説明

リニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法

【課題】エンドプレートの射出成形による残留応力を解消して、エンドプレートが長期間貯蔵されても変形しないようにすること。
【解決手段】コ字形を呈し、コ字形の中央区域は連接部であり、コ字形の両側はそれぞれサイドアームであり、リニアガイドウェーのレールに嵌合し、循環に流動する転がり体を回流させるエンドプレートの製造方法は、その上でコ字形のエンドプレートの輪郭が成形してあり、前記輪郭の二つのサイドアームの間に前記二つのサイドアームを連接するリブの輪郭が成形してある金型を用意する工程と、材料を前記金型に射出する工程と、型抜けを実施する工程と、一定時間を経過した後、リブを切り取る工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法に係り、特に、エンドプレートの射出成形による残留応力を解消することにより、長時期に貯蔵されても持続に変形しないリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
リニアガイドウェーは、一つのレールと、一つのスライダとを含み、前記レールは、長い部材であり、その上では転がり体が転がり可能な溝が設けてある。前記スライダは、コ字形を呈する部材であり、前記レールの溝に対応する溝がその上に設けられている。これにより、転がり体は前記レールと前記スライダの間に流動することができる。転がり体を循環に流動可能にするために、前記スライダの両端にはエンドプレートをそれぞれ一つ設けることが必要であり、前記エンドプレートには回流通路が設けてある。これにより、転がり体は前記レールと前記スライダの間で循環した流動が可能になる。
【0003】
図1は従来のエンドプレートの正面図である。
エンドプレート1はリニアガイドウェーのレール(図示せず)に嵌合するためのものであるので、矩形のレールの輪郭を避けるために、エンドプレート1はコ字形の形状を呈する。前記コ字形の中央区域は連接部11であり、前記コ字形の両側はそれぞれサイドアーム12である。
エンドプレート1のサイドアーム12には転がり体(図示せず)を回流させるための回流通路121が設けてある。前記回流通路121により、転がり体は前記レールと前記スライダの間で循環流動が可能になる。
【0004】
目下のエンドプレート1は、全てコ字形形状を呈していて、射出成形された後に、繊維方向と、熱応力と、材料分子チェーンが流速およびせん断力の引張変形による残留応力等の原因で、エンドプレート1が型抜けした後の一定期間内に、応力の釈放によりエンドプレート1はレールの方向へ収縮する。ひいてはエンドプレート1の内側がレートに干渉すると共に、回流通路121が別の重要な穴の位置からズレる。そのため、組立てた製品が機能的に不良となる。
目下の対策は、ジクを利用して前記収縮を塑性変形に広がらせているが、塑性変形はスプリングバック量の問題があるので、制御が困難であり、且つ量産する際にジクおよび生産コストが向上する。
また、金型の作製過程中に前記変形量を予め補償すれば、前記変形は、型抜け時間と、温度と、素材と、射出圧力とに関係するので、制御が困難となり、補償量を精確に把握できない。

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、エンドプレートの射出成形による残留応力を解消することにより、長時期に貯蔵されても持続に変形しないリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の発明は、コ字形を呈し、コ字形の中央区域は連接部であり、コ字形の両側はそれぞれサイドアームであり、リニアガイドウェーのレールに嵌合し、循環に流動する転がり体を回流させるエンドプレートの製造方法は、その上でコ字形のエンドプレートの輪郭が成形してあり、前記輪郭の二つのサイドアームの間に前記二つのサイドアームを連接するリブの輪郭が成形してある金型を用意する工程と、材料を前記金型に射出する工程と、型抜けを実施する工程と、一定時間を経過した後、リブを切り取る工程とを含むことを特徴とするリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法であることを要旨としている。
【0007】
本願の発明では、前記一定時間の間に、エンドプレートの仕掛品を加熱することにより安定状態になる速度を加速することを特徴とする請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法であることを要旨としている。
【0008】
本願の発明では、前記加熱方法は、エンドプレートの仕掛品をお湯に浸入することであり、これにより、仕掛品のストレスが解消される共に、仕掛品も水分を吸収することを特徴とする請求項2に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法であることを要旨としている。
【0009】
本願の発明では、前記金型の流れ込み口は前記リブの位置に設置されることを特徴とする請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法であることを要旨としている。
【0010】
本願の発明では、コ字形を呈する前記エンドプレートの輪郭は、前記連接部と前記二つのサイドアームの連接箇所では逃げ溝が一つ設けてあることを特徴とする請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法であることを要旨としている。

【発明の効果】
【0011】
本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法によれば、エンドプレートの射出成形による残留応力を解消することにより、エンドプレートが長時期に貯蔵されても持続的に変形しないという効果が得られる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
まず、図2と図3を参照する。図2は本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法による仕掛品の正面図であり、図3は図2の斜視図である。
本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法によって作製したエンドプレートの輪郭は従来のものの輪郭と同様である。
図2に示すのはその仕掛品2である。図2におけるエンドプレートの仕掛品2は一つの連接部21を含む。前記連接部21の両端にはサイドアーム22がそれぞれ連接してある。
二つのサイドアーム22には回流通路221がそれぞれ一つ設けてある。
前記連接部21と二つのサイドアーム22は本発明のエンドプレートを構成する。
また、仕掛品2が型抜けした後に変形することを防止するために、二つのサイドアーム22の間には二つのサイドアーム22を連接するリブ23が一つ設けてある。そうすることで、型抜けされた仕掛品2は残留応力による変形がなくなる。
また、型抜けされた仕掛品2を一定時間に放置した後、前記リブ23を切り取って本発明のエンドプレートが完成する。
【0014】
リニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法は、その上で仕掛品2の輪郭が成形してあり、前記仕掛品2の輪郭はコ字形のエンドプレートの輪郭を含む。
その中央部分には連接部21の輪郭が設けてある。
前記連接部21の輪郭の両端がサイドアーム22の輪郭にそれぞれ連接する。
前記二つのサイドアーム22の輪郭の間に前記二つのサイドアーム22を連接するリブ23の輪郭が成形してある金型を用意する工程と、図2に示す仕掛品2の輪郭を持つ金型に材料を射出する工程と、前記材料が凝固し後、射出成形された仕掛品2を型抜けして取り出す工程と、仕掛品2を一定時間に放置する工程と、仕掛品2のリブ23を切り取る工程とを含む。
【0015】
エンドプレートの表面に流れ込み口を多数に設けたと外観が落とされるので、金型の流れ込み口をリブ23の位置だけに設置する。リブ23を切り除いた後、エンドプレートに流れ込み口の痕が残らず、リブ23を切り除いた痕だけが残る。そのため、エンドプレートの外観は綺麗になる。
【0016】
一般に、エンドプレートの材料としては樹脂材料を採用し、より高い耐衝撃力および耐磨耗性を与えるために、樹脂材料にはガラス繊維を混入する。
【0017】
しなしながら、樹脂材料の強度が高いほど、変形は困難になり、バランス状態になるまでの時間は長く延びる。
材料を冷却すると、材料の分子チェーンの引張残留応力の釈放および繊維流動がもっと困難になるので、残留応力の解消速度を加速するために、仕掛品2を一定時間に加熱(焼き戻し)することにより安定状態になる時間を短縮する。
上記加熱方法は、エンドプレートの仕掛品2をお湯に浸入することである。
これにより、仕掛品2のストレスが解消される共に、仕掛品2も水分を吸収できる。
そのため、エンドプレートの使用時に湿気を吸収することによる変形を回避できる。
すなわち、加熱の主な効果は、分子および繊維を仕掛品2の内部にゆっくりと流動可能にし、残留応力の釈放を加速すると共に、且つ50〜80℃のお湯に仕掛品2を浸入したと、仕掛品2の水分吸収が加速される(水分を吸収したと仕掛品2の寸法が若干に膨張になり)。
【0018】
図4は本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法による仕掛品の別の実施例を示す概略図である。本実施例では、連接部21とサイドアーム22のコーナーで逃げ溝24を一つ設け、前記逃げ溝24の断面形状は3/4割の円形である。仕掛品2の輪郭は主にコ字形形状であり、連接部21とサイドアーム22のコーナーは直角形状であるので、前記コーナーでは熱応力が集中し、温度が高いほど、その後の収縮変形量も大きいので、エンドプレートの変形は大きくなる。
上記の問題を解決するために、図4に示すように逃げ溝24を設けると、熱伝導は均一になり、コーナーでの熱応力集中は回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来のエンドプレートの正面図である。
【図2】本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法による仕掛品の正面図である。
【図3】図2の斜視図である。
【図4】本発明に係るリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法による仕掛品の別の実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0020】
1 エンドプレート 11 連接部
12 サイドアーム 121 回流通路
2 エンドプレート 21 連接部
22 サイドアーム 221 回流通路
23 リブ 24 逃げ溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コ字形を呈し、コ字形の中央区域は連接部であり、コ字形の両側はそれぞれサイドアームであり、リニアガイドウェーのレールに嵌合し、循環に流動する転がり体を回流させるエンドプレートの製造方法であって、
その上でコ字形のエンドプレートの輪郭が成形してあり、前記輪郭の二つのサイドアームの間に前記二つのサイドアームを連接するリブの輪郭が成形してある金型を用意する工程と、
材料を前記金型に射出する工程と、
型抜けを実施する工程と、
一定時間を経過した後、リブを切り取る工程とを含むことを特徴とする、
リニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法。
【請求項2】
一定時間の間に、エンドプレートの仕掛品を加熱することにより安定状態となる速度に加速することを特徴とする、請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法。
【請求項3】
前記加熱方法は、仕掛品のストレスが解消される共に、仕掛品も水分を吸収するように、エンドプレートの仕掛品をお湯に浸入することを特徴とする、請求項2に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法。
【請求項4】
前記金型の流れ込み口は前記リブの位置に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法。
【請求項5】
コ字形を呈する前記エンドプレートの輪郭は、前記連接部と前記二つのサイドアームの連接箇所では逃げ溝が一つ設けてあることを特徴とする、請求項1に記載のリニアガイドウェー用エンドプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−237595(P2007−237595A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64346(P2006−64346)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(395011229)上銀科技股▲分▼有限公司 (110)
【Fターム(参考)】