説明

半導体装置の製造方法、半導体装置、電気光学装置および電子機器

【課題】金属酸化物半導体層を薄膜トランジスターのチャネル領域として使用した場合でも薄膜トランジスターのオン/オフ比の低下やオン電流のばらつきが発生しない半導体装置の製造方法、半導体装置、該半導体装置を備えた電気光学装置、および該電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】薄膜トランジスター1cのチャネル領域7cを酸化物半導体層により構成するにあたって、高抵抗の酸化物半導体層からなる半導体層7aを用いるため、プラズマの影響によって、半導体層7aの抵抗値が低下する問題が発生しにくい。また、半導体層7aに接するように易酸化性金属層5aを形成しておき、加熱工程によって、半導体層7a(酸化物半導体層)から易酸化性金属層5aに酸素を移動させるため、半導体層7aの抵抗値を下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスターを備えた半導体装置の製造方法、半導体装置、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板上に薄膜トランジスターが形成された半導体装置としては、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置に用いる素子基板や、受光素子を用いた固体撮像装置に用いる素子基板を挙げることができ、かかる半導体装置(素子基板)では、薄膜トランジスターによって画素トランジスターが構成されている。また、薄膜トランジスターを利用した半導体装置としては電子ペーパーもある。
【0003】
かかる半導体装置に用いる薄膜トランジスターとしては、アモルファスシリコン膜を例示することができるが、かかるアモルファスシリコン膜は抵抗値が高いため、薄膜トランジスターの動作速度が遅いなどの問題点がある。
【0004】
そこで、近年は、インジウム(In)−ガリウム(Ga)−亜鉛(Zn)酸化物層などの金属酸化物半導体層を薄膜トランジスターのチャネル領域として利用することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
かかる金属酸化物半導体層については、成膜時の酸素分圧によって抵抗値が102〜106Ωcmの範囲で変化することが報告されている(非特許文献1参照)。また、金属酸化物半導体層は、アルゴンプラズマなどに曝されると酸素欠陥が発生し、抵抗値が低下することが報告されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−235871号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Applied Physics Letters 89、112123(2006)
【非特許文献2】Applied Physics Letters 93、203506(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、金属酸化物半導体層は、酸素含有量やプラズマによって抵抗値が低下するという問題点がある。これらの問題点のうち、前者についてはスパッタ時のターゲットや酸素分圧を制御することにより回避できるが、プラズマの影響を解消することは困難である。すなわち、薄膜トランジスターを形成する際に、金属酸化物半導体層を形成した以降、金属酸化物半導体層のドライエッチングによるパターニング、エッチングストッパー用の薄膜のプラズマCVD法による成膜、導電膜のスパッタ形成、ソース・ドレイン電極のドライエッチングによるパターニング形成などが必要であるが、かかる工程を行なうと、酸素欠陥が発生し、金属酸化物半導体層の抵抗値が低下してしまう。かかる抵抗値の低下は、ソース・ドレイン電極のコンタクト抵抗の低下に寄与するため問題ないが、チャネル領域の抵抗値の低下は薄膜トランジスターのオン/オフ比を低下させてしまうため、好ましくない。また、基板上では、位置によってプラズマの影響が相違する結果、基板上の位置によって金属酸化物半導体層の抵抗値がばらついてしまう。かかるばらつきは、薄膜トランジスターのオン電流をばらつかせてしまうため、好ましくない。
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、金属酸化物半導体層を薄膜トランジスターのチャネル領域として使用した場合でも薄膜トランジスターのオン/オフ比の低下やオン電流のばらつきが発生しない半導体装置の製造方法、かかる製造方法で得られた半導体装置、該半導体装置を備えた電気光学装置、および該電気光学装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、薄膜トランジスターを基板上に有する半導体装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスターのチャネル領域を形成するための酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、該酸化物半導体層形成工程の前および後の少なくとも一方において、前記酸化物半導体層の上面および下面のうちの少なくとも一方の面側で前記チャネル領域に接するように、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびニオブ(Nb)からなる群から選ばれた単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層を形成する易酸化性金属層形成工程と、前記酸化物半導体層形成工程および前記易酸化性金属層形成工程を行なった後、熱処理を行なって前記酸化物半導体層から前記易酸化性金属層に酸素を移動させる加熱工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明では、薄膜トランジスターのチャネル領域を酸化物半導体層により構成するにあたって、たとえば104〜1010Ωcmの高抵抗の酸化物半導体層に接するように易酸化性金属層を形成しておき、加熱工程によって、酸化物半導体層から易酸化性金属層に酸素を移動させることでチャネル領域を101〜107Ωcmの抵抗値にする。このため、たとえば104Ωcm未満の金属酸化物半導体層を形成した場合と違って、金属酸化物半導体層のドライエッチングによるパターニング、エッチングストッパー用の薄膜のプラズマCVD法による成膜、導電膜のスパッタ形成、ソース・ドレイン電極のドライエッチングによるパターニング形成などの際のプラズマの影響によって金属酸化物半導体層の抵抗値が低下することを防止することができる。従って、プラズマの影響に起因する薄膜トランジスターのオン/オフ比の低下を解消できる。また、本発明では、加熱工程を通して高抵抗の酸化物半導体層から不安定な酸素を易酸化性金属層に移動させる分、金属酸化物半導体層の抵抗値を下げる。それ故、オン/オフ比が高くてオン電流特性に優れた薄膜トランジスターを得ることができる。また、基板上において、位置によってプラズマの影響が相違する結果、基板上の位置によって金属酸化物半導体層の抵抗値がばらついた場合でも、かかるばらつきは、加熱処理による酸化物半導体層からの不安定な酸素の引き抜きによって解消することができる。さらに、易酸化性金属層の酸化物層であれば、ゲート絶縁膜と同様に機能するので、易酸化性金属層の酸化物層とチャネル領域とが接している場合でも、薄膜トランジスターが動作するのに支障がない。
【0012】
本発明において、前記酸化物半導体層は、例えば、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層である。かかる酸化物半導体層は、アモルファスシリコン層より10倍程度、抵抗値が低いので、オン電流が大きな薄膜トランジスターを得ることができる。
【0013】
本発明において、前記易酸化性金属層の膜厚は、例えば、0.5〜2.0nmである。かかる方法で製造された本発明に係る半導体装置は以下の構成を有している。すなわち、本発明は、酸化物半導体層をチャネル領域に用いた薄膜トランジスターを基板上に有する半導体装置であって、前記酸化物半導体層の上面および下面のうちの少なくとも一方の面側では、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、およびニオブからなる群から選ばれた単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層の酸化物層が1.0〜4.0nmの膜厚をもって前記チャネル領域に接していることを特徴とする。かかる易酸化性金属層の膜厚であれば、加熱工程によって、略全体が酸化膜層になるので、ゲート絶縁膜と同様に機能する。それ故、薄膜トランジスターが動作するのに支障がない。
【0014】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記薄膜トランジスターがボトムゲート構造を備えている場合、前記薄膜トランジスターのゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記薄膜トランジスターのゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、前記易酸化性金属層形成工程と、前記酸化物半導体層形成工程と、前記加熱工程と、を順に行なう。ここでいう「順に行なう」とは、ゲート電極形成工程、ゲート絶縁層形成工程、易酸化性金属層形成工程、加熱工程をこの順に行なうのであれば、それらの工程の間に他の工程を行なってもよいことを意味する。
【0015】
かかる方法で製造された本発明に係る半導体装置は、前記基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、前記易酸化性金属層の酸化物層、および前記酸化物半導体層が順に積層されている構成を有することになる。
【0016】
本発明に係る半導体装置の製造方法においては、前記酸化物半導体層の上層にエッチングストッパー用薄膜を形成した後、当該エッチングストッパー用薄膜を前記易酸化性金属層と同一形状にパターニングしてエッチングストッパー層を前記易酸化性金属層と平面的に重なる位置に形成し、前記エッチングストッパー層上でソース電極とドレイン電極との分離を行なうことが好ましい。かかる方法によれば、エッチングストッパー層をパターニング形成するためのレジストマスクと、易酸化性金属層をパターニング形成するためのレジストマスクとが同一のマスクパターンであるので、レジストマスクを形成する際の露光マスクを共通化することができる。
【0017】
かかる方法で製造された本発明に係る半導体装置は、前記酸化物半導体層の上層には前記易酸化性金属層の酸化物層と同一形状をもって当該易酸化性金属層の酸化物層と重なるチャネルストッパー層を備え、当該チャネルストッパー層の上層でソース電極とドレイン電極とが分離されている構成を有することになる。
【0018】
本発明を適用した半導体装置は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置の素子基板として用いることができる。かかる半導体装置(素子基板)は、前記薄膜トランジスターからなる画素トランジスターと、該画素トランジスターに電気的に接続する画素電極と、を備えた構成を有している。
【0019】
本発明を適用した電気光学装置は、携帯電話機あるいはモバイルコンピューター等の電子機器において直視型の表示部等として用いられる。また、本発明を適用した半導体装置は電子ペーパー等として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【図2】図1に示す液晶装置の素子基板の電気的な構成を示す説明図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明を適用した液晶装置の画素1つ分の平面図、およびA1−B1に相当する位置で液晶装置を切断したときの断面図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置に用いた薄膜トランジスターの拡大断面図、および半導体層の下面に接する酸化物層の説明図である。
【図5】本発明を適用した液晶装置に用いた素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】本発明を適用した液晶装置に用いた素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】本発明を適用した液晶装置に用いた素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本発明を適用した液晶装置に用いた別の素子基板の説明図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置を搭載した電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施の形態として、本発明を適用した半導体装置を液晶装置の素子基板として構成した例を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0022】
(液晶装置の全体構成)
図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図1(a)、(b)において、本形態の液晶装置1は、TN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、あるいはVAN(Vertical Aligned Nematic)モードの透過型のアクティブマトリクス型の液晶装置である。この液晶装置1では、シール材22を介して素子基板10(半導体装置)と対向基板20とが貼り合わされ、その間に液晶1fが保持されている。素子基板10において、シール材22の外側に位置する端部領域には、データ線駆動用IC60、および走査線駆動用IC30がCOG(Chip On Glass)実装されているとともに、基板辺に沿って実装端子12が形成されている。シール材22は、素子基板10と対向基板20とをそれらの周辺で貼り合わせるための光硬化樹脂や熱硬化性樹脂などからなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。シール材22には、その途切れ部分によって液晶注入口25が形成され、液晶1fを注入した後、封止材26により封止されている。
【0023】
詳しくは後述するが、素子基板10には薄膜トランジスター1cや画素電極2aがマトリクス状に形成され、その表面に配向膜19が形成されている。対向基板20には、シール材22の内側領域に遮光性材料からなる額縁24(図1(b)では図示を省略)が形成され、その内側が画像表示領域1aになっている。対向基板20には、図示を省略するが、各画素の縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜が形成され、その上層側には、対向電極28および配向膜29が形成されている。図1(b)では図示を省略するが、対向基板20において、素子基板10の各画素に対向する領域には、RGBのカラーフィルターがその保護膜とともに形成され、それにより、液晶装置1をモバイルコンピューター、携帯電話機、液晶テレビなどといった電子機器のカラー表示装置として用いることができる。
【0024】
(素子基板10の構成)
図2は、図1に示す液晶装置の素子基板10の電気的な構成を示す説明図である。図2に示すように、素子基板10には、画像表示領域1aに相当する領域に複数のソース線6a(データ線)およびゲート線3a(走査線)が互いに交差する方向に形成され、これらの配線の交差部分に対応する位置に画素1bが構成されている。ゲート線3aは走査線駆動用IC30から延びており、ソース線6aはデータ線駆動用IC60から延びている。また、素子基板10には、液晶1fの駆動を制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスター1cが各画素1bに形成され、薄膜トランジスター1cのソースにはソース線6aが電気的に接続され、薄膜トランジスター1cのゲートにはゲート線3aが電気的に接続されている。
【0025】
さらに、素子基板10には、ゲート線3aと並行して容量線3bが形成されている。本形態では、薄膜トランジスター1cに対して、対向基板20との間に構成された液晶容量1gが直列に接続されているとともに、液晶容量1gに対して並列に保持容量1hが接続されている。ここで、容量線3bは、走査線駆動用IC30に接続されているが、定電位に保持されている。なお、保持容量1hは、前段のゲート線3aとの間に構成される場合があり、この場合、容量線3bは省略できる。
【0026】
このように構成した液晶装置1では、薄膜トランジスター1cを一定期間だけそのオン状態とすることにより、ソース線6aから供給される画像信号を各画素1bの液晶容量1gに所定のタイミングで書き込む。液晶容量1gに書き込まれた所定レベルの画像信号は、液晶容量1gで一定期間保持されるとともに、保持容量1hは、液晶容量1gに保持された画像信号がリークするのを防止している。
【0027】
(各画素の構成)
図3(a)、(b)は、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)の画素1つ分の平面図、およびA1−B1に相当する位置で液晶装置を切断したときの断面図である。図3(a)では、画素電極を太くて長い点線で示し、ゲート線およびそれと同時形成された薄膜を細い実線で示し、ソース線およびそれと同時形成された薄膜を細い一点鎖線で示し、半導体層を細くて短い点線で示してある。コンタクトホールについては、ゲート線などと同様、細い実線で示してある。
【0028】
図3(a)に示すように、素子基板10では、ゲート線3aとソース線6aで囲まれた画素領域1eに画素1bを構成する以下の要素が構成されている。まず、画素領域1eには、ボトムゲート型の薄膜トランジスター1cの能動層を構成する半導体層7aが形成されている。また、ゲート線3aからの突出部分によってゲート電極が形成されている。半導体層7aのうち、ソース側の端部には、ソース線6aがソース電極として重なっており、ドレイン側の端部にはドレイン電極6bが重なっている。また、ゲート線3aと並列して容量線3bが形成されている。
【0029】
また、画素領域1eには、容量線3bからの突出部分を下電極3cとし、ドレイン電極6bからの延設部分を上電極6cとする保持容量1hが形成されている。また、上電極6cに対しては、コンタクトホール9aを介して、膜厚が100nm程度のITO膜(Indium Tin Oxide)からなる画素電極2aが電気的に接続されている。
【0030】
このように構成した素子基板10のA1−B1断面は、図3(b)に示すように表される。まず、ガラス基板や石英基板からなる絶縁基板11上には、導電膜からなるゲート線3a(ゲート電極)、および容量線3b(保持容量1hの下電極3c)が形成されている。ゲート線3aおよび容量線3bは、例えば、膜厚が150nmのネオジウム含有のアルミニウム合金膜の上層に膜厚が20nmのモリブデン膜を積層した2層構造になっている。
【0031】
本形態において、ゲート線3aの上層側にはゲート線3aを覆うように、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどからなるゲート絶縁層4が形成されている。本形態において、ゲート絶縁層4は酸窒化シリコンからなる。
【0032】
ゲート絶縁層4の上層のうち、ゲート線3aの突出部分(ゲート電極)と部分的に重なる領域には、薄膜トランジスター1cの能動層を構成する半導体層7aが形成されている。半導体層7aのうち、ソース領域の上層にはソース線6a(ドレイン電極)が積層され、ドレイン領域の上層にはドレイン電極6bが形成され、薄膜トランジスター1cが構成されている。また、ドレイン電極6bの延設部分によって上電極6cが形成されている。かかる上電極6cは、ゲート絶縁層4の一部からなる誘電体層4cを介して下電極3cに対向することにより、保持容量1hを構成している。ソース線6aおよびドレイン電極6b(上電極6c)は、例えば、下層側から上層側に向けて、膜厚が5nmのモリブデン膜、膜厚が1500nmのアルミニウム膜、および膜厚が50nmのモリブデン膜を積層した3層構造を備えている。
【0033】
ソース線6a、ドレイン電極6bおよび上電極6cの上層側には、酸化シリコン膜などからなる層間絶縁膜9が形成されており、層間絶縁層9の上層には画素電極2aが形成されている。画素電極2aは、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール9aを介して上電極6cに電気的に接続し、上電極6cおよびドレイン電極6bを介して薄膜トランジスター1cのドレイン領域に電気的に接続している。画素電極2aの表面には配向膜19が形成されている。
【0034】
このように構成された素子基板10に対向するように対向基板20が配置され、素子基板10と対向基板20との間には液晶1fが保持されている。対向基板20には、各色のカラーフィルター27、対向電極28および配向膜29が形成されており、画素電極2aと対向電極28との間に液晶容量1g(図2参照)が構成される。なお、対向基板20の側にはブラックマトリクスや保護膜などが形成される場合があるが、それらの図示を省略する。なお、液晶装置100が反射型であれば、画素電極2aとして光反射性金属により形成すればよい。
【0035】
(半導体層7aおよびその周辺の構成)
図4(a)、(b)は各々、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)に用いた薄膜トランジスター1cの拡大断面図、および半導体層7aの下面に接する酸化物層の説明図である。
【0036】
図3(a)、(b)および図4(a)において、本形態では、薄膜トランジスター1cの能動層を構成する半導体層7aは酸化物半導体層からなり、かかる酸化物半導体層として、アモルファスのインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO層)が用いられている。
【0037】
また、本形態では、半導体層7aの下面とゲート絶縁層4との間には、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブなどの単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層の酸化物層5cが形成されており、かかる酸化物層5cは、ゲート絶縁層4の一部として機能する。本形態において、酸化物層5cは、例えば、チタンの酸化物からなり、半導体層7aのうち、チャネル領域7cに相当する部分のみに接している。
【0038】
酸化物層5cの詳細な機能などについては後述するが、酸化物層5cは、図5(b)に示すように、半導体層7aの下面に形成したアルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブなどの単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層5aを酸化してなる層であり、かかる酸化は、加熱工程によって、半導体層7a(酸化物半導体層)から酸素を易酸化性金属層5aに移動させることにより行なう。すなわち、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブはいずれも、いわゆる弁金属であり、酸素との親和性が高いため、半導体層7a(酸化物半導体層)と接する状態で加熱処理を行なうと、半導体層7a(酸化物半導体層)から余分な酸素を引き抜くゲッター層として機能する。また、易酸化性金属層5aは、膜厚が0.5〜2.0nm程度と薄いため、加熱した際、その全体が1.0〜4.0nm程度の膜厚をもった酸化物層5cとなる。なお、易酸化性金属層5aは、厚さ方向の全体が酸化されなくても、半導体層7a(酸化物半導体層)と接する部分が酸化されれば、薄膜トランジスター1cの動作に支障はない。
【0039】
また、本形態では、半導体層7aの上にはエッチングストッパー層8aが形成されており、エッチングストッパー層8aの上でソース電極(ソース線6a)とドレイン電極6bとが分離されている。ここで、エッチングストッパー層8aは、酸化物層5cと同一形状をもって酸化物層5cと平面的に重なっている。エッチングストッパー層8aは、シリコン酸化膜や、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブなどの単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層の上層にシリコン酸化膜などを積層した構造でもよく、後者の場合でも、半導体層7a(酸化物半導体層)と接する状態で加熱工程を行なった際、易酸化性金属層は酸化物に変化する。
【0040】
(液晶装置1の製造方法)
図5〜図7は、本形態の液晶装置1に用いた素子基板10の製造方法を示す工程断面図である。なお、素子基板10を製造するには、素子基板10を多数取りできる大型基板の状態で以下の工程が行われるが、以下の説明では、大型基板についても素子基板10として説明する。
【0041】
まず、図5(a)に示すゲート電極形成工程において、絶縁基板11の表面に金属膜(膜厚が150nmのアルミニウム合金膜と、膜厚が20nmのモリブデン膜との積層膜)を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて金属膜をパターニングし、ゲート線3a(ゲート電極)、および容量線3b(下電極3c)を同時形成する。
【0042】
次に、図5(b)に示すゲート絶縁層形成工程において、プラズマCVD法により、例えば膜厚が約300nm程度の酸窒化シリコン膜からなるゲート絶縁層4を形成する。かかるゲート絶縁層4のうち、下電極3c上に形成された部分は誘電体層4cとして利用される。
【0043】
次に、図5(c)に示す易酸化性金属層形成工程では、スパッタ法や蒸着法などによって、ゲート絶縁層4の上にアルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブなどの単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層5を形成する。かかる易酸化性金属層5の膜厚は、0.5〜2.0nmである。
【0044】
次に、易酸化性金属層パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術により、易酸化性金属層5の上にレジストマスク91を形成した後、易酸化性金属層5をエッチングする。かかるエッチングは、ウエットエッチングおよびドライエッチングのいずれであってもよい。そして、アッシング工程により、レジストマスク91を除去する。その結果、図5(d)に示すように、易酸化性金属層5において、ゲート線3aのうち、ゲート電極を構成する部分に対して平面的に重なる部分に易酸化性金属層5aが残る。
【0045】
次に、図5(e)に示す酸化物半導体層形成工程では、アルゴンガスを用いたスパッタ法などによって、ゲート絶縁層4および易酸化性金属層5aの上に酸化物半導体層7を形成する。本形態では、酸化物半導体層7として、アモルファスのインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層を形成し、かかる酸化物半導体層7の金属組成比は、例えばIn:Ga:Zn=1.00:0.94:0.65である。かかるスパッタ工程では、ターゲットとしてインジウム−ガリウム−亜鉛の焼結体を用い、その際の酸素分圧を調整する。例えば、スパッタ成膜に用いる焼結体として、金属組成比がIn:Ga:Zn=1:1:1の焼結体を用い、スパッタガスにおける酸素分圧を調節して酸化物半導体層7の抵抗率を制御して、酸化物半導体層7として、抵抗率が104〜1010Ωcmのインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層を形成する。かかるインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層の膜厚は、例えば20〜50nm程度である。
【0046】
次に、酸化物半導体層パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術により、酸化物半導体層7の上にレジストマスク92を形成した後、酸化物半導体層7をドライエッチングする。そして、アッシング工程により、レジストマスク92を除去する。その結果、図5(f)に示すように、ゲート線3aのうち、ゲート電極を構成する部分に対して平面的に重なる部分に半導体層7aが残る。
【0047】
次に、図6(a)、(b)に示すエッチングストッパー層形成工程では、まず、図6(a)に示すように、プラズマCVD法などにより、酸化シリコン膜などからなるエッチングストッパー用薄膜8を形成する。次に、エッチングストッパー用薄膜パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術により、エッチングストッパー用薄膜8の上にレジストマスク93を形成した後、エッチングストッパー用薄膜8をエッチングする。そして、アッシング工程により、レジストマスク93を除去する。その結果、図6(b)に示すように、半導体層7aの上には、半導体層7aのチャネル領域7cに重なるようにエッチングストッパー層8aが残る。
【0048】
ここで、図6(a)に示すエッチングストッパー用薄膜パターニングのレジストマスク93と、図5(c)に示す易酸化性金属膜パターニングのレジストマスク91とは同一のパターンである。従って、エッチングストッパー層8aは、易酸化性金属層5aと同一形状をもって易酸化性金属膜5aと平面的に重なっている。また、図6(a)に示すエッチングストッパー用薄膜パターニングのレジストマスク93と、図5(c)に示す易酸化性金属膜パターニングのレジストマスク91とを形成する際、共通の露光マスクを用いるので、露光マスク費用を低減することができる。
【0049】
次に、図6(c)、(d)に示すソース・ドレイン電極形成工程では、まず、図6(c)に示すように、アルゴンを用いたスパッタ法などにより、導電膜6(膜厚が5nmのモリブデン膜、膜厚が1500nmのアルミニウム膜、および膜厚が50nmのモリブデン膜の積層膜)を形成する。次に、導電膜パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術により、導電膜6の上にレジストマスク94を形成した後、導電膜6をエッチングする。かかるエッチングでは、ウエットエッチングおよびドライエッチングのいずれでもよいが、本形態ではドライエッチングを行なう。そして、アッシング工程により、レジストマスク94を除去する。その結果、図6(d)に示すように、半導体層7aの上には、ソース電極(ソース線6a)おおよびドレイン電極6bが残る。このようにして、ボトムゲート型の画素スイッチング用の薄膜トランジスター1cが形成される。また、ドレイン電極6bの延在部分からなる上電極6cは、誘電体層4cを介して下電極3cに対向し、保持容量1hが形成される。
【0050】
次に、図6(e)に示す加熱工程において、炉内でのアニール処理や、UVランプ、赤外線ランプ、近赤外線ランプ、遠赤外線ランプ、可視光レーザー等を用いたアニール処理によって、素子基板10を加熱する。その結果、図5(b)を参照して説明したように、半導体層7a(酸化物半導体層)中の不安点な酸素は、易酸化性金属層5aに移動する。このため、易酸化性金属層5aは酸化物層5cに変化する。このため、半導体層7aにおいて酸化物層5cと接する部分の抵抗率(チャネル領域7cの抵抗率)は101〜107Ωcmまで低下し、成膜時の1/1000倍の抵抗率となる。本形態では、易酸化性金属層5aの膜厚が0.5〜2.0nm程度であるため、酸化物層5cの膜厚は1.0〜4.0nm程度となる。かかる加熱工程において、加熱温度に関しては制約がないが、加熱温度が500°以下であれば、半導体層7aを構成するインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層はアモルファスのままである。なお、熱工程による加熱によって、半導体層7aを構成するインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層が多結晶化した場合でも、本発明を適用することができる。
【0051】
次に、図7(a)、(b)に示す層間絶縁膜形成工程では、まず、図7(a)に示すように、プラズマCVD法などにより、シリコン酸化膜などからなる厚い層間絶縁膜9を形成した後、必要に応じて、層間絶縁膜9の表面を研磨して平坦化する。次に、フォトリソグラフィ技術により、層間絶縁膜9の上にレジストマスク95を形成した後、層間絶縁膜9をエッチングする。そして、レジストマスク95を除去する。その結果、図7(b)に示すように、層間絶縁膜9にコンタクトホール9aが形成される。
【0052】
次に、図7(c)、(d)に示す画素電極形成工程では、まず、スパッタ法により、膜厚が100nmのITO膜2を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術により、ITO膜2の上にレジストマスク96を形成した後、ITO膜2をエッチングする。そして、レジストマスク96を除去する。その結果、図7(d)に示すように、画素電極2aが形成される。続いて、図3(b)に示す配向膜19を形成するためのポリイミド膜を形成した後、ラビング処理を施す。
【0053】
このようにして各種配線や薄膜トランジスター1cを形成した素子基板10については、別途形成した対向基板20とシール材22で貼り合わせた後、所定のサイズに切断する。それにより、液晶注入口25が開口するので、液晶注入口25から素子基板10と対向基板20との間に液晶1fを注入した後、液晶注入口25を封止材26により封止する。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、薄膜トランジスター1cのチャネル領域7cを酸化物半導体層により構成するにあたって、図5(b)を参照して説明したように、高抵抗の酸化物半導体層7からなる半導体層7aを形成する。このため、酸化物半導体層7を形成した以降、酸化物半導体層7のドライエッチングによるパターニング、エッチングストッパー用薄膜8のプラズマCVD法による成膜、ソース・ドレイン電極のドライエッチングによるパターニング形成などの際のプラズマの影響を受けても、半導体層7aの抵抗値が低下しにくい。それ故、薄膜トランジスター1cのオン/オフ比が低下しない。また、高抵抗の酸化物半導体層7(半導体層7a)に接するように易酸化性金属層5aを形成しておき、図6(e)に示す加熱工程によって、半導体層7a(酸化物半導体層)から易酸化性金属層5aに酸素を移動させることにより、半導体層7aの抵抗値を下げる。このため、オン電流が高い薄膜トランジスター1cを得ることができる。
【0055】
また、素子基板10上において、位置によってプラズマの影響が相違する結果、素子基板10上の位置によって半導体層7aの抵抗値がばらついた場合でも、かかるばらつきは、加熱処理による半導体層7aからの不安定な酸素の引き抜きによって解消することができる。
【0056】
さらに、易酸化性金属層5aの酸化物層5cであれば、ゲート絶縁膜4と同様に機能するので、易酸化性金属層5aの酸化物層5cとチャネル領域7cとが接している場合でも、薄膜トランジスター1cが動作するのに支障がない。
【0057】
[エッチングストッパー層8aに関する別の実施の形態]
図5〜図8を参照して説明した製造方法では、酸化シリコン膜によってエッチングストッパー層8aを形成したが、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブなどの単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層の上層にシリコン酸化膜などを積層したものをエッチングストッパー層8aとして用いてもよい。かかる場合でも、図6(e)に示す加熱工程を行なった際、易酸化性金属層が酸化物に変化するので、ソース電極(ソース線6a)とドレイン電極6bとが短絡することがない。
【0058】
また、図8(a)に示すように、エッチングストッパー層8aを設けずに、ドライエッチンにより導電膜6をパターニングして、図8(b)に示すように、ソース電極(ソース線6a)とドレイン電極6bとを形成してもよい。この場合、導電膜6をドライエッチングする際のプラズマが直接、半導体層7aに照射されることになる。それでも、本形態では、図6(e)に示す加熱工程によって、高抵抗の半導体層7a(酸化物半導体層)から易酸化性金属層5aに酸素を移動させるため、半導体層7aの抵抗値の低下やばらつきを解消することができる。
【0059】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、ソース電極(ソース線6a)およびドレイン電極6bのパターニング形成後に加熱工程を行なったが、半導体層7a(酸化物半導体層7)および酸化性金属層5aを形成した以降であればいずれのタイミングで加熱工程を行なってもよい。
【0060】
上記実施の形態では、半導体層7a(酸化物半導体層7)に、金属組成比がIn:Ga:Zn=1.00:0.94:0.65のインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層を用いたが、他の金属組成比をもったインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層や、他の酸化物半導体を用いた場合に本発明を適用してもよい。
【0061】
上記実施の形態では、半導体層7a(酸化物半導体層7)の下面側に易酸化性金属層5aを形成したが、半導体層7a(酸化物半導体層7)の上面側に易酸化性金属層5aを形成してもよい。この場合には、半導体層7a(酸化物半導体層7)を形成した後、易酸化性金属層5aを形成する。
【0062】
上記実施の形態では、ボトムゲート型の薄膜トランジスター1cを例に説明したが、トップゲート型の薄膜トランジスター1cに本発明を適用してもよい。
【0063】
上記実施の形態では、透過型の液晶装置を例に説明したが、半透過反射型の液晶装置や全反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態では、TNモード、ECBモード、VANモードのアクティブマトリクス型の液晶装置を例に説明したが、IPS(In-Plane Switching)モード等の他のモードを本発明の液晶装置(電気光学装置)に適用してもよい。また、上記形態では、本発明に係る半導体装置として液晶装置の素子基板を例に説明したが、有機エレクトロルミネッセンス装置(電気光学装置)でも、素子基板上に薄膜トランジスターが構成されることから、かかる有機エレクトロルミネッセンス装置の素子基板に本発明を適用してもよい。また、電気光学装置の素子基板に限らず、固体撮像装置に用いる素子基板や、電子ペーパー等といったその他の半導体装置においても、基板上に薄膜トランジスターが構成されることから、かかる半導体装置に本発明を適用してもよい。
【0064】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置100を搭載した電子機器について説明する。図9(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図9(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図9(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
【0065】
なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図9に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1・・液晶装置(電気光学装置)、1b・・画素、1c・・薄膜トランジスター、1f・・液晶、2a・・画素電極、3a・・ゲート線(ゲート電極/走査線)、3b・・容量線、4・・ゲート絶縁層、5、5a・・易酸化性金属層、5c・・易酸化性金属層の酸化物層、6a・・ソース線(データ線)、6b・・ドレイン電極、7・・酸化物半導体層、7a・・半導体層、7c・・チャネル領域、8a・・エッチングストッパー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスターを基板上に有する半導体装置の製造方法であって、
前記薄膜トランジスターのチャネル領域を形成するための酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
該酸化物半導体層形成工程の前および後の少なくとも一方において、前記酸化物半導体層の上面および下面のうちの少なくとも一方の面側で前記チャネル領域に接するように、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、およびニオブからなる群から選ばれた単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層を形成する易酸化性金属層形成工程と、
前記酸化物半導体層形成工程および前記易酸化性金属層形成工程を行なった後、熱処理を行なって前記酸化物半導体層から前記易酸化性金属層に酸素を移動させる加熱工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記酸化物半導体層は、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記易酸化性金属層の膜厚は、0.5〜2.0nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記薄膜トランジスターはボトムゲート構造を備え、
前記薄膜トランジスターのゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記薄膜トランジスターのゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記易酸化性金属層形成工程と、
前記酸化物半導体層形成工程と、
前記加熱工程と、
を順に行なうことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記酸化物半導体層の上層にエッチングストッパー用薄膜を形成した後、当該エッチングストッパー用薄膜を前記易酸化性金属層と同一形状にパターニングしてエッチングストッパー層を前記易酸化性金属層と平面的に重なる位置に形成し、
前記エッチングストッパー層上でソース電極とドレイン電極との分離を行なうことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の製造方法により得られたことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
酸化物半導体層をチャネル領域に用いた薄膜トランジスターを基板上に有する半導体装置であって、
前記酸化物半導体層の上面および下面のうちの少なくとも一方の面側では、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、およびニオブからなる群から選ばれた単体金属あるいはそれらの合金からなる易酸化性金属層の酸化物層が1.0〜4.0nmの膜厚をもって前記チャネル領域に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記酸化物半導体層は、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物層であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記薄膜トランジスターはボトムゲート構造を備え、
前記基板上には、ゲート電極、ゲート絶縁膜、前記易酸化性金属層の酸化物層、および前記酸化物半導体層が順に積層されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記酸化物半導体層の上層には、前記易酸化性金属層と同一形状をもって当該易酸化性金属層に平面的に重なるチャネルストッパー層を備え、
当該チャネルストッパー層の上層でソース電極とドレイン電極とが分離されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか一項に記載の半導体装置を備えた電気光学装置であって、
前記半導体装置は、前記薄膜トランジスターからなる画素トランジスターと、該画素トランジスターに電気的に接続する画素電極を備えた素子基板であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−219094(P2010−219094A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60739(P2009−60739)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】