説明

プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置

【課題】常温から実装領域温度の範囲において面方向の熱膨張率の上昇を、実装時の多層プリント配線板の反りを低減させるプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)ナフタレン環を有する特定の多官能エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材を必須成分とする樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。該硬化剤は、イミダゾール化合物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層板は、一般にガラス布等の基材にエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等を浸漬含浸させたプリプレグと呼ばれる絶縁層の両面に、もしくは、プリプレグを複数枚重ねた両面に、銅箔等の金属箔を張り合わせて加熱、加圧することにより、構成される(例えば、引用文献1に記載)。
【0003】
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化が進んでいる。
【0004】
しかし、プリント配線板を薄型化した場合は、実装信頼性の低下、多層プリント配線板の反りが大きくなるといった問題があった。
これらの問題を解決すべく、用いられる樹脂組成物の線熱膨張率を下げる手法が様々検討されている(例えば、引用文献2、3に記載)。
しかしながら、樹脂組成物の線熱膨張率を下げる手法では、半導体装置の製造時に、多層プリント配線板に半導体素子を実装する工程において、実装温度が240〜260℃と高いことから、実装時に多層プリント配線板の反りが大きくなり、実装信頼性が低下するといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−64198号公報
【特許文献2】特開2007−2917号公報
【特許文献3】特開2007−25470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、常温から実装領域温度の範囲において面方向の膨張率の上昇を抑え、実装時の多層プリント配線板の反りを低減させるプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記[1]〜[9]に記載の本発明により達成される。
[1](A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材を必須成分とする樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
【化1】

[式中、m、nは1.0以上2.0以下あり、m+nが2.0より大きく4.0以下である。また、Xは単結合、エーテル基、炭素数1〜4の炭化水素基のいずれかである。]
[2]前記樹脂組成物の硬化物は、動的粘弾性装置によるガラス転移温度が290℃以上である[1]項に記載のプリプレグ。
[3]前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂は、樹脂組成物全体の5〜42重量%である[1]または[2]項に記載のプリプレグ。
[4]前記(C)硬化剤は、イミダゾール化合物である[1]ないし[3]項のいずれかに記載のプリプレグ。
[5]前記(D)無機充填材は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、焼成タルク、及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種類である[1]ないし[4]項のいずれかに記載のプリプレグ。
[6]前記(D)無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の20〜80重量%である[1]ないし[5]項のいずれかに記載のプリプレグ。
[7][1]ないし[6]項のいずれかに記載のプリプレグを1枚以上成形してなる積層板。
[8][1]ないし[6]項のいずれかに記載のプリプレグ、及び/または[7]項に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
[9][8]項に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、低線熱膨張率であり、高いガラス転移温度を有するプリプレグ、及び積層板、実装時の反りが小さく、高い実装信頼性を有する多層プリント配線板、及び半導体装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置ついて説明する。
【0010】
まず、本発明のプリプレグについて説明する。
【0011】
本発明のプリプレグは、(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材を必須成分とする樹脂組成物を基材に含浸することにより得ることができる。
【化1】

[式中、m、nは1.0以上2.0以下あり、m+nが2.0より大きく4.0以下である。また、Xは単結合、エーテル基、炭素数1〜4の炭化水素基のいずれかである。]
【0012】
前記(A)一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の数は2.0より多く、4.0以下である。2.0以下であるとガラス転移温度が低くなり、4.0より大きいと吸湿性、硬化性が低下したりする場合がある。
【0013】
前記(A)一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂を用いることにより、ガラス転移温度がその他エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂、アントラセン型(誘導体も含む)2官能エポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂など)を用いた場合と比べてガラス転移温度が上昇し、実装温度(230〜260℃)領域よりも高いガラス転移温度にすることができるため常温から実装温度までの熱膨張率を低く抑えることができる。
【0014】
前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂は、エポキシ樹脂のみでは達成することのできない耐熱性及び低熱膨張性を付与することができる。(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂を含有しない場合は十分な耐熱性、低熱膨張性が得られず、信頼性が低下するため、好ましくない。ここで、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、フェノールノボラック型シアネート樹脂、クレゾールノボラック型シアネート樹脂、ビフェニルアラルキル型ノボラックシアネート樹脂、ジシクロペンタジエン型ノボラックシアネート樹脂などのフェノールノボラック型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらのフェノールノボラック型シアネート樹脂を使用した樹脂組成物よりなるプリント配線板は、特に加熱時における剛性に優れるので、半導体素子実装時の信頼性に優れる。
【0015】
前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5.0×102〜4.5×103が好ましく、特に6.0×102〜3.0×103が好ましい。重量平均分子量が下限値未満であるとプリプレグを作製した場合にタック性が生じ、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりする場合がある。また、重量平均分子量が上限値を超えると反応が速くなりすぎ、特に積層板に用いた場合、成形不良が生じることがある。
前記(B)シアネート樹脂の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
【0016】
なお、前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂としては、プレポリマー化したものも用いることができる。すなわち、フェノールノボラック型シアネート樹脂を単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるフェノールノボラック型シアネート樹脂を併用したり、シアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
ここでプレポリマーとは、通常、上記シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、エポキシ樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%であるものを用いることが好ましい。この3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。
また、前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂は、特に限定されないが、1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上のシアネート樹脂と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
【0017】
前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜42重量%が好ましく、特に10〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると熱膨張率が高くなってしまう場合があり、前記上限値を超えると耐湿性が低下する場合がある。
【0018】
前記(C)硬化剤は、特に限定されないが、フェノール樹脂、一級、二級、又は三級アミンなどのアミン化合物、ジシアンジアミド化合物、イミダゾール化合物を用いることができる。これらの中でも特に、イミダゾール化合物や三級アミン化合物は、配合量が少なくとも優れた硬化性、及び絶縁信頼性を有する点で好ましい。また、イミダゾール化合物や三級アミン化合物を用いた場合、特に、高いガラス転移温度を有し、吸湿耐熱性に優れた積層板を得ることができる。
【0019】
前記イミダゾール化合物は、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−ベンジルー2−メチルイミダゾール、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチルー2−エチルー4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2,3−ジヒドロー1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾールが挙げられるが、これに限定するものではない。また、硬化剤は1種類でも、複数の2種類以上の硬化剤を用いてもよい。
【0020】
前記(D)無機充填材は、特に限定されないが、例えば、タルク、焼成タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。これらの中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、タルク、焼成タルク、アルミナが好ましく、特に溶融シリカが低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、繊維基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。
【0021】
また前記(D)無機充填材は、特に限定されないが、粒度分布が単分散の無機充填材を用いることもできるし、多分散の無機充填材を用いることができる。さらに粒度分布が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上とを併用したりすることもできる。
【0022】
前記(D)無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.005〜10μmが好ましく、特に0.01〜5μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、プリプレグ作製時の作業性に影響を与える場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填材の沈降等の現象が起こる場合がある。
更に平均粒子径5.0μm以下の球状シリカが好ましく、特に平均粒子径0.01〜2μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填材の充填性を向上させることができる。尚、平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
【0023】
前記(D)無機充填材の含有量は、特に限定されないが、(A)一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材を必須成分する樹脂組成物全体の20〜80重量%が好ましく、特に30〜75重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に低吸水性で、低熱膨張性のプリプレグを得ることができる。
【0024】
前記樹脂組成物は、導体回路層との密着性が向上するような成分を添加しても良い。例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、導体回路層を構成する金属との密着性を向上させるカップリング剤等が挙げられ、これらの中でも特に密着性に優れ、硬化反応速度に与える影響が少ないという点でフェノキシ樹脂が好ましい。
【0025】
前記フェノキシ樹脂は、例えばビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種類有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0026】
また、前記樹脂組成物は、必要に応じて、着色剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加しても良い。
【0027】
前記樹脂組成物を含浸させる基材は、特に限定されないが、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、低吸水性で、高強度、低熱膨張性のプリプレグを得ることができる。
【0028】
前記ラス繊維基材を構成するガラスは、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもEガラス、またはTガラスが好ましい。これにより、プルプレグの高弾性化を達成することができ、またプリプレグの熱膨張係数を小さくすることができる。
【0029】
前記樹脂組成物を基材に含浸させる方法は、例えば、本発明の樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、繊維基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
【0030】
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
【0031】
前記樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分50〜80重量%が好ましく、特に60〜78重量% が好ましい。これにより、樹脂ワニスの繊維基材への含浸性を更に向上できる。前記繊維基材に前記樹脂組成物を含浸させる所定温度、特に限定されないが、例えば90〜220℃等で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
【0032】
次に、積層板について説明する。
【0033】
本発明の積層板は、前記プリプレグを少なくとも1枚もしくは複数枚積層したものの、上下両面に、金属箔あるいはフィルムを重ね、加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜230℃が好ましく、特に150〜210℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、1〜5MPaが好ましく、特に2〜4MPaが好ましい。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
【0034】
前記金属箔は、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等の金属箔が挙げられる。
【0035】
次に、多層プリント配線板について説明する。
【0036】
多層プリント配線板は、前記積層板を用いて製造することができる。製造方法は、特に限定されないが、例えば、前記両面に銅箔を有する積層板を用い、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、内層回路基板の両面の導通を図る。そして、前記銅箔をエッチングすることにより内層回路を形成する。
なお、内層回路部分は、黒化処理等の粗化処理を施したものを好適に用いることができる。また開口部は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。
次に前記プリプレグ、またはフィルム付き樹脂シートを用い、前記内層回路を覆うように、積層し、絶縁層を形成する。積層(ラミネート)方法は、特に限定されないが、真空プレス、常圧ラミネーター、および真空下で加熱加圧するラミネーターを用いて積層する方法が好ましく、更に好ましくは、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いる方法である。
【0037】
その後、前記絶縁層を加熱することにより硬化させる。硬化させる温度は、特に限定されないが、例えば、100℃〜250℃の範囲で硬化させることができる。好ましくは150℃〜200℃で硬化させることである。
【0038】
次に、絶縁層に、レーザーを照射して、開口部を形成し、レーザー照射後の樹脂残渣等は過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤などにより除去することが好ましい。また、平滑な絶縁樹脂層の表面を同時に粗化することができ、続く金属メッキにより形成する導電配線回路の密着性を上げることができる。樹脂層は、前記粗化工程において微細な凹凸形状を均一に施すことができる。また、樹脂層表面の平滑性が高いため微細な配線回路を精度よく形成することができる。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
【0039】
次に、半導体装置について説明する。
半導体装置は、上述した方法にて製造された多層プリント配線板に半導体素子を実装し、製造することができる。半導体素子の実装方法、封止方法は特に限定されない。例えば、次のような方法で製造することができる。
【0040】
まずフリップチップボンダーなどを用いて多層プリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行う。次に、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。最後に、多層プリント配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、硬化させることで半導体装置を得ることができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の内容を実施例により詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
(1)プリプレグの作製
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)19.5重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製した。
【0043】
次に、前記樹脂ワニスをガラス織布(ユニチカ社製、E10Tクロス 90μm)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、厚さ100μmのプリプレグを作製した。また、厚さ27umガラス織布(ユニチカ社製、E03Eクロス)を用いて厚さ40umのプリプレグを作製した。
【0044】
(2)積層板の作製
前記で得られた厚さ100umのプリプレグを、両面に12μmの銅箔(三井金属社製、3EC−M3−VLP箔)を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形することによって、厚さ0.1mmの両面銅箔を有する積層板を得た。
【0045】
(3)多層プリント配線板の作製
前記で得られた積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、メッキによりスルーホールを充填した。さらに、両面をエッチングにより回路形成し、内層回路基板として用いた。前記内層回路基板の表裏に、前記で得られた厚さ40μmのプリプレグを重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させた。これを、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱し硬化させて、多層プリント配線板を得た。
【0046】
(4)半導体装置の作製
前記で得られた多層プリント配線板の絶縁層に炭酸レーザー装置を用いて開口部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図った。なお、外層回路は、半導体素子を実装するための接続用電極部を設けた。
その後、最外層にソルダーレジスト(太陽インキ社製、PSR4000/AUS308)を形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、多層プリント配線板を50mm×50mmの大きさに切断した。
【0047】
その後、半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、半田バンプはSn/Pb組成の共晶で形成され、回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、上記多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を、温度150℃、120分の条件下で硬化させることにより半導体装置を得た。尚、半導体素子と多層プリント配線板とは、300個の半田バンプを介して接続され、得られた半導体装置は、デイジーチェーンを有し、接続部の導通を確認することができる。
【0048】
(実施例2)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)19.4重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)10.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.3重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)70.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0049】
(実施例3)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)19.4重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)30.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.3重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)50.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0050】
(実施例4)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)19.5重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として水酸化アルミニウム(日本軽金属社製、BE033、平均粒径3μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0051】
(実施例5)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)19.4重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)5.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)75.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.4重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0052】
(実施例6)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を4.0個有し、ナフタレン環がメチレン結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)9.7重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、(C)硬化剤としてビフェニルアラルキルフェノール樹脂(日本化薬社製、GPH−103)10.0重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0053】
(実施例7)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を2.6個有し、ナフタレン環が単結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4770)19.5重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0054】
(実施例8)
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂としてエポキシ基を2.6個有し、ナフタレン環が単結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、EXA−7690)19.5重量部、(B)ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、(C)硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、(D)無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0055】
(比較例1)
エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキルノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)19.5重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0056】
(比較例2)
エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキルノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)17.5重量部、メトキシナフタレンアラルキルエポキシ樹脂(DIC社製、HP−5000)2.0重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0057】
(比較例3)
エポキシ樹脂としてナフタレン環がメチレン結合で繋がったエポキシ基を4.0個有するナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4700)34.5重量部、硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0058】
(比較例4)
エポキシ樹脂としてエポキシ基を2.0個有し、ナフタレン環が単結合で繋がったナフタレンエポキシ樹脂(DIC社製、HP−4032)19.5重量部、フェノールノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)15.0重量部、硬化剤として1−ベンジルー2−メチルイミダゾール(四国化成社製、キュアゾール1B2PZ)0.2重量部をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)65.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製し、その後、実施例1と同様にして、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
【0059】
各実施例、および比較例で得られたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置について、以下の評価を行った。評価内容を項目と共に示す。得られた結果を表1、及び表2に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
(1)ガラス転移温度
厚さ0.1mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から6mm×25mmのテストピースを切り出し、TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMA983を用いて5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
【0063】
(2)熱膨張係数
厚さ0.1mmの積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分の条件で、面方向(X方向)の線膨張係数を測定した。50℃から150℃までの線膨張係数をα1とした。また、25℃から300℃まで25℃刻みで線膨張係数を各々算出し、その中で最も線膨張係数が大きい温度範囲の線膨張係数を最大αとした。
【0064】
(4)多層プリント配線板の反り測定
得られた多層プリント配線板の反り量を、温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製 形式LS220−MT100MT50)を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。測定温度は25℃と260℃で行った。評価基準は以下のとおりとした。
◎:反りの値が200μm以下
○:反りの値が200μm超400μm以下
△:反りの値が400μm超600μm以下
×:反りの値が600μm超800μm以下
【0065】
(5)接続信頼性
前記で得られた半導体装置の接続部不良の有無を評価した。半導体装置の評価結果は、半導体装置10個の導通を確認し、半導体装置10個すべて導通した場合は『問題なし』とし、半導体装置1個でも接続部不良があった場合は、『不良あり』とした。
【0066】
実施例1〜8は、本発明の樹脂組成物を用いたものであり、熱膨張係数もα1が7.5ppm以下、最大αも10ppm以下と小さいため、多層プリント配線板の反りも小さく、接続信頼性も良好であった。
【0067】
一方、比較例1〜2はナフタレン骨格を持たないエポキシ樹脂を用いた例、比較例4はエポキシ基を2つ有するナフタレン型エポキシ樹脂を用いた例、比較例3はフェノールノボラック型シアネート樹脂を用いない例であるが、いずれもα1が7.5ppm以上、最大αが10ppm以上となり、多層プリント配線板の反りも大きく、接続信頼性評価において接続不良が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のプリプレグ、及び積層板は、高いガラス転移温度を有し、かつ熱膨張係数が低く、耐熱性にも優れる。特に、実装温度領域の熱膨張係数の増大を抑えることができる。これにより、実装時の基板の反りを低減させることができるので、特に薄型のシステム・イン・パッケージ基板、半導体装置に有用に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂、(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂、(C)硬化剤、(D)無機充填材を必須成分とする樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
【化1】

[式中、m、nは1.0以上2.0以下あり、m+nが2.0より大きく4.0以下である。また、Xは単結合、エーテル基、炭素数1〜4の炭化水素基のいずれかである。]
【請求項2】
前記樹脂組成物の硬化物は、動的粘弾性装置によるガラス転移温度が290℃以上である請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
前記(B)フェノールノボラック型シアネート樹脂は、樹脂組成物全体の5〜42重量%である請求項1または2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
前記(C)硬化剤は、イミダゾール化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載のプリプレグ。
【請求項5】
前記(D)無機充填材は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、焼成タルク、及びアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種類である請求項1ないし4のいずれかに記載のプリプレグ。
【請求項6】
前記(D)無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の20〜80重量%である請求項1ないし5のいずれかに記載のプリプレグ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のプリプレグを1枚以上成形してなる積層板。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載のプリプレグ、及び/または請求項7に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
【請求項9】
請求項8に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。

【公開番号】特開2010−24417(P2010−24417A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191154(P2008−191154)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】