説明

CNS状態を治療するために有用な置換アザシクロアルカン

本発明は、中枢神経系(CNS)の状態を治療する際に有用な置換アザシクロアルカン化合物、これを含む医薬組成物、このような状態の治療およびベータ−セクレターゼの阻害が適応となる状態の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中枢神経系(CNS)の状態を治療する際に有用な置換アザシクロアルカン化合物、前記化合物を含む医薬組成物、このような状態を治療する方法およびベータ−セクレターゼの阻害が適応となる状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系に影響を及ぼす状態には、アルツハイマー病などの神経変性状態が包含される。様々なこれらの状態は、脳における物理的変化により特徴づけられる。例えば、ある種のこのような異常は、神経原線維濃縮体および/またはプラーク沈着物の存在により証明され、これらは、進行するにつれて、認識、運動、知覚および他の障害を複数面でもたらす。一般に、前記プラークは、蓄積して、細胞の損傷および死を最終的にもたらしうる不溶性の沈着物を形成する傾向のある高凝集性タンパク質であるベータ−アミロイドから主になる。ベータ−アミロイド(Aβ)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来し、これは、複数のアイソフォームで存在する膜貫通タンパク質であり、これらのうちのより優勢なものは、695、714、751または771アミノ酸を含有する(それぞれAPP695、APP714、APP751およびAPP771と表示される)。ベータ−アミロイドの発生は、様々なプロテアーゼによるAPPの連続切断により、ベータ−セクレターゼはAPPをN末端で切断する一方で、ガンマ−セクレターゼはこれをC末端で切断する。生じる断片が、ベータ−アミロイド、38、40、42または43アミノ酸のタンパク質である(それぞれAβ1−38、Aβ1−40、Aβ1−42、Aβ1−43と表示される)。この断片が、細胞外空間に放出され、そこで、他のこのような不溶性断片と共に蓄積して、ニューロンに毒性な前記のタンパク質沈着物を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に、このような状態のために研究されている治療戦略は、ベータ−セクレターゼおよびまたはそのAPPのプロセシングを特に効果的に阻害して、Aβの形成を低減し、プラーク沈着および関連する病因を改善する化合物の開発である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記でより詳細に定義される式Iの化合物に関する:
【0005】
【化1】

【0006】
さらに本発明は、式(I)の化合物を含む医薬組成物ならびにCNS状態および/またはベータ−セクレターゼの阻害が適応となる状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とするか、そのような阻害が適応となる患者に有効量の前記化合物を投与することを含む方法に関する。
【0007】
式Iに関して:
Zは、水素、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルキル)−、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルケニル)、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルキニル)、−O−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルケニル、−(C〜C)アルキル(C〜C10)アリール、−(C〜C)アルキレン(C〜C10)アリールまたは(C〜Cシクロアルキル)−であり、ここで、前記基はそれぞれ独立に、1、2または3個のR基で置換されていてもよく、
はそれぞれ存在する場所で独立に、ハロゲン、−OH、−SH、−CN、−CF、−OCF、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルコキシまたは−NR100101であり、
100およびR101は独立に、H、(C〜C)アルキル、フェニル、CO(C〜C)アルキルまたはSO(C〜C)アルキルであり、
Xは、−(C=O)−または−(SO)−であり、
は、ハロゲン、−OH、=O、−SH、−CN、−CF、−OCF、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルコキシ、−NR100101、(C〜C10)アリール、(5員から9員)ヘテロアリールおよび(5員から9員)ヘテロシクロから独立に選択される1、2または3個の基で置換されていてもよい(C〜C10)アルキルであり、ここで、アリール基はそれぞれ、1、2または3個のR50基で置換されていてもよく、
50は、ハロゲン、OH、SH、CN、−CO−(C〜C)アルキル、−NR、−S(O)1〜2−(C〜Cアルキル)、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)シクロアルキルから選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシおよびシクロアルキル基は、(C〜C)アルキル、ハロゲン、OH、−NR、CN、(C〜C)ハロアルコキシ、NRおよび(C〜C)アルコキシからなる群から独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであるか、
およびRならびにそれらが結合している窒素は、5員または6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、
およびRは、H;−OH、−NHおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1、2または3個の基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキル;−(C〜C)シクロアルキル;−(C〜Cアルキル)−O−(C〜Cアルキル);−(C〜C)アルケニル;および−(C〜C)アルキニルからなる群から独立に選択され、
のヘテロアリールはそれぞれ、1または2個のR50基で置換されていてもよく、Rのヘテロシクロ基はそれぞれ、独立にR50または=Oである1または2個の基で置換されていてもよく、
およびRは、H;F;−F、−OH、−CN、−CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキルから独立に選択されるか、RおよびRは、−(CH0〜2−R17、−(CH0〜2−R18、−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキニルから独立に選択され、ここで、基はそれぞれ、−F;−OH;−CN;−CF;(C〜C)アルコキシ;−F、−OH、−CN、−CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される独立した置換基で置換されていてもよい−(CH0〜2−(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択される独立した置換基で置換されていてもよいか、
、Rおよびそれらが結合している炭素は、3から7個の炭素原子からなる−(C〜C)シクロアルキル環を形成し、ここで、1個の炭素原子は、−O−、−S−、−SO−または−NR−から選択される基により置き換えられていてもよく、
17はそれぞれ存在する場所で、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチルおよびテトラリニルから選択されるアリール基であり、ここで、前記アリール基は、独立に−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、CFである1または2個の基で置換されていてもよいか、R17はそれぞれ存在する場所で、それぞれF、OH、(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1個の置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキニルであるか、R17はそれぞれ存在する場所で、
−ハロゲン、
−OH、
−CN、
−(C〜C)シクロアルキル、
−CO−(C〜Cアルキル)、
−SO−(C〜Cアルキル)
から選択され、
18は、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、インドリル、プリダジニル(pryidazinyl)、ピラジニル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリール基はそれぞれ、独立にOH、CN、CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される1個の置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキルである1または2個の基で置換されていてもよく、
Rcは、
【0008】
【化2】

であり、
WおよびYはそれぞれ独立に、−CH−またはC=Oであり、
は、
【0009】
【化3】

であり、
Mは、−(CH)p−またはC=Oであり、X1は、C、S=Oであるか、存在せず、pは、0〜3であるが、ただし、MがC=Oである場合、X1は、Cであり、
は、水素;3個までのハロゲンまたはOH基で置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキル;フェニル;(5員から9員)ヘテロアリールおよび(5員から9員)ヘテロシクロであり、ここで、前記ヘテロアリールは、チアゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−および1,2,4−チアジアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニルからなる群から選択され、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロは、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシCH−、CN、NO、CF、−NH(C〜C)アルキル、−NH、(C〜C)アルキル−CO−NH−または(C〜C10)アリール(C〜C)アルコキシで置換されていてもよく、前記フェニルは、(C〜C)アルキルまたは3個までの−(C=O)Rで置換されていてもよく、ここでRは、H、(C〜C)アルキルまたはOH、NRまたは(C=O)(O)0〜1であり、ここで、R、RおよびRはそれぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
**は、(C〜C10)アリール、(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−O−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキレン−(C〜C10)アリールであり、
**の(C〜C10)アリールはそれぞれ、フェニルまたはナフチルであり、(5員から9員)ヘテロアリール環はそれぞれ、ベンゾ基に縮合していてもよく、酸素、窒素およびイオウから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、前記ヘテロアリール環は、2個の隣接する酸素原子および2個の隣接するイオウ原子を含有することはできず、前記フェニル、ナフチル、ヘテロアリールまたはベンゾ縮合ヘテロアリール環はそれぞれ、(C〜C)アルキル、クロロ、ブロモ−、ヨード、フルオロ−、(C〜C)ヒドロキシアルキル−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−、(C〜C)ヒドロキシシクロアルキル−、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)シクロアルキル−、(3員〜8員)ヘテロシクロ、ヒドロキシ(3員〜8員)ヘテロシクロおよび(C〜C)アルコキシ−(3員〜8員)ヘテロシクロから独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、前記アルキル、アルコキシおよびシクロアルキルは、1から3個のハロで置換されていてもよく、(C〜C)シクロアルキルまたはヘテロシクロ部分はそれぞれ、1から3個の(C〜C)アルキル、フェニルまたはベンジル基で独立に置換されていてもよいか、
**の(C〜C)ヘテロアリール環はそれぞれ、イミダゾ、ピリド、ピリミド、ピラゾ、ピリダゾまたはピロロ基に縮合していてもよく、このヘテロアリールは、酸素、窒素およびイオウから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、前記ヘテロアリール環は、2個の隣接する酸素原子および2個の隣接するイオウ原子を含有することはできず、前記縮合ヘテロアリール環はそれぞれ、(C〜C)アルキル、クロロ−、ブロモ−、ヨード、フルオロ−、ハロ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−、−O−(C〜C)アルキル−ハロ、ヒドロキシ(C〜C)シクロアルキル−、(C〜C)シクロアルコキシ−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)シクロアルキル−、(5員から9員)ヘテロシクロ、ヒドロキシル(5員〜9員)ヘテロシクロおよび(C〜C)アルコキシ−(5員から9員)ヘテロシクロから独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、(C〜C)シクロアルキルまたはヘテロシクロ部分はそれぞれ、1から3個の(C〜C)アルキルまたはベンジル基で独立に置換されていてもよいが、
ただし、Xが−(C=O)であり、Zがメチルであり、Rがジフルオロベンジルであり、RおよびRがそれぞれ水素である場合、Rcは
【0010】
【化4】

であり、WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである場合、
M、X1およびRと組み合わされるRは、H、−C、(−CH、−COH、−CCN、−(C=O)NH、CH−SO−、C−SO−、−H(C=O)、−(C=O)CHおよび−(C=O)CFであることはできない。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、Xが−(C=O)であり、Zがメチルであり、Rがジフルオロベンジルであり、RおよびRがそれぞれ水素である場合、Rcは
【0012】
【化5】

であり、WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである場合、
M、X1およびRと組み合わされるRは、(C〜C)アルキル、ヒドロキシル(C〜C)アルキル、−CN(C〜C)アルキル、−(C=O)NR、(C〜C)アルキル−SO−、−(C〜C)アルキル−CHO、−(C=O)(C〜C)アルキルまたは−(C=O)(C〜C)アルキルであることはできず、ここで、前記アルキルは、3〜5個のフルオロ原子で置換されているという追加的条件を有する。
【0013】
本発明はさらに、
式Ia
【0014】
【化6】

の構造を有する化合物を提供する[式中、Rcは前記と同様に定義される]。
【0015】
本発明の特定の実施は、Rcが、
【0016】
【化7】

である式Iaに関する[式中、W、Y、RおよびR**はそれぞれ前記定義と同じ意味を有する]。
【0017】
好ましい実施形態は、Rcが前記と同様であり、WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、Rが−COOCHまたは−COO−CH−フェニルであり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである式Iaの化合物に関する。
【0018】
他の好ましい実施形態は、Wが−CH−であり、YがC=Oであり、RがH、(C〜C)アルキル、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCOOCH(CH、CHCH−フェニルまたは−CH−CHOHであり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである式Iaの化合物に関する。最も好ましくは、ピペリジン環4位に位置する炭素原子は、S立体配置のキラル炭素原子である。
【0019】
本発明の他の実施は、Rcが
【0020】
【化8】

である式Iaに関する[式中、W、Y、RおよびR**はそれぞれ、前記定義と同じ意味を有する]。
【0021】
好ましい実施形態では、WおよびYはそれぞれ、−CH−であり、R**は、(C〜C)アルキル置換フェニルであり、Rは、
【0022】
【化9】

である[式中、pは0であり、X1はCであり、Rは−CH、−OCHまたは−CH−CO−OCHである]。
【0023】
他の好ましい実施形態では、X1は存在せず、Rは(5員〜6員)ヘテロアリール環である。最も好ましくは、Rは、2−チアゾリルまたは2−ピリミジニルである。
【0024】
他の実施形態は、Rcが
【0025】
【化10】

である式Iaに関する[式中、Rは、
【0026】
【化11】

である(式中、R30は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキレン−O−(C〜C)アルキル、CN、NH、NH(C〜C)アルキル、CF、NOまたはハロゲンである)]。
【0027】
本発明の他の実施は、Rcが
【0028】
【化12】

である式Iaの化合物に関する[式中、W、Y、R、およびR**はそれぞれ前記定義と同じ意味を有する]。
【0029】
好ましい実施形態では、WおよびYはそれぞれ、−CH−であり、R**は、(C〜C)アルキル置換フェニルであり、Rは、
【0030】
【化13】

である[式中、pは0であり、X1はCであり、Rは−CH−CO−OCHである]。
【0031】
本発明はさらに、式
【0032】
【化14】

の化合物を調製する方法を提供し、この方法は、
前記化合物(I)を形成するために有効な条件下に、式
【0033】
【化15】

の化合物を式
【0034】
【化16】

の化合物と反応させるステップを含む[式中、Z、X、R、R、R、RcおよびR15は前記と同様に定義される]。
【0035】
この実施の代表的な化合物には:
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−オキソ−酢酸;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−オキソ−酢酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ブチリル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−(3−メチル−ブチリル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S,4R)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
[(2R,3S,4R)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
[(2R,3S,4S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S,4S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R,4S)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R,4R)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−(1S,2R)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−(1S,2R,4S)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−(1S,2R,4R)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
(2R,3S)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
(2R,3S,4R)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
(2R,3S,4S)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[1−アセチル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
3−[(2S,3R)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
3−[(2S,3R)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
3−[(2S,3R)−3−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
3−[(2S,3R)−3−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−ベンゾオキサゾール−2−イル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[3−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−(4−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
3−[3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[1−アセチル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;および
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド
が包含される。
【0036】
本発明はさらに、
本明細書に開示されている方法で使用するための、このような前記式Iのベータ−セクレターゼ阻害剤または薬学的に許容できるその塩および薬学的に許容できる担体を含有する医薬組成物、
ベータ−セクレターゼを阻害することにより治療することができる障害または状態の治療法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む治療法、
CNS状態、例えば、アルツハイマー病(AD)、軽度認識障害、ダウン症候群、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血、脳アミロイド血管障害、血管性および変性性の混合由来の認知症、パーキンソン病に随伴する認知症、進行性核上性麻痺に随伴する認知症、皮質基底変性に随伴する認知症、多発梗塞性認知症、アルコール性認知症もしくは他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に随伴する認知症、ハンチントン病に随伴する認知症またはAIDS関連認知症、汎発性レーヴィ小体型アルツハイマー病、パーキンソン症候群に伴う前頭側頭骨認知症(FTDP)、封入体筋炎、核上白内障、加齢性黄斑変性(AMD)、ハンチントン病、パーキンソン病、不穏下肢症候群、脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、神経系の脱髄疾患、末梢神経疾患、ピン、脳アミロイド血管障害、筋萎縮側索硬化症、多発性硬化症、ドーパミンアゴニスト療法に随伴する運動障害、精神薄弱、読書障害、数学障害もしくは筆記表現の障害を包含する学習障害、加齢性認識低下、健忘障害、神経弛緩剤誘発パーキンソン症候群、遅発性ジスキネジア、トゥーレット症候群、多発性硬化症ならびに急性および慢性神経変性障害からなる群から選択される障害または状態を治療するための医薬組成物であって、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物、
本明細書に列記された障害または状態からなる群から選択される障害または状態を治療する方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法、
ADの発症の予防もしくは遅延、そうしなければ軽度認識障害(MCI)からADへと進行すると予測される患者におけるADの発症の予防もしくは遅延または単発性または再発性葉性出血などの脳アミロイド血管障害の起こりうる結果の予防のための医薬組成物であって、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物、および
ADの発症の予防もしくは遅延、そうしなければMCIからADへと進行すると予測される患者におけるADの発症の予防もしくは遅延または単発性または再発性葉性出血などの脳アミロイド血管障害の起こりうる結果の予防のための方法であって、このような治療を必要とする患者に式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法
を対象とする。
【0037】
本発明はさらに、医薬品を製造するための式Iによる化合物または塩の使用を提供する。
【0038】
本発明はさらに、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、タンパク質のベータ−セクレターゼを介した切断を阻害するための化合物、医薬組成物、キットおよび方法を提供し、この方法は、このような治療を必要とする患者に式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む。特に、本発明の化合物、組成物および方法は、A−ベータの産生を阻害して、A−ベータの病的形態に随伴する任意のヒトまたは動物疾患または状態を治療または予防するために有効である。
【0039】
本発明の化合物は、光学中心を有することがあり、したがって、様々な鏡像異性立体配置で生じうる。前記のような式Iは、構造式Iで示される化合物の全ての鏡像異性体、ジアステレオ異性体および他の立体異性体、さらに、それらのラセミ混合物および他の混合物を包含する。最終生成物またはその中間体を製造する際の光学分割、光学的選択反応またはクロマトグラフィー分離などの既知の方法により、個々の異性体を得ることもできる。
【0040】
PETまたはSPECTにより検出可能であるように同位体標識された式Iの化合物を包含する同位体標識された式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩も、本発明の範囲内である。
【0041】
式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩のシスおよびトランス異性体も、本発明の範囲内である。
【0042】
式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩の互変異性体も、本発明の範囲内である。
【0043】
初めの基または置換基が2個以上の基または置換基で置換されている場合、本発明は、制限ではないが、このような基または置換基の組合せが存在する実施形態を包含する。
【0044】
初めの基または置換基が2個以上の基または置換基で置換されている場合、このような置換基の数は、置換のために利用可能な初めの基または置換基内の位置の数を超えることはできないことは理解される。
【0045】
「ハロゲン」および「ハロ」などは独立に、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)およびヨード(I)を包含する。
【0046】
「アルコキシ」、「チオアルコキシ」および「アルキオキシ」などの用語に現れうるものを包含する「アルキル」は、直鎖または分枝鎖部分を有する飽和一価炭化水素基を包含する。アルキル基の例には、これらに限られないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが包含される。
【0047】
「アルケニル」および「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重または三重結合をそれぞれ有するアルキル部分を包含する。
【0048】
「シクロアルキル」は、アルキルが前記のように定義される非芳香族飽和環式アルキル部分を包含する。制限ではないが、例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルならびにそれぞれ2個または3個の環からなり、前記環が少なくとも1個の炭素原子を共有している非芳香族飽和炭素環基であるビシクロアルキルおよびトリシクロアルキル基が包含される。本明細書で他に示されていない限り、ビシクロアルキル基には、スピロ基および縮合環基、例えばビシクロ−[3.1.0]−ヘキシル、ビシクロ−[2.2.1]−ヘプト−1−イル、ノルボルニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.3]オクチルおよびスピロ[4.2]ヘプチルが包含される。トリシクロアルキル基の例は、アダマンタニルである。シクロアルキル基はさらに、1個または複数のオキソ部分で置換されている基、例えばオキソシクロペンチルおよびオキソシクロブチルを包含する。
【0049】
認められているように、(CH0〜5などの用語は、示されている炭素数(この場合は5)までのメチレン結合の追加的な存在を示していて、これへの結合置換基は、通常または分枝鎖立体配置であってよい。例えば、(CH0〜5(C6〜10アリール)では、アリールは、メチレン鎖に分枝または通常位置で存在してよい。
【0050】
本明細書で定義され使用される「アルキル」、「アルコキシ」、「チオアルコキシ」、「アルキオキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」の用語はさらに、そのような置換が任意選択として特に述べられている、いないに関わらず、3個までのフルオロ(F)でそれぞれ置換されていてもよいそれらの部分を包含することを意図されている。
【0051】
「治療」および「治療する」とは、このような用語が適用される障害もしくは状態またはこのような状態もしくは障害の1つもしくは複数の症状の進行を逆転、緩和、阻害するか、予防することを指している。本明細書で使用される場合、該用語はさらに、患者の状態に応じて、障害に随伴する任意の症状の発症および/または再発の予防を包含する障害の予防、さらに障害の重度または発症前のその任意の症状の低減を内包する。
【0052】
「哺乳動物」は、これらに限られないが、ヒト、イヌおよびネコを包含する「哺乳動物」群の任意のメンバーを指している。
【0053】
「患者」は、ヒトを包含する哺乳動物群のメンバーを指している。
【0054】
「状態」は、疾患または障害を指している。
【0055】
「ヘテロアリール」は、1個または複数のヘテロ原子(O、SまたはN)、好ましくは1個から4個のヘテロ原子を含有する1個または複数の芳香族基からなるヘテロアリール基を指している。本明細書で使用する場合、基の少なくとも1個の環が芳香族である1個または複数のヘテロ原子を含有する多環式基も、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基はさらに、1種または複数の互変異性形態(例えばケト、エノールなどの形態)で存在し、および/または1個または複数のオキソ部分で置換されている環系を包含しうる。ヘテロアリール基の例は、これらに限られないが、キノリル、イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,4−トリザイニル(trizainyl)、1,3,5−トリアジニル、1−オキソイソインドリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニルおよびアザインドリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、プリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、シノリニル、カルバゾリル、ベータ−カルボリニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ベンゾイソオキサジニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クマリニル、イソクマリニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジニル−N−オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリルN−オキシド、ピリミジニルN−オキシド、ピリダジニルN−オキシド、ピラジニルN−オキシド、キノリニルN−オキシド、インドリルN−オキシド、インドリニルN−オキシド、イソキノリルN−オキシド、キナゾリニルN−オキシド、キノキサリニルN−オキシド、フタラジニルN−オキシド、イミダゾリルN−オキシド、イソオキサゾリルN−オキシド、オキサゾリルN−オキシド、チアゾリルN−オキシド、インドリジニルN−オキシド、インダゾリルN−オキシド、ベンゾチアゾリルN−オキシド、ベンズイミダゾリルN−オキシド、ピロリルN−オキシド、オキサジアゾリルN−オキシド、チアジアゾリルN−オキシド、トリアゾリルN−オキシド、テトラゾリルN−オキシド、ベンゾチオピラニルS−オキシド、ベンゾチオピラニルS,S−ジオキシドである。
【0056】
「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロシクロ」は、O、SおよびNからそれぞれ選択される1個または複数のヘテロ原子、好ましくは1から4個のヘテロ原子を含有する1個または複数の非芳香族環式基のヘテロシクロアルキル基を指している。複素環式基はさらに、1個または複数のオキソ部分で置換されている環系を包含する。限定ではないが、複素環式基の例には、アジリジニル、アゼチジニル、アゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノニル、1,4−ジオキサスピロ[4.3]オクチルおよび1,4−ジオキサスピロ[4.2]ヘプチル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS−オキシド、チオモルホリニルS,S−ジオキシド、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニルS,S−ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニルS−オキシド、テトラヒドロチエニルS,S−ジオキシド、ホモチオモルホリニルS−オキシドが包含される。
【0057】
前記で列挙した化合物に由来する前記の基は、可能であればC−結合またはN−結合していてよい。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール−1−イル(N−結合)またはピロール−3−イル(C結合)であってよい。基を指す用語はさらに、可能な互変異性体を全て内包する。
【0058】
本明細書で使用する場合、Ac=アセチル、BOC=t−ブトキシカルボニル、EDC=塩酸1,(3,ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド、CBZ=ベンジルオキシカルボニル、THF=テトラヒドロフラン、DPPP=1,3−ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン、dba=ジベンジリデンアセトン、Et=エチル、Me=メチル、n−Bu=n−ブチル;n−Hex=n−ヘキシル、DMF=ジメチルホルムアミド、DCM=ジクロロメタン、CHCL3=クロロホルム、CDCl3=ジューテロクロロホルム、TFA=トリフルオロ酢酸、ES=エレクトロスプレー、LC=液体クロマトグラフィー、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、MS=質量分析、CD3OD=ジューテロメタノール、FMOC=フルオレネイル(fluoreneyl)メチルオキシカルボニル、nBuLi=n−ブチルリチウム、MeOH=メチルアルコール、DIEA=ジイソプロピルエチルアミン、LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析およびMsCl=塩化メタンスルホニル。
【0059】
本発明のCNS状態対象は、当分野で知られている対象であり、限定ではないが、ベータ−セクレターゼに対する阻害剤が適応となる対象を包含する。
【0060】
本発明の化合物はさらに、他の薬物と、例えば、本明細書に記載されている任意のCNS状態を治療するために従来使用されているものと組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の化合物は、アルツハイマー病などの神経変性疾患を治療するためのドネペジルおよび同様の化合物と、またはうつ病を治療するための選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)および同様の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0061】
実際に、本明細書に記載されているBACEアッセイにおける本発明の化合物のIC50値は、約1ナノモルから約10マイクロモルである。
【0062】
合成APP基質を利用する無細胞BACE1阻害アッセイ
ベータ−セクレターゼが切断することができ、N−末端ビオチンを有し、Cys残基でのOregonグリーンの共有結合により蛍光性になっている合成APP基質を使用して、阻害化合物の存在下または不在下にベータ−セクレターゼ活性をアッセイする。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISYEVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。酵素(0.1ナノモル)および試験化合物(0.00002〜200マイクロモル)を、予備遮断されている低親和性黒色プレート(384ウェル)中、室温で30分間インキュベーションする。150ミリモルの基質を1ウェル当たり30マイクロリットルの最終体積になるまで加えることにより、反応物を開始する。最終アッセイ条件は、0.00002〜200マイクロモルの化合物阻害剤、0.1モルの酢酸ナトリウム(pH4.5)、150ナノモルの基質、0.1ナノモルの可溶性ベータ−セクレターゼ、0.001%のTween20および2%のDMSOである。アッセイ混合物を37℃で3時間インキュベーションし、飽和濃度の免疫純粋なストレプトアビジン(0.75マイクロモル)を加えることにより、反応物を終了させる。ストレプトアビジンと共に室温で15分間インキュベーションした後に、蛍光偏光を例えば、PerkinElmer Envision(Ex485nm/Em530nm)を使用して測定する。ベータ−セクレターゼ酵素の活性を、酵素により基質が切断されると生じる蛍光偏光の変化により検出する。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションにより、合成APP基質のベータ−セクレターゼ酵素切断の特異的阻害が証明される。
【0063】
次の方法および実施例は、限定ではないが、本発明の化合物を製造するための代表的な方法を説明している。
【0064】
剤形および量
本発明の化合物は、経口、非経口(IV、IM、デポ−IM、SQおよびデポSQ)、舌下、鼻腔内(吸入)、クモ膜下、局所または直腸で投与することができる。当業者に知られている剤形が、本発明の化合物を送達するために適している。
【0065】
治療有効量の本発明の化合物を含有する組成物を提供する。化合物を好ましくは、経口投与用の錠剤、カプセルまたはエリキシルなどの適切な医薬製剤に、または非経口投与用の無菌液剤または懸濁剤に製剤する。典型的には、前記の化合物を、当分野でよく知られている技術および手順を使用して医薬組成物に製剤する。
【0066】
本発明の化合物もしくは本発明の化合物の混合物または生理学的に許容できる塩約1から500mgを、生理学的に許容できる媒体、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香料などと配合して、認められている医薬慣行で要求される単位剤形にする。組成物または製剤中での活性物質の量は、示されている範囲の適切な用量が得られるような量である。組成物を好ましくは、各用量が活性成分約2から約100mg、さらに好ましくは約10から約30mgを含有する単位剤形に製剤する。「単位剤形」との用語は、ヒト対象または他の哺乳動物のための単位用量として適している物理的に別々の単位を指しており、各単位は、適切な医薬賦形剤と関連して所望の治療効果をもたらすように算出され予め決定された量の活性物質を含有する。
【0067】
組成物を調製するために、1種または複数の本発明の化合物を適切な薬学的に許容できる担体と混合する。化合物を混合または添加すると生じる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであってよい。リポソーム懸濁液も、薬学的に許容できる担体として適切でありうる。これらは、当業者に知られている方法に従い調製することができる。生じる混合物の形態は、意図される投与様式および選択された担体または媒体への化合物の可溶性を包含するいくつかのファクターに左右される。有効な濃度は、治療される疾患、障害または状態の少なくとも1つの症状を低減または緩和するために十分であり、経験的に決定することができる。
【0068】
本明細書で提供される化合物を投与するために適している医薬担体または媒体には、特定の投与様式に適していると当業者に知られている任意の担体が包含される。加えて、活性物質を、所望の作用を損なわない他の活性物質と、または所望の作用を補足するか、他の作用を有する物質と混合することもできる。化合物を、組成物中唯一の薬学的活性成分として製剤することもできるし、他の活性成分と組み合わせることもできる。
【0069】
化合物が不十分な溶解性を示す場合、可溶化するための方法を使用することもできる。このような方法は知られており、これらに限られないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの補助溶媒の使用、Tween(登録商標)などの界面活性剤の使用および炭酸水素ナトリウム水溶液への溶解が包含される。塩またはプロドラッグなどの化合物の誘導体を、有効な医薬組成物を製剤する際に使用することもできる。
【0070】
化合物の濃度は、投与すると、化合物がそのために投与される障害の少なくとも1つの症状を低減または緩和する量を送達するために有効である。典型的には、組成物を単一用量投与のために製剤する。
【0071】
本発明の化合物を、体からの迅速な排泄に対して本発明の化合物を保護する時間放出製剤またはコーティングなどの担体と共に調製することができる。このような担体には、これらに限られないが、マイクロカプセル化送達系などの制御放出製剤が包含される。活性化合物は、治療される患者に対して望ましくない副作用なしに、治療的に有用な作用を発揮するのに十分な量で、薬学的に許容できる担体中に包含される。治療有効濃度は、治療される障害に関して知られているin vitroおよびin vivoモデル系で化合物を試験することにより、経験的に決定することができる。
【0072】
本発明の化合物および組成物を、多回または単回用量容器に密封することができる。密封された化合物および組成物を、例えば、使用のために組み立てることができる構成部品を包含するキットで提供することができる。例えば、凍結乾燥された形態の化合物阻害剤および適切な希釈剤を、使用前に組み合わせるための別々の構成部品として提供することができる。キットは、化合物阻害剤および第2の治療剤を同時投与するために包含してもよい。阻害剤および第2の治療剤を、別々の構成部品として提供することができる。キットは、複数の容器を包含してよく、各容器は、本発明の化合物の1つまたは複数の単位用量を保持している。容器を好ましくは、これらに限られないが、経口投与のための錠剤、ゲルカプセル、持続放出カプセルなど、非経口投与のためのデポー製品、予備充填シリンジ、アンプル、バイアルなどおよび局所投与のためのパッチ、メディパッド、クリームなどを包含する所望の投与様式に適合させる。
【0073】
薬物組成物中での活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化および排泄速度、投与スケジュールならびに投与される量、さらに当業者に知られている他のファクターに左右される。
【0074】
活性成分を、1回で投与することもできるし、または時間を空けて投与するためにいくつかのより小さい用量に分割することもできる。治療の正確な用量および期間は、治療される疾患の関数であり、知られている試験プロトコルを使用して経験的に、またはin vivoまたはin vitro試験データから補外することにより決定することができることは理解される。濃度および用量値は、緩和される状態の重度に伴っても変動しうることは特記すべきである。さらに、任意の特定の対象では、特定の用量計画は、個々の必要および組成物を投与しているか、組成物の投与を管理している人の専門的判断に従って経時的に調節されるべきであること、本明細書に記載の濃度範囲は、例に過ぎず、請求されている組成物の範囲または実施を制限する意図はないことは理解されるべきである。
【0075】
経口投与が望ましい場合、胃の酸性環境から化合物を保護する組成物で、化合物を提供すべきである。例えば、組成物を、その完全性を胃で維持し、腸で活性化合物を放出する腸溶コーティングで製剤することができる。組成物を、制酸剤または他のこのような成分と組み合わせて製剤することもできる。
【0076】
経口組成物は通常、不活性希釈剤または可食性担体を包含し、錠剤に圧縮するか、ゼラチンカプセルに封入することができる。経口治療投与のために、1種または複数の活性化合物を、賦形剤と混和し、錠剤、カプセルまたはトローチの形態で使用することもできる。薬学的に相容性な結合剤および補助物質が、組成物の一部として包含されていてもよい。
【0077】
錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、同様の特性の次の成分または化合物のうちのいずれかを含有することができる。これらに限られないが、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;微結晶性セルロース、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;これらに限られないがアルギン酸およびコーンスターチなどの崩壊剤;これらに限られないが、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;これらに限られないが、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤およびペパーミント、サリチル酸メチルまたは果実香料などの香料。
【0078】
投与単位形態がカプセルである場合、これは、前記のタイプの物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を変更する様々な他の物質、例えば、糖および他の腸溶剤のコーティングを含有してもよい。化合物をさらに、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウェハ、チューイングガムなどの成分として投与することもできる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味料としてのスクロースおよびある種の防腐剤、染料および着色剤ならびに香料を含有してもよい。
【0079】
活性物質を、所望の作用を損なわない他の活性物質と、または所望の作用を補足する物質と混合することもできる。
【0080】
非経口、皮内、皮下または局所適用で使用される液剤または懸濁剤は、任意の次の成分を含有することができる。注射のための水などの無菌希釈剤、食塩水、固定油、ゴマ油、ココナッツ油、落花生油、綿実油などの天然に生じる植物油またはオレイン酸エチルなどの合成脂肪媒体、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩などの緩衝剤;ならびに塩化ナトリウムおよびデキストロースなどの張性を調節するための薬剤。非経口製剤を、ガラス、プラスチックまたは他の適切な材料から製造されたアンプル、使い捨てシリンジまたは多回投与用バイアルに封入することができる。緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤などを、必要ならば混和することができる。
【0081】
静脈内投与する場合、適切な担体には、生理食塩水、リン酸緩衝溶液(PBS)ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が包含される。組織をターゲットとするリポソームを包含するリポソーム懸濁剤も、薬学的に許容できる担体として適しうる。これらは、例えば米国特許第4522811号明細書に記載されているような知られている方法に従い調製することができる。
【0082】
活性化合物は、該化合物を体からの迅速な排出に対して保護する時間放出製剤またはコーティングなどの担体と共に調製することができる。このような担体には、これらに限られないが、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系ならびにコラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性生体親和性ポリマーなどの制御放出製剤が包含される。このような製剤を調製する方法は、当業者に知られている。
【0083】
本発明の化合物は、経口、非経口(IV、IM、デポ−IM、SQおよびデポ−SQ)、舌下、鼻腔内(吸入)、クモ膜下、局所または直腸で投与することができる。当業者に知られている剤形が、本発明の化合物を送達するために適している。
【0084】
本発明の化合物は、腸内または非経口で投与することができる。経口投与する場合には、本発明の化合物を、当業者によく知られているような経口投与のための通常の剤形で投与することができる。これらの剤形には、錠剤およびカプセルの通常の固体単位剤形、さらに、液剤、懸濁剤およびエリキシルなどの液体剤形が包含される。固体剤形を使用する場合、これらが持続放出型であって、本発明の化合物を1日1回または2回のみ投与すればよいようにすることが好ましい。
【0085】
経口剤形を患者に、1日1、2、3または4回投与する。本発明の化合物を、1日3回以下、さらに好ましくは1回または2回投与することが好ましい。したがって、本発明の化合物を経口剤形で投与することが好ましい。どのような経口剤形を使用する場合でも、本発明の化合物を胃の酸性環境から保護するように設計することが好ましい。腸溶コーティング錠剤が、当業者にはよく知られている。加えて、酸性の胃から保護するようにそれぞれコーティングされている小さな球体を充填されたカプセルも、当業者にはよく知られている。
【0086】
経口投与する場合、ベータ−セクレターゼ活性を阻害するか、Aベータ産生を阻害するか、Aベータ沈着を阻害するか、ADを治療または予防するために治療的に有効な投与量は、約0.1mg/日から約1000mg/日である。経口用量が、約1mg/日から約100mg/日であることが好ましい。経口用量が約5mg/日から約50mg/日であることがさらに好ましい。患者は1回用量で始めることができる一方で、患者の状態が変化するにつれて、用量を経時的に変化させることができることを理解されたい。
【0087】
本発明の化合物はさらに、ナノ結晶分散製剤で有利に送達することもできる。このような製剤の調製は例えば、米国特許第5145684号明細書に記載されている。HIVプロテアーゼ阻害剤のナノ結晶分散物およびその使用法が、米国特許第6045829号明細書に記載されている。ナノ結晶製剤は典型的には、薬物化合物のより大きな生物学的利用率をもたらす。
【0088】
本発明の化合物は、非経口で、例えばIV、IM、デポ−IM、SCまたはデポ−SCで投与することができる。非経口で投与する場合、約0.5から約100mg/日、好ましくは1日約5から約50mgの治療有効量を送達すべきである。1カ月に1回または2週ごとに1回、注射するためにデポー製剤を使用する場合、用量は、約0.5mg/日から約50mg/日または約15mgから約1500mgの1カ月用量であるべきである。一部では、アルツハイマー病を伴う患者の健忘性により、非経口剤形は、デポー製剤であることが好ましい。
【0089】
本発明の化合物は、舌下で投与することができる。舌下で与える場合、本発明の化合物を、IM投与のために前記された量で1日1回から4回与えるべきである。
【0090】
本発明の化合物は、鼻腔内投与することができる。この経路で与える場合、適切な剤形は、当業者に知られている鼻噴霧または乾燥粉末である。鼻腔内投与するための本発明の化合物の用量は、IM投与のために前記された量である。
【0091】
本発明の化合物は、クモ膜下で投与することができる。この経路で与える場合、適切な剤形は、当業者に知られている非経口剤形であってよい。クモ膜下投与するための本発明の化合物の用量は、IM投与のために前記された量である。
【0092】
本発明の化合物は、局所投与することができる。この経路で与える場合、適切な剤形は、クリーム、軟膏またはパッチである。投与される本発明の化合物の量により、パッチが好ましい。局所投与する場合、用量は、約0.5mg/日から約200mg/日である。パッチにより送達することができる量は限られるので、2個以上のパッチを使用してもよい。パッチの数およびサイズは重要ではなく、当業者には知られているように、治療有効量の本発明の化合物が、送達されることが重要である。本発明の化合物は、当業者に知られているように、坐剤により直腸で投与することができる。坐剤により投与する場合、治療有効量は、約0.5mgから約500mgである。
【0093】
本発明の化合物は、当業者に知られているように、インプラントにより投与することもできる。本発明の化合物をインプラントにより投与する場合、治療有効量は、デポー投与のために前記した量である。
【0094】
特定の本発明の化合物および所望の剤形を与える場合、当業者であれば、適切な剤形を調製および投与する方法を知っているであろう。
【0095】
本発明の化合物は、前記と同様に、同様の投与経路により、同様の医薬剤形を使用して、同様の投与スケジュールで、疾患を予防するか、MCI(軽度認識障害)を伴う患者を治療するか、MCIからADへと進行するであろう患者においてアルツハイマー病の発症を予防または遅延させるか、ダウン症候群を治療または予防するか、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血を有するヒトを治療するか、脳アミロイド血管障害を治療し、その起こりうる結果、すなわち単発性および再発性葉性出血を予防するか、血管性および変性性の混合由来の認知症、パーキンソン病に随伴する認知症、進行性核上性麻痺に随伴する認知症、皮質基底変性に随伴する認知症を包含する他の変性性認知症および汎発性レーヴィ小体型アルツハイマー病を治療するために使用される。
【0096】
本発明の化合物は、相互に、または前記で列挙された状態を治療または予防するために使用される他の治療剤もしくは手法と組み合わせて使用することができる。このような薬剤または手法には、タクリン(テトラヒドロアミノアクリジン、COGNEX(登録商標)として市販)、塩酸ドネペジル(Aricept(登録商標)として市販、リバスチグミン(Exelon(登録商標)として市販)などのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ガンマ−セクレターゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼII阻害剤などの抗炎症剤、ビタミンEおよびギンコリドなどの抗酸化剤、例えば、Aベータペプチドでの免疫化または抗Aベータペプチド抗体の投与などの免疫学的手法、スタチンならびにCerebrolysin(登録商標)、AIT−082(Emilleu、2000、Arch.Neurol.57:454)などの直接的または間接的神経向性薬剤および将来の他の神経向性薬剤が包含される。
【0097】
加えて、式(I)の化合物は、P−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤と共に使用することもできる。P−gp阻害剤およびそのような化合物の使用は、当業者に知られている。例えば、Cancer Research、53、4595〜4602(1993年)、Clin.Cancer Res.、2、7〜12(1996年)、Cancer Research、58、4171〜4179(1996年)、国際公開第99/64001号パンフレットおよび国際公開第01/10387号パンフレット参照。重要なことは、P−gp阻害剤の血中濃度は、P−gpが式(A)の化合物の脳血中濃度を低下させることを阻害する際にその効果を発揮するようなレベルであることである。このために、P−gp阻害剤および式(A)の化合物を、同じまたは異なる投与経路で同時に、または別々の時間に投与することができる。重要なことは、投与時間ではなく、P−gp阻害剤の有効な血中濃度を得ることである。
【0098】
適切なP−gp阻害剤には、シクロスポリンA、ベラパミル、タモキシフェン、キニジン、ビタミンE−TGPS、リトナビル、酢酸メゲストロール、プロゲステロン、ラパマイシン、10,11−メタノジベンゾスベラン(methanodibenzosuberane)、フェノチアジン、GF120918、FK506、VX−710、LY335979、PSC−833、GF−102918および他のステロイドなどのアクリジン誘導体が包含される。追加的な薬剤は、同じ機能を有し、したがって同じ結果を達成することが判明するであろうし、このような化合物も、有用と考えられることを理解されたい。
【0099】
P−gp阻害剤は、経口、非経口(IV、IM、IM−デポ、SQ、SQ−デポ)、局所、舌下、直腸、鼻腔内、クモ膜下で、およびインプラントにより投与することができる。
【0100】
P−gp阻害剤の治療有効量は、約0.1から約300mg/kg/日、好ましくは1日当たり約0.1から約150mg/kgである。患者は1回用量で始めることができる一方で、患者の状態が変化するにつれて、用量を経時的に変化させなければならないことがあることを理解されたい。
【0101】
経口投与する場合には、P−gp阻害剤を、当業者に知られているような経口投与のための通常の剤形で投与することができる。これらの剤形には、錠剤およびカプセルの通常の固体単位剤形、さらに、液剤、懸濁剤およびエリキシルなどの液体剤形が包含される。固体剤形を使用する場合、これらが持続放出型であって、P−gp阻害剤を1日1回または2回のみ投与すればよいようにすることが好ましい。経口剤形を患者に、1日1から4回投与する。P−gp阻害剤を、1日3回以下、さらに好ましくは1日1回または2回投与することが好ましい。したがって、P−gp阻害剤を固体剤形で投与することが好ましく、さらに、固体剤形が1日1回または2回投与を可能にする持続放出形態であることが好ましい。どのような剤形を使用する場合でも、P−gp阻害剤を胃の酸性環境から保護するように設計することが好ましい。腸溶コーティング錠剤は、当業者にはよく知られている。加えて、酸性の胃から保護するようにそれぞれコーティングされている小さな球体を充填されたカプセルも、当業者にはよく知られている。
【0102】
加えて、P−gp阻害剤は、非経口で投与することができる。非経口で投与する場合、IV、IM、デポ−IM、SQまたはデポ−SQで投与することができる。
【0103】
P−gp阻害剤は、舌下で投与することができる。舌下で与える場合、P−gp阻害剤は、IM投与に関してと同じ量で1日1回から4回与えるべきである。
【0104】
P−gp阻害剤は、鼻腔内投与することができる。この投与経路で与える場合、適切な剤形は、当業者に知られている鼻噴霧または乾燥粉末である。鼻腔内投与するためのP−gp阻害剤の用量は、IM投与に関してと同じである。
【0105】
P−gp阻害剤は、クモ膜下で投与することができる。この投与経路で与える場合、適切な剤形は、当業者に知られている非経口剤形であってよい。
【0106】
P−gp阻害剤は、局所投与することができる。この投与経路で与える場合、適切な剤形は、クリーム、軟膏またはパッチである。投与する必要のあるP−gp阻害剤の量のため、パッチが好ましい。しかしながら、パッチにより送達することができる量は限られている。したがって、2個以上のパッチが必要なこともある。パッチの数およびサイズは重要ではなく、当業者には知られているように、重要なことは、治療有効量のP−gp阻害剤が、送達されることである。
【0107】
P−gp阻害剤は、当業者に知られているように、坐剤により直腸で投与することができる。
【0108】
P−gp阻害剤は、当業者に知られているように、インプラントにより投与することができる。
【0109】
P−gp阻害剤を投与するための投与経路、さらに剤形について新規なことは何もない。特定のP−gp阻害剤および所望の剤形を与える場合、当業者であれば、P−gp阻害剤のための適切な剤形を調製する方法を知っているであろう。
【0110】
正確な用量および投与頻度は、当業者である投与医師によく知られているように、投与される特定の本発明の化合物、治療される特定の状態、治療される状態の重度、特定の患者の年齢、体重、全身の身体的状態および個人が摂取しているかもしれない他の医薬品に左右されることは、当業者には明らかなはずである。
【0111】
APP切断の阻害
本発明の化合物は一般に、APP695アイソフォームまたはその変異体でナンバリングされたMet595とAsp596の間での、またはAPP751もしくはAPP770またはそれらの変異体などの異なるアイソフォームの対応する部位(場合によって「ベータ−セクレターゼ部位」と称される)でのAPPの切断を阻害する。特定の理論に結びつけることは望まないが、ベータ−セクレターゼ活性の阻害は、ベータアミロイドペプチド(Aベータ)の産生を阻害すると考えられる。ベータ−セクレターゼ酵素の存在下でのAPP基質の切断を、阻害化合物の存在下に、ベータ−セクレターゼ切断部位での切断をもたらすのに通常は十分な条件下に分析することによる様々な阻害アッセイのうちのいずれかで、阻害活性は証明される。未治療または不活性対照と比較してのベータ−セクレターゼ切断部位でのAPP切断の低減は、阻害活性と関係している。本発明の化合物阻害剤の効力を証明するために使用することができるアッセイ系は知られている。
【0112】
天然、突然変異および/または合成APP基質、天然、突然変異および/または合成酵素ならびに試験化合物を使用して、ベータ−セクレターゼの酵素活性およびAベータの産生をin vitroまたはin vivoで分析することができる。分析は、天然、突然変異および/または合成APPおよび酵素を発現する一次細胞または二次細胞、天然APPおよび酵素を発現する動物モデルを必要としてもよいし、基質および酵素を発現するトランスジェニック動物モデルを利用してもよい。酵素活性の検出は、例えばイムノアッセイ、蛍光もしくは色素アッセイ、HPLCまたは他の検出手段により1種または複数の切断産物を分析することによってよい。反応系でのベータ−セクレターゼを介して切断が、阻害化合物の不在下に観察および測定される対照と比較して、産生されるベータ−セクレターゼ切断産物の量を減らすことができるものとして、阻害化合物は決定される。
【0113】
ベータ−セクレターゼ
ベータ−セクレターゼ酵素の様々な形態が知られていて、酵素活性のアッセイおよび酵素活性の阻害に利用可能かつ有用である。これらには、酵素の天然、組換えおよび合成形態が包含される。ヒトベータ−セクレターゼは、ベータ部位APP切断酵素(BACE)、Asp2およびメマプシン2として知られており、例えば、PCT特許公開国際公開第01/23533号パンフレットおよび国際公開第00/17369号パンフレットにおいて、さらに文献刊行物(Hussainら、1999年、Mol.Cell.Neurosci.14:419〜427;Vassarら、1999年、Science 286:735〜741;Yanら、1999年、Nature 402:533〜537;Sinhaら、1999年、Nature 40:537〜540;およびLinら、2000年、PNAS USA 97:1456〜1460)において特徴づけられている。酵素の合成形態も、記載されている(国際公開第00/17369号パンフレット)。ベータ−セクレターゼは、ヒト脳組織から抽出および精製することができ、細胞、例えば組換え酵素を発現する哺乳動物細胞で製造することができる。
【0114】
APP基質
APPのベータ−セクレターゼを介して切断の阻害を証明するアッセイは、任意の知られている形態のAPPを利用することができ、Kangら(1987年、Nature 325:733〜6)により記載された695アミノ酸「通常」アイソタイプ、キタグチら(1981年、Nature 331:530〜532)により記載された770アミノ酸アイソタイプおよびスウェーデン突然変異(KM870−1NL)(APP−SW)、ロンドン突然変異(V7176F)などの変異体が含まれる。例えば、知られている変異体突然変異の総説に関しては、Hardy、1992年、Nature Genet.1:233〜234参照。追加的な有用な基質には、例えば国際公開第00/17369号パンフレットに開示されている二塩基性アミノ酸修飾、APP−KK、APPの断片およびベータ−セクレターゼ切断部位を含有する合成ペプチド、野生型(WT)または突然変異形態例えばSWが包含される。
【0115】
APP基質は、APPのベータ−セクレターゼ切断部位(KM−DAまたはNL−DA)、例えば、完全APPペプチドまたは変異体、APP断片、組換えもしくは合成APPまたは融合ペプチドを含有する。好ましくは、融合ペプチドには、酵素アッセイに有用な部分を有する、例えば単離および/または検出特性を有するペプチドに融合しているベータ−セクレターゼ切断部位が包含される。有用な部分は、抗体結合のための抗原エピトープ、標識または他の検出部分、結合基質などであってよい。
【0116】
抗体
APP切断に特徴的な産物を、例えばPirttilaら、1999年、Neuro.Lett.249:21〜4に記載されている様々な抗体を使用するイムノアッセイにより測定することができる。Aベータを検出するために有用な抗体には例えば、Aベータペプチドのアミノ酸1〜16上のエピトープを特異的に認識するモノクローナル抗体6E10(Senetek、St.Louis、MO);ヒトAベータ1〜40および1〜42に対してそれぞれ特異的な抗体162および164(New York State Institute for Basic Research、Staten Island、NY)ならびに米国特許第5593846号明細書に記載されているベータ−アミロイドペプチドの接合領域、残基16および17の間の部位を認識する抗体が包含される。APPの残基591から596の合成ペプチドに対して上昇する抗体およびスウェーデン突然変異の590〜596に対して上昇するSW192抗体も、APPおよびその切断産物のイムノアッセイにおいて有用である。
【0117】
アッセイ系
ベータ−セクレターゼ切断部位でのAPP切断を決定するためのアッセイは、当分野でよく知られている。例示的なアッセイが例えば、米国特許第5744346号明細書および同第5942400号明細書に記載されており、下記実施例において記載される。
【0118】
無細胞アッセイ
本発明の化合物の阻害活性を証明するために使用することができる例示的アッセイが例えば、国際公開第00/17369号パンフレットに記載されている。このようなアッセイは、無細胞インキュベーションで、またはベータ−セクレターゼおよびベータ−セクレターゼ切断部位を有するAPP基質を発現する細胞を使用する細胞インキュベーションで行うことができる。
【0119】
APPのベータ−セクレターゼ切断部位を含有するAPP基質、例えば完全APPもしくは変異体、APP断片またはアミノ酸配列KM−DAもしくはNL−DAを含有する組換えもしくは合成APP基質を、ベータ−セクレターゼ活性を有し、APPのベータ−セクレターゼ切断部位を切断するために有効なベータ−セクレターゼ酵素、その断片または合成もしくは組換えポリペプチド変異体の存在下に、酵素の切断活性に適したインキュベーション条件下にインキュベーションする。適切な基質は、ペプチドまたはそのベータ−セクレターゼ切断産物の精製または検出を容易にするために有用な基質ペプチドおよび修飾を含有する融合タンパク質またはペプチドであってよい誘導体を任意選択で包含する。有用な修飾には、抗体結合が知られている抗原エピトープの挿入;標識または検出可能な部分の結合、結合基質の結合などが包含される。
【0120】
無細胞in vitroアッセイのために適したインキュベーション条件には例えば、水溶液中、約pH4〜7、約37℃、約10分から3時間の期間での約200ナノモルから10マイクロモルの基質、約10から200ピコモルの酵素および約0.1ナノモルから10マイクロモルの阻害剤化合物が包含される。これらのインキュベーション条件は例示に過ぎず、特定のアッセイ成分および/または所望の測定系のために必要に応じて変動させることができる。特定のアッセイ成分のためのインキュベーション条件の最適化は、使用される特異的なベータ−セクレターゼ酵素およびその最適なpH、任意の追加的酵素および/またはアッセイで使用されうるマーカーなどを根拠とすべきである。このような最適化は、日常的であり、過度の実験を必要としない。
【0121】
1つの有用なアッセイは、APP−SWのC末端125アミノ酸に融合しているマルトース結合タンパク質(MBP)を有する融合ペプチドを利用する。MBP部分は、抗MBP捕捉抗体によりアッセイ基質に捕捉されている。ベータ−セクレターゼの存在下での捕捉融合タンパク質のインキュベーションは、ベータ−セクレターゼ切断部位での基質の切断をもたらす。切断活性の分析は例えば、切断産物のイムノアッセイによってよい。このようなイムノアッセイの1つは、例えば抗体SW192を使用して、切断された融合タンパク質のカルボキシ末端にさらされている独特なエピトープを検出する。
【0122】
細胞アッセイ
数多くの細胞ベースのアッセイを使用して、Aベータを放出するベータ−セクレターゼ活性および/またはAPPのプロセシングを分析することができる。細胞内および本発明の化合物阻害剤の存在または不在下でのAPP基質とベータ−セクレターゼ酵素の接触を使用して、化合物のベータ−セクレターゼ阻害活性を証明することができる。好ましくは、有用な阻害化合物の存在下でのアッセイは、非阻害対照と比較して、酵素活性の少なくとも約30%、最も好ましくは少なくとも約50%の阻害をもたらす。
【0123】
一実施形態では、ベータ−セクレターゼを天然に発現する細胞を使用する。別法では、前記で検討した組換えベータ−セクレターゼまたは合成変異体酵素を発現するように、細胞を修飾する。APP基質を、培地に加えることもできるが、好ましくは、細胞中で発現させる。APP、APPの変異体もしくは突然変異体を天然に発現する細胞またはAPPのアイソフォーム、変異体もしくは突然変異体APP、組換えもしくは合成APP、APP断片もしくはベータ−セクレターゼAPP切断部位を含有する合成APPペプチドもしくは融合タンパク質を発現するように形質転換された細胞を使用することができるが、ただし、発現されるAPPが、酵素と接触することができ、酵素切断活性を分析することができることを条件とする。
【0124】
APPからAベータを通常プロセシングするヒト細胞系は、本発明の化合物の阻害活性をアッセイするための有用な手段を提供する。培地へのAベータおよび/または他の切断産物の産生および放出は、例えば、ウェスタンブロットなどのイムノアッセイまたはELISAなどによる酵素結合イムノアッセイ(EIA)により測定することができる。
【0125】
APP基質および活性ベータ−セクレターゼを発現する細胞を、化合物阻害剤の存在下にインキュベーションして、対照と比較しての酵素活性の阻害を証明することができる。ベータ−セクレターゼの活性は、APP基質の1種または複数の切断産物の分析により測定することができる。例えば、基質APPに対するベータ−セクレターゼ活性の阻害は、Aベータなどの特異的ベータ−セクレターゼ誘発APP切断産物の放出を低減すると予測される。
【0126】
天然および非天然細胞の両方とも、Aベータをプロセシングおよび放出するが、内因性ベータ−セクレターゼ活性のレベルは低く、往々にして、EIAによる検出が困難である。したがって、強化されたベータ−セクレターゼ活性、APPからAベータへの強化されたプロセシングおよび/またはAベータの強化された産生を有することが知られている細胞タイプを使用することが好ましい。例えば、APPのスウェーデン変異体形態(APP−SW)、APP−KKまたはAPP−SW−KKでの細胞の形質移入は、強化されたベータ−セクレターゼ活性を有し、容易に測定することができる量のAベータを産生する細胞をもたらす。
【0127】
このようなアッセイでは例えば、APPおよびベータ−セクレターゼを発現する細胞を、培地中、APP基質上のその切断部位でのベータ−セクレターゼ酵素活性に適している条件下にインキュベーションする。細胞を化合物阻害剤にさらすと、培地に放出されるAベータの量および/または細胞溶解産物中でのAPPのCTF99断片の量が、対照と比較して低減される。APPの切断産物は例えば、前記で検討したように特異的抗体との免疫反応により分析することができる。
【0128】
ベータ−セクレターゼ活性を分析するために好ましい細胞には、一次ヒトニューロン細胞、導入遺伝子がAPPである一次トランスジェニック動物ニューロン細胞およびAPP、例えばAPP−SWを発現する安定な293細胞系の細胞などの他の細胞が包含される。
【0129】
in vivoアッセイ:動物モデル
様々な動物モデルを使用して、前記のようにAベータを放出するベータ−セクレターゼ活性および/またはAPPのプロセシングを分析することができる。例えば、APP基質およびベータ−セクレターゼ酵素を発現するトランスジェニック動物を使用して、本発明の化合物の阻害活性を証明することができる。ある種のトランスジェニック動物モデルは、例えば米国特許第5877399号明細書、同第5612486号明細書、同第5387742号明細書、同第5720936号明細書、同第5850003号明細書、同第5877015号明細書および同第5811633号明細書ならびにGanesら、1995年、Nature 373:523に記載されている。ADの病態生理に随伴する特徴を示す動物が好ましい。本明細書に記載されているトランスジェニックマウスに本発明の化合物阻害剤を投与すると、化合物の阻害活性を証明するための別法が得られる。薬学的に有効な担体中、ターゲット組織に達する投与経路を介して、適切な治療量で化合物を投与することも好ましい。
【0130】
ベータ−セクレターゼ切断部位でのAPPのベータ−セクレターゼを介して切断およびAベータ放出の阻害を、これらの動物で、脳脊髄液などの動物の体液または組織中の切断断片を測定することにより分析することができる。Aベータ沈着物またはプラークに関する脳組織の分析が好ましい。
【0131】
本発明の阻害化合物の存在下、APPの酵素を介して切断および/または基質からのAベータの放出を可能にするのに十分な条件下にAPP基質とベータ−セクレターゼ酵素を接触させると、本発明の化合物は、ベータ−セクレターゼ切断部位でのAPPのベータ−セクレターゼを介して切断を低減するために有効であり、および/またはAベータの放出量を低減するために有効である。このような接触が、例えば前記のような動物モデルへの本発明の阻害化合物の投与である場合、化合物は、動物の脳組織へのAベータ沈着を低減し、ベータアミロイドプラークの数および/またはサイズを低減するために有効である。このような投与がヒト対象に対してである場合、化合物は、Aベータの高い量により特徴づけられる疾患の進行を阻害または遅延させ、患者でのADの進行を遅延させ、および/または疾患のリスクを有する患者でのADの発症または進展を予防するのに有効である。
【0132】
他に定義されていない限り、本明細書で使用される科学および技術用語は全て、本発明が属する分野の当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有する。本明細書に挙げられている特許および刊行物は全て、あらゆる目的のために参照により援用される。
【0133】
本明細書に挙げられている特許および刊行物は全て、あらゆる目的のために参照により援用される。
【0134】
構造は、Advanced Chemical Development,Inc.(90 Adelaide Street West、Toronto、Ontario、M5H 3V9、カナダ)から購入可能なName Pro IUPAC Naming Software、バージョン5.09を使用して名付けた。
【0135】
次の実施例は、本発明の具体的な実施形態を表示することを意図するものであり、本発明の範囲の制限として意図されていない。
【実施例】
【0136】
生物学的実施例
(実施例A)
合成APP基質を利用する無細胞阻害アッセイ
ベータ−セクレターゼによって切断することができ、N−末端のビオチンを有し、Cys残基でのOregonグリーンの共有結合によって蛍光性になっている合成APP基質を、本発明の阻害化合物の存在下および不在下でのベータ−セクレターゼ活性をアッセイするために使用する。有用な基質には、
ビオチン−SEVNL−DAEFRC[オレゴングリーン]KK[配列番号1]、
ビオチン−SEVKM−DAEFRC[オレゴングリーン]KK[配列番号2]、
ビオチン−GLNIKTEEISEISY−EVEFRC[オレゴングリーン]KK[配列番号3]、
ビオチン−ADRGLTTRPGSGLTNIKTEEISEVNL−DAEFRC[オレゴングリーン]KK[配列番号4]、
ビオチン−FVNQHLCoxGSHLVEALY−LVCoxGERGFFYTPKAC[オレゴングリーン]KK[配列番号5]
が包含される。
【0137】
酵素(0.1ナノモル)および試験化合物(0.001〜100マイクロモル)を予備遮断された低親和性黒色プレート(384ウェル)中、37℃で30分間インキュベーションする。1ウェル当たり30マイクロリットルの最終体積まで150ミリモルの基質を加えることによって、反応物を開始する。最終アッセイ条件は、0.001〜100マイクロモルの化合物阻害剤、0.1モルの酢酸ナトリウム(pH4.5)、150ナノモルの基質、0.1ナノモルの可溶性ベータ−セクレターゼ、0.001%のTween20および2%のDMSOである。アッセイ混合物を37℃で3時間インキュベーションし、反応物を、飽和性濃度の免疫的に純粋なストレプトアビジンを加えることにより停止させる。ストレプトアビジンと共に室温で15分間インキュベーションした後、例えばLJL Acqurest(Ex485nm/Em530nm)を使用して蛍光偏光を測定する。ベータ−セクレターゼ酵素の活性を、基質が酵素によって切断されると生じる蛍光偏光の変化により検出する。化合物阻害剤の存在下または不在下のインキュベーションにより、合成APP基質のベータ−セクレターゼ酵素切断の特異的阻害が証明される。このアッセイで、本発明の好ましい化合物は、50マイクロモル未満のIC50を示す。本発明のさらに好ましい化合物は、10マイクロモル未満のIC50を示す。本発明のさらにいっそう好ましい化合物は、5マイクロモル未満のIC50を示す。
【0138】
(実施例B)
ベータ−セクレターゼ阻害:P26−P4’SWアッセイ
APPのベータ−セクレターゼ切断部位を含有する合成基質を使用して、例えば公開されているPCT出願国際公開第00/47618号パンフレットに記載されている方法を使用して、ベータ−セクレターゼ活性をアッセイする。P26−P4’SW基質は、配列:
(ビオチン)CGGADRGLTTRPGSGLTNIKTEEISEVNLDAEF[配列番号6]
のペプチドであり、
P26−P1標準は、配列:
(ビオチン)CGGADRGLTTRPGSGLTNIKTEEISEVNL[配列番号7]
を有する。
【0139】
簡略には、ビオチン結合合成基質を、このアッセイでは約0から約200マイクロモルの濃度でインキュベーションする。阻害化合物を試験する場合、約1.0マイクロモルの基質濃度が好ましい。DMSO中で希釈された試験化合物を反応混合物に、5%の最終DMSO濃度で加える。対照も、5%の最終DMSO濃度を含有する。反応でのベータ−セクレターゼ酵素の濃度を変えて、希釈の後に、ELISAアッセイの直線範囲を伴う生成物濃度、約125から2000ピコモルを得る。
【0140】
反応混合物はさらに、20ミリモルの酢酸ナトリウム(pH4.5)、0.06%のTritonX100を包含し、これを37℃で約1から3時間インキュベーションする。次いで、試料をアッセイ緩衝液(例えば、145.4ナノモルの塩化ナトリウム、9.51ミリモルのリン酸ナトリウム、7.7ミリモルのアジ化ナトリウム、0.05%のTritonX405、6g/リットルのウシ血清アルブミン、pH7.4)で希釈して、反応物をクエンチし、次いで、切断産物をイムノアッセイするためにさらに希釈する。
【0141】
切断産物はELISAによりアッセイすることができる。希釈された試料および標準を、捕捉抗体、例えばSW192をコーティングされているアッセイプレート中、4℃で約24時間インキュベーションする。TTBS緩衝液(150ミリモルの塩化ナトリウム、25ミリモルのTris、0.05%のTween20、pH7.5)中で洗浄した後に、試料を、ストレプトアビジン−APと共に製造者の指示に従いインキュベーションする。室温で1時間インキュベーションした後に、試料をTTBS中で洗浄し、蛍光基質溶液A(31.2g/リットルの2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、30mg/リットル、pH9.5)と共にインキュベーションする。ストレプトアビジン−アルカリ性リン酸塩との反応により、蛍光による検出が可能になる。ベータ−セクレターゼ活性の有効な阻害剤である化合物は、対照と比較して、基質の切断の低減を証明する。
【0142】
(実施例C)
合成オリゴペプチド−基質を使用するアッセイ
ベータ−セクレターゼの知られている切断部位および任意選択で、蛍光または色素部分などの検出可能なタグが導入されている合成オリゴペプチドを調製する。このようなペプチドの例、さらにその製造および検出方法は、参照により本明細書に援用される米国特許第5942400号明細書に記載されている。切断産物は、当業者によく知られている方法に従い、検出されるペプチドに適した高速液体クロマトグラフィーまたは蛍光もしくは色素検出方法を使用して検出することができる。
【0143】
例えば、このようなペプチドの1種は、配列SEVNL−DAEF[配列番号8]を有し、切断部位は、残基5と8の間である。他の好ましい基質は、配列ADRGLTTRPGSGLTNIKTEEISEVNL−DAEF[配列番号9]を有し、切断部位は、残基26と27の間である。
【0144】
これらの合成APP基質を、ベータ−セクレターゼの存在下、基質のベータ−セクレターゼを介して切断をもたらすのに十分な条件下に、インキュベーションする。化合物阻害剤の存在下での切断結果と対照結果とを比較すると、化合物の阻害活性の測定が得られる。
【0145】
(実施例D)
ベータ−セクレターゼ活性の阻害−細胞アッセイ
ベータ−セクレターゼ活性の阻害を分析するための例示的アッセイは、米国特許第5604102号明細書に記載されているスウェーデン突然変異と一般に称され、Aベータの過剰産生が判明している(Citronら、1992年、Nature 360:672〜674)、Lys651Met52からAsn651Leu652への天然に生じる二重突然変異(APP751でナンバリング)を含有するAPP751を形質移入されているヒト胚腎臓細胞系HEKp293(ATCC受入番号CRL−1573)を利用する。
【0146】
細胞を、阻害化合物(DMSO中で希釈)の存在/不在下に、所望の濃度、通常は10マイクログラム/mlまでの濃度でインキュベーションする。処理期間の終了時に、ならし培地を、例えば切断断片の分析によりベータ−セクレターゼ活性に関して分析する。Aベータは、特異的検出抗体を使用して、イムノアッセイにより分析することができる。酵素活性を、化合物阻害剤の存在下および不在下に測定して、APP基質のベータ−セクレターゼを介して切断の特異的阻害を証明する。
【0147】
(実施例E)
ADの動物モデルでのベータ−セクレターゼの阻害
様々な動物モデルを使用して、ベータ−セクレターゼ活性の阻害をスクリーニングすることができる。本発明で有用な動物モデルの例には、これらに限られないが、マウス、モルモット、イヌなどが包含される。使用される動物は、野生型、トランスジェニック動物またはノックアウトモデルであってよい。加えて、哺乳動物モデルは、本明細書に記載のAPP695−SWなどのAPPにおける突然変異を発現してもよい。トランスジェニック非ヒト哺乳動物モデルの例は、米国特許第5604102号明細書、同第5912410号明細書および同第5811633号明細書に記載されている。
【0148】
Gamesら、1995年、Nature 373:523〜527に記載されているように調製されたPDAPPマウスは、推定阻害化合物の存在下でのAベータ放出のin vivo抑制を分析するために有用である。米国特許第6191166号明細書に記載されているように、4カ月齢PDAPPマウスに、トウモロコシ油などの媒体に配合されている化合物を投与する。マウスに、化合物(1〜30mg/ml;好ましくは1〜10mg/ml)を投与する。時間、例えば3〜10時間の後に、動物をと殺し、脳を分析のために取り出す。
【0149】
トランスジェニック動物に、選択された投与様式に適した担体に配合されている化合物阻害剤の量を投与する。対照動物は処置しないか、媒体で処置するか、不活性な化合物で処置する。投与は急性で、すなわち、1日での単一投与または複数回投与であってもよいし、慢性であってもよい、すなわち、投与を毎日、数日間繰り返す。0時点で開始する際に、脳組織または脳脊髄液を選択された動物から得て、Aベータを包含するAPP切断ペプチドの存在に関して、例えばAベータ検出のための特異的抗体を使用するイムノアッセイにより分析する。試験期間の終了時に、動物をと殺し、脳組織または脳脊髄液を、Aベータおよび/またはベータ−アミロイドプラークの存在に関して分析する。組織をさらに、壊死に関して分析する。
【0150】
本発明の化合物阻害剤を投与された動物は、未処置対照と比較して、脳組織または脳脊髄液におけるAベータの低減および脳組織におけるベータアミロイドプラークの低減を証明すると予測される。
【0151】
(実施例F)
ヒト患者でのAベータ産生の阻害
アルツハイマー病(AD)を患っている患者は、脳中に高い量のAベータを示す。AD患者に、選択された投与様式に適した担体に配合されている化合物阻害剤の量を投与する。投与を毎日、試験期間の間繰り返す。0日目に開始して、認識および記憶試験を例えば1カ月に1回行う。
【0152】
化合物阻害剤を投与された患者は、次の疾患パラメーターのうちの1つまたは複数の変化により分析されるように、対照の未治療患者と比較して、疾患進行の遅延または安定化を示すと予測される:CSFまたは血漿中に存在するAベータ;脳または海馬体積;脳中のAベータ沈着物;脳中のアミロイドプラーク;ならびに認識および記憶機能のスコア。
【0153】
(実施例G)
ADのリスクを有する患者でのAベータ産生の予防
ADになる素因があるか、そのリスクを有する患者は、家族性遺伝パターン、例えば、スウェーデン突然変異の存在の認識により、および/または診断パラメーターのモニタリングにより同定される。ADになる素因があるか、そのリスクを有すると同定された患者に、選択された投与様式に適した担体に配合されている化合物阻害剤の量を投与する。投与を毎日、試験期間の間繰り返す。0日目に開始して、認識および記憶試験を例えば1カ月に1回行う。
【0154】
化合物阻害剤を投与された患者は、次の疾患パラメーターのうちの1つまたは複数の変化により分析されるように、対照の未治療患者と比較して、疾患進行の遅延または安定化を示すと予測される:CSFまたは血漿中に存在するAベータ;脳または海馬体積;脳中のアミロイドプラーク;ならびに認識および記憶機能のスコア。
【0155】
本発明を、様々な具体的かつ好ましい実施形態および技術を参照しつつ記載した。しかしながら、本発明の意図および範囲内にとどまりながら、多くの変化および変更をなすことができることは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0156】
【化17】

【0157】
スキーム1に図示されているようなピペリジン阻害剤8の合成を、市販のN−カルボベンジルオキシピペリド−4−オンで開始する。アリールハロゲン化物のグリニャール試薬を、エーテル中でマグネシウム金属と反応させることにより形成し、ケトンと反応させて、第3級カルビノール1を得る。別法では、アリールリチウム試薬を、アリールハロゲン化物から金属ハロゲン交換により調製し、次いで、N−カルボベンジルオキシピペリド−4−オンの溶液に加えて、1を得る。カルビノール1を、クロロホルムおよびトリフルオロ酢酸の冷混合物中でアジ化ナトリウムと反応させることにより、アジ化物2に変換する。H.Sajikiら(J.Org.Chem.1998年、63、7990)により記載されている被毒化パラジウム触媒を使用して水素化することにより、アジ化物を第1級アミン3に選択的に還元する。第1級アミン3をキラルエポキシド4(CAS388071−27−0、Reeder,Michael R.国際公開第2002085877A2号パンフレット)と反応させて、BocおよびCbz保護されているトリアミン5を得る。化合物5を、トリフルオロ酢酸で処理することにより、tBoc脱保護する。溶媒を蒸発させると、TFA塩が得られ、これを、数当量の第3級アミン塩基の存在下にDCM中の1.0当量の無水酢酸を使用して、第1級窒素上で選択的にアセチル化して、Cbz保護されているアミン6を得る。6基のCbz保護を、接触水素化により除去して、主要中間体7を得る。7と、アルキルハロゲン化物、アリールハロゲン化物、カルボン酸、カルボン酸塩化物、カルボン酸の活性エステル、塩化スルホニル、アルデヒドなどの適切な求電子試薬との還元アミノ化の方法による反応、ケトンとの還元アミノ化の方法による反応などにより、一般に8により示される幅広い化合物を製造する。
【0158】
【化18】

【0159】
スキーム1aは、ピペリジン中間体7の後期段階誘導体化が、スキーム1においてのように実行可能でない場合に、スキーム1の置換ピペリジン化合物(8)を調製するための別の一般的手順を詳述している。したがって、化合物3の第1級アミンを、BOC基で保護して、化合物9を得て、次いで、ピペリジン窒素を、炭素に担持されているパラジウムを用いてエタノール中で水素化することにより脱保護して、化合物10を得て、これを、スキーム1に記載されている方法により、または当業者に知られている他の標準的な方法により誘導体化すると、化合物12を得ることができ、次いでこれを、スキーム1に記載されているような8タイプの化合物にする。
【0160】
【化19】

【0161】
スキーム1bは、ピペリドン阻害剤22の合成を詳述している。出発物質は、m−イソプロピルベンゾニトリル14であり、これは、市販の3−イソプロピルブロモベンゼン13から、NewmanおよびEasterbrock(Am.Chem.Soc.77、1955年、3763)の手順により合成した。ニトリル14を、YuおよびZhang(Syn.Comm.(1997年)、27(9)、1495)により記載された有機サマリウム試薬を使用するアリル求核試薬の二重付加に掛けて、第1級アミン15を得た。アミンをこの時点で精製することもできるし、これを、標準的な条件下にクロロギ酸ベンジルを使用してCbz基で保護して、中間体16を得ることもでき、次いでこれを、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。塩化メチレンおよび酢酸中、−78℃で、オゾンを用いて処理することにより、16の末端オレフィンを酸化させると、ジアルデヒド、アルデヒド酸17および二酸28の混合物が得られる。二酸28は、29〜31などのグルタルイミドベースの化合物の合成で使用することができる(スキーム1d参照)。通常、アルデヒド酸17が、主な生成物であり、これを、C18カラムを使用する分取逆相クロマトグラフィーにより単離する。17のメチルエステルの別の好ましい合成を、スキーム1cに記載する。アルデヒド酸17を直ちに、第1級アミンでの還元アミノ化に掛けて、第2級アミン酸18を得る。反応物を監視するために、LCMSを使用するが、反応後処理の間に、アミン酸18は自然に環化して、ピペリドン19になりうることを特記する。実際に、後処理生成物は、環式および生成物の両方を含有するので、精製前に、生成物の多くをピペリドンにしておくことが最良である。このことは、CHCl3などの溶媒中で15〜30分間還流することにより行うことができる。精製されたピペリドン19を、接触水素化により脱保護して、第1級アミン20にし、これをそのまま、キラルエポキシド4と反応させて、Boc保護阻害剤21をジアステレオ異性体の1:1混合物として得る。Boc基を除去し、第1級アミンをスキーム1においてのようにアセチル化して、ピペリジン4位でのジアステレオ異性体の1:1混合物である阻害剤22を得る。
【0162】
クロマトグラフィーを包含する当分野でよく知られている技術を使用して、ジアステレオ異性体を分割することができる。例には、C18カラムでの分取逆相クロマトグラフィーまたはシリカゲルカラムでの順相クロマトグラフィーが包含される。通常、一方のジアステレオ異性体が、他方よりも活性である。異なる立体異性体は、異なる生物学的活性を有しうることが、薬学ではよく知られている。これらの活性は、様々なよく知られている分割技術を使用して立体異性体を分離し、別々の実体として立体異性体を試験することにより、決定することができる。活性立体異性体内の各部位での絶対立体化学は、X線結晶学または立体選択的合成を包含する様々な方法により決定することができる。これらの方法は、当業者であれば行うことができる。本発明は、ジアステレオ異性体の混合物および分割されたホモキラル種を包含する。分割された単一の鏡像異性体が、本発明の好ましい実施形態である。一方の分割された立体異性体が、BACEに対して他方よりも大きな効力を有することが判明した場合、その異性体が特に好ましい。
【0163】
分割されたジアステレオ異性体が、実施例に包含されている(実施例2参照)。予測されるように、分割されると、2種のジアステレオ異性体は、BACE酵素を阻害するのに異なる能力を示す。一例では、より効力のあるジアステレオ異性体の絶対立体化学が結晶学により決定されていて、IUPAC S立体配置を有することが判明している。同じ絶対立体化学が、ピペリドン系を通してより高い効力を有し、したがって、これらのジアステレオ異性体が好ましい実施形態であると結論することが妥当である。
【0164】
【化20】

【0165】
【化21】

【0166】
スキーム1cは、化合物22(スキーム1b)の別の好ましい合成を概説している。この手順では、m−イソプロピルベンゾニトリルを、エタノールなどのアルコールに溶かし、続いて、これらに限られないが、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を包含する酸で処理することにより、これらに限られないがエチルエステルを包含するアルキルエステル23に変換する。好ましい酸は、硫酸である。反応は、溶媒の還流点までの室温で実行することができる。好ましい条件には、還流エタノール中での反応の実行が包含される。生じたエステルを、アリル有機金属化合物で、エーテル溶媒中、−100℃から溶媒の還流点までの温度で処理する。典型的なアリル有機金属化合物には、臭化アリルマグネシウム、ヨウ化アリルマグネシウム、塩化アリルマグネシウムまたはアリルリチウムが包含され、臭化アリルマグネシウムが好ましい。適切な溶媒には、ジエチルエーテル、THF、ジオキサンが包含され、THFが好ましい。反応物を好ましくは、室温で実行するが、THF中、還流で実行することもできる。生じる第3級アルコール24を、酸の存在下にアジ化塩で処理して、第3級アジ化物25を形成する。適切なアジ化塩には、アジ化ナトリウム、カリウム、リチウムまたはテトラブチルアンモニウム、さらにアジドイオンの他の源が包含される。アジ化ナトリウムが、最も好ましい。典型的な酸には、トリフルオロ酢酸、酢酸、トリフル酸、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸または他の同様の酸が包含される。トリフルオロ酢酸が最も好ましい。反応物を、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの不活性溶媒中で実行する。最も好ましい溶媒は、クロロホルムである。反応物を典型的には、室温未満で実行し、好ましくは−20から−10℃で実行する。第3級アジ化物を、様々な方法で還元することができる。適切な条件には、パラジウム、白金またはニッケル、例えばラネーニッケルなどに由来する不均一系触媒を使用する、水素圧1〜50atmでの水素化が包含される。反応は、様々な、メタノールもしくはエタノールなどのアルコールを包含する不活性溶媒または酢酸エチルもしくはTHFなどの不活性溶媒中で実行することができる。反応は、酢酸などの酸性溶媒中で、または任意の前述の溶媒と組み合わされている酢酸の存在下に実行することができる。水素化を典型的には、室温または室温未満で実行する。第3級アジ化物を、ホスフィンまたはスルフィドとの反応物を介して還元することもできる。例えば、水を含有する適切な不活性溶媒中、よく知られているシュタウジンガー反応条件下でのアジ化物とトリフェニルホスフィンまたはトリメチルホスフィンとの反応に加水分解を続けて、その場で、必要なアミン、酸化ホスフィンおよび窒素ガスにする。この反応は、溶媒の還流点までの室温で実行することができる。最も好ましい条件には、水含有THF中、室温でのアジ化物とトリメチルホスフィンとの反応が包含される。生じるアミンを、t−BOC、FMOC、TrOCまたはCBzを包含する様々なウレタンベースの保護基で保護することができる。最も好ましい基、Cbzを、塩化CBzから、様々な溶媒または溶媒の組合せ中で導入して、保護アミン16を生じさせることができる。水を単独で、または他の不活性溶媒と組み合わせて使用する場合、これは通常、炭酸もしくは炭酸水素ナトリウムもしくはカリウムまたは水酸化ナトリウムもしくはカリウムなどの無機塩基を含有する。不活性有機溶媒を単独で使用する場合、通常これらは、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの第3級アミン塩基を含有する。適切な不活性有機溶媒には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、トルエンまたはジオキサンが包含される。好ましい条件には、塩基として炭酸水素ナトリウムを使用するジオキサン−水混合物中でのCBz−Clが包含される。反応物を最適には、室温で実行するが、50℃から溶媒混合物の還流点までで実行することができる。環式オレフィン26へのジオレフィンの閉環複分解を、Grubbs(Accounts of Chemical Research 28(1995年)446〜452)により開拓された条件下に、次の参照文献に記述されている彼の第1世代ルテニウム触媒を使用して実施する:S.Kothaら、Biorg and Medicinal Chemistry Letters 11(2001年)1421〜1423、S.Kothaら、Biorg and Medicinal Chemistry Letters 8(1998年)、257〜260、K.Unheim Tetrahedron 53(1997年)、2309〜2322。27を得るための酸化炭素の識別を伴う選択的オレフィンオゾン分解を、S.Schreiberら、Tetrahedron Letters 23(1982年)、3867〜3870の手順で行った。化合物27を、化合物17の代わりにすることができ、スキーム1bに記述されているようにそのまま使用することができる。
【0167】
【化22】

【0168】
スキーム1dに図示されているグルタルイミドベースの阻害剤の合成は、ジエン16のオゾン分解(スキーム1a参照)の間に生じる副産物である二酸28で開始する。二酸28は、実施例に記載されているように酸アルデヒド17を精製する間に回収することができる。脱水条件下に28と第1級アミンとを反応させると、グルタルイミド29が得られる。29を接触水素化すると、第1級アミン30が得られ、これを、スキーム1に記載されているようにキラルエポキシド4と反応させることができる。N−末端Boc基を脱保護し、続いてアセチル化すると、阻害剤化合物31が生じる。
【0169】
【化23】

【0170】
44タイプのアゼチジン構造は、スキーム2に示されているように調製することができる。アゼチジノン33は、アゼチジノール32から、Dess−Martinペリオジナン、三酸化イオウ−ピリジン錯体などの試薬で酸化させることにより、好ましくはSwern酸化により調製することができる。ジエチルエーテルまたはTHFなどの適切に不活性な溶媒中でアリールリチウム種または好ましくはアリールグリニャールを23に加えると、カルビノール34が得られる。Bacqueら(Syn.Comm、25(6)、803〜812(1995年))の一般的な手順に従い、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレンまたは好ましくはクロロホルムなどのハロゲン化溶媒中、Hunig塩基またはトリエチルアミンなどの非求核性有機塩基の存在下に、塩化メタンスルホニルで処理することにより、34を塩化物35に変換し、次いで、その後極性非反応性溶媒(DMFが好ましい)中で、アジ化ナトリウムでの処理を介して、アジ化物36に変換する。メタノールまたは好ましくはエタノールなどのアルコール溶媒中、水酸化パラジウムまたは好ましくは炭素に担持されているパラジウムなどのパラジウム触媒を使用する水素化により、第1級アミン37が得られる。ベンジルヒドリルアミン保護基を除去して、ジアミン33を調製することは、アミン37とHBrまたは好ましくはHClとの酸性塩を初めに調製し、次いで、エタノールまたは好ましくはメタノールなどのアルコール中で水酸化パラジウムを用いて水素化することにより達成される。より不安定なカルボキシベンジル(Cbz)基で第2級アミンを選択的に再保護して、アミン39を得ることは、エーテル、塩化メチレンまたは好ましくはTHFなどの不活性溶媒中、Hunig塩基またはトリエチルアミンなどの非求核性アミンの存在下に、アミン38をカルボキシベンジル無水物または好ましくはクロロギ酸ベンジルで処理することにより達成される。そのままか、メタノール、エタノール、t−ブタノールまたは好ましくはイソプロパノールなどのアルコール溶媒中、50℃から150℃の範囲の温度で(70〜130℃が好ましい)、エポキシド4およびアミン30を組み合わせることにより、化合物40を得ることができる。塩化メチレンまたは1,4−ジオキサンなどの非反応性溶媒中、TFAまたは好ましくはHClなどの酸で35を処理することを介して、BOC保護基を除去すると、アミン41が得られる。無水酢酸もしくはカルボニルジイミダゾールでの処理などのアセチル化条件により、またはBOP、HBTU/HOBTもしくは好ましくはEDC/HOBTなどのアミドカップリング剤の存在下、Hunig塩基もしくはトリエチルアミンの存在下、THF、ジオキサンもしくは好ましくは塩化メチレンなどの適切な不活性溶媒中で、酢酸で処理することにより、アミン41から、アセトアミド42を得る。次いで、炭素に担持されているパラジウムが好ましい適切な触媒の存在下、メタノールまたは好ましくはエタノールなどのアルコール溶媒中で、化合物42を水素化して、アミン43を得て、次いでこれを、トリエチルアミンまたはHunig塩基などの非求核性塩基の存在下に、酸塩化物またはイソシアネートで処理することにより、化合物44に変換することができる。
【0171】
【化24】

【0172】
スキーム3は、ピロリジン化合物(56)の合成を記載している。THF、クロロホルムまたは好ましくは塩化メチレンなどの適切に非反応性の溶媒中で3−ヒドロキシピロリジン45をクロロギ酸ベンジルで処理して、化合物46を得て、次いでこれを、PCC、Dess−Martinペリオジナンなどの薬剤を用いて、または好ましくはSwern酸化条件を使用して酸化することにより化合物47に変換することができることにより、保護ピロリジノン47を調製することができる。ジエチルエーテルまたはTHFなどの適切に不活性な溶媒中でアリールリチウム種または好ましくはアリールグリニャールを47に加えることにより、カルビノール48が得られる。溶媒を用いずに、またはクロロホルム、塩化メチレンまたは好ましくは水などの適切な溶媒中、−10℃から50℃の範囲の温度で(0℃から25℃が好ましい)、アジ化ナトリウムおよびトリフルオロ酢酸を使用して、化合物48をアジ化物49に初めに変換し、次いで、メタノールまたは好ましくはエタノールなどのアルコール溶媒中、炭素に担持されているパラジウムの存在下に水素化して、化合物50を得ることにより、ジアミン50の調製を達成する。化合物50の第2級アミンを選択的に再保護してアミン51を得ることは、エーテル、塩化メチレンまたは好ましくはTHFなどの不活性溶媒中、Hunig塩基またはトリエチルアミンなどの非求核性アミンの存在下に、カルボキシベンジル無水物または好ましくは塩化カルボキシベンジルで処理することにより達成される。化合物39をアゼチジン44に変換するためにスキーム2で記載された一般的な方法を使用して、化合物51から56タイプの化合物への変換を達成することができる。
【0173】
【化25】

【0174】
ピロリジンの誘導体化が、スキーム3においての最終ステップのように実行可能でない場合、先に、スキーム3aに記載されているシークエンスで誘導体化ピロリジンアミンを調製し、次いで、スキーム1および2に記載されている一般的な方法に従い、化合物56にすることができる。こうして、アリール酢酸57をけん化して、エステル58を得て、続いて、Jeffordら、Helv.Chim Acta、69、2048、1986年により記載された一般的手順に従い、59を形成するためのエーテル中、グリコール酸エチルおよびナトリウムメトキシドでの処理および次いで、ホルムアルデヒドおよびKCO水溶液での処理を介して、アリールプロペノエート60に変換する。次いで、化合物60を、CHCl中、N−(メチルオキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)−ベンジルアミンおよびトリフルオロ酢酸で処理して、N−ベンジルピロリジン61を得る。水およびアルコール(メタノールが好ましい)の混合物中、NaOH、KOHまたは好ましくはLiOHなどのアルカリで、化合物61をけん化して、酸62を得ることができ、これを、アジ化ジフェニルホスホリルおよびHunig塩基または好ましくはトリエチルアミンなどの非求核性塩基を用いて、t−ブタノール中で、Curtius転位条件に掛けると、BOC保護アミン62が得られる。エタノール中、炭素に担持されているパラジウムを用いる水素化により、ピロリジンアミンの脱保護を達成して、化合物64を得る。スキーム2に記載されている方法により、または当業者に知られている他の標準的な方法により、659のピロリジン窒素の誘導体化を達成すると、化合物68が得られ、次いでこれを、スキーム1および2に記載されているように56タイプの化合物にする。
【0175】
実験
反応は全て、簡便さと、収率を最大化するために窒素雰囲気下に実行した。融点は未補正である。クロマトグラフィーは、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーを指している。NMRはプロトン[H]NMRを指している。NMRスペクトルを400MHzで得て、規定溶媒の重水素ロックシグナルに対する百万分率(δ)で報告する。蒸発または濃縮は、回転蒸発装置の使用を含意している。
【0176】
(実施例1)
(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル、トリフルオロ酢酸塩の合成
ステップ1
4−ヒドロキシ−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
滴下漏斗および還流凝縮器および窒素入口を備えた乾燥500mLネックフラスコに、Mg1.2gおよびヨウ素結晶を装入した。フラスコを加温して、ヨウ素を気化させ、次いで、THF25mLを加えた。m−イソプロピルブロモベンゼン9.7g(49ミリモル)のTHF30mL溶液を滴加し、大部分のMgが消費されるまで(約1時間)、混合物を還流させた。生じたグリニャール試薬を、5℃に冷却し、N−Cbz−ピペリド−4−オン(N−(カルボベンジルオキシ)−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル)10g(43ミリモル)のTHF50mL溶液を15分かけて滴加した。反応物を加温して室温に2時間し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液150mLを徐々に加えることによりクエンチした。混合物をエーテル100mLで希釈し、層を分離した。エーテル層を再び、飽和NaClで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。オイルを、シリカゲルクロマトグラフィー(2:1のヘキサン/EtOAc)により精製し、生成物は放置すると結晶化した。収量=8.2g(54%)。エレクトロスプレー MS m/z=354.1(MH+,予想値354.2)HNMR(CDCl3,400MHz)7.2〜7.4ppm(m,8H)5.15(s,9H)、7.15(d,1H)、5.15(s,1H)、4.1(bm,2H)、3.3(bm,2H)、2.90(m,1H)、2.0(bm,2H)、1.75(d,2H)、1.25(d,6H,8Hz)
【0177】
ステップ2
4−アジド−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
ステップ1で調製されたカルビノール4.0gを、CHCl6mLに溶かした。NaN1.5gを加え、混合物を−5℃で、塩氷浴中で攪拌した。TFA12mLのCHCl24ml溶液を、反応温度が0℃を超えないように、混合物に、冷反応混合物に滴加した(約25分)。添加の後に、氷浴を外し、反応物を室温で一晩攪拌した。反応物をEtOAc60mlで希釈し、水2×60mlおよびブライン1×50mlで洗浄した。EtOAc層を蒸発させ、粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンと0〜10%のEtOAc)により精製した。収量=4.2g(98%)。エレクトロスプレー MS m/z=757.3(M2H+,予想値757.4)7.2〜7.4(m,9H);5.10(s,2H);4.06(dt,2H);3.25(bs,□HNMR(CDCL3,400MHz)2H);2.88(m,1H);1.98(m,4H);1.23(d,6.5Hz,6H)
【0178】
ステップ3
4−アミノ−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
THF50ml中に、ステップ2で調製された化合物1.0gを溶解し、200mgのエチレンジアミン、被毒化10%Pd/Cを加え(H.Sajiidら、J.Org.Chem.1998年、63、7990)、混合物を水素50psi下に一晩振盪した。反応溶液をCeliteで濾過し、回転蒸発および高真空で蒸発させた。収量=0.98g(105%)。エレクトロスプレー MS m/z=705.4(M2H+,予想値705.4)
【0179】
ステップ4
4−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
ステップ3で調製された化合物1.5g(4.1ミリモル)を、2−プロパノール3mlに溶かし、穏やかに還流させた。1回のアリコットの添加よりも良好な収率が得られるので、式4の化合物1.3g(4.3ミリモル)を少量ずつ30分ごとに加えた(4×200mg、3×100mg、4×50mg)。反応溶液をEtOAc200mlで希釈し、0.1MのNaHCO2×200mlおよびブライン1×50mlで洗浄した。EtOAc層を蒸発させ、ヘキサン中50%のEtOAcを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。収量=1.4g(51%)、エレクトロスプレー MS:m/z=666.2(MH+,予想値666.4)
【0180】
ステップ5
4−(2R,3S)−[3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
ステップ4で調製された化合物1.4ml(2.1ミリモル)をそのままのTFA5mlに10分間溶かし、次いで、回転蒸発器、続いて高真空で蒸発させた。TFA塩をDCM50mlおよびDIEA5mlに溶かした。無水酢酸0.22mlを加え、溶液を20分間攪拌し、次いで、THF中のメチルアミン1.0mLでクエンチした。DCMを蒸発させ、残留物をEtOAc100mlに再溶解させ、水2×100ml、ブライン1×50mlで洗浄し、次いで、MgSO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、LCMSは、粗製生成物が、次のステップで使用するために十分に純粋であることを示した。エレクトロスプレー MS:m/z=608.3(MH+,予想値608.3)HNMR(400MHz,CD3OD)7.43(s,1H);7.17〜7.35(m,8H);6.77(d,2H);6.68(t,1H):5.15(s,2H)、4.07(m,1H);3.75〜3.5(m,4H);3.45(q,1H);3.00(dd,1H);2.57(dd,1H);2.24(m,2H);1.8〜2.0(m,4H);1.73(s,3H);1.29(s,9H)
【0181】
ステップ6
N−(1S,2R)−[3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド
MeOH100mlに、ステップ5で調製された化合物1.3gを溶かした。10%Pd/C250mgを加え、混合物を水素48psiで一晩振盪した。溶液をCeliteパッドに通し、蒸発させると、アミン7bが次のステップで使用するために適した純度で得られた。5b1.4gからの収量=1.2g(102%)エレクトロスプレー MS:m/z=474.2(MH+,予想値474.2)。HNMR(400MHz,CD3OD)7.46(s,1H);7.25(m,3H);6.74(m,3H);4.04(m,1H);3.45(m,1H);3.14(t,2H);2.98(d,3.3Hz,1H);2.8(m,2H)、2.55(dd,14Hz,1H)2.25(m,2H);2.08(m,2H);1.94(m,2H);1.73(s,3H);1.30(s,9H)
【0182】
ステップ7
(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル、トリフルオロ酢酸塩
ステップ6で調製された化合物20mgを、THF100μlおよびDIEA15μLに溶かした。クロロギ酸メチル6.0μLを加えると、溶液はゲルになった。THF100μLを加え、混合物を室温で10分間ボルテックス処理した。混合物をメタノール0.5mLで希釈し、生じた溶液を、分取HPLC系にそのまま注入することにより精製した。HPLCでの標準的な条件は、次の通りである:
分取カラム:BISCHOFF(Leonberg、Germany)C18、PREP2005、20×50mm、
溶媒A:0.1%TFA、5%ACN、H2O、
溶媒B:ACN、
勾配:10分で0〜80%B
流速:10ml/分、
フラクションサイズ:5mL、
260nmでのUV吸収率により検出。
【0183】
適切なフラクションをプールし、蒸発させると、(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルがトリフルオロ酢酸塩として得られた。
エレクトロスプレー MS:m/z=518.22(MH+,予想値518.3)HNMR(CD3OD)7.67(s,1H);7.56(d,1H);7.48(t,9Hz 1H);7.41(m,1H);6.77(m,□3H);3.85(m,1H);3.75(m,2H);3.67(s,3H);3.58(m,1H);3.20(dd,1H);2.7〜2.9(m,5H);2.60(dd,1H);2.55(dd,1H);2.51(m,1H);2.2〜2.35(dt,2H);1.78(s,3H);1.27(d,6.5Hz,6H)
【0184】
下記の表1に挙げられている実施例1a〜1kでは、式IVにより表される化合物を、実施例1に関して前記したステップと類似のステップにより合成した。これらの化合物は、実施例Bに記載のBACE無細胞アッセイに従い試験され、約35から約7800ナノモルの範囲のIC50値を示した。
【0185】
【化26】

【0186】
【表1】

【0187】
(実施例2)
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピルフェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}アセトアミドの合成
ステップ1
3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ペンタ−1,4−ジエン m−イソプロピルベンゾニトリル
YuおよびZhang(Syn.Comm.(1997年)、27(9)、1495)の手順を使用して、乾燥500mL三つ口フラスコに、サマリウム金属(40メッシュ)3.1gおよび無水THF100mLを装入した。臭化アリル2.9gを、ヨウ素のいくつかの小さな結晶と共に加えた。混合物を室温で攪拌した。10分の後に、混合物は紫色に変わり、これは、有機サマリウム試薬が形成したことを示していた。1時間後に、m−イソプロピルベンゾニトリル1.34g(NewmanおよびEasterbrook J.Am.Chem.Soc.77、1955、3763により記載された手順により合成)を2分かけて滴加した。紫茶混合物を室温で2時間攪拌した。水100mLを、続いてエーテル50mLを慎重に加えた。層を分離し、エーテル/THF層を飽和NaHCO3で洗浄した。合わせた水性層を、エーテル50mLで再び抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、茶色のオイルに蒸発させた。生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(3:1のヘキサン/EtOAc)により精製した。収量=0.51g。ESMS MH+=230.2。(MH−NH3)+=213.2。HNMR(CDCl3)7.25ppm(m,3H)、7.07(d,1H,7Hz)、5.52(m,2H)、5.06(d,2H,19Hz)、5.02(d,2H,8Hz)、2.90(p,1H)、2.65(dd,2H)、2.42(m,2H)、1.23(d,6H,6.6Hz)
【0188】
ステップ2
[1−アリル−1−(3−イソプロピル−フェニル)−ブト−3−エニル]カルバミン酸ベンジルエステル
3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ペンタ−1,4−ジエン0.43gをジオキサン10mLおよび飽和Na2CO3 3mLに溶かした。溶液を5℃に冷却し、クロロギ酸ベンキシル0.43gを2分かけて加えた。混合物を室温に加温し、十分に攪拌した。30分後に、反応物をエーテル40mLおよび水40mLで希釈した。層を分離し、エーテル層を0.1MのHCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(5:1のヘキサン/EtOAc)により精製した。収量=0.52g(77%)。ESMS:MH+=364.2。HNMR(CDCl3)7.35ppm(m,5H)、7.22(m,1H)、7.11(bs,3H)、5.55(m,2H)、5.06(d,2H)、5.02(4H)、2.97(m,2H)、2.93(p,1H)、2.65(dd,2H)、1.20(d,6H,7Hz)
【0189】
ステップ3
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−5−オキソ−ペンタン酸および3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ペンタン二酸
[1−アリル−1−(3−イソプロピル−フェニル)−ブト−3−エニル]カルバミン酸ベンジルエステル0.62gを、DCM15mLおよびAcOH1.5mLに溶かした。溶液を無水氷アセトン浴で冷却した。金属的な青色が持続するまで、オゾンを溶液に気泡導入した。反応物を−78℃で20分間攪拌し、次いで、室温に加温した。AcOH7.5mLを加え、DCMを窒素流下に蒸発させた。さらなるAcOH7.5mLを水中30%のH2O2 6.0mLと共に加えた。反応物を2時間還流させた。反応物を蒸発させ、残留物をCHCl3 30mLに溶かし、濾過し、蒸発させた。実施例1のように、20分での20%アセトニトリル→60%アセトニトリルの溶媒勾配を使用して、粗製生成物を、逆相HPLCにより精製した。
化合物3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−5−オキソ−ペンタン酸の収量=0.15g。ESMS MH+=384.4(予想値384.3)HNMR(CDCl3)9.60ppm(s,1H)、7.35(m,6H)、7.10(m,3H)、5.85(bs,1H)、5.05(bs,2H)、3.20(m,2H)、2.95(m,1H)、2.90(m,2H)、1.20(d,6H,7Hz)。
化合物3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ペンタン二酸の収量=0.059g。ESMS MNa+=422.2(予想値422.3)HNMR(CDCl3)7.4〜7.2(m,6H)、7.12(m,3H)、6.60(bs,1H)、5.05(bs,2H)、3.33(bd,2H,15Hz)、3.12(d,2H,15Hz)、2.85(m,1H)、1.20(d,6H,7Hz)。
【0190】
ステップ4
[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸ベンジルエステル
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−5−オキソ−ペンタン酸0.132gを、DCE10mLに溶かした。メタノール中2Mのエチルアミン1.0mLを、NaBH(OAc)3 0.30gと共に加えた。反応物を23℃で2.5時間攪拌し、次いで蒸発させた。残留物をDMF10mL中でよく攪拌し、120℃に1時間加熱し、冷却し、EtOAc50mLを含有する分離漏斗に注ぎ、次いで、0.1MのHClで2回、0.1のNaHCO3で2回、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗製物を、9:1のEtOAc/ヘキサンを使用するシリカフラッシュカラムにより精製した。収量=0.061g(45%)。ESMS MH+=395.4 HNMR(CDCl3)7.35ppm(m,5H)、7.29(m,1H)、7.15(m,3H)、5.60(s,1H)、5.00(s,2H)、3.48(m,1H)、3.25(m,2H)、3.05(m,2H)、2.85(m,3H)、2.25(m,1H)、1.20(d,6H,7Hz)、1.05(t,3H,7Hz)
【0191】
ステップ4a
[4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−5−オキソ−ペンタン酸0.0.71gを、DCE2.5mLに溶かした。グリシンメチルエステル塩酸塩0.070gを加え、やや濁った溶液が得られるまで、フラスコを加温した。NaBH(OAc)3 0.10gを加え、混合物を23℃で3時間攪拌した。反応混合物をエーテル20mLおよび0.1Mのクエン酸15mLに注いだ。層を分離し、エーテル層を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗製生成物を、3:1のEtOAc/ヘキサンを使用するシリカフラッシュカラムにより精製した。収量=0.030g(38%)。ESMS MH+=439.3 HNMR(CDCl3)7.35ppm(m,5H)、7.29(m,1H)、7.15(m,3H)、5.40(s,1H)、5.00(s,2H)、4.10(dd,2H,7Hz,18Hz)、3.70(s,3H)、3.40(m,1H)、3.2(m,1H)、3.05(m,1H)、2.85(m 3H)、2.35(m,1H)、1.20(d,6H,7Hz)
【0192】
ステップ5
{1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Parr水素化容器中で、ステップ4で調製された[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸ベンジルエステル0.061gをメタノール15mLおよび酢酸30μLに溶かした。10%Pd/C0.020gを加え、混合物を水素ガス50psi下に1時間ロックした。混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を高真空で2時間蒸発させた。生じたアミン塩をイソプロパノール0.40mLに溶かし、スクリュートップバイアルに移した。エポキシド[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−1−オキシラニル−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4)0.047gを、DIEA0.02mLと共に加えた。バイアルを密封し、反応物を70℃で一晩振盪した。さらなるエポキシド(4)0.020gを加え、バイアルを75℃で2時間振盪した。反応物をメタノール1.0mLで希釈し、20%B→70%Bの勾配を使用する実施例1のステップ7においてのようにRPHPLCに直接注入することにより、生成物を精製した。適切なフラクションをプールし、蒸発させた。収量=0.034g、ESMS MH=580.5。
【0193】
ステップ6
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド
{1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(ステップ5からの化合物)0.033gをCHCl3 1mLおよびTFA2mL中で20分間攪拌し、次いで蒸発させ、高真空下に2時間置いた。残留物をDCM3mLおよびDIEA0.10mLに溶かした。無水酢酸8.0μLを加え、溶液を23℃で15分間攪拌した。エタノールアミン10μLを加えて、過剰の無水酢酸をクエンチし、反応物を蒸発させた。CHCl中1%のMeOH→CHCl中10%のMeOHの移動相勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより、残留物を精製した。
【0194】
下記の表2に挙げられている実施例2a〜2hでは、式Vにより表される化合物は、実施例2に関して前記したステップと類似のステップにより合成され、実施例Bに記載のBACE無細胞アッセイで試験された。化合物は、ピペリジン位置でのジアステレオ異性体の1:1混合物である。
【0195】
【化27】

【0196】
【表2】

【0197】
ステップ7
ピペリジン4位でのジアステレオ異性体の分割
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド25mg(ステップ6からの化合物)をメタノール1.0mLに溶かし、Vydac20×250mmC18カラムに代え、50分かけて10%B→60%Bの勾配を使用する実施例1のステップ7においてのようなRPHPLCに直接注入することにより、精製した。ジアステレオ異性体を分離し、適切なフラクションをプールし、蒸発させた。より極性で早く溶離する異性体の収量=7.5mg。ESMS MH+=502.4 HNMR(CDCl3)7.45ppm(s,1H)、7.37(d,1H,8Hz)、7.30(m,2H)、6.70(d,2H,6Hz)、6.64(t,1H)、6.46(d,1H,8Hz)、4.08(m,1H)、3.72(t,1H)、3.53(m,1H)、3.31(d,1H,15Hz)、3.25(d,1H,6Hz)、3.15(m,1H)、3.05(m,2H)、2.7〜3.0(5H)、2.60(d,2H,11Hz)、1.88(s,3H)、1.20(dd,6H,6Hz)、0.97(t,3H,7Hz)。極性が劣り、遅く溶離する異性体の収量=4.5mg。ESMS MH+=502.4。HNMRはより極性な異性体に非常に類似。
【0198】
下記の表3に挙げられている実施例2i〜2nでは、式Vaおよび式Vbにより表される化合物を、実施例2のステップ7に記載のクロマトグラフィー分割により調製した。実施例2nの絶対立体配置をX線結晶学により決定した。実施例2mの絶対立体配置は、2nの逆と指定された。実施例2Hの絶対立体配置は、2mおよび2nのBACE活性との類似、さらに逆相HPLCでの相対溶離時間により指定された。
【0199】
【化28】

【0200】
【表3】

【0201】
(実施例3)
N−{1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド(別の合成)
スキーム1cを参照して、中間体化合物14、16、23、24、25、26、27および17のMeエステルを次の手順に従い調製した。
【0202】
【化29】

還流凝縮器およびNキャップを備えた250ml丸底フラスコ中で、1−ブロモ−3−イソプロピルベンゼン25g(125.6ミリモル)およびシアン化銅45g(502.5ミリモル)のピリジン50ml溶液を、150℃オイル浴中、2時間加熱すると、暗茶色の均一な溶液が形成された。反応混合物をこの温度で11時間加熱した。還流溶液をベンゼンで処理し、冷却した。反応混合物を濃NHOH400mlとベンゼン200mlとに分配し、次いで30分間攪拌した。混合物を小さいシリカパッドに通して、残留固体を除去した。有機相を除去し、水性層を塩化メチレンで複数回洗浄した。合わせた有機層を飽和ブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ、蒸発させると、3−イソプロピルベンゾニトリル18g(100%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.5〜7.2(m,3H)、2.9(m,1H)、1.2(d,6H)ppm
【0203】
【化30】

3−イソプロピルベンゾニトリル18.3g(125.58ミリモル)のエタノール400mlおよび濃硫酸60ml中の溶液を還流下に45時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタン3×100mlで抽出した。有機相を真空下に蒸発してオイルにした。NMRによる分析により、反応が完了していないことが示された。残留物をエタノール600mlに再び溶かし、濃硫酸60mlで処理し、還流下に20時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタン3×100mlで抽出した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタン3×100mlで抽出すると、3−イソプロピル安息香酸エチル21g(87%)がオイルとして得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.9(m,2H)、7.5〜7.2(m,2H)、4.4(q,2H)、2.9(m,1H)、1.4(t,3H)、1.2(d,6H)ppm
【0204】
【化31】

下の3−イソプロピル安息香酸エチル4.79g(25ミリモル)のTHF溶液を室温で、臭化アリルマグネシウムの2M溶液31ml(62ミリモル)で処理し、室温で3時間攪拌した。反応混合物を還流下に1.5時間加熱し、室温に冷却し、次いで、水でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×100ml)で抽出し、ブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、蒸発させた。残留物を、8/1の比のヘキサン/酢酸エチルで溶離して、シリカゲルでクロマトグラフィー処理した。4−3−イソプロピルフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−4−オール4.79g(84%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.2(m,4H)、5.5(m,2H)、5.0(m,4H)、2.9(m,1H)、2.7(m,2H)、2.4(m,2H)、1.2(d,6H)ppm。
【0205】
【化32】

クロロホルム50ml中の4−(3−イソプロピルフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−4−オール4.79g(20.8ミリモル)およびアジ化ナトリウム6.5g(100ミリモル)のよく攪拌されている混合物を−15℃に冷却した。トリフルオロ酢酸31ml(400ミリモル)のクロロホルム50ml溶液を、反応温度を−15℃付近に維持しながら1時間かけて滴加した。混合物を−15℃でさらに2時間攪拌し、次いで、冷却浴を外し、反応混合物を室温に一晩加温した。水を加えることにより、反応をクエンチし、ジクロロメタンで3回、水性層を抽出した後に、生成物を単離した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。溶媒を蒸発させた後に、残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(10/1)で溶離してシリカでクロマトグラフィー処理すると、1−(4−アジドヘプタ−1,6−ジエン−4−イル)−3−イソプロピルベンゼン3.48g(65%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.2(m,4H)、5.6(m,2H)、5.0(m,4H)、2.9(m,1H)、2.7(m,4H)、1.3(d,6H)ppm。
【0206】
【化33】

前記で調製されたアジ化物2.0g(7.8ミリモル)のTHF20ml溶液に、水(0.28ml(15.5ミリモル)およびTHF中1Mのトリメチルホスフィン溶液9.4ml(9.4ミリモル)を加えた。反応混合物を20時間攪拌し、その後、水(20ml)を加え、反応混合物をさらに2時間攪拌した。混合物を塩化メチレン50mlで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ、蒸発させた。残留物(約1.8g)を次のステップでそのまま使用した。
【0207】
【化34】

前述のステップからの物質(約7.8ミリモル)をジオキサン−水(60/40)15mlに溶かし、溶液を0℃に冷却した。次いで、炭酸水素ナトリウム(5.9g、70.6ミリモル)およびcbz−cl6.7ml(47ミリモル)を、よく攪拌されている混合物に順次加えた。反応混合物を室温で24時間、次いで50℃で2時間攪拌した。混合物を冷却し、次いで、塩化メチレン3×50mlで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ、蒸発させた。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(6/1)で溶離してシリカでクロマトグラフィー処理すると、4−(3−イソプロピルフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−4−イルカルバミン酸ベンジル2.05g(72%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.4(m,2H)、7.1(m,2H)、5.6(m,2H)、5.0(m,6H)、2.9(m,3H)、2.7(m,2H)、1.3(d,6H)ppm。
【0208】
【化35】

三つ口丸底フラスコに、前記からの4−(3−イソプロピルフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−4−イルカルバミン酸ベンジル3.15g(8.66ミリモル)、Grubbs触媒(第1世代)0.5g(0.61ミリモル)およびベンゼン70mlを加えた。混合物を40℃に加熱し、窒素および真空サイクルで脱ガスした。混合物を40℃で14時間攪拌した。反応をtlcにより監視し、かなりの量の出発物質が残っていると決定した。反応物を数回の窒素および真空サイクルで再び脱ガスし、40℃でさらに2時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、次いで、塩化メチレン3×50mlで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次いで乾燥させ、蒸発させた。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(8/1)で溶離してシリカでクロマトグラフィー処理すると、所望の生成物1−(3−イソプロピルフェニル)シクロペンチ−3−エニルカルバミン酸ベンジル1.79g(59%)が得られた。さらに、出発物質1.09g(35%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δ 7.4(br.s,1H)、7.2〜7.1(m,4H)、5.8(s,1H)、5.3(s,1H)、5.0(s,2H)、2.9(m,5H)、1.3(d,6H)ppm。
【0209】
【化36】

ジクロロメタン−メタノール(80/20)100ml中のシクロペンテン1.7g(5.07ミリモル)を炭酸水素ナトリウム1.7g(20ミリモル)と混合し、続いて−78℃に冷却した。溶液が暗青色に変わるまで、反応混合物を酸素中のオゾン流で処理した。オゾンを、窒素で排出し、反応混合物を加温し、水でクエンチし、続いて、塩化メチレン3×50mlで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ、蒸発させた。残留物をジクロロメタンに再び溶かし、トリエチルアミン1.06ml(7.6ミリモル)および無水酢酸1.44ml(15.2ミリモル)で処理し、18時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、次いで、塩化メチレン3×50mlで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ、蒸発させた。残留物をヘキサン/酢酸エチル(4/1)で溶離してシリカでクロマトグラフィー処理すると、オイル0.62g(31%)が得られた。NMR(400MHz,CDCl)δm 9.7(s,1H)、7.4〜7.1(m,5H)、5.1(m,2H)、3.5(s,3H)、3.1(m,4H)、2.9(m,1H)、1.3(d,6H)ppm。この生成物は、実施例2のステップ4での3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−5−オキソ−ペンタン酸の代わりにすることができる。実施例2に従ってさらに処理すると、N−{1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミドが得られる。
【0210】
(実施例4)
調製5および6からの4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルアミンおよび4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イルアミンを使用し、実施例1のステップ4および5に記載の方法を使用して、次の化合物を調製した。
【0211】
【化37】

(4a)N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド:APCIMS−MH実測値552.5,予想値552.3;
【0212】
【化38】

(4b)N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド:APCIMS−MH実測値557.5,予想値557.3
【0213】
(実施例5)
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【0214】
【化39】

3−[(2R,3S)−3−アミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル塩酸塩(調製14、0.362g、0.691ミリモル)およびN−メチルモルホリン(0.299mL、3.11)のCHCl(3.5mL)溶液を0℃で15分攪拌した。酢酸(0.044mL、0.760ミリモル)を加え、5分攪拌した後に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.103g、0.760ミリモル)および塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.146g、0.760ミリモル)を加え、生じた混合物を室温で16時間攪拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、粘稠性のオイル355mgが得られた。ヘキサン200mL、EtOAc500mLおよび10%MeOH/EtOAc500mLで溶離するクロマトグラフィーにより、表題の化合物262mg(87%)が得られた:NMR(CDCl)δ 7.34〜7.25(m,6H)、7.16〜7.14(d,J=7.9Hz,1H)、7.09〜7.05(m,2H)、6.65〜6.60(m,3H)、5.93(d,J=8.7Hz,1H)、5.09(s,2H)、4.36〜4.30(m,2H)、4.13〜4.02(m,3H)、3.41〜3.39(m,1H)、2.93〜2.72(m,2H)、2.70〜2.66(m,1H)、2.46〜2.38(br m,2H)、1.82(s,3H)、1.23(d,J=7.1Hz,6H);LCMS MH=566.1
【0215】
(実施例6)
N−[(1S,2R)−3−[1−アセチル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド
【0216】
【化40】

塩化アセチル(0.005mL、0.070ミリモル)を、N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド(調製15、0.030g、0.070ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(0.012mL、0.070ミリモル)のCHCl(1mL)中の溶液に加えた。3日間攪拌した後に、混合物を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、粗製生成物29mgが得られた。50%EtOAc/ヘキサンから20%MeOH/EtOAc勾配を使用するクロマトグラフィーにより、表題の化合物2.8mgが得られた:LCMS MH=474.2。
【0217】
実施例8に記載の一般的手順により調製された次の化合物は、3000nM未満のBACE IC50値を有した。
【0218】
【化41】

【0219】
【表4】

【0220】
(実施例7)
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド(調製21)を使用して、実施例6に記載されている手順と本質的に同じ手順により、次の化合物を調製した。次いで、Kromasil DMBカラム(5cm×25cm)で、90%ヘプタン/イソプロピルアルコールまたは92%ヘプタン/EtOHをTFA0.1%と共に使用するクロマトグラフィーにより、ジアステレオ異性体を分割した:化合物7a〜7gは、10000nM未満のBACE IC50値を有した。
【0221】
【化42】

【0222】
【表5】

【0223】
(実施例8)
調製27〜29からの化合物を使用し、実施例6に記載の方法に従い、次の化合物8a〜8fをジアステレオ異性体の混合物として調製した。これらは、10000nM未満のBACE IC50値を有した。
【0224】
【化43】

【0225】
【表6】

【0226】
【化44】

調製1
4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
THF(10mL)中の4−アミノ−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(実施例1のステップ3においてのように調製)(0.50g、1.36ミリモル)を、水素化ナトリウム(0.15g、3.75ミリモル)のTHF(10mL)中のスラリーに加えた。5分攪拌した後に、THF(5mL)中の二カルボン酸ジ−t−ブチル(0.41g、1.88ミリモル)を加え、混合物を22時間還流した。反応物を冷却し、水でクエンチし、濃縮した。残留物をEtOAcと水とに分配し、有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、麦わら色のオイルが得られた。10〜20%EtOAc/ヘキサンを使用するクロマトグラフィーにより、表題の化合物0.466g(74%)が白色のフォームとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.49〜7.27(m,5H)、7.25〜7.21(m,3H)、7.15〜7.11(m,1H)、5.13(s,2H)、4.78(s,1H)、4.17〜3.93(m,2H)、3.28〜3.08(m,2H)、2.40〜2.08(br m,2H)、2.00〜1.88(m,2H)、1.60〜1.00(m,18H)。
【0227】
【化45】

調製2
[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
EtOH(30mL)中の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製1)(0.466g、1.00ミリモル)および炭素に担持されている10%パラジウム(75mg)を、室温、水素47psi下に6時間振盪した。混合物を濾過すると(Celite)、表題の化合物0.344gが粘稠性の黄色のフォームとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.39(s,1H)、7.25〜7.23(m,2H)、7.18〜7.13(m,1H)、4.77(br s,1H)、3.42〜3.18(m,4H)、2.46(br s,4H)、1.50〜1.00(m,18H)。
【0228】
【化46】

調製3
[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製2)(0.200g、0.602ミリモル)、2−クロロピリミジン(0.21g、1.83ミリモル)、KHPO(0.31g、1.78ミリモル)およびDMSO(2mL)を密閉管中、90℃で24時間加熱し、冷却し、半飽和NaCl溶液で希釈し、エーテル約100mLに抽出した。抽出物を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。真空下での加熱で昇華させることにより、過剰の2−クロロピリミジンを除去すると、表題の化合物0.21g(86%)が黄−茶色のオイルとして残った:NMR(CDCl)δ 8.63(d,J=4.6Hz,1H)、8.30〜8.29(m,2H)、7.41(s,1H)、7.34〜7.14(m,2H)、6.47(t,J=4.8Hz,1H)、4.90(s,1H)、4.62(br d,J=13.7Hz,2H)、3.29〜3.20(m,2H)、2.50〜2.10(m,2H)、2.03(dt,J=13.1,4.0Hz,2H)、1.60〜1.0(m,18H)。
【0229】
【化47】

調製4
[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製3に記載されている方法により、2−クロロピリミジンを2−ブロモチアゾールに代えて、この化合物を調製した:収率83%:NMR(CDCl)δ 7.58(d,J=3.8Hz,1H)、7.41(s,1H)、7.28〜7.14(m,3H)、6.56(d,J=3.7Hz,1H)、4.84(s,1H)、2.89(br d,J=12.0Hz,2H)、3.36(br t,J=12.2Hz,2H)、2.45〜2.20(m,2H)、2.17(dt,J=13.1,4.6Hz,2H)、1.45〜1.00(m,18H)。
【0230】
【化48】

調製5
4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルアミン
ジオキサン(4ml)中4NのHClを、[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製3から、0.21g、0.51ミリモル)のジオキサン(4mL)溶液に加え、生じた混合物を室温で19時間攪拌した。エーテル(20mL)を加えると、オレンジ色がかった固体が沈殿し、これを集め、次いで、EtOAcとKCO水溶液とに分配した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、表題の化合物0.119g(75%)がオレンジ色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 8.28(d,J=5.0Hz,2H)、7.49(t,J=1.5Hz,1H)、7.29〜7.25(m,3H)、6.43(t,J=4.8Hz,1H)、4.40(dt,J=13.7,3.7Hz,2H)、3.61〜3.53(対称的多重線,2H)、2.15〜2.08(対称的多重線,2H)、1.77(br d,J=12.9Hz,2H)、1.55(br s,2H)、1.30(s,9H)。
【0231】
【化49】

調製6
4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イルアミン
調製5に記載されている方法により、調製4からの化合物を使用して、この化合物を調製した:収率59%:NMR(CDCl)δ 7.48(s,1H)、7.31〜7.20(m,3H)、7.17(d,J=3.7Hz,1H)、6.52(d,J=3.7Hz,1H)、3.79〜3.73(m,2H)、3.62〜3.55(対称的多重線,2H)、2.26〜2.19(対称的多重線,2H)、1.80(br d,J=12.9Hz,2H)、1.45(br s,2H)、1.31(s,9H)。
【0232】
【化50】

調製7
1−ベンズヒドリル−アゼチジン−3−オン
無水トリフルオロ酢酸(7.07mL、50.1ミリモル)を−78℃のDMSO(4.75mL、66.9ミリモル)CHCl(150mL)溶液に加えた。15分後に、CHCl(150mL)中の1−ベンズヒドリル−アゼチジン−3−オール(27)(8.0g、33.4ミリモル)を20分かけて滴加した。混合物を1時間攪拌し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(25.7mL、147.0ミリモル)を加え、混合物を15分攪拌し、続いて、室温に加温した。飽和NHCl水溶液を加え、混合物をEtOAcに抽出し、ブラインで洗浄した。濃縮すると、オレンジ色のオイルが得られ、これを、溶離剤として10%EtOAc/ヘキサンを使用するクロマトグラフィーにより精製すると、表題の化合物5.11g(64%)が黄色の固体として得られた:融点70〜73℃:NMR(CDCl)δ 7.52〜7.44(m,4H)、7.33〜7.20(m,6H)、4.61(s,1H)、4.00(s,4H);13C NMR(CDCl)δ 201.28、142.66、128.99、127.78、127.52、78.00、74.47。
【0233】
【化51】

調製8
1−ベンズヒドリル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−オール
マグネシウム旋削物(2.50g、103ミリモル)および数片のヨウ素を、ヨウ素が昇華するまで加熱した。室温に冷却した後に、3−ブロモイソプロピルベンゼン(9.35g、46.8ミリモル)および1,2−ジブロモエタン(3滴)のエーテル(78mL)溶液を加えた。混合物を1時間還流させ、室温に冷却した。エーテル(230mL)中の1−ベンズヒドリル−アゼチジン−3−オン(調製7から、5.55g、23.3ミリモル)を15分かけて滴加した。添加の後に、反応物を10分間攪拌したが、この時間の間に、沈殿物が形成した。飽和NHCl水溶液を加え、有機物を分離し、水性相をエーテルで再抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、オレンジ色のオイルが得られた。15%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物7.22g(87%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.49〜7.19(m,14H)、4.51(s,1H)、3.62(d,J=8.3Hz,2H)、3.45(d,J=8.3Hz,2H)、3.15(br s,1H)、2.96(七重線,J=6.9Hz,1H)、1.30(d,J=7.1Hz,6H);13C NMR(CDCl)δ 149.36、144.36、142.40、128.76、127.74、127.44、125.86、123.43、122.79、78.25、71.91、67.68、66.13、34.53、24.34、15.54。
【0234】
【化52】

調製9
1−ベンズヒドリル−3−クロロ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン
CHCl(160mL)中の1−ベンズヒドリル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−オール(調製8、6.95g、19.44ミリモル)、トリエチルアミン(11.1mL、79.7ミリモル)および塩化メタンスルホニル(6.17mL、79.7ミリモル)を4時間還流させ、室温に冷却した。水を加え、混合物をCHClで2回抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、オレンジ色のオイルが得られた。100%ヘキサンおよび5〜10%EtOAc/ヘキサンを使用するクロマトグラフィーにより、表題の化合物3.43g(47%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.45〜.715(m,14H)、4.46(s,1H)、3.88(d,J=10Hz,2H)、3.76(d,J=10Hz,2H)、2.88(七重線,J=6.9Hz,1H)、1.22(d,J=7.1Hz,6H);13C NMR(CDCl)δ 150.36、144.38、142.70、129.44、128.28、128.19、126.95、124.68、123.82、78.26、663.56、34.55、24.30。
【0235】
【化53】

調製10
1−ベンズヒドリル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミン
ステップ1:
DMF(50mL)中の1−ベンズヒドリル−3−クロロ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン(調製9から、3.07g、8.41ミリモル)およびアジ化ナトリウム(2.18g、33.6ミリモル)を100℃で16時間加熱した。混合物を冷却し、水とCHClとに分配した。有機物を水で3回、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残留DMFを除去するために、物質をEtOAcに再び溶かし、水で3回、次いでブラインで洗浄し、前と同様に濃縮すると、粗製3−アジド−1−ベンズヒドリル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン(31)2.96gが黄色のオイルとして得られた。
【0236】
ステップ2:
ステップ1からの粗製アジ化物(1.72g、10.8ミリモル)を、炭素に担持されている10%パラジウム(0.3g)を用いて、EtOH(23mL)中、水素25PSI下に16時間水素化し、濾過し(Celite)、濃縮すると、黄色のオイルが得られた。ヘキサンおよび50%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物794mg(49%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.51〜7.50(m,4H)、7.40〜7.17(m,10H)、4.46(s,1H)、3.55(d,J=8.3Hz,2H)、3.35(d,J=7.9Hz,2H)、2.95(七重線,J=6.8Hz,1H)、2.12(br s,2H)、1.30(d,J=6.6Hz,6H);13C NMR(CDCl)δ 149.35、146.43、142.67、128.73、127.76、127.39、125.18、123.70、123.01、78.25、68.12、54.56、34.54、24.36。
【0237】
【化54】

調製11
3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミン
MeOH中の1−ベンズヒドリル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミン(調製10から、0.61g、1.71ミリモル)をHClガスで飽和させ、濃縮した。この物質を、新たなMeOH(20mL)に再び溶かし、炭素に担持されている20%Pd(OH)(250mg)と合わせ、水素40psi下に室温で14時間水素化した。混合物を濾過し(Celite)、濃縮した。生じた残留物をエーテルと共に粉砕し、濾過すると、表題化合物の塩酸塩406mg(90%)がオレンジ色の固体として得られた:NMR(DMSO−d)δ 7.49(s,1H)、7.39〜7.35(m,2H)、7.31〜7.29(m,1H)、4.58(d,J=12Hz,2H)、4.43(d,J=12Hz,2H)、2.89(七重線,J=6.8Hz,1H)、1.19(d,J=7.1Hz,6H)。
【0238】
【化55】

調製12
3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミン塩酸塩(調製11、0.866mg、3.53ミリモル)およびトリエチルアミン(1.39mL、9.98ミリモル)をTHF(10mL)中で10分間攪拌した。THF(6mL)中のクロロギ酸ベンジル(0.47mL、3.33ミリモル)を加え、混合物を16時間攪拌した。濃縮した後に、混合物をEtOAcに再び溶かし、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。初めにヘキサン、次いでEtOAcでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物0.443g(41%)がオレンジ色のオイルとして得られた。NMR(CDCl)δ 7.34〜7.13(m,9H)、5.10(s,2H)、4.39(d,J=9.1Hz,2H)、4.05(d,J=8.7Hz,2H)、2.89(七重線,J=6.9Hz,1H)、1.23(d,J=6.6Hz,6H)。
【0239】
【化56】

調製13
3−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−シクロブタンカルボン酸ベンジルエステル
イソプロパノール(2mL)中の3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製12、0.443g、1.37ミリモル)および式4のエポキシド(0.490g、1.64ミリモル)を6時間還流させた。追加のエポキシド分約0.5gを加え、還流をさらに16時間継続した。反応混合物を濃縮し、ヘキサン、次いで40%EtOAc/ヘキサンで溶離してクロマトグラフィー処理すると、表題の化合物0.429g(50%)が白色の固体として得られた。NMR(CDCl)δ 7.35〜7.25(m,6H)、7.13(d,J=7.9Hz,1H)、7.08〜7.05(m,2H)、6.69〜6.61(m,3H)、5.10(s,2H)、4.45(d,J=9.1Hz,1H)、4.36〜4.31(m,2H)、4.14〜4.08(m,3H)、3.68(br s,1H)、3.28(br s,2H)、2.93〜2.85(m,2H)、2.73〜2.67(m,1H)、2.47(br s,2H)、1.32(s,9H)、1.22(d,J=7.0Hz,6H);LCMS MH 624.2
【0240】
【化57】

調製14
3−[(2R,3S)−3−アミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−[(2R,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−シクロブタンカルボン酸ベンジルエステル(調製13、0.429g、0.687ミリモル)および4MのHCl/ジオキサン(8mL)を室温で5時間攪拌した。粗製混合物を濃縮し、EtOAcに再び溶かし、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、再濃縮すると、表題の化合物362mg(100%)が粘稠性のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.33〜7.27(m,6H)、7.15〜7.07(m,3H)、6.65〜6.61(m,3H)、5.08(m,3H)、4.35〜4.32(br m,2H)、4.09(d,J=8.7Hz,2H)、3.37(br s,1H)、3.02〜2.99(m,1H)、2.88(七重線,J=6.9Hz,1H)、2.71(dd,J=13.7,3.7Hz,1H)、2.58(dd,J=11.6,3.1Hz,1H)、2.47〜2.44(m,1H)、2.37(dd,J=13.7,9.7Hz,1H)、1.21(d,J=6.6Hz,6H);LCMS MH 524.2
【0241】
【化58】

調製15
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製14、0.262g、0.463ミリモル)、炭素に担持されている10%Pd(100mg)およびエタノール(5mL)を水素40psi下に室温で5.5時間振盪した。混合物を濾過し(Celite)、濃縮すると、表題の化合物175mgが灰色の固体として得られた:LCMS MH 432.1
【0242】
【化59】

調製16
3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−ピロリジノール(6.99g、68.9ミリモル)、クロロギ酸ベンジル(10.66mL、75.8ミリモル)およびCHCl(200mL)を20時間攪拌し、次いで、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、濃い黄色のオイルが得られた。初めに20%EtOAc/ヘキサンでフラッシュし、次いで30%MeOH/EtOAcで溶離するクロマトグラフィーにより、表題の化合物7.40g(49%)が得られた:NMR(CDCl)δ 7.35〜7.26(m,5H)、5.11(s,2H)、4.46(br s,1H)、3.60〜3.38(m,4H)、2.00〜2.82(m,2H)。
【0243】
【化60】

調製17
3−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製16)から、調製7で使用されたのと同じ一般的手順に従い、この化合物を調製した:収率74%:NMR(CDCl)δ 7.34〜7.28(m,5H)、5.14(s,2H)、3.83〜3.78(m,4H)、2.56(t,J=7.9Hz,2H)。
【0244】
【化61】

調製18
3−ヒドロキシ−3−(3−イソプロピル−フェニル−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
マグネシウム旋削物(1.63g、67.1ミリモル)および数片のヨウ素を、ヨウ素が昇華するまで加熱した。室温に冷却した後に、3−ブロモイソプロピルベンゼン(6.09g、30.5ミリモル)および1,2−ジブロモエタン2滴のエーテル(50mL)溶液を加えた。混合物を1時間還流させ、室温に冷却した。エーテル(150mL)中のオキソ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製7、3.34g、15.3ミリモル)を15分かけて滴加した。添加の後に、反応物を10分間攪拌したが、この時間の間に、白色の沈殿物が形成した。飽和NHCl水溶液を加え、有機物を分離し、水性相をエーテルで再抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、黄色のオイルが得られた。30%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物4.14g(80%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.37〜7.15(m,9H)、5.16〜5.04(m,2H)、3.83〜3.63(m,4H)、2.90(七重線,J=6.8Hz,1H)、2.31〜2.13(m,2H)、1.23(d,J=7.1Hz,6H)。
【0245】
【化62】

調製19
3−アジド−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
3−ヒドロキシ−3−(3−イソプロピル−フェニル−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製18、0.909g、2.68ミリモル)を、トリフルオロ酢酸(9.7mL)および水(1.6mL)の混合物に溶かし、0℃に冷却した。アジ化ナトリウム(1.20g、18.5ミリモル)を加え、混合物を室温で3時間攪拌し、次いで、過剰のNHOHを加え、混合物をCHClで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、表題の化合物0.912gが得られたが、排除副産物約25%を伴った。この物質を精製することなく使用した:NMR(CDCl)δ(アジド生成物)7.43〜7.10(m,9H)、5.20〜5.15(m,2H)、3.77〜3.57(m,4H)、2.97〜2.80(m,1H)、2.48〜2.26(m,2H)、1.25〜1.22(m,6H)。
【0246】
【化63】

調製20
3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
ステップ1:
3−アジド−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製19、5.40g、14.8ミリモル)を、水素20psi下に、炭素に担持されている10%パラジウム(500mg)の存在下、EtOH(400mL)中で16時間振盪した。濾過(Celite)の後に、反応物を濃縮すると、3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミン3.62gが黄−オレンジ色のオイルとして得られた。この物質を、精製することなく使用した。
【0247】
ステップ2:ステップ1からの粗製ジアミンを、CHCl(75mL)、トリエチルアミン(2.67mL、19.2ミリモル)およびクロロギ酸ベンジル(2.71mL、19.2ミリモル)と合わせ、室温で18時間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、オレンジ色のオイル(5.51g)が得られた。初めは50%EtOAc/ヘキサンでフラッシュし、次いで10%MeOH/EtOAcで溶離するクロマトグラフィーにより、表題の化合物1.63g(32%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.40〜7.14(m,9H)、5.20〜5.11(m,2H)、3.79〜3.65(m,4H)、2.90(七重線,J=6.8Hz,1H)、2.37〜2.23(m,1H)、2.18〜2.05(m,1H)、1.70(br s,2H)、1.24(d,J=6.6Hz,6H)。
【0248】
【化64】

調製21
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド
調製13〜15に記載の一般的な反応シークエンスに従い、3−アミノ−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(調製20)を使用して、この化合物をジアステレオ異性体の1:1混合物として調製した:NMR(CDCl)δ 7.25〜7.21(m,1H)、7.11〜7.00(m,3H)、6.67〜6.53(m,3H)、5.99〜5.90(重複した二重線,1H)、4.14〜3.99(m,1H)、3.33〜3.26(m,3H)、3.12〜2.96(m,3H)、2.85〜2.78(m,3H)、2.74〜2.65(m,2H)、2.38〜2.22(m,2H)、2.15〜2.05(m,2H)、1.83〜1.82(重複した一重線,3H)、1.23〜1.19(重複した二重線,6H);LCMS MH 実測値446.1、予想値446.3
【0249】
【化65】

調製22
1−ベンジル−3−(3−ブロモ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
ステップ1:
2−ブロモフェニル酢酸(25.0g、116ミリモル)のEtOH(200mL)溶液をHClガスで飽和させた。この混合物を室温に冷却した後に、HClで再び飽和させ、16時間攪拌した。反応物を濃縮し、EtOAcに溶かし、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、3−ブロモ−フェニル)−酢酸エチルエステル33.18gが黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.42(d,J=1.3Hz,1H)、7.39〜7.36(m,1h)、7.21〜7.14(m,2H)、4.13(q,J=7.1Hz,2H)、3.55(s,2H)、1.23(t,J=7.3Hz,3H)。
【0250】
ステップ2:
エーテル(50mL)中の3−ブロモ−フェニル)酢酸エチルエステル(5.0g、20.6ミリモル)、ナトリウムエトキシド(1.96g、28.8ミリモル)およびシュウ酸ジエチル(5.8mL、42.7ミリモル)を3時間還流させ、エーテルで希釈し、1NのHCl、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、純度約80%の2−(3−ブロモ−フェニル)−3−オキソ−コハク酸ジエチルエステル8.97gが黄色のオイルとして得られた。これを、37%ホルムアルデヒド水溶液(4.2mL、51.8ミリモル)および水(25mL)と混合し、氷中で冷却した。激しく攪拌しながら、KCO(5.0g、36.2ミリモル)を少量ずつ約2分かけて加えた。1時間攪拌した後に、反応物を水(100mL)で希釈し、エーテル(2×75mL)に抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、粗製2−(3−ブロモ−フェニル)−アクリル酸エチルエステル4.89gが黄色のオイルとして得られた。この物質およびN−(メチルオキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)−ベンジルアミン(4.9mL、19.15ミリモル)をCHCl(50mL)に溶かし、−10℃に冷却した。CHCl中1Nのトリフルオロ酢酸(0.96mL、0.96ミリモル)を加え、混合物を室温に徐々に加温し、16時間攪拌した。反応物を濃縮し、EtOAcに再び溶かし、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、黄色のオイル7.59gが得られ、初めに3%EtOAc/ヘキサンでフラッシュし、次いで10%EtOAc/ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーにより、表題の化合物4.76gが黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.42(t,J=1.7Hz,1H)、7.34〜7.10(m,8H)、4.19〜4.01(m,2H)、3.70(d,J=13.3Hz,1H)、3.60(d,J=13.Hz,1H)、3.49(d,J=8.7Hz,1H)、3.02〜2.86(m,2H)、2.68(d,J=9.1Hz,1H)、2.62〜2.50(対称的多重線,1H)、2.09〜2.00(m,1H)、1.16(t,J=7.1Hz,3H)。
【0251】
【化66】

調製23
1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
1−ベンジル−3−(3−ブロモ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル(調製22、4.75g、12.2ミリモル)、イソプロペニルトリフルオロホウ酸カリウム(Molanderら、Org.Lett.2003年、4(1)、107〜9)(2.7g、18.2ミリモル)、トリエチルアミン(2.0mL、14.3ミリモル)、Pd(dppf)Cl、CHCl(0.50g、0.61ミリモル)およびn−プロパノール(200mL)を90℃で18時間加熱し、冷却し、濃縮した。残留物をEtOAcと水とに分配し、有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、赤色のオイル4.99gが得られた。5〜10%のEtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物2.86g(67%)が薄オレンジ色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 742〜7.10(m,9H)、5.30(d,J=0.9Hz,1H)、5.05〜5.04(m,1H)、4.25〜4.03(m,3H)、3.72〜3.48(m,3H)、3.04〜2.94(m,1H)、2.92〜2.88(m,1H)、2.73〜2.66(m,1H)、2.62〜2.52(m,1H)、2.10(s,3H)、1.15 9t,J=7.1Hz,3H)。
【0252】
【化67】

調製24
1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸
メタノール(30mL)および水(30mL)中の1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル(調製23、2.86g、8.18ミリモル)および水酸化リチウム一水和物(1.7g、40.5ミリモル)を70℃で17時間加熱し、次いで冷却し、乾燥するまで濃縮した。この物質を、氷中で冷却し、EtOAc(15mL)およびエーテル(20mL)を加え、激しく攪拌しながら、6NのHCl(6.75mL、40.5ミリモル)を5分かけて滴加した。さらなる攪拌約15分の後に、濃いオレンジ色のオイルが沈殿した。溶媒をデカンテーション除去し、別の水2〜3mLおよびエーテル20mLを加えた。この混合物を1時間激しく攪拌すると、白色の固体が形成し、これを集め、エーテルですすぎ、乾燥させると、表題の化合物2.20g(85%)が得られた:NMR(DMSO−d)δ 7.48〜7.09(m,9H)、5.36(s,1H)、5.08(t,J=1.7Hz,1H)、3.80〜2.50(極めて広幅の多重線,8H)、2.05(s,3H)。
【0253】
【化68】

調製25
[1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
新たに蒸留されたt−ブタノール中の1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸(調製24、2.20g、8.84ミリモル)およびトリエチルアミン(0.95mL、6.82ミリモル)を100℃に加熱すると、濁った黄色の溶液が得られた。室温に冷却した後に、アジ化ジフェニルホスホリル(1.5mL、6.96ミリモル)を加え、次いで混合物を16時間還流し、冷却し、濃縮した。残留物をEtOAcと水とに分配し、有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、粘稠性のオレンジ色のゴム3.29gが得られた。10〜30%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、表題の化合物1.03g(39%)がほぼ無色のオイルとして得られ、これは、排気すると、白色の固体に固化した:NMR(CDCl)δ 755〜7.50(m,1H)、7.34〜7.12(m,8H)、5.31(t,J=0.9Hz,1H)、5.18(br s,1H)、5.04(t,J=1.6Hz,1H)、3.72(br d,J=12.4Hz,1H)、3.62〜3.56(m,1H)、3.00〜2.70(m,4H)、2.47〜2.15(m,2H)、2.11(d,J=0.8Hz,3H)、1.36(br s,9H)。
【0254】
【化69】

調製26
[3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
[1−ベンジル−3−(3−イソプロペニル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製25、1.00g、2.55ミリモル)を炭素に担持されている10%パラジウム(150mg)と共に水素45psi下に16時間振盪し、濾過し(Celite)、濃縮すると、表題の化合物0.815gが濁った灰色で油性のフォームとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.37〜7.08(m,4H)、5.03(br s,1H)、3.55(br s,1H)、3.37〜3.13(m,3H)、2.87(七重線,J=6.9Hz,1H)、2.70〜2.00(br m,6H)、1.37(br s,9H)、1.22(d,J=7.1Hz,6H)。
【0255】
【化70】

調製27
3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミン
ステップ1:
トルエン中の[3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製26、0.075g、0.246ミリモル)、2−ブロモピリジン(0.028mL、0.294ミリモル)、XANTPHOS(9mg、0.015ミリモル)、Pd(dba)(5mg、0.0055ミリモル)およびナトリウムt−ブトキシド(0.035g、0.312ミリモル)を100℃で密封管中で2時間加熱した。反応物を冷却し、EtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、黄色のオイル(100mg)が得られ、10〜20%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリジン−2−イル−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル50mg(53%)が黄色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 8.15(dd,J=5.0,1,2Hz,1H)、7.46〜7.41(m,1H)、7.25〜7.18(m,3H)、7.10(dt,J=7.1,1.7Hz,1H)、6.55(dd,J=6.6,5.2Hz,1H)、6.37(d,J=8.3Hz,1H)、5.12(br s,1H)、3.91(br d,J=10.8Hz,1H)、3.82(br d,J=10.9Hz,1H)、3.67〜3.47(m,2H)、2.89〜2.60(m,2H)、2.43〜2.36(m,1H)、1.32(br s,9H)、1.19(d,J=7.1Hz,6H)。
【0256】
ステップ2:
ステップ1からの化合物を、ジオキサン(1mL)に溶かし、4NのHCl/ジオキサン(1mL)を加え、混合物を17時間攪拌した。黄色の沈殿物が形成し、これを集め、次いでEtOAcとKCO水溶液とに分配した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、純度約90%の表題の化合物26mg(70%)が無色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 8.17〜8.15(m,1H)、7.46〜7.41(m,1H)、7.33〜7.23(m,3H)、7.15〜7.12(m,1H)、6.53(dd,J=6.2,5.0Hz,1H)、6.38(d,J=8.7Hz,1H)、3.84〜3.61(m,4H)、2.90(七重線,J=7.0Hz,1H)、2.45〜2.37(m,1H)、2.27〜2.22(m,1H)、1.75(br s,2H)、1.23(d,J=6.6Hz,6H)。
【0257】
【化71】

調製28
1−ベンゾオキサゾール−2−イル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミン
ステップ1:
DMSO(1mL)中の3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(調製26、0.095g、0.312ミリモル)、2−クロロベンゾオキサゾール(0.040mL、0.350ミリモル)およびKHPO(0.085g、0.488ミリモル)を80℃に密閉管中で2時間加熱し、冷却し、水で希釈し、エーテルで2回抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、シリカゲル上で濃縮した。5〜25%EtOAc/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、[1−ベンゾオキサゾール−2−イル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル80mg(61%)がワックス状の白色の固体として得られた:NMR(CDCl)δ 7.36(d,J=7.9Hz,1H)、7.27〜7.08(m,6H)、7.00(dt,J=7.7,1.1Hz,1H)、5.09(br s,1H)、4.15(br s,1H)、4.03(br s,2H)、3.89〜3.70(m,2H)、2.87(七重線,J=6.8Hz,1H)、2.44〜2.36(m,1H)、1.31(br s,9H)、1.20(d,J=6.6Hz,6H)。
【0258】
ステップ2:
ステップ1からの固体をジオキサン(2mL)に溶かし、4NのHCl/ジオキサン(2mL)を加え、混合物を17時間攪拌した。白色の沈殿物が形成し、これを集め、次いでEtOAcとKCO水溶液とに分配した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮すると、純度約85%の表題の化合物40mg(66%)が無色のオイルとして得られた:NMR(CDCl)δ 7.35(d,J=7.9Hz,1H)、7.31〜7.21(m,4H)、7.17〜7.11(m,2H)、6.98(dt,J=7.9,1.3Hz,1H)、4.00〜3.86(m,4H)、2.90(七重線,J=6.9Hz,1H)、2.46〜2.38(m,1H)、2.29〜2.23(m,1H)、1.75(br s,2H)、1.24(d,J=7.1Hz,6H)。
【0259】
調製29
調製28で記載された一般的手順に従い、次の化合物を調製した:
【0260】
【化72】

調製29a
3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピロリジン−3−イルアミン:NMR(CDCl)δ 7.30〜7.21(m,3H)、7.19(d,J=3.7Hz,1H)、7.16〜7.12(m,1H)、6.47(d,J=3.3Hz,1H)、3.84(d,J=10.4Hz,1H)、3.82〜3.73(m,2H)、3.64(dt,J=9.1,2.5Hz,1H)、2.89(七重線,J=6.8Hz,1H)、2.49〜2.41(m,1H)、2.29〜2.23(m,1H)、1.74(br s,2H)、1.23(d,J=7.1Hz,6H)。
【0261】
【化73】

調製29b
3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミン:NMR(CDCl)δ 8.31(d,J=4.6Hz,2H)、7.30〜7.23(m,3H)、7.14〜7.11(m,1H)、6.47(t,J=4.8Hz,1H)、3.95(dd,J=11.2,1.7Hz,1H)、3.85〜3.80(m,3H)、2.88(七重線,J=7.5Hz,1H)、2.42〜2.34(m,1H)、2.27〜2.22(m,1H)、1.71(br s,2H)、1.22(d,J=7.1Hz,6H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

[式中、
Zは、水素、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルキル)−、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルケニル)、(C〜Cシクロアルキル)0〜1(C〜Cアルキニル)、−O−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルケニル、−(C〜C)アルキル(C〜C10)アリール、−(C〜C)アルキレン(C〜C10)アリールまたは(C〜Cシクロアルキル)−であり、ここで、前記基はそれぞれ独立に、1、2または3個のR基で置換されていてもよく、
はそれぞれ存在する場所で独立に、ハロゲン、−OH、−SH、−CN、−CF、−OCF、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルコキシまたは−NR100101であり、
100およびR101は独立に、H、(C〜C)アルキル、フェニル、CO(C〜C)アルキルまたはSO(C〜C)アルキルであり、
Xは、−(C=O)−または−(SO)−であり、
は、ハロゲン、−OH、=O、−SH、−CN、−CF、−OCF、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルコキシ、−NR100101、(C〜C10)アリール、(5員から9員)ヘテロアリールおよび(5員から9員)ヘテロシクロから独立に選択される1、2または3個の基で置換されていてもよい(C〜C10)アルキルであり、ここで、アリール基はそれぞれ、1、2または3個のR50基で置換されていてもよく、
50は、ハロゲン、OH、SH、CN、−CO−(C〜C)アルキル、−NR、−S(O)1〜2−(C〜Cアルキル)、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)シクロアルキルから選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシおよびシクロアルキル基は、(C〜C)アルキル、ハロゲン、OH、−NR、CN、(C〜C)ハロアルコキシ、NRおよび(C〜C)アルコキシからなる群から独立に選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであるか、
およびRならびにそれらが結合している窒素は、5員または6員ヘテロシクロアルキル環を形成し、
およびRは、H;−OH、−NHおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1、2または3個の基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキル;−(C〜C)シクロアルキル;−(C〜Cアルキル)−O−(C〜Cアルキル);−(C〜C)アルケニル;および−(C〜C)アルキニルからなる群から独立に選択され、
のヘテロアリールはそれぞれ、1または2個のR50基で置換されていてもよく、Rのヘテロシクロ基はそれぞれ、独立にR50または=Oである1または2個の基で置換されていてもよく、
およびRは、H;F;−F、−OH、−CN、−CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキルから独立に選択されるか、RおよびRは、−(CH0〜2−R17、−(CH0〜2−R18、−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキニルから独立に選択され、ここで、基はそれぞれ、−F;−OH;−CN;−CF;(C〜C)アルコキシ;−F、−OH、−CN、−CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される独立した置換基で置換されていてもよい−(CH0〜2−(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよいか、
、Rおよびそれらが結合している炭素は、3から7個の炭素原子からなる−(C〜C)シクロアルキル環を形成し、ここで、1個の炭素原子は、−O−、−S−、−SO−または−NR−から選択される基により置き換えられていてもよく、
17はそれぞれ存在する場所で、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチルおよびテトラリニルから選択されるアリール基であり、ここで、前記アリール基は、独立に−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、CFである1または2個の基で置換されていてもよいか、R17はそれぞれ存在する場所で、それぞれF、OH、(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1個の置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキニルであるか、R17はそれぞれ存在する場所で、
−ハロゲン、
−OH、
−CN、
−(C〜C)シクロアルキル、
−CO−(C〜Cアルキル)、
−SO−(C〜Cアルキル)
から選択され、
18は、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、インドリル、プリダジニル、ピラジニル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリール基はそれぞれ、独立にOH、CN、CF、(C〜C)アルコキシおよび−NRからなる群から選択される1個の置換基で置換されていてもよい−(C〜C)アルキルである1または2個の基で置換されていてもよく、
Rcは、
【化2】

であり、
WおよびYはそれぞれ独立に、−CH−またはC=Oであり、
は、
【化3】

であり、
Mは、−(CH)p−またはC=Oであり、X1は、C、S=Oであるか、存在せず、pは、0〜3であるが、ただし、MがC=Oである場合、X1は、Cであり、
は、水素;3個までのハロゲンまたはOH基で置換されていてもよい(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキル;フェニル;(5員から9員)ヘテロアリールおよび(5員から9員)ヘテロシクロであり、ここで、前記ヘテロアリールは、チアゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−および1,2,4−チアジアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニルからなる群から選択され、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロは、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシCH−、CN、NO、CF、−NH(C〜C)アルキル、−NH、(C〜C)アルキル−CO−NH−または(C〜C10)アリール(C〜C)アルコキシで置換されていてもよく、前記フェニルは、(C〜C)アルキルまたは3個までの−(C=O)Rで置換されていてもよく、ここでRは、H、(C〜C)アルキルまたはOH、NRまたは(C=O)(O)0〜1であり、ここで、R、RおよびRはそれぞれ独立に、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
**は、(C〜C10)アリール、(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、−O−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルケニルまたは−(C〜C)アルキレン−(C〜C10)アリールであり、
**の(C〜C10)アリールはそれぞれ、フェニルまたはナフチルであり、(5員から9員)ヘテロアリール環はそれぞれ、ベンゾ基に縮合していてもよく、酸素、窒素およびイオウから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、前記ヘテロアリール環は、2個の隣接する酸素原子および2個の隣接するイオウ原子を含有することはできず、前記フェニル、ナフチル、ヘテロアリールまたはベンゾ縮合ヘテロアリール環はそれぞれ、(C〜C)アルキル、クロロ、ブロモ−、ヨード、フルオロ−、(C〜C)ヒドロキシアルキル−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−、(C〜C)ヒドロキシシクロアルキル−、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)シクロアルキル−、(3員〜8員)ヘテロシクロ、ヒドロキシ(3員〜8員)ヘテロシクロおよび(C〜C)アルコキシ−(3員〜8員)ヘテロシクロから独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、前記アルキル、アルコキシおよびシクロアルキルは、1から3個のハロで置換されていてもよく、(C〜C)シクロアルキルまたはヘテロシクロ部分はそれぞれ、1から3個の(C〜C)アルキル、フェニルまたはベンジル基で独立に置換されていてもよいか、
**の(C〜C)ヘテロアリール環はそれぞれ、イミダゾ、ピリド、ピリミド、ピラゾ、ピリダゾまたはピロロ基に縮合していてもよく、このヘテロアリールは、酸素、窒素およびイオウから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するが、ただし、前記ヘテロアリール環は、2個の隣接する酸素原子および2個の隣接するイオウ原子を含有することはできず、前記縮合ヘテロアリール環はそれぞれ、(C〜C)アルキル、クロロ−、ブロモ−、ヨード、フルオロ−、ハロ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−、−O−(C〜C)アルキル−ハロ、ヒドロキシ(C〜C)シクロアルキル−、(C〜C)シクロアルコキシ−、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)シクロアルキル−、(5員から9員)ヘテロシクロ、ヒドロキシル(5員〜9員)ヘテロシクロおよび(C〜C)アルコキシ−(5員から9員)ヘテロシクロから独立に選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、(C〜C)シクロアルキルまたはヘテロシクロ部分はそれぞれ、1から3個の(C〜C)アルキルまたはベンジル基で独立に置換されていてもよいが、
ただし、Xが−(C=O)であり、Zがメチルであり、Rがジフルオロベンジルであり、RおよびRがそれぞれ水素である場合、Rcは
【化4】

であり、WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである場合、
M、X1およびRと組み合わされるRは、H、−C、(−CH、−COH、−CCN、−(C=O)NH、CH−SO−、C−SO−、−H(C=O)、−(C=O)CHおよび−(C=O)CFであることはできず、
さらに、Xが−(C=O)であり、Zがメチルであり、Rがジフルオロベンジルであり、RおよびRがそれぞれ水素である場合、Rcは
【化5】

であり、WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである場合、
M、X1およびRと組み合わされるRは、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、−CN(C〜C)アルキル、−(C=O)NR、(C〜C)アルキル−SO−、−(C〜C)アルキル−CHO、−(C=O)(C〜C)アルキルまたは−(C=O)(C〜C)アルキルであることはできず、ここで、前記アルキルは、3〜5個のフルオロ原子で置換されている]。
【請求項2】
式Ia
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物
[式中、Rcは前記定義と同じ意味を有する]。
【請求項3】
Rcが、
【化7】

である請求項2に記載の化合物
[式中、W、Y、RおよびR**はそれぞれ前記定義と同じ意味を有する]。
【請求項4】
WおよびYがそれぞれ、−CH−であり、Rが−COOCHまたは−COO−CH−フェニルであり、R**が(C〜C)アルキル置換フェニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Wが−CH−であり、YがC=Oであり、RがH、(C〜C)アルキル、−CHCOOH、−CHCOOCH、−CHCOOCH(CH、CH−CH−フェニルまたは−CH−CHOHであり、R**がC〜Cアルキル置換フェニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
ピペリドン環4位に位置する炭素原子がS立体配置のキラル炭素原子である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
WおよびYがそれぞれ、C=Oである請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
Rcが
【化8】

である請求項2に記載の化合物
[式中、WおよびYはそれぞれ−CH−であり、R**は(C〜C)アルキル置換フェニルであり、R
【化9】

である(式中、pは0であり、X1はCであり、Rは−CH、−OCHまたは−CH−CO−OCHである)]。
【請求項9】
X1が存在せず、Rがヘテロアリールである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が2−チアゾリルまたは2−ピリミジニルである請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Rcが
【化10】

である請求項2に記載の化合物
[式中、Rは、
【化11】

である(式中、R30は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキレン−O−(C〜C)アルキル、CN、NH、NH(C〜C)アルキル、CF、NOまたはハロゲンである)]。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−アセチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−オキソ−酢酸;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−オキソ−酢酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ブチリル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−(3−メチル−ブチリル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
4−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S,4R)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
[(2R,3S,4R)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
[(2R,3S,4S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸メチルエステル;
[(2R,3S,4S)−4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−3−[1−エチル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R,4S)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R,4R)−3−[1−ベンジル−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4S)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R,4R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−(1S,2R)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−(1S,2R,4S)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−(1S,2R,4R)−[3−[1−(2−tert−ブトキシ−エチル)−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
(2R,3S)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
(2R,3S,4R)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
(2R,3S,4S)−[4−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−4−(3−イソプロピル−フェニル)−2−オキソ−ピペリジン−1−イル]−酢酸イソプロピルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[1−アセチル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
3−[(2S,3R)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
3−[(2S,3R)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
3−[(2S,3R)−3−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
3−[(2S,3R)−3−[3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−ベンゾオキサゾール−2−イル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{(1S,2R)−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−3−[3−(3−イソプロピル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピロリジン−3−イルアミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(3−tert−ブチル−フェニル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[3−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−(4−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ピロリジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
3−[3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−イル]−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル;
3−[(2R,3S)−3−アセチルアミノ−4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ブチルアミノ]−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−1−カルボン酸メチルエステル;
N−[(1S,2R)−3−[1−アセチル−3−(3−イソプロピル−フェニル)−アゼチジン−3−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド;および
N−[(1S,2R)−3−[4−(3−tert−ブチル−フェニル)−1−チアゾール−2−イル−ピペリジン−4−イルアミノ]−1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−2−ヒドロキシ−プロピル]−アセトアミド
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項14】

【化12】

の化合物を調製する方法であって、
前記化合物Iを形成するために有効な条件下に、式
【化13】

の化合物を式
【化14】

の化合物と反応させるステップを含む方法
[式中、Z、X、R、R、R、RcおよびR15は前記と同様に定義される]。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
アルツハイマー病、軽度認識障害、ダウン症候群、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血、脳アミロイド血管障害、他の変性性認知症、血管性および変性性の混合由来の認知症、パーキンソン病に随伴する認知症、進行性核上性麻痺に随伴する認知症、皮質基底変性に随伴する認知症、汎発性レーヴィ小体型アルツハイマー病からなる群から選択される障害または状態を治療する方法であって、前記方法が、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2009−516734(P2009−516734A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541843(P2008−541843)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003318
【国際公開番号】WO2007/060526
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】