説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】
高耐圧素子の高耐圧特性を確保しつつ、高耐圧素子と低耐圧素子とが良好な特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】
高耐圧素子と低耐圧素子とを有する半導体装置が、高耐圧素子が形成された高耐圧素子領域と、低耐圧素子が形成された低耐圧素子領域とが規定された半導体基板と、高耐圧素子領域に設けられた第1LOCOS分離構造と、低耐圧素子領域に設けられた第2LOCOS分離構造とを含む。第1LOCOS分離構造は、半導体基板の表面に形成されたLOCOS酸化膜と、その上に形成されたCVD酸化膜からなり、第2LOCOS分離構造は、LOCOS酸化膜からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、高耐圧素子と低耐圧素子を備えた高耐圧IC等の半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高耐圧IC(HVIC:High Voltage IC)の進歩はめざましい。かかる高耐圧ICでは、高耐圧素子と、制御回路や各種保護回路等の低耐圧素子が同一チップ上に形成されている。高耐圧素子としては、例えば横型MOSトランジスタ等のリサーフ技術を用いた素子が該当し、低耐圧素子としては、CMOSトランジスタやバイポーラトランジスタが該当する。
【0003】
図5は、全体が500で表される、高耐圧素子領域510と低耐圧素子領域520とを含む従来の半導体装置(高耐圧IC)の断面図で、高耐圧素子として横型n−chMOSFET、低耐圧素子としてCMOSトランジスタを用いた例である。半導体装置500は、シリコンからなるp半導体基板1を含む。半導体基板1の上には、n埋込み拡散層2、nエピタキシャル層3が形成されている。エピタキシャル層3中には、p拡散領域4、n拡散領域5、p拡散領域6が形成され、エピタキシャル層3の上にはポリシリコン電極7、アルミニウム電極8が形成されている。エピタキシャル層3の上には、また、LOCOS法で形成されるシリコン酸化膜9a、9bが形成されている。低耐圧素子領域520に形成されたシリコン酸化膜9bの膜厚は、高耐圧素子領域510に形成されたシリコン酸化膜9aの膜厚より小さく、十分に薄くなっている。
【特許文献1】特開昭64−77941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体装置500では、高耐圧素子領域510と低耐圧素子領域520との製造工程が必ずしも同じではないため、製造効率が悪くなったり、高耐圧素子や低耐圧素子の特性が低下するとの問題があった。
【0005】
具体的には、半導体装置500において、高耐圧素子領域510では、高耐圧素子が安定した高耐圧特性を有するには、半導体基板1の表面の電界強度を緩和する必要があり、比較的厚いシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9aが必要であった。一方で、LOCOS酸化膜を厚く形成することは、半導体装置の微細化、高集積化に反してチップサイズを増大させる。このため、低耐圧素子領域520では、素子間分離用に形成されるLOCOS酸化膜は、半導体基板1の表面で反転電圧が確保できれば十分であり、可能な限りLOCOS酸化膜の膜厚を薄くすることが望まれる。このように、半導体装置500では、高耐圧素子領域510と低耐圧素子領域520とで、膜厚の異なるシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9a、9bが必要となる。
【0006】
しかし、2種類のシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9a、9bを形成するためには、2度の熱酸化工程が必要であり、製造工程が複雑化するという問題があった。また、厚いLOCOS酸化膜を形成する場合には、高温で長時間の熱酸化が必要となり、LOCOS酸化膜のエッジ部に発生する応力が大きくなるとともに、拡散層中の不純物が拡散し、半導体装置の特性が劣化するという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、高耐圧素子領域と低耐圧素子領域とを有する半導体装置において、高耐圧素子の高耐圧特性を確保しつつ、高耐圧素子と低耐圧素子とが良好な特性を有する半導体装置およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高耐圧素子と低耐圧素子とを有する半導体装置であって、高耐圧素子が形成された高耐圧素子領域と、低耐圧素子が形成された低耐圧素子領域とが規定された半導体基板と、高耐圧素子領域に設けられた第1LOCOS分離構造と、低耐圧素子領域に設けられた第2LOCOS分離構造とを含み、第1LOCOS分離構造が、半導体基板の表面に形成されたLOCOS酸化膜と、その上に形成されたCVD酸化膜からなり、第2LOCOS分離構造が、LOCOS酸化膜からなることを特徴とする半導体装置である。
【0009】
また。本発明は、高耐圧素子と低耐圧素子とを有する半導体装置の製造方法であって、高耐圧素子が形成される高耐圧素子領域と、該低耐圧素子が形成される低耐圧素子領域とが規定された半導体基板を準備する工程、高耐圧素子領域と低耐圧素子領域に、LOCOS酸化膜を形成する工程と、高耐圧素子領域のLOCOS酸化膜の上にCVD酸化膜を形成し、LOCOS酸化膜と該CVD酸化膜からなる分離構造を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明では、高耐圧素子領域と低耐圧素子領域とを有する半導体装置において、良好な特性を有する半導体装置を提供することができる。また、このような半導体装置を簡単な製造方法で作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、全体が100で表される、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の断面図である。半導体装置100は、横型MOSトランジスタ(高耐圧素子)が設けられた高耐圧素子領域110と、CMOSトランジスタ(低耐圧素子)が設けられた低耐圧素子領域120とを含む。
【0012】
半導体装置100は、pシリコン基板1を含む。シリコン基板1の上には、n埋込み拡散層2、nエピタキシャル層3が形成されている。
【0013】
高耐圧素子領域110では、エピタキシャル層3中には、ウエル領域となるp拡散領域4が設けられている。拡散領域4の中にn拡散領域5とp拡散領域6とが形成されている。n拡散領域5とp拡散領域6はソース領域となる。また、エピタキシャル層3の表面には、LOCOS法で形成されたシリコン酸化膜9aが、素子分離用に設けられている。シリコン酸化膜9aは、後述する低耐圧素子領域120のシリコン酸化膜9bと同じ膜厚である。
【0014】
シリコン酸化膜9aの上には、CVD法で形成したシリコン酸化膜(CVD酸化膜)12が設けられている。エピタキシャル層3の上には、酸化膜(図示せず)を介して、フィールドプレート(FP)となるポリシリコン電極7が形成されている。ポリシリコン電極7の上には、酸化シリコンからなる絶縁層10が設けられ、その上に、アルミニウム電極8が設けられている。アルミニウム電極8は、n拡散領域5およびp拡散領域6に接続され、ソース電極となる。アルミニウム電極8の上には、窒化シリコンからなる保護膜11が設けられている。
【0015】
半導体装置100では、上述のように、シリコン酸化膜9aとシリコン酸化膜9bとは、略同じ膜厚となっている。更に、シリコン酸化膜9aの上に別途シリコン酸化膜12を設け、これら2つの酸化膜の膜厚の合計が、従来の半導体装置500で高耐圧素子領域に作製していたLOCOS酸化膜の膜厚と同程度またはそれ以上となっている。
【0016】
次に、半導体装置100の製造方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、半導体装置100の製造工程の断面図であり、図2中、図1と同一符号は同一又は相当箇所を示す。かかる製造方法は、以下の工程1〜7を含む。
なお、図2において、左側に高耐圧素子領域110、右側に低耐圧素子領域120を示す。
【0017】
工程1:図2(a)に示すように、pシリコン基板1の上に、n埋込み拡散層2を形成する。続いて、nエピタキシャル層3を形成する。更に、熱拡散法を用いてp拡散層4を形成する。
【0018】
工程2:図2(b)に示すように、パッド酸化膜(図示せず)と窒化膜13を形成した後、写真製版用のフォトレジストを塗布する。更に、フォトレジストの露光、現像を行い、レジストマスク14を形成する。続いて、レジストマスク14を用いて窒化膜13をパターニングする。パターニングにより露出した半導体基板1の表面が、LOCOS酸化膜の形成領域となる。
【0019】
工程3:図2(c)に示すように、窒化膜13をマスクに用いて、シリコン基板1を選択的に酸化し、シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9a、9bを同時に形成する。シリコン酸化膜9aとシリコン酸化膜9bとは、略同一の膜厚となる。
【0020】
工程4:図2(d)に示すように、窒化膜13、パッド酸化膜(図示せず)を除去する。この結果、シリコン酸化膜9a、9bの周囲に、シリコン基板1の表面が露出する。
【0021】
工程5:図2(e)に示すように、シリコン酸化膜9a、9bを形成したシリコン基板1の表面を覆うように、シリコン酸化膜(CVD酸化膜)12を形成する。シリコン酸化膜12は、CVD法を用いて形成する。続いて、工程2と同様の工程で、写真製版用のレジストマスク15を形成する。レジストマスク15は、シリコン酸化膜9aの上方の、シリコン酸化膜12上に形成する。
【0022】
工程6:図2(f)に示すように、レジストマスク15を用いてシリコン酸化膜12をパターニングし、シリコン酸化膜9aの上にシリコン酸化膜12を残す。例えば、シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9a、9bの膜厚は、約100〜800nmとし、シリコン酸化膜12の膜厚は、300〜2000nmとする。
また、シリコン酸化膜12のパターニングは、ウエットエッチングを用いて行う。シリコン酸化膜12とシリコン酸化膜9a、9bとのエッチングレートの比(シリコン酸化膜12のエッチング速度/シリコン酸化膜9a、9bのエッチング速度)が2〜3程度となるようなエッチング条件を用い、シリコン酸化膜9a、9bのオーバーエッチングを防止する。
【0023】
工程7:図2(g)に示すように、酸化膜を介してフィールドプレートとなるポリシリコン電極7を形成する。一方、低耐圧素子領域110では、ウエル領域を形成するp拡散層4の上と、シリコン基板1の上に形成され、それぞれCMOSトランジスタを構成するp−chMOSトランジスタおよびn−chMOSトランジスタのゲート電極となる。
【0024】
続いて、熱拡散法を用いて、n拡散領域5とp拡散領域6とを選択的に形成した後、絶縁層10、アルミニウム電極7、保護膜11等を形成し、図1に示す半導体装置100が完成する。
【0025】
このように、本実施の形態1にかかる半導体装置100の製造方法では、LOCOS法で形成されるシリコン酸化膜9a、9bの膜厚は非常に薄いため、LOCOS酸化膜のエッジ部における応力の発生を防止できる。また、高温に保持する時間が短いため、拡散層中の不純物の拡散も防止できる。この結果、良好な素子特性を備えた半導体装置100の提供が可能となる。
【0026】
また、2種類のシリコン酸化膜9a、9bを別々の工程で作製する必要もなく、簡単な工程で、所望の膜厚のシリコン酸化膜を形成することができる。
【0027】
図3は、本実施の形態1にかかる半導体装置100の他の製造工程の断面図であり、図3中、図1と同一符号は同一又は相当箇所を示す。かかる製造方法は、以下の工程を含む。
【0028】
工程1:図3(a)に示すように、上述の工程1〜3(図2(a)〜(c))と同様の工程により、窒化膜13をマスクに用いたLOCOS法によりシリコン酸化膜9a、9bを形成する。続いて、窒化膜13、パッド酸化膜(図示せず)を残したまま、CVD法によりシリコン酸化膜12を形成する。更に、写真製版用のレジストマスク15を、シリコン酸化膜9aの上方の、シリコン酸化膜12上に形成する。レジストマスク15は、端部において窒化膜13と重なるように形成する。
【0029】
工程2:図3(b)に示すように、レジストマスク15を用いたウエットエッチングにより、シリコン酸化膜12をパターニングする。ウエットエッチングは、窒化膜13に重なったシリコン酸化膜12がサイドエッチングにより除去されるように行う。
【0030】
工程3:図3(c)に示すように、レジストマスク15を除去する。この結果、図3(c)にしめすような形状のシリコン酸化膜12が形成される。
【0031】
工程4:図3(d)に示すように、窒化膜13、パッド酸化膜(図示せず)を除去する。続いて、上記工程7(図2(g))以降の工程を行うことにより、半導体装置100が完成する。
【0032】
かかる製造方法によれば、シリコン酸化膜12をウエットエッチングする際の、シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9a、9bのエッジ部での膜減りを防止できる。また、シリコン基板1の表面を窒化膜13で覆った状態でシリコン酸化膜12をエッチングするため、エッチング中に、活性領域(素子形成領域)を保護することも可能となる。
【0033】
なお、本実施の形態1では、高耐圧素子としてMOSトランジスタを、低耐圧素子としてCMOSトランジスタを用い他場合について述べたが、高耐圧素子として50〜1200V系のリサーフ技術を使用したIGBTを用いたり、低耐圧素子として耐圧が3〜40V程度のバイポーラトランジスタを用いても構わない(以下の実施の形態においても同じ)。
【0034】
実施の形態2.
図4は、全体が200で表される、本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の断面図である。半導体装置200は、MOSトランジスタ(高耐圧素子)が設けられた高耐圧素子領域210と、CMOSトランジスタ(低耐圧素子)が設けられた低耐圧素子領域220とを含む。図4において、図1と同一符号は、同一又は相当箇所を示す。
【0035】
半導体装置200では、CVDで形成するシリコン酸化膜を多層構造12a、12bとし、エッジ部が階段状になるように形成する。そして、その上に、ポリシリコン電極7が形成されている。この結果、フィールドプレート(FP)を形成するポリシリコン電極7が階段状となる。他の構造は、上述の半導体装置100と同様である。
【0036】
このように、半導体装置200では、フィールドプレートを形成するポリシリコン電極7が階段状となるため、高耐圧素子の初段のフィールドプレート(左端のフィールドプレート)で、直下のシリコン基板1の表面における電界が段階的に緩和され、局所的な電界集中を緩和することができる。なお、3層以上の多層構造を有すCVD酸化膜を用いても構わない。
【0037】
次に、半導体装置200の製造方法について、図5を参照しながら説明する。図5は、半導体装置200の製造工程の断面図であり、図5中、図1と同一符号は同一又は相当箇所を示す。かかる製造方法は、以下の工程を含む。
なお、図5において、左側に高耐圧素子領域210、右側に低耐圧素子領域220を示す。
【0038】
工程1:上述の図2(a)〜(d)と同様の工程の後に、図5(a)に示すように、CVD法を用いてシリコン酸化膜12aを形成する。続いて、例えば、窒素雰囲気中で、900℃、60分の熱処理を行う。続いて、シリコン酸化膜12aと同様のCVD条件で、シリコン酸化膜12bを形成する。シリコン酸化膜12bは、熱処理を行わない。シリコン酸化膜12aとシリコン酸化膜12bとの膜厚の和が、実施の形態1のシリコン酸化膜12の膜厚と等しくなるように形成する。シリコン酸化膜12aとシリコン酸化膜12bとは、略同じ膜厚であることが好ましい。続いて、写真製版用のレジストマスク15を形成する。レジストマスク15は、シリコン酸化膜9aの上方の、シリコン酸化膜12a、12b上に形成する。
【0039】
工程2:図5(b)に示すように、レジストマスク15を用いてシリコン酸化膜12a、12bをウエットエッチングする。シリコン酸化膜を熱処理(焼締め)した場合、シリコン酸化膜の膜質が変化し、エッチング速度が変わる。ここでは、シリコン酸化膜12aとシリコン酸化膜12bでは、熱処理(焼締め)の有無により膜の緻密さが異なり、シリコン酸化膜12aのエッチング速度が、シリコン酸化膜12bのエッチング速度より遅くなる。このため、シリコン酸化膜12a、12bのエッジ部は、階段状となる。エッチング工程後に、レジストマスク14を除去する。
【0040】
工程3:図5(c)に示すように、ポリシリコン電極7を形成する。シリコン酸化膜12a、12bのエッジ部では、ポリシリコン電極7も階段状となる。続いて、上述の図2(g)以降の工程を行うことにより、半導体装置200が完成する。
【0041】
実施の形態3.
図6は、全体が300で表される、本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の断面図である。半導体装置300は、MOSトランジスタ(高耐圧素子)が設けられた高耐圧素子領域310と、CMOSトランジスタ(低耐圧素子)が設けられた低耐圧素子領域320とを含む。図6において、図1と同一符号は、同一又は相当箇所を示す。
【0042】
半導体装置300では、低耐圧素子領域320のシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9bの上にもCVD法でシリコン酸化膜12bが形成されている。他の構造は、実施のけ痛い1にかかる半導体装置100と同じである。
【0043】
低耐圧素子領域のシリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9bは、その上部に配置された電極や配線に電圧が印加された場合でも、シリコン酸化膜9b下部のシリコン基板1の表面の電位が反転しないような厚さに形成する必要がある。
【0044】
本実施の形態3にかかる半導体装置300では、シリコン酸化膜9bの上にシリコン酸化膜12bを積層形成するため、例えばアルミニウム電極8とシリコン基板1の表面との距離を十分に大きくでき、シリコン基板1の表面電位の反転を防止できる。特に、過渡的に大きな電圧がアルミニウム電極8に印加された場合でも、十分にシリコン基板1の表面電位の反転を防止できる。この結果、信頼性の高い半導体装置300を提供することができる。
【0045】
次に、半導体装置300の製造方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、半導体装置300の製造工程の断面図であり、図7中、図1と同一符号は同一又は相当箇所を示す。かかる製造方法は、以下の工程を含む。
なお、図7において、左側に高耐圧素子領域310、右側に低耐圧素子領域320を示す。
【0046】
工程1:上述の図2(a)〜(d)と同様の工程の後に、図7(a)に示すように、CVD法を用いてシリコン酸化膜12を形成する。続いて、写真製版用のレジストマスク15を形成する。レジストマスク15は、高耐圧素子領域310のシリコン酸化膜9aの上方の、シリコン酸化膜12上、および低耐圧素子領域320のシリコン酸化膜9bの上方の、シリコン酸化膜12上の双方に形成する。
【0047】
工程2:図7(b)に示すように、レジストマスク15を用いてシリコン酸化膜12をウエットエッチングする。この結果、高耐圧素子領域310のシリコン酸化膜9aの上方の、および低耐圧素子領域320のシリコン酸化膜9bの上方の双方に、シリコン酸化膜12が形成される。
【0048】
工程3:図7(c)に示すように、ポリシリコン電極7を形成する。続いて、上述の図2(g)以降の工程を行うことにより、半導体装置300が完成する。
【0049】
本実施の形態3にかかる半導体装置300の製造方法では、低耐圧素子領域320において、シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9bの膜厚は従来通り薄く維持しながら、シリコン酸化膜の総膜厚(シリコン酸化膜9bとシリコン酸化膜12とも膜厚の和)を厚くできる。即ち、シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)9bの膜厚が薄くできるため、微細化、高集積化された半導体装置300の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の製造工程の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる他の半導体装置の製造工程の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の製造工程の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3にかかる半導体装置の製造工程の断面図である。
【図8】従来の半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 シリコン基板、2 n埋込み拡散層、3 エピタキシャル層、4 p拡散領域、5 n拡散領域、6 p拡散領域、7 ポリシリコン電極、8 アルミニウム電極、9 シリコン酸化膜(LOCOS酸化膜)、10 絶縁膜、11 保護膜、12 シリコン酸化膜(CVD酸化膜)、100 半導体装置、110 高耐圧素子領域、120 低耐圧素子領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高耐圧素子と低耐圧素子とを有する半導体装置であって、
該高耐圧素子が形成された高耐圧素子領域と、該低耐圧素子が形成された低耐圧素子領域とが規定された半導体基板と、
該高耐圧素子領域に設けられた第1LOCOS分離構造と、
該低耐圧素子領域に設けられた第2LOCOS分離構造とを含み、
該第1LOCOS分離構造が、該半導体基板の表面に形成されたLOCOS酸化膜と、その上に形成されたCVD酸化膜からなり、
該第2LOCOS分離構造が、LOCOS酸化膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記第1LOCOS分離構造に含まれるLOCOS酸化膜と、上記第2LOCOS分離構造に含まれるLOCOS酸化膜とが、ほぼ等しい膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記CVD酸化膜が、少なくとも下層CVD酸化膜とその上に形成された上層CVD酸化膜との積層構造からなり、該CVD酸化膜のエッジ部が、該下層CVD酸化膜および該上層CVD酸化膜から形成された階段形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記階段形状のエッジ部を覆うように、フィールドプレートが設けられたことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記第2LOCOS分離構造が、上記LOCOS酸化膜の上に、更にCVD酸化膜を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
高耐圧素子と低耐圧素子とを有する半導体装置の製造方法であって、
該高耐圧素子が形成される高耐圧素子領域と、該低耐圧素子が形成される低耐圧素子領域とが規定された半導体基板を準備する工程、
該高耐圧素子領域と該低耐圧素子領域に、LOCOS酸化膜を形成する工程と、
該高耐圧素子領域のLOCOS酸化膜の上にCVD酸化膜を形成し、該LOCOS酸化膜と該CVD酸化膜からなる分離構造を形成するCVD工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
上記CVD工程が、
上記LOCOS酸化膜を形成する際に、上記半導体基板の表面を覆っていた窒化膜の上に上記CVD酸化膜を形成する工程と、
該CVD酸化膜上に形成したマスクを用いて該CVD酸化膜をエッチングし、周囲が該窒化膜に重なるように該CVD酸化膜を残す工程と、
該CVD酸化膜をウエットエッチングして、該窒化膜に重なった部分の該CVD酸化膜を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
上記CVD工程が、
上記LOCOS酸化膜の上に下層CVD酸化膜を形成し、該下層CVD酸化膜を熱処理する工程と、
該下層CVD酸化膜上に上層CVD酸化膜を形成する工程と、
該上層CVD酸化膜上に形成したマスクを用いて該上層CVD酸化膜と該下層CVD酸化膜をウエットエッチングし、該上層CVD酸化膜と該下層CVD酸化膜が階段状になったエッジ部を有する上記CVD酸化膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
更に、上記低耐圧素子領域のLOCOS酸化膜の上にCVD酸化膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
上記高耐圧素子領域のLOCOS酸化膜と、上記低耐圧素子領域のLOCOS酸化膜とが、同一工程で形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−220766(P2007−220766A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37391(P2006−37391)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】