説明

SOI構造シングルイベント耐性のNAND素子、及びNOR素子

【課題】高いシングルイベント耐性を有するNAND素子、NOR素子を提供する。
【解決手段】チャネルが並列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第2のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが直列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ及び第2のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、それらのトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI構造インバータ、SOI構造メモリ素子、及びSOI構造データラッチ回路に関し、より詳しくは、シングルイベント耐性を有するSOI構造シングルイベント耐性インバータ、SOI構造シングルイベント耐性半導体メモリ素子、及びSOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路に関する。本発明はまた、SOI構造NAND素子及びSOI構造NOR素子にも関し、より詳しくは、シングルイベント耐性を有するSOI構造NAND素子及びSOI構造NOR素子に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ素子、データラッチ回路などの半導体素子は、2つのインバータを組み合わせた記憶ノードを有している。動作中の従来の構成のインバータに、放射線、イオン線等の高エネルギー粒子線が入射すると、そのエネルギー粒子の電離作用、励起作用などによって、インバータの素子内に電子−正孔対を生じ、電荷が発生することがある。この発生電荷が素子内の電界によって異なる領域に流れ込む現象(電荷収集)、いわゆるシングルイベント現象が発生すると、それがその素子の誤動作を引き起こし、インバータの出力が一時的に反転したりする。この現象が、メモリ素子などを構成するインバータで発生すると、記憶している情報の反転という深刻な誤動作が発生することがある。このような現象は、シングルイベントアップセットと呼ばれている。このシングルイベントは、高エネルギー粒子が存在しやすい環境である、高空、宇宙空間、放射線関連施設等でしばしば観察され、そのような環境下でのコンピュータの正常な動作の阻害要因となっている。そのような高エネルギー粒子を物理的に完全に遮蔽することによってシングルイベントを防止することは現実的な対策ではない。従って、シングルイベントを効果的に防止するためには、シングルイベントに単体で耐性を有する構造を有するインバータやメモリ素子が必要となる。
【0003】
図1は、従来のインバータ1I1の回路図である。なお、これから明細書中で使用する記号の説明を以下に示す:
D 入力データ信号;
G 入力クロック信号;
Gi クロック信号(入力クロック信号Gと同相)
GBi 反転クロック信号;
Q 出力データ信号;
XQ 反転出力データ信号;
DD 第1の電圧源からの電源電圧;及び
SS 第2の電圧源からの電源電圧(0V)。
【0004】
インバータ1I1は、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側(VDD)に接続されたノードから第2の電圧源側(VSS)に接続されたノードに向かって、pチャネルMOSトランジスタ1P1及びnチャネルMOSトランジスタ1N1がその順番に接続された構成を有する。シングルイベントは、いずれかオフのトランジスタ、例えばハイレベルがクロック信号Gとして入力されたときのpチャネルMOSトランジスタ1P1を、瞬間的にオフからオンに変化させ、その結果として、反転クロック信号GBiとしてローレベルで出力されていた信号をハイレベル側に瞬間的にシフトさせる。
【0005】
図2は、従来のインバータを使用したデータラッチ回路1の回路図である。図1のインバータ1I1は、データラッチ回路1に入力される反転クロック信号GBiを生成するために、組み合わせて使用される。データラッチ回路1において、クロック信号Gがローレベルのときは、出力データ信号Qには、入力データ信号Dと同じ論理レベルが出力される(トランスペアレントモード、スルーモード)。クロック信号Gの立ち上がり時に、入力データ信号Dが入力段のクロックドインバータ1I2から取り込まれてラッチされ、入力クロック信号Gがハイレベルの間、保持される(ラッチモード)。ラッチされたデータの保持は、出力と入力とが交差接続されたクロックドインバータ1I3とインバータ1I4とで構成される記憶ノードで行われる。バッファ回路を構成するインバータ1I5及びインバータ1I6とから、それぞれ出力データ信号Q及び反転出力データ信号XQとして出力される。ここで、例えばラッチモード時に、記憶ノードを構成するクロックドインバータ1I3及びインバータ1I4の中のいずれかのオフのトランジスタがシングルイベントによりオンとなったとする。すると、そのトランジスタを含むインバータの出力が反対の論理側にレベルシフトし、その論理値の変化が他方のインバータに入力されて当該インバータの出力を反転させると、記憶ノードの論理値が反転してシングルイベントアップセットが発生する。また、ラッチモードにおいては、入力段のクロックドインバータ1I2のトランジスタ1P3及びトランジスタ1N3はいずれもオフであって入力データ信号Dを後段に伝達しないようにしているが、そのトランジスタがシングルイベント現象によってオンになったとすると、入力データ信号Dが(反転されて)後段に出力されてしまう。このときに、入力データ信号Dが、記憶ノードで記憶されている論理状態と相反する論理レベルであれば、記憶データが反転(シングルイベントアップセット)してしまう。このように、従来のインバータや、それを含むメモリ素子は、シングルイベントに対して非常に脆弱である。
【0006】
また、従来の基本的な論理回路の素子もシングルイベントに対して脆弱である。図9は、従来の2入力NAND素子の回路図であり、図10は、従来の3入力NAND素子の回路図である。また、図11は、従来の2入力NOR素子の回路図であり、図12は、従来の3入力NOR素子の回路図である。いずれの素子の回路においても、オフのトランジスタがシングルイベントによってオンになったとすると、その出力の論理レベルは、反対方向に大きく動く場合がある。これによって、そのような誤動作をした素子からの出力が入力される素子においては、その入力の論理値が反転することもある(シングルイベントアップセット)。
【0007】
上記のようなシングルイベントに耐性のある構造を有するインバータやメモリ素子としては、従来、以下のようなものがあった(特許出願第2002−200130号に記載の技術。)。図3は、二重化構造を有するインバータ2Iの回路図である。インバータ2Iは、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第1のnチャネルMOSトランジスタがその順番に接続された構造を有するインバータにおいて、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの第2のMOSトランジスタが、ソース又はドレインのラインに関して直列に更に接続された二重化構造を有する。
【0008】
インバータ2Iでは、以下のような動作によって、シングルイベントをある程度抑制する。クロック信号Gがハイレベルのとき、トランジスタ2P1及び2P2はオフ、2N1及び2N2はオンであって、出力の反転クロック信号GBiはローレベルである。トランジスタ2P1及び2P2がオフの状態のとき、そのいずれか一方に高エネルギー粒子が入射してシングルイベントが発生してオンになったとする。しかし、ソース又はドレインのラインに関して直列に接続された他方のトランジスタがオフのままであるため、シングルイベントによる出力のレベル変化は他方のトランジスタによってブロックされ、出力の反転クロック信号GBiには伝わらない。このように、トランジスタのいずれか1個が上記のように誤動作しても、インバータ全体としては、シングルイベントが発生しにくいことになる。また、このような構成のインバータを使用することによって、シングルイベント耐性がある程度高いメモリ素子、データラッチ回路を構成することが可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしシングルイベントは有害な現象であるため、それに対する耐性はより高い方が望ましい。従って、さらに高いシングルイベント耐性を有するインバータ、メモリ素子、データラッチ回路が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、より高いシングルイベント耐性を有するインバータ、メモリ素子、データラッチ回路を提供するものである。その課題は、以下のような特徴を有する本発明によって解決される。すなわち本発明は、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第1のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続された構造を有するインバータにおいて、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの第2のMOSトランジスタが、ソース又はドレインのラインに関して直列に更にそれぞれ接続され、かつ、当該第1のpチャネルMOSトランジスタと当該第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、当該第1のnチャネルMOSトランジスタと当該第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続された二重化構造を有するように構成できる。
【0011】
本発明は、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び第2のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続されており、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタはインバータを構成し、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートは共通接続され、かつ、当該インバータの入力に接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタと当該第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、当該第1のnチャネルMOSトランジスタと当該第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタと当該第2のpチャネルMOSトランジスタとによって二重化構造を有するpチャネルMOSトランジスタが形成されるようになっており、及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタと当該第2のnチャネルMOSトランジスタとによって二重化構造を有するnチャネルMOSトランジスタが形成されるようにも構成できる。
【0012】
本発明は、一方の出力が他方の入力に直接あるいはオンオフゲートを介してそれぞれ交差接続された2個のインバータを含むSOI構造の基板上に形成された半導体メモリにおいて、当該インバータの内の少なくとも1個のインバータは、上記の本発明のSOI構造シングルイベント耐性インバータであるようにも構成できる。
【0013】
本発明は、出力が第2のインバータの入力に接続された第1のインバータと、お互いに相補な論理値の相補クロック信号に基づくオンオフ制御がなされる接続を通じて出力が第1のインバータの入力に接続された第2のインバータと、当該相補クロック信号とそれぞれ逆相の逆相相補クロック信号に基づいたオンオフ制御の下に、入力を当該第1のインバータの入力に反転出力するクロックドインバータと、を有するSOI構造の基板上で形成されたデータラッチ回路において、当該第1のインバータ及び当該第2のインバータのうちの少なくともいずれか上記の本発明のSOI構造シングルイベント耐性インバータであるようにも構成できる。
【0014】
本発明は、当該クロックドインバータは、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、第3のpチャネルMOSトランジスタ、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタがその順番に接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第3のpチャネルMOSトランジスタのゲートの組と、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートの組には、それぞれ当該逆相相補クロック信号が印可され、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタは、当該SOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路の入力を構成し、及び当該第3のpチャネルMOSトランジスタと当該第1のnチャネルMOSトランジスタの間のノードは当該クロックドインバータの出力を構成するようにも構成できる。
【0015】
本発明は、チャネルが並列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第2のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが直列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ及び第2のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造2入力NAND素子であって、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有するようにも構成できる。
【0016】
本発明は、当該第1のnチャネルMOSトランジスタと当該第2のnチャネルMOSトランジスタとの間には二重化構造のための当該チャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタが接続されていないようにも構成できる。
【0017】
本発明は、チャネルが並列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び第3のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが直列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、当該第3のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第3の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造3入力NAND素子であって、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第3のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、当該第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有するようにも構成できる。
【0018】
本発明は、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、当該第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのどのいずれか2つの間にも二重化構造のための当該チャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタが接続されていないようにも構成できる。
【0019】
本発明は、チャネルが直列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第2のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが並列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ及び第2のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造2入力NOR素子であって、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有するようにも構成できる。
【0020】
本発明は、当該第1のpチャネルMOSトランジスタと当該第2のpチャネルMOSトランジスタとの間には二重化構造のための当該チャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタが接続されていないようにも構成できる。
【0021】
本発明は、チャネルが直列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び第3のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが並列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、当該第3のpチャネルMOSトランジスタ及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第3の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造3入力NOR素子であって、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、当該第3のpチャネルMOSトランジスタ、当該第1のnチャネルMOSトランジスタ、当該第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び当該第3のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有するようにも構成できる。
【0022】
本発明は、当該第1のpチャネルMOSトランジスタ、当該第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び当該第3のpチャネルMOSトランジスタのどのいずれか2つの間にも二重化構造のための当該チャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタが接続されていないようにも構成できる。
本発明は、出力が第2のインバータの入力に接続された第1のインバータと、出力が前記第1のインバータの入力に接続された第2のインバータと、お互いに相補な論理値の相補クロック信号に基づいたオンオフ制御の下に、入力を前記第1のインバータの入力に反転出力するクロックドインバータと、を有するSOI構造の基板上で形成されたデータラッチ回路において、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータのうちの少なくともいずれかは、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第1のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続された構造を有するインバータであって、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの第2のMOSトランジスタが、ソース又はドレインのラインに関して直列に更にそれぞれ接続され、かつ、前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続された二重化構造を有するものであり、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータのうちの少なくともいずれかは、前記相補クロック信号とそれぞれ逆相の逆相相補クロック信号に基づいたオンオフ制御がなされるクロックドインバータであるようにも構成できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、インバータを構成するpチャネルMOSトランジスタ及びnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して同じ導電型のトランジスタをさらに直列に接続した二重化構造にし、2つのpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、2つのnチャネルMOSトランジスタの間のノードとを接続線で接続したので、当該接続線との2つの接続線の間にある2つのMOSトランジスタのソース・ドレイン間はほぼ同電位となってシングルイベントが発生しにくくなり、その他のMOSトランジスタがシングルイベントによってオフからオンになったとしてもインバータの出力は影響を受けにくくなることによって、シングルイベントによる誤動作が効果的に防止されたシングルイベント耐性インバータを得ることができるという効果が得られる。
【0024】
さらに本発明によれば、メモリ素子が、2つのシングルイベント耐性インバータの出力と入力とを交差接続して構成した記憶ノードを含むので、シングルイベントによる誤動作が効果的に防止されたシングルイベント耐性メモリ素子を得ることができるという効果が得られる。
【0025】
さらに本発明によれば、データラッチ回路が、2つのシングルイベント耐性インバータから構成された記憶ノードを含み、データ入力段のクロックドインバータに含まれるクロックに接続されたpチャネルMOSトランジスタ及びnチャネルMOSトランジスタをそれぞれ1つずつさらに直列に接続したので、シングルイベントによる誤動作が効果的に防止されたシングルイベント耐性データラッチ回路を得ることができるという効果が得られる。
【0026】
さらに本発明によれば、2入力NAND素子、3入力NAND素子、2入力NOR素子、及び3入力NOR素子において、それを構成するpチャネルMOSトランジスタ及びnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を設けたので、シングルイベントによる誤動作が効果的に防止された2入力NAND素子、3入力NAND素子、2入力NOR素子、及び3入力NOR素子を得ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のインバータ1I1の構成を表わす回路図である。
【図2】従来のデータラッチ回路1の構成を表わす回路図である。
【図3】従来の二重化構造を有するトランジスタを含むインバータ2Iの構成を表わす回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るシングルイベント耐性インバータ3Iの構成を表わす回路図である。
【図5】シングルイベント耐性データラッチ回路4と組み合わせて使用されるバッファ回路4Bの構成を表わす回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るシングルイベント耐性データラッチ回路4の構成を表わす回路図である。
【図7】SOI基板nチャネルMOSトランジスタ10の断面図である。
【図8】バルク基板nチャネルMOSトランジスタ20の断面図である。
【図9】従来の2入力NAND素子9の構成を表わす回路図である。
【図10】従来の3入力NAND素子10の構成を表わす回路図である。
【図11】従来の2入力NOR素子11の構成を表わす回路図である。
【図12】従来の3入力NOR素子12の構成を表わす回路図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る2入力NAND素子13の構成を表わす回路図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る3入力NAND素子14の構成を表わす回路図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る2入力NOR素子15の構成を表わす回路図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る3入力NOR素子16の構成を表わす回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態に係るに係るインバータの構成)
これから回路図(図4〜6)を参照して、本発明の一実施形態としてのインバータ、データラッチ回路の構成及び動作を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る、二重化構造を有するトランジスタを含むインバータ3Iの構成を表わす回路図である。インバータ3Iにおいては、インバータ1I1におけるトランジスタ1P1に対応する(pチャネルMOS)トランジスタ3P1に対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの(pチャネルMOS)トランジスタ3P2が、ソース又はドレインのラインに関して直列に更に接続された二重化構造が形成されている。これらの2個のトランジスタ3P1及び3P2は、ゲートが共通であり、そのゲートによって制御されるソース又はドレインのラインがお互いに直列に接続されているため、それら2つで1個のトランジスタと同じ動作を実行する。同様に、(nチャネルMOS)トランジスタ3N1に対して(nチャネルMOS)トランジスタ3N2が、ソース又はドレインのラインに関して直列に更に接続されている。さらにインバータ3Iは、トランジスタ3P1とトランジスタ3P2の間のノード(図中のノードA)と、トランジスタ3N1とトランジスタ3N2の間のノード(図中のノードB)とが接続されており、AB間の電位差はほぼゼロとなっている。このノードAとノードBの間の接続を「AB短絡線」と呼ぶことにする。トランジスタ3P1のソースには電源電圧VDDの第1の電圧源からの接続点(図中で右上がりの斜線)が接続され、トランジスタ3N1のソースには電源電圧VSSの第2の電圧源からの接続点(図中でシャーシ接地のシンボル)が接続される。VSSは好適には0Vとされる。
【0029】
(本発明の第1の実施形態に係るインバータの動作)
これから図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係るインバータ3Iの動作を説明する。まず、クロック信号Gがハイレベルの場合の動作について説明する。この場合、インバータ3Iにおいて、トランジスタ3P1及びトランジスタ3P2はオフ、トランジスタ3N1及びトランジスタ3N2はオンである。従って反転クロック信号GBiはローレベルとなる。ここでAB短絡線により、ノードAはローレベルであるため、トランジスタ3P2のソース・ドレイン間はほぼ同電位となる。このとき、シングルイベントは効果的に防止されることが確認されたが、それは以下のような動作機構によるものと考えられる。シングルイベントアップセットは、基本的には、オフのトランジスタがシングルイベントによってオンになることによって発生する。従って、シングルイベントが発生し得るのは、オフであるトランジスタ3P1及びトランジスタ3P2である。しかし、トランジスタ3P2については、上述のように、AB短絡線によってソース・ドレイン間はほぼ同電位となり、内部に強電界領域はほぼ存在しない。従って、高エネルギー粒子の入射によって電荷が発生したとしても、それが電界によって異領域に収集されて一時的な電流が流れることが非常に起こりにくい。このように、トランジスタ3P2は、それ自身、シングルイベントが発生しにくい構成となっている。次にトランジスタ3P1については、シングルイベントは発生し得るものの、それはインバータ3Iの出力にはほとんど影響を与えない。これは以下のような動作機構によるものと考えられる。トランジスタ3P1がシングルイベントでオンになったとしても、トランジスタ3P2はオフであるため、そこを通じて影響が反転クロック信号GBiに及ぶことはない。AB短絡線によってノードBの電位が上昇しようとするが、そのためにノードAからノードBに流れ込んできた電流は、トランジスタ3N1を通じて負荷抵抗の小さい第2の電圧源側(電圧VSS)に大部分が流れることになり、トランジスタ3N2を通じて反転クロック信号GBiとの接続点側にはほとんど流れない。従って、トランジスタ3P1がシングルイベントでオンになったとしても、反転クロック信号GBiのレベルにはほとんど影響を与えない。このように、トランジスタ3P1及びトランジスタ3P2のいずれにシングルイベントが生じたとしても、インバータ3Iの出力レベルの反転は効果的に防止されることになる。
【0030】
次に、クロック信号Gがローレベルの場合の動作について説明する。この場合、インバータ3Iにおいて、トランジスタ3P1及びトランジスタ3P2はオン、トランジスタ3N1及びトランジスタ3N2はオフとなる。トランジスタ3N2については、上述の場合と同様に、AB短絡線によってソース・ドレイン間はほぼ同電位となり、内部に強電界領域はほぼ存在しないため、それ自身、シングルイベントが発生しにくい構成となっている。トランジスタ3N1については、上述の場合と同様に、シングルイベントが発生したとしても、AB短絡線を通じてノードAからノードBに流れ込む電流は、トランジスタ3P1を通じて負荷抵抗の小さい第1の電圧源側(電圧VDD)から大部分が供給されることになり、トランジスタ3P2を通じて反転クロック信号GBiとの接続点側からはほとんど供給されないと考えられる。従って、トランジスタ3N1がシングルイベントでオンになったとしても、反転クロック信号GBiのレベルにはほとんど影響を与えない。このように、トランジスタ3N1及びトランジスタ3N2のいずれにシングルイベントが生じたとしても、インバータ3Iの出力レベルの反転は効果的に防止されることになる。
【0031】
このように、インバータ3Iを構成するいずれのトランジスタも、シングルイベントがそもそも発生しにくい構成であるか、あるいは、シングルイベントが発生したとしてもインバータ3Iの出力には影響をほとんど与えない構成であるため、インバータ3Iは高いシングルイベント耐性を有することになる。
【0032】
なお、この構造によるシングルイベント耐性の向上は、バルク基板上に形成したインバータと比較すると、SOI(シリコンオンインシュレータ)構造の基板上に形成したインバータにおいて特に顕著である。図7はSOI基板nチャネルMOSトランジスタ30の断面図である。SOI構造の素子においてはSiO2絶縁膜35によってボディ(p領域34)が基板36からフローティング状態になっているため、まず、ボディと基板36との間でのシングルイベントは原理的に発生しにくい。従って、ボディ−ソース・ドレイン間におけるシングルイベントが特に問題となる。ここで、ソース31・ドレイン33にかかる電圧によって、ボディの電位は変化する。オフ状態のnチャネルMOSトランジスタについては、ソース・ドレインにハイレベルの電圧が印可されると、ボディは内蔵電位分だけ電位が下がるが、上述の構成によりそれらはほぼ同電位と考えられ、シングルイベントの原因となるPN接合部での強電界領域は形成されない。このように、SOI基板においてはシングルイベントが、効果的に防止される。
【0033】
一方、バルク基板においては以下のようになる。図8は、バルク基板nチャネルMOSトランジスタ40の断面図である。これはSOI基板のような絶縁膜を有しないため、基板46がp型の場合、それの電圧は常にVSSに固定されている。オフ状態のnチャネルMOSトランジスタについては、ソース41・ドレイン43にハイレベルの電圧が印可されると、PN接合部が逆バイアス状態となって強電界領域47が形成され、依然としてソース/ドレインと基板との間でシングルイベントが発生し得る可能性が残るものと考えられる。
【0034】
従って、本発明のいずれの実施形態も、バルク基板上に形成したものであっても、SOI基板上に形成したものであってもよいが、SOI基板上に形成したものの方がより好適である。
【0035】
(本発明の第2の実施形態に係るメモリ素子)
次に、本発明の第2の実施形態に係るメモリ素子について説明する。2つのインバータの出力と入力とを直接あるいはオンオフゲートを介してそれぞれ交差接続すると、記憶ノードを構成できる。そのような記憶ノードを含むメモリ素子として、メモリ素子、例えば、SRAM、フリップフロップ回路、ラッチ回路などがある。本発明の第2の実施形態に係るメモリ素子の構成は、図示しないが、その記憶ノードに含まれるインバータが、上述の第1の実施形態に係るインバータ3Iと同じ構成のインバータで置換された構成である。これにより、高いシングルイベント耐性を有するメモリ素子を実現することができる。このメモリ素子の動作については、その記憶ノードを構成するそれぞれのインバータが上述の第1の実施形態に係るインバータ3Iと同じ動作を行うことになる。
【0036】
(本発明の第3の実施形態に係るデータラッチ回路)
本発明の第3の実施形態に係るデータラッチ回路4について説明する。まず、データラッチ回路4の構成について説明する。図6は、データラッチ回路4の回路図である。また図5のバッファ回路4Bは、データラッチ回路4に入力されるクロック信号Gや反転クロック信号GBiの波形整形などのために、組み合わせて使用されるものであり、インバータ4I1とインバータ4I2とが縦続接続された構成をしている。データラッチ回路4は、大きく入力段のクロックドインバータ4I3、トランスミッションゲート4S1、インバータ4I4、及びインバータ4I5から構成される。
【0037】
クロックドインバータ4I3の構成は、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、pチャネルMOSトランジスタ4P3、pチャネルMOSトランジスタ4P4、pチャネルMOSトランジスタ4P5、nチャネルMOSトランジスタ4N5、nチャネルMOSトランジスタ4N4、及びnチャネルMOSトランジスタ4N3がその順番に接続され、pチャネルMOSトランジスタ4P3及びpチャネルMOSトランジスタ4P5のゲートの組と、nチャネルMOSトランジスタ4N3及びnチャネルMOSトランジスタ4N5のゲートの組には、相補のクロック信号であるクロック信号Gi及び反転クロック信号GBiが入力される構成である。通常のクロックドインバータは、2つのpチャネルMOSトランジスタと2つのnチャネルMOSトランジスタの合計4つのトランジスタで構成されるが、クロックドインバータ4I3は、3つのpチャネルMOSトランジスタと3つのnチャネルMOSトランジスタの合計6つのトランジスタで構成される。入力データ信号Dがゲートに接続されたトランジスタを挟むように、それと同じ導電型のトランジスタが上下にそれぞれ1つずつ接続されており、その2つのトランジスタのゲートにはクロック信号Giまたは反転クロック信号GBiが接続されている。クロックドインバータ4I3は、反転クロック信号GBiがハイレベルのときに入力データ信号Dを反転させてインバータ4I5及びトランスミッションゲート4S1に出力し(反転した上で導通)、反転クロック信号GBiがローレベルのときは出力がハイインピーダンス状態(非導通)となる。
【0038】
トランスミッションゲート4S1は、pチャネルMOSトランジスタ4P6とnチャネルMOSトランジスタ4N6とを並列に接続した構成である。トランジスタ4P6のゲートには反転クロック信号GBiが入力され、トランジスタ4N6のゲートにはクロック信号Giが入力される。トランスミッションゲート4S1は、反転クロック信号GBiがハイレベルのときにオフ(非導通、ハイインピーダンス状態)となり、反転クロック信号GBiがローレベルのときにオン(導通)となる。この動作は、クロック信号Gに関しては、クロックドインバータ4I3の動作と逆相の関係である。すなわち、同じ論理レベルのクロック信号Gに対しては、クロックドインバータ4I3とトランスミッションゲート4S1とは、一方が導通のとき他方は非導通となる。なお、インバータ4I4かインバータ4I5のいずれか一方をクロックドインバータとすることによって、トランスミッションゲート4S1をそれに統合することも可能である。
【0039】
インバータ4I4は、入力がインバータ4I5の出力に接続され、出力がトランスミッションゲート4S1を介してクロックドインバータ4I3の出力及びインバータ4I5の入力に接続される。インバータ4I4の出力は、データラッチ回路4の出力として反転出力データ信号XQの接続点にも出力される。インバータ4I4は、シングルイベント耐性のインバータ3Iと同じ構造である。インバータ4I5は、クロックドインバータ4I3からの出力が入力され、それの出力が出力データ信号Qの接続点及びインバータ4I4の入力に接続される。インバータ4I5の出力は、データラッチ回路4の出力として出力データ信号Qの接続点にも出力される。インバータ4I5は、シングルイベント耐性のインバータ3Iと同じ構造である。
【0040】
これからデータラッチ回路4の動作について説明する。反転クロック信号GBiがハイレベルでクロック信号Giがローレベルのときは、クロックドインバータ4I3は、入力データ信号Dを反転させて後段に出力する。トランスミッションゲート4S1はオフであるので、クロックドインバータ4I3の出力はインバータ4I4の入力には伝達されない。クロックドインバータ4I3の出力は、インバータ4I5の入力に伝達され、そこで反転されて入力データ信号Dと同じ論理レベルになって、出力データ信号Qとして出力される。そのインバータ4I5の出力は、インバータ4I4に入力され、そこで反転されて入力データ信号Dと相反する論理レベルになって、反転出力データ信号XQとして出力される。この状態では、出力データ信号Qは、入力データ信号Dと同じ論理レベルの信号として出力される(トランスペアレントモード、スルーモード)。
【0041】
クロック信号Gがハイレベル(反転クロック信号GBiはローレベル、クロック信号Giはハイレベル)の間、クロックドインバータ4I3の出力はハイインピーダンス状態となり、入力データ信号Dを後段に伝達しなくなる。トランスミッションゲート4S1はオフからオンに切り替わり、入力データ信号Dと同じ論理レベルであるインバータ4I5からの出力を通過させ、それをインバータ4I4の入力に伝達する。インバータ4I4は、それを反転させて入力データ信号Dと相反する論理レベルにして、インバータ4I5の入力に伝達する。インバータ4I5において、入力と出力の論理レベルが相反しているので、この状態はインバータ4I4とインバータ4I5とで構成される記憶ノードで安定的に保持される。そして、クロック信号Gの立ち上がり時の入力データ信号Dと同じ論理レベルの出力データ信号Qを出力する(ラッチモード)。この状態は、クロック信号Gがローレベルになるまで継続する。
【0042】
ここで、データラッチ回路4とシングルイベントとの関係について説明する。まず、インバータ4I4とインバータ4I5とで構成される記憶ノードについては、それぞれのインバータが、第1の実施形態に係るシングルイベント耐性インバータであるので、シングルイベントの発生は効果的に防止されている。従って、この記憶ノードにおけるシングルイベントによる記憶データの反転(シングルイベントアップセット)も効果的に防止される。
【0043】
次に、入力段のクロックドインバータ4I3については、データラッチ回路4がラッチモードであって、クロックドインバータ4I3の出力がハイインピーダンス状態となっているときが特に問題となる。すなわちラッチモードでは、クロック信号G及び反転クロック信号GBiがゲートに接続されている4つのトランジスタはすべてオフであるが、その中のトランジスタがシングルイベントによってオンとなると、クロックドインバータ4I3が、入力データ信号Dを後段に瞬間的に(反転させて)出力してしまう可能性が考えられるからである。このときに、入力データ信号Dが、記憶ノードで記憶されている論理状態と相反する論理レベルであれば、記憶データが反転(シングルイベントアップセット)してしまう。
【0044】
しかし本発明のクロックドインバータ4I3は、以下のような動作機構により、ラッチモードにおいて、入力データ信号Dの影響が後段に伝達されることを効果的に防止している。クロックドインバータ4I3は、3つのpチャネルMOSトランジスタと3つのnチャネルMOSトランジスタの合計6つのトランジスタで構成され、入力データ信号Dがゲートに接続されたトランジスタを挟むように、それと同じ導電型のトランジスタが上下に1つずつ接続されている。今、ラッチモードであるので、トランジスタ4P3及びトランジスタ4P5はオフである。従って、入力データ信号Dはブロックされて、後段にその影響は出力されない。ここで、トランジスタ4P3またはトランジスタ4P5のいずれか一方が、シングルイベントによってオンになったとする。しかし、他方のトランジスタがオフであるので、入力データ信号Dはブロックされたままである。トランジスタ4N3、トランジスタ4N4、トランジスタ4N5においても同様である。このように、シングルイベントによる、クロックドインバータ4I3の誤動作が効果的に防止される。
【0045】
ここで、トランジスタ4P3とトランジスタ4P5をトランジスタ4P4を挟まないように配列することも可能である。すなわち、トランジスタ4P4の第1の電圧源側にそれら2つを直列に隣接接続したり、第2の電圧源側にそれら2つを直列に隣接接続したりすることも可能である。このような構成によっても、いずれか1つのトランジスタがシングルイベントによってオンになっても、他方のトランジスタがオフのままであれば、入力データ信号Dの影響が後段に出力されることはない。しかし、本実施形態のように、反転クロック信号GBiがゲートに接続された2つのトランジスタを、トランジスタ4P4の両側に接続することによって、トランジスタ4P3とトランジスタ4P5のゲート間距離を大きく取ることができる。ゲート間距離を大きくすると、1つの高エネルギー粒子の入射によってそれら2つのトランジスタに同時にシングルイベントが発生する確率を極めて小さくできる。トランジスタ4N3、トランジスタ4N4、トランジスタ4N5においても同様である。従って、入力データ信号Dが接続されるトランジスタを挟むように、クロックで制御されるトランジスタをそれぞれ1つずつ接続する構成がより好適である。
【0046】
(本発明の第4の実施形態に係るNAND素子)
次に、本発明の第4の実施形態に係るNAND素子について説明する。まず、2入力NAND素子13について説明する。図13は、2入力NAND素子13の回路図である。2入力NAND素子13の構成は、チャネルが並列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ13P1及び第2のpチャネルMOSトランジスタ13P2と、チャネルが直列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ13N1及び第2のnチャネルMOSトランジスタ13N2と、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、第1のpチャネルMOSトランジスタ13P1及び第1のnチャネルMOSトランジスタ13N1のゲートに接続された第1の入力Aと、第2のpチャネルMOSトランジスタ13P2及び第2のnチャネルMOSトランジスタ13N2のゲートに接続された第2の入力Bと、前記のpチャネルMOSトランジスタ(13P1,13P2)と前記のnチャネルMOSトランジスタ(13N1,13N2)の間のノードに接続された出力Yと、を有するSOI構造2入力NAND素子であって、第1のpチャネルMOSトランジスタ13P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ13P2、第1のnチャネルMOSトランジスタ13N1、及び第2のnチャネルMOSトランジスタ13N2のそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタ(それぞれ、13P3,13P4,13N3,13N4)がチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性2入力NAND素子とした構成である。
【0047】
好適には、第1のnチャネルMOSトランジスタ13N1と第2のnチャネルMOSトランジスタ13N2との間には二重化構造のためのチャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタ(13N3,13N4)が接続されていない。このような構成にすることによって、二重化構造のために追加されたトランジスタを距離的に離れた位置に配置することができ、高エネルギー粒子の入射によって二重化構造を有するトランジスタの両方が同時にオンになることを防止でき、より高いシングルイベント耐性を実現することができる。
【0048】
これから2入力NAND素子13の動作について、図9に示された従来の2入力NAND素子9と比較しながら説明する。入力Aがハイレベルで、入力Bがローレベルの場合を考える。2入力NAND素子9においては、pチャネルMOSトランジスタ9P1がオフ、nチャネルMOSトランジスタ9N1がオン、pチャネルMOSトランジスタ9P2がオン、nチャネルMOSトランジスタ9N2がオフとなって、出力Yはハイレベルとなる。しかし、オフであるnチャネルMOSトランジスタ9N2が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとすると、出力Yはハイレベルからローレベル側にレベルシフトして論理値が反転し、シングルイベントが発生する場合がある。一方、2入力NAND素子13においては、pチャネルMOSトランジスタ13P1及び13P3がオフ、nチャネルMOSトランジスタ13N1及び13N3及びがオン、pチャネルMOSトランジスタ13P2及び13P4がオン、nチャネルMOSトランジスタ13N2及び13N4がオフとなって、出力Yはハイレベルとなる。ここで、同様に、オフであるnチャネルMOSトランジスタ13N2が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとしても、それと直列に接続されているnチャネルMOSトランジスタ13N4がオフのままであるので誤動作によるレベル変化はブロックされ、出力Yはハイレベルのままとなって、シングルイベントが防止される。
【0049】
次に、3入力NAND素子14について説明する。図14は、3入力NAND素子14の回路図である。3入力NAND素子14の構成は、チャネルが並列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ14P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ14P2、及び第3のpチャネルMOSトランジスタ14P3と、チャネルが直列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ14N1、第2のnチャネルMOSトランジスタ14N2、及び第3のnチャネルMOSトランジスタ14N3と、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、第1のpチャネルMOSトランジスタ14P1及び第1のnチャネルMOSトランジスタ14N1のゲートに接続された第1の入力Aと、第2のpチャネルMOSトランジスタ14P2及び第2のnチャネルMOSトランジスタ14N2のゲートに接続された第2の入力Bと、第3のpチャネルMOSトランジスタ14P3及び第3のnチャネルMOSトランジスタ14N3のゲートに接続された第3の入力Cと、前記のpチャネルMOSトランジスタ(14P1,14P2,14P3)と前記のnチャネルMOSトランジスタ(14N1,14N2,14N3)の間のノードに接続された出力Yと、を有するSOI構造3入力NAND素子であって、第1のpチャネルMOSトランジスタ14P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ14P2、第3のpチャネルMOSトランジスタ14P3、第1のnチャネルMOSトランジスタ14N1、第2のnチャネルMOSトランジスタ14N2、及び第3のnチャネルMOSトランジスタ14N3のそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタ(それぞれ、14P4,14P5,14P6,14N4,14N5,14N6)がチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性3入力NAND素子とした構成である。
【0050】
好適には、第1のnチャネルMOSトランジスタ14N1、第2のnチャネルMOSトランジスタ14N2、及び第3のnチャネルMOSトランジスタ14N3のどのいずれか2つの間にも二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタ(14N4,14N5,14N6)が接続されていない。このような構成にすることによって、二重化構造のために追加されたトランジスタを距離的に離れた位置に配置することができ、高エネルギー粒子の入射によって二重化構造を有するトランジスタの両方が同時にオンになることを防止でき、より高いシングルイベント耐性を実現することができる。
【0051】
これから3入力NAND素子14の動作について、図10に示された従来の3入力NAND素子10と比較しながら説明する。入力Aがハイレベルで、入力Bがハイレベル、入力Cがローレベルの場合を考える。3入力NAND素子10においては、pチャネルMOSトランジスタ10P1がオフ、nチャネルMOSトランジスタ10N1がオン、pチャネルMOSトランジスタ10P2がオフ、nチャネルMOSトランジスタ10N2がオン、pチャネルMOSトランジスタ10P3がオン、nチャネルMOSトランジスタ10N3がオフとなって、出力Yはハイレベルとなる。しかし、オフであるnチャネルMOSトランジスタ10N3が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとすると、出力Yはハイレベルからローレベル側にレベルシフトして論理値が反転し、シングルイベントが発生する場合がある。一方、3入力NAND素子14においては、pチャネルMOSトランジスタ14P1及び14P4がオフ、nチャネルMOSトランジスタ14N1及び14N4及びがオン、pチャネルMOSトランジスタ14P2及び14P5がオフ、nチャネルMOSトランジスタ14N2及び14N5及びがオン、pチャネルMOSトランジスタ14P3及び14P6がオン、nチャネルMOSトランジスタ14N3及び14N6がオフとなって、出力Yはハイレベルとなる。ここで、同様に、オフであるnチャネルMOSトランジスタ14N3が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとしても、それと直列に接続されているnチャネルMOSトランジスタ14N6がオフのままであるので誤動作によるレベル変化はブロックされ、出力Yはハイレベルのままとなって、シングルイベントが防止される。
【0052】
(本発明の第5の実施形態に係るNOR素子)
次に、本発明の第5の実施形態に係るNOR素子について説明する。まず、2入力NOR素子15について説明する。図15は、2入力NOR素子15の回路図である。2入力NOR素子15の構成は、チャネルが直列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ15P1及び第2のpチャネルMOSトランジスタ15P2と、チャネルが並列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ15N1及び第2のnチャネルMOSトランジスタ15N2と、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、第1のpチャネルMOSトランジスタ15P1及び第1のnチャネルMOSトランジスタ15N1のゲートに接続された第1の入力Aと、第2のpチャネルMOSトランジスタ15P2及び第2のnチャネルMOSトランジスタ15N2のゲートに接続された第2の入力Bと、前記のpチャネルMOSトランジスタ(15P1,15P2)と前記のnチャネルMOSトランジスタ(15N1,15N2)の間のノードに接続された出力Yと、を有するSOI構造2入力NOR素子であって、第1のpチャネルMOSトランジスタ15P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ15P2、第1のnチャネルMOSトランジスタ15N1、及び第2のnチャネルMOSトランジスタ15N2のそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタ(それぞれ、15P3,15P4,15N3,15N4)がチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性2入力NOR素子とした構成である。
【0053】
好適には、第1のpチャネルMOSトランジスタ15P1と第2のpチャネルMOSトランジスタ15P2との間には二重化構造のためのチャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタ(15P3,15P4)が接続されていない。このような構成にすることによって、二重化構造のために追加されたトランジスタを距離的に離れた位置に配置することができ、高エネルギー粒子の入射によって二重化構造を有するトランジスタの両方が同時にオンになることを防止でき、より高いシングルイベント耐性を実現することができる。
【0054】
これから2入力NOR素子15の動作について、図11に示された従来の2入力NOR素子11と比較しながら説明する。入力Aがハイレベルで、入力Bがローレベルの場合を考える。2入力NOR素子11においては、pチャネルMOSトランジスタ11P1がオフ、nチャネルMOSトランジスタ11N1がオン、pチャネルMOSトランジスタ11P2がオン、nチャネルMOSトランジスタ11N2がオフとなって、出力Yはローレベルとなる。しかし、オフであるpチャネルMOSトランジスタ11P1が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとすると、出力Yはローレベルからハイレベル側にレベルシフトして論理値が反転し、シングルイベントが発生する場合がある。一方、2入力NOR素子15においては、pチャネルMOSトランジスタ15P1及び15P3がオフ、nチャネルMOSトランジスタ15N1及び15N3及びがオン、pチャネルMOSトランジスタ15P2及び15P4がオン、nチャネルMOSトランジスタ15N2及び15N4がオフとなって、出力Yはローレベルとなる。ここで、同様に、オフであるnチャネルMOSトランジスタ15N2が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとしても、それと直列に接続されているnチャネルMOSトランジスタ15N4がオフのままであるので誤動作によるレベル変化はブロックされ、出力Yはローレベルのままとなって、シングルイベントが防止される。
【0055】
次に、3入力NOR素子16について説明する。図16は、3入力NOR16の回路図である。3入力NOR素子16の構成は、チャネルが直列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ16P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ16P2、及び第3のpチャネルMOSトランジスタ16P3と、チャネルが並列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ16N1、第2のnチャネルMOSトランジスタ16N2、及び第3のnチャネルMOSトランジスタ16N3と、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、第1のpチャネルMOSトランジスタ16P1及び第1のnチャネルMOSトランジスタ16N1のゲートに接続された第1の入力Aと、第2のpチャネルMOSトランジスタ16P2及び第2のnチャネルMOSトランジスタ16N2のゲートに接続された第2の入力Bと、第3のpチャネルMOSトランジスタ16P3及び第3のnチャネルMOSトランジスタ16N3のゲートに接続された第3の入力Cと、前記のpチャネルMOSトランジスタ(16P1,16P2,16P3)と前記のnチャネルMOSトランジスタ(16N1,16N2,16N3)の間のノードに接続された出力Yと、を有するSOI構造3入力NOR素子であって、第1のpチャネルMOSトランジスタ16P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ16P2、第3のpチャネルMOSトランジスタ16P3、第1のnチャネルMOSトランジスタ16N1、第2のnチャネルMOSトランジスタ16N2、及び第3のnチャネルMOSトランジスタ16N3のそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタ(それぞれ、16P4,16P5,16P6,16N4,16N5,及び16N6)がチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性3入力NOR素子とした構成である。
【0056】
好適には、第1のpチャネルMOSトランジスタ16P1、第2のpチャネルMOSトランジスタ16P2、及び第3のpチャネルMOSトランジスタ16P3のどのいずれか2つの間にも二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタ(16P4,16P5,16P6)が接続されていない。このような構成にすることによって、二重化構造のために追加されたトランジスタを距離的に離れた位置に配置することができ、高エネルギー粒子の入射によって二重化構造を有するトランジスタの両方が同時にオンになることを防止でき、より高いシングルイベント耐性を実現することができる。
【0057】
これから3入力NOR素子16の動作について、図12に示された従来の3入力NOR素子12と比較しながら説明する。入力Aがハイレベルで、入力Bがローレベル、入力Cがローレベルの場合を考える。3入力NOR素子12においては、pチャネルMOSトランジスタ12P1がオフ、nチャネルMOSトランジスタ12N1がオン、pチャネルMOSトランジスタ12P2がオン、nチャネルMOSトランジスタ12N2がオフ、pチャネルMOSトランジスタ12P3がオン、nチャネルMOSトランジスタ12N3がオフとなって、出力Yはローレベルとなる。しかし、オフであるpチャネルMOSトランジスタ12P1が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとすると、出力Yはローレベルからハイレベル側にレベルシフトして論理値が反転し、シングルイベントが発生する場合がある。一方、3入力NOR素子16においては、pチャネルMOSトランジスタ16P1及び16P4がオフ、nチャネルMOSトランジスタ16N1及び16N4及びがオン、pチャネルMOSトランジスタ16P2及び16P5がオン、nチャネルMOSトランジスタ16N2及び16N5及びがオフ、pチャネルMOSトランジスタ16P3及び16P6がオン、nチャネルMOSトランジスタ16N3及び16N6がオフとなって、出力Yはローレベルとなる。ここで、同様に、オフであるpチャネルMOSトランジスタ16P1が高エネルギー粒子線の入射により誤動作してオンになったとしても、それと直列に接続されているpチャネルMOSトランジスタ16P4がオフのままであるので誤動作によるレベル変化はブロックされ、出力Yはローレベルのままとなって、シングルイベントが防止される。
【符号の説明】
【0058】
1 データラッチ回路
1I1〜1I6 インバータ
1N1〜1N8 nチャネルMOSトランジスタ
1P1〜1P8 pチャネルMOSトランジスタ
2I インバータ
2N1〜2N2 nチャネルMOSトランジスタ
2P1〜2P2 pチャネルMOSトランジスタ
3I シングルイベント耐性インバータ
3N1〜3N2 nチャネルMOSトランジスタ
3P1〜3P2 pチャネルMOSトランジスタ
4 シングルイベント耐性データラッチ回路
4B バッファ回路
4I1〜4I5 インバータ
4N1〜4N10 nチャネルMOSトランジスタ
4P1〜4P10 pチャネルMOSトランジスタ
4S1 トランスミッションゲート
9 2入力NAND素子
9P1〜9P2 pチャネルMOSトランジスタ
9N1〜9N2 nチャネルMOSトランジスタ
10 3入力NAND素子
10P1〜10P3 pチャネルMOSトランジスタ
10N1〜10N3 nチャネルMOSトランジスタ
11 2入力NOR素子
11P1〜11P2 pチャネルMOSトランジスタ
11N1〜11N2 nチャネルMOSトランジスタ
12 3入力NOR素子
12P1〜12P3 pチャネルMOSトランジスタ
12N1〜12N3 nチャネルMOSトランジスタ
13 2入力NAND素子
13P1〜13P2 pチャネルMOSトランジスタ
13N1〜13N2 nチャネルMOSトランジスタ
14 3入力NAND素子
14P1〜14P3 pチャネルMOSトランジスタ
14N1〜14N3 nチャネルMOSトランジスタ
15 2入力NOR素子
15P1〜15P2 pチャネルMOSトランジスタ
15N1〜15N2 nチャネルMOSトランジスタ
16 3入力NOR素子
16P1〜16P3 pチャネルMOSトランジスタ
16N1〜16N3 nチャネルMOSトランジスタ
30 SOI基板nチャネルMOSトランジスタ
31 ソース
32 ゲート
33 ドレイン
34 p領域
35 SiO2絶縁膜
36 基板
40 バルク基板nチャネルMOSトランジスタ
41 ソース
42 ゲート
43 ドレイン
46 基板
47 強電界領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第1のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続された構造を有するインバータにおいて、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの第2のMOSトランジスタが、ソース又はドレインのラインに関して直列に更にそれぞれ接続され、かつ、前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性インバータ。
【請求項2】
ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び第2のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続されており、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタはインバータを構成し、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートは共通接続され、かつ、前記インバータの入力に接続され、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続され、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタとによって二重化構造を有するpチャネルMOSトランジスタが形成されるようになっており、及び
前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタとによって二重化構造を有するnチャネルMOSトランジスタが形成されるようになっていることを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性インバータ。
【請求項3】
一方の出力が他方の入力に直接あるいはオンオフゲートを介してそれぞれ交差接続された2個のインバータを含むSOI構造の基板上に形成された半導体メモリにおいて、
前記インバータの内の少なくとも1個のインバータは、請求項1又は2に記載のSOI構造シングルイベント耐性インバータであることを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性半導体メモリ素子。
【請求項4】
出力が第2のインバータの入力に接続された第1のインバータと、
お互いに相補な論理値の相補クロック信号に基づくオンオフ制御がなされる接続を通じて出力が第1のインバータの入力に接続された第2のインバータと、
前記相補クロック信号とそれぞれ逆相の逆相相補クロック信号に基づいたオンオフ制御の下に、入力を前記第1のインバータの入力に反転出力するクロックドインバータと、を有するSOI構造の基板上で形成されたデータラッチ回路において、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータのうちの少なくともいずれかは請求項1又は2に記載のSOI構造シングルイベント耐性インバータであることを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路。
【請求項5】
請求項4に記載のSOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路において、
前記クロックドインバータは、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、第3のpチャネルMOSトランジスタ、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタがその順番に接続され、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第3のpチャネルMOSトランジスタのゲートの組と、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートの組には、それぞれ前記逆相相補クロック信号が印可され、
前記第2のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタは、当該SOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路の入力を構成し、及び
前記第3のpチャネルMOSトランジスタと前記第1のnチャネルMOSトランジスタの間のノードは前記クロックドインバータの出力を構成することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路。
【請求項6】
チャネルが並列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第2のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが直列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ及び第2のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造2入力NAND素子であって、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性2入力NAND素子。
【請求項7】
前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタとの間には二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタが接続されていないことを特徴とする請求項6に記載のSOI構造シングルイベント耐性2入力NAND素子。
【請求項8】
チャネルが並列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び第3のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが直列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記第3のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第3の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造3入力NAND素子であって、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第3のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、前記第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性3入力NAND素子。
【請求項9】
前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、前記第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのどのいずれか2つの間にも二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のnチャネルMOSトランジスタが接続されていないことを特徴とする請求項8に記載のSOI構造シングルイベント耐性3入力NAND素子。
【請求項10】
チャネルが直列に接続された第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第2のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが並列に接続された第1のnチャネルMOSトランジスタ及び第2のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造2入力NOR素子であって、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性2入力NOR素子。
【請求項11】
前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタとの間には二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタが接続されていないことを特徴とする請求項10に記載のSOI構造シングルイベント耐性2入力NOR素子。
【請求項12】
チャネルが直列に接続された、第1のpチャネルMOSトランジスタ、第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び第3のpチャネルMOSトランジスタと、チャネルが並列に接続された、第1のnチャネルMOSトランジスタ、第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び第3のnチャネルMOSトランジスタと、が第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって直列にSOI構造の基板上で接続され、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第1の入力と、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第2のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第2の入力と、前記第3のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのゲートに接続された第3の入力と、前記のpチャネルMOSトランジスタと前記のnチャネルMOSトランジスタの間のノードに接続された出力と、を有するSOI構造3入力NOR素子であって、
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、前記第3のpチャネルMOSトランジスタ、前記第1のnチャネルMOSトランジスタ、前記第2のnチャネルMOSトランジスタ、及び前記第3のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルのMOSトランジスタがチャネルが直列に更に接続された二重化構造を有することを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性3入力NOR素子。
【請求項13】
前記第1のpチャネルMOSトランジスタ、前記第2のpチャネルMOSトランジスタ、及び前記第3のpチャネルMOSトランジスタのどのいずれか2つの間にも二重化構造のための前記チャネルが直列に更に接続された他のpチャネルMOSトランジスタが接続されていないことを特徴とする請求項12に記載のSOI構造シングルイベント耐性3入力NOR素子。
【請求項14】
出力が第2のインバータの入力に接続された第1のインバータと、
出力が前記第1のインバータの入力に接続された第2のインバータと、
お互いに相補な論理値の相補クロック信号に基づいたオンオフ制御の下に、入力を前記第1のインバータの入力に反転出力するクロックドインバータと、を有するSOI構造の基板上で形成されたデータラッチ回路において、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータのうちの少なくともいずれかは、ソース又はドレインのラインに関して直列に、第1の電圧源側に接続されたノードから第2の電圧源側に接続されたノードに向かって、第1のpチャネルMOSトランジスタ及び第1のnチャネルMOSトランジスタがその順番にSOI構造の基板上で接続された構造を有するインバータであって、前記第1のpチャネルMOSトランジスタ及び前記第1のnチャネルMOSトランジスタのそれぞれに対して、それとゲート同士が相互に接続された同じ導電型のチャネルの第2のMOSトランジスタが、ソース又はドレインのラインに関して直列に更にそれぞれ接続され、かつ、前記第1のpチャネルMOSトランジスタと前記第2のpチャネルMOSトランジスタの間のノードと、前記第1のnチャネルMOSトランジスタと前記第2のnチャネルMOSトランジスタの間のノードとが接続された二重化構造を有するであり、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータのうちの少なくともいずれかは、前記相補クロック信号とそれぞれ逆相の逆相相補クロック信号に基づいたオンオフ制御がなされるクロックドインバータであることを特徴とするSOI構造シングルイベント耐性データラッチ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−24216(P2011−24216A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161959(P2010−161959)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【分割の表示】特願2005−517743(P2005−517743)の分割
【原出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【出願人】(504046061)HIREC株式会社 (5)
【Fターム(参考)】