説明

ネガ型ホトレジスト組成物を用いた多段メッキ形成物の形成方法およびこれに用いられる感光性組成物

【課題】
メッキ高さが高く多段段差形状を有するメッキ形成物の形成を可能にする。
【解決手段】
ネガ型ホトレジスト組成物を、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物とし、
(A)ネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、加熱後、露光する。
(B)前記工程(A)を2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する。
(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行うことによりメッキ形成物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネガ型ホトレジストを用いた多段メッキ形成物の形成方法およびこれに用いられる感光性組成物に関し、詳しくは厚膜の多段レジスト層にメッキ処理を行うことによってアスペクト比の高いメッキ形成物や複雑な形状の多段メッキ形成物を形成する方法およびこれに用いられる感光性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro
Mechanical System)に代表されるの微小構造体や微小部品の形成方法において、厚膜リソグラフィ法とメッキ法による形成が注目されている。
【0003】
しかし、従来の方法では厚膜の形成が困難であったり、径が異なるギアの形成など膜厚方向に形状が異なる高精度な立体形状は作成が困難であった。
【0004】
このような形成方法としては、例えば、特許文献1では異なるマスクパターンを使用しかつ異なる露光量とされる複数の露光操作を、重複した露光部位を含みつつ、ホトレジスト層に対して行い、その後、前記ホトレジスト層を現像して、前記ホトレジスト層に段型凹所を形成するホトレジスト加工方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2ではポジ型ホトレジストの第1の層を基板に形成する段階と、該ポジ型ホトレジスト内の活性剤を部分的に分解し、現像液で溶けない量の光化学作用放射線で該第1の層を露光する段階と、ポジ型ホトレジストの第2の層を該第1の層の上に塗布する段階と、該第1の層及び該第2の層のポジ型ホトレジストが現像液で溶ける量の光化学作用放射線で該第1の層及び該第2の層をパターン露光する段階と、該第1の層及び該第2の層に開口部を形成するため、該第1の層及び該第2の層を現像する段階とからなる基板に開口部を形成する方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−29415号公報
【特許文献2】特開平9−199663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法ではレジスト層は単層であり、それに対して露光量により段差を形成するため、段差形状を正確に再現するためには膜厚方向への高精度な露光量制御が必要であった。さらに厚膜になれば下層までの露光が不十分になるという問題があった。
【0008】
特許文献2の方法では露光量を現像液で溶けない量にする必要があり、特許文献1と同様、膜厚方向への高精度な露光量制御が必要であった。さらに特許文献1と同様、厚膜になれば下層までの露光が不十分になるという問題があった。また、特許文献2の方法は2層レジストパターンを開示するのみであった。
【0009】
その他にも、各層を露光、現像まで行い、さらにその上にレジスト層を形成し、露光、現像を行って多層レジストパターンを形成する方法では十分な膜平坦性と解像性が得られないという問題があった。また、レジスト組成物を塗布後、必要に応じて加熱後、さらにその上にレジスト組成物を塗布して多層レジストパターンを形成する方法では複雑な段形状を形成することはできなかった。
【0010】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は膜厚方向への高精度な露光量制御を必要とせず、2層以上の多層の、かつ下層まで露光された厚膜の多層レジストパターンにより厚く高精度なメッキ形成物を形成する方法を提供することであり、さらにメッキ形成物において複雑な段形状を可能とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究の結果、特定のネガ型ホトレジスト組成物使用する特定の工程により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、本発明に係るメッキ形成物の形成方法は、
(A)ネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、加熱後、露光、必要に応じて加熱する工程と、
(B)前記工程(A)を計2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する工程と、
(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行う工程からなるメッキ形成物の形成方法において、
前記ネガ型ホトレジスト組成物が、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物であることを特徴とする。
【0013】
前記(A)工程における露光は、望ましくは全てのレジスト層においてパターン形成露光である。また、前記(A)工程における露光の露光面積は、露光光源から近い層の露光面積より、露光光源から遠い層の露光面積が大きくても良い。前記(A)工程におけるレジスト層形成後の加熱はオーブンによる加熱処理とすることができる。
【0014】
本発明に係るネガ型ホトレジスト組成物は(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有する。本発明の組成物において、前記(a)成分としてはノボラック樹脂とすることができる。
【0015】
前記(A)工程を、シート状ネガ型ホトレジスト組成物を用いてネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、露光、必要に応じて加熱する工程とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るネガ型ホトレジスト組成物を用いた多段メッキ形成物の形成方法およびこれに用いられる感光性組成物によれば、膜厚方向への高精度な露光量制御を必要とせず、2層以上の多層の、かつ下層まで露光された厚膜の多層レジストパターンにより厚く高精度なメッキ形成物を形成すること可能になるという効果を得ることができる。また、メッキ形成物において複雑な段形状が可能になるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のメッキ形成物の形成方法は以下のようにして行われる。
(A)ネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、加熱後、露光する工程(以下工程(A)とする)、
(B)前記工程(A)を2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する工程(以下工程(B)とする)、
(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行う工程(以下工程(C)とする)。
【0018】
本発明のネガ型ホトレジスト組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物である。本発明に用いられるネガ型ホトレジスト組成物としては、例えば特開2003−114531号公報に記載されるような厚膜用化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物を挙げることができる。
以下に本発明のネガ型ホトレジスト組成物の各構成要素について説明する。
【0019】
(a)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂(以下(a)成分とする)は、アルカリに可溶性の樹脂であり、一般にネガ型の化学増幅型ホトレジストのベース樹脂として用いられている樹脂であれば特に限定されず、露光に使用する光源に応じて、従来公知のものから任意に選択して使用することが可能である。例えば、ノボラック樹脂やアクリル樹脂を主成分とするものがレジスト形状、解像性などの特性が良好であることから、一般的に広く用いられている。
特に好ましい(a)成分としては、ノボラック樹脂が挙げられる。ノボラック樹脂を主成分とすることにより、剥離性が良好であり、優れたメッキ耐性が得られる。
【0020】
・ノボラック樹脂
ノボラック樹脂は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際、使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
【0021】
またアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
【0022】
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
【0023】
ノボラック樹脂でも好ましくは、特にクレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールからなるノボラック樹脂が挙げられる。さらに好ましくは、m−クレゾールとアルデヒド類とを縮合させて得られたm−クレゾールノボラック樹脂は、現像プロファイルが特に良好であり好ましい。
【0024】
上記ノボラック樹脂は、質量平均分子量が3000〜50000、好ましくは5000〜30000の範囲内のものが好ましい。質量平均分子量が3000未満であると、現像後に硬化部の膜が減る(薄くなる)傾向があり、また、質量平均分子量が50000を超えると、現像後に残渣が残る傾向があり、好ましくない。
【0025】
・アクリル樹脂
本発明に用いられるアクリル樹脂は、(a1)エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、および(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有する。
【0026】
(a1)エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
【0027】
(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物等を例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
アクリル樹脂中における(a1)エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位の含有量は30〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは40〜80質量%がよい。90質量%を超えると、樹脂溶液に対する相溶性が悪くなり、プリベイク時に均一なレジスト膜が得られにくい傾向があり、30質量%未満ではめっき時にクラックが発生する傾向がある。
【0029】
また、アクリル樹脂中における(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位の含有量は好ましくは2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%がよい。2質量%未満であると、アクリル樹脂のアルカリ溶解性が低下し、十分な現像性が得られない。また剥離性が低下し基板上にレジストが残膜する。50質量%を超えると、現像後の残膜率の低下や耐めっき性が悪化する傾向がある。
【0030】
・ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体
ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のα−アルキルヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン構成単位のみからなるラジカル重合体またはイオン重合体や、前記ヒドロキシスチレン構成単位とそれ以外の構成単位からなる共重合体が挙げられる。重合体中のヒドロキシスチレン構成単位の割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10〜30質量%である。これは、ヒドロキシスチレン構成単位の割合が10質量%未満であると、現像性、解像性が低下する傾向があるためである。
【0031】
また、ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体の質量平均分子量は、好ましくは5000以下、より好ましくは2000以上4000以下である。これは、質量平均分子量が5000を超えると解像性が低下する傾向があるためである。
【0032】
前記ヒドロキシスチレン構成単位以外の構成単位を形成するモノマーとして好ましいのは、ヒドロキシスチレン構成単位のヒドロキシル基を他の基で置換したモノマーまたはα,β−不飽和二重結合を有するモノマーなどである。
【0033】
前記ヒドロキシスチレン構成単位のヒドロキシル基を置換する他の基としては、酸の作用により解離しないアルカリ溶解抑制基が使用される。酸の作用により解離しないアルカリ溶解抑制基としては、置換または未置換のベンゼンスルホニルオキシ基、置換または未置換のナフタレンスルホニルオキシ基、置換または未置換のベンゼンカルボニルオキシ基、置換または未置換のナフタレンカルボニルオキシ基などが挙げられ、置換または未置換のベンゼンスルホニルオキシ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、メチルベンゼンスルホニルオキシ基、エチルベンゼンスルホニルオキシ基、プロピルベンゼンスルホニルオキシ基、メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、エトキシベンゼンスルホニルオキシ基、プロポキシベンゼンスルホニルオキシ基、アセトアミノベンゼンスルホニルオキシ基などが、また、置換または未置換のナフタレンスルホニルオキシ基の具体例として、ナフタレンスルホニルオキシ基、クロロナフタレンスルホニルオキシ基、メチルナフタレンスルホニルオキシ基、エチルナフタレンスルホニルオキシ基、プロピルナフタレンスルホニルオキシ基、メトキシナフタレンスルホニルオキシ基、エトキシナフタレンスルホニルオキシ基、プロポキシナフタレンスルホニルオキシ基、アセトアミノナフタレンスルホニルオキシ基などが好ましい。さらに、置換または未置換のベンゼンカルボニルオキシ基および置換または未置換のナフタレンカルボニルオキシ基としては前記置換または未置換のスルホニルオキシ基をカルボニルオキシ基に置き換えたものが挙げられる。中でも、アセトアミノベンゼンスルホニルオキシ基またはアセトアミノナフタレンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0034】
また、α,β−不飽和二重結合を有するモノマーの具体例としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸モノマー、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のモノマーなどが挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
【0035】
ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体としては、ヒドロキシスチレンとスチレンとから得られた共重合体、例えばポリ(4−ヒドロキシスチレン−スチレン)共重合体、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−メチルスチレン)共重合体などは、高解像性を示すとともに耐熱性も高く好適である。
【0036】
上記の(a)成分としての樹脂または重合体はそれぞれ単独で用いてもいいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0037】
なお、(a)成分が、ノボラック樹脂および/またはアクリル樹脂と、ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体とを含む混合樹脂からなる場合は、各成分の総和を100質量部として、ノボラック樹脂および/またはアクリル樹脂が50〜98質量部、好ましくは55〜95質量部、ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体が50〜2質量部、好ましくは45〜5質量部であるのがよい。このような配合割合とすると、現像性、解像性共によくなることから好ましい。
【0038】
上記(a)成分は(a)〜(c)成分の固形分総量100質量部に対して30〜99質量部、好ましくは65〜95質量部の範囲で含有することができる。(a)成分が50質量部未満では、耐メッキ液性、メッキ形状、剥離性が低下することがあり好ましくなく、99質量部を超えると現像時に現像不良を起こすことがあり好ましくない。
【0039】
(b)酸発生剤
本発明で用いられる酸発生剤(以下(b)成分という)としては、光により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されないが、具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2‐(4‐メトキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐(4‐メトキシナフチル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(2‐フリル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(5‐メチル‐2‐フリル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐[2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)エテニル]‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、2‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐1,3,5‐トリアジン、トリス(1,3‐ジブロモプロピル)‐1,3,5‐トリアジン、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)‐1,3,5‐トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物およびトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記の一般式で表されるハロゲン含有トリアジン化合物;
【0040】
【化1】

【0041】
(式中、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なってもよく、ハロゲン化アルキル基を示す)
【0042】
α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、下記一般式で表される化合物;
【0043】
【化2】

【0044】
(式中、Rは、一価〜三価の有機基、Rは置換、未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基または芳香族性化合物基を示し、nは1〜3の自然数を示す。ここで芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を指し、例えばフェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基などの複素環基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基などを1個以上有していてもよい。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特にRが芳香族性化合物基、Rが低級アルキル基の化合物が好ましい。上記一般式で表わされる酸発生剤としては、n=1の時、Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、Rがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。n=2の時、上記一般式で表わされる酸発生剤としては、具体的には下記化学式で表される酸発生剤が挙げられる。)
【0045】
【化3】

【0046】
ビス(p‐トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1‐ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4‐ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p‐トルエンスルホン酸2‐ニトロベンジル、p‐トルエンスルホン酸2,6‐ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート、ニトロベンジルスルホネート、ニトロベンジルカルボネート、ジニトロベンジルカルボネート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシレート、ピルガロールトリトシレート、ベンジルトシレート、ベンジルスルホネート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、(4‐メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、(4‐メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p‐tert‐ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩;ベンゾイントシレート、α‐メチルベンゾイントシレートなどのベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボネート等が挙げられる。特に、トリアジン化合物は光による酸発生剤としての性能が高く、かつ溶剤を用いる場合においても溶解性が良好であることから好ましく用いることができる。中でも、ブロモ含有トリアジン化合物、とくに2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリル−s−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが好適に使用できる。上記の(b)成分としての酸発生剤はそれぞれ単独で用いてもいいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
上記(b)成分は、(a)〜(c)成分の固形分総量100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部の範囲で含有することができる。(b)成分が0.01質量部未満では、熱や光による架橋硬化が十分に行われず得られた厚膜の耐メッキ性、耐薬品性、密着性の低下や、形成されたメッキ形状が不良であることがあり好ましくなく、また5質量部を超えると現像時に現像不良を起こすことがあり好ましくない。
【0048】
(c)その他の成分
本発明で使用されるその他の成分(以下(c)成分という)としては、例えば架橋剤が挙げられる。架橋剤としてはアミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を用いることができるが、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は、例えば、沸騰水溶液中でメラミンまたは尿素をホルマリンと反応させて得た縮合物を、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化させ、次いで反応液を冷却して析出させることで製造できる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、具体的にメトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は単独、または2種以上を組合わせて用いることができる。特にアルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したレジストパターンを形成できて好ましい。中でも、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂およびブトキシメチル化メラミン樹脂が好適である。上記架橋剤成分は、(a)〜(c)成分の固形分総量100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で含有することができる。前記(c)成分が1質量部未満では、得られた厚膜の耐メッキ性、耐薬品性、密着性の低下や、形成されたメッキ形状が不良であることがあり好ましくなく、また30質量部を超えると現像時に現像不良を起こすことがあり好ましくない。
【0049】
さらに、本発明のネガ型ホトレジスト組成物は粘度調整のため有機溶剤を適宜配合することができる。前記有機溶剤としては、具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルシソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらの溶剤の使用量は、得られるネガ型ホトレジスト組成物をスピンコート法を用いて20μm以上の膜厚を得るためには固形分濃度が、65質量%以下になる範囲が好ましい。固形分濃度が65質量%を超えると組成物の流動性が著しく悪化し、取り扱いが困難な上、スピンコート法では、均一なレジスト膜が得られにくい。
【0050】
上記各成分に加えて、本発明の組成物は、必要に応じ、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミンなどの第二級または第三級アミンなどのクエンチャーを含有することができる。
【0051】
本発明の組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性などを向上させる目的で必要に応じて界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種活性剤が挙げられる。例えば、BM−1000、BM−1100(BM ケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン(株)製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤等を使用することができる。これらの界面活性剤の使用量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して好ましくは5質量部以下である。
【0052】
本発明の組成物には、基板との接着性を向上させるために接着助剤を使用することもできる。使用される接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が有効である。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体例としてはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。その配合量は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部当たり20質量部以下が好ましい。
【0053】
また、本発明の組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうために、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、けい皮酸などのモノカルボン酸;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシけい皮酸、3−ヒドロキシけい皮酸、4−ヒドロキシけい皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4,−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテートなどの酸無水物を添加することもできる。さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒を添加することもできる。上記のアルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうための化合物の使用量は、用途、塗布方法に応じて調整することができ、組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、得られる組成物に対して60質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
【0054】
さらに、本発明の組成物には必要に応じて充填材、着色剤、粘度調整剤などを添加することもできる。充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、ベントナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラスなどを挙げることができる。着色剤としては、アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料が挙げられる。また、粘度調整剤としては、ベントナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末などを挙げることができる。これらの添加剤は、組成物の本質的な特性を損なわない範囲、好ましくは、得られる組成物に対して、50質量%以下である。
【0055】
また、本発明の組成物には必要に応じて消泡剤、その他の添加剤を添加することができる。消泡剤としてはシリコーン系、フッ素系各種消泡剤などが挙げられる。上記の(c)成分としてのその他の成分はそれぞれ単独で用いてもいいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0056】
上記(c)成分は、(a)〜(c)成分の固形分総量100質量部に対して1質量部以上、好ましくは5質量部以上の範囲で含有することができる。前記(c)成分が1質量部未満では、形成した厚膜が十分な性能を得られないことがあり好ましくない。
【0057】
本発明の組成物の調製は、充填材、顔料を添加しない場合には、通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、充填材、顔料を添加する場合にはディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させればよい。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0058】
本発明の組成物は下記のメッキ形成物の形成方法に用いられる。本発明の組成物をネガ型ホトレジスト膜とした場合の単層の膜厚は10〜2000μm、好ましくは20〜1000μm、さらに好ましくは50〜500μmである。
【0059】
・シート状ネガ型ホトレジスト組成物
本発明に係るシート状ネガ型ホトレジスト組成物は、離型支持フィルム上に本発明のネガ型ホトレジスト組成物を塗布し、この塗膜を乾燥させることによりネガ型ホトレジスト膜を形成したものである。本発明のシート状ネガ型ホトレジスト組成物は、工程(A)のネガ型ホトレジスト組成物の層を形成するのに用いられる。本発明のシート状ネガ型ホトレジスト組成物は、ネガ型ホトレジスト膜の表面を容易に剥離可能な離型フィルムにより保護されて、貯蔵、搬送、および取り扱いが容易で、高い膜平坦性を有し、基板上での厚膜の形成を容易とする。
【0060】
本発明のシート状ネガ型ホトレジスト組成物の製造に使用する支持フィルムとしては、支持フィルム上に製膜された各層を支持フィルムから容易に剥離することができ、各層をガラス基板上に転写できる離型フィルムであれば特に限定なく使用でき、例えば膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。前記支持フィルムには必要に応じて、転写が容易となるように離型処理されていることが好ましい。
【0061】
支持フィルム上にネガ型ホトレジスト膜を形成するに際しては、本発明のネガ型ホトレジスト組成物を調整し、支持フィルム上にアプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーターなどを用いてネガ型ホトレジスト組成物を塗布する。特にロールコーターが膜厚の均一性に優れ、かつ厚さの厚い膜が効率よく形成できて好ましい。
【0062】
塗膜を乾燥させた後、ネガ型ホトレジスト膜の表面には未使用時にネガ型ホトレジスト膜を安定に保護するため保護フィルムを接着するのがよい。この保護フィルムとしては、シリコーンをコーティングまたは焼き付けした厚さ15〜125μm程度のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフィルムなどが好適である。
【0063】
本発明のメッキ形成物の形成方法は以下のようにして行われる。
・(A)ネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、加熱後、露光、必要に応じて加熱する工程
上述のように調製したネガ型ホトレジスト組成物の溶液を基板またはレジスト層上に上述の厚さとなるように塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望のネガ型レジストの層(ネガ型ホトレジスト膜)を形成する。基板としては公知の基板を採用することができる。例えばシリコン、金、銅、ニッケル、パラジウム等の基板またはそれらの金属層が形成された基板が挙げられる。基板またはレジスト層上への塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を採用することができる。
【0064】
本発明の組成物の塗膜の加熱条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は70〜140℃で、好ましくは80〜120℃で、好ましくは2〜60分間程度である。加熱方法としてはホットプレート法、オーブン法などの方法を採用することができるが、特にオーブン法が上下から熱がかかり、レジスト層に効果的に熱が与えられるのでより好ましい。
【0065】
または上述のシート状ネガ型ホトレジスト組成物を使用する場合、本発明のシート状ネガ型ホトレジストから保護フィルムを剥離し、基板もしくはレジスト層面に露出したネガ型ホトレジスト膜を重ね合わせて、支持フィルム上から公知の方法により接着、圧着させる。例えば加熱ローラを移動させることにより、ネガ型ホトレジスト膜を公知の方法で基板の表面に熱圧着させる。その後、支持フィルムを剥離して、ネガ型ホトレジスト膜を表面に露出させ、ネガ型ホトレジストの層を形成する。支持フィルムが露光光に対して透過性を有する場合、支持フィルム剥離前に露光処理を行うことができる。熱圧着は、基板の表面温度を80〜140℃に加熱し、ロール圧1〜5kg/cm、移動速度0.1〜10.0m/分の範囲で行うのがよい。前記基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃の範囲が選択される。
【0066】
得られた塗膜に全面もしくは所定のパターンのマスクを介して、放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を照射することにより、全面もしくはメッキ形成物を形成するパターン部分のみを露光させる。これらの放射線の線源として、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の膜厚などによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、100〜3000mJ/cmである。
【0067】
また、露光後、必要に応じて上述の方法を用いて加熱(POST EXPOSUER BAKE)する。加熱方法としては、特にオーブン法が上下から熱がかかり、レジスト層に効果的に熱が与えられるのでより好ましい。
【0068】
・(B)前記工程(A)を2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する工程
工程(A)を2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねる。ネガ型ホトレジスト組成物層は層形成した後に、加熱することでレジスト層の露出面が固まり、歪みなくレジスト層を積み重ねることが可能になる。形成される多層レジスト層は2層以上、好ましくは2〜20層、より好ましくは2〜10層である。また、積み重ねたレジスト層の合計膜厚は20μm以上、好ましくは40〜1000μmである。
【0069】
本発明においては前記(A)工程における露光が、全てのレジスト層においてパターンマスクを介したパターン形成露光処理であることが好ましい。こうすることにより全面露光層を含むことのない多層ネガ型レジスト組成物を得ることができる。
【0070】
また、前記(A)工程における露光の露光面積が、露光光源から近い層の露光面積より、露光光源から遠い層の露光面積が大きい形態がより好ましい。これにより多層レジストパターンの形状安定性が増し、メッキが容易になる。
【0071】
また、レジストパターン層毎にパターン形状が異なる形態も可能である。これにより径違いギア等の膜厚方向に形状の異なる立体形状をメッキ形成物により形成することができる。
【0072】
このようにして積み重ねた多層ネガ型レジスト組成物を、公知の方法で全てのレジスト層を同時に現像する。放射線照射後の現像方法としては、アルカリ性水溶液を現像液として用いて、不要な部分を溶解、除去し、放射線未照射部分のみ溶解除去させる。現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。また上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0073】
現像時間は、組成物各成分の種類、配合割合、組成物の乾燥膜厚によって異なるが、通常1〜30分間であり、また現像の方法は液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法などのいずれでも良い。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンなどを用いて風乾させたり、オーブン中で乾燥させる。
【0074】
・(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行う工程
メッキ処理方法はとくに制限されず、従来から公知の各種メッキ方法を採用することができる。例えば、レジスト層が除去された部分にメッキ処理を行う方法としては電解、無電解メッキのいずれかを必要に応じて選択できる。また、メッキ金属としては金、銅、ハンダ、ニッケル等を必要に応じて選択できる。上記メッキ処理にメッキ組成物が形成される。
【0075】
メッキ形成物形成後の多層レジストパターンは公知の剥離方法によって剥離される。例えば、レジスト焼却後の洗浄法、公知の剥離液組成物をレジストパターンに接触(浸漬など)させることによる剥離法などを採用することができる。特に剥離法が工程容易性、メッキ形成物へのダメージの点から好ましく、本発明の多層レジストパターンは剥離液に対し良好な剥離性を有する。多層レジストパターンの剥離法としては、ディップ法、浸漬法、シャワー法などの方法を採用することができる。剥離時に超音波を作用させても良い。このようにしてレジストパターンを基板から剥離した後、通常の方法に従い洗浄し、乾燥させる。
【0076】
上記工程により、基板上に高さが20μm以上の多段段差形状を有するメッキ形成物が形成される。従来にない高さ100μm以上の多段段差メッキ形成物や径違いメッキ形成物の形成に用いることができるため、微細サイズの電子デバイスやMEMSに代表される微小な部品の製造に有用である。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、何ら発明を限定するものではない。特に断りない限り、部は質量部、%は質量%を表す。
【0078】
(合成例1)
m−クレゾールにホルマリンを加え、シュウ酸触媒を用いて定法により縮合して、メタクレゾールのノボラック樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、低分子領域をカットして質量平均分子量6000のノボラック樹脂を得た。
【0079】
(合成例2)
ジシクロペンタニルメタクリレート35質量部、メタクリル酸10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25質量部、スチレン25質量部、1,3−ブタジエン5質量部を定法によりラジカル重合してアクリル樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、質量平均分子量20,000のアクリル樹脂を得た。
【0080】
(実施例1及び6)
下記表に記載の組成物(単位は質量部)に従って、各成分を混合した化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物を得た。レジストを塗布する基板として金基板を用意した。
工程(A) このネガ型ホトレジスト組成物を基板上部に加熱後の膜厚が100μmとなるように塗布したのち、オーブンを用いて120℃で10min加熱処理した。その後、露光装置(製品名Canon PLA501F Hardcontact キャノン社製)にて2000mJ/cmでテストパターンでパターン露光し、オーブンを用いて120℃で10min、加熱処理(POST EXPOSUER BAKE)を行なった。
工程(B) 再度工程(A)を行ないレジスト層を積み重ねた後、現像液(製品名PMER現像液P−7G 東京応化社製)で、15分間現像して、多層レジストパターンを形成した。得られた多層レジストパターンの形状をSEM(走査型電子顕微鏡)にて確認した。
工程(C) 次に、1リットル中にスルファミン酸ニッケル340g、塩化ニッケル40g、ホウ酸40g、添加剤(製品名レクトロニック10-03S 日本エレクトロプレイティングエンジニアーズ社製)22mlの溶解メッキ液を用いて、電流密度2A/dm、50℃、9時間、電解Niめっきを行なったのち、剥離液(製品名 剥離710 東京応化社製)で、80℃、1時間剥離を行ないメッキ形成物を形成した。その後、得られたメッキ形状及びレジスト剥離残渣をSEM(走査型電子顕微鏡)で確認した。
【0081】
(実施例2)
工程(B)において、工程(A)をさらに2回(計3回)繰り返し、現像に50分間、メッキに15時間、剥離に1時間30分をかけた以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。
【0082】
(実施例3)
工程(B)において、工程(A)をさらに3回(計4回)繰り返し、現像に90分間、メッキに18時間、剥離に2時間をかけた以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。
【0083】
(実施例4)
工程(A)において、加熱後の膜厚が50μmとなるように塗布し、120℃で10min加熱処理、1000mJ/cmでパターン露光し、120℃で10min加熱処理(POST EXPOSUER BAKE)を行ない、現像に10分間、メッキに4時間30分、剥離に30分間をかけた以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。
【0084】
(実施例5)
工程(A)において、加熱後の膜厚が150μmとなるように塗布し、120℃で10min加熱処理、3000mJ/cmでパターン露光し、120℃で10min加熱処理(POST EXPOSUER BAKE)を行ない、現像に50分間、メッキに15時間、剥離に1時間30分間をかけた以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。
【0085】
(比較例1)
アルカリ不溶性樹脂であるエポキシ樹脂(製品名エピコート157S70、ジャパンエポキシレジン社製)100質量部、酸発生剤(製品名アデカオプトマーSP−170、旭電化工業社製)3質量部、溶剤γ−ブチルラクトン50質量部を混合して得た化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物をネガ型ホトレジスト組成物として使い、現像液としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使う以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。メッキ処理によってメッキ形成物を形成後、同様に剥離処理を行ったが剥離することができなかった。
【0086】
(比較例2)
実施例1と同様の化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物と、レジストを塗布する基板として金基板を用意した。
工程(A) このネガ型ホトレジスト組成物を基板上部に加熱後の膜厚が100μmとなるように塗布したのち、オーブンを用いて120℃で10min加熱処理した。その後、露光装置(製品名Canon PLA501F Hardcontact キャノン社製)にて2000mJ/cmでテストパターンでパターン露光し、オーブンを用いて120℃で10min、加熱処理(POST EXPOSUER BAKE)を行なった。その後、現像液(製品名PMER現像液P−7G 東京応化社製)で、10分間現像して、レジストパターンを形成した。
工程(B) 再度工程(A)を行ないレジスト層を積み重ねて、多層レジストパターンを形成した。得られた多層レジストパターンの形状をSEM(走査型電子顕微鏡)にて確認した。
工程(C) 実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。その後、得られたメッキ形状及びレジスト剥離残渣をSEM(走査型電子顕微鏡)で確認した。得られた多層レジストパターンは膜平坦性に劣り、解像性が不十分で、メッキ形成物を形成することができなかった。
【0087】
(比較例3)
合成例2のアクリル樹脂100質量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン8質量部と2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体 4質量部、その他エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(製品名アロニックスM−350、東亞合成社製)30質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(製品名NKエステルA−200、新中村化学社製)10質量部、N−ビニルピロリドン(製品名アロニックスM−150、東亞合成社製)10質量部、メチルヒドロキノン0.1質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)50質量部、メチルイソブチルケトン50質量部を混合して得た光重合型ネガ型ホトレジスト組成物をネガ型ホトレジスト組成物として使う以外は実施例1と同様にしてメッキ形成物を形成した。多層レジストパターンの解像性が不十分であり、得られたメッキ形成物の形状も不十分であった。
【0088】
【表1】

【0089】
注1):
(a−1): アルカリ可溶性樹脂 合成例1のノボラック樹脂(Mw=6,000)
(b−1): 酸発生剤 下記化4
【0090】
【化4】

で表される酸発生剤
(c−1): 架橋剤 ヘキサメトキシメチル化メラミン(三和ケミカル社製、商品名ニカラックMW-100)
(d−1): 溶剤 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(d−2): 単量体 ヒドロキシスチレンモノマー(Mw=2,500)(日本曹達社製、商品名VP-2500)
注2)
比較例1の配合成分は詳細な説明の比較例1に記載
注3)
比較例3の配合成分は詳細な説明の比較例3に記載
【0091】
評価
多層レジストパターンの膜平坦性、解像性、メッキ形状、多層レジストパターンの剥離性について以下の基準で評価して、表2に結果を示した。
なお、解像性については異なるサイズ(範囲20〜80μm、20μm刻み)のラインスペースパターンを形成して評価した。
二層目以降の膜平坦性 A:膜厚の誤差が±10%以内。
B:膜厚の誤差が±20%以内。
C:膜厚の誤差が±20%以上。
解像性 A:工程(B)後、40μmのラインスペースパターンが各層すべてで解像している。
B:工程(B)後、60μmのラインスペースパターンが各層すべてで解像している。
C:各層のいずれかが解像していない。
メッキ形状 A:各層の界面とメッキ組成物との接触角が90°±15°内。
C:各層の界面とメッキ組成物との接触角が90°±15°の範囲に入らない。
剥離性 A:剥離できる。
B:剥離残渣が残る。
C:剥離不能。
【0092】
この結果は、本発明のメッキ形成物の形成方法が、解像性及び剥離性に優れた多層レジストパターンを形成し、それによって得られるメッキ形成物の形状も良好であることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明にかかるネガ型ホトレジストを用いた多段メッキ形成物の形成方法およびこれに用いられる感光性組成物は、厚膜で多段段差形状を有するメッキ形成物の形成に有用であり、特に微細サイズの電子デバイスやMEMSに代表される微小な部品として用いられるメッキ形成物の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明により形成された多層レジストパターンと基板を表す斜視画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、加熱後、露光、必要に応じて加熱する工程と、
(B)前記工程(A)を計2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する工程と、
(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行う工程からなるメッキ形成物の形成方法において、
前記ネガ型ホトレジスト組成物が、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物であることを特徴とするメッキ形成物の形成方法。
【請求項2】
前記(A)工程における露光が、全てのレジスト層においてパターン形成露光であることを特徴とする請求項1記載のメッキ形成物の形成方法。
【請求項3】
前記(A)工程における露光の露光面積が、露光光源から近い層の露光面積より、露光光源から遠い層の露光面積が大きいことを特徴とする請求項1記載のメッキ形成物の形成方法。
【請求項4】
前記(A)工程におけるレジスト層形成後の加熱がオーブンによる加熱処理であることを特徴とする請求項1記載のメッキ形成物の形成方法。
【請求項5】
前記(a)成分がノボラック樹脂であることを特徴とする請求項1記載のメッキ形成物の形成方法。
【請求項6】
請求項1記載のメッキ形成物の形成方法に用いられることを特徴とする、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物。
【請求項7】
前記(a)成分がノボラック樹脂であることを特徴とする請求項6記載のネガ型ホトレジスト組成物。
【請求項8】
(A)シート状ネガ型ホトレジスト組成物を用いてネガ型ホトレジスト組成物の層を形成し、露光、必要に応じて加熱する工程と、
(B)前記工程(A)を計2回以上繰り返してネガ型ホトレジスト層を積み重ねた後、全ての層を同時に現像することで多層レジストパターンを形成する工程と、
(C)多層レジストパターンにメッキ処理を行う工程からなるメッキ形成物の形成方法において、
前記ネガ型ホトレジスト組成物が、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物であることを特徴とするメッキ形成物の形成方法。
【請求項9】
請求項8記載のメッキ形成物の形成方法に用いられることを特徴とする、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)酸発生剤、(c)その他の成分を含有するネガ型ホトレジスト組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−17969(P2006−17969A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195034(P2004−195034)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】