ハイブリッド車両の制御装置
【課題】 連続変速時であってもショックを回避可能なハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 エンジンとモータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、モータから駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、自動変速機の変速中に、第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることとした。
【解決手段】 エンジンとモータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、モータから駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、自動変速機の変速中に、第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと駆動輪との間に締結要素を備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両として特許文献1の技術が開示されている。この公報には、エンジンと有段式の自動変速機との間にモータジェネレータを備え、エンジンとモータジェネレータとの間の駆動力を断接する第1クラッチと、モータジェネレータと自動変速機との間の駆動力を断接する第2クラッチとを備えた構成が開示されている。そして、エンジン始動を伴わない変速時には、第2クラッチをスリップ制御することで変速ショックを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−214640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば5速から4速、3速へと連続的に変速するような場合、一回目の変速が終了したことに基づいて単純に第2クラッチのスリップ制御を止めてしまうと、変速機への入力トルクが変動し、ショックを生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、連続変速時であってもショックを回避可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、エンジンと、モータと、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機と、前記エンジンと前記モータとの間に設けられ、前記エンジンと前記モータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、前記モータと駆動輪との間に設けられ、前記モータから前記駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、前記自動変速機の変速中に、前記第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に前記第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることとした。
【発明の効果】
【0007】
よって、スリップ状態から完全締結状態への急激な移行が回避され、変速ショックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の発進時エンジン始動制御装置が適用された後輪駆動のハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラにおける演算処理プログラムを示す制御ブロック図である。
【図3】図2の目標駆動力演算部にて目標駆動力演算に用いられる目標駆動力マップの一例を示す図である。
【図4】図2のモード選択部にて目標モードの選択に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。
【図5】図2の目標充放電演算部にて目標充放電電力の演算に用いられる目標充放電量マップの一例を示す図である。
【図6】実施例1の自動変速機の変速マップである。
【図7】実施例1の自動変速機のスケルトン図である。
【図8】実施例1の自動変速機の締結作動表である。
【図9】実施例1の連続変速時における各締結要素の関係を表す図である。
【図10】実施例1の第2クラッチ締結圧制御処理を表すフローチャートである。
【図11】実施例1の単独変速における変速状態を表すタイムチャートである。
【図12】実施例1の連続変速における変速状態を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。図1は実施例1のエンジン始動制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0010】
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
【0011】
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0012】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0013】
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0014】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。尚、詳細については後述する。
【0015】
そして、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。尚、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0016】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。尚、EV走行モードでは、第2クラッチCL2を微小にスリップさせて走行するEVマイクロスリップ制御を実施する。これは、エンジン始動要求時や変速要求時において、第2クラッチCL2をスリップ制御するとき、完全締結状態からスリップ状態に移行する際のトルク変動等を抑制するためのものであり、基本的にEV走行モードが選択されているときには、EVマイクロスリップ制御を実施する。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。第3走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC(Wet Start Clutch)走行モード」と略称する。)である。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
【0018】
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0019】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
【0020】
また、更なるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0021】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0022】
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Neの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0023】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0025】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18と運転者の操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するインヒビタスイッチ7aからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセルペダル開度APOと車速VSPとインヒビタスイッチ7aの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0026】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力:以下、ブレーキ摩擦制動力と記載する)で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0027】
また、ブレーキ摩擦制動力を発生させるブレーキアクチュエータとして、実施例1の場合、液圧ユニットを採用している。具体的には、高圧を封入可能なアキュムレータと、アキュムレータに高圧を供給可能な電動ポンプと、各輪のホイルシリンダとアキュムレータとの連通状態を制御する増圧弁と、各輪のホイルシリンダとリザーバとの連通状態を制御する減圧弁等を備え、各輪のホイルシリンダに制動力配分に応じて増減圧弁を制御することでブレーキ液圧を制御する。尚、電動ポンプによって直接ホイルシリンダを増圧してもよいし、電動モータによってブレーキパッドの位置(押圧力)を制御し、制動力を発生する電気ブレーキを採用してもよく、特に限定しない。
【0028】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数N2outを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチトルクTCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ10aと、からの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。
【0029】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
【0030】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0031】
目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0032】
モード選択部200では、図4に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標モードを演算する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標モードとする。また、EV-HEV選択マップには、低車速領域においてアクセルペダル開度APOが大きいときに、大きな駆動力を出力するために、WSCモードが設定されている。
【0033】
HEV→WSC切換線もしくはEV→WSC切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低い領域に設定されている。図4中斜線領域がHEV走行モードからWSC走行モードに切り換えられる領域であり、図4中網掛け領域がWSC走行モードからEV走行モードに切り換えられる領域となる。
【0034】
また、HEV走行モードからEV走行モードへ切り換えるHEV→EV切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低くなったときにのみモード切り換えを許可するように設定されている。言い換えると、EV走行モードの時は極力EV走行モードを維持するように制御され、一旦HEV走行モードに切り換えられたときは、極力HEV走行モードを維持するように制御される。
【0035】
目標充放電演算部300では、図5に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0036】
動作点指令部400では、アクセルペダル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ締結容量と目標自動変速シフトと第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。また、動作点指令部400には、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときにエンジンEを始動するエンジン始動制御部が設けられている。
【0037】
変速制御部500では、図6の変速マップに示すシフトスケジュールに沿って、目標第2クラッチ締結容量と目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。尚、図6に示す変速マップは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいて予め目標変速段が設定されたものであり、図6中実線がアップシフト線、点線がダウンシフト線を示す。
【0038】
[自動変速機の構成について]
図7はハイブリッド車両の駆動系に採用された自動変速機ATのパワートレーンを示すスケルトン図、図8はハイブリッド車両の駆動系に採用された自動変速機ATによるクラッチ・ブレーキの締結作動表を示す図である。
【0039】
自動変速機AT内には、入力軸Input側から軸方向出力軸Output側に向けて、順に第1遊星ギヤセットGS1及び第2遊星ギヤセットGS2が配置されている。また、摩擦締結要素として複数のクラッチC1、C2、C3及びブレーキB1、B2、B3、B4が配置されている。また、複数のワンウェイクラッチF1、F2が配置されている。
【0040】
第1遊星ギヤG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、両ギヤS1、R1に噛み合う第1ピニオンP1を支持する第1キャリアPC1と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第2遊星ギヤG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、両ギヤS2、R2に噛み合う第2ピニオンP2を支持する第2キャリアPC2と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第3遊星ギヤG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、両ギヤS3、R3に噛み合う第3ピニオンP3を支持する第3キャリアPC3と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第4遊星ギヤG4は、第4サンギヤS4と、第4リングギヤR4と、両ギヤS4、R4に噛み合う第4ピニオンP4を支持する第4キャリアPC4と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。
【0041】
入力軸Inputは、第2リングギヤR2に連結され、エンジンEgからの回転駆動力を、トルクコンバータTC等を介して入力する。出力軸Outputは、第3キャリアPC3に連結され、出力回転駆動力を、ファイナルギヤ等を介して駆動輪に伝達する。
【0042】
インプットクラッチC1(I/C)は、入力軸Inputと第2連結メンバM2とを選択的に断接するクラッチである。ダイレクトクラッチC2(D/C)は、第4サンギヤS4と第4キャリアPC4とを選択的に断接するクラッチである。
【0043】
H&LRクラッチC3(H&LR/C)は、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4とを選択的に断接するクラッチである。また、第3サンギヤS3と第4サンギヤの間には、第2ワンウェイクラッチF2が配置されている。これにより、H&LRクラッチC3が解放され、第3サンギヤS3よりも第4サンギヤS4の回転速度が大きい時、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4とは独立した回転速度を発生する。よって、第3遊星ギヤG3と第4遊星ギヤG4が第2連結メンバM2を介して接続された構成となり、それぞれの遊星ギヤが独立したギヤ比を達成する。
【0044】
フロントブレーキB1(Fr/B)は、第1キャリアPC1の回転を選択的に停止させるブレーキである。また、フロントブレーキB1と並列に第1ワンウェイクラッチF1が配置されている。ローブレーキB2(LOW/B)は、第3サンギヤS3の回転を選択的に停止させるブレーキである。2346ブレーキB3(2346B)は、第1サンギヤS1及び第2サンギヤS2を連結する第3連結メンバM3の回転を選択的に停止させるブレーキである。リバースブレーキB4(R/B)は、第4キャリアPC4の回転を選択的に停止させるブレーキである。
【0045】
変速ギヤ機構は以上のように構成され、図8の締結表に示すように各締結要素の締結状態を切り換えることで所望の変速段を実現することができる。図8は、変速段ごとの各締結要素の締結状態を示す締結表であり、○印は当該締結要素が締結状態となることを示し、(○)印はエンジンブレーキが作動するレンジ位置が選択されているときに当該締結要素が締結状態となることを示す。
【0046】
すなわち、1速では、ローブレーキB2のみが締結状態となり、これにより、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2が係合する。2速では、ローブレーキB2及び2346ブレーキB3が締結状態となり、第2ワンウェイクラッチF2が係合する。3速では、ローブレーキB2、2346ブレーキB3及びダイレクトクラッチC2が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2はいずれも係合しない。4速では、2346ブレーキB3、ダイレクトクラッチC2及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。5速では、インプットクラッチC1、ダイレクトクラッチC2及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。6速では、2346ブレーキB3、インプットクラッチC1及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。7速では、フロントブレーキB1、インプットクラッチC1及びH&LRクラッチC3が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1が係合する。後退速では、リバースブレーキB4、フロントブレーキB1及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。
【0047】
図9は実施例1の連続変速時における各締結要素の関係を表す図である。現在変速の欄は、変速指令が出力されたときの最初の変速種を示し、次変速の欄は、最初の変速種が終了した後に行われる変速種を示す。また、CL2要素の欄は、連続変速中に第2クラッチCL2として機能する締結要素を示し、現在変速解放要素の欄は、最初の変速において解放される締結要素を示し、次変速解放要素の欄は、次変速において解放される締結要素を示す。図9には連続変速の10パターンが列挙されており、それぞれのパターンに番号を付してある。
【0048】
実施例1のハイブリッド車両は、例えばEV走行モードで走行中は、EVマイクロスリップ制御が実施されており、常時スリップ状態が保たれる。この状態で変速要求があるときには、スリップ状態のまま変速制御を実施することで、変速ショックを抑制している。また、EV走行モードで走行中にエンジン始動要求があったときは、第2クラッチCL2をスリップ状態としたままエンジン始動を行う。尚、エンジン始動中に変速要求があったときは、やはり第2クラッチCL2をスリップ状態としたまま変速制御を行う。このように、変速時には第2クラッチCL2をスリップ状態とし、変速終了後、もしくはエンジン始動終了後には、第2クラッチCL2を完全締結状態に移行させる。
【0049】
図9に示すように、実施例1の自動変速機を備えたハイブリッド車両にあっては、走行時の変速段に応じて対応する第2クラッチCL2を適宜切り換えている。例えば、6速や7速では第2クラッチCL2としてインプットクラッチC1を使用し、5速や4速では第2クラッチCL2としてH&LRクラッチC3を使用する。
【0050】
番号1,6,8,10に示す連続変速パターンは、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合である。この場合、現在の変速が終了すると、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させる。このとき、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了し、第2クラッチCL2をスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、連続変速中に第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させる。
【0051】
言い換えると、連続変速中は最初の変速後であって次の変速中に第2クラッチCL2の締結圧を緩やかに上昇させ、単独変速後は第2クラッチCL2の締結圧を一気に上昇させる。すなわち、変速終了後は、自動変速機内における回転要素のイナーシャ分の影響が小さい状況であり、極力早めに第2クラッチCL2を完全締結することで、エンジンEやモータジェネレータMGからの駆動力を伝達する。これにより、第2クラッチCL2の耐久性の向上と運転性の向上を図る。
【0052】
これに対し、連続変速中に現在の変速が終了した場合、次の変速が行われることから自動変速機内における回転要素のイナーシャ分の影響を無視できない状況が続く。また、一旦変速が開始してしまえば、その後は第2クラッチCL2を完全締結しても変速ショックは抑制可能であり、また、耐久性や運転性の観点からも第2クラッチCL2を完全締結する要求がある。ここで、連続変速中の現在の変速が終了後、次の変速が開始した後に第2クラッチCL2を一気に完全締結してしまうと、そのトルク変動によって適正な変速の進行を妨げるおそれがある。また、次の変速における変速ショックを招くおそれもある。そこで、連続変速中に現在の変速が終了した場合には、第2クラッチCL2の締結圧を緩やかに上昇させることとした。
【0053】
尚、現在の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させる。具体的には、番号2〜5の連続変速パターン、番号7,9の連続変速パターンは、上記に該当するため、解放制御を優先させ、第2クラッチCL2の締結圧が上昇することはない。よって、スムーズな変速を達成できる。
【0054】
図10は実施例1の第2クラッチ締結圧制御処理を表すフローチャートである。本制御フローは現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合に実行される処理であり、特にダウンシフトについて記載するが、アップシフトで適用してもよい。
ステップS1では、ダウンシフト変速中か否かを判断し、ダウンシフト変速中のときはステップS2に進み、それ以外のときは本制御フローの最初に戻る。
ステップS2では、始動制御が終了したか否かを判断し、終了したと判断したときはステップS3に進み、それ以外のときは本制御フローの最初に戻る。
ステップS3では、次変速ダウンシフトを開始しているか否かを判断し、開始していると判断したとき、すなわち連続変速の場合はステップS4に進み、それ以外のとき、すなわち単独変速の場合にはステップS5に進む。
ステップS4では、第2クラッチCL2の締結圧を斜め上げ、すなわち所定の緩やかな上昇率で上昇させ、完全締結状態に移行させる。
ステップS5では、第2クラッチCL2の締結圧を即上げ、すなわち一気に上昇させ、完全締結状態に移行させる。
【0055】
図11は実施例1の単独変速における変速状態を表すタイムチャートである。初期状態は、エンジン停止状態のEV走行モードにおいて、モータジェネレータMGによりコーストトルクを発生している減速状態においてダウンシフト指令が出力され、その後、アクセルペダルが踏み込まれてエンジン始動要求が出力される場合を示す。尚、EV走行モードでは、EVマイクロスリップ制御が行われており、第2クラッチCL2は微小な滑りを生じる程度の伝達トルク容量が設定されている。
【0056】
時刻t1において、ダウンシフト指令が出力されると、現在の変速で解放される締結要素の締結圧である解放クラッチ指示圧が一気に低下する。このとき、第2クラッチCL2はEVマイクロスリップ制御によりスリップ状態に制御されている。
時刻t2において、運転者がアクセルペダルを踏み込み、ドライバ要求トルクが大きくなると、エンジン始動要求が出力されるため、第1クラッチCL1を締結制御し、これによりモータジェネレータMGによってエンジン始動を行う。よって、モータジェネレータトルクは、回生トルクを出力している状態からドライブトルクを出力する状態に切り換わり、このとき、エンジン始動に必要なトルクも上乗せされて出力される。
【0057】
時刻t3において、エンジン回転数が上昇し、第1クラッチCL1のスリップ量が略ゼロとなるとCL1同期判定フラグがオンとなり、入力トルクはエンジントルクとモータジェネレータトルクの合計として出力される。ここでは、エンジン回転数の吹き上がりを抑制する観点からモータジェネレータにより一旦トルクを抑制する制御が行われる。尚、解放クラッチ指示圧は、入力トルク(エンジントルク+モータジェネレータトルク)に応じた勾配で一旦、緩やかに上昇する。
【0058】
時刻t4において、イナーシャフェーズが終了し、実ギヤ比が変速後のギヤ比に収束したと判定されると、ギヤ比収束判定フラグをオンにする。
時刻t5において、変速処理が全て終了したと判定されると、変速処理終了判定フラグがオンとなり、第2クラッチCL2の締結圧を一気に上昇させる。これにより、スムーズな駆動力の確保を達成する。
【0059】
図12は実施例1の連続変速における変速状態を表すタイムチャートである。初期状態は、エンジン停止状態のEV走行モードにおいて、モータジェネレータMGによりコーストトルクを発生している減速状態において連続ダウンシフト指令が出力され、現在のダウンシフト中に、アクセルペダルが踏み込まれてエンジン始動要求が出力される場合を示す。尚、連続ダウンシフトのうち、最初のダウンシフト指令を第1のダウンシフト指令、次のダウンシフト指令を第2のダウンシフト指令と記載する。
【0060】
時刻t1において、最初のダウンシフト指令が出力されると、現在変速解放要素の締結圧の解放クラッチ指示圧が一気に低下する。このとき、第2クラッチCL2はEVマイクロスリップ制御によりスリップ状態に制御されている。
【0061】
時刻t2において、第1のダウンシフト指令出力中に運転者がアクセルペダルを踏み込み、ドライバ要求トルクが大きくなると、エンジン始動要求が出力されるため、第1クラッチCL1を締結制御し、これによりモータジェネレータMGによってエンジン始動を行う。よって、モータジェネレータトルクは、回生トルクを出力している状態からドライブトルクを出力する状態に切り換わり、このとき、エンジン始動に必要なトルクも上乗せされて出力される。
【0062】
時刻t3において、第2のダウンシフト指令に基づいて解放される次変速解放要素の締結圧の解放クラッチ指示圧がスリップするぎりぎりの状態まで低下され、次の変速に備える状態とされる。
【0063】
時刻t4において、エンジン回転数がモータジェネレータMGにより引き揚げられ、エンジン回転数が上昇し、第1クラッチCL1のスリップ量が略ゼロとなるとCL1同期判定フラグがオンとなり、入力トルクはエンジントルクとモータジェネレータトルクの合計として出力される。ここでは、エンジン回転数の吹き上がりを抑制する観点からモータジェネレータにより一旦トルクを抑制する制御が行われる。尚、解放クラッチ指示圧は、入力トルク(エンジントルク+モータジェネレータトルク)に応じた勾配で一旦、緩やかに上昇する。このとき、第1のダウンシフト指令に基づいてギヤ比が変化し始める。
【0064】
時刻t5において、第1のダウンシフト指令によって達成すべきギヤ比に収束したと判定されると、ギヤ比収束判定フラグがオンとされる。
時刻t6において、第1のダウンシフト指令による変速処理が全て終了したと判定されると、変速処理終了判定フラグがオンとなり、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させる。言い換えると、単独変速終了時よりも緩やかな勾配で第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる。これにより、第2クラッチCL2の締結に伴う変速ショックを抑制する。そして、第2のダウンシフト指令による変速処理を開始する。このとき、ダウンシフトを進行させるためにエンジントルクとモータジェネレータの合計トルクを上昇させ、回転同期を行う。
時刻t7において、第2のダウンシフト指令による変速によってギヤ比が収束したと判定されると、次変速解放要素の締結圧を低下させ、変速を終了する。
【0065】
以上説明したように、実施例1のハイブリッド車両にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)エンジンEと、モータジェネレータMG(モータ)と、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機ATと、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に設けられ、エンジンEとモータジェネレータMGとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと駆動輪との間に設けられ、モータジェネレータMGから駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチCL2と、自動変速機ATの変速中に、第2クラッチCL2をスリップ状態とする動作点指令部400(スリップ制御手段)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、動作点指令部400は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に第2クラッチCL2のスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させることとした。
すなわち、連続変速中に第2クラッチCL2のスリップ制御を終了させるにあたり、現在の変速が終了した直後に即座に完全締結させてしまうと、変速ショックが発生するおそれがある。これに対し、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させることで、スリップ状態から完全締結状態への急激な移行が回避され、変速ショックを抑制することができる。
【0066】
(2)動作点指令部400は、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合には、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させ、現在の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させる。
よって、連続変速において次の変速が始まる前に第2クラッチCL2を締結することなく解放されるため、連続変速を適切に実施することができる。
【0067】
(3)動作点指令部400は、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了した後に第2クラッチCL2をスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、連続変速中に第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させる。
すなわち、単独変速終了後の第2クラッチCL2の上昇率を、連続変速中の第2クラッチCL2の締結圧の上昇率より高くすることにより、単独変速が終了後は第2クラッチCL2を早く完全締結することができ、駆動源の駆動力を効率よく駆動輪に伝達することで運転性を向上することができる。
【0068】
以上、実施例1に基づいて本願発明を説明したが、上記構成に限らず他の構成に適用してもよい。例えば、実施例1では第2クラッチCL2として自動変速機AT内に設けられた摩擦締結要素を流用したが、自動変速機AT内の摩擦締結要素とは別に新たにインプットシャフトInputとモータジェネレータMGとの間に専用の第2クラッチCL2を追加する構成としてもよい。この場合、連続変速時には、最初の変速が終了した後、次の変速中において解放される指令がくることはないため、徐々に締結圧を上昇すればよい。
【符号の説明】
【0069】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと駆動輪との間に締結要素を備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両として特許文献1の技術が開示されている。この公報には、エンジンと有段式の自動変速機との間にモータジェネレータを備え、エンジンとモータジェネレータとの間の駆動力を断接する第1クラッチと、モータジェネレータと自動変速機との間の駆動力を断接する第2クラッチとを備えた構成が開示されている。そして、エンジン始動を伴わない変速時には、第2クラッチをスリップ制御することで変速ショックを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−214640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば5速から4速、3速へと連続的に変速するような場合、一回目の変速が終了したことに基づいて単純に第2クラッチのスリップ制御を止めてしまうと、変速機への入力トルクが変動し、ショックを生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、連続変速時であってもショックを回避可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、エンジンと、モータと、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機と、前記エンジンと前記モータとの間に設けられ、前記エンジンと前記モータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、前記モータと駆動輪との間に設けられ、前記モータから前記駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、前記自動変速機の変速中に、前記第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に前記第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることとした。
【発明の効果】
【0007】
よって、スリップ状態から完全締結状態への急激な移行が回避され、変速ショックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の発進時エンジン始動制御装置が適用された後輪駆動のハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の統合コントローラにおける演算処理プログラムを示す制御ブロック図である。
【図3】図2の目標駆動力演算部にて目標駆動力演算に用いられる目標駆動力マップの一例を示す図である。
【図4】図2のモード選択部にて目標モードの選択に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。
【図5】図2の目標充放電演算部にて目標充放電電力の演算に用いられる目標充放電量マップの一例を示す図である。
【図6】実施例1の自動変速機の変速マップである。
【図7】実施例1の自動変速機のスケルトン図である。
【図8】実施例1の自動変速機の締結作動表である。
【図9】実施例1の連続変速時における各締結要素の関係を表す図である。
【図10】実施例1の第2クラッチ締結圧制御処理を表すフローチャートである。
【図11】実施例1の単独変速における変速状態を表すタイムチャートである。
【図12】実施例1の連続変速における変速状態を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
まず、ハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。図1は実施例1のエンジン始動制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0010】
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
【0011】
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチであり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0012】
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0013】
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。
【0014】
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。尚、詳細については後述する。
【0015】
そして、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。尚、前記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
【0016】
このハイブリッド駆動系には、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。第1走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。尚、EV走行モードでは、第2クラッチCL2を微小にスリップさせて走行するEVマイクロスリップ制御を実施する。これは、エンジン始動要求時や変速要求時において、第2クラッチCL2をスリップ制御するとき、完全締結状態からスリップ状態に移行する際のトルク変動等を抑制するためのものであり、基本的にEV走行モードが選択されているときには、EVマイクロスリップ制御を実施する。第2走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。第3走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC(Wet Start Clutch)走行モード」と略称する。)である。
【0017】
上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有する。
【0018】
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0019】
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
【0020】
また、更なるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
【0021】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0022】
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Neの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0023】
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報を入力し、統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0024】
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14と第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0025】
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18と運転者の操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するインヒビタスイッチ7aからのセンサ情報を入力し、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセルペダル開度APOと車速VSPとインヒビタスイッチ7aの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
【0026】
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19とブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報を入力し、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力:以下、ブレーキ摩擦制動力と記載する)で補うように、統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づいて回生協調ブレーキ制御を行う。
【0027】
また、ブレーキ摩擦制動力を発生させるブレーキアクチュエータとして、実施例1の場合、液圧ユニットを採用している。具体的には、高圧を封入可能なアキュムレータと、アキュムレータに高圧を供給可能な電動ポンプと、各輪のホイルシリンダとアキュムレータとの連通状態を制御する増圧弁と、各輪のホイルシリンダとリザーバとの連通状態を制御する減圧弁等を備え、各輪のホイルシリンダに制動力配分に応じて増減圧弁を制御することでブレーキ液圧を制御する。尚、電動ポンプによって直接ホイルシリンダを増圧してもよいし、電動モータによってブレーキパッドの位置(押圧力)を制御し、制動力を発生する電気ブレーキを採用してもよく、特に限定しない。
【0028】
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21と、第2クラッチ出力回転数N2outを検出する第2クラッチ出力回転数センサ22と、第2クラッチトルクTCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ23と、ブレーキ油圧センサ24と、第2クラッチCL2の温度を検知する温度センサ10aと、からの情報およびCAN通信線11を介して得られた情報を入力する。
【0029】
また、統合コントローラ10は、エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
【0030】
以下に、図2に示すブロック図を用いて、実施例1の統合コントローラ10にて演算される制御を説明する。例えば、この演算は、制御周期10msec毎に統合コントローラ10で演算される。統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
【0031】
目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0032】
モード選択部200では、図4に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標モードを演算する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標モードとする。また、EV-HEV選択マップには、低車速領域においてアクセルペダル開度APOが大きいときに、大きな駆動力を出力するために、WSCモードが設定されている。
【0033】
HEV→WSC切換線もしくはEV→WSC切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低い領域に設定されている。図4中斜線領域がHEV走行モードからWSC走行モードに切り換えられる領域であり、図4中網掛け領域がWSC走行モードからEV走行モードに切り換えられる領域となる。
【0034】
また、HEV走行モードからEV走行モードへ切り換えるHEV→EV切換線は、自動変速機ATが1速段のときに、エンジンEのアイドル回転数よりも小さな回転数となる車速VSP1よりも低くなったときにのみモード切り換えを許可するように設定されている。言い換えると、EV走行モードの時は極力EV走行モードを維持するように制御され、一旦HEV走行モードに切り換えられたときは、極力HEV走行モードを維持するように制御される。
【0035】
目標充放電演算部300では、図5に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0036】
動作点指令部400では、アクセルペダル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルクと目標モータジェネレータトルクと目標第2クラッチ締結容量と目標自動変速シフトと第1クラッチソレノイド電流指令を演算する。また、動作点指令部400には、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときにエンジンEを始動するエンジン始動制御部が設けられている。
【0037】
変速制御部500では、図6の変速マップに示すシフトスケジュールに沿って、目標第2クラッチ締結容量と目標変速段を達成するように自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御する。尚、図6に示す変速マップは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいて予め目標変速段が設定されたものであり、図6中実線がアップシフト線、点線がダウンシフト線を示す。
【0038】
[自動変速機の構成について]
図7はハイブリッド車両の駆動系に採用された自動変速機ATのパワートレーンを示すスケルトン図、図8はハイブリッド車両の駆動系に採用された自動変速機ATによるクラッチ・ブレーキの締結作動表を示す図である。
【0039】
自動変速機AT内には、入力軸Input側から軸方向出力軸Output側に向けて、順に第1遊星ギヤセットGS1及び第2遊星ギヤセットGS2が配置されている。また、摩擦締結要素として複数のクラッチC1、C2、C3及びブレーキB1、B2、B3、B4が配置されている。また、複数のワンウェイクラッチF1、F2が配置されている。
【0040】
第1遊星ギヤG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、両ギヤS1、R1に噛み合う第1ピニオンP1を支持する第1キャリアPC1と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第2遊星ギヤG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、両ギヤS2、R2に噛み合う第2ピニオンP2を支持する第2キャリアPC2と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第3遊星ギヤG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、両ギヤS3、R3に噛み合う第3ピニオンP3を支持する第3キャリアPC3と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。第4遊星ギヤG4は、第4サンギヤS4と、第4リングギヤR4と、両ギヤS4、R4に噛み合う第4ピニオンP4を支持する第4キャリアPC4と、を有するシングルピニオン型遊星ギヤである。
【0041】
入力軸Inputは、第2リングギヤR2に連結され、エンジンEgからの回転駆動力を、トルクコンバータTC等を介して入力する。出力軸Outputは、第3キャリアPC3に連結され、出力回転駆動力を、ファイナルギヤ等を介して駆動輪に伝達する。
【0042】
インプットクラッチC1(I/C)は、入力軸Inputと第2連結メンバM2とを選択的に断接するクラッチである。ダイレクトクラッチC2(D/C)は、第4サンギヤS4と第4キャリアPC4とを選択的に断接するクラッチである。
【0043】
H&LRクラッチC3(H&LR/C)は、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4とを選択的に断接するクラッチである。また、第3サンギヤS3と第4サンギヤの間には、第2ワンウェイクラッチF2が配置されている。これにより、H&LRクラッチC3が解放され、第3サンギヤS3よりも第4サンギヤS4の回転速度が大きい時、第3サンギヤS3と第4サンギヤS4とは独立した回転速度を発生する。よって、第3遊星ギヤG3と第4遊星ギヤG4が第2連結メンバM2を介して接続された構成となり、それぞれの遊星ギヤが独立したギヤ比を達成する。
【0044】
フロントブレーキB1(Fr/B)は、第1キャリアPC1の回転を選択的に停止させるブレーキである。また、フロントブレーキB1と並列に第1ワンウェイクラッチF1が配置されている。ローブレーキB2(LOW/B)は、第3サンギヤS3の回転を選択的に停止させるブレーキである。2346ブレーキB3(2346B)は、第1サンギヤS1及び第2サンギヤS2を連結する第3連結メンバM3の回転を選択的に停止させるブレーキである。リバースブレーキB4(R/B)は、第4キャリアPC4の回転を選択的に停止させるブレーキである。
【0045】
変速ギヤ機構は以上のように構成され、図8の締結表に示すように各締結要素の締結状態を切り換えることで所望の変速段を実現することができる。図8は、変速段ごとの各締結要素の締結状態を示す締結表であり、○印は当該締結要素が締結状態となることを示し、(○)印はエンジンブレーキが作動するレンジ位置が選択されているときに当該締結要素が締結状態となることを示す。
【0046】
すなわち、1速では、ローブレーキB2のみが締結状態となり、これにより、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2が係合する。2速では、ローブレーキB2及び2346ブレーキB3が締結状態となり、第2ワンウェイクラッチF2が係合する。3速では、ローブレーキB2、2346ブレーキB3及びダイレクトクラッチC2が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2はいずれも係合しない。4速では、2346ブレーキB3、ダイレクトクラッチC2及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。5速では、インプットクラッチC1、ダイレクトクラッチC2及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。6速では、2346ブレーキB3、インプットクラッチC1及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。7速では、フロントブレーキB1、インプットクラッチC1及びH&LRクラッチC3が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1が係合する。後退速では、リバースブレーキB4、フロントブレーキB1及びH&LRクラッチC3が締結状態となる。
【0047】
図9は実施例1の連続変速時における各締結要素の関係を表す図である。現在変速の欄は、変速指令が出力されたときの最初の変速種を示し、次変速の欄は、最初の変速種が終了した後に行われる変速種を示す。また、CL2要素の欄は、連続変速中に第2クラッチCL2として機能する締結要素を示し、現在変速解放要素の欄は、最初の変速において解放される締結要素を示し、次変速解放要素の欄は、次変速において解放される締結要素を示す。図9には連続変速の10パターンが列挙されており、それぞれのパターンに番号を付してある。
【0048】
実施例1のハイブリッド車両は、例えばEV走行モードで走行中は、EVマイクロスリップ制御が実施されており、常時スリップ状態が保たれる。この状態で変速要求があるときには、スリップ状態のまま変速制御を実施することで、変速ショックを抑制している。また、EV走行モードで走行中にエンジン始動要求があったときは、第2クラッチCL2をスリップ状態としたままエンジン始動を行う。尚、エンジン始動中に変速要求があったときは、やはり第2クラッチCL2をスリップ状態としたまま変速制御を行う。このように、変速時には第2クラッチCL2をスリップ状態とし、変速終了後、もしくはエンジン始動終了後には、第2クラッチCL2を完全締結状態に移行させる。
【0049】
図9に示すように、実施例1の自動変速機を備えたハイブリッド車両にあっては、走行時の変速段に応じて対応する第2クラッチCL2を適宜切り換えている。例えば、6速や7速では第2クラッチCL2としてインプットクラッチC1を使用し、5速や4速では第2クラッチCL2としてH&LRクラッチC3を使用する。
【0050】
番号1,6,8,10に示す連続変速パターンは、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合である。この場合、現在の変速が終了すると、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させる。このとき、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了し、第2クラッチCL2をスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、連続変速中に第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させる。
【0051】
言い換えると、連続変速中は最初の変速後であって次の変速中に第2クラッチCL2の締結圧を緩やかに上昇させ、単独変速後は第2クラッチCL2の締結圧を一気に上昇させる。すなわち、変速終了後は、自動変速機内における回転要素のイナーシャ分の影響が小さい状況であり、極力早めに第2クラッチCL2を完全締結することで、エンジンEやモータジェネレータMGからの駆動力を伝達する。これにより、第2クラッチCL2の耐久性の向上と運転性の向上を図る。
【0052】
これに対し、連続変速中に現在の変速が終了した場合、次の変速が行われることから自動変速機内における回転要素のイナーシャ分の影響を無視できない状況が続く。また、一旦変速が開始してしまえば、その後は第2クラッチCL2を完全締結しても変速ショックは抑制可能であり、また、耐久性や運転性の観点からも第2クラッチCL2を完全締結する要求がある。ここで、連続変速中の現在の変速が終了後、次の変速が開始した後に第2クラッチCL2を一気に完全締結してしまうと、そのトルク変動によって適正な変速の進行を妨げるおそれがある。また、次の変速における変速ショックを招くおそれもある。そこで、連続変速中に現在の変速が終了した場合には、第2クラッチCL2の締結圧を緩やかに上昇させることとした。
【0053】
尚、現在の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させる。具体的には、番号2〜5の連続変速パターン、番号7,9の連続変速パターンは、上記に該当するため、解放制御を優先させ、第2クラッチCL2の締結圧が上昇することはない。よって、スムーズな変速を達成できる。
【0054】
図10は実施例1の第2クラッチ締結圧制御処理を表すフローチャートである。本制御フローは現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合に実行される処理であり、特にダウンシフトについて記載するが、アップシフトで適用してもよい。
ステップS1では、ダウンシフト変速中か否かを判断し、ダウンシフト変速中のときはステップS2に進み、それ以外のときは本制御フローの最初に戻る。
ステップS2では、始動制御が終了したか否かを判断し、終了したと判断したときはステップS3に進み、それ以外のときは本制御フローの最初に戻る。
ステップS3では、次変速ダウンシフトを開始しているか否かを判断し、開始していると判断したとき、すなわち連続変速の場合はステップS4に進み、それ以外のとき、すなわち単独変速の場合にはステップS5に進む。
ステップS4では、第2クラッチCL2の締結圧を斜め上げ、すなわち所定の緩やかな上昇率で上昇させ、完全締結状態に移行させる。
ステップS5では、第2クラッチCL2の締結圧を即上げ、すなわち一気に上昇させ、完全締結状態に移行させる。
【0055】
図11は実施例1の単独変速における変速状態を表すタイムチャートである。初期状態は、エンジン停止状態のEV走行モードにおいて、モータジェネレータMGによりコーストトルクを発生している減速状態においてダウンシフト指令が出力され、その後、アクセルペダルが踏み込まれてエンジン始動要求が出力される場合を示す。尚、EV走行モードでは、EVマイクロスリップ制御が行われており、第2クラッチCL2は微小な滑りを生じる程度の伝達トルク容量が設定されている。
【0056】
時刻t1において、ダウンシフト指令が出力されると、現在の変速で解放される締結要素の締結圧である解放クラッチ指示圧が一気に低下する。このとき、第2クラッチCL2はEVマイクロスリップ制御によりスリップ状態に制御されている。
時刻t2において、運転者がアクセルペダルを踏み込み、ドライバ要求トルクが大きくなると、エンジン始動要求が出力されるため、第1クラッチCL1を締結制御し、これによりモータジェネレータMGによってエンジン始動を行う。よって、モータジェネレータトルクは、回生トルクを出力している状態からドライブトルクを出力する状態に切り換わり、このとき、エンジン始動に必要なトルクも上乗せされて出力される。
【0057】
時刻t3において、エンジン回転数が上昇し、第1クラッチCL1のスリップ量が略ゼロとなるとCL1同期判定フラグがオンとなり、入力トルクはエンジントルクとモータジェネレータトルクの合計として出力される。ここでは、エンジン回転数の吹き上がりを抑制する観点からモータジェネレータにより一旦トルクを抑制する制御が行われる。尚、解放クラッチ指示圧は、入力トルク(エンジントルク+モータジェネレータトルク)に応じた勾配で一旦、緩やかに上昇する。
【0058】
時刻t4において、イナーシャフェーズが終了し、実ギヤ比が変速後のギヤ比に収束したと判定されると、ギヤ比収束判定フラグをオンにする。
時刻t5において、変速処理が全て終了したと判定されると、変速処理終了判定フラグがオンとなり、第2クラッチCL2の締結圧を一気に上昇させる。これにより、スムーズな駆動力の確保を達成する。
【0059】
図12は実施例1の連続変速における変速状態を表すタイムチャートである。初期状態は、エンジン停止状態のEV走行モードにおいて、モータジェネレータMGによりコーストトルクを発生している減速状態において連続ダウンシフト指令が出力され、現在のダウンシフト中に、アクセルペダルが踏み込まれてエンジン始動要求が出力される場合を示す。尚、連続ダウンシフトのうち、最初のダウンシフト指令を第1のダウンシフト指令、次のダウンシフト指令を第2のダウンシフト指令と記載する。
【0060】
時刻t1において、最初のダウンシフト指令が出力されると、現在変速解放要素の締結圧の解放クラッチ指示圧が一気に低下する。このとき、第2クラッチCL2はEVマイクロスリップ制御によりスリップ状態に制御されている。
【0061】
時刻t2において、第1のダウンシフト指令出力中に運転者がアクセルペダルを踏み込み、ドライバ要求トルクが大きくなると、エンジン始動要求が出力されるため、第1クラッチCL1を締結制御し、これによりモータジェネレータMGによってエンジン始動を行う。よって、モータジェネレータトルクは、回生トルクを出力している状態からドライブトルクを出力する状態に切り換わり、このとき、エンジン始動に必要なトルクも上乗せされて出力される。
【0062】
時刻t3において、第2のダウンシフト指令に基づいて解放される次変速解放要素の締結圧の解放クラッチ指示圧がスリップするぎりぎりの状態まで低下され、次の変速に備える状態とされる。
【0063】
時刻t4において、エンジン回転数がモータジェネレータMGにより引き揚げられ、エンジン回転数が上昇し、第1クラッチCL1のスリップ量が略ゼロとなるとCL1同期判定フラグがオンとなり、入力トルクはエンジントルクとモータジェネレータトルクの合計として出力される。ここでは、エンジン回転数の吹き上がりを抑制する観点からモータジェネレータにより一旦トルクを抑制する制御が行われる。尚、解放クラッチ指示圧は、入力トルク(エンジントルク+モータジェネレータトルク)に応じた勾配で一旦、緩やかに上昇する。このとき、第1のダウンシフト指令に基づいてギヤ比が変化し始める。
【0064】
時刻t5において、第1のダウンシフト指令によって達成すべきギヤ比に収束したと判定されると、ギヤ比収束判定フラグがオンとされる。
時刻t6において、第1のダウンシフト指令による変速処理が全て終了したと判定されると、変速処理終了判定フラグがオンとなり、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させる。言い換えると、単独変速終了時よりも緩やかな勾配で第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる。これにより、第2クラッチCL2の締結に伴う変速ショックを抑制する。そして、第2のダウンシフト指令による変速処理を開始する。このとき、ダウンシフトを進行させるためにエンジントルクとモータジェネレータの合計トルクを上昇させ、回転同期を行う。
時刻t7において、第2のダウンシフト指令による変速によってギヤ比が収束したと判定されると、次変速解放要素の締結圧を低下させ、変速を終了する。
【0065】
以上説明したように、実施例1のハイブリッド車両にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)エンジンEと、モータジェネレータMG(モータ)と、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機ATと、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に設けられ、エンジンEとモータジェネレータMGとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと駆動輪との間に設けられ、モータジェネレータMGから駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチCL2と、自動変速機ATの変速中に、第2クラッチCL2をスリップ状態とする動作点指令部400(スリップ制御手段)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、動作点指令部400は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に第2クラッチCL2のスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させることとした。
すなわち、連続変速中に第2クラッチCL2のスリップ制御を終了させるにあたり、現在の変速が終了した直後に即座に完全締結させてしまうと、変速ショックが発生するおそれがある。これに対し、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させることで、スリップ状態から完全締結状態への急激な移行が回避され、変速ショックを抑制することができる。
【0066】
(2)動作点指令部400は、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、第2クラッチCL2として機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合には、第2クラッチCL2の締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させ、現在の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と第2クラッチCL2とが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させる。
よって、連続変速において次の変速が始まる前に第2クラッチCL2を締結することなく解放されるため、連続変速を適切に実施することができる。
【0067】
(3)動作点指令部400は、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了した後に第2クラッチCL2をスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、連続変速中に第2クラッチCL2の締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させる。
すなわち、単独変速終了後の第2クラッチCL2の上昇率を、連続変速中の第2クラッチCL2の締結圧の上昇率より高くすることにより、単独変速が終了後は第2クラッチCL2を早く完全締結することができ、駆動源の駆動力を効率よく駆動輪に伝達することで運転性を向上することができる。
【0068】
以上、実施例1に基づいて本願発明を説明したが、上記構成に限らず他の構成に適用してもよい。例えば、実施例1では第2クラッチCL2として自動変速機AT内に設けられた摩擦締結要素を流用したが、自動変速機AT内の摩擦締結要素とは別に新たにインプットシャフトInputとモータジェネレータMGとの間に専用の第2クラッチCL2を追加する構成としてもよい。この場合、連続変速時には、最初の変速が終了した後、次の変速中において解放される指令がくることはないため、徐々に締結圧を上昇すればよい。
【符号の説明】
【0069】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
24 ブレーキ油圧センサ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
モータと、
複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機と、
前記エンジンと前記モータとの間に設けられ、前記エンジンと前記モータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、
前記モータと駆動輪との間に設けられ、前記モータから前記駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、
前記自動変速機の変速中に、前記第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に前記第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、前記第2クラッチとして機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させ、現在の変速で解放される締結要素と前記第2クラッチとが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と前記第2クラッチとが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了した後に前記第2クラッチをスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、前記連続変速中に前記第2クラッチの締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項1】
エンジンと、
モータと、
複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機と、
前記エンジンと前記モータとの間に設けられ、前記エンジンと前記モータとの間の駆動力の伝達を断接する第1クラッチと、
前記モータと駆動輪との間に設けられ、前記モータから前記駆動輪へ伝達される駆動力の伝達を断接する第2クラッチと、
前記自動変速機の変速中に、前記第2クラッチをスリップ状態とするスリップ制御手段と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速と次の変速とを連続で行う連続変速中に、現在の変速が終了した後、かつ、次の変速が終了する前に前記第2クラッチのスリップ状態を完全締結状態に移行させる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速で解放される締結要素と、次の変速で解放される締結要素と、前記第2クラッチとして機能させる締結要素とがそれぞれ異なる場合には、前記第2クラッチの締結圧を徐々に上昇させてスリップ状態から完全締結状態に移行させ、現在の変速で解放される締結要素と前記第2クラッチとが同じ場合、又は次の変速で解放される締結要素と前記第2クラッチとが同じ場合には、スリップ状態よりも解放する制御を優先させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記スリップ制御手段は、現在の変速のみを行う単独変速のときに、該単独変速が終了した後に前記第2クラッチをスリップ状態から完全締結状態に移行させる場合には、前記連続変速中に前記第2クラッチの締結圧を上昇させる上昇率よりも大きな上昇率により移行させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−162099(P2012−162099A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21673(P2011−21673)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]