説明

電磁気マイクロアクチュエータ

【課題】電磁気マイクロアクチュエータを提供する。
【解決手段】基板110の一面に回動自在に形成されたステージ120と、ステージ120の回転軸方向にステージ120の両側に連結された一対のトーションバネ132と、トーションバネ132を支持してステージ120を取り囲む固定フレーム150と、ステージ120の上面に所定深さで巻き回された駆動コイル130と、駆動コイル130形成部分から離隔した形成されたミラー部140と、駆動コイル130から離隔し、駆動コイル130を挟んで対向する位置に形成された一対の永久磁石160と、を備えることを特徴とする電磁気マイクロアクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁気マイクロアクチュエータに係り、より詳細には、ミラー部を備えた電磁気マイクロアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ、レーザープリンタ、精密測定、精密加工など多様な技術分野でマイクロマシニング技術により製造される微小構造を持つ電磁気マイクロアクチュエータについての研究が活発に進行しつつある。例えば、ディスプレイ分野で前記電磁気マイクロアクチュエータは、画面上に走査光を偏向反射するための光スキャナーとして使われうる。
【0003】
従来技術による電磁気マイクロアクチュエータは、光反射面が形成されたステージと、前記光反射面を取り囲みつつ前記ステージ上に巻き回された駆動コイルと、前記駆動コイルと交差する方向の磁場を形成する永久磁石とを備える。電磁気マイクロアクチュエータを稼動すれば、前記駆動コイルに流れる電流と前記永久磁石による磁場との相互作用により、ローレンツの法則による方向にステージが回動しつつ、前記光反射面に入射された光を画面上の走査方向に偏向反射する。このため、駆動コイルに流れる電流によって熱が発生し、これはステージ全体を変形させてしまうことがある。
【0004】
また、前記の電磁気マイクロアクチュエータでは、駆動コイルが光反射面の外側を取り囲みつつ形成されるために、回転軸からステージの端までのアームが長くなり慣性モーメントが増大してしまうという問題がある。このような慣性モーメントの増加は駆動電流を増大させてしまうことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、駆動コイルの抵抗熱によるミラー部の変形を抑制または防止し、また、慣性モーメントを減少させた電磁気マイクロアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するための本発明による電磁気マイクロアクチュエータは、基板の一面に回動自在に形成されたステージと、前記ステージの回転軸方向に前記ステージの両側に連結された一対のトーションバネと、前記トーションバネを支持して前記ステージを取り囲む固定フレームと、前記ステージの上面に所定深さで巻き回された駆動コイルと、前記ステージ内の前記駆動コイルが形成されている部分と離隔して形成された光を反射するミラー部と、前記駆動コイルから離隔し、かつ、前記駆動コイルを間に挟んで対向する位置に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記ミラー部は、前記ステージに形成された開口部内で支持ビームにより前記ステージに連結される。
【0008】
本発明によれば、前記駆動コイルと前記ミラー部とは、前記回転軸方向に配列される。
【0009】
本発明の電磁気マイクロアクチュエータは、前記固定フレームで前記トーションバネと連結される部分に形成された一対の上部電極と、前記駆動コイルの両端と前記上部電極とを連結する配線と、をさらに備える。
【0010】
また、前記上部電極の下部に形成されたビアホールと、前記固定フレームの下部で前記ビアホールと連通して形成された下部電極と、前記ビアホールで、前記上部電極と前記下部電極とを連結する導電部材と、をさらに備える。
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の他の電磁気マイクロアクチュエータは、基板の一面に回動自在に形成されたステージと、前記ステージの回転軸方向に形成された一対のトーションバネと、前記トーションバネを支持して前記ステージの下方に延長した一対のアンカーと、前記ステージの上面に所定深さで巻き回された駆動コイルと、前記ステージ内で前記駆動コイルが形成されている部分と離隔して形成された光を反射するミラー部と、前記駆動コイルから離隔し、かつ、前記駆動コイルを間に挟んで対向する位置に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記一対のアンカーは、前記ステージで前記駆動コイルの内側に形成された開口部内に形成される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記一対のアンカーのうち一つは、前記ステージで前記駆動コイルの内側に形成された開口部内に形成され、他のアンカーは、前記駆動コイルの外側に形成される。
【0014】
前述した目的を達成するための本発明のさらに他の電磁気マイクロアクチュエータは、基板の一面に回動自在に形成されたステージと、前記ステージの中央部分に形成された光を反射するミラー部と、前記ステージの回転軸方向に前記ステージに連結された一対のトーションバネと、前記ステージの上面で、前記回転軸方向の前記ミラー部の両側に所定深さで巻きまわされた駆動コイルと、前記トーションバネの一端を支持し、前記ステージの下方に延長した一対のアンカーと、前記ステージの対向する両側に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記一対のアンカーは、前記ステージの外側に形成される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、前記ステージで前記ミラー部の両側に二つの開口部が形成されており、前記一対のアンカーは、前記開口部内にそれぞれ形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電磁気マイクロアクチュエータによれば、ステージに駆動コイルとミラー部とが共に形成されるが、互いに分離されるように形成される。このような構造は、駆動コイルで発生する発熱によるステージの変形がミラー部に及ぶ影響を抑制するので、ミラー部の光走査性能が向上できる。
【0018】
また、駆動コイルとミラー部とが一つの列に配置されることによって、ステージの回転軸と質量中心間の距離に依存する慣性モーメントが小さくなり、したがって、アクチュエータの駆動電流が減少するという効果がある。
【0019】
また、本発明による電磁気マイクロアクチュエータは、一つの基板を使用して製造でき、マスク工程が最小化されて製造工程が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態による電磁気マイクロアクチュエータについて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの平面図であり、図2は、図1のII−II線の断面図である。図1では、便宜上一部の絶縁層を図示しなかった。
【0022】
本第1実施形態の電磁気マイクロアクチュエータ100は、一つの基板110に形成されたステージ120、駆動コイル130、ミラー部140、固定フレーム150、及び永久磁石160を備える。
【0023】
前記基板110は、シリコン基板110でありうる。
【0024】
前記固定フレーム150は、ステージ120を包み、直四角形枠を持つ。前記固定フレーム150内には、x方向の回転軸を中心に回転するステージ120が形成されている。前記ステージ120は、前記回転軸に形成されたトーションバネ132によって前記固定フレーム150に支持される。
【0025】
前記ステージ120は、その表面に所定深さで巻き回された駆動コイル130と前記駆動コイル130と区別されるように形成されたミラー部140を備える。
【0026】
前記ミラー部140は、前記ステージ120に形成された四角の開口部131内で一対の支持ビーム142により前記ステージ120に連結されている。前記駆動コイル130とミラー部140とは、前記固定フレーム150の長手方向に配列されている。前記ミラー部140の上面には反射膜(図示せず)、例えば、金属薄膜がさらに形成される。この反射膜によって前記ミラー部140の上面は光を反射する。前記ミラー部140は、前記ステージ120の回転に沿って共に回転する。
【0027】
このように駆動コイル130が形成されている部分とミラー部140とは前記ステージ120内において離隔している。このため、前記駆動コイル130の抵抗熱によりを前記ステージ120が変形したとしても、その変形域は、ほとんど駆動コイル130が形成されている部分のみである。このためミラー部140は、駆動コイル130の抵抗熱によるステージ120の変形の影響を受けることがない。したがって、このような構成とすることで、ミラー部140の変形を抑制または防止することができる。
【0028】
前記駆動コイル130の一端及び固定フレーム150に形成された上部電極170は、第1配線171によって連結される。前記第1配線171は、一つのトーションバネ132の上を横切り、前記第1配線171の下部には絶縁層190が形成される。前記駆動コイル130の他端及び他の上部電極170は、第2配線172によって連結される。前記第2配線172は、他のトーションバネ132及び駆動コイル130の上を横切って、前記第2配線172の下部には絶縁層190が形成される。前記第2配線172は第1配線171と共に形成される。
【0029】
前記上部電極170の下部にはビアホール174が形成されており、前記基板110の下部には下部電極180が形成される。前記上部電極170と下部電極180とは、前記ビアホール174に形成された導電部材176によって電気的に連結される。このような電極構造は、外部配線(図示せず)との連結を容易にする。
【0030】
前記永久磁石160は、前記駆動コイル130からわずかに離れており、この前記駆動コイル130を挟んで対向する位置にそれぞれ設置され、一対をなしている
基板110と駆動コイル130、第1配線171及び第2配線172、上部電極170、導電部材76、下部電極180間には絶縁層190が介在される。
【0031】
本第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ100のステージ120は、下部電極180に印加される電流の方向に沿って回転軸を中心にy方向から相異なる方向に力を受け、したがって、ステージ120はz軸の一方向に回転する。次いで、前記印加電流の方向が変われば、ステージ120はz軸の他の方向に回転する。
【0032】
一方、本第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ100は、駆動コイル130内にミラー部140が形成されないので、回転軸からステージ120の端(図1におけるステージ120の回転軸からy方向の端)までの長さ、すなわち、回転体としてのアーム長が短くなる。したがって慣性モーメントが減少する。
【0033】
このような慣性モーメントの減少は駆動電流を減少させうる。また、駆動コイル130で駆動力に係るx方向のアームの長さが長く設計されうるので、駆動力の向上を図ることができる。
【0034】
図3Aないし図3Hは、第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ100の製造方法を説明する工程別断面図である。図1及び図2の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ図面符号を使用する。
【0035】
図3Aを参照すれば、シリコン基板110上にマスク(図示せず)を使用して駆動コイル130が形成される領域に所定深さにトレンチTを形成する。前記トレンチTは、ICPRIEエッチング方法を使用して形成されうる。次いで、前記基板110の表面に絶縁層191を形成する。前記絶縁層191は約1μm厚さのシリコン酸化物でありうる。
【0036】
図3Bを参照すれば、前記トレンチ(図3AのT)を金属、例えばCuを満たす。Cuの下部にはCr接着層をあらかじめ形成し、その上にCuを電気メッキ法で形成できる。ここでCr接着層は、例えば、トレンチの上方からCrをスパッタリングしてトレンチの底面にCr層を形成することができる。
【0037】
次いで、基板110上の絶縁層191上のCuをラッピング&ポリッシング方法で除去する。その後、基板上の不要なCr及びCuを除去して平坦化する。
【0038】
図3Cを参照すれば、前記基板110の上面に絶縁層192を形成し、前記絶縁層192をパターニングして駆動コイル130の両端を露出させる開口部192aを形成する。
【0039】
図3Dを参照すれば、前記基板110上に前記開口部(図3Cの192a)に露出された駆動コイル130の端と上部電極(図1の170参照)とを連結する第1配線171及び第2配線172を形成する。第1配線171及び第2配線172はCr/Auをスパッタリング法で形成した後、ウェットエッチングでパターニングして形成されうる。
【0040】
図3Eを参照すれば、ステージ120、ミラー部140、トーションバネ132の構造を形成するために基板110を1次エッチングする。そのために前記基板110上にマスク(図示せず)を形成し、基板110をステージ120の厚さほどにICP RCEエッチングを行う。
【0041】
図3Fを参照すれば、基板110の下部にマスク(図示せず)を形成し、このマスクに露出された領域をエッチングして、ビアホール174及びステージ120の回転空間のためのキャビティCを形成する。この時、ステージ120及びミラー部140、トーションバネ132、固定フレーム150の構造が形成される。
【0042】
図3Gを参照すれば、基板110に絶縁層193を形成し、基板110上部に形成された絶縁層193をパターニングして上部電極170の形成領域を限定する。
【0043】
図3Hを参照すれば、基板110の上面と下面とに上部電極170領域と下部電極180領域とを限定するマスク(図示せず)を形成した後、導電性金属を形成してビアホール174の上部に上部電極170、ビアホール174の下部に下部電極180、ビアホール174内に導電部材176を形成する。
【0044】
前述した製造方法から本第1実施形態のアクチュエータ100が一つの基板を使用して形成され、また、製造工程で5個のマスクを使用する簡単な工程であることが分かる。
【0045】
図4は、本発明の第2実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ200の平面図であり、図5は、図4のV−V線の断面図である。図4では、便宜上一部の絶縁層を図示していない。
【0046】
図4を参照すれば、本第2実施形態の電磁気マイクロアクチュエータ200は、一つの基板210に形成されたステージ220、駆動コイル230、ミラー部240、アンカー250と、永久磁石260と、前記基板210を支持するベース基板212とを備える。前記基板210はシリコン基板であり、前記ベース基板212はグラス基板またはプラスチック基板でありうる。
【0047】
前記ステージ220の内側には四角の開口部221が形成されており、前記開口部221には、前記ベース基板212に支持された一対のアンカー250が配置される。前記アンカー250上にはそれぞれ上部電極270が形成され、前記アンカー250の下部には下部電極280が形成される。前記アンカー250には、前記上部電極270と下部電極280とを連結する導電部材276が形成される。
【0048】
前記駆動コイル230は、前記ステージ220の表面で所定深さで巻き回されており、前記アンカー250を取り囲むように形成される。前記アンカー250と前記ステージ220とは、二つのトーションバネ232によって連結される。前記トーションバネ232はx軸方向に形成され、前記ステージ220の回転軸となる。
【0049】
前記ステージ220には、前記駆動コイル230が形成されている部分から離隔してミラー部240が形成されている。前記ミラー部240は、前記ステージ220に一対の支持ビーム242により連結されて支持される。前記ミラー部240は、前記ステージ220の回転に沿って共に回転する。このように駆動コイル230と離隔したミラー部240は、前記駆動コイル230の抵抗熱によるステージ220の変形の影響を受けることが少なく、ミラー部340の変形を抑制または防止することができる。
【0050】
前記駆動コイル230の一端及び固定フレーム250に形成された上部電極270は、第1配線271によって連結される。前記第1配線271は、駆動コイル230及び一つのトーションバネ232の上を横切り、前記第1配線271の下部には絶縁層290が形成される。前記駆動コイル230の他端及び他の上部電極270は、第2配線272によって連結される。前記第2配線272は、他のトーションバネ232の上を横切り、前記第2配線272の下部には絶縁層290が形成されうる。前記第2配線272は第1配線271と共に形成される。
【0051】
前記永久磁石260は、前記駆動コイル230の両側にそれぞれ設置される。
【0052】
基板210と駆動コイル230、第1配線271及び第2配線272、上部電極270、導電部材276、下部電極280間には絶縁層230が介在される。
【0053】
本発明の第2実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ200は、x方向にアームの長い駆動コイル230を備え、この長い駆動コイル230は、本発明のアクチュエータ200の駆動力向上に寄与する。
【0054】
第2実施形態では、二つのアンカー250が駆動コイル230内に配置されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0055】
図6及び図7は、第2実施形態の電磁気マイクロアクチュエータの変形例を示す平面図である。第2実施形態の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0056】
図6を参照すれば、一対のアンカー250のうち一つは、ステージ220で駆動コイル230の内部に形成された四角の開口部221に形成され、他の一つは、ステージ220でミラー部240と駆動コイル230との間に形成される。図6のアクチュエータ200’は、配線271、272が駆動コイル230を横断しないので、配線271、272と駆動コイル230間の短絡が発生しない。
【0057】
図7を参照すれば、一対のアンカー250のうち一つは、ステージ220で駆動コイル230の内部に形成された四角の開口部221に形成され、他の一つはステージ220の外側に形成される。図7のアクチュエータ200”は、配線271、272が駆動コイル230を横断しないので、配線271、272と駆動コイル230間の短絡が発生しない。
【0058】
このような図6及び7に示した第2実施形態の変形例においても、ミラー部240は駆動コイル230の抵抗熱によるステージ220の変形の影響を受けることが少なく、ミラー部340の変形を抑制または防止することができ、かつ、慣性モーメントを減少させることができる。
【0059】
図8は、本発明の第3実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ300の平面図であり、図9は、図8のIX−IX線の断面図である。図9では便宜上一部の絶縁層を図示していない。
【0060】
図8及び図9を共に参照すれば、本第3実施形態の電磁気マイクロアクチュエータ300は、一つの基板310に形成されたステージ320、駆動コイル330、ミラー部340、アンカー350、永久磁石360を備える。前記基板310はシリコン基板でありうる。
【0061】
前記ステージ320の両側には一対のトーションバネ332が連結され、前記トーションバネ332はアンカー350によって固定される。前記トーションバネ332はステージ320の回転軸として作用する。前記ステージ320の中央部にはミラー部340が形成されている。前記ミラー部340は、y軸方向の二つの支持ビーム342により前記ステージ320に固定される。
【0062】
前記ステージ320には、前記ミラー部340の両側にその表面に所定深さで巻き回された駆動コイル330が形成されている。この駆動コイル330は一つで形成されており、その両端は、駆動コイル330及びトーションバネ332を横断して対応する上部電極370と第1配線371及び第2配線372によってそれぞれ連結される。前記第1配線371及び第2配線372の下部には絶縁層390が形成される。
【0063】
前記ミラー部340は、前記駆動コイル330が形成されている部分から離隔して形成されている。前記駆動コイル330とミラー部340とは前記アンカー350の間に配置されている。
【0064】
前記ミラー部340は、前記ステージ320の回転に沿って共に回転する。このように駆動コイル330と離隔したミラー部340は、前記駆動コイル330の抵抗熱によるステージ220の変形の影響を受けることが少なく、ミラー部340の変形を抑制または防止することができる。
【0065】
前記上部電極370の下部にはビアホール374が形成されており、前記基板310の下部には下部電極380が形成される。前記上部電極370及び下部電極380は、前記ビアホール374に形成された導電部材376によって電気的に連結される。このような電極構造は外部配線(図示せず)との連結を容易にする。
【0066】
前記永久磁石360は、前記駆動コイル330の両側にそれぞれ設置される。
【0067】
基板310と駆動コイル330、第1配線371及び第2配線372、上部電極370、導電部材376、下部電極380の間には絶縁層390が介在される。
【0068】
本第3実施形態による電磁気マイクロアクチュエータ300は、駆動コイル330内にミラー部340が形成されていないので、回転軸と質量中心との距離が短くなり、したがって慣性モーメントが減少する。このような慣性モーメントの減少で駆動電流を減少させることができる。
【0069】
図10は、第3実施形態のアクチュエータ300の変形例である。第3実施形態の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0070】
図10を参照すれば、ステージ320の中央部にミラー部340が形成されており、ステージ320でミラー部340の両側に駆動コイル330が巻き回された部分が形成されている。そして、前記ステージ320で前記ミラー部340の両側にはそれぞれ四角のホール321が形成されており、この開口部321にアンカー350が形成されている。アンカー350とステージ320との間に形成されたトーションバネ332がステージ320を支持する。トーションバネ332はステージ320の回転軸方向に形成される。
【0071】
図10のアクチュエータ300’は、駆動コイル330で駆動力に係るx方向の長さが長く設計されうるので、駆動力の向上を図ることができる。
【0072】
このような図10に示した第3実施形態の変形例においても、ミラー部340は駆動コイル330の抵抗熱によるステージ320の変形の影響を受けることが少なく、ミラー部340の変形を抑制または防止することができ、かつ、慣性モーメントを減少させることができる。
【0073】
一方、第3実施形態の駆動コイルは二つの駆動コイルで形成され、各駆動コイルの両端を支持するアンカーは4個になる。これらアンカーはミラー部を中心に両側に2個ずつ形成されるが、これらアンカーの配置は多様に形成され、このような配置は前述した実施形態から類推できるので詳細な説明は省略する。
【0074】
本発明は添付された図面に図示された実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならばこれより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は特許請求の範囲によって決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電磁気マイクロアクチュエータ関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの平面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3C】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3D】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3E】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3F】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3G】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図3H】本発明の第1実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの製造方法を説明する工程別断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの平面図である。
【図5】図4のV−V線の断面図である。
【図6】第2実施形態の電磁気マイクロアクチュエータの変形例を示す平面図である。
【図7】第2実施形態の電磁気マイクロアクチュエータの変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電磁気マイクロアクチュエータの平面図である。
【図9】図8のIX−IX線の断面図である。
【図10】第3実施形態のアクチュエータの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0077】
100 電磁気マイクロアクチュエータ、
110 基板、
120 ステージ、
130 駆動コイル、
131 四角開口部、
132 トーションバネ、
140 ミラー部、
142 支持ビーム、
150 固定フレーム、
160 永久磁石、
170 上部電極、
171 第1配線、
172 第2配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に回動自在に形成されたステージと、
前記ステージの回転軸方向に前記ステージの両側に連結された一対のトーションバネと、
前記トーションバネを支持して前記ステージを取り囲む固定フレームと、
前記ステージの上面に所定深さで巻き回された駆動コイルと、
前記ステージ内の前記駆動コイルが形成されている部分と離隔して形成された光を反射するミラー部と、
前記駆動コイルから離隔し、かつ、前記駆動コイルを間に挟んで対向する位置に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項2】
前記駆動コイルと前記ミラー部とは、前記回転軸方向に配列されたことを特徴とする請求項1に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項3】
前記ミラー部は、前記ステージに形成された開口部内で支持ビームにより前記ステージに連結されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項4】
前記固定フレームで前記トーションバネと連結される部分に形成された一対の上部電極と、
前記駆動コイルの両端と前記上部電極とを連結する配線と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項5】
前記上部電極の下部に形成されたビアホールと、
前記固定フレームの下部で前記ビアホールと連通して形成された下部電極と、
前記ビアホールで、前記上部電極と前記下部電極とを連結する導電部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項6】
基板の一面に回動自在に形成されたステージと、
前記ステージの回転軸方向に形成された一対のトーションバネと、
前記トーションバネを支持して前記ステージの下方に延長した一対のアンカーと、
前記ステージの上面に所定深さで巻き回された駆動コイルと、
前記ステージ内で前記駆動コイルが形成されている部分と離隔して形成された光を反射するミラー部と、
前記駆動コイルから離隔し、かつ、前記駆動コイルを間に挟んで対向する位置に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項7】
前記駆動コイルと前記ミラー部とは、前記回転軸方向に配列されたことを特徴とする請求項6に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項8】
前記ミラー部は、支持ビームにより前記ステージに連結されたことを特徴とする請求項6または7に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項9】
前記一対のアンカーは、前記ステージで前記駆動コイルの内側に形成された開口部に形成されたことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項10】
前記一対のアンカーのうち一つは、前記ステージで前記駆動コイルの内側に形成された開口部に形成され、他のアンカーは、前記駆動コイルの外側に形成されたことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項11】
前記固定フレームで前記トーションバネと連結する部分に形成された一対の上部電極と、
前記駆動コイルの両端と前記上部電極とを連結する配線と、をさらに備えることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一つに記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項12】
前記上部電極の下部に形成されたビアホールと、
前記固定フレームの下部で前記ビアホールと連通して形成された下部電極と、
前記ビアホールで、前記上部電極と前記下部電極とを連結する導電部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項13】
基板の一面に回動自在に形成されたステージと、
前記ステージの中央部分に形成された光を反射するミラー部と、
前記ステージの回転軸方向に前記ステージに連結された一対のトーションバネと、
前記ステージの上面で、前記ミラー部の前記回転軸方向における両側に所定深さで巻き回された駆動コイルと、
前記トーションバネの一端を支持し、前記ステージの下方に延長した一対のアンカーと、
前記ステージの対向する両側に形成された一対の永久磁石と、を備えることを特徴とする電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項14】
前記ミラー部は、前記ステージに形成された開口部内で支持ビームにより前記ステージに連結されたことを特徴とする請求項13に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項15】
前記一対のアンカーは、前記ステージの外側に形成されたことを特徴とする請求項13または14に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項16】
前記ステージで前記ミラー部の両側に二つの開口部が形成されており、前記一対のアンカーは、前記開口部内にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項13または14に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項17】
前記固定フレームで前記トーションバネと連結される部分に形成された一対の上部電極と、
前記駆動コイルの両端と前記上部電極とを連結する配線と、をさらに備えることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一つに記載の電磁気マイクロアクチュエータ。
【請求項18】
前記上部電極の下部に形成されたビアホールと、
前記固定フレームの下部で前記ビアホールと連通して形成された下部電極と、
前記ビアホールで、前記上部電極と前記下部電極とを連結する導電部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の電磁気マイクロアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−122955(P2008−122955A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284047(P2007−284047)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】