説明

依存症及び他の精神神経疾患の治療のための組成物及び方法

本発明は、特定のタイプの治療薬が、様々な精神神経疾患及び関連する障害、例えば依存症(例えば物質又は行動に対する依存症)を治療するため、並びに更年期の間に経験される症状又は月経周期と関連する症状のいくつかを軽減するために、組み合わせで使用されうる。明確な製剤にも関わらず、本発明の組成物は、視床下部-下垂体-副腎(HPA)を標的とする少なくとも1の活性成分、及び前頭前野を標的とする少なくとも1の活性成分を含みうる。これらのタイプの薬剤のいずれか又は両方が、交感神経系の活性を阻害する薬剤と組み合わされうる。こうして、組成物又は薬物治療の組み合わせは、β-アドレナリン受容体を阻害する薬剤又はそうでなければ抗-高血圧薬又は抗不安薬として作用する薬剤を含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、依存症、不安症、うつ病、統合失調症、及び関連する状態(例えば、不眠症)などの精神神経疾患を含む様々な状態及び障害を治療する方法に関し、そしてより一般的に、神経系及び内分泌系の区別された組織を標的とする医薬製剤の製造方法及び使用方法にも関する。
【0002】
本出願は2005年11月10日に出願された米国出願第60/735,507号及び2006年2月2日に出願された米国出願第60/764,727号の利益を主張する。本出願から生じうる全ての米国特許のために、これらの2つの先願の内容の全てを本明細書に援用する。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、特定のタイプの治療薬が、精神神経疾患及び関連する障害、例えば依存症(例えば、薬剤などの物質又はギャンブルなどの行為への依存症)を治療するために組み合わせて使用できるという発明者の発見に部分的に基づいている。より具体的に、これらの薬剤は、摂食障害;うつ病;破壊的行動障害(例えば、注意欠陥障害、例えば注意欠陥多動性障害(ADHD));統合失調症;不安症(例えば、外傷後ストレス障害の関係で経験された不安症);睡眠障害;及び/又は関連する状態又は結果として生じる状態を治療するために使用することができる。例えば、本発明は、肥満又は様々な摂食障害を治療又は予防するために使用できる組成物及び方法を含む。当該組成物は、不眠症の治療又は予防に用いることができる。不眠症は、ストレス又はストレス関連障害(例えば、不眠症)と関連する状態から独立して又は当該状態と関連して生じうる。より一般的に、これらの状態は、副腎皮質ホルモン過剰症、視床下部-下垂体-副腎(HPA)系又は前頭前野での他の活性(例えば、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の調節の変化)及び/又は交感神経系における過剰活性として記載されることがある。
【0004】
本組成物は、更年期の間に経験する症状又は月経周期に関連する症状(例えば、月経前症候群)の幾つかを軽減するために使用することができる。
【0005】
従って、本発明は、医薬組成物、並びに医薬組成物を製造する方法及び患者に投与する(例えば処方及び自己投与する)方法を特徴とする。現在の技術水準を考慮すれば、本明細書に記載される治療薬は、一回用製剤(例えば、1の錠剤、カプセルなどであって、それらは徐放性及び制御放出をもたらすように設計されうる)に剤形されるということを出願人は期待する。しかしながら、本発明は、それに限定されず、そして当該治療薬を組み合わせ、そして投与する代表的な代替法がさらに以下に記載される(例えば、溶液が静脈内投与されることもある)。
【0006】
明確な製剤又は形態にも関わらず、本組成物は、視床下部・下垂体・副腎(HPA)系を標的とする少なくとも1の活性成分、及び(例えば、前頭前野においてGABAA受容体を標的することにより)前頭前野を標的とする少なくとも1の活性成分を含みうる。より具体的に、本組成物は、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)を抑制し;副腎皮質ホルモン(ACTH)を抑制し;及び/又はコルチソールを抑制する第一活性薬のうちの少なくとも1を含むことができる。例えば、当該薬剤は、下垂体からのACTHの放出を刺激するCRHの能力を低減し、副腎からのコルチソールの放出を刺激するACTHの能力を低減し、又はコルチソールの合成、分泌、又は活性を抑制することができる。例えば、本組成物が、任意の特定のメカニズムによりその効果を発揮する組成物に限定されない一方、コルチソール活性を阻害する薬剤は、グルココルチコイド受容体への結合についてコルチソールと競合することにより、及び/又は受容体活性化、二量化、又はグルココルチコイド応答エレメントを通した転写シグナルなどの下流事象を阻害することにより、コルチソール活性を阻害しうる。これらの薬剤は、ミネラルコルチコイド受容体などの別のタイプのアドレノコルチコステロイド受容体に結合する薬剤、及び/又はミネラルコルチコイド受容体の結合に続く下流事象を抑制する薬剤でありうる。
【0007】
当該組成物は、さらに、例えばγ-アミノ酪酸(GABA)の発現又は活性を増加させ;GABAを模倣し;前頭前野においてGABA代謝を抑制し;及び/又はそうでない場合、前頭前野においてGABAシグナルを刺激することにより、前頭前野を標的とする少なくとも1の第二活性薬を含むことができる。上述の通り、当該組成物は、例えば、徐放性製剤における薬剤自体の物理的組み合わせ(例えば、混合物又は懸濁物)のため、第一薬剤と第二薬剤を含むことができる。別の実施態様では、当該組成物は、パッケージングを共有するため組み合わされることもある(例えば、第一活性薬を含む錠剤及び第二活性薬を含む錠剤は、単一のブリスターパックに組み合わされ、場合により1週のうちの日付及び/又は1日のうちの時間を示すように記号が付される)。静脈内投与用の溶液は、第一薬剤を含む1の溶液と第二薬剤を含む1の溶液にパッケージングされ、同時又は連続投与についての説明書を伴う。
【0008】
具体的な実施態様では、組成物は、以下の表の一列目に記載される1以上のタイプの薬剤、そして二列目に記載される1以上のタイプの薬剤を含むことができる。
【表1】

【0009】
これらのタイプの薬剤のいずれか又は両方が、交感神経系の活性を抑制する薬剤(例えば、プロプラノロール(Inderal(登録商標))などのβブロッカー)と組み合わされうる。第三薬剤として含まれ得るβ-ブロッカー及び他の薬剤(例えば、抗不安薬)は、さらに以下に記載される。こうして、組成物又は薬物治療の組み合わせは、(例えば、受容体に結合し、そしてエピネフリンとの相互作用を抑制することにより)β-アドレナリン受容体を抑制する薬剤、或いはそうでない場合、抗高血圧薬又は抗不安薬として作用する薬剤を含むことができる。
【0010】
具体的な実施態様では、CRHを抑制する薬剤は、前頭前野においてGABAを刺激する薬剤と、交感神経系において活性を抑制する薬剤と組み合わせられ;ACTHを抑制する薬剤は、前頭前野においてGABAを刺激する薬剤と交感神経系において活性を抑制する薬剤と組み合わせられ;コルチソールを抑制する薬剤は、前頭前野においてGABAを刺激する薬剤と交感神経系において活性を抑制する薬剤と組み合わせられ;そして副腎皮質ステロイドに結合する1以上の薬剤は、交感神経系において活性を抑制する薬剤と組み合わせられうる。これらの典型的な実施態様では、言及された薬剤は、本明細書に記載された薬剤でありうる(例えば、GABAを刺激する薬剤は、前頭前野においてGABAを直接又は間接的に刺激する薬剤であり;前頭前野においてGABAを模倣する薬剤(例えば、GABA受容体(例えば、GABAA)アゴニスト);又はGABA代謝を抑制する薬剤でありうる)。
【0011】
GABAは、受容体結合の後に、抑制されたニューロンを過分極させる抑制性の神経伝達物質である。この結合は、直接的又は間接的に塩素及びカリウムチャネルを開かせる。活性化されたイオンチャネル型受容体は、イオンチャネル自体である一方、代謝受容体は、中間Gタンパク質を介してイオンチャネルを活性化させるGタンパク質結合受容体である。受容体のいずれかのタイプは、GABAを模倣するように作用することにより活性化され、そしてそれにより前頭前野を標的化する。他の薬剤は、GABA合成を増加させることにより作用しうる。例えば、合成酵素L-グルタミン酸デカルボキシラーゼ、又は生物学的に活性な断片又はその他の突然変異体をコードする核酸は、本明細書に記載される方法から利益を得る可能性のある患者(例えば、依存症を有すると示されるか又は診断された患者(治療を受け得る他の患者は、本明細書にいたるところに記載される))に投与することができる。
【0012】
別の実施態様では、治療組成物は、CRHを抑制する薬剤、ACTHを抑制する薬剤、コルチソールを抑制する(か又はアドレノコルチコイド受容体に結合する)薬剤、前頭前野のGABAを直接又は間接的に刺激する薬剤、前頭前野においてGABAを模倣する薬剤、又はGABA代謝を抑制する薬剤及び交感神経系において活性を抑制する薬剤のうちの少なくとも2又は3(2、3、又は4)の組み合わせでありうる。
【0013】
文脈からそうでないと判断されない限り、出願人は、標的分子(例えば、薬剤が結合するリガンド又は受容体)又は脳若しくは内分泌系の標的領域に臨床的に有利な様式で影響する(例えば、1以上の調節された環境契機に患者をさらした後に、HPA系の活性化を抑制する)任意の物質を広く指すために「薬剤」という用語を用いる。例えば、出願人は、メチラポン (Metopirone(商標))などの化合物を薬剤と呼ぶ。出願人は、慣用される化合物(例えば、小さい有機又は無機分子)を指すために、「化合物」という用語を用いることもある。「薬剤」は、タンパク質であってもよいし、又はタンパク質に基づく分子、例えば突然変異リガンド又は抗体であってもよい。他の有用な薬剤として、核酸又は核酸に基づく物質、例えばアンチセンス・オリゴヌクレオチド又はRNAiを媒介するRNA分子、及びそれらのデリバリーに用いるベクターが挙げられる。例えば、出願人は、CRHに特異的に結合し、そしてその活性を変化させる(例えば抑制する)抗体(ヒト又はヒト化抗CRH抗体)を指すか、又はCRHをコードするRNAと特異的に相互作用し、そして翻訳を抑制する核酸(例えばsiRNA又はshRNA)を、CRHを抑制する薬剤として用いる。CRHは、標的化されうる分子のうちの一つに過ぎず、ACTH、コルチソール、及びGABAは、CHRに関して本明細書に議論される任意のタイプの薬剤により標的化されうる。本発明に有用である化合物として、コルチソール受容体に結合する化合物を含む。予備的結果により、コルチコステロンが依存症の動物モデルにおいて上昇することが示される。
【0014】
本発明の組成物において有用である薬剤が、さらに以下に記載される一方、HPAにおいてCRHを抑制できる薬剤が、CRH発現を抑制できる薬剤(例えば核酸);負のフィードバックループに参加することによりCRH産生又は分泌を抑制する薬剤;CRHに特異的に結合し、そしてCRHを抑制する抗体;CRH受容体アンタゴニスト(例えば、CRH受容体に結合し、そしてシグナル伝達を阻害する抗体、又は細胞内で作用して、CRH受容体結合に応答して通常生成される第二メッセンジャーを細胞内で抑制するように作用する抗体を含むタンパク質);CRH又はCRH受容体の発現、分泌、又は活性化を抑制する化合物(例えば小分子)(例えば、下垂体の同属受容体に結合するCRHの能力を抑制する化合物);及びCRH代謝を促進する薬剤が挙げられる。記載される様に、他の薬剤は、ACTHを抑制することができる。例えば、本発明の組成物は、ACTH発現を抑制する薬剤(例えば、核酸);負のフィードバックループに参加することによるACTH産生又は分泌を抑制する薬剤;ACTHに特異的に結合し、そして抑制する抗体;ACTH受容体アンタゴニスト(例えば、ACTH受容体に結合し、そしてシグナル伝達を抑制するか、又はACTH受容体結合に応答して通常生成される第二メッセンジャーを抑制するように細胞内で作用するタンパク質);ACTH又はACTH受容体の発現、分泌、又は活性を抑制する化合物(例えば、副腎の同属受容体に結合するACTHの能力を抑制する化合物);及びACTH代謝を促進する薬剤が挙げられる。
【0015】
CRHを抑制する薬剤として[Met18、Lys23、Glu27、29、40、Ala32、41、Leu33、36、38]CRF(9-41)が挙げられ、これはα-ヘリックスCRF(9-41)として略記され、そして以下の配列:Asp-Leu-Thr-Phe-His-Leu-Leu-Arg-Glu-Met-Leu-Glu-Met-Ala-Lys-Ala-Glu-Gln-Glu-Ala-Glu-Gln-Ala-Ala-Leu-Asn-Arg-Leu-Leu-Leu-Glu-Glu-Ala(配列番号1)を有し、そしてその生物学的に活性な断片又はそのバリアント(Rivierら、Science 224:889, 1984)が挙げられる。CRHを抑制する別の薬剤として、[D-Phe12、Nle21、38、(αMeLeu37)]CRF(12-41)が挙げられ、これはD-PheCRF12-41と略記され、そしてその生物的に活性な断片及びそのバリアントも挙げられる。CRHを抑制する他の薬剤として、Astressin(商標); CP-154,526;NB127914、Antalarmin(商標);CRA1000;CRA1001、そしてアンチソウバジン-30が挙げられる。米国特許第6,326,463号;第6,323,312号;第4,594,329号、及び第4,605,642号を参照のこと。CRFから特定のN-末端アミノ酸残基を削除することは、CRFアンタゴニストを産生し、そしてこれらのアンタゴニスト(例えば、CRF(8-41)、CRF(9-41)、及びCRF(10-41))が、本組成物及び方法において用いられうる。CRFを抑制する環状ペプチドは、米国特許第6,323,312号に記載され、そして本組成物及び方法に用いることができる。
【0016】
ACTHを抑制するために、当業者が十分な量のACTHを投与することができて、フィードバック阻害を通してACTHを抑制するか、又はACTH受容体をダウンレギュレーションすることができる。
【0017】
コルチソールを抑制する化合物としては、メチラポン、ケトコナゾール、及びアミノグルテタミド(aminoglutethamide)が挙げられる。特に本明細書に記載される薬剤及び/又は記載されていない場合、当該技術分野に知られている薬剤を含む有用な化合物及び他の薬剤は、HPA系に沿って任意の点で作用して、コルチソールの効果を下方制御する(つまり、これらは、標的(例えばコルチソール)に直接(例えば、標的に結合し、そして抑制することによって)又は間接的に(例えば、HPA系の標的の上流の分子活性を抑制することにより)作用することができる)。
【0018】
P物質アンタゴニスト及びバソプレッシン阻害剤は、本組成物及び方法において使用して、HPA系内の活性を抑制することができる。P物質は、ニューロキニン1受容体に結合する11個のアミノ酸の神経ペプチドである。当該アンタゴニストとして、化学治療誘導性の悪寒に現在利用できるAprepitant(商標)、並びに抗うつ薬及びP物質受容体アンタゴニストであるMK-0869が挙げられる。[D-Arg1、D-Pro2、D-Trp7,9、Leu11]SPは、P物質アンタゴニストと同様に静脈内で投与された。
【0019】
エンドカンナビノイドシグナルを増強する薬剤は、HPA系の活性を抑制するために使用できるし、そして本組成物及び方法に有用である。これらの薬剤は、エンドカンナビノイドの発現又は活性を刺激することもあり、又は例えばエンドカンナビノイドであってもよく又はそれを模倣することもある(Patelら、Endocrinol. 145:5431-5438, 2004を参照のこと)。本発明が、障害、及び任意の特定のメカニズムにより本明細書に記載される他の状態についてプラスの効果を発揮する薬剤に限定されない一方、出願人は、エンドカンナビノイドが、下垂体後葉からのバソプレッシンの放出を抑制できるということに注目する(Tasker, Endocrinol. 145:5429-5430, 2004)。29-5430。外から与えたカンナビノイドは、HPAを刺激する事が示されたが、少なくとも1のこのような化合物、CP55940は、それでもストレス誘導性のHPAホルモンの分泌を低減することができる(Thomasら、 J. Pharmacol. Exp. Ther. 285:285-292, 1998)。
【0020】
前頭前野においてGABAを直接又は間接的に刺激する薬剤は、GABAの合成、放出、又は活性を間接的又は直接的に増加させることにより刺激することもある。活性は、例えば、GABAと同属の受容体との間の相互作用を高めることにより高められうる。この相互作用を高めるために様々な方法がある。例えば、GABAの濃度を高め、受容体アゴニストを提供し、又は受容体結合及びシグナル伝達の反応速度を変化させることを含む。GABA濃度は、次に、GABA合成を増大させ、又はGABA代謝を抑制することにより増加されうる。GABA濃度は、実際、GABAを模倣する薬剤の投与によっても高められる。間接的な刺激について、前頭前野においてドーパミン作動性又はノルアドレナリン活性を優先的に増加させる任意の薬剤(例えば、抗うつ薬)は、前頭前野において間接的にGABAに影響を与えうる(つまり刺激しうる)。ミルタザピンは、間接的にGABAを刺激するために使用されうる抗うつ薬の例であり;アトモキセチンは、同様に使用されうる別のタイプの薬剤の例である。ガバペンチン(Neurontin(登録商標))は、GABAの効果を模倣する薬剤の例であり、そして直接的な刺激物質として、任意のベンゾジアゼピン(例えば、オキサゼパム((Serax(商標))又はクロルジアゼポキシド)又はアルプラゾラム(Xanax(商標))が挙げられる。他の有用な薬剤、例えばムシモール及びバクロフェンは、GABAA又はGABAB受容体を通してそれぞれGABAを刺激しうる。他のGABAアゴニスト又は模倣物として、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ビガバトリン、バルプロ酸 (Depakote(商標))、チアガビン(Gabitril(登録商標))、ラモトリジン (Lamictal(登録商標))、フェニトイン (Dilantin(商標))、カルバマゼピン (Tegretol(登録商標))及びトピラメート (Topamax(登録商標))が挙げられる。
【0021】
用量が以下にさらに記載される一方、本発明の組成物で使用される薬剤は、患者を治療するために現在知られておりかつ使用された薬剤である場合、出願人の組み合わせ治療の関係で必要とされる薬剤の少なくとも1の用量は、当該薬剤が現在及び典型的に処方される用量よりも少なくともよいということに出願人は留意する。例えば、本組成物が不安症の治療に現在用いられているベンゾジアゼピンを含む場合、依存症の治療のために患者に投与される化合物の量は、不安症の治療のために医師が通常処方する量よりも少ないこともある。幾つかの場合、本組成物内の両方の薬剤の用量は、これらの薬剤の従来の用量よりも少ないであろう。本発明の組成物が、特定の利点を有する組成物に限定されない一方、低用量製剤を使用する能力が、副作用の発生並びに幾つかの薬剤に付随する乱用の潜在性を低下させることを出願人は考える。ある患者が所定の薬物療法の特定の用量に対し感受性が高いこともあるし、又は感受性が低いこともあるということが理解される。この場合、一般的にいえることであるが、患者及びその医療従事者は、所望の効果及び用量についての治療をモニターでき、そして用量は(例えば、長い期間をかけて)いろいろと調節することができる。
【0022】
本組成物の化合物の量は変えることができる。例えば、患者に約1〜1000mgの所定の第一薬剤と1〜1000mgの所定の第二薬剤を所定の間隔で投与することもある。例えば、患者は、数時間毎(例えば約2、4、6、8、12、又は24時間毎)、数日毎(1日1回、2日に1回、3日に1回)、又は数週間毎(例えば週に1回)治療されることもある。例えば、患者は、少なくとも又は約5〜1500mg(例えば、少なくとも又は約5、10、25、50、100、200、250、300、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1250、又は1500mg))の第一薬剤と少なくとも又は約5〜500mg(例えば、少なくとも又は約1、5、10、20、25、30、35、40、45、50、100、200、250、300、400、450、500)の第二薬剤を、1日あたり1〜4回投与される。このような投与計画では、患者は、少なくとも又は約10〜6000mg(例えば、少なくとも又は約25〜1500mg;50〜1250mg;100〜1250mg;100〜1000mg;250〜1000mg;500〜1000mg;750〜1000mg(例えば、約750mg又は約1000mg))の第一薬剤、例えばメチラポン又はケトコナゾールを投与されることもある。同じ又は異なる投与計画の下では、患者は約5〜100mgの第二薬剤(例えば、約5〜50mg;約5〜40mg;約5〜30mg;約5〜20mg;約5〜10mg;約10〜50mg;約10〜40mg;約10〜30mg;約20〜50mg;約20〜40mg;約20〜30mg;約30〜50mg;又は約30〜40mgの第一薬剤)を投与されうる。記載されるように、第二薬剤は、ベンゾジアゼピン、例えばオキサゼパムであることもある。記載される様に、適切な用量は、徐放性製剤から長期間にわたりデリバリーされることもある。当該製剤は、毎日又は毎週の間隔で投与されることもある。特定の製剤又は装置(例えば、輸液ポンプ)が使用される場合、長期間の間患者を診療する必要なく投与が行われてもよい。
【0023】
医薬製剤における薬剤の量は、同じであってもよいし又は異なってもよい(例えば、第二薬剤に対する第一薬剤の割合は、少なくとも又は約100:1;90:1;80:1;75:1;70:1;65:1;60:1;55:1;50:1;45:1;40:1;35:1;30:1;25:1;20:1;15:1;10:1;9:1;8:1;7:1;6:1;5:1;4:1;3:1;2:1;又は約1:1でありうる)。例えば、組成物は、約1当量のオキサゼパムに対して約25〜50当量のメチラポン;約25〜50当量のケトコナゾールに対して約1当量のアルプラゾラム;約25〜50当量のケトコナゾ〜ルに対して約1当量のオキサゼパム;約25〜50当量のメチラポンに対する約1当量のアルプラゾラム;約1当量のムシモールに対する約25〜50当量のCP-154,526;又は約1当量のムシモールに対する約25〜50当量のメチラポンを含むことができる。当量は、重量単位であってもよい(例えばミリグラム)。比率を変えて行なわれてもよいが、(例えば、本明細書に記載される様々な程度により)第一薬剤の量を超える第二薬剤の量で行なわれうる。活性成分の相対量は、パーセントで表される。例えば、互いに対して、第二薬剤の量は、第二薬剤の量の少なくとも又は約1〜99%でありうる。第三薬剤が交感神経系を抑制するために含まれる場合、第一薬剤と第二薬剤について当該薬剤の相対量は変化しうる。例えば、互いに対して、第三薬剤の量は、第一薬剤若しくは第二薬剤の少なくとも又は約1〜99%であってもよい。第三薬剤が組成物に含まれ、及び/又は治療計画に用いられる場合、第三薬剤が存在しない場合に効力について必要とされるか又は予想されるよりも低い量の第一薬剤及び/又は第二薬剤の使用を可能にする。
【0024】
さらに以下に記載される医薬組成物として、担体及び保存剤などの標準的な成分を含みうる。当該組成物は、活性成分の溶解性を増加させる物質(例えば、ポリエチレン・グリコール)を含みうる。典型的に、活性成分は、組成物全体の一部を占める。例えば、第一、第二、第三薬剤は、医薬組成物の約1〜50%(例えば、医薬組成物の約1〜40%;1〜30%;1〜20%;1〜10%;2〜40%;2〜30%;2〜20%;2〜10%;2〜5%;3〜40%;3〜30%;3〜20%;3〜10%;3〜5%;4〜40%;4〜30%;4〜20%;4〜10%;4〜5%;1〜2%;1〜3%;1〜4%;2〜4%;2〜3%;又は3〜4%)を構成する。
【0025】
薬剤が患者の神経系又は内分泌系内の領域を標的とする場合、患者に利得を与える様式で当該領域内の細胞活性に影響する。例えば、患者が物質又は行為に中毒となっている場合、当該利得は、物質又は行為について患者の従事を低下することであってもよい。例えば、患者は、治療が存在しない場合に予期されるよりも少ない頻度で又は低い程度で、或いは治療前よりも低い程度で、行為を行なうか当該物質を使用することになる。こうして、当該利得は、条件付けられた環境の契機の存在にも関わらず、再発リスクの低下として特徴付けられる。臨床利得は、患者の当該物質又は活性についての欲求が減少したことを患者が報告するという自覚症状である。こうして、本発明の化合物及び方法は、治療がない場合に予期されるよりも長期の自制又は自制期間を促進するために使用できる。任意の検出可能な改善を達成することは、本組成物及び方法を用いた依存症の治療を構成し;完全な回復が達成されてもよいが、治療を構成するために必要とはされない。他の適応症についても同様である。例えば、不安症関連障害、摂食障害、睡眠障害、統合失調症、又は更年期の不所望な症状の検出可能な改善は、治療を構成する。全ての問題を完全に取り除くことは必要とされない。
【0026】
治療コースにおいて生じる特定の事象を理解したことを出願人は信じる一方、本発明の組成物は、任意の特定の細胞メカニズムに影響することにより作用する組成物に限られない。出願人の作業仮説は、依存症に関して、不所望な行為(例えば、中毒行為)の再発を引き起こす契機が、前頭前野における神経活性に影響するHPA系の条件付活性化を通して、これらの行為(又は行為の渇望)をもたらす。より具体的に、HPA系の条件付き活性化は、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の分泌、アドレノコルチコトロピンホルモン(ACTH)及びコルチソール(ラットにおけるコルチコステロン)及びこれらのホルモンを増加させ、次に前頭前野(ラットにおける内側前頭葉)、報酬に関する脳領域、報酬についての性向に関連する他の活性における活性に影響する。依存症を治療するために投与される場合、出願人は、本明細書に記載される組み合わせ治療が、HPA系及び/又は前頭前野の活性を低減することにより再発の可能性を低下させるということを信じる。これは、契機により誘導されるCRH、ACTH、及び/又はコルチソールの分泌を、物質又は不所望な行為に対する依存症に関する渇望を喚起するには低すぎるレベルに低減する。これらのホルモン(CRH、ACTH、及びコルチソール)は、前頭前野における活性に影響するので、出願人は、前頭前野活性が次に低下することを期待し、そして当該組成物の第二薬剤が当該低下を促進することができる。
【0027】
記載される様に、本組成物の活性成分は、1の製剤に組み合わせられるか、又はそのパッケージングにより組み合わせられうる。従って、本発明は、使用説明書を伴った1の製剤及び/又はデュアルパッケージされた製剤を含むキットを特徴とする。例えば、組成物は、単一の錠剤又はカプセルに組み合わされてもよいし、又は複数の錠剤に分けられてもよく、そして錠剤を投与する日にち、又は時間を示すように場合に記されたブリスターパック中に入れられる。
【0028】
記載される様に、本組成物は、(つまり、物質乱用を治療するための)様々な化合物又は行為への中毒を治療するために使用されうる。例えば、当該組成物は、興奮剤(例えば、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、及び関連する興奮剤)、オピエート(例えば、ヘロイン、コデイン、ヒドロコドン、及び関連するオピオイドドラッグ)、ニコチン、アルコール、処方薬(例えば、疼痛管理に処方される薬、例えば、 Percodan(商標)又はPercocet(商標))、及び天然植物由来薬物(例えば、マリファナ、タバコ、及びその中の中毒物質)への依存症を治療するために使用することができる。メサドンで治療される患者は、本明細書に記載される組成物で治療するための候補物質である。本組成物は、メサドンの使用量の減少及び使用中止などの手助けとなる。依存性の行為に従事する患者を、同定しそして治療することができる。これらの患者は、ギャンブル、性交又は食べ物への依存症を患っていることもある。これらの障害の各々において、条件付けされた契機は、再発を引き起こすか又は再発に寄与すると信じられている。
【0029】
或いは、又はさらに、本明細書に記載される組成物は、HPA系活性及び前頭前野に関する他の精神神経疾患を治療するために使用できる。これらは、不安症を含み、例えば非限定的にパニック障害、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害、全般性不安障害、及び肥満が挙げられる。うつ病を患っていると診断された患者が、治療されうる。そのうつ病は、必ずしもそうではないが、大うつ病性障害、気分変調症、双極性うつ病、医学的状態に付随するうつ病、及び物質乱用に付随するうつ病と関連することもある。
【0030】
治療の影響を受けやすい他の病気は、肥満及び様々な摂食障害、例えばプラダー・ウィリ症候群である。治療の影響を受けやすい他の患者として、統合失調症を患っている患者;分裂的行動障害(例えば、注意欠陥障害(ADD)又はADHD)を患う患者;更年期障害を患う患者;及び月経周期関連症候群(例えば、PMS)を患う患者が挙げられる。治療の影響を受けやすい他の病気は、不眠症及び様々な睡眠障害である。
【0031】
本発明の1以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。本発明の他の特徴、対象、及び利点は、以下の記載及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書に記載される組成物は、依存症、他の精神神経疾患、及び独立した又は関連する状態の治療のための2以上の治療薬を含む。製剤に含まれる1以上の薬剤は、現在利用できるが、本明細書に記載される適応症に処方されない薬剤であることもある。例えば、メチラポンは、副腎の機能障害を診断するために一般的に使用されており、そしてオキサゼパムは、不安症及び関連障害を治療するために使用されるベンゾジアゼピンである。これらの薬剤の両方は、ストレスに関連する生理システムに影響し、そしてHPA系のそれに続く活性化に影響する。或いは、1以上の薬剤は、本明細書の示唆に従って新たに形成されうる。例えば、RNAiを媒介するRNA分子又はアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、発見された標的(CRH、ACTH、GABA受容体(例えばGABAA又はGABAA受容体複合体の成分、本明細書に記載される第二薬剤のいずれかにより標的されうるものとして)の所定の配列、又は副交感神経系におけるβアドレナリン作動性受容体の所定の配列を産生できる。これらの標的の配列が知られており、又は当業者に容易に利用でき、RNAiを媒介するアンチセンス・オリゴヌクレオチド及びRNA分子の製造方法である。他の有用な薬剤は、以前に利用されるものであれ又は新たに作成されるものであれ、本明細書に同定されたリガンド(例えばCRH、ACTH、又はGABA)に結合し、又は条件付けられた環境契機に応答して活性化される受容体(例えばCRH、ACTH、コルチソール、又はGABAの受容体)に特異的に結合する抗体を含む。ここで、薬剤が交感神経系の活性を抑制するために使用される場合、当該薬剤は、本明細書に提供された化合物などの化合物、又は他のタイプの薬剤でありうる。例えば、βアドレナリン受容体の発現を抑制するために核酸又は核酸に基づく薬剤、又はこれらの受容体に特異的に結合しそして拮抗作用する抗体を投与することができる。特異的に結合した場合に、抗体は、受容体結合により媒介される細胞活性を促進又は抑制することを望まれるように、結合された実体のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用できる。CRHに特異的に結合する抗体は、CRHアンタゴニストとして作用でき;GABA受容体に特異的に結合する抗体は、GABA受容体アゴニストとして作用でき;βアドレナリン作用性受容体に特異的に結合する抗体は、アドレナリンアンタゴニストとして作用でき;グルココルチコイド受容体に特異的に結合する抗体は、コルチソールを抑制するアンタゴニストとして作用できる。
【0033】
発明者の研究室で行なわれた実験により、HPA系が、薬剤依存症に重要な役割を果たすことが示され(Goeders, Psychoneuroendocrinology 22:237, 1997; Goeders, J Pharmacol. Exp. Ther. 301 :785-789, 2002; Goeders, Psychoneuroendocrinology 27:13-33, 2002; Goeders, Eur. Neuropsychopharmacology 3:435-441, 2003)、そして出願人は、特定の薬剤の組み合わせ(例えばメチラポンとオキサゼパムとの組み合わせ)が、(コカイン報酬を低減することにより証拠付けられる)依存症の治療に有効であるということを示すデーターを有している。従って、本発明は、治療薬の組み合わせを表す組成物(例えば、本明細書に記載される神経及び/又は内分泌系(例えば、HPA系と交感神経系)の領域を標的する2又は3個の薬剤の組み合わせ)、並びにこれらの薬剤(例えば、本明細書に記載される様に「第一薬剤」と「第二薬剤」、又は「第一薬剤」と「第三薬剤」)で患者を治療する方法を特徴とする。
【0034】
患者に依存性を示す物質又は行為に関わらず、依存症の程度は変化し、依存症の程度は、多かれ少なかれ人生の日々の出来事に加わるか又は対処する患者の能力に影響を与え、そして依存症は、様々な頻度で再発しうる(例えば、患者は、まれにしか再発を経験しないこともあるし、又はかなり規則的及び/又は頻度で再発を経験することもある)。
【0035】
薬剤は様々な方法で分類され、そして本発明の組成物は、同じ又は異なるタイプの2以上の薬剤を含みうる。例えば、薬剤は、化合物(例えばメチラポン及びトピラメート)として;例えば突然変異リガンド(例えば、結合するが、活性化しないか又はその同属の受容体を完全に活性化しないリガンド)、抗体などのタンパク質又はタンパク質に基づく分子として;又は、例えばアンチセンス・オリゴヌクレオチド又はRNAiを媒介するRNA分子などの核酸又は核酸に基づく物質として分類され得る。こうして、本発明の組成物は、2以上の化合物;2以上の区別されるタンパク質又はタンパク質に基づく分子;又は2以上の区別される核酸又は核酸に基づく物質を含むことがある。或いは、組成物は、2の異なるタイプの薬剤を含むことができる(例えばタンパク質と核酸又は化合物とタンパク質、例えば抗体又はその活性断片)。患者が治療される方法は、同様に、2以上の化合物;2以上の区別されるタンパク質又はタンパク質に基づく分子;2以上の区別される核酸又は核酸に基づく物質;或いはこれらの様々なタイプの薬剤の任意の組み合わせ(例えばタンパク質及び核酸)の投与を含みうる。
【0036】
HPA系を標的とする薬剤と、前頭前野を標的とする薬剤のいずれか又は両方が、交感神経系の活性を抑制する薬剤と組み合わされうる。これらのタイプの薬剤のいずれか又は両方が、β遮断薬(この適切な例は以下に記載される)、又は別のタイプの抗高血圧及び/又は抗不安薬(例えば、アンジオテンシンII阻害剤、例えばカンデサルタン)と混合わされうる。第三の薬剤(つまり、HPA系を標的とする薬剤及び/又は前頭前野を標的とする薬剤に加えて使用される薬剤)は、抗うつ薬、例えばSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)のクラスの任意の薬剤でありうる。
【0037】
有用な化合物:HPA系を標的とするのに有用な薬剤は、メチラポンとケトコナゾールを含む。メチラポンは、アドレノコルチコステロイドの合成において11β-水酸化ステップを抑制することによりコルチコステロン合成を抑制する(Sonino: Agarwal (編), Hormone antagonists, Walter de Gruyter, Berlin, pp 421-429, 1982; Haleemら、Brain Res. 458, 339-347, 1988; Haynes: Gilmanら、(共編), The Pharmacological Basis of Therapeutics, eighth edition, Pergamon Press, New York, pp. 1431-1462, 1990)。
【0038】
メチラポンは市販されており、そして委託製造(例えば、医薬品サービス会社)によっても合成されうる。1のスキームでは、開始物質が紫外線に晒される2ステップの製法で合成されうる(例えば、図13に記載される合成経路を参照のこと)。
【0039】
メチラポン投与の効果は、コルチコステロンの血漿濃度を計測することにより評価されうる。出願人は、コカイン自己投与(以下を参照のこと)についてのコルチコステロン合成阻害剤であるメチラポンとケトコナゾールの効果を調べた。メチラポンでの前処理は、血漿コルチコステロンと継続的なコカイン自己投与の両方において優位な用量依存性の減少をもたらし、コルチコステロンが、コカイン報酬に関わるということを示唆する(Goedersら、Brain Res. 722:145-152, 1996)。
【0040】
ケトコナゾールは、広い活性スペクトル及び低い毒性を有する経口抗真菌薬であり、真菌疾患の治療において使用される(Sonino, In: Agarwal(編), Hormone Antagonists, Walter de Gruyter, Berlin, pp 421-429, 1982; Thienpontら、Experientia 35:606-607, 1979)。当該薬剤は、アドレノコルチコステロイドの合成における11β-水酸化及び18水酸化ステップを抑制し(Engelhardtら、Klin. Wochenschr, 63:607- 612, 1985)、そしてグルココルチコイド受容体アンタゴニストとして機能しうる(Looseら、J. Clin. Invest. 72:404-408, 1983)。さらに、臨床試験により、ケトコナゾール(並びにメチラポン)が、標準抗うつ治療に抵抗性である副腎皮質機能促進うつ病の治療において有効であるということが示唆された(Ghadirianら、Biol. Psychiatry 37:369-375, 1995; Murphyら、J. Clin. Psychopharmacol 11:121-126, 1991 ; Wolkowitzら、Am. J. Psychiatry 150:810-812, 1993)。
【0041】
CRHを抑制する薬剤は、[Met18、Lys23、Glu27,29,40、Ala32,41、Leu33,36,38]CRF9-41を含む。当該物質は、α-ヘリックスCRF(9-41)の略記であり、そしてAsp-Leu-Thr-Phe-His-Leu-Leu-Arg-Glu-Met-Leu-Glu-Met-Ala-Lys-Ala-Glu-Gln-Glu-Ala-Glu-Gln-Ala-Ala-Leu-Asn-Arg-Leu-Leu-Leu-Glu-Glu-Ala(配列番号1))の配列、及びその生物学的に活性な断片又はバリアントを有する(Rivierら, Science 224: 889, 1984)。CRHを抑制する別の薬剤は、[D-Phe、Nle21、38、(αMeLeu37)]CRF(12-41)であり、これはD-PheCRF12-41と略記され、そしてその生物学的に活性な断片及びバリアントである。CRHを抑制する他の薬剤は、Astressin(商標);CP-154,526;NB127914、Antalarmin(商標);CRA1000;CRA1001、及びAntisauvagine-30が含まれる。米国特許第6,326,463号;第6,323,312号;及び第4,594,329号も参照のこと。
【0042】
ACTHを抑制するために、フィードバック抑制を通してACTHを抑制するため、又はACTH受容体の下方制御するために十分な量のACTHを投与することができる。化合物は、様々なアッセイ、例えば単層培養されたラット下垂体前葉を用いた細胞培養アッセイにおいて、ACTHに影響するその能力について試験され得る(Endocrinol. 91:562, 1972を参照のこと)。
【0043】
HPA系において活性を抑制する薬剤は、P物質アンタゴニスト(例えば、[D-Argl、D-Pro2、D-Trp7,9、Leul1]SP)及びバソプレッシンアンタゴニストを含む。
【0044】
記載される様に、メチラポン、ケトコナゾール、又はHPA系を抑制する他の薬剤に加えて、本発明の治療薬は、GABAを標的することにより、前頭前野を標的する1以上の薬剤を含むことができる。ベンゾジアゼピン(例えば、オキサゼパム)は、この点で有用な薬剤の1のクラスである。ベンゾジアゼピンは、不安症の薬理学的管理について最も広く処方された薬剤の一つである(Baldessarini, In: Hardmanら(共編)、Goodman & GilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, pp. 399-430, 1996)。コカイン退薬に伴う主要な症状の幾つかが重篤な不安症、情動不安及び興奮を含むので(Crowley, In: Fisherら(共編), Cocaine: Clinical and Biobehavioral Aspects, Oxford University Press, New York, pp. 193-211, 1987; Gawin及びEllinwood, Ann. Rev. Med. 40:149-161, 1989; Tarr及び Macklin, Pediatric Clinics of North America 34:319-331, 1987)、ベンゾジアゼピンは、退薬の初期段階におけるこれらの負の症状を緩和するために有用であり、そして本明細書に記載される組み合わせ治療に包含されるベンゾジアゼピンは、依存症の点であろうと、又は別の事象(例えば、別の神経精神病事象、閉経、又はPMS)との関連であろうと、これらの及び同様の症状(つまり、不安症、情動不安及び興奮)を示す患者を治療するために使用されうる。これらの薬剤は、コカイン中毒に関連する内科的合併症の幾つかを治療するための緊急治療室において有用である。なぜなら、急性の過剰摂取に後に痙攣がしばしば現れるからである。これらの発作は、静脈内ジアゼパム(Valium)で効果的に治療されうる(Gay, J. Psychoactive Drugs 13:297-318, 1981; Tarr and Macklin, Pediatric Clinics of North America 34:319-331, 1987)し、そしてジアゼパムは、本明細書に記載される組み合わせ治療で用いることもできる。ベンゾジアゼピン受容体発現は、当該技術分野に知られている方法を用いて評価することができる。例えば、受容体は、[3H]PK11195で標識され得る(Javaidら、Biol. Psychiatry 36:44-50, 1994を参照のこと;Chesleyら、J. Clin. Psychiatry 51:404-406, 1990を参照のこと)。以下に記載されるデーターにより、ベンゾジアゼピンがラットにおけるコカイン依存性の一定の態様を媒介するということがさらに以下に示唆される。
【0045】
有用なベンゾジアゼピン又は前頭前野を標的とする薬剤として、上記オキサゼパム、並びにクロルジアゼポキシド、ミルタザピン、アトモキセチン、ガバペンチン(Neurontin(登録商標))、ムシモール、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ビガバトリン、バルプロ酸(Depakote(商標))、チアガビン(Gabitril(登録商標))、ラモトリジン(Lamictal(登録商標))、フェニトイン(Dilantin(商標))、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、及びトピラメート(Topamax(登録商標))が挙げられる。
【0046】
他の有用なベンゾジアゼピンとして、ロラゼパム(Ativan(商標))、プラゼパム(Centrax(商標))、フルラゼパム(Dalmane(商標))、クロナゼパム(Klonopin(商標))、クロルジアゼポキシド(Librium(商標))、ハラゼパム(Paxipam(商標))、テメゼパム(temezepam)(Restoril(商標))、クロラゼプ酸(Tranxene(商標))、ジアゼパム(Valium(商標))、及びアルプラゾラム(XANAX(商標))が挙げられる。
【0047】
交感神経系の活性を抑制する薬剤が含まれる場合、当該薬剤は、βブロッカーであるか、又は別のタイプの抗高血圧薬でありうる。より具体的に、当該薬剤は、ソタロール(Betapace(商標))、イモロール(imolol)(Blocadren(商標))、カルテオロール (Cartrol(商標))、カルベジロール (Coreg(商標))、ナドロール(Corgard(商標)、ナドール/ベンドロフルエタジド(nadol/bendroflunetazide)(Corzide(商標))、プロプラノロール(Inderal(登録商標))、プロプラノロール/HCTZ(Inderide(商標))、ベタキソロール(betaxolol)(Kerlone(商標))、ペンブトロール(Levatol(商標))、メトプロロール(Lopressor(商標))、ラベタロール(Normodyne(商標))、アセブトロール(Sectral(登録商標))、アテノロール/HCTZ(Tenoretic(商標))、アテノロール(Tenormin(登録商標))、チモロール/HCTZ(Timolide(商標))、メトプロロール(Toprol(商標)、ラベタロール(Trandate(商標))、ピンドロール(Visken(商標))、ビソプロロール(Zebeta(商標))、ビソプロロール/HCTZ(Ziac(商標))、エスモロール(Brevibloc(登録商標))、又はそれらの組み合わせでありうる。
【0048】
或いは、又はさらに、交感神経系における活性を抑制する薬剤が含まれる場合、当該薬剤は、SSRIでありうる。現在利用できるSSRI、本組成物及び方法において用いられる任意のSSRI又はその任意の組み合わせとして、シタロプラム (Celexa(登録商標))、シュウ酸エスシタロプラム(Lexapro(登録商標))、フルボキサミン (Luvox(登録商標))、パロキセチン (Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、及びセルトラリン (Zoloft(登録商標))が挙げられる。
【0049】
交感神経系を標的とし、かつ抗不安薬に分類されうる他の有用な薬剤は、アンジオテンシンII阻害剤であり、そしてこれらの薬剤としてカンデサルタン(Atacand(登録商標))、エプロサルタン(Teveten(登録商標))、イルベサルタン (Avapro(登録商標))、ロサルタン (Cozaar(登録商標))、テルミサルタン(Micardis(登録商標))、又はバルサルタン (Diovan(登録商標))が挙げられる。
【0050】
ベンゾジアゼピンは、抗不安薬であり、そしてこれらは、前頭前野を標的とする薬剤、及び/又は交感神経系を抑制する薬剤のいずれかとして本組成物に取り込まれてもよい。
【0051】
本発明は、結晶として存在するか、粉末化されそしてナノ結晶として安定化され、又は非結晶形態で存在していてもいなくても、任意の本化合物(つまり、一般的又は特異的に、組み合わせて使用するための本明細書に提案される任意の化合物)の医薬として許容される塩、溶媒和物、又は水和物、及びそのプロドラッグ、代謝物、構造アナログ、多型、及び他の医薬として有用なバリアントを特徴とする。これらの他のバリアントは、例えば、化合物(例えば、メチラポン)とさらに以下に記載される標的部分、若しくは検出マーカー(例えば、当該化合物は、蛍光化合物に結合わされてもよいし又は放射性アイソトープを含んでもよい)を含む複合体であってもよい。プロドラッグの形態の場合、化合物は、患者又は培養細胞に投与された後に、in vivoで(例えば細胞内で)変化させられる。変化した化合物(つまり、処理されたプロドラッグ)は、本明細書に記載される化合物と同一であり、そして生物学的に活性であるか、又は臨床利得を得るために十分な活性を有する。同じことが、代謝物についても言える;所定の化合物は、細胞内で改変され、そしてそれでも臨床的に有用であるのに十分な生物学的活性を保持することもある。
【0052】
核酸に基づく治療:
本明細書に記載される状態を治療するのに有用な治療薬は、核酸であることもある。これらの核酸は、CRH、ACTH、又はコルチソールの発現を直接的又は間接的に抑制することにより、HPA系を標的とする第一薬剤として作用しうるし、そしてこれらは、GABAを増加させることにより前頭前野を標的とする第二薬剤として作用しうる。第一薬剤と第二薬剤のいずれか又は両方が、交感神経系を抑制する第三薬剤と組み合わせて使用される場合、第三薬剤は、交感神経系における神経伝達物質又はその同属受容体の発現を抑制する核酸(例えば、βアドレナリン受容体の発現を抑制することができる核酸)でありうる。
【0053】
核酸は、「単離」又は「精製」されることがある(つまり、隣接する核酸配列の幾つか又は全て、或いはin vivoで核酸にもともと付随している細胞成分をもはや伴っていない)。例えば、細胞、組織、又は臓器に関して、少なくとも50%の純度(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の純度)でありうる。天然又は改変された核酸配列(例えば、cDNA)が投与される場合、天然遺伝子に付随する5'又は3'の非コード領域の幾つかを含んでもよい。例えば、単離された核酸(DNA又はRNA)は、コード配列に隣接する5'又は3'非コード配列(例えば、mRNA中のプロモーター又はエンハンサーに転写されるDNA配列、又はmRNA中のプロモーター又はエンハンサーを生じさせるRNA配列)の幾つか又は全てを含むことができる。例えば、単離核酸は、核酸の由来もとの細胞において核酸分子に本来隣接している5'及び/又は3'配列の約5kb未満(例えば、約4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、又は0.1kb未満)を含むことができる。当該核酸がRNA又はmRNAである場合において、これらが実質的に細胞内で本来伴っている細胞成分を実質的に含まない場合に、そして当該細胞が培養される場合には細胞を培養する培地及び細胞成分を実質的に含まない場合(例えば、RNA又はmRNAが約20%、10%、5%、1%、又はそれ以下の他の細胞成分又は培養培地しか含まない形態である場合)に、RNA又はmRNAは、天然ソース(例えば、組織)又は細胞培養物から「単離」又は「精製」されていることになる。化学的に合成される場合、核酸(DNA又はRNA)は、その合成において用いられる化学前駆体又は他の化合物を実質的に含まない場合(例えば、RNAが、約20%、10%、5%、1%、又はそれ未満の化学前駆体又は他の化合物を含む形態である場合)に、単離又は精製されていることになる。
【0054】
本明細書に記載される組成物及び方法において有用である核酸は、二本鎖又は一本鎖であってもよく、そしてその結果、センス鎖、アンチセンス鎖、又はセンス鎖若しくはアンチセンス鎖のいずれかの一部(つまり断片)であることもある。核酸は、標準的なヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ又は誘導体(例えば、イノシン、ホスホロチオエート、又はアクリジン置換ヌクレオチド)を用いて合成でき、これらは相補配列と対形成するか又はヌクレアーゼに抵抗する核酸の能力変更できる。核酸の安定性又は溶解性は、核酸塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格を改変することにより変更(例えば改善)することができる。例えば、本発明の核酸は、Toulme(Nature Biotech. 19:17, 2001)又は Fariaら、(Nature Biotech. 19:40-44, 2001)により教示されるように改変することができ、そして核酸のデオキシリボースリン酸骨格は、ペプチド核酸を生成するように改変することもできる(PNAs; Hyrupら, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4:5-23, 1996)。
【0055】
PNAは、当該核酸の天然骨格が、偽ペプチド骨格に置き換えられており、そして4個のヌクレオチド塩基が保持されている核酸「模倣物」である。PNAは、低イオン強度の条件下でDNA及びRNAへの特異的ハイブリダイゼーション許容する。PNAは、例えば、Hyrupら(上記)及び Perry-O'Keefeら(Proc. Natl. Acad. Sci USA 93: 14670-675)により記載される標準固相ペプチド合成プロトコルを用いて合成できる。本明細書に記載される核酸のPNAは、治療及び診断適用において使用できる。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節についてのアンチセンス又は抗原薬剤として使用できる。例えば、PNAは、例えば、転写又は翻訳停止を誘導するか又は複製抑制により、遺伝子発現の配列特異的調節のための抗原薬若しくはアンチセンスとして使用できる。
【0056】
核酸は、患者に投与する前にベクター(例えば、自立複製プラスミド又はウイルス)に取り込まれることがあり、そしてこのようなベクターは、本発明の範囲内である。本発明は、センス又はアンチセンスの向きに本発明の核酸を含む遺伝コンストラクト(例えば、プラスミド、コスミド、及び核酸を輸送する他のベクター)を包含する。核酸は調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、又は他の発現調節配列、例えばポリアデニル化シグナル)に作用可能なように結合することができる。当該ベクターは、自立複製できるか、又は宿主ゲノムに組み込まれることがあり、そしてウイルスベクター、例えば複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、又はアデノ随伴ウイルスでありうる。さらに、存在する場合、調節配列は、核酸の構成的発現又は組織特異的発現を仕向けることができる。
【0057】
核酸は、アンチセンス・オリゴヌクレオチドでありうる。標的配列のコード鎖についての「アンチセンス」である一方、これらの核酸は、コード配列に結合することを必要とせず、これらは非コード領域(例えば、5'又は3'非翻訳領域)に結合することもある。例えば、アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域(例えば、目的の標的遺伝子の-10〜+10、又はポリアデニル化シグナルの中又は周囲の領域)に相補的であることもある。さらに、遺伝子発現は、調節配列(たとえば、プロモーター及び/又はエンハンサー)に相補的であるヌクレオチド配列を標的することにより抑制されて、標的細胞において遺伝子の転写を抑制する3重ヘリックス構造を形成する(一般的に、Helene, Anticancer Drug Des. 6:569-84, 1991; Helene, Ann. NY. Acad. Sci. 660:27-36, 1992; and Maher, Bioassays 14:807-15, 1992)を参照のこと。この様式で上手く標的されうる配列は、いわゆる「スイッチバック」核酸を作成することにより増加されうる。スイッチバック分子は、5'-3'、3'-5'の向きを変えて合成され、その結果、スイッチバック分子は二本鎖の第一鎖と塩基対形成し、そして次に二本鎖のもう一本の鎖とも塩基対形成し、二本鎖のうちの一本鎖上のプリン又はピリミジンのいずれかの相当量のストレッチについての必要性を排除する。
【0058】
少なくとも9〜10のヌクレオチドを有する断片(例えば、12〜14、15〜17、18〜20、21〜23、又は24〜27個のヌクレオチド;siRNAは一般的に21のヌクレオチドを有する)が、有用であり、そして本発明の範囲内である。
【0059】
別の実施態様では、アンチセンス核酸は、アノマー核酸であり、アノマー核酸は相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここで通常のb-ユニットとは異なって、当該鎖は互いに平行に走る(Gaultierら、Nucleic Acids Res. 15:6625-6641, 1987; Tanakaら, Nucl Acids Res. 22:3069-3074, 1994を参照のこと)。或いは、アンチセンス核酸は、2'-o-メチルリボヌクレオチド(Inoueら, Nucleic Acids Res. 15:6131-6148, 1987)又はキメラRNA-DNAアナログ (Inoueら, FEBS Lett. 215:327-330, 1987)を含みうる。
【0060】
抗体:
抗体及びその抗原結合性断片は、本組成物の治療薬として有用である。これらの抗体は、Gクラス(IgG)であってもよいが、IgM、IgD、IgA、及びIgE抗体も使用できる。必要とされるものは、当該抗体が本明細書に記載される標的に特異的に結合し、そして当該標的を、本出願人の発見に沿うように、-その活性を亢進又は抑制することにより変更し、投与された患者に臨床利得を与えるものである。当該抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよく、そして本出願人は、「抗体(単数)」及び「抗体(複数)」という用語を、全抗体またはその断片であって、全抗体の抗原結合ドメインであるか当該ドメインを含む断片を指す。例えば、有用な抗体は、Fc部分を欠くことがあり;一本鎖抗体であることもあり;又は可変性の抗体抗原結合ドメインからなる断片でありうる。抗体は、ヒト化(例えばCDR移植)抗体又は完全なヒト抗体であってもよい。
【0061】
抗体産生方法は当該技術分野に周知である。例えば、上に記載される様に、ヒトモノクローナル抗体は、マウスの免疫グロブリン遺伝子ではなくヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスにおいて産生することができる。(目的の抗原で免疫化した後の)これらのマウスから得られた脾臓細胞を、ヒトタンパク質由来のエピトープに特異的親和性を有するヒトmAbを分泌するハイブリドーマを生成するために使用される(例えば、WO 91/00906号、WO 91/10741号;WO 92/03918号;WO 92/03917号;Lonbergら、Nature 368:856- 859, 1994; Greenら、Nature Genet. 7:13-21, 1994;Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 81 :6851-6855, 1994; Bruggemanら、Immunol 7:33-40, 1993; Tuaillonら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 90:3720-3724, 1993;及びBruggemanら、Eur. J. Immunol 21:1323- 1326, 1991)。
【0062】
様々な領域又はその部分(例えばCDR)が、非ヒト組織(例えばマウス又はラット)で作成される抗体でありうる。こうして、本発明は、キメラ、CDR移植、及びヒト化抗体、並びに非ヒト組織で作成され、そして次に(例えば、可変フレームワーク又は定常領域において)改変されてヒトへの抗原性が低下された抗体を包含する。キメラ抗体(つまり、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体(例えば、マウスmABの可変領域及びヒト免疫グロブリンの定常領域))は、当該技術分野に既知の組換え技術により産生されうる。例えば、マウス(又は他の種の)モノクローナル抗体分子のFc定常領域をコードする遺伝子は、制限酵素で切断して、マウスFcをコードする領域を取り除き、そしてヒトFc定常領域をコードする遺伝子の同等部分がキメラ抗体のために置換されうる(欧州特許出願第125,023号;第184,187号;第171,496号;及び第173,494号を参照のこと;またWO 86/01533号;米国特許第4,816,567号;Betterら、Science 240:1041-1043, 1988;Liuら、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443, 1987; Liuら、J. Immunol 139:3521-3526, 1987; Sunら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218, 1987; Nishimuraら、Cancer Res. 47:999-1005, 1987; Woodら、Nature 314:446-449, 1985; Shawら、J. Natl. Cancer Inst. 80:1553- 1559, 1988; Morrisonら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 81:6851, 1984; Neubergerら、Nature 312:604, 1984;及び Takedaら、Nature 314:452, 1984を参照のこと)。
【0063】
本発明の抗原結合断片は、(i)Fab断片(つまり、VL、VH、CL及びCHlドメインからなる一価断片);(ii)F(ab')2断片(つまり、ヒンジ領域でジスルフィド結合により結合わされる2個のFab断片からなる2価断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の1のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、Nature 341:544-546, 1989);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)でありうる。
【0064】
発現ベクターは、ex vivoで(例えば、本発明のタンパク質は本明細書に記載される発現システムなどの発現システムから生成されうる)又はin vivoで(例えば生体内で)抗体を含む本発明のタンパク質を生産するために使用することができる。
【0065】
製剤及び用量:
HPA系、前頭前野、及び/又は交感神経系を標的とする同定された薬剤は、本明細書に記載される任意の障害又は状態(例えば、依存症、肥満症、外傷後ストレス障害又は関連の状態)を予防、治療、又は改善するために治療有効量で患者に投与されうる。治療有効量は、障害又は状態の少なくとも1の徴候又は症状を改善するために十分な量の薬剤又は薬剤の組み合わせを指す。
【0066】
本発明の文脈で有用な薬剤の多くは、他の理由について患者を治療するために以前に使用されてきた。用量の情報が利用できる場合、現在記載される組み合わせにおける薬剤の有効量を決定する手助けとして使用されうる。依存症、本明細書に記載される他の障害、及び/又は関連障害を治療について患者を治療するために使用される用量は、別の適応症について以前に使用された用量と同じであってもよい。用量は異なってもよい。例えば、本明細書に記載される組み合わせ治療について必要とされる有効量は、安全かつ有効と以前に証明された用量よりも少なくてもよい。
【0067】
本明細書に記載される薬剤の毒性及び治療有効性が必要に応じて、細胞培養又は実験動物における標準的な薬理学的手順によって決定されてもよい。例えば、げっ歯類及び非ヒト霊長類などの実験動物は、LD50(集合の50%に致死的である用量)及びED50(集合の50%に有効な治療用量)を決定するために使用されうる。毒性と治療効力との間の用量比は、治療インデックスであり、これはLD50:ED50の比として表現される。高い治療インデックスを示す化合物が一般的に好ましい。
【0068】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデーターは、ヒトに使用する用量範囲を剤形するのに使用することができる。このような化合物の用量は、ほぼ又は全く毒性を伴わないED50を含む。用量は、使用される投与形態及び使用される投与経路に依存して、この範囲内で変えることができる。本発明の方法において使用された任意の化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイ(例えば、核酸、核酸に基づく薬剤、又は抗体などのタンパク質が阻害(又は刺激)をすることを意図されたリガンド又は受容体の発現又は活性を抑制(又は刺激する)かを決定するように設計されたアッセイ)から最初に見積もることができる。
【0069】
細胞培養で決定されるようにIC50(つまり、症状の最大抑制の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて用量を剤形することができる。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量(例えば治療有効量)をより正確に決定するために使用できる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより計測することができる。
【0070】
薬剤依存症の治療における最も高い関心のうちの1つは、高い割合の常習的犯行である。この現象は、回復期の動物において試験されうる。これは、薬剤摂取を再発する傾向についての広く認められた前臨床モデルであり、そして回復の動物モデルは、本明細書に記載される薬剤の有効量をさらに決定及び規定するために使用できる。例えば、安定な薬剤摂取が維持されるまで、薬剤の自己投与をするように調教され、そして次に長期間の消失トレーニング又は節制にかけられる。消失の基準に合うと、又は一定期間の節制の後に、以前の薬剤注入のデリバリーに関連した操作(manipulandum)についての応答を回復させる特定の刺激能力は、薬剤探索の指標として考えられた。この薬剤探索行動の回復は、薬剤自体をラット及びサルに最初に注射することにより(Stewart, J. Psychiatr. Neurosci. 25:125-136, 2000) 、又は短い期間のラットの足に電気ショックを与えることにより(Shahamら、Brain Res. Rev. 33:13-33, 2000; Stewart, J. Psychiatr. Neurosci. 25:125-136, 2000)誘発することができる。自己投与された薬剤に対する急性の再曝露(de Wit, Exp. Clin. Psychopharmacol. 4:5-10, 1996)及びストレスへの曝露(Shiffman及び Wills、Coping and Substance Abuse, Academic Press, Orlando, 1985; Lamon及び Alonzo, Addict. Behav. 22:195-205, 1997; Brady及び Sonne, Alc. Res. Health 23:263-271, 1999; Sinha, Psychopharmacol. 158:343-359, 2001; 及び Sinhaら、Psychopharmacol. 142:343-351, 1999)、又は単純にストレス関連のイメージの表示(Sinhaら、Psychopharmacol. 158:343-359, 2000)は、ヒトにおいて薬剤探索の再開を誘発する強力な事象として同定されてきた。
【0071】
以下に記載される研究では、発明者は、先ず、他の行為についての非特異的衰弱効果をもたらすことなく、コカインの自己投与を低減するメチラポンとオキサゼパムの各々の用量を発見した。次に発明者は、コカイン自己投与、又は任意の他の観測可能な行為に影響しない各薬剤の用量(つまり、効果のない用量)を見出すまで、用量を半分ずつ低下させた。発明者が効果のない用量の2個の薬剤を混合する場合、コカインの自己投与が低下した。これにより、2つの薬剤は異なるメカニズムを介して影響するが、その効果は相加的であることが示唆された。こうして、出願人は、異なるメカニズムを介してHPA系に影響する薬剤を組み合わせることが、コカイン報酬について相加効果をもたらし得るということを結論付けた。さらに、薬剤が単独で投与される場合に、効果を有さない濃度でこれらの薬剤を投与することにより、出願人は、これらの化合物に付随し得る潜在的な毒性副作用(例えば、血漿コルチソールとメチラポンの過剰な減少及びベンゾジアゼピンの乱用易
罹患性)を最小にすることができる。従って、本発明の組成物は、治療薬の組み合わせであって、そのうちの1つ又は両方が、当該薬が単独で投与された効果を達成するために必要とされるよりも低い用量レベルで存在する組み合わせを含み、ここで用量が相加的でありうる。
【0072】
本発明に従って使用するための医薬組成物は、1以上の生理的に許容される担体又は賦形剤を用いて任意の慣用的な様式で剤形することができる。こうして、化合物及びその生理的に許容される塩及び溶媒和物を含む薬剤は、経口又は非経口投与による投与用に剤形することができる。
【0073】
経口投与では、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ポテトデンプン又はグリコール酸ナトリウムデンプン);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬として許容される賦形剤を用いて慣用的な手段により製造された錠剤又はカプセルの形態をとることができる。錠剤は、当該技術分野に周知の方法により被膜されうる。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ、又は懸濁液の形態をとることができ、又はこれらは、使用前に水又は他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として製造することができる。このような液体製剤は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油エステル、エチルアルコール又は分画植物油);及び保存剤(例えば、メチル又はプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸又はソルビン酸)などの医薬として許容される添加物を用いて慣用的な方法により製造することができる。当該調製品は、適宜、緩衝塩、香味剤、着色剤、及び甘味剤を含むこともできる。
【0074】
経口投与用の製剤は、活性化合物(本出願人らは、本明細書で「治療薬」と呼ぶこともある)の制御放出を与えるように適切に剤形することができる。
【0075】
化合物(例えば、有機小分子)を含む薬剤は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続輸液による)非経口投与用に剤形することができる。注射用の製剤は、(例えばアンプル中に又は多用量容器中に)保存剤を加えた単位用量形態であってもよい。組成物は、油又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又は乳濁液などの形態を取ることもでき、そして懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの製剤化物質を含むことができる。或いは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態であることもある。
【0076】
以前に記載された製剤に加えて、本薬剤は、デポー製剤として剤形されてもよい。このような長期間作用性の製剤は、インプラントにより(皮下又は筋肉内に)又は筋中注射により投与することができる。こうして、例えば、薬剤は、適切なポリマー又は疎水性物質で(許容される油中の乳濁液として)剤形することができるか、又はイオン交換レジン、又は発泡性可溶性誘導体、例えば発泡性の可溶性塩として剤形されうる。
【0077】
本組成物は、他の投与経路、例えば鼻腔内、局所、及び粘膜(例えば、舌下投与による)を含む経路用に剤形されることもある。
【0078】
組成物は、所望される場合、活性成分を含む1以上の単位用量を含むことができるパック又はディスペンサー装置中に存在することもある。パックは、例えば金属又はプラスチック製のホイル、例えばブリスターパックを含むことができる。パック又はディスペンサー装置は、投与説明書を伴っていることがある。様々な提示形体(例えば、パック及びディスペンサーの方法による提示)が、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
アンチセンス核酸を含む核酸は、全身に投与することができ、そしてその場合、HPA系、前頭前野及び/又は交感神経系内の選択された細胞を標的するように改変されてもよい。例えば、アンチセンス核酸は、細胞表面受容体又は標的II型と関連する他の成分に特異的に結合する抗体又は他のタンパク質(例えば、受容体リガンド)に結合されることがある。同様に、核酸は、細胞膜(例えば、Letsingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-6556, 1989; Lemaitreら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648-652, 1987; 及び WO 88/09810)又は血液脳関門 (例えば、WO 89/10134号を参照のこと)を通した移動を促進する薬剤を含むことができる。さらに、核酸は、インターカレット剤で改変されることもある(Zon, Pharm. Res. 5:539- 549, 1988)。アンチセンス核酸は、本明細書に記載されるベクターを用いて細胞にデリバリーすることができる。アンチセンス核酸の十分な細胞内濃度を達成するために、強力なプロモーター(例えば、強力なpol II又はpolIIIプロモーター)を有するベクター内でこれらを発現することができる。
【0080】
具体的な実施態様では、本発明は、HPA系を標的とする第一薬剤、及び前頭前野を標的とする第二薬剤を含む医薬組成物を特徴とする。第一薬剤は、CRHを抑制し、ACTHを抑制し、及び/又はコルチソールを抑制する薬剤であり、そして第二薬剤は、GABAの発現、分泌、又は活性を増加させる薬剤、GABA模倣物であり、そしてGABA代謝物を抑制する。第一薬剤及び/又は第二薬剤のいずれかが、化合物でありうる。例えば、第一薬剤は、メチラポン (Metopirone(商標))又はケトコナゾール(Nizoral(登録商標))又はその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型で在りうる。第二薬剤は、ベンゾジアゼピン(例えば、オキサゼパム又はクロルジアゼポキシド)又は塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又はその多型で在りうる。第二薬剤は、ミルタザピン又はアトモキセチン又は塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又はその多型でありうる。別の有用な第二薬剤は、ガバペンチン (Neurontin(登録商標))又は塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型、或いはムシモール又はバクロフェン、又はその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である。さらに有用な第二薬剤は、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ビガバトリン、バルプロ酸 (Depakote(商標))、チアガビン(Gabitril(登録商標))、ラモトリジン (Lamictal(登録商標))、フェニトイン (Dilantin(商標))、カルバマゼピン (Tegretol(登録商標))、及びトピラメート (Topamax(登録商標))又はその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である。医薬組成物のいずれかは、経口投与用に又は静脈内投与用に剤形されることもある。単位用量における第一薬剤の量又は第二薬剤の量は、同じ単位用量を必要とする患者に現在又は一般的に処方される第一薬剤又は第二薬剤の量よりも少なくできる。薬剤を組み合わせることは、予定される現在の所定用量、一般的に処方される用量よりも低い用量で投与することを可能にする。例えば、医薬組成物は、単位用量形態の約5〜60mgのオキサゼパム及び約250〜1000mgのメチラポン(Metopirone(商標)) を含むことができる。これらの組成物のいずれかは、交感神経系において活性を抑制する第三薬剤をさらに含むことができる。第三薬剤は、βブロッカー(例えば、ソタロール(Betapace(商標))、イモロール(Blocadren(商標))、カルテオロール (Cartrol(商標))、カルベジロール (Coreg(商標))、ナドロール (Corgard(商標))、ナドール/ベンドロフルエタジド(Corzide(商標))、プロプラノロール (Inderal(登録商標))、プロプラノロール/HCTZ(Inderide(商標))、ベタキソロール(Kerlone(商標))、ペンブトロール (Levatol(商標))、メトプロロール(Lopressor(商標))、ラベタロール(Normodyne(商標))、アセブトロール(Sectral(登録商標))、アテノロール/HCTZ(Tenoretic(商標))、アテノロール (Tenormin(登録商標))、チモロール/HCTZ(Timolide(商標))、メトプロロール(Toprol(商標))、ラベタロール(Trandate(商標))、ピンドロール(Visken(商標))、ビソプロロール(Zebeta(商標))、ビソプロロール/HCTZ(Ziac(商標))、又はエスモロール(Brevibloc(登録商標)))又は他の抗不安薬化合物(例えば、SSRI、例えばシタロプラム(Celexa(登録商標))、エスシタロプラム・オキサレート(Lexapro(登録商標))、フルボキサミン(Luvox(登録商標))、パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、又はセルトラリン(Zoloft(登録商標)))を含むことができる。抗不安薬化合物又は薬剤は、アンジオテンシンII阻害剤(例えば、カンデサルタン(Atacand(登録商標))、エプロサルタン(Teveten(登録商標))、イルベサルタン(Avapro(登録商標))、ロサルタン(Cozaar(登録商標))、テルミサルタン(Micardis(登録商標))、又はバルサルタン(Diovan(登録商標)))でありうる。
【0081】
輸送、貯蔵、及び後の希釈に適した濃縮組成物も本発明の範囲内である。
【0082】
上に記載される医薬組成物は、本明細書に記載される方法、例えば、以下に記載される使用の目的の(例えば、医薬の製造において使用するため、及び/又は本明細書に記載される疾患又は病気を治療するための医薬の製造において使用するための)方法において使用されうる。
【0083】
治療方法:
記載される様に、本明細書に記載される組成物は、HPA系において異常な活性を伴う障害を患う患者を治療するために使用できる。治療法は、様々なステップを含むことができ、そのうちの1つは、治療を必要とする患者を同定することを構成する。医師は、依存症、及び/又は本明細書に記載される他の状態を患うと疑われる患者を検査及び診断できる。二者択一でなされうる診断後に、医師は、治療有効量の組成物(例えば、HPA系を標的とする第一薬剤と前頭前野を標的とする第二薬剤を含む医薬組成物)を処方できる。患者は、アルコール、化学刺激物、疼痛緩和処方薬(又は処方された疼痛緩和薬)、又は天然植物由来の薬剤などの物質に対する依存症を患っていることがある。化学刺激薬は、コカイン、アンフェタミン、メタアンフェタミン又は結晶性メチルアンフェタミン・ヒドロクロリド、又はメチルフェニデートであることもある。具体的な薬剤のアナログが依存性である場合、これらのアナログに対する中毒も治療することができる。
【0084】
薬剤は、バルビツール酸系催眠薬(例えば、チアミル(thiamyl)(Surital(商標))、チオペンタール(Pentothal(登録商標))、アモバルビタール(Amyta(商標))、ペントバルビタール(Nembutal(登録商標))、セコバルビタール(Seconal(商標))、ツイナール(Tuinal)(アモバルビタール/セコバルビタールの組み合わせ剤)、ブタルビタール(Fiorina(商標))、ブタバルビタール(Butisol(商標))、タルブタール(Lotusate(商標))、アプロバルビタール(Alurate(商標))、フェノバルビタール(Luminal(商標))、及びメフォバルビタール(Mebaral(商標))、オピエート(oropiate)(例えば、ヘロイン、コデイン、ヒドロコドン)であってもよい。
【0085】
天然の植物由来薬剤は、マリファナ及びタバコを含む。本明細書に記載された組成物は、これらの物質及び/又はこれらのなかのより特異的な成分(例えばタバコの中のニコチン)に依存性のある患者を治療するために使用することができる。依存症は、ギャンブル、性交、又は性的行為、又は過食(過食は、摂食障害と関連することもあるし又は肥満をもたらすこともある)などの行為への依存症として現れることもある。より一般的に、摂食及び睡眠障害は、本組成物での治療により治療されやすい。摂食障害として、神経性無食欲症、過食症及び特定不能の摂食障害(EDNOS)が挙げられる。幾つかの研究により、拒食症におけるHPA系の機能が試験されてきた。増加した中枢コルチコトロピン放出ホルモンレベルとアドレノコルチコトロピンホルモンの通常の循環レベルを伴った副腎皮質機能亢進症が主な発見であった。神経性無食欲症を診断することが難しい一方、当該障害を患う患者は、内分泌機能不全を示し、しばしば無月経、異常温度調節、異常成長ホルモンレベル、及び以上摂食などの徴候を示す。本方法は、治療を必要とする患者を同定するステップを含むことができ、そしてこれらの特徴は、神経性食欲不振症を診断する医師により使用されるものの範囲の中でありうる。
【0086】
本組成物は、プラダー・ウィリ症候群を患う患者を治療するために使用することができ、そしてこのような患者の治療方法は、本発明の範囲内である。
【0087】
睡眠障害として、不眠症、睡眠時無呼吸障害、むずむず脚症候群(RLS)及び周期性四肢運動異常症(PLMD)、及び過眠症が挙げられる。
【0088】
治療の影響を受けやすい他の患者として、不安症(不安症は、パニック障害、強迫性障害 (OCD))、外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害を伴うこともあるし、又は全般性不安障害であることもある)を患う患者が挙げられる。病気がうつ病である場合、大うつ病性障害または気分変調症、双極性うつ病に関連するうつ病であることもあり、又は医学状態又は物質乱用と関連することもある。うつ病又は他の主要な情動障害を発達させるリスクは、遺伝的感受性、環境曝露、及び加齢とのあいだの複雑な相互作用により決定される。
【0089】
治療の影響を受けやすい他の患者として、統合失調症を患う患者;注意欠陥多動性障害(例えばADD又はADHD)を患う患者;更年期障害を経験した患者;及び月経周期に関する症候群(例えばPMS)を患う患者が挙げられる。
【0090】
本明細書に記載される障害及び症状は、種々にカテゴリー化されてもよく、そして様々な方法で互いに関連してもよい。例えば、社会的不安症は、摂食障害に関与することもあり、そして他の不安症に付随する病気、例えばPTDSは、睡眠障害としての徴候を示すこともある。臨床的にうつ病と診断された患者は、睡眠障害を患うこともある。進行性の障害と特徴付けられた依存症は、別の精神神経疾患の症状を軽減する処方薬又は非処方薬の自己投与から始まることがある。例えば、患者は、うつ病又は不安症の事象におけるアルコール又はマリファナの自己投与し、又はその結果としての睡眠困難を治療するために睡眠補助剤を自己投与することがある。障害と、関連障害又は症状との間の関係は、同様に異なる方向に行き着くことがある。例えば、不眠症におけるHPA系の慢性的活性化は、不眠症患者を精神病(つまり、慢性の不安症及びうつ病)にするリスクとなるばかりでなく、このような活性化に関連するひどい病的状態にするリスクとなる。不眠症は、医療において最も一般的に遭遇する睡眠障害である。様々な精神病又は医療障害の徴候として、又はストレス状況の結果として、慢性及び重篤な不眠症が、区別された障害として患者により認知される(Vgontzasら、J. Clin. Endocrinol. Metabl. 86;3787-3794, 2006を参照のこと)。不眠症を含む睡眠障害は、更年期障害の間に生じるか、又は患者がPMSを患った際に生じうる。
【0091】
本明細書に記載される適応症のカテゴリー化において幾らかの重複がありうるように、適応される薬剤の性質及び/又は分類される様式においていくらかの重複がありうる。例えば、そして上に記載される様に、ベンゾジアゼピンは、前頭前野を標的化する「第二」薬剤として用いられうる。ベンゾジアゼピンは、抗不安薬としても分類でき、それゆえ本明細書に記載される「第三」薬剤として適している。
【0092】
治療の成功は、客観的尺度(例えば、患者が物質又は行為に依存する場合、薬剤又は他の中毒性の行為の頻度又は重篤度の低下)、健康の一般的な改善(例えば、血圧、腎機機能、肝臓機能、又は血球数の改善)、及び/又は主観的測定(例えば、物質又は行為に対する渇望の低下又は多幸感(better sense of well being)(例えば、患者が不安症又は不安症関連障害を患う場合、不安症の低下、気分の改善、多幸感の増加、又は日々のストレス原因と折り合いをする能力の改善)についての患者の報告)を含む様々な方法において評価される。治療された病気が摂食障害又は睡眠障害である場合、治療は、通常の摂食又は睡眠パターンに効果的に戻ったことを判断することによって評価できる。
【0093】
具体的な実施態様では、HPA系における異常活性に付随する障害を患う患者を治療する方法を特徴とする。当該方法は、(a)治療を必要とする患者を同定し;そして(b)当該患者に治療有効量の本明細書に記載される組成物を投与するステップを含みうる。障害は、依存症、不安症、統合失調症、又はうつ病を含みうる;当該障害は、物質(例えば、化学刺激薬、例えばオピエート(例えばヘロイン、コデイン、ヒドロコデイン、又はそれらのアナログ)、ニコチン、アルコール、疼痛軽減処方薬、又はニコチンなどの天然植物由来薬剤)への依存症でありうる。化学刺激物質は、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、又はそれらのアナログでありうる。
【0094】
障害は、ギャンブル又は性的行為又は過剰摂食への従事などの行為に対する依存症であることもある。
【0095】
患者が不安症を患う場合、不安症は、パニック障害、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害、又は全般性不安障害と関連しうる。患者がうつ病を患う場合、うつ病は、大うつ病又は気分変調と関連し、双極性うつ病と関連し、又は医学的状態又は物質乱用と関連しうる。記載される様に、障害は、摂食障害又は睡眠障害、或いは破壊的行動障害でもありうる。
【0096】
当該方法は、更年期障害又は月経周期の所望されない症状を患う患者の治療において、(a)治療の必要性のある患者を同定し;そして(b)当該患者に本明細書に記載される組成物の治療有効量を投与することにより行なわれうる。デリバリーされる組成物の量は、治療有効量であり、有効性は、不安症、うつ病、又は睡眠困難を含む症状の軽減によって判断される。
【0097】
本発明は、医薬の製造における本明細書に記載される組成物の使用を特徴とする。本発明はさらに、文脈に関わらず、肥満、摂食障害;睡眠障害;うつ病;破壊性行動障害;統合失調症;及び/又は不安症の治療のための医薬の製造における本明細書に記載される組成物の使用を特徴とする。
【実施例】
【0098】
ラットにおけるコカイン自己投与に対する低用量の薬物治療の組み合わせの効果
ここに記載される試験は、依存症(より具体的にコカイン乱用)の治療のための、本明細書に記載される治療に沿った薬物治療の組み合わせを試験する。このアプローチを用いて、ストレス原因物質に対する体の応答について同様の効果を最終的にもたらす異なる作用メカニズムを使用すると信じられている2つの化合物を、単独では効果がないか又はずっと効果の低い用量で組み合わせて投与される。成体雄ウィスターラットを、コカイン自己投与と食餌自己投与との交互の複数回のスケジュールの下でで訓練した。このスケジュールは、コカインへのアクセスと食餌強化の期間とを交代することからなる。幾つかの例では、以下にさらに記載される様に、コカインの3つの用量(0.125、0.25、又は0.50mg/kg/注射)を試験した。同じセッションの間に、生理食塩水置換(コカイン消失(cocaine extinction))及び食餌枯渇で一定期間トレーニングした。
【0099】
これらの研究により、コルチコステロン合成阻害剤であるメチラポン及びケトコナゾール、ベンゾジアゼピン、クロロジアゼポキシド、アルプラゾラム及びオキサゼパム及びCRH受容体アンタゴニストであるCP-154526を用いた前処理は、全て、ラットにおいてコカイン自己投与及び消失したコカイン探索からの回復を低減するという結果が支持される。出願人は、HPA系の活性の契機誘導性の増加を低減することにより、そしてそれによりCRH、ACTH及びコルチソール(コルチコステロン)の契機誘導性の分泌を低下し、そして前頭前野における活性の契機誘導性の変化を低減させることにより、再発の可能性を低下するものと考える。
【0100】
試験した組み合わせ
出願人が試験した薬剤の組み合わせとして、(1)メチラポンとオキサゼパム;(2)ケトコナゾールとアルプラゾラム;(3)ケトコナゾールとオキサゼパム;(4)メチラポンとアルプラゾラム;(5)ムシモールとCP-154,526;そして(6)ムシモールとメチラポンが挙げられる。薬剤の組み合わせは、各クラス(例えばメチラポンとオキサゼパム)からの少なくとも1の薬剤からなる。記載されるように、当該薬剤は、その通常の有効量よりも低い用量で組み合わせられ、そして相加又は相乗効果が発揮された。
【0101】
コカイン自己投与のトレーニング:
出願人のモデルでは、ラットをコカイン自己投与及び食餌強化に対して交互に15分間づつアクセスさせた。薬剤及び組み合わせ剤の潜在的非特異的な運動失調効果を調節するために食餌を使用した。理想的な薬剤又は薬剤の組み合わせは、摂餌維持応答(food maintained responding)に影響することなくコカイン自己投与を低下させるものである。出願人が用いた他の前臨床モデルは、消失したコカイン探索の再発モデル(extinguished cocaine seeking model of relapse)の契機誘導性(cue induced)の回復である。このモデルでは、ラットはコカインを自己投与するように訓練され、そして消失した応答性を回復させる周囲環境における条件付け契機の能力が、再発の尺度として評価されそして解釈される。
【0102】
より具体的に、成体雄ウィスターラットに留置頚部カテーテルをインプラントした。手術から回復した後に、食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュールの下で応答するように当該ラットをトレーニングした。様々な治療の非特異的な運動作用を調節するために摂餌維持応答を使用した。当該スケジュールの食餌期間の間、食事強化を利用できることを示すために、食餌応答レバーの上に配置された刺激光を点けた。最初に、食餌応答レバーを押すごとに、食餌刺激光を少しの時間消し(0.6秒)、そして食餌ペレット(45mg)をデリバリーした。次に各食餌ペレットのデリバリーに続き25秒間中断させた。この中断時間の間は、刺激光を消し、食餌レバーの押し回数を計数したが、予定された結果を与えなかった。食餌期間の間における他の(コカイン)レバーの押し行動もまた予定された結果を与えなかった。食餌レバーの応答要求を、数回のセッションの間に、連続強化から食餌の提示に4回の押し行動を必要とする定率の4回強化スケジュール(fixed-ratio four schedule)へと増加させた。食餌に15分間アクセスさせたことに続き、チャンバー内の全ての刺激光を1分間消した。この中断時間に続き、コカイン(0.125、0.25、又は0.5mg/kg/注射)を利用できることを示すためにコカイン応答レバー上の刺激光を点けた。最初に、コカイン応答レバーを押すごとに少しの時間刺激光を消し、そしてコカインを注入した(5.6秒間に200μlをデリバリーした)。各注入に続き20秒間の中断時間をおいた。コカインの応答要求を、徐々に定率の4回強化スケジュールへと増加させた。コカインへの15分のアクセスと1分間の中断時間の後に、次に当該スケジュールの食餌期間に15分間アクセスさせた。食餌とコカインへのアクセスを2時間の行動セッションの間に15分ごとにこの様式で抗体し、その結果、各ラットを食餌及びコカインへと15分間づつ4回アクセスさせた。各行動セッションは、食餌又はコカインのいずれかへの15分間のアクセスで始まり、そして毎日変更された。コカイン及び食餌の提示の合計数、並びに各セッションにおける4回のアクセスの各々の間における提示回数が、3回の連続セッションについて10%未満しか変化しない場合に、応答の安定したベースラインが確立された。少なくとも3の異なる用量のコカイン(0.125、0.25、及び0.5mg/kg/注射)を試験した。ラットを最初に0.25mg/kg/注入、出願人の標準コカイン用量、で自己投与するようにトレーニングした。応答が安定した場合に、用量は、適宜0.125又は0.5mg/kg/注入に変化させた。最初にこの中程度のコカイン用量(つまり0.25mg/kg/注入)でラットをトレーニングすることが、低用量(つまり、0.125mg/kg/注入)での安定化を早める。
【0103】
応答の安定したベースラインが得られると、様々な化合物についての用量応答曲線は、各ラットについて個別に作成された。ラットを各用量で少なくとも2回処理し、最低2日のベースラインコカイン自己投与を各テストの間に組み入れた。ラットの各群を、潜在的な持ち越し効果を最小にするために、試験化合物のうちの2つのみで試験した。摂餌維持応答に影響する(つまり、高用量)ことなく、少なくとも50%だけコカイン自己投与を低減させた最小有効量は、各化合物について測定された。薬剤組み合わせ実験について選択された用量は、最小有効用量の2分の1であり、そしてこの用量は、コカイン自己投与を10%未満の低下しかもたらさない(つまり有効でない用量)。最小有効用量の2分の1が10%超コカイン自己投与を低減させたならば、当該用量はもう一度2分の1に低減された。例えば、ケトコナゾールの最小有効用量は25mg/kgであり、そして出願人は、アルプラゾラム及びオキサゼパムと一緒に、出願人の研究において12.5mg/kgで成功裏に使用された。当該用量(12.5mg/kg)は単独で試験された場合に、コカイン又は摂餌維持応答に影響を与えなかったが、同様に効果のない用量のアルプラゾラム(つまり、1.0mg/kg、ip)又はオキサゼパム(10mg/kg、ip)と組み合わせた場合にコカイン自己投与を低減させた。この原理により、組み合わせ試験における各化合物の用量の選択が導かれる。各実験群は、8〜10のラットからなった。
【0104】
消失したコカイン探索の契機誘導性の回復
ここに記載される実験は、コカイン自己投与を低減する点で有効であると同定された薬剤の組み合わせが、消失したコカイン探索行動を回復させる条件付け契機の能力を阻害するか否かを調べるように設計された。成体雄ウィスターラットに留置頚椎カテーテルをインプラントし、そして1週間に5日間行なわれる毎日2時間のセッションの間における定率の4回強化スケジュール(FR4)の下で、実験チャンバー内の応答レバーの一つ(つまり、「活性」又は「コカイン」レバー)を押すことにより、コカイン(0.25mg/kg/注入)を自己投与するように訓練された。各セッションの開始において、両方のレバーをチャンバーへと伸ばし、そしてコカインが利用できることを示すために活性レバーの上の刺激光を点けた。最初に、活性レバーを押すごとに、コカインの静脈内注入をもたらし、そして部屋の光と音の複合刺激(つまり、条件付け契機又は二次的強化因子)の同時の提示をもたらす。各注入に続き20秒間の中断がされた。活性レバー上の刺激光、及び部屋の光と音の複合刺激は、当該中断時間のあいだ消され、そして活性レバー上の光が中断時間が終わると点灯された。活性レバー上の応答が連続する2日間で20%未満しか変化しなかった場合に、応答要求をFR2へと増加させた。FR2スケジュール又は強化の下で同様の安定性が観測された場合に、応答要求を最終定率4に増加させた。FR4の強化スケジュールの下での安定応答についての基準は、当該スケジュールに最低10日間かけられることであり、当該基準は10%未満応答が変化した場合に少なくとも連続3日間で結論付けられる。不活性レバーの押し行動は計数されたが、全ての場合でプログラムされた結果をもたらさなかった。ひとたび安定なコカイン自己投与が観察された場合、ラットを消失状態(extinction)にかけた;当該状態において、ラットは行動チャンバーに入れられたが、「コカイン」(活性)レバーへの応答はプログラムされた結果をもたらすことがない。消失トレーニングは、応答がベースライン自己投与の20%未満に低減するまで続けられた。次に、回復試験が行なわれた。ラットを実験チャンバーにいれ、応答レバーをチャンバーに設置し、そして「活性」レバー上の刺激光を自己投与トレーニングの間と同様に点けた。強化の間に、活性レバーについての応答は、条件付け強化因子(つまり、自己投与の間にコカインと一緒に与えられた部屋の光と音の複合刺激)の5.6秒間の提示をもたらした。「不活性」レバーについての応答を計数したが、計画された結果をもたらさなかった。強化試験の間の「活性」レバーについての応答は、コカイン探索行動の指標としてとられた。各実験群は8〜10のラットからなった。
【0105】
コカインの静脈内自己投与についてのメチラポンとオキサゼパムの効果:
これらの実験は、食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュール下のラット応答における静脈内コカイン自己投与についてのメチラポンとオキサゼパムの組み合わせの効果を決定するように設計された。当該結果を図1Aのグラフに示す。左側の1つめの棒グラフ(Ext)は、生理食塩水の注入のみをもたらす「活性」レバーに応答する場合の消失の結果を示す。2つ目の棒グラフ(Veh)は、治療薬についてビヒクル(0.9%生理食塩水中の5%Emulphor(登録商標))での前処理に続き自己投与されたコカイン注入回数を示す。「高用量Met」の棒グラフは、高用量のメチラポン(25〜175mg/kg、ip)で前処理後のコカインの注入回数を示し、一方「高用量OX」棒グラフは、高用量のオキサゼパム(5〜80mg/kg、ip)で前処理後の自己投与されたコカイン注入回数を示す。
【0106】
メチラポンとオキサゼパムの両方が、この用量で摂餌維持応答に影響を与えることなくコカイン自己投与を低減した。「低用量Met」と「低用量OX」の棒グラフは、効力のない低用量のメチラポン及びオキサゼパム(オキサゼパム5〜25mg/kg、ip;メチラポン25〜50mg/kg、ip)単独で前処理した後の応答を示す。明らかにこれらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与(又は摂餌維持応答)に有意に影響することはなかった。「低用量COM」の棒グラフは、薬物治療の組み合わせ(つまり、メチラポンとオキサゼパムの効果的でない用量からなる注入)をデリバリーした後に自己投与されたコカイン注入回数を示す。見て分かるように、メチラポンとオキサゼパムからなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響することなく消失レベルにまでコカイン自己投与を低減し、他の強化因子(つまり、食餌)への応答又は意欲に影響を与えることなくコカインを探索する意欲を低減させることを示唆する。
【0107】
図1Bは図1Aに示されるのと同じデーターを示すが、当該データーは試験された条件下でベースラインの注入回数に対する割合として表された。高用量のメチラポンとオキサゼパムは、コカイン自己投与をベースラインの自己投与回数の50%未満に低減させた一方、低用量は、10%以下だけ自己投与を低減した。図1Aと同様に、低用量のオキサゼパムとメチラポンの組み合わせは、消失の間に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減した。
【0108】
図2Aは、異なるラット群が異なるコカイン用量を自己投与するように訓練された場合におけるコカイン自己投与についての有効でない用量のメチラポンとオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を調べるように設計された実験を示す。高用量のコカインが利用された場合、ラットが薬物治療の組み合わせの効果に打ち勝つことができるか否かを決定することが重要である。これは、薬物治療の組み合わせの効果に打ち勝つために自分へのコカイン摂取を増やすコカイン中毒に類似している。X軸の数字は自己投与されたコカインの用量を表す。「生理食塩水」は生理食塩水がシリンジ内に入っていた場合(つまり消失)の自己投与されたコカイン注入回数を表す。「ビヒクル」は、薬物治療用のビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)がコカイン自己投与セッションの開始前にデリバリーされた場合の自己投与されたコカイン注入回数を表す。「COMBO」は、有効でない容量のメチラポンとオキサゼパムの組み合わせで前処理されたのちに自己投与されたコカイン注入回数を示す。明らかに、この組み合わせ剤は、自己投与に利用されたコカインの用量に関わらずコカイン自己投与を消失レベルにまで低減した。これにより、薬物治療の組み合わせは、コカインの摂取又は用量を増加させることにより容易に克服されることはないであろうということが示唆される。
【0109】
図2Bは、図2Aと同じデーターを示すが、データーは異なる条件下におけるベースラインの注入回数に対する割合として示される。図2Aは、低用量のオキサゼパムとメチラポンの組み合わせが、自己投与に利用できるコカインの用量に関わらず消失の間に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減するということを示す。
【0110】
出願人は、ラットにおける消失したコカイン探索の契機誘導性の回復についてのメチラポンとオキサゼパムの組み合わせの効果を示す実験も行なった。図10を参照すると、「SA」と付された棒グラフは、コカイン自己投与の間における「活性」レバーについて成される応答回数を示す。「EXT」と付された棒グラフは、生理食塩水の注入のみをもたらす当該レバーについての応答する際に消失の間に於ける「活性」レバーについての応答回数を示す。3つ目の棒グラフ「VEH」は、治療薬のビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)での前処理に続いて回復試験の間の「活性」レバーについての応答回数を示す。最後の棒グラフ「COMBO」は、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、コカイン自己投与実験において決定される効果的でない用量のメチラポンとオキサゼパムからなる注射(図1Aを参照のこと))後の回復試験の間の「活性」レバーについての応答回数を示す。薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン探索(つまり、回復の間の活性レバーへの応答)を低減した。組み合わせ治療は、摂餌維持応答に影響することなく消失レベルにまで回復(再発)を低減させた。これにより、当該組み合わせ剤が、別の強化因子(つまり、食餌)への応答又は意欲に影響を与えることなくコカインを探索する意欲を低減させた。
【0111】
コカインの静脈内自己投与についてのケトコナゾールとアルプラゾラムの効果:
食餌強化とコカイン自己投与の交互の複数回のスケジュールの下でのラット応答における静脈内コカイン自己投与についてのケトコナゾールとアルプラゾラムの組み合わせの効果を決定するようにこれらの実験を設計した。データーを図3に示す。色のついた棒グラフ(VEH)は、ビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)で前もって処理された後に自己投与されたコカイン注入回数を示す。色のついてない棒グラフ(EXT)は、「活性」レバーへの応答が生理食塩水の注入のみをもたらす際の消失の結果を示す。「ALP」(ストライプ)及び「KETO」(薄く影付きの)棒グラフは、有効でない量の低用量のアルプラゾラム及びケトコナゾール単独(アルプラゾラム0.2〜2mg/kg、ip;ケトコナゾール5〜75mg/kg、ip)での前処理後の自己投与を表す。明らかに、これらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与(又は摂餌維持応答)に有意に影響を与えることはなかった。「COMBO」(小さいストライプ)の棒グラフは、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、有効でない量のアルプラゾラムとケトコナゾールからなる注射)後に自己投与されたコカイン注入回数を示す。明らかに見てとれるように、アルプラゾラムとケトコナゾールからなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減させた。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えない消失レベルにコカイン自己投与を低減した。これにより、当該組み合わせが別の強化因子(つまり食餌)の応答又は意欲に影響することなくコカインを探索する意欲を低減させるということが示唆される。また、薬物治療の組み合わせの効果が、少なくとも2の異なるコルチコステロン合成阻害剤及び2の異なるベンゾジアゼピンで観察されるということがこれらのデーターにより示される。
【0112】
図4を参照すると、出願人は、異なるラット群が異なる用量のコカインを自己投与するようにトレーニングされた場合にコカイン自己投与について有効でない用量のケトコナゾール(例えば、12.5mg/kg、ip)及びアルプラゾラム(例えば、1mg/kg、ip)の組み合わせの効果を調べるように設計された実験の結果を検討した。メチラポンとオキサゼパムについての出願人の試験において上で与えられたのと同じ理由でこれは重要である。X軸の数字は、自己投与されたコカインの3個の用量を表す。「ビヒクル」は、ビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)がデリバリーされた場合に自己投与された注入回数を示す。「Keto12.5」は、有効でない量のケトコナゾール(つまり、12.5mg/kg、ip)のデリバリーの後に自己投与されたコカイン注入回数を指す。その一方「Alp1」は、有効でない用量のアルプラゾラム(つまり、1mg/kg、ip)のデリバリーの後に自己投与されたコカイン注入回数を表す。「Keto/Alp」は、有効でない用量のケトコナゾールとアルプラゾラムの組み合わせで前処理された後に自己投与されたコカイン注入回数を表す。明らかに、この組み合わせ剤は、自己投与に利用できるコカインの用量に関わらず、コカイン自己投与を有意に低減した。これにより、薬物治療の組み合わせの効果が、コカインの摂取又は用量を増加させることによって容易に克服されることはないということが示唆される。
【0113】
コカインの静脈内自己投与についてのケトコナゾールとオキサゼパムの効果:
これらの実験は、食餌強化とコカイン自己投与の交互の複数回のスケジュールの下で応答するラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのケトコナゾールとオキサゼパムの組み合わせの効果を決定するように設計された。図5を参照すると、色付きの棒グラフ(VEH)は、治療薬用のビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)で予め処理された後に自己投与されたコカイン注入回数を指す。色のついてない棒グラフ(EXT)は、「活性」レバーに対する応答が生理食塩水の注入のみをもたらす場合の消失の結果を示す。ストライプの棒グラフ(OX)及び影付きの棒グラフ(KETO)は、有効でない低用量のオキサゼパムとケトコナゾール(オキサゼパム10mg/kg、ip;ケトコナゾール12.5mg/kg、ip)を単独で用いて前処理された後の自己投与を表す。これらの用量は、単独で投与された場合に、コカイン自己投与(又は摂餌維持応答)に有意に影響することはない。小さいストライプの棒グラフ(COMBO)は、薬剤治療の組み合わせ(注射液は、有効でない容量のオキサゼパムとケトコナゾールからなる)のデリバリー後に自己投与されたコカイン注入回数を示す。図5に見てとれるように、オキサゼパムとケトコナゾールからなる薬物治療の組み合わせは、当該活性レバーが消失の間に押された場合に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えることなく消失レベルにまでコカイン自己投与を低減させ、組み合わせ剤が別の強化因子(つまり食餌)についての応答又は意欲に影響することなくコカインを探索する意欲を低減するということを示唆する。これらのデーターにより、さらに、薬物治療の組み合わせの効果は、種々のコルチコステロン合成阻害剤と種々のベンゾジアゼピンで観察されるということがさらに示される。
【0114】
コカインの静脈内自己投与についてのCP-154,526とオキサゼパムの効果:
食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュールの下で応答するラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのCP-154,526とオキサゼパムの組み合わせの効果を測定するようにこれらの実験を設計した。試験される条件下でベースライン注入に対する割合として結果を図6に示す。白色の棒グラフ(Ext)は、生理食塩水の注入のみをもたらす「活性」レバーに応答する場合に、消失の結果を示す。「高用量CP」と付された棒グラフは、高用量のCP154,526(10〜80mg/kg、ip)で予め処理された後に自己投与された注入回数を示し、一方、「高用量OX」棒グラフは、高用量のオキサゼパム(5〜25mg/kg、ip)での予め処理された後に自己投与されたコカイン注入回数を示す。CP-154,526とオキサゼパムの両方は、これらの用量での摂餌維持応答に影響することなくコカイン自己投与を低減した。「低用量CP」と「低用量OX」棒グラフは、有効でない低用量のCP-154,526とオキサゼパム(CP-154,526、5〜25mg/kg、ip;オキサゼパム、5〜25mg/kg、ip)単独での前処理の後の応答を示す。これらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与又は摂餌維持応答に有意に影響しない。「低用量COM」棒グラフは、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、CP-154,526及びオキサゼパムの有効でない量からなる注射)後に自己投与されるコカイン注入回数を示す。図6に示されるように、CP-154,526とオキサゼパムからなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えることなく消失レベルにまでコカイン自己投与を低減させ、組み合わせ剤が、別の強化因子について応答又は意欲を低減することなく、コカイン探索する意欲を低減したということが示唆された。これらのデーターはまた、薬物治療の組み合わせの効果が、ベンゾジアゼピンとCRH受容体アンタゴニストの組み合わせで観察される。
【0115】
コカインの静脈内自己投与についてのメチラポンとアルプラゾラムの効果:
食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュールの下で応答するラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのメチラポンとアルプラゾラムの組み合わせの効果を測定するようにこれらの実験を設計した。図7を参照すると、最も左の棒グラフ(Veh)は、治療薬剤用のビヒクル(5%Emulphorを含む0.9%生理食塩水)での前処理に続いて自己投与されたコカイン注入回数を示す。Extと付された棒グラフは、生理食塩水の注入のみをもたらす「活性」レバーに応答する場合の消失の結果を示す。「高用量Met」棒グラフは、高用量のメチラポン(25〜175mg/kg、ip)で予め処理された後に自己投与されたコカイン注入回数を示し、一方、「高用量ALP」棒グラフは、高用量のアルプラゾラム(1〜5mg/kg、ip)での前治療に続いて自己投与されたコカイン注入回数を示す。メチラポンとアルプラゾラムの両方は、これらの用量での摂餌維持応答に影響することなくコカイン自己投与を低減した。「低用量Met」と「低用量ALP」棒グラフは、有効でない低用量のメチラポンとアルプラゾラム(メチラポン、25〜50mg/kg、ip;アルプラゾラム0.5〜2mg/kg、ip)での前処理の後の応答を示す。これらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与又は摂餌維持応答に有意に影響することはなかった。「COMBO」棒グラフは、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、メチラポンとアルプラゾラムの有効でない量からなる注射)後に自己投与されるコカイン注入回数を示す。メチラポンとアルプラゾラムからなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまでコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えることなく消失レベルにまでコカイン自己投与を低減させ、組み合わせ剤が、別の強化因子(つまり食餌)について応答又は意欲に影響することなく、コカインを探索する意欲を低減したということが示唆された。
【0116】
コカインの静脈内自己投与についてのムシモールとCP154,526の効果:
食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュールの下で応答するラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのCP154,526とムシモールの組み合わせの効果を測定するようにこれらの実験を設計した。結果を図8に示す。Extと付された棒グラフは、生理食塩水の注入のみをもたらす「活性」レバーに応答する場合の消失の結果を示す。「高用量Mus」棒グラフは、高用量のムシモール(1〜4mg/kg、ip)で予め処理された後に自己投与された注入回数を示し、一方、「高用量CP」棒グラフは、高用量のCP154,526(10〜80mg/kg、ip)での前治療に続いて自己投与されたコカイン注入回数を示す。ムシモールとCP154,526の両方は、これらの用量での摂餌維持応答に影響することなくコカイン自己投与を低減した。「低用量Mus」と「低用量CP」棒グラフは、有効でない低用量のムシモール(0.5〜2.0mg/kg、ip)とCP154,526(5〜25mg/kg、ip)単独での前処理の後の応答を示す。これらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与又は摂餌維持応答に有意に影響することはなかった。「低用量COM」棒グラフは、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、ムシモールとCP154,526の有効でない量からなる注射)後に自己投与されるコカイン注入回数を示す。図8に示されるように、ムシモールとCP154,526からなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベル近くへとコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えることなく消失レベルの近くにコカイン自己投与を低減させ、組み合わせ剤が、別の強化因子(つまり食餌)について応答又は意欲に影響することなく、コカインを探索する意欲を低減したということが示唆された。
【0117】
コカインの静脈内自己投与についてのムシモールとメチラポンの効果:
食餌強化とコカイン自己投与の複数回の交互のスケジュールの下で応答するラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのムシモールとメチラポンの組み合わせの効果を測定するようにこれらの実験を設計した。結果を図9に示す。Extと付された棒グラフは、生理食塩水の注入のみをもたらす「活性」レバーに応答する場合の消失の結果を示す。「高用量Mus」棒グラフは、高用量のムシモール(1〜4mg/kg、ip)で予め処理された後に自己投与された注入回数を示し、一方、「高用量Met」棒グラフは、高用量のメチラポン(25〜175mg/kg、ip)での前治療に続いて自己投与されたコカイン注入回数を示す。ムシモールとCP154,526の両方は、これらの用量での摂餌維持応答に影響することなくコカイン自己投与を低減した。「低用量Mus」と「低用量Met」棒グラフは、有効でない低用量のムシモール(0.5〜2.0mg/kg、ip)とメチラポン(25〜50mg/kg、ip)での前処理の後の応答を示す。これらの用量は、単独で投与された場合にコカイン自己投与又は摂餌維持応答に有意に影響することはなかった。「低用量COM」棒グラフは、薬物治療の組み合わせのデリバリー(つまり、ムシモールとメチラポンの有効でない用量からなる注射)後に自己投与されるコカイン注入回数を示す。図9に示されるように、ムシモールとメチラポンからなる薬物治療の組み合わせは、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルの近くへとコカイン自己投与を低減した。薬物治療の組み合わせは、摂餌維持応答に影響を与えることなく消失レベルの近くにコカイン自己投与を低減させ、GABAA受容体アゴニストとコルチコステロン合成阻害剤の組み合わせ剤が、別の強化因子(つまり食餌)に対する応答又は意欲に影響することなく、コカインを探索する意欲を低減したということが示唆された。
【0118】
消失したコカイン探索行動の契機誘導性の回復についてのメチラポンの慢性注射の効果:
ラットにおける消失したコカイン探索の契機誘導性の回復についてのメチラポン慢性投与の効果を決定するためにこれらの実験を設計した。出願人は、コカイン探索の再発モデルを用いた。薬物治療の組み合わせは、慢性の形でコカイン依存症に対して投与されるので、このモデルは重要な実験である。図11を参照すると、「SA」と付された棒グラフは、コカイン自己投与の間に「活性」レバーについてなされる応答回数を示す。「Ext」と付される棒グラフは、当該レバーに応答した場合に生理食塩水の注入のみをもたらす場合の消失の間に、「活性」レバーについての応答回数を示す。「VEH」と付された棒グラフは、ビヒクル(5%emulphorを含む0.9%生理食塩水)で前処理の後の回復試験の間に「活性」レバーに対する応答を示す。「メチラポン」と付された棒グラフは、メチラポンの慢性デリバリー(50mg/kg、ip、1日1回、14日間)の後の回復試験の間の「活性」レバーに対する応答回数を示す。図11に見てとれるように、メチラポンの慢性投与は、生理食塩水のみがデリバリーされ、そして消失の間に活性レバーが押される場合に見られるレベルにまでコカイン探索を低減した。これらのデーターにより、メチラポンは、慢性投与の後にコカイン探索の再発を阻害する点で有効性を保つということが示される。
【0119】
消失したコカイン探索行動の契機誘導性の回復についてのCP-154,526とオキサゼパムの組み合わせの効果:
ラットにおける消失したコカイン探索の契機誘導性の回復についてのCP-154,526及びオキサゼパムの組み合わせの効果を決定するためにこれらの実験を設計した。図12を参照すると、「自己投与」と付された棒グラフのセットは、コカイン自己投与の間に「活性」レバー及び第二「不活性」レバーについてなされた応答回数を示す。当該セットにおける最初の二つの棒グラフは、回復試験の間に治療薬としてビヒクル(5%emulphorを含む0.9%生理食塩水)を最終的に受けたラットの応答を示す。3番目及び4番目の棒グラフは、回復試験の間に薬物治療の組み合わせ(つまり、コカイン自己投与実験において決定された有効でない用量のCP-154,526及びオキサゼパムからなる注射)を最終的に受けたラットの応答を示す。ラットは、ビヒクル又は薬物治療の組み合わせを1回だけ注射された。当該注射は、回復試験のセッションの開始の30分前に行なわれた。自己投与及び消失の間の応答は、図12に示され、群間で応答の有意差がないことが示された。不活性レバーについての応答は、全ての場合でプログラムされた結果をもたらさなかった。「消失」と付された棒グラフの第二セットは、「活性」レバーについての応答が生理食塩水の注入のみをもたらす場合の消失の間に、「活性」及び「不活性」レバーに対する応答回数を示す。「回復」と付された棒グラフの三番目のセットは、薬物治療の組み合わせのデリバリー後の回復試験の間での「活性」及び「不活性」レバーについての応答回数を示す(つまり、CP-154,526とオキサゼパムの不活性用量からなる注射)。明らかに見られるように、CP-154,526とオキサゼパムからなる薬物治療の組み合わせは、コカイン探索(つまり、回復の間の活性レバーに対する応答)を、消失の間に活性レバーが押された際に生理食塩水のみがデリバリーされた場合に見られるレベルにまで低減させた。薬物治療の組み合わせが、摂餌維持応答に影響することなく消失レベルにまで回復(再発)を低下させた。このことにより、組み合わせ剤が、別の強化因子(つまり、摂餌)に対する応答又は意欲に影響を与えることなくコカインを探索する意欲を低減させた。
【0120】
コカイン、メチラポン、及びオキサゼパムの間に薬物動態学的相互作用の証拠が見られない
成体雄ウィスターラット(90〜120日齢)に常時性留置頚椎カテーテルをインプラントし、そして手術から回復させた。試験の日に、当該ラットは、コカイン注射の投与の30分前に、オキサゼパムとメチラポンの様々な組み合わせ剤(図14の表に記載される)又はビヒクル(5%emulphorを含む生理食塩水)で前処理された。オキサゼパム/メチラポンの組み合わせ剤は、当該組み合わせ剤が摂餌維持応答に影響することなく、消失したコカイン探索の契機誘導性回復を行なったか又はコカイン自己投与を低減したということを示す出願人の行なった行動試験から選択される。薬剤の組み合わせ又はビヒクル注射の30分後、ラットは、1時間の間2分ごとにコカイン(0.25mg/kg/注入)の静脈内注射を受けた。最後のコカイン注射の後に、コカイン及びその代謝物であるエクゴニンメチルエステル及びベンゾイルエクゴニンの分析のために血液をカテーテルから回収した。メチラポンとメチラポール、並びにオキサゼパムの濃度も測定した。全ての薬剤濃度を、GCMS法を用いて測定した。これらの試験の結果により、オキサゼパムとメチラポンの組み合わせが、コカイン又はその代謝物の血漿濃度に影響を与えなかったということが示された。これらの研究により、メチラポンとオキサゼパムがお互いの血漿濃度に影響を与えないことが示された。出願人がラットで観察した行動効果が、様々な薬剤の間で生じる薬物動態相互作用のため生じるものではないということがこれらのデーターにより示唆される。
【0121】
強制水泳試験、うつ病の動物モデルにおいて試験されたオキサゼパムとメチラポンの組み合わせ剤
強制水泳試験(FST)は、薬剤の抗うつ病効力を評価するための予測的妥当性を有する動物モデルである。対象は、学習性無力感を誘発させるために、逃れることのできない生命を脅かす状況へと直面させられる。学習性無力感を達成させるために、逃れることができず、そしてその中で浮かんでいるために泳いでいなくてはならない水を満たしたシリンダー内にラットを配置した。このラットがこの状況が絶望的なものであると認識した時点で、絶望した際の行動が現れ、そして逃げたり又は泳いだりする試みをするのではなくラットは動かなくなる。この無動姿勢の時間は、絶望と判定される行動である。オキサゼパム、ベンゾジアゼピン、及びメチラポン、コルチコステロン合成の11-β-ヒドロキシラーゼ阻害剤は、それぞれ抗不安及び抗うつ効果を有することが示されてきた。急性でそして慢性的に単独でそして一緒に投与されたオキサゼパム及びメチラポンの潜在的な抗うつ性質は、FSTを用いて雄ウィスターラットで評価された。薬剤(5又は10mg/kgのオキサゼパム、25又は50mg/kgメチラポン)のうちの一つ、又はその組み合わせを、試験の1日後と、試験の2日前(急性)又は1日目の試験開始前の14日間(慢性)に注射した。単独及び組み合わせでの薬剤の急性及び慢性投与は、FSTにおける無動性を低減するのに有効であり、この薬物治療が抗うつ活性を有するということを示唆する。
【0122】
学習性無力感は、うつ病のモデルとしてFSTを用いる妥当性の基礎をなす構成概念である。ヒトでは、学習性無力感は、対処能力の欠如として現れるうつ病の症状としてしばしば現れる。この理由のため、出願人は、FSTにおける無動性の時間を低減する効果を有する薬剤がうつ病のヒトモデルにおいて見られる対処能力の欠如を低下させる候補化合物として潜在性を有するということを考える。本研究では、オキサゼパムとメチラポンは、これらの薬剤が抗うつ活性を示すかを決定するために、FSTにおいて単独でそして組み合わせて試験された。
【0123】
本研究のパラメーターを上に概説した。より具体的に、Harlanから入手した雄ウィスターラット(275〜400g)を用いた。試験する前に、到着後、ラットを動物実験室に少なくとも1日馴化させた。FSTを行なうために、プレキシグラスのシリンダー(40cmの高さ×18cmの直径)に25℃の淡水を20cmの深さまで満たした。この深さはラットが底に触ることができないために十分な深さであり、ラットの逃走を防止するために縁から十分に離れていた。ビヒクル、薬剤、又はオキサゼパムとメチラポンの組み合わせを腹腔内に、試験後の1日目、そして試験前の2日目(急性)又は1日目の試験開始前14日間にわたり(慢性)注射した。一日目には、ラットをケージから取り出し、水に入れ、そして15分間観察した。一般的に最初の数分間は、ラットは、水面を足で掻いて泳ぎ回り、嗅ぎ、潜り、そしてシリンダーの外にジャンプすることを試みようとする。このような動作は、逃避志向行動(escape oriented behavior)とみなされた。逃避志向行動の後に、ラットが逃避の試みを止めることにより特徴付けられる時間が存在した。一般的に、ラットは、その頭を水面の上に維持するために十分なエネルギーのみを発揮して水中で泳ぐか、又はその鼻のみを水面の上にするようにして浮かぶ。この行動の第二段階は、無動性姿勢とみなされる。逃避志向行動で過ごした時間と無動性姿勢で過ごした時間を記録した。次にラットを水から取り出しタオルで乾かし、そしてケージへと戻した。2日目に、5分間この方法を繰り返し、そして、逃避志向行動で過ごした時間及び無動性姿勢で過ごした時間を記録した。2日目の無動性期間を種々の群で比較した。投与群を、一元配置ANOVAを用いてビヒクル注射対象比較し、p<0.05であった。薬剤群についての無動性時間が、ビヒクル群の無動性時間と比べて統計的に有意である場合、薬剤の組み合わせは、抗うつ病様効果を示すことが考えられた。
【0124】
オキサゼパムとメチラポンの慢性投与の効果は、組み合わせ剤治療群においてより強調された。個別の薬剤が投与された群で唯一、Met50群は、無動性時間の減少を示した。このことは、両方の薬剤が同時に投与される場合の相乗効果を示唆する。おそらくこの相乗効果は、メチラポンの代謝副産物により誘導されるGABAA受容体についてのオキサゼパムのアゴニスト作用を増加させることにより説明されうる。メチラポンがコルチコステロン合成を抑制する場合、コルチコステロンの上流の2つの前駆物質、11-デオキシコルチコステロン(11-DOC)とプロゲステロン(Prog)の濃度は増加する。これは、アロプレグナノロン及びテトラヒドロデオキシコルチコステロンなどのGABAA-活性ニューロステロイドの産生に対する経路を短絡しうる。これらの2個のニューロステロイドは、GABAA受容体にアロステリックに結合し、細胞内へのCl流入の増加をもたらし、そうして過分極及び神経興奮の減少を引き起こす。可能な出力は、オキサゼパム(直接的な結合による)及びメチラポン(ニューロステロイドを通して間接的に)、アロステリックメカニズムを介してGABAA電流に影響する。作用メカニズムに関わらず、Ox10/Met50の組み合わせが、無動時間の最大減少を誘発したことが明らかである。抵抗性が、慢性治療群、特にOx又はMetのみを受けた群において形成された。これは、これらの群についての平均がビヒクルに等しいか又はビヒクルを超えるものであるという観察により証拠づけられる。
【0125】
本発明の多くの実施態様が記載されてきた。それにもかかわらず、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく様々な変更が成され得るということが理解されよう。従って、他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1A】図1A及び1Bは、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのメチラポン及びオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。コカイン注入回数を図1Aにプロットし、そしてベースラインに対する割合として表される注入回数を図1Bにプロットする。
【図1B】図1A及び1Bは、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのメチラポン及びオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。コカイン注入回数を図1Aにプロットし、そしてベースラインに対する割合として表される注入回数を図1Bにプロットする。
【図2A】図2A及び2Bは、ラットにおける3の異なる用量の静脈内自己投与についてのメチラポン及びオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。セッションあたりの注入回数を図2Aにプロットし、そして同じ結果をベースラインの割合として表し、図2Bにプロットする。
【図2B】図2A及び2Bは、ラットにおける3回の異なる用量の静脈内自己投与についてのメチラポン及びオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。セッションあたりの注入回数を図2Aにプロットし、そして同じ結果をベースラインの割合として表し、図2Bにプロットする。
【図3】図3は、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのケトコナゾール及びアルプラゾラムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。注入回数をプロットする。
【図4】図4は、ラットにおいて3の異なる用量のコカインの静脈内自己投与についてのケトコナゾール及びアルプラゾラムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。
【図5】図5は、ラットにおいて静脈内コカイン自己投与についてのケトコナゾール及びオキサゼパムの組み合わせ剤の効果を示す棒グラフである。注入回数は、ベースラインの割合として表される。
【図6】図6は、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのCP-154526及びオキサゼパムの組み合わせの効果を示す棒グラフである。注入回数は、ベースラインの割合として表される。
【図7】図7は、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのメチラポンとアルプラゾラムの組み合わせの効果を示す棒グラフである。
【図8】図8は、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのムシモールとCP154,526の組み合わせの効果を示す棒グラフである。注入回数はベースラインの割合として表される。
【図9】図9は、ラットにおける静脈内コカイン自己投与についてのムシモールとメチラポンの組み合わせの効果を示す棒グラフである。注入回数は、ベースラインの割合として表される。
【図10】図10は、ラットにおける消失したコカイン探索行動の契機誘導性の復活についてのメチラポン及びオキサゼパムの組み合わせの効果を示す棒グラフである。
【図11】図11は、ラットにおける消失したコカイン探索行動の契機誘導性の復活についてのメチラポンの慢性注射の効果を示す棒グラフである。
【図12】図12は、ラットにおける消失したコカイン探索行動の契機誘導性の復活についてのCP154,526とオキサゼパムの効果を示す棒グラフである。
【図13】図13は、メチラポンの合成のための合成経路を表す模式図である。
【図14】図14は、コカイン、メチラポン、及びオキサゼパムの薬物動態分析の試験状態及び結果を要約する表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視床下部-下垂体-副腎(HPA)系を標的とする第一薬剤と前頭前野を標的とする第二薬剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記第一薬剤が、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)を阻害し、アドレノコルチコトロピンホルモン(ACTH)を阻害し、又はコルチソールを阻害する薬剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記第二薬剤が、γ-アミノ酪酸(GABA)の発現又は活性を増加させ、GABAの模倣物であり、又はGABA代謝を阻害する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第一薬剤又は前記第二薬剤が、化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第一薬剤がメチラポン(Metopirone(商標))又はケトコナゾール(Nizoral(登録商標))、或いはそれらの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記第二薬剤が、ベンゾジアゼピン或いはその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ベンゾジアゼピンが、オキサゼパム又はクロルジアゼポキシドである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記第二薬剤が、ミルタザピン又はアトモキセチン、或いはそれらの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記第二薬剤が、ガバペンチン (Neurontin(登録商標))、或いはその塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記第二薬剤がムシモール又はバクロフェン、或いはそれらの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記第二薬剤が、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ビガバトリン、バルプロ酸 (Depakote(商標))、チアガビン(Gabitril(登録商標))、ラモトリジン (Lamictal(登録商標))、フェニトイン (Dilantin(商標))、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、又はトピラメート(Topamax(登録商標))、或いはそれらの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、構造アナログ、又は多型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物が、経口投与用に剤形されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、静脈内投与用に剤形されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
単位用量における前記第一薬剤の量又は前記第二薬剤の量が、同一の単位用量を必要とする患者に現在又は一般的に処方される当該第一薬剤又は当該第二薬剤の量よりも少ない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約5〜60mgのオキサゼパム及び約250〜1000mgのメチラポン(Metopirone(商標))を、単位投与形態中に含む医薬組成物。
【請求項16】
交感神経系において活性を阻害する第三薬剤をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記第三薬剤が、βブロッカー又は他の抗不安化合物である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記βブロッカーが、ソタロール(Betapace(商標))、イモロール(Blocadren(商標))、カルテオロール(Cartrol(商標))、カルベジロール(Coreg(商標))、ナドロール(Corgard(商標))、ナドール/ベンドロフルエタジド(Corzide(商標))、プロプラノロール(Inderal(登録商標))、プロプラノロール/HCTZ(Inderide(商標))、ベタキソロール(Kerlone(商標))、ペンブトロール(Levatol(商標))、メトプロロール(Lopressor(商標))、ラベタロール(Normodyne(商標))、アセブトロール(Sectral(登録商標))、アテノロール/HCTZ(Tenoretic(商標))、アテノロール(Tenormin(登録商標))、チモロール/HCTZ(Timolide(商標))、メトプロロール(Toprol(商標))、ラベタロール(Trandate(商標))、ピンドロール(Visken(商標))、ビソプロロール(Zebeta(商標))、ビソプロロール/HCTZ(Ziac(商標))、又はエスモロール(Brevibloc(登録商標))である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記他の抗不安化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記SSRIが、シタロプラム(Celexa(登録商標))、エスシタロプラム・オキサレート(Lexapro(登録商標))、フルボキサミン(Luvox(登録商標))、パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、又はセルトラリン(Zoloft(登録商標))である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記他の抗不安化合物が、アンジオテンシンII阻害剤である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記アンジオテンシンII阻害剤が、カンデサルタン(Atacand(登録商標))、エプロサルタン(Teveten(登録商標))、イルベサルタン (Avapro(登録商標))、ロサルタン (Cozaar(登録商標))、テルミサルタン(Micardis(登録商標))、又はバルサルタン (Diovan(登録商標))である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
HPA系の異常活性に関連する障害を患う患者を治療する方法であって、当該方法が以下の:
(a)治療を必要とする患者を同定し;そして
(b)当該患者に治療有効量の請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物を投与する
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記障害が、依存症、不安症、統合失調症、又はうつ病を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記障害が、物質への依存症である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記物質が化学刺激物質、オピエート、ニコチン、アルコール、疼痛緩和処方薬、又は天然植物由来の薬剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記化学刺激薬が、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、或いはそれらのアナログである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記オピエートが、ヘロイン、コデイン、ヒドロコドン、又はそれらのアナログである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記天然植物由来薬剤がマリファナである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記障害が、行為に対する依存症である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項31】
前記行為が、ギャンブル又は性的行為への従事である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記行為が、過食である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記不安症が、パニック障害、強迫性障害(OCD)、外傷後心的ストレス障害(PTSD)、社会不安障害、全般性不安障害を伴う、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項34】
前記うつ病が、大うつ病障害又は気分変調を伴い、双極性うつ病であり、又は医学的状態又は物質乱用を伴う、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記障害が、摂食障害又は睡眠障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記障害が、注意欠陥障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
更年期障害又はHPA系の活性と関連する月経周期の不所望な症状を患う患者を治療する方法であって、当該方法が、以下の:
(a)治療を必要とする患者を同定し;そして
(b)当該患者に、治療有効量の請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項38】
前記症状が、不安症、うつ病、又は睡眠困難である、請求項37に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−515899(P2009−515899A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540272(P2008−540272)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/044126
【国際公開番号】WO2007/056618
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508139550)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティー アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (1)
【Fターム(参考)】