カーナビゲーション装置
【課題】カーナビゲーション装置において、探索された複数ルートのうちからユーザが好みのルートを案内ルートとして選択する場合、複数の探索ルートの比較が容易にできるようにする。
【解決手段】探索された複数のルートについて、距離、必要時間、有料道路料金のうちの一つをグラフ化して表示装置の表示画面8に表示する。当初の表示画面8では、距離が棒グラフで表示されるが、必要時間、有料道路料金を棒グラフにして表示することもできる。各ルートの距離を示す棒グラフには、道路際に存在する施設を表示することができる。表示する施設はアイコンF1〜F13をタッチ操作することで選択できる。
【解決手段】探索された複数のルートについて、距離、必要時間、有料道路料金のうちの一つをグラフ化して表示装置の表示画面8に表示する。当初の表示画面8では、距離が棒グラフで表示されるが、必要時間、有料道路料金を棒グラフにして表示することもできる。各ルートの距離を示す棒グラフには、道路際に存在する施設を表示することができる。表示する施設はアイコンF1〜F13をタッチ操作することで選択できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地に至る複数のルートを探索可能なカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置には、目的地が設定されると、出発地(通常、現在位置)から目的地までのルートを複数探索してそれら複数のルートを表示装置の地図上に表示すると共に、その複数ルートの中から、ユーザが好みのルートを案内ルートとして選択できるようにしたものがある(特許文献1参照)。このものでは、案内ルートは、道路名称、有料道路の料金、所要時間などを条件にして選択できるようになっている。例えば道路名称による場合には、道路名称キーを操作すると、表示装置に主要道路の名称がリスト表示される。ユーザがそのリストの中から好みの道路名称を選択すると、その名称の道路を含むルートが表示装置上で強調表示されるので、そこで決定キーを操作すると、強調表示されたルートが案内ルートとして確定される、というものである。
【0003】
また、目的地が設定されると、現在位置から目的地までの最短距離ルートと最短所要時間ルートとを探索して両ルートを表示装置に表示し、ユーザが表示された両ルートのいずれかを選択すると、その選択したルートが案内ルートとして確定されるカーナビゲーション装置もある(特許文献2参照)。
更に、出発地から目的地までの線分のコストを最小にするルートを順位をつけて複数探索し、その探索した複数のルートを表示装置の地図上に視認性良く表示して、その中からユーザが好みのルートを選択できるように構成したカーナビゲーション装置もある(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−202137号公報
【特許文献2】特開平1−130299号公報
【特許文献3】特開平5−164566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に記載のものは、いずれも選択された複数ルートが表示装置に同時に表示されるが、それらルートは上下左右に曲がる曲線を含んでいるのが常であるから、複数ルートを見てそれらの距離の長短を比較することは難しい。このため、ルートを選択する際に、距離を選択基準の一つとしたくても、距離の長短を容易に見比べることができない。
また、特許文献1のカーナビゲーション装置では、所要時間を選択すると、表示装置に表示された複数の探索ルートのうち、最短所要時間のルートが強調表示されると共に、例えば20分以内、25分以内、30分以内、35分以内、40分以内のルートがリスト表示されるようになっている。しかしながら、例えば20分を越え25分以内のルートが2つ以上ある場合には、どちらのルートの方が短い所要時間であるのか判別できない。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、探索された複数ルートのうちからユーザが好みのルートを案内ルートとして決定する場合、複数ルートの距離、所要時間、有料道路料金などの付随要素を容易に比較することができるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、探索された複数ルートの付随要素がグラフ化されて表示手段に表示されるので、各ルートの要素をグラフ上で容易に比較することができ、複数ルートの中からいずれか一つのルートを案内ルートとして決定する場合、その決定を楽に行うことができる。
請求項2の発明では、各ルートの付随要素を距離、所要時間、有料道路料金としているので、これらは、多くのユーザが案内ルートを決定する場合の基準としている要素と同じで、使い易いものとなる。
【0007】
請求項3の発明では、グラフ化して表示する付随要素を、距離、所要時間、有料道路料金の中から選択でき、しかも、グラフ化されない残りの付随要素は数値にて同時に表示されるので、距離、所要時間、有料道路のうちから2つ以上を比較して案内ルートを決定するような場合に使い勝手に優れる。
請求項4の発明では、ルートに沿って存在する各種施設を、探索された複数ルートの夫々について表示するので、案内ルートを決定する場合に、ルートに沿って存在する施設を基準の一つとすることができる。
【0008】
請求項5の発明では、表示手段に表示する施設の種類を選択できるので、表示される施設をユーザの好みの施設だけに限定することができる。
請求項6の発明では、施設は、各ルートの距離がグラフ化されている場合に、その距離を示すグラフにおいて施設が存在する位置に対応する個所に表示されるので、施設に立ち寄ろうとした場合、その施設の大まかな位置を事前に知ることができる。
【0009】
請求項7の発明では、走行車線側に存在する施設を表示する場合と、対向車線側に存在する施設も表示する場合とを選択できるので、走行車線と対向車線とを分ける分離帯が存在するような場合に、走行車線側に存在する施設を表示することで、対向車線側に存在していて立ち寄ることが困難な施設まで表示されることのないようにすることができる。
請求項8の発明では、施設をアイコンによって表示するので、施設の種類を見分け易くなる。
【0010】
請求項9の発明では、距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させることができるので、距離の差が明確に分らない場合に、単位距離の長さを長く(拡大)することで、距離の差を明確化できる。特に、施設を表示している場合であって、短い距離の中で多数の施設が存在しているような場合に、単位距離の長さを長くすることによって施設の一つ一つの位置を見分けることができるようになり、使い勝手が良くなる。
【0011】
請求項10の発明では、距離を示すグラフにおいて、単位距離の長さを変化させることに伴って施設を示すアイコンも拡大或いは縮小して表示されるので、特に拡大表示の場合に施設の種類を見分け易くなる。
請求項11の発明では、グラフの拡大表示時にスクロールが可能であるから、拡大によって表示手段に表示されない部分が生じても、スクロールすることによって表示手段に表示することができるようになる。
【0012】
請求項12の発明では、距離を示すグラフに沿って表示された施設のアイコンを選択すると、その施設の詳細、例えば住所、電話番号、名称などが表示されるので、立ち寄る施設を決定する場合などに便利である。
請求項13の発明では、距離のグラフに有料道路の位置が表示されるので、どの程度有料道路を走行するのか一目瞭然に理解できる。
【0013】
請求項14の発明では、探索された各ルートについて渋滞の発生を表示するので、案内ルートを決定する場合に渋滞個所のないルートを選択できる。
請求項15の発明では、渋滞表示は、各ルートの距離がグラフ化されている場合に行われるので、渋滞個所がルート上のどの個所に発生しているかを知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図15はカーナビゲーション装置1の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、カーナビゲーション装置1は、制御手段としての制御装置2に、現在位置取得手段としての位置検出装置3、情報記憶手段としての情報記憶装置4、操作スイッチ群5、タッチパネル6、リモコンセンサ7、表示手段としての表示装置8、音声制御装置9、道路情報取得手段としてのVICS(Vehicle Information Communication System)受信機10、外部メモリ11などを接続して構成されている。
【0015】
制御装置2は、カーナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータを主体として構成されている。すなわち、制御装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されている。このうち、ROMにはカーナビゲーション装置1を動作させるための地図表示用プログラム、ルート探索用プログラム、ルート案内用プログラム、VICS情報処理用プログラムなどが格納され、RAMにはプログラム実行時の一時データや情報記憶装置4から取得した地図データなどが一時的に格納されるようになっている。
【0016】
位置検出装置3は、ジヤイロスコープ12、距離センサ13およびGPS(Global Positioning System )受信機14などから構成されている。これらのセンサ12〜14はそれぞれ性質の異なる検出誤差を有するので、これらのセンサ12〜14を組み合わせることにより、互いに検出誤差を補正しながら精度の高い位置検出を行ない得るようにしている。なお、要求される検出精度レベルによっては、すべてのセンサ12〜14を備える必要はなく、適宜選択して設ける構成とすることができる。更に、ステアリングの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどを組み合わせて位置検出装置3を構成しても良い。
【0017】
情報記憶装置4は、例えばDVD−ROMなどの情報記録媒体と、この情報記録媒体からデータを読み取る読取装置とから構成されており、読取装置によりデータを情報記録媒体から読み取って制御装置2に入力する。ここで、情報記憶装置4が備えているデータとしては、地図データ、マップマッチング用データ、ルートを音声で案内するためのデータ、後述するように住所などから地図上の位置を検索するための位置検索データ、同じく目的地をジャンル別に検索できるようにするためのジャンル別データ、有料道路料金データなどがある。
【0018】
表示装置8は、地図データや文字或いは記号およびグラフィック表示が可能なフルカラーの液晶ディスプレイ装置により構成されている。操作スイッチ群5、タッチパネル6、リモコンセンサ7と対をなすリモコン15は、データを入力したり、設定事項を入力したり、目的地設定のための各種入力を行うための入力手段として使用されるもので、操作スイッチ群5は、例えば表示装置8の表示画面(液晶ディスプレイ)の周辺に設けられた押釦スイッチなどから構成されている。また、前記タッチパネル6は、透明に構成され、表示装置8の表示画面の表面に貼り付けられている。
【0019】
音声制御装置9には、スピーカ16および音声認識装置17が接続されている。更に、音声認識装置17には、入力手段としてのマイク18が接続されている。そして、マイク18は、ユーザの発した音声を音声信号にして音声認識装置17に与える。音声認識装置17は、音声信号からユーザが音声で発した指示内容を認識して音声制御装置9に送る。音声制御装置9は、認識された指示内容を制御装置2に送り、その指示内容が制御装置2によって実行されるようにする。
【0020】
さて、制御装置2は、表示制御手段としての機能を有し、位置検出装置3から入力される情報に基づき車両の現在位置を演算して、情報記憶装置4から取得した地図データに基づいてその現在位置周辺の道路地図を表示装置8の表示画面に表示すると共に、その表示された道路地図に重ねて車両の現在位置および進行方向を示すポインタを表示する。この表示画面に表示される道路地図の縮尺は操作手段の操作によって変更することができるようになっている。
【0021】
また、制御装置2は、目的地までのルートを探索する機能、およびその探索されたルートに従って車両の進行すべき方向を指示したりする走行案内機能を有している。すなわち、操作スイッチ群5、タッチパネル6或いはリモコン15を操作して目的地を設定すると、出発地(通常は現在位置)から目的地までのルートを複数種の条件の夫々によって探索し、その複数種の条件によって探索された複数のルートを表示装置8の表示画面の地図上に色分け表示する。なお、ルート探索の方法としては、ダイクストラ法などが用いられる。
【0022】
複数の探索ルートの中から、一つのルートが案内ルートとして決定された場合、その案内ルートを表示装置8の表示画面に表示されている道路地図上に通常の道路色とは異なる色で強調表示する。そして、制御装置2は、案内ルートに従って車両の進行方向を指示するために、表示装置8の表示画面に交差点などを拡大表示して進行方向を矢印で表示したり、音声制御装置9を介してスピーカ16から進行方向を音声で出力する。
【0023】
さて、情報記憶装置4が記憶している地図データは、表示装置8の表示画面に地図を表示するためのデータで、リンク情報、ノード情報などを備えている。これは、地図上の道路を交差点、分岐点、合流点、所定角度以上のカーブなどの屈曲点を示すノードにより複数に分割し、夫々のノード間をリンクとして規定し、それらリンクを接続することにより地図を構成するという考え方に基づく。
【0024】
上記リンク情報は、各リンクについて、リンクの固有ID、リンクの長さを示すリンク長(道路長)、リンクの始端と終端の座標、リンクの道路幅、道路種別(国道、県道、市道、有料道路など)などの属性情報からなる。上記ノード情報は、各ノードについて、ノードの固有ID、座標、ノード属性例えば立体交差点や多車線交差点などを示すデータなどから構成されている。
【0025】
また、情報記憶装置4が有する前記位置検索データは、出発地や経由地や目的地が、住所、建築物名、施設名、交差点名、電話番号などで入力された場合にその位置を検索するためのもので、住所、建築物名、施設名、交差点名、電話番号などと、それに対応する地図上の座標を関連付けた地図索引データとして構成されている。有料道路料金データは、有料道路のインターチェンジ相互間の料金を検索でき、従って、有料道路にどのインターチェンジから入って、どのインターチェンジから出るとしても、その間の料金を検索できるようになっている。
【0026】
次に上記構成のカーナビゲーション装置1の作用を図10のフローチャートをも参照しながら説明する。まず、制御装置2は、常には、位置検出装置3から入力される情報に基づき自車両の現在位置を演算し、情報記憶装置4から取得した地図データに基づいて現在位置周辺の道路地図を表示装置8の表示画面に表示すると共に、その表示画面の道路地図に重ねて現在位置および進行方向を示すポインタを表示する(図10のステップS1で「NO」、ステップS2の繰り返し;地図表示制御手段)。
【0027】
操作スイッチ群5やタッチパネル6などの入力手段により、カーナビゲーション装置1が案内ルート設定モードにセットされると(ステップS1で「YES」)、制御装置2は、目的地が設定されるのを待つ状態となる(ステップS3)。ユーザがタッチパネル6などの入力手段を操作して目的地を設定すると、制御装置2は、複数の条件に従って複数のルートを探索する(ステップS4;ルート探索手段)。
【0028】
この場合の複数の条件により探索されるルートは、推奨ルート、有料道路優先ルート、一般道路優先ルート、距離優先ルート、別ルートの5つのルートである。このうち、有料道路優先ルートは、有料道路を使用したルートを3つ探索し、その3つのルートのうち、距離が真ん中のルートを言う。推奨ルートとは、有料道路を使用する上記3ルートのうち、距離の最も短いルートを言う。別ルートとは、有料道路を使用する上記3ルートのうち、距離の最も長いルートを言う。また、一般道路優先とは、有料道路を使用せず、国道および県道を最も多く使用するルートを言う。更に、距離優先とは、有料道路、および国道、県道に限られず、最も距離が短くなるルートを言う。
【0029】
このとき、制御装置2は、各ルートについて、距離、所要時間、有料道路料金を演算する。距離は、図11に示すフローチャートのように、距離演算手段としての制御装置2がルートを構成する複数のリンクのリンク長を検索し(ステップA1)、それらリンク長の総和を算出する(ステップA2)ことによって求める。所要時間は、ルートの距離と、例えば制御装置2が有するRAM(記憶手段)に記憶された道路種別時速とによって演算される(所要時間演算手段)。
【0030】
つまり、図12に示すように、所要時間演算手段としての制御装置2は、まず、各ルートについて、ルートを構成する複数のリンクのリンク長とリンクの道路種別とを検索する(ステップB1)。次に、制御装置2は、有料道路のリンク長の総和(AKm)を算出し(ステップB2)、一般道のリンク長の総和(BKm)を算出する(ステップB3)。そして、制御装置2は、RAMに予め記憶されている有料道路走行の平均時速と一般道走行の平均時速とを取得する(ステップB4)。その後、制御装置2は、有料道路の距離Aを有料道路走行時の平均時速で除して有料道路の所要時間を演算する(ステップB5)と共に、一般道路の距離Bを一般道路走行の平均時速で除して一般道路の所要時間を演算し(ステップB6)、有料道路の所要時間と一般道路の所要時間の総和を求めることによって当該ルートの所要時間を演算する(ステップB7)。
【0031】
また、有料道路料金については、有料道路料金算出手段としての制御装置2により、図13のフローチャートのようにして求められる。即ち、制御装置2は、各ルートについて、有料道路の有無を検索し(ステップC1)、有料道路がある場合、その入口と出口を検索する(ステップC2)。そして、制御装置2は、情報記憶装置4に記憶されている有料道路料金データを検索して入口から出口までの料金を求める(ステップC3)。
【0032】
以上のようにして5ルートを探索すると、制御装置2は、その探索した各ルートを表示装置8の表示画面の地図上に色分け表示する(図9参照;探索ルート表示制御手段)。なお、図9では、線種によって色分けを表した。その後、制御装置2は、表示装置8の表示を、地図表示画面から案内ルート決定支援画面に切り替える。この案内ルート決定支援画面は、探索した5ルートについての各種情報を表示する画面で、その画面は、図1に示すように、各ルートについて、その付随要素である距離、所要時間、有料道路料金をグラフ化したグラフ表示部Aを主表示部として構成されている(ステップS6;グラフ化表示制御手段)。
【0033】
図1は、地図表示画面から案内ルート決定支援画面に切り替えられた当初の表示画面を示す。この図1から理解されるように、当初は、付随要素のうち、距離がグラフ化、この実施形態では棒グラフにして表示される。この棒グラフで示されたグラフ表示部Aの左右両側のうち、一方の側には、ルート探索の種類を示す「推奨」、「有料優先」、「一般優先」、「距離優先」、「別ルート」の文字が表示されている。この表示文字のいずれかをタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は、そのタッチされた位置の表示ルートが案内ルートとして決定されたものと判断するようになっている(ステップS9、ステップS10)。これら「推奨」、「有料優先」、「一般優先」、「距離優先」、「別ルート」の文字が表示され部分を案内ルート決定操作部Bと称することとする。
【0034】
また、距離の棒グラフ部分の両側のうち、他方の側には、各ルートについての距離、所要時間(単に時間)、有料道路料金(単に料金)が数値によって表示されている。各ルートの距離、時間、料金を数値で示す領域の上段には、それら数値の項目名である「距離」、「時間」、「料金」の要素文字が表示されている。これら「距離」、「時間」、「料金」の表示部分をグラフ化要素選択操作部Cと称することとする。そして、この要素文字のうちの一つをタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は、棒グラフ部分に表示する棒グラフを、タッチされた要素に代えて表示する(ステップS14、ステップS15;グラフ化要素変更手段)。図2に、「時間」部分がタッチされた結果、所要時間が棒グラフ化された場合の表示画面の一例を示した。
【0035】
また、棒グラフ部分の下段の左右には、表示倍率変更部Dおよびスクロール操作部Eが設けられている。表示倍率変更部Dは、棒グラフの表示目盛の単位長さを変更することにより、棒グラフを拡大或いは縮小して表示させるためのもので、拡大操作部D1をタッチすると、タッチする毎に表示目盛の単位長さが所定倍率ずつ長くなり、縮小操作部D2をタッチすると、タッチする毎に表示目盛の単位長さが所定倍率ずつ短くなるように構成されている(ステップS7、ステップS8、ステップS13、ステップS14;表示倍率変更手段)。図3に距離の棒グラフを拡大した状態を示す。なお、表示倍率変更部Dを操作した場合の棒グラフの拡大、縮小は、その時点で表示されている棒グラフの中心から左右方向に拡大、或いは縮小がなされる。
【0036】
スクロール操作部Eは、棒グラフを拡大表示すると、グラフ表示部Aには棒グラフの一部しか表示できない場合が生ずるので、棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を右側或いは左側に移動させるためのものである。スクロール操作部Eには、左スクロール操作部E1と右スクロール操作部E2とが設けられ、左スクロール操作部E1をタッチすると(ステップS7、ステップS8)、タッチパネル6がタッチ位置を検出し、制御装置2は棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を左側へ移動させる(ステップS18、ステップS19)。また、右スクロール操作部E2をタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を右側へ移動させる(ステップS18、ステップS19;以上、表示位置変更手段)。図4は、図3の状態から右方向へスクロールした状態を示す。
【0037】
案内ルート決定支援画面の最下部分には、アイコン表示部Fが設けられている。このアイコン表示部Fには、複数種の施設を表す施設アイコンF1〜F11と、有料道路を示す有料道路アイコンF12と、渋滞を示す渋滞情報アイコンF13とが横一列に表示されている。施設アイコンF1〜F11に表されている施設には、コンビニ、ガソリンスタンド、郵便局、レストラン(飲食店)などが含まれている。施設アイコンF1〜F11を含む全てのアイコンは、互いに異なる色に着色された角型枠の中に施設や有料道路や渋滞を表す図形を白抜き表示してなる。図8にガソリンスタンドのアイコンの例を示すが、他のアイコンは正規の図柄ではない。
【0038】
グラフ表示部Aに探索ルートの距離が棒グラフで表示されている場合にアイコン表示部Fに表示されたアイコンをタッチ操作すると、或いは、アイコン表示部Fに表示されたアイコンをタッチ操作した後に距離の棒グラフを表示した場合、そのタッチ操作されたアイコンで示された施設などの位置が棒グラフ上に当該施設のアイコンで表示される。即ち、各探索ルートの距離を示す棒グラフは、探索ルートを直線に展開したものであるから、棒グラフ上の各点の位置は地図上の位置と一対一に対応できる。そして、ユーザがアイコン表示部Fのアイコンをタッチ操作すると、タッチパネル6がそのタッチ位置を検出して制御装置2に送る(ステップS7、ステップS8)。制御装置2は、タッチ位置からユーザが選択したアイコンを検出し、その選択されたアイコンが示す施設の位置や、有料道路の位置や、渋滞発生位置を、位置検索データ、地図データのリンク情報などから検出する(ステップS20〜ステップS22)。
【0039】
例えば、施設アイコンF1〜F11(表示施設選択手段)のうちのいずれかの施設アイコンがタッチ操作された場合、制御装置2は、情報記憶装置4が有する前記位置検索データを検索してタッチ操作されたアイコンの施設の地図上の位置を取得し、そして、各探索ルートの地図上の位置と一致する位置にある施設を探索し(施設探索手段)、探索ルート上に有る施設を、その探索ルートの距離の棒グラフの地図上の位置に施設アイコンによって表示する(施設表示制御手段)。
【0040】
また、有料道路アイコンF12(表示選択手段)がタッチ操作された場合、制御装置2は、リンク情報を検索して各探索ルートにおける有料道路の位置を検索し(有料道路検出手段)、検出した有料道路の位置を距離の棒グラフに重ねてアイコンで表示する(有料道路表示制御手段)。更に、渋滞情報アイコン(表示選択手段)がタッチ操作された場合、制御装置2は、VICS受信機10が受信した道路情報から渋滞発生位置を地図上の位置として検出し、各探索ルート上に渋滞発生位置が存在する場合、その位置を渋滞アイコンによって表示する(渋滞表示制御手段)。
【0041】
このように探索ルートの距離を示す棒グラフにアイコンを表示した場合、施設アイコンF1〜F11は、横幅を縮小して表示される。このため、施設アイコンF1〜F11は、角型枠の地色でしか表示されない。また、多くの施設アイコンが並んで表示される場合には、どの施設アイコンが表示されているのか判然としない。図5には、距離のグラフに複数のアイコンを表示した例を示す。
【0042】
このような場合に、表示倍率変更部Dの拡大操作部D1をタッチ操作して棒グラフを拡大すると、施設アイコンも拡大されるので、どの施設アイコンが表示されているのかを詳しく知ることができる。図6に距離の棒グラフを拡大して表示した例を示す。この拡大した棒グラフにおいて、更に近くに同じ施設が多数存在していて個々に表示することができない場合(例えば所定距離内に所定数以上の施設が存在する場合)、施設アイコンの上に例えば(×10)の表示をしてその施設が10あることを表示するようにしている。
【0043】
アイコン表示部Fの隣には、道路の車線選択部Gが表示されている。この車線選択部Gは、施設は道路の両側に存在するが、距離の棒グラフに表示する施設を、走行車線側の施設だけにするか、走行車線と対向車線の両側に存在する施設を表示するかを選択するためのものである。即ち、自車両は、探索ルートを出発地から目的地に向って走行するのであるから、各探索ルートにおいて自車両の走行方向は検出できる(走行方向検出手段)。このため、施設の地図上の位置を検索したとき、その位置によって走行車線側に存在するか、或いは対向車線側に存在するかを検出することができる。
【0044】
そして、制御装置2は、車線選択部Gの走行選択部G1がタッチ操作されると、タッチパネル6からのタッチ位置検出信号に基づいて走行車線側の施設を表示する選択がなされたと判断し(ステップS7、ステップS8)、施設のうち、走行車線側に存在する施設を棒グラフに表示する(ステップS20〜ステップS22)。また、車線選択部Gの対向選択部G2がタッチ操作されると、タッチパネル6からのタッチ位置検出信号に基づいて走行車線側の施設を表示する選択がなされたと判断し(ステップS7、ステップS8)、施設のうち、走行車線側にある施設と対向車線側にある施設を棒グラフに表示する(ステップS20〜ステップS22)。
【0045】
棒グラフ上に表示された施設アイコンを見て、その施設アイコンをタッチ操作すると、その施設の詳細を知ることができる。即ち、棒グラフ上の施設アイコンをタッチ操作すると、タッチパネル6によってタッチ位置が検出されて制御装置2に送られる(ステップS7、ステップS8;表示アイコン選択手段)。制御装置2は、タッチ位置から施設を特定し、その特定された施設について、情報記憶装置4が有する位置検索データを検索し、例えば住所、電話番号、施設名称などの詳細情報を表示装置8の表示画面に図6のHに例示するように表示する(ステップS23〜ステップS25;詳細情報取得手段、詳細情報表示制御手段)。
【0046】
また、この実施形態では、距離の棒グラフが表示された場合、制御装置2は、自車両の搭載燃料で走行できる距離を当該棒グラフに表示する。即ち、図15に示すように、制御装置2には、燃料タンク(図示せず)の燃料残量センサ(残燃料検出手段)19に接続され、当該センサ19から燃料の残量情報を取得できるようになっている。そして、探索ルートの距離を棒グラフで表示する選択がなされると、制御装置2は、図14に示すフローチャートのように、燃料残量LとRAMに予め記憶されている単位燃料量当たりの平均走行距離Sとを取得し(ステップD1、ステップD2)、両者を乗算して走行可能距離を演算し(ステップD3;走行可能距離取得手段)、各探索ルートの距離の棒グラフ上に当該走行可能距離を表示する(ステップD4で「YES」、ステップD5で「YES」、ステップD6;走行可能距離表示制御手段)。図7の例では、走行可能距離は、Eを○で囲んで表示されている。なお、走行可能距離が距離の棒グラフで表示されている距離を越えている場合には、走行可能距離は表示されない(ステップD5で「NO」)。
【0047】
さて、以上のようにして目的地までの複数のルートが探索され、案内ルート決定支援画面が表示されると、ユーザは当該画面によって、各探索ルートの距離や、所要時間や、有料道路料金を棒グラフの長短で確認し、或いは探索ルートどうしを互いに比較したりする。また、ユーザはアイコン表示部Fの所望のアイコンをタッチ操作して各ルート上に存在する施設や、有料道路の位置や、渋滞の有無などを確認したり、或いは、現在の燃料残量で目的地まで行けるか否かなどを確認したりする。
【0048】
そして、ユーザは各探索ルートのうちから、案内ルートとして決定すべき探索ルートを選択する。この選択は、案内ルート決定操作部Bの各探索ルートの名称部分をタッチ操作する(ステップS7で「YES」)。すると、前述のようにタッチパネル6がタッチ操作された位置を検出して制御装置2に送る(ステップS8)。制御装置2は、タッチ位置情報からいずれの探索ルートが案内ルートとして決定されたかを検出し(ステップS9、ステップS10)、表示装置8の表示画面を地図に代えて当該地図上に案内ルートとして決定された探索ルートを強調表示する(ステップS11)。その後、タッチパネル6などの入力手段を操作して案内開始操作を行うと(ステップS12で「YES」)、制御装置2は、案内ルートに沿って車両の進行方向を案内するルート案内に移行する(ステップS13)。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、探索された複数のルートの距離、所要時間、有料道路料金を棒グラフにて表示するので、距離や所要時間の長短、或いは有料道路料金の高低の比較を目視にて容易に判定できる。また、各探索ルートにユーザの希望する施設が存在するか、渋滞個所がないか、などを目視によって容易に確認することができる。このため、複数の探索ルートのいずれかを案内ルートとして決定する場合、その決定をユーザの希望を十分に満たす状態で行うことができる。
【0050】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
案内ルート決定支援画面は、例えば各探索ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちのいずれか一つを棒グラフ化しただけのものであっても良い。
棒グラフは、横(左右方向)表示でなく、縦(上下方向)表示としても良い。
グラフは、各探索ルートの距離(所要時間、有料道路料金)を結ぶ折れ線グラフであっても良い。各探索ルートに存在する施設などは、折れ線グラフ中に表示することによって、どのあたりに存在するかを示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、案内ルート決定支援画面の初期状態での図
【図2】所要時間を棒グラフで示した場合の図
【図3】距離の棒グラフ拡大表示した場合の一例を示す図
【図4】棒グラフをスクロールした場合の一例を示す図
【図5】距離の棒グラフにアイコンを表示した場合の一例を示す図
【図6】距離の棒グラフにアイコンを表示した状態で棒グラフを拡大し且つスクロールした場合の一例を示す図
【図7】残りの燃料で走行できる距離を示した場合の図1相当図
【図8】施設アイコンの一例を示す図
【図9】探索された複数ルートを地図上に表示した一例を示す図
【図10】案内ルート決定のためのフローチャート
【図11】探索されたルートの距離を求めるためのフローチャート
【図12】探索されたルートの所要時間を求めるためのフローチャート
【図13】探索された有料道路の料金を求めるためのフローチャート
【図14】残りの燃料で走行できる距離を求めるためのフローチャート
【図15】カーナビゲーション装置の電気的構成のブロック図
【符号の説明】
【0052】
図中、2は制御装置(要素グラフ化表示制御手段、施設探索手段、施設表示制御手段、有料道路検出手段、走行方向検出手段、詳細情報取得手段、詳細情報表示制御手段、有料道路表示制御手段、渋滞表示制御手段、)、3は位置検出装置(現在位置取得手段)、4は情報記憶装置(情報記憶手段)、6はタッチパネル(表示施設選択手段、表示アイコン選択手段)、8は表示装置(表示手段)、10はVICS受信機(道路情報取得手段)、19は燃料残量センサである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地に至る複数のルートを探索可能なカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置には、目的地が設定されると、出発地(通常、現在位置)から目的地までのルートを複数探索してそれら複数のルートを表示装置の地図上に表示すると共に、その複数ルートの中から、ユーザが好みのルートを案内ルートとして選択できるようにしたものがある(特許文献1参照)。このものでは、案内ルートは、道路名称、有料道路の料金、所要時間などを条件にして選択できるようになっている。例えば道路名称による場合には、道路名称キーを操作すると、表示装置に主要道路の名称がリスト表示される。ユーザがそのリストの中から好みの道路名称を選択すると、その名称の道路を含むルートが表示装置上で強調表示されるので、そこで決定キーを操作すると、強調表示されたルートが案内ルートとして確定される、というものである。
【0003】
また、目的地が設定されると、現在位置から目的地までの最短距離ルートと最短所要時間ルートとを探索して両ルートを表示装置に表示し、ユーザが表示された両ルートのいずれかを選択すると、その選択したルートが案内ルートとして確定されるカーナビゲーション装置もある(特許文献2参照)。
更に、出発地から目的地までの線分のコストを最小にするルートを順位をつけて複数探索し、その探索した複数のルートを表示装置の地図上に視認性良く表示して、その中からユーザが好みのルートを選択できるように構成したカーナビゲーション装置もある(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−202137号公報
【特許文献2】特開平1−130299号公報
【特許文献3】特開平5−164566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に記載のものは、いずれも選択された複数ルートが表示装置に同時に表示されるが、それらルートは上下左右に曲がる曲線を含んでいるのが常であるから、複数ルートを見てそれらの距離の長短を比較することは難しい。このため、ルートを選択する際に、距離を選択基準の一つとしたくても、距離の長短を容易に見比べることができない。
また、特許文献1のカーナビゲーション装置では、所要時間を選択すると、表示装置に表示された複数の探索ルートのうち、最短所要時間のルートが強調表示されると共に、例えば20分以内、25分以内、30分以内、35分以内、40分以内のルートがリスト表示されるようになっている。しかしながら、例えば20分を越え25分以内のルートが2つ以上ある場合には、どちらのルートの方が短い所要時間であるのか判別できない。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、探索された複数ルートのうちからユーザが好みのルートを案内ルートとして決定する場合、複数ルートの距離、所要時間、有料道路料金などの付随要素を容易に比較することができるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、探索された複数ルートの付随要素がグラフ化されて表示手段に表示されるので、各ルートの要素をグラフ上で容易に比較することができ、複数ルートの中からいずれか一つのルートを案内ルートとして決定する場合、その決定を楽に行うことができる。
請求項2の発明では、各ルートの付随要素を距離、所要時間、有料道路料金としているので、これらは、多くのユーザが案内ルートを決定する場合の基準としている要素と同じで、使い易いものとなる。
【0007】
請求項3の発明では、グラフ化して表示する付随要素を、距離、所要時間、有料道路料金の中から選択でき、しかも、グラフ化されない残りの付随要素は数値にて同時に表示されるので、距離、所要時間、有料道路のうちから2つ以上を比較して案内ルートを決定するような場合に使い勝手に優れる。
請求項4の発明では、ルートに沿って存在する各種施設を、探索された複数ルートの夫々について表示するので、案内ルートを決定する場合に、ルートに沿って存在する施設を基準の一つとすることができる。
【0008】
請求項5の発明では、表示手段に表示する施設の種類を選択できるので、表示される施設をユーザの好みの施設だけに限定することができる。
請求項6の発明では、施設は、各ルートの距離がグラフ化されている場合に、その距離を示すグラフにおいて施設が存在する位置に対応する個所に表示されるので、施設に立ち寄ろうとした場合、その施設の大まかな位置を事前に知ることができる。
【0009】
請求項7の発明では、走行車線側に存在する施設を表示する場合と、対向車線側に存在する施設も表示する場合とを選択できるので、走行車線と対向車線とを分ける分離帯が存在するような場合に、走行車線側に存在する施設を表示することで、対向車線側に存在していて立ち寄ることが困難な施設まで表示されることのないようにすることができる。
請求項8の発明では、施設をアイコンによって表示するので、施設の種類を見分け易くなる。
【0010】
請求項9の発明では、距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させることができるので、距離の差が明確に分らない場合に、単位距離の長さを長く(拡大)することで、距離の差を明確化できる。特に、施設を表示している場合であって、短い距離の中で多数の施設が存在しているような場合に、単位距離の長さを長くすることによって施設の一つ一つの位置を見分けることができるようになり、使い勝手が良くなる。
【0011】
請求項10の発明では、距離を示すグラフにおいて、単位距離の長さを変化させることに伴って施設を示すアイコンも拡大或いは縮小して表示されるので、特に拡大表示の場合に施設の種類を見分け易くなる。
請求項11の発明では、グラフの拡大表示時にスクロールが可能であるから、拡大によって表示手段に表示されない部分が生じても、スクロールすることによって表示手段に表示することができるようになる。
【0012】
請求項12の発明では、距離を示すグラフに沿って表示された施設のアイコンを選択すると、その施設の詳細、例えば住所、電話番号、名称などが表示されるので、立ち寄る施設を決定する場合などに便利である。
請求項13の発明では、距離のグラフに有料道路の位置が表示されるので、どの程度有料道路を走行するのか一目瞭然に理解できる。
【0013】
請求項14の発明では、探索された各ルートについて渋滞の発生を表示するので、案内ルートを決定する場合に渋滞個所のないルートを選択できる。
請求項15の発明では、渋滞表示は、各ルートの距離がグラフ化されている場合に行われるので、渋滞個所がルート上のどの個所に発生しているかを知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図15はカーナビゲーション装置1の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、カーナビゲーション装置1は、制御手段としての制御装置2に、現在位置取得手段としての位置検出装置3、情報記憶手段としての情報記憶装置4、操作スイッチ群5、タッチパネル6、リモコンセンサ7、表示手段としての表示装置8、音声制御装置9、道路情報取得手段としてのVICS(Vehicle Information Communication System)受信機10、外部メモリ11などを接続して構成されている。
【0015】
制御装置2は、カーナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータを主体として構成されている。すなわち、制御装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されている。このうち、ROMにはカーナビゲーション装置1を動作させるための地図表示用プログラム、ルート探索用プログラム、ルート案内用プログラム、VICS情報処理用プログラムなどが格納され、RAMにはプログラム実行時の一時データや情報記憶装置4から取得した地図データなどが一時的に格納されるようになっている。
【0016】
位置検出装置3は、ジヤイロスコープ12、距離センサ13およびGPS(Global Positioning System )受信機14などから構成されている。これらのセンサ12〜14はそれぞれ性質の異なる検出誤差を有するので、これらのセンサ12〜14を組み合わせることにより、互いに検出誤差を補正しながら精度の高い位置検出を行ない得るようにしている。なお、要求される検出精度レベルによっては、すべてのセンサ12〜14を備える必要はなく、適宜選択して設ける構成とすることができる。更に、ステアリングの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどを組み合わせて位置検出装置3を構成しても良い。
【0017】
情報記憶装置4は、例えばDVD−ROMなどの情報記録媒体と、この情報記録媒体からデータを読み取る読取装置とから構成されており、読取装置によりデータを情報記録媒体から読み取って制御装置2に入力する。ここで、情報記憶装置4が備えているデータとしては、地図データ、マップマッチング用データ、ルートを音声で案内するためのデータ、後述するように住所などから地図上の位置を検索するための位置検索データ、同じく目的地をジャンル別に検索できるようにするためのジャンル別データ、有料道路料金データなどがある。
【0018】
表示装置8は、地図データや文字或いは記号およびグラフィック表示が可能なフルカラーの液晶ディスプレイ装置により構成されている。操作スイッチ群5、タッチパネル6、リモコンセンサ7と対をなすリモコン15は、データを入力したり、設定事項を入力したり、目的地設定のための各種入力を行うための入力手段として使用されるもので、操作スイッチ群5は、例えば表示装置8の表示画面(液晶ディスプレイ)の周辺に設けられた押釦スイッチなどから構成されている。また、前記タッチパネル6は、透明に構成され、表示装置8の表示画面の表面に貼り付けられている。
【0019】
音声制御装置9には、スピーカ16および音声認識装置17が接続されている。更に、音声認識装置17には、入力手段としてのマイク18が接続されている。そして、マイク18は、ユーザの発した音声を音声信号にして音声認識装置17に与える。音声認識装置17は、音声信号からユーザが音声で発した指示内容を認識して音声制御装置9に送る。音声制御装置9は、認識された指示内容を制御装置2に送り、その指示内容が制御装置2によって実行されるようにする。
【0020】
さて、制御装置2は、表示制御手段としての機能を有し、位置検出装置3から入力される情報に基づき車両の現在位置を演算して、情報記憶装置4から取得した地図データに基づいてその現在位置周辺の道路地図を表示装置8の表示画面に表示すると共に、その表示された道路地図に重ねて車両の現在位置および進行方向を示すポインタを表示する。この表示画面に表示される道路地図の縮尺は操作手段の操作によって変更することができるようになっている。
【0021】
また、制御装置2は、目的地までのルートを探索する機能、およびその探索されたルートに従って車両の進行すべき方向を指示したりする走行案内機能を有している。すなわち、操作スイッチ群5、タッチパネル6或いはリモコン15を操作して目的地を設定すると、出発地(通常は現在位置)から目的地までのルートを複数種の条件の夫々によって探索し、その複数種の条件によって探索された複数のルートを表示装置8の表示画面の地図上に色分け表示する。なお、ルート探索の方法としては、ダイクストラ法などが用いられる。
【0022】
複数の探索ルートの中から、一つのルートが案内ルートとして決定された場合、その案内ルートを表示装置8の表示画面に表示されている道路地図上に通常の道路色とは異なる色で強調表示する。そして、制御装置2は、案内ルートに従って車両の進行方向を指示するために、表示装置8の表示画面に交差点などを拡大表示して進行方向を矢印で表示したり、音声制御装置9を介してスピーカ16から進行方向を音声で出力する。
【0023】
さて、情報記憶装置4が記憶している地図データは、表示装置8の表示画面に地図を表示するためのデータで、リンク情報、ノード情報などを備えている。これは、地図上の道路を交差点、分岐点、合流点、所定角度以上のカーブなどの屈曲点を示すノードにより複数に分割し、夫々のノード間をリンクとして規定し、それらリンクを接続することにより地図を構成するという考え方に基づく。
【0024】
上記リンク情報は、各リンクについて、リンクの固有ID、リンクの長さを示すリンク長(道路長)、リンクの始端と終端の座標、リンクの道路幅、道路種別(国道、県道、市道、有料道路など)などの属性情報からなる。上記ノード情報は、各ノードについて、ノードの固有ID、座標、ノード属性例えば立体交差点や多車線交差点などを示すデータなどから構成されている。
【0025】
また、情報記憶装置4が有する前記位置検索データは、出発地や経由地や目的地が、住所、建築物名、施設名、交差点名、電話番号などで入力された場合にその位置を検索するためのもので、住所、建築物名、施設名、交差点名、電話番号などと、それに対応する地図上の座標を関連付けた地図索引データとして構成されている。有料道路料金データは、有料道路のインターチェンジ相互間の料金を検索でき、従って、有料道路にどのインターチェンジから入って、どのインターチェンジから出るとしても、その間の料金を検索できるようになっている。
【0026】
次に上記構成のカーナビゲーション装置1の作用を図10のフローチャートをも参照しながら説明する。まず、制御装置2は、常には、位置検出装置3から入力される情報に基づき自車両の現在位置を演算し、情報記憶装置4から取得した地図データに基づいて現在位置周辺の道路地図を表示装置8の表示画面に表示すると共に、その表示画面の道路地図に重ねて現在位置および進行方向を示すポインタを表示する(図10のステップS1で「NO」、ステップS2の繰り返し;地図表示制御手段)。
【0027】
操作スイッチ群5やタッチパネル6などの入力手段により、カーナビゲーション装置1が案内ルート設定モードにセットされると(ステップS1で「YES」)、制御装置2は、目的地が設定されるのを待つ状態となる(ステップS3)。ユーザがタッチパネル6などの入力手段を操作して目的地を設定すると、制御装置2は、複数の条件に従って複数のルートを探索する(ステップS4;ルート探索手段)。
【0028】
この場合の複数の条件により探索されるルートは、推奨ルート、有料道路優先ルート、一般道路優先ルート、距離優先ルート、別ルートの5つのルートである。このうち、有料道路優先ルートは、有料道路を使用したルートを3つ探索し、その3つのルートのうち、距離が真ん中のルートを言う。推奨ルートとは、有料道路を使用する上記3ルートのうち、距離の最も短いルートを言う。別ルートとは、有料道路を使用する上記3ルートのうち、距離の最も長いルートを言う。また、一般道路優先とは、有料道路を使用せず、国道および県道を最も多く使用するルートを言う。更に、距離優先とは、有料道路、および国道、県道に限られず、最も距離が短くなるルートを言う。
【0029】
このとき、制御装置2は、各ルートについて、距離、所要時間、有料道路料金を演算する。距離は、図11に示すフローチャートのように、距離演算手段としての制御装置2がルートを構成する複数のリンクのリンク長を検索し(ステップA1)、それらリンク長の総和を算出する(ステップA2)ことによって求める。所要時間は、ルートの距離と、例えば制御装置2が有するRAM(記憶手段)に記憶された道路種別時速とによって演算される(所要時間演算手段)。
【0030】
つまり、図12に示すように、所要時間演算手段としての制御装置2は、まず、各ルートについて、ルートを構成する複数のリンクのリンク長とリンクの道路種別とを検索する(ステップB1)。次に、制御装置2は、有料道路のリンク長の総和(AKm)を算出し(ステップB2)、一般道のリンク長の総和(BKm)を算出する(ステップB3)。そして、制御装置2は、RAMに予め記憶されている有料道路走行の平均時速と一般道走行の平均時速とを取得する(ステップB4)。その後、制御装置2は、有料道路の距離Aを有料道路走行時の平均時速で除して有料道路の所要時間を演算する(ステップB5)と共に、一般道路の距離Bを一般道路走行の平均時速で除して一般道路の所要時間を演算し(ステップB6)、有料道路の所要時間と一般道路の所要時間の総和を求めることによって当該ルートの所要時間を演算する(ステップB7)。
【0031】
また、有料道路料金については、有料道路料金算出手段としての制御装置2により、図13のフローチャートのようにして求められる。即ち、制御装置2は、各ルートについて、有料道路の有無を検索し(ステップC1)、有料道路がある場合、その入口と出口を検索する(ステップC2)。そして、制御装置2は、情報記憶装置4に記憶されている有料道路料金データを検索して入口から出口までの料金を求める(ステップC3)。
【0032】
以上のようにして5ルートを探索すると、制御装置2は、その探索した各ルートを表示装置8の表示画面の地図上に色分け表示する(図9参照;探索ルート表示制御手段)。なお、図9では、線種によって色分けを表した。その後、制御装置2は、表示装置8の表示を、地図表示画面から案内ルート決定支援画面に切り替える。この案内ルート決定支援画面は、探索した5ルートについての各種情報を表示する画面で、その画面は、図1に示すように、各ルートについて、その付随要素である距離、所要時間、有料道路料金をグラフ化したグラフ表示部Aを主表示部として構成されている(ステップS6;グラフ化表示制御手段)。
【0033】
図1は、地図表示画面から案内ルート決定支援画面に切り替えられた当初の表示画面を示す。この図1から理解されるように、当初は、付随要素のうち、距離がグラフ化、この実施形態では棒グラフにして表示される。この棒グラフで示されたグラフ表示部Aの左右両側のうち、一方の側には、ルート探索の種類を示す「推奨」、「有料優先」、「一般優先」、「距離優先」、「別ルート」の文字が表示されている。この表示文字のいずれかをタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は、そのタッチされた位置の表示ルートが案内ルートとして決定されたものと判断するようになっている(ステップS9、ステップS10)。これら「推奨」、「有料優先」、「一般優先」、「距離優先」、「別ルート」の文字が表示され部分を案内ルート決定操作部Bと称することとする。
【0034】
また、距離の棒グラフ部分の両側のうち、他方の側には、各ルートについての距離、所要時間(単に時間)、有料道路料金(単に料金)が数値によって表示されている。各ルートの距離、時間、料金を数値で示す領域の上段には、それら数値の項目名である「距離」、「時間」、「料金」の要素文字が表示されている。これら「距離」、「時間」、「料金」の表示部分をグラフ化要素選択操作部Cと称することとする。そして、この要素文字のうちの一つをタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は、棒グラフ部分に表示する棒グラフを、タッチされた要素に代えて表示する(ステップS14、ステップS15;グラフ化要素変更手段)。図2に、「時間」部分がタッチされた結果、所要時間が棒グラフ化された場合の表示画面の一例を示した。
【0035】
また、棒グラフ部分の下段の左右には、表示倍率変更部Dおよびスクロール操作部Eが設けられている。表示倍率変更部Dは、棒グラフの表示目盛の単位長さを変更することにより、棒グラフを拡大或いは縮小して表示させるためのもので、拡大操作部D1をタッチすると、タッチする毎に表示目盛の単位長さが所定倍率ずつ長くなり、縮小操作部D2をタッチすると、タッチする毎に表示目盛の単位長さが所定倍率ずつ短くなるように構成されている(ステップS7、ステップS8、ステップS13、ステップS14;表示倍率変更手段)。図3に距離の棒グラフを拡大した状態を示す。なお、表示倍率変更部Dを操作した場合の棒グラフの拡大、縮小は、その時点で表示されている棒グラフの中心から左右方向に拡大、或いは縮小がなされる。
【0036】
スクロール操作部Eは、棒グラフを拡大表示すると、グラフ表示部Aには棒グラフの一部しか表示できない場合が生ずるので、棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を右側或いは左側に移動させるためのものである。スクロール操作部Eには、左スクロール操作部E1と右スクロール操作部E2とが設けられ、左スクロール操作部E1をタッチすると(ステップS7、ステップS8)、タッチパネル6がタッチ位置を検出し、制御装置2は棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を左側へ移動させる(ステップS18、ステップS19)。また、右スクロール操作部E2をタッチすると、タッチパネル6がタッチ位置を検出し(ステップS7、ステップS8)、制御装置2は棒グラフのグラフ表示部Aへの表示部分を右側へ移動させる(ステップS18、ステップS19;以上、表示位置変更手段)。図4は、図3の状態から右方向へスクロールした状態を示す。
【0037】
案内ルート決定支援画面の最下部分には、アイコン表示部Fが設けられている。このアイコン表示部Fには、複数種の施設を表す施設アイコンF1〜F11と、有料道路を示す有料道路アイコンF12と、渋滞を示す渋滞情報アイコンF13とが横一列に表示されている。施設アイコンF1〜F11に表されている施設には、コンビニ、ガソリンスタンド、郵便局、レストラン(飲食店)などが含まれている。施設アイコンF1〜F11を含む全てのアイコンは、互いに異なる色に着色された角型枠の中に施設や有料道路や渋滞を表す図形を白抜き表示してなる。図8にガソリンスタンドのアイコンの例を示すが、他のアイコンは正規の図柄ではない。
【0038】
グラフ表示部Aに探索ルートの距離が棒グラフで表示されている場合にアイコン表示部Fに表示されたアイコンをタッチ操作すると、或いは、アイコン表示部Fに表示されたアイコンをタッチ操作した後に距離の棒グラフを表示した場合、そのタッチ操作されたアイコンで示された施設などの位置が棒グラフ上に当該施設のアイコンで表示される。即ち、各探索ルートの距離を示す棒グラフは、探索ルートを直線に展開したものであるから、棒グラフ上の各点の位置は地図上の位置と一対一に対応できる。そして、ユーザがアイコン表示部Fのアイコンをタッチ操作すると、タッチパネル6がそのタッチ位置を検出して制御装置2に送る(ステップS7、ステップS8)。制御装置2は、タッチ位置からユーザが選択したアイコンを検出し、その選択されたアイコンが示す施設の位置や、有料道路の位置や、渋滞発生位置を、位置検索データ、地図データのリンク情報などから検出する(ステップS20〜ステップS22)。
【0039】
例えば、施設アイコンF1〜F11(表示施設選択手段)のうちのいずれかの施設アイコンがタッチ操作された場合、制御装置2は、情報記憶装置4が有する前記位置検索データを検索してタッチ操作されたアイコンの施設の地図上の位置を取得し、そして、各探索ルートの地図上の位置と一致する位置にある施設を探索し(施設探索手段)、探索ルート上に有る施設を、その探索ルートの距離の棒グラフの地図上の位置に施設アイコンによって表示する(施設表示制御手段)。
【0040】
また、有料道路アイコンF12(表示選択手段)がタッチ操作された場合、制御装置2は、リンク情報を検索して各探索ルートにおける有料道路の位置を検索し(有料道路検出手段)、検出した有料道路の位置を距離の棒グラフに重ねてアイコンで表示する(有料道路表示制御手段)。更に、渋滞情報アイコン(表示選択手段)がタッチ操作された場合、制御装置2は、VICS受信機10が受信した道路情報から渋滞発生位置を地図上の位置として検出し、各探索ルート上に渋滞発生位置が存在する場合、その位置を渋滞アイコンによって表示する(渋滞表示制御手段)。
【0041】
このように探索ルートの距離を示す棒グラフにアイコンを表示した場合、施設アイコンF1〜F11は、横幅を縮小して表示される。このため、施設アイコンF1〜F11は、角型枠の地色でしか表示されない。また、多くの施設アイコンが並んで表示される場合には、どの施設アイコンが表示されているのか判然としない。図5には、距離のグラフに複数のアイコンを表示した例を示す。
【0042】
このような場合に、表示倍率変更部Dの拡大操作部D1をタッチ操作して棒グラフを拡大すると、施設アイコンも拡大されるので、どの施設アイコンが表示されているのかを詳しく知ることができる。図6に距離の棒グラフを拡大して表示した例を示す。この拡大した棒グラフにおいて、更に近くに同じ施設が多数存在していて個々に表示することができない場合(例えば所定距離内に所定数以上の施設が存在する場合)、施設アイコンの上に例えば(×10)の表示をしてその施設が10あることを表示するようにしている。
【0043】
アイコン表示部Fの隣には、道路の車線選択部Gが表示されている。この車線選択部Gは、施設は道路の両側に存在するが、距離の棒グラフに表示する施設を、走行車線側の施設だけにするか、走行車線と対向車線の両側に存在する施設を表示するかを選択するためのものである。即ち、自車両は、探索ルートを出発地から目的地に向って走行するのであるから、各探索ルートにおいて自車両の走行方向は検出できる(走行方向検出手段)。このため、施設の地図上の位置を検索したとき、その位置によって走行車線側に存在するか、或いは対向車線側に存在するかを検出することができる。
【0044】
そして、制御装置2は、車線選択部Gの走行選択部G1がタッチ操作されると、タッチパネル6からのタッチ位置検出信号に基づいて走行車線側の施設を表示する選択がなされたと判断し(ステップS7、ステップS8)、施設のうち、走行車線側に存在する施設を棒グラフに表示する(ステップS20〜ステップS22)。また、車線選択部Gの対向選択部G2がタッチ操作されると、タッチパネル6からのタッチ位置検出信号に基づいて走行車線側の施設を表示する選択がなされたと判断し(ステップS7、ステップS8)、施設のうち、走行車線側にある施設と対向車線側にある施設を棒グラフに表示する(ステップS20〜ステップS22)。
【0045】
棒グラフ上に表示された施設アイコンを見て、その施設アイコンをタッチ操作すると、その施設の詳細を知ることができる。即ち、棒グラフ上の施設アイコンをタッチ操作すると、タッチパネル6によってタッチ位置が検出されて制御装置2に送られる(ステップS7、ステップS8;表示アイコン選択手段)。制御装置2は、タッチ位置から施設を特定し、その特定された施設について、情報記憶装置4が有する位置検索データを検索し、例えば住所、電話番号、施設名称などの詳細情報を表示装置8の表示画面に図6のHに例示するように表示する(ステップS23〜ステップS25;詳細情報取得手段、詳細情報表示制御手段)。
【0046】
また、この実施形態では、距離の棒グラフが表示された場合、制御装置2は、自車両の搭載燃料で走行できる距離を当該棒グラフに表示する。即ち、図15に示すように、制御装置2には、燃料タンク(図示せず)の燃料残量センサ(残燃料検出手段)19に接続され、当該センサ19から燃料の残量情報を取得できるようになっている。そして、探索ルートの距離を棒グラフで表示する選択がなされると、制御装置2は、図14に示すフローチャートのように、燃料残量LとRAMに予め記憶されている単位燃料量当たりの平均走行距離Sとを取得し(ステップD1、ステップD2)、両者を乗算して走行可能距離を演算し(ステップD3;走行可能距離取得手段)、各探索ルートの距離の棒グラフ上に当該走行可能距離を表示する(ステップD4で「YES」、ステップD5で「YES」、ステップD6;走行可能距離表示制御手段)。図7の例では、走行可能距離は、Eを○で囲んで表示されている。なお、走行可能距離が距離の棒グラフで表示されている距離を越えている場合には、走行可能距離は表示されない(ステップD5で「NO」)。
【0047】
さて、以上のようにして目的地までの複数のルートが探索され、案内ルート決定支援画面が表示されると、ユーザは当該画面によって、各探索ルートの距離や、所要時間や、有料道路料金を棒グラフの長短で確認し、或いは探索ルートどうしを互いに比較したりする。また、ユーザはアイコン表示部Fの所望のアイコンをタッチ操作して各ルート上に存在する施設や、有料道路の位置や、渋滞の有無などを確認したり、或いは、現在の燃料残量で目的地まで行けるか否かなどを確認したりする。
【0048】
そして、ユーザは各探索ルートのうちから、案内ルートとして決定すべき探索ルートを選択する。この選択は、案内ルート決定操作部Bの各探索ルートの名称部分をタッチ操作する(ステップS7で「YES」)。すると、前述のようにタッチパネル6がタッチ操作された位置を検出して制御装置2に送る(ステップS8)。制御装置2は、タッチ位置情報からいずれの探索ルートが案内ルートとして決定されたかを検出し(ステップS9、ステップS10)、表示装置8の表示画面を地図に代えて当該地図上に案内ルートとして決定された探索ルートを強調表示する(ステップS11)。その後、タッチパネル6などの入力手段を操作して案内開始操作を行うと(ステップS12で「YES」)、制御装置2は、案内ルートに沿って車両の進行方向を案内するルート案内に移行する(ステップS13)。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、探索された複数のルートの距離、所要時間、有料道路料金を棒グラフにて表示するので、距離や所要時間の長短、或いは有料道路料金の高低の比較を目視にて容易に判定できる。また、各探索ルートにユーザの希望する施設が存在するか、渋滞個所がないか、などを目視によって容易に確認することができる。このため、複数の探索ルートのいずれかを案内ルートとして決定する場合、その決定をユーザの希望を十分に満たす状態で行うことができる。
【0050】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
案内ルート決定支援画面は、例えば各探索ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちのいずれか一つを棒グラフ化しただけのものであっても良い。
棒グラフは、横(左右方向)表示でなく、縦(上下方向)表示としても良い。
グラフは、各探索ルートの距離(所要時間、有料道路料金)を結ぶ折れ線グラフであっても良い。各探索ルートに存在する施設などは、折れ線グラフ中に表示することによって、どのあたりに存在するかを示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、案内ルート決定支援画面の初期状態での図
【図2】所要時間を棒グラフで示した場合の図
【図3】距離の棒グラフ拡大表示した場合の一例を示す図
【図4】棒グラフをスクロールした場合の一例を示す図
【図5】距離の棒グラフにアイコンを表示した場合の一例を示す図
【図6】距離の棒グラフにアイコンを表示した状態で棒グラフを拡大し且つスクロールした場合の一例を示す図
【図7】残りの燃料で走行できる距離を示した場合の図1相当図
【図8】施設アイコンの一例を示す図
【図9】探索された複数ルートを地図上に表示した一例を示す図
【図10】案内ルート決定のためのフローチャート
【図11】探索されたルートの距離を求めるためのフローチャート
【図12】探索されたルートの所要時間を求めるためのフローチャート
【図13】探索された有料道路の料金を求めるためのフローチャート
【図14】残りの燃料で走行できる距離を求めるためのフローチャート
【図15】カーナビゲーション装置の電気的構成のブロック図
【符号の説明】
【0052】
図中、2は制御装置(要素グラフ化表示制御手段、施設探索手段、施設表示制御手段、有料道路検出手段、走行方向検出手段、詳細情報取得手段、詳細情報表示制御手段、有料道路表示制御手段、渋滞表示制御手段、)、3は位置検出装置(現在位置取得手段)、4は情報記憶装置(情報記憶手段)、6はタッチパネル(表示施設選択手段、表示アイコン選択手段)、8は表示装置(表示手段)、10はVICS受信機(道路情報取得手段)、19は燃料残量センサである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、地図データを記憶した情報記憶手段と、前記地図データを表示する表示手段とを備え、出発地と目的地が設定されたとき、その出発地から目的地までのルートを複数探索可能なカーナビゲーション装置において、
前記探索した複数の各ルートの付随要素をグラフ化して前記表示手段に表示する要素グラフ化表示制御手段を備えてなるカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段にグラフ化して表示する前記ルートの前記付随要素は、前記ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示手段にグラフ化して表示する前記ルートの前記付随要素を、前記ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちから選択可能で、グラフ化された一の付随要素を除く他の付随要素は同時に数字にて表示されることを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報記憶手段は、各種施設と地図上の位置との関係を表す位置検索データを有し、
前記位置検索データから前記探索された前記各ルートに沿って存在する施設を探索する施設探索手段と、
前記施設探索手段によって探索された施設を、前記探索された前記ルート毎に前記表示手段に表示する施設表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示手段に表示する前記施設の種類を選択する表示施設選択手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記表示手段に前記探索された前記各ルートの距離がグラフ化されて表示されているときに行われ、且つ前記施設は、前記各ルートの距離を示すグラフにおいて前記各ルート上の位置に対応する個所に表示されることを特徴とする請求項4または5記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記現在位置取得手段により取得した現在位置に基づいて自車両の走行方向を検出する走行方向検出手段を備え、
前記施設探索手段は、前記走行方向検出手段によって検出された走行方向を基に、走行車線側に存在する施設と対向車線側に存在する施設とに分けて探索可能で、
前記施設表示制御手段は、前記走行車線側に存在する施設を表示する場合と、前記対向車線側に存在する施設も表示する場合とを選択可能であることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記施設を表すアイコンによって行われることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示手段に表示された前記距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させる拡大および縮小表示可能であることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記施設を表すアイコンによって行われ、且つ、前記表示手段に表示された前記距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させる拡大および縮小表示可能で、当該単位距離の長さの変化に応じて前記施設を表すアイコンが拡大および縮小表示されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項11】
前記距離を示すグラフは、拡大表示時においてスクロール可能であることを特徴とする請求項9または10に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項12】
前記距離を表示するグラフに沿って表示された前記施設のアイコンを選択する表示アイコン選択手段と、
前記表示アイコン選択手段により選択された前記アイコンによって示される前記施設の詳細情報を前記位置検索データから取得する詳細情報取得手段と、
前記詳細情報取得手段によって取得された前記詳細情報を前記表示手段に表示する詳細情報表示制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項13】
前記探索された前記各ルートにおける有料道路を検出する有料道路検出手段と、
前記探索された前記各ルートについて距離が前記付随要素としてグラフ化して前記表示手段に表示されている場合に、前記有料道路検出手段により検出された有料道路を前記距離のグラフにおいて各ルート上の位置に対応して表示する有料道路表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項14】
道路の渋滞情報を取得する道路情報取得手段と、
前記道路情報取得手段が取得した前記渋滞情報に基づいて、前記探索された複数の各ルートに渋滞の発生を、前記探索されたルート毎に前記表示手段に表示する渋滞表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項15】
前記渋滞の発生は、前記表示手段に前記探索された前記各ルートの距離がグラフ化されて表示されているときに、当該グラフにおいて渋滞発生位置に対応する個所に表示することを特徴とする請求項14記載のカーナビゲーション装置。
【請求項1】
自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、地図データを記憶した情報記憶手段と、前記地図データを表示する表示手段とを備え、出発地と目的地が設定されたとき、その出発地から目的地までのルートを複数探索可能なカーナビゲーション装置において、
前記探索した複数の各ルートの付随要素をグラフ化して前記表示手段に表示する要素グラフ化表示制御手段を備えてなるカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段にグラフ化して表示する前記ルートの前記付随要素は、前記ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示手段にグラフ化して表示する前記ルートの前記付随要素を、前記ルートの距離、所要時間、有料道路料金のうちから選択可能で、グラフ化された一の付随要素を除く他の付随要素は同時に数字にて表示されることを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報記憶手段は、各種施設と地図上の位置との関係を表す位置検索データを有し、
前記位置検索データから前記探索された前記各ルートに沿って存在する施設を探索する施設探索手段と、
前記施設探索手段によって探索された施設を、前記探索された前記ルート毎に前記表示手段に表示する施設表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示手段に表示する前記施設の種類を選択する表示施設選択手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記表示手段に前記探索された前記各ルートの距離がグラフ化されて表示されているときに行われ、且つ前記施設は、前記各ルートの距離を示すグラフにおいて前記各ルート上の位置に対応する個所に表示されることを特徴とする請求項4または5記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記現在位置取得手段により取得した現在位置に基づいて自車両の走行方向を検出する走行方向検出手段を備え、
前記施設探索手段は、前記走行方向検出手段によって検出された走行方向を基に、走行車線側に存在する施設と対向車線側に存在する施設とに分けて探索可能で、
前記施設表示制御手段は、前記走行車線側に存在する施設を表示する場合と、前記対向車線側に存在する施設も表示する場合とを選択可能であることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記施設を表すアイコンによって行われることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示手段に表示された前記距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させる拡大および縮小表示可能であることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
前記施設の前記表示手段への表示は、前記施設を表すアイコンによって行われ、且つ、前記表示手段に表示された前記距離を示すグラフは、単位距離の長さを変化させる拡大および縮小表示可能で、当該単位距離の長さの変化に応じて前記施設を表すアイコンが拡大および縮小表示されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項11】
前記距離を示すグラフは、拡大表示時においてスクロール可能であることを特徴とする請求項9または10に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項12】
前記距離を表示するグラフに沿って表示された前記施設のアイコンを選択する表示アイコン選択手段と、
前記表示アイコン選択手段により選択された前記アイコンによって示される前記施設の詳細情報を前記位置検索データから取得する詳細情報取得手段と、
前記詳細情報取得手段によって取得された前記詳細情報を前記表示手段に表示する詳細情報表示制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項13】
前記探索された前記各ルートにおける有料道路を検出する有料道路検出手段と、
前記探索された前記各ルートについて距離が前記付随要素としてグラフ化して前記表示手段に表示されている場合に、前記有料道路検出手段により検出された有料道路を前記距離のグラフにおいて各ルート上の位置に対応して表示する有料道路表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項14】
道路の渋滞情報を取得する道路情報取得手段と、
前記道路情報取得手段が取得した前記渋滞情報に基づいて、前記探索された複数の各ルートに渋滞の発生を、前記探索されたルート毎に前記表示手段に表示する渋滞表示制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項15】
前記渋滞の発生は、前記表示手段に前記探索された前記各ルートの距離がグラフ化されて表示されているときに、当該グラフにおいて渋滞発生位置に対応する個所に表示することを特徴とする請求項14記載のカーナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−209208(P2008−209208A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45552(P2007−45552)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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