説明

レジストパターンの形成方法並びにこれに用いるポジ型レジスト材料

【解決手段】環状カーボネートを有する繰り返し単位と、酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位とを有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像してポジ型パターンを形成する工程と、その後に熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させ、反転用膜形成用組成物に含まれる有機溶媒に不溶でかつアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる工程と、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と、上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程とを含むポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【効果】本発明によれば、ポジネガによる画像反転を行うことでレジストパターンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1回目の露光でパターンを形成し、これを有機溶媒に不溶でアルカリ可溶の膜に変換し、パターン上にアルカリに微溶の膜を塗布し、現像することによってポジネガ反転を行うレジストパターンの形成方法及びこれに用いるポジ型レジスト材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix(2002))。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724(2003))、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化などが挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、32nmを解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体が必要である。今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題もはらんでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5754 p1508(2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
前述の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0008】
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使う解像性の劣化が生じる。
【0009】
1回目の露光と2回目の露光の間にPEB(post−exposure bake)、現像を行わない方法は、最もシンプルな方法である。この場合、1回目の露光を行い、位置をずらしたパターンが描画されたマスクに交換して2回目の露光を行い、PEB、現像、ドライエッチングを行う。1回の露光毎にマスクを交換するとスループットが非常に低下するので、ある程度まとめて1回目の露光を行った後に2回目の露光を行う。そうすると、1回目の露光と2回目の露光の間の放置時間によっては酸の拡散による寸法変動やT−top形状発生などの形状の変化が生じる。T−topの発生を抑えるためにはレジスト保護膜の適用は効果的である。液浸用レジスト保護膜を適用することによって、2回の露光と1回のPEB、現像、ドライエッチングを行うプロセスを行うことができる。2台のスキャナーを並べて1回目の露光と2回目の露光を連続して行うこともできる。この場合は2台のスキャナー間のレンズの収差によって生じる位置ずれや、スキャナーコストが倍になる問題が生じる。
【0010】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0011】
レジストパターンのラインエッジラフネスの問題が深刻になっている。ゲート電極の寸法バラツキはトランジスタの性能を左右する問題であるが、微細化の進行と共にラインエッジラフネスの大きさがトランジスタの閾値電流のバラツキを生む要因になってきている。レジスト材料や、ドライエッチング技術の改良によって、あるいはプロセスの改良によってラフネスの低減が図られている。レジスト材料については、酸発生剤とクエンチャー両方の添加量の増大によるコントラスト増大や、フルオロアルコールやラクトンなどの密着性基導入によるアルカリ現像中の膨潤低減などがラフネス低減に寄与した。フォトレジストプロセスにおいては、現像後の熱フローや、臭素プラズマ処理などのフロープロセスが効果的であった。但しフロープロセスはパターンの変形やパターンのシュリンクによって寸法が変化してしまう問題があった。
ダブルパターニングに限らず、細いスペースパターンやホールパターンを形成する技術としては、前述のネガレジスト材料を用いる方法や、サーマルフロー法、RELACS法が挙げられるが、ネガレジスト材料はレジスト膜自身の解像性が低い問題点、サーマルフロー法、RELACS法は熱による寸法シュリンク時にバラツキが生じ易い問題があった。
【0012】
ここで、図4は、ポジ型フォトレジスト材料を用いて露光によってホールパターンを形成する方法を示すもので、(A)は基板100上の被加工基板101にフォトレジスト膜102を塗布、形成した状態、(B)はフォトレジスト膜102を所用パターンが形成されたフォトマスクを介して露光後、現像してフォトレジストパターン102aを形成した状態、(C)はこのフォトレジストパターン102aをマスクとして被加工基板101をエッチングした状態を示す。
この場合、ポジパターンを反転させてネガパターンを形成する方法は古くからよく知られており、例えば特開平2−154266号公報(特許文献1)、特開平6−27654号公報(特許文献2)にはパターン反転可能なナフトキノンレジスト材料を用いる方法、FIB露光で硬化させた部分をその後の全面照射によって残す方法(特許文献3:特開昭64−7525号公報)、ナフトキノンジアジドの感光剤が露光によって生じたインデンカルボン酸を、塩基存在下における加熱処理でインデンにすることによってアルカリ不溶にし、全面露光によってポジネガ反転を生じさせる方法(特許文献4:特開平1−191423号公報、特許文献5:特開平1−92741号公報)が提案されている。図5は、このポジネガ反転方法を示すもので、(A)は基板100上の被加工基板101にフォトレジスト膜102を塗布、形成した状態、(B)は所用パターンが形成されたフォトマスクを介してフォトレジスト膜102を露光、加熱した状態、(C)はフォトレジスト膜102をフラッド露光した状態、(D)は現像によるパターン反転を行ってパターン反転膜103を形成した状態、(E)はパターン反転膜103をマスクにして被加工基板101をエッチングした状態を示す。
【0013】
また、現像液を変えることによるポジネガ反転方法では、t−BOC(tert−ブトキシカルボニル基)で部分保護したヒドロキシスチレンの有機溶媒現像や、超臨界二酸化炭素による現像によってネガパターンを得る方法が提案されている。
【0014】
珪素含有材料を用いたポジネガ反転技術としては、ポジレジストパターンのスペース部分をシリコン含有膜で覆い、酸素ガスエッチングでエッチングすることによって、ポジパターン部分をエッチング除去してシリコン含有膜パターンを得るポジネガ反転を行い、微細ホールパターンを形成する方法が提案されている(特許文献6:特開2001−92154号公報、特許文献7:特開2005−43420号公報)。図6はこれを示すもので、(A)は基板100上の被加工基板101に下層膜104を介してフォトレジスト膜102を形成した状態、(B)は所定のパターンが形成されたフォトマスクを介して露光、現像し、フォトレジストパターン102aを形成した状態、(C)はフォトレジストパターン102aを架橋した状態、(D)は架橋フォトレジストパターン102aを覆って、下層膜104上にSOG膜105を形成した状態、(E)はCMP又はCFガスによるライトエッチングを行って架橋フォトレジストパターン102aを露頭させた状態、(F)は酸素ガス、水素ガスエッチングによりパターン反転させた状態、(G)はパターン化されたSOG膜105をマスクにして被加工基板101をエッチングした状態を示す。
【0015】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACS法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズが大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明を用いてX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト材料を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンのすきまよりホールパターンを形成する方法(非特許文献4:Proc. SPIE Vol. 5377 p255(2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。
ここで、環状カーボネートを密着性基として有する化学増幅型レジスト材料が、特開平10−133377号公報(特許文献8)、特開2003−5357号公報(特許文献9)、特開2007−31357号公報(特許文献10)、特許第4025956号公報(特許文献11)に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平2−154266号公報
【特許文献2】特開平6−27654号公報
【特許文献3】特開昭64−7525号公報
【特許文献4】特開平1−191423号公報
【特許文献5】特開平1−92741号公報
【特許文献6】特開2001−92154号公報
【特許文献7】特開2005−43420号公報
【特許文献8】特開平10−133377号公報
【特許文献9】特開2003−5357号公報
【特許文献10】特開2007−31357号公報
【特許文献11】特許第4025956号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix(2002)
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724(2003)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5754 p1508(2005)
【非特許文献4】Proc. SPIE Vol. 5377 p255(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
非常に微細なスペースパターンを形成する場合、ネガ型レジスト膜を使うと、解像性が低いことによる微細パターンが形成できない問題や、スペース間がブリッジしてしまう問題がある。サーマルフロー法、RELACS法は熱による寸法シュリンク時にバラツキが生じ易い問題がある。
一方、解像性の高いポジ型パターンを得た後、ネガ型に反転することができればネガ型レジスト膜を使うことによる問題は解決される。
【0019】
上述した通り、高い解像性が得られるポジ型レジスト膜より得たポジ像をネガパターンに反転する方法は種々報告されている。特に上述の特許文献7では、ポジネガ反転をするためのシリコン系埋め込み材料が有機溶剤系組成物である場合についても言及している。それ以前の反転用膜形成材料に水溶性珪素樹脂を用いる方法では、ポジ型パターンが形成された基板に、もし有機溶剤系の反転用膜形成材料組成物を塗布すると、ポジ型パターンが塗布に使用される有機溶剤で崩壊するおそれがあったが、有機溶剤に耐性を与えるためのEB等によるキュアでレジストパターンを形成する樹脂間を架橋させて溶剤に対する不溶化を行うと、有機溶剤系の反転用膜形成材料組成物が利用でき、材料の選択幅が大幅に広げられることが開示されている。しかし、この処理を行った場合、反転するための最終段階でのレジストパターンの除去は、ポジ型パターンが不溶化されているために溶解による除去方法を使うことができず、現状の技術では反応性ドライエッチングによる方法をとらざるを得なくなる。そこで、反転用膜形成材料としてはシリコンやチタン等を含有する選択的にドライエッチング可能な材料を選択せざるを得ない。更に、埋め込み材料にシリコン系の材料を用いると、無機系基板を加工をする際に、更にシリコン系材料パターンを有機材料パターンにもう一度転写する工程も必須となる。
【0020】
一方、特許文献6ではポジ型パターンをウェットエッチングによって除去することが有利であることが開示されており、その方法として、ポジ型パターンを得た後、特別な処理を行わずに有機シリコンの有機溶剤溶液を塗布して有機シリコンによる反転用膜を形成する方法が開示されている。また、この文献中ではインターミキシングによるポジ型パターンのダメージについては触れられておらず、有機シリコン組成物の調製に使用する溶剤は高極性のもの(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エステルのようなヒドロキシ基を持つものや、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなエステル類、アセトンのようなケトン類等)も低極性のもの(例えばトルエン、クメン等)と同様に使用できることが記述されているが、実施例ではトルエン、クメンの例が挙げられているのみである。ところがこれの追試として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートや乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような高極性溶剤を含有する溶剤を反転用膜の溶剤に用いて、特別な処理を行わないポジ型パターン上に塗布してみたところ、パターンが塗布溶剤によって溶解を起こし、要求精度を満たすポジネガ反転を行うことはできなかった。そこで、この方法では事実上低極性溶剤に高い溶解性を示す反転用膜用材料しか採用することができず、ノボラックやポリヒドロキシスチレン系ポリマー、ヒドロキシ基やラクトンを多量に含有する脂環式ポリマーのような、基板密着性が高い極性基を高濃度に有する反転用膜用材料を採用することができないことが判明した。
【0021】
本発明は、上記事情を改善したもので、初めに得るポジ型パターンに有機溶剤に対する耐性を必要限度で与え、かつアルカリ性エッチング液への溶解性を確保することによって、最終的にネガ像を得る工程をアルカリ性エッチング液によるウェットエッチングで行うポジネガ反転によるパターン形成方法を提供し、これによりシリコン系の材料のみならず、芳香族系樹脂や多環式化合物樹脂のような有機非シリコーン系樹脂の反転用膜形成材料の適用を可能とする技術を提供する。また、上記反転用膜形成用組成物の調製に使用する溶剤にヒドロキシ基を有するものや、エステル類、ケトン類のような高極性溶剤を使用することも可能とする技術を提供する。更に、これによって高い光学コントラストを得ることができない非常に微細なスペースパターン及びホールパターンを、広いブリッジマージンを持って形成することができるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明によれば、下記に示されるレジストパターンの形成方法及びこれに用いるポジ型レジスト材料を用いることが有効であることを知見した。
従って、本発明は、下記のレジストパターンの形成方法並びにこれに用いるポジ型レジスト材料を提供する。
請求項1:
環状カーボネートを有する繰り返し単位と、酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位とを有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像してポジ型パターンを形成する工程と、その後に熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させ、反転用膜形成用組成物に含まれる有機溶媒に不溶でかつアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる工程と、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と、上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程とを含むポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項2:
環状カーボネートを有する繰り返し単位が下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a−1)及び/又は(a−2)であり、酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像してポジ型パターンを形成する工程と、その後に熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させ、反転用膜形成用組成物に含まれる有機溶媒に不溶でかつアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる工程と、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と、上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程を含むポジネガ反転を用いた請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
【化1】

(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−NH−を表し、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状又は有橋環式のアルキレン基であり、エーテル基、チオエーテル基又はエステル基を有していてもよく、R3はメチレン基又はエチレン基、又はR2と結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成してもよい。a1、a2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0の範囲である。)
請求項3:
上記ポジ型パターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程で得られるポジ型パターンのアルカリ現像液に対する溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でエッチングした際、エッチング速度が2nm/秒を超えるものであり、かつ有機溶剤に対する耐性は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタノンから選ばれる1種以上の溶剤に3〜60秒間触れさせた時の膜減りが10nm以下である程度の耐性を有するものである請求項1又は2に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項4:
上記レジストパターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程は、露光前加熱及び露光後加熱のいずれよりも高い温度での処理を伴う請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項5:
上記反転用膜形成用組成物より得られる反転用膜は、金属珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素窒化酸化物、チタニウム酸化物、チタニウム窒化物、ゲルマニウム酸化物、又はハフニウム酸化物に対して選択エッチング可能である膜である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項6:
上記反転用膜形成用組成物は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有するモノマーユニットを含む樹脂を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項7:
上記反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程の間に、上記ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項8:
上記ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程は、ウェットエッチングである請求項7に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項9:
上記反転用膜はアルカリ現像液で処理した際、上記有機溶剤に対する耐性を与える工程後のポジ型パターンよりも溶解速度が遅く、かつ溶解性を示す材料であり、更に上記ウェットエッチングにアルカリ現像液を用い、ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程と上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程は同時に行うものである請求項8に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項10:
上記反転用膜の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でエッチングした際の溶解速度は、0.02nm/秒以上2nm/秒以下である請求項9に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項11:
上記ポジ型レジスト材料は、上記ポジ型パターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程における加熱で酸を発生する成分を含有するものである請求項4乃至10のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項12:
上記加熱で酸を発生する成分は、光酸発生剤とは別に添加される熱酸発生剤である請求項11に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
請求項13:
上記熱酸発生剤が、下記一般式(P1a−2)で示されることを特徴とする請求項12に記載のレジストパターンの形成方法。
【化2】

(式中、R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
請求項14:
現像工程後の熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させる工程が、露光又は熱によってレジスト膜から酸を発生させ、その後130〜300℃に加熱してレジスト膜を架橋させて溶媒及びアルカリ現像液に不溶にすることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
請求項15:
酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位が、下記一般式(b)で示される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【化3】

(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は酸不安定基を示す。)
請求項16:
下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a−1)、(a−2)のいずれか一方又は両方と、下記一般式(b)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物と、有機溶媒と、下記一般式(P1a−1)及び(P1a−2)で示される酸発生剤とを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法に用いるポジ型レジスト材料。
【化4】

(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−NH−を表し、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状又は有橋環式のアルキレン基であり、エーテル基、チオエーテル基又はエステル基を有していてもよく、R3はメチレン基又はエチレン基、又はR2と結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成してもよい。R4は水素原子又はメチル基、R5は酸不安定基を示す。a1、a2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0の範囲、bは0<b≦0.8の範囲で0.1≦a1+a2+b≦1.0である。)
【化5】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
請求項17:
更に、溶解阻止剤を含有するものであることを特徴とする請求項16に記載のポジ型レジスト材料。
請求項18:
更に、添加剤として塩基性化合物及び/又は界面活性剤が配合されたものであることを特徴とする請求項16又は17に記載のポジ型レジスト材料。
【0023】
図7にNA1.3レンズでのピッチ90nm、パターンサイズ45nmのホール、ドット、ラインの光学コントラストを示す。マスクはいずれもCrの遮光帯を使ったバイナリーマスクである。ラインはσ0.98、半径σ0.2のダイポール照明+s偏光照明、ドットはσ0.98/0.735の3/4輪帯照明+Azimuthally偏光照明、ホールはσ0.98/0.735の3/4輪帯照明+Azimuthally偏光照明である。
【0024】
マスクエッジの傾きがイメージコントラストを表しており、傾きが大きい方がパターン形成に有利である。これによるとコントラストの高い順番は、ラインパターン、ドットパターン、ホールパターンの順であり、ホールパターンのコントラストは極めて低いためにパターン形成は、よほどの高コントラストレジスト膜であっても難しい。ドットパターンはホールパターンより若干コントラストが高い。より強い斜入射照明であるダイポール照明に強力なs偏光照明を加えたラインパターンのコントラストは高く、強力な変形照明が使えない2次元パターンのドットパターンやホールパターンよりも限界解像性が高い。微細なホールパターンの形成が、リソグラフィー技術の直面している課題の一つであることが示されている。また、ドットパターンを反転させてホールパターンを形成すれば、より進んだ微細化を達成できることも示されている。X方向のラインパターンの露光を行い、Y方向のラインパターンの露光を行い、現像するダブルダイポール法によってドットパターンを作成することができる。この方法で作成したドットパターンは、ドットパターンを配したマスクを用いる通常方法よりも微細なパターンを形成することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、環状カーボネートを有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合してなる高分子化合物と、酸発生剤とを添加したレジスト材料を用いて露光と現像によるパターンを形成後、熱あるいは酸と熱による架橋反応によって有機溶媒に不溶でアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる。その上にアルカリ現像液に微溶の反転用膜材料を塗布し、現像することによってポジネガによる画像反転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(A)は、基板上に被加工基板、レジスト膜を形成した状態、(B)は、レジスト膜を露光、現像した状態、(C)は、レジストパターンを酸と熱によって脱保護し、架橋した状態、(D)は、パターン反転用膜を塗布した状態、(E)は、パターン反転用膜を現像し、ポジネガ反転した状態、(F)は、ポジネガ反転したパターンを用いて被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図2】(A)、(B)はダブルダイポールマスクを示し、(A)はYラインマスク、(B)はXラインマスクの平面図であり、(C)はYラインマスクとXラインマスクを重ねて露光した露光領域を示す。
【図3】ドットパターンマスクの平面図である。
【図4】従来の方法として、ポジ型フォトレジスト材料を用いて露光によってホールパターンを形成する方法を説明する断面図であり、(A)はフォトレジスト膜の形成、(B)はフォトレジスト膜の露光、現像、(C)は被加工基板エッチングを行った状態を示す。
【図5】従来の方法として、キノンジアジド−ノボラック樹脂のポジ型i線、g線レジスト材料を用いてイメージリバーサル法を説明する断面図で、(A)はフォトレジスト膜の形成、(B)はフォトレジスト膜の露光、加熱、(C)はフラッド露光、(D)は現像によるパターン反転、(E)は被加工基板エッチングを行った状態を示す。
【図6】従来の方法として、現像後のレジスト膜のハードニングとSOG膜の埋めこみによるイメージリバーサル法を説明する断面図で、(A)はフォトレジスト膜の形成、(B)はフォトレジスト膜の露光、現像、(C)はフォトレジスト膜の架橋、(D)はSOG膜塗布、(E)はCMP又はCFガスによるライトエッチング、(F)は酸素ガス、水素ガスエッチングによるパターン反転、(G)は被加工基板エッチングを行った状態である。
【図7】NA1.3レンズでのピッチ90nm、パターンサイズ45nmのホール、ドット、ラインの光学コントラストを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、2回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得るダブルパターニングリソグラフィーにおいて、1回のドライエッチングによって基板を加工するためのポジ型レジスト材料を得るために鋭意検討を行った。
【0028】
即ち、本発明者らは、種々検討した結果、環状カーボネートを有する繰り返し単位と酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合してなる高分子化合物と、酸発生剤とを添加したレジスト材料を用いることにより、露光と現像によって第1のパターンを形成後、熱あるいは酸と熱による架橋反応によって有機溶媒、特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタノンから選ばれる1種以上の溶剤に溶解せず、アルカリ現像液に溶解する膜を形成する。その上に更にアルカリ現像液に僅かに溶解する反転膜溶液を塗布し、現像することにより、第1のパターンが溶解し、反転膜が残ることによって画像反転パターンが形成される。一般的にポジ型レジスト膜は、ホールパターンよりもドットパターンを形成する方がより微細なパターンを形成できる。微細なドットパターンを形成後に画像反転により微細なホールパターンを形成することが簡便なプロセスによって可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0029】
本発明に係るパターン形成方法に用いられる高分子化合物としては、環状カーボネートを有する繰り返し単位、好ましくは下記一般式(a−1)及び/又は(a−2)で示される繰り返し単位を有するものである。
【0030】
【化6】

(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−NH−を表し、R2は単結合、又は炭素数1〜10、特に炭素数1〜6の直鎖状、分岐状、環状又は有橋環式のアルキレン基であり、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、エステル基(−COO−)を有していてもよく、R3はメチレン基又はエチレン基、又はR2と結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成してもよい。a1、a2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0の範囲である。)
【0031】
ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、シクロペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基が挙げられる。また、R2、R3が環を形成する場合、環の炭素数は3〜12が好ましい。
【0032】
一般式(a−1)及び/又は(a−2)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記一般式Ma1、Ma2で示され、具体的には下記に例示される。ここで、R1〜R3は前述と同じである。
【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
オキシランやオキセタンを有する繰り返し単位を有する高分子化合物をレジスト用ベースポリマーとして用いた場合、オキシラン環やオキセタン環は酸による開裂反応の速度が非常に速いために、90〜130℃程度のポストエクスポジュアーベーク(PEB)等のレジストプロセスの温度で架橋が進行するためにアルカリに不溶となり、ポジ型レジスト材料として機能しない。一方、環状カーボネートはオキシラン環やオキセタン環に比べて反応性が低いために、PEBによる加熱温度領域では架橋が進行しない。環状カーボネートを有する繰り返し単位は、現像までのプロセスでは酸に対して安定で、親水性基として密着性やアルカリ溶解性向上のための機能を発揮する。しかしながら、現像後のパターンのフラッド露光あるいは加熱により発生した酸あるいはアンモニウム塩存在下130℃以上の加熱によって環状カーボネートが開環して架橋反応が進行することによって有機溶媒に不溶になるが、アルカリ現像液への溶解性は保持され、ポジネガ反転を得るための溶解性を得ることができる。ポジネガ反転に必要な溶解性は、アルカリ現像液に溶解することと、アルカリ現像液に僅かに溶解する反転膜材料に用いられる溶媒、特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタノンから選ばれる1種以上の溶剤に溶解しないことである。
ラクトンは高温によるベークにおいても架橋反応を起こすことはなく、この場合、有機溶剤に不溶の膜を形成することができない。
【0036】
前記現像後のパターンのフラッド露光あるいは加熱により発生した酸と130℃以上の加熱によって、酸不安定基は脱保護してしまう。酸不安定基は特に脂環構造により、ドライエッチング耐性を向上させる効果を有している。酸不安定基の脱保護はドライエッチング耐性の低下になるが、環状カーボネートの開環による架橋反応によってドライエッチング耐性が向上し、結果としてエッチング耐性の向上につながる。
【0037】
従って、本発明は、90〜130℃程度のプリベークやPEB等のレジストプロセスの温度では架橋せず、現像後の露光や熱によって発生した酸と高温ベークによって架橋する特定の環状カーボネート構造を有する化合物を繰り返し単位として有する高分子化合物をレジストベースポリマーとして用い、高温ベーク後にアルカリ現像液に溶解し、高温ベーク後のレジストパターン上に塗布されるアルカリ現像液に僅かに溶解する反転膜材料に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタノンから選ばれる1種以上の溶剤に溶解しない特性を付与させるための特定の環状カーボネート基を繰り返し単位として有するポジ型レジスト材料を用いたポジネガ反転を伴うパターン形成方法に関する。
【0038】
本発明のパターン形成方法に用いるポジ型レジスト材料に用いるベースポリマーとしては、上記一般式(a−1)及び/又は(a−2)で示される架橋性の繰り返し単位と、下記一般式(b)で示される酸脱離性基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物を使用することが好ましい。
【0039】
【化9】

(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13は酸不安定基を示す。bは0<b≦0.8の範囲である。)
【0040】
ここで、一般式(b)に示す繰り返し単位を得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化10】

(式中、R12、R13は上記の通りである。)
【0041】
一般式(b)中、R13で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される炭素数4〜40の三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0042】
【化11】

【0043】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10の整数である。R52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、R56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0044】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0045】
【化12】

【0046】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子あるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0047】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0048】
【化13】

【0049】
【化14】

【0050】
また、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0051】
【化15】

【0052】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0053】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0054】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0055】
【化16】

【0056】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16を挙げることができる。
【0057】
【化17】

【0058】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子あるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0059】
更に、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示すように、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0060】
【化18】

【0061】
更に、R64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0062】
【化19】

【0063】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【0064】
【化20】

(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0065】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化21】

を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0066】
【化22】

【0067】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0068】
【化23】

(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0069】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化24】

を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0070】
【化25】

【0071】
【化26】

【0072】
本発明の高分子化合物は、一般式(a−1)、(a−2)の内の少なくとも1つの繰り返し単位と一般式(b)に示す繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボニル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0073】
【化27】

【0074】
【化28】

【0075】
【化29】

【0076】
【化30】

【0077】
【化31】

【0078】
【化32】

【0079】
【化33】

【0080】
α−ヒドロキシメチル基のヒドロキシ基は、重合時にアセトキシ基あるいはエトキシエトキシ基などのアセタール等で置換しておき、重合後にアルカリ加水分解あるいはシュウ酸などの弱酸加水分解によってヒドロキシ基にすることができる。α−ヒドロキシメチル基は分子間、分子内の架橋を促進し、パターン硬化の効率を高めることができる。
【0081】
【化34】

【0082】
上記繰り返し単位a1、a2、b、cにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b≦0.8、0.1≦a1+a2+b≦1.0、0≦c<1.0、0.2≦a1+a2+b+c≦1.0、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0.1≦b≦0.7、0.2≦a1+a2+b≦1.0、0≦c≦0.9の範囲である。
【0083】
なお、ここで、例えばa+b+c=1とは、繰り返し単位a、b、cを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b+c<1とは、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満で、a、b、c以外に他の繰り返し単位を有していることを示す。
【0084】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0085】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0086】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0087】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、b、cを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0088】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0089】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0090】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
【0091】
本発明で使用される酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0092】
【化35】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
【0093】
上記(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)で示されるオニウム塩中(P1a−1)は光酸発生剤として機能し、(P1a−2)は熱酸発生剤として機能し、(P1a−3)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の機能がある。(P1a−1)と(P1a−2)を組み合わせると、露光で(P1a−1)から発生した酸でパターン形成を行い、現像後の高温の加熱によって(P1a−2)から発生した酸で架橋を効率よく行うことができる。
【0094】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0095】
【化36】

【0096】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0097】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0098】
【化37】

(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0099】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0100】
【化38】

(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0101】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。R105、R106のアリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。R105、R106のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0102】
【化39】

(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は式(P2)のものと同様である。)
【0103】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0104】
【化40】

(式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0105】
【化41】

(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0106】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0107】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0108】
上記で例示した酸発生剤として、具体的には下記のものが挙げられる。
オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩を挙げることができる。
【0109】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0110】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0111】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0112】
β−ケトスルホン酸誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン酸誘導体を挙げることができる。
【0113】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0114】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0115】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0116】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0117】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
更に、米国特許出願公開第2004/074242号明細書で示されるオキシムタイプの酸発生剤を添加することもできる。
【0118】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0119】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。なお、上記(P1a−1)と(P1a−2)とを併用する場合、その併用割合は、(P1a−1)1部に対して(P1a−2)を0.001〜1部とすることが好ましい。
【0120】
次に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に配合される溶解阻止剤としては、重量平均分子量が100〜1,000、好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0〜100モル%の割合で置換した化合物又は分子内にカルボキシ基を有する化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基により全体として平均50〜100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。
【0121】
なお、フェノール性水酸基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でフェノール性水酸基全体の0モル%以上、好ましくは30モル%以上であり、その上限は100モル%、より好ましくは80モル%である。カルボキシ基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でカルボキシ基全体の50モル%以上、好ましくは70モル%以上であり、その上限は100モル%である。
この場合、かかるフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物又はカルボキシ基を有する化合物として下記式(D1)〜(D14)で示されるものが好ましい。
【0122】
【化42】

【0123】
但し、式中R201、R202はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R203は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R207hCOOHを示す。R204は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R205は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R206は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はそれぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R207は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R208は水素原子又は水酸基を示す。jは0〜5の整数である。u、hは0又は1である。s、t、s’、t’、s’’、t’’はそれぞれs+t=8、s’+t’=5、s’’+t’’=4を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。αは式(D8)、(D9)の化合物の分子量を100〜1,000とする数である。
【0124】
溶解阻止剤の配合量は、ベース樹脂100部に対して0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは10〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が少ないと解像性の向上がない場合があり、多すぎるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する傾向がある。
【0125】
更に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、塩基性化合物を配合することができる。
塩基性化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0126】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0127】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0128】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0129】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0130】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0131】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0132】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【0133】
【化43】

【0134】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0135】
上記一般式(B)−1で表される化合物は、具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0136】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化44】

(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0137】
上記式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル等を挙げることができる。
【0138】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化45】

(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0139】
シアノ基を含む塩基性化合物として具体的には、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0140】
なお、塩基性化合物の配合量は、ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果が少なく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0141】
本発明のポジ型レジスト材料に添加することができる分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物としては、例えば下記[I群]及び[II群]から選ばれる1種又は2種以上の化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本成分の配合により、レジストのPED(Post Exposure Delay)安定性が向上し、窒化膜基板上でのエッジラフネスが改善される。
【0142】
[I群]
下記一般式(A1)〜(A10)で示される化合物のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部を−R401−COOH(R401は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基)により置換してなり、かつ分子中のフェノール性水酸基(C)と≡C−COOHで示される基(D)とのモル比率がC/(C+D)=0.1〜1.0である化合物。
【0143】
【化46】

(式中、R408は水素原子又はメチル基を示す。R402、R403はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R404は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R409h−COOR’基(R’は水素原子又は−R409−COOH)を示す。R405は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す、R406は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R407は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R409は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R410は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R411は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。hは1〜4の整数である。jは0〜3、s1〜s4、t1〜t4はそれぞれs1+t1=8、s2+t2=5、s3+t3=4、s4+t4=6を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。uは1〜4の整数である。κは式(A6)の化合物を重量平均分子量1,000〜5,000とする数である。λは式(A7)の化合物を重量平均分子量1,000〜10,000とする数である。)
【0144】
[II群]
下記一般式(A11)〜(A15)で示される化合物。
【化47】

(式中、R402、R403、R411は上記と同様の意味を示す。R412は水素原子又は水酸基を示す。s5、t5は、s5≧0、t5≧0で、s5+t5=5を満足する数である。h’は0又は1である。)
【0145】
本成分として具体的には、下記一般式(AI−1)〜(AI−14)及び(AII−1)〜(AII−10)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
【化48】

(式中、R’’は水素原子又は−CH2COOH基を示し、各化合物においてR’’の10〜100モル%は−CH2COOH基である。κ、λは上記と同様の意味を示す。)
【0147】
【化49】

【0148】
なお、上記分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物の添加量は、ベース樹脂100部に対して0〜5部、好ましくは0.1〜5部、より好ましくは0.1〜3部、更に好ましくは0.1〜2部である。5部より多いとレジスト材料の解像度が低下する場合がある。
【0149】
本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、更に、塗布性を向上させる等のための界面活性剤を加えることができる。
【0150】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノバルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102,SC103、SC104、SC105、SC106、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子(株)製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP−341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等が挙げられ、中でもFC−430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0151】
本発明のパターン形成方法に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料組成物中のベース樹脂100部に対して2部以下、好ましくは1部以下である。
【0152】
本発明の実施に用いるレジスト材料には、特にはレジスト保護膜を用いない場合、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤は高分子型の界面活性剤であり、水に溶解せずアルカリに溶解する性質であり、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。このような高分子型の界面活性剤は下記に示すことができる。
【0153】
【化50】

(式中、R01、R04、R07、R014はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、R02、R03、R015及びR016は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示し、R02とR03、R015とR016はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、R02とR03、R015とR016は合計して炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。Rはフッ素原子、水素原子、又はR05と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数の和が3〜10の環を形成してもよい。
05は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
06は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R05とR06が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合R05とR06との炭素数の総和が2〜12の三価の有機基を表す。
08は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、R010、R011はそれぞれ水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基、R012、R013は同一又は異種の単結合又は−O−、−CR018019−であり、R09、R018、R019は水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
017は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R015、R016と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜12の非芳香環を形成してもよい。
1、X2、X3はそれぞれ−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−R020−C(=O)−O−であり、R020は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。
0≦(a−1)<1、0≦(a−2)<1、0≦(a−3)<1、0<(a−1)+(a−2)+(a−3)<1、0<b<1であり、0<(a−1)+(a−2)+(a−3)+b≦1である。)
【0154】
上記高分子型の界面活性剤の添加量は、レジストのベースポリマー100部に対して0.001〜20部、好ましくは0.01〜10部の範囲である。
【0155】
一方、反転用膜としては、上記ポジ型パターンを架橋硬化して得られた膜のアルカリ現像液の溶解度より小さな溶解度を有し、かつ当該アルカリ現像液に可溶することが必要であり、好ましくは本態様に係る反転工程に用いるアルカリ現像液に対する溶解速度が0.02nm/秒以上2nm/秒以下、好ましくは0.05nm/秒以上1nm/秒以下のものを使用する。溶解速度が0.02nm/秒より遅いと、1回目のレジストパターン上部まで反転膜が溶解しないために、パターンの反転が行われなかったり、反転したパターンの表層が頭張りになったりする。2nm/秒より速いと、反転膜の残膜が少なくなったり反転パターンのホール寸法が大きくなったりするという不利が生じる。
【0156】
この場合、特に、現像時に膜表面を適当に溶解させトレンチパターンを形成するためには、アルカリ溶解速度を0.05nm/秒以上1nm/秒以下の範囲の溶解速度に調整する必要がある。これよりも速い溶解速度であれば現像時の膜減りが大きくなってしまい、溶解速度が遅い場合、膜表面が溶解せずにトレンチパターンが空かなくなってしまう。適度な溶解速度の調整のためにアルカリ溶解速度が1nm/秒以上のユニットと0.05nm/秒以下のユニットとを共重合し、共重合比率を最適化することによって最適な溶解速度の材料にすることができる。
【0157】
本態様のパターン形成方法に用いられるアルカリ現像液に0.02nm/秒以上2nm/秒以下の範囲の溶解速度を持つ膜(反転用膜)は、フェノール性のヒドロキシ基、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基、カルボキシル基を有するポリマーをベースポリマーとする材料が好ましく用いられる。フェノール性のヒドロキシ基を有するポリマーとしては、例えばクレゾールノボラック樹脂、フェノール低核体、カリックスアレン類、カリックスレゾルシノール、ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシビニルナフタレン、ポリヒドロキシインデン及びこの共重合体、カルボキシスチレン重合体、カルボキシビニルナフタレン及びこの共重合体、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基含有スチレン重合体及びこの共重合体、フェノール置換フラーレン、マロン酸置換フラーレン、メタクリル酸及びカルボキシル基含有(メタ)アクリレート重合体及びこの共重合体、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート重合体及びこの共重合体等が挙げられる。
【0158】
この場合、上記フェノール性のヒドロキシ基、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基、カルボキシル基を有する繰り返し単位のみからなるポリマーのアルカリ溶解速度は、殆どが1nm/秒以上の溶解速度であるために、アルカリ溶解速度が0.05nm/秒以下のユニットと共重合する必要がある。アルカリ溶解速度が0.05nm/秒以下のユニットは、フェノール性のヒドロキシ基、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基、カルボキシル基の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、あるいは酸不安定基での置換体が挙げられる。又は、スチレン類、インデン、インドール、クロモン、クマロン、アセナフチレン、ノルボルナジエン類、ノルボルネン類、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル類、ラクトン含有(メタ)アクリレート類、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0159】
更に詳述すると、具体的に反転用膜のポリマーを得るときの材料としては、フェノール性のヒドロキシ基、カルボキシル基、α−トリフルオロメチルヒドロキシ基等のアルカリ溶解性基を有していることが必要であり、アルカリ溶解速度を調整するために前記アルカリ溶解性基の部分保護化、アルカリ難溶性基との組み合わせ等が必要な場合がある。
【0160】
フェノール性のヒドロキシ基を有する材料としては、具体的にはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール等をアルデヒド類の存在下でノボラック化した樹脂が挙げられる。フェノール性のヒドロキシ基を有する重合性オレフィンを有する化合物の重合体では、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレン、ヒドロキシビニルアントラセン、ヒドロキシインデン、ヒドロキシアセナフチレン又は以下に示されるモノマーの重合体を挙げることができる。
【0161】
【化51】

【0162】
カルボキシル基を有する繰り返し単位を得るためのモノマーの重合体も反転用膜を形成する材料として使用し得るが、該モノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0163】
【化52】

【0164】
アルカリ溶解速度を調整するためのフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基の部分保護化には、ヒドロキシ基、カルボキシル基の水酸基の水素原子を、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、アセチル基、ピバロイル基、酸不安定基で置換することが好ましい。
なお、酸不安定基についてはフォトレジスト用ベースポリマーにて示したものが挙げられる。
【0165】
アルカリ溶解速度を調整するために、アルカリ難溶性の繰り返し単位を共重合することもできる。アルカリ難溶性の繰り返し単位としては、アルキル基やアリール基エステルの(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基やラクトンを有する(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルカルバゾール、インデン、アセナフチレン、ノルボルネン類、ノルボルナジエン類、トリシクロデセン類、テトラシクロドデセン類に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0166】
上記反転用膜を形成するためのベースポリマーとしては、特に芳香族基を有する炭化水素を含むものが好ましい。
【0167】
なお、上記ベースポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は1,000〜200,000、特に1,500〜100,000であることが好ましい。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜7.0、特に1.02〜5.0であることが好ましい。
【0168】
反転用膜形成材料としては、上記ベースポリマーに加え、パターン反転のためのアルカリ微溶解性材料、表面アルカリ溶解速度向上のためのアルカリ可溶界面活性剤、アルカリ可溶性のエッチング耐性向上剤、塩基クエンチャー、溶媒等を用いることができる。
【0169】
更にパターン反転のためのアルカリ微溶解性の材料として、フェノール基やマロン酸置換のフラーレン、フェノール化合物の低核体が挙げられる。これらの材料は炭素含有量が高く、エッチング耐性を向上する機能も有する。パターン反転の材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0170】
かかる材料として具体的には、特開2006−227389号公報に示されるフェノール置換あるいはマロン酸置換フラーレン、特開2006−259249号公報、特開2006−259482号公報、特開2006−285095号公報、特開2006−293298号公報に示されるフェノール化合物、特開2007−199653号公報記載のビスナフトール化合物、下記フェノール基を有するフルオレン化合物、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、テトラヒドロスピロビインデン化合物、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’,4,4’−ヘキサメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−5,5’−ジオール、5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール等が挙げられる。これらの材料は、アルカリ可溶性のエッチング耐性向上剤として使用することができる。
【0171】
なお、上記材料の添加量は、上記ベースポリマー100部に対して0〜200部、特に0〜100部とすることが好ましい。配合する場合は、1部以上、特に5部以上とすることができる。
【0172】
本態様のパターン反転用膜の表面だけのアルカリ溶解性を向上させることは、アルカリ可溶に変質したポジレジストパターントップまでを覆ったパターン反転用膜の溶解をスムーズにし、ポジ型パターンを変換したトレンチパターンやホールパターンの寸法制御性向上のために有効である。表面のアルカリ溶解性を向上させるためにアルカリ可溶の界面活性剤、特にフッ素系界面活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤としては少なくとも下記一般式(3)中、繰り返し単位s−1、s−2のいずれか一方又は両方を有することを特徴とする。
【化53】

(上記式中、R6、R9はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。nは1又は2であり、n=1の場合、X1はフェニレン基、−O−、−C(=O)−O−R12−又は−C(=O)−NH−R12−であり、R12は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。n=2の場合、X1はフェニレン基、−C(=O)−O−R81=又は−C(=O)−NH−R81=であり、R81は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基から水素原子が1個脱離した基であり、エステル基(−COO−)又はエーテル基(−O−)を有していてもよい。R7は単結合、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、R8は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、又はR7と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の環(但し、芳香環を除く)を形成してもよく、環の中にエーテル基、フッ素で置換されたアルキレン基又はトリフルオロメチル基を有していてもよい。X2はフェニレン基、−O−、−C(=O)−O−R11−又は−C(=O)−NH−R11−であり、R11は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。R10はフッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていて、エーテル基、エステル基又はスルホンアミド基を有していてもよい。X2がフェニレン基の場合、mは1〜5の整数であり、X2がそれ以外の場合、mは1である。)
【0173】
s−1を得るためのモノマーは具体的には下記に例示することができる。
【化54】

【0174】
【化55】

【0175】
【化56】

【0176】
【化57】

【0177】
【化58】

(式中、R6は前述と同様である。)
【0178】
更に、上記一般式(3)中のs−2で示されるフッ素で置換されたアルキル基を有する繰り返し単位s−2を得るためのモノマーとしては、下記の具体例を挙げることができる。
【0179】
【化59】

【0180】
【化60】

【0181】
【化61】

(式中、R9は前述と同様である。)
【0182】
s−1、s−2の繰り返し単位は、前述のフェノール基やカルボキシル基を有するアルカリ溶解性の繰り返し単位や、アルカリ難溶解性の繰り返し単位と共重合することができる。
【0183】
上記アルカリ可溶界面活性剤の添加量は、ベースポリマー100部に対して0〜50部、特に0〜20部が好ましい。多すぎると、膜減り量が多くなりすぎたり、エッチング耐性が低下したりする場合が生じる。なお、配合する場合は、1部以上とすることが好ましい。
【0184】
塩基クエンチャーとしては、上記ポジ型レジスト材料において説明した塩基性化合物と同様の塩基性化合物を用いることができる。即ち、本発明のパターン形成方法に用いるパターン反転用膜には、現像後のレジストパターンからの酸拡散を防止するために塩基化合物を添加することができ、特にパターン反転用膜の材料として酸不安定基で置換されたフェノール性化合物及びカルボキシル基含有化合物が用いられている場合、レジストパターンからの酸の拡散と脱保護反応によってアルカリ溶解速度が増加し、反転したパターンの寸法が大きくなったり、膜減り大きくなる問題が生じる。これを防止するために塩基化合物を添加することが有効である。なお、レジスト材料及びパターン反転用膜に添加される塩基性化合物は同一のものでもよく異種であってもよい。
【0185】
上記塩基性化合物(塩基クエンチャー)の配合量は、上記ベースポリマー100部に対し、0〜10部、特に0〜5部が好ましい。なお、配合する場合は、0.1部以上であることが好ましい。
【0186】
本発明のパターン形成方法に用いられるパターン反転用膜形成材料に用いられる有機溶媒としては、前記ポジ型レジスト材料に用いられる有機溶剤に加えて、ポジ型レジスト膜(レジストパターン)とのミキシングを防止するために炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテルを用いることもできる。具体的にはn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールが挙げられる。
【0187】
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶媒が挙げられる。
【0188】
有機溶媒の使用量は、ベースポリマー100部に対して200〜3,000部、特に400〜2,000部が好適である。
【0189】
本発明に係るパターニング方法は、上記ポジ型レジスト材料基板上に塗布してレジスト膜を形成する。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層を介してポジ型レジスト材料によるレジスト膜30を形成するが、レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0190】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0191】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージュアベーク(PEB)する。
【0192】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のレジストパターン30aが形成される(図1(B)参照)。
【0193】
この場合、パターンとしてはハーフピッチの大きさ38×38nm〜100×100nm、特に40×40nm〜80×80nmのドットパターンを形成することができる。ドットパターンの大きさは露光機のレンズのNAによるが、NA1.35の露光機を用いれば、最小寸法としてハーフピッチ38nmのドットを形成することができる。ドットパターンは縦横が同じ長さでも構わないし、どちらか一方が長い長軸のドットパターンでも構わない。ドットパターンの形成方法は特に制限されないが、高エネルギー線で上記レジスト膜に第1のラインパターンを形成するように露光し、次いでこの第1のラインパターンと直交する第2のラインパターンを形成するように露光し、これを現像することによってドットパターンを形成する方法を採用する方法が最も微細なハーフピッチのホールを形成することができる。
例えば図2に示されるように、Yラインを露光し[図2(A)]、次にXラインを露光し[図2(B)]、PEB、現像することによってドットパターンを得る[図2(C)]ことができる方法が上記ダブルダイポール露光方法である。この場合、白色部分50が露光領域、灰色部分60が遮光領域である。
図3に示されるマスクを用いてドットパターンを1回の露光で形成し、これを反転することによってホールを形成することもできる。
この場合は、前記2回露光によるドット形成ほど細かなピッチのホールを形成することはできないが、1回の露光でドットパターンを形成できる簡便さがメリットである。
【0194】
次いで、上記パターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離させると共に、該高分子化合物を架橋し、架橋パターン30bを形成する[図1(C)参照]。この場合、このレジストパターン中の高分子化合物の酸不安定基の脱離と架橋には、酸と加熱が必要である。この場合、酸を発生させた後、加熱によって酸不安定基の脱保護と架橋とを同時に行う。酸を発生させるには、現像後のウエハー(パターン)のフラッド露光によって光酸発生剤の分解を行う方法がある。フラッド露光の露光波長は波長180〜400nmで、露光量10mJ/cm2〜1J/cm2の範囲である。波長180nm以下、特には172nm、146nm、122nmのエキシマレーザーや、エキシマランプの照射は、光酸発生剤からの酸の発生だけでなく、光照射による架橋反応を促進させ、過剰な架橋によってアルカリ溶解速度が低下するために好ましくない。フラッド露光の波長は193nmより長波長のArFエキシマレーザー、222nmのKrClエキシマランプ、248nmのKrFエキシマレーザー、254nmの中心の低圧水銀ランプ、308nmのXeClエキシマランプ、365nmのi線が好ましく用いられる。ポジ型レジスト材料にアンモニウム塩の熱酸発生剤を添加しておいて、加熱によって酸を発生させることもできる。この場合、酸の発生と架橋反応は同時に進行する。加熱の条件は150〜400℃、特に160〜300℃の温度範囲で10〜300秒の範囲が好ましい。これにより、反転用膜形成材料の溶媒に不溶の架橋レジストパターンが形成される。
【0195】
なお、上記アンモニウム塩の熱酸発生剤としては、具体的に下記のものが挙げられ、これをベース樹脂100部に対し0〜15部、特に0〜10部添加することができる。配合する場合は、0.1部以上が好ましい。
【化62】

(式中、R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
【0196】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0197】
【化63】

【0198】
上記一般式(K−1)中、R102aは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。上記一般式(K−2)中、R102bは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0199】
次に、図1(D)に示したように、架橋レジストパターン30bを覆って反転用膜形成材料を塗布することにより反転用膜40bを形成する。この場合、反転用膜40の厚さはレジストパターンの高さと同等あるいは±30nmの範囲であることが好ましい。
【0200】
次いで、上記アルカリ現像液を用いて上記反転用膜40の表面部分を溶解して上記架橋レジストパターン30bを露呈させ、これによりこの架橋レジストパターン30bの上記アルカリ現像液に対する溶解速度が反転用膜40の溶解速度より速いので、架橋レジストパターン30bが選択的に溶解され、これが溶解消失することで、図1(E)に示したように反転用膜40に上記架橋レジストパターン30bが反転した反転パターン40aが形成される。この場合、レジストパターンがドットパターンであると、反転パターンとしてホールパターンが形成される。
【0201】
更に、図1(F)に示したように、上記反転パターン40aをマスクとして、ハードマスク等の中間介在層がある場合はこの中間介在層をエッチングし、更に被加工基板20のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工基板のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、架橋レジスト膜、第2のレジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、架橋レジスト膜の除去は、酸素、ラジカル等のドライエッチングによって行うことができ、第2のレジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水等の有機溶媒等の剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0202】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0203】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜7、比較ポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0204】
ポリマー1
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化64】

【0205】
ポリマー2
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化65】

【0206】
ポリマー3
分子量(Mw)=6,000
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化66】

【0207】
ポリマー4
分子量(Mw)=9,400
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化67】

【0208】
ポリマー5
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化68】

【0209】
ポリマー6
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化69】

【0210】
ポリマー7
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化70】

【0211】
比較ポリマー1
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化71】

【0212】
比較ポリマー2
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化72】

【0213】
[実施例1〜7、比較例1,2]
ポリマーの架橋性の評価
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜7、比較ポリマー1,2)の酸触媒による熱架橋性を調べるために、下記表1に示す組成で、各ポリマー、熱酸発生剤、溶剤を混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
表1中の各組成は次の通りである。
熱酸発生剤:TAG1、TAG2(下記構造式参照)
【化73】

有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0214】
8インチシリコン基板に各ポリマー溶液を塗布し、100℃で60秒間、次いで180℃で60秒間ベークし、光学式膜厚計で膜厚を測定した。膜上にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロヘキサノン70:30質量比の混合溶媒を20秒間ディスペンスし、2,000rpmで30秒間スピンドライ、100℃で60秒間乾燥した後に膜厚を測定し、溶媒ディスペンス前の膜厚との差を求めた。
8インチシリコン基板に各ポリマー溶液を塗布し、100℃で60秒間、次いで180℃で60秒間ベークし、200nmの膜厚であることを光学式膜厚計による測定で確認した。膜上に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、純水リンス、スピンドライ後に膜厚を測定し、現像前の膜厚との差を求めた。
結果を表1に示す。
【0215】
【表1】

【0216】
表1の結果から、環状カーボネート構造を有するベースポリマーに熱酸発生剤を加え、塗布後180℃のベークを行うことによって溶媒に溶解せず、アルカリ現像液に溶解する膜となることが確認された。
【0217】
[実施例8〜14、比較例3,4]
ポジ型レジスト材料の調製
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜7、比較ポリマー1,2)を用いて、下記表2に示す組成のポリマー、酸発生剤、塩基クエンチャーを界面活性剤として住友スリーエム(株)製FC−4430を100ppm含有する溶媒に溶解させ、0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過してレジスト溶液を調製した。
【0218】
表2中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
【化74】

熱酸発生剤:TAG1、TAG2(下記構造式参照)
【化75】

塩基クエンチャー:Quencher1(下記構造式参照)
【化76】

有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0219】
保護膜材料の調製
表3に示す組成のポリマー、塩基クエンチャーを溶媒に溶解させ、0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して保護膜溶液を調製した。
反転膜材料の調製
表4に示す組成のポリマー、塩基クエンチャーを界面活性剤として住友スリーエム(株)製FC−4430を100ppm含有する溶媒に溶解させ、0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して反転膜溶液を調製した。
【0220】
【表2】

【0221】
【表3】

保護膜ポリマー
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化77】

【0222】
【表4】

反転膜ポリマー
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化78】

塩基クエンチャー:Quencher1(下記構造式参照)
【化79】


有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0223】
HMDS(ヘキサメチルジシラザン)プライム処理した8インチシリコン基板にパターン反転用膜材料RF1を塗布し、110℃で60秒間ベークして膜厚60nmのパターン反転用膜を形成した。これを2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の現像液で30秒間現像し、現像による膜減り量を求め、表4に示されるように1秒間当たりの溶解速度が0.2nmであることを確認した。
【0224】
ArF露光パターニング評価
表2に示す組成で調製したレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を90nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて110℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを120nmにした。その上に表3に示す保護膜材料(TC1)をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML(株)製、XT−1700i,NA1.20、σ0.96/0.8、20度c−Quad照明、X−Y偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて1回目の液浸露光でX方向の50nm1:1のラインアンドスペースパターンを露光し、1回目の露光位置と重なる場所にY方向50nm1:1ラインアンドスペースパターンの2回目の液浸露光を行い、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像を行って、サイズ40nm、ピッチ100nmのドットパターンを得た。ドットパターンは、190℃,60秒間のベークによって熱酸発生剤から酸を発生させ、酸不安定基の脱保護と架橋を行った。断面観察の結果、ドットパターンの高さは60nmであった。ドットパターン上に表4に示すパターン反転用膜材料(RF1)を60nmの膜厚になるように塗布し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像を行った。ドットパターンがホールパターンに変換されているかどうかを(株)日立製作所製TDSEM(S−9380)で観察した。
結果を表5に示す。
【0225】
【表5】

【0226】
表5の結果から、実施例8〜14のレジスト材料は、ドットパターンをホールパターンに反転することが可能であった。比較例3,4のレジスト材料は、加熱後の溶媒耐性とアルカリ溶解性が不十分であり、ドットパターンをホールパターンに変換することができなかった。
【0227】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0228】
10 基板
20 被加工基板
30 レジスト膜
30a レジストパターン
30b 架橋レジストパターン
40 反転用膜
40a 反転パターン
50 露光領域
60 遮光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状カーボネートを有する繰り返し単位と、酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位とを有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像してポジ型パターンを形成する工程と、その後に熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させ、反転用膜形成用組成物に含まれる有機溶媒に不溶でかつアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる工程と、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と、上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程とを含むポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
環状カーボネートを有する繰り返し単位が下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a−1)及び/又は(a−2)であり、酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像してポジ型パターンを形成する工程と、その後に熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させ、反転用膜形成用組成物に含まれる有機溶媒に不溶でかつアルカリ現像液に可溶の膜に変質させる工程と、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と、上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程を含むポジネガ反転を用いた請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
【化1】

(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−NH−を表し、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状又は有橋環式のアルキレン基であり、エーテル基、チオエーテル基又はエステル基を有していてもよく、R3はメチレン基又はエチレン基、又はR2と結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成してもよい。a1、a2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0の範囲である。)
【請求項3】
上記ポジ型パターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程で得られるポジ型パターンのアルカリ現像液に対する溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でエッチングした際、エッチング速度が2nm/秒を超えるものであり、かつ有機溶剤に対する耐性は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘプタノンから選ばれる1種以上の溶剤に3〜60秒間触れさせた時の膜減りが10nm以下である程度の耐性を有するものである請求項1又は2に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
上記レジストパターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程は、露光前加熱及び露光後加熱のいずれよりも高い温度での処理を伴う請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
上記反転用膜形成用組成物より得られる反転用膜は、金属珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素窒化酸化物、チタニウム酸化物、チタニウム窒化物、ゲルマニウム酸化物、又はハフニウム酸化物に対して選択エッチング可能である膜である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
上記反転用膜形成用組成物は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有するモノマーユニットを含む樹脂を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
上記反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程と上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程の間に、上記ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
上記ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程は、ウェットエッチングである請求項7に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
上記反転用膜はアルカリ現像液で処理した際、上記有機溶剤に対する耐性を与える工程後のポジ型パターンよりも溶解速度が遅く、かつ溶解性を示す材料であり、更に上記ウェットエッチングにアルカリ現像液を用い、ポジ型パターン上に積層された反転用膜を除去する工程と上記ポジ型パターンをアルカリ現像液で溶解除去する工程は同時に行うものである請求項8に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項10】
上記反転用膜の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でエッチングした際の溶解速度は、0.02nm/秒以上2nm/秒以下である請求項9に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項11】
上記ポジ型レジスト材料は、上記ポジ型パターンに有機溶剤に対する耐性を与える工程における加熱で酸を発生する成分を含有するものである請求項4乃至10のいずれか1項に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項12】
上記加熱で酸を発生する成分は、光酸発生剤とは別に添加される熱酸発生剤である請求項11に記載のポジネガ反転を用いたレジストパターンの形成方法。
【請求項13】
上記熱酸発生剤が、下記一般式(P1a−2)で示されることを特徴とする請求項12に記載のレジストパターンの形成方法。
【化2】

(式中、R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
【請求項14】
現像工程後の熱あるいは酸と熱によってポジ型パターンを架橋硬化させる工程が、露光又は熱によってレジスト膜から酸を発生させ、その後130〜300℃に加熱してレジスト膜を架橋させて溶媒及びアルカリ現像液に不溶にすることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項15】
酸によってアルカリ現像液に可溶になる繰り返し単位が、下記一般式(b)で示される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【化3】

(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は酸不安定基を示す。)
【請求項16】
下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a−1)、(a−2)のいずれか一方又は両方と、下記一般式(b)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物と、有機溶媒と、下記一般式(P1a−1)及び(P1a−2)で示される酸発生剤とを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法に用いるポジ型レジスト材料。
【化4】

(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−NH−を表し、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状又は有橋環式のアルキレン基であり、エーテル基、チオエーテル基又はエステル基を有していてもよく、R3はメチレン基又はエチレン基、又はR2と結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成してもよい。R4は水素原子又はメチル基、R5は酸不安定基を示す。a1、a2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0の範囲、bは0<b≦0.8の範囲で0.1≦a1+a2+b≦1.0である。)
【化5】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
【請求項17】
更に、溶解阻止剤を含有するものであることを特徴とする請求項16に記載のポジ型レジスト材料。
【請求項18】
更に、添加剤として塩基性化合物及び/又は界面活性剤が配合されたものであることを特徴とする請求項16又は17に記載のポジ型レジスト材料。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−223294(P2009−223294A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12555(P2009−12555)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】