説明

チャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置計測装置およびレーザー加工機

【課題】被加工物の上面位置を計測する高さ位置計測装置およびレーザー加工機を提供する。
【解決手段】発光源からの光を第1の経路に導き、反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズによって平行光に形成された光を被加工物に導く対物レンズと、コリメーションレンズと対物レンズとの間に配設され、対物レンズ側の端面に反射ミラーが形成され、光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、反射ミラーによって反射し第1の光分岐手段から第2の経路に導かれた反射光と、被加工物で反射し第1の光分岐手段から第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーからの検出信号に基づいてチャックテーブルの表面から被加工物の上面までの距離を求める制御手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工機等の加工機に装備されるチャックテーブルに保持された半導体ウエーハ等の被加工物の高さを計測する高さ位置計測装置およびレーザー加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
また、光デバイス製造工程においては、サファイア基板や炭化珪素基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体からなる光デバイス層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスを形成して光デバイスウエーハを構成する。そして、光デバイスウエーハをストリートに沿って切断することにより光デバイスが形成された領域を分割して個々の光デバイスを製造している。
【0004】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法が試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射し、ウエーハの内部にストリートに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることにより、ウエーハを分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)このように被加工物に形成されたストリートに沿って内部に変質層を形成する場合、被加工物の上面から所定の深さ位置にレーザー光線の集光点を位置付けることが重要である。
【0005】
また、半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハを分割する方法として、ウエーハに形成されたストリートに沿ってウエーハに対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿ってメカニカルブレーキング装置によって割断する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)このようにウエーハに形成されたストリートに沿ってレーザー加工溝を形成する場合にも、ウエーハの所定高さ位置にレーザー光線の集光点を位置付けることが重要である。
【0006】
しかるに、ウエーハ等の板状の被加工物にはウネリがあり、その厚さにバラツキがあるため、均一なレーザー加工を施すことが難しい。即ち、ウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成する場合、ウエーハの厚さにバラツキがあるとレーザー光線を照射する際に屈折率の関係で所定の深さ位置に均一に変質層を形成することができない。また、ウエーハに形成されたストリートに沿ってレーザー加工溝を形成する場合にもその厚さにバラツキがあると、均一な深さのレーザー加工溝を形成することができない。
【0007】
上述した問題を解消するために、チャックテーブルに保持されたウエーハ等の被加工物の上面高さを確実に計測することができる高さ位置計測装置が下記特許文献3に開示されている。下記特許文献3に開示された計測装置は、色収差レンズを通過した白色光が波長によって異なる焦点距離を有することを利用して、その反射光によって波長を特定することにより焦点距離を求めるので、チャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置を正確に計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3408805号
【特許文献2】特開平10−305420号公報
【特許文献3】特開2008−170366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
而して、白色光を色収差レンズによって集光すると、光軸上に各波長に対応した集光点が位置付けられるが、波長が長くなるに従って集光レンズの内側(光軸側)に位置付けられ実質的にNA値が小さくなるため、焦光点がボケて正確な表面高さ位置を検出することができないという問題がある。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、チャックテーブルに保持された半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物の高さを正確に計測することができる高さ位置計測装置および高さ位置計測装置を装備したレーザー加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の位置を検出する被加工物の高さ位置計測装置において、
所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材の環状の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備している、
ことを特徴とするチャックテーブルに保持された被加工物の計測装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の位置を検出する高さ位置計測装置とを具備し、該レーザー光線照射手段はレーザー光線を発振するレーザー光線発振器と該レーザー光線発振器から発振されたレーザー光線を集光して該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物に照射する集光器とを具備しているレーザー加工機において、
該高さ位置計測装置は、所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該集光レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材環状の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備し、
該検出光照射手段が該集光器に隣接して配設されている、
ことを特徴とするレーザー加工機が提供される。
【0013】
上記レーザー光線照射手段の集光器をチャックテーブルの保持面に対して垂直な集光点位置調整方向に移動せしめる集光点位置調整手段を備えており、上記制御手段は基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と基準光路長設定部材の光通過孔の入光部からチャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差に基づいて集光点位置調整手段を制御する。
上記検出光照射手段は、集光器の加工送り方向両側にそれぞれ配設されている。
【0014】
また、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置を検出する計測装置と、を具備するレーザー加工機において、
該計測装置は、所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備し、
該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該基準光路長設定部材と該対物レンズとの間に配設され該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線を該対物レンズに向けて方向変換するダイクロイックミラーと、を具備している、
ことを特徴とするレーザー加工機が提供される。
【0015】
上記基準光路長設定部材とダイクロイックミラーとの間に配設されコリメーションレンズによって形成された平行光を集光し該対物レンズに集光点を位置付けて該対物レンズからの光を擬似平行光に生成する集光レンズを具備している。
また、上記レーザー光線照射手段の対物レンズをチャックテーブルの保持面に対して垂直な集光点位置調整方向に移動せしめる集光点位置調整手段を備えており、上記制御手段は基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と基準光路長設定部材の光通過孔の入光部からチャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差に基づいて集光点位置調整手段を制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置計測装置は以上のように構成され、イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と基準光路長設定部材の光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいてチャックテーブルの表面からチャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求めるので、チャックテーブルに保持された被加工物の上面位置を正確に計測することができる。
また、本発明によるレーザー加工機は上記高さ位置計測装置を装備しているので、チャックテーブルに保持された被加工物の上面位置を基準とした所定の位置に正確にレーザー加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従って構成されたレーザー加工機の斜視図。
【図2】図1に示すレーザー加工機に装備されるレーザー光線照射手段および高さ位置計測装置のブロック構成図。
【図3】図2に示す高さ位置計測装置を構成する制御手段によって求められる分光干渉波形を示す説明図。
【図4】図2に示す高さ位置計測装置を構成する制御手段によって求められる被加工物の表面までの光路長差を示す説明図。
【図5】図2に示す高さ位置計測装置を構成する制御手段によって求められる被加工物の表面までの光路長差と被加工物の表面までの光路長差および被加工物の厚みを示す光路長差の説明図。
【図6】図1に示すレーザー加工機によって加工される被加工物としての光デバイスウエーハの斜視図。
【図7】図1に示すレーザー加工機によって図6に示す光デバイスウエーハに変質層を形成するレーザー加工工程の一実施形態を示す説明図。
【図8】本発明に従って構成されたレーザー加工機の他の実施形態を示すブロック構成図。
【図9】本発明に従って構成されたレーザー加工機の更に他の実施形態を示すブロック構成図。
【図10】図6に示す光デバイスウエーハが図9に示すレーザー加工機のチャックテーブルの所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図。
【図11】図9に示すレーザー加工機に装備されたチャックテーブルに保持された被加工物の計測装置によって実施される高さ位置検出工程の説明図。
【図12】図9に示すレーザー加工機によって図7に示す光デバイスウエーハに変質層を形成する加工工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に従って構成されたチャックテーブルに保持された被加工物の計測装置およびレーザー加工機の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1には、本発明に従って構成されたチャックテーブルに保持された被加工物の位置を計測する計測装置を装備したレーザー加工機の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工機1は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記X軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線照射ユニット支持機構4に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0020】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第1の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上にY軸方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持された支持テーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361の上面である保持面上に被加工物である例えば円形形状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、半導体ウエーハ等の被加工物を保護テープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0021】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にX軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第1の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0022】
図示の実施形態におけるレーザー加工機1は、上記チャックテーブル36の加工送り量を検出するための加工送り量検出手段374を備えている。加工送り量検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。この送り量検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出することもできる。
【0023】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、Y軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0024】
図示の実施形態におけるレーザー加工機1は、上記第2の滑動ブロック33の割り出し加工送り量を検出するための割り出し送り量検出手段384を備えている。割り出し送り量検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。この送り量検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出する。なお、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出することもできる。
【0025】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上にY軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0026】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられた円筒形状のユニットハウジング52を具備しており、ユニットホルダ51が上記可動支持基台42の装着部422に一対の案内レール423、423に沿って移動可能に配設されている。ユニットホルダ51に取り付けられたユニットハウジング52には、図2に示すレーザー光線照射手段6が配設されている。レーザー光線照射手段6は、パルスレーザー光線発振手段61と、該パルスレーザー光線発振手段61から発振されたパルスレーザー光線を図2において下方に向けて方向変換する方向変換ミラー62と、該方向変換ミラー62によって方向変換されたパルスレーザー光線を集光してチャックテーブル36の保持面に保持された被加工物Wに照射する集光器63を具備している。パルスレーザー光線発振手段61は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器611と、これに付設された繰り返し周波数設定手段612とから構成されており、例えば波長が1064nmのパルスレーザー光線を発振する。集光器63は、パルスレーザー光線発振手段61から発振されたパルスレーザー光線を集光する対物レンズ631と、該対物レンズ631を収容するレンズケース632とからなっており、このレンズケース632はボイスコイルモータやリニアモータ等からなる第1の集光点位置調整手段64によって図2において上下方向即ちチャックテーブル36の保持面に対して垂直な集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動せしめられるようになっている。この第1の集光点位置調整手段64は、後述する制御手段によって制御される。
【0027】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工機1は、ユニットホルダ51を可動支持基台42の装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に沿って矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)即ちチャックテーブル36の保持面に対して垂直な方向に移動させるための第2の集光点位置調整手段53を具備している。第2の集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、上記レーザー光線照射ユニット5を案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射ユニット5を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射ユニット5を下方に移動するようになっている。
【0028】
上記レーザー光線照射ユニット5を構成するユニットハウジング52の前端部には、撮像手段65が配設されている。この撮像手段65は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0029】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工機1は、チャックテーブルに保持された被加工物の位置を検出する高さ位置計測装置7を具備している。この高さ位置計測装置7について、図2を参照して説明する。
図2に示す高さ位置計測装置7は、所定の波長領域を有する光を発する発光源71と、該発光源71からの光を光ファイバー70からなる第1の経路7aに導くとともに該第1の経路7aを逆行する反射光を第2の経路7bに導く光分岐手段72と、第1の経路7aに導かれた光をチャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する検出光照射手段73を具備している。上記発光源71は、例えば波長が820〜870nm領域の光を発光するLED、SLD、LD、ハロゲン電源、ASE電源、スーパーコンティニアム電源を用いることができる。
【0030】
上記検出光照射手段73は、第1の経路7aに導かれた光を平行光に形成する第1のコリメーションレンズ731と、該第1のコリメーションレンズ731によって平行光に形成された光をチャックテーブル36に保持された被加工物Wに導く対物レンズ732と、第1のコリメーションレンズ731と対物レンズ732との間に配設され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材733とからなっている。円筒状の基準光路長設定部材733は、合成石英ガラスによって円筒状に形成され、中央に光を通過させる光通過孔733aが設けられている。この円筒状の基準光路長設定部材733の第1のコリメーションレンズ731側には光通過孔733aの入光部733bが開口しているとともに該入光部733bを囲繞する端面に環状の受光面733cが設けられている。また、円筒状の基準光路長設定部材733の対物レンズ732側には光通過孔733aの出光部733dが開口しているとともに該出光部733dを囲繞する端面に環状面に反射ミラー733eが形成されている。なお、反射ミラー733eは、例えば円筒状の基準光路長設定部材733の出光部733dを囲繞する環状の端面に銀を蒸着して形成されている。このように構成された円筒状の基準光路長設定部材733は、図示の実施形態においては屈折率が1.45の合成石英ガラスによって形成されているので、環状の受光面733cで受光した光の反射ミラー733eまでの基準光路長が、光通過孔733aの入光部733bから出光部733dまでの光路長の1.45倍となる。
【0031】
上記第2の経路7bには、第2のコリメーションレンズ74と回折格子75およびラインイメージセンサー76が配設されている。第2のコリメーションレンズ74は、円筒状の基準光路長設定部材733の反射ミラー733eによって反射し円筒状の基準光路長設定部材733と第1のコリメーションレンズ731および第1の経路7aを逆行して光分岐手段72から第2の経路2bに導かれた反射光と、チャックテーブル36に保持された被加工物Wで反射し対物レンズ732と円筒状の基準光路長設定部材733の光通過孔733aと第1のコリメーションレンズ731および第1の経路7aを逆行して光分岐手段72から第2の経路2bに導かれた反射光を平行光に形成する。上記回折格子75は、第2のコリメーションレンズ74によって平行光に形成された上記両反射光の干渉を回折し、各波長に対応する回折信号をラインイメージセンサー76に送る。上記ラインイメージセンサー76は、回折格子75によって回折した反射光の各波長における光強度を検出し、検出信号を制御手段80に送る。
【0032】
制御手段80は、ラインイメージセンサー76による検出信号から分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、円筒状の基準光路長設定部材733の環状の受光面733cで受光した光の反射ミラー733eまでの基準光路長と円筒状の基準光路長設定部材733の入光部733bからからチャックテーブル36に保持された被加工物Wまでの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいてチャックテーブル36の表面からチャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面までの距離を求める。即ち、制御手段80は、ラインイメージセンサー76からの検出信号に基づいて図3に示すような分光干渉波形を求める。図3において横軸は反射光の波長を示し、縦軸は光強度を示している。
【0033】
以下、制御手段80が上記分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて実行する波形解析の一例について説明する。
上記円筒状の基準光路長設定部材733の環状の受光面733cと反射ミラー733eまでの長さを(L)とすると屈折率(図示の実施形態においては1.45)を乗算した1.45Lが光路長となりこの光路長を基準光路長(L1)とし、円筒状の基準光路長設定部材733の入光部733bからからチャックテーブル36に保持された被加工物Wまでの光路長を(L2)とし、基準光路長(L1)と光路長(L2)との差を光路長差(d=L1−L2)とする。なお、図示の実施形態において光路長差(d=L1−L2)は、例えば500μmに設定されているものとする。
【0034】
次に、制御手段80は、上記分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行する。この波形解析は、例えばフーリエ変換理論やウエーブレット変換理論に基づいて実行することができるが、以下に述べる実施形態においては下記数式1、数式2、数式3に示すフーリエ変換式を用いた例について説明する。
【0035】
【数1】

【0036】
【数2】

【0037】
【数3】

【0038】
上記数式において、λは波長、dは上記光路長差(L1−L2)、W(λi)は窓関数である。
上記数式1は、cosの理論波形と上記分光干渉波形(I(λn))との比較で最も波の周期が近い(相関性が高い)、即ち分光干渉波形と理論上の波形関数との相関係数が高い光路長差(d)を求める。また、上記数式2は、sinの理論波形と上記分光干渉波形(I(λn))との比較で最も波の周期が近い(相関性が高い))、即ち分光干渉波形と理論上の波形関数との相関係数が高い光路長差(d)を求める。そして、上記数式3は、数式1の結果と数式2の結果の平均値を求める。
【0039】
制御手段80は、上記数式1、数式2、数式3に基づく演算を実行することにより、図4に示すように信号強度が高い光路長差(d)を求める。図4において横軸は光路長差(d)を示し、縦軸は信号強度を示している。図4の(a)は光路長差(d)が630μmの場合であり、この場合チャックテーブル36の表面から被加工物Wの表面(上面)までの距離は図示の実施形態においては130μmである。図4の(b)は光路長差(d)が580μmの場合であり、この場合チャックテーブル36の表面から被加工物Wの表面(上面)までの距離は図示の実施形態においては80μmである。このように、上記分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行して光路長差(d)を求めることにより、チャックテーブル36の表面から被加工物Wの上面までの距離を求めることができる。なお、制御手段80は、上記図4に示す解析結果を表示手段81に表示する。
【0040】
上述した実施形態においては、被加工物Wがシリコンウエーハのように上記波長領域の光を透過しない場合について説明したが、次に被加工物Wがサファイアやガラス等の光が透過する材料によって形成されている場合について説明する。
光が透過する被加工物Wの場合には、被加工物Wに照射された光は被加工物Wの表面(上面)で反射する反射光と被加工物Wの裏面(下面)で反射する反射光が生成され、この両反射光が対物レンズ732と円筒状の基準光路長設定部材733の光通過孔733aと第1のコリメーションレンズ731および第1の経路7aを逆行して第1の光分岐手段72から第2の経路2bに導かれる。一方、上述したように円筒状の基準光路長設定部材733の反射ミラー733eによって反射した反射光も円筒状の基準光路長設定部材733と第1のコリメーションレンズ731および第1の経路7aを逆行して第1の光分岐手段72から第2の経路2bに導かれる。このようにして第2の経路6bに導かれた各反射光が第2のコリメーションレンズ74によって平行光に形成され、更に回折格子75によって回折されてラインイメージセンサー76に導かれる。そして、ラインイメージセンサー76は回折格子75によって回折した反射光の各波長における光強度を検出し、検出信号を制御手段80に送る。このように被加工物Wの表面(上面)と裏面(下面)および円筒状の基準光路長設定部材733の反射ミラー733eによって反射した各反射光による分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて上述した波形解析を実行すると、図5に示すように信号強度が高い光路長差(d)が3個求められる。図5において横軸は光路長差(d)を示し、縦軸は信号強度を示している。図5に示す例においては、光路長差(d)が620μmの位置と光路長差(d)が500μmの位置と光路長差(d)が120μmの位置で信号強度が高く表されている。光路長差(d)が620μmの位置の信号強度(A)は被加工物Wの表面(上面)を表し、この場合チャックテーブル36の表面から被加工物Wの表面(上面)までの距離は図示の実施形態においては120μmである。また、光路長差(d)が500μmの位置の信号強度(B)は被加工物Wの裏面(下面)を表し、この場合チャックテーブル36の表面から被加工物Wの裏面(下面)までの距離は図示の実施形態においては零(0)である。一方、光路長差(d)が120μmの位置の信号強度(C)は被加工物Wの厚みを表しており、被加工物Wの厚みが120μmであることが直接求められる。なお、制御手段80は、上記図5に示す解析結果を表示手段81に表示する。
【0041】
図示の実施形態におけるレーザー加工機1は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図6にはレーザー加工される被加工物としての光デバイスウエーハ10の斜視図が示されている。図6に示す光デバイスウエーハ10は、厚みが例えば100μmのサファイアウエーハからなっており、その表面10aに窒化ガリウム系化合物半導体からなる光デバイス層が積層され格子状に形成された複数のストリート101によって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス102が形成されている。
【0042】
上述したレーザー加工機1を用い、上記光デバイスウエーハ10のストリート101に沿ってレーザー光線を照射し、光デバイスウエーハ10の内部にストリート101に沿って変質層を形成するレーザー加工の実施形態について説明する。なお、光デバイスウエーハ10の内部に変質層を形成する際に、光デバイスウエーハ10の厚さにバラツキがあると、上述したように屈折率の関係で所定の深さに均一に変質層を形成することができない。そこで、レーザー加工を施すに際しては、上述した高さ位置計測装置7によってチャックテーブル36の保持面に保持された光デバイスウエーハ10の上面位置を計測しつつレーザー光線を照射する。
【0043】
高さ位置計測装置7によってチャックテーブル36の保持面に保持された光デバイスウエーハ10の上面位置を計測しつつレーザー光線を照射するには、先ず上述した図1に示すレーザー加工機のチャックテーブル36の保持面上に光デバイスウエーハ10の裏面10bを上にして載置し、チャックテーブル36の保持面上に光デバイスウエーハ10を吸引保持する。このようにしてチャックテーブル36に光デバイスウエーハ10を吸引保持したならば、加工送り手段37を作動してチャックテーブル36を撮像手段65の直下に位置付ける。
【0044】
チャックテーブル36が撮像手段65の直下に位置付けられると、撮像手段65および制御手段90によって光デバイスウエーハ10のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段65および制御手段80は、光デバイスウエーハ10の所定方向に形成されているストリート101と、該ストリート101に沿ってレーザー光線を照射する集光器63との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、検出位置のアライメントを遂行する。また、光デバイスウエーハ10に形成されている所定方向と直交する方向に形成されているストリート101に対しても、同様に検出位置のアライメントが遂行される。このとき、光デバイスウエーハ10のストリート101が形成されている表面10aは下側に位置しているが、光デバイスウエーハ10を形成するサファイアウエーハは透明体であるため、裏面10bから透かしてストリート101を撮像することができる。
【0045】
以上のようにしてチャックテーブル36の保持面に保持された光デバイスウエーハ10に形成されているストリート101を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、加工送り手段37および第1の割り出し送り手段38を作動して図7の(a)で示すようにチャックテーブル36をレーザー光線照射手段6の集光器63が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート101の一端(図7の(a)において左端)を高さ位置計測装置7を構成する検出光照射手段73の直下に位置付ける。次に、高さ位置計測装置7を作動するとともに加工送り手段37を作動してチャックテーブル36を図7の(a)において矢印X1で示す加工送り方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。このようにして高さ位置計測装置7を作動することにより、上述したように光デバイスウエーハ10の上面(裏面)における所定のストリート101に沿った高さ位置が計測される。そして、制御手段80は、加工送り量検出手段374からの検出信号と高さ位置計測装置7からの計測信号に基づいて、光デバイスウエーハ10の移動位置に対応する上面(裏面)の高さ位置を上述したように求め、この光デバイスウエーハ10の移動位置に対応する上面(裏面)の高さ位置を内蔵するメモリに格納する。
【0046】
次に、制御手段80は、加工送り量検出手段374から送られる検出信号に基づいてチャックテーブル36のX1で示す方向への移動距離を求める。そして、この移動距離が図7の (b)に示すように検出光照射手段73と集光器63の中心間距離Sに達したら、制御手段80は光デバイスウエーハ10の所定のストリート101の一端(図7の(b)において左端)が集光器63の直下に達したと判断し、レーザー光線照射手段6を作動し集光器63からパルスレーザー光線を照射する。このとき、制御手段80は、メモリに格納されたストリート101の一端(図7の(b)において左端)の上面(裏面)の高さ位置に基づいて、集光器63から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pをストリート101の上面(裏面)の高さ位置から内部に所定距離(例えば50μm)の深さ位置に位置付けるように第1の集光点位置調整手段64を制御する。以後、制御手段80は、加工送り量検出手段374から送られる検出信号と検出光照射手段73からの計測信号に基づいて、検出光照射手段73と集光器63の中心間距離Sだけ遅らせて集光器63から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pをストリート101の上面(裏面)の高さ位置から内部に所定距離(例えば50μm)の深さ位置に位置付けるように、第1の集光点位置調整手段64を制御する。そして、図7の(c)で示すように集光器63の照射位置にストリート101の他端(図7の(b)において右端)が達したら、制御手段80は、パルスレーザー光線の照射を停止するとともに、チャックテーブル36の移動を停止する(レーザー加工工程)。この結果、光デバイスウエーハ10の内部には、図7の(c)で示すように裏面10b(上面)から所定の深さ位置に裏面10b(上面)と平行に変質層110が形成される。
【0047】
なお、上記レーザー加工工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー光線 :LD励起QスイッチNd:YVO4レーザー
波長 :1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 :80kHz
パルス幅 :120ns
平均出力 :1.2W
集光スポット径 :φ2μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0048】
以上のようにして、光デバイスウエーハ10の所定方向に延在する全てのストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直交する方向に延びる各ストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行する。このようにして、光デバイスウエーハ10に形成された全てのストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行したならば、光デバイスウエーハ10を保持しているチャックテーブル36は、最初に光デバイスウエーハ10を吸引保持した位置に戻され、ここで光デバイスウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、光デバイスウエーハ10は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
【0049】
次に、本発明に従って構成されたレーザー加工機の他の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、図8に示す実施形態においては、上記図2に示すレーザー加工機の構成部材と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
図8に示すレーザー加工機は、2個の検出光照射手段73a、73bを備え、レーザー光線照射手段6の集光器63に近接し加工送り方向(X軸方向)の両側にそれぞれ配設される。そして、光分岐手段72と2個の検出光照射手段73a、73bとの間に形成される第1の経路7aを構成する光ファイバー70a、70bと光分岐手段72との間に光スイッチ9が配設されている。この光スイッチ9は、上記一方の検出光照射手段73aから光ファイバー70aに導かれた反射光と他方の検出光照射手段73bから光ファイバー70bに導かれた反射光を切り替えて、いずれか一方を光分岐手段72に導く機能を有し、上記制御手段80によって制御される。なお、図8に示すレーザー加工機における他の構成部材は上記図2に示すレーザー加工機の構成部材と実質的に同一である。このように、2個の検出光照射手段73a、73bをレーザー光線照射手段6の集光器63に近接し加工送り方向(X軸方向)の両側にそれぞれ配設することにより、チャックテーブル36を加工送り方向(X軸方向)に往復動する際に、チャックテーブル36に保持された被加工物の上面の高さ位置を計測しつつレーザー加工することができる。
【0050】
次に、本発明に従って構成されたレーザー加工機の更に他の実施形態について、図9を参照して説明する。なお、図9に示す実施形態においては、上記図2に示すレーザー加工機の構成部材と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
図9に示すレーザー加工機は、高さ位置計測装置7の検出光照射手段73を構成する円筒状の基準光路長設定部材733の光通過孔733aを通過した光をレーザー光線照射手段6の集光器63を構成する対物レンズ631を通してチャックテーブル36に保持された被加工物に照射するように構成されている。そして、高さ位置計測装置7の検出光照射手段73を構成する円筒状の基準光路長設定部材733とレーザー光線照射手段6の集光器63を構成する対物レンズ631との間に、レーザー光線照射手段6のパルスレーザー光線発振手段61から発振されたパルスレーザー光線を集光器63を構成する対物レンズ631に向けて方向変換するダイクロイックミラー65が配設される。このダイクロイックミラー65は、円筒状の基準光路長設定部材733の光通過孔733aからの光は通過させるが、パルスレーザー光線発振手段61から発振されたパルスレーザー光線を対物レンズ631に向けて方向変換する。また、円筒状の基準光路長設定部材733とダイクロイックミラー65との間には、第1のコリメーションレンズ731によって形成された平行光を集光し対物レンズ631に集光点を位置付けて対物レンズ631からの光を擬似平行光に生成する集光レンズ66が配設されている。このように円筒状の基準光路長設定部材733とダイクロイックミラー65との間に集光レンズ66を配設して対物レンズ631からの光を擬似平行光に生成することにより、チャックテーブル36に保持された被加工物Wで反射した反射光が対物レンズ631と集光レンズ66と円筒状の基準光路長設定部材733の光通過孔733aおよび第1のコリメーションレンズ731を介して逆行する際に第1の経路7aを構成する光ファイバー70に収束させることができる。このように構成されたレーザー加工機においては、レーザー光線照射手段6の集光器63を構成する対物レンズ631が高さ位置計測装置7の検出光照射手段73を構成する対物レンズとして機能するように構成されている。
【0051】
図9に示す実施形態におけるレーザー加工機は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図9に示すレーザー加工機を用いて、上記光デバイスウエーハ10のストリート101に沿ってレーザー光線を照射し、光デバイスウエーハ10の内部にストリート101に沿って変質層を形成するレーザー加工の実施形態について説明する。即ち、先ずチャックテーブル36上に光デバイスウエーハ10の裏面10bを上にして載置し、該チャックテーブル36上に光デバイスウエーハ10を吸引保持する。そして、上述したように光デバイスウエーハ10のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。
【0052】
上述したようにアライメントが行われると、チャックテーブル36上の光デバイスウエーハ10は、図10の(a)に示す座標位置に位置付けられた状態となる。なお、図10の(b)はチャックテーブル36即ち光デバイスウエーハ10を図10の(a)に示す状態から90度回転した状態を示している。
【0053】
なお、図10の(a)および図10の(b)に示す座標位置に位置付けられた状態における光デバイスウエーハ10に形成された各ストリート101の送り開始位置座標値(A1,A2,A3・・・An)と送り終了位置座標値(B1,B2,B3・・・Bn)および送り開始位置座標値(C1,C2,C3・・・Cn)と送り終了位置座標値(D1,D2,D3・・・Dn)は、その設計値のデータが制御手段80のメモリに格納されている。
【0054】
上述したようにチャックテーブル36上に保持されている光デバイスウエーハ10に形成されたストリート101を検出し、検出位置のアライメントが行われたならば、チャックテーブル36を移動して図10の(a)において最上位のストリート101をレーザー光線照射手段6の集光器63の直下に位置付ける。そして、更に図11で示すようにストリート101の一端(図8において左端)である送り開始位置座標値(A1)(図10の(a)参照)を集光器63を構成する対物レンズ631の直下に位置付ける。そして、位置計測装置7を作動するとともに、チャックテーブル36を図11において矢印X1で示す方向に移動し、送り終了位置座標値(B1)まで移動する(高さ位置検出工程)。この結果、光デバイスウエーハ10の図10の(a)において最上位のストリート101に沿って上面の高さ位置が高さ位置計測装置7によって上述したように計測される。この計測された上記光路長差(d)および高さ位置は、上記制御手段80のメモリに格納される。このようにして、光デバイスウエーハ10に形成された全てのストリート101に沿って高さ位置検出工程を実施し、各ストリート101における上面の高さ位置を制御手段80のメモリに格納する。
【0055】
以上のようにして光デバイスウエーハ10に形成された全てのストリート101に沿って高さ位置検出工程を実施したならば、光デバイスウエーハ10の内部にストリート101に沿って変質層を形成するレーザー加工を実施する。
このレーザー加工を実施するためには、先ずチャックテーブル36を移動して図10の(a)において最上位のストリート101をレーザー光線照射手段6の集光器63を構成する集光レンズ631の直下に位置付ける。そして、更に図12の(a)で示すようにストリート101の一端(図12の(a)において左端)である送り開始位置座標値(A1)(図9の(a)参照)を対物レンズ631の直下に位置付ける。そして、レーザー光線照射手段6の集光器63を構成する対物レンズ631から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを光デバイスウエーハ10の裏面10b(上面)から所定の深さ位置に合わせる。次に、レーザー光線照射手段6を作動し、対物レンズ631からパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル36を矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる(レーザー加工工程)。そして、図12の(b)で示すように対物レンズ631の照射位置がストリート101の他端(図12の(b)において右端)に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともに、チャックテーブル36の移動を停止する。このレーザー加工工程においては、制御手段80はメモリに格納されている光デバイスウエーハ10のストリート101における裏面10b(上面)の高さ位置に基いて、第1の集光点位置調整手段64を制御し、集光器63をZ軸方向(集光点位置調整方向)に移動し、レーザー光線照射手段6の集光器63を構成する対物レンズ631を図12の(b)で示すように光デバイスウエーハ10のストリート101における裏面10b(上面)の高さ位置に対応して上下方向に移動せしめる。この第1の集光点位置調整手段64の制御においては、制御手段80は上記光路長差(d)が所定の値になるように制御する。この結果、光デバイスウエーハ10の内部には、図12の(b)で示すように裏面10b(上面)から所定の深さ位置に裏面10b(上面)と平行に変質層110が形成される。
【0056】
なお、上記レーザー加工工程における加工条件は、上記図7に示すレーザー加工工程の加工条件と同じでよい。
以上のようにして、光デバイスウエーハ10の所定方向に延在する全てのストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直交する方向に延びる各ストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行する。このようにして、光デバイスウエーハ10に形成された全てのストリート101に沿って上記レーザー加工工程を実行したならば、光デバイスウエーハ10を保持しているチャックテーブル36は、最初に光デバイスウエーハ10を吸引保持した位置に戻され、ここで光デバイスウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、光デバイスウエーハ10は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
【0057】
以上、本発明によるチャックテーブルに保持された被加工物の計測装置をレーザー加工機に適用した例を示したが、本発明による計測装置は切削ブレードを装備した切削加工機等の他の加工機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
374:加工送り量検出手段
38:第1の割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
5:レーザー光線照射ユニット
53:第2の集光点位置調整手段
6:レーザー光線照射手段
61:パルスレーザー光線発振手段
63:集光器
631:対物レンズ
64:第1の集光点位置調整手段
65:撮像手段
7:高さ位置計測装置
71:発光源
72:光分岐手段
73:検出光照射手段
731:第1のコリメーションレンズ
732:対物レンズ
733:円筒状の基準光路長設定部材
74:第2のコリメーションレンズ
75:回折格子
76:ラインイメージセンサー
80:制御手段
10:光デバイスウエーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の位置を検出する被加工物の高さ位置計測装置において、
所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材の環状の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備している、
ことを特徴とするチャックテーブルに保持された被加工物の計測装置。
【請求項2】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の位置を検出する高さ位置計測装置とを具備し、該レーザー光線照射手段はレーザー光線を発振するレーザー光線発振器と該レーザー光線発振器から発振されたレーザー光線を集光して該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物に照射する集光器とを具備しているレーザー加工機において、
該高さ位置計測装置は、所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該集光レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材環状の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備し、
該検出光照射手段が該集光器に隣接して配設されている、
ことを特徴とするレーザー加工機。
【請求項3】
該レーザー光線照射手段の該集光器を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な集光点位置調整方向に移動せしめる集光点位置調整手段を備えており、
該制御手段は、該基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差に基づいて該集光点位置調整手段を制御する、請求項2記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
該検出光照射手段は、該集光器の加工送り方向両側にそれぞれ配設されている、請求項2又は3記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置を検出する計測装置と、を具備するレーザー加工機において、
該計測装置は、所定の波長領域を有する光を発する発光源と、
該発光源からの光を第1の経路に導くとともに該第1の経路を逆行する反射光を第2の経路に導く光分岐手段と、
該第1の経路に導かれた光を平行光に形成するコリメーションレンズと、
該コリメーションレンズによって平行光に形成された光を該チャックテーブルに保持された被加工物に導く対物レンズと、
該コリメーションレンズと該対物レンズとの間に配設され中央に光を通過させる光通過孔を備え該コリメーションレンズ側の端面に環状の受光面を有するとともに該対物レンズ側の端面に環状の反射ミラーが形成され空気よりも屈折率が大きく実質的に光路長を伸ばす透明体からなる円筒状の基準光路長設定部材と、
該基準光路長設定部材の反射ミラーによって反射し該基準光路長設定部材と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光と、該チャックテーブルに保持された被加工物で反射し該対物レンズと該基準光路長設定部材の該光通過孔と該コリメーションレンズおよび該第1の経路を逆行して該光分岐手段から該第2の経路に導かれた反射光との干渉を回折する回折格子と、
該回折格子によって回折した反射光の所定の波長域における光強度を検出するイメージセンサーと、
該イメージセンサーからの検出信号に基づいて分光干渉波形を求め、該分光干渉波形と理論上の波形関数に基づいて波形解析を実行し、該基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差を求め、該光路長差に基づいて該チャックテーブルの表面から該チャックテーブルに保持された被加工物の上面までの距離を求める制御手段と、を具備し、
該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該基準光路長設定部材と該対物レンズとの間に配設され該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線を該対物レンズに向けて方向変換するダイクロイックミラーと、を具備している、
ことを特徴とするレーザー加工機。
【請求項6】
該基準光路長設定部材と該ダイクロイックミラーとの間に配設され該コリメーションレンズによって形成された平行光を集光し該対物レンズに集光点を位置付けて該対物レンズからの光を擬似平行光に生成する集光レンズを具備している、請求項5記載の被加工物の計測装置。
【請求項7】
該レーザー光線照射手段の該対物レンズを該チャックテーブルの保持面に対して垂直な集光点位置調整方向に移動せしめる集光点位置調整手段を備えており、
該制御手段は、該基準光路長設定部材の受光面から環状の反射ミラーまでの基準光路長と該基準光路長設定部材の該光通過孔の入光部から該チャックテーブルに保持された被加工物までの光路長との光路長差に基づいて該集光点位置調整手段を制御する、請求項5又は6記載のレーザー加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−2604(P2012−2604A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136512(P2010−136512)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】