説明

光デバイスの製造方法及び光デバイス

【課題】各構成部品を容易に且つ高精度に位置合わせ(光結合)することができる光デバイスの製造方法、及びその製造方法により製造された光デバイスを提供する。
【解決手段】基板211の第1の領域上に形成された光導波路を有する第1の構成部品210と、第2の光導波路を有する第2の構成部品220とを光結合する光デバイスの製造方法において、基板211の第2の領域に貫通孔を設けておき、基板211の裏面側に貫通孔を塞ぐようにして圧力変形部材231を貼り付ける。そして、基板211の第2の領域上に第2の構成部品220を配置した後、ガス圧印加治具241を用いて圧力変形部材231に圧力を印加する。これにより、圧力変形部材231の一部が基板211の上側に突出し、第2の構成部品220が上下方向に微動する。光源245から光を出射し、受光素子246の出力が最大となるように圧力変形部材231に印加する圧力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品(構成部品)を組み合わせて構成される光デバイスの製造方法、及びその製造方法により製造された光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信は高速且つ大容量の信号伝送に適しており、長距離の基幹通信システムでは既に実用化されている。このような通信システムにおいて、信号の伝送経路を切換える信号切換装置は必須のデバイスである。従来の通信システムでは、光信号を一旦電気信号に変換してから半導体スイッチで信号の伝送経路を切換え、その後再び光信号に変換する方式が広く使用されていた。しかし、近年、光通信のより一層の高速化及び大容量化が進んでいるため、半導体スイッチでは対応できなくなってきている。そこで、光信号のままで伝送経路の切換えができる光スイッチの開発が進められている。
【0003】
本願出願人は、特許文献1及び特許文献2において、電気光学効果を利用して光信号の伝送経路を切換える光スイッチを提案している。図1(a)はその光スイッチの一例を示す平面図、図1(b)は図1(a)のI−I線による断面図である。
【0004】
この光スイッチは、入射側光導波路部101、コリメート部102、入射側光偏向素子部103、共通導波路104、出射側光偏向素子部105、集光部106及び出射側光導波路部107により構成されている。入射側光導波路部101、コリメート部102、共通導波路104、集光部106及び出射側光導波路部107は基板100上に光学膜を積層することにより形成され、入射側光偏向素子部103及び出射側光偏向素子部105は電気光学効果を示す材料を用いて個別に形成された後、基板100上に搭載される。
【0005】
入射側光導波路部101は、n本(図1に示す例では、n=4)の光導波路(コア層)101aと、これらの光導波路101aを被覆して屈折率の差により光信号を光導波路101a内に閉じ込めるクラッド層101bとにより構成されている。出射側光導波路部107も、これと同様に、複数本の光導波路(コア層)107aと、これらの光導波路107aを被覆して屈折率の差により光信号を光導波路107a内に閉じ込めるクラッド層107bとにより構成されている。
【0006】
コリメート部102は、n組のコリメートレンズ102aにより構成されている。これらのコリメートレンズ102aは、所定の形状にパターニングされたコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とにより形成されている。光導波路101aから出射された光は放射状に広がるが、コリメートレンズ102aによって平行光となる。
【0007】
入射側光偏向素子部103にはn組の光偏向素子103aが設けられている。各光偏向素子103aは光導波路を上下方向から挟む一対の楔状電極を有しており、ポッケルス効果(電気光学効果)を利用して光信号の伝搬方向を変更する。この例では、各伝送経路毎に4個の光偏向素子103aが伝送経路に沿って楔状電極の向きを交互に変えて配置されている。
【0008】
共通導波路104は、薄膜状のコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とからなるスラブ(slab)導波路で構成されている。この共通導波路104には入射側光偏向素子部103から出力された複数の光信号が同時に通るが、これらの光信号は共通導波路104内を決められた方向に直進するので、他の光信号と干渉することなく出射側光偏向素子部105に伝達される。
【0009】
出射側光偏向素子部105にはn組の光偏向素子105aが設けられている。これらの光偏向素子105aは、共通導波路104を通って光偏向素子105aに到達した光を、光導波路107aに平行な方向に偏向する。この出射側光偏向素子部105は、入射側光偏向素子部103と同様の構造を有している。
【0010】
集光部106は、n組の集光レンズ106aにより構成されている。これらの集光レンズ106aも、コリメートレンズ103aと同様に、所定の形状にパターニングされたコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とにより形成されている。これらの集光レンズ106aは、光偏向素子105aを通過した光を集光して光導波路107aに導くという働きがある。
【0011】
このように構成された光スイッチにおいて、光偏向素子103a,105aに電圧が印加されていないときには、i番目(iは1〜4の任意の整数)の光導波路101aに入射された光信号は、コリメートレンズ102aにより平行光に変換された後、光偏向素子103a、共通導波路104及び光偏向素子105aを直進し、集光レンズ106aにより集光されて、i番目の光導波路107aに伝達される。
【0012】
一方、光偏向素子103a,105aに所定の電圧を印加すると、i番目の光導波路101aに入射された光信号は、光偏向素子103aで電圧に応じた角度で進行方向が曲げられる。そして、共通導波路104を直進し、j番目(jは1〜4の任意の整数、但し、i≠j)の光偏向素子105aに伝達される。その後、この光偏向素子105aにより屈折され、j番目の集光レンズ106aを通ってj番目の光導波路107aに伝達される。このようにして、光信号の切換えが行われる。
【0013】
ところで、図1(a),(b)に示す光スイッチでは、光偏向素子部103,105を光導波路101a,107a、コリメートレンズ102a及び集光レンズ106aに対し位置合わせしながら基板100上に搭載する必要がある。
【0014】
一般的に、光デバイスを構成する2つの構成部品を位置合わせ(光結合)する場合は、パッシブアライメントと呼ばれる方法、又はアクティブアライメントと呼ばれる方法が採用される。パッシブアライメントでは、予め一方の構成部品に位置決めの基準となる基準面を設けておき、他方の構成部品をその基準面に突き当てて配置する。また、アクティブアライメントでは、各構成部品を仮配置し、一方の構成部品の光導波路(コア層)に光を入力し、他方の構成部品の光導波路(コア層)から出力される光の量が最大となるように各構成部品の位置を調整する。どちらの方法でも、構成部品はフリップチップボンダなどの吸着ホルダと移動ステージとを用いて所定の位置に配置され、接着剤などにより固定される。
【0015】
その他、本発明に関係すると思われる従来技術として、特許文献3に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2002−318398号公報
【特許文献2】特開2003−195369号公報
【特許文献3】特開2000−263794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
光デバイスを構成する構成部品同士を位置合わせ(光結合)する場合に、図2(a)に示す平面方向の3軸(X方向、Y方向、Rz方向)と、図2(b)に示す高さ方向の3軸(Z方向、Rx方向、Ry方向)とを調整することが必要である。ここで、Rz方向はZ軸を中心とする回転方向、Rx方向はX軸を中心とする回転方向(あおり方向)、Ry方向はY軸を中心とする回転方向(あおり方向)である。
【0017】
パッシブアライメントのみで位置合わせを行うためには、一方の構成部品に3つの基準面(例えば相互に直交する3つの平面)を設けておくことが必要である。そして、それらの基準面に他方の構成部品の3つの面を突き当てて配置することにより、位置合わせ(光結合)が完了する。しかし、この方法では、構成部品の製造にサブミクロンレベルの寸法精度が要求されるため、製造が極めて困難であるという問題点がある。
【0018】
一方、アクティブアライメントのみで位置合わせを行うためには、平面方向の3軸と高さ方向の3軸とを同時に調整する必要があるため、作業が極めて煩雑となる。特に、吸着ホルダと移動ステージとを使用して高さ方向の3軸を調整することは技術的に困難である。
【0019】
本発明の目的は、各構成部品を容易に且つ高精度に位置合わせ(光結合)することができる光デバイスの製造方法、及びその製造方法により製造された光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一観点によれば、基板と該基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路とを有する第1の構成部品と、第2の光導波路を有する第2の構成部品とを光結合させて光デバイスを製造する光デバイスの製造方法において、前記基板の第1の領域に隣接する第2の領域に前記基板の一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を設け、前記基板の前記第2の領域上に前記第2の構成部品を配置するとともに、前記基板の下面側に前記貫通孔を覆う圧力変形部材を配置し、前記圧力変形部材に圧力を印加して前記貫通孔を介して前記基板の上側に前記圧力変形部材の一部を突出させることにより前記第2の構成部品を移動させて前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とを光結合させる光デバイスの製造方法が提供される。
【0021】
本発明においては、基板の裏面側に配置された圧力変形部材に圧力を印加して圧力変形部材を基板の上側に突出させ、それにより第2の構成部品を微動させて第1の光導波路と第2の光導波路とを光結合させる。このような方法では、第2の構成部品の移動量を精密に制御できるので、第1の光導波路と第2の光導波路とを容易に且つ高精度に光結合(位置合わせ)することができる。
【0022】
この場合に、ガスにより圧力変形部材に圧力を印加すると、圧力の制御が容易である。また、貫通孔を複数形成し、各貫通孔毎に圧力変形部材に印加する圧力を個別に制御することにより、高さ方向の3軸の調整が可能である。なお、平面方向の3軸の調整は、例えば第1の構成部品及び第2の構成部品にそれぞれ位置合わせマークを形成し、それらの位置合わせマークを使用して行うことが好ましい。
【0023】
第1の構成部品と第2の構成部品とを光結合した後、圧力変形部材を除去してもよい。この場合、貫通孔内に導電性の封止材を充填すると、封止材を介して第2の構成部品に電気を供給することができる。
【0024】
本発明の他の観点によれば、基板と、前記基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路と、前記基板の前記第2の領域に設けられた貫通孔と、電気光学効果を示す材料により形成され、前記基板の前記第2の領域上に接合されて前記第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、前記第2の光導波路の下側に形成された下部電極と、前記第2の光導波路の上側に形成された上部電極と、前記貫通孔内に充填され、前記基板の上側に突出して前記下部電極と電気的に接続した導電性封止材とを有する光デバイスが提供される。
【0025】
本発明の光デバイスは、第1の光導波路と第2の光導波路との光結合に使用した貫通孔内に導電性封止材を充填し、この導電性封止材により下部電極を基板の下側に電気的に引き出している。これにより、基板上の配線を簡略化(又は省略)することができて、第1の構成部品の製造が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図3は本発明の第1の実施形態に係る製造方法により製造された光デバイスを示す断面図、図4は同じくその光デバイスを構成する2つの構成部品(第1の構成部品210及び第2の構成部品220)を個別に示す断面図である。
【0028】
この光デバイスは、第1の構成部品210の所定の領域(第2の領域)に形成された溝215a内に、第2の構成部品220を光学接着剤232で接合して形成されている。図4に示すように、第1の構成部品210は、基板211と、この基板211の所定の領域(第1の領域)上に形成された光導波路215とにより構成されている。光導波路215は、基板211の上側に第1のクラッド層(下部クラッド層)212、コア層213及び第2のクラッド層(上部クラッド層)214を積層して形成されている。また、溝215aは、光導波路215の一部を基板211が露出するまでエッチングすることにより形成されている。
【0029】
第1の構成部品210の溝215aの底部には、複数の位置合わせマーク(アライメントマーク)216がそれぞれ所定の位置に設けられている。また、溝215aの底部には、基板211の表面側から裏面側に貫通する貫通孔211aが設けられている。
【0030】
一方、第2の構成部品220は、基板221と光導波路225とにより構成されている。光導波路225は、基板221の下側に第1のクラッド層222、コア層223及び第2のクラッド層224を積層して形成されている。また、第2のクラッド層224の下側には、複数の位置合わせマーク(アライメントマーク)226がそれぞれ所定の位置に設けられている。
【0031】
本実施形態においては、第1の構成部品210に設けられた貫通孔211aを利用して、後述するように第1の構成部品210と第2の構成部品220との高さ方向(Z方向)の位置合わせ(光結合)を行う。また、本実施形態では、第1の構成部品210上に第2の構成部品220を接合した後、貫通孔211a内に封止材233を充填して貫通孔211aを封止している。
【0032】
図5〜図7は、本発明の第1の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【0033】
予め、図5(a)に示すように、第1の構成部品210の基板211のうち溝215aの底面の四隅の近傍に位置合わせマーク216と貫通孔211aとを設けておく。基板211の厚さは例えば0.5mmであり、貫通孔210aの直径は例えば0.3mmである。
【0034】
そして、基板211の裏面側に、貫通孔211aを塞ぐようにしてフィルム状の圧力変形部材231を貼り付ける。圧力変形部材231は圧力を印加することによりその一部が貫通孔221aを介して基板211の上側まで突出する程度の柔軟性を有するものであればよい。例えば、デュポン株式会社製のドライフィルムRISTON-FX-150 (厚さ50μm)を圧力変形部材231として使用することができる。
【0035】
なお、前述の特許文献3には、貫通孔が設けられた基板の一方の面側にドライフィルムを貼り付け、熱と圧力とによりドライフィルムを変形させて基板の他方の面側にドライフィルムを突出させることが記載されている。但し、特許文献3はインクジェットプリンタのノズル部分の撥水処理方法に関する発明であり、貫通孔を介して基板の面上に突出したドライフィルム(圧力変形部材)により光デバイスの構成部品を微動させる本願発明とは技術的思想が異なる。
【0036】
次に、図5(b)に示すように、第1の構成部品210にガス圧印加用治具241を取り付ける。このガス圧印加用治具241は上側が開放された箱状の形状を有し、第1の構成部品210の基板211の下面側に密着させて、圧力変形部材231の周囲に閉鎖された空間(以下、「閉鎖空間」という)を形成する。この閉鎖空間内には、配管接続口241aを介してガスが供給される。このガス圧印加用治具241には、電気を供給することにより発熱するヒータ242が設けられている。
【0037】
次に、図5(c)に示すように、第1の構成部品210の溝215a内に第2の構成部品220を配置する。予め第2の構成部品220にも位置合わせマーク226を設けておき、それらの位置合わせマーク226が第1の構成部品210の位置合わせマーク216と整合するように、第2の構成部品220を第1の構成部品210に対し相対的に移動させて平面方向の3軸の位置合わせを行う。
【0038】
次に、図6に示すように、レーザ光源245から出射されたレーザ光を第1の構成部品210の光導波路215(コア層213)の一方から入力し、他方から出力される光を受光素子246で受光する。この受光素子246の出力は、マイクロコンピュータにより構成される制御部247に入力される。制御部247は、受光素子246の出力に基づいてガス圧調整部248を制御し、ガス供給源(コンプレッサ又はガスボンベ等)249からガス圧印加用治具241に供給されるガスの圧力を調整する。これにより、圧力変形部材231の基板211の上側に突出する突出量が変化し、第2の構成部品220が上下方向に移動(微動)して、受光素子246に入力される光の量が変化する。
【0039】
本実施形態では、制御部247により、受光素子246の出力が最大となるようにガス圧調整部248が自動的に調整される。なお、オペレータが手動で、受光素子246の出力が最大となるようにガス圧調整部248を調整してもよい。また、この工程では、圧力変形部材231を変形しやすくするために、ヒータ242により圧力変形部材231を加熱して軟化させることが好ましい。
【0040】
このようにしてガス圧を調整し第2の構成部品220を上下方向に移動させて受光素子246の出力が最大になる位置が決まったら、図7(a)に示すように、第1の構成部品210と第2の構成部品220との隙間に接着剤232を充填して、第2の構成部品220と第1の構成部品210とを接合する。ここで、接着剤232は光透過性であることが必要であるが、一般的な光学接着剤を使用することができる。本実施形態において使用可能な光学接着剤としては、例えばNTT−AT株式会社のAT8224がある。このようにして第2の構成部品220を第1の構成部品210に接合した後、第1の構成部品210からガス圧印加用治具241を取り外す。
【0041】
次に、図7(b)に示すように、第1の構成部品210から圧力変形部材231を除去する。圧力変形部材231として前述のドライフィルム(RISTON-FV-150 )を使用した場合は、第1の構成部品210を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させることにより、圧力変形部材231が溶解して除去される。
【0042】
次いで、図7(c)に示すように、基板211の貫通孔211a内に封止材233を充填する。第2の構成部品220に電気(又は電気信号)を供給する場合は、封止材233として導電ペーストを使用すると、導電ペーストを介して第2の構成部品220に電気を供給することができる。なお、本実施形態では、上述の如く圧力変形部材231を除去した後に貫通孔211aを封止材233で封止しているが、圧力変形部材231の除去及び封止材233による貫通孔211aの封止は必要に応じて行えばよく、必須の工程ではない。
【0043】
本実施形態においては、上述したように、ガスの圧力を調整することにより圧力変形部材231の変形量を制御して構成部品220を上下方向に移動させ、受光素子246の出力が最大となるように圧力を調整するので、構成部品220の位置を微妙に変化させることができて、Z方向の位置合わせを容易に且つ高精度に行うことができるという効果を奏する。
【0044】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図である。この図8において、図6と同一物には同一符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0045】
本実施形態において、平面方向の3軸の調整は、第1の実施形態と同様に、第1の構成部品210及び第2の構成部品220にそれぞれ設けられた位置合わせマーク(アライメントマーク)216,226を整合させることにより行う。そして、高さ方向の3軸の調整は、図8に示すように、ガス圧印加用治具252を使用して行う。このガス圧印加用治具252は、第1の構成部品210の基板211の裏面側に密着し、各貫通孔211a毎に個別に仕切られた閉鎖空間を形成する。
【0046】
ガス圧印加用治具252と基板211とにより形成された各閉鎖空間には、ガス圧力調整部258a〜258dからそれぞれ個別にガスが供給される。制御部247は、受光素子246の出力が最大となるように、予め設定されたプログラムに従ってこれらのガス調整部258a〜258dを制御する。
【0047】
本実施形態においては、平面方向の3軸の調整は位置合わせマーク216,226により行い、高さ方向の3軸の調整は各貫通孔211aから基板211上に突出する圧力変形部材231の突出量を個別に制御することにより行うので、第1の光学部品210と第2の光学部品220との6軸方向の位置合わせを容易に且つ高精度に行うことができる。
【0048】
(第3の実施形態)
図9(a)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法により製造された光デバイスを示す平面図、図9(b)は図9(a)のII−II線による断面図である。なお、本実施形態は、本発明を4入力4出力(4×4)の光スイッチの製造に適用した例について説明している。
【0049】
図9(a),(b)に示す光スイッチは、入射側光導波路部301、コリメート部302、入射側光偏向素子部303、共通導波路304、出射側光偏向素子部305、集光部306及び出射側光導波路部307により構成されている。入射側光導波路部301、コリメート部302、共通導波路304、集光部306及び出射側光導波路部307は、基板300の第1の領域上に光学膜を積層することにより形成され、入射側光偏向素子部303及び出射側光偏向素子部305は、電気光学効果を示す材料を用いて個別に形成された後、光学接着剤308により基板300の第2の領域上に接合される。
【0050】
入射側光導波路部301は、4本の信号伝送用光導波路(コア層)301aと、2本の位置合わせ用光導波路(コア層)301bと、これらの光導波路301a,301bを被覆して屈折率の差により光信号を光導波路301a,301b内に閉じ込めるクラッド層301cとにより構成されている。2本の位置合わせ用光導波路301bは基板300の幅方向の両側に配置されており、4本の信号伝送用光導波路301aはそれらの位置合わせ用光導波路301bの間に所定のピッチで配置されている。
【0051】
これと同様に、出射側光導波路部307も、4本の信号伝送用光導波路(コア層)307aと、2本の位置合わせ用光導波路(コア層)307bと、これらの光導波路307a,307bを被覆して屈折率の差により光信号を光導波路307a,307b内に閉じ込めるクラッド層307cとにより構成されている。2本の位置合わせ用光導波路307bは基板300の幅方向の両側に配置されており、4本の信号伝送用光導波路307aはそれらの位置合わせ用光導波路307bの間に所定のピッチで配置されている。
【0052】
コリメート部302は、4組の信号伝送用コリメートレンズ302aと、2組の位置合わせ用レンズ302bとにより構成されている。信号伝送用コリメートレンズ302aは信号伝送用光導波路301aに整合する位置に配置されており、位置合わせ用レンズ302bは位置合わせ用光導波路301bに整合する位置に配置されている。これらのレンズ302a,302bは、所定の形状にパターニングされたコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とにより形成されている。
【0053】
これと同様に、集光部306は、4組の信号伝送用集光レンズ306aと、2組の位置合わせ用レンズ306bとにより構成されている。信号伝送用集光レンズ306aは信号伝送用光導波路307aに整合する位置に配置されており、位置合わせ用レンズ306bは位置合わせ用光導波路307bに整合する位置に配置されている。これらのレンズ306a,306bも、所定の形状にパターニングされたコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とにより形成されている。
【0054】
入射側光偏向素子部303には4組の光偏向素子303aが設けられている。これらの光偏向素子303aは、信号伝送用コリメートレンズ302aに整合する位置に配置されている。入射側光偏向素子部303の下側には各光偏向素子303a毎に楔状の下部電極が設けられており、入射側光偏向素子部303の上側には各光偏向素子303a共通の上部電極が設けられている。各光偏向素子303aは、ポッケルス効果(電気光学効果)により光信号の伝搬方向を変更する。1つの光偏向素子303aでは光信号を曲げることができる角度が小さいため、本実施形態では、光信号の伝送方向に沿って4個の光偏向素子303aを、楔状の下部電極の向きを交互に変えて配置している。なお、光偏向素子部303のうち位置合わせ用レンズ302bに整合する領域には光偏向素子が配置されてなく、この領域は一種のスラブ導波路となっている。また、光偏向素子303aの下部電極のうちの少なくとも一部は、基板300に設けられた貫通孔300aに充填された導電性の封止材309により、基板300の裏面側に電気的に引き出されている。
【0055】
これと同様に、出射側光偏向素子部305には、4組の光偏向素子305aが設けられている。これらの光偏向素子305aの構造は、入射側光偏向素子部303の光偏向素子303aと同じである。光偏向素子305aの下部電極のうちの少なくとも一部は、基板300に設けられた貫通孔300aに充填された導電性封止材309により基板300の裏面側に電気的に引き出されている。
【0056】
共通導波路304は、薄膜状のコア層と、そのコア層を上下方向から挟むクラッド層とからなるスラブ導波路で構成されている。但し、共通導波路304の位置合わせ用レンズ302b,306bに整合する位置には、それぞれ反射ミラー304aが配置されている。本実施形態においては、共通導波路304の幅方向の両側にそれぞれ反射ミラー304aが2個づつ設けられている。これらの反射ミラー304aは、共通導波路304に溝を形成し、溝の内面にAl(アルミニウム)、Cu(銅)又はAu(金)等の金属を被着させて形成されている。なお、共通導波路304の溝内に、表面を鏡面仕上げした部材を嵌め込んで反射ミラーとしてもよい。
【0057】
このように構成された本実施形態の光スイッチにおいて、光偏向素子303a,305aに電圧が印加されていないときには、i番目(iは1〜4の任意の整数)の信号伝送用光導波路301aに入射された光信号は、信号伝送用コリメートレンズ302aにより平行光に変換された後、光偏向素子303a、共通導波路304及び光偏向素子305aを直進し、信号伝送用集光レンズ306aにより集光されて、i番目の信号伝送用光導波路307aに伝達される。
【0058】
一方、光偏向素子303a,305aに所定の電圧を印加すると、i番目の信号伝送用光導波路301aに入射された光信号は、光偏向素子303aで電圧に応じた角度で進行方向が曲げられる。そして、共通導波路304を直進し、j番目(jは1〜4の任意の整数、但し、i≠j)の光偏向素子305aに伝達される。その後、この光偏向素子305aにより屈折され、j番目の信号伝送用集光レンズ306aを通ってj番目の信号伝送用光導波路307aに伝達される。
【0059】
以下、上述した構造の光スイッチの製造方法について説明する。
【0060】
まず、図10(a)〜(c)を参照して、入射側光偏向素子部303の形成方法について説明する。なお、出射側光偏向素子部305も入射側光偏向素子部303と同様の方法で形成するので、ここでは出射側光偏向素子部305の形成方法の説明は省略する。また、光偏向素子部303,305は楔状の下部電極が形成された面を下側にして基板300の上に搭載されるが、図10(a)〜(c)では便宜上、下部電極を形成する面を上側にしている。
【0061】
まず、図10(a)に示すように、Nb(ニオブ)をドープして導電性を付与したSrTiO3 基板311を用意し、そのSrTiO3 基板311の上に、第1のクラッド層312として例えばPLZT(Pbx La1-x (Zry Ti1-y 3 ):但し、0<x<1,0<y<1))膜を、ゾルゲル法、PLD(パルスレーザ堆積)法又はMOCVD(有機金属気相成長)法等により形成する。なお、SrTiO3 基板311は、各光偏向素子303aに共通の上部電極となる。
【0062】
次に、図10(b)に示すように、第1のクラッド層312の上にコア層313として、クラッド層312よりも屈折率が高く且つ電気光学効果を示す膜、例えばPZT(Pb(Zry Ti1-y 3 )、但し、0<y<1)をゾルゲル法、PLD法又はMOCVD法等により例えば5μmの厚さに形成する。なお、コア層313は、第1のクラッド層312よりも屈折率が高いPLZTにより形成してもよい。
【0063】
次に、図10(c)に示すように、コア層313の上に、第2のクラッド層314として、例えば第1のクラッド層312と同一組成のPLZT膜を形成する。その後、第2のクラッド層314の上に例えばAu(金)をスパッタリングして、厚さが約200nmの導電体膜を形成する。そして、この導電体膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、楔状の下部電極315と位置合わせマーク(図示せず)とを形成する。
【0064】
このようにして、基板311上に第1のクラッド層312、コア層313及び第2のクラッド層314等を形成した後、研磨により所定の大きさに加工する。これにより、入射側光偏向素子部303が完成する。また、同様の方法により、出射側光偏向素子部305を形成する。
【0065】
次に、図11(a)〜(e)を参照して、入射側光導波路部301、コリメート部302、共通導波路部304、集光部306及び出射側光導波路部306の形成方法を説明する。
【0066】
まず、図11(a)に示すように、基板300を用意する。本実施形態では、基板300として、厚さが0.5mmのシリコン基板を使用する。
【0067】
次に、図11(b)に示すように、基板300の上に石英(シリカ)系の材料をMOCVD法により堆積させて、第1のクラッド層321及びコア層322を形成する。そして、RIE(反応性イオンエッチング)法により入力側光導波路部301及び出力側光導波路部307のコア層322をパターニングして、光導波路301a,301b,307a,307bを形成する(図9参照)。
【0068】
次に、図11(c)に示すように、基板300の上に石英系の材料をMOCVD法により堆積させて、第2のクラッド層323を形成する。なお、第1のクラッド層321、コア層322及び第2のクラッド層323は、ポリマー系の材料により形成してもよい。
【0069】
次に、図11(d)に示すように、RIE法により、第2のクラッド層323、コア層322及び第1のクラッド層321をエッチングして、光偏向素子部303,305を搭載するための溝324と、コリメート部302のコリメートレンズ302a及び位置合わせ用レンズ302bと、集光部306の集光レンズ306a及び位置合わせ用レンズ306bと、反射ミラー用溝325とを形成する。このRIE工程では、シリコン基板300の表面がエッチングストップ面となる。
【0070】
次に、スパッタリング法により基板300の上にAu膜を約200nmの厚さに形成した後、このAu膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、入射側光偏向素子部303及び出射側光偏向素子部305の下部電極に電気的に接続される配線パターン(図示せず)と、位置合わせマーク(図示せず)とを形成する。その後、溝324,325の底面から基板300の裏面側に貫通する貫通孔300aを形成する。貫通孔300aの直径は例えば0.3mmとする。
【0071】
次いで、第2のクラッド層323の上に反射ミラー用溝325のみが露出するマスク(図示せず)を形成した後、Au、Al又はCu等の金属をスパッタリングして、図11(e)に示すように、溝325の壁面に被着した金属からなる反射ミラー304aを形成する。その後、マスクを除去する。なお、反射ミラー304aは、真空蒸着法又はめっき法(無電解めっき及び電解めっき)により形成してもよい。
【0072】
このようにして、入力側光導波路部301、コリメート部302、共通導波路部304、集光部306及び出射側光導波路部307を有する基板300と、光偏向素子部303,305とをそれぞれ個別に形成した後、光偏向素子部303,305を基板300上に搭載する。
【0073】
図12(a)は光偏向素子部303,305を基板300上に搭載するときの光結合方法を示す平面図、図12(b)は同じくその断面図である。
【0074】
まず、図12(a)に示すように、レーザ光源(LD)331及び受光素子(PD)332とサーキュレータ333とを光ファイバ341,342で接続し、更にサーキュレータ333と位置合わせ用光導波路301bとを光ファイバ343で接続する。この図12(a),(b)に示すように、位置合わせ用光導波路301bと接続される光ファイバ343と、信号伝送用導波路301aと接続される信号伝送用光ファイバ346とが一体になったコネクタ(ファイバアレイ)340を使用してもよい。
【0075】
次に、基板300及び光偏向素子部303にそれぞれ形成された位置合わせマークが整合するように光偏向素子部303を基板300上に配置することによって、平面方向の位置合わせを行う。
【0076】
次に、図12(b)に示すように、基板300の裏面側に、貫通孔300aを覆うようにして圧力変形部材347を貼り付ける。そして、基板300の裏面側にガス圧印加用治具348を密着させ、各貫通孔300a毎に閉鎖空間を形成する。これらの閉鎖空間には、第2の実施形態と同様に、圧力調整部を介してガスが供給されるようになっている(図8参照)。
【0077】
次に、レーザ光源331に電力を供給する。これにより、レーザ光源331から出力されたレーザ光(波長約1.55μm)は、サーキュレータ333及び光ファイバ343を介して位置合わせ用光導波路301bに入力され、コリメート部302及び光偏向素子部303を通過した後、反射ミラー304aに到達する。そして、反射ミラー304aで反射されたレーザ光は、光偏向素子部303、コリメート部302、位置合わせ用光導波路301b及び光ファイバ343を通過し、サーキュレータ333で光ファイバ342側に導入され、受光素子332に到達する。この状態で基板300とガス圧印加用治具348とにより形成される閉鎖空間内にガスを供給し、圧力変形部材347を基板300の上側に突出させて、受光素子332の出力が最大となるように光偏向素子部303を基板面に対し垂直な方向に移動する。
【0078】
光偏向素子部303が最適位置からずれると、光偏向素子部303、光導波路部301及びレンズ部302の構造で決まる関数に応じて受光素子332に到達する光のパワーが変化する。本実施形態では、光導波路301bと反射ミラー304aとの間をレーザ光が往復するため、光偏向素子部303の垂直方向のわずかな位置の変化により受光素子332の出力が大きく変化する。これにより、光偏向素子部303の最適位置を高精度に決定することができる。受光素子332の出力が最大となる位置(最適位置)が決定したら、紫外線(UV)硬化型又は熱硬化型の光学接着剤308を使用して、光偏向素子部303を基板300上に接合する。
【0079】
その後、コネクタ340を出力側光導波路部307に接続し、同様の方法により出力側光偏向素子部305を集光部306及び光導波路部307に光結合させて基板300上に固定する。
【0080】
次いで、ガス圧印加用治具348を取り外し、圧力変形部材347を除去する。その後、貫通孔300a内に導電性の封止材(導電ペースト)を充填し、光偏向素子303a,305aの下部電極を基板300の下面側に電気的に引き出す。このようにして、図9(a),(b)に示す構造の光スイッチが完成する。
【0081】
本実施形態においては、第2の実施形態と同様に、光デバイスを構成する複数の構成部品を容易に且つ高精度で光結合することができる。この場合に、反射ミラー304aを用いてレーザ光を反射させるので、入射側光偏向素子部303と入射側光導波路部301及びコリメート部302との位置合わせと、出射側光偏向素子部305と出射側光導波路部307及び集光部306との位置合わせとを個別に行うことができる。
【0082】
以下、本発明の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
【0083】
(付記1)基板と該基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路とを有する第1の構成部品と、第2の光導波路を有する第2の構成部品とを光結合させて光デバイスを製造する光デバイスの製造方法において、
前記基板の第1の領域に隣接する第2の領域に前記基板の一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を設け、
前記基板の前記第2の領域上に前記第2の構成部品を配置するとともに、前記基板の下面側に前記貫通孔を覆う圧力変形部材を配置し、
前記圧力変形部材に圧力を印加して前記貫通孔を介して前記基板の上側に前記圧力変形部材の一部を突出させることにより前記第2の構成部品を移動させて前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とを光結合させることを特徴とする光デバイスの製造方法。
【0084】
(付記2)前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路を通過する光を受光素子で受光し、該受光素子の出力が最大となるように前記圧力変形部材に印加する圧力を調整することを特徴とする付記1に記載の光デバイスの製造方法。
【0085】
(付記3)前記圧力変形部材には、ガスを介して圧力を印加することを特徴とする付記1に記載の光デバイスの製造方法。
【0086】
(付記4)前記貫通孔を複数形成し、各貫通孔毎に前記圧力変形部材に印加する圧力を個別に制御することを特徴とする付記1に記載の光デバイスの製造方法。
【0087】
(付記5)前記第1の構成部品及び前記第2の構成部品にそれぞれ位置合わせマークを形成し、それらの位置合わせマークを使用して平面方向の位置合わせを行うことを特徴とする付記1に記載の光デバイスの製造方法。
【0088】
(付記6)前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とを光結合した後、前記第1の構成部品と前記第2の構成部品とを接着剤により接合することを特徴とする付記1に記載の光デバイスの製造方法。
【0089】
(付記7)前記第1の構成部品と前記第2の構成部品とを接合した後、前記圧力変形部材を除去することを特徴とする付記6に記載の光デバイスの製造方法。
【0090】
(付記8)前記圧力変形部材を除去した後、前記貫通孔内に封止材を充填することを特徴とする付記7に記載の光デバイスの製造方法。
【0091】
(付記9)前記封止材が導電性であることを特徴とする付記8に記載の光デバイスの製造方法。
【0092】
(付記10)基板と、
前記基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路と、
前記基板の前記第2の領域に設けられた貫通孔と、
電気光学効果を示す材料により形成され、前記基板の前記第2の領域上に接合されて前記第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、
前記第2の光導波路の下側に形成された下部電極と、
前記第2の光導波路の上側に形成された上部電極と、
前記貫通孔内に充填され、前記基板の上側に突出して前記下部電極と電気的に接続した導電性封止材と
を有することを特徴とする光デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1(a)は従来の光スイッチの一例を示す平面図、図1(b)は図1(a)のI−I線による断面図である。
【図2】図2(a)は平面方向の3軸(X方向、Y方向、Rz方向)を示す模式図、図2(b)は高さ方向の3軸(Z方向、Rx方向、Ry方向)を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法により製造された光デバイスを示す断面図である。
【図4】図4は同じくその光デバイスを構成する2つの構成部品(第1の構成部品及び第2の構成部品)を個別に示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態に係る光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図9】図9(a)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法により製造された光デバイスを示す平面図、図9(b)は図9(a)のII−II線による断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、図9(a),(b)に示す光デバイスの入射側光偏向素子部の形成方法を示す断面図である。
【図11】図11(a)〜(e)は同じくその光デバイスの入射側光導波路部、コリメート部、共通導波路部、集光部及び出射側光導波路部の形成方法を示す断面図である。
【図12】図12(a)は光偏向素子部を基板上に搭載するときの光結合方法を示す平面図、図12(b)は同じくその断面図である。
【符号の説明】
【0094】
100,211,221,300…基板、
101,107,301,307…光導波路部、
102,302…コリメート部、
103,105,303,305…光偏向素子部、
103a,105a,303a,305a…光偏向素子
104,304…共通導波路部、
106,306…集光部、
210…第1の構成部品、
211a,300a…貫通孔、
212,214,222,224,312,314,321,323…クラッド層、
213,223、313,322…コア層、
215,225…光導波路、
215a,324…溝、
216,226…位置合わせマーク、
220…第2の構成部品、
231,347…圧力変形部材、
232,308…光学接着剤、
233,309…封止材、
241,252,348…ガス圧印加用治具、
242…ヒータ、
245,331…レーザ光源、
246,332…受光素子、
247…制御部、
248,258a〜258d…ガス圧調整部、
304a…反射ミラー、
311…基板(上部電極)、
315…下部電極、
333…サーキュレータ、
340…コネクタ、
341,342,343…光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と該基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路とを有する第1の構成部品と、第2の光導波路を有する第2の構成部品とを光結合させて光デバイスを製造する光デバイスの製造方法において、
前記基板の第1の領域に隣接する第2の領域に前記基板の一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を設け、
前記基板の前記第2の領域上に前記第2の構成部品を配置するとともに、前記基板の下面側に前記貫通孔を覆う圧力変形部材を配置し、
前記圧力変形部材に圧力を印加して前記貫通孔を介して前記基板の上側に前記圧力変形部材の一部を突出させることにより前記第2の構成部品を移動させて前記第1の光導波路と前記第2の光導波路とを光結合させることを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路を通過する光を受光素子で受光し、該受光素子の出力が最大となるように前記圧力変形部材に印加する圧力を調整することを特徴とする請求項1に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記圧力変形部材には、ガスを介して圧力を印加することを特徴とする請求項1に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔を複数形成し、各貫通孔毎に前記圧力変形部材に印加する圧力を個別に制御することを特徴とする請求項1に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項5】
基板と、
前記基板の第1の領域上に形成された第1の光導波路と、
前記基板の前記第2の領域に設けられた貫通孔と、
電気光学効果を示す材料により形成され、前記基板の前記第2の領域上に接合されて前記第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、
前記第2の光導波路の下側に形成された下部電極と、
前記第2の光導波路の上側に形成された上部電極と、
前記貫通孔内に充填され、前記基板の上側に突出して前記下部電極と電気的に接続した導電性封止材と
を有することを特徴とする光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−183350(P2007−183350A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−727(P2006−727)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「フォトニックネットワーク技術の開発事業」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】