜(アルミニウム合金膜も含む)からなる場合に適用すると、効果的である。アルミニウム膜(熱膨張係数=23.1×10-6/℃)は、ノンドープシリコン酸化膜(熱膨張係数=0.5×10-6/℃)等との熱膨張係数の差が大きいので、大きな熱応力が発生しやすく、ヒロック等の欠陥が発生しやすい。従って、画素電極の最表層がアルミニウム膜からなる場合に本発明を適用すると、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生するのを効果的に防止することができる。
【0011】
本発明においては、例えば、前記応力緩和膜が、前記層間絶縁膜の熱膨張係数と前記画素電極の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する単層膜である構成を採用することができる。かかる構成によれば、応力緩和膜が層間絶縁膜と画素電極との間において熱膨張係数の差を緩和するので、画素電極に熱応力が発生するのを防止することができる。
【0012】
本発明において、前記応力緩和膜は、前記層間絶縁膜の熱膨張係数、および前記画素電極の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する単層膜である構成を採用してもよい。かかる構成によれば、応力緩和膜を上下から熱膨張係数が大きな層(層間絶縁膜および画素電極)で挟んだ構造となる。従って、層間絶縁膜と応力緩和膜との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、応力緩和膜と画素電極との熱膨張係数の差に起因する熱応力とが打ち消されるので、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生するのを防止することができる。
【0013】
本発明において、前記応力緩和膜は、前記層間絶縁膜と異なる熱膨張係数をもって当該層間絶縁膜に接する第1応力緩和膜と、該第1応力緩和膜および前記画素電極と異なる熱膨張係数をもって前記第1応力緩和膜および前記画素電極に接する第2応力緩和膜と、を備えている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、第1応力緩和膜を上下から層間絶縁膜および第2応力緩和膜で挟み、第2応力緩和膜を上下から第1応力緩和膜および画素電極で挟んだ構造となる。従って、層間絶縁膜と第1応力緩和膜との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第1応力緩和膜と第2応力緩和膜との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第2応力緩和膜と画素電極との熱膨張係数の差に起因する熱応力とが互いに打ち消されるので、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生するのを防止することができる。
【0014】
この場合、前記第1応力緩和膜は、前記層間絶縁膜に比して大きな熱膨張係数を有し、前記第2応力緩和膜は、前記第1応力緩和膜および前記画素電極に比して小さな熱膨張係数を有していることが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記絶縁膜において少なくとも前記画素電極に接する部分が、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなることが好ましい。かかる構成によれば、ドープトシリコン酸化膜の熱膨張係数(2〜4×10-6/℃)は、ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数(0.5×10-6/℃)等に比して、画素電極を構成するアルミニウム膜の熱膨張係数(23.1×10-6/℃)や他の金属材料の熱膨張係数との差が小さい。このため、加熱した状態でドープトシリコン酸化膜を成膜しても、画素電極および絶縁膜に大きな熱応力が発生しないので、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生しにくい。
【0016】
本発明において電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記素子基板の一方面側に対向配置された対向基板と、前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、が設けられ、前記素子基板の最表面には配向膜が設けられることになる。
【0017】
本発明において、前記配向膜は無機配向膜であることが好ましい。かかる構成によれば、有機配向膜と違ってラビング処理を行う必要がないので、ラビング処理に起因するコストの増大や配向特性のばらつき等が発生しない。
【0018】
本発明に係る電気光学装置が液晶装置であって、かかる液晶装置をライトバルブとして投射型表示装置では、前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置に用いた液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の画素の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置で用いた応力緩和膜の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置で用いた応力緩和膜の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図10】本発明の実施の形態6に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図11】本発明を適用した電気光学装置(反射型液晶装置)を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、画素トランジスターとして用いた電界効果型トランジスターは、流れる電流の方向が反転するに伴ってソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板の構成を説明するにあたって、素子基板の基板本体が位置する側を下層側とし、素子基板の基板本体が位置する側とは反対側を上層側として説明する。また、素子基板に形成された層において、表面および表層とは、基板本体が位置する側とは反対側の面や層を意味する。
【0021】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、本形態の電気光学装置100は、反射型の液晶装置であり、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの反射型の液晶パネル100pを有している。液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画素領域10a(画像表示領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画素領域10aの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0022】
素子基板10において、画素領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0023】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量55が付加されている。本形態では、保持容量55を構成するために、複数の画素100aに跨って走査線3aと並行して延びた容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された共通電位線5cに導通している。
【0024】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した電気光学装置100に用いた液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100の液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図2(a)、(b)に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。
【0025】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画素領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と画素領域10aの外周縁との間には、略四角形の周辺領域10bが額縁状に設けられている。素子基板10において、画素領域10aの外側では、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0026】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面側において、画素領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に対応して設けられた画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。なお、素子基板10の一方面側において、周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bについては、ダミーの画素トランジスターと電気的に接続された構成、ダミーの画素トランジスターが設けられずに配線に直接、電気的に接続された構成、あるいは電位が印加されていないフロート状態にある構成が採用される。かかるダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画素領域10aと周辺領域10bとの高さ位置を揃え、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。また、ダミー画素電極9bを所定の電位に設定すれば、画素領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止することができる。
【0027】
対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には共通電極21が形成されており、共通電極21の上層には配向膜26が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。また、対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には、共通電極21の下層側に遮光層108が形成されている。本形態において、遮光層108は、画素領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状に形成されている。ここで、遮光層108の外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にあり、遮光層108とシール材107とは重なっていない。なお、対向基板20において、遮光層108は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と重なる領域等にも形成されることがある。
【0028】
このように構成した液晶パネル100pにおいて、素子基板10には、シール材107より外側において対向基板20の角部分と重なる領域に、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通部109が形成されている。かかる基板間導通部109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通材109aを介して素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通部109を避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0029】
かかる構成の電気光学装置100において、本形態では、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aを反射性導電膜により形成してある。このため、本形態の電気光学装置100では、対向基板20側から入射した光は、素子基板10側で反射して対向基板20側から出射される間に変調されて画像を表示する。
【0030】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルター(図示せず)や保護膜が形成される。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0031】
以下、本形態の電気光学装置100では、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いれられ、液晶パネル100pがVAモード用に構成されている場合を中心に説明する。
【0032】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の画素の説明図であり、図3(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100に用いた素子基板10において隣り合う画素の平面図、および図3(a)のF−F′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図である。なお、図3(a)では、半導体層1aは細くて短い点線で示し、走査線3aは太い実線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、容量線5bは二点鎖線で示し、画素電極9aは太くて長い破線で示し、下電極層4aは細い実線で示してある。
【0033】
図3(a)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、各画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びており、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に画素トランジスター30が形成されている。素子基板10上には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0034】
図3(a)、(b)に示すように、素子基板10は、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の基板本体10wの液晶層50側の表面(一方面側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(一方面側)に形成された共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0035】
素子基板10において、複数の画素100aの各々には、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。半導体層1aは、走査線3aの一部からなるゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gと、ソース領域1bと、ドレイン領域1cとを備えており、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、低濃度領域および高濃度領域を備えている。半導体層1aは、例えば、基板本体10w上に、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12上に形成された多結晶シリコン膜等によって構成され、ゲート絶縁層2は、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる。また、ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化してなるシリコン酸化膜と、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜との2層構造を有する場合もある。走査線3aには、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜が用いられる。
【0036】
走査線3aの上層側にはシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜41が形成されており、第1層間絶縁膜41の上層には下電極層4aが形成されている。下電極層4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差する位置を基点として走査線3aおよびデータ線6aに沿って延出する略L字型に形成されている。下電極層4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなり、コンタクトホール7cを介してドレイン領域1cに電気的に接続されている。
【0037】
下電極層4aの上層側には、シリコン窒化膜等からなる誘電体層42が形成されている。誘電体層42の上層側には、誘電体層42を介して下電極層4aと対向するように容量線5b(上電極層)が形成され、かかる容量線5b、誘電体層42および下電極層4aによって、保持容量55が形成されている。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなる。ここで、下電極層4a、誘電体層42および容量線5b(上電極層)は、画素トランジスター30の上層側に形成され、画素トランジスター30に対して平面視で重なっている。このため、保持容量55は、画素トランジスター30の上層側に形成され、少なくとも画素トランジスター30に対して平面視で重なっている。
【0038】
容量線5bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜43が形成され、第2層間絶縁膜43の上層にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成されている。データ線6aはコンタクトホール7aを介してソース領域1bに電気的に接続している。ドレイン電極6bはコンタクトホール7bを介して下電極層4aに電気的に接続し、下電極層4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなる。
【0039】
(画素電極9a周辺の構成)
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側には、厚さが600nm程度のシリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜44が形成されており、かかる第3層間絶縁膜44の上層側には、アルミニウム膜等の反射性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aの厚さは200nm程度である。
【0040】
本形態では、第3層間絶縁膜44の上層に、後述する絶縁性の応力緩和膜46が積層されており、かかる応力緩和膜46の上層に画素電極9aが積層されている。応力緩和膜46の厚さは例えば、第3層間絶縁膜44の厚さの1/10程度であり、本形態において、応力緩和膜46の厚さは50nm程度である。第3層間絶縁膜44および応力緩和膜46には、ドレイン電極6bへ通じるコンタクトホール7dが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール7dを介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。本形態において、応力緩和膜46の表面は連続した平坦面になっており、かかる平坦面上に画素電極9aが形成されている。かかる平坦面は、後述する製造方法のように、第3層間絶縁膜44の表面および応力緩和膜46の表面のうちの少なくとも一方を研磨により平坦化することにより構成することができる。なお、応力緩和膜46の表面には、図2(b)を参照して説明したダミー画素電極9b(図3には図示せず)が形成されており、かかるダミー画素電極9bは、画素電極9aと同時形成された反射性導電膜からなる。
【0041】
本形態において、画素電極9aとしては、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等が用いられている。かかる画素電極9aのうち、アルミニウム膜の下層側にチタン窒化膜やチタン膜を形成すれば、画素電極9aの下面側での反射を防止でき、迷光の発生を防止できるという利点や、アルミニウム膜表面が平滑となり、アルミニウム膜の反射率が向上するという利点がある。
【0042】
画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。配向膜16は、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。配向膜16と画素電極9aとの層間には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる平坦化絶縁膜17が透光性の絶縁膜として形成されており、画素電極9aは平坦化絶縁膜17によって覆われている。かかる平坦化絶縁膜17は、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを埋めている。また、平坦化絶縁膜17の表面は平坦面になっており、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)と重なる部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成している。このため、平坦面上に斜方蒸着を行って配向膜16を形成することができるので、配向膜16を構成する斜方蒸着膜を好適に形成することができる。
【0043】
(第3層間絶縁膜44および応力緩和膜46の膜構成)
本形態の電気光学装置100において、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。また、第3層間絶縁膜44、応力緩和膜46、および画素電極9aの熱膨張係数は以下の関係
熱膨張係数
第3層間絶縁膜44<応力緩和膜46<画素電極9a
を有しており、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44の熱膨張係数と画素電極9aの熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する単層膜である。
【0044】
より具体的には、第3層間絶縁膜44は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)からなる。応力緩和膜46は、リンがドープされたリンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンがドープされたボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロンおよびリンがドープされたボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなる。従って、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44に比して、画素電極9aを構成する材料との熱膨張係数の差が小さい。
【0045】
すなわち、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数は以下のレベル
アルミニウム膜の熱膨張係数=23.1×10-6/℃
チタン窒化膜の熱膨張係数=9.3×10-6/℃
チタン膜の熱膨張係数=11.0×10-6/℃
である。これに対して、応力緩和膜46および第3層間絶縁膜44の熱膨張係数は以下のレベル
応力緩和膜46(ドープトシリコン酸化膜)の熱膨張係数=2〜4×10-6/℃
第3層間絶縁膜44(ノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
である。
【0046】
(対向基板20等の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20wの液晶層50側の表面(素子基板10に対向する側の面)に、ITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。配向膜26は、配向膜16と同様、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜26は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)であり、配向膜26と共通電極21との層間にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の保護膜27が形成されている。保護膜27は、表面が平坦面になっており、かかる平坦面上に配向膜26が形成されている。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0047】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、Nチャネル型の駆動用トランジスターとPチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図3(b)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0048】
(電気光学装置100の製造方法)
図4および図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の製造方法の要部を示す工程断面図である。本形態の電気光学装置100を製造するにあたって、素子基板10の製造方法では、図4(a)に示すように、画素トランジスター30、保持容量55、データ線6aを形成した後、第3層間絶縁膜44を形成するためのシリコン酸化膜(ノンドープシリコン酸化膜)を減圧CVD法やプラズマCVD法等により形成する(層間絶縁膜形成工程)。かかるノンドープシリコン酸化膜を形成する際に減圧CVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば650〜750℃であり、使用する原料ガスはSi(OC254等である。また、ノンドープシリコン酸化膜を形成する際にプラズマCVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば250〜450℃であり、使用する原料ガスはSiH4、N2O等である。また、ノンドープシリコン酸化膜をプラズマCVD法により形成する際、使用する原料ガスがSi(OC254、O2等である場合、成膜温度は、例えば350〜450℃である。
【0049】
次に、図4(b)に示す平坦化工程では、第3層間絶縁膜44の表面を研磨し、その表面を平坦化する。かかる平坦化工程では、化学機械研磨を利用でき、化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と素子基板10との相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、素子基板10を保持するホルダーとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と素子基板10との間に供給する。
【0050】
次に、図4(c)に示す応力緩和膜形成工程では、第3層間絶縁膜44の上層に常圧CVD法等によりドープトシリコン酸化膜からなる応力緩和膜46を形成する。かかる応力緩和膜46を形成した際、第3層間絶縁膜44の表面が連続した平坦面になっているので、応力緩和膜46の表面も連続した平坦面となる。応力緩和膜46を形成する際の成膜温度は、例えば350〜450℃である。また、応力緩和膜46(ドープトシリコン酸化膜)として、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスはSiH4、PH3、O3等であり、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスはSiH4、B26、O3等であり、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスはSiH4、B26、PH3、O3等である。
【0051】
次に、図4(d)に示すコンタクトホール形成工程では、応力緩和膜46および第3層間絶縁膜44を貫通してドレイン電極6bに到達するコンタクトホール7dを形成する。
【0052】
次に、図5(a)に示す画素電極形成工程では、応力緩和膜46の上層に画素電極9aを形成するための反射性導電膜を形成した後、反射性導電膜をパターニングし、画素電極9aを形成する。
【0053】
次に、図5(b)に示す平坦化膜形成工程では、減圧CVD法やプラズマCVD法等により、ノンドープシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる透光性の平坦化絶縁膜17を厚く形成した後、図5(c)に示す平坦化工程において、平坦化絶縁膜17の表面に化学機械研磨を行って、平坦化絶縁膜17の表面を平坦化する。その際、画素電極9aの表面が露出しない程度に平坦化絶縁膜17を残す。その結果、平坦化絶縁膜17では、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)と重なる部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成することになる。なお、平坦化絶縁膜17をノンドープシリコン酸化膜により形成する方法は上記の通りである。また、平坦化絶縁膜17をシリコン窒化膜により形成するにあたって、減圧CVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば、650〜850℃であり、使用する原料ガスはSiH2Cl2、NH3等である。また、シリコン窒化膜を形成する際にプラズマCVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば、250〜400℃であり、使用する原料ガスはSiH4、NH3等である。
【0054】
このようにして平坦化絶縁膜17を形成した後は、図5(c)には図示しない外部接続端子等を形成したのち、平坦化絶縁膜17の表面に斜方蒸着を行い、図3に示すように配向膜16を形成する。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100においては、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が介在しており、かかる応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接するとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。このため、平坦化絶縁膜17(絶縁膜)を形成する際、第3層間絶縁膜44の熱膨張係数と画素電極9aの熱膨張係数との差に起因する熱応力が画素電極9aに発生する場合でも、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとが直に接している場合と比較して、熱応力の発生を軽減することができる。すなわち、本形態では、応力緩和膜46が、第3層間絶縁膜44(ノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数と画素電極9a(アルミニウム膜等)の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する単層膜(ドープトシリコン酸化膜)であるため、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間において熱膨張係数の差を緩和する。従って、熱膨張係数の差に起因する熱応力が画素電極9aに発生するのを防止することができる。それ故、本形態によれば、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極9aの表面に発生するのを防止することができるので、画素電極9a表面の平滑度が低下して画素電極9aの反射率が低下するのを回避することができる。
【0056】
また、本形態では、配向膜16、26が無機配向膜であるため、有機配向膜と違ってラビング処理を行う必要がない。それ故、ラビング処理に起因するコストの増大や配向特性のばらつき等が発生しない。
【0057】
なお、図4および図5に示す製造方法では、第3層間絶縁膜44の表面を平坦化したが、応力緩和膜46の表面を平坦化してもよく、第3層間絶縁膜44の表面および応力緩和膜46の表面の双方を平坦化してもよい。
【0058】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100で用いた応力緩和膜46の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、本形態の基本的な構成の説明にあたっては、図3(b)を参照する。
【0059】
図3(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が形成されており、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。
【0060】
本形態では、第3層間絶縁膜44、応力緩和膜46、および画素電極9aの熱膨張係数は以下の関係
熱膨張係数
第3層間絶縁膜44>応力緩和膜46<画素電極9a
を有している。
【0061】
より具体的には、第3層間絶縁膜44は、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等のドープトシリコン酸化膜からなり、応力緩和膜46はノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)からなる。従って、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44および画素電極9aより熱膨張係数が小さい単層膜からなる。
【0062】
すなわち、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数は以下のレベル
アルミニウム膜の熱膨張係数=23.1×10-6/℃
チタン窒化膜の熱膨張係数=9.3×10-6/℃
チタン膜の熱膨張係数=11.0×10-6/℃
である。これに対して、応力緩和膜46および第3層間絶縁膜44の熱膨張係数は以下のレベル
応力緩和膜46(ノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
第3層間絶縁膜44(ドープトシリコン酸化膜)の熱膨張係数=2〜4×10-6/℃
であり、応力緩和膜46を上下から熱膨張係数が大きな層(第3層間絶縁膜44および画素電極9a)で挟んだ構造になっている。
【0063】
従って、本形態では、図6(a)に示すように、応力緩和膜46と画素電極9aとの間では、画素電極9aの方が応力緩和膜46に比して熱膨張係数が大きいため、高温雰囲気では上方に反るような応力が発生する。これに対して、図6(b)に示すように、第3層間絶縁膜44と応力緩和膜46との間では、第3層間絶縁膜44の方が応力緩和膜46に比して熱膨張係数が大きいため、高温雰囲気では下方に反るような応力が発生する。このため、第3層間絶縁膜44と応力緩和膜46との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、応力緩和膜46と画素電極9aとの熱膨張係数の差に起因する熱応力とが打ち消されるので、画素電極9aに発生する熱応力が緩和される。それ故、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極9aの表面に発生するのを防止することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0064】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100の画素の断面図である。図8は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100で用いた応力緩和膜46の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。図7に示すように、本形態の電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が形成されている。
【0065】
本形態において、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接する下層側の第1応力緩和膜461と、第1応力緩和膜461および画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって第1応力緩和膜461および画素電極9aに接する上層側の第2応力緩和膜462とを備えている。このため、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。本形態において、応力緩和膜46の厚さは50nm程度であり、第1応力緩和膜461および第2応力緩和膜462の厚さは各々、25nm程度である。
【0066】
また、本形態では、第3層間絶縁膜44、応力緩和膜46(第1応力緩和膜461および第2応力緩和膜462)の熱膨張係数は以下の関係
熱膨張係数
第3層間絶縁膜44<第1応力緩和膜461>第2応力緩和膜462<画素電極9a
を有している。
【0067】
より具体的には、第3層間絶縁膜44はノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)からなり、第1応力緩和膜461は、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等のドープトシリコン酸化膜からなり、第2応力緩和膜462はノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)からなる。従って、第1応力緩和膜461は、第3層間絶縁膜44に比して大きな熱膨張係数を有し、第2応力緩和膜462は、第1応力緩和膜461および画素電極9aに比して小さな熱膨張係数を有している。
【0068】
すなわち、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数は以下のレベル
アルミニウム膜の熱膨張係数=23.1×10-6/℃
チタン窒化膜の熱膨張係数=9.3×10-6/℃
チタン膜の熱膨張係数=11.0×10-6/℃
である。これに対して、応力緩和膜46(第1応力緩和膜461および第2応力緩和膜462)および第3層間絶縁膜44の熱膨張係数は以下のレベル
第2応力緩和膜462(ノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
第1応力緩和膜461(ドープトシリコン酸化膜)の熱膨張係数=2〜4×10-6/℃
第3層間絶縁膜44(ノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
であり、第1応力緩和膜461を上下から第3層間絶縁膜44および第2応力緩和膜462で挟み、第2応力緩和膜462を上下から第1応力緩和膜461および画素電極9aで挟んだ構造になっている。
【0069】
従って、本形態では、図8(a)に示すように、第2応力緩和膜462と画素電極9aとの間では、画素電極9aの方が第2応力緩和膜462に比して熱膨張係数が大きいため、高温雰囲気では上方に反るような応力が発生する。また、図8(b)に示すように、第1応力緩和膜461と第2応力緩和膜462との間では、第1応力緩和膜461の方が第2応力緩和膜462に比して熱膨張係数が大きいため、高温雰囲気では下方に反るような応力が発生する。また、図8(c)に示すように、第3層間絶縁膜44と第1応力緩和膜461との間では、第1応力緩和膜461の方が第3層間絶縁膜44に比して熱膨張係数が大きいため、高温雰囲気では上方に反るような応力が発生する。このため、第3層間絶縁膜44と第1応力緩和膜461との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第1応力緩和膜461と第2応力緩和膜462との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第2応力緩和膜462と画素電極9aとの熱膨張係数の差に起因する熱応力とが打ち消されるので、画素電極9aに発生する熱応力が緩和される。それ故、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極9aの表面に発生するのを防止することができる等、実施の形態1、2と同様な効果を奏する。
【0070】
[実施の形態4]
本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、本形態の基本的な構成の説明にあたっては、図3(b)を参照する。
【0071】
図3(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が形成されており、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。
【0072】
本形態において、平坦化絶縁膜17(絶縁膜)は、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等のドープトシリコン酸化膜からなる。かかるドープトシリコン酸化膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜に比して、画素電極9aを構成する材料との熱膨張係数の差が小さい。
【0073】
すなわち、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数は以下のレベル
アルミニウム膜の熱膨張係数=23.1×10-6/℃
チタン窒化膜の熱膨張係数=9.3×10-6/℃
チタン膜の熱膨張係数=11.0×10-6/℃
である。これに対して、ドープトシリコン酸化膜およびノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数は以下のレベル
ドープトシリコン酸化膜170=2〜4×10-6/℃
ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
である。
【0074】
このため、本形態によれば、実施の形態1と同様な効果に加えて、平坦化絶縁膜17と画素電極9aを構成する材料との熱膨張係数の差が小さいので、加熱した状態で平坦化絶縁膜17を成膜しても、画素電極9aおよび平坦化絶縁膜17に大きな熱応力が発生せず、画素電極9aの表面にヒロック等の欠陥が発生しにくいという効果を奏する。従って、ヒロック等の欠陥が原因で画素電極9aの表面の平滑度が低下して画素電極9aの反射率が低下するのを回避することができる。また、ドープトシリコン酸化膜170は、段差被覆性に優れているため、画素電極9aの表面にコンタクトホール7dに起因する凹部9fが形成されている場合でも、ドープトシリコン酸化膜170において凹部9fを埋める部分に空洞が発生しにくい。それ故、空洞が平坦化絶縁膜17の表面で露出することが原因で画素電極9aでの反射方向が乱れて表示画像のコントラストが低下するのを防止することができる。なお、本形態では、画素電極9aの下層側は実施の形態1で説明した構造を採用したが、画素電極9aの下層側については実施の形態2、3で説明した構造を採用してもよい。
【0075】
[実施の形態5]
図9は、本発明の実施の形態5に係る電気光学装置100の画素の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0076】
図9に示すように、本形態の電気光学装置100に用いた素子基板10でも、実施の形態1と同様、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が形成されており、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。
【0077】
また、本形態では、実施の形態4と同様、平坦化絶縁膜17(絶縁膜)は、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等のドープトシリコン酸化膜からなる。かかるドープトシリコン酸化膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜に比して、画素電極9aを構成する材料との熱膨張係数の差が小さい。
【0078】
また、本形態では、平坦化絶縁膜17の上層にノンドープシリコン酸化膜からなる保護膜18が積層されており、かかる保護膜18の上層に配向膜16(無機配向膜/斜方蒸着膜)が積層されている。かかる構成では、平坦化絶縁膜17では、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)と重なる部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成しているため、保護膜18の表面は研磨処理を行わなくても平坦面になっている。
【0079】
このような構成によれば、実施の形態1や実施の形態4で説明した効果に加えて、ドープトシリコン酸化膜からなる平坦化絶縁膜17の上層にノンドープシリコン酸化膜からなる保護膜18が形成されているため、電気光学装置100の信頼性が高い。すなわち、ドープトシリコン酸化膜は、画素電極9aでのヒロックの発生防止や空洞の発生防止という点では優れているが、水分を吸着しやすい。このため、ドープトシリコン酸化膜から水分が放出されると、かかる水分が液晶層50に侵入する可能性があるが、平坦化絶縁膜17(ドープトシリコン酸化膜)の表面にノンドープシリコン酸化膜(保護膜18)を積層すれば、かかる水分の液晶層への進入をノンドープシリコン酸化膜(保護膜18)によって防止できるという利点がある。なお、本形態では、画素電極9aの下層側は実施の形態1で説明した構造を採用したが、画素電極9aの下層側については実施の形態2、3で説明した構造を採用してもよい。
【0080】
[実施の形態6]
図10は、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置100の画素の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0081】
図10に示すように、本形態の電気光学装置100に用いた素子基板10でも、実施の形態1と同様、第3層間絶縁膜44と画素電極9aとの間には応力緩和膜46が形成されており、応力緩和膜46は、第3層間絶縁膜44と異なる熱膨張係数をもって第3層間絶縁膜44に接しているとともに、画素電極9aと異なる熱膨張係数をもって画素電極9aに接している。
【0082】
本形態において、平坦化絶縁膜17(絶縁膜)は、画素電極9a上に積層された第1絶縁膜17aと、第1絶縁膜17a上に積層された第2絶縁膜17bとを備えており、第1絶縁膜17aはドープトシリコン酸化膜である。ここで、第2絶縁膜17bはノンドープシリコン酸化膜からなる。かかる平坦化絶縁膜17では、第1絶縁膜17a(ドープトシリコン酸化膜)と第2絶縁膜17b(ドープトシリコン酸化膜)の2層構造になっているが、平坦化絶縁膜17において少なくとも画素電極9aに接する最下層が、ドープトシリコン酸化膜からなる。
【0083】
ここで、第1絶縁膜17aは、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを概ね埋めている。但し、第1絶縁膜17aの表面には、下層側の凹凸に起因する凹凸が形成されている。これに対して、第2絶縁膜17bは、ノンドープシリコン酸化膜であって、第2絶縁膜17bは、画素電極9aに重なる部分の表面と、隣り合う画素電極9aの間に重なる部分の表面とが連続した平坦面を形成している。かかる構成は、第1絶縁膜17aおよび第2絶縁膜17bをこの順に成膜した後、第2絶縁膜17bの表面を化学機械研磨により平坦化することにより実現することができる。
【0084】
このような構成によれば、実施の形態1や実施の形態4で説明した効果に加えて、ドープトシリコン酸化膜(第1絶縁膜17a)の上層にノンドープシリコン酸化膜(第2絶縁膜17b)が形成されているため、実施の形態5と同様、第1絶縁膜17a(ドープトシリコン酸化膜)からの水分の放出を第2絶縁膜17b(ノンドープシリコン酸化膜)によって防止できるという利点がある。
【0085】
また、本形態では、第2絶縁膜17b(ノンドープシリコン酸化膜)の表面を研磨するが、第1絶縁膜17a(ドープトシリコン酸化膜)の表面は研磨しない。このため、研磨装置がリンやボロンで汚染されることを防止することができる。なお、本形態では、画素電極9aの下層側は実施の形態1で説明した構造を採用したが、画素電極9aの下層側については実施の形態2、3で説明した構造を採用してもよい。
【0086】
[実施の形態6の変形例]
上記実施の形態6では、第1絶縁膜17a(ドープトシリコン酸化膜)の表面については研磨せずに、第2絶縁膜17b(ノンドープシリコン酸化膜)の表面のみを研磨したが、第1絶縁膜17a(ドープトシリコン酸化膜)の表面および第2絶縁膜17b(ノンドープシリコン酸化膜)の表面の双方を研磨してもよい。
【0087】
[他の電気光学装置への適用例]
上記実施の形態では、電気光学装置100の素子基板10として、反射型の液晶装置の素子基板10に本発明を適用したが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置やプラズマ表示装置等、他の電気光学装置の素子基板に本発明を適用してもよい。
【0088】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図11は、本発明を適用した電気光学装置100(反射型液晶装置)を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【0089】
図11に示す投射型表示装置1000において、光源部890は、システム光軸Lに沿って光源810、インテグレーターレンズ820および偏光変換素子830が配置された偏光照明装置800を有している。また、光源部890は、システム光軸Lに沿って、偏光照明装置800から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面841により反射させる偏光ビームスプリッター840と、偏光ビームスプリッター840のS偏光光束反射面841から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー842と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー843とを有している。
【0090】
また、投射型表示装置1000は、各色光が入射する3つの反射型の電気光学装置100(反射型の液晶装置100R、100G、100B)を備えており、光源部890は、3つの電気光学装置100(液晶装置100R、100G、100B)に所定の色光を供給する。
【0091】
かかる投射型表示装置1000においては、3つの液晶装置100R、100G、100Bにて変調された光をダイクロイックミラー842、843、および偏光ビームスプリッター840にて合成した後、この合成光を投射光学系850によってスクリーン860等の被投射部材に投射する。
【0092】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0093】
(他の電子機器)
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0094】
9a・・画素電極、10・・素子基板、16・・配向膜、17・・平坦化絶縁膜(絶縁膜)、20・・対向基板、21・・共通電極、44・・第3層間絶縁膜(層間絶縁膜)、46・・応力緩和膜、50・・液晶層、100・・電気光学装置、461・・第1応力緩和膜、462・・第2応力緩和膜、1000・・投射型表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板用の基板本体の一方面側に設けられた画素トランジスターと、
該画素トランジスターを前記基板本体が位置する側とは反対側で覆う層間絶縁膜と、
前記画素トランジスターに対応して前記層間絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に設けられ、当該層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有する反射性の画素電極と、
該画素電極を前記基板本体が位置する側とは反対側で覆う透光性の絶縁膜と、
前記層間絶縁膜と前記画素電極との層間に設けられ、当該層間絶縁膜に接する部分が当該層間絶縁膜と異なる熱膨張係数を有するとともに、前記画素電極と接する部分が当該画素電極と異なる熱膨張係数を有する絶縁性の応力緩和膜と、
を有していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画素電極は、最表層がアルミニウム膜からなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記応力緩和膜は、前記層間絶縁膜の熱膨張係数と前記画素電極の熱膨張係数との間の
熱膨張係数を有する単層膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記応力緩和膜は、前記層間絶縁膜の熱膨張係数、および前記画素電極の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する単層膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記応力緩和膜は、前記層間絶縁膜と異なる熱膨張係数をもって当該層間絶縁膜に接する第1応力緩和膜と、該第1応力緩和膜および前記画素電極と異なる熱膨張係数をもって前記第1応力緩和膜および前記画素電極に接する第2応力緩和膜と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1応力緩和膜は、前記層間絶縁膜に比して大きな熱膨張係数を有し、
前記第2応力緩和膜は、前記第1応力緩和膜および前記画素電極に比して小さな熱膨張係数を有していることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記絶縁膜において少なくとも前記画素電極に接する部分が、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記素子基板の一方面側に対向配置された対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、
を有し、
前記素子基板の最表面には配向膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記配向膜は無機配向膜からなることを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、
前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、
を有していることを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−108169(P2012−108169A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254587(P2010−254587)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】