説明

電気自動車

【課題】 モータが制御系のノイズ等で誤動作した場合に、瞬時にこれを判断して安全処置を採ることができる電気自動車を提供する。
【解決手段】 ECU21の出力するトルク指令と、モータ6またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかとを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータ6の誤動作を検出する誤動作検出手段37を設ける。この誤動作検出手段37で誤動作が検出されると前記モータ6への駆動電流の停止、および機械式ブレーキ9,10による制動のいずれかまたは両方を行わせる誤動作対応制御手段38を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インホイールモータ駆動装置を備えたバッテリ駆動、燃料電池駆動等の電気自動車に関し、特に、モータ異常時のフェールセーフの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車のモータ制御は、通常、マイコン(マイクロコンピュータ)を使って行う方式が採られる。また、その制御系として、車両全般を制御するメインの電気制御ユニットであるECUと、インバータ装置とが設けられる。インバータ装置は、バッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部と、ECUから与えられるトルク指令に従って前記パワー回路部を制御するモータコントロール部とを有する。また、電気自動車として、車輪用軸受、モータ、および減速機からなるインホイールモータ駆動装置が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−172935公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、電気自動車のモータ制御は、通常、マイコンを使って行う方式が採られるが、万が一、このマイコンに電磁ノイズまたは静電ノイズが影響を及ぼした場合には、モータコントローラ自体が正常に動作できなくなる可能性がある。特に、電気自動車の駆動源であるモータを、高い減速比を有する減速機を介して車輪にトルク伝達する場合、モータ制御の不安定化を原因としたトルクは拡大されて車輪に伝達されるため、このモータのコントーラの信頼性は重要となる。
【0005】
この発明の目的は、モータが制御系のノイズ等で誤動作した場合に、瞬時にこれを判断して安全処置を採ることができる電気自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の電気自動車は、車輪2,3を駆動するモータ6と、車両全般を制御する電気制御ユニットであるECU21と、バッテリの直流電力を前記モータ6の駆動に用いる交流電力に変換するインバータ31を含むパワー回路部28および前記ECU21から与えられるトルク指令に従って前記パワー回路部31を制御するモータコントロール部29を有するインバータ装置22と、車輪2,3を制動する機械式ブレーキ9,10とを備えた電気自動車において、
前記ECU21の出力する前記トルク指令と、前記モータ6またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータ6の誤動作を検出する誤動作検出手段37と、
この誤動作検出手段37で誤動作が検出されると前記モータ6への駆動電流の停止もしくは低減、および前記機械式ブレーキ9,10による制動のいずれかまたは両方を行わせる誤動作対応制御手段38とを設けた、
ことを特徴とする。
なお、機械式ブレーキ9,10による制動は、異常を発したモータ6で駆動される車輪2,3だけでなく、車両に備えられた他の車輪2,3の制動も行うようにするのが良い。例えば、左右方向の一方の車輪2,3のモータ6に異常が発生した場合、左右両輪の機械式ブレーキ9,10による制動を行わせるのが良い。前記誤動作検出手段37および誤動作対応制御手段38、ECU21およびインバータ装置22のいずれに設けても良く、またこれらECU21およびインバータ装置22とは別に設けても良い。
【0007】
前記モータコントロール部29等に電磁ノイズまたは静電ノイズが影響を及ぼした場合、ECU21からのトルク指令に対して、モータ6は回転方向や回転速度の誤動作を生じることがある。前記誤動作検出手段37は、ECU21の出力するトルク指令と、モータ6、またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータの誤動作を検出する。検出されるモータ6の誤動作は、例えば、ECU21からのトルク指令に対する回転方向や回転速度の誤動作である。誤動作対応制御手段38は、前記誤動作検出手段37で誤動作が検出されると前記モータ6への駆動電流の停止、および前記機械式ブレーキ9,10による制動のいずれか、または両方を行わせる。
このように、モータ異常を常に監視し、モータ6への駆動電流の停止、または機械式ブレーキ9,10による制動を行わせるため、運転者の意思に反する車両の逆方向への走行や、加速等が回避され、即座に安全性が得られる。
【0008】
この発明において、前記誤動作検出手段37は、前記ECU21から与えられるトルク指令よりモータ6の回転すべき回転方向を判定する回転方向指示判別部41と、前記モータ6またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかから得られる回転方向とを比較してモータ6の回転方向異常を判定する回転方向異常判定部42とを有するものとしても良い。
モータ6の回転方向異常は、運転者の操作に反した車両走行の逆方向走行により、安全性に大きな影響が生じるが、このような回転方向異常時にモータ電流の停止や機械式ブレーキ9,10による制動を行わせることで、安全性が確保される。
【0009】
この発明において、前記誤動作検出手段37は、前記ECU21から与えられるトルク指令よりモータ6の回転すべき回転数を判定する回転数推定部43と、前記モータ6またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号とを比較してモータ6の回転数異常を判定する回転数異常判定部44とを有するものとしても良い。
ノイズにより、運転者の操作に反した急激な加速が生じる恐れがあるが、回転数の異常を判定することで、上記のような操作に反した急激な加速等が回避され、安全性が確保される。
【0010】
この発明において、それぞれ別の車輪2,3を駆動する複数のモータ6を備えた電気自動車の場合に、前記誤動作対応制御手段38は、一つのモータ6の誤動作の検出を検出したときに、その誤動作が検出されたモータ6への駆動電流の停止もしくは低減と、他のモータ6への駆動電流の停止もしくは低減とを行わせるようにするのが良い。
各車輪2,3が別個のモータ6で駆動される車両では、一つのモータ6だけの駆動電流を停止した場合、その駆動電流を停止したモータ6の車輪は回転自在となるが、車両の左右または前後で駆動がアンバランスとなり、直進性に影響することがある。このため、一つのモータ6の駆動電流を停止する場合は、他のモータ6への駆動電流も停止することが、直進性に影響を与えない安定した走行の上で好ましい。
【0011】
この発明において、前記誤動作検出手段37および前記誤動作対応制御手段38を前記インバータ装置22に設けても良い。ECU21は、車両制御の高機能化に伴って複雑化の傾向にある。そのため、誤動作検出手段37および前記誤動作対応制御手段38をインバータ装置22に設けることで、ECU21の複雑化が回避される。また、配線上からも、モータ6に対してECU21よりも近い位置になるインバータ装置22に誤動作検出手段37および誤動作対応制御手段38を設けることが有利である。
【0012】
この発明において、一つのモータ6に対して前記誤動作検出手段37を2つ設け、前記誤動作対応制御手段38は、2つの誤動作検出手段37の両方が誤動作を検出した場合にのみ、前記モータ6への駆動電流の停止、または前記機械式ブレーキ9,10による制動の制御である誤動作対応制御を行わせるか、またはいずれか一方の誤動作検出手段37が誤動作を検出した場合に、前記誤動作対応制御を行わせるものとしても良い。誤動作検出手段37自体に異常が発生している恐れがあるが、誤動作検出手段37を2つ設けることで、より確実で正確な誤動作検知が行える。
【0013】
この発明において、一つのモータ6に対して前記誤動作検出手段37を3つ以上設け、前記誤動作対応制御手段38は、前記3つ以上の誤動作検出手段のうちの過半数が誤動作を検出した場合に、前記モータ6への駆動電流の停止、または前記機械式ブレーキ9,10による制動の制御である誤動作対応制御を行わせるものとしても良い。3つ以上の誤動作検出手段37を設けてそれらの出力の多数決で誤動作と判定することで、より正確な誤動作検知が行える。
【0014】
この発明において、前記モータ6は、車輪用軸受4と、この車輪用軸受4とモータ6の間に介在した減速機7とを有するインホイールモータ駆動装置8を構成するものであっても良い。インホイールモータ駆動装置8では、個別に車輪2,3を駆動するため、そのモータ6の誤動作は、安定した走行への影響が大きい。そのため、この発明による誤動作検出と誤動作対応制御が、より一層効果的となる。
【0015】
この発明において、前記減速機6がサイクロイド減速機あっても良い。サイクロイド減速機は円滑な動作高減速比が得られる。高減速比を有する減速機6を介して車輪2,3にトルク伝達する場合、モータ制御の不安定化を原因としたトルクは拡大されて車輪2,3に伝達される。そのため、この発明による誤動作検出と誤動作対応制御が、より一層効果的となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の電気自動車は、車輪を駆動するモータと、車両全般を制御する電気制御ユニットであるECUと、バッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部および前記ECUから与えられるトルク指令に従って前記パワー回路部を制御するモータコントロール部を有するインバータ装置と、車輪を制動する機械式ブレーキとを備えた電気自動車において、前記ECUの出力する前記トルク指令と、前記モータまたはこのモータで駆動される車輪の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータの誤動作を検出する誤動作検出手段と、この誤動作検出手段で誤動作が検出されると前記モータへの駆動電流の停止、および前記機械式ブレーキによる制動のいずれかまたは両方を行わせる誤動作対応制御手段とを設けたため、モータが制御系のノイズ等で誤動作した場合に、瞬時にこれを判断して安全処置を採ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。
【図2】同電気自動車のインホイールモータユニットの概念構成を示すブロック図である。
【図3】同電気自動車における誤動作検出手段の概念構成を示すブロック図である。
【図4】同電気自動車におけるECU、各インバータ装置、およびそのモータ誤動作チェック・コントロール手段の概念構成を示すブロック図である。
【図5】同電気自動車におけるモータ誤動作チェック・コントロール手段の変形例の概念構成を示すブロック図である。
【図6】同電気自動車におけるモータ誤動作チェック・コントロール手段の他の変形例の概念構成を示すブロック図である。
【図7】同電気自動車におけるインホイールモータ駆動装置の破断正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図8の部分拡大断面図である。
【図10】同電気自動車における回転センサの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の一実施形態を図1ないし図10と共に説明する。この電気自動車は、車体1の左右の後輪となる車輪2および左右の前輪となる車輪3が共に駆動輪とされた4輪駆動の自動車である。前輪となる車輪3は操舵輪とされている。各車輪2,3は、いずれもタイヤを有し、それぞれ車輪用軸受4を介して車体1に支持されている。車輪用軸受4は、図1ではハブベアリングの略称「H/B」を付してある。各車輪2,3は、それぞれ独立の走行用のモータ6により駆動される。モータ6の回転は、減速機7および車輪用軸受4を介して駆動輪2に伝達される。これらモータ6、減速機7、および車輪用軸受4は、互いに一つの組立部品であるインホイールモータ駆動装置8を構成している。インホイールモータ駆動装置8は、一部または全体が車輪2内に配置される。各インホイールモータ駆動装置8は、後述のインバータ装置22と共に、インホイールモータユニット30を構成する。各車輪2,3には、電動式等の摩擦ブレーキである機械式のブレーキ9,10がそれぞれ設けられている。
【0019】
左右の前輪となる操舵輪である車輪3,3は、転舵機構11を介して転舵可能であり、操舵機構12により操舵される。転舵機構11は、タイロッド11aを左右移動させることで、車輪用軸受5を保持した左右のナックルアーム11bの角度を変える機構であり、操舵機構12の指令によりEPS(電動パワーステアリング)モータ13を駆動させ、回転・直線運動変換機構(図示せず)を介して左右移動させられる。操舵角は操舵角センサ15で検出し、このセンサ出力はECU21に出力され、その情報は左右輪の加速・減速指令等に使用される。
【0020】
制御系を説明する。自動車全般の制御を行う電気制御ユニットであるメインのECU21と、このECU21の指令に従って各走行用のモータ6の制御をそれぞれ行う複数(図示の例では4つ)のインバータ装置22と、ブレーキコントローラ23とが、車体1に搭載されている。ECU21は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。なお、ECU21や他の各コンピュータは、例えばマイクロコンピュータである。
【0021】
ECU21は、機能別に大別すると駆動に関する制御を行う駆動制御部21aと、その他の制御を行う一般制御部21bとに分けられる。駆動制御部21aは、トルク配分手段48を有していて、トルク配分手段48は、アクセル操作部16の出力する加速指令と、ブレーキ操作部17の出力する減速指令と、操舵角センサ15の出力する旋回指令とから、左右輪の走行用モータ6,6に与える加速・減速指令をトルク指令値として生成し、インバータ装置22へ出力する。トルク配分手段48は、ブレーキ操作部17の出力する減速指令があったときに、モータ6を回生ブレーキとして機能させる制動トルク指令値と、機械式のブレーキ9,10を動作させる制動トルク指令値とに配分する機能を持つ。回生ブレーキとして機能させる制動トルク指令値は、各走行用のモータ6,6に与える加速・減速指令のトルク指令値に反映させる。機械式のブレーキ9,10を動作させる制動トルク指令値は、ブレーキコントローラ23へ出力する。トルク配分手段48は、上記の他に、出力する加速・減速指令を、各車輪2,3の車輪用軸受4に設けられた回転センサ24から得られるタイヤ回転数の情報や、車載の各センサの情報を用いて補正する機能を有していても良い。アクセル操作部16は、アクセルペダルとその踏み込み量を検出して前記加速指令を出力するセンサ16aとでなる。ブレーキ操作部17は、ブレーキペダルとその踏み込み量を検出して前記減速指令を出力するセンサ17aとでなる。
【0022】
ECU21の一般制御部21bは、各種の補機システム25を制御する機能、コンソールの操作パネル26からの入力指令を処理する機能、表示手段27に表示を行う機能などを有する。前記補機システム25は、例えば、エアコン、ライト、ワイパー、GPS、アエバッグ等であり、ここでは代表して一つのブロックとして示す。
【0023】
ブレーキコントローラ23は、ECU21から出力される制動指令に従って、各車輪2,3の機械式のブレーキ9,10に制動指令を与える手段であり、制動専用のECUとなる電子回路やマイコン等により構成される。メインのECU21から出力される制動指令には、ブレーキ操作部17の出力する減速指令によって生成される指令の他に、ECU21の持つ安全性向上のための手段によって生成される指令がある。ブレーキコントローラ23は、この他にアンチロックブレーキシステムを備える。
【0024】
インバータ装置22は、各モータ6に対して設けられたパワー回路部28と、このパワー回路部28を制御するモータコントロール部29とで構成される。モータコントロール部29は、このモータコントロール部29が持つインホイールモータ駆動装置8に関する各検出値や制御値等の各情報(「IWMシステム情報」と称す)をECU21に出力する機能を有する。
【0025】
図2は、インホイールモータユニット30の概念構成を示すブロック図である。インバータ装置22のパワー回路部28は、バッテリ19(図1)の直流電力をモータ6の駆動に用いる3相の交流電力に変換するインバータ31と、このインバータ31を制御するPWMドライバ32とで構成される。モータ6は3相の同期モータ、例えばIPM型(埋込磁石型)同期モータ等からなる。インバータ31は、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)で構成され、PWMドライバ32は、入力された電流指令をパルス幅変調し、前記各半導体スイッチング素子にオンオフ指令を与える。
【0026】
モータコントロール部29は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成される。モータコントロール部29は、上位制御手段であるECU21から与えられるトルク指令等による加速・減速指令に従い、電流指令に変換して、パワー回路部28のPWMドライバ32に電流指令を与える。また、モータコントロール部29は、インバータ31からモータ6に流すモータ電流値を電流センサ35から得て、電流フィードバック制御を行う。この電流制御では、モータ6のロータの回転角を角度センサ36から得て、ベクトル制御等の回転角に応じた制御を行う。
【0027】
この実施形態は、モータコントロール部29に、次の誤動作検出手段37および誤動作対応制御手段38からなるモータ誤動作チェック・コントロール手段34および異常報告手段47を設けたものである。
【0028】
異常報告手段47は、誤動作検出手段37で誤動作を検出した場合、または誤動作対応制御手段38で誤動作に対応する処理を行った場合、またはその両方の場合に、ECU21に、その誤動作検出や誤動作対応処理の報告となる信号を送信する手段である。ECU21は、この異常報告手段47の報告を受けて、対応する制御を行う手段や、コンソールの表示手段27に、運転者に知らせるための表示を行う手段(いずれも図示せず)が設けられる。
【0029】
誤動作検出手段37は、ECU21の出力する前記トルク指令と、モータ6またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータ6の誤動作を検出する手段である。車輪2,3の回転信号および回転方向信号は、モータ6に設けられたモータロータの角度センサ36、または車輪用軸受4に設けられた回転センサ24の出力から得る。回転方向信号を回転センサ24から得る場合、回転センサ24には回転方向の判別が可能な出力を行うものを用いる。
【0030】
誤動作対応制御手段38は、誤動作検出手段37で誤動作が検出されると、モータ6への駆動電流の停止、および前記機械式ブレーキ9,10による制動のいずれかまたは両方を行わせる手段である。誤動作対応制御手段38による駆動電流の停止は、モータ駆動制御部33を介して行わせる。機械式ブレーキ9,10に制動させる場合は、ブレーキコントーラ23に制動の指令を与える。ブレーキコントーラ23は、例えば、いずれかのインバータ装置22における誤動作対応制御手段38から制動指令があった場合は、車両の全ての機械式ブレーキ9,10に制動動作を行わせる。
【0031】
誤動作対応制御手段38は、一つのモータ6の誤動作を検出したときに、その誤動作が検出されたモータ6への駆動電流の停止だけでなく、他のモータ6への駆動電流の停止も行わせるようにするのが良い。この場合に、車両の全てのモータ6への駆動電流の停止を行わせるようにしても良く、車両の前後方向の同じ位置にある他の車輪2,3のモータ6への駆動電流の停止するようにしても良い。例えば、後輪となる左の車輪2のモータ6の誤動作を検出したときに、この車輪2の他に、同じく後輪となる右の車輪2のモータ6を停止させるようにする。
【0032】
誤動作対応制御手段38により、その誤動作対応制御手段38が設けられたインバータ装置22で駆動されるモータ6とは別のモータ6の駆動電流の停止を行わせる場合、ECU21を介して信号伝達を行うようにしても良く、インバータ装置22間で直接に信号伝達を行うようにしても良い。
ECU21を介する場合、誤動作対応制御手段38からECU21に誤動作を検出した信号、または別のモータ6の駆動電流の停止を行わせる信号を出力する。ECU21には前記誤動作検出の信号、または別モータ駆動電流の停止を行わせる信号を受けて、前記別のモータ6のインバータ装置22へ駆動電流の停止の命令を行わせる別モータ対応制御手段49(図4)を設けても良い。
インバータ装置22間で直接に信号伝達を行う場合は、各インバータ装置22に、他のインバータ装置22から送られる駆動電流の停止の信号を受信して自己の制御するモータ6の駆動電流を停止させる手段(図示せず)を、モータコントロール部29に設ける。
【0033】
図3は誤動作検出手段37の具体例の概念図である。この例では、誤動作検出手段37は、モータ6の回転方向異常に対する誤動作検出部として、回転方向指示判別部41および回転方向異常判定部42が設けられている。また、回転数異常に対する誤動作検出部として、回転数推定部43と回転数異常判定部44とが設けられ、モータ電流異常に対する誤動作検出部として、モータ電流推定部45と電流異常判定部46とが設けられている。
【0034】
回転方向指示判別部41は、ECU21からインバータ装置22に与えられる駆動指令がトルク指令であるため、このトルク指令から、ECU21の駆動指令における回転方向が正逆(車両の前進か後退)のいずれの方向であるかを判別する。回転方向異常判定部42は、回転方向指示判別部41で判別されるECU21からの駆動指令の回転方向Aと、実際のモータ回転方向B、すなわち回転センサ24または角度センサ36(図2)で検出された回転方向Bとを比較し、異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。
【0035】
回転数推定部43は、ECU21からインバータ装置22に与えられる駆動指令がトルク指令であるため、このトルク指令から、ECU21の駆動指令で駆動した場合のモータ6の回転数(換言すれば回転速度)を推定する。回転数異常判定部44は、回転数推定部43で推定した回転数Cと、実際のモータ回転数D、すなわち回転センサ24または角度センサ36で検出された回転数Dとを比較し、十分に大きく異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。推定した回転数Cと実際のモータ回転数Dとが、D≫Cの場合、およびD≪Cの場合のいずれであっても、モータ異常とする。どの程度の大きさの違いでモータ異常と判定するかは、適宜設定する。
【0036】
モータ電流推定部45は、ECU21からインバータ装置22に与えられる駆動指令がトルク指令であるため、このトルク指令で駆動した場合のモータ6の電流を推定する。電流異常判定部46は、モータ電流推定部45で推定したモータ電流Eと、実際のモータ電流F、すなわち電流センサ35で検出されたモータ電流Fとを比較し、十分に大きく異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。推定したモータ電流Eと実際のモータ電流Fとが、F≫Eの場合、およびF≪Eのいずれであっても、モータ異常とする。どの程度の大きさの違いでモータ異常と判定するかは、適宜設定する。
【0037】
上記構成の電気自動車による誤動作検出およびその対応制御を説明する。図2において、モータコントロール部29等に電磁ノイズまたは静電ノイズが影響を及ぼした場合、ECU21からのトルク指令に対して、モータ6は回転方向や回転速度の誤動作を生じることがある。
誤動作検出手段37は、ECU21の出力するトルク指令と、モータ6、またはこのモータ6で駆動される車輪2,3の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータの誤動作を検出する。
【0038】
具体的には、図3と共に前述したように、回転方向指示判別部41により、ECU21からインバータ装置22に与えられる駆動指令であるトルク指令から、このトルク指令で指示される回転方向Aを判別し、この判別された回転方向Aと実際のモータ回転方向Bとを回転方向異常判定部42で比較し、異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。 また、回転数推定部43により、ECU21からインバータ装置22に与えられるトルク指令から、このトルク指令で駆動した場合のモータ6の回転数を推定し、その推定した回転数Cと、実際の検出されたモータ回転数Dとを回転数異常判定部44で比較し、両回転数C,Dが十分に大きく異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。
さらに、モータ電流推定部45により、ECU21からインバータ装置22に与えられるトルク指令から、このトルク指令で駆動した場合のモータ6の電流を推定し、その推定した駆動電流と実際の検出されるモータ電流Fとを電流異常判定部46で比較し、両電流値が十分に大きく異なっていればモータ異常の判定結果を出力する。
【0039】
誤動作検出手段37により、上記いずれかのモータ異常の判定結果を出力されると、図2の誤動作対応制御手段38は、その誤動作に対応する制御として、モータ6への駆動電流の停止、またはブレーキ9,10による制動、またはその両方を行わせる。ブレーキ9,10による制動を行う場合は、全ての車輪2,3のブレーキ9,10に制動を行わせるか、または後輪同士の間、または前輪同士の間で、左右両方のブレーキ9,10の制動を行わせる。また、モータ6への駆動電流の停止を行う場合も、誤動作が検出されたモータ6以外のモータ6についても、前述のように同時に電流の停止を行うことが好ましい。
このように、モータ6が制御系のノイズ等で誤動作した場合に、瞬時にこれを判断し、モータ電流の停止によりフェールセーフの安全処置を採ることができる。すなわち、運転者の意思に反する車両の逆方向への走行や加速等が回避され、即座に安全性が得られる。
【0040】
誤動作検出手段37により誤動作に対応する制御を行った場合、異常報告手段47はその誤動作対応制御した内容をECU21に報告する。ECU21は、この報告を受けて、車両全体の協調制御が行えるように、適宜の定められた制御を行うと共に、コンソールの表示手段27に、運転者にモータ6の異常発生やそれに対応した制御を行った旨を知らせる表示を行う。異常発生の表示は、誤動作検出手段37により異常を検出した信号に応答して行うようにしても良い。
【0041】
なお、上記の例では、回転方向指示判別部41と回転方向異常判定部42の組、回転数推定部43と回転数異常判定部44との組、モータ電流推定部45と電流異常判定部46の組との3つの組を設けたが、いずれか1つの組だけを設けても良く、またいずれか2つの組を設けても良い。
【0042】
また、上記の例では、各インバータ装置22のモータ誤動作チェック・コントロール手段34に、誤動作検出手段37を一つのみ設けたが、図5に示すように、誤動作検出手段37を2つ設けても良い。その場合、誤動作対応制御手段38は、2つの誤動作検出手段37の両方が誤動作を検出した場合のみに、前記モータ6への駆動電流の停止、または前記機械式ブレーキ9,10による制動の制御である誤動作対応制御を行わせるにしても良く、またいずれか一方の誤動作検出手段37が誤動作を検出した場合に、前記誤動作対応制御を行わせるようにしても良い。誤動作検出手段37自体に異常が発生している恐れがあるが、誤動作検出手段37を2つ設けることで、より確実で正確な誤動作検知が行える。
【0043】
図6のように、一つのモータ6に対して誤動作検出手段37を3つ設け、前記誤動作対応制御手段38は、前記3つ以上の誤動作検出手段37のうちの過半数が誤動作を検出した場合に、前記誤動作対応制御を行わせるものとしても良い。3つ以上の誤動作検出手段37を設けてそれらの出力の多数決で誤動作と判定することで、より正確な誤動作検知が行える。
【0044】
図5,図6の例において、誤動作検出手段37の具体的構成は、図3と共に前述した構成である。また、図5,図6の例において、いずれかの誤動作検出手段37で誤動作が検出されたが、他の誤動作検出手段37では誤動作が検出されず、誤動作対応制御手段38による誤動作対応制御を行わなかった場合は、その旨を図2の異常報告手段47でECU21に報告し、ECU21によってその旨の表示を図1の表示手段27に行わせるようにしても良い。なお、図5,図6の例において、複数設けられる誤動作検出手段37は、互いに同じ構成のものであっても、異種の構成のものであっても良い。
【0045】
次に、図7〜図10と共に、前記インホイールモータ駆動装置8の具体例を示す。このインホイールモータ駆動装置8は、車輪用軸受4とモータ6との間に減速機7を介在させ、車輪用軸受4で支持される駆動輪2のハブとモータ6の回転出力軸74とを同軸心上で連結してある。減速機7は、サイクロイド減速機であって、モータ6の回転出力軸74に同軸に連結される回転入力軸82に偏心部82a,82bを形成し、偏心部82a,82bにそれぞれ軸受85を介して曲線板84a,84bを装着し、曲線板84a,84bの偏心運動を車輪用軸受4へ回転運動として伝達する構成である。なお、この明細書において、車両に取り付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0046】
車輪用軸受4は、内周に複列の転走面53を形成した外方部材51と、これら各転走面53に対向する転走面54を外周に形成した内方部材52と、これら外方部材51および内方部材52の転走面53,54間に介在した複列の転動体55とで構成される。内方部材52は、駆動輪を取り付けるハブを兼用する。この車輪用軸受4は、複列のアンギュラ玉軸受とされていて、転動体55はボールからなり、各列毎に保持器56で保持されている。上記転走面53,54は断面円弧状であり、各転走面53,54は接触角が背面合わせとなるように形成されている。外方部材51と内方部材52との間の軸受空間のアウトボード側端は、シール部材57でシールされている。
【0047】
外方部材51は静止側軌道輪となるものであって、減速機7のアウトボード側のハウジング83bに取り付けるフランジ51aを有し、全体が一体の部品とされている。フランジ51aには、周方向の複数箇所にボルト挿通孔64が設けられている。また、ハウジング83bには,ボルト挿通孔64に対応する位置に、内周にねじが切られたボルト螺着孔94が設けられている。ボルト挿通孔94に挿通した取付ボルト65をボルト螺着孔94に螺着させることにより、外方部材51がハウジング83bに取り付けられる。
【0048】
内方部材52は回転側軌道輪となるものであって、車輪取付用のハブフランジ59aを有するアウトボード側材59と、このアウトボード側材59の内周にアウトボード側が嵌合して加締めによってアウトボード側材59に一体化されたインボード側材60とでなる。これらアウトボード側材59およびインボード側材60に、前記各列の転走面54が形成されている。インボード側材60の中心には貫通孔61が設けられている。ハブフランジ59aには、周方向複数箇所にハブボルト66の圧入孔67が設けられている。アウトボード側材59のハブフランジ59aの根元部付近には、駆動輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部63がアウトボード側に突出している。このパイロット部63の内周には、前記貫通孔61のアウトボード側端を塞ぐキャップ68が取り付けられている。
【0049】
減速機7は、上記したようにサイクロイド減速機であり、図8のように外形がなだらかな波状のトロコイド曲線で形成された2枚の曲線板84a,84bが、それぞれ軸受85を介して回転入力軸82の各偏心部82a,82bに装着してある。これら各曲線板84a,84bの偏心運動を外周側で案内する複数の外ピン86を、それぞれハウジング83bに差し渡して設け、内方部材2のインボード側材60に取り付けた複数の内ピン88を、各曲線板84a,84bの内部に設けられた複数の円形の貫通孔89に挿入状態に係合させてある。回転入力軸82は、モータ6の回転出力軸74とスプライン結合されて一体に回転する。なお、回転入力軸82はインボード側のハウジング83aと内方部材52のインボード側材60の内径面とに2つの軸受90で両持ち支持されている。
【0050】
モータ6の回転出力軸74が回転すると、これと一体回転する回転入力軸82に取り付けられた各曲線板84a,84bが偏心運動を行う。この各曲線板84a,84bの偏心運動が、内ピン88と貫通孔89との係合によって、内方部材52に回転運動として伝達される。回転出力軸74の回転に対して内方部材52の回転は減速されたものとなる。例えば、1段のサイクロイド減速機で1/10以上の減速比を得ることができる。
【0051】
前記2枚の曲線板84a,84bは、互いに偏心運動が打ち消されるように180°位相をずらして回転入力軸82の各偏心部82a,82bに装着され、各偏心部82a,82bの両側には、各曲線板84a,84bの偏心運動による振動を打ち消すように、各偏心部82a,82bの偏心方向と逆方向へ偏心させたカウンターウエイト91が装着されている。
【0052】
図9に拡大して示すように、前記各外ピン86と内ピン88には軸受92,93が装着され、これらの軸受92,93の外輪92a,93aが、それぞれ各曲線板84a,84bの外周と各貫通孔89の内周とに転接するようになっている。したがって、外ピン86と各曲線板84a,84bの外周との接触抵抗、および内ピン88と各貫通孔89の内周との接触抵抗を低減し、各曲線板84a,84bの偏心運動をスムーズに内方部材52に回転運動として伝達することができる。
【0053】
図7において、モータ6は、円筒状のモータハウジング72に固定したモータステータ73と、回転出力軸74に取り付けたモータロータ75との間にラジアルギャップを設けたラジアルギャップ型のIPMモータである。回転出力軸74は、減速機7のインボード側のハウジング83aの筒部に2つの軸受76で片持ち支持されている。
【0054】
モータステータ73は、軟質磁性体からなるステータコア部77とコイル78とでなる。ステータコア部77は、その外周面がモータハウジング72の内周面に嵌合して、モータハウジング72に保持されている。モータロータ75は、モータステータ73と同心に回転出力軸74に外嵌するロータコア部79と、このロータコア部79に内蔵される複数の永久磁石80とでなる。
【0055】
モータ6には、モータステータ73とモータロータ75の間の相対回転角度を検出する角度センサ36が設けられる。角度センサ36は、モータステータ73とモータロータ75の間の相対回転角度を表す信号を検出して出力する角度センサ本体70と、この角度センサ本体70の出力する信号から角度を演算する角度演算回路71とを有する。角度センサ本体70は、回転出力軸74の外周面に設けられる被検出部70aと、モータハウジング72に設けられ前記被検出部70aに例えば径方向に対向して近接配置される検出部70bとでなる。被検出部70aと検出部70bは軸方向に対向して近接配置されるものであっても良い。ここでは、各角度センサ36として、磁気エンコーダまたはレゾルバが用いられる。モータ6の回転制御は上記モータコントロール部29(図1,2)により行われる。このモータ6では、その効率を最大にするため、角度センサ42の検出するモータステータ73とモータロータ75の間の相対回転角度に基づき、モータステータ73のコイル78へ流す交流電流の各波の各相の印加タイミングを、モータコントロール部29のモータ駆動制御部33によってコントロールするようにされている。
なお、インホイールモータ駆動装置8のモータ電流の配線や各種センサ系,指令系の配線は、モータハウジング72等に設けられたコネクタ99により纏めて行われる。
【0056】
図10は、図1,図2の回転センサ24の一例を示す。この回転センサ24は、車輪用軸受4における内方部材52の外周に設けられた磁気エンコーダ24aと、この磁気エンコーダ24aに対向して外方部材51に設けられた磁気センサ24bとでなる。磁気エンーダ24aは、円周方向に磁極N,Sを交互に着磁したリング状の部材である。この例では、回転センサ24は両列の転動体55,55間に配置しているが、車輪用軸受4の端部に設置しても良い。
【0057】
なお、上記実施形態では、図1,2に示すように、ECU21とインバータ装置22とを離して設けたが、ECU21とインバータ装置22とは同じコンピュータで構成されていても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…車体
2,3…車輪
4…車輪用軸受
6…モータ
7…減速機
8…インホイールモータ駆動装置
9,10…機械式のブレーキ
21…ECU
22…インバータ装置
24…回転センサ
28…パワー回路部
29…モータコントロール部
30…インホイールモータユニット
31…インバータ
32…PWMドライバ
33…モータ駆動制御部
34…モータ誤動作チェック・コントロール手段
35…電流センサ
36…角度センサ
37…誤動作検出手段
38…誤動作対応制御手段
41…回転方向指示判別部
42…回転方向異常判定部
43…回転数推定部
44…回転数異常判定部
45…モータ電流推定部
46…電流異常判定部
47…異常報告手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動するモータと、車両全般を制御する電気制御ユニットであるECUと、バッテリの直流電力を前記モータの駆動に用いる交流電力に変換するインバータを含むパワー回路部および前記ECUから与えられるトルク指令に従って前記パワー回路部を制御するモータコントロール部を有するインバータ装置と、車輪を制動する機械式ブレーキとを備えた電気自動車において、
前記ECUの出力する前記トルク指令と、前記モータまたはこのモータで駆動される車輪の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかを常時監視し、この監視した情報を基に、定められた規則に従ってモータの誤動作を検出する誤動作検出手段と、
この誤動作検出手段で誤動作が検出されると前記モータへの駆動電流の停止、および前記機械式ブレーキによる制動のいずれかまたは両方を行わせる誤動作対応制御手段とを設けた、
ことを特徴とする電気自動車。
【請求項2】
請求項1において、前記誤動作検出手段は、前記ECUから与えられるトルク指令よりモータの回転すべき回転方向を判定する回転方向指示判別部と、前記モータまたはこのモータで駆動される車輪の回転信号、回転方向信号、およびモータ電流のいずれかから得られる回転方向とを比較してモータの回転方向異常を判定する回転方向異常判定部とを有する電気自動車。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記誤動作検出手段は、前記ECUから与えられるトルク指令よりモータの回転すべき回転数を判定する回転数推定部と、前記モータまたはこのモータで駆動される車輪の回転信号とを比較してモータの回転数異常を判定する回転数異常判定部とを有する電気自動車。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、それぞれ別の車輪を駆動する複数のモータを備え、前記誤動作対応制御手段は、一つのモータの誤動作を検出したときに、その誤動作が検出されたモータへの駆動電流の停止と、他のモータへの駆動電流の停止とを行わせる電気自動車。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記誤動作検出手段および前記誤動作対応制御手段を前記インバータ装置に設けた電気自動車。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、一つのモータに対して前記誤動作検出手段を2つ設け、前記誤動作対応制御手段は、2つの誤動作検出手段の両方が誤動作を検出した場合にのみに前記モータへの駆動電流の停止、または前記機械式ブレーキによる制動の制御である誤動作対応制御を行わせるか、またはいずれか一方の誤動作検出手段が誤動作を検出した場合に、前記誤動作対応制御を行わせるものとした電気自動車。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、一つのモータに対して前記誤動作検出手段を3つ以上設け、前記誤動作対応制御手段は、前記3つ以上の誤動作検出手段のうちの過半数が誤動作を検出した場合に、前記モータへの駆動電流の停止、または前記機械式ブレーキによる制動の制御である誤動作対応制御を行わせるものとした電気自動車。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記モータは、車輪用軸受と、この車輪用軸受とモータの間に介在した減速機とを有するインホイールモータ駆動装置を構成する電気自動車。
【請求項9】
請求項8において、前記減速機はサイクロイド減速機である電気自動車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−178904(P2012−178904A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39412(P2011−39412)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】