半導体装置の製造方法、半導体装置および電気光学装置
【課題】引き回し領域が占有する領域を狭めた場合でも、下層側の第1配線と上層側の第2配線との位置関係が配線毎にばらつくことのない半導体装置の製造方法、半導体装置、および電気光学装置を提供すること。
【解決手段】半導体装置において、第1配線3sを覆う層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成されている。第2導電膜6を形成した後、レジストマスク150を形成し、このレジストマスク150をアッシングすると、凸部7aに挟まれた溝7b内にレジストマスク150を選択的に残すことができる。従って。レジストマスク150を用いて第2導電膜6をエッチングすると、第1配線3sに対して自己整合的に第2配線6sを形成することができる。
【解決手段】半導体装置において、第1配線3sを覆う層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成されている。第2導電膜6を形成した後、レジストマスク150を形成し、このレジストマスク150をアッシングすると、凸部7aに挟まれた溝7b内にレジストマスク150を選択的に残すことができる。従って。レジストマスク150を用いて第2導電膜6をエッチングすると、第1配線3sに対して自己整合的に第2配線6sを形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置、および該半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の半導体装置のうち、電気光学装置の素子基板として用いられる半導体装置では、複数の画素がマトリクス状に配置された画素領域内に複数本のゲート線や複数本のソース線などといった信号線が形成されており、かかる信号線は、画素領域外側のパッドに向けて並列して引き回されることになる。その際、全ての信号線を並列して引き回すと、引き回し領域が幅広になってしまい、表示に直接、寄与しない周辺領域が広くなってしまう。例えば、データ線の引き回し配線をライン幅およびスペース幅が各々3.5μmとなるように配列した場合、VGAパネルでは、13.44mmにもなってしまう。
【0003】
一方、図12(a)、(b)、(c)に示すように、配線引き回し領域115に形成される配線を層間絶縁膜7の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された複数の第2配線6sとにより構成し、第2配線6sについては第1配線3sとの間を通って延在させることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−91962号の図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、第1配線3sと第2配線6sとの間に大きな隙間gを空けると、多層配線を利用した割には、配線引き回し領域115の幅寸法を狭くできない。一方、成膜工程、従来のフォトリソグラフィ技術を用いてのレジストマスク形成工程、エッチング工程により、狭い間隔で第1配線3sと第2配線6sとを形成すると、エッチングマスクを形成する際の露光精度などの影響で第1配線3sと第2配線6sとの間隔がその都度ばらつき、第1配線3sと第2配線6sとが部分的に重なってしまう場合がある。また、重なり合いが配線毎に相違する場合もあり、この場合、配線に寄生する容量が配線毎に相違することになる結果、配線毎に信号波形が相違してしまうおそれがある。特に、スキャナータイプの露光機を用いた場合には、重ね合わせ精度が低くなってしまう。
【0005】
かかる問題点は、電気光学装置の素子基板に限らず、かかる素子基板以外の半導体装置でも、同様に発生する問題である。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、層間絶縁膜の下層に形成した第1配線と上層に形成した第2配線とを並列させて配線の引き回し領域が占有する領域を狭めた場合でも、第1配線と第2配線との位置関係が配線毎にばらつくことのない半導体装置、該半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置、および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置の製造方法において、前記基板上の前記配線引き回し領域に第1導電膜からなる複数の第1配線を並列して形成する第1配線形成工程と、前記第1配線の上層側に、当該第1配線が反映されてなる凸部が表面に形成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、前記層間絶縁膜の上層に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記層間絶縁膜の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、前記レジストマスクを表面側から除去し、前記第2導電膜の表面において前記凸部に挟まれた溝内に前記レジストマスクを選択的に残すマスク整形工程と、前記溝内に前記レジストマスクを選択的に残した状態で前記第2導電膜をエッチングして第2配線を形成する第2導電膜パターニング工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
かかる方法で製造した半導体装置は、基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在し、前記複数の配線は、層間絶縁膜の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線と、前記層間絶縁膜の上層で第2導電膜により形成され、前記第1配線との間を通って延在する複数の第2配線とから構成され、前記複数の第2配線は各々、前記層間絶縁膜の表面において前記第1配線が反映されてなる凸部に挟まれた溝内で、幅方向の両端部が前記第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっていることを特徴とする。すなわち、上層側の第2配線は、下層側の第1配線に対して自己整合的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1配線を覆う層間絶縁膜の表面には、第1配線が反映されてなる凸部が形成され、かかる凸部に挟まれた溝内にレジストマスクを選択的に残すことにより、第2配線を第1配線に対して自己整合的に形成する。このため、狭い間隔で第1配線と第2配線とを形成した場合でも、複数の第2配線は各々、幅方向の両端部が第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっており、配線引き回し領域を狭めた場合でも、第1配線と第2配線との位置関係が配線毎にばらつくことがない。それ故、第1配線と第2配線とが部分的に重なった場合でも、重なりが配線毎に等しいため、寄生容量が配線毎に相違することがなく、配線毎に信号波形が相違することがない。
【0010】
本発明において、前記エッチングマスク形成工程では、感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を残すべき領域のうち、前記凸部に相当する領域より高い領域、および/または前記凸部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での前記レジストマスクの最大厚以上の厚さに残すことが好ましい。このように構成すると、感光性レジストを塗布した際、例えば、凸部より高い領域に感光性レジストが薄く塗布された場合でも、マスク整形工程の後、かかる領域にレジストマスクを残すことができるので、第2導電膜を確実に残すことができる。
【0011】
本発明において、前記エッチングマスク形成工程では、前記感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を完全除去すべき領域のうち、前記溝の底部に相当する領域よりも低い領域、および/または前記溝の底部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での最小厚よりも薄く形成する、あるいは前記レジストマスクを形成しないことが好ましい。このように構成すると、感光性レジストを塗布した際、例えば、溝の底部よりも低い領域に感光性レジストが厚く塗布された場合でも、マスク整形工程の後、かかる領域にレジストマスクが存在しないことになるので、第2導電膜を確実に除去することができる。
【0012】
本発明を適用した半導体装置において、前記配線引き回し領域の幅方向の端部には、当該端部に位置する前記第1配線および前記第2配線のうちの一方の配線に対して並列するように、他方の配線からダミー配線が延在していることが好ましい。すなわち、配線引き回し領域の端部に第1配線が位置する場合、当該第1配線に並列するように第2配線からダミー配線が延在し、配線引き回し領域の端部に第2配線が位置する場合、当該第2配線に並列するように第1配線からダミー配線が延在していることが好ましい。このように構成すると、第1配線および第2配線の各々において寄生する容量を同等とすることができる。
【0013】
本発明において、前記基板上には、電界効果型トランジスタが形成されている場合、前記電界効果型トランジスタのゲート電極は前記第1導電膜により形成され、前記電界効果型トランジスタのソース電極は前記第2導電膜により形成されている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記基板上には、前記第1配線および前記第2配線のうち一方の配線は、前記層間絶縁膜の非形成領域を経由して他方の配線を構成する導電膜により形成された第3配線に電気的に接続していることが好ましい。このように構成すると、配線引き回し領域の外側では、配線を同一の導電膜で形成した構造を実現することができる。
【0015】
かかる構造の場合、前記第3配線と、前記他方の配線から前記配線引き回し領域の外側に延在した第4配線とは、前記配線引き回し領域で前記配線のピッチに比して広いピッチで並列させればよい。
【0016】
かかる構造によれば、前記第3配線と前記第4配線とには同一種類の信号が供給される構成を実現することができる。
【0017】
本発明を適用した半導体装置は、複数の画素電極が形成された素子基板として構成でき、かかる素子基板を備えた電気光学装置では、前記第3配線および前記第4配線が、前記素子基板上の画素領域で並列している構造となる。
【0018】
かかる電気光学装置の例としては液晶装置を挙げることができ、この場合、前記素子基板は、該素子基板に対向配置された対向基板との間に液晶を保持する構成となる。
【0019】
また、電気光学装置が有機エレクトロルミネッセンス装置である場合、前記素子基板上には、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている構成となる。
【0020】
本発明に係る電気光学装置は、携帯電話機やモバイルコンピュータなどの電子機器に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を相違させてある。また、以下の説明では、図12に示した例との対応が明確になるように、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。図2は、本形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0023】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、本発明を適用した半導体装置110は、基板120上の配線引き回し領域115で複数の配線が並列して延在している。複数の配線は、層間絶縁膜7の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。
【0024】
ここで、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延在しており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。すなわち、上層側の第2配線6sは、下層側の第1配線3sに対して自己整合的に形成されている。
【0025】
また、基板120上において、第1配線3sおよび第2配線6sのうち、第1配線3sは、層間絶縁膜7の非形成領域を経由して、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された第3配線6tに電気的に接続している。かかる電気的な接続を行なうにあたって、本形態では、層間絶縁膜7、および第2配線6sを上層で覆う別の層間絶縁膜において、第1配線3sの端部と重なる位置、および第3配線6tの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)が形成されており、別の絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9sが形成された構造が採用されている。かかる構造によれば、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とをコンタクトホール7s、7tおよび第3導電膜9sを経由して電気的に接続することができる。
【0026】
また、第2配線6sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第2導電膜からなる第4配線6uが延在しており、かかる第4配線6uは、第3配線6tに対して、配線引き回し領域115での配線のピッチに比して広いピッチで並列している。ここで、配線引き回し領域115から延在した第3配線6tおよび第4配線6uは、いずれも同一の導電膜(第2導電膜)から形成されており、同一種類の配線として利用できるので、第3配線6tおよび第4配線6uについては、同一種類の信号を供給するのに用いることができる。例えば、本発明を適用した半導体装置110を、後述する電気光学装置の素子基板として用いた場合、第3配線6tおよび第4配線6uを、画素領域で並列するデータ線などとして用いることができる。
【0027】
かかる構造の半導体装置110の製造方法においては、まず、図2(a)に示す第1配線形成工程において、基板120上に第1導電膜を金属膜などにより形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて第1導電膜をパターニングし、配線引き回し領域115に第1導電膜からなる複数の第1配線3sを並列して形成する。
【0028】
次に、図2(b)に示す層間絶縁膜形成工程では、第1配線3sの上層側に、CVD法などによりシリコン酸化物やシリコン窒化物からなる層間絶縁膜7を一定の厚さに形成する。その結果、層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成され、凸部7aに挟まれた領域に溝7bが形成される。
【0029】
次に、図2(c)に示す第2導電膜形成工程において、層間絶縁膜7の上層に第2導電膜6を金属膜などにより形成する。その結果、層間絶縁膜7の表面には、層間絶縁膜7の凸部7aおよび溝7bが反映されて凸部6jおよび溝6kが形成される。
【0030】
次に、図2(d)に示すエッチングマスク形成工程では、層間絶縁膜7の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスク150を形成する。この状態で、レジストマスク150の表面は、凹凸のない平坦面になっている。
【0031】
次に、図2(e)に示すマスク整形工程では、レジストマスク150に酸素プラズマなどを利用したアッシングを行い、レジストマスク150を表面側から除去する。その結果、層間絶縁膜7の凸部7aに挟まれた溝7b、6kに対応する位置にレジストマスク150を選択的に残すことができる。
【0032】
次に、第2導電膜パターニング工程において、第2導電膜6の溝6k内にレジストマスク150を選択的に残した状態で第2導電膜6をエッチングした後、レジストマスク150を除去すると、図1(c)に示すように、複数の第2配線6sを並列した状態に形成することができる。
【0033】
このように、本形態では、第1配線3sを覆う層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成され、かかる凸部7aに挟まれた溝7b内にレジストマスク150を選択的に残すことにより、第2配線6sを第1配線3sに対して自己整合的に形成する。このため、狭い間隔で第1配線3sと第2配線6sとを形成した場合でも、複数の第2配線6sは各々、幅方向の両端部が第1配線3aの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。従って、配線引き回し領域115を狭めた場合でも、第1配線3sと第2配線6sとの位置関係が配線毎にばらつくことがない。それ故、第1配線3sと第2配線6sとが部分的に重なった場合でも、重なりが配線毎に等しいため、寄生容量が配線毎に相違することがなく、配線毎に信号波形が相違することがない。
【0034】
なお、図1(a)に点線で示すように、配線引き回し領域115の端部に第1配線3sが位置する場合、第1配線3sに並列するように第2配線6sからダミー配線6wを延在させ、配線引き回し領域115の端部に第2配線6sが位置する場合、第2配線6sに並列するように第1配線3sからダミー配線3wを延在させてもよい。このように構成すると、第1配線3sおよび第2配線6sの各々において寄生する容量を同等とすることができる。
【0035】
[実施の形態2]
図3(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0036】
実施の形態1では、第3配線6tおよび第4配線6uがいずれも第2導電膜により形成されていたが、以下に説明するように、第3配線および第4配線がいずれも第1導電膜により形成されている構成であってもよい。すなわち、図3(a)、(b)、(c)に示すように、第1配線3sおよび第2配線6sのうち、第2配線6sは、層間絶縁膜7の非形成領域を経由して、第1導電膜により形成された第3配線3tに電気的に接続している。また、第1配線3sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第1導電膜からなる第4配線3uが延在しており、かかる第4配線3uは、第3配線3tに対して、配線引き回し領域115での配線のピッチに比して広いピッチで並列している。なお、第2配線6sと第3配線3tとを電気的に接続するにあたっては、層間絶縁膜7、および第2配線6sを覆う別の層間絶縁膜において、第3配線3tの端部と重なる位置、および第2配線6sの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)を形成してき、別の層間絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9sを形成すればよい。
【0037】
[実施の形態1、2の変形例]
実施の形態1において、第1配線3sと第3配線6tとを電気的に接続するにあたっては、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とを層間絶縁膜7を介して重なるように形成し、かかる重なり部分の層間絶縁膜7にコンタクトホールを形成してもよい。また、実施の形態2において、第2配線6sと第3配線3tとを電気的に接続するにあたっては、第2配線6sの端部と第3配線3tの端部とを層間絶縁膜7を介して重なるように形成し、かかる重なり部分の層間絶縁膜7にコンタクトホールを形成してもよい。
【0038】
[電気光学装置への適用例1]
図4(a)、(b)は各々、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図、およびその一部を拡大して示す説明図である。図4(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数のデータ線6aと複数の走査線3aとの交差に対応する位置に複数の画素100aが形成されている。素子基板10上には、複数の画素100aが配列された領域によって画素領域10bが構成されており、かかる画素領域10bは、電気光学装置100において画像を表示するための画像表示領域10aとして利用される。但し、画素領域10bの外周に沿って、表示に直接寄与しないダミーの画素が形成される場合があり、この場合、画素領域10bのうち、ダミーの画素を除いた領域によって画像表示領域10aが構成される。
【0039】
素子基板10において、画素領域10bの外側領域では、画素領域10bの側辺部と素子基板10の側辺部との間にゲート線駆動回路104を内蔵するIC104aが実装されている。また、素子基板10の側辺部に沿っては、IC104aを両側で挟む位置に、データ線駆動回路104を内蔵するIC101aが実装されている。
【0040】
複数の画素100aの各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスタ30a(画素トランジスタ)が形成されている。IC101a(データ線駆動回路101)から延びたデータ線6aは、薄膜トランジスタ30aのソースに電気的に接続されており、データ線6aに画像信号を線順次で供給する。IC104a(データ線駆動回路104)から延びた走査線3aは、薄膜トランジスタ30aのゲートに電気的に接続されており、走査線駆動回路104は、走査線3aに走査信号を線順次で供給する。画素電極9aは、薄膜トランジスタ30aのドレインに電気的に接続されており、電気光学装置100では、薄膜トランジスタ30aを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号を各画素100aの液晶容量50aに所定のタイミングで書き込む。液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画像信号は、素子基板10に形成された画素電極9aと、後述する対向基板の共通電極との間で一定期間保持される。画素電極9aと共通電極との間には保持容量60が形成されており、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100が実現される。本形態では、保持容量60を構成するにあたって、走査線3aと並行するように容量線3bが形成されているが、前段の走査線3aとの間に保持容量60が形成される場合もある。なお、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、素子基板10上に形成される。
【0041】
(画素の詳細構成)
図5(a)、(b)は各々、本形態の電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および画素の平面図であり、図5(a)は、図5(b)のA1−A1′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。
【0042】
図5(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100では、画素トランジスタとして、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタ30が用いられ、素子基板10上には、ITO膜からなる透光性の画素電極9aが各画素100a毎に形成されている。画素電極9aの縦横の境界領域に沿っては、薄膜トランジスタ30に電気的に接続されたデータ線6aおよび走査線3aが形成され、走査線3aと並列するように容量線3bが形成されている。容量線3b、走査線3aと同時形成された配線層である。
【0043】
薄膜トランジスタ30はボトムゲート構造を有しており、薄膜トランジスタ30では、走査線3aの一部からなるゲート電極、ゲート絶縁膜2、薄膜トランジスタ30の能動層を構成するアモルファスシリコン膜からなる半導体層1a、およびコンタクト層1rがこの順に積層されている。半導体層1aのうち、ソース側の端部には、コンタクト層1rを介してデータ線6aが重なっており、ドレイン側の端部には、コンタクト層1rを介してドレイン電極6bが重なっている。データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜からなる。ドレイン電極6bは、ゲート絶縁膜2を介して容量線3bに重なっており、保持容量60を構成している。データ線6aおよびドレイン電極6bの表面側にはシリコン窒化膜などからなる絶縁保護膜11が形成されている。絶縁保護膜11の上層には、ITO膜からなる画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、絶縁保護膜11に形成されたコンタクトホール11aを介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。なお、画素電極9a表面には配向膜(図示せず)が形成されている。
【0044】
このように構成した素子基板10に対しては対向基板20が対向配置されており、素子基板10と対向基板20との間には液晶50が保持されている。対向基板20において、素子基板20と対向する面にはITO膜などからなる透光性の共通電極21が形成されている。なお、対向基板20には、ブラックマトリクスなどと称せられる遮光膜、カラーフィルタ、配向膜などが形成されているが、これらの要素は本発明と直接、関係しないので、図示および説明を省略する。なお、素子基板10および対向基板20の基材である支持基板10d、20dはいずれもガラス基板である。
【0045】
(データ線の引き回し構造)
再び図4(a)、(b)において、本形態では、図4(a)に示すレイアウトに対応して、走査線3aは、ゲートドライバ104aの実装領域に向けて直線的に引き出されている。これに対して、データ線6aは、画素領域10bから上下方向に引き出されおり、データ線6aの引き回し配線6gは、画素領域10bの上下位置で直角に屈曲した後、配線引き回し領域115を通って、ソースドライバ101aの実装領域まで引き回されている。従って、走査線3aについては引き回しに余裕があるが、データ線6aの引き回し配線6gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。
【0046】
そこで、本形態では、図1および図2を参照して説明した構造を利用する。ここで、図1および図2を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aおよび容量線3bと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6bと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7はゲート絶縁膜2である。また、図1を参照して説明した別の層間絶縁膜は絶縁保護膜11であり、第3導電膜9sは画素電極9aと同時形成された導電膜である。それ故、図1、図4(b)および図5(b)において、配線引き回し領域115で並列するデータ線6aの引き回し配線6gは、層間絶縁膜7(ゲート絶縁膜2)の下層に形成された第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層に形成された第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。
【0047】
ここで、図1を参照して説明したように、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延びており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。
【0048】
また、第1配線3sは、引き回し領域115の外側で第2導電膜により形成された第3配線6tに電気的に接続し、第2配線6sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第2導電膜からなる第4配線6uが延在しており、本形態では、かかる第3配線6tおよび第4配線6uに相当する部分をデータ線6aとして利用する。ここで、第1配線3sと第3配線6tとを電気的に接続するにあたっては、層間絶縁膜7、および第2配線6sを覆う別の層間絶縁膜(絶縁保護膜11)において、第1配線3sの端部と重なる位置、および第3配線6tの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)を形成し、別の絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9s(ITO膜)を形成した構造が採用されている。かかる構造によれば、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とをコンタクトホール7s、7tおよび第3導電膜9sを経由して電気的に接続することができる。
【0049】
(製造方法)
図6は、本形態の電気光学装置の製造方法のうち、図2(d)を参照して説明したレジストマスク形成工程、および図2(e)を参照して説明したマスク整形工程に対応する工程を示す説明図である。
【0050】
本形態の電気光学装置100を製造する際、図1(b)、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示すように、素子基板10上にデータ線6a、ドレイン電極6bおよび第2配線6sを形成するには、図6(a)に示すように、第2導電膜6を形成した後、図6(b)に示すように、レジストマスク150を形成する必要がある。但し、第2導電膜6をデータ線6a、ドレイン電極6bとして残したい領域(薄膜トランジスタ30の形成領域/配線引き回し領域以外の領域)に、凸部7a、6jに相当する領域より高い領域や、凸部7a、6jに相当する領域と同じ高さの領域が存在する場合、図6(a)に示すように感光性レジスト150aを塗布した際、凸部7a、6jに相当する領域より高い領域や、凸部7a、6jに相当する領域と同じ高さの領域では、感光性レジスト150aが薄く塗布されてしまい、図2(d)、(e)を参照して説明したマスク整形工程後、かかる領域にはレジストマスクが残らないことになってしまう。また、第2導電膜6を完全に除去すべき領域でも、溝7b、6kの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7b、6kの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、感光性レジスト150aが厚く塗布されてしまい、マスク整形工程後、かかる領域にはレジストマスクが残ってしまう。
【0051】
そこで、本形態では、図6(a)に示すように、ポジタイプの感光性レジスト150aを塗布した後、露光する際、クロムなどの遮光層が形成された遮光領域161、クロム酸化膜が形成された半透過領域162、および透光領域163を備えた露光マスク160を用い、ハーフ露光を行なう。このような露光マスク160で露光した後、現像すると、第2導電膜6を残したい領域のうち、凸部7aに相当する領域より高い領域や、凸部7aに相当する領域と同じ高さの領域に、配線引き回し領域115での最大厚よりも厚くレジストマスク150を形成することができる。また、第2導電膜6を完全に除去したい領域のうち、溝7bの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7bの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、レジストマスク150を形成しない構成を実現することができる。なお、第2導電膜6を完全に除去したい領域のうち、溝7bの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7bの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、配線引き回し領域115での最小厚よりも薄くレジストマスク150が形成されている構成を採用してもよい。
【0052】
従って、図2(e)および図6(b)に示すマスク整形工程を行なうと、層間絶縁膜7の凸部7aに挟まれた溝7bに対応する位置にレジストマスク150を選択的に残すことができるとともに、薄膜トランジスタ30の形成領域にもレジストマスク150を確実に残すことができる。それ故、図6(c)に示すように、第2導電膜6をエッチングすると、所定位置のみに第2導電膜6を残すことができ、データ線6a、ドレイン電極6b、および第2配線6sを形成することができる。また、第2導電膜6が不要な領域に第2導電膜6が残ってしまうことがない。
【0053】
[電気光学装置への適用例2]
図7は、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた別の電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図である。図8(a)、(b)は各々、本形態の電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および画素の平面図であり、図8(a)は、図8(b)のA2−A2′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は、図4〜図6を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0054】
図4〜図6に示す電気光学装置では、アモルファスシリコンを用いて薄膜トランジスタ30を構成したが、図7および図8に示すように、ポリシリコンを用いて薄膜トランジスタ30を構成した電気光学装置100(液晶装置)に本発明を適用してもよい。
【0055】
図7に示す電気光学装置100も液晶装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数のデータ線6aと複数の走査線3aとの交差に対応する位置に複数の画素100aが形成されている。素子基板10において、画素領域10bの外側領域では、画素領域10bの側辺部と素子基板10の側辺部との間にゲート線駆動回路104およびデータ線駆動回路104が形成されており、かかるゲート線駆動回路104およびデータ線駆動回路104は、画素100aに形成した薄膜トランジスタ30の製造工程を利用して同時形成されてなる。
【0056】
図8(a)、(b)に示すように、本形態でも、素子基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9aが画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6aおよび走査線3aが延在している。また、素子基板10において、走査線3aと並列して容量線3bが形成されている。素子基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなり、素子基板10には、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aと対応する領域に薄膜トランジスタ30aが形成されている。薄膜トランジスタ30aは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を備えている。半導体層1aの表面側には、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜からなるゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極(走査線3a)が形成されている。半導体層1aは、素子基板10に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニールなどにより多結晶化されたポリシリコン膜である。なお、半導体層1aは単結晶シリコン層により形成される場合があり、ゲート絶縁層2は、半導体層1aの表面に対する熱酸化により形成されることもある。
【0057】
薄膜トランジスタ30aの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁層71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成され、データ線6aは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。また、ドレイン電極6bは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71bを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。層間絶縁層73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁層72、73に形成されたコンタクトホール73aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁層2と同時形成された絶縁層(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、保持容量60が構成されている。本形態において、走査線3aおよび容量線3bは同時形成された導電膜であり、データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜である。
【0058】
なお、素子基板10に対しては対向基板20が対向配置されており、素子基板10と対向基板20との間には液晶50が保持されている。対向基板20において、素子基板20と対向する面にはITO膜などからなる透光性の共通電極21が形成されている。なお、対向基板20には、ブラックマトリクスなどと称せられる遮光膜、カラーフィルタ、配向膜などが形成されているが、これらの要素は本発明と直接、関係しないので、図示および説明を省略する。
【0059】
このように構成した電気光学装置100において、データ線6aは、データ線駆動回路101に向けて直線的に引き出されている。これに対して、走査線3aは、画素領域10bから側方に引き出された後、直角に屈曲し、配線引き回し領域115を通って走査線駆動回路104まで引き回されている。従って、本形態では、データ線6aについては引き回しに余裕があるが、走査線3aの引き回し配線3gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。
【0060】
そこで、本形態では、図3を参照して説明した構造を利用する。ここで、図3を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aおよび容量線3bと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6bと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7は、層間絶縁膜71である。また、図3を参照して説明した別の層間絶縁膜は層間絶縁膜72、73であり、第3導電膜9sは、画素電極9aと同時形成された導電膜である。
【0061】
すなわち、配線引き回し領域115で並列する走査線3aの引き回し配線3gは、図3に示すように、層間絶縁膜7(層間絶縁膜71)の下層に形成された第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層に形成された第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。ここで、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延びており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。
【0062】
また、第2配線3sは、引き回し領域115の外側で第1導電膜により形成された第3配線3tに電気的に接続し、第1配線3sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第1導電膜からなる第4配線3uが延在しており、本形態では、かかる第3配線3tおよび第4配線3uに相当する部分を走査線3aとして利用する。
【0063】
[電気光学装置への適用例3]
以下、本発明を有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)に適用した例を説明する。なお、以下の説明では、図4〜図7に示す形態との対応が分りやすいように、可能な限り、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0064】
(全体構成)
図9は、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。図10(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100(有機EL装置)の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図10(b)は図10(a)のB−B′線における断面図であり、図10(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は短い点線で示してある。
【0065】
図9に示す電気光学装置100は、有機EL装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数の走査線3aと、走査線3aに対して交差する方向に延びる複数のデータ線6aと、走査線3aに対して並列して延在する複数の電源線3eとを有している。また、素子基板10において、画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に配列されている。データ線6aにはデータ線駆動回路101が接続され、走査線3aには走査線駆動回路104が接続されている。画素領域10bの各々には、走査線3aを介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ30bと、このスイッチング用の薄膜トランジスタ30bを介してデータ線6aから供給される画素信号を保持する保持容量70と、保持容量70によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ30cと、この薄膜トランジスタ30cを介して電源線3eに電気的に接続したときに電源線3eから駆動電流が流れ込む画素電極9a(陽極層)と、この画素電極9aと陰極層との間に有機機能層が挟まれた有機EL素子80を構成している。
【0066】
かかる構成によれば、走査線3aが駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ30bがオンになると、そのときのデータ線6aの電位が保持容量70に保持され、保持容量70が保持する電荷に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ30cのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ30cのチャネルを介して、電源線3eから画素電極9aに電流が流れ、さらに有機機能層を介して対極層に電流が流れる。その結果、有機EL素子80は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0067】
図10(a)、(b)に示すように、素子基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(長い点線で囲まれた領域)が画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す領域)、および走査線3a(実線で示す領域)が形成されている。また、素子基板10において、走査線3aと並列して電源線3eが形成されている。図10(b)に示す素子基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなる。素子基板10では、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aに対応する領域に薄膜トランジスタ30cが形成されている。薄膜トランジスタ30cは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、ソース領域1h、およびドレイン領域1iが形成されている。半導体層1aの表面側にはゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極3fが形成されている。かかるゲート電極3fは、薄膜トランジスタ30bのドレインに電気的に接続されている。なお、薄膜トランジスタ30bの基本的な構成は、薄膜トランジスタ30cと同様であるため、説明を省略する。
【0068】
薄膜トランジスタ30cの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁層71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはソース電極6gおよびドレイン電極6hが形成され、ソース電極6gは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71gを介してソース領域1hに電気的に接続している。また、ドレイン電極6hは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71hを介してドレイン領域1iに電気的に接続している。層間絶縁層73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁層72、73に形成されたコンタクトホール73gを介してドレイン電極6hに電気的に接続している。
【0069】
また、画素電極9aの上層には、発光領域を規定するための開口部を備えたシリコン酸化膜などからなる隔壁層5a、および感光性樹脂などからなる厚い隔壁層5bが形成されている。隔壁層5aおよび隔壁層5bで囲まれた領域内において、画素電極9aの上層には、3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などからなる正孔注入層81、および発光層82からなる有機機能層が形成され、発光層82の上層には陰極層85が形成されている。このようにして、画素電極9a、正孔注入層81、発光層82および陰極層85によって、有機EL素子80が構成されている。発光層82は、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料から構成される。また、発光層82としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる組成物も使用可能である。本形態において、有機機能層は、インクジェット法などの塗布法により形成される。なお、塗布法としては、フレキソ印刷法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法などが採用される場合もある。また、有機機能層については、蒸着法などにより形成される場合もある。さらに、発光層82と陰極層85との層間にはLiFなどからなる電子注入層が形成されることもある。
【0070】
トップエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dからみて有機EL素子80が形成されている側から光を取り出すので、陰極層85は、薄いアルミニウム膜や、マグネシウムやリチウムなどの薄い膜をつけて仕事関数を調整したITO膜などといった透光性電極として形成され、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板の他、不透明基板も用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナなどのセラミックス、ステンレススチールなどの金属板に表面酸化などの絶縁処理を施したもの、樹脂基板などが挙げられる。これに対して、ボトムエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dの側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板が用いられる。
【0071】
このように構成した電気光学装置100において、データ線6aは、データ線駆動回路101に向けて直線的に引き出されている。これに対して、走査線3aは、画素領域10bから側方に引き出された後、直角に屈曲し、配線引き回し領域115を通って走査線駆動回路104まで引き回されている。従って、本形態では、データ線6aについては引き回しに余裕があるが、走査線3aの引き回し配線3gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。従って、本形態でも、図3を参照して説明した構造を適用すれば、幅の狭い配線引き回し領域115内において、引き回し配線3gを適正に配列することができる。この場合、図3を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aやゲート電極3fと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6hと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7は、層間絶縁膜71である。また、図3を参照して説明した別の層間絶縁膜は層間絶縁膜72、73であり、第3導電膜9sは、画素電極9aと同時形成された導電膜である。
【0072】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図11(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図11(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図11(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
【0073】
なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図11示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図、およびその一部を拡大して示す説明図である。
【図5】(a)、(b)は各々、図4に示す電気光学装置の画素1つ分の断面図、および画素の平面図である。
【図6】図4および図5に示す電気光学装置の製造方法のうち、図2に示すレジストマスク形成工程、およびマスク整形工程に対応する工程を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた別の電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図である。
【図8】(a)、(b)は各々、図7に示す電気光学装置の画素1つ分の断面図、および画素の平面図である。
【図9】本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いたさらに別の電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】(a)、(b)は各々、図9に示す電気光学装置(有機EL装置)の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図11】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【図12】従来の半導体装置の説明図である。
【符号の説明】
【0075】
3a・・走査線、3s・・第1配線、6a・・データ線、6s・・第2配線、7・・層間絶縁膜、9a・・画素電極、10・・素子基板(半導体装置)、50・・液晶、80・・有機エレクトロルミネッセンス素子、10b・・画素領域、100・・電気光学装置、110・・半導体装置、115・・配線引き回し領域、120・・基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置、および該半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の半導体装置のうち、電気光学装置の素子基板として用いられる半導体装置では、複数の画素がマトリクス状に配置された画素領域内に複数本のゲート線や複数本のソース線などといった信号線が形成されており、かかる信号線は、画素領域外側のパッドに向けて並列して引き回されることになる。その際、全ての信号線を並列して引き回すと、引き回し領域が幅広になってしまい、表示に直接、寄与しない周辺領域が広くなってしまう。例えば、データ線の引き回し配線をライン幅およびスペース幅が各々3.5μmとなるように配列した場合、VGAパネルでは、13.44mmにもなってしまう。
【0003】
一方、図12(a)、(b)、(c)に示すように、配線引き回し領域115に形成される配線を層間絶縁膜7の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された複数の第2配線6sとにより構成し、第2配線6sについては第1配線3sとの間を通って延在させることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−91962号の図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、第1配線3sと第2配線6sとの間に大きな隙間gを空けると、多層配線を利用した割には、配線引き回し領域115の幅寸法を狭くできない。一方、成膜工程、従来のフォトリソグラフィ技術を用いてのレジストマスク形成工程、エッチング工程により、狭い間隔で第1配線3sと第2配線6sとを形成すると、エッチングマスクを形成する際の露光精度などの影響で第1配線3sと第2配線6sとの間隔がその都度ばらつき、第1配線3sと第2配線6sとが部分的に重なってしまう場合がある。また、重なり合いが配線毎に相違する場合もあり、この場合、配線に寄生する容量が配線毎に相違することになる結果、配線毎に信号波形が相違してしまうおそれがある。特に、スキャナータイプの露光機を用いた場合には、重ね合わせ精度が低くなってしまう。
【0005】
かかる問題点は、電気光学装置の素子基板に限らず、かかる素子基板以外の半導体装置でも、同様に発生する問題である。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、層間絶縁膜の下層に形成した第1配線と上層に形成した第2配線とを並列させて配線の引き回し領域が占有する領域を狭めた場合でも、第1配線と第2配線との位置関係が配線毎にばらつくことのない半導体装置、該半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置、および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置の製造方法において、前記基板上の前記配線引き回し領域に第1導電膜からなる複数の第1配線を並列して形成する第1配線形成工程と、前記第1配線の上層側に、当該第1配線が反映されてなる凸部が表面に形成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、前記層間絶縁膜の上層に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、前記層間絶縁膜の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、前記レジストマスクを表面側から除去し、前記第2導電膜の表面において前記凸部に挟まれた溝内に前記レジストマスクを選択的に残すマスク整形工程と、前記溝内に前記レジストマスクを選択的に残した状態で前記第2導電膜をエッチングして第2配線を形成する第2導電膜パターニング工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
かかる方法で製造した半導体装置は、基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在し、前記複数の配線は、層間絶縁膜の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線と、前記層間絶縁膜の上層で第2導電膜により形成され、前記第1配線との間を通って延在する複数の第2配線とから構成され、前記複数の第2配線は各々、前記層間絶縁膜の表面において前記第1配線が反映されてなる凸部に挟まれた溝内で、幅方向の両端部が前記第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっていることを特徴とする。すなわち、上層側の第2配線は、下層側の第1配線に対して自己整合的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1配線を覆う層間絶縁膜の表面には、第1配線が反映されてなる凸部が形成され、かかる凸部に挟まれた溝内にレジストマスクを選択的に残すことにより、第2配線を第1配線に対して自己整合的に形成する。このため、狭い間隔で第1配線と第2配線とを形成した場合でも、複数の第2配線は各々、幅方向の両端部が第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっており、配線引き回し領域を狭めた場合でも、第1配線と第2配線との位置関係が配線毎にばらつくことがない。それ故、第1配線と第2配線とが部分的に重なった場合でも、重なりが配線毎に等しいため、寄生容量が配線毎に相違することがなく、配線毎に信号波形が相違することがない。
【0010】
本発明において、前記エッチングマスク形成工程では、感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を残すべき領域のうち、前記凸部に相当する領域より高い領域、および/または前記凸部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での前記レジストマスクの最大厚以上の厚さに残すことが好ましい。このように構成すると、感光性レジストを塗布した際、例えば、凸部より高い領域に感光性レジストが薄く塗布された場合でも、マスク整形工程の後、かかる領域にレジストマスクを残すことができるので、第2導電膜を確実に残すことができる。
【0011】
本発明において、前記エッチングマスク形成工程では、前記感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を完全除去すべき領域のうち、前記溝の底部に相当する領域よりも低い領域、および/または前記溝の底部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での最小厚よりも薄く形成する、あるいは前記レジストマスクを形成しないことが好ましい。このように構成すると、感光性レジストを塗布した際、例えば、溝の底部よりも低い領域に感光性レジストが厚く塗布された場合でも、マスク整形工程の後、かかる領域にレジストマスクが存在しないことになるので、第2導電膜を確実に除去することができる。
【0012】
本発明を適用した半導体装置において、前記配線引き回し領域の幅方向の端部には、当該端部に位置する前記第1配線および前記第2配線のうちの一方の配線に対して並列するように、他方の配線からダミー配線が延在していることが好ましい。すなわち、配線引き回し領域の端部に第1配線が位置する場合、当該第1配線に並列するように第2配線からダミー配線が延在し、配線引き回し領域の端部に第2配線が位置する場合、当該第2配線に並列するように第1配線からダミー配線が延在していることが好ましい。このように構成すると、第1配線および第2配線の各々において寄生する容量を同等とすることができる。
【0013】
本発明において、前記基板上には、電界効果型トランジスタが形成されている場合、前記電界効果型トランジスタのゲート電極は前記第1導電膜により形成され、前記電界効果型トランジスタのソース電極は前記第2導電膜により形成されている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記基板上には、前記第1配線および前記第2配線のうち一方の配線は、前記層間絶縁膜の非形成領域を経由して他方の配線を構成する導電膜により形成された第3配線に電気的に接続していることが好ましい。このように構成すると、配線引き回し領域の外側では、配線を同一の導電膜で形成した構造を実現することができる。
【0015】
かかる構造の場合、前記第3配線と、前記他方の配線から前記配線引き回し領域の外側に延在した第4配線とは、前記配線引き回し領域で前記配線のピッチに比して広いピッチで並列させればよい。
【0016】
かかる構造によれば、前記第3配線と前記第4配線とには同一種類の信号が供給される構成を実現することができる。
【0017】
本発明を適用した半導体装置は、複数の画素電極が形成された素子基板として構成でき、かかる素子基板を備えた電気光学装置では、前記第3配線および前記第4配線が、前記素子基板上の画素領域で並列している構造となる。
【0018】
かかる電気光学装置の例としては液晶装置を挙げることができ、この場合、前記素子基板は、該素子基板に対向配置された対向基板との間に液晶を保持する構成となる。
【0019】
また、電気光学装置が有機エレクトロルミネッセンス装置である場合、前記素子基板上には、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている構成となる。
【0020】
本発明に係る電気光学装置は、携帯電話機やモバイルコンピュータなどの電子機器に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を相違させてある。また、以下の説明では、図12に示した例との対応が明確になるように、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。図2は、本形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0023】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、本発明を適用した半導体装置110は、基板120上の配線引き回し領域115で複数の配線が並列して延在している。複数の配線は、層間絶縁膜7の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。
【0024】
ここで、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延在しており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。すなわち、上層側の第2配線6sは、下層側の第1配線3sに対して自己整合的に形成されている。
【0025】
また、基板120上において、第1配線3sおよび第2配線6sのうち、第1配線3sは、層間絶縁膜7の非形成領域を経由して、層間絶縁膜7の上層で第2導電膜により形成された第3配線6tに電気的に接続している。かかる電気的な接続を行なうにあたって、本形態では、層間絶縁膜7、および第2配線6sを上層で覆う別の層間絶縁膜において、第1配線3sの端部と重なる位置、および第3配線6tの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)が形成されており、別の絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9sが形成された構造が採用されている。かかる構造によれば、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とをコンタクトホール7s、7tおよび第3導電膜9sを経由して電気的に接続することができる。
【0026】
また、第2配線6sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第2導電膜からなる第4配線6uが延在しており、かかる第4配線6uは、第3配線6tに対して、配線引き回し領域115での配線のピッチに比して広いピッチで並列している。ここで、配線引き回し領域115から延在した第3配線6tおよび第4配線6uは、いずれも同一の導電膜(第2導電膜)から形成されており、同一種類の配線として利用できるので、第3配線6tおよび第4配線6uについては、同一種類の信号を供給するのに用いることができる。例えば、本発明を適用した半導体装置110を、後述する電気光学装置の素子基板として用いた場合、第3配線6tおよび第4配線6uを、画素領域で並列するデータ線などとして用いることができる。
【0027】
かかる構造の半導体装置110の製造方法においては、まず、図2(a)に示す第1配線形成工程において、基板120上に第1導電膜を金属膜などにより形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて第1導電膜をパターニングし、配線引き回し領域115に第1導電膜からなる複数の第1配線3sを並列して形成する。
【0028】
次に、図2(b)に示す層間絶縁膜形成工程では、第1配線3sの上層側に、CVD法などによりシリコン酸化物やシリコン窒化物からなる層間絶縁膜7を一定の厚さに形成する。その結果、層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成され、凸部7aに挟まれた領域に溝7bが形成される。
【0029】
次に、図2(c)に示す第2導電膜形成工程において、層間絶縁膜7の上層に第2導電膜6を金属膜などにより形成する。その結果、層間絶縁膜7の表面には、層間絶縁膜7の凸部7aおよび溝7bが反映されて凸部6jおよび溝6kが形成される。
【0030】
次に、図2(d)に示すエッチングマスク形成工程では、層間絶縁膜7の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスク150を形成する。この状態で、レジストマスク150の表面は、凹凸のない平坦面になっている。
【0031】
次に、図2(e)に示すマスク整形工程では、レジストマスク150に酸素プラズマなどを利用したアッシングを行い、レジストマスク150を表面側から除去する。その結果、層間絶縁膜7の凸部7aに挟まれた溝7b、6kに対応する位置にレジストマスク150を選択的に残すことができる。
【0032】
次に、第2導電膜パターニング工程において、第2導電膜6の溝6k内にレジストマスク150を選択的に残した状態で第2導電膜6をエッチングした後、レジストマスク150を除去すると、図1(c)に示すように、複数の第2配線6sを並列した状態に形成することができる。
【0033】
このように、本形態では、第1配線3sを覆う層間絶縁膜7の表面には、第1配線3sが反映されてなる凸部7aが形成され、かかる凸部7aに挟まれた溝7b内にレジストマスク150を選択的に残すことにより、第2配線6sを第1配線3sに対して自己整合的に形成する。このため、狭い間隔で第1配線3sと第2配線6sとを形成した場合でも、複数の第2配線6sは各々、幅方向の両端部が第1配線3aの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。従って、配線引き回し領域115を狭めた場合でも、第1配線3sと第2配線6sとの位置関係が配線毎にばらつくことがない。それ故、第1配線3sと第2配線6sとが部分的に重なった場合でも、重なりが配線毎に等しいため、寄生容量が配線毎に相違することがなく、配線毎に信号波形が相違することがない。
【0034】
なお、図1(a)に点線で示すように、配線引き回し領域115の端部に第1配線3sが位置する場合、第1配線3sに並列するように第2配線6sからダミー配線6wを延在させ、配線引き回し領域115の端部に第2配線6sが位置する場合、第2配線6sに並列するように第1配線3sからダミー配線3wを延在させてもよい。このように構成すると、第1配線3sおよび第2配線6sの各々において寄生する容量を同等とすることができる。
【0035】
[実施の形態2]
図3(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0036】
実施の形態1では、第3配線6tおよび第4配線6uがいずれも第2導電膜により形成されていたが、以下に説明するように、第3配線および第4配線がいずれも第1導電膜により形成されている構成であってもよい。すなわち、図3(a)、(b)、(c)に示すように、第1配線3sおよび第2配線6sのうち、第2配線6sは、層間絶縁膜7の非形成領域を経由して、第1導電膜により形成された第3配線3tに電気的に接続している。また、第1配線3sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第1導電膜からなる第4配線3uが延在しており、かかる第4配線3uは、第3配線3tに対して、配線引き回し領域115での配線のピッチに比して広いピッチで並列している。なお、第2配線6sと第3配線3tとを電気的に接続するにあたっては、層間絶縁膜7、および第2配線6sを覆う別の層間絶縁膜において、第3配線3tの端部と重なる位置、および第2配線6sの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)を形成してき、別の層間絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9sを形成すればよい。
【0037】
[実施の形態1、2の変形例]
実施の形態1において、第1配線3sと第3配線6tとを電気的に接続するにあたっては、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とを層間絶縁膜7を介して重なるように形成し、かかる重なり部分の層間絶縁膜7にコンタクトホールを形成してもよい。また、実施の形態2において、第2配線6sと第3配線3tとを電気的に接続するにあたっては、第2配線6sの端部と第3配線3tの端部とを層間絶縁膜7を介して重なるように形成し、かかる重なり部分の層間絶縁膜7にコンタクトホールを形成してもよい。
【0038】
[電気光学装置への適用例1]
図4(a)、(b)は各々、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図、およびその一部を拡大して示す説明図である。図4(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数のデータ線6aと複数の走査線3aとの交差に対応する位置に複数の画素100aが形成されている。素子基板10上には、複数の画素100aが配列された領域によって画素領域10bが構成されており、かかる画素領域10bは、電気光学装置100において画像を表示するための画像表示領域10aとして利用される。但し、画素領域10bの外周に沿って、表示に直接寄与しないダミーの画素が形成される場合があり、この場合、画素領域10bのうち、ダミーの画素を除いた領域によって画像表示領域10aが構成される。
【0039】
素子基板10において、画素領域10bの外側領域では、画素領域10bの側辺部と素子基板10の側辺部との間にゲート線駆動回路104を内蔵するIC104aが実装されている。また、素子基板10の側辺部に沿っては、IC104aを両側で挟む位置に、データ線駆動回路104を内蔵するIC101aが実装されている。
【0040】
複数の画素100aの各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスタ30a(画素トランジスタ)が形成されている。IC101a(データ線駆動回路101)から延びたデータ線6aは、薄膜トランジスタ30aのソースに電気的に接続されており、データ線6aに画像信号を線順次で供給する。IC104a(データ線駆動回路104)から延びた走査線3aは、薄膜トランジスタ30aのゲートに電気的に接続されており、走査線駆動回路104は、走査線3aに走査信号を線順次で供給する。画素電極9aは、薄膜トランジスタ30aのドレインに電気的に接続されており、電気光学装置100では、薄膜トランジスタ30aを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号を各画素100aの液晶容量50aに所定のタイミングで書き込む。液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画像信号は、素子基板10に形成された画素電極9aと、後述する対向基板の共通電極との間で一定期間保持される。画素電極9aと共通電極との間には保持容量60が形成されており、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100が実現される。本形態では、保持容量60を構成するにあたって、走査線3aと並行するように容量線3bが形成されているが、前段の走査線3aとの間に保持容量60が形成される場合もある。なお、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、素子基板10上に形成される。
【0041】
(画素の詳細構成)
図5(a)、(b)は各々、本形態の電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および画素の平面図であり、図5(a)は、図5(b)のA1−A1′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。
【0042】
図5(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100では、画素トランジスタとして、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタ30が用いられ、素子基板10上には、ITO膜からなる透光性の画素電極9aが各画素100a毎に形成されている。画素電極9aの縦横の境界領域に沿っては、薄膜トランジスタ30に電気的に接続されたデータ線6aおよび走査線3aが形成され、走査線3aと並列するように容量線3bが形成されている。容量線3b、走査線3aと同時形成された配線層である。
【0043】
薄膜トランジスタ30はボトムゲート構造を有しており、薄膜トランジスタ30では、走査線3aの一部からなるゲート電極、ゲート絶縁膜2、薄膜トランジスタ30の能動層を構成するアモルファスシリコン膜からなる半導体層1a、およびコンタクト層1rがこの順に積層されている。半導体層1aのうち、ソース側の端部には、コンタクト層1rを介してデータ線6aが重なっており、ドレイン側の端部には、コンタクト層1rを介してドレイン電極6bが重なっている。データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜からなる。ドレイン電極6bは、ゲート絶縁膜2を介して容量線3bに重なっており、保持容量60を構成している。データ線6aおよびドレイン電極6bの表面側にはシリコン窒化膜などからなる絶縁保護膜11が形成されている。絶縁保護膜11の上層には、ITO膜からなる画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、絶縁保護膜11に形成されたコンタクトホール11aを介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。なお、画素電極9a表面には配向膜(図示せず)が形成されている。
【0044】
このように構成した素子基板10に対しては対向基板20が対向配置されており、素子基板10と対向基板20との間には液晶50が保持されている。対向基板20において、素子基板20と対向する面にはITO膜などからなる透光性の共通電極21が形成されている。なお、対向基板20には、ブラックマトリクスなどと称せられる遮光膜、カラーフィルタ、配向膜などが形成されているが、これらの要素は本発明と直接、関係しないので、図示および説明を省略する。なお、素子基板10および対向基板20の基材である支持基板10d、20dはいずれもガラス基板である。
【0045】
(データ線の引き回し構造)
再び図4(a)、(b)において、本形態では、図4(a)に示すレイアウトに対応して、走査線3aは、ゲートドライバ104aの実装領域に向けて直線的に引き出されている。これに対して、データ線6aは、画素領域10bから上下方向に引き出されおり、データ線6aの引き回し配線6gは、画素領域10bの上下位置で直角に屈曲した後、配線引き回し領域115を通って、ソースドライバ101aの実装領域まで引き回されている。従って、走査線3aについては引き回しに余裕があるが、データ線6aの引き回し配線6gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。
【0046】
そこで、本形態では、図1および図2を参照して説明した構造を利用する。ここで、図1および図2を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aおよび容量線3bと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6bと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7はゲート絶縁膜2である。また、図1を参照して説明した別の層間絶縁膜は絶縁保護膜11であり、第3導電膜9sは画素電極9aと同時形成された導電膜である。それ故、図1、図4(b)および図5(b)において、配線引き回し領域115で並列するデータ線6aの引き回し配線6gは、層間絶縁膜7(ゲート絶縁膜2)の下層に形成された第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層に形成された第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。
【0047】
ここで、図1を参照して説明したように、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延びており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。
【0048】
また、第1配線3sは、引き回し領域115の外側で第2導電膜により形成された第3配線6tに電気的に接続し、第2配線6sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第2導電膜からなる第4配線6uが延在しており、本形態では、かかる第3配線6tおよび第4配線6uに相当する部分をデータ線6aとして利用する。ここで、第1配線3sと第3配線6tとを電気的に接続するにあたっては、層間絶縁膜7、および第2配線6sを覆う別の層間絶縁膜(絶縁保護膜11)において、第1配線3sの端部と重なる位置、および第3配線6tの端部と重なる位置の各々にコンタクトホール7s、7t(層間絶縁膜の非形成領域)を形成し、別の絶縁膜上には、かかるコンタクトホール7s、7tと重なる領域に第3導電膜9s(ITO膜)を形成した構造が採用されている。かかる構造によれば、第1配線3sの端部と第3配線6tの端部とをコンタクトホール7s、7tおよび第3導電膜9sを経由して電気的に接続することができる。
【0049】
(製造方法)
図6は、本形態の電気光学装置の製造方法のうち、図2(d)を参照して説明したレジストマスク形成工程、および図2(e)を参照して説明したマスク整形工程に対応する工程を示す説明図である。
【0050】
本形態の電気光学装置100を製造する際、図1(b)、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示すように、素子基板10上にデータ線6a、ドレイン電極6bおよび第2配線6sを形成するには、図6(a)に示すように、第2導電膜6を形成した後、図6(b)に示すように、レジストマスク150を形成する必要がある。但し、第2導電膜6をデータ線6a、ドレイン電極6bとして残したい領域(薄膜トランジスタ30の形成領域/配線引き回し領域以外の領域)に、凸部7a、6jに相当する領域より高い領域や、凸部7a、6jに相当する領域と同じ高さの領域が存在する場合、図6(a)に示すように感光性レジスト150aを塗布した際、凸部7a、6jに相当する領域より高い領域や、凸部7a、6jに相当する領域と同じ高さの領域では、感光性レジスト150aが薄く塗布されてしまい、図2(d)、(e)を参照して説明したマスク整形工程後、かかる領域にはレジストマスクが残らないことになってしまう。また、第2導電膜6を完全に除去すべき領域でも、溝7b、6kの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7b、6kの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、感光性レジスト150aが厚く塗布されてしまい、マスク整形工程後、かかる領域にはレジストマスクが残ってしまう。
【0051】
そこで、本形態では、図6(a)に示すように、ポジタイプの感光性レジスト150aを塗布した後、露光する際、クロムなどの遮光層が形成された遮光領域161、クロム酸化膜が形成された半透過領域162、および透光領域163を備えた露光マスク160を用い、ハーフ露光を行なう。このような露光マスク160で露光した後、現像すると、第2導電膜6を残したい領域のうち、凸部7aに相当する領域より高い領域や、凸部7aに相当する領域と同じ高さの領域に、配線引き回し領域115での最大厚よりも厚くレジストマスク150を形成することができる。また、第2導電膜6を完全に除去したい領域のうち、溝7bの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7bの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、レジストマスク150を形成しない構成を実現することができる。なお、第2導電膜6を完全に除去したい領域のうち、溝7bの底部に相当する領域よりも低い領域や、溝7bの底部に相当する領域と同じ高さの領域には、配線引き回し領域115での最小厚よりも薄くレジストマスク150が形成されている構成を採用してもよい。
【0052】
従って、図2(e)および図6(b)に示すマスク整形工程を行なうと、層間絶縁膜7の凸部7aに挟まれた溝7bに対応する位置にレジストマスク150を選択的に残すことができるとともに、薄膜トランジスタ30の形成領域にもレジストマスク150を確実に残すことができる。それ故、図6(c)に示すように、第2導電膜6をエッチングすると、所定位置のみに第2導電膜6を残すことができ、データ線6a、ドレイン電極6b、および第2配線6sを形成することができる。また、第2導電膜6が不要な領域に第2導電膜6が残ってしまうことがない。
【0053】
[電気光学装置への適用例2]
図7は、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた別の電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図である。図8(a)、(b)は各々、本形態の電気光学装置100の画素1つ分の断面図、および画素の平面図であり、図8(a)は、図8(b)のA2−A2′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、本形態の基本的な構成は、図4〜図6を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0054】
図4〜図6に示す電気光学装置では、アモルファスシリコンを用いて薄膜トランジスタ30を構成したが、図7および図8に示すように、ポリシリコンを用いて薄膜トランジスタ30を構成した電気光学装置100(液晶装置)に本発明を適用してもよい。
【0055】
図7に示す電気光学装置100も液晶装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数のデータ線6aと複数の走査線3aとの交差に対応する位置に複数の画素100aが形成されている。素子基板10において、画素領域10bの外側領域では、画素領域10bの側辺部と素子基板10の側辺部との間にゲート線駆動回路104およびデータ線駆動回路104が形成されており、かかるゲート線駆動回路104およびデータ線駆動回路104は、画素100aに形成した薄膜トランジスタ30の製造工程を利用して同時形成されてなる。
【0056】
図8(a)、(b)に示すように、本形態でも、素子基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9aが画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6aおよび走査線3aが延在している。また、素子基板10において、走査線3aと並列して容量線3bが形成されている。素子基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなり、素子基板10には、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aと対応する領域に薄膜トランジスタ30aが形成されている。薄膜トランジスタ30aは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を備えている。半導体層1aの表面側には、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜からなるゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極(走査線3a)が形成されている。半導体層1aは、素子基板10に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニールなどにより多結晶化されたポリシリコン膜である。なお、半導体層1aは単結晶シリコン層により形成される場合があり、ゲート絶縁層2は、半導体層1aの表面に対する熱酸化により形成されることもある。
【0057】
薄膜トランジスタ30aの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁層71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成され、データ線6aは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。また、ドレイン電極6bは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71bを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。層間絶縁層73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁層72、73に形成されたコンタクトホール73aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁層2と同時形成された絶縁層(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、保持容量60が構成されている。本形態において、走査線3aおよび容量線3bは同時形成された導電膜であり、データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜である。
【0058】
なお、素子基板10に対しては対向基板20が対向配置されており、素子基板10と対向基板20との間には液晶50が保持されている。対向基板20において、素子基板20と対向する面にはITO膜などからなる透光性の共通電極21が形成されている。なお、対向基板20には、ブラックマトリクスなどと称せられる遮光膜、カラーフィルタ、配向膜などが形成されているが、これらの要素は本発明と直接、関係しないので、図示および説明を省略する。
【0059】
このように構成した電気光学装置100において、データ線6aは、データ線駆動回路101に向けて直線的に引き出されている。これに対して、走査線3aは、画素領域10bから側方に引き出された後、直角に屈曲し、配線引き回し領域115を通って走査線駆動回路104まで引き回されている。従って、本形態では、データ線6aについては引き回しに余裕があるが、走査線3aの引き回し配線3gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。
【0060】
そこで、本形態では、図3を参照して説明した構造を利用する。ここで、図3を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aおよび容量線3bと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6bと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7は、層間絶縁膜71である。また、図3を参照して説明した別の層間絶縁膜は層間絶縁膜72、73であり、第3導電膜9sは、画素電極9aと同時形成された導電膜である。
【0061】
すなわち、配線引き回し領域115で並列する走査線3aの引き回し配線3gは、図3に示すように、層間絶縁膜7(層間絶縁膜71)の下層に形成された第1導電膜により形成された複数の第1配線3sと、層間絶縁膜7の上層に形成された第2導電膜により形成された第2配線6sとから構成されており、第2配線6sは、第1配線3sとの間を通って延在している。ここで、複数の第2配線6sは各々、層間絶縁膜7の表面において第1配線3sが反映されてなる凸部7aに挟まれた溝7b内で延びており、幅方向の両端部が第1配線3sの幅方向の一方の端部、およびこの第1配線3sに隣接する第1配線3sの幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっている。
【0062】
また、第2配線3sは、引き回し領域115の外側で第1導電膜により形成された第3配線3tに電気的に接続し、第1配線3sからは、配線引き回し領域115の外側に向けて第1導電膜からなる第4配線3uが延在しており、本形態では、かかる第3配線3tおよび第4配線3uに相当する部分を走査線3aとして利用する。
【0063】
[電気光学装置への適用例3]
以下、本発明を有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)に適用した例を説明する。なお、以下の説明では、図4〜図7に示す形態との対応が分りやすいように、可能な限り、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0064】
(全体構成)
図9は、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。図10(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100(有機EL装置)の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図10(b)は図10(a)のB−B′線における断面図であり、図10(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は短い点線で示してある。
【0065】
図9に示す電気光学装置100は、有機EL装置であり、素子基板10(半導体装置)上には、複数の走査線3aと、走査線3aに対して交差する方向に延びる複数のデータ線6aと、走査線3aに対して並列して延在する複数の電源線3eとを有している。また、素子基板10において、画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に配列されている。データ線6aにはデータ線駆動回路101が接続され、走査線3aには走査線駆動回路104が接続されている。画素領域10bの各々には、走査線3aを介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ30bと、このスイッチング用の薄膜トランジスタ30bを介してデータ線6aから供給される画素信号を保持する保持容量70と、保持容量70によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ30cと、この薄膜トランジスタ30cを介して電源線3eに電気的に接続したときに電源線3eから駆動電流が流れ込む画素電極9a(陽極層)と、この画素電極9aと陰極層との間に有機機能層が挟まれた有機EL素子80を構成している。
【0066】
かかる構成によれば、走査線3aが駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ30bがオンになると、そのときのデータ線6aの電位が保持容量70に保持され、保持容量70が保持する電荷に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ30cのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ30cのチャネルを介して、電源線3eから画素電極9aに電流が流れ、さらに有機機能層を介して対極層に電流が流れる。その結果、有機EL素子80は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0067】
図10(a)、(b)に示すように、素子基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(長い点線で囲まれた領域)が画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す領域)、および走査線3a(実線で示す領域)が形成されている。また、素子基板10において、走査線3aと並列して電源線3eが形成されている。図10(b)に示す素子基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなる。素子基板10では、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aに対応する領域に薄膜トランジスタ30cが形成されている。薄膜トランジスタ30cは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、ソース領域1h、およびドレイン領域1iが形成されている。半導体層1aの表面側にはゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極3fが形成されている。かかるゲート電極3fは、薄膜トランジスタ30bのドレインに電気的に接続されている。なお、薄膜トランジスタ30bの基本的な構成は、薄膜トランジスタ30cと同様であるため、説明を省略する。
【0068】
薄膜トランジスタ30cの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁層72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁層71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはソース電極6gおよびドレイン電極6hが形成され、ソース電極6gは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71gを介してソース領域1hに電気的に接続している。また、ドレイン電極6hは、層間絶縁層71に形成されたコンタクトホール71hを介してドレイン領域1iに電気的に接続している。層間絶縁層73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁層72、73に形成されたコンタクトホール73gを介してドレイン電極6hに電気的に接続している。
【0069】
また、画素電極9aの上層には、発光領域を規定するための開口部を備えたシリコン酸化膜などからなる隔壁層5a、および感光性樹脂などからなる厚い隔壁層5bが形成されている。隔壁層5aおよび隔壁層5bで囲まれた領域内において、画素電極9aの上層には、3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などからなる正孔注入層81、および発光層82からなる有機機能層が形成され、発光層82の上層には陰極層85が形成されている。このようにして、画素電極9a、正孔注入層81、発光層82および陰極層85によって、有機EL素子80が構成されている。発光層82は、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料から構成される。また、発光層82としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる組成物も使用可能である。本形態において、有機機能層は、インクジェット法などの塗布法により形成される。なお、塗布法としては、フレキソ印刷法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法などが採用される場合もある。また、有機機能層については、蒸着法などにより形成される場合もある。さらに、発光層82と陰極層85との層間にはLiFなどからなる電子注入層が形成されることもある。
【0070】
トップエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dからみて有機EL素子80が形成されている側から光を取り出すので、陰極層85は、薄いアルミニウム膜や、マグネシウムやリチウムなどの薄い膜をつけて仕事関数を調整したITO膜などといった透光性電極として形成され、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板の他、不透明基板も用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナなどのセラミックス、ステンレススチールなどの金属板に表面酸化などの絶縁処理を施したもの、樹脂基板などが挙げられる。これに対して、ボトムエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dの側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板が用いられる。
【0071】
このように構成した電気光学装置100において、データ線6aは、データ線駆動回路101に向けて直線的に引き出されている。これに対して、走査線3aは、画素領域10bから側方に引き出された後、直角に屈曲し、配線引き回し領域115を通って走査線駆動回路104まで引き回されている。従って、本形態では、データ線6aについては引き回しに余裕があるが、走査線3aの引き回し配線3gは、幅の狭い引き回し領域115を通す必要がある。従って、本形態でも、図3を参照して説明した構造を適用すれば、幅の狭い配線引き回し領域115内において、引き回し配線3gを適正に配列することができる。この場合、図3を参照して説明した第1導電膜は、走査線3aやゲート電極3fと同時形成された導電膜であり、第2導電膜は、データ線6aおよびドレイン電極6hと同時形成された導電膜であり、層間絶縁膜7は、層間絶縁膜71である。また、図3を参照して説明した別の層間絶縁膜は層間絶縁膜72、73であり、第3導電膜9sは、画素電極9aと同時形成された導電膜である。
【0072】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図11(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図11(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図11(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
【0073】
なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図11示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の配線引き回し領域などの平面図、その一部を拡大して示す拡大平面図、およびS−S′断面図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図、およびその一部を拡大して示す説明図である。
【図5】(a)、(b)は各々、図4に示す電気光学装置の画素1つ分の断面図、および画素の平面図である。
【図6】図4および図5に示す電気光学装置の製造方法のうち、図2に示すレジストマスク形成工程、およびマスク整形工程に対応する工程を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いた別の電気光学装置(液晶装置)の電気的な構成を示すブロック図である。
【図8】(a)、(b)は各々、図7に示す電気光学装置の画素1つ分の断面図、および画素の平面図である。
【図9】本発明を適用した半導体装置を素子基板として用いたさらに別の電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】(a)、(b)は各々、図9に示す電気光学装置(有機EL装置)の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図11】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【図12】従来の半導体装置の説明図である。
【符号の説明】
【0075】
3a・・走査線、3s・・第1配線、6a・・データ線、6s・・第2配線、7・・層間絶縁膜、9a・・画素電極、10・・素子基板(半導体装置)、50・・液晶、80・・有機エレクトロルミネッセンス素子、10b・・画素領域、100・・電気光学装置、110・・半導体装置、115・・配線引き回し領域、120・・基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置の製造方法において、
前記基板上の前記配線引き回し領域に第1導電膜からなる複数の第1配線を並列して形成する第1配線形成工程と、
前記第1配線の上層側に、当該第1配線が反映されてなる凸部が表面に形成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜の上層に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記層間絶縁膜の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、
前記レジストマスクを表面側から除去し、前記第2導電膜の表面において前記凸部に挟まれた溝内に前記レジストマスクを選択的に残すマスク整形工程と、
前記溝内に前記レジストマスクを選択的に残した状態で前記第2導電膜をエッチングして第2配線を形成する第2導電膜パターニング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチングマスク形成工程では、感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を残すべき領域のうち、前記凸部に相当する領域より高い領域、および前記凸部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での前記レジストマスクの最大厚以上の厚さに残すことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチングマスク形成工程では、前記感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を完全除去すべき領域のうち、前記溝の底部に相当する領域よりも低い領域、および前記溝の底部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での最小厚よりも薄く形成する、あるいは前記レジストマスクを形成しないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置において、
前記複数の配線は、層間絶縁膜の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線と、前記層間絶縁膜の上層で第2導電膜により形成され、前記第1配線との間を通って延在する複数の第2配線とから構成され、
前記複数の第2配線は各々、前記層間絶縁膜の表面において前記第1配線が反映されてなる凸部に挟まれた溝内で、幅方向の両端部が前記第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記配線引き回し領域の幅方向の端部において、当該端部に位置する前記第1配線および前記第2配線のうちの一方に対して並列するように他方の配線からダミー配線が延在していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板上には、電界効果型トランジスタが形成され、
前記電界効果型トランジスタのゲート電極は前記第1導電膜により形成され、
前記電界効果型トランジスタのソース電極は前記第2導電膜により形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1配線および前記第2配線のうち一方の配線は、前記層間絶縁膜の非形成領域を経由して他方の配線を構成する導電膜により形成された第3配線に電気的に接続していることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3配線と、前記他方の配線から前記配線引き回し領域の外側に延在した第4配線とは、前記配線引き回し領域で前記配線のピッチに比して広いピッチで並列していることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3配線と前記第4配線とには同一種類の信号が供給されることを特徴とすることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置を、複数の画素電極が形成された素子基板として備えた電気光学装置であって、
前記第3配線および前記第4配線は、前記素子基板上の画素領域で並列していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
前記素子基板は、該素子基板に対向配置された対向基板との間に液晶を保持していることを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記素子基板上には、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項1】
基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置の製造方法において、
前記基板上の前記配線引き回し領域に第1導電膜からなる複数の第1配線を並列して形成する第1配線形成工程と、
前記第1配線の上層側に、当該第1配線が反映されてなる凸部が表面に形成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜の上層に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
前記層間絶縁膜の上層に感光性レジストを塗布した後、現像してレジストマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、
前記レジストマスクを表面側から除去し、前記第2導電膜の表面において前記凸部に挟まれた溝内に前記レジストマスクを選択的に残すマスク整形工程と、
前記溝内に前記レジストマスクを選択的に残した状態で前記第2導電膜をエッチングして第2配線を形成する第2導電膜パターニング工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチングマスク形成工程では、感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を残すべき領域のうち、前記凸部に相当する領域より高い領域、および前記凸部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での前記レジストマスクの最大厚以上の厚さに残すことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチングマスク形成工程では、前記感光性レジストを塗布した後、ハーフ露光および現像を行い、前記配線引き回し領域以外で前記第2導電膜を完全除去すべき領域のうち、前記溝の底部に相当する領域よりも低い領域、および前記溝の底部に相当する領域と同じ高さの領域には、前記レジストマスクを前記配線引き回し領域での最小厚よりも薄く形成する、あるいは前記レジストマスクを形成しないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板上の配線引き回し領域で複数の配線が並列して延在する半導体装置において、
前記複数の配線は、層間絶縁膜の下層で第1導電膜により形成された複数の第1配線と、前記層間絶縁膜の上層で第2導電膜により形成され、前記第1配線との間を通って延在する複数の第2配線とから構成され、
前記複数の第2配線は各々、前記層間絶縁膜の表面において前記第1配線が反映されてなる凸部に挟まれた溝内で、幅方向の両端部が前記第1配線の幅方向の一方の端部、および当該第1配線に隣接する第1配線の幅方向の他方の端部に対して、平面視で完全に重なった構造、平面視で等しい距離を隔てた構造、あるいは平面視で等しい幅寸法で重なった構造になっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記配線引き回し領域の幅方向の端部において、当該端部に位置する前記第1配線および前記第2配線のうちの一方に対して並列するように他方の配線からダミー配線が延在していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板上には、電界効果型トランジスタが形成され、
前記電界効果型トランジスタのゲート電極は前記第1導電膜により形成され、
前記電界効果型トランジスタのソース電極は前記第2導電膜により形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1配線および前記第2配線のうち一方の配線は、前記層間絶縁膜の非形成領域を経由して他方の配線を構成する導電膜により形成された第3配線に電気的に接続していることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3配線と、前記他方の配線から前記配線引き回し領域の外側に延在した第4配線とは、前記配線引き回し領域で前記配線のピッチに比して広いピッチで並列していることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3配線と前記第4配線とには同一種類の信号が供給されることを特徴とすることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置を、複数の画素電極が形成された素子基板として備えた電気光学装置であって、
前記第3配線および前記第4配線は、前記素子基板上の画素領域で並列していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
前記素子基板は、該素子基板に対向配置された対向基板との間に液晶を保持していることを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記素子基板上には、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−175483(P2009−175483A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14554(P2008−14554)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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