説明

センサデバイス及びその製造方法

【課題】センサデバイスをパッケージ化する際に、製造コストを低減し、他の素子の仕様に合わせて接続関係を容易に変更でき、基板とパッケージとの接合の信頼性を向上させ、パッケージ化されたセンサデバイス全体の低背化を可能にするセンサデバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板と、第1基板上に配置され、可動部を有するMEMS素子と、MEMS素子の可動部の周辺に非連続に配置された第1支持部と、第1支持部に固定されて少なくとも可動部を覆う第2基板と、第1支持部よりも外側に配置された第1端子と、第1端子に電気的に接続されて、可動部の変位に基づく電気信号を伝達する第1配線と、を具備し、第1配線は、第1支持部の非連続な部位を通ることを特徴とするセンサデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部を有するMEMS素子を具備するセンサデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型軽量化、多機能化や高機能化が進み、実装される電子部品に高密度化が要求されている。このような要求に応じて各種電子部品が半導体デバイスとして製造されるものが増加している。また、回路素子として製造される半導体デバイス以外に高周波スイッチ(RFスイッチ)や各種センサも半導体デバイスとして製造されて、小型軽量化が図られている。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて、小型で単純な構造を有するRFスイッチや加速度センサあるいは角速度センサといった力学量センサ等がMEMS素子として実用化されている。
【0003】
一般的に、MEMS素子のパッケージとして、シリコンパッケージ、セラミックパッケージ、ガラスパッケージ、又は無機材料薄膜によるパッケージが採用されている。例えば、特許文献1には、アルミナで製造されたケースでパッケージされた加速度センサ素子が開示されている。また、特許文献2には樹脂膜でパッケージされて密封されたMEMS素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−322160号公報
【特許文献2】特開2009−295900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコンパッケージを用いる場合、パッケージ本体やリッド(LID)を製造するために金型、治具、マスク、スクリーン印刷原版が必要であるため、シリコンパッケージの加工にコストがかかるという課題がある。また、第三者から制御ICなどの提供を受けて、提供された制御ICにセンサとを接続する場合、制御ICとセンサとを接続する配線パターンなどの設計を変更して、その製品に合わせたパッケージを新たに製造する必要が生じるという課題がある。その場合、その製品に合わせた新たな金型などが必要となるため、製造コストをさらに上昇させる要因となる。さらに、シリコンパッケージを用いる場合、パッケージ全体の厚さが数十μm程度となり、パッケージされたセンサデバイスの低背化が困難であるという課題がある。以上のような課題は、セラミックやガラスを用いるパッケージ、または無機材料薄膜を用いるパッケージを採用する場合や上記特許文献1のアルミナを用いてパッケージする場合も同様である。また、樹脂パッケージを用いる場合であっても、シリコン基板に実装する場合、シリコン基板と樹脂パッケージとの熱膨張係数が異なるため、基板とパッケージとの接合の信頼性が低くなり、装置の信頼性も低くなるという課題がある。
【0006】
これに対し、上記特許文献2には、微細構造を有するMEMS素子を取り囲むように樹脂パターンからなる枠部を形成し、樹脂パターン上に封止膜を貼り付けて開口領域を封止する封止構造が開示されているが、MEMS素子から信号を取り出すための信号配線が樹脂パターンに踏みつけられる構造となり、断線や配線の変形などの虞がある。信号配線の断線や変形を防ぐためには、貫通電極を設ける必要があるが、貫通電極の形成には製造コストが上昇するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題を鑑み、センサデバイスをパッケージ化する際に、製造コストを低減し、他の素子の仕様に合わせて接続関係を容易に変更でき、基板とパッケージとの接合の信頼性を向上させ、パッケージ化されたセンサデバイス全体の低背化を可能にするセンサデバイス及びその製造方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、第1基板と、第1基板上に配置され、可動部を有するMEMS素子と、MEMS素子の可動部の周辺に非連続に配置された第1支持部と、第1支持部に固定されて少なくとも可動部を覆う第2基板と、第1支持部よりも外側に配置された第1端子と、第1端子に電気的に接続されて、可動部の変位に基づく電気信号を伝達する第1配線と、を具備し、第1配線は、第1支持部の非連続な部位を通ることを特徴とするセンサデバイスが提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によると、第1基板と、第1基板上に配置され、可動部を有するMEMS素子と、第1基板上にMEMS素子と並んで配置されるICと、MEMS素子とICとを接続し、MEMS素子の可動部の変位に基づき電気信号を取り出してICに伝達する第1配線と、MEMS素子とICとの周辺に非連続に配置された第1支持部と、第1支持部に固定されてMEMS素子とICとを覆う第2基板と、第1支持部よりも外側に配置された第1端子と、ICと第1端子とを接続し、ICからの電気信号を外部素子に伝達する第2配線と、を具備し、第2配線は、第1支持部の非連続な部位を通ることを特徴とするセンサデバイスが提供される。
【0010】
本発明の一実施形態によると、可動部と可動部の変位に基づき電気信号を取り出す配線とを有する複数のMEMS素子を第1基板上に形成し、配線と重畳しないように複数のMEMS素子の各々の可動部の周辺に第1支持部を非連続に形成し、第1基板全体を覆う第2基板を複数のMEMS素子の各々の可動部の周辺に非連続に形成された第1支持部と固定させ、複数のMEMS素子の各々の可動部を覆う部分を除く第2基板の一部を基板上から除去し、複数のMEMS素子の各々を個片化すること、
を含むこと特徴とするセンサデバイスの製造方法が提供される。
【0011】
本発明の一実施形態によると、可動部と可動部の変位に基づき電気信号を取り出す第1配線と第1配線と電気的に接続された第1端子とを有する複数のMEMS素子を第2端子、第3端子及び第2端子と第3端子とを接続する第2配線が形成された第1基板上に配置し、第1配線と重畳しないように複数のMEMS素子の各々の可動部の周辺に第1支持部を非連続に形成し、第1基板全体を覆う第2基板を複数のMEMS素子の各々の可動部の周辺に非連続に配置された第1支持部と固定させ、複数のMEMS素子の各々の可動部を覆う部分を除く第2基板の一部を第1基板上から除去し、第1端子と第2端子とを接続する第3配線を形成し、複数のMEMS素子の各々の周辺の第1基板上に、第2配線と重畳しないように第2支持部を非連続に形成し、第1基板全体を覆う第3基板を複数のMEMS素子の各々の周辺に非連続に形成された第2支持部と固定させ、複数のMEMS素子の各々を覆う部分を除く第3基板の一部を第1基板上から除去し、複数のMEMS素子の各々を個片化すること、を含むこと特徴とするセンサデバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センサデバイスをパッケージ化する際に、製造コストを低減し、制御ICの仕様に合わせて接続関係を容易に変更でき、パッケージ化されたセンサデバイス全体の低背化を可能にするセンサデバイス及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの全体構成を示す平面図である。
【図1B】図1Aに示したセンサデバイスのA−A´に沿った断面図である。
【図2】(a)本発明の一実施形態に係る樹脂の形状の一例を示す断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る樹脂の形状の一例を示す断面図である。(c)本発明の一実施形態に係る樹脂の形状の一例を示す断面図である。
【図3】(a)図1Aに示したセンサデバイスの別の実施形態を示す平面図である。(b)図1Aに示したセンサデバイスの別の実施形態を示す平面図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの製造の一工程図である。
【図4B】本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの製造の一工程図である。
【図4C】本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの製造の一工程図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る別のセンサデバイスの全体構成を示す平面図である。
【図6】図5に示すセンサデバイスの一部の拡大図である。
【図7】図5に示したセンサデバイスのB−B´に沿った断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る別のセンサデバイスの断面図である。
【図9A】本発明の一実施形態に係るMEMSマイクロホンの概略構成を示す斜視図である。
【図9B】図9Aに示したMEMSマイクロホンのC−C´に沿った断面図である。
【図10A】従来のMEMSマイクロホンの全体構成の一例を示す平面図である。
【図10B】図10Aに示したMEMSマイクロホンのD−D´に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(実施形態1)
以下、本実施形態1の可動部を有するMEMS素子を具備するセンサデバイスについて説明する。本実施形態1において、可動部を有するMEMS素子としてRFスイッチを例示する。図1Aは、本発明の実施形態1に係るセンサデバイス100の平面図であり、図1Bは、図1AのA−A´に沿った断面図である。
【0016】
図1A及び図1B参照すると、センサデバイス100は、基板101とRFスイッチ102とを有する。基板101は、絶縁性を有する材料を含み、例えば、ガラス、樹脂を含んでもよい。また、基板101としてシリコン基板を用いる場合は、基板表面に酸化膜を形成しておくことが好ましい。RFスイッチ102は、カンチレバー103、GND電極104、駆動電極106、支持部108、第2基板110(以下、封止蓋110という)、信号配線112a〜112c、及び外部接続端子114a〜114cを含む。RFスイッチ102のスイッチとして動作する可動部は、カンチレバー103、GND電極104、及び駆動電極106を含む。図1Bを参照すると、カンチレバー103は接点電極103aを含む。GND電極104は、外部接続端子114a及び信号配線112aを通じてGNDに接続され、駆動電極106には、外部接続端子114b及び信号配線112bを通じて外部から所定の駆動電圧が伝達される。
【0017】
以下、RFスイッチ102の動作を簡単に説明する。駆動電極106に駆動電圧が伝達されると、静電力でカンチレバー103が撓んで、カンチレバー103の接点電極103aが信号線112bに接触し、スイッチがON状態となる。駆動電圧を切ると、カンチレバー103が有するばね性により、接点電極103aと信号線112aとが離れて、スイッチはOFF状態となる。
【0018】
図1A及び図1Bに示されたRFスイッチ102の可動部の周辺には、非連続な支持部108が配置されている。支持部108に封止蓋110がRFスイッチ102の可動部全体を覆うように接着されている。支持部108は、封止蓋110がRFスイッチ102の可動部全体を覆うように所定の高さを有する。支持部108の高さは、カンチレバー103の撓みを考慮して、例えば、2μm〜10μm、好ましくは、3μm〜6μmであってもよい。図1Aにおいて、支持部108は複数形成され、互いに非連続であり、互いに隣接する支持部108と支持部108との間には非連続な部位(隙間)が存在し、信号配線112a〜112cはこの支持部108と支持部108との間の隙間を通るように配置される。支持部108は、インクジェット法、スクリーン印刷法、フォトリソ法などで形成される。支持部108の形成方法については、後述する。
【0019】
支持部108の材料は、封止蓋110との接着を考慮し、例えば、樹脂などであってもよい。支持部108の材料として使用される樹脂は、支持部108が封止蓋110と熱圧着されることを考慮して、耐熱性の高分子であることが好ましく、芳香環、複素環を主鎖にもち、脂肪族部分に少なくとも高極性のヘテロ原子基を含む高分子を用いることが好ましい。このような高分子は、樹脂として安定性があり、支持部108を、例えばインクジェット法で形成する場合、表面張力及び粘度の調整が容易である。このような高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル、シロキサン、ポリイミドなどが挙げられる。支持部108がフォトリソ法で形成される場合、樹脂材料が感光性を有する必要があり、フォトリソ法で形成する場合における支持部108として使用される樹脂の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることが好ましい。また、ベンゾシクロブテン、パリテン、フレア、ポリイミドなどの感光性を示す有機材料を使用してもよい。代表的なポジ型感光性樹脂としては、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物とを有する感光性樹脂が挙げられる。また、ネガ型感光性樹脂としては、ベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを有する感光性樹脂が挙げられる。支持部108に要求される高さを考慮して所望の粘度を有する材料が選択されてもよい。上述のように、複数の支持部108は互いに非連続であり、支持部108と隣接する支持部108との間には、隙間が形成される。そのため気密構造にならず、支持部108が樹脂材料であるときにアウトガスが発生しても、アウトガスの影響を抑えることが可能である。
【0020】
また、支持部108は、樹脂を含む金属などで構成されてもよい。例えば、支持部108の材料として、有機バインダを含む有機溶媒中に金属微粒子を分散させた導電性ペーストが使用されてもよい。有機バインダとしては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ロジンエステル、各種セルロース等が使用され、有機溶媒としては、アルコール系、炭化水素系、エーテル系、エステル系等の溶媒が使用される。導電体としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Ge、Zr、Ba等の金属、又はハロゲン化銀の微粒子や分散性ナノ粒子を用いてもよい。これらの導電ペーストは導電性ではあるが、カーボンを多く含むため、これらの材料を使用する支持部108と支持部108に接着される封止蓋110とは、熱圧着により接着することが可能である。
【0021】
図2(a)〜(c)は、インクジェット法により形成された本実施形態に係る支持部108の形状の一例を示す断面図である。図2(a)〜(c)に図示されるように、インクジェット法で形成された支持部108は、凸形状を有し、支持部108に使用される材料の表面張力によって、支持部108の頂点部分が円みを帯びた形状となる。また、支持部108は、図2(c)に図示されるように、多層構造を有してもよい。図2(c)に図示された支持部108は2層構造を有している。支持部108の上層108aは、封止蓋110との密着性が良い材料を選択し、下層108bは、基板101との密着性が良い材料を選択することが好ましい。
【0022】
支持部108に接着されてRFスイッチ102の可動部を覆う封止蓋110は、パッケージキャップとして機能し、RFスイッチ102の可動部に対する外部からの衝撃及び異物の混入を防ぐ。封止蓋110の材料は、金属、半導体、樹脂であってもよく、特に、コスト、扱いやすさ、強度を考慮すると樹脂が好ましい。具体的には、感光性ではないポリイミド樹脂を主成分としたフィルムを用いてもよい。また、一般的な高分子フィルムなどを用いてもよい。封止蓋110の厚さは、数μmから1mm、好ましくは5μm〜40μmである。封止蓋110は、透明であっても不透明であってもよいが、可動部の外観検査が容易になることから、好ましくは、透明であってもよい。本実施形態1において、可動部を有するMEMS素子としてRFスイッチを例示しているが、例えばMEMS素子がミラーデバイスである場合は、封止蓋は透明であることが好ましい。封止蓋110の材料としては、樹脂の他に一般的なドライフィルムレジスト材料を用いてもよい。この場合、ドライフィルムレジストをラミネートした後、露光、現像を行なう。一般的には現像液は炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。現像後の乾燥では、スティキングを防止するために、t−ブチルアルコールを用いる凍結乾燥法を用いてもよい。
【0023】
図1A及び図1Bに示されているように、本実施形態に係るセンサデバイス100は、可動部を有するRFスイッチ102を有しており、RFスイッチ102の可動部周辺に非連続な複数の支持部108が配置されており、RFスイッチ102の可動部全体を覆うように封止蓋110が支持部108に接着される。RFスイッチ102の可動部の周辺に配置された支持部108は非連続であり、互いに隣接する支持部108間には隙間があり、RFスイッチ102の可動部に接続される信号配線112a〜112cは、互いに隣接する支持部108間の隙間を通して外部に引き出される。ここで、信号配線112a〜112cは隙間を通るため、信号配線112a〜112cは踏みつけられず、断線や変形などの虞がなくなる。また、RFスイッチ102の可動部の周辺に配置された非連続な複数の支持部108間に複数の隙間が存在するため、これらの隙間を通じて外部に引き出される配線の引き回しの自由度が高くなる。このため、例えば、第3者から制御ICが提供された場合、その制御ICの仕様に合わせて配線の引き回しを変更することが可能となる。さらに、RFスイッチ102の可動部を覆う封止蓋110には樹脂フィルムなどが使用されるため、従来使用されていたシリコンパッケージ、セラミックパッケージなどよりも薄く作成することができ、センサデバイス100全体で4μm〜12μm、好ましくは、5μm〜8μmの低背化が可能となる。また、封止蓋110の材料には樹脂などが使用されるため、シリコンパッケージ、セラミックパッケージよりも製造過程におけるコストが安価であり、センサデバイス100の製造コストを低減することが可能である。また、支持部108及び封止蓋110の材料を適切に選択することによって、支持部108の熱膨張係数の値と支持部108に接着される封止蓋110の熱膨張係数の値との差が、±10ppm以内、好ましくは、±5ppm以内となり(TMA法(試料に荷重をかけながら温度に対する変形を計測する手法)による測定)、支持部108と封止蓋フィルム110との接着の信頼性が高くなる。
【0024】
上述したように、図1Aでは、複数の支持部108が非連続に配置されているセンサデバイス100を図示したが、本願発明はこれに限定されず、支持部108は、RFスイッチ102の可動部の四隅にのみ配置されてもよい。また、図3(a)及び(b)に示すように、所定の数の支持部108を連続して配置し、枠状の支持部108´又は108´´を分割して配置してもよい。図3(a)及び(b)に示すセンサデバイス100´及び100´´では、図示されているように枠状の支持部108´及び108´´が配置されているため、封止蓋110との接着する表面積が増加するため、支持部108´又は108´´と封止蓋110との接着の信頼性は高くなる。ここで、支持部を枠状に配置する場合であっても、互いに隣接する枠状支持部間には、隙間が形成される。但し、枠状支持部間に形成される隙間の数は、図1Aに示されているセンサデバイス100よりも少ないため、センサデバイス100よりも配線の引き回しの自由度は低くなる。
【0025】
図4A乃至図4Cは、図1A及び図1Bに示した可動部を有するMEMS素子としてRFスイッチ102を用いた場合の本発明の一実施形態に係る複数のセンサデバイス100の製造の工程図である。以下、図4A乃至図4Cを参照して、本発明の一実施形態に係るセンサデバイス100の製造方法を説明する。
【0026】
先ず、基板(シリコンウェーハ)301上に可動部を有するMEMS素子、ここではRFスイッチ102を複数形成しておく。次に、図4Aに示すように、基板上に形成されたRFスイッチ102の可動部の周辺に互いに非連続な複数の支持部108を配置させる。ここでは、互いに非連続な複数の支持部108は樹脂を含む。支持部108は、インクジェット法、スクリーン印刷法、フォトリソ法などでRFスイッチ102の信号配線(図4A〜図4Cには図示せず)と重畳しないように配置される。製造工程の簡略化という点においては、特に、インクジェット法が好ましい。インクジェットの方式としては、ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式、静電気式などがあるが、その方式については限定されない。ここでは、インクジェット方式で支持部108を配置する例を説明する。
【0027】
インクジェット方式で支持部108を配置する場合、製造工程を短縮するためには、一回の液滴吐出で支持部108を配置することが好ましい。但し、支持部108に要求される高さに応じて、同じ液滴を複数回吐出してもよい。複数回吐出する場合は、液滴吐出毎に焼成、吐出、焼成の工程を繰り返しても、液滴吐出を連続して行った後に一回の焼成工程で一括して焼成してもよい。支持部108の高さが数十μm以上必要な場合は、液滴吐出毎に焼成工程を行うことが好ましい。また、支持部108にある程度の高さが必要な場合は、インクイジェット方式ではなく、高粘度のレジストを使用するフォトリソ法又はスクリーン印刷法が好ましい。
【0028】
支持部108の高さは、RFスイッチ102の高さに応じて適宜設定する必要がある。支持部108に要求される高さが200nm〜数μm程度であれば、液滴吐出法に用いる支持部108の樹脂材料を含む組成物の粘度は5〜20mPa・sが好ましい。これは、インクジェット液滴面で乾燥が起こる事を防止し、液滴の吐出口から組成物を円滑に基板上に吐出できるようにするためであるまた、液滴の表面張力は、40mN/m以下が好ましい。上述したように、支持部108の材料は一種類の材料に限定されない。支持部108は、基板301との密着性が良い材料上に封止する材料と密着性の良い材料を積層させる2層以上の構造を有してもよい。
【0029】
RFスイッチ102の可動部の周囲にインクジェット方式で基板301上に樹脂を含む支持部108を配置する際、支持部108に使用される樹脂材料を含む組成物を吐出する工程は減圧下で行なってもよい。これは、組成物が吐出されて基板に到達するまでの間に、組成物の溶媒を揮発させ、後の乾燥及び焼成の工程を省略又は短くすることが可能になるためである。組成物の吐出後は、組成物中の支持部108に使用される樹脂材料により、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉等により、乾燥と焼成との一方又は両方の工程を行なう。乾燥及び焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間行なうもので、その目的や温度が異なる。乾燥の工程と焼成の工程とを良好に行なうためには、基板301を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板301の材質にもよるが100度〜200度とする。
【0030】
次に、図4Bに示すように、基板301全体に封止蓋110を貼り付ける。ここでは、封止蓋110として、感光性を有さない樹脂フィルムを使用し、使用する樹脂フィルムは予め準備しておく。基板上に形成された支持部108と封止蓋110とを接触させた状態で、支持部110上に数N/cm、好ましくは5N/cm程度の荷重を加えて、これらを加熱することで支持部108と封止蓋110とを熱圧着させて互いに接着させる。加熱温度は、支持部108の材料や封止蓋110の材料の種類によって決まるが、両者の材料が有機材料であれば一般的には100℃〜300℃程度である。加熱時に数Pa〜数100Pa程度の減圧雰囲気にしてもよい。
【0031】
次に、図4Cに示すように、基板301全体を覆っている封止蓋110を、基板301上に形成されたRFスイッチ102の可動部周辺以外の残りの部分から除去する。封止蓋110の除去は、必要がない箇所にある封止蓋110に切断機で切れ目を入れて除去してもよい。封止蓋110の材料が感光性を有する場合は、支持部108の周辺以外の封止蓋110が露光、現像工程によって除去されてもよい。尚、現像後の乾燥は、t−ブチルアルコールを用いる凍結乾燥であってもよい。
【0032】
RFスイッチ102の可動部周辺以外の封止蓋を除去した後、基板301をダイシングし、個々のセンサデバイス100を切り離して個片化する。これにより、図1Aに示されるような、センサデバイス100が得られる。
【0033】
(実施形態2)
以下、図5乃至図8を参照して、本発明の実施形態2の可動部を有するMEMS素子を具備する別のセンサデバイスについて説明する。本実施形態2において、可動部を有するMEMS素子としてピエゾ抵抗素子を用いた3軸の加速度センサを例示する。
【0034】
図5は、本実施形態2に係るキャビティ型のセンサデバイス400の平面図である。図6は図5のセンサデバイス400の一部拡大図であり、図7は、図5のB−B´に沿ったセンサデバイス400の断面図である。
【0035】
図5及び図7を参照すると、本実施形態2のセンサデバイス400は、上部キャップ401と基板402と加速度センサ404と制御IC409とを有する加速度センサ404は、錘部405、錘部405に接続された可撓部403、可撓部403に接続されたセンサ支持部407、第1支持部406、第2基板408(以下、封止蓋408という)、貫通電極412、配線413、配線414、外部接続端子410、及び可撓部403に配置されて外部接続端子410と接続され、可撓部403の変位をXYZの3軸方向で検出する複数のピエゾ抵抗素子418を含む。上部キャップ401は、従来から使用されているパッケージであって、シリコンパッケージ又はセラミックパッケージなどであってもよい。基板402は、導電物質からなる部分402aと絶縁材料からなる部分402bとを有してもよい。
【0036】
次に、加速度センサ404の動作を簡単に説明する。加速度センサ404に加速度が加わると、加速度センサ404の錘部405が変位し、この変位に伴って可撓部403が撓む。可撓部403が撓むと、可撓部403に配置されたピエゾ抵抗素子418に力が加わり、ピエゾ抵抗素子418の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検出して、加速度センサ404に加えられた加速度の大きさ、方向などを検出する。加速度センサ404からの信号は、加速度センサ404の可動部に配置されたピエゾ抵抗素子418に接続されている配線413に接続された外部接続端子410から配線414及び貫通電極412を通じて外部に伝達される。
【0037】
図5を参照すると、第1支持部406は、加速度センサ404の可動部である可撓部403及び錘部405の周辺に非連続に複数配置されている。図6は、図5の416部分の拡大図である。図6に示すように、非連続に配置された複数の第1支持部406のうち互いに隣接する第1支持部406間には非連続な部位(隙間)が形成され、この隙間を配線413が通って、外部接続端子410と接続される。加速度センサ404の可動部の変位を考慮して、第1支持部406の高さは、3μm〜5μmであってもよい。図5を参照すると、封止蓋408は加速度センサ404の可動部を覆うように配置され、非連続に配置された複数の第1支持部406と接着される。第1支持部406及び封止蓋408の材料及びそれらの機能については、実施形態1で詳述した支持部108及び封止蓋110と同様であるため、ここでは省略する。
【0038】
実施形態1と同様に、本実施形態に係るセンサデバイス400は、加速度センサ404の可動部の周辺に非連続な複数の第1支持部406が配置されており、加速度センサ404の可動部全体を覆うように封止蓋408が複数の第1支持部406に接着される。加速度センサ404の可動部の周辺に配置された複数の第1支持部406は非連続であり、複数の第1支持部406のうち互いに隣接する第1支持部406間には隙間がある。加速度センサ404の可動部に配置されたピエゾ抵抗素子418に接続される配線413は、複数の第1支持部406のうち互いに隣接する第1支持部406間の隙間を通して引き出されて外部接続端子410に接続される。ここで、配線413は互いに隣接する第1支持部406間の隙間を通るため、配線413は踏みつけられず、断線や変形などの虞がなくなる。また、加速度センサ404の可動部の周辺に配置された非連続な複数の第1支持部406間に複数の隙間が存在するため、これらの隙間を通じて外部に引き出される配線413の引き回しの自由度が高くなる。このため、例えば、センサデバイス400が外部素子(図示せず)に接続される場合、その外部素子の仕様に合わせて配線の引き回しを変更することが可能となる。さらに、加速度センサ404の可動部を覆う封止蓋408には樹脂フィルムなどが使用されるため、従来使用されていたシリコンパッケージ、セラミックパッケージなどよりも薄く作成することができ、センサデバイス400全体で30μm〜300μmの低背化が可能となる。また、封止蓋408には、樹脂などが使用されるため、シリコンパッケージ、セラミックパッケージよりも製造過程におけるコストが安価であり、センサデバイス400の製造コストを低減することが可能である。また、第1支持部406及び封止蓋408の材料を適切に選択することによって、第1支持部406の熱膨張係数の値と第1支持部406に接着される封止蓋408の熱膨張係数の値との差が、±10ppm、好ましくは、±5ppm以内(TMA法による測定)となり、第1支持部406と封止蓋408との接着の信頼性が高くなる。
【0039】
上述したように、図5では、複数の第1支持部406が非連続に配置されているセンサデバイス400を図示したが、本願発明はこれに限定されない。第1支持部406は、加速度センサ404の可動部の四隅にのみ形成されてもよい。また、所定の数の樹脂406を連続して配置し、枠状の支持部を分割して配置してもよい。但し、支持部を枠状に配置する場合であっても、互いに隣接する枠状支持部間には、隙間が形成される。これによって、枠状の支持部を配置した場合であっても、非連続な第1支持部406を配置した場合と同じ効果を奏する。
【0040】
図8は、別のセンサデバイス400´の断面図である。図5及び図7に示された加速度センサ404と同一又は類似の構成要素には同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0041】
図8に図示されたセンサデバイス400´は、基板402上に複数の第2支持部419が非連続に配置されていること、及び加速度センサ404を覆う第3基板401´(以下、上部キャップ401´という)が封止蓋408と同様の材料で構成されることを除いて、図5及び図7に示されている加速度センサ400とほぼ同一であるため、重複する説明は省略する。基板402は絶縁物質からなってもよい。
【0042】
図5及び図7に示されているセンサデバイス400とは異なって、図8に示すセンサデバイス400´は、基板402上の加速度センサ404の周辺に複数の第2支持部419が非連続に配置されており、センサデバイス400´の上部キャップ401´は、加速度センサ404の可動部を覆う封止蓋408と同様に、樹脂フィルムで構成されてもよい。非連続に配置された複数の第2支持部419間には非連続な部位(隙間)が形成されている。第2支持部419の内側に配置されて、配線414によって外部接続端子410に接続される外部接続端子420と、第2支持部419の外側に配置された外部接続端子421とを接続する基板402上に形成された配線はこの隙間を通る。第2支持部419及び上部キャップ401´の材料は、加速度センサ404の可動部の周囲に形成された第1支持部406及び加速度センサ404の可動部を覆う封止蓋408と同一であり、重複する説明は省略する。
【0043】
図8に図示されたセンサデバイス400´は、加速度センサ404の周辺に非連続な複数の第2支持部419が配置されており、加速度センサ404の全体を覆うように上部キャップ401´が第2支持部419に接着される。第2支持部419の高さは、3μm〜50μmであってもよい。加速度センサ404の周辺に配置された複数の第2支持部419は非連続であり、複数の第2支持部419のうち互いに隣接する第2支持部419間には隙間がある。外部接続端子410に接続される外部接続端子420からの配線は、基板402上に形成された互いに隣接する非連続な第2支持部419間の隙間を通して引き出されて基板402上の外部接続端子421に接続される。ここで、外部接続端子420からの配線は第2支持部419間の隙間を通るため、配線が踏みつけられず、断線や変形などの虞がなくなる。また、加速度センサ404の周辺に配置された非連続な複数の第2支持部419間に複数の隙間が存在するため、これらの隙間を通じて外部に引き出される配線の引き回しの自由度が高くなる。このため、例えば、センサデバイス400´が外部素子(図示せず)に接続される場合、その外部素子の仕様に合わせて配線の引き回しを変更することが可能となる。さらに、加速度センサ404全体を覆う上部キャップ401´には樹脂フィルムなどが使用されるため、従来使用されていたシリコンパッケージ、セラミックパッケージなどよりも薄く作成することができ、センサデバイス400´全体で50μm〜500μmの低背化が可能となる。さらに、治連続に配置された複数の第2支持部419のうち互いに隣接する第2支持部419間の隙間を配線が通って基板402上の外部接続端子421に接続されるため、図7に図示された貫通電極412の形成を省略することができる。また、上部キャップ401´には、樹脂などが使用されるため、シリコンパッケージ、セラミックパッケージよりも製造過程におけるコストが安価であり、センサデバイス400´の製造コストをさらに低減することが可能である。また、第2支持部419及び上部キャップ401´の材料を適切に選択することによって、第2支持部419の熱膨張係数の値と第2支持部419に接着される上部キャップ401´の熱膨張係数の値との差が、±10ppm以内、好ましくは、±5ppm以内(TMA法による測定)となり、第2支持部419と第2キャップ401´との接着の信頼性が高くなる。
【0044】
上述したように、図8に示される複数の第2支持部419は非連続に配置されるが、本願発明はこれに限定されない。第2支持部419は、センサ404の四隅にのみ配置されてもよい。また、所定の数の第2支持部419を連続して配置し、枠状の第2支持部を分割して配置してもよい。但し、第2支持部を枠状に配置する場合であっても、互いに隣接する枠状第2支持部間には、隙間が形成される。これによって、枠状の第2支持部を配置した場合であっても、非連続な第2支持部419を配置した場合と同じ効果を奏する。
【0045】
図5乃至図8に示された第1支持部406、封止蓋408、第2支持部419、及び上部キャップ401´の製造方法は、実施形態1で説明した製造方法と同一であるため、説明は省略する。
【0046】
(実施形態3)
以下、本実施形態3の可動部を有するMEMS素子を具備するMEMSマイクロホンについて説明する。本実施形態3において、可動部を有するMEMS素子として音叉を用いたシリコンマイクを例示する。
【0047】
図9Aは、MEMSマイクロホン800の概略構成を示す斜視図である。図9Bは、図9AのC−C´に沿ったMEMSマイクロホン800の断面図である。図9A及び図9Bを参照すると、MEMSマイクロホン800は、基板802、シリコンマイク810、制御ICを含む信号処理チップ812、外部接続端子814、シリコンマイク810と信号処理チップ812とを接続する配線816、信号処理チップ812と外部接続端子814とを接続する配線818、シリコンマイク810及び信号処理チップ812の周辺に非連続に基板802上に配置された支持部804、支持部804と接着してシリコンマイク810及び信号処理チップ812の全体を覆う第2基板806(以下、封止蓋806という)、及びバンプ820を含む。
【0048】
上述したように、複数の支持部804は、シリコンマイク810及び信号処理チップ812の周辺に非連続に複数配置されている。複数の支持部804のうち互いに隣接する支持部804間には非連続な部位(隙間)が形成され、この隙間を配線818が通って、外部接続端子814と接続される。支持部804及び封止蓋806の材料及びそれらの機能については、実施形態1で詳述した支持部108及び封止蓋110と同様であるため、ここでは省略する。
【0049】
実施形態1及び実施形態2と同様に、本実施形態3に係る音叉を用いたシリコンマイク810及び信号処理チップ812は、その周囲に非連続な複数の支持部804が配置されており、シリコンマイク810及び信号処理チップ812の全体を覆うように封止蓋806が支持部804に接着される。複数の支持部804は非連続であり、複数の支持部804のうち互いに隣接する支持部804間には隙間がある。外部接続端子814に接続される配線818は、互いに隣接する支持部804間の隙間を通して引き出されて外部接続端子814に接続される。ここで、配線818は隙間を通るため、配線818は踏みつけられず、断線や変形などの虞がなくなる。また、非連続に配置された複数の支持部804間に複数の隙間が存在するため、これらの隙間を通じて外部に引き出される配線の引き回しの自由度が高くなる。このため、例えば、本実施形態のMEMSマイクロホン800が外部素子(図示せず)と接続する場合、その外部素子の仕様に合わせて配線の引き回しを変更することが可能となる。さらに、シリコンマイク810及び信号処理チップ812全体を覆う封止蓋806には樹脂フィルムなどが使用されるため、従来使用されていたシリコンパッケージ、セラミックパッケージなどよりも薄く作成することができ、MEMSマイクロホン800全体で30〜400μmの低背化が可能となる。また、封止蓋806には樹脂材料などが使用されるため、シリコンパッケージ、セラミックパッケージよりも製造過程におけるコストが安価であり、MEMSマイクロホン800の製造コストを低減することが可能である。また、支持部804及び封止蓋806の材料を適切に選択することによって、支持部804の熱膨張係数の値と支持部804上に接着される封止蓋806の熱膨張係数の値との差が、±10ppm以内、好ましくは、±5ppm以内(TMA法による測定)となり、支持部804と封止蓋806との接着の信頼性が高くなる。
【0050】
さらに、図9A及び図9Bに示す本実施形態3のMEMSマイクロホン800には、非連続に配置された複数の支持部804のうち互いに隣接する支持部804間に隙間があるため、この隙間から音の出入りが可能である。従来の音叉を用いるシリコンマイクを実装するMEMSマイクロホンは、図10A及び図10Bに示すように、パッケージの上部に音孔908が設けられていた。本実施形態3のMEMSマイクロホン800は、非連続に配置された複数の支持部804のうち互いに隣接する支持部804間の隙間が音孔としての役割を果たすため、封止蓋806に音孔を設ける必要がなく、封止蓋806の製造工程を短縮できる。図9Aには、基板802の全体にシリコンマイク810及び信号処理チップ812の周辺に複数の支持部804が非連続に配置されているが、本発明はこれに限定されず、基板802のうち少なくとも1辺に複数の支持部804を非連続に配置して、複数の支持部804のうち互いに隣接する支持部804間の隙間から音の出入りができるようにしてもよい。
【0051】
上述したように、本実施形態3の複数の支持部804は非連続に配置されるが、本願発明はこれに限定されない。図9Aでは、複数の支持部804が非連続に配置されているMEMSマイクロホン800を図示したが、支持部804は、基板802の四隅にのみ配置されてもよい。また、所定の数の支持部804を連続して配置し、枠状の支持部を分割して配置してもよい。但し、支持部を枠状に配置する場合であっても、互いに隣接する枠状支持部間には、隙間が形成される。これによって、枠状の支持部を配置した場合であっても、非連続な支持部804を配置した場合と同じ効果を奏する。
【符号の説明】
【0052】
100 センサデバイス
101 基板
102 RFスイッチ
103 カンチレバー
104 GND電極
106 駆動電極
108 支持部
110 封止蓋
112a〜112c 信号配線
114a〜114c 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配置され、可動部を有するMEMS素子と、
前記MEMS素子の前記可動部の周辺に非連続に配置された第1支持部と、
前記第1支持部に固定されて少なくとも前記可動部を覆う第2基板と、
前記第1支持部よりも外側に配置された第1端子と、
前記第1端子に電気的に接続されて、前記可動部の変位に基づく電気信号を伝達する第1配線と、
を具備し、
前記第1配線は、前記第1支持部の非連続な部位を通ることを特徴とするセンサデバイス。
【請求項2】
前記第2基板は、有機材料を含むフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記第1支持部の熱膨張係数と前記第2基板の熱膨張係数との差は、±5ppm以内であることを特徴とする請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記第1基板上に配置されて、前記MEMS素子の周辺に非連続に配置された第2支持部と、
前記第2支持部に固定されて前記MEMS素子全体を覆う第3基板と、
前記第2支持部よりも内側に配置された第2端子と、
前記第2支持部よりも外側に配置された第3端子と、
前記第1端子と前記第2端子とを接続する第2配線と、
前記第2端子と前記第3端子とを接続する第3配線と、
をさらに具備し、
前記第3配線は、前記第2支持部の非連続な部位を通ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記第3基板は、有機材料を含むフィルムであることを特徴とする請求項4に記載のセンサデバイス。
【請求項6】
前記第2支持部の熱膨張係数と前記第3基板の熱膨張係数との差は、±5ppm以内であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のセンサデバイス。
【請求項7】
第1基板と、
前記第1基板上に配置され、可動部を有するMEMS素子と、
前記第1基板上に前記MEMS素子と並んで配置されるICと、
前記MEMS素子と前記ICとを接続し、前記MEMS素子の前記可動部の変位に基づき電気信号を取り出して前記ICに伝達する第1配線と、
前記MEMS素子と前記ICとの周辺に非連続に配置された第1支持部と、
前記第1支持部に固定されて前記MEMS素子と前記ICとを覆う第2基板と、
前記第1支持部よりも外側に配置された第1端子と、
前記ICと前記第1端子とを接続し、前記ICからの電気信号を外部素子に伝達する第2配線と、
を具備し、
前記第2配線は、前記第1支持部の非連続な部位を通ることを特徴とするセンサデバイス。
【請求項8】
前記第2基板は、有機材料を含むフィルムであることを特徴とする請求項7に記載のセンサデバイス。
【請求項9】
前記第1支持部の熱膨張係数と前記第2基板の熱膨張係数との差は、±5ppm以内であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のセンサデバイス。
【請求項10】
可動部と前記可動部の変位に基づき電気信号を取り出す配線とを有する複数のMEMS素子を第1基板上に形成し、
前記配線と重畳しないように前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部の周辺に第1支持部を非連続に形成し、
前記第1基板全体を覆う第2基板を前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部の周辺に非連続に形成された前記第1支持部と固定させ、
前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部を覆う部分を除く前記第2基板の一部を前記第1基板上から除去し、
前記複数のMEMS素子の各々を個片化すること、
を含むこと特徴とするセンサデバイスの製造方法。
【請求項11】
前記第1支持部は、インクジェット法、スクリーン印刷法、又はフォトリソ法のいずれかの方法で配置されることを特徴とする請求項10に記載のセンサデバイスの製造方法。
【請求項12】
前記第2基板は、前記複第1支持部と熱圧着で接着されて固定されることを特徴とする請求項10に記載のセンサデバイスの製造方法。
【請求項13】
可動部と前記可動部の変位に基づき電気信号を取り出す第1配線と前記第1配線と電気的に接続された第1端子とを有する複数のMEMS素子を第2端子、第3端子及び前記第2端子と前記第3端子とを接続する第2配線が形成された第1基板上に配置し、
前記第1配線と重畳しないように前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部の周辺に第1支持部を非連続に形成し、
前記第1基板全体を覆う第2基板を前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部の周辺に非連続に配置された前記第1支持部と固定させ、
前記複数のMEMS素子の各々の前記可動部を覆う部分を除く前記第2基板の一部を前記第1基板上から除去し、
前記第1端子と前記第2端子とを接続する第3配線を形成し、
前記複数のMEMS素子の各々の周辺の前記第1基板上に、前記第2配線と重畳しないように第2支持部を非連続に形成し、
前記第1基板全体を覆う第3基板を前記複数のMEMS素子の各々の周辺に非連続に形成された前記第2支持部と固定させ、
前記複数のMEMS素子の各々を覆う部分を除く前記第3基板の一部を前記第1基板上から除去し、
前記複数のMEMS素子の各々を個片化すること、
を含むこと特徴とするセンサデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記第1支持部及び前記第2支持部は、インクジェット法、スクリーン印刷法、又はフォトリソ法のいずれかの方法で配置されることを特徴とする請求項13に記載のセンサデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記第2基板及び前記第3基板は、前記複第1支持部及び前記第2支持部とそれぞれ熱圧着で接着されて固定されることを特徴とする請求項13に記載のセンサデバイスの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2011−255435(P2011−255435A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130241(P2010−130241)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】