説明

電気光学装置および投射型表示装置

【課題】反射性画素電極の上層側に絶縁膜が形成されているか否かにかかわらず端子電極を設けることができるとともに、深いコンタクトホールを形成しなくても端子電極の導通を図ることができる電気光学装置、および投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100において、端子電極102は、反射性の画素電極9aと同一の層に設けられているとともに、画素電極9aを構成する導電膜と同一種類の導電材料からなる。このため、画素電極9aの上層側に平坦化膜17等の絶縁膜が形成されているか否かにかかわらず、端子電極102を構成することができる。また、端子電極102を導通させるためのコンタクトホール45sが浅い。画素電極9aおよび端子電極102の上層側には平坦化膜17が設けられており、平坦化膜17の端子電極102と重なる領域には開口部17sが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一方面側に反射性画素電極および端子電極が設けられた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電気光学装置のうち、反射型液晶装置は、一方面側に反射性画素電極およびスイッチング素子が形成された素子基板と、共通電極が形成された対向基板との間に液晶材料が保持された構造を有しており、素子基板に設けた端子電極にフレキシブル配線基板を接続することにより、素子基板に対して各種信号や各種電位が供給される。
【0003】
ここで、反射性画素電極はアルミニウム等の金属膜により構成されており、端子電極はITO(Indium Tin Oxide)膜等により構成されている(特許文献1参照)。また、特許文献1に記載の構成では、反射性画素電極の上層側に絶縁膜からなる保護膜が形成されており、ITO膜からなる端子電極は保護膜の上層側に形成されている。
【0004】
なお、基板の表面に凹凸を形成しておくことにより、反射性画素電極の表面に散乱用の凹凸を設ける一方、端子電極を反射性画素電極と同一種類の導電材料により形成することにより、表面に凹凸を備えた端子電極を形成する技術が提案されている(特許文献2参照)。また、基板の表面に凹凸を備えたフォトレジストを形成しておくことにより、反射性画素電極の表面に散乱用の凹凸を設ける一方、フォトレジストが形成されていない領域に、反射性画素電極と同一種類の導電材料からなる端子電極を形成する技術が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−78759号公報
【特許文献2】特開2000−187238号公報
【特許文献3】特開2002−328396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、反射性画素電極の上層側に絶縁膜からなる保護膜が形成されている場合のみに適用できる構成であり、適用される電気光学装置の構成が限定されてしまう。また、保護膜の上層側に形成した導電膜を利用して端子電極を形成する場合、保護膜および層間絶縁膜を貫通するような極めて深いコンタクトホールを形成する必要があり、かかるコンタクトホールを形成する際にはプロセス面でのマージンが小さいため、歩留まりが低下しやすいという問題点もある。また、保護膜および層間絶縁膜を貫通するような極めて深いコンタクトホールを介して、端子電極と配線や電極とを導通させる必要があるため、信頼性が低いという問題点もある。
【0007】
なお、特許文献2、3には、端子電極を反射性画素電極と同一種類の導電材料により形成した構成が記載されているが、特許文献2に記載の技術は、スイッング素子の上層側に層間絶縁膜が形成されている場合には適用できず、特許文献3に記載の技術は、端子電極の形成領域に層間絶縁膜が形成されている場合には適用できない。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、反射性画素電極の上層側に絶縁膜が形成されているか否かにかかわらず端子電極を設けることができるとともに、深いコンタクトホールを形成しなくても端子電極の導通を図ることができる電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、基板と、複数の画素に対応して前記基板の一方面側に設けられた複数の反射性画素電極と、前記複数の画素に対応して前記基板と前記複数の反射性画素電極との間に設けられたスイッチング素子と、該スイッチング素子と前記複数の反射性画素電極との間に設けられた層間絶縁膜と、前記複数の反射性画素電極と同一の層に設けられ、前記層間絶縁膜の前記スイッチング素子と反対側に設けられた端子電極と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明において、端子電極は、反射性画素電極と同一の層に設けられているため、反射性画素電極の上層側に絶縁膜からなる保護膜が形成されているか否かにかかわらず、端子電極を構成することができる。また、端子電極は、反射性画素電極と同一の層に設けられているため、端子電極を下層側の中継電極や配線に導通させる場合でも、画素電極を下層側の中継電極と導通させるための構造と同一の構造を採用することができる。従って、端子電極を下層側の中継電極や配線と導通させる場合でも、深いコンタクトホールを形成しなくてもよい。それ故、深いコンタクトホールを形成する際のプロセス上のマージンが小さいことに起因する歩留まり低下や、深いコンタクトホールを介しての導通に起因する信頼性の低下等を回避することができる。
【0011】
前記複数の反射性画素電極および前記端子電極は、同一の平坦膜の前記基板とは反対側の面に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、反射性画素電極および端子電極を平坦面に形成する場合でも、平坦化のための研磨工程の数が少なく済む。また、平坦膜を形成する際の研磨によって、コンタクトホールを形成すべき絶縁膜の厚さが薄くなる。
【0012】
本発明において、前記複数の反射性画素電極および前記端子電極に対して前記基板と反対側に設けられた平坦化膜を備え、当該平坦化膜の前記端子電極と重なる領域には開口部が設けられている構成を採用することができる。かかる構成によれば、画素電極および端子電極の上層側に平坦化膜が設けられている場合でも、端子電極にフレキシブル配線基板等を接続することができる。また、平坦化膜を形成した場合でも、端子電極は、平坦化膜より下層側に形成されているため、端子電極を下層側に導通させる際、層間絶縁膜に深いコンタクトホールを形成しなくてもよい。また、同一の層に画素電極および端子電極が形成され、かかる画素電極および端子電極の上層側に平坦化膜が設けられているため、平坦化膜を形成するにあたって、絶縁膜を形成した後、絶縁膜の表面を研磨する際、絶縁膜を成膜した時点では画素電極の形成領域と端子電極の形成領域との間に大きな高低差が存在しない。それ故、研磨を行った際、画素電極の形成領域の表面を平坦面とすることができる。
【0013】
本発明において、前記複数の反射性画素電極は、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して中継電極に導通し、前記端子電極は、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して、前記中継電極と同一の層に形成された配線または中継電極に導通している構成を採用することが好ましい。かかる構成によれば、画素電極を下層側に導通させるためのコンタクトホールの形成と、端子電極を下層側の電極や配線に導通させるためのコンタクトホールの形成とを同時に行うことができる。また、画素電極が導通する中継電極と、端子電極が導通する配線や電極とを同時に形成することができる。従って、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記複数の反射性画素電極および前記端子電極に対して前記基板と反対側に設けられた誘電体多層膜を備え、当該誘電体多層膜の前記端子電極と重なる領域には開口部が設けられている構成を採用することができる。かかる構成によれば、誘電体多層膜が増反射膜として機能するため、表示光量の増大を図ることができる。
【0015】
本発明において、前記端子電極に対して前記基板と反対側で重なる導電性保護層が設けられている構成を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記複数の反射性画素電極と同一の層に設けられた基板間導通用電極と、前記基板に対向する対向基板と前記基板間導通用電極との間に介在する基板間導通材と、を有している構成を採用することができる。かかる構成によれば、端子電極と基板間導通用電極とを同時に形成することができる。
【0017】
本発明に係る電気光学装置は投射型表示装置に用いることができ、この場合、投射型表示装置は、前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の画素の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の基板間導通用電極の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態6に係る電気光学装置の端子電極の構成を画素の構成と比較して示す説明図である。
【図13】本発明を適用した電気光学装置を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、電気光学装置100はVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有しており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する第1基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスター(スイッチング素子)からなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。このようにして、電気光学装置100では、複数の画素100aの各々に対応して複数の画素電極9aおよび複数の画素トランジスター30が形成されている。
【0021】
第1基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0022】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する第2基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、第1基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線7tに導通している。
【0023】
(液晶パネル100pおよび第1基板10の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0024】
図2に示すように、液晶パネル100pでは、第1基板10(素子基板)と第2基板20(対向基板)とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は第2基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバーあるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、第1基板10と第2基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には液晶層50が保持されている。本形態において、シール材107には、液晶注入口として利用される途切れ部分107cが形成されており、かかる途切れ部分107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって塞がれている。
【0025】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、第1基板10および第2基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0026】
第1基板10において、外周領域10cでは、第1基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子電極102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子電極102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、第1基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0027】
詳しくは後述するが、第1基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、第2基板20と対向する一方面10sの側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0028】
また、第1基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、第1基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
【0029】
第2基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、第1基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、第2基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、第2基板20の略全面に形成されている。
【0030】
また、第2基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されており、遮光層29の内周縁によって画像表示領域10aが規定されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0031】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、第2基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極25が形成されており、第1基板10の一方面10sの側には、第2基板20の4つの角部分(基板間導通用電極25)と対向する位置に基板間導通用電極19が形成されている。本形態において、基板間導通用電極25は、共通電極21の一部からなる。基板間導通用電極19は、共通電位Vcomが印加された定電位配線7tに導通しており、定電位配線7tは、端子電極102のうち、共通電位印加用の端子電極102aに導通している。基板間導通用電極19と基板間導通用電極25との間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、第2基板20の共通電極21は、基板間導通用電極19、基板間導通材109および基板間導通用電極25を介して、第1基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、第1基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって第2基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、第2基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極19、25を避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0032】
かかる構成の電気光学装置100において、画素電極9aは、アルミニウム膜等の反射性導電膜からなる反射性画素電極であり、共通電極21はITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は反射型の液晶装置である。かかる反射型の電気光学装置100では、第1基板10および第2基板20のうち、第2基板20の側から入射した光が第1基板10で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0033】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、第2基板20あるいは第1基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0034】
本形態において、電気光学装置100が、後述する投射型表示装置においてRGB用のライトバルブとして用いられる透過型の液晶装置であって、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0035】
(画素100pの具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の画素100aの構成を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、第1基板10において隣り合う複数の画素の平面図、およびF−F′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図である。なお、図3では、各層を以下の線
下層側の遮光層8a=細くて長い破線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=細い一点鎖線
容量線5b=太い一点鎖線
上層側の遮光層7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太い破線
で示してある。また、図3(a)では、互いの端部が重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
【0036】
図3に示すように、第1基板10において第2基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。第1基板10には容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aおよびデータ線6aに重なるように延在して格子状に形成されている。画素トランジスター30の上層側には遮光層7aが形成されており、かかる遮光層7aは、データ線6aに重なるように延在している。画素トランジスター30の下層側には遮光層8aが形成されており、かかる遮光層8aは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0037】
第1基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(第2基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。第2基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(第1基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0038】
第1基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、電気光学装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。なお、遮光層8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと遮光層8aを導通させた構成とする。
【0039】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0040】
画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0041】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0042】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0043】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0044】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一種類の導電材料により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aと中継電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよび中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0045】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、遮光層7aおよび中継電極7bが同一種類の導電材料によって形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。遮光層7aおよび中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。遮光層7aは、データ線6aと重なるように延在しており、遮光層として機能している。なお、遮光層7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
【0046】
遮光層7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、アルミニウム膜等の反射性導電膜からなる反射性画素電極であり、本形態において、画素電極9aは、アルミニウム膜からなる。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、表面は平坦化されている。本形態において、層間絶縁膜45は、NSG(ノンシリケートガラス)からなる下層側の第1絶縁膜451と、BSG(ボロンシリケートガラス)からなる上層側の第2絶縁膜452との2層構造を有している。
【0047】
画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
【0048】
画素電極9aの表面には、表面が連続した平坦面からなるシリコン酸化膜等からなる平坦化膜17が形成されており、かかる平坦化膜17の上層に配向膜16が形成されている。本形態において、平坦化膜17は、隣り合う画素電極9aの間に形成されているとともに、画素電極9aの表面にも形成されている。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)からなる。
【0049】
(第2基板20の構成)
第2基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(第1基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。配向膜26は、配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0050】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、第1基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図3に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0051】
(端子電極102の具体的構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図4において、図4(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図4(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG1−G1′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。
【0052】
図4に示すように、本形態の電気光学装置100において、端子電極102は、例えば、遮光層7aと同一種類の導電材料からなる配線7sの端部に重なるように形成されている。かかる端子電極102の形成領域は、画素100aと略同様な断面構成となっている。より具体的には、端子電極102の形成領域では、基板本体10wの一方面側に絶縁膜12、ゲート絶縁層2の第2ゲート絶縁層2b、層間絶縁膜41、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜42、層間絶縁膜44、および層間絶縁膜45がこの順に形成されている。また、端子電極102の形成領域では、画素100aとの高さ寸法を調整すること等を目的に、画素100aの遮光層8a、走査線3a、容量線5bおよびデータ線6a(中継電極6b)の各々を構成する導電膜と同一種類の導電材料からなる導電膜8s、3s、5s、6sがこの順に形成されている。さらに、層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との層間には、中継電極7bを構成する導電膜と同一種類の導電材料からなる配線7sが形成されている。
【0053】
本形態では、配線7sに導通する端子電極102を形成するにあたって、端子電極102には、画素電極9aを構成する導電膜の少なくとも一部と同一種類の導電材料が用いられている。より具体的には、本形態において、画素電極9aは、層間絶縁膜45の上層に形成されたアルミニウム膜からなることから、端子電極102は、層間絶縁膜45の上層に形成されたアルミニウム膜9sからなる。ここで、層間絶縁膜45には、端子電極102および配線7sに重なる領域に複数のコンタクトホール45sが形成されており、端子電極102は、コンタクトホール45sを介して配線7sに導通している。
【0054】
また、本形態では、画素電極9aの表面側には平坦化膜17が形成されており、かかる平坦化膜17は、端子電極102の表面側にも形成されている。但し、平坦化膜17には、端子電極102と重なる領域に開口部17sが形成されている。このため、端子電極102は、平坦化膜17から露出した状態にあるので、フレキシブル配線基板等の接続が可能である。なお、本形態では、端子電極102を配線7sに導通させたが、配線が異なる導電膜からなる場合、配線7sに代えて、端子電極102を配線に導通させる中継電極が形成される。
【0055】
(基板間導通用電極19の具体的構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の基板間導通用電極19の構成を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、基板間導通用電極19の平面図、およびJ−J′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。
【0056】
図5に示すように、本形態の電気光学装置100において、基板間導通用電極19は、例えば、遮光層7aと同一種類の導電材料からなる定電位配線7tに重なるように形成されている。かかる基板間導通用電極19の形成領域は、画素100aおよび端子電極102と略同様な断面構成となっている。より具体的には、基板間導通用電極19の形成領域では、基板本体10wの一方面側に絶縁膜12、ゲート絶縁層2の第2ゲート絶縁層2b、層間絶縁膜41、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜42、層間絶縁膜44、および層間絶縁膜45がこの順に形成されている。また、基板間導通用電極19の形成領域では、画素100aとの高さ寸法を調整すること等を目的に、画素100aの遮光層8a、走査線3a、容量線5bおよびデータ線6aの各々を構成する導電膜と同一種類の導電材料からなる導電膜8t、3t、5t、6tがこの順に形成されている。さらに、層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との層間には、中継電極7bを構成する導電膜と同一種類の導電材料からなる定電位配線7tが形成されている。
【0057】
本形態では、定電位配線7tに導通する基板間導通用電極19を形成するにあたって、基板間導通用電極19には、画素電極9aおよび端子電極102を構成する導電膜の少なくとも一部と同一種類の導電膜が用いられている。より具体的には、本形態において、画素電極9aおよび端子電極102は、層間絶縁膜45の上層に形成されたアルミニウム膜からなることから、基板間導通用電極19は、層間絶縁膜45の上層に形成されたアルミニウム膜9tからなる。ここで、層間絶縁膜45には、基板間導通用電極19、および定電位配線7tの幅広部分に重なる領域に複数のコンタクトホール45tが形成されており、基板間導通用電極19は、コンタクトホール45tを介して定電位配線7tに導通している。
【0058】
また、本形態では、画素電極9aの表面側には平坦化膜17が形成されており、かかる平坦化膜17は、基板間導通用電極19の表面側にも形成されている。但し、平坦化膜17には、基板間導通用電極19と重なる領域に開口部17tが形成されている。このため、基板間導通用電極19は、平坦化膜17から露出した状態にあるので、図2を参照して説明したように、基板間導通材109を介して第2基板20の基板間導通用電極25と導通可能である。なお、本形態では、基板間導通用電極19を定電位配線7tに導通させたが、定電位配線が異なる導電膜からなる場合、定電位配線7tに代えて、基板間導通用電極19を定電位配線に導通させる中継電極が形成される。
【0059】
(電気光学装置100の製造方法)
図6および図7は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の製造方法を示す説明図である。なお、電気光学装置100を製造するにあたっては、第1基板10および第2基板20を多数取りできる大型基板の状態で途中の工程までを行い、その後、単品サイズに切断する。但し、以下の説明では、第1基板10の形成に用いられる大型基板も第1基板10として説明し、第2基板20の形成に用いられる大型基板も第2基板20として説明する。また、基板間導通用電極19は端子電極102と同様な方法で形成されることから、以下の説明では、画素電極9aおよび端子電極102等の形成工程を中心に説明し、基板間導通用電極19の形成工程については説明を省略する。
【0060】
本形態の電気光学装置100の第1基板10を製造するには、図6(a)に示すように、周知の方法で、層間絶縁膜45の形成までを行う。なお、層間絶縁膜45については、第1絶縁膜451を形成した後、あるいは第2絶縁膜452を形成した後、後述する化学機械研磨等の方法により表面を平坦化する。
【0061】
次に、図6(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術を利用して、層間絶縁膜45にコンタクトホール45a、45sを形成する。
【0062】
次に、図6(c)に示すように、画素電極9aおよび端子電極102を構成するアルミニウム膜9を形成した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、アルミニウム膜9をパターニングし、図7(a)に示すように、画素電極9aおよび端子電極102(アルミニウム膜9s)を同時形成する。
【0063】
次に、画素電極9aおよび端子電極102の上層側に厚い絶縁膜を形成した後、表面を化学機械研磨し、図7(b)に示すように、表面が連続した平坦面になっている平坦化膜17を形成する。化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と第1基板10との相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、第1基板10を保持するホルダーとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と第1基板10との間に供給する。その際、画像表示領域10aと端子電極102の形成領域との間に大きな高低差が存在すると、研磨工程を行っても、画像表示領域10a内を平坦面とすることが困難である。しかるに本形態では、画素電極9aと同一の層に端子電極102が形成されている。従って、平坦化膜17を形成するための絶縁膜を成膜した時点で画像表示領域10aと端子電極102の形成領域との間に大きな高低差が存在しないので、化学機械研磨を行った際、画像表示領域10a内の表面を平坦面とすることができる。
【0064】
次に、図7(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を利用して、平坦化膜17に開口部17sを形成する。次に、図3に示すように、マスク蒸着等を利用して画像表示領域10aのみに配向膜16を形成する。その結果、第1基板10が完成する。しかる後には、図2等を参照して説明したように、第1基板10と第2基板20とをシール材107で貼り合わせた後、減圧雰囲気中でシール材107の途切れ部分107cから液晶を注入し、しかる後に、シール材107の途切れ部分107cを封止材108で封止する。その間、所定のタイミングで大型基板を単品サイズの第1基板10や第2基板20に切断すれば、図2等を参照して説明した単品サイズの液晶パネル100pを得ることができる。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態に係る電気光学装置100において、端子電極102は、反射性の画素電極9aと同一の層に設けられているとともに、画素電極9aを構成する導電膜と同一の導電材料(アルミニウム膜9s)からなる。このため、画素電極9aの上層側に絶縁膜(平坦化膜17)が形成されているか否かにかかわらず、端子電極102を構成することができる。また、端子電極102は、画素電極9aと同一の層に設けられているため、端子電極102を下層側の配線7sに導通させる場合でも、画素電極9aを下層側の中継電極7bと導通させるための構造と同一の構造を採用することができる。従って、端子電極102を下層側の配線7sと導通させるためのコンタクトホール45sは浅くてよく、深いコンタクトホールを形成しなくてもよい。それ故、深いコンタクトホールを形成する際のプロセス上のマージンが小さいことに起因する歩留まり低下や、深いコンタクトホールを介しての導通に起因する信頼性の低下等を回避することができる。
【0066】
また、本形態において、画素電極9aおよび端子電極102の上層側に平坦化膜17が設けられており、平坦化膜17の端子電極102と重なる領域には開口部17sが設けられている。このため、画素電極9aおよび端子電極102の上層側に平坦化膜17が設けられている場合でも、端子電極102にフレキシブル配線基板等を接続することができる。また、平坦化膜を形成した場合でも、端子電極102は、平坦化膜17より下層側に形成されているため、端子電極102を下層側に導通させる際、深いコンタクトホールを形成しなくてもよい。また、同一の層に同一種類の導電材料により形成された画素電極9aおよび端子電極102の上層側に平坦化膜17が設けられているため、平坦化膜17を形成するにあたって、絶縁膜を形成した後、絶縁膜の表面を研磨する際、絶縁膜を成膜した時点で画像表示領域10aと端子電極102の形成領域との間に大きな高低差が存在しない。それ故、化学機械研磨を行った際、画像表示領域10a内の表面を平坦面とすることができる。
【0067】
また、画素電極9aは、層間絶縁膜45に形成されたコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通し、端子電極102は、層間絶縁膜45に形成されたコンタクトホール45sを介して、中継電極7bと同一の層に中継電極7bと同一種類の導電材料により構成された配線7sに導通している。このため、画素電極9aを下層側に導通させるためのコンタクトホール45aの形成と、端子電極102を下層側の配線7sに導通させるためのコンタクトホール45sの形成とを同時に行うことができる。また、配線7sを中継電極7bと同時に形成することができる。従って、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0068】
また、画素電極9aおよび端子電極102は、同一の平坦膜(層間絶縁膜45)上に設けられている。このため、画素電極9aおよび端子電極102を平坦面に形成する場合でも、平坦化のための研磨工程の数が少なく済む。また、層間絶縁膜45(平坦膜)を形成する際の研磨によって、コンタクトホール45a、45sを形成すべき絶縁膜の厚さが薄くなる。また、コンタクトホール45a、45sを形成する際、双方においてコンタクトホール45a、45sを形成すべき絶縁膜の厚さが同等となる。従って、画素電極9aおよび端子電極102におけるコンタクトホール45a、45sでの導通部分の信頼性を向上することができる。
【0069】
さらに、基板間導通用電極19は、端子電極102と略同一の構成を有していることから、端子電極102と基板間導通用電極19とを同時に形成することができる。
【0070】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図8において、図8(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図8(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG2−G2′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0071】
実施の形態1では、端子電極102と配線7sとを導通させるにあたって、層間絶縁膜45に複数のコンタクトホール45sを形成したが、本形態では、図8に示すように、層間絶縁膜45に大きなコンタクトホール45sを1つ形成し、かかるコンタクトホール45sによって、端子電極102と配線7sとを導通させている。また、画素電極9aの表面側には平坦化膜17が形成されており、かかる平坦化膜17は、端子電極102の表面側にも形成されている。但し、平坦化膜17には、端子電極102と重なる領域に開口部17sが形成されている。このため、端子電極102は、平坦化膜17から露出した状態にある。
【0072】
ここで、開口部17sは、コンタクトホール45sに対して重なる位置に形成され、かつ、コンタクトホール45sより小さい。このため、平坦化膜17は、端子電極102においてコンタクトホール45aの側壁に形成されている部分を覆っている。かかる構成によれば、開口部17sを形成する際、コンタクトホール45sの底部で端子電極102が途切れることを防止することができる。すなわち、コンタクトホール45sの底部のうち、中央部分では、端子電極102が十分の厚さで形成されるが、隅部分では、端子電極102が薄いので、かかる薄い部分を避けるように開口部17sを形成すれば、開口部17sをエッチングにより形成した際、コンタクトホール45sの隅部で端子電極102が途切れることを防止することができる。
【0073】
[実施の形態3]
図9は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図9において、図9(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図9(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG3−G3′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0074】
実施の形態1では、画素電極9aおよび端子電極102の上層側に平坦化膜17を形成したが、本形態では、図9に示すように、画素電極9aと平坦化膜17との間に誘電体多層膜18が形成されている。誘電体多層膜18は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造になっている。ここで、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とでは屈折率が相違するため、誘電体多層膜18は、画素電極9aの表面での反射率を高める増反射膜として機能する。本形態において、誘電体多層膜18(増反射膜)は、端子電極102の表面側にも形成されている。また、平坦化膜17には、端子電極102と重なる領域に開口部17sが形成され、誘電体多層膜18には、開口部17sと重なる領域に開口部18sが形成されている。このため、端子電極102は、誘電体多層膜18および平坦化膜17から露出した状態にある。なお、基板間導通用電極19でも、端子電極102と同様な構造になっている。
【0075】
かかる構成によれば、画素電極9aの表面での反射率を高めることができる。また、画素電極9aが形成されている領域と、端子電極102が形成されている領域とにおける層構造が略同一である。このため、平坦化膜17を形成するにあたって、絶縁膜を形成した後、絶縁膜の表面を研磨する際、絶縁膜を成膜した時点で画像表示領域10aと端子電極102の形成領域との間に大きな高低差が存在しない。それ故、化学機械研磨を行った際、画像表示領域10a内の表面を平坦面とすることができる。
【0076】
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図10において、図10(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図10(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG4−G4′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0077】
実施の形態1において、端子電極102は、画素電極9aを構成する導電膜と同一種類の導電材料(アルミニウム膜9s)により構成されていたが、以下に説明するように、画素電極9aを構成する導電膜の一部と同一種類の導電材料によって、端子電極102を構成してもよい。より具体的には、図10に示すように、本形態において、画素電極9aは、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜からなる下層側の第1導電膜9eと、アルミニウム膜からなる上層側の第2導電膜9fとを備えており、第1導電膜9eと第2導電膜9fとは同一の平面形状を備えている。かかる構成は、チタン窒化膜およびアルミニウム膜をこの順に成膜した後、アルミニウム膜およびチタン窒化膜を順にパターニングすることにより実現することができる。
【0078】
一方、端子電極102は、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜9gのみからなり、アルミニウム膜が形成されていない。なお、基板間導通用電極19でも、端子電極102と同様な構造になっている。
【0079】
かかる構成の電気光学装置100でも、実施の形態1と同様、端子電極102は、反射性の画素電極9aと同一の層に設けられているとともに、画素電極9aを構成する導電膜の一部と同一種類の導電材料(チタン窒化膜9g)からなる。このため、画素電極9aの上層側に絶縁膜(平坦化膜17)が形成されているか否かにかかわらず、端子電極102を構成することができる。また、端子電極102は、画素電極9aと同一の層に設けられているため、端子電極102を下層側の配線7sに導通させる場合でも、画素電極9aを下層側の中継電極7bと導通させるための構造と同一の構造を採用することができる。従って、端子電極102を下層側の配線7sと導通させるためのコンタクトホール45sは浅くてよい等、実施の形態1と同様な効果を奏する。また、端子電極102がアルミニウム膜を備えていないので、マイグレーション等の問題が発生しない。それ故、端子電極102の狭ピッチ化に適している。
【0080】
[実施の形態5]
図11は、本発明の実施の形態5に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図11において、図11(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図11(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG5−G5′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、4と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0081】
実施の形態1において、端子電極102は、画素電極9aを構成する導電膜と同一種類の導電材料(アルミニウム膜9s)が露出した状態にあったが、図11を参照して以下に説明するように、端子電極102の表面が導電性保護層15sで覆われている構成を採用してもよい。
【0082】
より具体的には、図11に示すように、画素電極9aは、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜からなる下層側の第1導電膜9eと、アルミニウム膜からなる上層側の第2導電膜9fとを備えており、第1導電膜9eと第2導電膜9fとは同一の平面形状を備えている。一方、端子電極102は、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜9gのみからなる。かかる構成の画素電極9aおよび端子電極102の表面側には、開口部17sを備えた平坦化膜17が形成されている。本形態では、平坦化膜17の上層には開口部17sと重なる領域にITO膜からなる導電性保護層15sが形成されており、導電性保護層15sは、開口部17sの底部で端子電極102(チタン窒化膜9g)と導通している。なお、基板間導通用電極19でも、端子電極102と同様な構造になっている。
【0083】
かかる構成によれば、端子電極102がアルミニウム膜を備えていないので、マイグレーション等の問題が発生しない。それ故、端子電極102の狭ピッチ化に適している。また、ITO膜からなる導電性保護層15sと、アルミニウム膜とが接していないので、導電性保護層15sを構成するITO膜からアルミニウム膜に酸素が引き抜かれる等の腐食が発生しない。
【0084】
[実施の形態6]
図12は、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置100の端子電極102の構成を画素100aの構成と比較して示す説明図である。図12において、図12(a1)、(a2)は、画素100aの平面構成を模式的に示す説明図、および画素100aの断面構成を模式的に示す説明図であり、図12(b1)、(b2)は、端子電極102の平面図、およびG6−G6′線に相当する位置で第1基板10を切断したときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、4、5と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0085】
実施の形態5において、端子電極102の表面は、平坦化膜17の上層に形成された導電性保護層15sで覆われている構成であったが、本形態では、図12を参照して以下に説明するように、端子電極102の表面が、平坦化膜17より下層側に形成された導電性保護層15sで覆われている構成を採用してもよい。
【0086】
より具体的には、図12に示すように、画素電極9aは、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜からなる下層側の第1導電膜9eと、アルミニウム膜からなる上層側の第2導電膜9fとを備えており、第1導電膜9eと第2導電膜9fとは同一の平面形状を備えている。一方、端子電極102は、層間絶縁膜45の上層に形成されたチタン窒化膜9gのみからなる。かかる構成の画素電極9aおよび端子電極102の表面側には、開口部17sを備えた平坦化膜17が形成されている。本形態では、端子電極102(チタン窒化膜9g)との間には、開口部17sと重なる領域にITO膜からなる導電性保護層15sが形成されており、導電性保護層15sは、開口部17sで露出した状態にある。なお、基板間導通用電極19でも、端子電極102と同様な構造になっている。
【0087】
かかる構成によれば、端子電極102がアルミニウム膜を備えていないので、マイグレーション等の問題が発生しない。それ故、端子電極102の狭ピッチ化に適している。また、ITO膜からなる導電性保護層15sと、アルミニウム膜とが接していないので、導電性保護層15sを構成するITO膜からアルミニウム膜に酸素が引き抜かれる等の腐食が発生しない。
【0088】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、画素電極9aにアルミニウム膜を用いることにより、画素電極9aを反射性電極としたが、例えば、ITO膜の下層側にアルミニウム膜からなる反射層を設けることにより、ITO膜を備えた反射性の画素電極9aを構成してもよい。この場合、端子電極102については、下層側から順にアルミニウム膜、チタン窒化膜およびITO膜を積層した構成としてもよい。
【0089】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図13は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【0090】
図13に示す投射型表示装置1000は、光源光を発生する光源部1021と、光源部1021から出射された光源光を赤、緑、青の3色に分離する色分離導光光学系1023と、色分離導光光学系1023から出射された各色の光源光によって照明される光変調部1025とを有している。また、投射型表示装置1000は、光変調部1025から出射された各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム1027(合成光学系)と、クロスダイクロイックプリズム1027を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射光学系1029とを備えている。
【0091】
かかる投射型表示装置1000において、光源部1021は、光源1021aと、一対のフライアイ光学系1021d、1021eと、偏光変換部材1021gと、重畳レンズ1021iとを備えている。本形態においては、光源部1021は、放物面からなるリフレクタ1021fを備えており、平行光を出射する。フライアイ光学系1021d、1021eは、システム光軸と直交する面内にマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材1021gは、フライアイ光学系1021eから出射した光源光を、例えば図面に平行なp偏光成分のみに変換して光路下流側光学系に供給する。重畳レンズ1021iは、偏光変換部材1021gを経た光源光を全体として適宜収束させることにより、光変調部1025に設けた複数の電気光学装置100を各々均一に重畳照明可能とする。
【0092】
色分離導光光学系1023は、クロスダイクロイックミラー1023aと、ダイクロイックミラー1023bと、反射ミラー1023j、1023kとを備える。色分離導光光学系1023において、光源部1021からの略白色の光源光は、クロスダイクロイックミラー1023aに入射する。クロスダイクロイックミラー1023aを構成する一方の第1ダイクロイックミラー1031aで反射された赤色(R)の光は、反射ミラー1023jで反射されダイクロイックミラー1023bを透過して、入射側偏光板1037r、p偏光を透過させ、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032r、および光学補償板1039rを介して、p偏光のまま、赤色(R)用の電気光学装置100に入射する。
【0093】
また、第1ダイクロイックミラー1031aで反射された緑色(G)の光は、反射ミラー1023jで反射され、その後、ダイクロイックミラー1023bでも反射されて、入射側偏光板1037g、p偏光を透過させ、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032g、および光学補償板1039gを介して、p偏光のまま、緑色(G)用の電気光学装置100に入射する。
【0094】
これに対して、クロスダイクロイックミラー1023aを構成する他方の第2ダイクロイックミラー1031bで反射された青色(B)の光は、反射ミラー1023kで反射されて、入射側偏光板1037b、p偏光を透過する一方でs偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032b、および光学補償板1039bを介して、p偏光のまま、青色(B)用の電気光学装置100に入射する。
【0095】
なお、光学補償板1039r、1039g、1039bは、電気光学装置100への入射光および出射光の偏光状態を調整することで、液晶層の特性を光学的に補償している。
【0096】
このように構成した投射型表示装置1000では、光学補償板1039r、1039g、1039bを経て入射した3色の光は各々、各電気光学装置100において変調される。その際、電気光学装置100から出射された変調光のうち、s偏光の成分光は、ワイヤーグリッド偏光板1032r、1032g、1032bで反射し、出射側偏光板1038r、1038g、1038bを介してクロスダイクロイックプリズム1027に入射する。クロスダイクロイックプリズム1027には、X字状に交差する第1誘電体多層膜1027aおよび第2誘電体多層膜1027bが形成されており、一方の第1誘電体多層膜1027aはR光を反射し、他方の第2誘電体多層膜1027bはB光を反射する。従って、3色の光は、クロスダイクロイックプリズム1027において合成され、投射光学系1029に出射される。そして、投射光学系1029は、クロスダイクロイックプリズム1027で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(図示せず。)投射する。
【0097】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の電気光学装置に供給するように構成してもよい。
【0098】
(他の電子機器)
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
9a・・画素電極(反射性画素電極)、10・・第1基板、10a・・画像表示領域、15s・・導電性保護層、16・・配向膜、17・・平坦化膜、17s・・開口部、18・・誘電体多層膜、19・・基板間導通用電極、20・・第2基板、21・・共通電極、25・・基板間導通用電極、26・・配向膜、41、42、44、45・・層間絶縁膜、45a、45s・・コンタクトホール、50・・液晶層、100・・電気光学装置、102・・端子電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数の画素に対応して前記基板の一方面側に設けられた複数の反射性画素電極と、
前記複数の画素に対応して前記基板と前記複数の反射性画素電極との間に設けられたスイッチング素子と、
該スイッチング素子と前記複数の反射性画素電極との間に設けられた層間絶縁膜と、
前記複数の反射性画素電極と同一の層に設けられ、前記層間絶縁膜の前記スイッチング素子と反対側に設けられた端子電極と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の反射性画素電極および前記端子電極は、同一の平坦膜の前記基板とは反対側の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の反射性画素電極および前記端子電極に対して前記基板と反対側に設けられた平坦化膜を備え、
当該平坦化膜の前記端子電極と重なる領域には開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数の反射性画素電極は、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して中継電極に導通し、
前記端子電極は、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して、前記中継電極と同一の層に形成された配線または中継電極に導通していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記複数の反射性画素電極および前記端子電極に対して前記基板と反対側に設けられた誘電体多層膜を備え、
当該誘電体多層膜の前記端子電極と重なる領域には開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記端子電極に対して前記基板と反対側で重なる導電性保護層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記複数の反射性画素電極と同一の層に設けられた基板間導通用電極と、
前記基板に対向する対向基板と前記基板間導通用電極との間に介在する基板間導通材と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系を有していることを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−3184(P2013−3184A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130982(P2011−130982)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】