説明

チロシンキナーゼ阻害薬

本発明は、受容体型および非受容体型の両方のチロシンキナーゼの信号伝達を阻害、調整および/または調節することができる化合物に関するものである。本発明の化合物は、置換ピロール部分を有するコア構造を有する。本発明は、その化合物の製薬上許容される塩、水和物および立体異性体に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タンパク質キナーゼ(PK)は、タンパク質のチロシン、セリンおよびスレオニン残基上のリン酸化を触媒する酵素である。この見かけ上単純な作用の結果は、細胞の成長、分化および増殖と多様である。すなわち、色々な点で細胞の一生の実質的に全ての側面がPK活性に依存している。さらに、異常なPK活性が、乾癬などの比較的生命への危険性がない疾患から神経膠芽細胞腫(脳腫瘍)などの極めて悪性の疾患に至る多くの障害に関係していた。PK類は、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)およびセリン−スレオニンキナーゼ(STK)という2つの分類に分けることができる。
【0002】
PK活性を示すある種の成長因子受容体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)と称される。これは、多様な生理活性を有する膜貫通型受容体の大きい群を含む。現在では、少なくとも19種類の異なるRTKサブファミリーが確認されている。あるRTKサブファミリーは、インシュリン受容体(IR)、インシュリン様増殖因子I受容体(IGF−1R)およびインシュリン受容体関連受容体(IRR)を含む。IRおよびIGF−1Rはインシュリンと相互作用して、2種類の完全に細胞外の糖化αサブユニット、および細胞膜を横断し、チロシンキナーゼ領域を含む2種類のサブユニットから構成されるヘテロ四量体を活性化する。乳房、前立腺、甲状腺、肺、肝臓、結腸、脳、神経内分泌およびその他など(これらに限定されるものではない)の多くの腫瘍では、インシュリン様増殖因子−1受容体(IGF−1R)ならびにこれのリガンドであるIGF−1およびIGF−2が異常に発現される。
【0003】
公知のRTKサブファミリーのより完全なリストが、プロウマン(Plowman et al., KN&P, 1994, 7(6): 334-339)(あたかも本明細書に完全に記載されているように、図面も含めて参照によって本明細書に組み込まれる)らの報告に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RTK類以外に、「非受容体チロシンキナーゼ類」または「細胞チロシンキナーゼ類」と称される完全に細胞内のPTK類も存在する。この後者の呼称は「CTK」と略され、これを本明細書では使用する。CTK類は、細胞外領域および膜貫通領域を持たない。現在、11のサブファミリーで24種類を超すCTK(Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes、Fps、Fak、JakおよびAck)が確認されている。Srcサブファミリーはこれまでのところ、最も大きなCTK群であるように思われ、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkなどがある。CTK類のより詳細な議論については、ボーレンらの報告を参照する(Bolen, Oncogene, 1993, 8: 2025-2031)(あたかも本明細書に完全に記載されているように、図面も含めて参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0005】
RTK類、CTK類およびSTK類はいずれも、重要なものとして癌などの多くの病的状態において示唆されている。PTKと関連している他の多くの病的状態には、乾癬、肝硬変、糖尿病、アテローム性動脈硬化、血管新生、再狭窄、眼疾患、関節リウマチおよび他の炎症障害、自己免疫疾患および多様な腎障害などがあるが、これらに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、受容体型および非受容体型の両方のチロシンキナーゼの信号伝達を阻害、調整および/または調節することができる化合物に関する。本発明の化合物は、置換ピロール部分を有するコア構造を有する。本発明はまた、製薬上許容される塩およびそれら化合物の立体異性体に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の化合物はキナーゼの阻害に有用であり、下記式Iの化合物によって表されるか、それの製薬上許容される塩もしくは立体異性体である。
【0008】
【化8】

式中、
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換もしくは未置換C〜C10アルキル、
4)置換もしくは未置換C〜C10アルケニル、
5)置換もしくは未置換C〜C10アルキニル、
6)置換もしくは未置換アリール、
7)置換もしくは未置換C〜C10シクロアルキル、
8)置換もしくは未置換複素環、
9)−(CRORおよび
10)−(CRC(O)OR
から選択され;前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環は、1以上のRで置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)置換または未置換アラルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換アリールおよび
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)−C(O)R
4)置換または未置換C〜C10アルキル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換複素環、
7)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
8)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
9)置換または未置換C〜C10アルキニル
から選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
6)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
7)置換または未置換C〜C10アルキニル
から独立に選択され;
は、
1)置換または未置換アリール、
2)置換または未置換複素環、
3)置換または未置換シクロアルキルおよび
4)ハロゲン
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルケニル、
5)置換または未置換C〜C10アルキニル、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
7)置換または未置換アリール、
8)置換または未置換複素環、
9)−NO
10)−NR(CRC(O)R
11)−(CRNR
12)−(CRNR(CR
13)−CN、
14)−(CRC(O)R
15)−(CRC(O)(CROR
16)−(CROR
17)−(CR
18)−(CRC(O)ORおよび
19)−(CRSi(R
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルケニル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)−OR
6)−C(O)OR
7)−NR
8)置換または未置換アリール、
9)置換または未置換複素環および
10)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択され;
nは、独立に0〜6であり;
tは、1〜4である。
【0009】
本発明の第2の実施形態は、
が、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜Cアルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
7)置換または未置換複素環
から選択され;前記アルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環が、1以上のRで置換されていても良く;
が、
1)置換または未置換アラルキル、
2)置換または未置換C〜Cアルキル、
3)置換または未置換アリールおよび
4)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から選択され;
が、
1)ハロゲン、
2)−C(O)Rおよび
3)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
が、
1)水素、
2)置換または未置換C〜Cアルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環および
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択され;
他の全ての置換基および変数が上記で定義の通りである上記の式Iの化合物あるいはその化合物の製薬上許容される塩または立体異性体である。
【0010】
本発明の第3の実施形態は、
が、
1)置換または未置換C〜Cアルキル、
2)置換または未置換C〜C10アルキニル、
3)置換または未置換複素環および
4)置換または未置換アリール
から選択され;前記アルキル、アルキニル、複素環およびアリールが、1以上のRで置換されていても良く;
が、
1)置換または未置換アラルキルおよび
2)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
が、
1)ハロゲンおよび
2)−C(O)R
から選択され;
他の全ての置換基および変数が上記で定義の通りである上記の式Iの化合物あるいはその化合物の製薬上許容される塩または立体異性体である。
【0011】
本発明の第4の実施形態は、下記式IIの化合物あるいはその化合物の製薬上許容される塩または立体異性体である。
【0012】
【化9】

式中、
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜Cアルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
7)置換または未置換複素環
から選択され;前記アルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環は、1以上のRで置換されていても良く;
は、
1)置換または未置換アラルキルおよび
2)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
6)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
7)置換または未置換C〜C10アルキニル
から独立に選択され;
は、
1)置換または未置換アリール、
2)置換または未置換複素環、
3)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
4)ハロゲン
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルケニル、
5)置換または未置換C〜C10アルキニル、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
7)置換または未置換アリール、
8)置換または未置換複素環、
9)−NO
10)−NR(CRC(O)R
11)−(CRNR
12)−(CRNR(CR
13)−CN、
14)−(CRC(O)R
15)−(CRC(O)(CROR
16)−(CROR
17)−(CR
18)−(CRC(O)ORおよび
19)−(CRSi(R
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルケニル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)−OR
6)−C(O)OR
7)−NR
8)置換または未置換アリール、
9)置換または未置換複素環および
10)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択され;
nは独立に、0〜6であり;
tは、1〜4である。
【0013】
本発明の化合物の例には、
4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2,5−ジヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(4−フルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−チエン−2−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(トリメチルシリル)プロプ−1−インイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
3′−エチル−5′−ホルミル−1H,1′H−2,2′−ビピロール−1,4′−ジカルボン酸4′−ベンジル1−tert−ブチル;
5−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(1−ベンゾフラン−2−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−メチル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−[3−(アセチルアミノ)フェニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(3−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ホルミル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(フェニルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−{3−[ベンジル(メチル)アミノ]プロプ−1−インイル}−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(2−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(4−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(2−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(3−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[1−(3−ヒドロキシプロピル)ビニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ヒドロキシペント−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[3−(ジメチルアミノ)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(3,3−ジメチルブト−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(ピリジン−2−イルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[(2−ブロモフェニル)エチンイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[3−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−5−(2−エチルブチル)−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(1−ヘキシルビニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(1,3−チアゾール−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[1−(3−クロロプロピル)ビニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(5−クロロペント−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−フェニルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−イソペンチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルチエン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−イソブチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−シクロヘキシル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−シクロペンチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(シクロヘキシルメチル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−sec−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;または
これらの製薬上許容される塩もしくは立体異性体などがある。
【0014】
本発明の化合物の具体例には、
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【0015】
【化10】

【0016】
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル:
【0017】
【化11】

【0018】
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【0019】
【化12】

【0020】
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【0021】
【化13】

【0022】
5−[1−(3−クロロプロピル)ビニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【0023】
【化14】

またはそれらの製薬上許容される塩または立体異性体などがある。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態は、化合物:
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
のトリフルオロ酢酸塩である。
【0025】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を有する場合があり(E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pp. 1119-1190に記載)、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合があり、これらの可能な異性体および混合物は全て本発明に含まれる。さらに本明細書に開示の化合物は、互変異体として存在する場合があり、片方のみの互変異構造が描かれたり名称が挙げられている場合であっても、両方の互変異体が本発明の範囲に含まれるものとする。
【0026】
いずれかの可変要素(例:アリール、複素環、R、Rなど)が、いずれかの置換基に複数個存在する場合、各場合についてのこれの定義は、他のいずれの場合からも独立である。さらに、置換基および可変要素の組合せは、そのような組合せによって安定な化合物が得られる場合にのみ許容される。
【0027】
当業者が本発明の化合物の置換基および置換パターンを選択することで、化学的に安定で、容易に入手可能な原料から当業界で公知の方法ならびに下記の方法によって容易に合成可能である化合物を提供できることは明らかであろう。
【0028】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、指定の炭素原子数を有する分岐および直鎖の脂肪族炭化水素基を含むものである。例えば「C1−10アルキル」の場合のようなC1−10は、直鎖または分岐の配置で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素を有する基を含むものと定義される。例えば「C1−10アルキル」には具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどなどがある。
【0029】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は、架橋や構造的制限を受けていても受けていなくても良い指定数の炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素基を含むものである。そのようなシクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、シクロオクチル、シクルヘプチル、テトラヒドロ−ナフタレン、メチレンシクロヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される場合の「C〜C10シクロアルキル」の例には、
【0030】
【化15】

などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
炭素原子数の指定がない場合、「アルケニル」という用語は、炭素原子2〜10個を有し、少なくとも炭素−炭素二重結合を有する直鎖、分岐または環状の非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個以下の非芳香族性炭素−炭素二重結合が存在していても良い。そこで「C〜Cアルケニル」とは、炭素原子2〜6個を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルなどがある。アルキルについて前述したように、アルケニル基の直鎖、分岐または環状部分は二重結合を有することができ、置換アルケニル基が指定されている場合は置換されていても良い。
【0032】
「アルキニル」という用語は、炭素原子2〜10個を有し、少なくとも炭素−炭素三重結合を有する直鎖、分岐または環状の炭化水素基を指す。3個以下の炭素−炭素三重結合が存在していても良い。そこで「C〜Cアルキニル」とは、炭素原子2〜6個を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニルおよびブチニルなどがある。アルキルについて前述したように、アルキニル基の直鎖、分岐または環状部分は三重結合を有することができ、置換アルキニル基が指定されている場合は置換されていても良い。
【0033】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、各環7員以下の安定な単環式もしくは二環式炭素環であって、1以上の環が芳香環であるものを意味する。このようなアリール要素の例としては、フェニル、ナフチル、インダニル、インダノイル、インデニル、ビフェニル、テトラリニル、テトラロニル、フルオレノニル、フェナントリル、アントリル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルなどがある。
【0034】
当業者には明らかなように、本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」は塩素、フッ素、臭素およびヨウ素を含むものである。
【0035】
本明細書で使用されるヘテロアリールという用語は、少なくとも1個の環が芳香環であり、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む7員以下の安定な単環式または二環式の環を表す。この定義の範囲内に含まれるヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾイル、シノリニル、キノキザリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾキノリニル、イミダゾリル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、キノリル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロキノリンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書で使用される複素環または複素環式または複素環系という用語は、飽和または不飽和であり、炭素電子とN、OおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる安定な5〜7員単環式または安定な8〜11員二環式複素環を表し、上記で定義の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合している二環式の基を包含するものである。複素環は、安定な構造を与えるいずれのヘテロ原子または炭素原子で結合していても良い。従って、「複素環」または「複素環系」は、上記のヘテロアリールならびにそれのジヒドロ類縁体およびテトラヒドロ類縁体を含むものである。「複素環」のさらに別の例としては、アゼパニル、アゼチジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキソアゼピニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、シンノリニル、ジアゼパニル、ジアザピノニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロシクロペンタピリジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジオキサニル、ジオキシドテトラヒドロチエニル、ジオキシドチオモルホリニル、フリル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イミダゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、インダゾリル、インドラジニル、インドリニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリル、イソインドリニル、イソキノリノン、イソキノリル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシベンゾイル、モルホリニル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキセタニル、オキソアゼピニル、オキサジアゾリル、オキシドチオモルホリニル、オキソジヒドロフタラジニル、オキソジヒドロインドリル、オキソイミダゾリジニル、オキソピペラジニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソピリミジニル、オキソピロリル、オキソトリアゾリル、ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジノニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、ピロリジニル、キナゾリニル、キノリニル、キノリル、キノリノニル、キノキザリニル、テトラヒドロシクロヘプタピリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。本発明の1実施形態では複素環は、オキソアゼピニル、ベンズイミダゾリル、ジアゼパニル、ジアゼピノニル、イミダゾリル、オキソイミダゾリジニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、オキソピペリジニル、オキソピリミジニル、オキソピロリジニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエニル、フリル、フラニル、ピラジニル、ベンゾフラニル、イソオキサゾリル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチエニル、ジヒドロイソキノリニル、アゼパニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジオキシドテトラヒドロチエニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾチアゾリルおよびトリアゾリルから選択される。本発明の別の実施形態では複素環は、ベンゾフラニル、チエニル、ピロリル、イソオキサゾリル、フリル、ピリジル、ベンゾトリアゾリルおよびチアゾリルから選択される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」とは、C〜C10アルキル連結基(アルキルは上記で定義の通りである)を介して結合した上記で定義のアリール部分を意味するものとする。アラルキルの例には、ベンジル、ナフチルメチルおよびフェニルプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の1実施形態では、アラルキルはベンジルである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「複素環アルキル」とは、C〜C10アルキル連結基(アルキルは上記で定義の通りである)を介して結合した下記で定義の複素環部分を意味するものとする。複素環アルキルの例には、ピリジルメチル、イミダゾリルエチル、ピロリジニルメチル、モルホリニルエチル、キノリニルメチル、イミダゾリルプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「置換C〜C10アルキル」、「置換C〜C10アルケニル」および「置換C〜C10アルキニル」とは、炭素原子がハロ、C〜C20アルキル、CF、NH、N(C〜Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C〜Cアルキル)、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cアルキル)S(O)0−2−、(C〜Cアルキル)S(O)0−2(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C〜Cアルキル)CF、(C〜Cアルキル)C(O)−、(C〜Cアルキル)OC(O)−、(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)C(O)1−2(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、複素環、複素環アルキル、ハロ−アリール、ハロ−アラルキル、ハロ−複素環、ハロ−複素環アルキル、シアノ−アリール、シアノ−アラルキル、シアノ−複素環およびシアノ−複素環アルキルを含む(これらに限定されるものではない)群から選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い指定数の炭素原子を有する分岐または直鎖のアルキル基を含むものとする。
【0040】
本明細書で使用される場合、「置換C〜C10シクロアルキル」、「置換アリール」および「置換複素環」は、化合物の残りの部分への結合点以外に、1〜3個の置換基を含む環状基を包含するものとする。好ましくはこの置換基は、ハロ、C〜C20アルキル、CF、NH、N(C〜Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C〜Cアルキル)、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cアルキル)S(O)0−2−、(C〜Cアルキル)S(O)0−2(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C〜Cアルキル)CF、(C〜Cアルキル)C(O)−、(C〜Cアルキル)OC(O)−、(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)C(O)1−2(C〜Cアルキル)−、(C〜Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、複素環、複素環アルキル、ハロ−アリール、ハロ−アラルキル、ハロ−複素環、ハロ−複素環アルキル、シアノ−アリール、シアノ−アラルキル、シアノ−複素環およびシアノ−複素環アルキルを含む(これらに限定されるものではない)群から選択される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1個の置換基で置換された」といい表現は、言及されている置換された基が1〜6個の置換基を有することを意味するものである。好ましくは、言及されている置換された基は、化合物の残りの部分への結合点以外に1〜3個の置換基を有する。
【0042】
本発明の1実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、置換または未置換C〜Cアルキル、置換または未置換C〜C10アルキニル、置換または未置換アリール、置換または未置換C〜C10シクロアルキル、あるいは置換または未置換複素環である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、Rは、置換または未置換C〜Cアルキル、置換または未置換C〜C10アルキニル、置換または未置換アリール、あるいは置換または未置換複素環である。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、Rは、置換または未置換C〜Cアルキル、置換または未置換C〜C10アルキニル、置換または未置換フェニル、あるいはベンゾフラニル、チエニル、ピロリル、イソオキサゾリル、フリル、ピリジル、ベンゾトリアゾリルおよびチアゾリルから選択される置換または未置換複素環である。
【0045】
本発明の1実施形態では、Rは、置換または未置換アラルキル、置換または未置換C〜Cアルキル、置換または未置換アリールまたは置換または未置換C〜C10シクロアルキルである。
【0046】
本発明の別の実施形態では、Rは、置換または未置換アラルキルまたは置換または未置換C〜Cアルキルである。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態では、Rは、置換または未置換ベンジルまたは置換または未置換C〜Cアルキルである。
【0048】
本発明の1実施形態では、Rは、水素、ハロゲン、−C(O)Rまたは置換または未置換C〜Cアルキルである。本発明のさらに別の実施形態では、Rは−C(O)Rである。
【0049】
本発明の1実施形態では、nは独立に0、1、2、3または4である。本発明の別の実施形態では、nは独立に0、1、2または3である。
【0050】
本発明の1実施形態では、tは独立に1、2、3または4である。本発明のさらに別の実施形態では、tは独立に3である。
【0051】
ある分子における特定の位置での置換基または可変要素(例:R、R、nなど)の定義は、その分子の他の箇所でのそれの定義とは独立である。従って−N(Rは、−NHH、−NHCH、−NHCなどを表す。当業者が本発明の化合物の置換基および置換パターンを選択することで、化学的に安定で、容易に入手可能な原料から当業界で公知の方法ならびに下記の方法によって容易に合成可能である化合物を提供できることは明らかであろう。
【0052】
医薬で使用する場合、式Iの化合物の塩は製薬上許容される塩である。しかしながら、本発明による化合物またはそれの製薬上許容される塩の製造において、他の塩が有用である場合もある。本発明の化合物が酸性である場合、好適な「製薬上許容される塩」は、無機塩基および有機塩基などの製薬上許容される無毒性塩基から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩などがある。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン類、天然置換アミン類などの置換アミン類、環状アミン類および塩基性イオン交換樹脂類などがあり、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−メチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどがある。
【0053】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸などの製薬上許容される無毒性酸から製造することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などがある。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0054】
上記の製薬上許容される塩および他の代表的な製薬上許容される塩の製造については、ベルグらの報告(Berg, et al., ″Pharmaceutical Salts, ″ J. Pharm. Sci., 1977: 66: 1-19)により詳細に記載されている。
【0055】
やはり留意すべき点として、生理的条件下では、カルボキシル基などの化合物中の脱プロトン化酸性部分がアニオン性である場合があり、その電荷が4級窒素原子などのプロトン化もしくはアルキル化塩基性部分に対して内部でバランスを取られている可能性があることから、本発明の化合物は分子内塩または両性イオンとなり得る。
【0056】
下記の化学反応の説明および実施例で使用され得る略称には、下記のものなどがある。
【0057】
AcO:無水酢酸;
AcOH:酢酸;
AIBN:2,2′−アゾビスイソブチロニトリル;
Ar:アリール;
BINAP:2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′ビナフチル;
Bn:ベンジル;
BOC/Boc:tert−ブトキシカルボニル;
BSA:ウシ血清アルブミン;
CAN:硝酸セリウムアンモニウム;
CBz:カルボベンジルオキシ;
CI:化学的イオン化;
DBAD:ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート;
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン;
DCC:1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミド;
DCE:1,2−ジクロロエタン;
DCM:塩化メチレン;
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;
DME:1,2−ジメトキシエタン;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO:メチルスルホキシド;
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド;
DTT:ジチオトレイトール;
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩;
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸;
ELSD:蒸発光散乱検出器;
ES:電気スプレー;
ESI:電気スプレーイオン化;
EtOジエチルエーテル;
EtN:トリエチルアミン;
EtOAc:酢酸エチル;
EtOH:エタノール;
FAB:高速原子衝撃;
HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸;
HMPA:ヘキサメチルホスホルアミド;
HOAc:酢酸;
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;
HOOBT:3−ヒドロキシ−1,2,2−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;
HRMS:高分解能質量分析;
KOtBu:カリウムtert−ブトキシド;
LAH:水素化リチウムアルミニウム;
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析;
MCPBA:m−クロロ過安息香酸;
Me:メチル;
MeOH:メタノール;
MP−カーボネート:マクロポーラスポリスチレンカーボネート;
Ms:メタンスルホニル;
MS:質量分析;
MSCI:メタンスルホニルクロライド;
n−Bu:n−ブチル;
n−BuP:トリ−n−ブチルホスフィン;
NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;
NBS:N−ブロモコハク酸イミド;
NMM:N−メチルモルホリン;
NMR:核磁気共鳴;
Pd(PPh:パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン);
Pd(dba):トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);
Ph:フェニル;
PMSF:α−トルエンスルホニルフルオライド;
PS−DCC:ポリスチレンジシクロヘキシルカルボジイミド;
PS−DMAP:ポリスチレンジメチルアミノピリジン;
PS−NMM:ポリスチレンN−メチルモルホリン;
Pyまたはpyr:ピリジン;
PYBOP(またはPyBOP):ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム;
RPLC:逆相液体クロマトグラフィー;
RT:室温;
SCXSPE:強カチオン交換固相抽出;
t−Bu:tert−ブチル;
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム;
TBSCI:tert−ブチルジメチルシリルクロライド;
TFA:トリフルオロ酢酸;
THF:テトラヒドロフラン;
TIPS:トリイソプロピルシリル;
TMS:テトラメチルシラン;および
Tr:トリチル。
【0058】
用途
別の態様において本発明は、処置を必要とする哺乳動物でPK類(タンパク質キナーゼ類)の触媒活性を調整する方法において、前記PKを式Iの化合物と接触させる段階を有する方法に関するものである。
【0059】
本明細書で使用される場合、「調整」または「調整する」という用語は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、細胞チロシンキナーゼ(CTK)およびセリン−スレオニンキナーゼ(STK)の触媒活性を変化させることを指す。詳細には調整とは、RTK、CTKおよびSTKの触媒活性の活性化、好ましくはRTK、CTKまたはSTKが曝露される化合物もしくは塩の濃度に応じてRTK、CTKおよびSTKの触媒活性の活性化または阻害、あるいはより好ましくは、RTK、CTKおよびSTKの触媒活性の阻害を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「触媒活性」という用語は、RTKおよび/またはCTKの直接または間接の影響下でのチロシンのリン酸化、あるいはSTKの直接または間接の影響下でのセリンおよびスレオニンのリン酸化の速度を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「接触」という用語は、本発明の化合物と標的PKとを互いに合わせることであって、その化合物 が、直接、すなわちキナーゼ自体と相互作用することで、あるい間接に、すなわちキナーゼの触媒活性に依存する別の分子と相互作用することで、PKの触媒活性に影響を与えることができるように合わせることを指す。そのような「接触」は、「in vitro」で、すなわち試験管、シャーレなどで行うことができる。試験管では、接触には化合物と対象のPKのみが関与する場合があるか、全細胞が関与する場合がある。細胞を細胞培養皿で維持または増殖させ、その環境で化合物と接触させることもできる。この文脈では、特定の化合物がPK関連障害に影響を与える能力、すなわち下記で定義の化合物のIC50を求めてから、より複雑な生存生物でのin vivoにおけるその化合物の使用を試みることができる。生物外の細胞については、化合物をPKと接触させるのに複数の方法があり、 当業者には公知であり、直接細胞微量注入および多くの膜貫通キャリア法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
上記で言及したPKは本発明の別の態様では、RTK、CTKまたはSTKを含む群から選択される。好ましくは、PKはRTKである。
【0063】
さらに本発明の1態様では、触媒活性が本発明の化合物によって調整される受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、EGF、HER2、HER3、HER4、IR、IGF−1R、IRR、PDGFRα、PDGFRβ、TrkA、TrkB、TrkC、HGF、CSFIR、C−Kit、C−fms、Flk−1R、Flk4、KDR/Flk−1、Flt−1、FGFR−1R、FGFR−1R、FGFR−3RおよびFGFR−4Rを含む群から選択される。好ましくはRTKは、好ましくは受容体タンパク質キナーゼは、IR、IGF−1RまたはIRRから選択される。
【0064】
さらに、本発明の1態様では、触媒活性が本発明の化合物によって調整される細胞チロシンキナーゼは、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、ZAP70、Fes、Fps、Fak、Jak、Ack、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkからなる群から選択される。
【0065】
本発明の別の態様では、触媒活性が本発明の化合物によって調整されるセリン−スレオニンタンパク質キナーゼは、CDK2およびRafからなる群から選択される。
【0066】
別の態様において本発明は、処置を必要とする哺乳動物でのPK関連障害を治療または予防する方法において、その哺乳動物に治療上有効量の1以上の上記化合物を投与する段階を有する方法に関するものである。
【0067】
本明細書で使用される場合、「PK関連商売」、「PK誘発障害」および「異常PK活性」とはいずれも、不適切な(すなわち、低下した、あるいはより一般的には過剰の)PK触媒活性を特徴とする状態を指し、特定のPKとしてはRTK、CTKまたはSTKがあり得る。不適切な触媒活性は、(1)PKSを正常に発現しない細胞でのPK発現;(2)望ましくない細胞の増殖、分化および/または成長を生じるPK発現増加;あるいは(3)細胞の増殖、分化および/または成長における望ましくない低下を生じるPK発現低下の結果として生じ得るものである。PK活性過剰とは、特定のPKもしくはそれのリガンドをコードする遺伝子の増幅、あるいは細胞の増殖、分化および/または成長障害に関連し得るPKレベルの発生(すなわち、PKレベルが上昇するにつれて、細胞障害の1以上の症状の重度が、PK活性レベルが低下するにつれて高くなる)を指す。
【0068】
PK関連障害に関しての「治療する」、「処置」または「治療」とは、PK関連障害の原因および/または効果を軽減または除去することを指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「防止」および「予防」という用語は、哺乳動物がまず第一にPK関連障害に罹患しないようにする方法を指す。
【0070】
本発明の化合物に関しての「投与」およびそれの派生表現(例:化合物の「投与」)は、処置を必要とする動物の系への、前記化合物または前記化合物のプロドラッグの導入を意味する。本発明の化合物またはその化合物のプロドラッグが1以上の他薬剤(例:細胞毒剤など)との組合せで提供される場合、「投与」およびそれの派生表現はそれぞれ、前記化合物もしくはそれのプロドラッグおよび他薬剤の同時および順次導入を含むものと理解される。
【0071】
本明細書で使用される「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が追求する組織、系、動物またはヒトでの生理的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0072】
「癌の治療」という用語は、癌状態を患う哺乳動物への投与を指し、癌細胞を殺すことで癌状態を改善する効果と、さらには癌の成長および/または転移の阻害を生じる効果も指すものである。
【0073】
本発明の別の態様では、タンパク質キナーゼ関連障害は、RTK、CTKまたはSTK関連障害を含む群から選択することができる。好ましくは、タンパク質キナーゼ関連障害はRTK関連障害である。
【0074】
本発明のさらに別の態様では、上記で言及したPK関連障害は、EGFR関連障害、PDGFR関連障害、IGFR関連障害およびflk関連障害からなる群から選択することができる。
【0075】
本発明のさらに別の態様では、上記で言及したPK関連障害は、星状細胞腫、基底細胞癌もしくは扁平細胞癌、脳腫瘍、神経膠芽細胞腫、膀胱癌、乳癌、結直腸癌、軟骨肉腫、子宮頸癌、副腎癌、絨毛膜癌、食道癌、子宮内膜癌、赤血白血病、ユーイング肉腫、消化器癌、頭頚部癌、肝臓癌、神経膠腫、肝細胞癌、白血病、平滑筋腫、メラノーマ、非小細胞性肺癌、神経癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、横紋筋肉腫、小細胞性肺癌、胸線腫、甲状腺癌、睾丸癌および骨肉腫(これらに限定されるものではない)から選択される癌であることができる。より好ましくは前記PK関連障害は、脳腫瘍、乳癌、前立腺癌、結直腸癌、小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、腎細胞癌または子宮内膜癌から選択される癌である。
【0076】
本発明の範囲には、上記の式Iの化合物および製薬上許容される担体からなる医薬組成物が含まれる。本発明はまた、処置を必要とする哺乳動物での癌の治療または予防方法において、前記哺乳動物に治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階からなる方法を包含するものである。本発明のさらに別の態様では、式Iの化合物を用いて治療可能な種類の癌には、星状細胞腫、基底細胞癌もしくは扁平細胞癌、脳腫瘍、神経膠芽細胞腫、膀胱癌、乳癌、結直腸癌、軟骨肉腫、子宮頸癌、副腎癌、絨毛膜癌、食道癌、子宮内膜癌、赤血白血病、ユーイング肉腫、消化器癌、頭頚部癌、肝臓癌、神経膠腫、肝細胞癌、白血病、平滑筋腫、メラノーマ、非小細胞性肺癌、神経癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、横紋筋肉腫、小細胞性肺癌、胸線腫、甲状腺癌、睾丸癌および骨肉腫などがあるが、これらに限定されるものではない。より好ましくは、治療される癌は、乳癌、前立腺癌、結直腸癌、小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、腎細胞癌または子宮内膜癌から選択される。
【0077】
本発明のさらに別の態様では、上記のPK関連障害は、糖尿病、自己免疫障害、アルツハイマー病および他の認識障害、増殖亢進障害、加齢、癌、末端巨大症、クローン病、子宮内膜症、糖尿病性網膜症、再狭窄、線維症、乾癬、骨関節炎、関節リウマチ、炎症障害および血管新生から選択されるIGFR関連障害であることができる。
【0078】
処置を必要とする哺乳動物に対して治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階からなる網膜血管形成の治療または予防方法も、本発明に包含される。糖尿病性網膜症および加齢関連の黄斑変性などの眼疾患の治療または予防方法も、本発明の一部である。
【0079】
本発明の範囲には、関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎および遅延型過敏反応などの炎症疾患の治療もしくは予防方法、ならびに骨肉腫、骨関節炎および佝僂病から選択される骨関連の病気の治療もしくは予防方法も含まれる。
【0080】
本発明の化合物で治療可能であると考えられる他の障害には、アテローム性動脈硬化などの免疫障害および心血管障害などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
そこで、本発明の範囲は、
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞毒剤/細胞静止剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬;
12)PPAR−δ作働薬;
13)先天的多剤耐性阻害薬;
14)鎮吐剤;
15)貧血治療に有用な薬剤;
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤;
17)免疫増強剤;
18)細胞増殖および生存信号伝達の阻害薬;ならびに
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤
から選択される第2の化合物との併用での本明細書で特許請求の化合物の使用を包含する。
【0082】
1実施形態において、前記第2の化合物として用いられる血管新生阻害薬は、チロシンキナーゼ阻害薬、表皮由来成長因子阻害薬、線維芽細胞由来成長因子阻害薬、血小板由来成長因子阻害薬、MMP(基質金属プロテアーゼ)阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチン(combretastatin)A−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチルカルボニル)−フマギロール(fumagillol)、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1またはVEGFに対する抗体からなる群から選択される。1実施形態では、エストロゲン受容体調節剤は、タモキシフェンまたはラロキシフェン(raloxifene)である。
【0083】
特許請求の範囲には、癌の治療方法において、放射線療法との併用および/または
1)エストロゲン受容体調節剤;
2)アンドロゲン受容体調節剤;
3)レチノイド受容体調節剤;
4)細胞毒剤/細胞静止剤;
5)抗増殖剤;
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬;
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
8)HIVプロテアーゼ阻害薬;
9)逆転写酵素阻害薬;
10)血管新生阻害薬;
11)PPAR−γ作働薬;
12)PPAR−δ作働薬;
13)先天的多剤耐性阻害薬;
14)鎮吐剤;
15)貧血治療に有用な薬剤;
16)好中球減少症の治療に有用な薬剤;
17)免疫増強剤;
18)細胞増殖および生存信号伝達の阻害薬;ならびに
19)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤
から選択される化合物との併用で、治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する方法も含まれる。
【0084】
そして、本発明のさらに別の実施形態は、癌の治療方法であって、パクリタキセルまたはトラスツズマブとの併用で治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する方法である。
【0085】
本発明はさらに、癌の治療または予防方法であって、COX−2阻害薬との併用で治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する方法を包含する。
【0086】
本発明はさらに、癌を治療または予防する上で有用な医薬組成物であって、治療上有効量の式Iの化合物および
1)エストロゲン受容体調節剤、
2)アンドロゲン受容体調節剤、
3)レチノイド受容体調節剤、
4)細胞毒剤/細胞静止剤、
5)抗増殖剤、
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管新生阻害薬、
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)細胞増殖および生存信号伝達の阻害薬;ならびに
14)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤
から選択される化合物を含む組成物を包含するものである。
【0087】
さらに別の実施形態は、放射線療法との併用で、上記の組合せを用いる癌の治療方法である。
【0088】
本発明のさらに別の実施形態は、パクリタキセルまたはトラスツズマブとの併用で治療上有効量の式Iの化合物を投与する段階を有する癌の治療方法である。触媒活性が本発明の化合物によって調整されるPKには、2種類があるタンパク質チロシンキナーゼ、受容体チロシンキナーゼ(RTK)および細胞チロシンキナーゼ(CTK)、ならびにセリン−スレオニンキナーゼ(STK)などがある。RTK介在信号伝達は、特異的増殖因子(リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、それに続いて受容体二量化(またはIR、IGF−1RもしくはIRRの場合には立体配座変化)、固有タンパク質チロシンキナーゼ活性の一時的刺激、自己リン酸化およびその後の他の基質タンパク質のリン酸化が起こる。それによって、細胞内信号伝達分子のための結合部位が形成され、適切な細胞応答(例:細胞分裂、細胞外微細環境に対する代謝効果など)を促進する多様な細胞質信号伝達分子との錯体形成が行われる(Schlessinger and Ullrich, 1992, Neuron 9: 303-391参照)。
【0089】
増殖因子受容体上のチロシンリン酸化部位が、信号伝達分子のSH2(src相同)領域に対する高親和性結合部位として機能することが明らかになっている(Fantl et al., 1992, Cell 69: 413-423; Songyang et al., 1994, Mol., Cell. Biol. 14: 2777-2785; Songyang et al., 1993, Cell 72: 767-778; and Koch et al., 1991, Science 252: 668-678)。リン酸化チロシンと相互作用する別の信号伝達分子領域は、PTB領域と称される(Blaikie et al., 1994, J. Biol. Chem. 269: 32031-32034; Gustafson et al., 1995, Mol. Cell Biol., 15: 2500-25008; Kavanaugh and Williams, 1994, Science 266: 1862-1865.)。RTKと会合する細胞内基質タンパク質がいくつか確認されている。これらは、(1)触媒領域を有する基質;および(2)そのような領域を持たないが、アダプターとして機能し、触媒活性分子と会合する基質という2種類の主要な群に分けることができる(Songyang et al., 1993, Cell 72: 767-778.)。受容体とその基質のSH2領域との間の相互作用の特異性は、リン酸化チロシン残基を直接囲むアミノ酸残基によって決定される。SH2領域もしくはPTB領域と特定の受容体上のホスホチロシン残基周囲のアミノ酸配列との間の結合親和性における差は、それらの基質リン酸化プロファイルで認められる差と一致している(Songyang et al., 1993, Cell 72: 767-778.)。これらの所見は、各RTKの機能が、その発現パターンおよびリガンドの利用性だけでなく、特定の受容体によって活性化される一連の下流信号伝達経路によっても決まることを示唆している。従ってリン酸化は、特異的増殖因子受容体によって要求される信号伝達経路の選択性ならびに分化因子受容体を決定する重要な調節段階を提供する。
【0090】
主としてサイトゾルであるSTKは、多くの場合でPTK事象に対する下流応答として、細胞の内部生化学に影響を与える。DNA合成、次に有糸分裂を開始して細胞増殖に至る信号伝達プロセスにおいて、STK類が示唆されている。
【0091】
従って、PK信号伝達によって応答の中でも特に、細胞の増殖、分化、成長、代謝、および細胞運動性が生じる。細胞増殖異常により、非常に多様な障害および疾患が生じる可能性があり、これらは癌、肉腫、神経膠芽細胞腫および血管腫などの腫瘍形成;白血病、乾癬、アテローム性動脈硬化、関節炎および糖尿病性網膜症などの障害ならびに制御されない血管新生および/または血管形成に関係する他の障害の進行などがある。
【0092】
本発明の化合物がPKを阻害する機序の詳細を理解することは、本発明を実施する上で必要ではない。しかしながら、特定の機序や理論に束縛されるものではないが、これら化合物がPKの触媒領域でアミノ酸類と相互作用するものと考えられている。 PK類は代表的には二葉構造を有し、そこでATPは、アミノ酸がPK間で保存される領域におけるこの二葉間の裂け目で結合するように思われる。PKの阻害薬は、前記ATPがPKに結合する同じ一般的領域で、水素結合、ファン−デル−ワールズ力およびイオン的相互作用などの非共有結合的相互作用によって結合するものと考えられている。本明細書に開示の化合物は、このようなタンパク質についてのin vitroアッセイとしての用途を有する可能性があり、さらにはこのようなタンパク質との相互作用を介したin vivo治療効果を示す可能性がある。
【0093】
別の態様では、触媒活性が本発明の化合物との接触によって調整されるタンパク質キナーゼ(PK)は、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)、より詳細には受容体タンパク質チロシンキナーゼ(RTK)である。触媒活性が本発明の化合物またはそれの塩によって調整され得るRTK類には、EGF、HER2、HER2、HER4、IR、IGF−1R、IRR、PDGFRα、PDGFRβ、TrkA、TrkB、TrkC、HGF、CSFIR、C−Kit、C−fms、Flk−1R、Flk4、KDR/Flk−1、Flt−1、FGFR−1R、FGFR−2R、FGFR−3RおよびFGFR−4Rがあるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、RTKはIGF−1Rから選択される。
【0094】
触媒活性が本発明の化合物またはそれの塩もしくはプロドラッグとの接触によって調整されるタンパク質チロシンキナーゼは、非受容体または細胞タンパク質チロシン キナーゼ(CTK)であることもできる。そこで、Src、Frk、Btk、Csk、Ab1、ZAP70、Fes、Fps、Fak、Jak、Ack、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkなど(これらに限定されるものではない)のCTK類の触媒活性を、本発明の化合物または塩との接触によって調節することができる。
【0095】
本発明の化合物との接触によって調節される触媒活性を有し得るPKのさらに別の群は、CDK2およびRafなど(それらに限定されるものではない)のセリン−スレオニンタンパク質キナーゼ類である。
【0096】
本発明はまた、RTK類、CTK類および/またはSTK類の酵素活性に影響することで、このようなタンパク質によって伝達される信号を妨害することでPK信号伝達を調節する化合物に関するものでもある。より詳細には本発明は、癌、カポジ肉腫のような肉腫、赤芽細胞種、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、星状細胞腫、メラノーマおよび筋原細胞腫など(これらに限定されるものではない)の多種の固形腫瘍を治療させる治療手法として、RTK、CTKおよび/またはSTK介在信号伝達経路を調整する化合物に関するものである。白血病などの非固形腫瘍癌の治療または予防も、本発明によって想到される。適応症には、脳腫瘍、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、血液癌、乳癌、前立腺癌、腎細胞癌、肺癌および骨の癌などがあり得るが、これらに限定されるものではない。
【0097】
本明細書に記載の化合物が予防、治療および研究で有用となり得る不適切なPK活性に関係する種類の障害のさらに別の例には、細胞増殖障害、線維症障害および代謝障害があるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
前述のように、インシュリン様増殖因子−1受容体(IGF−1R)は、血小板由来増殖因子受容体、表皮増殖因子受容体およびインシュリン受容体などの膜貫通チロシンキナーゼ受容体類に属する。IGF−1R受容体には、2種類の既知リガンドがある。これらはIGF−1およびIGF−2である。本明細書で使用される場合、「IGF」という用語は、IGF−1とIGF−2の両方を指す。インシュリン様増殖因子類のリガンド、受容体および結合タンパク質については、総説が出されている(Krywicki and Yee, Breast Cancer Research and Treatment, 22: 7-19, 1992.)。
【0099】
IGF/IGF−1R誘発障害は、IGF/IGF−1Rの不適切または過剰な活性を特徴とする。不適切なIGF活性とは、(1)正常ではIGFもIGF−1Rも発現しない細胞でのIGFまたはIGF−1R発現;(2)癌などの望ましくない細胞増殖を生じるIGFまたはIGF−1R発現の亢進;(3)癌などの望ましくない細胞増殖を生じるIGFまたはIGF−1R活性亢進;および/またはIGFまたはIGF−1Rの過剰活性を指す。IGFまたはIGF−1Rの過剰活性とは、IGF−1、IGF−2、IGF−1Rをコードする遺伝子の増幅、あるいは細胞増殖障害に相関し得るIGF活性レベルの発生(すなわち、IGFレベルが上昇するに連れて、細胞増殖障害の1以上の症状の重度が高くなる)を指す。IGF−1およびIGF−2の生物学的利用能も、6種類が知られている1組のIGF結合タンパク質(IGP類)の有無によっても影響され得る。IGF/IGF−1Rの過剰活性は、IGF−2結合領域を有するが、細胞内キナーゼ領域を持たないIGF−2の低下によっても生じ得る。IGF/IGF−1R誘発障害の例には、カレンらの報告(Cullen, et al., Cancer Investigation, 9 (4): 443-454, 1991;参照により、図面を含む全内容が本明細書に組み込まれる)で総覧されている各種のIGF/IGF−1R関連ヒト悪性腫瘍などがある。骨芽細胞機能の調節におけるIGF/IGF−IRの臨床的重要性および役割については、シュミットの報告(Schmid, Journal of Internal Medicine, 234: 535-542,1993)に総説がある。
【0100】
従ってIGF−1R活性には、(1)IGF−1Rタンパク質のリン酸化;(2)IGF−1Rタンパク質基質のリン酸化;(3)IGFアダプタータンパク質との相互作用;(4)IGF−1Rタンパク質表面発現などがある。別のIGF−1Rタンパク質活性は、標準的な方法を用いて確認することができる。IGF−1R活性は、(1)IGF−1Rのリン酸化;(2)IGF−1R基質のリン酸化;(3)IGF−1Rアダプター分子の活性化;および(4)下流信号伝達分子の活性化、および/または(5)細胞分裂増加という活性のうちの1以上を測定することで定量することができる。これらの活性は、下記および当業界で公知の技術を用いて測定することができる。
【0101】
IGF−1Rは、いくつかの細胞種でのin vitroおよびin vivoの両方での形質転換表現型の確立および維持において必須要件であることが示唆されている(R. Baserga, Cancer Research 55: 249-252,1995)。ハービマイシン(herbimycin)Aが、ヒト乳癌細胞でのIGF−1Rタンパク質チロシンキナーゼおよび細胞増殖を阻害すると言われている(Sepp-Lorenzino, et al., 1994, J. Cell Biochem. Suppl. 18b: 246)。形質転換におけるIGF−1Rの役割を調べる実験では、アンチセンス戦略、支配的陰性変異株およびIGF−1Rに対する抗体を用いており、IGR−1Rが治療介入において好ましい標的となり得ることが示唆されている。
【0102】
栄養補給およびII型糖尿病において示唆されている以外に、IGF−1Rは数種類の癌にも関連している。例えばIGF−1は、ヒト乳癌細胞(Arteago et al., J. Clin. Invest., 1989, 84: 1418-1423)および小肺腫瘍細胞(Macauley et al., Cancer Res. , 1989, 50: 2511-2517)などの数種類の腫瘍における自己分泌成長刺激因子として示唆されている。さらにIGF−1は、神経系の正常な成長および分化に不可欠に関与するが、ヒト神経膠腫の自己分泌刺激因子であるようにも思われる(Sandberg-Nordqvist et al., Cancer Res., 1993,53 : 2475-2478)。
【0103】
結直腸癌におけるIGF−2の関与の可能性を示す例を、正常な結腸組織と比較した結腸腫瘍でのIGF−2mRNAの上昇において認めることができる(Zhang et al., Science (1997) 276: 1268-1272.)。IGF−2は、腫瘍の低酸素症誘発新血管形成においても何らかの役割を有する可能性がある(Minet et al., Int. J. Mol. Med. (2000) 5: 253-259)。IGF−2は、インシュリン受容体イソ型−Aの活性化を介して腫瘍形成においても何らかの役割を有する可能性がある。インシュリン受容体イソ型−AのIGF−2活性化によって、細胞における細胞生存信号伝達経路が活性化されるが、腫瘍細胞増殖および生存におけるそれの相対的寄与については現時点では不明である。インシュリン受容体イソ型−Aのキナーゼ領域は、標準的なインシュリン受容体のものと同一である(Scalia et al., 2001, J. Cell Biochem. 82: 610-618)。
【0104】
培養での細胞型(線維芽細胞、表皮細胞、平滑筋細胞、T−リンパ球、骨髄細胞、軟骨細胞および骨芽細胞(骨髄の幹細胞))におけるIGF−1Rおよびそれのリガンドの重要性が、IGF−1が細胞の成長および増殖を刺激する能力によって示されている(Goldring and Goldring, Eukaryotic Gene Expression, 1991, 1: 301-326)。最近の一連の発表で、バセルガらは、IGF−1Rが形質転換の機序において中心的な役割を果たすことから、広範囲のヒト悪性腫瘍における治療介入の好ましい標的となり得ることを示唆している(Baserga, Cancer Res., 1995,55 : 249- 252; Baserga, Cell, 1994,79 : 927-930; Coppola et al., Mol. Cell. Biol., 1994, 14: 4588-4595; Baserga, Trends in Biotechnology, 1996,14 : 150-152; H. M. Khandwala et al., Endocrine Reviews, 21: 215-244,2000)。本発明の化合物を用いて治療可能な主要な癌には、乳癌、前立腺癌、結直腸癌、小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、腎細胞癌または子宮内膜癌などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
IGF−1は、網膜新血管形成にも関連していた。増殖性糖尿病性網膜症が、IGF−1が高レベルである一部の患者で認められている(L. E. Smith et al., Nature Medicine, 1999, 5: 1390-1395)。
【0106】
本発明の化合物は、老化防止薬としても有用となり得る。IGF信号伝達と加齢との間には関連があることが認められている。カロリー制限哺乳動物が低レベルのインシュリンおよびIGF−1を有し、寿命が比較的長いことを示す実験がある。同様の所見が昆虫でも得られている(C. Kenyon, Cell, 2001,105: 165-168 ; E. Strauss, Science, 2001, 292: 41-43; K. D. Kimura et al., Science 1997, 277: 942-946; M. Tatar et al., Science, 2001, 292: 107-110)。
【0107】
特には乳癌などの多くの種類の癌において、STKが示唆されている(Cance et al., Int. J. Cancer, 1993, 54: 571-77)。
【0108】
異常なPK活性と疾患との間の関連は、癌に限定されるものではない。例えば、RTKは乾癬、糖尿病、子宮内膜症、血管新生、アテローム斑形成、アルツハイマー病、表皮過増殖、神経変性疾患、加齢性黄斑変性および血管腫などの疾患に関連している。例えばEGFRは、角膜および皮膚創傷治癒において示されている。インシュリン−RおよびIGF−1Rにおける欠陥が、II型糖尿病において示されている。特定のRTKとそれの治療適応症との間のより詳細な関連について、プローマンらの報告に記載されている(Plowman et al., DN&P, 1994, 7: 334-339)。
【0109】
前述のように、RTK類だけでなく、src、abl、fps、yes、fyn、lyn、lck、Zap70、blk、hck、fgrおよびyrkなど(これらに限定されるものではない)のCTK類(ボーレンらの報告(Bolen et al., FASEB J., 1993, 6: 3403-3409)が、増殖および代謝信号伝達経路に関与していることから、本発明が関係する多くのPT介在障害に関与すると予想され、それが示されている。例えば、変異src(v−src)は、ニワトリにおける腫瘍性タンパク質(pp60v−src)であることが明らかになっている。さらに、その細胞同族体である前癌遺伝子pp60v−srcは多くの受容体の発癌信号を伝達する。腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現によって、 悪性腫瘍細胞の特徴であるが正常細胞にはないpp60v−srcの構成的活性化が生じる。他方、c−srcの発現が欠乏しているマウスは大理石骨病表現型を示し、破骨細胞機能でのc−srcの重要な関与および関連障害での可能な関与を示す。
【0110】
同様にZap70が、自己免疫障害に関連し得るT細胞信号伝達において示唆されている。
【0111】
STK類は、再狭窄、線維症、乾癬、骨関節炎および関節リウマチなどの炎症、自己免疫疾患、免疫応答および過増殖障害に関連している。
【0112】
PK類は、胎芽着床においても示唆されている。従って本発明の化合物は、そのような胎芽着床を防止する有効な方法を提供することができることで、産児制限薬として有用となる得る。
【0113】
最後に、RTK類とCTK類のいずれも、現在のところ高度免疫障害に関与しているように思われる。
【0114】
本発明の上記および他の態様については、本明細書に記載の内容から明らかになろう。
【0115】
上記タンパク質キナーゼのうちの1以上の触媒活性を調整する化合物を確認する方法は、本発明の別の態様である。この方法では、所望のタンパク質キナーゼを発現する細胞と本発明の化合物(またはそれの塩もしくはプロドラッグ)とを接触させ、その化合物が細胞に与える効果について細胞のモニタリングを行う。その効果は、肉眼によって、あるいは機器、細胞表現型における変化または未変化で観察可能である。モニタリングしている細胞での変化または未変化には、例えば、その細胞でのタンパク質キナーゼの触媒活性における変化または未変化、あるいはタンパク質キナーゼと天然結合相手との相互作用における変化または未変化などがあり得るが、これらに限定されるものではない。
【0116】
組成物
上記化合物の医薬組成物が、本発明のさらに別の態様である。
【0117】
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含むもの、ならびに直接または間接に、所定量での所定の成分の組み合わせによって得られるものを包含するものである。
【0118】
本発明はさらに、癌治療において有用な医薬組成物において、製薬上許容される担体または希釈剤と併用して、あるいは併用せずに、治療上有効量の本発明の化合物を投与するものを包含するものである。本発明の好適な組成物には、本発明の化合物および薬理的に許容される担体(例:pHレベルが例えば7.4の生理食塩水)を含む水溶液などがある。その溶液は、局所ボラス注射によって患者の血流に導入することができる。
【0119】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、水系もしくは油系の懸濁液、分散性粉体もしくは粒剤、乳濁液、硬もしくは軟カプセルまたはシロップもしくはエリキシル剤などの経口用に適した剤型とすることができる。経口投与用組成物は、医薬組成物の製造に関して当業界で公知のいずれかの方法に従って製造することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1以上の薬剤を含有させて、医薬的に見た目および風味が良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤製造に好適な無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含有する。これらの賦形剤には例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;および微結晶セルロース、クロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウム、コーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンもしくはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤などがあり得る。錠剤は未コーティングとすることができるか、あるいは公知の方法によってコーティングを施して、薬剤の不快な味を隠したり、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたって持続的作用を提供するようにすることができる。例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性味被覆材料またはエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延材料を用いることができる。
【0120】
本発明の化合物は、 治療対象の状態に対して特に有用であることで選択される他の公知の治療薬と併用投与することもできる。例えば骨関連障害の場合、有用であると考えられる組合せには、アレンドロネートおよびリセドロネートなどの骨吸収抑制性ビスホスホネート類;αβ拮抗薬などのインテグリン遮断薬(下記でさらに定義される); PREMPRO(登録商標)、PREMARIN(登録商標)およびENDOMETRION(登録商標)などのホルモン代替療法で使用される結合型エストロゲン; ラロキシフェン、ドロロキシフェン、CP−336156(ファイザー(Pfizer))およびラソフォキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM);カテプシンK阻害薬;およびATPプロトンポンプ阻害薬との組合せなどがある。
【0121】
本発明の化合物はまた、公知の抗癌剤と併用して有用である。そのような公知の抗癌剤には、エストロゲン受容体調節剤、アンドロゲン受容体調節剤、レチノイド受容体調節剤、細胞傷害剤、抗増殖剤、プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬および他の血管新生阻害薬などがある。本発明の化合物は、放射線療法と併用して投与すると特に有用である。放射線療法との併用でのVEGF阻害の相乗効果が当業界では報告されている(WO 00/61186参照)。
【0122】
「エストロゲン受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、受容体に対するエストロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調節剤の例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
「アンドロゲン受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調節剤の例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアゾロール(liarozole)および酢酸アビラテロン(abiraterone)などがある。
【0124】
「レチノイド受容体調節剤」とは、機序とは無関係に、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体調節剤の例には、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4′−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドなどがある。
【0125】
「細胞傷害剤」とは、主として細胞の機能を直接妨害するか細胞の有糸分裂を阻害もしくは妨害することで細胞死を引き起こす化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、微小管阻害薬およびトポイソメラーゼ阻害薬などがある。
【0126】
細胞傷害剤の例には、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン、カルボプラチン、ドキソルビシン、アルトレタミン、プレドニマスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムシチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド(trofosfamide)、ニムスチン、ジブロスピヂウム(dibrospidium)クロライド、プミテーパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、ジアリジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3′−デアミノ−3′−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO 00/50032参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
微小管阻害薬の例には、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3′,4′−ジデヒドロ−4′−デオキシ−8′−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−1−バリル−1−バリル−N−メチル−1−バリル−1−プロリル−1−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797などがある。
【0128】
トポイソメラーゼ阻害薬のいくつかの例を挙げると、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3′,4′−O−エキソ−ベンジリデン−チャルトロイシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3′,4′:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2′−ジメチルアミノ−2′−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロ(hexohydro)フロ(3′,4′:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナがある。
【0129】
「抗増殖剤」には、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド類、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール(emitefur)、チアゾフリン、デシタビン(decitabine)、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド、ネルザラビン、2′−デオキシ−2′−メチリデンシスチジン、2′−フルオロメチレン−2′−デオキシシスチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N′−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−1−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2′−シアノ−2′−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗剤などがある。「抗増殖剤」には、トランスズマブなどの「血管新生阻害薬」のところで列記されるもの以外の増殖因子に対するモノクローナル抗体、ならびに組換えウィルス介在遺伝子転位を介して送達されるp53などの癌抑制遺伝子などもある(例えば、米国特許第6069134号参照)。
【0130】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害薬を指す。HMG−CoAレダクターゼに対して阻害活性を有する化合物は、当業界で公知のアッセイを用いることで容易に確認することができる。例えば、米国特許第4231938号第6欄およびWO84/02131の30〜33頁に記載もしくは引用されたアッセイを参照する。「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」および「HMG−CoAレダクターゼの阻害薬」という用語は、本明細書で使用する場合には同じ意味を有する。
【0131】
使用可能なHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の例としては、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4231938号、4294926号、4319039号参照)、シンバスタチン(simvastatin;ZOCOR(登録商標);米国特許第4444784号、4820850号、4916239号参照)、プラバスタチン(pravastatin;PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4346227号、4537859号、4410629号、5030447号および5180589号参照)、フルバスタチン(fluvastatin;LESCOL(登録商標);米国特許第5354772号、4911165号、4929437号、5189164号、5118853号、5290946号、5356896号参照)、アトルバスタチン(atorvastatin;LIPITOR(登録商標);米国特許第5273995号、4681893号、5489691号、5342952号参照)およびセリバスタチン(cerivastatin;リバスタチン(rivastatin)およびBAYCHOL(登録商標)とも称される;米国特許第5177080号参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の方法で用いることができる上記および別のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の構造式は、ヤルパニの報告(M. Yalpani, ″Cholesterol Lowering Drugs″, Chemistry & Industry, pp.85-89(1996年2月5日))の87頁ならびに米国特許第4782084号および4885314号に記載されている。本明細書で使用されるHMG−CoAレダクターゼ阻害薬という用語は、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の全ての製薬上許容されるラクトンおよび開環酸型(すなわち、ラクトン環が開環して遊離酸を形成している)ならびに塩およびエステル型を含むものであり、それに関してそのような塩、エステル、開環酸およびラクトン型の使用は本発明の範囲に含まれる。ラクトン部分とそれの相当する開環酸型の図を構造式IおよびIIとして以下に示してある。
【0132】
【化16】

【0133】
開環酸型が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害薬では、塩型およびエステル型は好ましくは開環酸から形成することができ、このような型は全て、本明細書で使用される「HMG−CoAレダクターゼ阻害薬」という用語に含まれる。好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害薬は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択され、最も好ましくはシンバスタチンである。本明細書において、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬に関しての「製薬上許容される塩」という用語は、好適な有機もしくは無機塩基と前記遊離酸とを反応させることで製造される本発明で用いられる化合物の無毒性の塩を意味するものであり、特にはナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびテトラメチルアンモニウムなどのカチオンから形成されるもの、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1′−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成される塩がある。塩の形のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬のさらに別の例としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロマイド、エデト酸カルシウム塩、カムシル酸塩、炭酸塩、クロライド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
上記のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流中に吸収されると、薬剤形を放出してその薬剤が改善された治療効力を与えることができるような形で開裂し得るプロドラッグとして働く場合がある。
【0135】
「プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬」とは、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニル蛋白トランスフェラーゼI型(GGPTase−I)およびゲラニルゲラニル蛋白トランスフェラーゼII型(GGPTase−II、RabGGPTaseとも称される)などの1種類またはいずれかの組合せのプレニル蛋白トランスフェラーゼ酵素を阻害する化合物を指す。プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害性化合物の例としては、(±)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、5(S)−n−ブチル−1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、(S)−1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−5−[2−(エタンスルホニル)メチル)−2−ピペラジノン、5(S)−n−ブチル−1−(2−メチルフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−2−メチル−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(2,2−ジフェニルエチル)−3−[N−(1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾール−5−イルエチル)カルバモイル]ピペリジン、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(4−クロロピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(3−クロロベンジル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ベンジル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−[1,2′]ビピリジン−5′−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−[1,2′]ビピリジン−5′−イルメチル]−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、4−[3−(2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルメチル)−3H−イミダゾール−4−イルメチル}ベンゾニトリル、18,19−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−6,10:12,16−ジメテノ−1H−イミダゾ[4,3−c][1,11,4]ジオキサアザシクロ−ノナデシン−9−カルボニトリル、(±)−19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザ−シクロオクタデシン−9−カルボニトリル、19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−18,21−エタノ−6,10:12,16−ジメテノ−22H−イミダゾ[3,4−h][1,8,11,14]オキサトリアザシクロエイコシン−9−カルボニトリルおよび(±)−19,20−ジヒドロ−3−メチル−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサ−トリアザシクロオクタデシン−9−カルボニトリルなどがある。
【0136】
プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬の他の例は、WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5420245号、米国特許第5523430号、米国特許第5532359号、米国特許第5510510号、米国特許第5589485号、米国特許第5602098号、欧州特許公開0618221、欧州特許公開0675112、欧州特許公開0604181、欧州特許公開0696593、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5661152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5571792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436および米国特許第5532359号という刊行物および特許に記載されている。血管新生に関するプレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬の例についても文献に記載がある(European J. of Cancer, Vol. 35, No. 9, pp. 1394-1401 (1999))。
【0137】
HIVプロテアーゼ阻害薬の例には、アンプレナビル(amprenavir)、アバカビル(abacavir)、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、チプラナビル(tipranavir)、リトナビル(ritonavir)、サクイナビル(saquinavir)、ABT−378、AG1776およびBMS−232632などがある。逆転写酵素阻害薬の例には、デラビリジン(delaviridine)、エファビレンツ(efavirenz)、GS−840、HBY097、ラミブジン(lamivudine)、ネビラピン(nevirapine)、AZT、3TC、ddCおよびddIなどがある。
【0138】
「血管新生阻害薬」とは、機序とは無関係に、新たな血管の形成を阻害する化合物に関する。血管新生阻害薬の例としては、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)およびFlk−1/KDR(VEGFR20)の阻害薬などのチロシンキナーゼ阻害薬、表皮由来、線維芽細胞由来もしくは血小板由来の成長因子の阻害薬、MMP(基質金属プロテアーゼ)阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリ硫酸、アスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のようなシクロオキシゲナーゼ阻害薬、ならびにセレコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)などの選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬(PNAS, Vol. 89, p.7384 (1992); JNCI, Vol. 69, p. 475 (1982); Arch. Opthalmol., Vol. 108, p.573 (1990); Anat. Rec., Vol. 238, p.68 (1994); FEBS Letters, Vol. 372, p.83 (1995); Clin, Orthop. Vol. 313, p.76 (1995); J. Mol. Endocrinol., Vol. 16, p.1O7 (1996); Jpn. J. Pharmacol., Vol. 75, p.105 (1997); Cancer Res., Vol. 57, p.1625 (1997); Cell, Vol. 93, p.705 (1998); Intl. J. Mol. Med., Vol. 2, p.715 (1998); J. Biol. Chem., Vol. 274, p.9116 (1999))、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンII拮抗薬(Fernandez et al., J. Lab. Clin. Med. 105: 141-145 (1985))およびVEGFに対する抗体などがあるが、これらに限定されるものではない(Nature Biotechnology, Vol. 17, pp.963-968 (October 1999); Kim et al., Nature, 362, 841-844 (1993);WO 00/44777およびWO 00/61186参照)。
【0139】
前述のように、NSAIDとの併用は、強力なCOX−2阻害薬であるNSAIDの使用に関するものである。本明細書に関してNSAIDは、本明細書に開示の細胞アッセイまたはミクロソームアッセイによって測定して、1μM以下のCOX−2阻害IC50を有する場合に強力である。
【0140】
本発明はさらに、選択的COX−2阻害薬であるNSAIDとの併用をも包含するものである。本明細書に関して、COX−2の選択的阻害薬であるNSAIDとは、下記で開示の細胞アッセイまたはミクロソームアッセイによって評価されるCOX−1についてのIC50に対するCOX−2についてのIC50の比によって測定されるCOX−1阻害に対するCOX−2阻害の特異性が少なくとも100倍であるものと定義される。そのような化合物には、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号、1999年12月14日発行の米国特許第6001843号、2000年2月1日発行の米国特許第6020343号、1995年4月25日発行の米国特許第5409944号、1995年7月25日発行の米国特許第5436265号、1996年7月16日発行の米国特許第5536752号、1996年8月27日発行の米国特許第5550142号、1997年2月18日発行の米国特許第5604260号、1997年12月16日発行の米国特許第5698584号、1998年1月20日発行の米国特許第5710140号、1994年7月21日公開のWO94/15932、1994年6月6日発行の米国特許第5344991号、1992年7月28日発行の米国特許第5134142号、1995年1月10日発行の米国特許第5380738号、1996年2月20日発行の米国特許第5393790号、1995年11月14日発行の米国特許第5466823号、1997年5月27日発行の米国特許第5633272号および1999年8月3日発行の米国特許第5932598号(これらはいずれも、引用によって本明細書に組み込まれるものとする)に開示されているものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
本発明の治療方法で特に有用なCOX−2阻害薬は、
3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン:
【0142】
【化17】

および
5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン:
【0143】
【化18】

あるいはこれらの製薬上許容される塩である。
【0144】
上記のCOX−2阻害薬化合物を製造するための一般的および具体的合成手順は、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号および1999年12月14日発行の米国特許第6001843号(これらはいずれも、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0145】
COX−2の特異的阻害薬であると記載されていることから、本発明で有用な化合物には、下記のものまたはこれらの製薬上許容される塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
【化19】


【0147】
COX−2の特異的阻害薬であると記載されていることから本発明で有用な化合物ならびにその化合物の合成方法は、1994年7月21日公開のWO94/15932、1994年6月6日発行の米国特許第5344991号、1992年7月28日発行の米国特許第5134142号、1995年1月10日発行の米国特許第5380738号、1995年2月20日発行の米国特許第5393790号、1995年11月14日発行の米国特許第5466823号、1997年5月27日発行の米国特許第5633272号および1999年8月3日発行の米国特許第5932598号という特許、係属出願および刊行物(これらは、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0148】
COX−2の特異的阻害薬であることから本発明で有用な化合物ならびにその化合物の合成方法は、1995年12月12日発行の米国特許第5474995号、1999年1月19日発行の米国特許第5861419号、1999年12月14日発行の米国特許第6001843号、2000年2月1日発行の米国特許第6020343号、1995年4月25日発行の米国特許第5409944号、1995年7月25日発行の米国特許第5436265号、1996年7月16日発行の米国特許第5536752号、1996年8月27日発行の米国特許第5550142号、1997年2月18日発行の米国特許第5604260号、1997年12月16日発行の米国特許第5698584号および1998年1月20日発行の米国特許第5710140号という特許、係属出願および刊行物(これらは、引用によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0149】
血管新生阻害薬の他の例には、エンドスタチオン(endostation)、ウクライン(ukrain)、ランピナーゼ(ranpinase)、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カーバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化リン酸マノペンタオース(manopentaose)、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレン・ジスルホネート)および3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
上記で使用される「インテグリン遮断薬」とは、生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗、阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を拮抗、阻害または妨害する化合物;生理的リガンドのαβおよびαβインテグリンの両方への結合を拮抗、阻害または妨害する化合物;ならびに毛細管内皮細胞上で発現される特定のインテグリンの活性を拮抗、阻害または妨害する化合物を指す。その用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンの拮抗薬をも指す。その用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβインテグリンのいずかの組合せの拮抗薬をも指す。
【0151】
チロシンキナーゼ阻害薬の具体例をいくつか挙げると、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3′,2′,1′−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4′−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミンおよびEMD121974などがある。
【0152】
本発明の化合物はさらに、単独であるいはチロフィバン(tirofiban)などの血小板フィブリノーゲン受容体(GPIIb/IIIa)拮抗薬と併用して、癌細胞の転移を阻害するのに有用である。腫瘍細胞は、かなりの部分がトロンビン発生を介して血小板を活性化することができる。この活性化は、VEGFの放出に関連する。VEGFの放出は、血管内皮への接着箇所での血液浸出を増加させることで、転移を促進する(Amirkhosravi, Platelets 10, 285-292, 1999)。従って本発明の化合物は、単独であるいはGPIIb/IIIa拮抗薬との併用で、転移を阻害する効果を有する可能性がある。他のフィブリノーゲン受容体拮抗薬の例には、アブシキマブ(abciximab)、エプチフィバチド(eptifibatide)、シブラフィバン(sibrafiban)、ラミフィバン(lamifiban)、ロトラフィバン(lotrafiban)、クロモフィバン(cromofiban)およびCT50352などがある。
【0153】
製剤
本発明の化合物は、標準的な薬剤の慣習に従って、哺乳動物、好ましくはヒトに、単独で、あるいは好ましくは薬剤として許容される担体、薬剤組成物中、適宜にミョウバンなどの公知の補助剤とともに賦形剤または希釈剤と組み合わせて投与することができる。本発明の化合物は、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮下、直腸および/または局所的投与経路を含めて、経口的または非経口的に投与することができる。
【0154】
固定用量として製剤する場合、そのような組合せ薬は、下記の用量範囲内の本発明の化合物および承認された用量範囲内での他の製薬上活性な薬剤を用いる。組合せ製剤が不適切である場合には別法として、本発明の化合物を、公知の製薬上許容される薬剤と順次使用することができる。
【0155】
経口投与用製剤は、有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混和した硬ゼラチンカプセルとして、あるいは有効成分を、ポリエチレングリコールなどの水溶性担体または例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油系媒体と混和した軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0156】
特に化学療法での本発明による化合物の経口使用においては、選択された化合物を例えば錠剤もしくはカプセルの形で、あるいは水溶液もしくは水系懸濁液として投与することができる。経口用の錠剤の場合、一般に使用される担体には乳糖およびコーンスターチなどがあり、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を加えるのが一般的である。カプセルの形で経口投与する場合、有用な希釈剤には乳糖および乾燥コーンスターチなどがある。経口投与用に水系懸濁液が必要な場合、有効成分を乳化剤および懸濁剤と組み合わせる。所望に応じて、ある種の甘味剤および/または香味剤を加えることができる。筋肉投与、腹腔内投与、皮下投与および静脈投与する場合、有効成分の無菌溶液を調製するのが普通であり、溶液のpHを好適に調節および緩衝しなければならない。静脈投与の場合、溶質の総濃度を管理して、製剤を等張性としなければならない。
【0157】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した形で活性材料を含む。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤がある。分散剤または湿展剤には、レシチンなどの天然ホスファチド、あるいは例えばポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物があり得る。水系懸濁液には、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエチルもしくはn−プロピルエステルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ショ糖、サッカリンもしくはアスパルテームなどの1以上の甘味剤を含有させることもできる。
【0158】
油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油中に有効成分を懸濁させることで製剤することができる。油系懸濁液には、蜜ロウ、硬パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のような甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソールまたはα−トコフェロールなどの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0159】
水を加えることで水系懸濁液を調製する上で好適な分散性粉体および粒剤では、有効成分を、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤と混合する。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、前述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などの別の賦形剤を存在させることもできる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0160】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳濁液の形とすることもできる。油相としては、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油、大豆レシチンなどのホスファチド類、ならびにソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと前記部分エステルとの縮合生成物があり得る。乳濁液にはさらに、甘味剤、香味剤、保存剤および酸化防止剤を含有させることもできる。
【0161】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤、香味剤および着色剤ならびに酸化防止剤を含有させることもできる。
【0162】
医薬組成物は、無菌の注射用水溶液の形とすることができる。使用可能な許容される担体および溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。
【0163】
無菌注射用製剤は、有功成分を油相に溶かした無菌注射用水中油ミクロ乳濁液であることもできる。例えば、最初に有効成分を大豆油とレシチンの混合物の溶かすことができる、次に、その油系溶液を水とグリセリンの混合液に入れ、処理してミクロ乳濁液を形成する。
【0164】
注射用液剤またはミクロ乳濁液は、局所ボラス注射によって患者の血流に導入することができる。別法として、本発明の化合物の一定の循環濃度を維持するような形で、液剤またはミクロ乳濁液を投与することが有利な場合がある。そのような一定濃度を維持するには、連続静脈投与装置を用いることができる。そのような装置の例には、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(商標名)5400型静脈ポンプがある。
【0165】
医薬組成物は、筋肉投与または皮下投与用の無菌注射用水系もしくは油系懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁液とすることもできる。さらに、従来から溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。それに関しては、合成モノもしくはジグリセリドなどのいかなる種類の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の製剤に使用することができる。
【0166】
式Iの化合物は、薬剤の直腸投与用の坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸体温では液体となることで、直腸で融解して薬剤を放出する好適な無刺激性賦形剤と該薬剤とを混和することで製剤することができる。そのような材料には、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール類の混合物ならびにポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類などがある。
【0167】
局所用には、式Iの化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁液などを用いる(この投与法に関して、局所投与には含嗽液およびうがい剤が含まれる)。
【0168】
本発明の化合物は、好適な経鼻媒体および投与装置の局所使用を介して経皮的に、あるいは当業者には公知の経皮皮膚貼付剤の形態のものを用いて経皮経路で投与することができる。経皮投与系の形態で投与するには当然のことながら、製剤の投与は、投与法を通じて間歇的ではなく連続的なものとなる。本発明の化合物は、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール類の混合物ならびにポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類などの基剤を用いる坐剤として投与することもできる。
【0169】
本発明による化合物をヒト被験者に投与する場合、1日用量は通常、個々の患者の年齢、体重および応答ならびに患者の症状の重度に応じて用量を変動させながら、処方医が決定する。
【0170】
ある使用例では、好適な量の化合物を、癌治療を受けている哺乳動物に投与する。投与は、約0.1mg/kg/日〜約60mg/mg/日、好ましくは約0.5mg/kg/日〜約40mg/mg/日の量で行う。
【0171】
本発明の化合物は、文献で公知であるか実験手順に例示されている他の標準的な手法以外に、以下の図式に示した反応を用いることで製造することができる。従ってこれらの図式は、挙げてある化合物や例示を目的として用いられている特定の置換基によって限定を受けるものではない。図式に示してある置換基の番号割り付けは、必ずしも特許請求の範囲で用いているものと対応しているとは限らない。
【0172】
図式1には、ピロール2の合成を詳細に示してある。必要なβ−ケトエステル中間体1の図示した合成では、ヨネミツらの報告(Yonemitsu, et al., JOC (1978) Vol.43, 2087-2088)の方法を利用する。
【0173】
【化20】





【0174】
実施例
下記で提供の実施例は、本発明についての理解をさらに深める上で役立てることを目的としたものである。使用される特定の材料、化学種および条件は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の妥当な範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0175】
4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0176】
【化21】

【0177】
段階A:2−tert−ブチル3−エチル−5−メチル−1H−ピロール−2,4−ジカルボン酸4−ベンジル(PCT公開WO03/035616)(99.9mg、0.291mmol)のCHCl(0.6mL、9.31mmol)溶液に、トリエチルシラン(0.12mL、0.73mmol)と次にトリフルオロ酢酸(0.29m1,3.78mmol)を加えた。反応液を室温で3時間攪拌した後、それを冷却して0℃としてから、氷冷1N NaHCO(0.29mL)を加えた。混合物をCHClで抽出した(5mLで3回)。合わせた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残留物を順相クロマトグラフィーによって精製して、脱炭酸生成物を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.12(広いs、1H);7.28〜7.42(m、5H);6.34(広いs、1H);5.28(s、2H);2.71(q、J=7.5Hz、2H);2.47(s、3H);1.15(t、J=7.3Hz、3H)。
【0178】
段階B:4−エチル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル(7.01mg、0.29mmol)のTHF(3.4mL)、酢酸(4.2mL)および水(3.4mL)溶液を室温で攪拌しながら、それに硝酸セリウムアンモニウム(0.6316g、1.15mmol)を加えた。5時間後、反応液を水(100mL)に投入し、CHClで抽出した(50mLで3回)。合わせた有機層を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残留物を順相クロマトグラフィーによって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.13(s、1H);7.35〜7.44(m、5H);6.85(広いs、1H);5.36(s、2H);2.78(q、J=7.6Hz、2H);1.20(t、J=7.6Hz、3H)。C1516NO(M+H)のHRMS(ES)質量;計算値:258.1052。LC/MSによる実測値:258.1。
【実施例2】
【0179】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0180】
【化22】

【0181】
段階A:2−tert−ブチル3−エチル−5−ホルミル−1H−ピロール−2.4−ジカルボン酸4−ベンジル(PCT公開WO03/035616)(17.2mg(0.048mmol)のCHCl(0.2mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.1mL)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌した後、それを冷却して0℃とし、それから氷冷1N NaHCO(0.1mL)を加えた。混合物をCHClで抽出した(5mLで3回)。合わせた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。生成物は純粋ではなかった。
【0182】
段階B:4−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−3−エチル−5−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボン酸(2.85g、9.46mmol)のCHCl(60mL)溶液に、NaHCO(3.17g、37.84mmol)の水溶液(水60mL)を加えた。混合物を高攪拌しながら、KI(4.71g、28.38mmol)およびI(2.59g、10.22mmol)の水溶液(水51.6mL)を加えた。得られた混合物を加熱して45℃として、最初の赤色/褐色が消えるまで25分間経過させた。反応を冷却して室温としてから、相を分離した。有機層をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残留物を、順相クロマトグラフィー(10%から25%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ9.94(s、1H);7.35〜7.43(m、5H);5.36(s、2H);2.69(q、J=7.5Hz、2H);1.08(t、J=7.5Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1515INO(M+H)の計算値:384.001。実測値:384.3000。
【実施例3】
【0183】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0184】
【化23】

【0185】
段階A:3−エチル−5−ホルミル−1H−ピロール−2,4−ジカルボン酸2−tert−ブチル4−メチル(PCT公開WO03/035615)(85.0mg、0.302mmol)のCHCl(0.62mL、9.66mmol)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.30mL、3.93mmol)を加えた。反応液を室温で2時間攪拌した後、反応液を冷却して0℃としてから、氷冷水を加えた。混合物をCHClによって抽出した(5mLで3回)。合わせた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。未精製取得物のプロトンNMRは、所望の生成物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.27(s、1H);3.95(s、3H);3.15(q、J=7.3Hz、2H);1.21(t、J=7.3Hz、3H)。
【0186】
段階B:4−[(メトキシ)カルボニル]−3−エチル−5−ホルミル−1H−ピロール−2−カルボン酸(3.80g、16.87mmol)のCHCl(170mL)溶液に、NaHCO(5.67g、67.50mmol)の水溶液(水85mL)を加えた。混合物を高攪拌しながら、KI(8.40g、50.62mmol)およびI(4.63g、18.22mmol)の水溶液(水85mL)を加えた。得られた混合物を加熱して45℃とし、最初の赤色/褐色が消えるまで2時間経過させた。反応液を冷却して室温としてから、相を分離した。有機層を水で1回洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残留物を、順相クロマトグラフィー(10%から30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ9.95(s、1H);3.92(s、3H);2.70(q、J=7.5Hz、2H);1.11(t、J=7.5Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C11INO(M+H)の計算値:307.9778。実測値:307.9775。
【実施例4】
【0187】
4−エチル−2,5−ジヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0188】
【化24】

【0189】
実施例3に記載の手順に従って、標題化合物を第2の生成物として得た。この生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C10NO(M+H)の計算値:427.8615。LC/MSによる実測値:427.8。
【実施例5】
【0190】
5−(4−フルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0191】
【化25】

【0192】
実施例3に記載の手順に従って、4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルを得た。4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル(0.123g、0.40mmol)のジメトキシエタン(4.0mL)溶液に、KPO(0.426g、2.00mmol)、Pd(PPh(0.0463g、0.04mmol)および4−フルオロフェニルボロン酸(0.0842g、0.60mmol)を加えた。溶液にアルゴンを吹き込んで反応液を脱酸素してから、加熱して85℃とし、アルゴン下に16時間還流させた。冷却して室温とした後、反応液をシリカゲル層で濾過し、濃縮した。得られた残留物をアセトニトリルに溶かし、逆相HPLCによって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.15(s、1H);7.43(dd、J=3.4、5.2Hz、2H);7.18(見かけのt、8.6Hz、2H);3.94(s、3H);2.80(q、J=7.4Hz、2H);1.22(t、J=7.4Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1515FNO(M+H)の計算値:276.1312。実測値:276.1264。
【実施例6】
【0193】
4−エチル−2−ホルミル−5−チエン−2−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0194】
【化26】

【0195】
実施例3に記載の手順に従って、4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルを得た。4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル(0.123g、0.40mmol)およびブロモ(チエン−2−イル)亜鉛(0.1374g、0.60mmol)のTHF(2.0mL)溶液に、Pd(Pt−Bu(0.0123g、0.02mmol)およびN−メチルピロリジン(2.0mL)を加えた。溶液にアルゴンを吹き込んで反応液を脱酸素してから、加熱して100℃とし、アルゴン下に4時間還流させた。冷却して室温とした後、反応液をシリカゲル層で濾過し、濃縮した。得られた残留物をアセトニトリルに溶かし、逆相HPLCによって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.14(s、1H);7.42(d、J=5.1Hz、1H);7.24(d、J=3.7Hz、1H);7.14(dd、J=3.7、4.7Hz、1H);3.94(s、3H);2.94(q、J=7.4Hz、2H);1.24(t、J=7.4Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1314NOS(M+H)の計算値:264.0689。実測値:264.0688。
【実施例7】
【0196】
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(トリメチルシリル)プロプ−1−インイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0197】
【化27】

【0198】
実施例3に記載の手順に従って、4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルを得た。Pd(Pt−Bu(18.4mg、0.040mmol)、Pd(dba)(16.5mg、0.020mmol)およびCuI(4.6mg、0.020mmol)を、N下に乾燥フラスコ中で混合してから、フラスコを排気し、アルゴンで再充填した。フラスコにジオキサン(4.0mL)を入れた後、i−PrNEt(0.0675mL、0.48mmol)、トリメチル(プロプ−2−インイル)シラン(90.0mg、0.80mmol)および4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル(123.0mg、0.40mmol)をその順序で加えた。反応液を80℃で終夜攪拌した。反応液を冷却して室温とした後、それをシリカゲル層で濾過し、減圧下に濃縮した。得られた残留物をアセトニトリルに溶かし、逆相HPLCによって精製した。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.04(s、1H);3.90(s、3H);2.78(q、J=7.5Hz、2H);1.77(s、2H);1.16(t、J=7.5Hz、3H);0.17(s、9H)。HRMS(ES)精密質量;C1522NOSi(M+H)の計算値:292.1364。実測値:292.1364。
【実施例8】
【0199】
3′−エチル−5′−ホルミル−1H,1′H−2,2′−ビピロール−1,4′−ジカルボン酸4′−ベンジル1−tert−ブチル
【0200】
【化28】

【0201】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用いて、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピロール−2−イルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1919(M+H)の計算値:323.1390。実測値:323.1384。
【実施例9】
【0202】
5−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0203】
【化29】

【0204】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イルボロン酸を用い、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2021(M+H)の計算値:353.1502。実測値:353.1496。
【実施例10】
【0205】
5−(1−ベンゾフラン−2−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0206】
【化30】

【0207】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて1−ベンゾフラン−2−イルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2320NO(M+H)の計算値:374.1372。実測値:374.1387。
【実施例11】
【0208】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0209】
【化31】

【0210】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−ニトロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2119(M+H)の計算値:379.1289。実測値:379.1290。
【実施例12】
【0211】
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−メチル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0212】
【化32】

【0213】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて5−メチル−2−フリルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2020NO(M+H)の計算値:338.1382。実測値:338.1387。
【実施例13】
【0214】
5−[3−(アセチルアミノ)フェニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0215】
【化33】

【0216】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−(アセチルアミノ)フェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2323(M+H)の計算値:391.1653。実測値:391.1651。
【実施例14】
【0217】
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0218】
【化34】

【0219】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えてピリジン−4−イルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2019(M+H)の計算値:335.1390。実測値:335.1402。
【実施例15】
【0220】
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0221】
【化35】

【0222】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えてフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ9.39(広いs、1H);7.36〜7.50(m、5H);5.40(s、2H);2.85(q、J=7.3Hz、2H);1.22(t、J=7.3Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C2120NO(M+H)の計算値:334.1938。実測値:334.1430。
【実施例16】
【0223】
5−(3−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0224】
【化36】

【0225】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−シアノフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2219(M+H)の計算値:359.1390。実測値:359.1394
【実施例17】
【0226】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0227】
【化37】

【0228】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−メトキシフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.14(s、1H);7.45(m、2H);7.36〜7.41(m、4H);7.02(m2H);6.96(m、2H);5.39(s、2H);3.85(s、3H);2.85(q、J=7.3Hz、2H);1.21(t、J=7.3Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C2222NO(M+H)の計算値:364.1594。実測値:364.1573。
【実施例18】
【0229】
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ホルミル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0230】
【化38】

【0231】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて5−ホルミル−2−フリルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2018NO(M+H)の計算値:352.1180。実測値:352.1183。
【実施例19】
【0232】
4−エチル−2−ホルミル−5−(フェニルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0233】
【化39】

【0234】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてエチンイルベンゼンを用いて、実施例7に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1716NO(M+H)の計算値:282.1125。実測値:282.1121。
【実施例20】
【0235】
5−{3−[ベンジル(メチル)アミノ]プロプ−1−インイル}−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0236】
【化40】

【0237】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてN−ベンジル−N−メチル−N−プロプ−2−インイルアミンを用いて、実施例7に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2023(M+H)の計算値:339.1703。実測値:339.1703。
【実施例21】
【0238】
5−(2−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0239】
【化41】

【0240】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)ベンゾニトリルを用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2219(M+H)の計算値:359.1390。実測値:359.1386。
【実施例22】
【0241】
5−(4−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0242】
【化42】

【0243】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−シアノフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2219(M+H)の計算値:359.1390。実測値:359.1387。
【実施例23】
【0244】
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0245】
【化43】

【0246】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−ニトロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2119(M+H)の計算値:379.1216。実測値:379.1270。
【実施例24】
【0247】
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0248】
【化44】

【0249】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2−メトキシフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2222NO(M+H)の計算値:364.1544。実測値:364.1537。
【実施例25】
【0250】
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0251】
【化45】

【0252】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−メトキシフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2222NO(M+H)の計算値:364.1544。実測値:364.1536。
【実施例26】
【0253】
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0254】
【化46】

【0255】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2−メチルフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2222NO(M+H)の計算値:348.1594。実測値:348.1603。
【実施例27】
【0256】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0257】
【化47】

【0258】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−メチルフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2222NO(M+H)の計算値:348.1594。実測値:348.1611。
【実施例28】
【0259】
5−(2−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0260】
【化48】

【0261】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2−クロロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2119ClNO(M+H)の計算値:368.1048。実測値:368.1015。
【実施例29】
【0262】
5−(3−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
【0263】
【化49】

【0264】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルに代えて4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジルを用い、4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−クロロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C2119ClNO(M+H)の計算値:368.1048。実測値:368.1018。
【実施例30】
【0265】
4−エチル−2−ホルミル−5−[1−(3−ヒドロキシプロピル)ビニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0266】
【化50】

【0267】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてペント−4−イン−1−オールを用いて、実施例7に記載の手順に従って、標題化合物を第2の生成物として得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1420NO(M+H)の計算値:266.1387。実測値:266.1388。
【実施例31】
【0268】
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ヒドロキシペント−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0269】
【化51】

【0270】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてペント−4−イン−1−オールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1418NO(M+H)の計算値:264.1231。実測値:264.1227。
【実施例32】
【0271】
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0272】
【化52】

【0273】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて1−エチンイルシクロヘキサノールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.09(s、1H);3.91(s、3H);2.81(q、J=7.5Hz、2H);1.52〜2.03(m、10H);1.17(t、J=7.5Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1722NO(M+H)の計算値:304.1544。実測値:304.1536。
【実施例33】
【0274】
5−[3−(ジメチルアミノ)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0275】
【化53】

【0276】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてN,N−ジメチル−N−プロプ−2−インイルアミンを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1419(M+H)の計算値:263.1390。実測値:263.1388。
【実施例34】
【0277】
5−(3,3−ジメチルブト−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0278】
【化54】

【0279】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて3,3−ジメチルブト−1−インを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1520NO(M+H)の計算値:262.1438。実測値:262.1440。
【実施例35】
【0280】
4−エチル−2−ホルミル−5−(ピリジン−2−イルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0281】
【化55】

【0282】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて2−エチンイルピリジンを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1615(M+H)の計算値:283.1077。実測値:283.1065。
【実施例36】
【0283】
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0284】
【化56】

【0285】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えてブロモ(6−メトキシピリジン−2−イル)亜鉛を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物についてのプロトンNMRは、3:1比のアトロプアステレオマーとしての標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.22(s、0.25H);10.19(s、0.75H);7.66(見かけのt、J=7.6Hz、1H);7.25(m、1H)、6.72(見かけのd、J=8.3Hz、1H);4.02(s、3H);3.94(s、2.25H);3.93(s、0.75H);2.69(m、2H);1.31(t、J=7.4Hz、2.25H);1.18(t、J=7.4Hz、0.75H)。HRMS(ES)精密質量;C1517(M+H)の計算値:289.1183。実測値:289.1184。
【実施例37】
【0286】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0287】
【化57】

【0288】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて3−メトキシプロプ−1−インを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1316NO(M+H)の計算値:250.1231。実測値:250.1231。
【実施例38】
【0289】
5−[(2−ブロモフェニル)エチンイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0290】
【化58】

【0291】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて1−ブロモ−2−エチンイルベンゼンを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1715BrNO(M+H)の計算値:360.0230。実測値:360.0232。
【実施例39】
【0292】
5−[3−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0293】
【化59】

【0294】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて1−プロプ−2−インイル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1817(M+H)の計算値:337.1295。実測値:337.1297。
【実施例40】
【0295】
4−エチル−5−(2−エチルブチル)−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0296】
【化60】

【0297】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(2−エチルブチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1524NO(M+H)の計算値:266.1751。実測値:266.1749。
【実施例41】
【0298】
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0299】
【化61】

【0300】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(4−メチルピリジン−2−イル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1517(M+H)の計算値:273.1234。実測値:273.1224。
【実施例42】
【0301】
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0302】
【化62】

【0303】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(6−メチルピリジン−2−イル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.24(s、1H);8.04(t、J=7.8Hz、1H);7.67(d、J=8.0Hz、1H);7.37(d、J=7.7Hz、1H);3.95(s、3H);3.01(q、J=7.4Hz、2H);2.75(s、3H);1.31(t、J=7.4Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1517(M+H)の計算値:273.1234。実測値:273.1227。
【実施例43】
【0304】
5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0305】
【化63】

【0306】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−tert−ブチルフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1924NO(M+H)の計算値:314.1751。実測値:314.1743。
【実施例44】
【0307】
5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0308】
【化64】

【0309】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2,4−ジフルオロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1514NO(M+H)の計算値:294.0863。実測値:294.0937。
【実施例45】
【0310】
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0311】
【化65】

【0312】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて3−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1718NO(M+H)の計算値:316.1180。実測値:316.1173。
【実施例46】
【0313】
4−エチル−2−ホルミル−5−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0314】
【化66】

【0315】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1718NO(M+H)の計算値:316.1180。実測値:316.1181。
【実施例47】
【0316】
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0317】
【化67】

【0318】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて1−エチンイルシクロペンタノールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.09(s、1H);3.91(s、3H);2.80(q、J=7.5Hz、2H);1.78〜2.07(m、8H);1.17(t、J=7.5Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1620NO(M+H)の計算値:290.1387。実測値:290.1408。
【実施例48】
【0319】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0320】
【化68】

【0321】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて2−メチルブト−3−イン−2−オールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1418NO(M+H)の計算値:264.1231。実測値:264.1234。
【実施例49】
【0322】
4−エチル−2−ホルミル−5−(1−ヘキシルビニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0323】
【化69】

【0324】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えてオクト−1−インを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を主要生成物として得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1726NO(M+H)の計算値:292.1907。実測値:292.1897。
【実施例50】
【0325】
4−エチル−2−ホルミル−5−(1,3−チアゾール−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0326】
【化70】

【0327】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(1,3−チアゾール−2−イル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.23(s、1H);7.88(d、J=3.2Hz、1H);7.43(d、J=3.1Hz、1H);3.95(s、3H);3.12(q、J=7.5Hz、2H);1.28(t、J=7.5Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1213S(M+H)の計算値:265.0642。実測値:265.0644。
【実施例51】
【0328】
5−[1−(3−クロロプロピル)ビニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0329】
【化71】

【0330】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて5−クロロペント−1−インを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を第2の生成物として得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.10(s、1H);5.39(s、1H);5.32(s、1H);3.92(s、3H);3.54(t、J=6.4Hz、2H);2.79(q、J=7.3Hz、2H);2.59(t、J=7.3Hz、2H);1.87(m、2H);1.17(t、J=7.3Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1419ClNO(M+H)の計算値:284.1048。実測値:284.1069。
【実施例52】
【0331】
5−(5−クロロペント−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0332】
【化72】

【0333】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて5−クロロペント−1−インを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.07(s、1H);3.91(s、3H);3.70(t、J=6.4Hz、2H);2.79(q、J=7.6Hz、2H);2.68(t、J=6.4Hz、2H);2.08(5重線、J=6.6Hz、2H);1.16(t、J=7.6Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1417ClNO(M+H)の計算値:282.0892。実測値:282.0889。
【実施例53】
【0334】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−フェニルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0335】
【化73】

【0336】
トリメチル(プロプ−2−インイル)シランに代えて2−フェニルブト−3−イン−2−オールを用いて、実施例7に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1920NO(M+H)の計算値:326.1387。実測値:326.1386。
【実施例54】
【0337】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0338】
【化74】

【0339】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(3−メチルピリジン−2−イル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1517(M+H)の計算値:273.1234。実測値:273.1235。
【実施例55】
【0340】
4−エチル−2−ホルミル−5−イソペンチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0341】
【化75】

【0342】
段階2のブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(イソペンチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1422NO(M+H)の計算値:252.1594。実測値:252.1593。
【実施例56】
【0343】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルチエン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0344】
【化76】

【0345】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(3−メチルチエン−2−イル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1416NOS(M+H)の計算値:278.0846。実測値:278.0864。
【実施例57】
【0346】
4−エチル−2−ホルミル−5−イソブチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0347】
【化77】

【0348】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(イソブチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1320NO(M+H)の計算値:238.1438。実測値:238.1435。
【実施例58】
【0349】
5−シクロヘキシル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0350】
【化78】

【0351】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(シクロヘキシル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1522NO(M+H)の計算値:264.1594。実測値:264.1608。
【実施例59】
【0352】
5−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0353】
【化79】

【0354】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(ブチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。H NMR(500MHz、CDCl)δ10.03(s、1H);3.90(s、3H);2.69(q、J=7.4Hz、2H);2.61(t、J=7.7Hz、2H);1.61(m、2H);1.37(m、2H);1.13(t、J=7.4Hz、3H);0.94(t、J=7.4Hz、3H)。HRMS(ES)精密質量;C1320NO(M+H)の計算値:238.1438。実測値:238.1435。
【実施例60】
【0355】
5−シクロペンチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0356】
【化80】

【0357】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(シクロペンチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1420NO(M+H)の計算値:250.1438。実測値:250.1459。
【実施例61】
【0358】
5−(シクロヘキシルメチル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0359】
【化81】

【0360】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ−(シクロヘキシルメチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1624NO(M+H)の計算値:278.1751。実測値:278.1757。
【実施例62】
【0361】
5−sec−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0362】
【化82】

【0363】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(sec−ブチル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1320NO(M+H)の計算値:238.1438。実測値:238.1425。
【実施例63】
【0364】
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0365】
【化83】

【0366】
ブロモ(チエン−2−イル)亜鉛に代えてブロモ(3−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)亜鉛を用いて、実施例6に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1420NO(M+H)の計算値:282.1336。実測値:282.1345。
【実施例64】
【0367】
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0368】
【化84】

【0369】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えてフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1516NO(M+H)の計算値:258.1052。実測値:258.3200。
【実施例65】
【0370】
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0371】
【化85】

【0372】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えてピリジン−4−イルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1415(M+H)の計算値:259.1077。実測値:259.1081。
【実施例66】
【0373】
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0374】
【化86】

【0375】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて4−ニトロフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1515(M+H)の計算値:303.0976。実測値:303.0979。
【実施例67】
【0376】
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
【0377】
【化87】

【0378】
4−フルオロフェニルボロン酸に代えて2−メトキシフェニルボロン酸を用いて、実施例5に記載の手順に従って、標題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、標題化合物と一致していた。HRMS(ES)精密質量;C1618NO(M+H)の計算値:288.1158。LC/MSによる実測値:288.35。
【0379】
アッセイ
上記実施例に記載の本発明の化合物について、下記のアッセイによる試験を行い、それらがキナーゼ阻害活性を有することが認められた。特に本発明の化合物は、IGF−1Rまたはインシュリン受容体キナーゼ活性を阻害し、IC50は約100μM以下であった。他のアッセイは文献で公知であり、当業者であれば容易に実施可能であると考えられる(例えば、Dhanabal et al., Cancer Res. 59: 189-197; Xin et al., J. Biol. Chem. 274: 9116-9121; Sheu et al., Anticancer Res. 18: 4435-4441; Ausprunk et al., Dev. Biol. 38: 237-248; Gimbrone et al., J. Natl. Cancer Inst. 52: 413-427; Nicosia et al., In Vitro 18: 538-549参照)。
【0380】
IGF−1Rキナーゼアッセイ
IGF−1R受容体キナーゼ活性は、チロシン残基を有するペプチド基質へのリン酸の取り込みによって測定される。そのペプチド基質のリン酸化は、HTRF(均一時間分解蛍光)検出システムで抗IGF−1R抗体および抗ホスホチロシン抗体を用いて定量される(Park, Y-W., et al. Anal. Biochem., (1999) 269, 94-100)。
【0381】
材料
IGF−1R受容体キナーゼ領域
ヒトIGF−1Rの細胞内キナーゼ領域を、グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質としてクローニングした。IGF−1Rβ−サブユニットアミノ酸残基930〜1337(ウールリッヒらの報告(Ullrich et al., EMBO J. (1986) 5, 2503-2512)による番号付けシステム)を、IGF−1R残基のN末端が転移ベクターpAcGHLT−AにコードされたGST領域のC末端に融合するように、バキュロウィルス転移ベクターpAcGHLT−A(BD-Pharmingen)にクローニングした。組換えウィルスを形成し、融合タンパク質をSF−9昆虫細胞(BD-Pharmingen)で発現させた。酵素を、グルタチオンセファロースカラムによって精製した。
【0382】
インシュリン受容体キナーゼ領域
ヒトインシュリン受容体の細胞内キナーゼ領域を、グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質としてクローニングした。インシュリン受容体β−サブユニットアミノ酸残基941〜1343(ウールリッヒらの報告(Ullrich et al., Nature, (1985) 313, 756-761)による番号付けシステム)を、IGF−1R残基のN末端が転移ベクターpAcGHLT−AにコードされたGST領域のC末端に融合するように、バキュロウィルス転移ベクターpAcGHLT−A(BD-Pharmingen)にクローニングした。組換えウィルスを形成し、融合タンパク質をSF−9昆虫細胞(BD-Pharmingen)で発現させた。酵素を、グルタチオンセファロースカラムによって精製した。
【0383】
昆虫細胞溶解緩衝液
10mM Tris pH7.5;130mM NaCl;2mM DTT;1%TritonX−100;10mM NaF;10mM NaPi;10mM NaPPi;1倍プロテアーゼ阻害薬カクテル(Pharmingen)。
【0384】
洗浄緩衝液
リン酸緩衝生理食塩水(PBS):137mM NaCl、2.6mM KCl、10mM NaHPO、1.8mM KHPO、pH7.4;1mM DTT;1倍プロテアーゼ阻害薬カクテル。
【0385】
透析緩衝液
20mM Tris pH7.5;1mM DTT;200mM NaCl;0.05%TritonX−100および50%グリセリン。
【0386】
酵素希釈緩衝液
50mM Tris pH7.5;1mM DTT;100mM NaCl;10%グリセリン;1mg/mL BSA。
【0387】
酵素反応緩衝液
20mM Tris pH7.4;100mM NaCl;1mg/mL BSA;5mM MgCl;2mM DTT。
【0388】
反応停止緩衝液
125mM Tris pH7.8;75mM EDTA;500mM KF;0.125%TritonX−100;1.25%BSA;60nM SA−XL665(Packard);300pMユーロピウムクリプタート標識抗ホスホチロシン抗体(Eu−PY20)。
【0389】
ペプチド基質
配列LCB−EQEDEPEGDYFEWLE−NH;ストック液は、DMSOに溶かした1mM液である;1倍酵素反応緩衝液で1μMまで希釈して10倍作業ストック液をする(LCB=アミノヘキサノイルビオチン)。
【0390】
ATP
ストック液は、0.5M ATP(Boehringer)pH7.4である;ストック液を酵素反応緩衝液で40mMまで希釈して、20倍作業ストック液を得る。
【0391】
HEK−21細胞系
ヒト胎児腎臓細胞(HEK−293)(ATCC)に、全IGF−1Rコード配列を含む発現プラスミドをトランスフェクションした。抗生物質選択後、ウェスタンブロッティング分析によって、コロニーについてIGF−1R過剰発現のスクリーニングを行った。HEK−21という名称の一つのクローンを、細胞によるIGF−1R自己リン酸化アッセイ用に選択した。
【0392】
HEK細胞増殖培地
ダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)、10%ウシ胎仔血清、1倍ペニシリン/ストレプトマイシン、1倍グルタミン、1倍非必須アミノ酸類(いずれもライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)から)。
【0393】
細胞溶解緩衝液
50mM Tris−HCl pH7.4;150mM NaCl;1%TritonX−100(Sigma);1倍哺乳動物プロテアーゼ阻害薬(Sigma);10mM NaF;1mM バナジウム酸Na。
【0394】
ウェスタンブロッティング緩衝液
20mM Tris−HCl pH8.0;150mM NaCl;5%BSA(Sigma);0.1%Tween20(Biorad)。
【0395】
方法
A.タンパク質精製
スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)SF9細胞に、ウィルス粒子4個/細胞のMOIで、GST−IGF−1Rβ−サブユニットまたはGST−InsR融合タンパク質のいずれかをコードする組換えウィルスをトランスフェクションした。細胞を27℃で48時間増殖させ、遠心によって回収し、PBSで1回洗浄した。最後の遠心後に、細胞ペレットを−70℃で冷凍する。その後の精製段階はいずれも4℃で行う。冷凍細胞ペースト10gを、容量90mLの昆虫細胞溶解緩衝液(BD-Pharmingen)中で解凍し、時々撹拌しながら20分間にわたって氷上に保持する。溶解物を12000gで遠心して、細胞残屑を除去する。溶解上清をグルタチオンアガロースビーズ(BD-Pharmingen)45mLと混合し、4℃で1時間ゆっくり撹拌してから、ビーズを遠心し、洗浄緩衝液で3回洗浄した。ビーズを洗浄緩衝液45mLに再度懸濁させ、クロマトグラフィーカラムにスラリーとして注ぐ。カラムを洗浄緩衝液で5回洗浄し、GST−IGF−1Rを、5mMグルタチオンの洗浄緩衝液溶液でカラムから溶出させる。蓄積した画分を、透析緩衝液で透析し、−20℃で保存する。
【0396】
B.IGF−1Rキナーゼアッセイ
IGF−1R酵素反応を96ウェルプレート方式で行う。その酵素反応液は、最終容量60μLで酵素反応緩衝液+0.1nM GST−IGF−1R、100nMペプチド基質および2mM ATPからなる。阻害薬のDMSO溶液を、容量1μLで加え、22℃で10分間前インキュベートする。最終阻害薬濃度は、100μM〜1nMの範囲とすることができる。キナーゼ反応を40mM ATP 3μLで開始する。22℃で20分後、反応停止緩衝液40μLで反応を停止し、22℃で2時間にわたり平衡状態とする。相対蛍光単位を、ディスカバリー(Discovery)プレート読取装置(Packard)で読み取る。化合物のIC50を4点S字曲線適合によって求める。
【0397】
C.インシュリン受容体キナーゼアッセイ
インシュリン受容体のキナーゼ反応は、最終濃度0.1nMでGST−InsRを代わりに用いる以外は、IGF−1R(上記)のアッセイに用いるものと同じである。
【0398】
D.細胞によるIGF−IR自己リン酸化アッセイ
IGF−1R阻害薬化合物について、IGF−1Rトランスフェクションヒト胎児腎臓細胞系(HEK−21)でのIGF−I誘発IGF−1R自己リン酸化を遮断する能力を調べる。ヒトIGF−1R受容体を過剰発現するHEK−21細胞を、6ウェルプレート(5%CO雰囲気下にて37℃)で、HEK細胞増殖培地中にて密集度80%まで培養する。0.5%ウシ胎仔血清を含むHEK増殖培地中にて4時間にわたり、細胞を血清欠乏とする。増殖培地中の10倍濃度阻害薬を、最終容量の1/10量で細胞に加え、37℃で1時間前インキュベートする。阻害薬濃度は、10nM〜100μMの範囲とすることができる。IGF−I(Sigma)を、血清欠乏細胞に加えて最終濃度30ng/mLとする。IGF−I存在下に37℃で10分間インキュベートした後、培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄し、冷細胞溶解緩衝液0.5mLずつを加える。氷上で5分間インキュベートした後、細胞をウェルから掻き取り、溶解緩衝液と細胞を1.5mL微量遠心管に移し入れる。総溶解物を4℃で20分間保持し、微量遠心管で最高速度で遠心する。上清を除去し、分析用に保管する。受容体のリン酸化状況を、ウェスタンブロッティングによって評価する。溶解物について、8%変性Tris−グリシンポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行い、タンパク質を電気的ブロッティングによってニトロセルロースフィルターに移す。遮断試薬によってブロットを10分間遮断してから、抗ホスホチロシン抗体(4G10、アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology))を最終希釈率1:1500となるまで加える。ブロットおよび一次抗体を、4℃で終夜インキュベートする。PBS+0.2%Tween20(Biorad)で洗浄した後、HRP接合抗マウス二次抗体(Jackson Labs)を希釈率1:1500で加え、4℃で2時間インキュベートする。次に、ブロットをPBS−Tweenで洗浄し、ECL(Amersham)発光試薬を用いて現像する。ブロット上のリン酸化IGF−1Rを、オートラジオグラフィーまたはコダック画像ステーション(Kodak Image Station)440を用いる撮像によって肉眼で見えるようにする。濃度計測走査またはコダック・デジタル・サイエンス(Kodak Digital Science)ソフトウェアを用いる定量によって、IC50を求める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【化1】

[式中、
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換もしくは未置換C〜C10アルキル、
4)置換もしくは未置換C〜C10アルケニル、
5)置換もしくは未置換C〜C10アルキニル、
6)置換もしくは未置換アリール、
7)置換もしくは未置換C〜C10シクロアルキル、
8)置換もしくは未置換複素環、
9)−(CRORおよび
10)−(CRC(O)OR
から選択され;前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環は、1以上のRで置換されていても良く;
は、
1)水素、
2)置換または未置換アラルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換アリールおよび
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)−C(O)R
4)置換または未置換C〜C10アルキル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換複素環、
7)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
8)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
9)置換または未置換C〜C10アルキニル
から選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
6)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
7)置換または未置換C〜C10アルキニル
から独立に選択され;
は、
1)置換または未置換アリール、
2)置換または未置換複素環、
3)置換または未置換シクロアルキルおよび
4)ハロゲン
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルケニル、
5)置換または未置換C〜C10アルキニル、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
7)置換または未置換アリール、
8)置換または未置換複素環、
9)−NO
10)−NR(CRC(O)R
11)−(CRNR
12)−(CRNR(CR
13)−CN、
14)−(CRC(O)R
15)−(CRC(O)(CROR
16)−(CROR
17)−(CR
18)−(CRC(O)ORおよび
19)−(CRSi(R
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルケニル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)−OR
6)−C(O)OR
7)−NR
8)置換または未置換アリール、
9)置換または未置換複素環および
10)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択され;
nは、独立に0〜6であり;
tは、1〜4である。]
【請求項2】
が、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜Cアルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
7)置換または未置換複素環
から選択され;前記アルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環が、1以上のRで置換されていても良く;
が、
1)置換または未置換アラルキル、
2)置換または未置換C〜Cアルキル、
3)置換または未置換アリールおよび
4)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から選択され;
が、
1)ハロゲン、
2)−C(O)Rおよび
3)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
が、
1)水素、
2)置換または未置換C〜Cアルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環および
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項3】
が、
1)置換または未置換C〜Cアルキル、
2)置換または未置換C〜C10アルキニル、
3)置換または未置換複素環および
4)置換または未置換アリール
から選択され;前記アルキル、アルキニル、複素環およびアリールが、1以上のRで置換されていても良く;
が、
1)置換または未置換アラルキルおよび
2)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
が、
1)ハロゲンおよび
2)−C(O)R
から選択される請求項2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項4】
下記式IIの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【化2】

[式中、
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜Cアルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)置換または未置換アリール、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
7)置換または未置換複素環
から選択され;前記アルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキルおよび複素環は、1以上のRで置換されていても良く;
は、
1)置換または未置換アラルキルおよび
2)置換または未置換C〜Cアルキル
から選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換アリール、
4)置換または未置換複素環、
5)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
6)置換または未置換C〜C10アルケニルおよび
7)置換または未置換C〜C10アルキニル
から独立に選択され;
は、
1)置換または未置換アリール、
2)置換または未置換複素環、
3)置換または未置換C〜C10シクロアルキルおよび
4)ハロゲン
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)ハロゲン、
3)置換または未置換C〜C10アルキル、
4)置換または未置換C〜C10アルケニル、
5)置換または未置換C〜C10アルキニル、
6)置換または未置換C〜C10シクロアルキル、
7)置換または未置換アリール、
8)置換または未置換複素環、
9)−NO
10)−NR(CRC(O)R
11)−(CRNR
12)−(CRNR(CR
13)−CN、
14)−(CRC(O)R
15)−(CRC(O)(CROR
16)−(CROR
17)−(CR
18)−(CRC(O)ORおよび
19)−(CRSi(R
から独立に選択され;
は、
1)水素、
2)置換または未置換C〜C10アルキル、
3)置換または未置換C〜C10アルケニル、
4)置換または未置換C〜C10アルキニル、
5)−OR
6)−C(O)OR
7)−NR
8)置換または未置換アリール、
9)置換または未置換複素環および
10)置換または未置換C〜C10シクロアルキル
から独立に選択され;
nは独立に、0〜6であり;
tは、1〜4である。]
【請求項5】
4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2,5−ジヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(4−フルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−チエン−2−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(トリメチルシリル)プロプ−1−インイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
3′−エチル−5′−ホルミル−1H,1′H−2,2′−ビピロール−1,4′−ジカルボン酸4′−ベンジル1−tert−ブチル;
5−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(1−ベンゾフラン−2−イル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−メチル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−[3−(アセチルアミノ)フェニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(3−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ホルミル−2−フリル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(フェニルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−{3−[ベンジル(メチル)アミノ]プロプ−1−インイル}−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(2−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(4−シアノフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(2−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
5−(3−クロロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[1−(3−ヒドロキシプロピル)ビニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(5−ヒドロキシペント−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[3−(ジメチルアミノ)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(3,3−ジメチルブト−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(ピリジン−2−イルエチンイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[(2−ブロモフェニル)エチンイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[3−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)プロプ−1−インイル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−5−(2−エチルブチル)−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[3−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロペンチル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(1−ヘキシルビニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(1,3−チアゾール−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−[1−(3−クロロプロピル)ビニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(5−クロロペント−1−インイル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−ヒドロキシ−3−フェニルブト−1−インイル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−イソペンチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メチルチエン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−イソブチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−シクロヘキシル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−シクロペンチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−(シクロヘキシルメチル)−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
5−sec−ブチル−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(3−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−ニトロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル
から選択される化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項6】
4−エチル−2−ホルミル−5−ヨード−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【化3】

4−エチル−2−ホルミル−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル:
【化4】

4−エチル−2−ホルミル−5−[(1−ヒドロキシシクロヘキシル)エチンイル]−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【化5】

4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【化6】

5−[1−(3−クロロプロピル)ビニル]−4−エチル−2−ホルミル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル:
【化7】

またはこれら化合物の製薬上許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項7】
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メトキシピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル;
4−エチル−2−ホルミル−5−ピリジン−4−イル−1H−ピロール−3−カルボン酸ベンジル
から選択される請求項5の化合物のトリフルオロ酢酸塩。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体からなる医薬組成物。
【請求項9】
処置を必要とする哺乳動物でタンパク質キナーゼの触媒活性を調整する方法であって、前記タンパク質キナーゼを請求項1に記載の化合物と接触させる段階を有する方法。
【請求項10】
前記タンパク質キナーゼがRTKである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記RTKが、IR、IGF−1RおよびIRRから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
処置を必要とする哺乳動物でPK関連障害を治療する方法であって、該哺乳動物に対して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項13】
前記PK関連障害が、
1)癌、
2)糖尿病、
3)自己免疫障害、
4)増殖亢進障害、
5)加齢、
6)末端肥大症、および
7)クローン病
から選択されるIGF−1R関連障害である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
処置を必要とする哺乳動物でPK関連障害を予防する方法であって、該哺乳動物に対して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項15】
前記PK関連障害が、
1)癌、
2)糖尿病、
3)自己免疫障害、
4)増殖亢進障害、
5)加齢、
6)末端肥大症、および
7)クローン病
から選択されるIGF−1R関連障害である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処置を必要とする哺乳動物での癌の治療方法であって、前記哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項17】
網膜血管形成の治療方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項18】
癌の治療方法であって、
1)エストロゲン受容体調節剤、
2)アンドロゲン受容体調節剤、
3)レチノイド受容体調節剤、
4)細胞毒剤/細胞静止剤、
5)抗増殖剤、
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管新生阻害薬、
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)細胞増殖および生存信号伝達の阻害薬;ならびに
14)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤
から選択される第2の化合物との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項19】
前記第2の化合物が、タモキシフェンおよびラロキシフェンから選択されるエストロゲン受容体調節剤である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
癌の予防方法であって、
1)エストロゲン受容体調節剤、
2)アンドロゲン受容体調節剤、
3)レチノイド受容体調節剤、
4)細胞毒剤/細胞静止剤、
5)抗増殖剤、
6)プレニル蛋白トランスフェラーゼ阻害薬、
7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、
8)HIVプロテアーゼ阻害薬、
9)逆転写酵素阻害薬、
10)血管新生阻害薬、
11)PPAR−γ作働薬、
12)PPAR−δ作働薬、
13)細胞増殖および生存信号伝達の阻害薬;ならびに
14)細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤
から選択される第2の化合物との併用で、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項21】
前記第2の化合物が、タモキシフェンおよびラロキシフェンから選択されるエストロゲン受容体調節剤である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
癌の治療方法であって、放射線療法との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項23】
放射線療法も行う請求項22に記載の方法。
【請求項24】
癌の治療方法であって、治療上有効量の請求項1に記載の化合物とパクリタキセルもしくはトラスツズマブを投与する段階を有する方法。
【請求項25】
癌の治療方法であって、治療上有効量の請求項1に記載の化合物およびGPIIb/IIIa拮抗薬を投与する段階を有する方法。
【請求項26】
前記GPIIb/IIIa拮抗薬がチロフィバンである請求項26に記載の方法。
【請求項27】
癌の予防方法であって、治療上有効量の請求項1に記載の化合物およびGPIIb/IIIa拮抗薬を投与する段階を有する方法。
【請求項28】
前記GPIIb/IIIa拮抗薬がチロフィバンである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
癌の治療方法であって、COX−2阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項30】
癌の予防方法であって、COX−2阻害薬との併用で治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。

【公表番号】特表2006−528629(P2006−528629A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521171(P2006−521171)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/023212
【国際公開番号】WO2005/009957
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】