説明

充電システムおよびそれを備えた車両

【課題】車両に搭載された電気負荷装置に接続される蓄電装置を電気負荷装置を用いて車両外部の電源から充電する充電システムおよびそれを備えた車両において、蓄電装置の充電動作に伴ない発生するスイッチング騒音を低減する。
【解決手段】外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2の中性点N2と第1モータジェネレータMG1の中性点N1とが電力線PL1によって電気的に接続される。外部電源70からの電力は、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2の非中性点側に与えられる。そして、ECU30は、第2インバータ20を停止(全スイッチング素子をゲート遮断)するとともに第1インバータ10の少なくとも一相をスイッチング制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充電システムおよびそれを備えた車両に関し、特に、車両に搭載された電気負荷装置に接続される蓄電装置を電気負荷装置を用いて車両外部の電源から充電する充電システムおよびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−318970号公報(特許文献1)は、2つの交流モータの中性点を介して、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の商用電源から充電する充電システムを開示する。この充電システムにおいては、商用電源の電圧の実効値および位相ならびに蓄電装置に対する充電電力指令値に基づいて、中性点に接続された電力入力線に流す電流の指令値であって商用電源の電圧と同相の電流指令値が生成される。そして、その生成された電流指令値に基づいて、2つの交流モータに対応する2つのインバータの零相電圧が制御される。
【0003】
この充電システムによれば、各交流モータにおいて各相コイルに同量かつ同位相の充電電流が流され、各インバータにおいて直流電流に変換されて蓄電装置が充電される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−318970号公報
【特許文献2】特開平8−214592号公報
【特許文献3】特開2007−336740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特開2007−318970号公報に開示される充電システムにおいては、各交流モータにおいて各相コイルに同量かつ同位相の電流が流れるので、各相コイルの磁束が互いに打ち消しあうことによりモータの等価的なインダクタンスは小さい。このため、モータ内に流れる電流のリップル成分が大きくなり、モータから発生するスイッチング騒音が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両に搭載された電気負荷装置に接続される蓄電装置を電気負荷装置を用いて車両外部の電源から充電する充電システムおよびそれを備えた車両において、蓄電装置の充電動作に伴ない発生するスイッチング騒音を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によれば、充電システムは、車両に搭載された電気負荷装置に接続される蓄電装置を車両外部の電源(以下、単に「外部電源」とも称する。)から充電する充電システムであって、電気負荷装置は、互いに並列接続される第1および第2のインバータと第1および第2のインバータによって駆動される第1および第2の交流回転電機とを含む。充電システムは、接続装置と、電力線と、制御装置とを備える。接続装置は、外部電源の一端を第1の交流回転電機の巻線に接続し、かつ、外部電源の他端を電気負荷装置の直流線に接続するように構成される。電力線は、第1の交流回転電機の巻線と第2の交流回転電機の巻線とを直列に接続する。制御装置は、外部電源から蓄電装置の充電時、第1のインバータを停止し、第2のインバータの少なくとも一相をスイッチング制御する。
【0007】
好ましくは、第1の交流回転電機の対地容量は、第2の交流回転電機の対地容量よりも大きい。
【0008】
また、好ましくは、第2の交流回転電機の漏れインダクタンスは、第1の交流回転電機の漏れインダクタンスよりも大きい。そして、制御装置は、外部電源から蓄電装置の充電時、第1のインバータを停止し、第2のインバータの全相アームを同時にスイッチング制御する。
【0009】
好ましくは、外部電源は、交流電源である。接続装置は、整流回路と、第1および第2の電力線とを含む。整流回路は、交流電源からの交流電力を整流する。第1の電力線は、整流回路の出力端の一方を第1の交流回転電機の巻線に接続する。第2の電力線は、整流回路の出力端の他方を電気負荷装置の負極線に接続する。
【0010】
また、好ましくは、外部電源は、交流電源である。接続装置は、第1および第2の電力線と、整流回路とを含む。第1の電力線は、交流電源の一端を第1の交流回転電機の巻線に接続する。整流回路は、第1および第2のインバータに並列に接続される。第2の電力線は、交流電源の他端を整流回路に接続する。
【0011】
好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機の多相巻線の中性点と第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される。
【0012】
また、好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機において外部電源が接続される巻線とは異なる巻線の非中性点側と第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設される。制御装置は、外部電源から蓄電装置の充電時、第2のインバータについて、第2の交流回転電機において電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する。
【0013】
また、好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機の多相巻線の中性点と第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設される。制御装置は、外部電源から蓄電装置の充電時、第2のインバータについて、第2の交流回転電機において電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する。
【0014】
また、好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機において外部電源が接続される巻線とは異なる巻線の非中性点側と第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される。
【0015】
また、好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線の中性点に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側と第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される。
【0016】
また、好ましくは、第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含む。接続装置は、第1の交流回転電機の多相巻線の中性点に外部電源を接続する。電力線は、第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側と第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設される。制御装置は、外部電源から蓄電装置の充電時、第2のインバータについて、第2の交流回転電機において電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する。
【0017】
また、この発明によれば、車両は、第1および第2の交流回転電機の少なくとも一方から駆動トルクを受ける車輪と、上述したいずれかの充電システムとを備える。
【発明の効果】
【0018】
この発明においては、第1の交流回転電機の巻線と第2の交流回転電機の巻線とが電力線によって直列に接続され、外部電源から蓄電装置の充電時、第1のインバータが停止され、第2のインバータの少なくとも一相がスイッチング制御されるので、少なくとも第1の交流回転電機において各相巻線の磁束が互いに打ち消しあう状態は発生せず、巻線のインダクタンスが十分に活用される。
【0019】
したがって、この発明によれば、外部電源から蓄電装置の充電時に発生するスイッチング騒音を効果的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による車両の全体ブロック図である。図1を参照して、この車両100は、蓄電装置Bと、第1インバータ10と、第2インバータ20と、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、車輪DWと、ECU(Electronic Control Unit)30とを備える。また、車両100は、電力線PL1〜PL3と、全波整流回路40と、充電口50と、リレー60とをさらに備える。
【0022】
蓄電装置Bは、正極線MPLおよび負極線MNLに接続される。第1インバータ10は、U相アーム12、V相アーム14およびW相アーム16を含む。U相アーム12、V相アーム14およびW相アーム16は、正極線MPLと負極線MNLとの間に並列に接続される。U相アーム12は、直列に接続されたスイッチング素子T11,T12から成り、V相アーム14は、直列に接続されたスイッチング素子T13,T14から成り、W相アーム16は、直列に接続されたスイッチング素子T15,T16から成る。スイッチング素子T11〜T16には、それぞれダイオードD11〜D16が逆並列に接続される。
【0023】
第2インバータ20は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。第2インバータ20の構成は、第1インバータ10と同様である。なお、第1インバータ10および第2インバータ20のスイッチング素子として、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などを用いることができる。
【0024】
第1モータジェネレータMG1は、U相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1から成る三相コイルを含む。U相コイルU1、V相コイルV1およびW相コイルW1は、Y結線されて中性点N1を形成する。第2モータジェネレータMG2も、U相コイルU2、V相コイルV2およびW相コイルW2から成る三相コイルを含み、U相コイルU2、V相コイルV2およびW相コイルW2は、Y結線されて中性点N2を形成する。
【0025】
電力線PL1は、第1モータジェネレータMG1の中性点N1と第2モータジェネレータMG2の中性点N2との間に配設される。リレー60は、電力線PL1に配設される。全波整流回路40は、ダイオードD41〜D44を含む。ダイオードD41,D42は、電力線PL2,PL3間に直列に接続され、その中間タップ(ダイオードD41,D42の接続ノード)が充電口50の端子の一方に接続される。ダイオードD43,D44も、電力線PL2,PL3間に直列に接続され、その中間タップが充電口50の他方の端子に接続される。そして、電力線PL2は、第2モータジェネレータMG2のいずれかのコイルの非中性点側に接続され(以下では、W相コイルW2とする。)、電力線PL3は、負極線MNLに接続される。
【0026】
蓄電装置Bは、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置Bは、第1インバータ10および第2インバータ20へ電力を供給する。また、蓄電装置Bは、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方により発電される回生電力を受けて充電される。さらに、蓄電装置Bは、第1および第2モータジェネレータMG1,MG2ならびに第1および第2インバータ10,20を用いて外部電源70(たとえば系統交流電源)によって充電される。なお、蓄電装置Bとして大容量のキャパシタを用いてもよい。
【0027】
第1インバータ10は、ECU30からの駆動信号PWI1に基づいて、蓄電装置Bからの直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧を第1モータジェネレータMG1へ出力する。また、第1インバータ10は、たとえばエンジン(図示せず。以下同じ。)の動力を用いて第1モータジェネレータMG1が発電した三相交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置Bおよび第2インバータ20の少なくとも一方へ出力する。
【0028】
第2インバータ20は、ECU30からの駆動信号PWI2に基づいて、蓄電装置Bからの直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した三相交流電圧を第2モータジェネレータMG2へ出力する。また、第2インバータ20は、車両の制動時、車輪DWの回転力を用いて第2モータジェネレータMG2が発電した三相交流電圧を直流電圧に変換して蓄電装置Bへ出力する。
【0029】
ここで、外部電源70から蓄電装置Bの充電が要求されると、第2インバータ20は、ECU30から指令に基づいて停止し(全スイッチング素子のゲートオフ)、第1インバータ10は、充電口50、全波整流回路40、電力線PL2、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2、電力線PL1および第1モータジェネレータMG1のコイルを順次介して外部電源70から与えられる電力を駆動信号PWI2に基づいて蓄電装置Bの電圧レベルに変換し、蓄電装置Bへ出力する。
【0030】
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、三相交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石を有する三相永久磁石同期モータから成る。第1モータジェネレータMG1は、第1インバータ10によって力行駆動または回生駆動される。たとえば、第1モータジェネレータMG1は、エンジンに連結され、エンジンの動力を用いて発電し、エンジンの始動時にはエンジンをクランキングする。第2モータジェネレータMG2は、第2インバータ20によって力行駆動または回生駆動される。第2モータジェネレータMG2は、車輪DWを駆動するための駆動力を発生し、車両の制動時には、車両の運動エネルギーを車輪DWから受けて発電する。
【0031】
なお、走行駆動力を発生する第2モータジェネレータMG2は、第1モータジェネレータMG1よりも体格が大きく、第2モータジェネレータMG2の対地容量(第2モータジェネレータMG2と車両の筐体アースとの間の浮遊容量)は、第1モータジェネレータMG1の対地容量よりも大きい。そして、この実施の形態1では、対地容量が相対的に大きい第2モータジェネレータMG2に全波整流回路40が接続され、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、充電システムにおける平滑リアクトルとして機能する。
【0032】
リレー60は、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、ECU30からの信号REに応じてオンされ、第1モータジェネレータMG1の中性点N1と第2モータジェネレータMG2の中性点N2とを電気的に接続する。一方、外部電源70から蓄電装置Bの充電時以外は、リレー60は、信号REに応じてオフされ、中性点N1と中性点N2とを電気的に切離す。全波整流回路40は、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、充電口50から入力される外部電源70からの交流電力を整流して電力線PL2へ出力する。
【0033】
ECU30は、第1インバータ10を駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を駆動信号PWI1として第1インバータ10へ出力する。また、ECU30は、第2インバータ20を駆動するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を駆動信号PWI2として第2インバータ20へ出力する。
【0034】
ここで、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、ECU30は、信号REによってリレー60をオンさせる。また、ECU30は、第2インバータ20の各スイッチング素子をゲート遮断させるための指令を第2インバータ20へ出力し、第2インバータ20を停止させる。そして、ECU30は、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2および第1モータジェネレータMG1の少なくとも一つのコイル(以下では、U相コイルU1とする。)を平滑リアクトルとして用いて、外部電源70から全波整流回路40、電力線PL2、W相コイルW2、電力線PL1およびU相コイルU1を順次介して与えられる電力を蓄電装置Bの電圧レベルに変換して蓄電装置Bへ出力するように、第1インバータ10のU相アーム12をスイッチング制御する。
【0035】
この車両100においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第1モータジェネレータMG1の中性点N1と第2モータジェネレータMG2の中性点N2とが電力線PL1によって電気的に接続され、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2に外部電源70からの電力が与えられる。そして、第2インバータ20は停止され(全アームオフ)、第1インバータ10のU相アーム12がスイッチング制御される。そうすると、外部電源70からW相コイルW2に与えられた電力は、第2インバータ20には流れずにW相コイルW2から電力線PL1およびU相コイルU1を順次介して第1インバータ10に流れ、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、W相コイルW2およびU相コイルU1の2つのコイルが平滑リアクトルとして用いられる。
【0036】
図2は、外部電源70から蓄電装置Bの充電が行なわれる際の図1に示したシステムの等価回路図である。図2を参照して、上述のように、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2インバータ20は停止され(全アームオフ)、第1インバータ10は、U相アーム12のみスイッチング制御されるので、この等価回路では、第1インバータ10および第2インバータ20については、第1インバータ10のU相アーム12のみが示されている。
【0037】
外部電源70は、全波整流回路40を介して電力線PL2,PL3に接続される。電力線PL2に接続されるインダクタンスLmg2は、第2モータジェネレータMG2のコイルインダクタンスを示し、具体的には、W相コイルW2のインダクタンスを示す。電力線PL1を介してインダクタンスLmg2に接続されるインダクタンスLmg1は、第1モータジェネレータMG1のコイルインダクタンスを示し、具体的には、U相コイルU1のインダクタンスを示す。そして、インダクタンスLmg1は、U相アーム12に接続される。
【0038】
容量Cmg1は、第1モータジェネレータMG1の対地容量(U相コイルU1と車両の筐体アース92との間の浮遊容量)を示す。また、容量Cmg2は、第2モータジェネレータMG2の対地容量(W相コイルW2と筐体アース92との間の浮遊容量)を示す(以下、容量Cmg1,Cmg2をそれぞれ「モータ対地容量Cmg1」および「モータ対地容量Cmg2」とも称する。)。
【0039】
この等価回路から分かるように、この充電システムにおいては、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2および第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1が直列接続されて平滑リアクトルとして用いられるので、外部電源70から蓄電装置Bの充電時に発生するスイッチング騒音を効果的に低減することができる。
【0040】
また、上述のように、走行駆動力を発生する第2モータジェネレータMG2は、第1モータジェネレータMG1よりも体格が大きく、第2モータジェネレータMG2の対地容量は、第1モータジェネレータMG1の対地容量よりも大きいところ、この実施の形態1では、対地容量が相対的に大きい第2モータジェネレータMG2が第1モータジェネレータMG1よりも外部電源70側となるように回路が構成される。すなわち、外部電源70は、全波整流回路40を介して、対地容量が相対的に大きい第2モータジェネレータMG2に接続される。このような回路構成としたのは、モータ対地容量Cmg1,Cmg2を介して筐体アース92に流れるスイッチング周波数成分の電流を低減するためである。以下、この点について説明する。
【0041】
外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第1インバータ10(U相アーム12)のスイッチング動作に伴ない、第1インバータ10側に配置されるモータ対地容量Cmg1には、次式で示される電圧変動がかかる。
【0042】
ΔVmg1=(Lmg1+2Lmg2)/(Lmg1+Lmg2)×(VDC/2) …(1)
ここで、モータ対地容量Cmg1は、第1モータジェネレータMG1のコイルの中間点(より具体的には、充電時に通電されるU相コイルU1の中間点)に接続されるものと仮定した。また、外部電源70側に配置されるモータ対地容量Cmg2には、次式で示される電圧変動がかかる。
【0043】
ΔVmg2=Lmg2/(Lmg1+Lmg2)×(VDC/2) …(2)
ここで、モータ対地容量Cmg2は、第2モータジェネレータMG2のコイルの中間点(より具体的には、充電時に通電されるW相コイルW2の中間点)に接続されるものと仮定した。
【0044】
(1),(2)式より、ΔVmg2<ΔVmg1、すなわち外部電源70側に配置されるモータ対地容量の電圧変動の方が小さいことがわかる。そして、この電圧変動にモータ対地容量を乗算した値(この値は電荷を示す。)を時間微分した値が筐体アース92に流れるスイッチング周波数成分の電流である。したがって、モータ対地容量の大きい第2モータジェネレータMG2を電圧変動の小さい外部電源70側に配置するように回路構成する方が、第1モータジェネレータMG1を外部電源70側に配置した回路構成よりも、モータ対地容量Cmg1,Cmg2を介して筐体アース92に流れるスイッチング周波数成分の電流を低減できる。
【0045】
言い換えると、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、モータ対地容量の大きい第2モータジェネレータMG2に全波整流回路40を介して外部電源70を接続し、第2インバータ20を停止させるとともに第1インバータ10をスイッチング制御する方が、第1モータジェネレータMG1に外部電源70を接続し、第1インバータ10を停止させるとともに第2インバータ20をスイッチング制御する場合よりも、モータ対地容量Cmg1,Cmg2を介して筐体アース92に流れるスイッチング周波数成分の電流を低減することができる。
【0046】
図3は、図1に示したECU30の機能ブロック図である。図3を参照して、ECU30は、第1インバータ制御部32と、第2インバータ制御部34と、充電制御部36とを含む。第1インバータ制御部32は、充電制御部36からの信号CTLが非活性化されているとき、正極線MPLおよび負極線MNL間の電圧VDCの検出値、第1モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1、ならびに第1モータジェネレータMG1のモータ電流MCRT1およびロータ回転角θ1の各検出値に基づいて、第1モータジェネレータMG1を駆動するための駆動信号PWI1を生成する。一方、信号CTLが活性化されているとき、第1インバータ制御部32は、充電制御部36からの指令ACに基づいて、第1インバータ10のU相アーム12をスイッチング制御して外部電源70からの電力を蓄電装置Bの電圧レベルに変換するための駆動信号PWI1を生成する。
【0047】
第2インバータ制御部34は、充電制御部36からの信号STPが非活性化されているとき、電圧VDCの検出値、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2、ならびに第2モータジェネレータMG2のモータ電流MCRT2およびロータ回転角θ2の各検出値に基づいて、第2モータジェネレータMG2を駆動するための駆動信号PWI2を生成する。一方、信号STPが活性化されているとき、第2インバータ制御部34は、第2インバータ20を停止(全アームオフ)させるための指令を生成して第2インバータ20へ出力する。
【0048】
充電制御部36は、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、電力線PL1に設けられるリレー60(図1)へ出力される信号REを活性化してリレー60をオンさせる。また、充電制御部36は、第1インバータ制御部32へ出力される信号CTLを活性化し、第2インバータ制御部34へ出力される信号STPを活性化する。そして、充電制御部36は、外部電源70の電圧VACおよび外部電源70からの充電電流IACに基づいて、外部電源70から供給される電力を蓄電装置Bの電圧レベルに変換して出力するように第1インバータ10のU相アーム12を制御するための指令ACを生成し、その生成した指令ACを第1インバータ制御部32へ出力する。
【0049】
なお、電圧VDC、モータ電流MCRT1,MCRT2、ロータ回転角θ1,θ2、電圧VACおよび充電電流IACの各々は、図示されないセンサによって検出される。また、トルク指令値TR1,TR2は、アクセルペダルの踏込量や車両速度などの走行状況に基づいて、図示されない車両ECUによって算出される。
【0050】
図4は、外部電源70から蓄電装置Bの充電時における第1および第2インバータ10,20の各相アームの動作波形を示した図である。図4を参照して、第1インバータ10のU相アーム12のみスイッチング制御され、第1インバータ10のV相アーム14およびW相アーム16ならびに第2インバータ20のU相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26の各々の上下アームは、全てオフされる。なお、スイッチング制御されるU相アーム12の上下アームのオン/オフタイミングが僅かに異なるのは、上下アームが同時にオンするのを防止するためのデッドタイムが設けられているためである。
【0051】
以上のように、この実施の形態1においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2の中性点N2と第1モータジェネレータMG1の中性点N1とが電力線PL1によって電気的に接続される。そして、外部電源70からの電力が第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2の非中性点側に与えられ、第2インバータ20が停止されるとともに第1インバータ10のU相アーム12がスイッチング制御される。これにより、W相コイルW2およびU相コイルU1の2つのコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態1によれば、外部電源70から蓄電装置Bの充電時に発生するスイッチング騒音を効果的に低減することができる。
【0052】
また、この実施の形態1においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、外部電源70と蓄電装置Bとの間の回路構成について、モータ対地容量が相対的に大きい第2モータジェネレータMG2が第1モータジェネレータMG1よりも外部電源70側に配置されるように回路が構成される。したがって、この実施の形態1によれば、外部電源70から蓄電装置Bの充電時に筐体アース92に流れるスイッチング周波数成分の電流を低減することができる。
【0053】
[実施の形態1の変形例]
上記においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第1インバータ10においてU相アーム12のみをスイッチング制御するものとしたが、図5に示すように、第1インバータ10の全相アームを同時にスイッチング制御してもよい。第1インバータ10の全相アームを同時にスイッチング制御すると、第1モータジェネレータMG1においては漏れインダクタンスしか利用できなくなるが、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2のインダクタンスは利用できる。
【0054】
そして、第1インバータ10の全相アームを同時にスイッチング制御することにより、第1モータジェネレータMG1の各相コイルに均等に充電電流が流れるので、第1モータジェネレータMG1の巻線抵抗が1相通電の場合に比べて1/3になる。したがって、この変形例によれば、外部電源70から蓄電装置Bの充電時における損失を低減することができる。
【0055】
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2による車両の全体ブロック図である。図6を参照して、この車両100Aでは、図1に示した実施の形態1による車両100の構成において、第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2の非中性点側と第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1の非中性点側との間に電力線PL1が配設される。そして、車両100Aは、ECU30に代えてECU30Aを備える。
【0056】
ECU30Aは、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、信号REによってリレー60をオンさせる。また、ECU30Aは、第2インバータ20の各スイッチング素子をゲート遮断させるための指令を第2インバータ20へ出力し、第2インバータ20を停止させる。そして、ECU30Aは、第1インバータ10については、V相アーム14のみをスイッチング制御し、U相アーム12およびW相アーム16を停止させる(上下アームともオフ)。これにより、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、全波整流回路40から電力線PL2、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2およびU相コイルU2、電力線PL1、ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1を順次介して第1インバータ10までの電路が形成され、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。
【0057】
したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2およびU相コイルU2ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1の4つのコイルが平滑リアクトルとして利用される。なお、ECU30Aのその他の機能は、実施の形態1におけるECU30と同じである。
【0058】
図7は、実施の形態2において外部電源70から蓄電装置Bの充電時における第1および第2インバータ10,20の各相アームの動作波形を示した図である。図7を参照して、第1インバータ10のV相アーム14のみスイッチング制御され、第1インバータ10のU相アーム12およびW相アーム16ならびに第2インバータ20のU相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26の各々の上下アームは、全てオフされる。なお、スイッチング制御されるV相アーム14の上下アームのオン/オフタイミングが僅かに異なるのは、上下アームが同時にオンするのを防止するためのデッドタイムが設けられているためである。
【0059】
以上のように、この実施の形態2においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、直列接続される4つのコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態2によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0060】
[実施の形態3]
図8は、実施の形態3による車両の全体ブロック図である。図8を参照して、この車両100Bでは、図6に示した実施の形態2による車両100Aの構成において、電力線PL1が第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2の非中性点側に代えて第2モータジェネレータMG2の中性点N2に接続される。車両100Bのその他の構成は、図6に示した実施の形態2による車両100Aと同じである。
【0061】
この車両100Bにおいては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、全波整流回路40から電力線PL2、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2、中性点N2、電力線PL1、ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1を順次介して第1インバータ10までの電路が形成され、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1の3つのコイルが平滑リアクトルとして利用される。
【0062】
以上のように、この実施の形態3においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、直列接続される3相分のコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態3によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0063】
[実施の形態4]
図9は、実施の形態4による車両の全体ブロック図である。図9を参照して、この車両100Cでは、図1に示した実施の形態1による車両100の構成において、電力線PL1が第2モータジェネレータMG2の中性点N2に代えて第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2の非中性点側に接続される。車両100Cのその他の構成は、図1に示した実施の形態1による車両100と同じである。
【0064】
この車両100Cにおいては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、全波整流回路40から電力線PL2、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2およびU相コイルU2、電力線PL1、第1モータジェネレータMG1の中性点N1およびU相コイルU1を順次介して第1インバータ10までの電路が形成され、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2およびU相コイルU2ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1の3つのコイルが平滑リアクトルとして利用される。
【0065】
以上のように、この実施の形態4においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、直列接続される3相分のコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態4によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0066】
[実施の形態5]
図10は、実施の形態5による車両の全体ブロック図である。図10を参照して、この車両100Dでは、図9に示した実施の形態4による車両100Cの構成において、電力線PL2が第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2の非中性点側に代えて第2モータジェネレータMG2の中性点N2に接続される。車両100Dのその他の構成は、図9に示した実施の形態4による車両100Cと同じである。
【0067】
この車両100Dにおいては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、全波整流回路40から電力線PL2、第2モータジェネレータMG2の中性点N2、U相コイルU2、電力線PL1、および第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1を順次介して第1インバータ10までの電路が形成され、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2および第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1の2つのコイルが平滑リアクトルとして利用される。
【0068】
以上のように、この実施の形態5においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、直列接続される2相分のコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態5によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0069】
[実施の形態6]
図11は、実施の形態6による車両の全体ブロック図である。図11を参照して、この車両100Eでは、図6に示した実施の形態2による車両100Aの構成において、電力線PL2が第2モータジェネレータMG2のW相コイルW2の非中性点側に代えて第2モータジェネレータMG2の中性点N2に接続される。車両100Eのその他の構成は、図6に示した実施の形態2による車両100Aと同じである。
【0070】
この車両100Eにおいては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、全波整流回路40から電力線PL2、第2モータジェネレータMG2の中性点N2、U相コイルU2、電力線PL1、ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1を順次介して第1インバータ10までの電路が形成され、第1インバータ10によって蓄電装置Bが充電される。したがって、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2ならびに第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1およびV相コイルV1の3つのコイルが平滑リアクトルとして利用される。
【0071】
以上のように、この実施の形態6においては、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、直列接続される3相分のコイルを平滑リアクトルとして利用できる。したがって、この実施の形態6によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0072】
[実施の形態7]
図12は、実施の形態7による車両の全体ブロック図である。図12を参照して、この車両100Fは、図1に示した実施の形態1による車両100の構成において、全波整流回路40を備えず、整流回路80をさらに備える。整流回路80は、正極線MPLと負極線MNLとの間に接続される。整流回路80は、ダイオードD31,D32を含む。ダイオードD31のアノードは、ダイオードD32のカソードに接続され、ダイオードD31のカソードは、正極線MPLに接続され、ダイオードD32のアノードは、負極線MNLに接続される。整流回路80の中間タップすなわちダイオードD31,D32の接続ノードには、電力線PL3が接続される。そして、電力線PL2,PL3は、充電口50に接続される。
【0073】
この実施の形態7においても、外部電源70と蓄電装置Bとの間で回路が形成され、外部電源70から蓄電装置Bを充電することができる。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2と電力線PL1,PL2との結線は、実施の形態1による車両100と同じであるから、この実施の形態7によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0074】
なお、特に図示しないが、実施の形態2〜6についても、全波整流回路40に代えて整流回路80を備える構成としてもよい。
【0075】
なお、上記の実施の形態1,4,5においては、第1モータジェネレータMG1の中性点N1に電力線PL1が接続され、第1インバータ10のU相アーム12のみスイッチング制御するものとしたが、U相アーム12に代えてV相アーム14またはW相アーム16をスイッチング制御してもよいし、第1インバータ10の全相アームを同時にスイッチング制御してもよい。
【0076】
また、上記の実施の形態2,3,6においては、第1モータジェネレータMG1のU相コイルU1の非中性点側に電力線PL1が接続され、第1インバータ10のV相アーム14のみスイッチング制御するものとしたが、V相アーム14に代えてW相アーム16をスイッチング制御してもよいし、V相アーム14およびW相アーム16の双方を同時にスイッチング制御してもよい。さらに、第1モータジェネレータMG1と電力線PL1との接続について、U相コイルU1の非中性点側に代えてV相コイルV1またはW相コイルW1の非中性点側に電力線PL1を接続し、V相コイルV1に電力線PL1が接続される場合には、U相アーム12およびW相アーム16の少なくとも一方をスイッチング制御するとともに他相のアームを停止し、W相コイルW1に電力線PL1が接続される場合には、U相アーム12およびV相アーム14の少なくとも一方をスイッチング制御するとともに他相のアームを停止するようにしてもよい。
【0077】
また、上記の実施の形態2,4においては、第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2の非中性点側に電力線PL1が接続されるものとしたが、U相コイルU2の非中性点側に代えてV相コイルV2の非中性点側に電力線PL1を接続してもよい。
【0078】
また、上記の実施の形態5,6においては、第2モータジェネレータMG2のU相コイルU2の非中性点側に電力線PL1が接続されるものとしたが、U相コイルU2の非中性点側に代えてV相コイルV2またはW相コイルW2の非中性点側に電力線PL1を接続してもよい。
【0079】
また、上記の各実施の形態においては、対地容量が相対的に大きいモータジェネレータ(第2モータジェネレータMG2)に全波整流回路40が接続されるものとしたが、相対的に漏れインダクタンスの小さいモータジェネレータに全波整流回路40を接続し、相対的に漏れインダクタンスの大きいモータジェネレータの中性点に電力線PL1を接続するとともにそのモータジェネレータに対応するインバータの全相を同時にスイッチング制御してもよい。具体的には、第1モータジェネレータMG1の中性点N1に電力線PL1が接続される実施の形態1,4,5において、第1モータジェネレータMG1の漏れインダクタンスの方が第2モータジェネレータMG2の漏れインダクタンスよりも大きく、外部電源70から蓄電装置Bの充電時に第1インバータ10の全相アームを同時にスイッチング制御する場合に相当する。これにより、外部電源70から蓄電装置Bの充電時、第1モータジェネレータMG1においてインダクタンスを確保しつつ損失を低減することができる。
【0080】
また、上記の各実施の形態において、蓄電装置Bとインバータ10,20との間に、インバータ入力電圧を蓄電装置Bの電圧以上の所定値に調整可能な昇圧コンバータを備えてもよい。なお、そのような昇圧コンバータとして、たとえば公知の直流チョッパ回路を用いることができる。
【0081】
なお、上記において、第1インバータ10および第2インバータ20は、それぞれこの発明における「第2のインバータ」および「第1のインバータ」に対応し、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、それぞれこの発明における「第2の交流回転電機」および「第2の交流回転電機」に対応する。また、実施の形態1〜6における充電口50、全波整流回路40および電力線PL2,PL3は、この発明における「接続装置」を形成する。さらに、実施の形態7における充電口50、電力線PL2,PL3および整流回路80も、この発明における「接続装置」を形成する。また、さらに、電力線PL1は、この発明における「電力線」に対応し、ECU30,30Aは、この発明における「制御装置」に対応する。また、さらに、電力線PL2,PL3は、それぞれこの発明における「第1の電力線」および「第2の電力線」に対応する。
【0082】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の実施の形態1による車両の全体ブロック図である。
【図2】外部電源から蓄電装置の充電が行なわれる際の図1に示したシステムの等価回路図である。
【図3】図1に示すECUの機能ブロック図である。
【図4】外部電源から蓄電装置の充電時における第1および第2インバータの各相アームの動作波形を示した図である。
【図5】実施の形態1の変形例において外部電源から蓄電装置の充電時における第1および第2インバータの各相アームの動作波形を示した図である。
【図6】実施の形態2による車両の全体ブロック図である。
【図7】実施の形態2において外部電源から蓄電装置の充電時における第1および第2インバータの各相アームの動作波形を示した図である。
【図8】実施の形態3による車両の全体ブロック図である。
【図9】実施の形態4による車両の全体ブロック図である。
【図10】実施の形態5による車両の全体ブロック図である。
【図11】実施の形態6による車両の全体ブロック図である。
【図12】実施の形態7による車両の全体ブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
10,20 インバータ、12,22 U相アーム、14,24 V相アーム、16,26 W相アーム、30,30A ECU、32,34 インバータ制御部、36 充電制御部、40 全波整流回路、50 充電口、60 リレー、70 外部電源、80 整流回路、92 筐体アース、100〜100F 車両、B 蓄電装置、MPL 正極線、MNL 負極線、T11〜T16,T21〜216 スイッチング素子、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32,D41〜D44 ダイオード、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、DW 車輪、PL1〜PL3 電力線、Lmg1,Lmg2 インダクタンス、Cmg1,Cmg2 モータ対地容量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電気負荷装置に接続される蓄電装置を車両外部の電源から充電する充電システムであって、前記電気負荷装置は、互いに並列接続される第1および第2のインバータと前記第1および第2のインバータによって駆動される第1および第2の交流回転電機とを含み、
前記電源の一端を前記第1の交流回転電機の巻線に接続し、かつ、前記電源の他端を前記電気負荷装置の直流線に接続するように構成された接続装置と、
前記第1の交流回転電機の巻線と前記第2の交流回転電機の巻線とを直列に接続するための電力線と、
前記電源から前記蓄電装置の充電時、前記第1のインバータを停止し、前記第2のインバータの少なくとも一相をスイッチング制御する制御装置とを備える充電システム。
【請求項2】
前記第1の交流回転電機の対地容量は、前記第2の交流回転電機の対地容量よりも大きい、請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記第2の交流回転電機の漏れインダクタンスは、前記第1の交流回転電機の漏れインダクタンスよりも大きく、
前記制御装置は、前記電源から前記蓄電装置の充電時、前記第1のインバータを停止し、前記第2のインバータの全相アームを同時にスイッチング制御する、請求項1に記載の充電システム。
【請求項4】
前記電源は、交流電源であり、
前記接続装置は、
前記交流電源からの交流電力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力端の一方を前記第1の交流回転電機の巻線に接続する第1の電力線と、
前記整流回路の出力端の他方を前記電気負荷装置の負極線に接続する第2の電力線とを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記電源は、交流電源であり、
前記接続装置は、
前記交流電源の一端を前記第1の交流回転電機の巻線に接続する第1の電力線と、
前記第1および第2のインバータに並列に接続される整流回路と、
前記交流電源の他端を前記整流回路に接続する第2の電力線とを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機の多相巻線の中性点と前記第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機において前記電源が接続される巻線とは異なる巻線の非中性点側と前記第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設され、
前記制御装置は、前記電源から前記蓄電装置の充電時、前記第2のインバータについて、前記第2の交流回転電機において前記電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機の多相巻線の中性点と前記第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設され、
前記制御装置は、前記電源から前記蓄電装置の充電時、前記第2のインバータについて、前記第2の交流回転電機において前記電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機において前記電源が接続される巻線とは異なる巻線の非中性点側と前記第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項10】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線の中性点に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側と前記第2の交流回転電機の多相巻線の中性点との間に配設される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項11】
前記第1および第2の交流回転電機の各々は、星型結線された多相巻線を固定子巻線として含み、
前記接続装置は、前記第1の交流回転電機の多相巻線の中性点に前記電源を接続し、
前記電力線は、前記第1の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側と前記第2の交流回転電機の多相巻線におけるいずれかの巻線の非中性点側との間に配設され、
前記制御装置は、前記電源から前記蓄電装置の充電時、前記第2のインバータについて、前記第2の交流回転電機において前記電力線が接続される巻線と異なる相の少なくとも一つをスイッチング制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項12】
前記第1および第2の交流回転電機の少なくとも一方から駆動トルクを受ける車輪と、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の充電システムとを備える車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−51092(P2010−51092A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213060(P2008−213060)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】