説明

高さ測定装置

【課題】従来の線幅測定装置の自動調光を共焦点顕微鏡を有する高さ測定装置に適用すると輝度値とZ座標のグラフがZ軸移動範囲の殆どで、最大輝度値に達したり、Z軸移動範囲の殆どで輝度値が低いことがあり、カメラのダイナミックレンジを有効に利用することができないため、精度の悪い測定となっていた。
【解決手段】本発明は高さ測定を行う前に、高さ測定と同様な処理で求めた画像で、予め設定した画像領域のピーク値若しくは代表値を光量のパラメータとし、指定された範囲にパラメータが入るか否かで、自動調光を行い、最適な光量値を求めることが可能な高さ測定装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用、産業用の高さ測定装置に関わり、特に、顕微鏡によって拡大した被写体を撮像し、撮像した画像を画像処理によって測定する場合の調光に関するものである。
【背景技術】
【0002】
共焦点顕微鏡は、合焦点位置と光学的に共役な位置にピンホールを設け、合焦点以外の光が通るのを防ぐことで、通常の光学顕微鏡より、精細な画像を得ることが可能な顕微鏡である。
従来の共焦点顕微鏡を図1によって説明する。図1は、従来の共焦点顕微鏡の基本原理を説明するための模式的な図である。100 は光源、101 は結像レンズ、102 はハーフミラー、103 はニポウディスク、104 はピンホール、105 は対物レンズ、106 は被測定対象物の試料面、107 は結像レンズ、108 は撮像面である。
【0003】
図1において、光源 100 から出力された平行光は、結像レンズ 101 によって、ニポウディスク 103 の特定のピンホール 104 に結像する。ニポウディスク 103 の前にはハーフミラー 102 があるが、結像レンズ 101 からの光を透過させ、逆方向から入る反射光を反射させる(後述)ものである。
ピンホール 104 を通過した光は対物レンズ 105 に入り、試料面 106 に到達する。試料面 106 からの反射光は対物レンズ 105 に戻り、再びピンホール 104 を通過して、共焦点効果を得る。再びピンホール 104 を通過した反射光は、ハーフミラー 102 に入り、90[°](π/2[rad])方向を変え、結像レンズ 107 を通過して、撮像面 108 に結像する。
【0004】
ニポウディスクは、数千のピンホールを持っており、これらが回転することで、数千本の光が、試料面 106 をスキャンすることとなる。その反射光は、撮像面 108 をスキャンし、撮像面 108 で1枚の画像を得ることができる。
共焦点顕微鏡は、合焦点以外の光をほとんど通さないために、通常の光学顕微鏡よりも、被写体深度が極めて浅い。
例えば、図2に示すように、中央部がなだらかな山形をした形状の試料 201 を Z 軸方向(高さ方向)に向かって、裾野から頂上に移動しながら、映像を取得すると共にその時の Z 座標値を記録していく。
図2の破線に沿って、山形形状部の断面をとると図3(a) となる。図3(a) は、縦軸に高さ( Z 軸方向)、横軸に X 軸方向の位置座標をとった模式図である。この図では便宜的に、横軸を X 軸方向の位置座標としたが、 XY 平面上の位置 座標としても良い。
図3(b) は、図3(a) において、合焦点位置の高さ( Z 軸座標)を Z1 、Z2 、Z3 、‥‥‥、Z7 、Z8 それぞれで撮像した画素の輝度値を示した図である。図3(b) において、縦軸は、山形形状の高さ、横軸は、それぞれ、合焦点位置の高さ Z1 、Z2 、Z3 、‥‥‥、Z7 、Z8 それぞれで撮像した画素の輝度値である。
【0005】
図3(b) に示すように、各合焦点位置の高さ、即ち、各 Z 座標位置( Z1 、Z2 、Z3 、‥‥‥、Z7 、Z8 )に、それぞれの輝度値のピーク( I1 、I2 、I3 、‥‥‥、I7 、I8 )があることがわかる。なお、この図3(b) のそれぞれの曲線を、以後、Z カーブと呼ぶ。
共焦点顕微鏡では、この Z カーブは、一般的な光学的顕微鏡よりも、被写体深度が浅いために、急峻なカーブとなる。そのため、輝度値のピーク位置の Z 座標値で、合焦点位置を特定することができる。従って、撮像面の各画素に対して、Zカーブを得ることで各画素位置での高さ情報を得ることができる。
しかし、単純に Z 座標を変更しながら、画像を取得すると、焦点位置によっては、図4(a) に示すように、輝度値が最大に達し、 Z 座標値を特定できない場合や、図4(b) に示すように、輝度値が小さく、やはり Z 座標を特定できない場合がある。また、ノイズ成分が大きければ、ゲインを増幅しても測定が困難である。
【0006】
【特許文献1】特許第3568286号公報
【特許文献2】特許第3783813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した共焦点顕微鏡を使用した線幅測定装置では、試料の測定範囲における反射率が一定ではない。従って特許文献1では、試料からの反射光を受光してその受光強度に応じた検出信号を得、検出信号の信号レベルが予め設定されている適正範囲にあるか否かを判断し、この信号レベルが予め設定されている適正範囲外であると判断した場合に信号レベルを可変して、信号レベルが予め設定されている適正範囲内となるように調整する技術が記載されている。しかし、すでに取得した信号レベルを調整するため、映像信号のノイズレベルが増大する方向であり、微細な試料の測定には問題があった。
即ち、 Z 座標を変更しながら、画像を取得すると、焦点位置によっては、輝度値が最大に達し、 Z 座標値を特定できない場合や、輝度値が小さくすぎて Z 座標を特定できない場合がある。また、ノイズ成分が大きければ、ゲインを増幅しても測定が困難である。特許文献2は、S/N比を確保することを優先し、千号レベルのゲインを変えながら計測を行っている。しかし、この方法では、測定に時間が係り、スループットが長いという問題があった。
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、最適な調光機構を備え、かつ測定時間が短い測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の測定装置は、共焦点顕微鏡を用いた測定装置の調光を行うために、実際の高さ測定を行う前に、高さ測定と同様な操作を行いながら、自動調光を行う。
【0009】
即ち、本発明の高さ測定装置は、試料を拡大する共焦点顕微鏡と、試料に照射する光源と、光源の光量を調整する調光制御部と、Z 軸を駆動して焦点高さを変更する Z 軸駆動部と、共焦点顕微鏡の画像を撮像するカメラと、測定装置を制御しカメラが撮像した画像から試料の高さを測定する高さ測定装置において、リニアスケールを有し、制御部は、Z 軸を移動しながら、リニアスケールのデータとカメラの映像を取り込み、1つ前の映像の輝度値を比較しながら、より輝度値の高い画素とその Z 座標を記録するものである。
また、好ましくは、上記本発明の高さ測定装置は、測定を行う前に、高さ測定と同様な処理で求めた画像で、予め設定した画像領域のピーク値若しくは代表値を調光のパラメータとし、指定された範囲にパラメータが入るか否かで、自動調光を行い、最適な光量値を求めるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、共焦点顕微鏡を用いた高さ測定装置で最適な調光レベルを決定することが可能となり、カメラ等のイメージセンサのダイナミックレンジを有効利用することができるため、精度良い測定を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、説明の重複を避けるため、説明をできるだけ省略する。
【0012】
本発明の共焦点顕微鏡を用いた高さ測定装置の装置の構成を図5によって説明する。図5は、本発明の高さ測定装置の一実施例の構成を示す模式的なブロック図である。高さ測定装置は、線幅測定装置とほぼ同様の構成で、その構成上の違いは、顕微鏡が図4に示した共焦点の部品を含む顕微鏡であること、また、正確な Z 座標(高さ座標)が取得できるように、リニアスケールを備え、カメラ等のイメージセンサからの映像と Z 座標より、高さ測定を可能とする高さ測定手段を有することである。
【0013】
図5において、50 はカメラ、51 は顕微鏡、52 は対物レンズ、53 は試料、54 は試料台、55 は Y 軸駆動部、56 は X 軸駆動部、57 はリニアスケール、58 は Z 軸駆動部、59 は XYZ 軸制御部、60 は PC( Personal Computer )、61 は光源、62 は光源制御部、63 は高さ測定部である。
光源 61 は、例えば、ランプの中に封じ込まれているガスが金属ハロゲン化合物(例えば、水銀灯、等)のメタルハライドランプである。また、カメラ 50 は、TV( Tele-Vision )カメラ等の連写撮影可能なイメージセンサであれば良い。
なお、焦点位置を移動するための Z 軸機構には、Z 軸の位置が変わっても横方向に変位しない真直度の優れた微動 Z 軸機構(例えば、真直度誤差:10[nm])を用いる。
また上記図では、焦点位置を移動するために、試料を上下する。しかし、対物レンズ若しくは対物レンズを含むレボルバ、又は顕微鏡部全体を上下しても良い。また更に、それら全てを移動することによっても良い。
【0014】
光源 61 から出力された光は、顕微鏡 51 に入力され、対物レンズ 52 を通り、試料 53 の表面に到達する。試料 53 は、到達した光に対する反射光を出射し、出射された反射光は、再び対物レンズ 52 を通り、カメラ 50 の撮像面で結像する。
カメラ 50 は、撮像面にに結像された像を撮像して映像信号に変換し、PC 60 に出力する。これによって、撮像された映像は、PC 60 で取り込まれ、画像処理が実行される。
試料 53 の合焦点位置及び測定ポイントの指定は、PC 60 が行う。即ち、PC 60 は、X 軸駆動部 56 、Y 軸駆動部 55 、及び、Z 軸駆動部 58 を、XYZ 軸制御部 59 を介して制御することによって、変更する。例えば、Z 軸駆動部 58 を制御することによって、試料 53 とカメラ 50 、及び試料 53 とニポウディスクのピンホール高さ間の距離が、指定された合焦点位置となるように、Z 座標が相対的に変更される。
【0015】
上記線幅測定装置における自動調光機構について説明するために、図1と共に、図6、図7、及び図8を使用する。図6〜図8は、本発明の共焦点顕微鏡を用いた高さ測定装置の自動調光処理シーケンス動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
図6において、既に、ユーザによって、試料 53 が試料台 54 に固定され、その試料に対応する測定プログラム(測定レシピ)で高さ測定装置が稼動する状態となっている。
【0016】
まず、調光領域設定ステップ 601 では、調光を行う領域を PC 60 のユーザーインターフェースを通して、ユーザが設定する。
Z 軸移動範囲設定ステップ 602 では、高さ測定を行う Z 軸の範囲を、ユーザが指定する。
初期目標範囲設定ステップ 603 では、自動調光の初期目標範囲を、ユーザが設定する。
Z 軸スタート位置移動ステップ 604 では、Z 軸移動範囲設定ステップ 602 で設定した範囲のスタート位置に Z 軸を移動する。
自動調光シーケンスステップ 605 では、後述する図8に示すシーケンスを実行する。
高さ測定シーケンスステップ 606 では、Z 軸移動範囲設定ステップ 602 で設定した Z 座標の範囲で、 Z 座標を移動しながら、調光領域設定ステップ 601 で設定された領域の被写体画像とその Z 座標位置を取得し、より明るい輝度を持つ画素とその Z 座標位置を残す処理を実行する。
なお、上述の実施例を実現するためには、図1に示す顕微鏡 51 は共焦点顕微鏡である必要があり、また、正確な Z 座標値が取得できるように、リニアスケール 57 を備え、カメラ 50 が取得した映像と、リニアスケール 57 による Z 座標値より、高さ測定を可能とする高さ測定部 63 を備えている必要がある。
【0017】
高さ測定シーケンスステップ 606 を実行すると、1枚の画像の各画素位置に相当する高さ( Z 座標値)を決定することができる。
高さ測定シーケンスステップ 606 を、図7のフローチャートで説明する。
図7に示すように、画像1取得ステップ 701 では、スタート位置の画像1を取得する。そして、 Z 座標取得ステップ 702 では、Z 座標を取得する。
次に、Z 軸移動ステップ 703 では、Z 座標のスタート位置から終了位置の方向に、予め定められた所定量合焦点位置を移動する。
【0018】
次に、画像2取得ステップ 704 では、新たな画像2を取得し、Z 座標取得ステップ 705 では、その画像の Z 座標値を取得する。
輝度値比較処理ステップ 706 では、画像1と画像2の対応する画素位置毎にに輝度値を比較する。
そして、輝度値と Z 座標更新 ステップ 707 では、比較した輝度値でより輝度値が高い画素で画像1を更新し、同時にその更新画素の Z 座標を記録する。
Z 座標終了位置判定ステップ 708では、現在の Z 座標が終了位置かどうかを判定し、終了位置でない場合には、Z 軸移動ステップ 703 に戻る。また、終了位置である場合には、図7のフローチャートの処理を終了し、図6の輝度平均取得ステップ 607 に進む。
以上のように、図7のフローチャートで説明した高さ測定シーケンスの処理を実行することにより、画像1は、全画素位置に対応する Z 軸移動範囲で、最も明るい輝度値のみを残した画像となり、全画素が Z 座標値を持つ。
【0019】
図6に戻り、輝度平均取得ステップ 607 では、調光領域の画像1の輝度の平均値を取得する。
そして、目標範囲上限判定ステップ 608 では、輝度平均取得ステップ 607 で取得した画像1の輝度値の平均値が、予め定められた目標上限値より大きいか否かを判定する。画像1の輝度の平均値が目標上限値より大きい場合には、ステップ 609 に移動し、そうでない場合には、ステップ 610 に移動する。
自動調光目標上限値下げステップ 609 では、自動調光の目標上限値を所定値下げ、Z 軸スタート位置移動ステップ 604 に戻る。
目標範囲下限判定ステップ 610 では、画像1の輝度の平均値が目標下限値より小さい場合には、ステップ 611 に移動し、そうでない場合には、図6のフローチャートの処理を終了する。
自動調光目標下限値上げステップ 611 では、自動調光の目標下限値を所定値上げ、Z 軸スタート位置移動ステップ 604 に戻る。
上記図6の実施例によれば、Z 軸移動範囲でもっとも最適な光量が設定される。
【0020】
次に、図8によって、図6の自動調光シーケンスステップ 605 について説明する。
まず初めに、輝度平均取得ステップ 801 は、調光領域設定ステップ 601 で設定した調光領域の輝度の平均値を、PC 60 より取得する。
目標範囲上限判定ステップ 802 では、調光領域の輝度の平均値が予め定められた目標上限値より大きいか否かを判定する。平均値が目標上限値より大きい場合には、ステップ 803 に移動し、そうでない場合には、ステップ 804 に移動する。
自動調光目標上限値下げステップ 803 では、光量を所定値下げ、輝度平均取得ステップ 801 に戻る。
目標範囲下限判定ステップ 804 では、調光領域の輝度の平均値が目標下限値より小さい場合には、ステップ 805 に移動し、そうでない場合には、図8のフローチャートの処理を終了し、図6の高さ測定シーケンスステップ 606 に移行する。
自動調光目標下限値上げステップ 805 では、光量を所定値上げ、輝度平均取得ステップ 801 に戻る。
【0021】
なお、図6〜図8の実施例では、調光領域の画像1の輝度の平均値を取得して、輝度値の平均値が、予め定められた目標上限値より大きいか否かを判定した。しかし、上記平均値の他、例えば、ピーク値、若しくは、平均値以外の代表値(中央値、等)であっても良いことは勿論である。
【0022】
以上述べたように、本発明は、共焦点顕微鏡を使用した高さ測定装置において、光源の光量を調整する調光制御部を有し、XYZ 軸を駆動可能な制御部を有し、Z 座標にリニアスケールを有し、Z 軸を移動しながら、リニアスケールのデータと顕微鏡の映像を取り込み、1つ前の映像の輝度値と画素毎に比較しながら、より高い輝度値のデータを、その輝度値を取得した時の Z 座標値と共に記録する機能ようにした、共焦点顕微鏡を使用した高さ測定装置である。
高さ測定を行う前に、高さ測定と同様な処理で求めた画像で、予め設定した画像領域のピーク値、平均値等の代表値を調光時のパラメータとし、指定された範囲にパラメータが入るか否かで、自動調光を行い、最適な光量値を求める。
これによって、従来の線幅測定装置の自動調光によって、共焦点顕微鏡を有する高さ測定装置に適用した場合の Z カーブ(輝度値と Z 座標のグラフ)が、Z 軸移動範囲の殆どで、最大輝度値に達したり、若しくは、Z 軸移動範囲の殆どで輝度値が低くなる問題を解決した。
即ち、本発明は、高さ測定を行う前に、高さ測定と同様な処理で求めた画像で、予め設定した画像領域の平均値等の代表値若しくはピーク値を、調光のパラメータとし、指定された範囲にパラメータが入るか否かで、自動調光を行い、最適な光量値を求めることができる。
【0023】
上述した本発明の自動調光機能を用いて、3次元測定装置に適用する実施例を以下に説明する。この実施例では、図5の高さ測定装置の顕微鏡として、マイクロレンズディスク付き共焦点顕微鏡を用いている。
この共焦点顕微鏡により拡大した像を撮像するTVカメラは、高速取り込み可能なものとする。顕微鏡側では最大360[fps]の画像が得られるので最大360[fps]のカメラまで対応可能となる。しかし、ここでは、120[fps]のカメラで説明する。
【0024】
まず、焦点位置を移動するための Z 軸駆動部 58 には、Z 軸の位置が変わっても横方向に変位しない真直度の優れた微動 Z 軸機構(真直度誤差:10[nm])を用いる。この Z 軸駆動部 58 には、高精度に高さ情報を得るため、高分解能リニアスケールを搭載し、このスケールより Z 軸の座標( Z 座標)値を得る。なお、Z 軸 の座標移動は、共焦点光学ユニットと対物レンズ間での移動の形で説明するが、焦点位置や焦点距離を移動できれば試料側を移動しても顕微鏡全体を稼動しても、ニポウディスクのみを微動しても良い。
【0025】
この Z 軸を移動して焦点位置を変えながら画像を取得していく際の、Z 軸座標とカメラ画像データを保存及び演算処理するデータ処理ボードは、PC 60 に設けられている。
図9は、レジストパターンを試料として、焦点位置Aから焦点位置Eまで Z 軸を移動しながら画像を取得した際の各焦点位置における取得画像を示したものである。901 はクロムマスク、902 はレジスト膜、901-1 はボトムのクロム 901 の蒸着面(上面)の画像、902-1 はレジスト膜 902 の上面の画像、903 はレジスト膜 902 のテーパ部の画像である。
焦点位置Aでは、クロムマスク 901 表面、レジスト膜 902 上面までのどこにも焦点が合っておらず、対応するすべての画像 901-1 、902-1 、903 が 真っ暗の画像である。
焦点位置Bでは、ボトムのクロム 901 の蒸着面(上面)901-1 に焦点が合っており蒸着面 901-1 のエリアが最も明るくなる画像が得られる。
焦点位置Cでは、クロム蒸着面 901-1 とレジスト膜上面 902-1 の中間位置であるテーパ部分 903 が最も明るくなる画像が得られる。
焦点位置Dでは、レジスト膜上面 902-1 に焦点が合っておりレジスト膜面 902 の上面の画像 902-1 エリアが最も明るくなる画像が得られる。
焦点位置Eでは、再びどこにも焦点が合っておらず真っ暗の画像となる。
【0026】
実際には、焦点位置A〜Eを2[μm]とし、Z 軸を1秒で変異(変位)させた場合、120[fps]のカメラで撮像すれば120枚の画像データが得られるので、Z 軸情報としては下式の通り約16.6[nm]の分解能が得られる。
更に高速カメラを使用すれば高さ情報の分解能も更に向上する。
2[μm]/120≒0.0166≒16.6[nm]
上記分解能の Z 軸座標データとそれに対応した画像データがデータ処理ボードに保存され、演算処理を行い画像データの画素毎に輝度レベルがピークになった時の Z 軸位置座標を求めたデータを得ることができる。
【0027】
このデータを元に、画像内で高さを求めたい2つのエリアを指定すれば、そのエリアの高さ情報の差分より高さ寸法を測定することができる。
また、この画面内 Z 軸情報データから画面内の断面形状を3D(3次元)画面で表示して解析することも可能である。
また撮像した全ての画像データを加算して表示することにより焦点深度の深い立体的な平面画像の表示も可能である。
マイクロレンズディスク付き共焦点顕微鏡は従来の共焦点顕微鏡に比べて非常に明るい特徴を持っているので、従来は観察できなかった高倍率での測定も可能となり、対物レンズの選定によりレンジ幅の広い測定が可能となる。
【0028】
以上のように、図10で説明した実施例においては、検査対象物(試料)を拡大し、焦点深度の浅い像を得る共焦点顕微鏡と、その共焦点顕微鏡に照明光(例えば、白色光)を入光する光源部と、顕微鏡の焦点位置を変化させる高精度 Z 軸駆動部と、拡大像を撮像するカメラと、PC とを備え、PC には、カメラから出力される画像データを記憶する画像メモリ部と、検査対象物の反射率の違いによる明るさを一定に保つ自動調光ユニットと、Z 軸の高さ位置座標データと画像データの画素ごとの輝度レベルから演算処理して三次元計測用データを得て、これらのデータにより測定制御を行う制御部とにより構成される、3次元測定装置を実現した。
【0029】
また、この共焦点顕微鏡の光学系は、ニポウディスクとマイクロレンズディスクを同調して回転する構造により、非常に明るい輝度を得られることを特徴としており、従来の共焦点顕微鏡では実現できなかった高倍率での測定も可能となる。また、マイクロレンズディスクにより明るい輝度を得られることから、非常に高速な取り込みも可能となり最大360[fps]の画像取得が可能で、3次元測定においても高速処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の共焦点顕微鏡の基本原理を説明するための模式的な図。
【図2】試料の高さ方向の変化を模式的に示した図。
【図3】試料の高さ方向の変化と輝度値との関係を模式的に示した図。
【図4】試料の高さ方向の変化と輝度値との関係を調光による違いとして模式的に示した図。
【図5】本発明の高さ測定装置の一実施例の構成を示す模式的なブロック図。
【図6】本発明の自動調光の処理シーケンスの一実施例を説明するためのフローチャート。
【図7】本発明の自動調光の処理シーケンスの一実施例を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明の自動調光の処理シーケンスの一実施例を説明するためのフローチャート。
【図9】段差のある試料のパターン表面を撮像し表示した場合の画像とその輝度信号レベルを説明するための模式図。
【符号の説明】
【0031】
50:カメラ、 51:顕微鏡、 52:対物レンズ、 53:試料、 54:試料台、 55:Y軸駆動部、 56:X軸駆動部、 57:リニアスケール、 58:Z軸駆動部、 59:XYZ軸制御部、 60:PC、 61:光源、 62:光源制御部、 63:高さ測定部、 100:光源、 101:結像レンズ、 102:ハーフミラー、 103:ニポウディスク、 104:ピンホール、 105、107:対物レンズ、 106:試料面、 108:撮像面、 901:クロムマスク、 902:レジスト膜、 903:画像、 904:白色部、 905:灰色部、 906:黒地部、 907 :輝度波形、 901:クロムマスク、 902:レジスト膜、 901-1:ボトムのクロム蒸着面の画像、 902-1:レジスト膜上面の画像、 903:レジスト膜のテーパ部の画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を拡大する共焦点顕微鏡と、試料に照射する光源と、光源の光量を調整する調光制御部と、Z軸を駆動して焦点高さを変更するZ軸駆動部と、共焦点顕微鏡の画像を撮像するカメラと、測定装置を制御しカメラが撮像した画像から試料の高さを測定する高さ測定装置において、
リニアスケールを有し、上記制御部は、Z軸を移動しながら、リニアスケールのデータと上記カメラの映像を取り込み、1つ前の映像の輝度値を比較しながら、より、輝度値の高い画素とそのZ座標を記録することを特徴とする高さ測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の高さ測定装置において、予め設定した画像領域のピーク値若しくは代表値を調光のパラメータとし、指定された範囲にパラメータが入るか否かで、自動調光を行い、最適な光量値を求めること特徴とする高さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−92852(P2009−92852A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262316(P2007−262316)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】