説明

低誘電率材料及びその製造方法

【課題】集積回路において階間誘電体として用いる場合の低誘電率材料及びそれを含む膜の性能の改良、並びにその製造方法について明らかにする。
【解決手段】これらの材料は、約3.7又はそれ未満の誘電率(k)、前記材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)、及び金属不純物レベルが500ppm又はそれ未満のものとして特徴づけられる。また、約1.95未満の誘電率及び約26GPaを超える前記材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率材料について開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは電子デバイスに使用するのに適した材料に関する。より詳細には本発明は、比較的大きい標準化壁体弾性率を介して表される改良された弾性率及び低い誘電率を有する材料とそれを含む膜、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス業界には、動作速度を向上し、且つ電力消費を低減するために、メモリ及び論理チップなどの多層集積回路デバイスの回路密度を増すことに対する絶えざる要望がある。集積回路上の素子を小型化し続けるためには、相互接続用メタライゼーションの抵抗−キャパシタンス(「RC」)の遅延時間を低減し、且つさまざまなレベルのメタライゼーションの間の容量性クロストークを防止するために、低誘電率絶縁体を使用することが必要になった。このような低誘電率材料は、プレメタル誘電体層及び層間誘電体層にとって望ましい。
【0003】
180nmの線幅を有する素子用の一般的な誘電体材料は、誘電率が約3.8〜4.2の材料である。線幅が狭くなるにつれて、誘電率もまた低くならなければならない。例えば線幅130nmの素子は、誘電率が約2.5〜3.0の材料を必要とする。超低誘電率(「ELK」)材料は通常、誘電率が約2.0〜2.5である。線幅90nmの素子は、誘電率が2.4未満の材料を必要とする。非特許文献1によれば、層間金属絶縁体に対して予想される誘電率の要求仕様は、65nmノードについては2.1未満、45nmノードについては1.9未満、32nmノードについては1.7未満、22nmノードについては1.6未満である。
【0004】
材料の誘電率(k)は一般に、これに伴って起こる材料の力学的特性、すなわち弾性率、硬さ、靭性の低下なしには下げることができない。力学的強度は、エッチング、CMP(「Chemical Mechanical Planarization(化学機械平坦化)」)、並びに銅、銅金属(「Cu」)に対する拡散バリア、及び生成品上のキャップなどの追加の層の堆積のような続く加工工程にとって必要である。いくつかのこれらプロセスでは、多層の温度サイクルが、異なる材料間の熱膨張係数の不整合のせいで応力を引き起こし、その結果として亀裂又は層剥離を生ずる恐れがある。表面平坦性もまた必要であり、これらの加工パラメータを膜形成プロセスの間に制御することにより、またCMPにより、この表面平坦性を維持することができる。力学的な完全さ、すなわち剛性、圧縮、及びせん断強さは、CMPに耐えるには特に重要である。CMPに耐える能力は、ダウンフォース及びプラテン速度などの研磨パラメータを含む他の要因とともに、材料の弾性率又はヤング率と相関させることができる。例えば非特許文献2及び3を参照されたい。これらの力学的特性はまた、最終製品の実装において重要である。
【0005】
低誘電率膜の調製には複数のプロセスが用いられてきた。絶縁層の薄膜を調製するには、化学蒸着(CVD)及びスピンオン誘電体(SOD)プロセスが一般に用いられる。液状ポリマー前駆体のCVD及び輸送重合CVDなど他のハイブリッドプロセスもまた知られている。これらの手法によって堆積されたさまざまな低k材料は、純粋な無機材料、セラミック材料、シリカベースの材料、純粋な有機材料、又は無機有機ハイブリッドなどのカテゴリーに一般に分類されてきた。同様にこれらの材料を硬化させるために、プラズマ、電子線、又はUV照射によりそれら材料を加熱し、処理するなどのさまざまなプロセスを用いて、揮発性成分を分解及び/又は除去し、膜を実質上架橋させてきた。
【0006】
空気の誘電率は公称1.0であるので、材料の誘電率を下げる一つの方法は、気孔を導入することである。気孔はさまざまな異なる手段により低誘電率材料に導入されてきた。誘電膜を多孔性にした場合、密な膜と比べて低い誘電率を示すことができるが、膜の弾性率は一般に気孔率の増加とともに低下する。その結果、誘電率と弾性率のトレードオフの故に、これらの低誘電性組成物を使用することは非現実的である。更にこの誘電率と弾性率のトレードオフの故に、改良された低誘電性組成物をそれと断定することは多くの場合困難である。
【0007】
誘電率と材料中の気孔率の関係は、材料の実際の誘電率を測定することが困難なので多くの方法で近似されており、例えば非特許文献4を参照されたい。Kingery等が非特許文献4において述べている物理モデルは、誘電材料を理想誘電体の二相混合物とみなす。気孔率を近似させるために、誘電率1.0を有する空気を混合物の成分の1つと考えることができる。これらの混合物はいくつかの方法で考えることができる。一つの方法は、混合物をキャパシタプレートに平行な層を有する材料の層と考えるものである。別の方法は、材料の層をキャパシタプレートに垂直と考えるものである。更に別の方法は、平行と垂直の両極値の間の中間値を与える対数混合則を適用するものである。更に別の方法においてマクスウェル(Maxwell)は、母材中の球状粒子の分散体の関係を導出している。これによれば分散相が母材よりずっと高い誘電率を有する場合には対数混合則に近づくが、分散相が母材よりずっと低い誘電率を有する場合は垂直層状モデルにきわめて近くなる。
【0008】
誘電率との関係と同様に、多相を有する材料の弾性率と気孔率の間の関係もまた多くの方法で近似することができ、例えば非特許文献4の第773〜777頁を参照されたい。二相系では混合物である材料の全弾性率は、低弾性成分の弾性率化高弾性成分の弾性率との間にある。非特許文献4においてKingeryは、混合物の弾性率の上下の範囲を画定することを試みたVoigt、Reuss、及びHashinとShtrikmanなどのさまざまなモデルについて記述している。バルク弾性率がゼロの細孔空間を有する混合物を生成するために第二相として低弾性率材料を加える極端なケースを考える。このケースでMacKenzieは、気孔率約50%までの連続的な母材中の独立気孔での弾性の変化を表す式を導出した。
【0009】
非特許文献5は、コンピュータ・シミュレーション技術を用いて円形の孔を有する母材の弾性率を得る方法について記述している。非特許文献5のDayは、既知の結果、すなわち初期勾配、透過濃度(percolation concentration)、及び臨界指数と、相対ヤング率E/E(ただしEは材料全体のヤング率、Eは母材のヤング率)を得るための自由適合パラメータ(free fitting parameter)とを統合した補間式に、三角形に配置した円形の孔の規則的な列に対するシミュレーションデータの結果を当てはめている。
【0010】
非特許文献6は、誘電率に及ぼす気孔率の影響を予測するために、Bruggeman有効媒体近似モデル(effective medium approximation model)を当てはめることについて記述している。Bruggemanモデルは、最低の目標k値を達成するには、SiOよりも低いk値を有するホストの母材が、比較的小さい気孔率を必要とすると予想する。例えばk=2.5の母材では気孔率22%を必要とするに過ぎないが、k=4.2(高密度シリカの値)の母材から出発してk=2.0を得るためには、50%までの気孔率が必要である。高密度酸化物とk=2.5の材料の力学的特性が同等の場合、力学的特性を維持するには気孔率が低いほどよいであろう。しかしながら現実にはk=2.5の材料の弾性率は、高密度酸化物の弾性率より低い。気孔率を22%にしたときのk=2.5の材料の弾性率の低下は、気孔率を50%にしたときの高密度酸化物の弾性率の低下と同じではないが、k=2.5の材料の弾性率がはじめから低い場合、気孔率を22%にしたときのk=2.5の材料の全体としての弾性率は、気孔率を50%にしたときの高密度酸化物の全体の弾性率よりも低い可能性がある。その結果、k=2.0の2つの材料のどちらがすぐれた力学的特性を有するかははっきりしない。これが、改良された性能を有する材料を特定することができるように、kと弾性率の間のトレードオフを理解し定量化することができないという従来の技術の重大な欠点である。
【0011】
すぐれた力学的特性を有する低誘電率材料の目標を達成するために、何人かの低誘電率材料の設計者が、誘電率、弾性率、及び気孔率の間の関係を関連付けることを試みた。非特許文献7には、NANOGLASS(登録商標)材料の弾性率が、(k−1)(ただしx=2.5)に比例して変わることが開示されている。これら材料のkは、溶剤の量を変えることによって調整された。しかしながらこれらの結果は、ある特定な一連の材料について経験的に引き出されたものであり、一般に他の種類の材料まで拡張することはできない。
【0012】
非特許文献8は、多孔性誘電材料の特性を近似させるための二成分モデルについて記述している。誘電率を二相平行静電容量モデルを用いて予測し、また弾性率を膜の気孔率のベキ関数によって近似させた。Bremmerは非特許文献8において、3種類の異なる多孔性材料及び母材を代表する高密度シリカについて、E対kのグラフを提供している。Bremmerは、Ematrix、kmatrix、及びm(Eの低下を近似するベキ係数)の値を提供しなかった。更にBremmerは、ある数値すなわちメリット図を使用して、それぞれのE対kの曲線を特徴づけられることは教示しなかった。
【0013】
低誘電率材料及びそれから得られる膜の製造に関連する別の考察は、材料中に存在する金属不純物のレベルである。低誘電率膜が集積回路(IC)の作製に適しているためには、その膜の不純物のレベル制御されていることが望ましい。換言すればその膜の堆積は、マイクロエレクトロニクスデバイス中の酸化ケイ素ベースの絶縁膜中で有害な恐れのある不揮発性の不純物が最低レベルにある成分を用いて行われるべきである。金属酸化物半導体(「MOS」)トランジスタ用の絶縁体及び多層配線用の絶縁体として用いられる二酸化ケイ素膜から、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属イオンを排除すべきであることは、IC工業界ではよく知られている。これらの正に荷電したイオンは、電界にさらされた場合に動きやすくなり、正にバイアスをかけられた膜界面から離れて、負にバイアスをかけられた膜界面に向かってドリフトし、その結果静電容量−電圧のシフトを引き起こす恐れがある。
【0014】
低誘電率膜の生産に用いられるいくつかの市販の化学試薬は、アルカリ金属不純物を含有する。これらの不純物は、その化学的前駆試薬の製造に用いられた触媒の残留レベルに起因することがある。NaOH、KOH、又はNaOCHとアルコールとのモル比0.005〜0.05:1が、脂肪族アルコール、アルキルフェノール、及び脂肪酸の塩基性触媒によるエトキシル化によく用いられる。例えば非特許文献9を参照されたい。例えばTRITON(登録商標)X−114、すなわちアルコール1モル当たりエトキシル化物を平均7.5モル含むエトキシル化アルキルフェノールの生産において、アルコール1モル当たりNaOHを0.005モル使用すると、最終生成物中のナトリウムが214ppmという結果を招く恐れがある。界面活性剤は、その界面活性剤によって与えられる触媒不純物が最終配合物中で問題にならないような低レベルで用いられることが多いので、残留触媒不純物のこのようなレベルはこれら化学薬品の通常の用途ではほとんど問題にならない。ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーは、所望の分子量に応じて、さまざまな触媒系を用いて製造することができる。分子量20,000未満の場合には、塩基、あるいはメタノール又はブタノールのNa又はKアルコキシドが触媒として用いられる。例えば非特許文献10を参照されたい。界面活性剤と同様に溶剤もまた、残留触媒不純物を含有する可能性がある。例えばプロピレンオキシドとアルコールの反応を経由したプロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)などのエーテルの形成は、第二アルキルエーテルよりも第一アルキルエーテルの高い選択性が望ましい場合、多くは塩基触媒によるものであり、その結果として残留不純物を生ずる可能性がある。例えば非特許文献11を参照されたい。不純物の更なる供給源は、そのような厳しい純度基準が一般の用途では必要とされないために、クリーンルームの外部の包装又は取扱いなど細部に対する不注意からもたらされる可能性がある。
【0015】
集積回路用途の化学的前駆体溶液に対するアルカリ金属不純物の仕様は一般に、それぞれの種類のアルカリ金属について10億部に最大約20部まで、また合計では50ppb未満の許容不純物レベルに設定される。これらの許容限度を満たすために、IC産業の材料供給元は界面活性剤を精製することがある。参考資料の、本出願の権利者に譲渡されている特許文献1は、得られる膜の誘電及び力学的特性が、膜形成用混合物中で気孔源として用いられる界面活性剤の精製によって、いかに悪影響を受ける恐れがあるかについて考察している。特許文献2は、界面活性剤が存在しない場合でさえ、得られた膜の誘電特性が試薬の精製によっていかに悪影響を受ける恐れがあるかについて考察している。
【0016】
低誘電率膜の生産の更に別の問題は、加工性又はサイクルタイムである。コーティングされた基材は、揮発性成分を分解及び/又は除去するために一般に加熱し、また実質上膜を架橋させる。これを行う硬化又はアニーリングの工程は、生産の重大なボトルネックである。現在製造されている大部分の低及び超低誘電率膜は、30分を超え、2時間までの範囲の硬化工程を有する。その結果、硬化工程時間の短縮は、プロセス全体の時間を短縮し、より高い製造処理能力を達成することになる。
【0017】
別の問題は、全体的な熱の収支である。Cu金属線などのICデバイスのさまざまな構成要素は、望ましくない拡散プロセスのせいで、それらの性能が低下しない短時間のあいだ加工温度にさらすことができるに過ぎない。シリカを用いた低k膜を調製するための大部分のプロセスは、450℃又はそれよりも高い温度で30分又はそれよりも高い時間にわたる硬化工程を必要とする。硬化工程を大幅に低い温度及び/又は短い時間で行うことができれば、著しい利点をもたらすことができる。
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1,142,832号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0045693号
【非特許文献1】2001 International Technology roadmap for Semiconductor(ITRS)の相互接続ロードマップ
【非特許文献2】Wang等、「Advanced processing: CMP of Cu/low−k and Cu/ultralow−k layers」、Solid States Technol.(2001年9月)
【非特許文献3】Lin等、「Low−k Dielectrics Characterization for Damascene Integration」、International Interconnect Technology Conference、Burlingame、CA (2001年6月)
【非特許文献4】Kingery等、「Introduction to Ceramics」、John Wiley & Sons, Inc.、pp947〜948(1970年)(「Kingery」)
【非特許文献5】Day等、「The Elastic Moduli of a Sheet Containing Circular Holes」、J. Mech. Phys. Solids、vol. 40、No. 5、pp1031〜51(1992年)(「Day」)
【非特許文献6】Golden等の著、「Designing Porous Low−k Dielectrics」、Semiconductor International(2001年5月)(「Golden」)
【非特許文献7】ウェブサイトwww.honeywell.com上で見られるRamos等の記事「Mechanical and Electrical Properties of NANOGLASS(TM) Nanoporous Silica as a Function of Porosity」(「Ramos」)
【非特許文献8】Bremmerの著「A New Class of Insulating Materials: Emergence of ultralow−k」、Solid State, Technology(2001年9月)(「Bremmer」)
【非特許文献9】Lynn等、「Surfactants」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、John Wiley & Sons, Inc.(1997年)
【非特許文献10】Glass, J. E.著、「Water−Soluble Polymers」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、John Wiley & Sons, Inc.(1988年)
【非特許文献11】Brown等、「Glycols: Ethylene Glycol and Propylene Glycol」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、John Wiley & Sons, Inc. (NY)、vol.11、pp953 (1980年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って当業界には、低い誘電率及び十分な力学的強度を有する改良された誘電材料を提供する必要性が存在する。この目的の達成のために当業界にはまた、低誘電率材料を特定し開発するための誘電率、気孔率、及び弾性率を相互に関係づける手段を提供する必要性が存在する。また当業界には、比較的低い金属含有量を有し、しかもなお有益な特性、すなわち高含有量の金属が付与することのできる低k及び高弾性率を維持した誘電材料及び膜を提供する必要性が存在する。更に当業界には、比較的低い温度及び比較的短いサイクルタイムで低誘電率膜を製造するための方法を提供する必要性が存在する。
【0020】
本願明細書で引用される全ての文献は、参照によりその全体を本明細書の記載に含める。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、測定される2つの属性、すなわち誘電率と弾性率を関係づけて1つのメリット図、すなわち標準化壁体弾性率(E′)にすることによって、当業界におけるこれらの必要性を満たす。これは、低誘電率だが十分な力学的強度を有する改良型の低誘電率材料を特定し開発するために用いることができる。ちなみにほぼ同一の標準化壁体弾性率値を有する材料は、気孔率を変えることによってその誘電率及び弾性率を調整できる同じ系統の材料に属する。従って改良された誘電材料、すなわちより高い標準化壁体弾性率を有する材料がいったん特定されると、気孔率を変えることによって目標誘電率を得ることができる。
【0022】
本発明は、部分的には低誘電率材料及びそれを含む薄い誘電膜を対象とする。具体的には一実施形態において、誘電率が約3.7又はそれ未満であり、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約15GPa又はそれよりも大きく、また金属不純物レベルが約500ppm又はそれ未満の、誘電材料を提供する。本発明のいくつかの実施形態においてこの材料は、複数のSi−C結合を含む。
【0023】
本発明の別の態様は、誘電率が約1.95未満であり、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約26GPaを超える、低誘電率材料を対象とする。1つの態様では、誘電材料は多孔質である。
【0024】
本発明の更に別の態様は、誘電率が約2.0未満で、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約5GPa〜約15GPaで、且つ金属の不純物レベルが約500ppm又はそれ未満の低誘電率材料である。本発明の1つの態様では、誘電材料は多孔質である。本発明の特別な実施形態において材料は、10Åを超えるd間隔において回折ピークを示さない。
【0025】
本発明の更に別の態様は、誘電率が約3.7又はそれ未満で、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約15GPa又はそれよりも大きい低誘電率膜を調製する方法を対象とする。一実施形態において、少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物であって、金属不純物含有量が約500ppm又はそれ未満の混合物を提供する工程、この混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及びこのコーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして硬化させる工程を含む、膜の調製方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態においてこの硬化工程は、約450℃以下の温度で約30分又はそれ未満の時間にわたって行われる。
【0026】
本発明の更に別の態様は、低誘電率膜を調製する方法を対象とする。一実施形態において、少なくとも1種類の気孔源と、少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物とを含む混合物から作られた第一の膜を形成する工程、この第一の膜の弾性率の値及び誘電率の値を測定する工程、この誘電率から第一の膜の空隙率の値を計算する工程、弾性率及び空隙率の値から、第一の膜の標準化壁体弾性率を求める工程、及び、第一の膜と実質的に同じ標準化弾性率を有する第二の膜の空隙率の値を調整して、第二の膜の弾性率を増加又は低下させる工程であって、この第2の膜の弾性率の増加又は低下が第二の膜の誘電率の増加又は低下を伴う工程を含む膜の調製方法を提供する。
【0027】
本発明の更に別の態様は、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数が約20〜約80モル%の複数のSi−C結合を有する少なくとも1種類のシリカを含み、約0.5〜約6.5GPaの弾性率と、約2.5又はそれ未満の誘電率と、約500ppm又はそれ未満の金属不純物量とを有する低誘電率材料である。
【0028】
本発明の更に別の態様は、Si−C結合の総数が約20〜約80モル%である複数のSi−C結合を有する少なくとも1種類のシリカを含み、約1.3〜約6.5GPaの弾性率と、約1.95又はそれ未満の誘電率とを有する低誘電率材料である。
【0029】
本発明の更に別の態様は、誘電率が約3.7又はそれ未満であり、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約15GPa又はそれよりも大きい低誘電率膜を調製する方法を対象とする。一実施形態において、少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、この混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及びこのコーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって、約450℃又はそれ未満の1又は複数の温度にして硬化させる工程を含む、膜の調製方法を提供する。
【0030】
本発明の更に別の態様は、誘電率が約2.0未満であり、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約5GPa〜約15GPaの範囲の低誘電率膜を調製する方法を対象とする。一実施形態において、少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、この混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及びこのコーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして硬化させる工程を含む、膜の調製方法を提供する。
【0031】
本発明のこれらの態様及びその他の態様は、下記の詳細な説明から明らかになるはずである。
【0032】
本発明は、低誘電率材料及びそれを含む膜を対象とする。低誘電率材料の測定された2つの属性である誘電率と弾性率を、1つのメリット図、すなわち改良された低誘電率材料を特定し開発するために用いることができる標準化壁体弾性率(E′)に関係づける。改良された低誘電率材料は、低誘電率だがエッチング及びCMPなどの後続の加工工程に耐えるのに十分な弾性率を有する材料である。ちなみに、実質的に同一の標準化壁体弾性率の値を有する材料は、気孔率を変えることによってその誘電率及び弾性率を調整できる同じ系統の材料に属する。従って改良された誘電材料、すなわちより高い標準化壁体弾性率を有する材料がいったん特定されると、気孔率を変えることによって目標誘電率を得ることができる。更に本発明の誘電材料は、比較的低い金属含有量を有し、当業界の他の材料と比較して製造しやすくなっている。
【0033】
本明細書で用いる用語「標準化壁体弾性率」は、SiO高密度酸化物材料の誘電率である4.2の誘電率を有する壁に関して標準化された材料の壁体弾性率である。いったん材料の誘電率(k)及び弾性率(E)が測定されると、標準化壁体弾性率(E′)を計算することができる。材料のE′は、多孔性材料に適用した混合誘電体に関するマクスウェルの関係式、誘電率(k)の実測値、壁体kSiO2値4.2、細孔軸に垂直に測定した弾性率を用いて3次元円筒状細孔に拡張した弾性率に関する非特許文献5のDayの2次元円形孔モデル、及びEの実測値を用いて計算される。標準化壁体弾性率の導出は、非特許文献5のDayモデルを拡張した円筒状細孔及びマクスウェルモデルにおける球状介在物に基づくが、他のタイプ及び形状の気孔、すなわち非円筒状気孔、連続気孔、独立気孔なども本発明の範囲に入るはずである。
【0034】
空隙率の値がまず、材料のkの測定値と、壁体kの値4.2、すなわち高密度アモルファスシリカの誘電率とを用いて、マクスウェルの式から計算される。材料の誘電率は、kSiO2が4.2であるので、好ましくは4.2未満である。式(1)で与えられるようにマクスウェルの式を並べ替え、実測k及び壁体kの関数として、気孔率又は空隙率について解いた。
【0035】
【数1】

上式で、
SiO2 =4.2
χ =空隙率の値
k =誘電率の実測値
【0036】
次いで、式(2)を用いて、弾性率に関する非特許文献5のDayの2次元円形孔モデルに基づいて、標準化壁体弾性率を計算することができる。この式は、臨界気孔率q未満の空隙率に対して正しい。ここでこの臨界気孔率qでは気孔が相互に接触し、臨界気孔率qを越えると弾性率がゼロになると予想される値である。壁体kが4.2の材料については、これからE>0の複合体に対して最小k値=1.23となる。
【0037】
非特許文献5のDay等の2次元円形孔モデルは、
【数2】

上式で、
q=空隙率
=0.9069=透過しきい値、すなわち円が部分的に重なり、弾性率がゼロになる空隙率
=1/3=初期勾配
m=1.5=臨界指数
α=−0.251=正しい臨界振幅を得るためのパラメータ
θ=−1.83=自由適合パラメータ
【0038】
弾性率に関する非特許文献5のDayの2次元円形孔モデルを、式(3)に与えられるように、細孔軸に垂直に測定した弾性率に関する3次元円筒状細孔に拡張する。標準化壁体弾性率は、式(1)から得られる計算空隙率の値、式(2)から得られる2次元円形孔の弾性率、Eの測定値、及びポアソン比(ν)0.25を用いて計算することができる。
【0039】
円筒に垂直な弾性率に関する3次元拡張は、
【数3】

上式で、
ν=ポアソン比=0.25
q=空隙率
=壁体弾性率
【0040】
qが、kの実測値及び式(1)から得られた空隙率の値χに等しいと定め、且つE3d⊥が、弾性率の実測値Eに等しいと定めた場合、Eは壁体弾性率E′になり、E′に関する下記の式(4)が得られる。
【0041】
【数4】

【0042】
′を用いて低誘電率の膜を特徴づけることの価値をより良く理解するために、2つの物理モデルを用いて気孔率の関数として記述することができるE対kの曲線図を検討することは有益である。図1は、壁体弾性率のさまざまな値について、異なる気孔率又は空隙率を有する材料の弾性率対kを提供する。この弾性率は、壁体弾性率E=72GPa、高密度シリカの弾性率、及びポアソン比(ν)0.25で、式(2)及び(3)を用いて異なる空隙率について計算した。誘電率は、高密度シリカkSiO2=4.2の壁体弾性率に等しい壁体弾性率を有する多孔性材料について、マクスウェルの式を用いて異なる空隙率に対して式(5)を用いて計算した。
【0043】
【数5】

上式で、
SiO2 =4.2
χ =空隙率
【0044】
図1は更に、壁体k=4.2、並びに15及び20に等しい壁体Eなどのいくつかの異なる壁体Eの値を用いて計算した理論曲線を提供する。72GPaに等しい壁体Eに対する理論曲線は、高密度シリカの壁体Eに近い。ゾル−ゲル化学により調製した材料は多くの場合、特に1000℃を超える温度まで加熱されない場合には高密度シリカの値を示さない。従って、およそ400℃の高密度化温度に制限される標準的な縮合技術を用いて達成可能な弾性率を提供するために、テトラエトキシシラン(「TEOS」)(E=24.9GPa)及びTEOS/メチルトリエトキシシラン(「MTES」(E=11.1GPa)から調製されるスピンオン膜の弾性率データを加えた。これらの値はまた、気孔をそれらの膜に導入した場合の壁体弾性率の妥当な値の指標を与える。
【0045】
図1にはまた、11.1GPaに等しい壁体E及び3.43に等しい壁体kに関する理論曲線が含まれる。界面活性剤を使用しないTEOS/MTES膜又は比較的高密度のTEOS/MTES膜で測定した誘電率は3.43である。この曲線は、壁体弾性率と同様に、気孔を取り込んだゾル−ゲル膜の壁体kが、気孔を取り込んだ高密度シリカの壁体kよりも低い可能性があることも示している。図1に図示するように、11.76GPaに等しい壁体E及び3.43に等しい壁体kの曲線の形状は、20GPaに等しい壁体E及び4.2に等しい壁体kの曲線の形状に似ている。これに基づけば、曲線を画定する固有の壁体弾性率及び誘電率には関係なく、4.2に等しい壁体kを有する壁体Eに対して、本質的に同じ曲線を与える値を見出すことができるように思われる。従ってkが4.2の理論上の壁体弾性率と同じ曲線を与える壁体Eと壁体kのすべての組合せを代表する標準化壁体弾性率を定めることができる。こうして材料の2つの測定される性質である誘電率及び弾性率を、単一の値にまとめる。次いでこの情報を用いて、単に材料の空隙率を調整することによって、有利な誘電率及び弾性率の特性を有する材料を個別に調製することができる。
【0046】
低誘電率材料は、誘電率が約3.7又はそれ未満、好ましくは約2.7又はそれ未満、より好ましくは1.95未満である。本発明の材料はまた、この材料の誘電率から部分的に導出される標準化壁体弾性率(E′)が約15GPa又はそれよりも大きく、好ましくは約20GPa又はそれよりも大きく、より好ましくは26GPa又はそれよりも大きい。更に本発明のいくつかの実施形態において材料は、アルカリ不純物レベルが約500ppm未満である。本発明の他の実施形態において材料は、誘電率が約2.0又はそれ未満で、標準化壁体弾性率が約5GPa〜約15GPaの範囲にあり、且つ金属不純物レベルが約500ppm未満であることができる。
【0047】
本発明の材料は、さまざまな異なる方法を用いて、前駆組成物又は混合物から膜に成形することができる。膜を形成するために使用できるプロセスのいくつかの例には、プラズマ促進化学気相堆積法(「PECVD」)、高密度PECVD、フォトン促進CVD、プラズマ−フォトン促進CVD(「PPECVD」)、液状ポリマー前駆体のCVD、又は移送重合法(「TP」)がある。米国特許第6,171,945号及び第6,054,206号は、本発明で用いることができるいくつかの典型的なCVD法を提供する。膜を形成するために用いることができる他のプロセスにはスピンオン堆積法がある。本発明のいくつかの実施形態においては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる係属中の米国特許出願の代理人整理番号2001−030−SMX3122、表題「Apparatus and Methods for Forming Films on Substrates」中に記載されているプロセスなどの非接触誘導展着力を用いて、混合物を適用できる。混合物を適用するために用いることができる関係のある他のプロセスには、振動による非接触誘導展着力、重力誘導展着力、湿潤誘導展着力、又はその組合せがある。
【0048】
本発明の材料は、好ましくはシリカを含む。本明細書で用いる用語「シリカ」は、ケイ素(Si)及び酸素(O)原子を有し、またことによると、これには限定されないがH、B、C、P、又はハロゲン原子などの他の元素、アルキル基、あるいはアリール基などの追加の置換基を有する材料である。いくつかの好ましい実施形態において材料は更に、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数が約20〜約80モル%の範囲、より好ましくは約40〜約60モル%の範囲のケイ素−炭素結合を含む。
【0049】
本発明の膜は混合物から形成される。この混合物は、膜母材、気孔源、及び使用する形成プロセス次第で変わるその他の添加剤を含む。好ましい実施形態において母材は、少なくとも1種類のシリカ源を含む。しかしながら母材は、これには限定されないがポリマー、ハイブリッド材料、ゼオライト、又はポリボラジレンなどの他の材料を含むことができる。膜形成方法に応じて混合物は、その混合物の液体、蒸気、又はエーロゾルとして基材に適用することができる。
【0050】
前述のように混合物は一般に、母材、好ましくはシリカを含有する母材、気孔源、及び水を含む。混合物には更に、これには限定されないが界面活性剤、溶剤、及び/又はイオン性添加剤など他の成分が含まれる。界面活性剤の重量プラスSiOの重量に対する界面活性剤の重量の重量比は、0.85〜0.1、より好ましくは0.75〜0.2である。SiOの重量は、シリカ源によって導入されるケイ素の総モル数から計算される。これはシリカ源が完全にSiOに転換されることを意味しない。溶剤とシリカの重量比は約30:1であり、溶剤には水が含まれてもよい。界面活性剤の重量に対する塩基の重量比は0.5〜0である。Siに対するR、すなわち有機成分のモル比は2〜0である。OR(ORは酸素原子を介してケイ素と架橋した有機基、例えばTEOS上のエトキシ官能基である)に対する水のモル比は40〜1である。
【0051】
混合物は、集積回路の調製効率を低下させる汚染物質を含有しないという理由で、エレクトロニクス産業の必要条件を満たす化学薬品を採用する。ハロゲンを含有する鉱酸、ハロゲンの対イオンを有するカチオン界面活性剤、及びアルカリ金属の対イオンを有するアニオン界面活性剤などの成分は、本発明の材料に望ましくない対イオンを与える恐れがあるので、好ましくは混合物で使用しない。好ましくは本発明の混合物の100万部当たりの汚染性金属の量は、500部(「ppm」)未満、好ましくは10億部当たり100部(「ppb」)未満、より好ましくは10ppb未満である。その結果好ましくは本発明の材料の100万部当たりの汚染性金属の量は、500部(「ppm」)未満、好ましくは10億部当たり100部(「ppb」)未満、より好ましくは10ppb未満である。好ましくは本発明の材料の汚染性ハロゲン化物の量は、1ppm未満、好ましくは750ppb未満、より好ましくは500ppb未満である。
【0052】
前述のように混合物は、好ましくは少なくとも1種類のシリカ源を含む。本明細書で用いる「シリカ源」は、ケイ素(Si)と酸素(O)を含有し、またことによると、これには限定されないがH、B、C、P、又はハロゲン原子などの他の元素、アルキル基、あるいはアリール基などの追加の置換基を有する化合物である。本明細書で用いる「アルキル」には、好ましくは炭素原子を1〜24個、又はより好ましくは炭素原子を1〜12個有する直鎖、分枝、又は環状アルキル基が含まれる。この用語はまた、ハロアルキル、アルカリール、又はアラルキルなどの他の基に結合したアルキル部分にも適用される。用語「アルキル」は更に、置換されたアルキル部分にも適用される。本明細書で用いる用語「アリール」は、芳香族の特性を有する6〜12員炭素環を意味する。用語「アリール」はまた、置換されたアリール部分にも適用される。少なくとも1種類のシリカ源には、多数のSi−O結合を有する材料が含まれるが、この材料は更にSi−O−Si架橋、Si−R−Si架橋、Si−C結合、SiF結合、Si−H結合を有することができ、あるいはまたその材料の一部はC−H結合を有することもできる。この少なくとも1種類のシリカ源は最低限のSi−OH結合を有することが好ましい。この少なくとも1種類のシリカ源には更に、生成後取り除かれなかった有機物など、プロセスに由来する残留元素が含まれる可能性がある。
【0053】
この少なくとも1種類のシリカ源の他の例には、米国特許第6,258,407号で提供されているものなどのフッ素化シラン又はフッ素化シロキサンがある。
【0054】
この少なくとも1種類のシリカ源の別の例には、脱離してSi−H結合を生成する化合物を含むことができる。
【0055】
この少なくとも1種類のシリカ源の更に別の例は、例えば参考資料のHay等の論文、「Synthesis of Organic−Inorganic Hybrids via the Non−hydrolytic Sol−Gel Process」, Chem. Mater., 13, 3396〜3403 (2001年)、又はHay等の論文、「A Versatile Route to Organically−Modified Silicas and Porous Silicas via the Non−Hydrolytic Sol−Gel Process」, J. Mater. Chem., 10, 1811〜1818 (2000年)に記述されている非加水分解化学による方法の中に見出される。
【0056】
この少なくとも1種類のシリカ源の更に別の例には、コロイドシリカ、フュームドシリカ、又はケイ酸出発原料を含むことができる。
【0057】
この少なくとも1種類のシリカ源の別の例には、水素シルセスキオキサン(HSQ、HSiO1.5)及びメチルシルセスキオキサン(MSQ、RSiO1.5、ただしRはメチル基)などのシルセスキオキサン類がある。好適なシリカ源の更なる例には、米国特許第6,271,273号、並びに欧州特許出願公開第1,088,868号、第1,123,753号、及び第1,127,929号に記載のものがある。好ましい実施形態においてシリカ源は、RSi(OR4−a(上式でRは水素原子、フッ素原子、又は一価の有機基を表し、Rは一価の有機基を表し、aは1又は2の整数である)、Si(OR(上式でRは一価の有機基を表す)、又はR(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c(上式でR〜Rは同じでも異なっていてもよく、それぞれ一価の有機基を表し、b及びcは同じでも異なっていてもよく、それぞれ0〜2の数であり、Rは酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−(ただしnは1〜6の整数である)で表される基を表し、dは0又は1である)で表される化合物、あるいはそれらの組合せであることができる。本明細書で用いる用語「一価の有機基」は、Si又はOなどの関心のある元素に、1つのみのC結合、すなわちSi−C又はO−C結合を介して結合した有機基である。
【0058】
好ましい実施形態においては、親水性及び疎水性シリカ源の組合せが、混合物中で用いられる。好ましい実施形態において、シリカ源の総量に対する疎水性シリカ源の割合は、約20〜80モル%、より好ましくは40〜60モル%である。本明細書で用いる用語「親水性」とは、4つのブリッジを介して架橋することができる化合物を意味する。親水性供給源のいくつかの例には、アルコキシ官能基を有するアルコキシシラン、すなわち4つのメトキシ、エトキシ、プロポキシ、アセトキシなどの基を有するSi原子、あるいはSi原子とアルコキシドであるSi原子上のすべての他の官能基との間の炭素又は酸素のブリッジを有する材料があり、少なくとも部分的に架橋することができる。そのSi原子が完全に架橋しない場合、残余のSi−OH基は水を吸着することができる末端基として存在することができる。用語、疎水性供給源は、加水分解ののちヒドロキシルを生成しない末端であるSi−C又はSi−F結合、すなわちSi−メチル、Si−エチル、Si−フェニル、Si−シクロヘキシルなどで、アルコキシ官能基の少なくとも1つが置換された化合物を意味する。これらの供給源ではケイ素は、末端基がそのまま残っているならば完全に架橋した場合でさえ、3個又はそれ未満のブリッジで架橋するはずである。特定の好ましい実施形態において疎水性シリカ源は、ケイ素と結合したメチル基を含有する。特定の処理条件下で、末端有機基はβ位水素化物脱離を受けて、Si−H結合を形成することができる。これはSi−OHに酸化され、その化合物内に残留Si−OH及び/又はSi−O−Siブリッジをもたらす。この場合これらシリカ源は、親水性シリカ源として作用することになる。
【0059】
この少なくとも1種類のシリカ源は、加水分解及び縮合の生成物として混合物に加えることができる。シリカ源の加水分解及び縮合は、溶剤に水と触媒を加え、またシリカ源を一度に、断続的に、又は連続的に加え、この混合物を一般には−30〜100℃、好ましくは20〜100℃の温度で0〜24時間攪拌しながら、加水分解及び縮合反応を行うことによって行う。この組成物は、調製の各工程において濃縮又は溶剤による希釈を行うことによって調整して、所望の固形含有率を得ることができる。ある特定の好ましい実施形態においてこの少なくとも1種類のシリカ源は、加水分解したときに酢酸を生成する1又は複数種の供給源である。
【0060】
シリカ源の加水分解及び縮合は、膜の形成の間のどの点で起こってもよく、すなわち混合物に加える前、混合物に加えた後、硬化に先立って、又はその間中などに起こってもよい。例えば本発明のある特定の実施形態においては、第一の容器中でこの少なくとも1種類のシリカ源を、溶剤、水、及び界面活性剤と混ぜ、第二の容器中でイオン性添加剤及び触媒を混ぜ、この第二の容器の内容物を第一の容器に少しずつ加え、混合する。混合物へのさまざまな異なる順序の添加を本発明の精神から逸脱することなく用いることができると考えられる。
【0061】
本発明に適した触媒には、水の存在下でシリカ源からの置換基の加水分解を触媒して、及び/又は2個のシリカ源の縮合を触媒してSi−O−Siブリッジを形成することができる任意の有機又は無機の酸あるいは塩基が含まれる。この触媒は、これには限定されないがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムなどの第四アンモニウム塩又は水酸化物;第一、第二、及び第三アミンなどのアミン;及びアミンオキシドなどの有機塩基であることができる。この触媒はまた、これには限定されないが硝酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、グリコール酸、グリオキサル酸、又はその混合物などの酸であることもできる。好ましい実施形態において触媒は硝酸を含む。
【0062】
本発明で用いるのに適した溶剤には、試薬類に対して溶解性を示す任意の溶剤が含まれる。溶剤はアルコール溶剤、ケトン溶剤、アミド溶剤、又はエステル溶剤であることができる。ある特定の実施形態では本発明で用いられる1又は複数種の溶剤は比較的低い沸点、すなわち160℃未満の沸点を有する。これらの溶剤には、これには限定されないがテトラヒドロフラン、アセトン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、酢酸エチル、及びメチルエチルケトンがある。本発明で用いることができるが160℃を超す沸点を有する他の溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、グリセロールとその誘導体、ナフタレンとその置換型、無水酢酸、プロピオン酸と無水プロピオン酸、ジメチルスルホン、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、フェノール、m−クレゾール、ジメチルスルホキシド、ジメチルエーテル、テルフェニルなどがある。好ましい溶剤には、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、3−ヘプタノール、2−メチル−1−ペンタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、エチレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(PGBE)、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−メチル−3−ペンタノール、酢酸2−メトキシエチル、2−ブトキシエタノール、アセト酢酸2−エトキシエチル、1−ペンタノール、及びプロピレングリコールメチルエーテルがある。典型的な溶剤には、乳酸エステル、ピルビン酸エステル、及びジオールがある。更に典型的な溶剤には、欧州特許公開第1,127,929号中に挙げられている溶剤がある。上記で列挙した溶剤は、単独又は2種類又はそれよりも多くの溶剤を組み合わせて用いることができる。好ましい実施形態において溶剤は比較的低い沸点、すなわち160℃未満の沸点を有する1又は複数種の溶剤を含むことができる。
【0063】
本発明の膜を形成するために用いられる混合物は更に、気孔源を含む。本明細書で用いる「気孔源」は、得られた膜内に空隙容量を生ずるために用いられる試薬である。本発明の誘電材料に用いられる好適な気孔源には、不安定な有機基、溶剤、分解性ポリマー、界面活性剤、デンドリマー(dendrimer)、多分枝型ポリマー、ポリオキシアルキレン化合物、又はその組合せがある。
【0064】
本発明のある特定の実施形態において気孔源は不安定な有機基を含むことができる。いくつかの不安定な有機基が反応混合物中に存在する場合、その不安定な有機基は硬化工程の間にガス状生成物に転換するのに十分な酸素を含有してもよい。本発明の更に別の実施形態においては、その不安定な有機基を過酸化物と共に含む混合物からCVDによって膜を堆積し、続いて熱的にアニーリングする。不安定な有機基を含有する化合物のいくつかの例には、米国特許第6,171,945号に記載の化合物があり、この記載はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態において気孔源は溶剤であることができる。本発明に適した溶剤は前述の溶剤のいずれかであってもよい。ちなみに溶剤は一般に母材の架橋の少なくとも一部の間には存在している。一般に空孔形成を助けるために用いられる溶剤は比較的高い沸点、すなわち200℃を超える沸点を有する。
【0066】
ある特定の実施形態において気孔源は、参考資料のZheng等の論文、「Synthesis of Mesoporous Silica Materials with Hydroxyacetic Acid Derivatives as Templates via a Sol−Gel Process」, J. Inorg. Organomet. Polymers, 10, 103〜113 (2000年)に記載のものなど小さな分子であってもよい。
【0067】
気孔源はまた分解性ポリマーであることもできる。分解性ポリマーは放射線分解性、又はより好ましくは熱分解性であることができる。本明細書で用いる用語「ポリマー」はまた、そうではないことを特に明記しない限り、用語オリゴマー及び/又はコポリマーを包含する。放射線分解性ポリマーは放射線、例えば紫外線、X線、電子線などにさらすと分解するポリマーである。熱分解性ポリマーは、シリカ源材料の縮合温度に近い温度で熱分解を受け、架橋の少なくとも一部の間には存在している。このようなポリマーは、ガラス化反応のテンプレート(鋳型)を与え、孔径を制御及び画定し、また処理中の適切な時間に解して母材から拡散するものである。このようなポリマーの例には、これには限定されないがブロックポリマー、すなわちジブロック、トリブロック、及び多ブロックコポリマー;星形ブロックコポリマー;ラジカルジブロックコポリマー;グラフトジブロックコポリマー;共グラフトコポリマー;樹枝状グラフトコポリマー;テーパー型ブロックコポリマー;及びこれら構造物の組合せなどの三次元構築物を提供する構造を有するポリマーが含まれる。崩壊性ポリマーの別の例は米国特許第6,204,202号中に見出され、この記載はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本発明の気孔源はまた界面活性剤を含むことができる。後に除去される界面活性剤の添加によって気孔が導入されるシリカのゾル−ゲルを用いた膜の場合、界面活性剤の量を変えることによって気孔率を変えることができる。典型的な界面活性剤は、同時に親水性と疎水性の両方であることができる両親媒性の性質を示す。両親媒性界面活性剤は、水と強い親和性を有する親水性の頭部の基と、親有機物的であり水をはじく長い疎水性の尾とを持つ。この界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性であることができる。界面活性剤の別の類型には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が含まれる。しかしながらIC用途の誘電体層の形成にとっては一般に、非イオン性界面活性剤が好ましい。本発明で用いられる界面活性剤は在来の常識の働き方をしない、すなわちミセルを形成するような又は表面活性物質として作用するような働き方はしない。この混合物に用いられる好適な界面活性剤には、これには限定されないがTRITON(登録商標)X−114、X−102、X−45、X−15などのエトキシル化オクチル及びノニルフェノール;BRIJ(登録商標)56 (C1633(OCHCH10OH) (ICI)、BRIJ(登録商標)58 (C1633(OCHCH20OH) (ICI)などのエトキシル化アルコール;及びSURFYNOLS(登録商標)465及び485 (Air Products and Chemicals, Inc.)などのアセチレン性ジオールがある。別の界面活性剤には、トリブロックEO−PO−EOコポリマーPLURONIC(登録商標)L121、L123、L31、L81、L101、及びP123 (BASF, Inc.)などの高分子化合物がある。更に別の典型的な界面活性剤には、エトキシル化アルコール(第一及び第二)、エトキシル化アミン、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、又は参考資料のManufacturers Confectioners Publishing Co.(Glen Rock, N.J.)刊行、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents, North American Edition for the Year 2000中で与えられる他の界面活性剤がある。
【0069】
選択される界面活性剤のエチレンオキシド(「EO」)は90重量%又はそれ未満、好ましくは60重量%又はそれ未満、またより好ましくは10重量%又はそれ未満である。EOの重量%が低いほどE′値の高い材料及び膜を生成することができると考えられる。
【0070】
混合物中の界面活性剤の金属含有量は20ppm未満であることが好ましい。市販の精製されていない界面活性剤を用いることもできるが、最終の膜は許容できるレベルをはるかに上回る不純物レベルを有する恐れがあり、従って界面活性剤は精製されるべきである。界面活性剤の精製は、アルカリイオンを保持し、水素イオンをその場所で放出することができるイオン交換カラムを採用するなどの通常の手順を用いて行うことができる。精製されていない界面活性剤は普通、100万部当たり約100〜1000部の範囲のアルカリイオン濃度を持っている可能性がある。界面活性剤精製の目標は、アルカリイオン不純物レベルを10億部当たり50部未満まで低減させることである。膜材料中のアルカリイオン不純物の許容できる濃度は、各アルカリ元素について10億部当たり10部未満である。
【0071】
気孔源は多分枝型又は樹枝状ポリマーであってもよい。多分枝型又は樹枝状ポリマーは一般に、低い溶液粘度及び溶融体粘度を有し、表面官能性のために高い化学反応性を有し、また高分子量でさえ高い溶解度を有する。好適な分解性多分枝型ポリマー及びデンドリマーは、「Comprehensive Polymer Science」, 2nd Supplement, Aggarwal, pp71〜132 (1996年)の中で与えられ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
膜形成用混合物中の気孔源はまた、ポリオキシアルキレン非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンコポリマー、ポリオキシアルキレンオリゴマー、又はその組合せなどのポリオキシアルキレン化合物であることもできる。このような例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びそのコポリマーなどのC〜Cの範囲のアルキル部分を含むポリアルキレンオキシドである。
【0073】
前述の成分に加えて膜形成用混合物はまた、イオン性添加剤を含むこともできる。イオン性添加剤は、金属不純物含有量が約500ppm又はそれ未満の場合に混合物に加えられる。一般にイオン性添加剤は、一般組成が[NR(CHのカチオン性添加剤の群から選択される化合物である。上式でRはテトラメチルアンモニウム及びセチルトリメチルアンモニウムなどの鎖長1〜24の疎水性リガンドであり、Aは本質的にギ酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、及び水酸化物、及びその組合せからなる群から選択することができるアニオンである。気孔源の精製中に除去されたアルカリイオン不純物(ナトリウム及びカリウム)に代わるイオン含有量を増加させるために、テトラメチルアンモニウム塩又はより広くはテトラアルキルアンモニウム塩、あるいは酸性媒体に溶かしたテトラオルガノアンモニウム塩又は有機アミンを、界面活性剤をテンプレートとする多孔性酸化物の前駆配合物に加える。
【0074】
別法ではイオン性添加剤は、酸性前駆体混合物中でイオン性アンモニウム型の塩を形成するアミン添加剤であることができる。好適なアミン添加剤は、トリエチレンジアミン(TEDA)、ジエタノールアミン(DELA)、トリエタノールアミン(TELA)、アミノプロピルジエタノールアミン(APDEA)、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、キヌクリジン(QUIN)、3−キヌクリジノール、トリメチルアミン(TMA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(TMPDA)、トリメチルアミンオキシド(TMAO)、PC−9すなわちN,N,N−トリス(N′,N′−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、PC−77すなわち3,3′−ビス(ジメチルアミノ)−N−メチルジプロピルアミン、CBすなわち水酸化コリン、DMAPすなわち4−ジメチルアミノピリジン、DPAすなわちジフェニルアミン、又はTEPAすなわちテトラエチレンペンタミンからなる群から選択される。
【0075】
膜をスピンオン法によって形成する実施形態において混合物は、とりわけ少なくとも1種類のシリカ源、気孔源、触媒、及び水を含む。ある特定の好ましい実施形態において混合物は更に、溶剤、イオン性添加剤、及び界面活性剤を含む。簡単に言えば基材上に混合物を適用し、溶剤と水を蒸発させることにより膜を形成することができる。界面活性剤及び残っている溶剤と水は一般に、被覆した基材を、低誘電率膜を生成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして、硬化させることによって除去される。
【0076】
この混合物を基材上に堆積してコーティングされた基材を形成することができる。本明細書で用いる用語、基材は、本発明の誘電膜がその上にコーティングされる以前、及び/又は形成される以前に形成される任意の適切な組成物である。本発明に関連して用いることができる好適な基材には、これには限定されないがガリウムヒ素(「GaAs」)、シリコン、並びに結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(「SiO」)、及びその混合物などのケイ素を含有する組成物がある。この混合物は、これには限定されないがディッピング、圧延、はけ塗り、スプレー、又はスピンコーティングなどのさまざまな方法によって基材上に適用することができる。次いでコーティングされた基材を予熱して実質上シリカ源の加水分解を完成させ、架橋プロセスを継続し、残留溶剤が存在する場合はそのいずれも膜から追い出すことができる。CVDによる方法などの他の実施形態においては混合物を気化すること、及び/又は基材をコーティングする粒子を形成することもできる。
【0077】
次いで被覆した基材を更に加熱又は硬化させて誘電膜を形成する。具体的な温度及び時間は、混合物中の成分、基材、及び所望の気孔体積に応じて変わるはずである。ある特定の実施形態において硬化工程は、制御されたランプ又はソークではなくて2つ又はそれよりも多くの温度で行う。一般には300℃未満の第一温度は、混合物から水及び/又は溶剤を除去し、架橋反応を進めるためのものである。第二温度は、気孔源を除去し、必ずしも完全ではないが実質上材料を架橋するためのものである。本発明のある特定の実施形態では、被覆した基材を約250〜約450℃、又はより好ましくは約400℃又はそれ未満の範囲の1又は複数の温度に加熱する。加熱又は硬化工程は、約30分又はそれ未満、好ましくは約15分又はそれ未満、またより好ましくは約6分又はそれ未満の時間にわたって行う。
【0078】
硬化工程は、ホットプレート、オーブン、炉などの熱的方法によって行うことができる。熱的方法の場合、被覆した基材の硬化は、窒素、不活性ガス、空気、又は他のN/O混合気体(Oが0〜21%)を用いた大気圧;真空;あるいは制御された酸素濃度を有する減圧下などの制御された条件下で行うことができる。別法では硬化工程は、電子線、オゾン、プラズマ、X線、紫外線照射、又は他の手段によって行うことができる。好ましい実施形態において硬化工程は、空気、窒素、又は不活性ガス雰囲気中、真空下、又は酸素濃度10%又はそれ未満の減圧下で熱的方法によって行う。
【0079】
本発明の材料は更に、硬化後用の電子ビーム、UV、X線、又は他の処理など硬化後工程にかけることができる。これらの処理は、例えば材料の力学的完全性を増し、又は吸収された水の量を減らすことによって誘電率を下げることができる。
【0080】
誘電材料の標準化壁体弾性率を求めることによって本発明の膜の誘電率と弾性率を調和させることができ、また特定の用途のための所望の誘電率を達成することができる。これは、膜中の空隙率を変えることによって達成することができる。空隙率は、界面活性剤又は溶剤など、混合物中の気孔源の量を変えることによって変えることができる。
【0081】
本発明の膜はxy多孔性である。本明細書で用いる用語「xy多孔性」は、約10Å〜約500Å、好ましくは約10Å〜約100Å、また最も好ましくは約10Å〜約50Åの範囲の孔径を表す。膜は狭い粒度範囲の気孔を有し、その気孔は膜全体にわたって均一に分布することが好ましい。本発明の膜の気孔率は、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約40%〜約85%である。この膜の気孔は独立気孔でもよく、又は連続気孔でもよい。
【0082】
本発明のある特定の実施形態において膜の回折パターンは、10Åを超えるd間隔で回折ピークを示さない。膜の回折パターンは、これには限定されないが中性子、X線、小角、斜入射、及び反射率分析技術などのさまざまな方法で得ることができる。例えば通常のX線回折データは、CuKα放射を用いたSiemens D5000θ−θ回折計などの従来の回折計を用いて、試料膜上で収集することができる。試料膜はまた、例えば回転陽極X線管からのCu放射によるRigaku ATX−G高分解能回折システムを用いてX線反射率(XRR)データによって分析することができる。試料膜はまた、例えばNIST中性子研究センター(NIST Center for Neutron Research)において30m NG7計器などのシステムを用いた小角中性子散乱(SANS)によって分析することもできる。
【0083】
本発明の誘電材料は膜に成形した場合、その材料をひび割れしにくくし、また化学的/機械的に平坦化しやすくする力学的特性を有する。更に本発明の誘電膜は低収縮性を示す。本発明の誘電膜は、一般に厚さが0.05〜約2μmである。本発明の誘電膜は、弾性率が約0.5〜約10GPa、一般には2〜6GPaの範囲、硬さの値が約0.2〜約2.0GPa、一般には約0.4〜約1.2GPaの範囲、また633nmで求めた屈折率が1.1〜1.5を示す。
【0084】
本発明の膜は、すぐれた絶縁特性及び比較的高い弾性率を提供する。この膜はまた、有利な均等性、誘電率安定性、耐ひび割れ性、及び表面硬さを提供する。本発明の膜の好適な用途には、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、及びD−RDRAMなどの半導体デバイス用の層間絶縁膜;半導体デバイス用の表面皮膜などの保護膜;多層配線基材用の層間絶縁膜;及び液晶ディスプレイ装置用の保護又は絶縁膜がある。更なる用途には保護層、ハードマスク、又はエッチングストップがある。
【0085】
本発明を下記の実施例に関してより詳細に例示することにするが、本発明がこれに限定されるものとは考えないことを理解すべきである。
【0086】
下記の実施例では特に指示がない限り特性は、低抵抗(0.01Ωcm)単結晶シリコンウェーハ基材上にスピンコーティングし、400℃までか焼した試料膜から得た。それぞれの膜の厚さ、屈折率、及び気孔率の値は、Sentech Instruments GmbHにより製造された可変角分光エリプソメーターModel SE800を用いて分光楕円偏光法により求め、SpectraRayのソフトウェアにより計算した。屈折率、膜厚、及び空気の割合の値は、平均二乗誤差が約1又はそれ未満の波長範囲400〜800nmでBruggemannなどのさまざまなモデルを用いて測定をシミュレーションすることによって得た。厚さの値の場合、シミュレーションによる厚さとプロフィロメーター法によって測定した実際の膜厚の値との間の誤差は、通常2%未満であった。
【0087】
各試料膜の誘電率は、ASTM Standard D 150−98に従って求めた。膜それぞれの静電容量−電圧は、Solartron Model SI 1260 周波数分析器及びMSI Electronics Model Hg 401単接点水銀プローブにより1MHzで得た。静電容量実測値及び水銀電極面積(A)の誤差は1%未満であった。基材(ウェーハ)の静電容量(CSi)、バックグラウンド静電容量(C)、及び全静電容量(C)を、+20Vと−20Vの間で測定し、また薄膜試料の静電容量(C)を式(6)により計算した。
【0088】
=CSi(C−C)/[CSi−(C−C)] 式(6)
【0089】
膜それぞれの誘電率は式(7)により計算した。
【0090】
【数6】

【0091】
上式でdは膜厚であり、Aは水銀電極面積であり、またεは真空中の誘電率である。膜の誘電率の全誤差は6%未満と予想された。
【0092】
膜それぞれの弾性率は、ウェーハの中央部から切り取り、Valley Cottage, N.Y.のArmco Products Inc.によって製造された低溶融温度接着剤CRYSTALBOND(登録商標)を用いてアルミニウムのスタブ上に取り付けた1cmの試料で測定した。押込み試験を、参考資料のOliver等の論文、「An improved technique for Determining Hardness and Elastic Modulus Using Load and Displacement Sensing Indentation Experiments」, J. Material Research, 1992, 7 (6), pp1564〜1583に記述されている連続スチフネス(「CSM」)測定法を用いて、ACCUTIP(登録商標)Berkovichダイアモンドチップを備えたMTS Systems Corporation製のNANOINDENTER(登録商標)動的接触モジュール(「DCM」)で行った。上記資料はその全体が参考により本明細書に組み込まれる。小さな振動を最初の負荷シグナルに重ね合わせ、合成された系の応答を特定周波数向け増幅器によって分析した。励起周波数を試験の間ずっと75Hzで一定に保ち(DCM)、得られた変位振幅が1nmで一定であるように励起振幅を制御した(DCM)。
【0093】
各押込み実験は、接触スチフネスSの連続測定ができるようにした。Sの動的実測値と、ヤング率及び硬さに関する既成の式(ポアソン比は、シリカについては0.18、低k 膜については0.25)を用いて、すべての個々の押込み実験について、表面針入度の連続関数としてヤング率及び硬さを得た。各試料上で5〜10個の凹みを配列させ、約20〜25μmの間隔で連続した凹みを分離した。各押込み実験から得られた結果を調べ、「アウトライアー」がもしあれば除外した。ヤング率及び硬さ対各試料の押込み実験の針入度の結果を、約5nmの離散的変位ウィンドウを用いて平均した。次いでこのウィンドウ中のデータを用いて、各試料の平均、標準偏差、及び信頼区間を計算した。同じ統計データを同様に残りの離散的ウィンドウについて計算した。硬さの結果を求め、同様の方法で平均した。ヤング率及び硬さは、硬さの曲線の最低点(約30〜50nm)に硬さの実測値として記録し、またヤング率の曲線図表の最低点(約30〜50nm)にヤング率の実測値として記録した。膜のヤング率及び硬さの誤差は10%未満と予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
(実施例)
下記の表(表1)は実施例中で、また本願全体を通じて用いられる頭字語の一覧表を提供する。
【0095】
表1:化学的略語
〔略語〕 〔一般名〕
(シリカ源)
TAS テトラアセトキシシラン
TEOS テトラエトキシシラン
TMOS テトラメトキシシラン
TBOS テトラ−n−ブトキシシラン
MTES メチルトリエトキシシラン
DMDES ジメチルジエトキシシラン
PTES フェニルトリエトキシシラン
FTES フルオロトリエトキシシラン
HDTMS ヘキサデシルトリメトキシシラン
MTAS メチルトリアセトキシシラン
HMDS ヘキサメチルジシラザン
TEDMDS テトラエトキシジメチルジシロキサン
TMDEDS テトラメチルジエトキシジシロキサン
ポリ−TEOS ポリジエトキシシロキサン
TMCTS テトラメチルシクロテトラシラン
オクタTMA−POSS シルセスキオキサン正六面体w/8 TMA+
TSE−POSS トリシラノールエチル−POSS
(溶剤)
PGMEA プロピレングリコールメチルエーテルアセタート
PGPE プロピレングリコールプロピルエーテル
(塩基)
TMAH 水酸化テトラメチルアンモニウム
(界面活性剤)
X114 Triton X114(エトキシル化オクチフェノール)
Surf 485 Surfynol 485(エトキシル化アセチレンジオール)
L121 Pluronic L121(EO−PO−EOトリブロックコポリマー)
L101 Pluronic L10(EO−PO−EOトリブロックコポリマー)
L81 Pluronic L81(EO−PO−EOトリブロックコポリマー)
L31 Pluronic L31(EO−PO−EOトリブロックコポリマー)
【0096】
配列要素を調製するための一般プロセス:
1種類の親水性シリカ源及び1又は複数種の疎水性シリカ源を含有する混合物を調製した。このケイ酸塩に、溶剤:界面活性剤及びその他の溶剤を、体積比4 :1の量で加えた。有機成分を相互に加えた後、混合物に触媒及び水を、水、酸性触媒、及びイオン性添加剤の順序で加えた。水を加えた後、混合物を室温で5〜10分間エージングし、その後酸性触媒及びイオン性添加剤を加え、エージングの工程を繰り返した。すべての試薬を加えた後、混合物を約5分間未満攪拌し、混合物中の試薬に応じて室温において1〜24時間の範囲でエージングした。
【0097】
直径約125mmのシリコンウェーハを、係属中の米国特許出願の代理人整理番号2001−030−SMX3122、表題「Apparatus and Methods for Forming Films on Substrates」の図3中に記載されている軌道運動装置のホルダー中に置いた。この軌道運動装置を作動させ、ウェーハを長軸約4.5mm、短軸約2.25mmの軌道に沿って速度約2200rpmで動かした。
【0098】
ウェーハをその軌道に沿って動かしながら、堆積装置を操作してウェーハ上に液状試料を次々に、隣接する試料間の中心から中心までの間隔が約17.5mmのほぼ方形パターン(例えば各5試料の5行の行列)で連続して適用した。液体試料それぞれの体積は約2〜5μlの範囲であった。ウェーハ上への液状試料の適用は約12分間にわたって行われ、基材がその軌道上を合計約15分間(例えば、最後の液状試料が基材上に堆積される時間より約3分間長い)動いた後、基材の軌道運動を停止した。ウェーハの軌道運動は液状試料に非接触展着力を与えてウェーハの表面上への液状試料の展着を容易にし、その上に膜を形成させる。この膜の配列をホットプレート上で空気又は窒素雰囲気中において90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間加熱することによって、光学的に透明な薄膜を形成する。次いでこのプロセスにより生成した膜の特徴を直接調べて、屈折率、誘電率、弾性率、硬さ、及び標準化壁体弾性率を求めることができる。
【0099】
実施例1〜14:スピンコーティングした膜に対する比較例としての選択された配列要素
試料膜は、配列要素を調製するための一般プロセスと同様の方法で調製した。個々の微量滴定ウェル中に計量供給された各試薬の体積を表IIに示す。溶液を配量し、攪拌し、一般手順の場合と同様にか焼して、配列要素を膜にした。それぞれの膜の特性を表IIIに示す。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
実施例15:スピンコーティング
TEOS 317.9μl及びMTAS 326.3μlを含有する混合物を調製した。PGPE:Triton X−45の体積比4:1の量635.7μlとPGMEA 2027.3μlとをこの混合物に加えた。次にその他の試薬を、水390μl、0.025MのHNO119.6μl、水に溶かした1.2重量%TMAH22.8μlをこの順で混合物に加えた。水を加えた後、混合物を室温で5分間エージングした。続いてHNO及びTMAHを加えた後に、またそれぞれ5分間のエージングの工程を行った。すべての試薬が加えられたら、溶液全体を室温で5分間エージングし、2〜3分間攪拌して溶液を完全に混ぜ合わせた。次いで得られた澄んだ溶液を、スピンコーティングに先立って室温で1〜24時間エージングした。
【0103】
このゾルを500rpmで回転する低抵抗率P型<100>Siウェーハ上に7秒間適用し、次いで35〜40秒間1800rpmに加速した。スピンコーティングプロセスの間に形成された膜を、次いでホットプレート上で空気又は窒素雰囲気中において90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間か焼して、気孔源を除去した。それぞれの膜の性質は、表Vで与えている。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
実施例16〜27:
試料膜を、混合物中のシラン供給源、界面活性剤、溶剤、及び触媒の種類及び/又は量を変えたことを除いて実施例15と同様の方法で調製した。これらの変形例を表IVに示す。それぞれの膜の特性を表Vに示す。
【0107】
表Vに例示されるようにいくつかの条件下においては約4を超えるpHで、又は加水分解及び縮合の間に酢酸を生成するSi供給源を用いて、高E′を有する材料を得た。
【0108】
軌道運動装置など別の蒸発技術を用いた配列様式で生成した比較的高い標準化壁体弾性率を有する組成物が、従来のスピンコーティング技術を用いて再現できることが、表IIIとVの比較により示される。
【0109】
実施例28−131:さまざまな配列要素
試料膜を、混合物中のシラン供給源、界面活性剤、溶剤、及び触媒の種類及び/又は量を変えたことを除いて実施例1と同様の方法で調製した。これらの変形例を表VIに示す。得られた膜はすべて透明であった。それぞれの膜の特性を表VIIに示す。
【0110】
表VIIに例示するように配列の実施例28〜34は、2.4〜2.7の範囲の誘電率及び15〜17GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例35〜47は、2.1〜2.4の範囲の誘電率及び15〜17GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例48〜56は、1.9〜2.1の範囲の誘電率及び15〜17GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例57〜67は、1.7〜約1.9の範囲の誘電率及び15〜約17GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例68及び69は、約1.7未満の誘電率及び15〜17GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。
【0111】
実施例70及び71は、2.4〜2.7の範囲の誘電率及び17〜20GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例72〜78は、2.1〜2.4の範囲の誘電率及び17〜20GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例79〜85は、1.9〜2.1の範囲の誘電率及び17〜20GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例86〜90は、1.7〜1.9の範囲の誘電率及び17〜20GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。実施例91〜93は、約1.7未満の誘電率及び17〜20GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。
【0112】
実施例94〜97は、2.1〜2.4の範囲の誘電率及び20GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。実施例98〜103は、1.9〜2.1の範囲の誘電率及び20GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。実施例104〜107は、1.7〜1.9の範囲の誘電率及び20GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。実施例108〜111は、約1.7未満の誘電率及び20GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。実施例112〜115は、1.8〜1.95の範囲の誘電率及び26GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。実施例116〜121は、約1.8未満の誘電率及び20GPaを超える標準化壁体弾性率を有する。
【0113】
実施例122〜131は、約2.0未満の誘電率及び10〜15GPaの範囲の標準化壁体弾性率を有する。
【0114】
【表5】

【0115】
【表6】

【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
【表9】

【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【0122】
【表13】

1=ホルムアミドのモル分率0.063
2=ホルムアミドのモル分率0.0016
3=ギ酸のモル分率0.0026
4=ギ酸のモル分率0.0064
5=ホルムアミドのモル分率0.00015
【0123】
【表14】

【0124】
【表15】

【0125】
【表16】

【0126】
界面活性剤のさまざまな量及び親水性Si供給源対疎水性Si供給源のさまざまな比に関する標準化壁体弾性率の比較:
4つの異なる界面活性剤量及び3つの異なるSi供給源比を有する試料膜を実施例1と同様の方法で調製し、本明細書に記載の手順を用いて膜それぞれについて標準化壁体弾性率を計算した。それぞれの膜は、界面活性剤としてTRITON(登録商標)X−114、シリカ源としてTEOS及びMTES、溶剤としてPGPE、イオン性添加剤としてTMAHを含む混合物から形成した。下記の比、APPROX_PH [−log〔(酸のモル数−塩基のモル数)/(水(kg)+溶剤(kg))〕]=1.89、TMAH/Si=0.0011、HO/Si=5.87、PGPE/Si=4.52を一定に保った。表VIIIはこのさまざまな膜について値を提供する。
【0127】
【表17】

【0128】
次いでE′の平均及び4.2の壁体kを使用し、本明細書に記載した計算式(すなわちkについてはマクスウェルの式、弾性率については、細孔軸に垂直に測定した弾性率により3次元円筒状細孔に拡張した非特許文献5のDay等の2次元円形孔モデル)を用いて、空隙率を変えることによって弾性率対kの曲線を構築した。図2は、4.2の壁体k及び12.9GPaの壁体弾性率についての、弾性率対kの理論曲線と、4つの異なる界面活性剤量及び3つの異なるSi供給源比についてのデータとを比較する。
【0129】
図2に例示するように、実験点は理論曲線にきわめてぴったり従う。気孔率を変えて、より有利な誘電率及び弾性率を有する材料を選択することができる。これは空隙率を変えることによると考えられる。すなわち空隙率の増加は、弾性率及び誘電率を低下させる。この実施例は、界面活性剤量を変えることによって曲線を上下に動かして、特定の用途のための誘電率を有する材料を調製できることを示している。
【0130】
さまざまな溶剤量に関する標準化壁体弾性率の比較:
いろいろな溶剤量を用いて調製した材料について、標準化壁体弾性率を計算した。弾性率及び誘電率のデータは、Ramos等の「Mechanical and Electrical Properties of NANOGLASS(登録商標)Nanoporous Silica as a Function of Porosity」, June 2001の記事中に提供された情報から得た。これらのデータ点は、k=1.95、弾性率=4.3GPa;k=2.05、弾性率=5.5GPa;k=2.24、弾性率=6.1GPa;k=2.38、弾性率=9.1GPaである。標準化壁体弾性率は、本明細書に記載した方法を用いて計算した。図3は、4.2の壁体k及び41GPaの壁体弾性率についての弾性率対kの理論曲線と、文献からのデータ点の間の比較を提供する。
【0131】
この実施例は、溶剤量を変えることによって曲線を上下に動かして特定の用途のための誘電率を有する材料を調製することができることを実証する。
【0132】
比較例:
誘電率及びヤング率の値が知られているスピンオン多孔性シリカを用いた薄膜に関する従来の技術の調査を行い、標準化壁体弾性率を計算した。この調査の結果を表IXに提供する。表IXはまた、参考資料中に提供されている場合はそれぞれの膜の活性化時間、活性化温度、及び金属不純物レベルを提供する。図4は、配列の実施例28〜131を用いた本発明の誘電膜と、15、20、及び72GPaのE′に基づく理論曲線と、表IX中で提供された値を用いた従来の技術の誘電膜との間の比較を提供する。
【0133】
表IX及び図4が例示するように、従来の技術のいずれの膜も約1.95未満のk及び約26GPaを超えるE′を持たない。約2.5未満だが2を超える誘電率を持つ膜の場合、E′は比較例2の膜については平均約15GPaであり、また比較例1の膜については9GPa未満である。比較例7の膜は誘電率が約2を超え、E′が33.6GPaもある。比較例6の膜は誘電率が約1.95を超え、E′が41.9GPaもある。比較例5の膜は誘電率が約2を超え、E′が29GPaもある。比較例3の膜についてE′を計算する試みは、弾性率はヒドロキシル含有量を減らすことを意図する後処理の前に膜上で測定したが、誘電率は後処理の後に膜上で測定したため、結論に達しなかった。比較例2の膜の金属含有量のみが約500ppm未満であるため報告された。
【0134】
1.95未満の誘電率を有する膜については、比較例6の膜のE′は4.2GPaであり、比較例8の膜のE′は25.8GPaもあり、また比較例3の膜についてE′を計算する試みは、上記で考察したように結論に達しなかった。これらの膜のいずれもが、金属含有量約500ppm未満ではないことが報告された。従って試薬が精製されている場合、本明細書中に報告された従来技術の材料の誘電及び力学的特性が保持されるということは期待することができない。更にこれらの膜のいずれもまた、450℃未満の硬化温度及び30分未満の硬化時間を有していない。
【0135】
【表18】

【0136】
【表19】

【0137】
【表20】

【0138】
【表21】

【0139】
【表22】

【0140】
(1)米国特許第5,905,117号参照
(2)欧州特許出願公開第1,123,753号参照
(3)国際公開第00/39028号、米国特許第6,329,017号参照
(4)Brinker等の論文、Evaporation−Induced Self Assembly of Hybrid Bridged Silsesquioxane Film and Particulate Mesophases with Integral Organic Functionality, J. Am. Chem., Soc. 200, 122, pp5258〜5261参照
(5)Golden等の論文、「Designing Porous Low K Dielectrics」, Semiconductor International(2001年5月)参照
(6)Jin等の論文、「Characterization and Integration of Porous Extra Low−k (XLK) Dielectrics」, International Interconnect Technology Conference(2001年6月)参照
(7)Ramos等の記述、「Mechanical and Electrical Properties of NANOGLASSTM Nanoporous Silica as a Function of Porosity」(2001年6月)参照
(8)Thomas, M.E. 等の著、「Spin−on Stacked Films for Low−keff Dielectrics」, Solid State Technology(2001年7月)参照
(9)Thanawala等の論文、「Reduction in the Effective Dielectric Constant of Integrated Interconnect Structures through an All Spin−on Strategy」, Honeywell Technical Reports参照
(10)欧州特許出願公開第1,088,868号参照
(11)欧州特許出願公開第1,090,967号参照
(12)欧州特許出願公開第1,127,929号参照
(13)Yang等の論文、「Nanoporous Ultralow Dielectric Constant Organosilicates Templated by Triblock Copolymers」, Chem. Mater. 2002, 14, pp369〜374参照
(14)Cook等の論文、「Stress−Corrosion Cracking of Low Dielectric Constant Spin−On Glass Thin Films」, J. Electrochem. Soc. 1999, 146 (12), pp4439〜4448参照
(15)Ro等の論文、「Synthesis and Characterization of Polysilsesquioxane Copolymers for Low Dielectric Applications」, Polymer Preprints 2001, 42 (2), p889
(16)Wang等の著、「Advanced Processing: CMP of Cu/low−k and Cu/ultralow−k Layers」, Solid State Technology(2001年9月)
(17)Berry他の米国特許出願公開第US2001/0038919A1号(11/8/01)、「Plasma Curing Process for Porous Silica thin Film」、及びLaPedus, M等の著、「Startup Claims Radical approach to Low−k Insulators in Copper Chips」, Silicon Strategies(2002年4月5日)
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】壁体弾性率及び壁体kのさまざまな値について、E対kを比較したグラフである。
【図2】壁体k4.2、壁体弾性率12.9GPaの弾性率対kの理論曲線を、材料に及ぼす界面活性剤量の変更の影響を例示した表VIIIのデータ点と比較したグラフである。
【図3】壁体k4.2、壁体弾性率41GPaの弾性率対kの理論曲線を、材料に及ぼす溶剤量の変更の影響を例示した文献のデータ点と比較したグラフである。
【図4】表VIIの本発明の誘電膜と、表IX中に提供された値を用いた従来の技術の誘電膜の比較、並びに15、20、及び72GPaのE′に基づく理論曲線を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3.7又はそれ未満の誘電率、
前記材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有する、低誘電率材料。
【請求項2】
前記誘電率が約2.7又はそれ未満である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記誘電率が約2.4又はそれ未満である、請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記誘電率が約2.1又はそれ未満である、請求項3に記載の材料。
【請求項5】
前記誘電率が約1.9又はそれ未満である、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
前記誘電率が約1.7又はそれ未満である、請求項5に記載の材料。
【請求項7】
前記標準化壁体弾性率が約17GPa又はそれよりも大きい、請求項1に記載の材料。
【請求項8】
前記標準化壁体弾性率が約20GPa又はそれよりも大きい、請求項7に記載の材料。
【請求項9】
前記材料が少なくとも1種類のシリカを含む、請求項1に記載の材料。
【請求項10】
前記材料の回折パターンが、10Åを超えるd−間隔での回折ピークを示さない、請求項9に記載の材料。
【請求項11】
前記材料が複数のSi−C結合を含む、請求項9に記載の材料。
【請求項12】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約20〜約80モル%である、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約40〜約60モル%である、請求項12に記載の材料。
【請求項14】
前記材料が多孔性である、請求項1に記載の材料。
【請求項15】
前記材料がメソ多孔性である、請求項14に記載の材料。
【請求項16】
前記材料が約10〜約90%の気孔率を有する、請求項14に記載の材料。
【請求項17】
前記材料が約40〜約85%の気孔率を有する、請求項14に記載の材料。
【請求項18】
前記金属不純物レベルが約100ppb又はそれ未満である、請求項1に記載の材料。
【請求項19】
前記金属不純物レベルが約10ppb又はそれ未満である、請求項18に記載の材料。
【請求項20】
請求項1に記載の材料を含む低誘電率膜。
【請求項21】
厚さが約0.05〜約2.0μmである、請求項20に記載の膜。
【請求項22】
約1.95未満の誘電率、及び前記材料の誘電率から部分的に導出される約26GPaを超える標準化壁体弾性率(E′)を有する、低誘電率材料。
【請求項23】
前記誘電率が約1.9又はそれ未満である、請求項22に記載の材料。
【請求項24】
前記誘電率が約1.7又はそれ未満である、請求項23に記載の材料。
【請求項25】
前記材料が多孔性である、請求項22に記載の材料。
【請求項26】
前記材料がメソ多孔性である、請求項25に記載の材料。
【請求項27】
前記材料が約40〜約85%の気孔率を有する、請求項25に記載の材料。
【請求項28】
前記材料が少なくとも1種類のシリカを含む、請求項22に記載の材料。
【請求項29】
前記材料の回折パターンが、10Åを超えるd−間隔での回折ピークを示さない、請求項28に記載の材料。
【請求項30】
前記材料の回折パターンが回折ピークを示す、請求項28に記載の材料。
【請求項31】
前記材料が複数のSi−C結合を含む、請求項28に記載の材料。
【請求項32】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約20〜約80モル%である、請求項31に記載の材料。
【請求項33】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約40〜約60モル%である、請求項32に記載の材料。
【請求項34】
前記材料の金属不純物レベルが約500ppm又はそれ未満である、請求項22に記載の材料。
【請求項35】
前記金属不純物レベルが約100ppb又はそれ未満である、請求項34に記載の材料。
【請求項36】
前記金属不純物レベルが約10ppb又はそれ未満である、請求項35に記載の材料。
【請求項37】
請求項22に記載の材料を含む低誘電率膜。
【請求項38】
厚さが約0.05〜約2.0μmである、請求項37に記載の膜。
【請求項39】
約2.0又はそれ未満の誘電率、
前記材料の誘電率から部分的に導出される約5GPa〜約15GPaの範囲の標準化壁体弾性率(E′)、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有する、低誘電率材料。
【請求項40】
前記標準化壁体弾性率が約10GPa〜約15GPaである、請求項39に記載の材料。
【請求項41】
前記誘電率が約1.9又はそれ未満である、請求項39に記載の材料。
【請求項42】
前記誘電率が約1.7又はそれ未満である、請求項41に記載の材料。
【請求項43】
前記材料が多孔性である、請求項39に記載の材料。
【請求項44】
前記材料がメソ多孔性である、請求項43に記載の材料。
【請求項45】
前記材料が約40〜約85%の気孔率を有する、請求項43に記載の材料。
【請求項46】
前記材料が少なくとも1種類のシリカを含む、請求項39に記載の材料。
【請求項47】
前記材料の回折パターンが、10Åを超えるd−間隔での回折ピークを示さない、請求項46に記載の材料。
【請求項48】
前記材料の回折パターンが回折ピークを示す、請求項46に記載の材料。
【請求項49】
前記材料が複数のSi−C結合を含む、請求項46に記載の材料。
【請求項50】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約20〜約80モル%である、請求項49に記載の材料。
【請求項51】
Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が、約40〜約60モル%である、請求項50に記載の材料。
【請求項52】
前記金属不純物レベルが約100ppb又はそれ未満である、請求項39に記載の材料。
【請求項53】
前記金属不純物レベルが約10ppb又はそれ未満である、請求項52に記載の材料。
【請求項54】
請求項39に記載の材料を含む低誘電率膜。
【請求項55】
厚さが約0.05〜約2.0μmである、請求項54に記載の膜。
【請求項56】
約3.7又はそれ未満の誘電率、及び材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物であって、金属不純物が約500ppm又はそれ未満である混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして、硬化させる工程、
を含む、低誘電率膜を形成する方法。
【請求項57】
前記気孔源が、不安定な有機基、溶剤、熱分解性ポリマー、界面活性剤、デンドリマー、多分枝型ポリマー、ポリオキシアルキレン化合物、小さな分子、又はその組合せからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記気孔源が、ポリオキシアルキレン非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンコポリマー、ポリオキシアルキレンオリゴマー、又はその組合せからなるポリオキシアルキレン化合物の群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1種類のシリカ源が、下記の(i)〜(iii)のいずれか又はその組合せによって表される化合物の群から選択される、請求項56に記載の方法:
(i)RSi(OR4−a
(Rが水素原子、フッ素原子、又は一価の有機基を表し、Rが一価の有機基を表し、aが1又は2の整数である)、
(ii)Si(OR
(Rが一価の有機基を表す)、
(iii)R(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c
(R〜Rが同じでも異なっていてもよく、それぞれが一価の有機基を表し、b及びcが同じでも異なっていてもよく、それぞれが0〜2の数であり、Rが酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−(ここでnは1〜6の整数)によって表される基であり、dが0又は1である)。
【請求項60】
前記混合物が更に触媒を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記混合物が更に界面活性剤を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記混合物が更に溶剤を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記硬化工程を450℃以下の温度で行う、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記硬化工程を400℃以下の温度で行う、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記硬化工程を約30分以下の時間にわたって行う、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記硬化工程を約15分以下の時間にわたって行う、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記硬化工程を約6分以下の時間にわたって行う、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記適用工程が非接触誘導展着力を伴う、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記適用工程がスピンコーティングを伴う、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記適用工程が、振動による非接触誘導展着力、重力誘導展着力、湿潤誘導展着力、又はその組合せからなる群から選択される1又は複数の方法を伴う、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記混合物の金属不純物含有量が約100ppb又はそれ未満である、請求項56に記載の方法。
【請求項72】
前記混合物の金属不純物含有量が約10ppb又はそれ未満である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記混合物が更にイオン性添加剤を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項74】
請求項56に記載の方法によって形成される膜。
【請求項75】
前記膜の金属不純物含有量が約500ppm又はそれ未満である、請求項74に記載の膜。
【請求項76】
少なくとも1種類の気孔源と少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合により得られる生成物を含む混合物から作製される第一の膜を形成する工程、
前記第一の膜の弾性率の値及び誘電率の値を測定する工程、
前記誘電率から、前記第一の膜の空隙率の値を計算する工程、
前記弾性率及び前記空隙率の値から、前記第一の膜の標準化壁体弾性率を求める工程、及び
第二の膜の空隙率を調整して第二の膜の弾性率を増大又は低減する工程であって、その増大又は低減した弾性率の結果が、第二の膜の誘電率の増大又は低減を伴い、前記第二の膜が前記第一の膜と実質的に同じ標準化壁体弾性率を有する工程、
を含む、低誘電率を有する膜を形成する方法。
【請求項77】
前記混合物が更に界面活性剤を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記調整の工程が、混合物中の界面活性剤を変量することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記混合物が更に溶剤を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記調整の工程が、混合物中の溶剤の量を変更することを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
複数のSi−C結合を有し、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が約20〜約80モル%の、少なくとも1種類のシリカを含み、且つ
約0.5〜約6.5GPaの弾性率、
約2.5又はそれ未満の誘電率、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有する、低誘電率材料。
【請求項82】
複数のSi−C結合を有し、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が約20〜約80モル%の、少なくとも1種類のシリカを含み、且つ
約1.3〜約6.5GPaの弾性率、及び
約1.95又はそれ未満の誘電率、
を有する、低誘電率材料。
【請求項83】
金属不純物含有量が約500ppm又はそれ未満である、請求項82に記載の材料。
【請求項84】
約3.7又はそれ未満の誘電率、前記材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって、450℃以下の1又は複数の温度にして硬化させる工程、
を含む、低誘電率膜を形成する方法。
【請求項85】
約2.0又はそれ未満の誘電率、前記材料の誘電率から部分的に導出される約5GPa〜約15GPaの範囲の標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして硬化させる工程、
を含む、低誘電率膜を形成する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3.7又はそれ未満の誘電率、
前記材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有し、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、シリカ含有低誘電率材料:
【化1】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化2】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項2】
約1.95未満の誘電率、及び
前記材料の誘電率から部分的に導出される約26GPaを超える標準化壁体弾性率(E′)、
を有し、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、シリカ含有低誘電率材料:
【化3】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化4】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項3】
約2.0又はそれ未満の誘電率、
前記材料の誘電率から部分的に導出される約5GPa〜約15GPaの範囲の標準化壁体弾性率(E′)、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有し、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、シリカ含有低誘電率材料:
【化5】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化6】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項4】
複数のSi−C結合を有し、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が約20〜約80モル%の、少なくとも1種類のシリカを含み、且つ
約0.5〜約6.5GPaの弾性率、
約2.5又はそれ未満の誘電率、及び
約500ppm又はそれ未満の金属不純物レベル、
を有し、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、シリカ含有低誘電率材料:
【化7】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化8】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項5】
複数のSi−C結合を有し、Si原子の総数に対するSi−C結合の総数の比が約20〜約80モル%の、少なくとも1種類のシリカを含み、且つ
約1.3〜約6.5GPaの弾性率、及び
約1.95又はそれ未満の誘電率、
を有し、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、シリカ含有低誘電率材料:
【化9】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化10】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の材料を含む、低誘電率膜。
【請求項7】
約3.7又はそれ未満の誘電率、及び材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物であって、金属不純物が約500ppm又はそれ未満である混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして、硬化させる工程、
を含み、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、低誘電率膜を形成する方法:
【化11】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化12】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項8】
約3.7又はそれ未満の誘電率、前記材料の誘電率から部分的に導出される約15GPa又はそれよりも大きい標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって、450℃以下の1又は複数の温度にして硬化させる工程、
を含み、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、低誘電率膜を形成する方法:
【化13】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化14】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項9】
約2.0又はそれ未満の誘電率、前記材料の誘電率から部分的に導出される約5GPa〜約15GPaの範囲の標準化壁体弾性率(E′)を有する低誘電率膜を形成する方法であって、
少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合生成物と少なくとも1種類の気孔源とを含む混合物を提供する工程、
前記混合物を基材上に適用して、コーティングされた基材を形成する工程、及び
前記コーティングされた基材を、誘電膜を形成するのに十分な時間にわたって1又は複数の温度にして硬化させる工程、
を含み、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、低誘電率膜を形成する方法:
【化15】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化16】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項10】
少なくとも1種類の気孔源と少なくとも1種類のシリカ源の加水分解及び縮合により得られる生成物を含む混合物から作製される第一の膜を形成する工程、
前記第一の膜の弾性率の値及び誘電率の値を測定する工程、
前記誘電率から、前記第一の膜の空隙率の値を計算する工程、
前記弾性率及び前記空隙率の値から、前記第一の膜の標準化壁体弾性率を求める工程、及び
第二の膜の空隙率を調整して第二の膜の弾性率を増大又は低減する工程であって、その増大又は低減した弾性率の結果が、第二の膜の誘電率の増大又は低減を伴い、前記第二の膜が前記第一の膜と実質的に同じ標準化壁体弾性率を有する工程、
を含み、前記標準化壁体弾性率(E′)が下記の式で表される、低誘電率膜を形成する方法:
【化17】

(E=測定される弾性率、ν=0.25、q=0.9069、m=1.5、q=1/3、θ=−1.83、α=−0.251、且つ
【化18】

(kSiO2=4.2、k=測定される誘電率))
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の方法によって形成される低誘電率膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−229201(P2006−229201A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−379696(P2005−379696)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【分割の表示】特願2003−155020(P2003−155020)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】