説明

ゲート・スタックを形成する方法

【課題】 電界効果トランジスタのためのゲート・スタックを形成する方法を提供すること。
【解決手段】 方法は、第1及び第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板の領域を覆う第1の窒化チタン(TiN)層の上に直接、金属含有層を形成することと、金属含有層の上に第2のTiN層のキャッピング層を形成することと、第1の型の電界効果トランジスタに対して指定された領域を覆う第1のTiN層の第1の部分のみを覆うように、第2のTiN層及び金属含有層をパターン形成してすることと、第1のTiN層の第1の部分をパターン形成された金属含有層の厚さの少なくとも一部で覆うことによりエッチングから保護する一方で、パターン形成によって露出された第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去することと、第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板の領域を覆う第3のTiN層を形成することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス製造の分野に関する。特に、本発明は、高k金属ゲート電界効果トランジスタのゲート・スタックの形成及びその構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造の分野において、能動半導体デバイスは、一般に、前工程(FEOL)技術により製造される。このような能動半導体デバイスは、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、特に相補型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(CMOS−FET)のようなトランジスタを含むことができる。異なる型のCMOS−FETの中には、p型ドープCMOS−FET(PFET)及びn型ドープCMOS−FET(NFET)があり得る。異なる型のCMOS−FETを、半導体チップ又はウェハの共通の基板又は構造体上に形成又は製造することができる。
【0003】
CMOS−FETトランジスタ及びそのデバイスの更なる性能向上を追求するにあたり、近年、一般に誘電体材料のk値として知られる誘電率が高い誘電体材料がCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックの一部を形成するために使用されている。さらに、性能向上のための他の技術は、閾値電圧及びチャネル移動度をより良く調整するために、ポリシリコンのような従来のゲート材料の代わりに金属ゲート材料を用いることを含むことができる。より具体的には、高k誘電体ゲート材料に金属ゲートを適用することにより、金属の方が従来のポリシリコン/高k誘電体界面に比べて欠陥が少ないことの結果として、電子の移動度を向上させ、フェルミ準位のピン止めを減少させる誘電体における、フォノン散乱のより良好なスクリーニングを達成することができ、これらの全てが、CMOS−FETトランジスタ及びそのトランジスタから作られるデバイスの所望の閾値電圧の達成に寄与する。
【0004】
ゲート・スタックを形成する通常のプロセスの間、ゲート・スタックが最終的に形成されるように計画された又は設計された領域において、通常はハードマスクを用いて、基板上に形成されたゲート・スタック材料を保護する。ハードマスクは、ゲート・スタックが形成される領域以外の領域内のゲート・スタック材料を、湿式エッチング・プロセスなどのパターン形成プロセスによって除去又はエッチング除去することができるような方法で用いられる。最も一般的に用いられるハードマスクの1つは、例えば、非晶質シリコンとその上に重ねられた二酸化シリコン(SiO)との組み合わせである。
【0005】
当該技術分野で周知であるように、湿式エッチング・プロセスにおいては、シリコンをエッチングするために、一般にアンモニア溶液が用いられている。しかしながら、通常のアンモニア溶液は、典型的には、酸化シリコンに対して選択的であり、これは、通常のアンモニア溶液は酸化シリコン又は二酸化シリコンをエッチングしない、又は、少なくとも効果的なエッチングを行うことができないことを意味する。従って、プロセスにおいて、非晶質シリコンで作られ二酸化シリコンがその上を覆ったハードマスクを用いることができるようにするためには、下層の非晶質シリコンがエッチングされ、それによりパターン形成されることができるようになる前に、非晶質シリコンの上を遮蔽する酸化シリコンを破壊するために、高濃度のアンモニア溶液を用いる必要があり得る。しかしながら、高濃度のアンモニア溶液は、下層の非晶質シリコンをパターン形成する目的で遮蔽酸化シリコンを破壊することができるとはいえ、シリコンから不純物をエッチングして除去してしまうことなどによって、シリコンの欠陥を生じさせる原因としても知られており、結果として、そのプロセスから作られたデバイスの劣化をもたらすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当該技術分野において、高k金属ゲート(HK−MG)トランジスタを作製する際に、ゲート・スタックを形成するより良好な及び/又は代替的なプロセス及び/又は方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、電界効果トランジスタのためのゲート・スタックを形成する方法を提供する。方法は、第1及び第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板の領域を覆う第1の窒化チタン(TiN)層上に直接、金属含有層を形成するステップと、金属含有層の上に第2のTiN層のキャッピング層を形成するステップと、第1の型の電界効果トランジスタに対して指定された領域を覆う第1のTiN層の第1の部分のみを覆うように第2のTiN層及び金属含有層をパターン形成するステップと、第1のTiN層の第1の部分をパターン形成された金属含有層の厚さの少なくとも一部で覆うことによりエッチングから保護する一方で、パターン形成によって露出された第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去するステップと、第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板の領域を覆う第3のTiN層を形成するステップとを含む。
【0008】
1つの実施形態によると、金属含有層を形成することは、少なくとも1つの金属元素を含有する金属シリサイド層を形成することを含み、前記金属元素は、チタン(Ti)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から成る群から選択される。
【0009】
別の実施形態によると、金属シリサイド層を形成することは、各々が約3nmから4nmまでの厚さを有し、スタック層の合計厚さが約12nmから16nmまでの、交互の薄い金属/非晶質シリコン層のスタック層を形成することと、このスタック層を、金属シリサイド層を形成するのに適した温度範囲、例えば約350℃から500℃までの温度範囲で、約5秒から約5分までの時間にわたってアニールすることとを含む。
【0010】
さらに別の実施形態によると、第1のTiN層の第2の部分をエッチングすることは、第1のTiN層の第2の部分に対してSC1溶液を適用することを含み、SC1溶液は、水(HO)、NHOH及びHの混合物であり、金属シリサイド層に対して選択的である。例えば、水(HO)、NHOH及びHの混合物は、容量比で約5:1:1から約50:1:1までの範囲の混合比を有することができ、およそ25℃から65℃まで、好ましくは45℃から55℃までの温度範囲で適用することができる。
【0011】
本発明の実施形態はまた、金属含有層の上部に第3のTiN層を形成することと、金属含有層を含むゲート・スタックを形成することとを含み、金属含有層は、金属シリサイド層である。さらに、金属含有層を形成することは、約4nmから約20nmまでの厚さを有するタングステン(W)金属の層をスパッタリングにより形成することと、第2の型の電界効果トランジスに対して指定された半導体基板の領域から第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去して酸化ハフニウム層を露出させた後で、タングステン金属層を除去することとを含む。1つの実施形態によると、タングステン金属層を除去することは、タングステンに対して化学エッチング液を適用することを含み、化学エッチング液は、TiN及びHfOの両方に対して、20:1よりも大きい選択性で、選択的である。
【0012】
本発明の実施形態は、第1のTiN層上に金属含有層を形成することの前に、第1のTiN層を酸化ハフニウム(HfO)層上に形成することをさらに含み、HfO層は、化学酸化物層の上に形成され、化学酸化物層は、窒素を含み、かつ、第1及び第2の型の電界効果トランジスタに指定された半導体基板の領域を覆うことができる、二酸化シリコン層とすることができる。
【0013】
本発明は、添付の図面と関連して記述される本発明の以下の詳細な説明から、より完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図2】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図3】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図4】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図5】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図6】本発明の一実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図7】本発明の一実施形態による、図6に示されたステップに続く、ゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図8】本発明の一実施形態による、図6に示されたステップに続く、ゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、図6に示されたステップに続く、ゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面内の要素は、説明を簡単かつ明確にするために、必ずしも一定の尺度で描かれていないことが認識されるであろう。例えば、幾つかの要素の寸法は、明確にするために、他の要素に比べて拡大されていることがある。
【0016】
以下の詳細な説明において、本発明の実施形態が完全に理解されるように、多数の具体的な詳細を説明する。しかしながら、当業者であれば、本発明の実施形態はこれらの具体的な詳細がなくても実施できることを理解するであろう。本発明の本質及び/又は実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の詳細な説明においては、当該技術分野で周知の処理ステップ及び/又は動作は、提示及び/又は例示の目的のため組み合わされていることがあり、幾つかの例においては、詳細には説明されていない。他の例においては、当該技術分野で周知の処理ステップ及び/又は動作は、全く説明されていない。当業者であれば、以下の説明は、むしろ、本発明の実施形態の特有の特徴及び/又は要素に焦点が当てられていることを認識するであろう。
【0017】
半導体デバイス製造業界においては、n型のCMOS−FET(NFET)及び/又はp型のCMOS−FET(PFET)を含むトランジスタなどの種々の型の能動半導体デバイスを、周知のFEOL処理技術を適用することによって、単一の半導体基板上に作製又は形成することができる。周知のFEOL技術は、処理ステップ及び/又は動作をいくつか挙げると、中でも、キャップ堆積、フォトレジストマスクの形成、フォトリソグラフィ、ハードマスクの形成、湿式エッチング、反応性イオン・エッチング(RIE)、イオン注入及び化学機械研磨(CMP)を含むことができる。トランジスタの形成中及び/又は形成後、デバイス性能を向上させるために、同じ又は異なる型の応力ライナを、例えばNFET及びPFETなどの異なる型のトランジスタに対して選択的に適用することができる。
【0018】
以下の詳細な説明においては、以下でさらに詳述する際に本発明の本質の説明を不明瞭にしないために、周知のデバイス処理技術及び/又はステップは詳細には説明されず、幾つかの場合には、他の公開された論文又は特許出願を参照する場合がある。
【0019】
図1乃至図6は、本発明の1つの実施形態による、高k金属ゲートCMOS−FETトランジスタのゲート・スタックを形成するステップを示す例証的な図である。より具体的には、図1は、半導体基板100上にゲート・スタックを形成するプロセスにおけるステップを示す。半導体基板100は、異なる型のCMOS−FETトランジスタ及びデバイスをその上に最終的に形成することができる、第1の領域100A及び第2の領域100Bを含むことができる。例えば、PFET(又は、NFET)トランジスタを領域100A内に形成し、NFET(又は、PFET)トランジスタを領域100B内に形成することができる。しかしながら、本発明の本質の説明を不明瞭にしないために、以下の説明は、NFET及びPFETのゲート・スタックをどのように形成するかに焦点を当てており、トランジスタ自体及びその構造体(ソース、ドレイン等)を形成するための幾つかの詳細は、本発明にとって本質的であると考えられないため、説明を省略し、図1及びそれ以降の図面のいずれにも示さない。さらに、当業者であれば、例えば、PFET又はNFETのいずれのFETデバイスのチャネル、ソース及び/又はドレインも、以下にさらに詳しく説明するゲート・スタックの形成の前又は後のどちらでも形成できることを認識するであろう。
【0020】
図1に示すように、本発明によると、方法の1つの実施形態は、最初に、基板100の上に化学酸化物の界面層101を形成し、次に、化学酸化物層101を覆う酸化ハフニウム(HfO)層102を形成することを含むことができる。化学酸化物層101は、幾つかの種類の二酸化シリコンとすることができ、中に窒素が含まれていてもよい。化学酸化物層101は、界面層であるので、およそ0.5nmから2nmまでの厚さを有することができ、オゾンを含有する化学溶液中での湿式プロセス、又は、例えば600℃から1000℃までの間の温度の環境における熱酸化プロセスにより形成され、下層の能動表面に良質なパシベーションを提供することができる。酸化ハフニウム層102は、例えば、ケイ酸ハフニウム、酸窒化ハフニウム、酸窒化ハフニウムシリコン等の他のハフニウム・ベースの誘電体に置き換えることもできる。さらに、化学酸化物層101及びHfO層102のスタックは、酸化ハフニウム層102が、一般に4よりも高い、典型的には約15から約35までの範囲の高誘電率(高k)を有するので、各種の電界効果トランジスタのゲート酸化物として、ゲート漏れ電流を減少させる等のデバイス性能の向上に役立つことができる。
【0021】
次に、方法の実施形態は、上述のように、第1及び第2の型の電界効果トランジスタを形成することに関連する又は形成することに対して指定された領域100A及び100Bの両方を覆う窒化チタン(TiN)層103をHfO層102の上に形成することを含むことができる。TiN層103は、窒化チタン層の第1の型の、即ち第1の型の窒化チタン層とすることができ、特に、例えば後で領域100A内に作ることができる第1の型のFETデバイスに適するように設計することができる。TiN層103は、この第1の型のFETデバイスの金属ゲート導体の一部とすることができる。TiN層103は、約1nmから約10nmまでの厚さ、好ましくは約2nmから約7nmまでの厚さを有し、例えば、PVD、CVD及び/又はALDプロセス等の種々のプロセスにより形成することができる。
【0022】
図2は、図1に示されたステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法の別のステップを示す。より具体的には、方法の実施形態は、半導体基板100の領域100A及び領域100Bの両方を覆うTiN層103の上に直接、金属含有層104を形成することを含むことができる。1つの実施形態によると、金属含有層104は、少なくとも1つの金属元素を含有する金属シリサイド層とすることができ、より具体的には、チタンシリサイド層、コバルトシリサイド層又はニッケルシリサイド層とすることができる。別の実施形態によると、金属含有層104は、例えば、タングステン(W)又はその他の種類の適切な金属の金属層とすることができる。
【0023】
層104が金属シリサイド層である場合、金属シリサイド層104を形成することは、最初に、交互の薄い金属/非晶質シリコン層のスタック層を形成することを含み、金属と非晶質シリコンのどちらも、各々の薄い層は、典型的には、約2−5nmの厚さ、好ましくは3nmから4nmまでの間の厚さを有することができる。交互の薄い金属/非晶質シリコン層のスタック層の形成は、例えば、スパッタリング及び/又はPVD、CVD又はALDにより行うことができる。スタック層は、約4−20nm、好ましくは約12−16nmの合計厚さを有するように形成することが好ましい。このスタック層の厚さは、下記により詳細に説明されるように、このスタック層からこの後でアニーリングにより作られる金属シリサイド層が、その下にあるTiN層103を、TiN層103の露出した部分がエッチング除去される際に保護するのに十分な厚さを有することができるように、作られる。
【0024】
交互の薄い金属/非晶質シリコン層のスタック層は、続いて、例えば約300℃から600℃までの温度範囲で、アニーリングプロセスを受けることができる。アニーリングプロセスは、用いられる金属の種類及び形成されるシリサイドに応じて、およそ5秒から300秒までの時間にわたって続けることができる。例えば、コバルトシリサイドを形成するためには、約400℃から500℃までの温度範囲、及び、約30秒から5分(300秒)まで、好ましくは約30秒から120秒までの時間を用いることができる。また、例えば、ニッケルシリサイドを形成するためには、約350℃から450℃までの温度範囲、及び、約5秒から2分(120秒)までの時間を用いることができる。スタック層のアニーリングは、真空状態のチャンバ内、又はアルゴン若しくは窒素といった不活性ガスで満たされた気体環境内で行うことができる。上述のように、シリサイドの形成に用いられる金属元素は、Ti、Co、Ni及び/若しくはその他のいずれかの好適な金属又はそれらの組合せを含むことができる。
【0025】
層104が金属層である場合、金属層104は、例えば、物理気相成長(PVD)プロセスによりTiN層103の上に堆積させることができる、タングステン層とすることができる。
【0026】
図2に示すように、方法の実施形態は、続いて、第1の型103と同じ又は異なる第2の型の窒化チタン(TiN)層とすることができるキャッピング層105を、金属含有層104の上に形成することを含むことができる。TiNキャッピング層105は、金属含有層104のパターン形成を実行する次のステップの準備の一環として形成することができる。TiNキャッピング層105は、堆積ツールから出るときなどの後続のプロセス中に起こり得る、金属含有層104内のコバルト等の幾つかの酸素に敏感な材料の酸化による酸化物の形成を防ぐ。
【0027】
図3は、図2に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法の別のステップを示す。より具体的には、第1の型のFETデバイスの形成に対して指定された又は設計された領域に対応する第1の領域をパターン形成するために、TiNキャッピング層105の上にフォトレジスト材料の層106を適用することができる。例えば、フォトレジスト層106は、領域100Aを覆うことができる。フォトレジスト材料106は、プロセスに用いられるフォト露光方式に応じて、ポジ型又はネガ型のレジストとすることができる。フォトレジスト材料106の特性は、反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスに耐え、下層のデバイス/材料に対する適切な保護を提供できるように選択することができる。
【0028】
図4は、図3に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法のさらに別のステップを示す。より具体的には、方法の実施形態は、1つ又は複数のエッチング・ステップで、露出されている、フォトレジスト層106に覆われていないTiNキャッピング層105の部分を選択的にエッチング除去することと、その後、TiNキャッピング層105の部分の除去によって露出された金属含有層104の部分をエッチング除去することとを含むことができる。エッチングは、反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスで実行することができ、異なる複数のステップで、かつ異なるRIE条件下で行うことができる。例えば、TiNキャッピング層105をエッチングするためのRIE条件は、プラズマ・エッチング・プロセスとすることができ、この条件は、アルゴンを1:5から1:1までの比率(フッ素:アルゴン)で含む、フッ素含有化学物質を含むことができ、約10mTから約150mTまでの圧力のチャンバ内で、約100から1000WまでのRF電力の下で行うことができる。また、例えば、金属含有層104又は金属層104をパターン形成するためのRIE条件は、キャッピング層105をエッチングするための条件と同様のチャンバ圧力及びRF電力条件で、アルゴン又はヘリウム(He)を1:5から1:1までの比率(ハロゲン:アルゴン、又はハロゲン:ヘリウム)で含む、ハロゲンガスを用いることを含むことができる。
【0029】
キャッピング層105及び金属含有層104のエッチングに対する例証的な例を提供したが、当業者であれば、本発明は、この点に限定されず、他の既存の及び/又は将来開発される技術を、フォトレジスト106によって覆われていないキャッピング層105及び金属含有層104の部分を除去することによる上述のパターン形成プロセスに用いることができることを認識するであろう。金属含有層104のエッチングは、第1の型のTiN層103のところで停止するように制御することができ、これにより、第1の型のFETデバイスに対して指定された又はこれに関連する領域100Aを覆う、第2の型のTiN層105の一部(TiN層105の第1の部分105Aとすることができる)及び金属含有層の一部(金属含有層104の第1の部分104Aとすることができる)が残る。
【0030】
図5は、図4に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法の別のステップを示す。方法の実施形態は、続いて、フォトレジスト層106を除去又は剥離してパターン形成されたキャッピング層105Aを露出させることを含むことができる。キャッピング層105Aは、随意的にこの段階で除去することができるが、必須ではない。ここで、パターン形成されたキャッピング層105A(除去されない場合)及びパターン形成された金属含有層104Aは、露出された第1の型のTiN層103の第2の部分と共に、更なる処理及び/又は処置を受ける準備が整う。
【0031】
図6は、図5に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法のさらに別のステップを示す。より具体的には、この特定のステップにおいて、方法の実施形態は、露出されたTiN層103の第2の部分に、SC1溶液(当該技術分野で公知のスタンダード・クリーン1溶液)中で、およそ25℃から65℃まで、好ましくは45℃から55℃までの温度範囲で、およそ120秒から600秒までの時間にわたって、湿式エッチング・プロセスを行うことができる。1つの実施形態によると、金属含有層104Aは、金属シリサイド層とすることができ、SC1溶液は、容量比で約5:1:1から約50:1:1までの範囲の比率で混合された、水(HO)、NHOH及びHの混合物とすることができる。つまり、NHOH及びHを5倍から50倍までの水(HO)に対して同じ比率で混合することができる。従って、SC1溶液は、金属シリサイド層104Aに対して選択的である又は選択的であるように、かつ金属シリサイド層104Aをエッチングしない又は少なくとも効果的にエッチングしないように作ることができ、金属シリサイド層104Aは、下層のTiN層103を覆い、それによって保護する。一方、露出されたTiN層103は、除去又はエッチング除去することができる。別の実施形態によると、金属含有層104Aは、タングステン(W)の金属層とすることができ、水(HO)、NHOH及びHの混合物である、同じか又は異なるSC1溶液を同様に用いることができる。この場合、SC1溶液は、タングステンに対して完全に選択的ではないが、本発明の実施形態によると、タングステン層104Aのエッチング速度及び/又は厚さは、図6に示すように露出されたTiN層103の第2の部分が除去されて下層のHfO層102を露出させても、タングステン層104Aの少なくとも一部が依然として残る又は残されるように、調整及び/又は作製することができる。
【0032】
図7は、本発明の一実施形態による、図6に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法の別のステップを示す。この実施形態において、金属含有層104Aは、タングステン又は他の適切な金属の金属層とすることができる。しかしながら、金属層104Aは、犠牲的な金属ハードマスクとして用いることができる。図7に示すこのステップにおいて、金属層104Aは、例えば、TiN及びHfOに対して選択的な、過酸化水素溶液又はその他の適切な化学エッチング液を用いて、例えば25℃から30℃までの室温環境で除去することができる。本発明の1つの実施形態によると、金属層104Aのエッチングと比較するとTiN層103及び下層のHfO層102に対して比較的に選択的な、一般に20:1よりも大きい選択性を有する、過酸化水素溶液を用いることができる。従って、金属層104Aは除去されるが、104Aの除去プロセスにより生じるTiN層103及びHfO層102に対する損傷は、最小限であるか、あったとしても限定的である。
【0033】
図8は、図7に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法のステップを示す。金属層104Aの除去後、別の窒化チタン層107を、HfO層102及び残存TiN層103Aの露出領域上に適用することができる。TiN層107は、第3の型のTiN層とすることができ又は第3の型のTiN層と呼ぶことができ、厚さを含めたTiN層107の特性は、半導体基板100の領域100B内に形成される第2の型のFETに特に適するように調整又は設計することができる。例えば、第3のTiN層107は、公知のPVD、CVD又はALDプロセスを適用することにより同様に形成することができるが、厚さ等の、第3のTiN層107の特性は、第1のTiN層103の特性とは異なるように作る又は調節することができる。とはいえ、TiN層107は、TiN層103と同じに作ることもできる。
【0034】
第1の型のFETに関連する領域100A上の第1の型のTiN層103Aと、第2の型のFETに関連する領域100B上の第2の型のTiN層107との形成後に、高k金属ゲート・トランジスタを形成するための、任意の既存若しくは従来のプロセス、又は任意の将来開発される技術を適用して、基板100上の異なる型のCMOS−FETの形成を完成させることができる。
【0035】
図9は、本発明の別の実施形態による、図6に示すステップに続く、ゲート・スタックを形成する方法のさらに別の異なるステップを示す。この実施形態においては、金属含有層104Aは、Tiシリサイド、Coシリサイド又はNiシリサイド等の金属シリサイド層とすることができ、金属シリサイド層104Aは、金属ゲート・スタックの一部になることができる。つまり、本発明の実施形態によると、金属シリサイド層104Aを別個のステップで除去する必要はない。従って、露出されたTiN層103の第2の部分の除去に続いて、別の窒化チタン層107を、HfO層102の露出領域上、及び金属シリサイド層104Aの上に適用することができる。TiN層107は、第3の型のTiN層とすることができ、TiN層107の特性は、必要であれば、半導体基板100の領域100B内に形成される第2の型のFETに特に適するように調整又は設計することができる。
【0036】
本発明の特定の特徴を本明細書において示し説明したが、当業者であれば、多くの改変、置換、変更及び均等物に想到するであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨の範囲内にあるこのような全ての改変及び変更を網羅することを意図すると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
100:半導体基板
100A:第1の領域
100B:第2の領域
101:化学酸化物層
102:酸化ハフニウム(HfO)層
103:第1の窒化チタン(TiN)層
104:金属含有層
105:第2のTiN層(TiNキャッピング層)
106:フォトレジスト層
107:第3のTiN層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタのためのゲート・スタックを形成する方法であって、
第1及び第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板(100)の領域を覆う第1の窒化チタン(TiN)層(103)の上に直接、金属含有層(104)を形成すること(図2)と、
前記金属含有層の上に、第2のTiN層のキャッピング層(105)を形成することと、
前記第1の型の電界効果トランジスタに対して指定された領域(100A)を覆う前記第1のTiN層の第1の部分のみを覆うように、前記第2のTiN層及び前記金属含有層をパターン形成すること(図4)と、
前記第1のTiN層の前記第1の部分を前記パターン形成された金属含有層の厚さの少なくとも一部で覆うことによりエッチングから保護する一方で、前記パターン形成によって露出された前記第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去することと(図6)、
前記第2の型の電界効果トランジスタ(100B)に対して指定された前記半導体基板の領域を覆う第3のTiN層(107)を形成すること(図8)と
を含む方法。
【請求項2】
前記金属含有層を形成することが、少なくとも1つの金属元素を含有する金属シリサイド層(104)を形成することを含み、前記金属元素が、チタン(Ti)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属シリサイド層を形成することが、
交互の薄い金属/非晶質シリコン層のスタック層を形成することと、
前記スタック層を、前記金属シリサイド層の形成に適した温度でアニールすることと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属シリサイド層を形成することが、
各々が約3nmから4nmまでの厚さを有し、前記スタック層の合計厚さが約12nmから16nmまでである、交互の薄いコバルト/非晶質シリコン層のスタック層を形成することと、
前記スタック層を、約400℃から500℃までの温度範囲で、約30秒から5分までの時間にわたってアニールすることと
によってコバルトシリサイド層を形成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属シリサイド層を形成することが、
各々が約3nmから4nmまでの厚さを有し、前記スタック層の合計厚さが約12nmから16nmまでである、交互の薄いニッケル/非晶質シリコン層のスタック層を形成することと、
前記スタック層を、約350℃から450℃までの温度範囲で、約5秒から2分までの時間にわたってアニールすることと
によってニッケルシリサイド層を形成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記エッチングすることが、前記第1のTiN層の前記第2の部分にSC1溶液を適用することを含み、前記SC1溶液は、水(HO)、NHOH及びHの混合物であり、前記金属シリサイド層に対して選択的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SC1溶液を適用することが、前記第1のTiN層の前記第2の部分をエッチングする際に、およそ5:1:1からおよそ50:1:1までの範囲の容量比を有する水(HO)、NHOH及びHの混合物を適用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記SC1溶液を適用することが、前記第1のTiN層の前記第2の部分に、およそ25℃から65℃までの温度範囲で、水(HO)、NHOH及びHの前記混合物を適用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記SC1溶液を適用することが、前記第1のTiN層の前記第2の部分に、およそ45℃から55℃までの温度範囲で、水(HO)、NHOH及びHの前記混合物を適用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有層の上に前記第3のTiN層を形成することと、前記金属含有層を含むゲート・スタックを形成することとを含み、前記金属含有層が金属シリサイド層である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属含有層を形成することが、スパッタリングによりタングステン(W)金属の層を形成することを含み、前記タングステン金属層が約4nmから約20nmまでの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された半導体基板の前記領域から前記第1のTiN層の前記第2の部分をエッチング除去して、それにより下層の酸化ハフニウム(HfO)層を露出させた後に、前記タングステン金属層を除去することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タングステン金属層を除去することが、化学エッチング液を前記タングステンに適用することを含み、前記化学エッチング液は、TiN及びHfOの両方に対して、20:1よりも大きい選択性で、選択的である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タングステンに前記化学エッチング液を適用することが、過酸化水素溶液を約25℃から30℃までの温度範囲で適用して前記タングステンを除去し、前記第1の型の電界効果トランジスタに対して指定された前記領域を覆う前記第1のTiN層の前記第1の部分を露出させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のTiN層の上に前記金属含有層を形成することの前に、前記第1のTiN層を酸化ハフニウム(HfO)層の上に形成することをさらに含み、前記HfO層は、前記第1及び第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された前記半導体基板の前記領域を覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のTiN層を形成することの前に、化学酸化物層の上に前記HfO層を形成することをさらに含み、前記化学酸化物層は、窒素を含み、かつ、前記第1及び第2の型の電界効果トランジスタに対して指定された前記半導体基板の前記領域を覆う、二酸化シリコン層である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化学酸化物層を前記半導体基板の前記領域の上に直接形成することと、前記HfO層を前記化学酸化物層の上に直接形成することと、前記第1のTiN層を前記HfO層の上に直接形成することとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3のTiN層の特性を、前記第2の型の電界効果トランジスタのためのゲート・スタックに適するように、前記第1のTiN層の特性と異なるように調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の型の電界効果トランジスタがp型ドープ電界効果トランジスタ(PFET)であり、前記第2の型の電界効果トランジスタがn型ドープ電界効果トランジスタ(NFET)である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の型の電界効果トランジスタがn型ドープ電界効果トランジスタ(NFET)であり、前記第2の型の電界効果トランジスタがp型ドープ電界効果トランジスタ(PFET)である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
電界効果トランジスタのためのゲート・スタックを形成する方法であって、
第1及び第2の型の電界効果トランジスタに関連する半導体基板(100)の領域を覆う第1の窒化チタン(TiN)層(103)の上に、金属シリサイド層(104)を形成すること(図2)と、
前記金属シリサイド層の上に、第2のTiN層のキャッピング層(105)を形成することと、
前記第1の型の電界効果トランジスタに関連する領域(100A)を覆う前記第1のTiN層の第1の部分のみを覆うように、前記第2のTiN層及び前記金属シリサイド層をパターン形成すること(図4)と、
前記パターン形成によって露出された前記第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去して(図6)、下層の酸化ハフニウム(HfO)層(102)を露出させることと、
前記露出されたHfO層を覆う第3のTiN層(107)を、前記第2の型の電界効果トランジスタ(100B)のためのゲート・スタックとして形成すること(図8)と
を含む方法。
【請求項22】
前記第1のTiN層を形成することの前に、化学酸化物層の上に前記HfO層を形成することをさらに含み、前記化学酸化物層は、窒素を含み、かつ、前記第1及び第2の型の電界効果トランジスタに関連する前記半導体基板の前記領域を覆う、二酸化シリコン層である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記HfO層を形成することの前に、前記化学酸化物層を形成することをさらに含み、前記化学酸化物層は、約0.5nmから約2nmまでの厚さを有し、かつ、オゾンを含有する化学溶液中で形成される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
電界効果トランジスタのためのゲート・スタックを形成する方法であって、
第1及び第2の型の電界効果トランジスタに関連する半導体基板(100)の領域を覆う第1の窒化チタン(TiN)層(103)の上に、金属層(104)を形成すること(図2)と、
前記金属層の上に、第2のTiN層のキャッピング層(105)を形成すること(図2)と、
前記第1の型の電界効果トランジスタに関連する領域(100A)を覆う前記第1のTiN層の第1の部分のみを覆うように、前記第2のTiN層及び前記金属層をパターン形成すること(図4)と、
前記パターン形成によって露出された前記第1のTiN層の第2の部分をエッチング除去して(図6)、下層のハフニウム含有層(102)を露出させることと、
前記露出されたハフニウム含有層を覆う第3のTiN層(107)を、前記第2の型の電界効果トランジスタ(100B)のためのゲート・スタックとして形成すること(図8)と
を含む方法。
【請求項25】
前記第3のTiN層を形成することの前に、前記第1のTiN層の前記第1の部分の上から前記金属層を除去することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属層がタングステン層であり、前記ハフニウム含有層が酸化ハフニウム(HfO)層であり、前記金属層を除去することが、化学エッチング液を前記タングステンに適用することを含み、前記化学エッチング液は、TiN及びHfOの両方に対して、20:1よりも大きい選択性で、選択的である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ハフニウム含有層が、酸化ハフニウム、ケイ酸ハフニウム、酸窒化ハフニウム及び酸窒化ハフニウムシリコンから成る群から選択される、請求項24に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−514854(P2012−514854A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544436(P2011−544436)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065031
【国際公開番号】WO2010/077467
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】