説明

エピタキシャル構造体及びその製造方法

【課題】本発明は、エピタキシャル構造体及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明のエピタキシャル構造体の製造方法は、少なくとも一つの結晶面を有する基板を提供する第一ステップと、前記基板の結晶面に複数の空隙を含むカーボンナノチューブ層を配置する第二ステップと、前記基板の結晶面にエピタキシャル層を成長させる第三ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル構造体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばLEDに用いる窒化ガリウムなどのエピタキシャル構造体、更に、ヘテロエピタキシャル構造体は、半導体デバイスの主要な材料として注目されている。
【0003】
現在、窒化ガリウム(GaN)をサファイア基板の上に結晶成長させるための方法が広く採られているが、両者の格子定数及び熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)は大きく違うこと等があるので、エピタキシャル成長した窒化ガリウム層に多く欠陥が生成されている問題が存在する。且つ、サファイア基板とエピタキシャル成長した窒化ガリウム層の間に大きな応力が存在するので、窒化ガリウム層が破壊され易い。これを解決するために従来の技術では、窒化ガリウム(GaN)を非平坦な成長表面を有するサファイア基板上に結晶成長させる(特許文献1を参照)。前記サファイア基板の非平坦な成長表面は、サファイア基板の結晶成長のための成長表面にフォトエッチング(photoetching)微細加工方法によって、複数の溝を製造することにより形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−114112号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記フォトエッチング微細加工方法は、工程が複雑で、コストが高く、且つ前記サファイア基板の結晶成長のための成長表面の汚染によって、エピタキシャル構造体の品質が影響され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、前記課題を解決するために、本発明は簡単な製造方法を有し、コストが低く、高品質のエピタキシャル構造体及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明のエピタキシャル構造体の製造方法は、少なくとも一つの結晶面を有する基板を提供する第一ステップと、前記基板の結晶面に複数の空隙を含むカーボンナノチューブ層を配置する第二ステップと、前記基板の結晶面にエピタキシャル層を成長させる第三ステップと、を含む。
【0009】
前記カーボンナノチューブ層は複数のカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブ層において、前記複数のカーボンナノチューブが互いに接続されて一体構造に形成され、前記基板の結晶面の一部が、前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙によって露出され、前記基板の露出された結晶面から前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙を通じて前記エピタキシャル層を成長させる。
【0010】
本発明のエピタキシャル構造体は、基板、カーボンナノチューブ層及びエピタキシャル層を含む。前記基板は、少なくとも一つの結晶面を有し、前記カーボンナノチューブ層は複数のカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブ層が、前記基板の結晶面及びエピタキシャル層の間に配置される。
【発明の効果】
【0011】
従来の技術と比べて、本発明のエピタキシャル構造体の製造方法は、一体構造の複数の空隙を有するカーボンナノチューブ層を直接的に基板の結晶面に配置し、エピタキシャル層を成長させるので、製造方法が簡単であり、コストが低い。前記基板の結晶面の一部が前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙によって露出される。前記基板の該一部の結晶面から前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙を通じて成長結晶、核を形成した後、横方向結晶成長して一体のエピタキシャル層が成長形成されるので、エピタキシャル層は基板との接触面積が小さい。従って、エピタキシャル層と基板との間の結合力を減少させることができる。前記カーボンナノチューブ層は、エピタキシャル層が成長される過程において格子欠陥が発生することを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図2】図1中のエピタキシャル構造体の製造工程に用いる一つの成長ベースの構造を示す図である。
【図3】図1中のエピタキシャル構造体の製造工程に用いるもう一つの成長ベースの構造を示す図である。
【図4】ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図4中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図6】図4中のカーボンナノチューブフィルムが90度で積層されて形成されたカーボンナノチューブ層の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】カーボンナノチューブが配向して配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】図1中のエピタキシャル構造体の製造工程の一つのステップの製造工程を示す図である。
【図12】本発明の第一のエピタキシャル構造体の一つの構造を示す図である。
【図13】図12のXIII−XIIIに沿った断面図である。
【図14】本発明の第一のエピタキシャル構造体のもう一つの構造を示す図である。
【図15】本発明の第一のエピタキシャル構造体のまた一つの構造を示す図である。
【図16】本発明の第二のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図17】図16中のエピタキシャル構造体の製造工程の一つのステップの製造工程を示す図である。
【図18】本発明の第二のエピタキシャル構造体の一つの構造を示す図である。
【図19】図18のXIX−XIXに沿った断面図である。
【図20】本発明の第二のエピタキシャル構造体のもう一つの構造を示す図である。
【図21】本発明の第二のエピタキシャル構造体のまた一つの構造を示す図である。
【図22】本発明の第三のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図23】本発明の第四のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図24】本発明の第五のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図25】本発明の第五のエピタキシャル構造体の立体構造を示す図である。
【図26】図25の側視図である。
【図27】本発明の第六のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図28】本発明の第七のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図29】本発明の第八のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図30】本発明の第八のエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
【図31】図30のXXXI−XXXIに沿った断面図である。
【図32】本発明の第九のエピタキシャル構造体の製造工程の一つを示す図である。
【図33】本発明の第九のエピタキシャル構造体の一つの構造を示す図である。
【図34】本発明の第九のエピタキシャル構造体の製造工程のもう一つを示す図である。
【図35】本発明の第九のエピタキシャル構造体のもう一つの構造を示す図である。
【図36】本発明の第十のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図37】本発明の第十のエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
【図38】本発明の第十一のエピタキシャル構造体の製造工程を示す図である。
【図39】本発明の第十一のエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
【図40】本発明の第十二のエピタキシャル構造体の構造を示す図である。
【図41】本発明の一つのエピタキシャル構造体のエピタキシャル層及び基板の界面所の走査型電子顕微鏡写真である。
【図42】図41の透過型電子顕微鏡写真である。
【図43】本発明のもう一つのエピタキシャル構造体のエピタキシャル層及び基板の界面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図44】図43の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のエピタキシャル構造体及びその製造方法の実施形態について説明する。且つ以下の各々の実施形態において、同じ部材が同じ記号で標示されている。
【0014】
図1を参照すると、第一のエピタキシャル構造体の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、を含む。
【0015】
前記ステップ(S10)において、前記基板100は、前記第一エピタキシャル層104に結晶成長のための成長表面101を提供し、前記成長表面101は、前記第一エピタキシャル層104の結晶成長を支持する。前記基板100の成長表面101は、平滑な表面であり、且つ酸素又は炭素などの不純物がない。前記基板100は、単層構造又は多層構造を有する。前記基板100が単層構造を有する場合、前記基板100は、単結晶構造体である。この場合、前記基板100は少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面は前記第一エピタキシャル層104の成長表面101として用いられる。前記基板100が多層構造を有する場合、前記基板100は、少なくとも一層の前記単結晶構造体を含み、且つ前記単結晶構造体は少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面は前記第一エピタキシャル層104の成長表面101として用いられる。前記基板100の単結晶構造体は、GaAs、GaN、AlN、Si、SOI(silicon on insulator)、SiC、MgO、ZnO、LiGaO、LiAlO及びAlの一種又は数種からなることができる。前記基板100の材料は、製造しようとする第一エピタキシャル層104の材料に応じて選択可能である。前記基板100の材料は、前記第一エピタキシャル層104の材料と類似する格子定数及び熱膨張係数を有することが好ましい。本実施形態において、前記基板100は、サファイア基板である。
【0016】
前記ステップ(S20)において、前記第一カーボンナノチューブ層102を前記基板100の成長表面101に配置して、前記第一エピタキシャル層104を成長させるためのベース100aを形成する。図2及び図3を参照すると、前記ベース100aは、成長表面101を有する基板100と、前記成長表面101に配置された前記第一カーボンナノチューブ層102を含む。前記ベース100aを、直接的に前記第一エピタキシャル層104を成長させるために使用することができる。
【0017】
前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数のカーボンナノチューブからなる。さらに、前記第一カーボンナノチューブ層102には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記第一カーボンナノチューブ層102の厚さは、1nm〜100μmである。例えば、前記第一カーボンナノチューブ層102の厚さを、10nm、100nm、200nm、1μm、10μm又は50μmにすることができる。前記第一カーボンナノチューブ層102は、パターン化された薄膜構造体である。前記第一カーボンナノチューブ層102が前記基板100の成長表面101に配置される場合、前記基板100の成長表面101の、前記第一カーボンナノチューブ層102のパターン化された部分に対応した一部の表面は、前記第一カーボンナノチューブ層102のパターン化された部分を通じて露出される。従って、前記第一エピタキシャル層104が前記成長表面101の露出された部分から成長することができる。
【0018】
前記パターン化された第一カーボンナノチューブ層102には、複数の第一空隙105が形成されている。前記複数の第一空隙105は、前記第一カーボンナノチューブ層102に均一的に分布される。前記複数の第一空隙105は、前記第一カーボンナノチューブ層102の厚さ方向に沿って前記第一カーボンナノチューブ層102を貫通する。前記第一空隙105は、隣接する複数のカーボンナノチューブで囲まれて形成された微孔状に形成され得て、又はカーボンナノチューブの軸方向の配列方向に沿って延伸された隣接するカーボンナノチューブの間のストリップ状に形成され得る。前記第一空隙105が微孔状である場合、前記第一空隙105の平均孔径は10nm〜500μmである。前記第一空隙105が間隙である場合、前記第一空隙105の平均幅は10nm〜500μmである。前記第一空隙105は、一部が微孔状であり、もう一部がストリップ状であることができる。以下、“前記第一空隙105の寸法”としては、前記孔径の直径又は間隙の幅を指す。前記第一空隙105の寸法は、それぞれ異なることができる。前記第一空隙105の寸法は、10nm〜300μmであることが好ましく、50nm、100nm、500nm、1μm、10μm、80μm又は120μmであることがより好ましい。前記第一空隙105の寸法が小さいほど、第一エピタキシャル層104が成長する過程で格子欠陥が発生する可能性が減少して、高い品質の第一エピタキシャル層104を得ることができる。本実施形態において、前記第一空隙105の寸法は10nm〜10μmである。前記第一カーボンナノチューブ層102のデューティファクタ(dutyfactor)は、1:100〜100:1であるが、例えば、1:10、1:2、1:4、4:1、2:1又は10:1であることもある。好ましくは、前記第一カーボンナノチューブ層102のデューティファクタは、1:4〜4:1である。前記“デューティファクタ”は、前記第一カーボンナノチューブ層102が前記基板100の成長表面101に被覆された後における前記基板100の成長表面101の、前記第一カーボンナノチューブ層102で遮られた領域と、前記第一カーボンナノチューブ層102の前記第一空隙105から露出された領域との面積比を示す。
【0019】
前記第一カーボンナノチューブ層102が、パターン化効果を保持できる場合、前記第一カーボンナノチューブ層102には、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記第一カーボンナノチューブ層102は非配向型の第一カーボンナノチューブ層102及び配向型の第一カーボンナノチューブ層102の二種に分類される。本実施形態における非配向型の第一カーボンナノチューブ層102では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型の第一カーボンナノチューブ層102では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型の第一カーボンナノチューブ層102において、配向型の第一カーボンナノチューブ層102が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。
【0020】
一つの例として、高光透過率、優れたパターン化効果を有する第一カーボンナノチューブ層102を得るために、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブの長軸は、前記第一カーボンナノチューブ層102の表面に平行するように配列されることが好ましい。この場合、前記第一カーボンナノチューブ層102が前記基板100の成長表面101に被覆された後、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブの長軸は、前記成長表面101に平行する。図2を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブの大部分は、同じ方向に沿って配置されている。図3を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102における一部のカーボンナノチューブは、第一方向に沿って配置され、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるもう一部のカーボンナノチューブは、第二方向に沿って配置されている。前記第一方向は、第二方向に垂直である。好ましくは、前記基板100の成長表面101に被覆された前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブは、前記基板100の結晶方位に沿って延伸して配列され、又は、前記基板100の結晶方位と所定の角度をなす方向に沿って延伸配列される。
【0021】
前記第一カーボンナノチューブ層102は、化学蒸着法(CVD)によって直接的に前記基板100の成長表面101に形成され、又はあらかじめ形成されたカーボンナノチューブフィルムを前記基板100の成長表面101に配置して形成され、又はカーボンナノチューブ懸濁液を前記基板100の成長表面101に濾過し、堆積させて形成されることができる。しかし、前記数種類の方法は、すべて支持面を必要とする。前記第一カーボンナノチューブ層102は、自立構造の薄膜の形状に形成されていることができる。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記第一カーボンナノチューブ層102を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記第一カーボンナノチューブ層102を対向する両側から支持して、前記第一カーボンナノチューブ層102の構造を変化させずに、前記第一カーボンナノチューブ層102を懸架させることができることを意味する。従って、前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100の成長表面101に直接的に配置することが容易になる。
【0022】
前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数のカーボンナノチューブからなる純カーボンナノチューブ構造体であることができる。前記純カーボンナノチューブ構造体では、前記第一カーボンナノチューブ層102を形成する工程において、カーボンナノチューブが表面修飾されず、又は酸化処理が行われず、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブの表面が化学的官能基を含まない。前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数のカーボンナノチューブ及び添加材料からなるカーボンナノチューブ複合構造体であることもある。この場合、前記カーボンナノチューブ複合構造体において、カーボンナノチューブは主要な材料として利用される。前記添加材料は、グラフェン、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ダイヤモンド及びアモルファスカーボングラファイトなどの一種又は数種からなることができるが、金属炭化物、金属酸化物及び金属窒化物などの一種又は数種からなることもできる。前記添加材料は、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブの表面に被覆され、又は前記第一カーボンナノチューブ層102の第一空隙105に充填されることができる。これにより、前記第一カーボンナノチューブ層102の大きな直径を持つ第一空隙105の直径を減小させることができる。好ましくは、前記添加材料は、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブの表面に被覆される。この場合、前記添加材料は、化学蒸着法、物理蒸着法(PVD)又はマグネトロンスパッタリング法などによって、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブの表面に堆積することができる。
【0023】
前記第一カーボンナノチューブ層102を、前記基板100の成長表面101に被覆させた後、さらに有機溶剤で処理することができる。これにより、前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100の成長表面101に更に緊密に接続することができる。前記有機溶剤で処理する方法は、以下の二種の方法を利用することができる。第一種では、滴管によって前記有機溶剤を前記第一カーボンナノチューブ層102の表面に滴下し、該有機溶剤を前記第一カーボンナノチューブ層102に浸漬させる。第二種では、前記第一カーボンナノチューブ層102と前記基板100の全体を、前記有機溶剤が入った容器に入れて浸漬させる。前記有機溶剤は、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン及びクロロホルムなどの揮発性有機溶剤の一種又は数種からなる。本実施形態において、前記有機溶剤はエタノールである。
【0024】
前記第一カーボンナノチューブ層102は、少なくとも一枚の、厚さが0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブフィルム、若しくは少なくとも一本の、直径が0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブワイヤであるか、又は前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤを組み合わせて形成される。前記第一カーボンナノチューブ層102が、複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは、間隔をおいて平行するように配置されることができ、又は、互いに交叉するように配置されることができ、又は互いに編むことにより網状構造体になることができる。この場合、前記第一カーボンナノチューブ層102において、間隔をおいて配置された隣接するカーボンナノチューブワイヤの間の距離は、0.1μm〜200μmであることができるが、10μm〜100μmであることが好ましい。この場合、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブワイヤの間の間隙は前記第一空隙105として定義される。これにより、前記第一カーボンナノチューブ層102における前記第一空隙105の幅は、前記間隔をおいて平行するように配置されたカーボンナノチューブワイヤの間の距離を制御することによって制御することができる。前記第一空隙105の長さは、前記間隔をおいて平行するように配置されたカーボンナノチューブワイヤの長さと等しくすることができる。
【0025】
前記第一カーボンナノチューブ層102が、複数のカーボンナノチューブフィルムからなる場合、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは並列されて一層に配列され、又は複数のカーボンナノチューブフィルムは積層されて多層に配列されることができる。この場合、隣接するカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。前記第一カーボンナノチューブ層102が、積層された複数のカーボンナノチューブフィルムからなる場合、前記カーボンナノチューブフィルムの積層された数を制御することにより、前記第一カーボンナノチューブ層102の厚さを制御することができる。前記第一カーボンナノチューブ層102において積層されたカーボンナノチューブフィルムの層数は2層〜100層である。好ましくは、前記第一カーボンナノチューブ層102において積層されたカーボンナノチューブフィルムの層数は10層、30層又は50層である。
【0026】
本発明の前記第一カーボンナノチューブ層102としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0027】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記第一カーボンナノチューブ層102は、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献1を参照)から引き出して得られたドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブフィルムの表面に平行して配列されている。図4及び図5を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブセグメント143を含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143は、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143は、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143において、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。
【0028】
前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、カーボンナノチューブアレイを提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす第二ステップと、を含む。
【0029】
前記第一カーボンナノチューブ層102が、積層された複数の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む場合、隣接する前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。好ましくは、図6に示すように、隣接する前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、90°の角度で交差している。
【0030】
前記カーボンナノチューブ膜の厚さを薄くさせるために、前記カーボンナノチューブ膜を加熱処理することができる。加熱処理する工程において、前記カーボンナノチューブ膜が破壊されることを防止するために、それぞれ前記カーボンナノチューブ膜の一部に対して加熱処理することができる。前記それぞれ前記カーボンナノチューブ膜の一部に対して加熱処理することにおいては、レーザ又はマイクロ波で前記カーボンナノチューブ膜の一部を加熱することにより、該部のカーボンナノチューブが酸化され、前記カーボンナノチューブ膜の厚さを薄くできる。本実施形態において、前記カーボンナノチューブ膜が酸素を含む雰囲気でレーザ装置によって照射される。レーザのパワー密度は、0.1×10W/mより大きい。前記レーザを、前記カーボンナノチューブ膜に相対して均一な速度で移動させて、前記カーボンナノチューブ膜を加熱する。前記レーザの、レーザスポットの直径は、1mm〜5mmであることができる。好ましくは、前記レーザは、炭酸ガスレーザ装置により提供される。前記炭酸ガスレーザ装置の、電力は30Wであり、レーザの波長は10.6μmであり、レーザスポットの直径は3mmである。
【0031】
(二)カーボンナノチューブワイヤ
図9を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図10を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0032】
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
【0033】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記第一カーボンナノチューブ層102は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0034】
図7を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0035】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する(即ち、角度αは0°である)。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
【0036】
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図8を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0037】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
【0038】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
【0039】
ナイフのような工具でカーボンナノチューブを基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、10マイクロメートル以上であり、100マイクロメートル以上であることが好ましい。
【0040】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
【0041】
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度撹拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法の場合、カーボンナノチューブを含む溶剤を10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成される。
【0042】
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液を濾過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
【0043】
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図8を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となっている。
【0044】
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱させるか、或いは、該溶剤を自然に蒸発させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0045】
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
【0046】
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
【0047】
前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一エピタキシャル層104を成長させるためのマスクとして使用されている。即ち、前記第一カーボンナノチューブ層102を利用して前記基板100の成長表面101を被覆させた後、前記基板100の成長表面101の一部は、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブで遮られ、他の部分は前記第一カーボンナノチューブ層102の前記第一空隙105によって露出される。前記第一エピタキシャル層104は、ただ前記第一カーボンナノチューブ層102によって露出された前記基板100の成長表面101から成長することができる。前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数の第一空隙105を含んでいるので、前記第一カーボンナノチューブ層102を、前記基板100の成長表面101をパターン化できるマスクとして利用することができる。従来のリソグラフィやエッチングに比べて、前記第一カーボンナノチューブ層102の製造工程が簡単になり、コストが低く、前記基板100の成長表面101が汚染されない。
【0048】
前記ステップ(S30)において、前記第一エピタキシャル層104は、分子線エピタキシー法(MBE)、化学線エピタキシー法(CBE)、減圧エピタキシー法、低温エピタキシー法、液相エピタキシー法(LPE)、選択エピタキシー法、有機金属気相エピタキシー法(MOVPE)、超高真空化学蒸着法(UHVCVD)、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)及び有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)などの一種又は数種方法によって結晶成長することができる。
【0049】
前記第一エピタキシャル層104は、エピタキシー成長法によって前記基板100の成長表面101に成長された単結晶層である。前記第一エピタキシャル層104の材料は、前記基板100の材料と同じ又は異なることができる。ここで、前記第一エピタキシャル層104が、前記基板100の材料と同じ材料からなる場合、前記第一エピタキシャル層104は、ホモエピタキシャル層と呼ばれている。前記第一エピタキシャル層104が、前記基板100の材料と異なる材料からなる場合、前記第一エピタキシャル層104は、ヘテロエピタキシャル層と呼ばれている。前記第一エピタキシャル層104は、半導体、金属又は合金のエピタキシャル層であることができる。前記半導体は、Si、GaAs、GaN、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlP、AlAs、AlSb、AlN、GaP、SiC、SiGe、GaMnAs、GaAlAs、GaInAs、GaAlN、GaInN、AlInN、GaAsP、InGaN、AlGaInN、AlGaInP、GaP:Zn又はGaP:Nなどであることができる。前記金属は、アルミニウム、白金、銅又は銀であることができる。前記合金は、MnGa、CoMnGa又はCoMnGaであることができる。前記第一エピタキシャル層104の厚さは、100nm〜500μmである。前記第一エピタキシャル層104の厚さは、200nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm又は50μmであることが好ましい。
【0050】
図11を参照すると、前記ステップ(S30)は、前記基板100の成長表面101の露出領域に形成しようとする第一エピタキシャル層104の核を形成し、前記核の寸法が主に前記成長表面101と垂直する方向に沿って増加して、複数のエピタキシャル結晶粒1042を形成するステップ(S301)と、前記複数のエピタキシャル結晶粒1042による横方向結晶成長、隣接する結晶粒1042同士の合体によって全体のエピタキシャル膜1044を形成するステップ(S302)と、前記エピタキシャル膜1044が前記成長表面101に垂直する方向に増大して、第一エピタキシャル層104を形成するステップ(S303)と、を含む。
【0051】
前記ステップ(301)において、前記エピタキシャル結晶粒1042は、前記第一カーボンナノチューブ層102によって露出された前記基板100の成長表面101から前記第一カーボンナノチューブ層102の第一空隙105を貫通して成長する。ここで、形成しようとする第一エピタキシャル層104の核が主に前記成長表面101と垂直する方向に沿って成長することを縦方向結晶成長として定義することができる。
【0052】
前記ステップ(302)において、隣接する結晶粒1042同士の合体によって前記複数のエピタキシャル結晶粒1042は互いに接続して、一体構造を有する前記エピタキシャル膜1044を形成する。前記複数のエピタキシャル結晶粒1042及び前記エピタキシャル膜1044は共に前記第一カーボンナノチューブ層102を包む。隣接する結晶粒1042及びその間の前記エピタキシャル膜1044は共に前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブを囲むことにより複数の第一キャビティ103を形成する。前記第一キャビティ103の内壁は、前記第一キャビティ103におけるカーボンナノチューブと接触し、又は間隔を有することができる。これは、前記カーボンナノチューブと形成しようとする第一エピタキシャル層104の間の濡れ性によって決定される。前記複数のエピタキシャル結晶粒1042及び前記エピタキシャル膜1044からなる一体構造体の前記基板100の成長表面101に面する表面は、凹凸構造を有するパターン化表面である。該凹凸構造は、前記パターン化された第一カーボンナノチューブ層102に関係している。前記第一カーボンナノチューブ層102が、間隔をおいて平行するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記複数のエピタキシャル結晶粒1042及び前記エピタキシャル膜1044からなる一体構造体の前記基板100の成長表面101に面する表面には、平行且つ間隔を有する複数の溝が形成される。前記第一カーボンナノチューブ層102が、互いに交叉するように配置され、又は互いに編まれることにより網状構造体になる場合、前記複数のエピタキシャル結晶粒1042及び前記エピタキシャル膜1044からなる一体構造体の前記基板100の成長表面101に面する表面には、交叉された複数の溝を含む網状溝が形成される。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記エピタキシャル結晶粒1042と前記基板100の間に格子欠陥が発生することを防止するために用いられる。前記横方向結晶成長とは、前記基板100の成長表面101に平行な方向に沿って結晶成長することを示す。
【0053】
前記ステップ(303)において、前記エピタキシャル膜1044は前記成長表面101に垂直な方向に増大して、第一エピタキシャル層104を形成する工程に用いられる時間が長くなる。前記基板100の成長表面101に前記第一カーボンナノチューブ層102が配置されているので、前記ステップ(302)で前記エピタキシャル膜1044における欠陥が少なくなる。従って、前記エピタキシャル膜1044が前記成長表面101に垂直な方向に増大して形成された第一エピタキシャル層104にも欠陥が少なくなる。
【0054】
図12及び図13を参照すると、前記実施形態のエピタキシャル結晶成長方法によって得られたエピタキシャル構造体10は、基板100と、第一カーボンナノチューブ層102と、第一エピタキシャル層104と、を含む。前記基板100は、成長表面101を有する。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100の成長表面101に配置されている。前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数の第一空隙105を含む。前記第一エピタキシャル層104は、前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105を通して前記基板100の成長表面101に接続されている。即ち、前記第一エピタキシャル層104は、前記基板100の成長表面101と、前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105に対応する位置に接点を有する。前記第一エピタキシャル層104の前記基板100の成長表面101と隣接する表面に、複数の第一キャビティ103が形成されている。前記第一キャビティ103は、溝又は止まり穴である。前記複数の第一キャビティ103と前記基板100の成長表面101とが共に、密封空間を形成し、前記第一カーボンナノチューブ層102を収容する。前記第一キャビティ103の内壁は、前記第一カーボンナノチューブ層102の該第一キャビティ103におけるカーボンナノチューブと所定の距離を有することができる。一つの例として、図12を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102は一枚のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。もう一つの例として、図14を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102は間隔をおいて平行して配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなる。また一つの例として、図15を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102は、互いに交叉して配置され、又は互いに編まれることにより網状構造体になった複数のカーボンナノチューブワイヤからなる。
【0055】
図16を参照すると、第二のエピタキシャル構造体10cの製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、前記第一エピタキシャル層104の表面106に第二カーボンナノチューブ層107を配置するステップ(S40)と、第一エピタキシャル層104の第二カーボンナノチューブ層107が配置された表面106に第二エピタキシャル層109を成長させるステップ(S50)と、含む。
【0056】
前記第二のエピタキシャル構造体10cの製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。即ち、ステップ(S30)の後、更にステップ(S40)と、ステップ(S50)と、を行う。
【0057】
前記ステップ(S40)において、前記第二カーボンナノチューブ層107は、前記第一カーボンナノチューブ層102と同じである。前記第二カーボンナノチューブ層107に、複数の第二空隙108が形成されている。本実施形態において、前記第二カーボンナノチューブ層107は、間隔をおいて平行して配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなることが好ましい。前記第二カーボンナノチューブ層107は、直接的に前記第一エピタキシャル層104の表面106に配置される。ここで、前記表面106が、前記第二エピタキシャル層109を成長させるために使用される。
【0058】
前記ステップ(S50)において、前記第二エピタキシャル層109を結晶成長させるための方法は、前記第一のエピタキシャル構造体の製造方法の前記ステップ(S30)において、前記第一エピタキシャル層104を結晶成長させる方法と同じである。前記第二エピタキシャル層109の材料は、前記第一エピタキシャル層104の材料と同じでも異なってもよいが、前記第二エピタキシャル層109に発生する格子欠陥を減少するために、前記第二エピタキシャル層109は、前記第一エピタキシャル層104に対するホモエピタキシャル層であることが好ましい。
【0059】
図17を参照すると、前記ステップ(S50)は、前記ステップ(S30)に類似して、前記第一エピタキシャル層104の表面106の露出された領域に核を形成し、該核の寸法が主に前記表面106に垂直な方向に沿って増加して、複数のエピタキシャル結晶粒1092を形成するステップ(S501)と、前記複数のエピタキシャル結晶粒1092による横方向結晶成長、隣接する結晶粒1092同士の合体によって全体のエピタキシャル膜1094を形成するステップ(S502)と、前記エピタキシャル膜1094が前記表面106に垂直な方向に増大して、第二エピタキシャル層109を形成するステップ(S503)と、を含む。
【0060】
図18及び図19を参照すると、本実施形態のエピタキシャル結晶成長方法によって得られたエピタキシャル構造体10cは、基板100と、第一カーボンナノチューブ層102と、第一エピタキシャル層104と、第二カーボンナノチューブ層107と、第二エピタキシャル層109と、を含む。前記基板100は、成長表面101を有する。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100の成長表面101に配置されている。前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数の第一空隙105を含む。前記第一エピタキシャル層104は、前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105を通して前記基板100の成長表面101に接続されている。即ち、前記第一エピタキシャル層104は、前記基板100の成長表面101と、前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105に対応する位置に接点を有する。前記第一エピタキシャル層104の前記基板100の成長表面101に隣接する表面に、複数の第一キャビティ103が形成されている。前記第一キャビティ103は、溝又は止まり穴である。前記複数の第一キャビティ103と前記基板100の成長表面101とが共に、密封空間を形成し、前記第一カーボンナノチューブ層102を収容する。前記第一キャビティ103の内壁は、前記第一カーボンナノチューブ層102の該第一キャビティ103におけるカーボンナノチューブと所定の距離を有することができる。
【0061】
前記第二カーボンナノチューブ層107は、前記第一エピタキシャル層104の表面106に配置されている。前記第二カーボンナノチューブ層107は、複数の第二空隙108を含む。前記第二エピタキシャル層109は、前記第二カーボンナノチューブ層107の複数の第二空隙108を通して前記第一エピタキシャル層104の表面106に接続されている。即ち、前記第二エピタキシャル層109は、前記第一エピタキシャル層104の表面106と、前記第二カーボンナノチューブ層107の複数の第二空隙108に対応する位置に接点を有する。前記第二エピタキシャル層109の前記第一エピタキシャル層104の表面106に隣接する表面に、複数の第二キャビティ110が形成されている。前記第二キャビティ110は、溝又は止まり穴である。前記複数の第二キャビティ110と前記第一エピタキシャル層104の表面106とが共に、密封空間を形成し、前記第二カーボンナノチューブ層107を収容する。前記第二キャビティ110の内壁は、前記第二カーボンナノチューブ層107の該第二キャビティ110におけるカーボンナノチューブと所定の距離を有することができる。
【0062】
本実施形態において、一つの例として、図18を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102及び前記第二カーボンナノチューブ層107は、それぞれ一枚のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。もう一つの例として、図20を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102及び前記第二カーボンナノチューブ層107は、それぞれ間隔をおいて平行するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなる。また一つの例として、図21を参照すると、前記第一カーボンナノチューブ層102及び前記第二カーボンナノチューブ層107は、それぞれ互いに交叉するように配置され、又は互いに編まれることにより網状構造体になった複数のカーボンナノチューブワイヤからなる。
【0063】
図22を参照すると、第三のエピタキシャル構造体20の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、前記第一カーボンナノチューブ層102を除去して、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104が成長されたエピタキシャル構造体20を得るステップ(S60)と、含む。
【0064】
前記第三のエピタキシャル構造体20の製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S30)の後、更に前記第一カーボンナノチューブ層102を除去するステップ(S60)を含む。前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する方法は、プラズマエッチング法、レーザ加熱法又は炉内加熱法などであることができる。
【0065】
前記第一カーボンナノチューブ層102を、プラズマエッチング法によって除去する場合、前記ステップ(S60)は、前記ステップ(S30)から得られた第一のエピタキシャル構造体10を真空反応室に配置するステップ(601)と、前記反応室に反応気体を導入し、グロー放電による反応気体のプラズマを生成させて前記第一のエピタキシャル構造体10の第一カーボンナノチューブ層102に反応させるステップ(602)と、を含む。
【0066】
前記ステップ(602)において、前記反応気体は、酸素ガス、水素ガス、四フッ化炭素ガス又はテトラフルオロメタンなどであることができる。本実施形態において、前記反応気体は、酸素ガスであり、プラズマが酸素ガスにより生成された酸素プラズマである。該反応気体プラズマは、前記第一キャビティ103に進入することができる。前記反応気体プラズマを、前記第一カーボンナノチューブ層102と反応させる時間は、15秒間〜1時間であることができるが、好ましくは、15秒間〜15分間である。前記反応気体プラズマを生成するためのグロー放電の電力は、20W〜300Wであるが、好ましくは、150Wである。前記反応気体の流量は、10sccm〜100sccmであるが、好ましくは、50sccmである。反応室の気圧は、1Pa〜100Paであるが、好ましくは、10Paである。
【0067】
前記第一カーボンナノチューブ層102を、レーザ加熱法によって除去する場合、前記ステップ(S60)は、さらに、前記ステップ(S30)から得られた第一のエピタキシャル構造体10を酸素雰囲気に置くステップ(611)と、前記第一のエピタキシャル構造体10の第一カーボンナノチューブ層102又は基板100にレーザビームを照射するステップ(612)と、を含む。
【0068】
前記ステップ(612)において、前記レーザビームは、固体レーザ装置、液体レーザ装置、気体レーザ装置又は半導体レーザ装置などのレーザ装置により提供することができる。前記レーザ装置のパワー密度は0.053×1012W/mである。前記レーザ装置のレーザスポットの直径は、1mm〜5mmであることができる。前記第一カーボンナノチューブ層102又は基板100にレーザビームを照射する時間は、1.8秒より小さい。本実施形態において、前記レーザビームは、炭酸ガスレーザ装置により提供する。前記炭酸ガスレーザ装置の、電力は30Wであり、レーザの波長は10.6μmであり、レーザスポットの直径は3mmである。
【0069】
前記ステップ(612)において利用したレーザ装置のパラメータが、第一エピタキシャル層104の材料に応じて選択される。レーザ装置のパラメータは、前記レーザ装置からのレーザビームが前記第一エピタキシャル層104を分解させない程度に設定されることが好ましい。例えば、前記第一エピタキシャル層104は、低温GaNバッファ層及び高温GaNエピタキシャル層を含む場合、前記低温GaNバッファ層は、248nmの波長のレーザに対しては強い吸収性を有するので、レーザ加熱法によって前記第一カーボンナノチューブ層102を除去するために、248nmの波長のレーザを使用することを避ける。例えば、前記第一エピタキシャル層104は、低温GaNバッファ層及び高温GaNエピタキシャル層を含む場合、248nmの波長のレーザを使用すると、前記低温GaNバッファ層は、GaとNに分解される。
【0070】
例えば、前記基板100が不透明の材料からなる場合、前記基板100にレーザビームを照射すると、前記基板100が加熱されて温度が上昇して、前記基板100に接触した前記第一カーボンナノチューブ層102を加熱する。前記第一キャビティ103の内壁は、前記第一カーボンナノチューブ層102の前記第一キャビティ103におけるカーボンナノチューブとの間に、隙間を有するので、酸素ガス又は空気が前記第一キャビティ103を満たすことは容易である。このように、前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100からの熱量を吸収するとともに酸素ガスの作用で酸化されて、二酸化炭素になることにより除去されることができる。
【0071】
例えば、前記基板100が透明材料からなる場合、前記基板100にレーザビームを照射すると、レーザは前記基板100を通して直接的に前記第一カーボンナノチューブ層102を照射する。この場合、前記第一カーボンナノチューブ層102は、容易に前記レーザーを吸収して酸化される。前記ステップ(S30)から得られた第一のエピタキシャル構造体10にレーザビームを照射する場合、レーザビームをエピタキシャル構造体10に対して相対移動させて照射することができる。レーザビームは、前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブの配向方向と平行方向又は垂直方向に沿って移動させることができる。レーザビームは、低いスピードで前記エピタキシャル構造体10に対して相対移動する場合、前記第一カーボンナノチューブ層102が多くのエネルギーを吸収して短い時間で酸化されることができる。本実施形態において、レーザビームがエピタキシャル構造体10に対して相対移動する速度は10mm/sより小さい。
【0072】
前記ステップ(612)において、前記ステップ(S30)から得られた第一のエピタキシャル構造体10を固定し、レーザビームを移動させることによってレーザで全体の基板100を照射することができる。又は、レーザビームを固定し、前記エピタキシャル構造体10を移動させることによってレーザで全体の基板100を照射することができる。
【0073】
前記第一カーボンナノチューブ層102を、炉内加熱法によって除去する場合、前記ステップ(S60)は、前記ステップ(S30)から得られた第一のエピタキシャル構造体10を加熱炉内に配置するステップ(621)と、加熱炉で前記エピタキシャル構造体10に対して加熱するステップ(622)と、を含む。
【0074】
前記ステップ(621)において、前記加熱炉に対しては特に制限がなく、必要に応じて選択する。本実施形態では、前記加熱炉には、酸素ガス又は空気が充満されている。
【0075】
前記ステップ(622)において、前記加熱炉を600℃以上の温度に加熱させるが、好ましくは、650℃〜1200℃の温度に加熱される。
【0076】
図23を参照すると、第四のエピタキシャル構造体20aの製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、前記第一エピタキシャル層104の表面106に第二カーボンナノチューブ層107を配置するステップ(S40)と、第一エピタキシャル層104の第二カーボンナノチューブ層107が配置された表面106に第二エピタキシャル層109を成長させるステップ(S50)と、前記第一カーボンナノチューブ層102及び第二カーボンナノチューブ層107を除去して、前記基板100に第一エピタキシャル層104及び第二エピタキシャル層109が成長されたエピタキシャル構造体20aを得るステップ(S60a)と、含む。
【0077】
前記第四のエピタキシャル構造体20aの製造方法には、前記第二のエピタキシャル構造体10cの製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S50)の後、更に前記第一カーボンナノチューブ層102及び第二エピタキシャル層109を除去するステップ(S60a)を含む。前記ステップ(S60a)は、前記第三のエピタキシャル構造体20の製造方法のステップ(60)に記載された方法によって行うことができる。
【0078】
図24を参照すると、第五のエピタキシャル構造体30の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を成長させるステップ(S80)と、前記バッファ層1041の表面に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記バッファ層1041の表面に第一エピタキシャル層104を成長させ、エピタキシャル構造予備体を形成するステップ(S30)と、前記基板100を除去するステップ(S70)と、を含む。
【0079】
前記第五のエピタキシャル構造体30の製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S10)及びステップ(S20)の間に更に、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を形成するステップ(S80)と、前記ステップ(S30)の後、更に前記基板100を除去するステップ(S70)と、を含む。
【0080】
前記ステップ(S80)において、前記バッファ層1041を、前記ステップ(30)で提供された第一エピタキシャル層104の成長方法によって成長させることができる。前記バッファ層1041の厚さは、10nm〜50nmであることができる。前記バッファ層1041の材料は、前記第一エピタキシャル層104と基板100との間の格子不整合を低減することができるように前記基板100の材質に応じて選択する。
【0081】
前記ステップ(S70)において、前記基板100を除去するために、レーザ照射法、エッチング法又は熱膨張収縮法を利用することができる。前記基板100を除去する方法は、前記基板100、前記バッファ層1041及び前記第一エピタキシャル層104の材料によって選択する。
【0082】
一つの例として、前記基板100が、サファイアからなり、前記バッファ層1041が、低温GaN層であり、第一エピタキシャル層104が、高温GaN層である場合、前記基板100をレーザ照射により除去することができる。この場合、前記ステップ(S70)は、前記ステップ(S30)からのエピタキシャル構造予備体の、前記基板100の前記バッファ層1041が形成されない表面を研磨し、洗浄するステップ(S701)と、レーザビームを提供して、前記エピタキシャル構造予備体の基板100を照射するステップ(S702)と、レーザビームによって照射されたエピタキシャル構造予備体を溶液に浸漬して、前記基板100を除去することにより前記第五のエピタキシャル構造体30を形成するステップ(S703)と、を含む。
【0083】
前記ステップ(S701)において、レーザで前記基板100を照射する場合、散乱現象の発生可能性を減少させるため、前記基板100の表面を機械研磨法又は化学研磨法によって研磨して、滑らかな表面に加工することができる。さらに、前記基板100の表面にある金属不純物、油汚れ等を除去するために、前記基板100の表面を塩酸又は硫酸を用いて洗浄することができる。
【0084】
前記ステップ(S702)において、前記エピタキシャル構造予備体の第一カーボンナノチューブ層102が酸化されることを防止するために、前記エピタキシャル構造予備体をレーザービームで照射することを、真空又は保護ガスの雰囲気で行う。前記保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の一種又は数種であることができる。
【0085】
前記基板100の研磨された表面に、これに垂直に前記レーザビームを照射する。これにより、レーザビームを、前記基板100と前記第一エピタキシャル層104の間に達させることができる。レーザの波長は、バッファ層1041及び基板100の材料によって選択される。前記レーザビームのエネルギーが、前記基板100のエネルギーバンドギャップより小さく、前記バッファ層1041のエネルギーバンドギャップより大きいことが好ましい。これにより、レーザーを前記基板100を通じて前記バッファ層1041に到達させる。この場合、前記バッファ層1041は、レーザを吸収して、急速に加熱されて分解される。本実施形態において、前記バッファ層1041は、エネルギーバンドギャップが3.3eVの低温GaN層であり、前記基板100は、エネルギーバンドギャップが9.9eVのサファイアであるので、前記レーザビームの、波長が248nmであり、エネルギーが5eVであり、パルス幅が20ns〜40nsであり、エネルギー密度が400mJ/cm〜600mJ/cmであり、光スポットが0.5mmの辺長を有する正方形である。前記レーザビームの前記基板100での光スポットを、0.5mm/sの速度で基板100に対して相対移動させる。この場合、前記低温GaNバッファ層1041は、レーザを吸収して、GaとNに分解される。しかし、前記波長のレーザが前記高温GaN第一エピタキシャル層104に吸収される量は少なく、又は吸収されないので、前記高温GaN第一エピタキシャル層104がレーザで前記基板100を照射する過程で破壊されない。
【0086】
前記ステップ(703)において、前記ステップ(702)において分解されたGaを酸溶液に浸漬させて除去する。これにより、前記基板100を前記第一エピタキシャル層104から分離させることができる。前記酸溶液は、塩酸、硫酸又は硝酸のような、Gaを溶解できる溶液である。前記ステップ(703)で得られた前記第五のエピタキシャル構造体30において、前記第一カーボンナノチューブ層102は前記第一エピタキシャル層104の第一キャビティ103に位置されている。この原因は、前記ステップ(702)で、前記低温GaNバッファ層1041がレーザで照射されてGaとNに分解される場合、前記Nの作用で前記バッファ層1041の表面に配置された前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記バッファ層1041の表面に吸着するための力が弱くなる。従って、前記ステップ(703)で、Gaが酸溶液で溶解された場合、前記第一カーボンナノチューブ層102は前記第一エピタキシャル層104の第一キャビティ103に残ることになる。更に、前記第一エピタキシャル層104と前記バッファ層1041との間に第一カーボンナノチューブ層102が配置されているので、前記バッファ層1041は、前記第一エピタキシャル層104と相対的に小さな接触面を持ち、前記バッファ層1041を分解することにより、前記基板100を前記第一エピタキシャル層104から分離する工程が容易になり、前記第一エピタキシャル層104に対しての損傷を減少させることができる。
【0087】
もう一つの例として、前記基板100が、SiCからなり、前記バッファ層1041が、AlN層またはTiN層であり、第一エピタキシャル層104が、高温GaN層である場合、前記基板100を、エッチング法でバッファ層1041をエッチングすることにより除去することができる。この場合、前記エッチング法に利用するエッチング液は、前記バッファ層1041及び/又は前記基板100を溶解できるが、前記第一エピタキシャル層104を溶解できない溶液である。前記エッチング液は、NaOH溶液、KOH溶液又はNHOH溶液であることができるが、好ましくは、NaOHである。ここで、前記バッファ層1041が成長されず、前記第一エピタキシャル層104が直接的に前記基板100に成長されることもある場合、直接的に前記基板100を溶解できるエッチング液により前記基板100を溶解させて除去する。
【0088】
前記第一エピタキシャル層104と前記バッファ層1041の間に第一カーボンナノチューブ層102が配置されていることにより、前記第一エピタキシャル層104には、前記バッファ層1041と接触する界面に複数の第一キャビティ103が形成されているので、前記第一エピタキシャル層104は、前記バッファ層1041と相対的に小さな接触面を持ち、前記エッチング液が急速に前記バッファ層1041の、前記第一エピタキシャル層104との界面に展開されて、前記バッファ層1041を分解することができる。従って、前記基板100を前記第一エピタキシャル層104から分離する工程が容易になり、前記第一エピタキシャル層104に対しての損傷を減少させることができる。
【0089】
前記基板100及び/又は前記バッファ層1041の材料が、前記第一エピタキシャル層104の材料に対して大きい熱膨張係数を有する場合、前記基板100が熱膨張収縮法で除去されることができる。熱膨張収縮法で前記基板100を除去する場合、前記エピタキシャル構造予備体を1000℃以上の高温に加熱し、この後2分間〜20分間で急速に低温(例えば室温又は200℃以下)まで冷却される。この場合、前記基板100と前記バッファ層1041との熱膨張係数、又は前記バッファ層1041と前記第一エピタキシャル層104との熱膨張係数が異なるので、前記基板100と前記バッファ層1041の間の応力作用で、又は前記バッファ層1041と前記第一エピタキシャル層104の応力作用で、前記基板100を除去することができる。前記エピタキシャル構造予備体を1000℃以上の高温に加熱することは、前記第一カーボンナノチューブ層102に電流を通すことにより行うことができる。該方法によって得られたエピタキシャル構造体30において、前記第一カーボンナノチューブ層102は前記第一エピタキシャル層104の第一キャビティ103に位置することもできる。
【0090】
図25及び図26を参照すると、本実施形態のエピタキシャル結晶成長方法によって得られた第五のエピタキシャル構造体30は、第一エピタキシャル層104及び第一カーボンナノチューブ層102を含む。前記第一エピタキシャル層104少なくとも一つのパターン化表面を有する。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一エピタキシャル層104のパターン化表面に埋め込まれている。前記第一カーボンナノチューブ層102は、複数の第一空隙105を含み、前記第一エピタキシャル層104の一部が前記複数の第一空隙105によって突出されている。前記第一エピタキシャル層104の隣接する突出部がそれぞれ前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブを囲まれて複数の第一キャビティ103が形成される。前記第一キャビティ103は、溝又は止まり穴である。前記第一カーボンナノチューブ層102の一部のカーボンナノチューブが前記第一キャビティ103によって露出される。
【0091】
更に、前記ステップ(S70)の後に、前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程を含むことができる。前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程は、前記第三のエピタキシャル構造体20の製造方法に利用したステップ(S60)によって行う。又は、前記第一カーボンナノチューブ層102を、粘着テープで剥離する方法、洗浄、超音波処理方法及びブラシで研磨する方法等の一種又は数種方法によって除去することができる。
【0092】
図27を参照すると、第六のエピタキシャル構造体30aの製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を成長させるステップ(S80)と、前記バッファ層1041の表面に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記バッファ層1041の表面に第一エピタキシャル層104を成長させ、エピタキシャル構造予備体を形成するステップ(S30)と、前記第一エピタキシャル層104に第二カーボンナノチューブ層107を配置するステップ(S40)と、第一エピタキシャル層104の第二カーボンナノチューブ層107が配置された表面に第二エピタキシャル層109を成長させるステップ(S50)と、前記基板100を除去するステップ(S70)と、を含む。
【0093】
前記第六のエピタキシャル構造体30aの製造方法には、前記第二のエピタキシャル構造体10cの製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S10)及びステップ(S20)の間に、更に、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を形成するステップ(S80)を含み、前記ステップ(S50)の後、更に、前記基板100を除去するステップ(S70)を含む。
【0094】
図28を参照すると、第七のエピタキシャル構造体40の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を成長させるステップ(S80)と、前記バッファ層1041の表面に第一エピタキシャル層104を成長させ、エピタキシャル構造予備体を形成するステップ(S30)と、前記基板100及び前記第一カーボンナノチューブ層102を除去するステップ(S70a)と、を含む。
【0095】
前記第七のエピタキシャル構造体40の製造方法には、前記第五のエピタキシャル構造体30の製造方法と比べて、次の異なる点がある。即ち、前記ステップ(S80)は、ステップ(S10)及びステップ(S20)の間に行われず、ステップ(S20)及びステップ(S30)の間に行われる。前記ステップ(S30)の後、前記基板100を除去せず、前記基板100及び第一カーボンナノチューブ層102を全体除去するステップ(S70a)と、を含む。前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置した後、前記ステップ(S80)によって前記基板100の成長表面101の上に、前記第一カーボンナノチューブ層102の第一空隙105の内にバッファ層1041が形成されているので、前記ステップ(S70a)で、前記第五のエピタキシャル構造体30の製造方法のステップ(S70)によって前記基板100を除去する場合、前記第一カーボンナノチューブ層102が前記基板100に附着されて、前記基板100と併せて除去されることができる。
【0096】
図29を参照すると、第八のエピタキシャル構造体50の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、前記第一エピタキシャル層104の上にドープされた半導体エピタキシャル層112を成長させるステップ(S90)と、含む。
【0097】
前記第八のエピタキシャル構造体50の製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S30)の後、更にステップ(S90)を含む。
【0098】
前記ステップ(S90)において、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112を形成する方法は以下の数種である。第一種では、前記第一エピタキシャル層104の上に更に真性半導体エピタキシャル層を成長させるための原料ガスにドーピング要素を含むガスを導入することにより、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112を成長されることができる。前記ドープされた半導体エピタキシャル層112は、N型ドープされた半導体エピタキシャル層又はP型ドープされた半導体エピタキシャル層であることができる。本実施形態において、PN接合を形成するために、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112は、N型ドープされた半導体エピタキシャル層1120及びP型ドープされた半導体エピタキシャル層1122を含む。好ましくは、前記N型ドープされた半導体エピタキシャル層1120及びP型ドープされた半導体エピタキシャル層1122の間に、更に活性層(図示せず)が形成されることができる。前記活性層は、単層量子井戸構造又は多層量子井戸構造を有することができる。アニーリング法によって前記ドープされた半導体エピタキシャル層112のドーピング要素をアクティブにすることができる。更に、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112の前記基板から離れた方の表面に、高濃度にドープされた半導体電極接触層(図示せず)を形成することができる。
【0099】
第二種では、ドーピング元素を含むガスを、直接に前記第一エピタキシャル層104を成長させるための原料ガスに混入することにより、ドープされた半導体エピタキシャル層112を、直接的に前記基板100の成長表面に成長させることができる。
【0100】
第三種では、前記第一エピタキシャル層104は、真性半導体エピタキシャル層として用いられて、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112を形成するためにドーピング元素を含むガスを原料ガスに混入するステップを、前記ステップ(S30)の後に行うことにより、前記第一エピタキシャル層104の上に前記ドープされた半導体エピタキシャル層112を成長させることができる。更に、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112を、真性半導体エピタキシャル層に、熱拡散又はイオン注入等の方法によってドープすることで形成することができる。
【0101】
図30及び図31を参照すると、前記製造方法によって得られた第八のエピタキシャル構造体50は、基板100と、第一カーボンナノチューブ層102と、第一エピタキシャル層104と、ドープされた半導体エピタキシャル層112と、を含む。前記第八のエピタキシャル構造体50には、前記第一のエピタキシャル構造体10と比べて、次の異なる点がある。前記第一エピタキシャル層104は、真性半導体エピタキシャル層であり、前記真性半導体エピタキシャル層の上に更に、ドープされた半導体エピタキシャル層112が形成されている。前記ドープされた半導体エピタキシャル層112は、PN接合を形成するためのN型ドープされた半導体エピタキシャル層1120及びP型ドープされた半導体エピタキシャル層1122を含む。本実施形態において、前記N型ドープされた半導体エピタキシャル層1120及びP型ドープされた半導体エピタキシャル層1122の間に、更に活性層(図示せず)が配置されることができる。前記活性層は、単層量子井戸構造または多層量子井戸構造を有することができる。更に、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112の前記基板から離れた方の表面に、高濃度ドープされた半導体電極接触層(図示せず)が配置されることができる。ここで、一つの例として、前記第八のエピタキシャル構造体50に、前記真性半導体エピタキシャル層とする第一エピタキシャル層104を省略して、前記ドープされた半導体エピタキシャル層112が直接的に前記基板100の成長表面101に接触するように配置されることができる。
【0102】
図32を参照すると、第九のエピタキシャル構造体60の製造方法は、結晶成長するための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101の上に第一カーボンナノチューブ層102を懸架するように配置するステップ(S20a)と、前記基板100の成長表面101に第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30)と、含む。
【0103】
前記第九のエピタキシャル構造体60の製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S20a)は、ステップ(S20)と異なり、前記ステップ(S20a)において、前記第一カーボンナノチューブ層102を前記基板100の成長表面101に接触するように配置せず、前記基板100の成長表面101の上に第一カーボンナノチューブ層102を懸架するように配置する。
【0104】
前記ステップ(S20a)において、前記第一カーボンナノチューブ層102は、自立構造を有する。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記基板100の成長表面101に所定に距離をおいて配置される。前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブは、前記基板100の成長表面101に平行して延伸する。前記第一カーボンナノチューブ層102の前記成長表面101での正投影が、全体の前記基板100の成長表面101を覆い、又は前記基板100の成長表面101の面積より小さいことができる。前記第一カーボンナノチューブ層102と前記基板100の成長表面101との間の距離は、10nm〜500μmであるが、好ましくは、50nm〜100μmであり、より好ましくは、10μmである。
【0105】
前記ステップ(S20a)は、第一支持体114及び第二支持体116を提供し、前記第一支持体114及び第二支持体116を間隔を置いて配置するステップ(S201)と、前記基板100を、前記第一支持体114及び第二支持体116の間に配置するステップ(S202)と、前記第一カーボンナノチューブ層102を、前記第一支持体114及び第二支持体116によって前記基板100の上に懸架するように配置するステップ(S203)と、を含む。
【0106】
前記ステップ(S201)において、前記第一支持体114及び第二支持体116は、金属、合金、ポリマー、ガラス又はセラミックなどの材料からなることができる。前記第一支持体114及び第二支持体116の間の距離に対しては特に制限がなく、必要に応じて選択することができる。好ましくは、前記第一支持体114及び第二支持体116の間に、これらによって支持された第一カーボンナノチューブ層102の正投影が、全体の前記基板100の成長表面101を覆うことができる程度に、前記第一支持体114及び第二支持体116の間の距離が設定される。本実施形態において、前記第一支持体114及び第二支持体116の間の距離は、基板100の寸法より大きい。前記第一支持体114及び第二支持体116の高さは、前記基板100の厚さより高い。
【0107】
前記ステップ(S203)において、前記第一カーボンナノチューブ層102の対向する両端の縁部の、一端の縁部を前記第一支持体114に掛け、もう一端の縁部を前記第二支持体116に掛ける。前記第一支持体114及び第二支持体116の間における前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一支持体114及び第二支持体116によって、ぴんと張られ、懸架される。前記第一カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブは、前記第一支持体114から第二支持体116までの方向に沿って延伸される。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一支持体114及び第二支持体116に導電性接着剤によって固定されることができる。
【0108】
前記ステップ(S30)において、前記第一エピタキシャル層104は、第一段階で、前記基板100の成長表面101から開始して成長し、第二段階で、前記第一カーボンナノチューブ層102に達すると、前記第一エピタキシャル層104は、前記成長表面101に垂直な方向に前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105を通じて成長し、第三段階で、横方向に成長する。これにより、各々の段階で成長された前記第一エピタキシャル層104が共に、前記第一カーボンナノチューブ層102を囲むように結合できる。従って、前記第一エピタキシャル層104に複数の第一キャビティ103が形成される。更に、前記第一カーボンナノチューブ層102に電流を通すことにより、前記エピタキシャル構造体60に対して加熱することができる。前記第一カーボンナノチューブ層102に電流を通すことは、前記第一支持体114及び第二支持体116によって実現することができる。
【0109】
図33を参照すると、前記第九のエピタキシャル構造体60は、基板100と、第一エピタキシャル層104と、第一カーボンナノチューブ層102と、を含む。前記第一エピタキシャル層104は、前記基板100の上に配置される。前記第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一エピタキシャル層104の内部に、記第一エピタキシャル層104によって囲まれるように配置される。前記第九のエピタキシャル構造体60には、前記第一のエピタキシャル構造体10と比べて、次の異なる点がある。前記第一エピタキシャル層104の内部に複数の第一キャビティ103が形成されている。前記複数の第一キャビティ103は、前記第一エピタキシャル層104の内部の同じ平面に配置されている。前記第一カーボンナノチューブ層102が、間隔をおいて平行するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記複数の第一キャビティ103は、間隔をおいて平行するように配置されたトンネルである。前記第一カーボンナノチューブ層102が、間隔をおいて交差するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなり、又は複数のカーボンナノチューブワイヤを編むことで形成されたカーボンナノチューブネットである場合、前記複数の第一キャビティ103は、相互接続されて交差のトンネルになることができる。前記第一キャビティ103の断面は、円形にすることができる。この場合、前記第一キャビティ103の直径は、2nm〜200μmである。好ましくは、前記第一キャビティ103の直径は、2nm〜200nmである。
【0110】
図34に示すように、もう一つの実施形態として、前記ステップ(S20a)において、二層第一カーボンナノチューブ層102を前記基板100の成長表面101の上に懸架するように配置することができる。この場合、前記二層第一カーボンナノチューブ層102が、前記基板100の成長表面101に垂直な方向に間隔を置いて、互いに平行するように配置される。前記二層第一カーボンナノチューブ層102の間の距離は10nm〜500μmである。更に、複数の第一カーボンナノチューブ層102を前記基板100の成長表面101の上に、前記基板100の成長表面101に垂直な方向に間隔を置いて、互いに平行するように懸架して配置することができる。この場合、隣接する第一カーボンナノチューブ層102の間の距離は同じである。図35に示すように、例えば一つの例としてエピタキシャル構造体60aは、基板100と、第一エピタキシャル層104と、二つの第一カーボンナノチューブ層102と、を含む。前記第一エピタキシャル層104は、前記基板100の上に配置される。前記二つの第一カーボンナノチューブ層102は、前記第一エピタキシャル層104の内部に互いに間隔をおいて配置される。
【0111】
図36を参照すると、第十のエピタキシャル構造体70の製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101に互いに間隔をおいて成長された複数の第一エピタキシャル結晶粒1042を含む第一エピタキシャル層104を成長させるステップ(S30a)と、含む。
【0112】
前記第十のエピタキシャル構造体70の製造方法には、前記第一のエピタキシャル構造体10の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S30a)は、ステップ(S30)と異なり、前記ステップ(S30a)において、連続的な前記第一エピタキシャル層104を形成せず、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブによって間隔された複数の第一エピタキシャル結晶粒1042からなる非連続的な構造体を形成する。
【0113】
前記ステップ(S30a)において、前記複数の第一エピタキシャル結晶粒1042は、前記第一カーボンナノチューブ層102の複数の第一空隙105によって露出した前記基板の成長表面101から成長される。前記第一エピタキシャル層104の成長時間を制御することにより、前記第一エピタキシャル層104の厚さを制御することができる。しかし、前記第一エピタキシャル層104における複数の第一エピタキシャル結晶粒1042が互いに間隔をおいて連続しないことを保証する。前記複数の第一エピタキシャル結晶粒1042は共に、パターン化された空間を形成することができる。前記第一カーボンナノチューブ層102が、前記パターン化された空間に位置する。前記パターン化された空間は、前記パターン化された第一カーボンナノチューブ層102のパターンに応じる。前記第一カーボンナノチューブ層102が、間隔をおいて平行するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、前記パターン化された空間は、間隔をおいて平行するように配置された複数の溝からなる。前記第一カーボンナノチューブ層102が、間隔をおいて交差するように配置された複数のカーボンナノチューブワイヤからなり、又は複数のカーボンナノチューブワイヤを編みことで形成されたカーボンナノチューブネットである場合、前記パターン化された空間は、相互接続されて交差の溝からなることができる。
【0114】
更に、前記ステップ(S30a)の後に、前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程を行うことができる。前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程は、前記第三のエピタキシャル構造体20の製造方法に利用したステップ(S60)によって行う。又は、前記第一カーボンナノチューブ層102を、粘着テープで剥離する方法、洗浄、超音波処理方法及びブラシで研磨する方法等の一種又は数種方法によって除去することができる。
【0115】
図37を参照すると、前記エピタキシャル構造体70は、基板100と、第一エピタキシャル層104と、第一カーボンナノチューブ層102と、を含む。前記第一エピタキシャル層104は、前記基板100の上に配置される。前記第一エピタキシャル層104は、前記第一カーボンナノチューブ層102のカーボンナノチューブによって間隔された複数の第一エピタキシャル結晶粒1042からなる非連続的な構造体である。前記第一エピタキシャル層104は、パターン化された構造を有する。前記第一エピタキシャル層104は、前記第一カーボンナノチューブ層102に応じた形状を有している。前記第一エピタキシャル結晶粒1042の形状は、前記第一カーボンナノチューブ層102の第一空隙105によって決められる。例えば、前記第一空隙105が円孔である場合、前記第一エピタキシャル結晶粒1042は、円柱体であることができる。前記第一空隙105が間隙である場合、前記第一エピタキシャル結晶粒1042は、長方体であることができる。
【0116】
図38を参照すると、第十一のエピタキシャル構造体70aの製造方法は、結晶成長のための成長表面101を有する基板100を提供するステップ(S10)と、前記基板100の成長表面101に第一カーボンナノチューブ層102を配置するステップ(S20)と、前記基板100の成長表面101にバッファ層1041を成長させるステップ(S80)と、前記バッファ層1041の表面に第一エピタキシャル層104を成長させ、エピタキシャル構造予備体を形成するステップ(S30)と、前記第一エピタキシャル層104の表面106に第二カーボンナノチューブ層107を配置するステップ(S40)と、前記第一エピタキシャル層104の表面に互いに間隔をおいて成長された複数の第二エピタキシャル結晶粒1092を含む第二エピタキシャル層109を成長させるステップ(S50a)と、含む。
【0117】
前記第十一のエピタキシャル構造体70aの製造方法には、前記第七のエピタキシャル構造体40の製造方法と比べて、次の異なる点がある。ステップ(S30)の後に、ステップ(S70a)を行わず、ステップ(S30)の後に、更に、ステップ(S40)及びステップ(S50a)を行う。
【0118】
更に、前記ステップ(S50a)の後に、前記第二カーボンナノチューブ層107を除去する工程を行うことにより、第十二のエピタキシャル構造体70bを形成することができる。前記第二カーボンナノチューブ層107を除去する工程は、前記第三のエピタキシャル構造体20の製造方法に利用したステップ(S60)によって行う。又は、前記第二カーボンナノチューブ層107を、粘着テープで剥離する方法、洗浄、超音波処理方法及びブラシで研磨する方法等の一種又は数種方法によって除去することができる。
【0119】
更に、前記第二カーボンナノチューブ層107を除去する工程の後に、前記基板100及び前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程を行うことにより、第十三のエピタキシャル構造体70cを形成することができる。前記基板100及び前記第一カーボンナノチューブ層102を除去する工程は、第七のエピタキシャル構造体40の製造方法に利用したステップ(S70a)によって行う。
【0120】
図39を参照すると、前記第十一のエピタキシャル構造体70aは、基板100と、第一エピタキシャル層104と、第一カーボンナノチューブ層102と、第二カーボンナノチューブ層107と、第二エピタキシャル層109と、を含む。前記第十一のエピタキシャル構造体70aには、第二のエピタキシャル構造体10cと比べて、次の異なる点がある。前記第二エピタキシャル層109は、前記第二カーボンナノチューブ層107のカーボンナノチューブによって間隔された複数の第二エピタキシャル結晶粒1092からなる非連続的な構造体である。前記第二エピタキシャル層109は、パターン化された構造を有する。前記第二エピタキシャル層109は、前記第二カーボンナノチューブ層109に応じた形状を有している。更に、前記基板100及び第一エピタキシャル層104の間にバッファ層1041が配置されている。前記バッファ層1041は、基板100上に、前記第一カーボンナノチューブ層102の第一空隙105に位置している。
【0121】
図40を参照すると、前記第十二のエピタキシャル構造体70bは、基板100と、第一エピタキシャル層104と、第一カーボンナノチューブ層102と、第二エピタキシャル層109と、を含む。前記第十二のエピタキシャル構造体70bには、第十一のエピタキシャル構造体70aと比べて、次の異なる点がある。前記第二エピタキシャル層109のパターン化された空間にカーボンナノチューブ層が配置されていない。
【0122】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0123】
(実施例1)
本実施例において、基板はSOI(silicon on insulator)基板であり、エピタキシャル層は、GaN層である。前記GaN層がMOCVD法(有機金属化学気相蒸着法)によって前記SOI基板に成長される。高純度のアンモニア(NH)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をGaの原料ガスとして、水素(H)をキャリヤガスとして用いる。単層のカーボンナノチューブ膜は、SOI基板のエピタキシャル成長表面に配置される。エピタキシャル層の成長工程は、カーボンナノチューブ膜が配置されたSOI基板を真空反応室に配置し、前記反応室を1070℃まで加熱する段階(a)と、キャリヤガス、Gaの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入する段階(b)と、1070℃で450秒間にわたって主に縦方向に結晶成長させて、間隔を有するエピタキシャル結晶粒を形成する段階(c)と、前記反応室の温度を1110℃まで昇温し、Gaの原料ガスの流量を減少させ、反応室のガス圧を変化させず、窒素源ガスの流量を維持して、1110℃で4900秒間にわたって前記エピタキシャル結晶粒から横方向に結晶成長させることにより、GaNエピタキシャル膜を形成する段階(d)と、前記反応室の温度を1070℃まで下げ、Gaの原料ガスの流量を増加させて、1070℃で10000秒間にわたってGaNエピタキシャル膜により縦方向に結晶成長させてGaNエピタキシャル層を形成する段階(e)と、を含む。
【0124】
前記実施例1によって得られたエピタキシャル構造体をSEM及びTEMにより観察すると、図41及び図42に示すように、色の暗い領域は、エピタキシャル層であり、色の明るい領域が基板である。前記エピタキシャル層の、前記基板と接続する領域に複数の溝が形成されている。前記エピタキシャル層に形成された複数の溝が、前記基板で閉塞されて複数のトンネルになる。前記カーボンナノチューブ膜のカーボンナノチューブは、前記トンネルの中に位置する。
【0125】
(実施例2)
本実施例において、基板はサファイア基板であり、エピタキシャル層は、GaN層である。前記GaN層がMOCVD法によって前記サファイア基板に成長される。高純度アンモニア(NH)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をGaの原料ガスとして、水素(H)をキャリヤガスとして用いる。単層のカーボンナノチューブ膜は、サファイア基板のエピタキシャル成長表面に配置される。前記エピタキシャル層の成長工程は、カーボンナノチューブ膜が配置されたサファイア基板を真空反応室に配置し、前記反応室を1100℃〜1200℃まで加熱し、キャリヤガスを反応室に導入し、前記サファイア基板を200秒間〜1000秒間にわたって焼成する段階(a)と、キャリヤガスの雰囲気で前記反応室の温度を500℃〜650℃まで下げ、同時にGaの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入して、10nm〜50nmの低温GaNバッファ層を成長させる段階(b)と、Gaの原料ガスの導入を停止し、キャリヤガス及び窒素源ガスの導入を維持し、前記反応室の温度を1110℃〜1200℃まで昇温して、30秒間〜300秒間にわたってアニーリング処理する段階(c)と、前記反応室の温度を1110℃〜1200℃に維持し、Gaの原料ガスを再びに導入することにより、高品質なエピタキシャル層を成長させる段階(d)と、を含む。
【0126】
前記実施例2によって得られたエピタキシャル構造体をSEM及びTEMにより観察されると、図43及び図44に示すように、色の暗い領域は、エピタキシャル層であり、色の明るい領域が基板である。前記エピタキシャル層の、前記基板との接続所に複数の溝が形成されている。前記エピタキシャル層に形成された複数の溝が、前記基板で閉塞されて複数のトンネルになる。前記カーボンナノチューブ膜のカーボンナノチューブは、前記トンネルにおける。
【0127】
(実施例3)
本実施例のエピタキシャル層の成長工程には、実施例2のエピタキシャル層の成長工程と比べて、次の異なる点がある。実施例2のエピタキシャル層の成長工程の段階(d)の後に、更にレーザビームで実施例2によって得られたエピタキシャル構造体を照射する段階(e)を含む。段階(e)において、レーザビームの作用でカーボンナノチューブ膜を酸化させることにより除去する。炭酸ガスレーザ装置によってレーザビームを提供する。前記炭酸ガスレーザ装置の、電力が30Wであり、レーザの波長が10.6μmであり、レーザスポットの直径が3mmである。レーザのパワー密度は、0.053×1012W/mである。レーザビームを照射する時間は、1.8秒より短い。
【0128】
(実施例4)
本実施例において、基板はサファイア基板であり、エピタキシャル層は、GaN層である。前記GaN層をMOCVD法によって前記サファイア基板に成長させる。高純度アンモニア(NH)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をGaの原料ガスとして、水素(H)をキャリヤガスとして用いる。単層のカーボンナノチューブ膜は、サファイア基板のエピタキシャル成長表面に配置される。前記エピタキシャル層の成長工程は、カーボンナノチューブ膜が配置されたサファイア基板を真空反応室に配置し、前記反応室を1100℃〜1200℃まで加熱し、キャリヤガスを反応室に導入し、前記サファイア基板を200秒間〜1000秒間にわたって焼成する段階(a)と、キャリヤガスの雰囲気で前記反応室の温度を500℃〜650℃まで下げ、同時にGaの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入して、10nm〜50nmの低温GaNバッファ層を成長させる段階(b)と、Gaの原料ガスの導入を停止し、キャリヤガス及び窒素源ガスの導入を維持し、前記反応室の温度を1110℃〜1200℃までに昇温して、30秒間〜300秒間にアニーリング処理する段階(c)と、前記低温GaNバッファ層の上に単層のカーボンナノチューブ膜を配置する段階(d)と、前記反応室の温度を1000℃〜1100℃に維持し、Gaの原料ガスを再びに導入することにより、前記低温GaNバッファ層の上にエピタキシャル層を成長させ、エピタキシャル構造体を形成する段階(e)と、真空環境でレーザビームにより前記エピタキシャル構造体を照射する段階(f)と、を含む。
【0129】
前記段階(f)において、前記レーザビームの、波長が248nmであり、エネルギーが5eVであり、パルス幅が20ns〜40nsであり、エネルギー密度が400mJ/cm〜600mJ/cmであり、光スポットが0.5mmの辺長を有する正方形である。前記レーザビームの前記サファイア基板での光スポットを、0.5mm/sの速度で基板100に対して相対移動させる。この場合、前記低温GaNバッファ層は、レーザを吸収して、GaとNに分解される。前記Gaを塩酸溶液に浸漬させ、前記サファイア基板を、前記エピタキシャル層から分離させ、前記カーボンナノチューブ膜を前記エピタキシャル層の内に残す。
【0130】
(実施例5)
本実施例において、基板はサファイア基板であり、エピタキシャル層は、GaN層である。前記GaN層がMOCVD法によって前記サファイア基板に成長させる。高純度アンモニア(NH)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をGaの原料ガスとして、水素(H)をキャリヤガスとして、トリメチルインジウム(TMIn)をInの原料ガスとして、シラン(SiH)をSiの原料ガスとして、フェロセンマグネシウム(CpMg)をMgの原料ガスとして、用いる。単層のカーボンナノチューブ膜は、サファイア基板のエピタキシャル成長表面に配置される。前記エピタキシャル層の成長工程は、カーボンナノチューブ膜が配置されたサファイア基板を真空反応室に配置し、前記反応室を1100℃〜1200℃まで加熱し、キャリヤガスを反応室に導入し、前記サファイア基板を200秒間〜1000秒間にわたって焼成する段階(a)と、キャリヤガスの雰囲気で前記反応室の温度を500℃〜650℃まで下げ、前記反応室のガス圧を500トル〜600トルに維持し、同時にGaの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入して、10nm〜50nmの低温GaNバッファ層を成長させる段階(b)と、Gaの原料ガスの導入を停止し、キャリヤガス及び窒素源ガスの導入を維持し、前記反応室の温度を1110℃〜1200℃まで昇温し、前記反応室のガス圧を1100トル〜1200トルに維持して、30秒間〜300秒間にわたってアニーリング処理する段階(c)と、前記反応室の温度を1000℃〜1100℃に維持し、前記反応室のガス圧を100トル〜300トルに維持し、Gaの原料ガスを再びに導入する同時にSiの原料ガスを導入して、3μmのSiがドープされたN型のGaNエピタキシャル層を成長させる段階(d)と、Siの原料ガスの導入を停止し、前記反応室の温度を700℃〜900℃に維持し、前記反応室のガス圧を50トル〜500トルに維持し、原料ガスを導入して、InGaN/GaN系多層量子井戸構造体を成長させ、ここで、InGaN層の厚さが2nm〜5nmであり、GaN層の厚さが5nm〜20である段階(e)と、原料ガスの導入を停止し、前記反応室の温度を1000℃〜1100℃に維持し、前記反応室のガス圧を76トル〜200トルに維持し、Mgの原料ガスを導入して、100nm〜200nmのMgがドープされたP型のGaNエピタキシャル層を成長させる段階(f)と、窒素源ガスの導入を停止し、前記反応室の温度を700℃〜800℃に保持して、10分間〜20分秒間にわたってアニーリング処理する段階(g)と、を含む。
【符号の説明】
【0131】
10、10a、10b 第一のエピタキシャル構造体
10c、10d、10e 第二のエピタキシャル構造体
100 基板
101 成長表面
102 第一カーボンナノチューブ層
103 第一キャビティ
104 第一エピタキシャル層
105 第一空隙
100a ベース
143 カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
1042 第一エピタキシャル結晶粒
1044 第一エピタキシャル膜
106 第一エピタキシャル層の表面
107 第二カーボンナノチューブ層
108 第二空隙
109 第二エピタキシャル層
110 第二キャビティ
1092 第二エピタキシャル結晶粒
1094 第二エピタキシャル膜
20 第三のエピタキシャル構造体
20a 第四のエピタキシャル構造体
1041 バッファ層
30 第五のエピタキシャル構造体
40 第七のエピタキシャル構造体
1120 N型ドープされた半導体エピタキシャル層
1122 P型ドープされた半導体エピタキシャル層
112 ドープされた半導体エピタキシャル層
50 第八のエピタキシャル構造体
114 第一支持体
116 第二支持体
60、60a 第九のエピタキシャル構造体
70 第十のエピタキシャル構造体
70a 第十一のエピタキシャル構造体
70b 第十二のエピタキシャル構造体
70c 第十三のエピタキシャル構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの結晶面を有する基板を提供する第一ステップと、
前記基板の結晶面に複数の空隙を含むカーボンナノチューブ層を配置する第二ステップと、
前記基板の結晶面にエピタキシャル層を成長させる第三ステップと、
を含むことを特徴とするエピタキシャル構造体の製造方法。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ層は複数のカーボンナノチューブを含み、
前記カーボンナノチューブ層において、前記複数のカーボンナノチューブが互いに接続されて一体構造に形成され、
前記基板の結晶面の一部が、前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙によって露出され、前記基板の露出された結晶面から前記カーボンナノチューブ層の複数の空隙を通じて前記エピタキシャル層を成長させることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造体の製造方法。
【請求項3】
基板、カーボンナノチューブ層及びエピタキシャル層を含むエピタキシャル構造体であって、
前記基板は、少なくとも一つの結晶面を有し、
前記カーボンナノチューブ層が、複数のカーボンナノチューブを含み、
前記カーボンナノチューブ層が、前記基板の結晶面及びエピタキシャル層の間に配置されることを特徴とするエピタキシャル構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−144422(P2012−144422A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238659(P2011−238659)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】