説明

FETスイッチ

【課題】1入力多出力スイッチおよび多入力1出力スイッチとして、広帯域化ならびに小型化・低コスト化が可能なFETスイッチを提供する。
【解決手段】第1の端子とn個(n:正整数、図1の場合n=4)の第2の端子との間の切替制御を行うSPnTスイッチとして、第1の端子と接続した配線21を分岐点Aにてn分岐した配線21〜21に、それぞれ、n個のFET4〜4のソースまたはドレインを接続し、n個のFET4〜4のドレインまたはソースには、それぞれ、配線22〜22を介して第2の端子を接続するとともに、少なくとも、配線21〜21を、それぞれ、直線で形成し、かつ、それぞれの長さを互いに等しくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)スイッチに関し、特に、無線通信や広帯域データ伝送などに好適な高周波用のFETスイッチに関する。主として、FETをオン/オフすることにより信号経路を切り替える1入力多出力スイッチおよび多入力1出力スイッチに関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や無線LANなど、複数種類の無線通信方式が実用化され、数多くのユーザに利用されるようになってきた。したがって、各ユーザがこれらの個別の方式毎に異なる複数の無線端末を保有するのではなく、1つの無線端末で複数種類の無線通信方式をサポートすることができる、いわゆるマルチモード/マルチバンド端末の実現が強く求められている。マルチモード/マルチバンド端末では、基本的に、各無線通信方式(各無線周波数帯)に対応した複数のアンテナを備え、無線信号の送受信を行うアンテナをスイッチによって切り替える構成となる。したがって、これらのマルチモード/マルチバンド端末を実現する上で、スイッチの多ポート化が必要不可欠となっている。
【0003】
無線端末用のスイッチ素子としては、従来より、消費電力がほとんどゼロで小型かつモノリシック集積化が容易なFETスイッチが多用されている。これらのFETスイッチを用いて、1入力n出力(またはn入力1出力。n:正整数)のSingle‐Pole n‐Throw(SPnT:単極n投)スイッチを構成するためには、n個の1入力1出力のSingle‐Pole Single‐Throw(SPST:単極単投)スイッチを並列に配置することが必要である。
【0004】
しかしながら、n個のSPSTスイッチを単位スイッチとして並列配置する構成では、例えば、ポート数nが増大すればするほど、1つの入力がn個に分岐する分岐点から各SPSTスイッチまでの配線長が長くならざるを得ないという問題点が生じる。
【0005】
SPnTスイッチにおいては、n個のSPSTスイッチのうち、いずれか1つのSPSTスイッチをONにし、残りの(n−1)個のSPSTスイッチがOFFになるように制御される。したがって、例えば、Single‐Pole 8‐Throw(SP8T:単極8投)スイッチにおいては、図14に示すような制御が行われる。図14は、従来のSP8Tスイッチの接続構成を示す回路図であり、1個の共通端子からの配線は、分岐点Aで8分岐して、8本の配線を介して8個のSPSTスイッチ9〜9に接続されている。図14に示すように、SP8Tスイッチにおいては、例えば、SPSTスイッチ9をONにし、残りの7個のSPSTスイッチ9〜9がOFFになるように制御される。この結果、分岐点A点から見たOFF状態のSPSTスイッチ9〜9までの7本の配線は、オープンスタブとして動作する。このため、スイッチの反射損失が劣化し、動作帯域を減少する要因となる。
【0006】
図15は、図14のSP8Tスイッチにおける信号特性のシミュレーション結果を示す特性図であり、入力の分岐点Aから各SPSTスイッチヘ接続される配線の電気長をパラメータとした時の反射損失のシミュレーション結果を示している。
【0007】
図15のシミュレーションでは、スイッチの開閉が理想的な条件(ON時にショート、OFF時にオープンとなる条件)で行われるものとしているが、分岐点AからSPSTスイッチヘの配線の電気長が増加していくほど、反射損失は劣化してしまい、周波数fを所望の基準周波数fに設定した場合において、反射損失を−10dB以下に確保しようとすると、実効電気長を5度以下にすることが必要であることが分かる。実際のスイッチでは、FETのOFF容量の影響などにより、より劣化が顕著になる。
【0008】
GaAs等の半導体基板上の配線においては、SPSTスイッチヘの配線の実効電気長5度は、周波数10GHzで約180μm、40GHzで約45μmと極めて短い物理長であるため、物理サイズが有限であるFETを複数個用いて多ポートの広帯域スイッチを実現することは非常に困難である。特に、スイッチの広帯域動作に有効なGaAs等の化合物半導体FETを使用する場合、ゲートの加工方位が限定されるため、より一層、配線長を等長かつ短く配置することが困難になる。これは、例えば、[100]面の結晶面方位を有するGaAsウェハ上に高性能なFETを形成することができるゲート方位が、オリフラ(Orientation Flat)に対して水平な[011]等の方位に限られることや、特性の等しいFETを形成することができるゲート方位がオリフラに対して45°の[010]、[001]に限定されることなどに起因している。
【0009】
かくのごとき問題点を緩和することができる従来技術として、図16に示すような、下記の非特許文献1に記されたSP8Tスイッチの構成例がある。図16は、従来のSP8Tスイッチの図14とは異なる構成を示す回路図である。
【0010】
図16のSP8Tスイッチの構成においては、第1段目のSPSTスイッチ10、10、第2段目のSPSTスイッチ1011、1012、1021、1022、第3段目のSPSTスイッチ10111、10112、10121、10122、10211、10212、10221、10222のように、複数のSPSTスイッチを第1段目、第2段目、第3段目と階層的に接続したいわゆるトーナメント型の多段構成としている。かくのごとく多段構成にすることにより、オープンスタブ長を短くすることができるため、スイッチの広帯域動作を図ることが期待できる。
【0011】
しかしながら、一方では、図16のようなトーナメント型のスイッチ構成では、多段構成化によるスイッチの大型化、制御端子数の増加および挿入損失の増大という問題点が生じてしまう。スイッチの大型化は、集積回路の占有面積が増大することによる製造コストの増加を招くばかりではなく、SP8Tスイッチ等のSPnTスイッチをさらに複数個用いて構成する多端子のスイッチマトリクスの小型化・低コスト化を阻害する要因にもなってしまう。
【0012】
その一方で、図14のSP8Tスイッチの接続構成において、接続配線長を短く保ったままで、ポート数を増大し続けることは、前述のように、FETの物理サイズなどにより限界があるため、広帯域特性と低損失特性とを両立させることが可能な多ポートスイッチの実現は非常に困難であった。
【非特許文献1】MANFRED J.SCHINDLER,MEMBER,IEEE,MARY ELLEN MILLER,AND KEITH M.SIMON,“DC-20 GHz N×M Passive Switches”,IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,VOL.36,N0.12,DECEMBER 1988,pp.1604‐1613
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したように、従来のFETスイッチにおいては、スイッチのポート数を増大させるにつれて、スイッチの広帯域動作が困難になるとともに、回路の小型化・低コスト化を図ることも困難になるという問題点があった。
【0014】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、SPnT(単極n投。n:正整数)スイッチの広帯域化ならびに小型化・低コスト化を実現し、該SPnTスイッチを用いることによって、多ポートスイッチとしての広帯域化ならびに小型化・低コスト化を実現することが可能なFETスイッチを提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
【0016】
第1の技術手段は、基板に、1個の第1の端子と、n個(n:正整数)の第2の端子と、n個の第1のFETと、1本の第1の配線と、n本の第2の配線と、n本の第3の配線とを備えてなるFETスイッチであって、前記第1の配線の一端は、前記第1の端子に接続され、他の一端は、n本の前記第2の配線の互いに接続された一端に接続され、n本の前記第2の配線の他の一端は、それぞれ、n個の前記第1のFETのソースまたはドレインに接続され、n個の前記第1のFETのドレインまたはソースは、それぞれ、n本の前記第3の配線の一端に接続され、n本の前記第3の配線の他の一端は、それぞれ、n個の前記第2の端子に接続され、n本の前記第2の配線は、それぞれ、直線で形成され、かつ、それぞれの長さが互いに等しいことを特徴とする。
【0017】
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載のFETスイッチにおいて、n本の前記第2の配線の実効電気長が、それぞれ、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下であることを特徴とする。
【0018】
第3の技術手段は、前記第1または第2の技術手段に記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第1のFETのゲートフィンガは、それぞれ、1本であることを特徴とする。
【0019】
第4の技術手段は、前記第1乃至第3の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第1のFETのゲート幅は、それぞれ、n本の前記第2の配線の長さ以下であることを特徴とする。
【0020】
第5の技術手段は、前記第1乃至第4の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第1のFETのゲートにそれぞれ接続されるn個の第1の抵抗を備え、n個の前記第1の抵抗は、それぞれが接続される前記第1のFETの近傍、あるいは、当該第1のFETと隣接の前記第1のFETとの間に配置されてなることを特徴とする。
【0021】
第6の技術手段は、前記第1乃至第5の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、さらに、n個の第2のFETを備え、n個の前記第2のFETのソースまたはドレインは接地され、n個の前記第2のFETのドレインまたはソースは、それぞれ、n個の前記第1のFETのドレインまたはソースに直接接合されてなることを特徴とする。
【0022】
第7の技術手段は、前記第6の技術手段に記載のFETスイッチにおいて、さらに、n本の第4の配線を備え、n個の前記第2のFETのドレインまたはソースは、n個の前記第1のFETのドレインまたはソースに、それぞれ直接接合されることに代わり、n本の前記第4の配線を介して、それぞれ接続されてなることを特徴とする。
【0023】
第8の技術手段は、前記第7の技術手段に記載のFETスイッチにおいて、n本の前記第4の配線は、それぞれ直線で形成され、かつ、それぞれの長さが互いに等しいことを特徴とする。
【0024】
第9の技術手段は、前記第6乃至第8の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第2のFETのゲートにそれぞれ接続される第2のn個の抵抗を備え、n個の前記第2の抵抗は、それぞれが接続される前記第2のFETの近傍、あるいは、当該第2のFETと隣接の前記第1のFETまたは前記第2のFETとの間に配置されてなることを特徴とする。
【0025】
第10の技術手段は、前記第1乃至第9の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第1のFETのゲート方位、あるいは、n個の前記第1のFETおよびn個の第2のFETのゲート方位が、互いに平行であるか、あるいは、90°の位置関係であることを特徴とする。
【0026】
第11の技術手段は、前記第1乃至第10の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n個の前記第1のFETまたはn個の前記第1のFETおよびn個の前記第2のFETと、n本の前記第2の配線とを少なくとも含み、前記第1の端子および前記第1の配線を除く各構成要素を、第1組と第2組として2組備え、前記第1組と前記第2組とのそれぞれに属する各構成要素が、前記基板の互いに対称な位置に配置されてなることを特徴とする。
【0027】
第12の技術手段は、前記第1乃至第11の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n本の前記第2の配線が存在する領域の前記基板には、1層以上の誘電体層が積層され、当該領域において、前記第2の配線と接地導体とが、前記基板上および前記誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの層上に形成されてなることを特徴とする。
【0028】
第13の技術手段は、前記第1乃至第12の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、前記第1の配線およびn本の前記第2の配線が存在する領域の前記基板には、順に1層以上の誘電体層、接地導体、1層以上の誘電体層が積層され、当該領域において、前記第1の配線とn本の前記第2の配線とは、前記接地導体が形成されていない前記基板上および前記誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの異なる層上に形成され、前記第1の配線の他の一端と前記第2の配線の互いに接続された一端とは、第1のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とする。
【0029】
第14の技術手段は、前記第12または第13の技術手段に記載のFETスイッチにおいて、n本の前記第2の配線の他の一端とn個の前記第1のFETのソースまたはドレインとが、直接または第2のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とする。
【0030】
第15の技術手段は、前記第1乃至第14の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、n本の前記第3の配線が存在する領域の前記基板には、1層以上の誘電体層および/または接地導体が積層され、当該領域において、n本の前記第3の配線の一端とn個の前記第1のFETのドレインまたはソースとは、直接または第3のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とする。
【0031】
第16の技術手段は、前記第13乃至第15の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、前記第1のスルーホールおよび/または前記第2のスルーホールおよび/または前記第3のスルーホールを、順次積層された前記接地導体を介して設置する場合、当該接地導体の一部の領域に、前記第1のスルーホールおよび/または前記第2のスルーホールおよび/または前記第3のスルーホールを、当該接地導体と接触することなく、通過させる間隙を設けてなることを特徴とする。
【0032】
第17の技術手段は、前記第1乃至第16の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、前記第1のFETまたは前記第1のFET、前記第2のFETの配置領域と、前記第2の配線の配置領域とを除く領域に接地導体が積層される層を設け、さらに、当該接地導体上および/または当該接地導体下に、1層以上の誘電体層を備え、前記第1の配線と前記第3の配線とを、前記基板上あるいは前記接地導体が積層された層と異なる層上に配置してなることを特徴とする。
【0033】
第18の技術手段は、前記第1乃至第17の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、前記第1の配線、前記第2の配線のうち、一部または全ての配線の特性インピーダンスを、当該FETスイッチの入出力インピーダンスよりも高くすることを特徴とする。
【0034】
第19の技術手段は、前記第1乃至第18の技術手段のいずれかに記載のFETスイッチを(n+1)個(n:正整数)備え、(n+1)個の前記FETスイッチの前記第2の端子の個数が、それぞれ、n、n、n、n、…、n個(n、n、n、n、…、n:それぞれのすべてが同一の正整数またはそれぞれの一部が同一の正整数またはそれぞれのすべてが異なる正整数)であって、(n+1)個の前記FETスイッチのうち、n個の前記第2の端子を有する前記FETスイッチを第1のFETスイッチとして、当該第1のFETスイッチの前記第1の端子を共通の新たな第1の端子とし、当該第1のFETスイッチのn個の前記第2の端子に、それぞれ、残りのn個の前記FETスイッチの前記第1の端子を接続し、残りのn個の前記FETスイッチのそれぞれn、n、n、…、n個の前記第2の端子を、合計(n+n+n+…+n)個の新たな第2の端子とすることにより、SP(n+n+n+…+n)Tスイッチとして構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係わるFETスイッチによれば、n個(n:正整数)のFETからなる各SPSTスイッチ(単極単投)スイッチを共通接続点(つまり、各SPSTスイッチからのn本の配線の端部を互いに接続する接続点)に接続して構成したSPnTスイッチにおいて、各SPSTスイッチから共通接続点までのn本の配線を最短かつ等長にすることが可能なレイアウト構成を実現しているので、以下のごとき効果を奏することができる。
【0036】
すなわち、n個のFETからなる各SPSTスイッチから共通接続点までの距離を最短かつ等長とすることにより、ポート間特性を均一にすることができることに加えて、スイッチのON/OFF動作時に、共通接続点からOFF状態の各SPSTスイッチまでの配線によって生じるオープンスタブの影響を大幅に低減することができる。したがって、FETスイッチの広帯域動作を実現することができる上に、多ポートスイッチとしての小型化・低コスト化も図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明に係わるFETスイッチの最良の実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
[本発明の特徴]
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要を簡潔にまず説明する。本発明は、複数のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を各SPSTスイッチとして用いてSPnT(n:正整数)スイッチを構成するFETスイッチにおいて、各SPSTスイッチから共通接続点(つまり各SPSTスイッチからの複数の配線の端部を互いに接続する接続点)までの複数の配線それぞれの長さが最短かつ等長となるように、各SPSTスイッチを構成するFETが配置されることを特徴とするものであり、FETスイッチの広帯域化、多ポートスイッチとしての小型化・低コスト化を実現している。
【0039】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチについて、まず、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4T(Single‐Pole 4‐Throw:単極4投)スイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【0040】
図1のSP4Tスイッチに示すように、例えばGaAs等からなる半導体の基板の表面上に、接地導体1を積層し、1本の第1の配線である配線21と1個の第1の端子(図示せず)と、n本(n:正整数。図1の場合、n=4)の第2の配線である配線21〜21と、n個のSPSTスイッチを形成するためのn個の第1のFETであるFET4〜4と、n本の第3の配線である配線22〜22とn個の第2の端子(図示せず)と、を備えることにより、全体として、SPnTスイッチ(つまり、図1の場合、SP4Tスイッチ)を構成している。
【0041】
ここで、n本(図1の場合、n=4)の第2の配線である配線21〜21は、一端が互いに接続された配線であり、互いに接続された一端が、分岐点A(つまり、n本の第2の配線が1本になる共通接続点)を形成し、他の一端は、それぞれ、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4に接続されている。
【0042】
図1に示すSP4Tスイッチでは、第1の端子を構成する1個の共通端子(図示せず)からの第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21にn分岐され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続される。また、n個(n=4)のFET4〜4のドレイン(またはソース)は、n本(n=4)の第3の配線である配線22〜22にそれぞれ接続され、n個(n=4)の第2の端子を構成する個別の端子(図示せず)に接続されている。
【0043】
したがって、1個の第1の端子である共通端子(図示せず)に接続された分岐点Aを、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=4)の各SPSTスイッチの共通端子として見ると、4個のSPSTスイッチからなるSingle‐Pole 4‐Throw(SP4T)スイッチを形成している。このように、分岐点Aは、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=4)の各SPSTスイッチから見ると、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21が1本になる共通接続点でもある。
【0044】
ここで、4個の第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成され、かつ、図1に示すように、同一の方向に形成されており、FET4〜4のそれぞれのゲートは、互いに平行になるように配置される。
【0045】
また、1本の第1の配線である配線21、n本(n=4)の第3の配線である配線22〜22は、いずれも、ギャップを挟んだ接地導体1とともに半導体の基板上に形成されたコプレーナ線路であり、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21も含めて多層配線プロセス等の複雑な製造プロセスは必要ではなく、極めて一般的な半導体集積回路における配線プロセスで比較的低コストに実現することができるものである。なお、分離された接地導体1間は、コプレーナ線路に不要モードが励起されないように、エアブリッジやワイヤなどを用いて接続される(図示せず)。
【0046】
n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のゲートには、n個(n=4)の第1の抵抗である抵抗5〜5がそれぞれ接続され、制御端子(図示せず)からそれぞれ抵抗5〜5を経由して各FETのゲート制御電圧を印加することによって、配線21が接続される共通端子(図示せず。つまり第1の端子)と配線22〜22がそれぞれ接続される4個の個別端子(図示せず。つまり4個の第2の端子)との間の切替制御が行われる。
【0047】
また、第1の抵抗である抵抗5〜5は、それぞれ、接続される各第1のFETの直近(近傍)において、あるいは、接続される各第1のFETと隣接の第1のFETとの間において、各第1のFETであるFET4〜4のゲートに平行に配置され、かつ、各第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成されているため、FET間隔を拡げることなく、制御信号間の干渉を避けることができる。FET間隔を狭めることは、第2の配線である配線21〜214の長さを短くすることを可能にし、後述するように、スイッチの動作帯域を拡大することに直結する。
【0048】
図1に例示した本実施の形態のパタンレイアウトの特徴は、4個の第1のFETであるFET4〜4のうち、分岐点Aからは最も遠くに位置するFET4と4とは、FET4、4と比較して図1の横方向に関して分岐点A点側に近づく方向にシフトするように配置されている点にある。
【0049】
かくのごときレイアウトを採用することにより、高性能FETの製造などの観点から、ゲート加工方位が一般的には一方向に限定されるFETを複数個用いて多ポートスイッチを構成した場合においても、第2の配線である配線21〜21のそれぞれを等長な直線として、配線21〜21の長さを最短かつ等長にすることが可能になり、オープンスタブの影響を大幅に低減することができることに加えて、分岐点Aから4つのFET4〜4までの通過特性を揃えることができる。したがって、多ポートスイッチの広帯域化に加えて、ポート間特性の均一化も図ることができる。
【0050】
なお、第1の端子である共通端子とn個(図1の場合、n=4)の第2の端子である個別端子それぞれとの間の伝送特性を均一にするために、n個の第2の端子とn個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4との間を接続する第3の配線である配線22〜22それぞれの長さについても、互いに等しく形成することが好ましい。
【0051】
次に、図1のSP4Tスイッチとは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトについて図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1の場合とは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【0052】
図2に示すSP4Tスイッチは、図1に示したSP4Tスイッチの場合と異なり、接地導体(図示せず)を、GaAs等の半導体の基板7の表面側ではなく、裏面側に備えることによって、基板7の表面に配置される配線21、21〜21、22〜22は、いずれも、基板7の裏面をグランドとするマイクロストリップ線路となっている。
【0053】
ここで、マイクロストリップ線路の特性インピーダンスは、基板7の厚さ、誘電率および配線幅等によって決定される。グランド面を裏面に備えた基板7を薄くすればするほど、隣接線路間の相互干渉を抑制し、かつ、線路幅を狭めることができるため、図2のSP4Tスイッチのごときパタンレイアウトを採用する場合についても、図1に例示した実施の形態の場合と同様に、多ポートスイッチの小型化および広帯域化を図ることができる。
【0054】
なお、図2の場合においても、図1の場合と同様、n本(図2の場合、n=4)の第2の配線である配線21〜21のそれぞれを等長な直線として、配線21〜21の長さを最短かつ等長にするとともに、第1の端子である共通端子とn個(n=4)の第2の端子である個別端子のそれぞれとの間の伝送特性を均一にするために、n本(n=4)の第3の配線である配線22〜22それぞれの長さについても、互いに等しく形成することが好ましい。
【0055】
次に、図1、図2のSP4Tスイッチとは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトについて図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1、図2の場合とは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。なお、図3には、第1のFETであるFET4〜4のゲートのそれぞれに接続されるべき第1の抵抗である抵抗5〜5を図示していない。
【0056】
図3のSP4Tスイッチと図1に示したSP4Tスイッチとの相違は、n個(図3の場合、n=4)の第1のFETであるFET4〜4の互いの位置関係が異なっていること、分岐点Aにおいてn分岐している第2の配線である配線21〜21の互いの位置関係が異なっていること、および、第1のFETであるFET4〜4のゲート幅が、それぞれ、第2の配線である配線21〜21の長さよりも短くなっていることにある。
【0057】
つまり、図3のSP4Tスイッチは、図1に示したSP4Tスイッチの場合と異なり、n個(図3の場合、n=4)の第1のFETであるFET4〜4の互いの配置について、第1のFETを4つのグループに分割し、それぞれのグループに属する各第1のFETのゲート方位を90°ずつ順次回転させた位置関係としている。
【0058】
例えば、図3の場合のFET4〜4のように、第1のFETの個数nが4個の場合、1個ずつの第1のFETが属する4つのグループに分割し、それぞれのグループを単位として各第1のFETのゲート方位が90°ずつ順次回転する位置関係になっている。この結果、4個の第1のFETであるFET4〜4のうち、第1、第3グループのFET4、4のゲート方位、第2、第4グループのFET4、4のゲート方位が、それぞれ平行であり、かつ、FET4、4とFET4、4とのゲート方位が、90°の位置関係になっている。
【0059】
また、図1に示したSP4Tスイッチの場合と異なり、第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、n個(図3の場合、n=4)のFET4〜4のゲート方位に合せて90°ずつ順次回転させた方向に向かって、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21として、n分岐され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=4)のFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続されている。
【0060】
例えば、第1のFETの個数nが4個の図3の場合、第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、90°ずつ順次回転させた4個のFET4〜4のゲート方位に合せて、互いに90°の位置関係で4本の第2の配線である配線21〜21として4分岐され、4個の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続されている。
【0061】
なお、4本の第3の配線である配線22〜22についても、90°ずつ順次回転させた4個の第1のFETであるFET4〜4のゲート方位に合せて配置されている4個の第2の端子(図示せず)と直線で接続されることにより、各第1のFETと各第2の端子との間が最短かつ等長で接続される。
【0062】
さらに、図1に示したSP4Tスイッチの場合と異なり、前述のように、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のゲート幅が、それぞれ、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の長さより短くなっている。
【0063】
ここで、前述のような第1のFETの配置は、例えば、GaAsウェハ上に、オリフラ(Orientation Flat)に対して45°である[010]、[001]の結晶面方位に特性の等しいFETを形成することができることを利用することによって、実現することができる。
【0064】
図3のごとき構成により、より一層、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることができるため、ポート間の特性が高いレベルで均一なスイッチの動作帯城を、より一層拡大することができる。
【0065】
また、ここで、第1の配線である配線21、n本(n=4)の第2の配線である21〜21、n本(n=4)の第3の配線である22〜22は、いずれも、ギャップを挟んだ接地導体1〜1とともに、半導体の基板上に形成されたコプレーナ線路であり、多層配線プロセス等の複雑な製造プロセスは必要ではなく、極めて一般的な半導体集積回路における配線プロセスで比較的低コストに実現することができるものである。なお、分離された接地導体1〜1間は、コプレーナ線路に不要モードが励起されないように、エアブリッジやワイヤなどを用いて接続される(図示せず)。
【0066】
図3のような構成を採用することにより、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21についても、高周波特性の良好な伝送線路にすることができるため、さらなる動作帯城の拡大が可能である。また、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のゲート幅を、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の長さよりも短くしていることにより、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のOFF時には、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21とともにオープンスタブに見えてしまう第1のFETであるFET4〜4の物理長の影響を大幅に低減することができ、FETスイッチの動作帯城をさらに拡大することができる。
【0067】
例えば、電子輸送特性の優れたInGaAsチャネル層を有するHigh Electron Mobility Transistor(HEMT)などを第1のFET用として適用することによって、短いゲート幅であっても、ON抵抗を低減することができるため、挿入損失の低減と広帯域動作とを両立させることも容易に可能である。
【0068】
次に、図1〜図3のSP4Tスイッチとは異なるSP6Tスイッチのパタンレイアウトについて図4を用いて説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1〜図3の場合とは異なるSingle‐Pole 6‐Throw(SP6T)スイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【0069】
図4に示すSP6Tスイッチは、図1のSP4Tスイッチと比較して、第1の配線である配線21の方向とn個(図4の場合、n=6)の第1のFETであるFET4〜4のゲート方向とが直角になっている点が異なっており、多ポート化を図り易い構成となっていることを除いて、以下に説明するように、図1のSP4Tスイッチとほぼ同じ構成となっている。
【0070】
図4のSP6Tスイッチでは、第1の端子を構成する1個の共通端子(図示せず)からの第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、n本(n=6)の第2の配線である配線21〜21にn分岐(n=6)され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=6)の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続される。また、n個(n=6)のFET4〜4のドレイン(またはソース)は、n本(n=6)の第3の配線である配線22〜22にそれぞれ接続され、n個(n=6)の第2の端子を構成する個別の端子(図示せず)に接続されている。
【0071】
したがって、図1の場合と同様、分岐点Aを、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=6)の各SPSTスイッチの共通端子として見ると、6個のSPSTスイッチからなるSingle‐Pole 6‐Throw(SP6T)スイッチを形成している。このように、分岐点Aは、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=6)の各SPSTスイッチから見ると、n本(n=6)の第2の配線である配線21〜21が1本になる共通接続点でもある。
【0072】
ここで、6個の第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成され、かつ、図4に示すように、同一の方向に形成されており、FET4〜4のそれぞれのゲートは、互いに平行になるように配置される。
【0073】
また、図1の場合と同様、1本の第1の配線である配線21、n本(n=6)の第3の配線である配線22〜22は、いずれも、ギャップを挟んだ接地導体1とともに半導体の基板上に形成されたコプレーナ線路であり、n本(n=6)の第2の配線である配線21〜21も含めて多層配線プロセス等の複雑な製造プロセスは必要ではなく、極めて一般的な半導体集積回路における配線プロセスで比較的低コストに実現することができるものである。なお、分離された接地導体1間は、コプレーナ線路に不要モードが励起されないように、エアブリッジやワイヤなどを用いて接続される(図示せず)。
【0074】
n個(n=6)の第1のFETであるFET4〜4のゲートには、n個(n=6)の第1の抵抗である抵抗5〜5がそれぞれ接続され、制御端子(図示せず)からそれぞれ抵抗5〜5を経由して各FETのゲート制御電圧を印加することによって、配線21が接続される共通端子(図示せず。つまり第1の端子)と配線22〜22がそれぞれ接続される6個の個別端子(図示せず。つまり6個の第2の端子)との間の切替制御が行われる。
【0075】
また、第1の抵抗である抵抗5〜5は、図1の場合と同様、それぞれ、接続される各第1のFETの直近(近傍)において、あるいは、接続される各第1のFETと隣接の第1のFETとの間において、各第1のFETであるFET4〜4のゲートに平行に配置され、かつ、各第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成されているため、FET間隔を拡げることなく、制御信号間の干渉を避けることができる。FET間隔を狭めることは、第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることを可能にし、後述するように、スイッチの動作帯域を拡大することに直結する。
【0076】
図4に例示した本実施の形態のパタンレイアウトの特徴は、図1の場合と同様、6個の第1のFETであるFET4〜4のうち、分岐点Aからは最も遠くに位置するFET4と4とは、FET4、4、4、4と比較して図1の横方向に関して分岐点A点側に近づく方向にシフトするように配置されている点にある。
【0077】
かくのごときレイアウトを採用することにより、高性能FETの製造などの観点から、ゲート加工方位が一般的には一方向に限定されるFETを複数個用いて多ポートスイッチを構成した場合においても、第2の配線である配線21〜21のそれぞれを等長な直線として、配線21〜21の長さを最短かつ等長にすることが可能になり、オープンスタブの影響を大幅に低減することができることに加えて、分岐点Aから6つのFET4〜4までの通過特性を揃えることができる。したがって、多ポートスイッチの広帯域化に加えて、ポート間特性の均一化も図ることができる。
【0078】
なお、第1の端子である共通端子とn個(図4の場合、n=6)の第2の端子である個別端子それぞれとの間の伝送特性を均一にするために、n個の第2の端子とn個(n=6)の第1のFETであるFET4〜4との間を接続する第3の配線である配線22〜22それぞれの長さについても、互いに等しく形成することが好ましい。
【0079】
なお、図1〜図4に例示したFETスイッチにおいては、第1の配線である配線21、第2の配線である配線21〜21または配線21〜21を信号線として使用するコプレーナ線路またはマイクロストリップ線路の特性インピーダンスは、好ましくは、配線幅を細くしたり、グランドとのギャップを拡げたりすることによって、それらの配線の一部もしくは全部について、当該FETスイッチの入出力インピーダンスよりも高く設定することが望ましい。かくのごとき特性インピーダンスの配線とすることにより、より一層、オープンスタブの影響を相殺することができ、反射損失を改善することができる。
【0080】
また、図15の特性図に示したように、反射損失を−10dB以下に確保するために、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の実効電気長を、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下とすることが望ましい。
【0081】
また、図1〜図4に例示したFETスイッチの各構成要素の配置に関しては、それぞれの図に示すように、1個の第1の端子(図示せず)および1本の第1の配線である配線21を除いて、n個(n=4またはn=6)の第1のFETであるFET4〜4またはFET4〜4、n本(n=4またはn=6)の第2の配線である配線21〜21または配線21〜21を少なくとも含む各構成要素を第1組、第2組として2組に分けて、それぞれの組に属する各構成要素を、基板の互いに対称な位置例えば基板の上下または左右の対称な位置に配置している。
【0082】
また、図1〜図4のごとき回路構成においては、信号線がグランドに接続されていないため、入力された信号レベルをほぼそのまま出力することができる。したがって、RF(Radio Frequency)帯の信号を用いる無線通信用途などに加えて、信号直流ロジックレベルに無依存な広帯域ベースバンド信号を利用する高速データ伝送用スイッチとしても利用することができる。
【0083】
なお、図1〜図4のごとき回路構成のFETスイッチは、SP4TスイッチやSP6Tスイッチに限るものではなく、任意のポート数のSPkTスイッチ(k:正整数)について適用することができる。
【0084】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係わるFETスイッチについて、まず、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。つまり、図5は、図1のSP4Tスイッチのパタンレイアウトとは異なり、シリーズ・シャント構成のFETスイッチに関するパタンレイアントの一例を示すものであり、第1の実施の形態として図1に例示したSP4Tスイッチのパタンレイアウトの第1の変型例を示している。
【0085】
図5のSP4Tスイッチの構成においては、図1のSP4Tスイッチの場合に比して、さらに、n個(n:正整数。図5の場合、n=4)の第2のFET(シャントFET)として、n個のFET41S〜44Sを備え、さらに、n個(n=4)の第2のFETであるFET41S〜44S(シャントFET)とn個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4(シリーズFET)とをそれぞれ接続するためのm本(m=4)の第4の配線である配線23〜23を備えている。
【0086】
つまり、図5に示すSP4Tスイッチは、図1のSP4Tスイッチと比較して、図4の場合と同様に、第1の配線である配線21とFETのゲート方向が直角になっている点が異なっていること、および、前述したように、シリーズFETを構成している第1のFETであるFET4〜4をn個(n=4)備えていることに加えて、シャントFETを構成する第2のFETであるFET41S〜44Sをn個(n=4)追加したシリーズ・シャント構成のスイッチを成している点が異なっている。
【0087】
図5に示すシリーズ・シャント構成のSP4Tスイッチにおいては、それぞれのソース(またはドレイン)が接地され、それぞれのドレイン(またはソース)がn個(n=4)の第1のFETであるシリーズFET4〜4のドレイン(またはソース)に、n本(n=4)の配線23〜23(つまり第4の配線)を介してそれぞれ接続されたn個(n=4)のシャントFET41S〜44Sが、第2のFETとして配置されている。
【0088】
なお、シリーズFET4〜4のドレイン(またはソース)とシャントFET41S〜44Sのドレイン(またはソース)とを、第4の配線である配線23〜23を介することなく、直接接合させたレイアウトとしても良く、かかる場合については、図5の変型例を示すものとして、図6において後述する。
【0089】
図5のシリーズ・シャント構成においては、スイッチのON/OFF動作時に、それぞれに第4の配線である配線23〜23を介して接続されたシリーズFET4〜4とシャントFET41S〜44SとのON/OFF状態が、互いに逆になるように制御される。
【0090】
したがって、信号径路としてOFFの経路については、第1のFET側のシリーズFET例えばFET4がOFF、第2のFET側のシャントFET例えばFET41SがONとなるため、第2のFET側のシャントFET例えばFET41Sを通じて信号線例えば配線21の他端(分岐点Aと反対側の端子)が接地されることになり、アイソレーション特性を大幅に向上させることができ、スイッチの広帯域化を図ることができる。
【0091】
なお、n個(n=4)の第1のFETであるシリーズFET4〜4、n個(n=4)の第2のFETであるシャントFET41S〜44Sのゲート方位は、図5に示すように、それぞれ、互いに平行になるように形成されている。なお、90°の位置関係になるように形成されても構わない。
【0092】
ただし、第1のFET、第2のFETそれぞれのゲートに接続されるべき抵抗は図示していないが、図1の場合と同様、n個(n=4)の第1のFETであるシリーズFET4〜4には、それぞれ、n個(n=4)の第1の抵抗が接続され、n個(n=4)の第2のFETであるシャントFET41S〜44Sには、それぞれ、n個(n=4)の第2の抵抗が接続されている。ここで、n個(n=4)の第1の抵抗は、それぞれが接続される第1のFETの近傍、あるいは、それぞれが接続される第1のFETと隣接の第1のFETまたは第2のFETとの間に配置され、n個(n=4)の第2の抵抗は、それぞれが接続される第2のFETの近傍、あるいは、それぞれが接続される第2のFETと隣接の第1のFETまたは第2のFETとの間に配置される。
【0093】
ここで、4本の第4の配線である配線23〜23によりそれぞれ接続されるシリーズFET4〜4とシャントFET41S〜44Sとは、図5に示すように、それぞれについて同一直線上に並ぶように配置し、かつ、シリーズFET4〜4とシャントFET41S〜44Sとをそれぞれに接続する4本の第4の配線である配線23〜23は、それぞれ直線で形成され、かつ、互いに同じ長さに揃えるように配置される。
【0094】
かくのごときパタンレイアウトを採用することにより、分岐点Aと4個の第1のFETであるシリーズFET4〜4のソース(またはドレイン)との間をそれぞれ接続している4本の第2の配線である配線21〜21の長さを、図1のシリーズFETのみで構成した実施の形態の場合と同一に保ったまま、シリーズ・シャント構成のスイッチを実現することができ、ポート間特性の均一なスイッチの広帯域化を図ることができる。
【0095】
次に、図5のSP4Tスイッチとは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトについて図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチの図5の場合とは異なるパタンレイアウトを示すレイアウト図である。つまり、図4は、第1の実施の形態として図1に例示したSP4Tスイッチのパタンレイアウトの第2の変型例を示している。
【0096】
図6のSP4Tスイッチの構成においては、配線構造として、図1等に例示したコプレーナ線路とは異なり、半導体の基板の表面に、接地導体1および図示していない誘電体層や接地導体が順に積層されており、さらに、図1のSP4Tスイッチの場合に比して、図5の場合と同様、n個(図6の場合、n=4)の第2のFET(シャントFET)として、n個のFET41S〜44Sを備えている。
【0097】
ただし、n個(n=4)の第1のFETとn個(n=4)の第2のFETとの接続形態については、図5の場合とは異なり、第4の配線である配線23〜23を設ける代わりに、n個(n=4)の第2のFETであるFET41S〜44S(シャントFET)のドレイン(またはソース)をn個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4(シリーズFET)のドレイン(またはソース)にそれぞれ直接接合しており、直接接合型のシリーズ・シャント構成のパタンレイアウトとしている。
【0098】
また、配線構造(配線の種類)としては、図1等に例示したコプレーナ線路とは異なり、半導体の基板の表面には、接地導体1および図示していない1層以上の誘電体層が順に積層され、第1の配線である配線21、n本(n=4)の第2の配線を形成する配線21〜21、および、n個(n=4)の第2の端子にそれぞれ接続するn本(n=4)の第3の配線である配線22〜22は、半導体の基板上および各誘電体層も含めた各層のうち、いずれかの層上に形成されることにより、接地導体1をグランドとするマイクロストリップ線路となっている。
【0099】
ここで、好ましくは、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21間の相互干渉を低減することができるように、少なくとも、第2の配線である配線21〜21および接地導体が、半導体の基板上および1層以上の誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの層上に形成されるようにし、各誘電体層の厚さが、数μm〜10μm程度に設定されることが望ましい。ここで、第2の配線である配線21〜21は、第1の配線である配線21、第3の配線である配線22〜22と必ずしも同じ層上に形成される必要はなく、異なる層上に形成されても構わない。
【0100】
同様に、第1の配線である配線21、第3の配線である配線22〜22に関しても、第1の配線である配線21、第3の配線である配線22〜22が、半導体の基板上および1層以上の誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの層上に形成されることが望ましい。
【0101】
かくのごとき配線構造を採用することにより、配線間の干渉を低減することが容易になるため、例えば4本の第2の配線である配線21〜21の間隔を狭めることができる。この結果、4本の配線21〜21の長さを短くすることができとともに、高周波特性が良好な特性インピーダンスの定まった伝送線路とすることができるため、スイッチのより一層の広帯域動作を図ることができる。
【0102】
なお、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の他の一端とn個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4とのそれぞれの接続は、n個(n=4)の第2のスルーホールであるスルーホール31〜31を介して行われ、n本(n=4)の第3の配線である配線22〜22とn個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4とのそれぞれの接続は、n個(n=4)の第3のスルーホールであるスルーホール32〜32を介して行われる。
【0103】
ここで、順次積層された接地導体を介して、n個(n=4)の第2のスルーホールであるスルーホール31〜31、n個(n=4)の第3のスルーホールであるスルーホール32〜32を設置する場合、当該接地導体の一部の領域には、n個(n=4)の第2のスルーホールであるスルーホール31〜31、n個(n=4)の第3のスルーホールであるスルーホール32〜32を、それぞれ、当該接地導体に接触することなく、貫通させるための間隙が設けられている。
【0104】
一方、図6に示すSP4TスイッチにおけるFETの配置方法に関しては、第1のFETであるFET4〜4のドレイン(またはソース)と第2のFETであるシャントFET41S〜44Sのドレイン(またはソース)とを、配線(図5の場合の第4の配線である配線23〜23)を介することなく、直接接合させ、さらに、分岐点Aの水平方向に対して図の上下に対称な位置に配置した構成となっている点が、図5に例示したSP4Tスイッチの場合とは異なっている。
【0105】
つまり、例えば、分岐点Aの右上方向のSPSTスイッチには、第2の配線の一つである配線21および第2のスルーホールの一つであるスルーホール31を介して、第1のFETの一つであるシリーズFET4のソース(またはドレイン)が接続され、シリーズFET4のドレイン(またはソース)は、ソース(またはドレイン)が接地された第2のFETの一つであるシャントFET41Sのドレイン(またはソース)に直接接合されるとともに、第3のスルーホールの一つであるスルーホール32を介して、第3の配線の一つである配線22に接続された状態で配置されている。
【0106】
かかるパタンレイアウトと同様の構成として、例えば、図6の分岐点Aの右下方向に位置するSPSTスイッチに関しても、配線21、スルーホール31、FET4、シャントFET42S、スルーホール32、配線22の各構成要素については、分岐点Aの右上に位置している各構成要素と上下に対称な位置関係で配置されている。
【0107】
このようなFETの構成を採用することにより、FET間の間隔を、図5に例示した構成の場合よりもさらに狭めることができ、前述した配線の効果(つまり、第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることができること)と合せて、より一層スイッチの広帯域化を図ることができる。
【0108】
また、図5、図6のようなSP4Tスイッチの場合においても、図15の特性図に示したように、反射損失を−10dB以下に確保するために、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の実効電気長を、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下とすることが望ましい。
【0109】
なお、図5、図6に例示したSP4Tスイッチに限定されることなく、例えば、図3に例示したように、第1のFETであるFET4〜4および第2のFETであるFET41S〜44Sのゲート方位を、互いに平行または90°ずつ回転させた方向に配置した構成としても良いし、図4に例示したようなSP6Tスイッチなど、任意のポート数のSPkTスイッチ(k:正整数)についても、同様な構成を適用することができる。
【0110】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係わるFETスイッチについて、図7、図8を用いて説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。また、図8は、図7のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図であり、図8(A)は、図7の各構成要素のうち、接地導体1および接地導体1、1間を接続するスルーホール34〜34を取り除いた状態のパタンレイアウトを示すレイアウト図であり、図8(B)は、図7のY‐Y′面における断面図を示している。
【0111】
図7、図8に例示するFETスイッチは、SP4Tスイッチを構成しており、1個の第1の端子を構成する共通端子(図示せず)からの配線21が、図1の場合と同様、第1の配線として、分岐点Aに接続され、分岐点Aにおいて、n本(n:任意の正整数。図7、図8の場合、n=4)の第2の配線である配線21〜21にn分岐され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=4)の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続される。また、n個(n=4)のFET4〜4のドレイン(またはソース)は、n本(n=4)の第3の配線である配線22〜22にそれぞれ接続され、n個(n=4)の第2の端子を構成する個別の端子(図示せず)に接続されている。
【0112】
したがって、1個の第1の端子である共通端子(図示せず)に接続された分岐点Aを、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=4)の各SPSTスイッチの共通端子として見ると、4個のSPSTスイッチからなるSingle‐Pole 4‐Throw(SP4T)スイッチを形成している。このように、分岐点Aは、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=4)の各SPSTスイッチから見ると、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21が1本になる共通接続点でもある。
【0113】
ここで、4個の第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成され、かつ、図7に示すように、同一の方向に形成されており、FET4〜4のそれぞれのゲートは、互いに平行になるように配置される。
【0114】
また、分岐点Aを中心とした第1の配線である配線21、第2の配線である配線21〜21が存在する領域に関しては、図6に例示した配線構造と類似の工程により形成される。つまり、図8(B)に示すように、GaAs等の半導体の基板7の表面に、配線21、配線21〜21および接地導体1が形成された後、1層以上の誘電体層6、接地導体1が順に積層される。ここで、誘電体層6には、その一部の領域に、スルーホール34〜34を通過させるための間隙(穴)が穿設されており、接地導体1は、スルーホール34〜34を介して、半導体基板7上の接地導体1に接続されている。
【0115】
また、第3の配線である配線22〜22に関しては、図6に例示した配線構造と同様に形成され、半導体の基板7の表面に、接地導体および図示していない1層以上の誘電体層が順に積層され、配線22〜22は、半導体の基板7上および各誘電体層も含めた各層のうち、いずれかの層上に形成されている。
【0116】
かくのごとき構造とすることにより、基板7上に形成した第2の配線である配線21〜21は、接地導体1をグランドとした逆型マイクロストリップ線路となり、高周波特性の良好な特性インピーダンスの定まった伝送線路として動作することができる。
【0117】
なお、1本の第1の配線である配線21、第2の配線である配線21〜21は、いずれも、ギャップを挟んだ接地導体1とともに、半導体の基板7上に形成されたコプレーナ線路であり、分離された接地導体1間はコプレーナ線路に不要モードが励起されないようにエアブリッジやワイヤなどで接続される(図示せず)。
【0118】
ここで、好ましくは、誘電体層6の厚みは、数μm〜10μm程度に設定される。このような誘電体層6の厚みとすることにより、逆型マイクロストリップ線路の信号‐グランド間の間隔を、数μm〜10μm程度にすることができるため、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21相互の間隔を狭くしても、互いに不要な電磁結合を低減することができ、ポート数の増大に対応することが容易になる。
【0119】
図7、図8に示すSP4Tスイッチにおいては、第1のFETであるFET4〜4のゲートに、それぞれ、第1の抵抗である抵抗5〜5が接続されており、制御端子(図示せず)からそれぞれ抵抗5〜5を経由して各FETのゲート制御電圧を印加することによって、配線21が接続される共通端子(図示せず。つまり第1の端子)と配線22〜22がそれぞれ接続される4個の個別端子(図示せず。つまり4個の第2の端子)との間の切替制御が行われる。
【0120】
また、第1の抵抗である抵抗5〜5は、接続される各第1のFETの直近(近傍)において、あるいは、接続される各第1のFETと隣接の第1のFETとの間において、各FETのゲートに平行に配置されているため、FET間隔を拡げることなく、制御信号間の干渉を避けることができる。FET間隔を狭めることは、第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることを可能にし、スイッチの動作帯域を拡大することに直結する。
【0121】
なお、共通端子(つまり第1の端子)と4個の各個別端子(つまり第2の端子)間との伝送特性を均一にするため、4本の第3の配線である配線22〜22それぞれの長さは、互いに等しい長さにすることが好ましい。また、4個の第1のFETであるFET4〜4のそれぞれのゲートは、前述のように、互いに平行になるように配置される。
【0122】
また、第1の配線である配線21、第2の配線である配線21〜21を信号線として使用する伝送線路の特性インピーダンスは、好ましくは、配線幅を細くすることなどによって、それらの配線の一部もしくは全部について、FETスイッチの入出力インピーダンスよりも高く設定することが望ましい。かくのごとき特性インピーダンスの配線とすることにより、より一層、オープンスタブの影響を相殺することができ、反射損失を改善することができる。
【0123】
また、図15の特性図に示したように、反射損失を−10dB以下に確保するために、n本(n=4)の第2の配線である配線21〜21の実効電気長を、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下とすることが望ましい。
【0124】
また、図7、図8のごとき回路構成においては、信号線がグランドに接続されていないため、入力された信号レベルをほぼそのまま出力することができる。したがって、RF帯の信号を用いる無線通信用途などに加えて、信号直流ロジックレベルに無依存な広帯域ベースバンド信号を利用する高速データ伝送用スイッチとしても利用することができる。
【0125】
また、図7、図8のごとき構造は、第1の実施の形態における図1、図4や、第2の実施の形態における図5、図6に示したFETスイッチに適用しても構わないし、SP8Tスイッチなど、任意のSPkTスイッチ(k:正整数)についても、同様な構成を適用することができる。
【0126】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係わるFETスイッチについて、図9、図10を用いて説明する。図9は、本発明の第4の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP8Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。また、図10は、図9のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図であり、図10(A)は、図9の各構成要素のうち、第1の配線である配線21、接地導体1、第1のスルーホールであるスルーホール33、および、接地導体1、1間を接続するスルーホール34〜34を取り除いた状態のパタンレイアウトを示すレイアウト図であり、図10(B)は、図9のX‐X′面における断面図を示している。
【0127】
図9、図10に例示するFETスイッチは、SP8Tスイッチを構成しており、1個の第1の端子を構成する共通端子(図示せず)からの配線21が、図1の場合と同様、第1の配線として、分岐点Aに接続され、分岐点Aにおいて、n本(n:任意の正整数。図9、図10の場合、n=8)の第2の配線である配線21〜21にn分岐され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続される。また、n個(n=8)のFET4〜4のドレイン(またはソース)は、n本(n=8)の第3の配線である配線22〜22にそれぞれ接続され、n個(n=8)の第2の端子を構成する個別の端子(図示せず)に接続されている。
【0128】
したがって、1個の第1の端子である共通端子(図示せず)に接続された分岐点Aを、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=8)の各SPSTスイッチの共通端子として見ると、8個のSPSTスイッチからなるSingle‐Pole 8‐Throw(SP8T)スイッチを形成している。このように、分岐点Aは、第1のFETであるFET4〜4からなるn個(n=8)の各SPSTスイッチから見ると、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21が1本になる共通接続点でもある。
【0129】
ここで、8個の第1のFETであるFET4〜4は、それぞれ、ゲートフィンガ1本で構成され、かつ、同一の方向に形成されており、FET4〜4のそれぞれのゲートは、互いに平行になるように配置される。
【0130】
また、n本(n=8)の第3の配線である配線22〜22に関しては、図6に例示した配線構造と同様に形成される。つまり、半導体の基板7の表面に、接地導体1および図示していない1層以上の誘電体層が順に積層され、配線22〜22は、半導体の基板7上および各誘電体層も含めた各層のうち、いずれかの層上に形成されている。n本(n=8)の第3の配線である配線22〜22の一端とn個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のドレイン(またはソース)とは、図6の場合と同様、n個(n=8)の第3のスルーホールであるスルーホール32〜32を介して、あるいは、直接、接続される。
【0131】
なお、共通端子(つまり第1の端子)と8個の各個別端子(つまり第2の端子)間との伝送特性を均一にするため、8本の第3の配線である配線22〜22それぞれの長さは、互いに等しい長さにすることが好ましい。また、8個の第1のFETであるFET4〜4のそれぞれのゲートは、前述のように、互いに平行になるように配置される。
【0132】
また、第1の配線である配線21に関しては、図10(B)に例示するように、GaAs等の半導体の基板7の表面に、8本の第2の配線である配線21〜21、誘電体層6、接地導体1、誘電体層6が順に積層され、配線21は、この誘電体層6上に形成された構造となっている。ここで、接地導体1、誘電体層6、6には、それらの一部の領域例えば中心部に第1のスルーホールであるスルーホール33を通過させるための間隙(穴)が穿設されており、配線21と配線21〜21とを接地導体1と接触することなく接続することができる。また、誘電体層6には、その一部の領域に、スルーホール34〜34を通過させるための間隙(穴)が穿設されており、接地導体1は、スルーホール34〜34を介して、半導体基板7上の接地導体1に接続されている。
【0133】
つまり、第2の配線である配線21〜21および第1の配線である配線21が存在する領域の半導体の基板7上には、順に1層以上の誘電体層6、接地導体1、1層以上の誘電体層6が積層され、当該領域において、第2の配線である配線21〜21と第1の配線である配線21とが、接地導体1が形成されていない半導体基板7上および誘電体層6、6を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの異なる層上に形成され、かつ、第2の配線である配線21〜21の互いに接続された一端と第1の配線である配線21の他の一端(つまり、第1の端子に接続される端子の反対側の端子)は、第1のスルーホールであるスルーホール33を介して接続される。
【0134】
さらに、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の他の一端とn個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)とは、図6に示した例では第2のスルーホールを介して接続されていたが、本実施の形態の場合は、図10(A)に示すように、スルーホールを介することなく、直接接続される。
【0135】
ここで、図9、図10のSP8Tスイッチの構成においては、n個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4の配置領域とn本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の配置領域とを除く領域に、接地導体1が積層される層を設け、さらに、当該接地導体1上および/または当該接地導体1下に、1層以上の誘電体層6、6を備え、1本の第1の配線である配線21とn本(n=8)の第3の配線である配線22〜22とを、基板7上あるいは接地導体1、1が積層された層とは異なる層上に配置した構成としているが、例えば、第2に実施の形態として図6に示したようなシリーズ・シャント構成のFETスイッチの場合も同様の構成を採用することができる。
【0136】
つまり、例えば、図6のFETスイッチと同様のシリーズ・シャント構成のSP8Tスイッチを構成する場合、接地導体1が積層される層は、前述のn個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4の配置領域とn本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の配置領域とを除く領域のみならず、n個(n=8)の第2のFETであるFET41S〜48S(シャントFET)の配置領域をも除く領域に積層されることになる。
【0137】
図9、図10に示すような構造は、例えば、ポリイミドなどを絶縁層間膜として使用し、半導体の基板7上においてポリイミドの塗布、加熱硬化、ドライエッチングによるスルーホール形成という製造工程を繰り返すことによって実現することができる。なお、第3の配線である22〜22の領域に適用される誘電体層に関しても、誘電体層6あるいは誘電体層6および誘電体層6によって構成することにより、図9、図10に示した全ての配線構造を共通の製造工程を用いて実現することができる。
【0138】
このような構成とすることにより、スルーホール部を除き、全ての信号配線を高周波信号の伝送に適した特性インピーダンスとしてあらかじめ定めた特性の伝送線路として形成することができるため、スイッチの広帯域動作が容易になる。
【0139】
さらに、第1の配線である配線21と第2の配線である配線21〜21との間に、接地導体1を設けることが可能になり、よって、配線21と配線21〜21との間の電磁結合をなくすことができるため、電磁結合による悪影響を懸念することなく、配線21〜21をレイアウトすることが可能になる。
【0140】
つまり、電磁結合によるポート間特性のバラツキを懸念することなく、配線21〜21の最短かつ等長化に最適なレイアウトとすることができる。
【0141】
一方、接地導体1が存在しない場合には、電磁結合の強弱により(例えば、図9、図10(A)に示すように配線21に近い配線21、21に関しては、両者の電磁結合が強くなり、配線21から離れた配線21、21に関しては、両者の電磁結合が弱くなることから)、ポート間特性の均一化が困難であり、その影響を低減するためには、レイアウトの自由度が制限されることになる。
【0142】
なお、誘電体層6、6の厚みを、それぞれ、数μm〜10μm程度に設定することによって、配線21、配線21〜21のそれぞれから接地導体1までの距離をそれぞれ数μm〜10μm程度にすることができるため、配線21〜21相互の間隔を狭くしても、互いの不要な電磁結合を低減することができ、ポート数の増大に対応することが容易になる。
【0143】
図9、図10に示すSP8Tスイッチにおいては、第1のFETであるFET4〜4のゲートに、それぞれ、第1の抵抗である抵抗5〜5が接続されており、制御端子(図示せず)からそれぞれ抵抗5〜5を経由して各FETのゲート制御電圧を印加することによって、配線21が接続される共通端子(図示せず。つまり第1の端子)と配線22〜22がそれぞれ接続される8個の個別端子(図示せず。つまり8個の第2の端子)との間の切替制御が行われる。
【0144】
また、第1の抵抗である抵抗5〜5は、接続される各第1のFETの直近(近傍)において、あるいは、接続される各第1のFETと隣接の第1のFETとの間において、各FETのゲートに平行に配置されているため、FET間隔を拡げることなく、制御信号間の干渉を避けることができる。FET間隔を狭めることは、第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることを可能にし、スイッチの動作帯域を拡大することに直結する。
【0145】
次に、図9、図10のSP8Tスイッチとは異なるSP8Tスイッチのパタンレイアウトについて図11、図12を用いて説明する。図11は、本発明の第4の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP8Tスイッチの図9の場合とは異なるパタンレイアウトを示すレイアウト図である。また、図12は、図11のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図であり、図11の各構成要素のうち、第1の配線である配線21、接地導体1、第1のスルーホールであるスルーホール33、および、接地導体1、1間を接続するスルーホール34〜34を取り除いた状態のパタンレイアウトを示している。
【0146】
なお、図11、図12には、第1のFETであるFET4〜4のゲートのそれぞれに接続されるべき第1の抵抗である抵抗5〜5は、図示していないが、図9、図10の場合と同様、それぞれの第1の抵抗が接続される第1のFETの近傍、あるいは、当該第1のFETと隣接の第1のFETとの間に配置されている。
【0147】
図11、図12のSP8Tスイッチは、図9、図10に例示した本実施の形態のSP8Tスイッチと類似のSP8Tスイッチであり、以下には、図9、図10に示したSP8Tスイッチの場合との相違を中心に説明する。
【0148】
図11、図12のSP8Tスイッチと図9、図10に示したSP8Tスイッチとの相違は、n個(図11、図12の場合、n=8)の第1のFETであるFET4〜4の互いの位置関係が異なっていること、分岐点Aにおいてn分岐している第2の配線である配線21〜21の互いの位置関係が異なっていること、および、第1のFETであるFET4〜4のゲート幅が、それぞれ、第2の配線である配線21〜21の長さよりも短くなっていることにある。
【0149】
つまり、図11、図12のSP8Tスイッチは、図9、図10に示したSP8Tスイッチの場合と異なり、第1の実施の形態における図3の場合と同様に、n個(図11、図12の場合、n=8)の第1のFETであるFET4〜4の互いの配置について、第1のFETを4つのグループに分割し、それぞれのグループに属する各第1のFETのゲート方位を90°ずつ順次回転させた位置関係としている。
【0150】
例えば、図11、図12の場合のFET4〜4のように、第1のFETの個数nが8個の場合、2個ずつの第1のFETが属する4つのグループに分割し、それぞれのグループを単位として、各第1のFETのゲート方位が90°ずつ順次回転する位置関係になっている。この結果、8個の第1のFETであるFET4〜4のうち、第1のグループに属するFET4、4、第3のグループに属するFET4、4のゲート方位は、それぞれ平行であり、第2のグループに属するFET4、4、第4のグループに属するFET4、4のゲート方位は、それぞれ平行であり、かつ、第1のグループに属するFET4、4および第3のグループに属するFET4、4のゲート方位と、第2のグループに属するFET4、4および第4のグループに属するFET4、4のゲート方位とが、90°の位置関係になっている。
【0151】
また、図9、図10に示したSP8Tスイッチの場合と異なり、第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、n個(図11、図12の場合、n=8)のFET4〜4のゲート方位に合せて90°ずつ順次回転させた方向に向かって、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21として、n分岐され、n本の配線21〜21を介して、n個(n=8)のFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続されている。
【0152】
例えば、第1のFETの個数nが8個の図11、図12の場合、各第1のFETに接続される8本の第2の配線である配線21〜21も2本ずつの4つのグループに分割され、第1の配線である配線21が、分岐点Aにおいて、8分岐される際に、2個ずつの第1のFETが属する4つのグループを単位として、それぞれ、90°ずつ順次回転させた8個のFET4〜4のゲート方位に合せて、各グループに対応して90°ずつ順次回転させた位置関係に配置された配線21、21、配線21、21、配線21、21、配線21、21それぞれを介して、8個の第1のFETであるFET4〜4のソース(またはドレイン)にそれぞれ接続されている。
【0153】
なお、8本の第3の配線である配線22〜22についても、8本の第2の配線である配線21〜21と同様に、2本ずつの4つのグループに分割され、それぞれのグループを単位として、90°ずつ順次回転させて、8個の第1のFETであるFET4〜4のゲート方位に合せて配置されている8個の第2の端子(図示せず)と、各第1のFETとの間が、それぞれ、等長となるように接続される。
【0154】
さらに、図9、図10に示したSP8Tスイッチの場合と異なり、前述のように、n個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のゲート幅が、それぞれ、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の長さより短くなっている。
【0155】
ここで、前述のような第1のFETの配置は、例えば、GaAsウェハ上に、オリフラに対して45°である[010]、[001]の結晶面方位に特性の等しいFETを形成することができることを利用することによって、実現することができる。
【0156】
図11、図12のごとき構成により、より一層、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の長さを短くすることができるため、ポート間の特性が高いレベルで均一なスイッチの動作帯城を、より一層拡大することができる。
【0157】
図11、図12のような構成を採用することにより、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21についても、高周波特性の良好な伝送線路にすることができるため、さらなる動作帯城の拡大が可能である。
【0158】
また、n個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のゲート幅を、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の長さよりも短くしていることにより、n個(n=8)の第1のFETであるFET4〜4のOFF時には、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21とともにオープンスタブに見えてしまう第1のFETであるFET4〜4の物理長の影響を大幅に低減することができ、FETスイッチの動作帯城をさらに拡大することができる。
【0159】
例えば、電子輸送特性の優れたInGaAsチャネル層を有するHigh Electron Mobility Transistor(HEMT)などを第1のFET用として適用することによって、短いゲート幅であっても、ON抵抗を低減することができるため、挿入損失の低減と広帯域動作とを両立させることも容易に可能である。
【0160】
図11、図12に示すパタンレイアウトのSP8Tスイッチに関する以上に説明したような効果により、反射特性およびポート間特性の均一なSP8Tスイッチの広帯域動作を実現することができる上に、小型化・低コスト化も図ることができる。
【0161】
なお、第1の配線である配線21、第2の配線である配線21〜21を信号線として使用する伝送線路の特性インピーダンスは、好ましくは、配線幅を細くすることなどによって、それらの配線の一部もしくは全部について、FETスイッチの入出力インピーダンスよりも高く設定することが望ましい。かくのごとき特性インピーダンスの配線とすることにより、より一層、オープンスタブの影響を相殺することができ、反射損失を改善することができる。
【0162】
また、図15の特性図に示したように、反射損失を−10dB以下に確保するために、n本(n=8)の第2の配線である配線21〜21の実効電気長を、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下とすることが望ましい。
【0163】
また、図9〜図12のごとき回路構成においては、信号線がグランドに接続されていないため、入力された信号レベルをほぼそのまま出力することができる。したがって、RF帯の信号を用いる無線通信用途などに加えて、信号直流ロジックレベルに無依存な広帯域ベースバンド信号を利用する高速データ伝送用スイッチとしても利用することができる。
【0164】
なお、図10(B)の断面図に示した構成と異なる構成としても良く、例えば、配線21と配線21〜21との位置関係を逆にして、配線21を半導体の基板7上に、配線21〜21を誘電体層6上に配するような構成であっても構わない。
【0165】
また、図9〜図12のような構造を、第1の実施の形態における図1、図3、図4、第2の実施の形態における図5、図6、第3の実施の形態における図7、図8に示したFETスイッチに適用しても構わないし、SP4Tスイッチなど、任意のポート数のSPkTスイッチ(k:正整数)についても、同様な構成を適用することができる。
【0166】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係わるFETスイッチについて、図13を用いて説明する。図13は、本発明の第5の実施の形態に係わるFETスイッチの一例のパタンレイアウトを示すレイアウト図であり、図1、図2、図3、図5、図6、図7、図8のいずれかに例示したSP4Tスイッチを5個用いた2段のスイッチ構成とすることにより、SP16Tスイッチを構成する例を示している。
【0167】
図13に例示するSP16TスイッチのようなFETスイッチの場合、当該FETスイッチとしての新たな第1の端子に接続される第1の配線21の一端には、第1段目を形成するSP4Tスイッチ8の共通端子(つまり第1の端子)が接続され、SP4Tスイッチ8のn個(n=4)の個別端子(つまり第2の端子)それぞれには、第2段目を形成する4個のSP4Tスイッチ8〜8の共通端子(つまり第1の端子)が、それぞれ、接続され、SP4Tスイッチ8〜8の個別端子(つまり第2の端子)それぞれは、第3の配線である配線22〜22、22〜22、22〜2212、2213〜2216を介して、当該FETスイッチの合計16個の新たな第2の端子に接続されることによって、1個の第1の端子と16個の第2の端子との間の切替制御が行われる。
【0168】
図13に例示するSP16Tスイッチの場合、第1段目のSP4Tスイッチ8、第2段目のSP4Tスイッチ8〜8と、2段構成となるデメリットは生じるものの、各SP4Tスイッチは、前述の各実施の形態において説明したように、いずれも、小型でかつ広帯域な特性を有しているため、図13のSP16Tスイッチも、小型かつ広帯域化することが可能になる。
【0169】
なお、SP4Tスイッチに代わり、例えば、図4に例示したSP6Tスイッチ(n=6の場合)を7個(つまり(n+1)=7の場合)用いて、SP36Tスイッチ(つまりn=36)を構成するようにしても良い。つまり、一般的に、n個(m:任意の正整数)のポート数のSPnTスイッチを(n+1)個用いてSPnTスイッチを構成しても良い。
【0170】
あるいは、SPnTスイッチと異なるポート数のSPmTスイッチなどを組み合わせたりすることにより、任意のポート数を有する多ポートスイッチとして構成するようにしても構わない。例えば、(n+1)個のFETスイッチとして、SP4Tスイッチ1個とSP6Tスイッチ4個とを用いて、新たな第1の端子に接続するための第1段目のスイッチをSP4Tスイッチとし、第2段目のスイッチを4個のSP6Tスイッチとして、合計24個の新たな第2の端子を有するSP24Tスイッチとして構成しても良い。または、(n+1)個のFETスイッチとして、SP4Tスイッチ2個とSP5Tスイッチ1個とSP6Tスイッチ1個とSP7Tスイッチ1個とを用いて、新たな第1の端子に接続するための第1段目のスイッチをSP4Tスイッチとし、4個の第2段目のスイッチを、SP4Tスイッチ、SP5Tスイッチ、SP6Tスイッチ、SP7Tスイッチそれぞれ1個ずつとして、合計22個の新たな第2の端子を有するSP22Tスイッチとして構成しても良い。
【0171】
つまり、(n+1)個(n:正整数)のFETスイッチについて、(n+1)個のFETスイッチの第2の端子の個数が、それぞれ、n、n、n、n、…、n個(n、n、n、n、…、n:それぞれのすべてが同一の正整数またはそれぞれの一部が同一の正整数またはそれぞれのすべてが異なる正整数)とした場合において、(n+1)個のFETスイッチのうち、n個の第2の端子を有するFETスイッチを第1段目に位置する第1のFETスイッチとして、当該第1のFETスイッチの第1の端子を共通の新たな第1の端子とし、当該第1のFETスイッチのn個の第2の端子に、それぞれ、残りのn個のFETスイッチの第1の端子を接続し、残りのn個のFETスイッチのそれぞれn、n、n、…、n個の第2の端子を、合計(n+n+n+…+n)個の新たな第2の端子とすることにより、SP(n+n+n+…+n)Tスイッチとして構成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1の場合とは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1、図2の場合とは異なるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わるFETスイッチの図1〜図3の場合とは異なるSP6Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチの図5の場合とは異なるパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP4Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図8】図7のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP8Tスイッチのパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図10】図9のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わるFETスイッチの一例であるSP8Tスイッチの図9の場合とは異なるパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図12】図11のパタンレイアウト構造を分かり易く示すための説明図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係わるFETスイッチの一例のパタンレイアウトを示すレイアウト図である。
【図14】従来のSP8Tスイッチの接続構成を示す回路図である。
【図15】図14のSP8Tスイッチにおける信号特性のシミュレーション結果を示す特性図である。
【図16】従来のSP8Tスイッチの図14とは異なる構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0173】
1,1〜1…接地導体、21,21〜21,22〜2216,23〜22…配線、31〜31,32〜32,33,34〜34…スルーホール、4〜4…FET、41S〜44S…シャントFET、5〜5…抵抗、6,6…誘電体層、7…基板、8〜8…SP4Tスイッチ、9〜9…SPSTスイッチ、10,10,1011,1012,1021,1022,10111,10112,10121,10122,10211,10212,10221,10222…SPSTスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、1個の第1の端子と、n個(n:正整数)の第2の端子と、n個の第1のFETと、1本の第1の配線と、n本の第2の配線と、n本の第3の配線とを備えてなるFETスイッチであって、
前記第1の配線の一端は、前記第1の端子に接続され、他の一端は、n本の前記第2の配線の互いに接続された一端に接続され、
n本の前記第2の配線の他の一端は、それぞれ、n個の前記第1のFETのソースまたはドレインに接続され、
n個の前記第1のFETのドレインまたはソースは、それぞれ、n本の前記第3の配線の一端に接続され、n本の前記第3の配線の他の一端は、それぞれ、n個の前記第2の端子に接続され、
n本の前記第2の配線は、それぞれ、直線で形成され、かつ、それぞれの長さが互いに等しいことを特徴とするFETスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のFETスイッチにおいて、
n本の前記第2の配線の実効電気長が、それぞれ、あらかじめ定めた所望の動作周波数において、5度以下であることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第1のFETのゲートフィンガは、それぞれ、1本であることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第1のFETのゲート幅は、それぞれ、n本の前記第2の配線の長さ以下であることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第1のFETのゲートにそれぞれ接続されるn個の第1の抵抗を備え、
n個の前記第1の抵抗は、それぞれが接続される前記第1のFETの近傍、あるいは、当該第1のFETと隣接の前記第1のFETとの間に配置されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
さらに、n個の第2のFETを備え、
n個の前記第2のFETのソースまたはドレインは接地され、n個の前記第2のFETのドレインまたはソースは、それぞれ、n個の前記第1のFETのドレインまたはソースに直接接合されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載のFETスイッチにおいて、
さらに、n本の第4の配線を備え、
n個の前記第2のFETのドレインまたはソースは、n個の前記第1のFETのドレインまたはソースに、それぞれ直接接合されることに代わり、n本の前記第4の配線を介して、それぞれ接続されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項8】
請求項7に記載のFETスイッチにおいて、
n本の前記第4の配線は、それぞれ直線で形成され、かつ、それぞれの長さが互いに等しいことを特徴とするFETスイッチ。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第2のFETのゲートにそれぞれ接続される第2のn個の抵抗を備え、
n個の前記第2の抵抗は、それぞれが接続される前記第2のFETの近傍、あるいは、当該第2のFETと隣接の前記第1のFETまたは前記第2のFETとの間に配置されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第1のFETのゲート方位、あるいは、n個の前記第1のFETおよびn個の第2のFETのゲート方位が、互いに平行であるか、あるいは、90°の位置関係であることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n個の前記第1のFETまたはn個の前記第1のFETおよびn個の前記第2のFETと、n本の前記第2の配線とを少なくとも含み、前記第1の端子および前記第1の配線を除く各構成要素を、第1組と第2組として2組備え、前記第1組と前記第2組とのそれぞれに属する各構成要素が、前記基板の互いに対称な位置に配置されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n本の前記第2の配線が存在する領域の前記基板には、1層以上の誘電体層が積層され、
当該領域において、前記第2の配線と接地導体とが、前記基板上および前記誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの層上に形成されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
前記第1の配線およびn本の前記第2の配線が存在する領域の前記基板には、順に1層以上の誘電体層、接地導体、1層以上の誘電体層が積層され、
当該領域において、前記第1の配線とn本の前記第2の配線とは、前記接地導体が形成されていない前記基板上および前記誘電体層を含めた各層のうち互いに異なるいずれかの異なる層上に形成され、
前記第1の配線の他の一端と前記第2の配線の互いに接続された一端とは、第1のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のFETスイッチにおいて、
n本の前記第2の配線の他の一端とn個の前記第1のFETのソースまたはドレインとが、直接または第2のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
n本の前記第3の配線が存在する領域の前記基板には、1層以上の誘電体層および/または接地導体が積層され、
当該領域において、n本の前記第3の配線の一端とn個の前記第1のFETのドレインまたはソースとは、直接または第3のスルーホールを介して接続されてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
前記第1のスルーホールおよび/または前記第2のスルーホールおよび/または前記第3のスルーホールを、順次積層された前記接地導体を介して設置する場合、当該接地導体の一部の領域に、前記第1のスルーホールおよび/または前記第2のスルーホールおよび/または前記第3のスルーホールを、当該接地導体と接触することなく、通過させる間隙を設けてなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
前記第1のFETまたは前記第1のFET、前記第2のFETの配置領域と、前記第2の配線の配置領域とを除く領域に接地導体が積層される層を設け、さらに、当該接地導体上および/または当該接地導体下に、1層以上の誘電体層を備え、
前記第1の配線と前記第3の配線とを、前記基板上あるいは前記接地導体が積層された層と異なる層上に配置してなることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載のFETスイッチにおいて、
前記第1の配線、前記第2の配線のうち、一部または全ての配線の特性インピーダンスを、当該FETスイッチの入出力インピーダンスよりも高くすることを特徴とするFETスイッチ。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載のFETスイッチを(n+1)個(n:正整数)備え、
(n+1)個の前記FETスイッチの前記第2の端子の個数が、それぞれ、n、n、n、n、…、n個(n、n、n、n、…、n:それぞれのすべてが同一の正整数またはそれぞれの一部が同一の正整数またはそれぞれのすべてが異なる正整数)であって、
(n+1)個の前記FETスイッチのうち、n個の前記第2の端子を有する前記FETスイッチを第1のFETスイッチとして、当該第1のFETスイッチの前記第1の端子を共通の新たな第1の端子とし、当該第1のFETスイッチのn個の前記第2の端子に、それぞれ、残りのn個の前記FETスイッチの前記第1の端子を接続し、残りのn個の前記FETスイッチのそれぞれn、n、n、…、n個の前記第2の端子を、合計(n+n+n+…+n)個の新たな第2の端子とすることにより、SP(n+n+n+…+n)Tスイッチとして構成することを特徴とするFETスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−74027(P2010−74027A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242096(P2008−242096)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】