説明

半導体装置

【課題】シャロー・トレンチ・アイソレーション構造により形成された素子分離膜から生じる物理的な応力に起因した半導体装置の電流駆動能力の変動が緩和され、本来の電流駆動能力を発揮可能な半導体装置を得ること。
【解決手段】第1および第2の領域を有する半導体基板と、前記半導体基板の表層に形成される溝と、前記溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、前記半導体基板の表層に形成され、前記素子分離絶縁膜によって規定される活性領域と、を備え、前記素子分離絶縁膜の表面の高さが前記第1の領域と第2の領域とで異なり、いずれか一方の領域の素子分離絶縁膜の高さが前記半導体基板の表面よりも低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものであり、特に、素子分離としてSTI構造を有してなる半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、素子分離技術であるSTI(シャロー・トレンチ・アイソレーション)では、シリコン基板の表面に酸化膜を埋め込み、該シリコン基板表面と埋め込んだ酸化膜とに極力段差を設けないように、その深さ方向(埋め込み酸化膜の厚さ)が一定となるように構造設計している。
【0003】
このようなシャロウトレンチによる素子分離(以下、STI素子分離と称する)を設けた場合、埋め込み酸化膜から受ける応力(ストレス、以下、STI応力と称する)が発生する。トランジスタの電流駆動能力Idsは、このSTI応力に大きく左右され、活性領域の長さLODが短いほど影響度が大きくなることが知られている。ここで、活性領域の長さLODは、ゲート長方向の長さである。
【0004】
また、活性領域の長さLODが短くなると、PMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは増加するが、NMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは減少することが分かっている。たとえば、PMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは最大約10%増加するが、NMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは最大約10%減少することが分かっている。
【0005】
また、電流駆動能力Idsに関しては、活性領域の長さLODが短いほどトランジスタでは横方向(ゲート長方向)からの応力が支配的であることが分かっている。一方、縦方向(ゲート幅方向)からの応力も存在するが、電流駆動能力Idsへの影響はほとんど無い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなSTI応力の大きさは、製造方法により異なるがSTI素子分離構造が形成された際に決まる。しかしながら、STI素子分離構造の形成後においては、この埋め込み酸化膜から受けるSTI応力の制御は行っていない。すなわち、周辺のトランジスタの電流駆動能力Idsに影響を及ぼすSTI応力の制御を行って該STI応力に起因した電流駆動能力の変動を緩和する技術は確立されていないのが現状である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シャロー・トレンチ・アイソレーション構造により形成された素子分離膜から生じる物理的な応力に起因した半導体装置の電流駆動能力の変動が緩和されて電流駆動能力の整合性が得られ、本来の電流駆動能力を発揮可能な半導体装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる半導体装置は、第1および第2の領域を有する半導体基板と、半導体基板の表層に形成される溝と、溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、半導体基板の表層に形成され素子分離絶縁膜によって規定される活性領域と、を備え、素子分離絶縁膜の表面の高さが第1の領域と第2の領域とで異なり、いずれか一方の領域の素子分離絶縁膜の高さが半導体基板の表面よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、STI素子分離の埋め込み酸化膜の表面をリセスさせることにより、STI素子分離の埋め込み酸化膜から生じる物理的な応力を解放することができるため、該STI素子分離の埋め込み酸化膜から生じる物理的な応力に起因した半導体装置の電流駆動能力の変動を緩和し、半導体装置の有する本来の電流駆動能力を引き出すことができる。したがって、この発明によれば、STI素子分離の埋め込み酸化膜から生じる物理的な応力に起因した半導体装置の電流駆動能力の変動が緩和されて電流駆動能力の整合性が得られ、本来の電流駆動能力を発揮可能な半導体装置を得ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる半導体装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
まず、本発明の概念について説明する。図1は、本発明の概念を説明するための断面図であり、半導体装置(トランジスタ)のPMOS領域とNMOS領域とを比較するためにPMOS領域の一部とNMOS領域の一部とを並べて示したゲート長L方向に於ける断面図である。図2は、活性領域周辺部の上面図である。
【0012】
図1に示すように、半導体基板1の表層の所定の位置に素子分離として酸化膜が埋め込まれたSTI素子分離2が形成され、該STI素子分離2に挟まれた領域が活性領域3とされている。活性領域3上にはそれぞれゲート電極4を含むゲート構造5が形成されている。なお、ここでは、上記の構成以外の構成部については本発明には直接関係ないため、図面に於ける記載および説明を省略する。
【0013】
上記のようにSTI素子分離2を設けた構造の場合、PMOS領域の活性領域3には図1および図2に示すようにゲート長L方向においてSTI素子分離2の埋め込み酸化膜から受ける応力(ストレス、以下、STI応力と称する)Aが発生する。また、NMOS領域の活性領域3には図1および図2に示すようにゲート長L方向においてSTI素子分離2の埋め込み酸化膜から受ける応力(以下、STI応力と称する)Bが発生する。
【0014】
このSTI応力A、Bは、活性領域3から見て圧縮応力である。トランジスタの電流駆動能力は、このSTI応力に大きく左右され、活性領域の長さLODが短いほど影響度が大きくなることが知られている。ここで、活性領域の長さLODは、ゲート長方向の長さである。たとえば、PMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは最大約10%増加し、NMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは最大約10%減少する。
【0015】
そこで、本発明においては、たとえば図1に示すようにNMOS領域のSTI素子分離2の表面をリセスさせる。これにより、活性領域エッジ部の応力を解放(活性領域3から見た圧縮応力の緩和)を行うことができる。その結果、NMOS領域におけるSTI応力(STI応力B)を小さくすることができる。すなわち、STI応力Bは、STI応力Aよりも小さくなる。図1および図2におけるSTI応力A、Bの矢印の大きさの違いは、STI応力の大きさの違いを模式的に示している。
【0016】
そして、STI応力Bを小さくすることにより、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少を抑制することができる。したがって、本発明によれば、STI素子分離2の埋め込み酸化膜から生じる物理的な応力に起因したトランジスタの電流駆動能力の変動が緩和されて電流駆動能力の整合性が得られ、本来の電流駆動能力を発揮可能なNMOSトランジスタを得ることができる。
【0017】
なお、参考に、従来の半導体装置における図1に対応した図を図3に示す。図3に示すように、従来の半導体装置においては、NMOS領域の活性領域3におけるSTI応力Bの抑制が行われていないため、NMOS領域の活性領域3におけるSTI応力Bは、PMOS領域の活性領域3におけるSTI応力Aと略同等の大きさとなる。したがって、PMOSトランジスタの電流駆動能力Idsは最大約10%増加し、NMOSトランジスタの電流駆動能力は本来の電流駆動能力よりも減少している。
【0018】
実施の形態1.
図4−1は、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置(トランジスタ)のPMOS領域の一部とNMOS領域の一部とを並べて示したゲート長L方向に於ける断面図である。また、図4−2は、本実施の形態にかかる半導体装置のゲート構造を説明する図である。図5は、実施の形態1にかかる半導体装置(トランジスタ)の上面図である。なお、図5においては、活性領域、STI素子分離領域、ゲート電極のみを示している。
【0019】
図4−1に示すように本実施の形態にかかる半導体装置においては、半導体基板11の表層に、各素子を分離するための素子分離であるSTI素子分離12と、該STI素子分離12間の領域であってトランジスタ素子が形成される活性領域13にチャネル領域を規定するように互いに距離を隔てて形成されたソース・ドレイン拡散層14と、該ソース・ドレイン拡散層14の表層部に互いに距離を隔てて形成されたシリサイド層15と、を有している。
【0020】
また、半導体基板1上のソース・ドレイン拡散層14上および該ソース・ドレイン拡散層10に挟まれた領域上には、図4−2に示すように半導体基板11側からたとえば酸化膜からなるゲート絶縁膜16、ポリシリコン電極17と、該ポリシリコン電極の表層がシリサイド化されたメタル電極18とからなるゲート電極19がこの順で積層された積層構造を有するゲート構造21が形成されている。
【0021】
また、ゲート構造21の外側、すなわち側面には、窒化膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ20が形成されている。そして、STI素子分離12、シリサイド層15、サイドウォールスペーサ20およびゲート電極19上には、これらを覆うようにたとえば窒化膜からなるライナー膜22が形成されている。
【0022】
半導体基板11上にはゲート構造21およびSTI素子分離12を覆う層間絶縁膜23が形成されている。そして、層間絶縁膜23には、導電性材料からなり層間絶縁膜23の上面からシリサイド層15まで達してソース・ドレイン拡散層14に導通するコンタクト24が形成され、さらに該層間絶縁膜23上にはコンタクト24と導通する配線層25が形成されている。
【0023】
上記のようにSTI素子分離12を設けた構造においては、NMOS領域の活性領域13には図6および図7に示すようにゲート長L方向においてSTI素子分離12の埋め込み酸化膜から受ける応力(STI応力)Cが発生する。図7は、図6における活性領域13のエッジ部周辺の拡大図である。同様に、PMOS領域の活性領域3にはゲート長L方向においてSTI素子分離12の埋め込み酸化膜から受ける応力(図示せず)が発生する。これらのSTI応力は、活性領域13から見て圧縮応力である。
【0024】
これらSTI応力は、活性領域13から見て圧縮応力であり、トランジスタの電流駆動能力は、このSTI応力に大きく左右され、活性領域の長さLODが短いほど影響度が大きくなる。ここで、活性領域の長さLODは、ゲート長方向の長さである。たとえば、PMOSトランジスタの電流駆動能力IdsはこのSTI応力の影響により増加し、NMOSトランジスタの電流駆動能力IdsはこのSTI応力の影響により減少する。
【0025】
以上のように構成された本実施の形態にかかる半導体装置においては、図4−1に示すようにNMOS領域のSTI素子分離12の表面をリセスさせている。NMOS領域のSTI素子分離12の表面をリセスさせることにより、本実施の形態にかかる半導体装置においては、NMOS領域の活性領域13のエッジ部の応力が解放(活性領域13から見た圧縮応力の緩和)されている。これにより、NMOS領域におけるSTI応力(STI応力C)を小さく抑えられている。すなわち、この半導体装置においては、STI応力Cは、PMOS領域におけるSTI応力よりも小さくされている。その結果、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少を緩和し、NMOS型トランジスタの有する本来の電流駆動能力を引き出すことができる。
【0026】
さらに、この半導体装置においては、NMOS領域のリセスしたSTI素子分離12上およびその周辺に、STI応力Bを打ち消す方向の力、すなわち活性領域13から見た引っ張り応力Dを有するライナー膜22が形成されている。このライナー膜22が形成されることにより、この半導体装置においては、NMOS領域におけるSTI応力(STI応力C)が該ライナー膜22の有する引っ張り応力Dにより相殺され、STI応力の解放の効果がさらに向上しており、STI応力がさらに小さなものとされている。その結果、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少をさらに緩和し、NMOS型トランジスタの有する本来の電流駆動能力を引き出すことができる。
【0027】
このように、本実施の形態にかかる半導体装置においては、NMOS領域のSTI応力を大幅に減少させることにより、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少を抑制することができる。したがって、本実施の形態にかかる半導体装置においては、NMOSトランジスタのSTI素子分離12の埋め込み酸化膜から生じる物理的な応力に起因したNMOSトランジスタの電流駆動能力の変動(電流減少)が緩和されて本来の電流駆動能力を発揮可能なNMOSトランジスタが得られるため、PMOSトランジスタとの電流駆動能力の整合性の取れた半導体装置が実現されている。
【0028】
なお、上述したようなSTI素子分離12の表面をリセスさせることによるSTI応力の解放効果は、STI素子分離の表面のリセス量により制御することが可能である。また同様に、ライナー膜22によるSTI応力の解放効果は、ライナー膜の材質や膜厚を制御することにより制御可能である。
【0029】
つぎに、図4−1に示す本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図8〜図14は本実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する断面図である。まず、半導体基板11を準備し、STI(shallow trench isolation)工程により、各半導体素子を分離するための素子分離であるSTI素子分離2を図8に示すように半導体基板11上に選択的に形成し、該STI素子分離12により区切られた領域にPMOS領域およびNMOS領域それぞれのウェル形成用の不純物しきい値調整用の不純物等の不純物のイオン注入を行い、活性領域13を形成する。なお、STI素子分離12の上面のエッジ部は、丸めた状態に形成する。
【0030】
つぎに、図9に示すようにPMOS領域にフォトレジストでマスク31を形成し、該マスク31を用いてフッ酸処理を行ってNMOS領域のSTI素子分離12の表面をリセスさせる。このときのリセス量Fはたとえば数nm程度とする。マスク31を用いることにより、PMOS領域のSTI素子分離12はリセスされず、NMOS領域のSTI素子分離12のみをリセスさせることができる。
【0031】
これにより、NMOS領域の活性領域13のエッジ部の応力を解放(活性領域13から見た圧縮応力の緩和)することができ、図10に示すようなNMOS領域におけるSTI応力(STI応力C)を小さく抑えることができる。すなわち、STI応力Cを、PMOS領域におけるSTI応力よりも小さくすることができる。その結果、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少を緩和し、NMOS型トランジスタの有する本来の電流駆動能力を引き出すことができる。
【0032】
つぎに、従来公知の方法により図11に示すように半導体基板11上にたとえば酸化膜からなるゲート絶縁膜16とポリシリコンからなるポリシリコン電極17とを形成する。
【0033】
つぎに、従来公知の方法により図11に示すようにソース・ドレイン拡散層14、サイドウォールスペーサ20を形成し、さらにシリサイド層15とメタル電極18とを形成する。これにより、該ポリシリコン電極の表層がシリサイド化されたメタル電極18とからなるゲート電極19とがこの順で積層された積層構造を有するゲート構造21が形成される。
【0034】
つぎに、図12に示すようにSTI素子分離12、シリサイド層15、サイドウォールスペーサ20およびゲート電極19上に、これらを覆うようにたとえば窒化膜からなり、STI応力Cを打ち消す方向の力、すなわち活性領域13から見た引っ張り応力Dを有するライナー膜22を形成する。
【0035】
このライナー膜22を形成することにより、NMOS領域におけるSTI応力(STI応力C)を該ライナー膜22の有する引っ張り応力Dにより相殺し、STI応力の解放の効果をさらに向上させることができ、STI応力Cをさらに小さなものとすることができる。その結果、NMOSトランジスタのSTI応力に起因した電流駆動能力の減少をさらに緩和し、NMOS型トランジスタの有する本来の電流駆動能力を引き出すことができる。
【0036】
その後、層間絶縁膜23として酸化膜を堆積し、該層間絶縁膜23の表面からシリサイド層15まで達するコンタクトホール形成する。そして、少なくとも導電材料を含む材料により該コンタクトホールを埋め込んで、シリサイド層15(ソース・ドレイン拡散層14)に導通するコンタクト24を形成する。さらに、層間絶縁膜23上にコンタクト24と導通する配線層25を形成することにより、図4−1に示す本実施の形態にかかる半導体装置を作製することができる。
【0037】
なお、上記においては、NMOS領域に於けるSTI素子分離12をリセスさせる場合について説明したが、本発明においては、STI素子分離12をリセスさせるのはNMOS領域に限定されるものではない。すなわち、PMOS領域のSTI素子分離12をリセスさせることも可能であり、さらにライナー膜(この場合は、圧縮方向の応力を有する)を形成しても良い。この場合たとえば、STI素子分離12のリセスおよびライナー膜の形成によりPMOS領域STI素子分離12におけるSTI応力(圧縮応力)を加速させることができ、電流駆動能力Idsを増加させることが可能である。これは、リセス部の段差を圧縮応力を有するライナー膜が取り囲むことによる形状的な圧縮効果が応力解放効果を上回る場合に有効である。
【0038】
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2にかかる半導体装置におけるメモリデバイス(SRAM)部の構成を模式的に示した上面図である。この半導体装置のメモリデバイス部には、デザインルールが微細化されて複数のメモリセルが形成されている。また、図14は、本実施の形態にかかる半導体装置のメモリデバイス部とロジック部とを比較するためにメモリデバイス部の一部とロジック部の一部とを並べて示したゲート幅W方向(図2参照)に於ける断面図である。なお、本実施の形態にかかる半導体装置におけるトランジスタの構成は、上述した実施の形態1において説明した半導体装置の構成と同様であるため、図4−1、図4−2、および上記の説明を参照することとして、図面に於ける記載および説明を省略する。
【0039】
従来、このようにデザインルールを微細化して複数のメモリセルを形成したメモリデバイスにおいては、活性領域の長さLODとともにゲート幅W(図2参照)が短くなる。そして、ナローチャネル効果においては、ゲート幅Wが短くなると図15に示すように電流駆動能力Idsが極端に減少する。
【0040】
しかしながら、本実施の形態にかかる半導体装置のメモリデバイス部においては図14に示すようにSTI素子分離12をリセスさせている。これにより、ゲート幅Wをゲート幅W方向の両端において「ΔW×2」だけ長く確保することができる。ここで、ΔWは、このメモリデバイス部のゲートにおいて、ゲート幅W方向の一端において長く確保することができる長さである。
【0041】
これにより、デザインルールを微細化して複数のメモリセル(トランジスタ)を形成したメモリデバイス部においても、図15のようにナローチャネル効果においてゲート幅Wが短くなることに起因した電流駆動能力Idsの減少を抑制し、トランジスタの有する本来の電流駆動能力Idsを引き出すことができる。また、本実施の形態にかかる半導体装置においても上述した実施の形態1において説明した本発明の効果も得られることは言うまでもない。
【0042】
以上、本発明にかかる半導体装置の一例について説明したが、本発明は上記の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であり、65nm世代以降のSoC(たとえば、ロジック部やSRAM部など)を含む、STI素子分離技術を適用可能なあらゆる製品に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、STI素子分離技術を用いたあらゆる半導体製品に有用であり、特に、65nm世代以降のSoCに適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明にかかる半導体装置のPMOS領域とNMOS領域とを比較するためにPMOS領域の一部とNMOS領域の一部とを並べて示したゲート長L方向に於ける断面図である。
【図2】本発明にかかる半導体装置の活性領域周辺部の上面図である。
【図3】従来の半導体装置のPMOS領域とNMOS領域とを比較するためにPMOS領域の一部とNMOS領域の一部とを並べて示したゲート長L方向に於ける断面図である。
【図4−1】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置のPMOS領域の一部とNMOS領域の一部とを並べて示したゲート長L方向に於ける断面図である。
【図4−2】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置のゲート構造を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の上面図である。
【図6】NMOS領域における応力を説明するための断面図である。
【図7】図6における活性領域のエッジ部周辺の拡大図である。
【図8】実施の形態1にかかる半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図9】実施の形態1にかかる半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図10】NMOS領域における応力を説明するための断面図である。
【図11】実施の形態1にかかる半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図12】実施の形態1にかかる半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置におけるメモリデバイス部の構成を模式的に示した上面図である。
【図14】本発明の実施の形態2にかかる半導体装置のメモリデバイス部とロジック部とを比較するためにメモリデバイス部の一部とロジック部の一部とを並べて示したゲート幅W方向に於ける断面図である。
【図15】ナローチャネル効果におけるゲート幅と電流駆動能力との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体基板
2 STI素子分離
3 活性領域
4 ゲート電極
5 ゲート構造
11 半導体基板
12 STI素子分離
13 活性領域
14 ソース・ドレイン拡散層
15 シリサイド層15
16 ゲート絶縁膜
17 ポリシリコン電極
18 メタル電極
19 ゲート電極
20 サイドウォールスペーサ
21 ゲート構造
22 ライナー膜
23 層間絶縁膜
24 コンタクト
25 配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板の表層に形成される溝と、
前記溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜と、
前記半導体基板の表層に形成され、前記素子分離絶縁膜によって規定される活性領域と、
を備え、
前記素子分離絶縁膜の表面の高さが前記第1の領域と第2の領域とで異なり、いずれか一方の領域の素子分離絶縁膜の高さが前記半導体基板の表面よりも低いこと
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記素子分離膜に生じる応力の方向と反対向きの応力を有する層を少なくとも前記素子分離膜上に備えること
を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子としてNMOS型トランジスタとPMOSトランジスタとを備え、少なくとも一方の前記素子分離絶縁膜の表面が前記半導体基板の表面よりも低いこと
を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板の主表面にメモリデバイス領域とロジックデバイス領域を備えた半導体装置であって、
前記メモリデバイス領域の前記素子分離膜の表面が前記半導体基板の表面よりも低いこと
を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−27502(P2007−27502A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208918(P2005−208918)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】