説明

プラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法

【課題】本発明は、輸送管内部の金属付着物の状況を知ることができるプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、を有するプラズマ処理装置の検査方法であって、前記放電管内に検査ガスを導入し、前記放電管内にマイクロ波を導入して前記検査ガスのプラズマを生成し、前記プラズマ処理室における光の強度を測定すること、を特徴とするプラズマ処理装置の検査方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法に関し、特に、プラズマ発生室とプラズマ処理室とが分離されている「プラズマ分離型」のプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、「プラズマ分離型」のプラズマ処理装置、「プラズマ分離型」のプラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング、アッシング、表面改質あるいは薄膜堆積などのプラズマ処理は、半導体装置や液晶ディスプレイをはじめとする各種製品の製造に利用されている。この場合、例えば、半導体製造用シリコンウェーハや液晶ディスプレイ用ガラス基板上に形成した導電体膜や絶縁膜などをプラズマ処理するのに際して、プラズマ発生室とプラズマ処理室とが分離された「プラズマ分離型」のプラズマ処理装置が用いられる場合がある。
【0003】
このような「プラズマ分離型」のプラズマ処理装置(以下、単に「プラズマ処理装置」と称する)においては、プラズマ処理室とプラズマ発生室とが輸送管により連結されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
そして、プラズマ発生室において発生させたプラズマによりプロセスガスを分解、活性化し、生成されたラジカルなどのガス種(以下、「活性種」と称する)を輸送管を介してプラズマ処理室に送るようにしている。
【0005】
このようなプラズマ処理装置においてプラズマ処理を繰り返すと、プラズマ発生室(放電管)の内部に反応生成物が付着して処理速度(例えば、エッチングレート)の変動や歩留まりの低下が生ずることがある。
そのため、プラズマからの光を検出してプラズマ発生室の内部に付着する反応生成物の状況を監視する技術が提案されている(特許文献2を参照)。
【0006】
ここで、プラズマ処理装置の製造時、あるいはプラズマ処理を繰り返すうちに、輸送管の内部に金属やその化合物など(以下、「金属付着物」と称する)が付着する場合がある。このような場合、特許文献2に開示がされた技術では、プラズマ発生室内部の状況は監視できてもプラズマ発生室の下流に位置する輸送管の内部の状況までは監視することができない。
そのため、輸送管の内部に金属付着物が付着することで処理速度(例えば、エッチングレート)が変動し、歩留まりの低下が生ずるおそれがある。
【特許文献1】特開2000−299305号公報
【特許文献2】特開平5−259250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、輸送管内部の金属付着物の状況を知ることができるプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、を有するプラズマ処理装置の検査方法であって、前記放電管内に検査ガスを導入し、前記放電管内にマイクロ波を導入して前記検査ガスのプラズマを生成し、前記プラズマ処理室における光の強度を測定すること、を特徴とするプラズマ処理装置の検査方法が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、を有するプラズマ処理装置を検査する検査装置であって、前記放電管内に検査ガスを導入するガス供給手段と、前記プラズマ処理室における光の強度を測定する測定手段と、を備えたことを特徴とする検査装置が提供される。
【0010】
また、本発明の他の一態様によれば、放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、上記の検査装置と、を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0011】
また、本発明の他の一態様によれば、放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、を有するプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、上記のプラズマ処理装置の検査方法により前記輸送管の内部の状況を判定することでクリーニングの要否を判断すること、を特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法が提供される。
【0012】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のプラズマ処理装置を用いて、基板表面にパターンを形成すること、を特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のプラズマ処理装置のクリーニング方法を用いて、プラズマ処理装置のクリーニングをし、前記クリーニングをしたプラズマ処理装置を用いて、基板表面にパターンを形成すること、を特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、輸送管内部の金属付着物の状況を知ることができるプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法、および半導体装置の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式図である。 図1に示すように、プラズマ処理装置1は、プラズマ処理室2とプラズマ発生室3とを備えている。また、プラズマ処理室2とプラズマ発生室3とが輸送管4により連結されている。
プラズマ発生室3は、放電管7とマイクロ波導入手段8とを有している。放電管7は、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料からなる。例えば、放電管7をアルミナや石英などからなるものとすることができる。
【0016】
放電管7の外側にはマイクロ波導入手段8が放電管7と略直交するようにして設けられている。マイクロ波導入手段8の終端には終端整合器8aが設けられている。また、マイクロ波導入手段8の入口側(マイクロ波Mの導入側)にはスタブチューナ8bが設けられている。また、放電管7へ向けてマイクロ波Mを放射する部分にはスリット9が設けられている。
放電管7の一端には、ガス供給手段15が接続され、図示しない切換手段によりガスの種類を切り換えられるようになっている。そのため、放電管7の内部にプロセスガス、後述する検査ガス、クリーニングガスなどのガスGを必要に応じて切り換えて導入することができる。また、放電管7の他端には輸送管4の一端が接続され、輸送管4の他端はプラズマ処理室2に接続されている。すなわち、プラズマ発生室3とプラズマ処理室2とが輸送管4により接続されている。
【0017】
プラズマ発生室3で生成された活性種がプラズマ処理室2に輸送される途中に金属があると、活性種と金属とが反応して活性種が失活してしまう。そのため、少なくとも輸送管4の内壁面は、活性種と反応しにくい材料(例えば、四弗化樹脂(PTFE)またはアルミナ等のセラミック材料など)で形成されている。
【0018】
プラズマ処理室2には、排気手段5が接続され減圧雰囲気を維持できるようになっている。また、その内部には、載置台6が設けられている。すなわち、プラズマ処理室2は、半導体ウェーハやガラス基板などの被処理物Wを収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。載置台6には図示しない静電チャックが内蔵されている。そのため、載置台6の上面(載置面)に被処理物Wを載置し、これを保持できるようになっている。
【0019】
輸送管4との接続部分よりは下方であって載置台6の上方には、載置台6の上面を覆うように整流板10が設けられている。整流板10には多数の孔が設けられている。また、整流板10は、載置台6の上面(載置面)から離して設けられている。整流板10は、被処理物Wの表面に導かれる活性種を含むガスの流動を整流し、ガスが被処理物Wの表面に均一に導かれるようにするためのものである。
【0020】
載置台6の上面(載置面)よりは下方であって載置台6の外周には、制御板11が設けられている。制御板11には多数の孔が設けられている。制御板11は、被処理物Wの表面から排気されるガスの流動を制御し、被処理物Wの表面のガスの流れを制御するためのものである。
【0021】
そして、整流板10、載置台6の上面(載置面)、制御板11で画される領域が、プラズマ処理が行われる処理空間2aとなる。また、プラズマ処理室2の内壁面、整流板10の表面、制御板11の表面は、活性種と反応しにくい材料14(例えば、四弗化樹脂(PTFE)またはアルミナ等のセラミック材料など)で覆われている。
【0022】
プラズマ処理室2の側壁面の処理空間2aに面する部分には、検査窓12が設けられている。検査窓12は、ガラスやサファイアなどの透明材料からなる。
【0023】
プラズマ処理室2の外側には、検査窓12と対峙するようにして測定手段13が設けられている。測定手段13は、例えばフォトダイオードのような受光素子を備えている。そのため、検査窓12を介してプラズマ処理室2(処理空間2a)における光の強度を測定できるようになっている。
【0024】
ここで、本実施の形態においては、後述する検査ガスを導入するガス供給手段15と、測定手段13と、が検査装置となる。なお、検査ガスを導入するガス供給手段と、測定手段と、がプラズマ処理装置1に一体に設けられた場合を例示したがこれに限定されるわけではない。検査ガスを導入するガス供給手段と、測定手段と、がプラズマ処理装置1とは別に設けられ、必要に応じてプラズマ処理装置1に接続されるものであってもよい。
【0025】
このようなプラズマ処理装置1において被処理物Wを処理する際には、図示しないマイクロ波発生手段から導波されてきたマイクロ波Mが、マイクロ波導入手段8のスリット9を介して放電管7の内部に導入される。一方、ガス供給手段15から放電管7の内部にプロセスガスが導入される。そして、導入されたプロセスガスにマイクロ波Mが作用することでプロセスガスのプラズマPが励起される。
【0026】
プラズマPにより生成された活性種を含むガスは、輸送管4を通ってプラズマ処理室2の内部に導入される。そして、導入された活性種を含むガスは整流板10で整流されて、載置台6の上面(載置面)に載置された被処理物Wの表面に到達する。
【0027】
そして、被処理物Wの表面に到達した活性種により、エッチングやアッシングなどのプラズマ処理が行われる。例えば、被処理物Wとしてシリコン(Si)をエッチングする場合には、プロセスガスとして、CFを含むガスを用いることができる。この場合、プラズマ発生室3(放電管7の内部)において形成されたプラズマPの中には、CF、CF、CF、Fなどの遊離基(ラジカル)やCなどの中間分解生成物が形成される。これらの活性種がシリコンの表面に到達すると、CF、CFは解離して活性なFを生成し、このFがシリコンと反応してSiFを形成する。このSiFは蒸気圧が高いため、減圧下でシリコン表面から急速に脱離する。このようにしてシリコンのエッチングが進行することになる。
プラズマ処理に用いられたガスは、排気手段5により制御板11を介してプラズマ処理室2の外に排気される。
【0028】
このようなプラズマ処理において、放電管7や輸送管4の内部に金属付着物(鉄、アルミニウムなどの金属を含む異物)があると、活性種と金属とが反応して活性種が失活してしまう。その結果、処理速度(例えば、エッチングレート)が変動することになり、歩留まりの低下が生ずるおそれがある。
【0029】
そのため、プラズマ処理装置1の製造の際には、放電管7や輸送管4の酸洗浄などを行い金属付着物を除去するようにしている。しかしながら、洗浄が不完全である場合には金属付着物が残留するおそれがある。
【0030】
また、ガス供給手段15から放電管7の内部にプロセスガスを導入した際に、金属が導入されてしまうおそれがある。例えば、ガス供給手段15にはステンレス製の配管部材が使用される場合があるが、このような金属製の配管部材からでた金属がプロセスガスとともに放電管7や輸送管4の内部に導入されてしまうおそれがある。
【0031】
また、プラズマ処理装置1が停止した際に、排気手段5からガスが逆流し、排気手段5や配管部材などからでた金属が逆流したガスとともに放電管7や輸送管4の内部に導入されてしまうおそれがある。
【0032】
このような金属付着物は、微細であるため肉眼で確認することができない。そのため、金属付着物の影響により処理特性が変化するまではその存在が分からず、不良品の発生を未然に防止することができない。また、ガス供給手段15や排気手段5から金属が導入される場合には、プラズマ処理作業において徐々に、あるいは突然発生するおそれがある。
【0033】
ここで、特許文献2に開示された技術のように、プラズマ発生室内部の状況を監視する技術が知られている。しかしながら、このような技術では、放電管7の内部の状況を監視することができても、その下流側に位置しプラズマの発生のない輸送管4の内部の状況までは監視することができない。
【0034】
本発明者は検討の結果、プラズマの発生のない領域にある金属付着物をも検知することができる方法を見出した。以下、本発明者が得た知見について説明をする。
本発明者の得た知見によれば、プラズマ発生室3(放電管7)に所定のガスを導入してプラズマPを発生させるとプラズマ処理室2においても光が観測される。そして、放電管7や輸送管4の内部に金属付着物があると、この光の強度が変動することが判明した。また、プラズマ発生室3(放電管7)に導入するガスの種類によって光の強度が変わることも判明した。
【0035】
この場合、プラズマ処理室2において観測される光の強度が高いほどその測定が容易となる。また、その測定精度を向上させることもできる。このことを考慮すると、プラズマ発生室3(放電管7)に導入するガス(検査ガス)は、酸素を含んだガスとすることが好ましい。酸素を含んだガスとしては、例えば、酸素ガスと窒素ガスの混合ガス、酸素ガスとヘリウムガスなどの不活性ガスの混合ガス、酸素ガスの単体ガスなどを例示することができる。その中でも、酸素ガスの単体ガスとすればプラズマ処理室2において観測される光の強度を最も高めることができる。なお、この場合、酸素ガスの単体ガスには、窒素や、ヘリウムガスなどの不活性ガスなどが微量添加されたものをも含ませることができる。
【0036】
次に、本発明者が行った実験について例示をする。
図2は、実験の概要を例示するための模式図である。
本実験においては、図2に示すように、図1に例示をしたプラズマ処理装置1の放電管7の出口部分(輸送管4との接続部分)に、金属付着物として金属(ステンレス、または、アルミニウム)を入れた。
【0037】
また、プロセスガスとしてCFとOの混合ガスを用いてシリコンウェーハをエッチング処理し、エッチング処理の合間に本実施の形態に係るプラズマ処理装置の検査方法、検査装置を用いて金属付着物の検査を行った。
また、金属付着物の検査の際にプラズマ発生室3(放電管7)に導入するガス(検査ガス)は、酸素ガスの単体ガスとした。なお、被処理物Wがプラズマ処理室2内にない状態の時に金属付着物の検査を行うようにしている。
【0038】
図3は、放電管の出口部分に金属を入れなかった場合の光の強度を例示するためのグラフ図である。なお、縦軸はプラズマ処理室2において観測される光の強度(測定手段13の出力値)を表し、横軸は放電時間(プラズマ発生時間)を表している。また、図中のAに示す線は、エッチング処理前に金属付着物の検査を行った場合である。また、図中のBに示す線は、104枚のシリコンウェーハをエッチング処理した後に金属付着物の検査を行った場合である。
【0039】
図4は、放電管の出口部分に金属を入れた場合の光の強度を例示するためのグラフ図である。なお、縦軸はプラズマ処理室2において観測される光の強度(測定手段13の出力値)を表し、横軸は放電時間(プラズマ発生時間)を表している。また、図中のCに示す線は、エッチング処理前に金属付着物の検査を行った場合である。また、図中のDに示す線は、13枚のシリコンウェーハをエッチング処理した後に金属付着物の検査を行った場合である。また、図中のEに示す線は、52枚のシリコンウェーハをエッチング処理した後に金属付着物の検査を行った場合である。また、図中のFに示す線は、104枚のシリコンウェーハをエッチング処理した後に金属付着物の検査を行った場合である。
【0040】
図3に示すように金属がない場合には、エッチング処理の前後であってもプラズマ処理室2において観測される光の強度に差は見られない。
一方、図4に示すように金属がある場合には、図3に示す金属がない場合よりも光の強度が低い。また、エッチング処理の枚数が多くなるにつれて、光の強度がさらに低下するようになる。なお、図3、図4は、ステンレスを放電管7の出口部分に入れた場合であるが、アルミニウムなどにおいても同様の結果が得られる。
【0041】
そのため、例えば、清浄な場合(金属付着物がない場合)における光の強度を予め測定しておき、その値を基準として光の強度の測定値が変動する様子を検知すれば、輸送管4の内部の状況を判定することができる。すなわち、被処理物Wがプラズマ処理室2内にない状態の時に、排気手段5を作動させて放電管7や輸送管4などの内部を減圧雰囲気とし、放電管7内に検査ガスを導入し、放電管7内にマイクロ波Mを導入して検査ガスのプラズマを生成し、このプラズマ生成時におけるプラズマ処理室2内の光の強度を測定すれば、輸送管4の内部の状況を判定することができる。この場合、輸送管4の内部の金属付着物の付着状況を判定することができる。そして、これをプラズマ処理装置の検査方法とすることができる。
【0042】
このようにすれば、プラズマの発生のない輸送管4の内部の状況までをも知ることができる。そのため、処理特性(例えば、エッチング特性やアッシング特性など)が変化する前に、金属付着物の有無を知ることができるので、不良品の発生を大幅に抑制することができる。
【0043】
また、プラズマ発生室3(放電管7)に検査ガスを導入してプラズマを発生させればよいので、比較的短時間に検査を終了させることができる。そのため、プラズマ処理装置1の製造やプラズマ処理などにおける生産性に与える影響を抑制することができる。
また、検査後に特別な処理や手順を必要とせずに、すぐにプラズマ処理作業を再開することができる。
【0044】
また、光の強度と不良品の発生との関係を予め調べて閾値を設け、これを超えた場合に警報を出したり、クリーニング作業を行ったりすることができる。そのようにすれば、熟練した作業者でなくとも容易に判断を行うことができる。また、作業者の恣意的判断を排除することもできる。そのため、製品品質と生産性の向上を図ることができる。
【0045】
次に、本実施の形態に係るクリーニング方法について例示をする。
前述した検査により輸送管の内部の状況を判定することでクリーニングの要否を判断することができる。そして、クリーニングが必要と判断された場合には、放電管7や輸送管4のクリーニングを行う。
この場合、放電管7、輸送管4を大気開放して取り外し、その内部を研磨したり、薬液などにより洗浄したりすることができる。薬液による洗浄(ウェット洗浄)としては、例えば、HF溶液などのクリーニング溶液による洗浄を例示することができる。
【0046】
また、クリーニングガスを用いたドライ洗浄とすることもできる。この場合、排気手段5を作動させて放電管7や輸送管4などの内部を減圧雰囲気とし、放電管7内にクリーニングガスを導入し、放電管7内にマイクロ波Mを導入してクリーニングガスのプラズマを生成し、プラズマの生成により分解、活性化されたクリーニングガスにより金属付着物を除去するようにすることができる。
【0047】
また、放電管7内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを加熱することにより放電管7内の金属付着物を除去するようにすることができる。また、放電管7を介して輸送管4内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを加熱することにより輸送管4内の金属付着物を除去するようにすることができる。この場合、放電管7、輸送管4の外部に図示しない加熱手段を設けてクリーニングガスを加熱するようにすることができる。また、クリーニングガスとしては、例えば、NFガスやClFガスなどを例示することができる。
薬液による洗浄(ウェット洗浄)などを行うものとすれば、放電管7や輸送管4の分解と組立作業を伴うので処理コストが高く、また、プラズマ処理装置1の稼働率が低下するおそれがある。ただし、金属付着物の確実な除去を行うことができる。一方、クリーニングガスを用いたドライ洗浄とすれば、除去性能は落ちるものの比較的容易にクリーニングを行うことができる。
【0048】
ここで、前述した本実施の形態に係るプラズマ処理装置の検査方法、検査装置を用いるものとすれば、適切な時期に適切なクリーニングを行うことができる。そのため、例えば、所定の期間の経過後にクリーニングを行う場合に生じ得る無駄なクリーニング作業を省くことができる。そのため、薬液による洗浄(ウェット洗浄)などを行う場合であっても、総合的な処理コストを低下させることができ、また、プラズマ処理装置1の稼働率を向上させることもできる。
【0049】
また、測定される光の強度に基づいてウェット洗浄などとドライ洗浄とを使い分けることもできる。例えば、光の強度が予め定められた所定の値未満の場合にはドライ洗浄を行い、予め定められた所定の値以上となった場合にはウェット洗浄などを行うようにすることもできる。そのようにすれば、ウェット洗浄などとドライ洗浄との利点を組み合わせることができる。そのため、クリーニングの効果を最大限発揮させることができるとともに、総合的な処理コストを低下させることができる。また、プラズマ処理装置1の稼働率を向上させることもできる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について例示をする。
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、前述した本実施の形態に係るプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法を用いるものである。
半導体装置の製造方法は、成膜・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト除去などにより基板(ウェーハ)表面にパターンを形成する工程、検査工程、洗浄工程、熱処理工程、不純物導入工程、拡散工程、平坦化工程などの複数の工程を繰り返すことにより実施される。
【0051】
そして、例えば、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1を用いて基板表面にパターンを形成することで、半導体装置を製造することができる。
また、例えば、本実施の形態に係るプラズマ処理装置のクリーニング方法を用いて、プラズマ処理装置のクリーニングをし、クリーニングをしたプラズマ処理装置を用いて、基板表面にパターンを形成することで、半導体装置を製造することができる。
【0052】
このようにして、本実施の形態に係るプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法を用いるものとすれば、製品品質の向上と生産性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態に係るプラズマ処理装置の検査方法、検査装置、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置のクリーニング方法以外は、既知の各工程の技術を適用することができるのでそれらの説明は省略する。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0054】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式図である。
【図2】実験の概要を例示するための模式図である。
【図3】放電管の出口部分に金属を入れなかった場合の光の強度を例示するためのグラフ図である。
【図4】放電管の出口部分に金属を入れた場合の光の強度を例示するためのグラフ図である。
【符号の説明】
【0056】
1 プラズマ処理装置、2 プラズマ処理室、2a 処理空間、3 プラズマ発生室、4 輸送管、7 放電管、8 マイクロ波導入手段、12 検査窓、13 測定手段、15 ガス供給手段、G ガス、M マイクロ波、P プラズマ、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、
被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、
前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、
を有するプラズマ処理装置の検査方法であって、
前記放電管内に検査ガスを導入し、
前記放電管内にマイクロ波を導入して前記検査ガスのプラズマを生成し、
前記プラズマ処理室における光の強度を測定すること、を特徴とするプラズマ処理装置の検査方法。
【請求項2】
前記光の強度を測定することで、前記輸送管の内部の状況を判定すること、を特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の検査方法。
【請求項3】
前記光の強度を測定することで、前記輸送管の内部の金属付着物の付着状況を判定すること、を特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置の検査方法。
【請求項4】
前記検査ガスは、酸素を含んだガスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置の検査方法。
【請求項5】
放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、
被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、
前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、
を有するプラズマ処理装置を検査する検査装置であって、
前記放電管内に検査ガスを導入するガス供給手段と、
前記プラズマ処理室における光の強度を測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項6】
前記測定手段は、
前記放電管内にマイクロ波を導入して前記検査ガスのプラズマを生成した際の前記プラズマ処理室における光の強度を測定すること、を特徴とする請求項5記載の検査装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記プラズマ処理室の外側に設けられ、
前記プラズマ処理室の壁面に設けられた検査窓を介して前記プラズマ処理室における光の強度を測定すること、を特徴とする請求項5または6記載の検査装置。
【請求項8】
前記検査ガスは、酸素を含んだガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置の検査装置。
【請求項9】
放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、
被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、
前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、
請求項5〜8のいずれか1つに記載の検査装置と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
放電管とマイクロ波導入手段とを有し、前記放電管内に導入されたガスにマイクロ波を作用させてプラズマを生成するプラズマ発生室と、
被処理物を収容し大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なプラズマ処理室と、
前記プラズマ発生室と前記プラズマ処理室とを接続する輸送管と、
を有するプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置の検査方法により前記輸送管の内部の状況を判定することでクリーニングの要否を判断すること、を特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法。
【請求項11】
前記判断において、クリーニングが必要と判断された場合には、
前記放電管内にクリーニングガスを導入し、
前記放電管内にマイクロ波を導入して前記クリーニングガスのプラズマを生成し、
前記プラズマの生成により分解された前記クリーニングガスにより金属付着物を除去すること、を特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法。
【請求項12】
前記判断において、クリーニングが必要と判断された場合には、
前記放電管内にクリーニングガスを導入し、
前記クリーニングガスを加熱することにより前記放電管内の金属付着物を除去すること、を特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法。
【請求項13】
前記判断において、クリーニングが必要と判断された場合には、
前記放電管を介して前記輸送管内にクリーニングガスを導入し、
前記クリーニングガスを加熱することにより前記輸送管内の金属付着物を除去すること、を特徴とする請求項11または12に記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法。
【請求項14】
前記プラズマ処理室における光の強度に基づいて、ウェット洗浄と、ドライ洗浄と、の使い分けを行うこと、を特徴とする請求項10〜13のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法。
【請求項15】
請求項9記載のプラズマ処理装置を用いて、基板表面にパターンを形成すること、を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項10〜14のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法を用いて、プラズマ処理装置のクリーニングをし、前記クリーニングをしたプラズマ処理装置を用いて、基板表面にパターンを形成すること、を特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−246088(P2009−246088A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89821(P2008−89821)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】