説明

高融点金属窒化膜の形成方法

【課題】バリアメタルの材料となる高融点金属窒化物の成長工程を有する高融点金属窒化膜の形成方法に関し、配線のバリアメタルとなる高融点金属窒化物を低温で低抵抗に形成し、しかも、膜成長の際の反応生成物のチャンバ内の付着を防止するとともに、自然酸化膜の除去からコンタクトメタル、バリアメタルの成長までを減圧下で行うことを目的とする。
【解決手段】高融点金属のアルキルアミノ化合物を含むソースガスと還元性ガスとを使用して半導体基板上に化学気相成長法により高融点金属窒化膜を形成する高融点金属窒化膜の形成方法であって、還元性ガスを活性化する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高融点金属窒化膜の形成方法に関し、より詳しくは、半導体層と配線の間に介在されるバリアメタルの材料となる高融点金属窒化物の成長工程を有する高融点金属窒化膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、更なる高密度化が要望されており、半導体基板においては拡散層が薄層化され、配線が多層化されている。従って、拡散層への電極金属の侵入を防止したり、電極の密着性を良くしたり、電極のヒロックを防止するために、電極の下地層、あるいは電極の表面層として高融点金属窒化物よりなるバリアメタルが用いられている。
【0003】
配線層の下地となるバリアメタルを形成する場合には、高融点金属のハロゲン化物ガスとアンモニアガスを用いる熱CVD(thermal chemical vapor deposition)法が広く検討されている。
【0004】
例えば、TiCl4 とNH3 を反応ガスに用いて熱CVD法によりバリアメタルとなるTiN を形成する場合に、良好なステップカバレッジが得られる成長温度は650℃以上である。
【0005】
この場合、バリアメタル中には塩素が残留して高抵抗化の原因となるので、塩素を抜くためには600℃よりも高い成長温度を必要とする。その詳細は、例えば次の3つの文献に記載されている。
【0006】
(1)M. J. Buiting, A. F. Otterloo, and A. H. Montree, J. Electrochem. Soc., VOL.138, No.2, Feb. 1991、(2)I. J. Raaijmakers and A. Sherman, Proc.V.M.I.C., Santa Clara, June 1990、(3)E. 0. Travis, W. M. Paulson, F. Pintchovski, B. Boeck, L. C. Parillo, M. L. Kottke, K. Y. Yu, M. J. Rice, J.B. Price, and E. C. Eichman, IEEE IEDM Tech. Dig., 47(1990)
TiCl4 とNH3 は、常温下でも次のような反応が生じる。
【0007】
TiCl4 +NH3 → TiCl4 ・n NH3
また、TiN が成長できる高温領域でも次の反応がおこり、NH4Cl が反応室の冷えた場所に析出する。
【0008】
TiCl4 +NH3 → TiN + HCl+N2 、 NH3+HCl → NH4Cl
TiCl4 ・n NH3 やNH4Cl は常温下で固体であるので、これらがチャンバの内壁に付着するとパーティクルの原因になる。これを昇華させるためには、CVD装置のチャンバ内壁を120℃以上に加熱しなければならない。しかし、チャンバを加熱する機構を設けると、CVD装置が大型化して電気使用量が増加する。
【0009】
これに対して、反応ガスとしてTiCl4 とN2を用い、ECR(Electron Cyclotron Resonance)−CVD法によりTiN を成長する方法もあるが、成長温度が非常に高くなり、また、μ波、ECRを発生させる設備は複雑で大型化し、コスト高になる。その成長方法は、次の文献において報告されている。
【0010】
(4)T. Akahori and A. Tanihara, Extended Abstracts Solid State Devices and Materials, 180 (1991)
【非特許文献1】M. J. Buiting, A. F. Otterloo, and A. H. Montree, J. Electrochem. Soc., VOL.138, No.2, Feb. 1991
【非特許文献2】I. J. Raaijmakers and A. Sherman, Proc.V.M.I.C., Santa Clara, June 1990
【非特許文献3】E. 0. Travis, W. M. Paulson, F. Pintchovski, B. Boeck, L. C. Parillo, M. L. Kottke, K. Y. Yu, M. J. Rice, J.B. Price, and E. C. Eichman, IEEE IEDM Tech. Dig., 47(1990)
【非特許文献4】T. Akahori and A. Tanihara, Extended Abstracts Solid State Devices and Materials, 180 (1991)
【非特許文献5】I. J. Raaijmakers, R. N. Vrtis, G. S. Sandhu, J. Yang, E.K.Broadbent, D. A. Toberts, and A. Lagendijk, June 9-10, 1992 VMIC Conf.
【非特許文献6】KazuyaISHIHARA et al., JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS VOL.29, No.10, Oct.1990
【非特許文献7】KOICHI IKEDA et al., 1990 Symposium on VLSI Technology
【非特許文献8】C. Y. TiNG AND M. WITTMER, Thin Solid Films, 96 (1982) 327-345, ELECTRONICS AND OPTICS
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、以上のような高い温度でTiN バリアメタルを成長すると、アルミニウム配線後の多層配線構造では、アルミニウムがメルトしたり、アルミニウム配線のヒロックの原因になるといった問題がある。
【0012】
これに対して、有機チタンソースを用いて熱CVD法又は光CVD法により450℃以下の成長温度でTiN を成長することも可能であるが、これによって得られるTiN は、ステップカバレッジが劣り、高抵抗膜である。このことは、次の文献などにおいて記載されている。
【0013】
(5)I. J. Raaijmakers, R. N. Vrtis, G. S. Sandhu, J. Yang, E.K.Broadbent, D. A. Toberts, and A. Lagendijk, June 9-10, 1992 VMIC Conf. 、(6)KazuyaISHIHARA et al., JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS VOL.29, No.10, Oct.1990、(7)KOICHI IKEDA et al., 1990 Symposium on VLSI Technology
一方、高融点金属窒化物よりなるバリアメタルを半導体基板の上に直に形成すると、それらは良好にコンタクトしないことが知られており、それらの間にコンタクトメタルを介在させる必要がある。このことは、次の文献において記載されている。
【0014】
(8)C. Y. TiNG AND M. WITTMER, Thin Solid Films, 96 (1982) 327-345, ELECTRONICS AND OPTICS
そのコンタクトメタル形成時には自然酸化膜を成長させることなく除去しなければならない。しかし、現状では、自然酸化膜をフッ酸と純水の混合液により除去した後に、スパッタ装置を使用してコンタクトメタルを形成し、ついで、CVD装置を用いてバリアメタルを形成するというように、異なる処理毎に半導体ウェハを空気中に出して移動している。
【0015】
しかし、それら一連のプロセスを、減圧状態を解除せずに行う技術は存在していないので、コンタクトメタル形成の際に自然酸化膜が完全に除去されずに、接触不良が起こり易くなっている。
【0016】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、配線のバリアメタルとなる高融点金属窒化物を低温で低抵抗に形成し、しかも、膜成長の際の反応生成物のチャンバ内の付着を防止するとともに、自然酸化膜の除去からコンタクトメタル、バリアメタルの成長までを減圧下で行うことができる高融点金属窒化膜の形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した課題は、高融点金属のアルキルアミノ化合物を含むソースガスと還元性ガスとを使用して半導体基板上に化学気相成長法により高融点金属窒化膜を形成する高融点金属窒化膜の形成方法であって、前記還元性ガスを活性化する工程を含むことを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。
【0018】
または、前記還元性ガスは、ヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物を含むガスであることを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。
【0019】
または、前記還元性ガスを活性化する工程では、前記半導体基板を300℃以上500℃以下の温度にすることにより前記還元性ガスを活性化することを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。
【0020】
または、前記還元性ガスを活性化する工程では、プラズマにより前記還元性ガスを活性化することを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。または、前記還元性ガスを活性化する工程では、紫外線により前記還元性ガスを活性化することを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。
【0021】
または、前記半導体基板上に前記高融点金属窒化膜を形成する前に、前記半導体基板をヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物ガスに曝し、前記半導体基板の表面の自然酸化膜を除去することを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法により達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
そこで、以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0023】
(a)本発明の第1実施例の説明図1は、本発明の第1実施例に係るバリアメタルの成長に用いる熱化学気相成長(熱CVD)装置を示す概要構成図である。
【0024】
この熱CVD装置は、膜を成長するためのチャンバ1と、ヒータが内蔵された半導体基板載置用の載置台2と、チャンバ1内にソースガスを導入するための第1のガス導入口3と、チャンバ1内に還元ガスを導入するための第2のガス導入口4と、図示しない排気機構に接続されてチャンバ1内のガスを排気する排気口5とを有している。
【0025】
次に、上記した熱CVD装置を使用し、バリアメタルとしてTiN を半導体基板の上に形成する工程を図2(A) 〜図2(D),図3(A) 〜図3(C) を参照しながら説明する。
【0026】
バリアメタルの成長の説明に先立って、バリアメタル形成前の半導体基板とその上の積層構造を説明する。
【0027】
図2(A) は、MOSFETを覆う層間絶縁膜にコンタンクトホールが形成された状態を示す断面図である。
【0028】
p型のシリコンよりなる半導体基板11の上面には、SiO2よりなるフィールド酸化膜12が選択的な熱酸化により6000Åの厚さに形成されている。そのフィールド酸化膜12に囲まれた領域にはMOSFETが形成されている。そのMOSFETは、半導体基板11の表面に熱酸化により形成された膜厚約100ÅのSiO2よりなるゲート絶縁膜13と、その上にCVD法により成長された膜厚約2000Åのポリシリコン膜からなるゲート電極14と、ゲート電極14の両側の半導体基板11にイオン注入法により形成されたn+ 型のS/D領域層15a,15bとを有している。
【0029】
そのS/D領域層15a,15bは、例えば、半導体基板11に砒素(As)をドーズ量4×1015/ cm2 、加速エネルギー30KeV で注入し、その領域を850℃で活性化したものである。
【0030】
また、ゲート電極14、S/D領域層15a,15b、フィールド酸化膜12は、シリコン酸化膜からなる膜厚5000Åの層間絶縁膜16に覆われ、S/D領域層15a,15bの上にはコンタクトホール17a,17bが形成されている。
【0031】
このようなMOSFETが形成された半導体基板11をCVD装置の載置台2に載置するとともに、載置台2の内部のヒータにより半導体基板11を温度600℃以下、好ましくは300℃〜500℃の温度になるように加熱し、その状態を保持する。また、排気口5を通してチャンバ1内のガスを排気し、その内部を減圧する。
【0032】
そして、Tiのアルキルアミノ化物であるTi(N(CH3)2)4液中にキャリアガスとしてN2ガスを流量10sccmでバブリングして通過させ、これによって得られたTi(N(CH3)2)4とN2 の混合ガスをソースガスとして第1のガス導入口3からチャンバ1内に導入する。このとき、ソースガスの分圧は約40mTorr となり、そのうち約10mTorr がTi(N(CH3)2)4の分圧である。
【0033】
また、還元剤及び窒化源としてジメチルヒドラジン((CH3)2NNH2)ガスを流量10〜100sccmで第2のガス導入口4からチャンバ1内に導入する。(CH3)2NNH2は、常温(25℃)で約150Torr位の蒸気圧をもつので、MFC(Mass Flow Controller)を用いて直接供給する。
【0034】
このようなガス導入時には、ガス排気量を調整してチャンバ1の内部圧力を数十mTorr 〜1Torrに保持する。
【0035】
なお、H2等のキャリアガスを流量10〜1000sccm程度導入してもよく、これによれば還元を補助する役目も果たすが、無くてはならないものではない。
【0036】
このような条件によれば、チャンバ1内では、加熱温度により(CH3)2NNH2が活性化されてTi(N(CH3)2)4と反応し、TiN とCH4 (気体)とH2(気体)が生じる。これにより、反応生成物としてのTiN が、S/D領域層15a,15bの上面とコンタクトホール17a,17bの内周面と層間絶縁膜16の上面に沿って堆積し、残りのCH4 とH2は常温で気体となって排気口25から排気される。
【0037】
この状態で所定時間保持し、図2(B) に示すように、半導体基板11の上に、高融点金属の窒化物であるTiN 膜18を約400Å程度の厚さに形成する。
【0038】
次いで、図2(C) に示すように、TiN 膜18の上に、スパッタ等のPVD法によりAl膜19を約5000Åの厚さに堆積する。続いて、TiN 膜18とAl膜19の2層膜を、同一のマスクを使用してパターニングし、S/D領域層15a,15bから引き出されるS/D電極20a,20bを形成する。
【0039】
続いて、図2(D) に示すように、PSG等の層間絶縁膜21を形成した後、S/D電極20a,20bの上にビアホール21a,21bを形成する。
【0040】
次に、図3(A),(B) に示すように、既述したTiN 膜18、Al膜19と同様な形成方法により、膜厚約400ÅのTiN 膜22と膜厚約5000ÅのAl膜23の二層膜を形成する。
【0041】
続いて、図3(C) に示すように、リソグラフィー技術によりTiN 膜22とAl膜23をパターニングし、S/D電極20a,20bに接続されるAl配線層24a,24bを形成する。この後に、特に図示していないが、配線パッド、保護絶縁膜等を形成して、半導体装置を完成させる。
【0042】
以上のように、本発明の第1の実施例においては、高融点金属元素を含むソースガスとして、Tiのアルキルアミノ化物であるTi(N(CH3)2)4を用い、該ソースガス用の還元及び窒化ガスとしてアルキルアミノ化合物である(CH3)2NNH2ガスを含むものを用いて、CVD法により基体上にTiN 膜18を形成している。
【0043】
このとき、反応生成物としてTiN のほかには、常温でガス状になっているアルキル化合物、窒素及び水素ガスを生成するだけであり、TiCl4 とNH3 のガスを用いる従来技術のように、常温で固体となるNH4Cl のようなものは生成されない。CH4 ガスやH2ガスは、チャンバ1の排気口5から排気されるので、チャンバ1内壁には不要な反応生成物は堆積せず、反応生成物を昇華するためのヒータ等をCVD装置に付加する必要がない。
【0044】
しかも、上述したようなソースガスと還元性ガスを用いることにより、熱的にも300℃程度でも活性化が可能であり、膜形成温度を従来の600℃以上から大幅に下げることができる。これにより、TiN 膜22とその上下に形成されるAl膜19,23との間に生じる熱歪が抑制され、S/D電極20a,20bやAl配線24a,24bのメルトやヒロックが発生し難くなる。
【0045】
なお、上記した説明では、ソースガスとして、Tiのアルキルアミノ化物であるTi(N(CH3)2)4を使用しているが、Ti(N(C2H5)2)4 であってもよい。その他のTiを含むソースガスとしては、Ti(i-OC3H7)4,Ti(t-OC4H9)4等のアルコキシド化物或いはTiCl4 ,TiCl3 ,TiCl2 ,TiF4等のハロゲン化物を含むガス,又はCp2Ti(N3)2,Cp2Ti 等のシクロペンタジエニル化物を含むガスを用いてもよい。
【0046】
但し、シクロペンタジエニル化物であるCp2Ti(N3)2,Cp2Ti 等は、通常、常温で固体であるので、温度約200℃で昇華し、ガス化して用いる。
【0047】
なお、これらの化学式のうち、iはイソ、tはターシャルを示している。また、Cpはシクロペンタジエニル基を表し、C5H5を略したものである。
【0048】
更に、還元ガスとしては、(CH3)2NNH2、(CH3)HNNH2の他に、CH3NH2、(CH3)2NH、(CH3)3N 、(C2H5)2NH 、(C2H5)3N、CH3NHNH2、C6H5NHNH2 等のアルキルアミノ化合物であってもよい。その他に、ヒドラジンN2H4を含むガス或いはヒドラジンのアルキル化合物を含むガスを用いてもよい。ヒドラジンアルキル化合物は、上記したような(CH3)HNNH2、(CH3)2NNH2等がある。さらに、アルキルアジド化合物でも可能であり、(CH3)N3 や(C2H5)N3等であってもよい。なお、これらの還元ガスは窒化源としても作用する。
【0049】
この実施例では、バリアメタルとしてTiN を用いているが、その他の高融点金属窒化物として、タングステン(W)やモリブデン(Mo)の窒化物を用いてもよい。この場合のソースガスは、それらの高融点金属のアルキルアミノ化物、アルコキシド化合物、ハロゲン化物、シクロペンタジエニル化物である。
【0050】
次に、ソースガスとしてTiCl4 を用い、還元及び窒化ガスとしてメチルヒドラジン((CH3)HNNH2、以下、MHという)を用いた場合の成膜速度、比抵抗、塩素濃度及びステップカバレッジについて説明する。なお、試験的にチャンバ内の圧力は100mTorr とし、400〜700℃の温度範囲でTiN を成長した。 図4に、還元剤としてMHを使用した場合と、NH3 を使用した場合の成長速度を示す。
【0051】
MH還元によるTiN の成長速度は、NH3 還元に比べて一桁高く、MH流量10sccmで成長温度400℃の場合に、800Å/min の成長速度が得られた。このことから、MH還元の反応性はNH3 還元に比べて極めて高いことがわかる。
【0052】
また、MH還元により成長されたTiN の結晶構造をX線回折で調べたところ、典型的なNaCl型のTiN 結晶が成長し(200)面に優先配向し、また、その結晶のグレインサイズは200〜260Åとなることがわかった。また、SiO2膜の上でもTiN が成長し、(200)面に優先配向した。なお、PVD法によるTi膜の上に形成する場合には、(111)面に優先配向する。
【0053】
図5に、比抵抗と成長温度の関係を示す。比抵抗は、成長温度の増加にともなって低くなり、MH還元により成長されたTiN は、500℃で90μΩ・cmになった。NH3 還元により同等の比抵抗を得るためには700℃以上の高い温度が必要となる。
【0054】
図6は、TiN 膜中の塩素濃度と成長温度の関係を示すもので、NH3 還元により成長されたTiN 中の塩素濃度は成長温度500℃で3.3atomic%であるのに対して、MH還元により成長されたTiN では、同じ成長温度で0.18atomic%となった。
【0055】
これによりMHガスはTiCl4 を充分に還元し、残留塩素濃度を減らすことができることがわかる。塩素濃度は成長温度の上層とともに低くなり、図5の結果を考え合わせると、比抵抗は残留塩素濃度の減少とともに低下すると考えられる。
【0056】
塩素濃度が低くなるとその上に形成されるアルミニウムの腐食が少なくなる。その腐食は、水洗後に観察される。そこで、MH還元によりTiN を形成し、その上にアルミニウム膜を積層し、水洗後に顕微鏡観察をしたところ、アルミニウム表面の腐食は全く観察されなかった。これに対して、NH3 還元によれば、腐食をなくすためには成長温度を550℃以上にし、塩素含有量を少なくする必要がある。
【0057】
なお、NH3 によりソースガスを還元してTiN を形成した場合のアルミニウムの腐食は、層間絶縁膜とアルミニウム膜の界面で発生している。これは、水洗の際にその界面に滲み込んだ水に、TiN 膜中の塩素が拡散するために生じるからと考えられる。
【0058】
ステップカバレッジに関しては、MH還元により生成されたTiN を1700Åの厚さに成長したところ、0.2μmφ、アスペクト比約2.6のコンタクトホールが完全に埋め込まれ、カバレッジも良好であることがわかった。また、リーク電流は、従来と変わらない大きさであることも確認している。
【0059】
なお、上記した高融点金属窒化物は、絶縁膜に形成されたホールを埋め込む場合にも同様にして適用される。
【0060】
(b)本発明の第2実施例の説明図7は、本発明の第2の実施例に係る高融点金属窒化物形成用のCVD装置の構成図である。
【0061】
図7において、図1と異なるところは、還元性ガスを活性化する手段として平行平板電極に高周波電圧を印加する手段を有していることである。
【0062】
CVD装置の反応室31内には、半導体基板を載置する載置台32と、反応室31内にソースガスを導入するガス導入口33と、不図示の排気装置に接続された排気口35を有している。
【0063】
また、反応室31の上にはプラズマ室36が接続され、それらの空間は、反応室31にプラズマが侵入しないようにするメッシュ状のイオントラップ部37により仕切られている。
【0064】
さらに、プラズマ室36の内部には、還元性ガスを導入するためのガス導入口34が設けられ、また、その外部の周囲には、一対の電極38a,38bが配置され、電極間に電界を印加することによりプラズマ室36内の還元性ガスを活性化するように構成されている。一方の電極38bには、13.46MHzの周波数の高周波電圧を供給する高周波電源39が接続され、また他方の電極38aは接地されている。
【0065】
そして、2つの電極38a,38bの間に高周波電圧を印加することにより、プラズマ室36内部に導入された還元性ガスを活性化する。この場合、還元性ガスをプラズマにより活性化しているので、載置台31に内蔵されたヒータによる基板加熱温度は500℃以下でも充分に成長する。
【0066】
このようなCVD装置においても、本発明の第1の実施例と同様に、高融点金属元素を含むソースガスとして、高融点金属のアルキルアミノ化物、アルコキシド化物、ハロゲン化物又はシクロペンタジエニル化物を含むガスを用いるとともに、そのソースガスを還元する還元剤として、アルキルアミノ化合物やアルキルアジド化合物を含むガスや、ヒドラジン或いはそのアルキル化合物を含むガスを用る。
【0067】
このようなソースガスと還元ガスの反応により、高融点金属の窒化物、例えばTiN と、常温でガス状になるアルキル化合物、N2やH2が生成される。それらのガスは、反応室31の排気口35から排気され、反応室31の内壁には残留しない。そのTiN は、第1実施例と同じように半導体基板上に形成され、配線のバリアメタルに用いられる。
【0068】
また、本実施例では、上記したソースガスと還元ガスを用い、しかも、高周波電圧の電界により還元性ガスを活性化しているので、TiN を得るための基板加熱温度は300℃〜500℃の範囲で充分であり、その電極の下に配線層がある場合には、その下部配線層に与える熱的な影響をさらに低減し、アルミニウム配線のメルトやヒロックの発生も抑制される。
【0069】
さらに、ソースガスの還元剤としてNH3 を用いる場合と、本実施例の還元剤を使用する場合とを比べると、本実施例の方が、成膜速度は大きく、比抵抗は小さく、塩素濃度は低く、しかもステップカバレッジは良好である。
【0070】
(c)本発明の第3実施例の説明図8は本発明の第3の実施例のTiN膜を形成するためのCVD装置の構成図である。
【0071】
図8において、図1と異なるところは、還元ガスを活性化する手段として紫外線を照射する水銀ランプを用いていることである。
【0072】
そのCVD装置のチャンバ41内には、膜が成長される半導体基板を載置するヒータ内蔵の載置台42と、チャンバ41内にソースガスを導入するガス導入口43と、チャンバ41内に還元性ガスを導入するガス導入口44と、不図示の排気装置に接続されてチャンバ41内のガスを排気する排気口45と、還元性ガスを活性化するためにチャンバ41内に紫外線照射するための水銀ランプ46と、チャンバ41の壁の一部に形成されて水銀ランプ45からの紫外線を透過する透過窓47とを有している。
【0073】
このCVD装置においては、水銀ランプ45の点灯により発生する高エネルギの紫外線によって、チャンバ41内の還元性ガスとソースガスを活性化する。この紫外線照射により、基板加熱温度は500℃以下で充分となる。
【0074】
また、チャンバ41内に導入する高融点金属元素を含むソースガスとして、第1実施例と同様に、高融点金属のアルキルアミノ化物、アルコキシド化物、ハロゲン化物又はシクロペンタジエニル化物等を含むガスを用いるとともに、そのソースガスの還元ガスとして、第1実施例と同じく、アルキルアジド化合物、アルキルアミノ化合物を含むガス、ヒドラジン或いはそのアルキル化合物等を含むガスを使用して、これにより半導体基板の上にバリアメタルとなる高融点金属の窒化物膜を形成する。この還元ガスは、窒化ガスとしても作用する。
【0075】
この場合、反応生成物として高融点金属の窒化物の他には、常温でガス状になっているアルキル化合物、N2及びH2を生成するだけであって、それらはチャンバ41の内壁には残留しない。
【0076】
また、上記した反応ガスと還元ガスを用い、しかも、高エネルギーの紫外線によりソースガスと還元性ガスを活性化しているので、TiN よりなるバリアメタルを形成するための基板加熱温度は300℃〜500℃の範囲で充分であり、そのバリアメタルの下に配線層がある場合には、その下側配線層に与える熱的な影響をさらに低減し、アルミニウム配線のヒロックの発生も抑制される。
【0077】
なお、成膜速度、比抵抗、塩素濃度、カバレッジに関しては、第1実施例と同様な結果が得られ、半導体装置の配線用バリアメタル材料として最適である。
【0078】
(d)本発明の第4実施例の説明図9は、本発明の第4実施例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。この実施例では、第1実施例で使用した図1に示すCVD装置を用いるので、CVD装置の説明は省略する。
【0079】
バリアメタルとしてTiN を形成する前の半導体基板の断面の一部は、図9(A)に示すような状態である。p型シリコンよりなる半導体基板11の上面の素子形成領域を囲む部分には、選択酸化法によりフィールド酸化膜12が形成され、また、その素子形成領域にはMOSFETのゲート絶縁膜13、ゲート電極14及びS/D領域層15a,15bが形成され、さらに、それらを覆う層間絶縁膜16にはS/D領域層15a,15bを露出するためのコンタクトホール17a,17bが形成されている。
【0080】
また、コンタクトホール17a,17bから露出したS/D領域層15a,15bの表面には、自然酸化膜(SiO2)50が成長している。
【0081】
このような状態で、図1に示すようなCVD装置のチャンバ1内に半導体基板11を入れ、その半導体基板11を載置台2の上に載せる。この後に、コンタクトメタル形成のための前処理工程に入る。
【0082】
まず、チャンバ1内を1×10-4Torr以下に減圧した後に、載置台2に内蔵されたヒータにより半導体基板11を加熱し、常温状態の基板温度を400〜700℃まで上昇させる。
【0083】
ついで、ガス導入口4を通してヒドラジン(N2H4)ガスを100sccmの流量でチャンバ1内に導入し、半導体基板11の上面をN2H4に曝すと、コンタクトホール17a,17bから露出したS/D領域層15a,15bの表面に形成された厚さ約10Åの自然酸化膜(SiO2)50は、図9(B) に示すように除去される。
【0084】
なお、基板温度を400℃とし、N2H4の代わりにヒドラジンアルキル化合物、例えばメチルヒドラジン(MH)を流量100sccmで60秒間流しても、自然酸化膜50は基板上から除去できる。
【0085】
このように自然酸化膜50が除去されるのは、N2H4から解離した活性な水素ラジカルがSiO2を還元するためであると考えられる。
【0086】
次に、コンタクトメタルとしてTiSiを成長する工程に入る。
【0087】
半導体基板11の温度を400℃〜700℃に加熱するとともに、TiCl4 ガスを10sccm、MHガスを5sccm、Si2H6 ガスを200sccmの流量でチャンバ1内に導入するとともに、チャンバ1内の圧力を数十 mTorrに設定する。
【0088】
この条件によれば、約100Å/min の成長速度でTiSix が成長するので、その状態を所定時間保持することにより、図9(C) に示すように、S/D領域層15a,15bの上面とコンタクトホール17a,17bの内周面と層間絶縁膜16の上面に沿って、TiSix 膜51を100Åの厚さに形成する。この場合、TiSix 膜51の中には数ppm の窒素が含まれる。
【0089】
なお、Si2H6 の他にSiH4、Si3H8 等のポリシランガスを用いてもよい。
【0090】
次に、配線のバリアメタルとしてTiN を成長する工程に移る。
【0091】
半導体基板11を400〜500℃に加熱するとともに、TiCl4 を10sccm、MHを10sccmの流量でチャンバ1内に導入する。このときの、チャンバ1内の圧力を100m Torrとする。なお、キャリア及び窒素源としてNH3 を100sccm入れてもよい。
【0092】
この条件によれば、図10(A) に示すように、比抵抗100μΩ・cm以下のTiN 膜52が、S/D領域層15a,15bの上と、コンタクトホール17a,17bの内周面と、層間絶縁膜16の上に形成される。
【0093】
そのTiN 膜52の中に残留する塩素濃度は、還元剤としてNH3 を使用する場合に比べて1/40にまで下がった。塩素の密度が高くなると、水洗の際に塩素が水に溶け込んで、そのバリアメタルの上に積層されるAl膜の腐食原因となるが、本実施例のように塩素濃度が大幅に低下すると腐食の可能性が殆どなくなる。
【0094】
このようなバリアメタルを積層した後に、CVD装置から半導体基板11を取り出し、ついで、図10(B) に示すように、スパッタ法によりAl膜53を5000Å程度の厚さに積層する。
【0095】
そして、フォトリソグラフィー技術により、Al膜53からコンタクトメタル51までの層をパターニングして、S/D電極54、55を形成する。この後に、CVD法により層間絶縁膜21を積層する。ついで、図10(C) に示すように、TiN /Alよりなる上側配線24a,24bを形成することになるが、その詳細は第1実施例で既に説明したので省略する。
【0096】
なお、還元ガスとしてはMHの他のヒドラジンアルキル化合物であってもよいし、N2H4であってもよい。
【0097】
以上のような工程によれば、S/D領域層15a,15bの表面の自然酸化膜50を除去する工程からバリアメタルとなるTiN 膜52の形成工程までは同一のCVD装置のチャンバ1内で真空状態を破らずに行われているので、自然酸化膜が再成長することもなく、スループットが向上する。また、ヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物を用いて、自然酸化膜の除去した後からコンタクトメタルの形成までの一連の工程を600℃以下の低温で処理しているので、層間に生じる熱歪が低減する。
【0098】
なお、バリアメタルとなるTiN のうちTiが60%以上の場合は、S/D領域層15a,15bのシリコン面とTiN 膜52の界面にはTiリッチなTiN が形成されるので、コンタクトメタルを形成せずに、450℃以上の温度、例えば600℃でアニールを10秒間行うと、その界面にはTiSix 層が形成される。これにより、コンタクトメタルを形成するためにポリシランを流す必要がなくなる。
【0099】
また、反応ガスとして、第1実施例に示すようなソースガスと還元ガスを用いても良い。
【0100】
本実施例における、成膜速度、比抵抗、塩素濃度、カバレッジに関しては、第1実施例と同様な結果が得られ、半導体装置の配線のバリアメタル材料として最適である。
【0101】
(e)本発明の第5実施例の説明第4実施例では、1つの反応チャンバ内で自然酸化膜除去からバリアメタル形成が行われているが、自然酸化膜除去と、メタル成長とを別々のチャンバ内で行ってもよく、その装置の一例を図11に示す。
【0102】
その装置は、2つの反応チャンバ61,62を有し、反応チャンバ61,62の間には半導体基板を減圧雰囲気中で搬送する真空搬送室63が設けられている。また、真空搬送室63には、半導体基板を出し入れするためのロードチャンバ64とアンロードチャンバ65が接続され、それらには半導体基板を収納するカセットステーション66,67が接続されている。
【0103】
なお、反応チャンバ61,62と真空搬送室63の間、真空搬送室63とロードチャンバ64の間、真空搬送室63とアンロードチャンバ65の間、ロードチャンバ64と第1のカセットステーション66の間、およびアンロードチャンバ65と第2のカセットステーション67の間のそれぞれには、ゲートバルブ67〜73が取り付けられている。これらのゲートバルブ67〜73は、半導体基板の移動に際して開閉することになり、以下の説明ではその開閉については省略している。
【0104】
次に、前記した装置を使用して自然酸化膜の除去からバリアメタルを形成する工程までを説明する。なお、本実施例では、ガスの種類、成長温度等の成長条件や成長膜厚については、第4実施例と同じとし、半導体基板の上の積層構造の変化は図9、図10に示すようになる。
【0105】
まず、図示しない搬送システムによって第1のカセットステーション66から取り出された半導体基板11は、ロードチャンバ64に搬送され、ここで減圧された雰囲気に置かれた後に、真空搬送室63を介して第1の反応チャンバ61内に取付けられる。真空搬送室63及び反応チャンバ61は、減圧状態となっている。
【0106】
そして、第1の反応チャンバ61内では、ヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物を導入し、内部圧力を100mTorr とした状態で、基板温度を400℃〜700℃にする。
【0107】
この状態を所定時間保持すると、図9(A) に示すようなS/D領域層15a,15bの表面に形成された自然酸化膜(SiO2)50が除去される。
【0108】
次に、図示しない搬送システムにより半導体基板11を第1の反応チャンバ61から取り出してから、その半導体基板11を真空搬送室63を通して第2の反応チャンバ62内に移す。
【0109】
その反応チャンバ62内では、第4実施例と同様に、TiCl4 とMHとSi2H6 を導入し、基板温度を400〜600℃とする。これにより、コンタクトホール17a,17bの内周面とS/D領域層15a,15bの表面と層間絶縁膜16の上面に沿って、図9(C) に示すように、コンタクトメタルとしてTiSix 膜51を形成する。
【0110】
次に、第2の反応チャンバ62内に導入するガスを変え、TiCl4 とMHを導入して、半導体基板11を400℃〜500℃に加熱し、これにより図10(A) に示すように、バリアメタルとしてTiN 膜52を成長する。
【0111】
この後に、図示しない搬送システムにより半導体基板11を、第2の反応チャンバ62から真空搬送室63に移し、ついで、真空搬送室63から減圧状態のアンロードチャンバ65へ移送する。さらに、アンロードチャンバ65と真空搬送室63の間のゲートバルブ73を閉めた後に、アンロードチャンバ65内を常圧にし、ついで半導体基板11を第2のカッセットステーション67の中に収納する。
【0112】
その後に、第4実施例と同様にして、図10(B) に示すように、スパッタ法によりAl膜53をバリアメタル膜52の上に積層してから、リソグラフィー技術によりAl膜53からコンタクトメタル膜51までをパターニングして図10(C) に示すようなS/D電極54,55を形成する。
【0113】
なお、この実施例においても、コンタクトメタルを形成するためにSi2H6 を導入せずに、TiN 膜52のTiの含有量を60%以上とし、450℃以上の温度でアニールすれば、S/D領域層15a,15bのシリコン面とTiN 膜52との間にTiSiが形成されることになる。
【0114】
この実施例で使用するソースガスと還元ガスは、第1実施例と同じものでもよく、成膜速度、比抵抗、塩素濃度、カバレッジに関しては、第1実施例と同様な結果が得られる。
【0115】
以上述べたように本発明によれば、シリコン層に接する配線電極を構成する場合に、高融点金属バリアメタルの下に高融点金属シリサイド膜を設けるようにしているので、バリアメタルとシリコン層のコンタクトを良くできる。
【0116】
また、本発明によれば、バリアメタルとなる高融点金属窒化物を成長する場合に、還元及び窒化ガスとしてNH3 のみではなく、アルキルアジド化合物、アルキルアミノ化合物、ヒドラジン、ヒドラジンアルキル化合物を含むガスを使用している。これによれば、アルミニウムの配線を形成する場合に、メルトやヒロックを生じさせないような低い温度で高融点金属窒化物を成長できる。また、高融点金属窒化物を生成する際に、常温で固体となるような生成物が反応によって生じることはなく、チャンバ内壁にパーティクルの原因となる生成物の堆積を抑制できる。さらに、還元ガスとしてNH3 を用いる場合に比べて高融点金属窒化物膜中の塩素含有量が少なくなり、その上に配線電極用に積層されるアルミニウム膜の腐食を抑制でき、TiCl4 をTiソースとして用いた場合に、そのカバレッジを良くでき、その比抵抗を小さくできる。
【0117】
また、別の本発明によれば、減圧雰囲気中で、シリコン層の表面にヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物を供給して自然酸化膜を除去するようにしているので、CVD膜の形成が連続して形成でき、自然酸化膜の再成長を防止できる。
【0118】
さらに、その自然酸化膜除去と、コンタクトメタルとなる高融点金属シリサイド膜の成長用と、バリアメタルとなる高融点金属窒化物膜の成長とを真空状態を破らずに成長するようにしているので、スループットを向上できる。
【0119】
さらに、シリコン層の表面に高融点金属シリサイドを形成する方法として、その上に形成される高融点金属窒化物膜の中の高融点金属の含有量を60%以上にし、その後の熱処理により高融点金属窒化物膜とシリコン層との間に高融点金属シリサイドを成長するようにしているので、高融点金属シリサイドを成長する際にポリサイドの導入を不要としてスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1、第4の実施例に係るTiN 膜の形成に用いられるCVD装置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例の半導体装置の製造方法について説明する断面図(その1)である。
【図3】本発明の第1の実施例の半導体装置の製造方法について説明する断面図(その2)である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るTiN 膜の成長速度と従来方法によるTiN 膜の成長速度を示す特性図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るTiN 膜の比抵抗と従来方法によるTiN 膜の比抵抗を示す特性図である。
【図6】本発明の第1実施例に係るTiN 膜のCl濃度と従来方法によるTiN 膜のCl濃度を示す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るTiN 膜の形成に用いられるCVD装置の構成図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係るTiN 膜の形成に用いられるCVD装置の構成図である。
【図9】本発明の第4、第5の実施例の半導体装置の製造方法について説明する断面図(その1)である。
【図10】本発明の第4、第5の実施例の半導体装置の製造方法について説明する断面図(その2)である。
【図11】本発明の第5の実施例に係る自然酸化膜の除去からバリアメタル膜形成までの工程に用いられる装置の構成図である。
【符号の説明】
【0121】
1 チャンバ
2 載置台
3、4 ガス導入口
5 排気口
11 シリコン基板(半導体基板)
12 フィールド絶縁膜
13 ゲート絶縁膜
14 ゲート電極
15a、15b S/D領域層
16 層間絶縁膜
17a、17b コンタクトメタル
18 TiN 膜(高融点金属窒化物)
19 Al膜
20a、20b S/D電極
21 層間絶縁膜
21a、21b ビアホール
22 TiN 膜(高融点金属窒化膜)
23 Al膜
24a、24b 配線層
31 反応室
32 載置台
33、34 ガス導入口
35 排気口
36 プラズマ室
37 イオントラップ
38a、38b 電極
39 交流電源
41 チャンバ
42 載置台
43、44 ガス導入口
45 排気口
46 水銀ランプ
47 透明窓
50 自然酸化膜
51 TiSix 膜(コンタクトメタル)
52 TiN 膜(バリアメタル)
53 Al膜
54、55 S/D電極
61、62 反応チャンバ
63 真空搬送室
64 ロードチャンバ
65 アンロードチャンバ
66、67 カセットステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高融点金属のアルキルアミノ化合物を含むソースガスと還元性ガスとを使用して半導体基板上に化学気相成長法により高融点金属窒化膜を形成する高融点金属窒化膜の形成方法であって、
前記還元性ガスを活性化する工程を含むことを特徴とする高融点金属窒化膜の形成方法。
【請求項2】
前記還元性ガスは、ヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物を含むガスであることを特徴とする請求項1に記載の高融点金属窒化膜の形成方法。
【請求項3】
前記還元性ガスを活性化する工程では、前記半導体基板を300℃以上500℃以下の温度にすることにより前記還元性ガスを活性化することを特徴とする請求項2に記載の高融点金属窒化膜の形成方法。
【請求項4】
前記還元性ガスを活性化する工程では、プラズマにより前記還元性ガスを活性化することを特徴とする請求項1に記載の高融点金属窒化膜の形成方法。
【請求項5】
前記還元性ガスを活性化する工程では、紫外線により前記還元性ガスを活性化することを特徴とする請求項1に記載の高融点金属窒化膜の形成方法。
【請求項6】
前記半導体基板上に前記高融点金属窒化膜を形成する前に、前記半導体基板をヒドラジン又はヒドラジンアルキル化合物ガスに曝し、前記半導体基板の表面の自然酸化膜を除去することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高融点金属窒化膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−281518(P2007−281518A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182342(P2007−182342)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【分割の表示】特願2003−36183(P2003−36183)の分割
【原出願日】平成5年6月3日(1993.6.3)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】