出力装置、多値出力装置、及び半導体集積装置
【課題】ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流を一定にすることで、電源変動も一定となり、その結果ジッタの低減を可能にする出力装置を提供する。
【解決手段】入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部1と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて伝送路に電流を重畳出力して伝送信号の振幅を制御する電流駆動部2と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて電流駆動部2との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部3と、を備えて構成されている。
【解決手段】入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部1と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて伝送路に電流を重畳出力して伝送信号の振幅を制御する電流駆動部2と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて電流駆動部2との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部3と、を備えて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出力装置に関し、さらに詳しくは、当該出力装置を使用してシリアル伝送信号を高速で伝送する伝送回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の高速伝送は、伝送路の周波数依存性のため、変化の多いビットは高周波成分が多く減衰により受信側の波形が小さくなるが、変化しないビットの場合は、高周波成分が少なく相対的に受信側の波形が大きくなる。このため、受信側での波形を一定とするためディエンファシスもしくはエンファシスを行う。(以降ディエンファシスの意味にエンファシスも含む。)ディエンファシスの方法は様々であるが、特許文献1のように、伝送路とインピーダンス整合された抵抗デバイスに流れる電流値を制御することで、伝送信号の振幅値を変える方法などが知られている(図31参照)。
また、特許文献2では出力端子の高周波成分を第一の制御回路6と、第二の制御回路8に帰還し、第一の制御回路6と、第二の制御回路8によって第一のMOSFETゲートがオン/オフするタイミングと第二のMOSFETがオフ/オンするタイミングをずらし出力波形を鈍らせることで、出力波形が遷移しているときの消費電流を減らし、電源電圧の変動を抑えることが可能である(図32参照)。
【特許文献1】特開2006−60751公報
【特許文献2】特開2006−33301公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている従来方法では、ディエンファシス時には振幅を制御するため出力回路に余分に電流を流し込むので、非ディエンファシス時より消費電流が大きくなる。よって、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の電源電圧の変動量が異なり、伝送信号のジッタの原因となるといった問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来方法は、エッジ起因の電源変動を抑える方法なので、特許文献2に対して特許文献1と同様の方法でディエンファシスを付加した場合でも、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流の差が原因のジッタに対しては全く効果がない。また、出力を制御回路に帰還する機構のため、帰還しない場合と比べて負荷容量が大きくなり、伝送信号を受信回路に送信できない可能性もある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、特許文献1の機構(図31)にダミーの電流駆動部を加え、電流駆動部が電流を流していない時に、ダミーの電流駆動部が電流を消費するようにして、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流を一定にすることで、電源変動も一定となり、その結果ジッタの低減を可能にする出力装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、電流駆動部を複数にし、それに対応するダミー電流駆動部も複数にすることで、多値出力のデータ依存によるジッタにも対応可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、伝送路に伝送信号を出力する出力装置であって、入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2は、前記ダミー電流駆動部と前記電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする。
請求項3は、前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項4は、前記電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を備えたことを特徴とする。
請求項5は、前記ダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を備えたことを特徴とする。
請求項6は、前記電源側駆動スイッチ及び前記グランド側駆動スイッチがオフすることで前記電流駆動部をオフとし、且つ前記電源側ダミースイッチ及び前記グランド側ダミースイッチが何れもオン状態になった時、前記ダミー電流駆動部が電流を消費することを特徴とする。
【0006】
請求項7は、伝送路に多値の伝送信号を出力する多値信号出力装置において、入力された振幅制御信号に基づいてデータを出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する複数の電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御する複数のダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする。
請求項8は、前記複数のダミー電流駆動部と前記複数の電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする。
請求項9は、前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項10は、前記複数の電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を夫々備えたことを特徴とする。
請求項11は、前記複数のダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を夫々備えたことを特徴とする。
請求項12は、高速シリアル伝送に用いられる半導体集積装置であって、請求項1至11の何れか一項に記載の出力装置を用いてシリアル伝送信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディエンファシス(エンファシス)時と非ディエンファシス(エンファシス)時に流れる電流値の総和を一定にすることで、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流の差を低減し、その結果、電源変動量がデータによらず一定となり、従来と比べてジッタの低減を可能にすることができる。
また、電流駆動部と同様の構成を持つダミー電流駆動部を用いて、電流駆動部が電流を消費していない時に、ダミー電流駆動部が電流を消費することで、ディエンファシス時と非ディエンファシス時に消費される電流量をほぼ等しくし、その結果、電源変動量を一定にすることでデータ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
【0009】
また、出力抵抗に流れる電流値によって出力振幅を制御する多値出力装置に、ダミー電流駆動部を用いることで、出力される電圧値によらず電流値の総和を一定にすることが可能となり、その結果、出力値によらず電源の変動量を一定にすることが可能となり、データ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
また、出力される電圧値によらず、電流駆動部もしくはダミー電流で電流を消費することで、電源の変動量をデータによらず一定にすることが可能となり、データ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
また、差動の構成をなすことで、近年の高速シリアル伝送の装置に応用が可能となり、電源変動量がデータによらない出力装置を提供し、低ジッタの高速シリアル伝送装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
<実施例1>
図1は本発明の出力装置の一実施形態を示す概略図である。図2は本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
図3は本発明の出力装置のブロック図である。本発明はデータ出力部1、電流駆動部2、ダミー電流駆動部3の3つのパートから構成されている。以下、データ出力部1の説明、電流駆動部2の説明、ダミー電流駆動部3の説明をした後、全体の説明を行う。
図4はデータ出力部1の実施例である。データ出力部1は、一方が出力端67に接続された抵抗デバイス(第1抵抗デバイス)p62(または(第2抵抗デバイス)n63)と他方がスイッチpo(電源側スイッチ)61((グランド側スイッチ)no64)と接続されている。また、68は終端抵抗で、伝送路の特性インピーダンスと等しい値の抵抗値である。以下では各部位について説明する。
【0011】
スイッチpo(61)はp−MOSトランジスタにより構成され、スイッチno(64)はn−MOSトランジスタで構成される。更に抵抗デバイスp(62)は、スイッチpo(61)がオン状態の時にスイッチpo(61)と抵抗デバイスp(62)の合成インピーダンスが、伝送路のインピーダンスに整合する。
同様に抵抗デバイスn(63)もスイッチno(64)がオン状態の時にスイッチno(64)と抵抗デバイスn(63)の合成インピーダンスが、伝送路のインピーダンスに整合する。抵抗デバイス62及び63が厳密な値を要求された場合、所望の値になるように制御される。そして、その出力インピーダンス整合を行う制御の方法については特開2006−60751に詳述されているように、抵抗デバイス62(または63)が可変抵抗でインピーダンス調整部で得られた結果をもとにインピーダンス整合する方法と、抵抗デバイス62(または63)が複数の抵抗デバイスからなり、インピーダンス調整部で得られた結果をもとに複数の抵抗デバイスがいくつか選択されインピーダンス整合をする選択式の方法がある。
また、抵抗デバイス62及び63を用いずに、スイッチpo61及びスイッチno64のゲート電圧を制御して、スイッチpo及びスイッチnoのオン抵抗が、伝送路のインピーダンスに整合する用に制御する方法もあり、これらの方法のいずれを用いてもデータ出力部を構成することが可能である。
【0012】
図5はデータ出力部1にHが入力された時の動作図、図6は等価回路1である。71は入力データHが入力されていることを示す。図4と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。点線で描かれているスイッチ61及び抵抗デバイス62はスイッチ61がオフであることから、伝送路66から見た場合、開放であることを示している。スイッチno63はn−MOSトランジスタでHが入力されているのでオンとなり伝送路66と抵抗デバイスn63が接続される。また、抵抗デバイスn63及びスイッチno64のオン抵抗の合成インピーダンスは前述の通り伝送路のインピーダンスに整合するように制御されているので、図6の等価回路1と等価である。等価回路1は出力抵抗72のインピーダンスがZΩ、終端抵抗73がZΩで、それぞれ、一方がGNDと接続されているので、出力端67の電圧は0である。
【0013】
図7はデータ出力部1にLが入力された時の動作図、図8は等価回路2である。74は入力データLが入力されていることを示す。図4及び図5と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。点線で描かれている63及び64は図7と同様に開放状態であることを示している。スイッチ61がオンなので、伝送路には抵抗デバイス62が接続され、図8の等価回路2で表される回路と等価である。出力端67の電圧は出力抵抗75(ZΩ)及び終端抵抗73(ZΩ)の抵抗分圧なので、Vdd/2である。このようにデータ出力部1は入力データに従って、伝送路の特性インピーダンスに整合したHレベルまたはLレベルの信号を出力する。
図9に電流駆動部2の実施の形態を示す。電流駆動部2は電流源p81及び電流源p81と直列に接続されたスイッチp82及び、電流源n84と電流源n84と直列に接続されたスイッチn83からなる。また、電流源p81及び電流源n84の電流値は等しい。スイッチp82はp−MOSトランジスタ、スイッチn83はn−MOSトランジスタで構成され、スイッチp82は振幅制御信号85によって、スイッチn83は振幅制御信号86によってオン/オフ制御される。また電流駆動部の出力端67は伝送路66に接続され、出力端67はデータ出力部1の出力端67と同一である。
【0014】
図10〜13に電流駆動部2の電流経路と振幅制御信号p、nの関係を示す。図4乃至図9と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
91〜94は振幅制御信号85/振幅制御信号86のデータパターンを示している。95〜99は電流の向きを示している。81〜84が点線で表されている場合、スイッチ82もしくは83がオフのため、伝送路66からみたら開放状態であることを示している。
図10で振幅制御信号85がLで振幅制御信号86がLの場合、スイッチ83がオフでスイッチ82がオンなので、電源電圧から伝送路66に電流が流 れ込む。
図11で振幅制御信号85がHで振幅制御信号86がHの場合、スイッチ82がオフでスイッチ83がオンなので伝送路からGNDに電流を引き込む。
【0015】
図12で振幅制御信号85がLで振幅制御信号86がHの場合、スイッチ82及びスイッチ83がオンなので、電流源81及び電流源84が導通状態になる。ここで、電流源81と電流源84は理想的には電流値の等しい電流源なので、伝送路には電流が流れず電源からGNDに貫通電流が流れる。
図13で振幅制御信号85がHで振幅制御信号86がLの場合、スイッチ82及びスイッチ83がオフなので電流駆動部2は電流を消費しない。データ出力部のスイッチと電流駆動部のスイッチは連動して動作をし、抵抗デバイスn63に電流を流しこんだり、抵抗デバイス62から電流を引き抜いたりして、出力端67に出力される電圧の値を制御する機能を持つ。
【0016】
図14はデータ出力部1と電流駆動部2の実施例である。データ65と振幅制御信号85、86のデータパターンについて説明する。
図15にデータ出力部に入力されるデータと振幅制御信号85乃至86の関係を示す。図15の上からデータ、振幅制御信号85、振幅制御信号86のデータパターンを示している。図中1UIとはデータパターンの最小パルス幅を示している。以降1UIを1bitとする。
(1)、(4)のように1bit毎にデータが切り替わる場合、振幅制御信号85はHを振幅制御信号86はLを保持するので、電流駆動部2は電流を消費しない。
(2)、(6)のように2bit以上データがLである場合、最初の1bit目では電流駆動部2は電流を消費しないが、2bit目以降はデータが切り替わるまで振幅制御信号は85はLを振幅制御信号86はLを保持するので、電流駆動部2は電源電圧から伝送路66に電流を流し込む(Lのディエンファシス)。
同様に(3)、(5)のように2bit以上データがHである場合、最初の1bit目では電流駆動部2は電流を消費しないが、2bit目移行はデータが切り替わるまで、出力端66からGNDに電流を引き込む(Hのディエンファシス)。以上(1)〜(6)の間で、電流駆動部が電流を消費している時としていない時では消費電流に差が出るので、この差が電源電圧の変動量に差につながり、結果データ依存のジッタを生じる。以上のデータパターンを基に振幅制御信号85及び86が取りうるデータパターンを図16に示す。図16に示すように振幅制御信号は同時にスイッチ82及び83が同時にオンすることはない。
【0017】
以下、図17、18に1bit毎にデータが切り替わる時にHを出力する時の等価回路とHのディエンファシス状態時の出力端電圧がVdd/3時の等価回路を示し、電源電圧の変動量の差について説明する。
図17、18、121は外部電源と出力装置の電源(Vdd)につく配線抵抗などのインピーダンスを示し、122は外部のGNDと出力装置にのGNDにつく配線抵抗などのインピーダンスを示す。出力端67の電圧がVdd/2の時に出力装置が消費する電流は出力抵抗75と終端抵抗73で決まるのでVdd/2Zである。よって外部電源からチップ内電源の電圧降下はおよそZs*(Vdd/2Z)である。
図18は電流を余分に流すことでディエンファシスをかける。このときの出力装置に流れる電流値は2Vdd/3なので、外部電源からチップ内電源の電圧降下はZs*(2Vdd/3)であり、1bit毎にデータが切り替わる場合と比べて電源の変動量が異なり、この変動量の違いがジッタとなる。そこで、ダミー電流駆動部で非ディエンファシス時に電流を余分に流すことで、データによらず、消費電流を一定にし、電源の変動量を一定にすることでジッタを低減することが可能となる。
【0018】
図19にダミー電流駆動部3の実施例を示す。ダミー電流駆動部3はディエンファシス時に電源電圧に定常的に流れる電流と非ディエンファシス時に電源電圧に流れる電流の差分と等しい電流量を流す電流源(電源側ダミー電流源)pd131と電流源直列に接続されたスイッチ(電源側ダミースイッチ)pd132とスイッチpd132と直列に接続されたスイッチ(グランド側ダミースイッチ)nd133とスイッチnd133の他方が電流源pd131と等しい電流量を流す電流源(グランド側ダミー電流源)nd134に直列に接続された構成をなす。スイッチpd132はp−MOSトランジスタ、スイッチnd133はn−MOSトランジスタで構成されている。
図20にデータと振幅制御信号85/振幅制御信号86と電流駆動部2、ダミー電流駆動部3の関係について示す。電流源駆動部2の電流源pとはスイッチ82がオン状態を示し、電流源nとはスイッチ83がオン状態を示す。振幅制御信号の条件に関わらず、電流は常に流れる状態となり、エンファシスが原因で生じるデータ依存の消費電流の差異は解決され、電流の差異による電源変動の差異も解消される。
【0019】
<実施例2>
図21に他の実施形態にかかる出力装置の概略図を示す。本発明はデータ出力部1、複数の電流駆動部2a、2b…2x、複数のダミー電流駆動部3a、3b…3xの3つのパートから構成されている。複数の電流駆動部2a、2b…2xの各々は電流駆動部2と同様の構成をなし、複数のダミー電流駆動部3a、3b…3xの各々でダミー電流駆動部3と同様の構成をなす。
図22〜25で本発明における多値出力装置の原理を7値出力回路を例に説明する。図22は7値出力回路の実施例である。7値の出力回路の場合電流駆動部は2つ以上で構成される。
【0020】
データ出力部1は図4と同じ構成なので同一番号を付し、説明を省略する。電流駆動部2aは電源電圧から電流を引き込む電流源(電源側駆動電流源)p0(151)と電流源p0(151)と直列に接続されたスイッチ(電源側駆動スイッチ)p0(152)とスイッチp0(152)と直列に接続されたスイッチ(グランド側駆動スイッチ)n0(153)と、スイッチn0(153)と直列に接続された電流源(グランド側駆動電流源)n0(154)を有し、電流源151と電流源154は等しい電流値の電流源で、スイッチ152とスイッチ153は出力端151を介している。またスイッチ152はp−MOSトランジスタで、振幅制御信号p0によってオンオフされ、スイッチ153はn−MOSトランジスタで、振幅制御信号n0でオンオフ制御される。
電流駆動部2bも電流駆動部2aと同様の構成をなし、電流源155と電流源158は等しい電流値であるが、電流源155(または158)は必ずしも電流源151(または154)と等しい必要性はない。また、スイッチ156は振幅制御信号p1でオンオフ制御され、スイッチ157は振幅制御信号n1でオンオフ制御される。振幅制御信号n0及び振幅制御信号p0、振幅制御信号n1、振幅制御信号p1は振幅制御信号0の1UIを最小パルス幅としてオン・オフすることを特徴とする。
【0021】
図23はデータ出力部1の振幅制御信号0がHで、スイッチ152、153、156、157がオフの時の等価回路を示している。この時出力端141の出力電圧は0である。
図24は振幅制御信号0がHで電流駆動部2a及び2bのスイッチの中で145のみがオンの時の等価回路を示している。電流源駆動部2a及び2bの電流値をそれぞれ、Vdd/(12*Z)、Vdd/(6*Z)とすると出力端の電圧はVdd/12である。
図25は振幅制御信号0がHで電流駆動部2a及び電流駆動部2bのスイッチの152及び156がオンの時の等価回路を示している。この時出力端141の電圧はVdd/4である。上記の説明のように出力電圧は出力抵抗72に流れる電流値で制御される。
図26に振幅制御信号0及び振幅制御信号n0/p0、振幅制御信号n1/p1のデータパターンと出力電圧について記述する。本発明のように電流値によって振幅を制御する方式の場合、出力値毎に電流駆動部の動作が異なるので、消費される電流値が異なり、その結果電源変動の差もことなる。そこで、データに依存しないようにダミー電流駆動部で消費電流を一定にするような電流を消費することで電源の変動量も一定となり、ジッタも低減できる。
【0022】
図27に7値のダミー電流駆動部に関する実施例を示す。ダミー電流駆動部3aは、電流源(電源側ダミー電流源)pd0(161)と直列に接続されたスイッチ(電源側ダミースイッチ)pd0(162)と、スイッチpd0(162)と直列に接続され他方を電流源(グランド側ダミー電流源)nd0(164)に接続されたスイッチ(グランド側ダミースイッチ)nd0(163)からなり、ダミー電流駆動部3bは、電流源pd1(167)と直列に接続されたスイッチpd1(168)と、スイッチpd1(168)と直列に接続された他方を電流源nd1(1610)に接続されたスイッチnd1(169)を備えた構成である。
スイッチpd0(162)とスイッチpd1(168)は、p−MOSトランジスタである。スイッチnd0(163)とスイッチnd1(169)は、n−MOSスイッチトランジスタである。電流源pd0(167)と電流源nd0(1610)の電流値は等しくVdd/(6Z)、電流源nd0(161)と電流源nd1(164)の電流値は等しくVdd/(12Z)である。ダミー電流源161及び164は、図22の電流駆動部2aのスイッチp0(152)、n0(153)が両方オフの時に電流を消費し、ダミー電流源167及び1610は図22の電流駆動部2bのスイッチp1(156)、n1(157)が両方オフの時に電流を消費する。電流駆動部とダミー電流駆動部の流す電流値の総和は常に一定なので、データによって生じる電流値の差異を解消することが可能である。
【0023】
<実施例3>
図28、29はPCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路の一部である。PCIExpressではそのほか10b8b変換機構や、シリアライザなどデジタル部も必要であるがここでは省略する。
171〜176が一つのレーン間の回路を示し、171a〜176aは別のレーンの回路を示す。171a〜176aは171〜176と全く同様の構成をなしているので、以下では171〜176のみを説明する。
本発明は171の送信部に応用される。171が差動の構成をなす出力回路であり、172、173が容量カップリング用の容量で、174、175が50Ωの伝送路、176が受信回路である。さらに171のブロック図を図29に示す。177、1711は伝送路インピーダンスと等しい出力インピーダンスで信号を出力するデータ出力部で、177が正転(反転)データが入力され、1711には反転(正転)データが入力されるそして、回路の構成に関しては実施例1の構成がそのまま利用できる。
電流駆動部178、1710に関しても実施例1の構成がそのまま利用できる。ダミー電流駆動部も実施例1の構成がそのまま利用できる。データに関しては、シリアルデータ+とエンファシスデータn+とエンファシスデータp+に関してはそれぞれ、データと振幅制御信号85と振幅制御信号86と同様のパターンのデータが入力される。この構成によって、データパターンによらず一定の消費電流となり、電源電圧変動も一定になり、ジッタが低減する。
【0024】
図30にシリアルデータ+とエンファシスデータn+とエンファシスデータp+と出力波形、電流駆動部の消費電流とダミー電流駆動部の消費電流と電源電圧の降下を示す。
電流駆動部が電流を消費していない時にダミー電流が電流を消費することで電流駆動部とダミー電流駆動部が消費電流の総和を一定にし、電源電圧の降下を一定にすることで、従来の方法と比べて、ジッタの低減を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の出力装置のブロック図である。
【図4】データ出力部1の実施例を示す図である。
【図5】データ出力部1にHが入力された時の動作図である。
【図6】図5の等価回路1を示す図である。
【図7】データ出力部1にLが入力された時の動作図である。
【図8】図7の等価回路2を示す図である。
【図9】電流駆動部2の実施の形態を示す図である。
【図10】電流駆動部2の動作説明図(その1)である。
【図11】電流駆動部2の動作説明図(その2)である。
【図12】電流駆動部2の動作説明図(その3)である。
【図13】電流駆動部2の動作説明図(その4)である。
【図14】データ出力部と電流駆動部を組み合わせた図である。
【図15】データパターンと振幅制御信号の関係を示す図である。
【図16】データパターンと振幅制御信号と出力の関係を示す図である。
【図17】出力H時のチップ外電源を含んだ等価回路を示す図である。
【図18】出力Hでエンファシス時のチップ外電源を含んだ等価回路を示す図である。
【図19】ダミー電流駆動部の実施例を示す図である。
【図20】データと振幅制御信号と電流駆動部、ダミー電流駆動部、出力の関係を示す図である。
【図21】本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図22】7値出力回路を示す図である。
【図23】図21の等価回路1を示す図(その1)である。
【図24】図21の等価回路1を示す図(その2)である。
【図25】図21の等価回路1を示す図(その3)である。
【図26】振幅制御信号と出力電圧値の関係を示す図である。
【図27】ダミー電流駆動部の一実施形態を示す概略図である。
【図28】PCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路を示す図である。
【図29】PCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路を示す図である。
【図30】データごとの消費電流と電圧降下の関係を示す図である。
【図31】従来の出力装置を示す図である。
【図32】従来の出力装置を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 データ出力部、2 電流駆動部、3 ダミー電流駆動部、61 スイッチpo、62 抵抗デバイスp、63 抵抗デバイスn、64 スイッチno、65 データ、66 伝送路、68 終端抵抗、85、86 振幅制御信号、131 電流源pd、132 スイッチpd、133 スイッチnd、134 電流源nd
【技術分野】
【0001】
本発明は出力装置に関し、さらに詳しくは、当該出力装置を使用してシリアル伝送信号を高速で伝送する伝送回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の高速伝送は、伝送路の周波数依存性のため、変化の多いビットは高周波成分が多く減衰により受信側の波形が小さくなるが、変化しないビットの場合は、高周波成分が少なく相対的に受信側の波形が大きくなる。このため、受信側での波形を一定とするためディエンファシスもしくはエンファシスを行う。(以降ディエンファシスの意味にエンファシスも含む。)ディエンファシスの方法は様々であるが、特許文献1のように、伝送路とインピーダンス整合された抵抗デバイスに流れる電流値を制御することで、伝送信号の振幅値を変える方法などが知られている(図31参照)。
また、特許文献2では出力端子の高周波成分を第一の制御回路6と、第二の制御回路8に帰還し、第一の制御回路6と、第二の制御回路8によって第一のMOSFETゲートがオン/オフするタイミングと第二のMOSFETがオフ/オンするタイミングをずらし出力波形を鈍らせることで、出力波形が遷移しているときの消費電流を減らし、電源電圧の変動を抑えることが可能である(図32参照)。
【特許文献1】特開2006−60751公報
【特許文献2】特開2006−33301公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている従来方法では、ディエンファシス時には振幅を制御するため出力回路に余分に電流を流し込むので、非ディエンファシス時より消費電流が大きくなる。よって、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の電源電圧の変動量が異なり、伝送信号のジッタの原因となるといった問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来方法は、エッジ起因の電源変動を抑える方法なので、特許文献2に対して特許文献1と同様の方法でディエンファシスを付加した場合でも、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流の差が原因のジッタに対しては全く効果がない。また、出力を制御回路に帰還する機構のため、帰還しない場合と比べて負荷容量が大きくなり、伝送信号を受信回路に送信できない可能性もある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、特許文献1の機構(図31)にダミーの電流駆動部を加え、電流駆動部が電流を流していない時に、ダミーの電流駆動部が電流を消費するようにして、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流を一定にすることで、電源変動も一定となり、その結果ジッタの低減を可能にする出力装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、電流駆動部を複数にし、それに対応するダミー電流駆動部も複数にすることで、多値出力のデータ依存によるジッタにも対応可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、伝送路に伝送信号を出力する出力装置であって、入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2は、前記ダミー電流駆動部と前記電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする。
請求項3は、前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項4は、前記電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を備えたことを特徴とする。
請求項5は、前記ダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を備えたことを特徴とする。
請求項6は、前記電源側駆動スイッチ及び前記グランド側駆動スイッチがオフすることで前記電流駆動部をオフとし、且つ前記電源側ダミースイッチ及び前記グランド側ダミースイッチが何れもオン状態になった時、前記ダミー電流駆動部が電流を消費することを特徴とする。
【0006】
請求項7は、伝送路に多値の伝送信号を出力する多値信号出力装置において、入力された振幅制御信号に基づいてデータを出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する複数の電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御する複数のダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする。
請求項8は、前記複数のダミー電流駆動部と前記複数の電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする。
請求項9は、前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項10は、前記複数の電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を夫々備えたことを特徴とする。
請求項11は、前記複数のダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を夫々備えたことを特徴とする。
請求項12は、高速シリアル伝送に用いられる半導体集積装置であって、請求項1至11の何れか一項に記載の出力装置を用いてシリアル伝送信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディエンファシス(エンファシス)時と非ディエンファシス(エンファシス)時に流れる電流値の総和を一定にすることで、ディエンファシス時と非ディエンファシス時の消費電流の差を低減し、その結果、電源変動量がデータによらず一定となり、従来と比べてジッタの低減を可能にすることができる。
また、電流駆動部と同様の構成を持つダミー電流駆動部を用いて、電流駆動部が電流を消費していない時に、ダミー電流駆動部が電流を消費することで、ディエンファシス時と非ディエンファシス時に消費される電流量をほぼ等しくし、その結果、電源変動量を一定にすることでデータ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
【0009】
また、出力抵抗に流れる電流値によって出力振幅を制御する多値出力装置に、ダミー電流駆動部を用いることで、出力される電圧値によらず電流値の総和を一定にすることが可能となり、その結果、出力値によらず電源の変動量を一定にすることが可能となり、データ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
また、出力される電圧値によらず、電流駆動部もしくはダミー電流で電流を消費することで、電源の変動量をデータによらず一定にすることが可能となり、データ依存のジッタの低減を可能にすることができる。
また、差動の構成をなすことで、近年の高速シリアル伝送の装置に応用が可能となり、電源変動量がデータによらない出力装置を提供し、低ジッタの高速シリアル伝送装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
<実施例1>
図1は本発明の出力装置の一実施形態を示す概略図である。図2は本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
図3は本発明の出力装置のブロック図である。本発明はデータ出力部1、電流駆動部2、ダミー電流駆動部3の3つのパートから構成されている。以下、データ出力部1の説明、電流駆動部2の説明、ダミー電流駆動部3の説明をした後、全体の説明を行う。
図4はデータ出力部1の実施例である。データ出力部1は、一方が出力端67に接続された抵抗デバイス(第1抵抗デバイス)p62(または(第2抵抗デバイス)n63)と他方がスイッチpo(電源側スイッチ)61((グランド側スイッチ)no64)と接続されている。また、68は終端抵抗で、伝送路の特性インピーダンスと等しい値の抵抗値である。以下では各部位について説明する。
【0011】
スイッチpo(61)はp−MOSトランジスタにより構成され、スイッチno(64)はn−MOSトランジスタで構成される。更に抵抗デバイスp(62)は、スイッチpo(61)がオン状態の時にスイッチpo(61)と抵抗デバイスp(62)の合成インピーダンスが、伝送路のインピーダンスに整合する。
同様に抵抗デバイスn(63)もスイッチno(64)がオン状態の時にスイッチno(64)と抵抗デバイスn(63)の合成インピーダンスが、伝送路のインピーダンスに整合する。抵抗デバイス62及び63が厳密な値を要求された場合、所望の値になるように制御される。そして、その出力インピーダンス整合を行う制御の方法については特開2006−60751に詳述されているように、抵抗デバイス62(または63)が可変抵抗でインピーダンス調整部で得られた結果をもとにインピーダンス整合する方法と、抵抗デバイス62(または63)が複数の抵抗デバイスからなり、インピーダンス調整部で得られた結果をもとに複数の抵抗デバイスがいくつか選択されインピーダンス整合をする選択式の方法がある。
また、抵抗デバイス62及び63を用いずに、スイッチpo61及びスイッチno64のゲート電圧を制御して、スイッチpo及びスイッチnoのオン抵抗が、伝送路のインピーダンスに整合する用に制御する方法もあり、これらの方法のいずれを用いてもデータ出力部を構成することが可能である。
【0012】
図5はデータ出力部1にHが入力された時の動作図、図6は等価回路1である。71は入力データHが入力されていることを示す。図4と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。点線で描かれているスイッチ61及び抵抗デバイス62はスイッチ61がオフであることから、伝送路66から見た場合、開放であることを示している。スイッチno63はn−MOSトランジスタでHが入力されているのでオンとなり伝送路66と抵抗デバイスn63が接続される。また、抵抗デバイスn63及びスイッチno64のオン抵抗の合成インピーダンスは前述の通り伝送路のインピーダンスに整合するように制御されているので、図6の等価回路1と等価である。等価回路1は出力抵抗72のインピーダンスがZΩ、終端抵抗73がZΩで、それぞれ、一方がGNDと接続されているので、出力端67の電圧は0である。
【0013】
図7はデータ出力部1にLが入力された時の動作図、図8は等価回路2である。74は入力データLが入力されていることを示す。図4及び図5と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。点線で描かれている63及び64は図7と同様に開放状態であることを示している。スイッチ61がオンなので、伝送路には抵抗デバイス62が接続され、図8の等価回路2で表される回路と等価である。出力端67の電圧は出力抵抗75(ZΩ)及び終端抵抗73(ZΩ)の抵抗分圧なので、Vdd/2である。このようにデータ出力部1は入力データに従って、伝送路の特性インピーダンスに整合したHレベルまたはLレベルの信号を出力する。
図9に電流駆動部2の実施の形態を示す。電流駆動部2は電流源p81及び電流源p81と直列に接続されたスイッチp82及び、電流源n84と電流源n84と直列に接続されたスイッチn83からなる。また、電流源p81及び電流源n84の電流値は等しい。スイッチp82はp−MOSトランジスタ、スイッチn83はn−MOSトランジスタで構成され、スイッチp82は振幅制御信号85によって、スイッチn83は振幅制御信号86によってオン/オフ制御される。また電流駆動部の出力端67は伝送路66に接続され、出力端67はデータ出力部1の出力端67と同一である。
【0014】
図10〜13に電流駆動部2の電流経路と振幅制御信号p、nの関係を示す。図4乃至図9と同じ構成要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
91〜94は振幅制御信号85/振幅制御信号86のデータパターンを示している。95〜99は電流の向きを示している。81〜84が点線で表されている場合、スイッチ82もしくは83がオフのため、伝送路66からみたら開放状態であることを示している。
図10で振幅制御信号85がLで振幅制御信号86がLの場合、スイッチ83がオフでスイッチ82がオンなので、電源電圧から伝送路66に電流が流 れ込む。
図11で振幅制御信号85がHで振幅制御信号86がHの場合、スイッチ82がオフでスイッチ83がオンなので伝送路からGNDに電流を引き込む。
【0015】
図12で振幅制御信号85がLで振幅制御信号86がHの場合、スイッチ82及びスイッチ83がオンなので、電流源81及び電流源84が導通状態になる。ここで、電流源81と電流源84は理想的には電流値の等しい電流源なので、伝送路には電流が流れず電源からGNDに貫通電流が流れる。
図13で振幅制御信号85がHで振幅制御信号86がLの場合、スイッチ82及びスイッチ83がオフなので電流駆動部2は電流を消費しない。データ出力部のスイッチと電流駆動部のスイッチは連動して動作をし、抵抗デバイスn63に電流を流しこんだり、抵抗デバイス62から電流を引き抜いたりして、出力端67に出力される電圧の値を制御する機能を持つ。
【0016】
図14はデータ出力部1と電流駆動部2の実施例である。データ65と振幅制御信号85、86のデータパターンについて説明する。
図15にデータ出力部に入力されるデータと振幅制御信号85乃至86の関係を示す。図15の上からデータ、振幅制御信号85、振幅制御信号86のデータパターンを示している。図中1UIとはデータパターンの最小パルス幅を示している。以降1UIを1bitとする。
(1)、(4)のように1bit毎にデータが切り替わる場合、振幅制御信号85はHを振幅制御信号86はLを保持するので、電流駆動部2は電流を消費しない。
(2)、(6)のように2bit以上データがLである場合、最初の1bit目では電流駆動部2は電流を消費しないが、2bit目以降はデータが切り替わるまで振幅制御信号は85はLを振幅制御信号86はLを保持するので、電流駆動部2は電源電圧から伝送路66に電流を流し込む(Lのディエンファシス)。
同様に(3)、(5)のように2bit以上データがHである場合、最初の1bit目では電流駆動部2は電流を消費しないが、2bit目移行はデータが切り替わるまで、出力端66からGNDに電流を引き込む(Hのディエンファシス)。以上(1)〜(6)の間で、電流駆動部が電流を消費している時としていない時では消費電流に差が出るので、この差が電源電圧の変動量に差につながり、結果データ依存のジッタを生じる。以上のデータパターンを基に振幅制御信号85及び86が取りうるデータパターンを図16に示す。図16に示すように振幅制御信号は同時にスイッチ82及び83が同時にオンすることはない。
【0017】
以下、図17、18に1bit毎にデータが切り替わる時にHを出力する時の等価回路とHのディエンファシス状態時の出力端電圧がVdd/3時の等価回路を示し、電源電圧の変動量の差について説明する。
図17、18、121は外部電源と出力装置の電源(Vdd)につく配線抵抗などのインピーダンスを示し、122は外部のGNDと出力装置にのGNDにつく配線抵抗などのインピーダンスを示す。出力端67の電圧がVdd/2の時に出力装置が消費する電流は出力抵抗75と終端抵抗73で決まるのでVdd/2Zである。よって外部電源からチップ内電源の電圧降下はおよそZs*(Vdd/2Z)である。
図18は電流を余分に流すことでディエンファシスをかける。このときの出力装置に流れる電流値は2Vdd/3なので、外部電源からチップ内電源の電圧降下はZs*(2Vdd/3)であり、1bit毎にデータが切り替わる場合と比べて電源の変動量が異なり、この変動量の違いがジッタとなる。そこで、ダミー電流駆動部で非ディエンファシス時に電流を余分に流すことで、データによらず、消費電流を一定にし、電源の変動量を一定にすることでジッタを低減することが可能となる。
【0018】
図19にダミー電流駆動部3の実施例を示す。ダミー電流駆動部3はディエンファシス時に電源電圧に定常的に流れる電流と非ディエンファシス時に電源電圧に流れる電流の差分と等しい電流量を流す電流源(電源側ダミー電流源)pd131と電流源直列に接続されたスイッチ(電源側ダミースイッチ)pd132とスイッチpd132と直列に接続されたスイッチ(グランド側ダミースイッチ)nd133とスイッチnd133の他方が電流源pd131と等しい電流量を流す電流源(グランド側ダミー電流源)nd134に直列に接続された構成をなす。スイッチpd132はp−MOSトランジスタ、スイッチnd133はn−MOSトランジスタで構成されている。
図20にデータと振幅制御信号85/振幅制御信号86と電流駆動部2、ダミー電流駆動部3の関係について示す。電流源駆動部2の電流源pとはスイッチ82がオン状態を示し、電流源nとはスイッチ83がオン状態を示す。振幅制御信号の条件に関わらず、電流は常に流れる状態となり、エンファシスが原因で生じるデータ依存の消費電流の差異は解決され、電流の差異による電源変動の差異も解消される。
【0019】
<実施例2>
図21に他の実施形態にかかる出力装置の概略図を示す。本発明はデータ出力部1、複数の電流駆動部2a、2b…2x、複数のダミー電流駆動部3a、3b…3xの3つのパートから構成されている。複数の電流駆動部2a、2b…2xの各々は電流駆動部2と同様の構成をなし、複数のダミー電流駆動部3a、3b…3xの各々でダミー電流駆動部3と同様の構成をなす。
図22〜25で本発明における多値出力装置の原理を7値出力回路を例に説明する。図22は7値出力回路の実施例である。7値の出力回路の場合電流駆動部は2つ以上で構成される。
【0020】
データ出力部1は図4と同じ構成なので同一番号を付し、説明を省略する。電流駆動部2aは電源電圧から電流を引き込む電流源(電源側駆動電流源)p0(151)と電流源p0(151)と直列に接続されたスイッチ(電源側駆動スイッチ)p0(152)とスイッチp0(152)と直列に接続されたスイッチ(グランド側駆動スイッチ)n0(153)と、スイッチn0(153)と直列に接続された電流源(グランド側駆動電流源)n0(154)を有し、電流源151と電流源154は等しい電流値の電流源で、スイッチ152とスイッチ153は出力端151を介している。またスイッチ152はp−MOSトランジスタで、振幅制御信号p0によってオンオフされ、スイッチ153はn−MOSトランジスタで、振幅制御信号n0でオンオフ制御される。
電流駆動部2bも電流駆動部2aと同様の構成をなし、電流源155と電流源158は等しい電流値であるが、電流源155(または158)は必ずしも電流源151(または154)と等しい必要性はない。また、スイッチ156は振幅制御信号p1でオンオフ制御され、スイッチ157は振幅制御信号n1でオンオフ制御される。振幅制御信号n0及び振幅制御信号p0、振幅制御信号n1、振幅制御信号p1は振幅制御信号0の1UIを最小パルス幅としてオン・オフすることを特徴とする。
【0021】
図23はデータ出力部1の振幅制御信号0がHで、スイッチ152、153、156、157がオフの時の等価回路を示している。この時出力端141の出力電圧は0である。
図24は振幅制御信号0がHで電流駆動部2a及び2bのスイッチの中で145のみがオンの時の等価回路を示している。電流源駆動部2a及び2bの電流値をそれぞれ、Vdd/(12*Z)、Vdd/(6*Z)とすると出力端の電圧はVdd/12である。
図25は振幅制御信号0がHで電流駆動部2a及び電流駆動部2bのスイッチの152及び156がオンの時の等価回路を示している。この時出力端141の電圧はVdd/4である。上記の説明のように出力電圧は出力抵抗72に流れる電流値で制御される。
図26に振幅制御信号0及び振幅制御信号n0/p0、振幅制御信号n1/p1のデータパターンと出力電圧について記述する。本発明のように電流値によって振幅を制御する方式の場合、出力値毎に電流駆動部の動作が異なるので、消費される電流値が異なり、その結果電源変動の差もことなる。そこで、データに依存しないようにダミー電流駆動部で消費電流を一定にするような電流を消費することで電源の変動量も一定となり、ジッタも低減できる。
【0022】
図27に7値のダミー電流駆動部に関する実施例を示す。ダミー電流駆動部3aは、電流源(電源側ダミー電流源)pd0(161)と直列に接続されたスイッチ(電源側ダミースイッチ)pd0(162)と、スイッチpd0(162)と直列に接続され他方を電流源(グランド側ダミー電流源)nd0(164)に接続されたスイッチ(グランド側ダミースイッチ)nd0(163)からなり、ダミー電流駆動部3bは、電流源pd1(167)と直列に接続されたスイッチpd1(168)と、スイッチpd1(168)と直列に接続された他方を電流源nd1(1610)に接続されたスイッチnd1(169)を備えた構成である。
スイッチpd0(162)とスイッチpd1(168)は、p−MOSトランジスタである。スイッチnd0(163)とスイッチnd1(169)は、n−MOSスイッチトランジスタである。電流源pd0(167)と電流源nd0(1610)の電流値は等しくVdd/(6Z)、電流源nd0(161)と電流源nd1(164)の電流値は等しくVdd/(12Z)である。ダミー電流源161及び164は、図22の電流駆動部2aのスイッチp0(152)、n0(153)が両方オフの時に電流を消費し、ダミー電流源167及び1610は図22の電流駆動部2bのスイッチp1(156)、n1(157)が両方オフの時に電流を消費する。電流駆動部とダミー電流駆動部の流す電流値の総和は常に一定なので、データによって生じる電流値の差異を解消することが可能である。
【0023】
<実施例3>
図28、29はPCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路の一部である。PCIExpressではそのほか10b8b変換機構や、シリアライザなどデジタル部も必要であるがここでは省略する。
171〜176が一つのレーン間の回路を示し、171a〜176aは別のレーンの回路を示す。171a〜176aは171〜176と全く同様の構成をなしているので、以下では171〜176のみを説明する。
本発明は171の送信部に応用される。171が差動の構成をなす出力回路であり、172、173が容量カップリング用の容量で、174、175が50Ωの伝送路、176が受信回路である。さらに171のブロック図を図29に示す。177、1711は伝送路インピーダンスと等しい出力インピーダンスで信号を出力するデータ出力部で、177が正転(反転)データが入力され、1711には反転(正転)データが入力されるそして、回路の構成に関しては実施例1の構成がそのまま利用できる。
電流駆動部178、1710に関しても実施例1の構成がそのまま利用できる。ダミー電流駆動部も実施例1の構成がそのまま利用できる。データに関しては、シリアルデータ+とエンファシスデータn+とエンファシスデータp+に関してはそれぞれ、データと振幅制御信号85と振幅制御信号86と同様のパターンのデータが入力される。この構成によって、データパターンによらず一定の消費電流となり、電源電圧変動も一定になり、ジッタが低減する。
【0024】
図30にシリアルデータ+とエンファシスデータn+とエンファシスデータp+と出力波形、電流駆動部の消費電流とダミー電流駆動部の消費電流と電源電圧の降下を示す。
電流駆動部が電流を消費していない時にダミー電流が電流を消費することで電流駆動部とダミー電流駆動部が消費電流の総和を一定にし、電源電圧の降下を一定にすることで、従来の方法と比べて、ジッタの低減を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の出力装置のブロック図である。
【図4】データ出力部1の実施例を示す図である。
【図5】データ出力部1にHが入力された時の動作図である。
【図6】図5の等価回路1を示す図である。
【図7】データ出力部1にLが入力された時の動作図である。
【図8】図7の等価回路2を示す図である。
【図9】電流駆動部2の実施の形態を示す図である。
【図10】電流駆動部2の動作説明図(その1)である。
【図11】電流駆動部2の動作説明図(その2)である。
【図12】電流駆動部2の動作説明図(その3)である。
【図13】電流駆動部2の動作説明図(その4)である。
【図14】データ出力部と電流駆動部を組み合わせた図である。
【図15】データパターンと振幅制御信号の関係を示す図である。
【図16】データパターンと振幅制御信号と出力の関係を示す図である。
【図17】出力H時のチップ外電源を含んだ等価回路を示す図である。
【図18】出力Hでエンファシス時のチップ外電源を含んだ等価回路を示す図である。
【図19】ダミー電流駆動部の実施例を示す図である。
【図20】データと振幅制御信号と電流駆動部、ダミー電流駆動部、出力の関係を示す図である。
【図21】本発明の多値出力装置の一実施形態を示す概略図である。
【図22】7値出力回路を示す図である。
【図23】図21の等価回路1を示す図(その1)である。
【図24】図21の等価回路1を示す図(その2)である。
【図25】図21の等価回路1を示す図(その3)である。
【図26】振幅制御信号と出力電圧値の関係を示す図である。
【図27】ダミー電流駆動部の一実施形態を示す概略図である。
【図28】PCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路を示す図である。
【図29】PCIexpressに関する物理層エレクトリカルサブブロックの回路を示す図である。
【図30】データごとの消費電流と電圧降下の関係を示す図である。
【図31】従来の出力装置を示す図である。
【図32】従来の出力装置を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 データ出力部、2 電流駆動部、3 ダミー電流駆動部、61 スイッチpo、62 抵抗デバイスp、63 抵抗デバイスn、64 スイッチno、65 データ、66 伝送路、68 終端抵抗、85、86 振幅制御信号、131 電流源pd、132 スイッチpd、133 スイッチnd、134 電流源nd
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路に伝送信号を出力する出力装置であって、
入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記ダミー電流駆動部と前記電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項4】
前記電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項5】
前記ダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項6】
前記電源側駆動スイッチ及び前記グランド側駆動スイッチがオフすることで前記電流駆動部をオフとし、且つ前記電源側ダミースイッチ及び前記グランド側ダミースイッチが何れもオン状態になった時、前記ダミー電流駆動部が電流を消費することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の出力装置。
【請求項7】
伝送路に多値の伝送信号を出力する多値信号出力装置において、
入力された振幅制御信号に基づいてデータを出力するデータ出力部と、
第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する複数の電流駆動部と、
前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御する複数のダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする多値出力装置。
【請求項8】
前記複数のダミー電流駆動部と前記複数の電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項9】
前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項10】
前記複数の電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を夫々備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項11】
前記複数のダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を夫々備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項12】
高速シリアル伝送に用いられる半導体集積装置であって、
請求項1至11の何れか一項に記載の出力装置を用いてシリアル伝送信号を出力することを特徴とする半導体集積装置。
【請求項1】
伝送路に伝送信号を出力する出力装置であって、
入力されたデータを振幅制御して出力するデータ出力部と、第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する電流駆動部と、前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御するダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記ダミー電流駆動部と前記電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項4】
前記電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項5】
前記ダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項6】
前記電源側駆動スイッチ及び前記グランド側駆動スイッチがオフすることで前記電流駆動部をオフとし、且つ前記電源側ダミースイッチ及び前記グランド側ダミースイッチが何れもオン状態になった時、前記ダミー電流駆動部が電流を消費することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の出力装置。
【請求項7】
伝送路に多値の伝送信号を出力する多値信号出力装置において、
入力された振幅制御信号に基づいてデータを出力するデータ出力部と、
第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記伝送路に電流を重畳出力して前記伝送信号の振幅を制御する複数の電流駆動部と、
前記第1及び第2の振幅制御信号に基づいて前記電流駆動部との合計消費電流値が略一定となるように消費電流を制御する複数のダミー電流駆動部と、を備えたことを特徴とする多値出力装置。
【請求項8】
前記複数のダミー電流駆動部と前記複数の電流駆動部との構成が同じであることを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項9】
前記データ出力部は、出力インピーダンスを前記伝送路の特性インピーダンスに整合するように調整された第1及び第2の抵抗デバイスと、該第1の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御される電源側スイッチと、前記第2の抵抗デバイスに直列に接続されて、前記入力されたデータに基づいて前記伝送信号をハイ・レベル又はロー・レベルに切り替えるためにオン、オフ制御されるグランド側スイッチと、を備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項10】
前記複数の電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側駆動スイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側駆動スイッチと、前記電源側駆動スイッチを介して前記伝送路に電流を流し込む電源側駆動電流源と、前記グランド側駆動スイッチを介して前記電源側駆動電流源と略等しい電流をグランドに引き込むグランド側駆動電流源と、を夫々備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項11】
前記複数のダミー電流駆動部は、前記第1の振幅制御信号に基づいてオン・オフする電源側ダミースイッチと、前記第2の振幅制御信号に基づいてオン・オフするグランド側ダミースイッチと、前記電源側ダミースイッチを介して電流を流し込む電源側ダミー電流源と、前記グランド側ダミースイッチを介して電流をグランドに引き込むグランド側ダミー電流源と、を夫々備えたことを特徴とする請求項7に記載の多値出力装置。
【請求項12】
高速シリアル伝送に用いられる半導体集積装置であって、
請求項1至11の何れか一項に記載の出力装置を用いてシリアル伝送信号を出力することを特徴とする半導体集積装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2009−105857(P2009−105857A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278127(P2007−278127)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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