説明

GaAs製の半導体基板及び半導体素子

【課題】GaAsの格子定数より低い格子定数を有する改善された擬似基板並びにかかる擬似基板を備えた半導体素子を提供する。
【解決手段】GaAs製の半導体基板(1)であってその上に半導体層配列(2、13、14、35)が施与された半導体基板であって、該半導体層配列(2、13、14、35)は、Al1−yGaAs1−x[式中、0≦x≦1、0≦y≦1]からなる多数の半導体層を含み、その際、幾つかの半導体層は、それぞれリン割合xを有し、その割合は、半導体層配列の成長方向でその下にある隣接する半導体層中の割合よりも大きいことを特徴とする半導体基板と該基板を含む半導体素子とによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GaAs製の半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板及びかかる半導体基板を備えた半導体素子に関する。
【0002】
本願は、ドイツ国特許出願第10 2005 046 943.4及び同第10 2005 056 950.1の優先権を主張するものであり、その開示内容は本願に含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
電子半導体素子又は光電子半導体素子の製造のためには、立方格子構造を有し、かつ格子定数がGaAsとGaPの格子定数の間にある基板を使用することが望まれる。かかる基板は、III−V族半導体層又はII−VI族半導体層、特に第三級化合物又は第四級化合物のエピタキシャル成長のために使用でき、これらの基板は、GaAsとGaPの間の格子定数を有し、かつ今までは十分な品質で製造できないか又は比較的大きな製造労力をもってのみ製造できるに過ぎなかった。
【0004】
しかしながら、GaAsとGaPの間の格子定数を有する一元又は二元の半導体材料は知られていない。更に、三元の半導体化合物、例えばGaAsP又はInAlGaPは、公知の結晶成長法では、直接基板材料として製造できないか又は粗悪な結晶品質でのみ製造できるに過ぎない。
【0005】
前記の問題の解決の手掛かりは、比較的厚い例えばGaAsP製の緩衝層をGaAs基板上に成長させて、こうしてGaAsより低い格子定数を有する擬似基板(Quasisubstrat)を作製することにある。しかしながら、この場合に、基板と緩衝層との間の格子不整合によって制約される緩衝層の成長方向での結晶欠陥、特に転位を減らして、緩衝層の表面上での更なる半導体層のエピタキシャル成長を十分な品質で可能にするには、一般に10μmを上回る比較的厚い層厚が必要である。
【0006】
更に、かかる緩衝層を設けた半導体ウェハは、緩衝層の不完全な緩和とそれに起因する層張力(Schichtspannung)とによって制約されて、大きな撓みを示すことが不利であると分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、GaAsの格子定数より低い格子定数を有する改善された擬似基板並びにかかる擬似基板を備えた半導体素子を提供することである。特に、該擬似基板は、GaAsより低い格子定数を有する更なる半導体層のエピタキシャル成長を高い品質で可能にする比較的高い結晶品質と比較的低い製造労力とに卓越していることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、GaAs製の半導体基板(1)であってその上に半導体層配列(2、13、14、35)が施与された半導体基板であって、該半導体層配列(2、13、14、35)は、Al1−yGaAs1−x[式中、0≦x≦1、0≦y≦1]からなる多数の半導体層を含み、その際、幾つかの半導体層は、それぞれリン割合xを有し、その割合は、半導体層配列の成長方向でその下にある隣接する半導体層中の割合よりも大きいことを特徴とする半導体基板と該基板を含む半導体素子とによって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求の対象である。
【0009】
GaAs製の半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板では、本発明による該半導体層配列は、Al1−yGaAs1−x[式中、0≦x≦1、0≦y≦1]からなる多数の半導体層を含み、その際、幾つかの半導体層、有利には少なくとも3つ、好ましくは少なくとも2つの半導体層は、それぞれリン割合xを有し、その割合は、半導体層配列の成長方向でその下にある隣接する半導体層中の割合よりも大きい。
【0010】
GaAs製の半導体基板上に施与された、幾つかのAl1−yGaAs1−x層からなるかかる半導体層配列は、比較的高い結晶品質を有することが分かった。リン割合xを、半導体層配列の成長方向で、互いに隣接している半導体層間の幾つかの境界面を基準として高めることによって、幾つかの半導体層におよぶ結晶欠陥、特に転位の拡大が阻止され、こうして結晶品質が改善される。特に、転位の拡大は、半導体層配列内でのリン割合の飛躍的な変化とそれに関連する格子定数の飛躍的な変化に基づき、段階的又は一定の組成を有する緩衝層と比較して抑えられていることが分かった。
【0011】
半導体層配列の最上層は、GaAs基板より小さい格子定数を有することが好ましい。GaAs基板であってその上に半導体層配列が施与された基板は、特に擬似基板として、GaAsより小さい格子定数を有する更なる半導体層のエピタキシャル成長のために使用することができる。
【0012】
特に、GaAsより低い格子定数を有するIII−V族半導体材料又はII−VI族半導体材料からなる、放射線を検出又は放出する光電子素子に適した機能的な半導体層を、該擬似基板上にエピタキシャル成長させることができる。
【0013】
本発明の有利な実施形態では、リン割合xは、幾つかの連続した半導体層において半導体層配列の成長方向で段階的に高まる。従って好ましくは、該半導体層配列は、それぞれ固定のリン割合xを有する互いに隣接した一定数の半導体層を含み、その際、そのリン割合xは、成長方向で、ある半導体層からそれぞれ隣接する後続の半導体層に向かって段階的に高まる。特に、リン割合xは、ある半導体層から後続の半導体層に向かって、それぞれ同じ大きさだけ高まることが好ましい。リン割合xが段階的に高まる連続した半導体層の数は、有利には4又はそれ以上である。更に、リン割合xが段階的に高まる半導体層の数は、有利には10を上回らない。
【0014】
更に、該半導体層配列は、Al1−yGaAs1−xからなる第一の半導体層と第二の半導体層の交互の層(その際、第一の半導体層は、リン割合x>0を有し、かつ第二の半導体層は、リン割合x>0を有し、x≠xである)からなる超格子を含んでよい。種々異なるリン割合を有する交互の層としてのかかる超格子では、半導体層配列における転位の拡大は、特に効果的に抑えることができる。
【0015】
特に、半導体層配列が幾つかの半導体層を有し、それらの層ではリン割合xが段階的に高まり、その際、段階的に高まるリン割合を有する半導体層の後続に、リン割合xを有する第一の半導体層とリン割合xを有する第二の半導体層の交互の層からなる超格子があることが好ましい。
【0016】
半導体層配列の最上層の半導体層におけるリン割合xについては、有利にはx≧0.13、x≧0.15が当てはまる。前記のように、特に、半導体層配列の最上層の半導体層における格子定数が、GaAsの格子定数より0.5%を上回るだけ小さいということに至ることができる。特に有利には、半導体層配列の最上層の半導体層におけるリン割合xについては、x≧0.2が当てはまり、GaAsと比較して少なくとも0.7%だけ小さい最上層の半導体層における格子定数が達成される。
【0017】
本発明の更なる有利な実施形態では、半導体層配列におけるアルミニウム割合1−yについては、1−y=0が当てはまる。この場合には、半導体層配列は、従ってGaAs1−xに基づくものである。
【0018】
本発明による半導体層配列は、特に、比較的薄い全厚さの半導体層配列で、高い結晶品質と低い転位密度を有する擬似基板を作製できるという利点を有する。特に有利には、半導体層配列の全厚さは、10μm又はそれ未満である。半導体層配列の半導体層は、有利には、100nmと1000nmを含めてその間の厚さを有する。
【0019】
本発明による半導体素子は、前記の有利な実施態様の一つに従って、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板を含む。
【0020】
特に、該半導体素子は、光電子素子、例えば発光ダイオード又は半導体レーザであってよい。
【0021】
該光電子素子は、特に放射線を検出又は放出する能動層を含む。放射線を検出又は放出する能動層は、基板上に施与された半導体層配列上にエピタキシャル成長された更なる半導体層配列に含まれうる。この場合に、GaAs基板であってその上に半導体層配列が施与された基板は、従って、光電子素子の機能的な半導体層、特に放射線を放出又は検出する層を含む更なる半導体層配列のための擬似基板として機能する。
【0022】
放射線を検出又は放出する層は、特にInAlGa1−x−yP(その際、0≦x<0.5と、0≦y≦1と、x+y≦1である)を含有してよい。選択的に、放射線を検出又は放出する層が、半導体材料ZnSe、ZnSSe、ZnMgSSe、MgS、GaAsN又はInGaAsNの1つを含有することも可能である。
【0023】
半導体層配列の半導体層は、有利にはメタモルフィックな半導体層である。これは、特に、該半導体層が、少なくともほぼ歪みなく(unverspannt)、GaAs基板上又はそれぞれその下にある半導体層上に成長することを意味している。半導体層は、このために、有利には700℃又はそれ未満の温度で、例えば450℃〜700℃の範囲で成長させる。
【0024】
半導体層のメタモルフィック成長を通じて、半導体層の異なる格子定数によりかつ/又はGaAs基板に制約される層張力は、十分に低減される。それによって、さもなくば生ずる層張力に基づく半導体基板の撓みは、低減される。
【0025】
半導体層の少なくとも1つ、特に最上層の半導体層が緩和されていることが好ましい。
【0026】
最上層の半導体層の緩和は、その下にある半導体層の少なくとも1つがそれより低い格子定数を有することによって促せることが分かった。有利な一実施形態では、半導体層配列の最上層の半導体層は、該層のすぐ前の両方の半導体層よりも低い格子定数を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明を、4つの実施例をもとに図1〜4とのかかわりで詳細に説明する。
【0028】
ここで、
図1Aは、本発明の第一の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
図1Bは、第一の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
図2Aは、本発明の第二の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
図2Bは、第二の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
図3Aは、本発明の第三の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
図3Bは、第三の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
図4は、本発明による半導体素子の一実施例の断面図を示している
図5は、本発明の更なる実施例での、格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している。
【0029】
同一また同様に作用する構成素子には図面において同一の参照番号が付されている。図示されている要素は縮尺どおり描かれたものではなく、理解しやすくするため個々の要素は誇張して大きく描かれている場合もある。
【0030】
図1において断面で図示したGaAs製の半導体基板1上には、幾つかのGaAsP層からなる半導体層配列2が施与されている。該半導体層配列2は、GaAs基板から出発して、GaAs0.950.05層3と、GaAs0.900.10層4と、GaAs0.850.15層5と、GaAs0.800.20層6と、GaAs0.750.25層7とを含む。従って、該半導体層配列2は、全体で5つのGaAs1−x製の半導体層3、4、5、6、7(その際、リン割合xは、GaAs基板1に隣接した半導体層3におけるx=0.05の値から、最上層の半導体層7におけるx=0.25の値へと段階的に増大する)を含む。この場合に、半導体層のリン割合は、それぞれその下にある半導体層に対して、Δx=0.05の大きさだけ高まる。
【0031】
GaAs製の半導体基板1であってその上に層配列2が施与された基板は擬似基板8を表し、その表面9の上に、特に更なる半導体層又は半導体層配列を成長させることができる。特に、擬似基板8の表面9の上に、GaAsより小さい格子定数を有する半導体層をエピタキシャル成長させることができる。これが可能であることが好ましいのは、最上層の半導体層7が、そのリン割合に応じてGaAs基板1より小さい格子定数を有するためである。
【0032】
GaAs1−x半導体層のリン割合xと格子定数との関係は図1Bで詳細に示されており、そこでは、リン割合xと格子定数の相対変化ε=(d−d)/dの推移を、基板1から始まり半導体層配列の成長方向に走る位置座標zに関連して表している。この場合に、dは、GaAs基板1の格子定数であり、かつdは、それぞれのGaAs1−x層の格子定数である。
【0033】
半導体層配列におけるリン割合x(実線)の段階的な増大により、格子定数dの段階的な低下がもたらされる。
【0034】
例えば、最上層の半導体層7でリン割合xがx=0.25の値にまで高まることによって、格子定数dは、GaAs基板1の格子定数dに対して、約0.9%だけ低下するに至る。
【0035】
図2Aにおいて断面で図示した本発明の第二の実施例による、半導体基板1であってその上に半導体層配列13が施与された基板では、第一の実施例と同様に、5つの半導体層3、4、5、6、7は、リン割合をx=0.05からx=0.25にまで段階的に高めて、GaAs基板1の上に配置されている。リン割合が段階的に増大した半導体層3、4、5、6、7の上には、それぞれGaAs0.850.15製の第一の半導体層11とGaAs0.650.35製の第二の半導体層12とからなる3つの層組を含む超格子構造10がある。第一の実施例に対して追加的に半導体層配列13に含まれる超格子構造10によって、更に良好な転位の拡大の低下に至り、こうして半導体層配列13の表面9の結晶品質が更に改善され、従って擬似基板8は更に改善される。
【0036】
本発明の第二の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εの推移を、基板から始まる位置座標zに関連して、図2Bに示している。
【0037】
本発明による半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された基板の更なる実施例を、図3Aに断面図で示している。この実施例では、GaAs基板1の上に、全体で11つの半導体層を含む半導体層配列14が施与されている。半導体層配列14は、GaAs基板1から出発して、GaAs0.900.10層15と、GaAs0.900.10層16と、GaAs0.850.15層17と、GaAs0.950.05層18と、GaAs0.800.20層19と、GaAs0.900.10層20と、GaAs0.750.25層21と、GaAs0.850.15層22と、GaAs0.700.30層23と、GaAs0.800.20層24と、GaAs0.750.25層25とを含む。
【0038】
リン割合xと格子定数の相対変化εを、基板1から始まる位置座標zに関連して図3Bにおいて図示した推移は、半導体層配列14におけるリン割合xが、最上層の半導体層25におけるx=0.25の値にまで段階的に高まるが、その際、そのリン割合は、第一の実施例に対して、各半導体層において成長方向でその下にある半導体層での割合より大きくもあり、また幾つかの半導体層においては、成長方向でその下にある半導体層での割合より小さくもあることを明確に示している。半導体層配列14におけるリン割合の推移は、従って、第一の半導体層と第二の半導体層の交互の層(その際、各々の層組での第一の半導体層と第二の半導体層のリン割合は、その下にある層組に対して高められている)からなる超格子構造に相当する。前記のようにして、第一の実施例でのリン割合の段階的な増加と第二の実施例での超格子構造の有利な特性は、特に転位の拡大の低下に関して、ただ一つの半導体層配列14において互いに組み合わされている。
【0039】
図4において、本発明による半導体素子の実施例を断面で図示している。半導体素子27は、GaAs基板1であってその上に半導体層配列2が施与された基板を含む発光ダイオードである。
【0040】
半導体層配列2の構成は、前記の第一の実施例と同様である、すなわち半導体層配列2は、5つのGaAs1−x製の半導体層3、4、5、6、7(その際、リン割合xは、GaAs基板1に隣接した半導体層3におけるx=0.05の値から、最上層の半導体層7におけるx=0.25の値へと段階的に増大する)を含む。
【0041】
GaAs基板1であってその上に半導体層配列2が施与された基板は擬似基板8を表し、その表面9の上には、更なる半導体層配列28がエピタキシャル成長されている。半導体層配列28は、GaAsより低い格子定数を有する半導体材料を基礎とするものである。
【0042】
半導体層配列28には、例えばInGaAl1−x−yP(その際、0<x<0.5と、0≦y≦1と、x+y≦1である)を含有する放射線を放出する能動層29が含まれている。
【0043】
選択的に、放射線を放出する能動層29は、例えば半導体材料ZnSSe、ZnMgSSe、GaAsN又はInGaAsNを含有する。
【0044】
発光ダイオードの電気的な接触接続のために、例えば第一の電気的コンタクト層30は、半導体層配列2とは反対の基板1の反対側に、そして第二の電気的コンタクト層31は、半導体層配列28の基板1とは反対の表面上に設けられていてよい。
【0045】
図5において、格子定数の相対変化εの推移を、半導体基板から始まる位置座標zに関連して示している。この実施例では、擬似基板の作製のために、全体で11つの半導体層を有する半導体層配列35が、半導体基板上に施与されている。基板に接する層31は、その基板に対して−0.4%の格子不整合を有する。最上層の半導体層32の表面は擬似基板として機能し、その際、その最上層の半導体層では、ε=−0.8%が当てはまる。εの変化は、半導体層配列35では、9番目の層33におけるε=−1.2%にまで段階的に起こる。
【0046】
最上層の半導体層の前の両方の層33、34は、従ってそれぞれ、擬似基板として設けられる最上層の半導体層32より小さい格子定数を有する。最上層の半導体層32の前の層33、34における格子定数の過剰補償は、擬似基板として機能する最上層の半導体層32の上に、更なる層、例えばLED層配列を施与する前に、最上層の半導体層32の完全な緩和を助長する。
【0047】
本発明は、実施例に基づいたこれまでの説明によって限定されるものではない。すなわち本発明は、あらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしてもあてはまる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】図1Aは、本発明の第一の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
【図1B】図1Bは、第一の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
【図2A】図2Aは、本発明の第二の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
【図2B】図2Bは、第二の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
【図3A】図3Aは、本発明の第三の実施例による、半導体基板であってその上に半導体層配列が施与された半導体基板の断面図を示している
【図3B】図3Bは、第三の実施例における、リン割合xと格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
【図4】図4は、本発明による半導体素子の一実施例の断面図を示している
【図5】図5は、本発明の更なる実施例での、格子定数の相対変化εを位置座標zに関連して示したグラフを示している
【符号の説明】
【0049】
1 半導体基板、 2、13、14、28、35 半導体層配列、 3 GaAs0.950.05層、 4 GaAs0.900.10層、 5 GaAs0.850.15層、 6 GaAs0.800.20層、 7 GaAs0.750.25層、 8 擬似基板、 9 擬似基板の表面、 10 超格子構造、 11 第一の半導体層、 12 第二の半導体層、 15 GaAs0.900.10層、 16 GaAs0.900.10層、 17 GaAs0.850.15層、 18 GaAs0.950.05層、 19 GaAs0.800.20層、 20 GaAs0.900.10層、 21 GaAs0.750.25層、 22 GaAs0.850.15層、 23 GaAs0.700.30層、 24 GaAs0.800.20層、 25 GaAs0.750.25層、 27 半導体素子、 29 能動層、 30 第一の電気的コンタクト層、 31 第二の電気的コンタクト層、 32 最上層の半導体層、 33、34 最上層の半導体層の前の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaAs製の半導体基板(1)であってその上に半導体層配列(2、13、14、35)が施与された半導体基板であって、該半導体層配列(2、13、14、35)は、Al1−yGaAs1−x[式中、0≦x≦1、0≦y≦1]からなる多数の半導体層を含み、その際、幾つかの半導体層は、それぞれリン割合xを有し、その割合は、半導体層配列の成長方向でその下にある隣接する半導体層中の割合よりも大きいことを特徴とする半導体基板。
【請求項2】
請求項1記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)の少なくとも2つの半導体層におけるリン割合xが、半導体層配列の成長方向でその下にある隣接する半導体層中の割合よりも大きいことを特徴とする半導体基板。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体基板であって、リン割合xが、半導体層配列(13)の幾つかの連続した半導体層において段階的に高まることを特徴とする半導体基板。
【請求項4】
請求項3記載の半導体基板であって、リン割合xが、半導体層配列(13)の少なくとも3つの連続した半導体層において段階的に高まることを特徴とする半導体基板。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(14)が、第一の半導体層(11)と第二の半導体層(12)の交互の層(その際、第一の半導体層は、リン割合x≧0を有し、かつ第二の半導体層は、リン割合x≧0を有し、x≠xである)からなる超格子構造(10)を含むことを特徴とする半導体基板。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)の最上層の半導体層(7、12、25、32)におけるリン割合xについて、x≧0.15が当てはまることを特徴とする半導体基板。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)におけるアルミニウム割合1−yについて、1−y=0が当てはまることを特徴とする半導体基板。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)の全厚さが、10μm又はそれ未満であることを特徴とする半導体基板。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層が、100nmと1000nmを含めてその間の厚さを有することを特徴とする半導体基板。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14)の最上層の半導体層(7、12、25、32)が、GaAs基板(1)より小さい格子定数を有することを特徴とする半導体基板。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(35)の最上層の半導体層(32)が、その前の少なくとも1つの半導体層より小さい格子定数を有することを特徴とする半導体基板。
【請求項12】
請求項11記載の半導体基板であって、半導体層配列の最上層の半導体層(32)が、その前の両者の半導体層(33、34)より小さい格子定数を有することを特徴とする半導体基板。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)の少なくとも1つの半導体層が緩和されていることを特徴とする半導体基板。
【請求項14】
請求項13記載の半導体基板であって、半導体層配列(2、13、14、35)の最上層の半導体層(7、12、25、32)が緩和されていることを特徴とする半導体基板。
【請求項15】
半導体素子であって、GaAs基板(I)であってその上に半導体層配列(2)が施与されている請求項1から14までのいずれか1項記載の半導体基板を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項16】
請求項15記載の半導体素子であって、該半導体素子が光電子素子(27)であることを特徴とする半導体素子。
【請求項17】
請求項16記載の半導体素子であって、光電子素子(27)が発光ダイオード又は半導体レーザであることを特徴とする半導体素子。
【請求項18】
請求項16又は17記載の半導体素子であって、光電子素子(27)が、放射線を検出又は放出する層(29)を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項19】
請求項18記載の半導体素子であって、放射線を検出又は放出する層(29)が、InAlGa1−x−yP(その際、0≦x<0.5と、0≦y≦1と、x+y≦1である)を含有することを特徴とする半導体素子。
【請求項20】
請求項18記載の半導体素子であって、放射線を検出又は放出する層(29)が、ZnSSe又はZnMgSSeを含有することを特徴とする半導体素子。
【請求項21】
請求項18記載の半導体素子であって、放射線を検出又は放出する層(29)が、GaAsN又はInGaAsNを含有することを特徴とする半導体素子。
【請求項22】
請求項18から21までのいずれか1項記載の半導体素子であって、放射線を検出又は放出する層(29)が、半導体層配列(2)上にエピタキシャル成長された更なる半導体層配列(28)中に含まれていることを特徴とする半導体素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−103930(P2007−103930A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262661(P2006−262661)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Wernerwerkstrasse 2, D−93049 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】