説明

エンハンスメント型窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ

実施形態には、これに限定されないが、第1バリア層と、該第1バリア層上の窒化ガリウムチャネル層と、該窒化ガリウムチャネル層上に存在し、第1サブレイヤーと第2サブレイヤーと第3サブレイヤーとを備える第2バリア層と、を有するヘテロ構造を備える装置とシステムが含まれる。該第1バリア層、第1サブレイヤーおよび第3サブレイヤーは各々アルミニウムを含んでいてもよい。他の実施形態も、本明細書に記載され特許請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、広くはマイクロ電子デバイスに関し、特にエンハンスメント型窒化ガリウム高電子移動度トランジスタおよび該トランジスタを組み込んだ回路に関する。
(関連出願)
【0002】
本出願は、2009年7月24日出願の米国非仮出願番号第12/509,144号、「ENHANCEMENT−MODE GALLIUM NITRIDE HIGH ELECTRON MOBILITY TRANSISTOR(エンハンスメント型窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)」の優先権を主張するものであり、該特許の全体は参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0003】
窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、少なくとも一つには高電力と高周波操作とが同時にできるために、多くの用途に用いられている。これらのトランジスタのチャネル層は、大きな電界、従って高電圧を狭いドレイン−ソース間隔で支持できる。ほとんど格子と同等のバリア層は、キャリア閉じ込めに効果的なバリアを提供でき、従って、該トランジスタは大きな電流密度を供給できる。炭化ケイ素基板上に形成されたこうしたHEMTでは、所望の熱特性とアイソレーション特性を得ることができる。
【0004】
窒化ガリウムHEMTは、典型的には、デプレッション型トランジスタ(Dモードあるいは「通常オン」トランジスタ)である。エンハンスメント型(Eモードあるいは「通常オフ」トランジスタ)の窒化ガリウムHEMTは稀である。ガリウムヒ素HEMTと異なり、窒化ガリウムHEMTのチャネル電荷は一般に、バリア中の一様ドープまたはデルタドープでコントロールできない。そうではなく、窒化ガリウムチャネル電荷は、チャネル−バリアインターフェースの自然発生的な圧電分局によってコントロールされる。図1の伝導帯図(黒実線)に示されるように、典型的な成長条件下(ガリウム表面)では、窒化ガリウムチャネル102の電子は、典型的にはバリア層104に吸引され、ゼロバイアス条件下でチャネルを形成する。電子波動関数(黒破線)は、該電子が蓄積しやすい場所を示す。
【0005】
Eモード窒化ガリウムHEMTの製造方法には、該トランジスタの表面をフッ素処理するステップが含まれる場合があり、これによってゲート中に十分に深い表面準位が形成され、フェルミ準位がバンドギャップ内深くに固定されて電子の窒化ガリウムチャネルを枯渇させる。しかしながら、トランジスタ表面のこうした方法での改質は、再現性がなくデバイスの信頼性に影響を及ぼし得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の実施形態は、添付図面と以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。説明を容易にするために、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。本発明の実施形態は例示として示されるものであり、添付図面の形状における限定を示すものではない。
【図1】従来技術の窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの伝導帯図である。
【図2】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの形成に使用され得るヘテロ構造の断面図である。
【図3】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの伝導帯図である。
【図4】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの断面図である。
【図5】種々の実施形態による別のEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの断面図である。
【図6】種々の実施形態による別のEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの断面図である。
【図7】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタに対するシミュレートされた移動曲線である。
【図8】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタに対するシミュレートされたI−V曲線である。
【図9】同じヘテロ構造から形成された、種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタとDモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタの断面図である。
【図10】種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ構造を組み込んだシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付図を参照して以下に詳細な説明を行う。添付図の同じ参照番号は同じ部品を示し、また添付図は、本発明を実施し得る実施形態を例示として示す。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得ることおよび構造的あるいは論理的変更が可能であることは理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきでなく、本発明による実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0008】
種々の操作を複数の別個の操作として順番に、本発明の実施形態の理解役立つ方法で説明するが、この説明の順序は、これらの操作が順序依存性であることを暗示させるようには解釈されるべきではない。また、説明されるものより多くの、または少ない操作を含む実施形態もある。
【0009】
以下の説明では、「ある実施形態では」、「複数の実施形態では」、「一部の実施形態では」あるいは「種々の実施形態では」などの表現を用いるが、それらは各々、1つまたは複数の同じであっても異なっていてもよい実施形態を指す。また、本発明の実施形態に関して用いられる「備える」、「含む」および「有する」などの表現は、同意語である。
【0010】
本明細書での「接続した」とその派生表現は、以下の1つまたは複数であることを意味する。「接続した」とは、物理的な直接接続か連結あるいは電気的な接続または連結であって、互いに接続しているとされる要素間には他の要素は接続または連結されていないものを意味する。また、「接続した」とは、物理的な間接接続か連結あるいは電気的な接続または連結であって、互いに接続しているとされる要素間に、1つまたは複数の他の要素が接続または連結されているものも意味する。
【0011】
本明細書では、「形成された」とその派生表現が使用される。「ある層上に形成された別の層」の文脈で用いられる「形成された」とは、別の層がある層上に必ずしも物理的にまたは電気的に直接ではなく、例えば、これらの層間に1つまたは複数の他の層が介在するなどのように、形成されていることを意味する。しかしながら、「形成された」が、別の層がある層の表面の少なくとも一部と物理的に直接接触していることを意味する実施形態もある。
【0012】
本開示の目的のために、「A/B」の表現はAかまたはBであることを意味する。「AおよびまたはB」の表現は、(A)であるか、(B)であるか、あるいは(AおよびB)であることを意味する。「A、BおよびCの少なくとも1つ」の表現は、(A)であるか、(B)であるか、(C)であるか、(AおよびB)であるか、(AおよびC)であるか、(BおよびC)であるか、あるいは(A、BおよびC)であることを意味する。「(A)B」の表現は、(B)かまたは(AおよびB)であること、すなわちAは選択的要素であることを意味する。また、本開示の実施形態は特定の数の部品や要素を含むように示され説明されるが、実施形態はいかなる数の部品や要素にも限定されない。
【0013】
図2は、種々の実施形態によるEモード窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造を構築するための基礎となる層スタック200の断面図である。層スタック200は、第1バリア層206(GaN)と、第1バリア層206上のGaNチャネル層208と、チャネル層208上の第2バリア層210と、を備える。層スタック200は、基板218上に形成されてもよい。第2バリア層210は、第1サブレイヤー212と、第2サブレイヤー214と、第3サブレイヤー216と、を備えていてもよい。
【0014】
第1バリア層206、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216は各々、アルミニウムを含んでいてもよく、一方、第2サブレイヤー214は、アルミニウムを含まないか、あるいは第1バリア層206、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216の各々のアルミニウム濃度未満のアルミニウムを含む。これらの層の相対的な組成によって、第2サブレイヤー214の電界は、第1サブレイヤー212の電界および第3サブレイヤー216の電界に対して反転する。第1バリア層206と、チャネル層208と、第1サブレイヤー212と、第2サブレイヤー214と、を備え、第3サブレイヤー216を備えないヘテロ構造によって、Eモード動作で要求されるように、0電圧でチャネル層208の電子を枯渇させるであろう。第1バリア層206、チャネル層208、第1サブレイヤー212および第2サブレイヤー214に加えて、第3サブレイヤー216を備えるヘテロ構造によって、0電圧でチャネル層208に電子が再吸引され、低アクセス抵抗と、従って最適な電気的な特性とが可能となる。
【0015】
電界の反転は、図3の伝導帯図(黒実線)を参照することによってより明確に理解され得る。図3では、電子波動関数(黒破線)が電子が蓄積しやすい場所を示す。図示のように、第2サブレイヤー214の電界の反転によってチャネル層208の電子が拒絶され、0電圧で第チャネル層208の電子を枯渇させる。第3サブレイヤー216が電界を正常な方向に戻すことによって、電子はGaNチャネル208へ再度吸引される。
【0016】
上述のように、第1バリア層206、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216は各々、アルミニウムを含んでいてもよい。種々の実施形態では、第1バリア層206、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216の1つまたは複数は、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)を含んでいてもよく、第2サブレイヤー214はGaNを含んでいてもよい。
【0017】
第1バリア層206、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216の特定のアルミニウム含量は、層スタック200の他の層の組成に少なくとも部分的には依存し得る。種々の実施形態では、第1サブレイヤー212と第3サブレイヤー216は各々、AlGa(1−X)N(xは0.2〜0.3(すなわち20〜30%)を含んでいてもよく、一方、第1バリア層206はAlGa(1−y)N(yはx未満の値)を含んでいてもよい。種々の実施形態では、yは0.05〜0.1(すなわち5〜10%)であってもよい。ある実施形態では、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216は各々Al0.2Ga0.8Nを、一方、第1バリア層206はAl0.06Ga0.94Nを含む。他の組成物も同様に好適であり得る。
【0018】
種々の実施形態では、第1サブレイヤー212、第2サブレイヤー214および第3サブレイヤー216の1つまたは複数は、用途に応じてドープされてもあるいは未ドープであってもよい。ドープによって電流供給能力が増加され得る。
【0019】
層スタック200の層の特定の厚みは、層スタック200の他の層の厚みに少なくとも部分的には依存し得る。種々の実施形態では、第1バリア層206の厚みは、基板218は別にして、層スタック200の中で最も厚くてもよい。ある実施形態では、第1サブレイヤー212および第3サブレイヤー216の各々の厚みは実質的に150Å、第2サブレイヤー214の厚みは実質的に100Å、第1バリア層206の厚みは実質的に1.5μm、GaNチャネル層208の厚みは実質的に400Å、であってもよい。他の厚みも同様に好適であり得る。
【0020】
基板218は、用途に好適な任意の材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、基板218は、例えば炭化ケイ素(SiC)を含む。SiCは、少なくとも一つにはその熱特性とアイソレーション特性により、高周波電力と高周波操作を有するデバイスに特に好適であり得る。しかしながら、他の実施形態では、基板218は、シリコン、サファイア、窒化アルミニウム、GaN、これらのものの組み合わせ、あるいは他の好適な材料との組み合わせを含んでいてもよい。一般に、基板218用の選択された材料は、デバイス層の材料と同じである必要はない。
【0021】
図4は、種々の実施形態によるEモードGaN HEMT400の断面図である。HEMT400は、例えば、基板418上の第1バリア層406と、第1バリア層406上のGaNチャネル層408と、チャネル層408上の第2バリア層410と、を備え、前述の層スタック200の特長の一部を含む。第2バリア層410は、第1サブレイヤー412と、第2サブレイヤー414と、第3サブレイヤー416と、を備える。
【0022】
HEMT400はさらに、ドレイン420と、ソース422と、ゲート424電極と、を備える。図示のように、ヘテロ構造は第3サブレイヤー416に亘る凹部を備え、ゲート424が第2サブレイヤー414に接触していてもよい。ゲート424を第2サブレイヤー414まで埋め込むことによって、Eモードを実現してもよい。ドレイン420とゲート424間およびソース422とゲート424間のアクセス領域は十分なヘテロ構造を備え、0Vでのフルチャネルと、従って低アクセス抵抗とが可能となる。しかしながら、種々の他の実施形態では、ゲート424は、図示したものより浅く埋め込まれてもよい。
【0023】
種々の実施形態では、ゲート424は、フッ素表面処理を含んでいてもよい。該フッ素表面処理によって、ゲート424に深い表面準位が形成され、さらにフェルミ準位がバンドギャップ内深くに固定されて電子のGaNチャネル層を枯渇させる。
【0024】
図5は、種々の実施形態による別のEモードGaN HEMT500の断面図である。HEMT500は、例えば、基板518上の第1バリア層506と、第1バリア層506上のGaNチャネル層508と、チャネル層508上の第2バリア層506と、を備え、前述の層スタック200の特長の一部を含む。第2バリア層510は、第1サブレイヤー512と、第2サブレイヤー514と、第3サブレイヤー516と、を備える。
【0025】
HEMT500はさらに、ドレイン520と、ソース522と、ゲート524電極と、を備える。前述の実施形態とは対照的に、絶縁材料526(例えば酸化物または窒化物)の層は、第3サブレイヤー516の凹部形成後でゲート金属堆積前に、ゲート524と第2サブレイヤー514間に堆積され、金属−絶縁体−半導体(MIS)構造として既知のものが形成される。上記に議論したように、ヘテロ構造内に第2サブレイヤー514までの凹部を備えることによって、Eモードを実現してもよい。ドレイン520とゲート524間およびソース522とゲート524間のアクセス領域は十分なヘテロ構造を備えており、0Vでのフルチャネルと、従って低アクセス抵抗とが可能となる。
【0026】
図6は、種々の実施形態による別のEモードGaN HEMT600の断面図である。HEMT600は、例えば、基板618上の第1バリア層606と、第1バリア層606上のGaNチャネル層608と、第1サブレイヤー612、第2サブレイヤー614および第3サブレイヤー616を含む第2バリア層と、を備え、前述の層スタック200の特長の一部を含む。
【0027】
HEMT600はさらに、ドレイン620と、ソース622と、ゲート624電極と、を備える。図示のように、ゲート624は、第3サブレイヤー616内に埋め込まれて第2サブレイヤー614と接触する。
【0028】
図示のように、HEMT600はさらにエッチストップ層630を備えており、ゲート624を第2サブレイヤー614まで沈みこませないことに役立っている。言いかえれば、ゲート624が形成される位置で開口部が第3バリア層616内にエッチングされる場合、該エッチングは、エッチストップ層630によって止められるか遅くなるであろう。
【0029】
エッチストップ層630は、その目的に好適な任意の材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、エッチストップ層630は、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化アルミニウム(AlN)あるいは他の好適な材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、エッチストップ層630形成のための別個の層を堆積する代わりに、第2サブレイヤー614の頂面をドープしてエッチストップ層630を形成してもよい。該ドープは実質的には、ゲート624用の開口部の形成に使用されるエッチングをストップあるいは遅くするために作用する。
【0030】
前述のトランジスタのゲート形状は、ガンマ形状のT−ゲート(例えば、図5のゲート524および図6のゲート624など)あるいはガンマゲートの反転したものであり得る。さらに、該ゲートは、ゲート形成前または後に、不動態化材料をアクセス領域に堆積するT−ゲート加工法または高電圧加工法を用いて構築できる。
【0031】
本明細書に記載の、種々の実施形態によるEモードGaN HEMTで行ったシミュレーションを図7および図8に示す。図7は、種々の実施形態によるEモードGaN HEMTに対するシミュレートされた移動曲線であり、0バイアス電圧でチャネルには電流が流れないことを示しており、一方、図8は、シミュレートされたI−V曲線であり、0およびマイナスのバイアス電圧ではドレインには電圧が発生しないことを示している。従って、前述のHEMTの実施形態によって、Eモードでの動作に望ましい電気的特性が提供されることは明らかである。該チャネルは、0バイアス電圧で実質的に枯渇しており、ソースとドレイン間には電流は流れない。プラスのバイアス電圧では、ゲート下に電子チャネルが形成されており、ドレインとソース間に電流が流れる。
【0032】
本明細書に記載のヘテロ構造の実施形態は、同一のウェハー上にDモードHEMTとEモードHEMTの両方を構築するために用いることができ、そうしたものは、コンパクトで高出力のA/D変換器やスイッチの構築に有用な機能を有する。図9に示すように、EモードHEMT900とDモードHEMT946とが同じヘテロ構造から形成される。該ヘテロ構造は、第1バリア層906、第1バリア層906上のGaNチャネル層908およびチャネル層908上の第2バリア層910を備える。該ヘテロ構造は基板918上に形成されてもよい。第2バリア層910は、第1サブレイヤー912と、第2サブレイヤー914と、第3サブレイヤー916と、を備えていてもよい。EモードHEMT900は、ドレイン920と、ソース922と、ゲート924電極と、を備えており、ゲート電極924は第2サブレイヤー914まで埋め込まれる。
【0033】
一方、DモードHEMT946は、埋め込まれたゲートを必要としない。図示のように、DモードHEMT946は、ドレイン940と、ソース942と、ゲート944電極と、を備えるが、ゲート電極944は、第3サブレイヤー上に存在し第2サブレイヤー914まで埋め込まれていない。
【0034】
本明細書に記載のHEMTの実施形態を種々の装置およびシステムに組み込んでもよい。EモードHEMTは、無線周波数(RF)用途における高出力・高性能論理回路(例えばアナログ−デジタル変換器)の実現に特に有用であり得る。また、EモードHEMTは、直流源での効率の悪いシリコン系絶縁ゲートバイポーラトランジスター(IGBT)の代わりとして、直流用途にも特に有用であり得る。
【0035】
システム例1000のブロック図を図10に示す。図示のように、システム1000は、前述のEモードHEMTを1つまたは複数含むアナログ−デジタル変換器(ADC)1032を備える。図示のように、ADC1032は、受信したRF信号(T−RFin)をデジタル入力信号(Din)に変換するように構成されてもよい。
【0036】
図示のように、システム1000は、ADC1032と接続したトランシーバ1034を備えていてもよい。トランシーバ1034は、アンテナ構造1038からアンテナスイッチモジュール(ASM)1036経由でRF入力信号を受信してもよい。ASM1036は、受信したRF信号(R)を受信チェーンでトランシーバ1034につなぐように構成されてもよい。
【0037】
種々の実施形態では、アンテナ構造1038は、例えばダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ、あるいはRF信号の無線送受信に好適な他の任意のタイプのアンテナなどを含む、指向性アンテナや全方向性アンテナを1つまたは複数備えていてもよい。
【0038】
種々の実施形態では、システム1000は、高周波電力と高周波用途に用いられてもよい。例えば、システム1000は、地上波および衛星通信、レーダシステム、および可能性としては種々の産業用途および医療用途におけるいずれか1つまたは複数に好適であり得る。レーダ用途には、軍事利用レーダ、航空交通管制、ナビゲーションンなどが含まれ得る。種々の実施形態では、システム1000は、レーダ装置、衛星通信装置、携帯電話、携帯電話基地局、放送ラジオあるいはTV増幅器システムの内の1つであってもよい。
【0039】
上記の実施形態に関して本開示を説明したが、同じ目的を実現するように意図された、各種の代替となるおよびまたは均等な実施によって、ここに図示され説明された実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく置換し得ることは当業者には理解されるであろう。当業者であれば、本開示による実施形態が非常に多くの実施形態において実践され得ることは容易に理解するであろう。この記載は、限定となるものではなく、例示と見なされるものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを含む第1バリア層と、
前記第1バリア層上の窒化ガリウムチャネル層と、
前記窒化ガリウムチャネル層上に存在し、第1サブレイヤーと第2サブレイヤーと第3サブレイヤーとを備え、前記第1サブレイヤーと第3サブレイヤーは各々アルミニウムを含む第2バリア層と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2サブレイヤーの電界は、前記第1サブレイヤーの電界および前記第3サブレイヤーの電界に対して反転していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1バリア層はアルミニウム窒化ガリウムを含み、前記第1サブレイヤーおよび第3サブレイヤーは各々アルミニウム窒化ガリウムを含み、前記第2サブレイヤーは窒化ガリウムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
さらに基板を備え、前記第1バリア層は前記基板上に存在し、前記基板は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたはシリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第3サブレイヤー内に埋め込まれたゲート電極をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ゲート電極はT−ゲートであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ゲート電極はフッ素表面処理を含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ゲート電極、第1バリア層、窒化ガリウムチャネル層および第2バリア層は、エンハンスメント型トランジスタを形成することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ゲート電極は第1ゲート電極を備え、前記装置は、前記第2バリア層上に設けられた第2ゲート電極をさらに備え、前記第2ゲート電極、第1バリア層、窒化ガリウムチャネル層および第2バリア層は、デプレッション型トランジスタを形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ゲート電極と前記第2サブレイヤー間に絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記第1サブレイヤーは前記窒化ガリウムチャネル層上に存在し、前記HEMTはさらに、前記第2サブレイヤーと第3サブレイヤー間にエッチストップ層を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
無線周波数(RF)入力信号を受信するトランシーバと、
前記トランシーバに接続され、前記RF入力信号をデジタル入力信号に変換するアナログ−デジタル変換器(ADC)と、
を備えるシステムであって、前記ADCは、アルミニウムを含む第1バリア層と、前記第1バリア層上の窒化ガリウムチャネル層と、前記窒化ガリウムチャネル層上に存在し、第1サブレイヤーと第2サブレイヤーと第3サブレイヤーとを備え、前記第1サブレイヤーと第3サブレイヤーは各々アルミニウムを含む第2バリア層と、前記第3サブレイヤー内に埋め込まれたゲート電極と、を有するエンハンスメント型高電子移動度トランジスタ(HEMT)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記トランシーバに接続され、前記RF入力信号を受信しやすいように構成されたアンテナ構造をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、レーダ装置、衛星通信装置、携帯電話、基地局、放送ラジオあるいはTV増幅器システムであることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
アルミニウムを含む第1バリア層を形成するステップと、
前記第1バリア層上に窒化ガリウムチャネル層を形成するステップと、
前記窒化ガリウムチャネル層上に第2バリア層を形成するステップであって、前記第2バリア層は、第1サブレイヤーと第2サブレイヤーと第3サブレイヤーとを備え、前記第1サブレイヤーと第3サブレイヤーは各々アルミニウムを含むステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記第1バリア層は、アルミニウム窒化ガリウムを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1サブレイヤーはアルミニウム窒化ガリウムを含み、前記第2サブレイヤーは窒化ガリウムを含み、前記第3サブレイヤーはアルミニウム窒化ガリウムを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第3バリア層内に埋め込まれた第1ゲート電極を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2バリア層上に第2ゲート電極を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2サブレイヤーと第3サブレイヤー間にエッチストップ層を形成するステップをさらに備え、ゲート電極を形成する前記ステップは、前記第3サブレイヤー内を前記エッチストップ層まで埋め込まれたゲート電極を形成するステップを備えることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−500582(P2013−500582A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521685(P2012−521685)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/042151
【国際公開番号】WO2011/011261
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(599034594)トライクイント・セミコンダクター・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】TriQuint Semiconductor,Inc.
【住所又は居所原語表記】2300 NE Brookwood Parkway,Hillsboro,Oregon 94124,U.S.A.
【Fターム(参考)】