半導体装置
【課題】同一チップ内に不揮発性メモリを備える半導体装置において、集積度を向上させる。
【解決手段】共通の浮遊電極FGを備える書き込み/消去用素子WDと、読み出し用トランジスタQRと、MISキャパシタCとを有する不揮発性メモリセルNVMにおいて、上記書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとは、半導体基板1の主面S1上に配置された同一のp型の動作素子形成用pウェルPW1内において、電気的に接続されるようにして形成され、上記MISキャパシタCは、動作素子形成用pウェルPW1と分離され、かつ、動作素子形成用pウェルPW1に沿うようにして配置されたp型のキャパシタ形成用pウェルPW2内に形成されていることを特徴とする。
【解決手段】共通の浮遊電極FGを備える書き込み/消去用素子WDと、読み出し用トランジスタQRと、MISキャパシタCとを有する不揮発性メモリセルNVMにおいて、上記書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとは、半導体基板1の主面S1上に配置された同一のp型の動作素子形成用pウェルPW1内において、電気的に接続されるようにして形成され、上記MISキャパシタCは、動作素子形成用pウェルPW1と分離され、かつ、動作素子形成用pウェルPW1に沿うようにして配置されたp型のキャパシタ形成用pウェルPW2内に形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置技術に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示用装置として広く実用化されている液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などは、更なる高精細化、長寿命化などに向けて開発が進められている。LCDの動作制御には、LCD駆動用集積回路(ドライバIC:Integrated Circuit、又は、単にドライバ)と称される半導体装置が用いられる。
【0003】
LCDドライバには、所望の画像、動画などを高画質で表示するために、画素への電位差を高精度に制御するような、直線性の高い諧調特性が要求される。一方、量産過程を経て生産されたLCDドライバにおいては、構成するトランジスタの特性にばらつきが生じるため、諧調特性も均質ではなくなる。上記のように高精度の諧調特性が要求されるようなLCDドライバにおいては、このようなトランジスタのばらつきは、特に顕著な問題となる。
【0004】
これに対し、本発明者らが検討したLCDドライバでは、製造後にトリミングと称される諧調特性の調整が施され、最適な状態で出荷される。これには、トリマーと称される外付けの可変抵抗などで、諧調のずれている箇所を適正化するのが一般的であった。一方、本発明者らの検討によれば、近年のLCDの需要動向として、移動通信端末などへの搭載が急速に増加していることなどから、LCDドライバ自体の小型チップ化、低コスト生産化の要求などがなされている。従って、本発明者らは、上記のトリミング機能を、LCDドライバの半導体チップ内に予め備え、製造段階で諧調特性を調整し、出荷する技術を検討した。
【0005】
このとき、諧調特性の調整に関する情報を記憶し、出荷後の電源印加の無い状態でもその情報を保持し続けるような、比較的小容量で信頼性の高い不揮発性メモリ(または、電気ヒューズともいう)が必要となる。
【0006】
本発明者らによる上記の検討から、LCDドライバの諧調特性を調節する不揮発性メモリは、LCDドライバと同時に同一の半導体チップ上に形成され、なるべく容易な製造工程で形成されるのが望ましい。例えば、特開2007−110073号公報(特許文献1)には、MIS構造において、チャネル反転領域からのFN(Fowler-Nordheim)トンネリング現象により絶縁膜を透過してくるキャリアをゲート電極に蓄積することで情報を保持する不揮発性メモリのうち、単層の電荷蓄積層を有する半導体装置が開示されている。
【0007】
一般的な不揮発性メモリに比べ、単層の電荷蓄積層により構成される不揮発性メモリは、その製造工程が比較的容易であり、LCDドライバを形成する工程をそのまま利用して製造することができる。製造工程が容易であることは、半導体装置の製造歩留まりの向上や、製品の信頼性の向上に対して有効である。
【特許文献1】特開2007−110073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、LCDドライバと同一の半導体チップに、上記のような単層の電荷蓄積層を有する不揮発性メモリを備える半導体装置を本発明者らが検討したところ、以下に示すような課題が見出された。
【0009】
一般的に、電荷を蓄積することで情報を保持するタイプの不揮発性メモリは、電荷を蓄積する容量部と、書き込み、読み出し、消去動作を行うMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造、またはMIS構造を備える電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)(以下、単にMISトランジスタ)とを有する。通常、上記の書き込み、読み出し、消去動作を行うMISトランジスタは同一のトランジスタである。
【0010】
ここで、上記の単層の電荷蓄積層を有する不揮発性メモリにおいて、書き込み、読み出し、消去動作を同一のMIS構造に担わせたタイプの不揮発性メモリを本発明者らが検討したところ、以下の課題が見出された。
【0011】
即ち、書き込み動作時において、電圧を印加するタイミングによって、誤動作、書き込み不良、または、素子破壊などが起きることが明らかとなった。結果として、不揮発性メモリとしての半導体装置の信頼性を低下させる原因となっていることが分かった。本発明者らの更なる検討によれば、これらは、通常のトランジスタとしての動作を行う読み出し動作用のMISトランジスタと、キャリアの授受を行う書き込み/消去用MIS構造のように、要求される動作特性の異なるMIS構造を同一のMISトランジスタで共用し、同一のウェル内に形成されていることが原因であることが分かった。
【0012】
そこで、本発明者らの更なる検討では、上記の2種類のMIS構造を分け、異なるウェルに形成することを着想した。即ち、不揮発性メモリ1セル内に、容量部を形成するウェル、書き込み/消去用MIS構造を形成するウェル、および、読み出し用MISトランジスタを形成するウェルの3つのウェルを備えた、単層の電荷蓄積層を有するタイプの不揮発性メモリを導入することで、上記課題の解決を試み、信頼性の低下を招く特性上の課題は回避することができた。
【0013】
しかし、上記のようにLCDの更なる高詳細化の要求に、近年のLCDの携帯移動通信端末などへの搭載の需要などが相俟って、LCDドライバには更なる小型化、高集積化が要求されるようになっており、上記のような1セル3ウェルタイプの不揮発性メモリでは、所望の容量を所望の占有面積の中に収めるのが困難であることが分かった。特に、本発明者らが検討した構造の不揮発性メモリでは、例えば2kbitの集積度の実現が困難であることが明らかになった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、同一チップ内に不揮発性メモリを備える半導体装置において、集積度を向上させる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本発明書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願においては、複数の発明が開示されるが、そのうち一実施例を例に概要を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0017】
即ち、共通の浮遊電極を備えるデータ書き込み/消去用素子と、読み出し用電界効果トランジスタと、容量素子とを有する不揮発性メモリセルにおいて、上記データ書き込み/消去用素子と読み出し用電界効果トランジスタとは、半導体基板の主面上に配置された同一の第1導電型の第2半導体領域内において、電気的に接続されるようにして形成され、上記容量素子は、第2半導体領域と分離された状態で、かつ、第2半導体領域に沿うようにして配置された第1導電型の第3半導体領域内に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される複数の発明のうち上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0019】
即ち、同一チップ内に不揮発性メモリを備える半導体装置において、集積度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本発明者らが検討した半導体装置が有する不揮発性メモリセルの構成、および、その特性に見出された課題について説明する。
【0022】
図1は、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaの平面図を示したものである。図1には、不揮発性メモリセルNVMaの構成を分かりやすくするために、半導体領域にハッチングを付し、その他の例えば絶縁膜などは省略して示している。また、図2は図1のx1−x1線の断面図を示したものである。
【0023】
半導体チップを構成する半導体基板1は、例えばp型(第2導電型)のシリコン単結晶により形成されている。半導体基板1の主面S1には分離部2が形成されている。半導体基板1には、その主面S1から所望の深さに渡って、n型(第1導電型)の半導体領域である、埋め込みnウェルDNWxが形成されている。この埋め込みnウェルDNWxには、p型の半導体領域である、動作素子形成用pウェルPWx1およびキャパシタ形成用pウェルPWx2が、第1方向Xに延在するようにして形成されている。同様に、埋め込みnウェルDNWxには、n型の半導体領域である、分離用nウェルNWが形成されている。埋め込みnウェルDNWxの中で、動作素子形成用pウェルPWx1およびキャパシタ形成用pウェルPWx2は、分離用nウェルNWにより分離された状態で内包されている。
【0024】
半導体基板1の主面S1には浮遊電極FGxが形成されている。浮遊電極FGxは、例えば多結晶シリコン(ポリシリコンともいう)などからなるものとする。
【0025】
浮遊電極FGxは、動作素子用浮遊ゲート電極GExMと、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCとを有する。また、浮遊電極FGxは他のいかなる部分にも電気的に接続されないように、所謂浮遊(フローティング)状態となるように配置されている。このようにフローティング状態にある浮遊電極FGxは、データを保持する役割を担う。
【0026】
また、半導体基板1の主面S1には、動作素子形成用pウェルPWx1の一部に平面的に重なるように、かつ、浮遊電極FGxが有する動作素子用浮遊ゲート電極GExMに沿うようにして、選択素子用ゲート電極GExSが形成されている。
【0027】
動作素子形成用pウェルPWx1内には、動作用MIS型電界効果トランジスタQMx、および、選択用MIS型電界効果トランジスタQSxが形成されている。以下、MIS型電界効果トランジスタを単にトランジスタと記す。動作用トランジスタQMxは、不揮発性メモリセルNVMaにおけるデータの書き込み、読み出し、消去等の動作を担う素子である。また、選択用トランジスタQSxは、半導体チップの中で配列されている多数の不揮発性メモリセルNVMaの中から、周囲のセルに干渉せずに上記の動作を施すために所望の不揮発性メモリセルNVMaを選択する役割を担う。詳しい動作に関しては、後に詳細に説明する。
【0028】
動作用トランジスタQMxは下記の構成を有する。まず、上記の動作素子用浮遊ゲート電極GExMを有する。また、動作素子用浮遊ゲート電極GExMおよび半導体基板1の間に形成された動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを有する。また、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部に位置し、動作素子形成用pウェルPWx1に内包されるようにして半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である、1対のソース/ドレイン領域SDxを有する。この1対のソース/ドレイン領域SDxにおいて、ここでは特に、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部のうち、選択素子用ゲート電極GExSが存在する側に形成されている方を、共有ソース/ドレイン領域SDCxとし、もう一方を動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxと記述する。
【0029】
なお、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、各ソース/ドレイン領域SDx,SDSx、または、キャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCxとは、低い不純物濃度で接合深さの浅い半導体領域と、高い不純物濃度で接合深さの深い半導体領域とを含む。例えば、上述の1対のソース/ドレイン領域SDxの場合、接合深さの浅い半導体領域はn−半導体領域であり、接合深さの深い半導体領域はn+半導体領域である。
【0030】
選択用トランジスタQSxは下記の構成を有する。まず、上記の選択素子用ゲート電極GExSは選択トランジスタQSxを構成するものである。また、選択素子用ゲート電極GExSおよび半導体基板1の間に形成された選択素子用ゲート絶縁膜GIxSを有する。また、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCxは、上記の動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部から、選択素子用ゲート電極GExSの側方下部まで延在し、選択用トランジスタQSxを構成する要素にもなっている。即ち、当該共有ソース/ドレイン領域SDCxを、動作用トランジスタQMxと選択用トランジスタQSxとの間で共有することで、これらは電気的に直列に接続された状態となっている。また、選択素子用ゲート電極GExSの側方下部に位置し、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCxが形成されていない側の半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である選択素子用ソース/ドレイン領域SDSxを有する。
【0031】
また、各ゲート電極GExM,GExSの側壁にはサイドウォールスペーサ3が形成されている。また、各ソース/ドレイン領域SDCx,SDMx,SDSxの表面、および、選択素子用ゲート電極GExSの表面には、シリサイド層4が形成されている。また、動作素子形成用pウェルPWx1における半導体基板1の主面S1の一部には、p型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMxが、他の構成と分離部2を隔てて形成されている。
【0032】
また、キャパシタ形成用pウェルPWx2内には、MISキャパシタCxが形成されている。MISキャパシタCxは、不揮発性メモリセルNVMaにおいて上記の動作用トランジスタQMxなどへの電圧供給効率を向上させる役割を担う素子である。
【0033】
MISキャパシタCxは以下の構成を有する。まず、上記のキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCを有する。また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCおよび半導体基板1の間に形成されたキャパシタ用ゲート絶縁膜GIxCを有する。また、キャパシタ形成用pウェルPWx2内において、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、p型の半導体領域であるキャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCxを有する。
【0034】
また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCの側壁にはサイドウォールスペーサ3が形成されている。キャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、キャパシタ用ソース領域SCxの表面には、シリサイド層4が形成されている。
【0035】
更に、半導体基板1の主面S1上には、層間絶縁膜5が形成されている。層間絶縁膜5は、絶縁膜5aと、その上に形成された絶縁膜5bとを有している。層間絶縁膜5には、コンタクトホールCHが形成され、その中を埋め込む導体部6によって、不揮発性メモリセルNVMaを構成する所望の領域に対して、シリサイド層4を介して電気的に接続される各コンタクトプラグCPx1〜CPx6を構成している。その中で、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいては、複数個所に存在する上記の容量ウェル給電用コンタクトプラグCPx4、および、キャパシタ用コンタクトプラグCPx5は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0036】
キャパシタ用浮遊ゲート電極GExC、および、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの上面には保護絶縁膜PIが形成されており、その部分にシリサイド層4が形成されないようにしている。即ち、不揮発性メモリセルNVMaの選択素子用ゲート電極GExS上にはシリサイド層4が形成されており、不揮発性メモリセルNVMaの各浮遊ゲート電極GExC,GExM上にはシリサイド層4が形成されないように構成されている。なお、保護絶縁膜PIは、例えば、酸化シリコン膜などによって形成されている。
【0037】
このような保護絶縁膜PIを形成する理由を以下に述べる。浮遊電極FGxは自己性合成のコンタクトを形成するための窒化シリコン膜(絶縁膜5a)で覆われている。この絶縁膜5aは、プロセスの低温化のため、例えばプラズマを用いた化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などで形成される。窒化シリコン膜は導電性を持たないが、膜生成時のガス流量比や、プラズマの立ち上がり具合によっては、僅かに導電性を有することがある。そのような場合、浮遊電極FGxに蓄えられた電荷はこの窒化シリコン膜を伝わって基板に流出する可能性がある。このため、メモリのデータ保持ができないという不具合を起こし得ることが、本発明者らの検討により明らかになっている。このような問題を解決すべく、浮遊電極FGxと窒化シリコン膜(絶縁膜5a)との間に、酸化シリコン膜からなる保護絶縁膜PIを挟む構造としており、浮遊電極FGxから窒化シリコン膜への電荷の移動を防止している。
【0038】
また、この保護絶縁膜PIは各浮遊ゲート電極GExM,GExCのサイドウォールスペーサ3の端部から、ゲート長方向に延在するように形成されている。これにより、不揮発性メモリセルNVMaのシリサイド層4は保護絶縁膜PIに対して自己整合的に形成されることになる。
【0039】
上記のようにして保護絶縁膜PIを形成している理由を、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaの動作用トランジスタQMxを例にして説明する。例えば、保護絶縁膜PIを形成せずに、シリサイド層4をサイドウォールスペーサ3に対して自己整合的に形成した場合、シリサイド層4の端部が、例えば一対のソース/ドレイン領域SDxのn+半導体領域と動作素子形成用pウェルPWx1との接合面に近付いてしまう。さらに、一対のソース/ドレイン領域SDxのn−半導体領域は接合深さが非常に浅い領域であるので、シリサイド層4がn−半導体領域を超えて動作素子形成用pウェルPWx1に達してしまう場合もある。即ち、保護絶縁膜PIが形成されていない場合には、n+半導体領域の上面に形成されたシリサイド層4の端部から、n−半導体領域の下の動作素子形成用pウェルPWx1に向かってリーク電流が流れやすい構成となってしまう。従って、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、保護絶縁膜PIを形成し、シリサイド層4をn−半導体領域から話した構造としているので、リーク電流が流れにくい構造とすることができる。
【0040】
また、保護絶縁膜PIは、半導体基板1の他の領域に形成される抵抗素子等(図示しない)にも用いられている。保護絶縁膜PIによって、半導体基板1や、例えば多結晶シリコン膜上に、選択的にシリサイド層4を形成することができる。これにより、例えば抵抗素子などにおいて所望の抵抗値を得ることができる。
【0041】
以上のように、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、保護絶縁膜PIは上記の効果を同時に達成するものである。
【0042】
次に、本発明者らが検討した上記の構成の不揮発性メモリセルNVMaのメモリ動作に関して、図2、図3を用いて詳細に説明する。以下、動作ウェル給電用コンタクトプラグCPx1に印加される電圧を動作部ウェル電圧Vm、動作素子用コンタクトプラグCPx2に印加される電圧を動作部ソース電圧Vs、選択素子用コンタクトプラグCPx3に印加される電圧を読み出しドレイン電圧Vd、容量ウェル給電用コンタクトプラグCPx4およびキャパシタ用コンタクトプラグCPx5に印加される電圧をキャパシタ部印加電圧Vcと、それぞれ表す。
【0043】
まず、書き込み動作を説明する。キャパシタ部印加電圧Vcを+9Vとすることで、キャパシタ用ウェル給電領域VSCxを通じて、キャパシタ形成用pウェルPWx2に+9Vの電圧が印加される。このとき、MISキャパシタCxのもう一方の電極であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCでは、キャパシタ用ゲート絶縁膜GIxCを介して−9Vに相当する電荷が蓄積される。
【0044】
ここで、フローティング状態にあるキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCには、浮遊電極FGxのうち、MISキャパシタCxを構成していない部分から、−9Vに相当する電荷が供給されることになる。即ち、浮遊電極FGx全体の電荷保存のために、動作素子用浮遊ゲート電極GExMは+9Vに帯電することになる。
【0045】
これにより、動作用トランジスタQMxでは、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを介して、動作素子形成用pウェルPWx1に電界がかかる。そして、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMとの界面に所謂反転領域が生じ、少数キャリアである電子が蓄積する。
【0046】
更に、動作部ウェル電圧Vmは−9Vとされているから、動作素子形成用pウェルPWx1と、動作素子用浮遊ゲート電極GExMとの間には、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを介して18Vに相当する電圧が印加されていることになる。そして、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを十分薄くしている。従って、この状態で、反転領域に生じた電子は18V相当の高電界を受け、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMをFNトンネリングにより越えて、動作素子用浮遊ゲート電極GExMに注入される。
【0047】
なお、−9Vが印加された動作部ソース電圧Vsからは、反転領域に潤滑に電子eが供給される。また、選択用トランジスタQSxをオン状態とし、読み出しドレイン電圧Vdに−9Vを印加すれば、こちらからも同様の電子の供給が可能となる。
【0048】
以上のように、浮遊電極FGxには動作用トランジスタQMxの反転領域全面からのFNトンネリングにより電子が注入され、浮遊電極FGxは負に帯電する。そして、浮遊電極FGxはフローティング状態にあるので、その後、特定の電圧印加条件とならない限り、この蓄積電荷を保持し続ける。即ち、以上の動作により、不揮発性メモリセルNVMaセルにデータが書き込まれたことになる。
【0049】
次に、読み出し動作を説明する。まず、キャパシタ部印加電圧Vc=+3Vとした場合、上記と同様に、MISキャパシタCxを構成する一方の電極である、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCに−3Vの帯電が起こる。
【0050】
このとき、浮遊電極FGxが上記の書き込み動作を受けておらず、帯電していない場合、動作素子用浮遊ゲート電極GExMは+3Vに帯電する。また、浮遊電極FGxが書き込みを経て負に帯電していた場合、電荷保存のために、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの電位は+3Vよりも低くなる。即ち、動作用トランジスタQMxにしてみれば、書き込みの有無によって、オン状態となる閾値電圧が変化することになる。
【0051】
ここで、選択用トランジスタQSxをオン状態としておけば、読み出しドレイン電圧Vd(=+1V)と動作部ソース電圧Vs(=0V)との間の電位差により、ソース/ドレイン電流が流れることになる。このとき、動作用トランジスタQMxの閾値電圧の高低、即ち、データ書き込みの有無によって、ソース/ドレイン電流の大きさに変化が現れる。これにより、書き込みデータの有無を判断することができ、読み出し動作が可能となる。
【0052】
次に、消去動作を説明する。ここでは、上記で説明した書き込み動作を実行する電圧印加条件の逆の条件とすることで、電子の挙動を全て逆にすることができる。即ち、書き込み動作により動作素子用浮遊ゲート電極GExMに蓄積された電子を、FNトンネリングにより、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを越えて、動作素子形成用pウェルPWx1に放出させることができる。これにより、消去動作が可能となる。
【0053】
なお、上記の消去時における電子の供給源(ソース)は、導体部である動作素子用浮遊ゲート電極GExM側であるから、書き込み動作時のように動作素子形成用pウェルPWx1に反転領域を形成する必要は無く、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdは、消去動作時には開放(オープン、又はopen)状態とすれば良い。
【0054】
以上のようにして、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、データの書き込み、読み出し、消去動作が可能となる。しかしながら、書き込み時における動作不良が、各領域への電圧印加のタイミングのずれによって引き起こされるという問題が、本発明者らの検討により見出された。以下にその詳細を説明する。
【0055】
本発明者らが見出した、書き込み動作時に起こる問題は、主に、n型の半導体領域である各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSxと、p型の半導体領域である動作素子形成用pウェルPWx1とで構成されるpn接合に起因する。本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは両者に対して電圧を印加するため、これらpn接合は寄生ダイオードを構成することになる。
【0056】
ここで、書き込み動作時においては、動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxおよび選択素子用ソース/ドレイン領域SDSxに印加される電圧である、それぞれ、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdは同等である。また、選択用トランジスタQSxがオン状態であれば、共有ソース/ドレイン領域SDCxの電位もこれらと同等となる。よって以下では、同等である各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSxへの印加電圧を、動作部ソース電圧Vsとして一括して記述することにする。また、以下では、便宜上、pn接合の順方向電圧である、n型半導体(各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSx)側から見たp型半導体(動作素子形成用pウェルPWx1)側の電位を正電位とし、pn接合間電位差ΔVpnと記述する。即ち、pn接合間電位差ΔVpn=動作部ウェル電圧Vm−動作部ソース電圧Vsである。
【0057】
上記において説明したように、書き込み動作時は、動作部ウェル電圧Vmおよび動作部ソース電圧Vsには、共に−9Vの電圧を印加する。従って、通常pn接合間電位差ΔVpn=0Vである。ただし、動作部ウェル電圧Vmと動作部ソース電圧Vsとでは、書き込み時には上記の通り同電圧を印加するとしても、他の動作時には異なる電圧が印加される。従って、これらには別の電圧源から給電することになり、この時の給電のタイミングのずれが、以下の問題をもたらすことが分かった。
【0058】
図3は、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて書き込み動作を行うときの、動作部ウェル電圧Vmおよび動作部ソース電圧Vsの変化を時間timeで比較したタイミングチャート図である。
【0059】
時間time=t1mにおいて、動作部ウェル電圧Vmが−9Vに降圧される。ここで、動作部ソース電圧Vsの降圧のタイミングが遅れ、時間time=t1sにおいて動作部ソース電圧Vsが−9Vに降圧されたとする。このとき、差分時間Δt1(=t1s−t1m)の間、動作素子形成用pウェルPWx1と、例えば動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxとの間には、pn接合間電位差ΔVpn=−9Vの電位差が生じることになる。これは、当該pn接合に対しての逆方向電圧となる。
【0060】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、当該pn接合の逆方向耐圧は−6V程度であり、上記のpn接合間電位差ΔVpn=−9Vでは、耐圧破壊を引き起こす。即ち、降伏電圧以上の逆方向電圧により、アバランシェ効果、ツェナー効果が顕著になり、大きな逆方向電流が急激に流れ出す。このように寄生的に発生する逆方向電流は、例えばラッチアップ現象を引き起こすなど、不揮発性メモリセルの性能を損ねる原因となる。
【0061】
一方、上記と違う状況において、時間time=t2sにおいて、動作部ソース電圧Vsが−9Vに降圧される。ここで、動作部ウェル電圧Vmの降圧のタイミングが遅れ、時間time=t2mにおいて動作部ウェル電圧Vmが−9Vに降圧されたとする。このとき、差分時間Δt2(=t2m−t2s)の間、pn接合間電位差ΔVpn=+9Vの電位差が生じることになる。これは、当該pn接合に対して順方向電圧となる。従って、動作素子形成用pウェルPWx1から、例えば動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxを通じて、例えば動作素子用コンタクトプラグCPx2には、当該pn接合の順方向電流が流れる。
【0062】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、例えば動作素子用コンタクトプラグCPx2の先には、+9V以下で動作する素子が多数接続されている。従って、上記のように寄生的に発生する順方向電流は、誤動作や、他の構成素子の破壊などを引き起こすなど、不揮発性メモリの信頼性を損ねる原因となる。
【0063】
そこで、本発明者らの更なる検討として、動作部ソース電圧Vsと動作部ウェル電圧Vmとの間の降圧タイミングのずれが起こった場合でも、上記のような寄生的pn接合で発生する順方向または逆方向電流が悪影響を及ぼさないように、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdを開放状態とする方法を試みた。
【0064】
これに関し、多数の素子を結線することで構成される集積回路において、特定の素子に導通する端子を物理的に完全に開放状態にすることは困難であり、実際には0V程度の固定電位となってしまう。この状態では、動作部ウェル電圧Vm=−9Vを受け、当該pn接合付近には空乏領域が広がる。そして、動作素子形成用pウェルPWx1の電界は上記の空乏領域に集中する。
【0065】
ここで、図2を用いて説明した書き込み動作では、動作素子用浮遊ゲート電極GExM(+9V)と動作素子形成用pウェルPWx1(−9V)との間の電位差(18V)によって、動作素子用ゲート絶縁膜GIxM直下の反転領域から浮遊電極FGxに、電子eをFNトンネリングさせるという方式であった。このとき、上記のように、動作素子形成用pウェルPWx1に供給される電圧による電界が、反転領域以外の場所に集中し、緩和されてしまうと、反転領域から見た動作素子用浮遊ゲート電極GExMへの電位差が18Vよりも大幅に低くなってしまう。即ち、上記の電界緩和が原因で、電子の正常なFNトンネリングが実現せず、書き込み不良を引き起こすという問題が、本発明者らの検討により明らかになった。結果として、不揮発性メモリセルNVMaの信頼性を損ねる原因となっている。
【0066】
これらの問題は、書き込み動作、読み出し動作、消去動作のそれぞれを、同一の素子が担っていることに主因がある。より具体的には以下の通りである。
【0067】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、上記の動作素子として、MIS構造を有する電界効果トランジスタが用いられる。ここで、読み出し動作のためには、ウェルと逆導電型のソース/ドレイン領域を要し、書き込み動作のためには、ウェルと同じ導電型の給電領域を要する。従って、給電のタイミングずれを避けるためにこれらを同一にすることは、異なる導電型を要することから不可能である。更に、タイミングずれの悪影響を防止するために、寄生pn接合に接続される端子を開放状態としても、空乏領域の電解緩和による書き込み不調を招く。即ち、少なくとも、書き込み動作素子と、読み出し動作素子を同一の素子とする本構造では、上記の問題を解決するのは困難であることが、本発明者らの検討により明らかになった。
【0068】
そこで、本発明者らは、書き込み・消去動作用の素子を、読み出し動作用の素子と分け、別のウェルの中に設けた構造を有する不揮発性メモリセルを検討した。その平面図を図4に示し、図4のx2−x2線の断面図を図5に示す。
【0069】
本発明者らが検討した他の不揮発性メモリセルNVMbは、先に図1、図2を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMaと同様の構成である動作用トランジスタQMx、選択用トランジスタQSx、および、MISキャパシタCxを有する。特に、動作用トランジスタQMxおよび選択用トランジスタQSxは同一の動作素子形成用pウェルPWx1内に、また、MISキャパシタCxはキャパシタ形成用pウェルPWx2内に形成されている。上記pウェルPWx1,PWx2は、埋め込みnウェルDNWxの中に、分離用nウェルNWによって分離された状態で、形成されている。
【0070】
これに加え、同一の埋め込みnウェルDNWx内に書き込み素子形成用pウェルPWx3を有する。この書き込み素子形成用pウェルPWx3内には、書き込み用素子WDxが形成されている。これは、書き込み、消去動作を行う専用の素子として、読み出し動作を行う動作用トランジスタQMxと分けて形成されたものである。
【0071】
書き込み用素子WDxは、浮遊電極FGxが書き込み素子形成用pウェルPWx3と平面的に重なる部分である書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWを有する。また、書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWと半導体基板1との間に形成された、書き込み素子用ゲート絶縁膜GIxWを有する。また、平面的に見て、書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に、n型の半導体領域である書き込み素子用ソース領域SWx、および、p型の半導体領域である書き込み素子用ウェル給電領域VSWxを有する。また、書き込み素子用ソース領域SWxには、シリサイド層4を介して、書き込み素子用コンタクトプラグCPx7が電気的に接続されている。また、書き込み素子用ウェル給電領域VSWxには、シリサイド層4を介して、書き込みウェル給電用コンタクトプラグCPx8が電気的に接続されている。
【0072】
上記のように、書き込み動作を行う書き込み用素子WDxを、読み出し動作を行う動作用トランジスタQMxと分ける構成としたことで、以下の利点が得られる。即ち、書き込み用素子WDxにおいて、動作用トランジスタQMwのようなソース/ドレイン領域を両方形成する必要がなくなり、少なくとも片方を、書き込み素子形成用pウェルPWx3と同じ導電型の書き込み素子用ウェル給電領域VSWxとし、当該書き込み素子形成用pウェルPWx3への給電機構とすることができる。更に、書き込み用素子WDxを用いる書き込み動作時および消去動作時には、書き込み素子用ソース領域SWxと書き込み素子用ウェル給電領域VSWxとには、常に同様の電圧が印加される。従って、書き込み素子用コンタクトプラグCPx7と書き込みウェル給電用コンタクトプラグCPx8とは、上層において接続され、同時に同様の電圧を印加できる構成として良い。結果として、書き込み動作時に起こる給電のタイミングのずれに起因した、動作不良、素子破壊など、不揮発性メモリの信頼性を低下させる原因を排除することができる。
【0073】
しかし、本発明者らの検討では、図4、図5を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMbは、今後更に要求される高集積化、大容量化に適さないという。なぜなら、構成として3つのウェルを用いており、当初検討した不揮発性メモリセルNVMaが2つのウェルで構成されるのに比べて、表面積が大きいと言えるからである。
【0074】
このように、動作の安定性を考慮すれば、書き込み用の素子と読み出し用の素子とを分けた3ウェル構成の不揮発性メモリセルNVMbが有意であり、集積能を考慮すれば、2ウェル構成の不揮発性メモリセルNVMaが有意であると言える。即ち、LCDドライバに用いる不揮発性メモリにおいて、本発明者らが検討した技術では、信頼性の要求と、高集積化の要求とが、トレードオフの関係にあり、信頼性の低下をもたらすことなく、集積度を向上させるのが困難であることを見出した。
【0075】
次に、本実施の形態1の半導体装置について説明する。
【0076】
通常、半導体装置の製造工程中は、例えば単結晶シリコン(Si)などを母材とした高純度の半導体材料をウェハと称される平面略円形の薄板の状態で扱う。そして、その主面を、後に半導体チップとなる領域に分け、多数のチップ領域に同様の素子群を一括して形成することで、所望の回路機能を有する半導体集積回路を備えた半導体チップを形成する。
【0077】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリは、LCDドライバを形成する半導体チップと同一のチップ内に形成される。以下では、特にLCDドライバを構成する、例えば種々の動作電圧の電界効果トランジスタからなる回路を形成する領域を主回路形成領域と称し、不揮発性メモリを形成する領域を不揮発性メモリ領域と称する。
【0078】
図6は、本実施の形態1で例示する、半導体チップ上に形成された半導体装置のうち、不揮発性メモリ領域に形成された不揮発性メモリセルNVMにおける1セル分の平面図を示したものである。1セルとは、1bitの単位情報を記憶する領域を表す。図6には、不揮発性メモリセルNVMの構成を分かりやすくするために、半導体領域にハッチングを付し、その他の例えば絶縁膜などは省略して示している。以下、平面図に関しては特に断りの無い限り同様であるとする。また、図7は図6のx3−x3線の断面図を示した。
【0079】
半導体チップを構成する半導体基板1は、例えばp型(第2導電型)のシリコン単結晶により形成されている。p型とは、例えばIV族の元素からなるシリコンなどにおいて、ホウ素(B)などのIII族の元素を含有した状態であり、多数キャリアが正孔(ホールともいう)であるような半導体材料の導電型を表す。以下、p型の導電型に関しては同様であるとする。半導体基板1は厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する主面(第1主面)S1および裏面(第2主面)(図示しない)を有する。図6は、例えば主面S1に形成された不揮発性メモリセルNVMの構成を見るために半導体基板1を主面S1側から見た図であり、図7においてはこの主面S1側の要部を拡大して示している。
【0080】
半導体基板1の主面S1には分離部2が形成されている。ここで分離部2は、例えば半導体基板1の主面S1に形成された浅溝内に酸化シリコン等からなる絶縁膜を埋め込むことで形成された、所謂STI(Shallow Trench Isolation)と称される溝型の分離部2であるとする。
【0081】
半導体基板1には、その主面S1から所望の深さに渡って、n型(第1導電型)の半導体領域である埋め込みnウェル(第1半導体領域)DNWが形成されている。n型とは、例えばIV族の元素からなるシリコンなどにおいて、リン(P)やヒ素(As)などのV族の元素を含有した状態であり、多数キャリアが電子であるような半導体材料の導電型を表す。以下、n型の導電型に関しては同様であるとする。
【0082】
埋め込みnウェルDNWには、p型の半導体領域である動作素子形成用pウェル(第2半導体領域)PW1、および、同じくp型の半導体領域であるキャパシタ形成用pウェル(第3半導体領域)PW2が、埋め込みnウェルDNWに内包された状態で形成されている。これらの両pウェルPW1,PW2は、第1方向Xに延在するようにして、かつ、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って並ぶようにして形成されている。また、これらの両pウェルPW1,PW2の不純物濃度はそれぞれ同程度であり、また、半導体基板1の不純物濃度よりも高いものとする。
【0083】
動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2の外周には、それらを取り囲むように、かつ、埋め込みnウェルDNWよりも浅い位置に渡って、分離部2が形成されている。
【0084】
この分離部2の底部には、n型の半導体領域である分離用nウェルNWが形成されている。分離用nウェルは、埋め込みnウェルDNWよりも浅い位置に渡って形成されている。分離用nウェルNWは外部から電気的な導通を取れるような機構を有しており(図示しない)、所望の電位とすることができる。
【0085】
以上の構成により、動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2は、第1方向Xに互いに沿うようにして、かつ、第2方向Yに沿って並ぶようにして、埋め込みnウェルDNWに内包されるように配置されている。更に、動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2は、その外周を取り囲む分離部2とその底部に形成された分離用nウェルNWにより、互いに電気的に分離された状態で配置されている。
【0086】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1、および、キャパシタ形成用pウェルPW2に平面的に重なるようにして配置され、以下に示す構成を有する。
【0087】
第1に、不揮発性メモリセルNVMは、半導体基板1の主面S1において、動作素子形成用pウェルPW1の一部、および、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に、平面的に重なるようにして配置された浮遊電極FGを有する。浮遊電極FGは、例えば多結晶シリコンなどを母材とする導体膜からなるものとする。また、浮遊電極FGは、他のいかなる部分にも電気的に接続されていないような、浮遊状態であるように配置されている。このように浮遊状態にある浮遊電極FGは、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、データを保持する役割を担う。
【0088】
ここで、例えば、一般的な半導体装置における同様のゲート電極を形成する際に、コンタクトを形成するために、導体膜などを形成する工程がある。本実施の形態1においては、上記の浮遊電極FGの表面を、例えば酸化シリコン膜などの保護絶縁膜PIで覆っても良い。これにより、導体膜の形成工程などから保護し、他の箇所からの絶縁性を高めることができる。
【0089】
第2に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、書き込み/消去用素子(データ書き込み/消去用素子)WDを有する。書き込み/消去用素子WDは、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主にデータの書き込みと、消去動作を担う素子である。
【0090】
第3に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、読み出し用トランジスタ(読み出し用電界効果トランジスタ)QRを有する。読み出し用トランジスタQRは、後に詳細を説明するように、MIS型の電界効果トランジスタであり、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主にデータの読み出しを担う素子である。
【0091】
上記のように、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、データの書込みと消去を担う書込み/消去用素子WDと、データの読み出しを担う読み出し用トランジスタQRとを別素子としつつ、1つの動作素子形成用pウェルPW1に形成している。これにより、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMは、上記で図4、図5を用いて説明した、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbにおける、書き込み・消去を担う素子を単独で形成する書き込み素子形成用pウェルPWx3を必要としない。結果として、不揮発性メモリセルNVMの面積を縮小させることができる。
【0092】
第4に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、選択用トランジスタ(選択用電界効果トランジスタ)QSを有する。一般的なメモリ装置では、半導体チップの中でメモリセルが規則的な配列をなして配置されている。本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMが有する選択用トランジスタQSは、メモリ配列の中から所望の不揮発性メモリセルNVMを選択する際、周囲のセルへの干渉を防ぐために、上記の選択用トランジスタQSがスイッチとして各セル内に配置されている。これにより、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態1において、選択用トランジスタQSは、上記の読み出し用トランジスタQRに電気的に直列に接続されているものとする。
【0093】
第5に、不揮発性メモリセルNVMは、キャパシタ形成用pウェルPW2に形成された、MISキャパシタ(容量素子)Cを有する。MISキャパシタCは、後に詳細を説明するように、MIS構造からなる容量素子(キャパシタ、コンデンサ、カップリングコンデンサ)である。本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主に、書込み/消去用素子WDなどへの電圧供給効率を向上させる役割を担う素子である。
【0094】
以下では、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMが有する、上記第1〜第5の要素に関して、それぞれの構成を詳細に説明する。
【0095】
第1に、浮遊電極FGは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極(第1浮遊ゲート電極)GEWと、読み出し素子用浮遊ゲート電極(第2浮遊ゲート電極)GERと、キャパシタ用浮遊ゲート電極(第3浮遊ゲート電極)GECとを一体的に有している。
【0096】
ここで、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWは、浮遊電極FGのうち、動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なる位置から、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に至るまで、第1方向Xと交差する第2方向Yに延在するようにして配置された部分である。
【0097】
また、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERは、浮遊電極FGのうち、動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なる位置から、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に至るまで、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと距離を隔てて沿うようにして配置された部分である。即ち、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと読み出し素子用浮遊ゲート電極GERとは、動作素子形成用pウェルPW1の配置範囲内においては、互いに分離されている。
【0098】
また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECは、浮遊電極FGのうち、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に平面的に重なるようにして配置された部分である。
【0099】
ここで、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの第1方向Xにおける幅は、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWおよび読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの第1方向Xにおける幅よりも、大きいものとする。
【0100】
以上のように、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEW、読み出し素子用浮遊ゲート電極GER、および、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECは浮遊電極FGの一部であり、同一層内に配置されているものとする。後に詳細を記述するように、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの基本的な構成要素としては、種々の配線層等を除けば、この一層の浮遊電極FGが導体膜の最上層となる。従って、例えば種々の動作電圧である電界効果トランジスタなどの主回路形成領域への形成と同様の工程で、不揮発性メモリ領域に不揮発性メモリセルNVMを形成することができる。結果として、生産性、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0101】
第2に、書き込み/消去用素子WDは、上記浮遊電極FGの一部である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWを有する。
【0102】
また、書き込み/消去用素子WDは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWおよび半導体基板1の間に形成された、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)GIWを有する。書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0103】
また、書き込み/消去用素子WDは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと読み出し素子用浮遊ゲート電極GERとに挟まれた領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域(第4半導体領域)SDCを有する。共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度は、同じn型の半導体領域である埋め込みnウェルDNWおよび分離用nウェルNWの不純物濃度よりも高いものであるとする。
【0104】
ここで、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCは、平面的に見て、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、共有ソース/ドレイン領域SDC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx1を有する。n型エクステンション領域nx1の不純物濃度は、同じn型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度よりも低いものであるとする。以下、n型の半導体領域であるエクステンション領域の不純物濃度に関しては、特に断らない限り同様であるとする。
【0105】
また、書き込み/消去用素子WDは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCと対をなすことで、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、p型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域(第5半導体領域)VSMを有する。動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2の不純物濃度よりも高いものであるとする。
【0106】
ここで、上記の動作素子用ウェル給電領域VSMは、平面的に見て、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、動作素子用ウェル給電領域VSM自体よりも浅い領域に形成された、p型エクステンション領域px1を有する。p型エクステンション領域px1の不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度よりも低いものであるとする。以下、p型の半導体領域であるエクステンション領域の不純物濃度に関しては、特に断らない限り同様であるとする。
【0107】
ここで、書き込み/消去用素子WDに、n型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCを形成している理由を以下に記す。即ち、n型の共有ソース/ドレイン領域SDCを追加したことにより、浮遊ゲート電極下の反転層の形成が促進される。また、電子はp型半導体領域中では少数キャリアであるのに対して、n型半導体領域中では多数キャリアである。このため、n型の共有ソース/ドレイン領域SDCを設けたことにより、注入電子を反転層に容易に供給することができる。その結果、実効的なカップリング容量を増大させることができるので、浮遊電極FGの電位を効率的にコントロールすることができる。従って、データの書き込み速度を向上させることができる。また、データ書き込み速度のばらつきも低減できる。
【0108】
以上が、書き込み/消去用素子WDが有する構成である。書き込み/消去用素子WDは、導体部(Metal)としての書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEW、絶縁部(Insulator)としての書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW、および、半導体部(Semiconductor)としての動作素子形成用pウェルPW1の三層のMIS構造からなる。なお、本実施の形態1においては、上部電極である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWはフローティング状態であり、下部電極である動作素子形成用pウェルPW1は、動作素子用ウェル給電領域VSMにより給電される機構を有する。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0109】
第3に、読み出し用トランジスタQRは、上記浮遊電極FGの一部である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERを有する。
【0110】
また、読み出し用トランジスタQRは、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERおよび半導体基板1の間に形成された、読み出し素子用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)GIRを有する。読み出し素子用ゲート絶縁膜GIRは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0111】
また、読み出し用トランジスタQRは、上記の書き込み/消去用素子WDと共有する形で、共有ソース/ドレイン領域SDCを有する。
【0112】
ここで、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、共有ソース/ドレイン領域SDC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx2を有する。
【0113】
また、読み出し用トランジスタQRは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCと対をなすことで、上記の読み出し素子用浮遊ゲート電極GERを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である読み出し素子用ソース/ドレイン領域(第6半導体領域)SDRを有する。読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRの不純物濃度は、共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度と同程度であるものとする。
【0114】
ここで、上記のように、第2方向Yに延在している読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに対し、これを挟み込むようにして、一対の各ソース/ドレイン領域SDC,SDRが形成されている。更に、共有ソース/ドレイン領域SDCは、上記の書き込み/消去用素子WDと共有する構成となっていた。従って、読み出し用トランジスタQRと、書き込み/消去用素子WDとは、第1方向Xに並んで配置されていることとなる。
【0115】
また、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDR自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx3を有する。
【0116】
以上が、読み出し用トランジスタQRが有する構成である。読み出し用トランジスタQRは、ゲート電極としての読み出し素子用浮遊ゲート電極GER、ゲート絶縁膜としての読み出し素子用ゲート絶縁膜GIR、ソースまたはドレイン領域としての共有ソース/ドレイン領域SDC、および、同じくソースまたはドレイン領域としての読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRを基本構成とするMIS型電界効果トランジスタである。特に、p型である動作素子形成用pウェルPW1の中に形成され、n型である各ソース/ドレイン領域SDC,SDRを有する、nチャネル型の電界効果トランジスタである。なお、本実施の形態1においては、ゲート電極である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERはフローティング状態であり、片方のソース/ドレイン領域である共有ソース/ドレイン領域SDCは、特定の給電機構を有さない。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0117】
第4に、選択用トランジスタQSは、上記の動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なるようにして形成された、選択素子用ゲート電極GESを有する。選択素子用ゲート電極GESは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに対して、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと反対側の領域で、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに沿うようにして配置されている。ただし、選択素子用ゲート電極GESは、平面的に見て、キャパシタ形成用pウェルと重なる領域にまでは達しない。更に、選択素子用ゲート電極GESは、浮遊電極FGとは一体ではなく、独立して形成されている。選択素子用ゲート電極GESは、例えば多結晶シリコンなどを母材とする導体膜からなるものとする。
【0118】
また、選択用トランジスタQSは、選択素子用ゲート電極GESおよび半導体基板1の間に形成された、選択素子用ゲート絶縁膜GISを有する。選択素子用ゲート絶縁膜GISは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0119】
また、上記の読み出し用トランジスタQRが有する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に達する領域まで配置されている。そして、選択用トランジスタQSは、上記の読み出し用トランジスタQRと共有する形で、この読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRを、ソースまたはドレイン領域として有する。この構成により、読み出し用トランジスタQRと選択用トランジスタQSとは電気的に直列に接続されていることになる。
【0120】
ここで、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDR自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx4を有する。
【0121】
また、選択用トランジスタQSは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRと対をなすことで、上記の選択素子用ゲート電極GESを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である選択素子用ソース/ドレイン領域SDSを有する。選択素子用ソース/ドレイン領域SDSの不純物濃度は、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRの不純物濃度と同程度であるものとする。
【0122】
ここで、上記の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、選択素子用ソース/ドレイン領域SDS自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx5を有する。
【0123】
以上が、選択用トランジスタQSが有する構成である。選択用トランジスタQSは、ゲート電極としての選択素子用ゲート電極GES、ゲート絶縁膜としての選択素子用ゲート絶縁膜GIS、ソースまたはドレイン領域としての選択素子用ソース/ドレイン領域SDS、および、同じくソースまたはドレイン領域としての共有ソース/ドレイン領域SDCを基本構成とするMIS型電界効果トランジスタである。なお、本実施の形態1においては、片方のソース/ドレイン領域である共有ソース/ドレイン領域SDCは、特定の給電機構を有さない。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0124】
第5に、MISキャパシタCは、上記の浮遊電極FGの一部であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GECを有する。
【0125】
また、MISキャパシタCは、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECおよび半導体基板1の間に形成された、キャパシタ用ゲート絶縁膜(第3ゲート絶縁膜)GICを有する。キャパシタ用ゲート絶縁膜GICは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0126】
また、MISキャパシタCは、キャパシタ形成用pウェルPW2内において、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECを挟み込む領域に位置する半導体基板1の第1主面S1に形成された、p型であるキャパシタ用ウェル給電領域(第7半導体領域)VSC、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域(第8半導体領域)SCを有する。キャパシタ用ウェル給電領域VSCの不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度と同程度であるものとする。また、キャパシタ用ソース領域SCの不純物濃度は、同じn型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCなどと同程度であるものとする。
【0127】
ここで、上記のキャパシタ用ウェル給電領域VSCは、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、キャパシタ用ウェル給電領域VSC自体よりも浅い領域に形成された、p型エクステンション領域px2を有する。また、キャパシタ用ソース領域SCは、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、キャパシタ用ソース領域SC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx6を有する。
【0128】
ここで、MISキャパシタCに、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCを形成している理由を以下に記す。消去動作において、n型のキャパシタ用ソース領域SCを追加したことにより、電子をキャパシタ用ゲート絶縁膜GICの直下にスムーズに供給することができる。このため、浮遊電極FG下の反転層をすばやく形成することができるので、p型のキャパシタ形成用pウェルPW2をすばやく−9Vに固定することができる。その結果、実効的なカップリング容量を増大させることができるので、浮遊電極FGの電位を効率的にコントロールすることができる。従って、データ消去速度を向上させることができる。また、データ消去速度のばらつきも低減することができる。
【0129】
以上が、MISキャパシタCが有する構成である。MISキャパシタCは、導体部としてのキャパシタ用浮遊ゲート電極GEC、絶縁部としてのキャパシタ用ゲート絶縁膜GIC、および、半導体部としてのキャパシタ形成用pウェルPW2の三層のMIS構造からなる容量素子である。なお、本実施の形態1においては、上部電極であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GECはフローティング状態であり、下部電極であるキャパシタ形成用pウェルPW2は、キャパシタ用ウェル給電領域VSCにより給電される機構を有する。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0130】
ここで、上記のように、MISキャパシタCは第1方向Xに延在するキャパシタ形成用pウェルPW2の中に形成されている。また、上記のように、動作素子形成用pウェルPW1は、キャパシタ形成用pウェルPW2と第1方向Xに互いに沿うように、かつ、第2方向Yに沿って並んで配置されている。従って、MISキャパシタCは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された書き込み/消去用素子WD、読み出し用トランジスタQR、および、選択用トランジスタQSと第1方向Xに互いに沿うように、かつ、第2方向Yに沿って並んで配置されていることになる。
【0131】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの基本的な構成は、上記の通りである。これに加え、以下の構成を有する。
【0132】
各ゲート電極GEW,GER,GES,GECの側壁には、例えば酸化シリコンなどを主体とした絶縁膜よりなるサイドウォールスペーサ3が形成されている。サイドウォールスペーサ3は、当該各ゲート電極GEW,GER,GES,GECとの導通意図の無い配線などからの絶縁を目的として形成されるものである。
【0133】
また、pまたはn型の半導体領域である、各ウェル給電領域VSM,VSC、各ソースまたはドレイン領域SDC,SDR,SDS,SC、および、多結晶シリコンよりなる選択素子用ゲート電極GESの表面には、シリサイド層4が形成されている。シリサイド層4は、例えばコバルト(Co)とシリコンとの化合物であるコバルトシリサイドなどの導体膜により構成され、外部からの電気的なコンタクトとのオーミック接続を目的として形成されるものである。
【0134】
以上の構成を有する不揮発性メモリセルNVMが形成された半導体基板1の主面S1上には、層間絶縁膜5が形成されている層間絶縁膜5は、例えば窒化シリコンなどからなる絶縁膜5aと、その上に形成された、例えば酸化シリコンなどからなる絶縁膜5bとを有している。この様に、異なる2層の絶縁膜とすることで、例えば、層間絶縁膜5下の半導体基板1の主面S1の任意の箇所に通ずるコンタクトホールを形成する場合に役立つ。即ち、2層の絶縁膜5a,5bのエッチングレートの違いを利用して、自己整合的にエッチングをストップさせ、より緻密な加工を可能にする、所謂SAC(Self Align Contact)技術を適用することができる。
【0135】
また、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、上記のSAC技術により層間絶縁膜5に形成されたコンタクトホールCHを有する。その中を埋め込む導体部6によって、不揮発性メモリNVMを構成する所望の領域に対して、シリサイド層4を通じて電気的に接続される各コンタクトプラグCP1〜CP6を構成している。以下にその詳細を説明する。
【0136】
まず、共有ソース/ドレイン領域SDCに電気的に接続される、共有部給電用コンタクトプラグ(第1導電部)CP1を有する。共有部給電用コンタクトプラグCP1は、共有ソース/ドレイン領域SDCに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx1,nx2に、同電位を給電することができる。
【0137】
また、動作素子用ウェル給電領域VSMに電気的に接続される、動作ウェル給電用コンタクトプラグ(第2導電部)CP2を有する。動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2は、動作素子用ウェル給電領域VSMに電気的に接続されることで、同じp型半導体領域で接合する領域である、p型エクステンション領域px1、および、動作素子形成用pウェルPW1に、同電位を給電することができる。
【0138】
ここで、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、同一セル内の複数個所に存在する上記の共有部給電用コンタクトプラグCP1、および、複数個所に存在する動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0139】
また、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSに電気的に接続される、読み出し用コンタクトプラグ(第3導電部)CP3を有する。読み出し用コンタクトプラグCP3は、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx5に、同電位を供給することができる。
【0140】
ここで、読み出し用トランジスタQRにおける一対のソース/ドレイン領域の一つである、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに給電する場合を考える。本実施の形態1においては、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは選択用トランジスタQSのソースまたはドレイン領域ともなっている。従って、選択用トランジスタQSをオン状態としておくことで、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSとほぼ同電位を、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに給電することができる。即ち、本実施の形態1において、選択用トランジスタQSがオン状態であるとき、読み出し用コンタクトプラグCP3は、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに電気的に接続されていることとなる。
【0141】
また、キャパシタ用ウェル給電領域VSCに電気的に接続される、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグ(第4導電部)CP4を有する。キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4はキャパシタ用ウェル給電領域VSCに電気的に接続されることで、同じp型半導体領域で接合する領域である、p型エクステンション領域px2、および、キャパシタ形成用pウェルPW2に、同電位を給電することができる。
【0142】
また、キャパシタ用ソース領域SCに電気的に接続される、キャパシタ用コンタクトプラグ(第5導電部)CP5を有する。キャパシタ用コンタクトプラグCP5はキャパシタ用ソース領域SCに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx6に、同電位を供給することができる。
【0143】
ここで、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、同一セル内の複数個所に存在する上記のキャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4、および、複数個所に存在するキャパシタ用コンタクトプラグCP5は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0144】
また、選択素子用ゲート電極GESに電気的に接続される、選択ゲート用コンタクトプラグCP6を有する。選択ゲート用コンタクトプラグCP6は選択素子用ゲート電極GESに電気的に接続されることで、選択用トランジスタQSにゲート電圧を印加することができる。
【0145】
以上の各コンタクトプラグCP1〜CP6において、同一セル内の複数箇所に存在する同一のものは、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0146】
以下では、本実施の形態1で上記のように例示した構成を有する不揮発性メモリセルNVMのセル面積についての、本発明者らの検証に関して説明する。
【0147】
本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMは、書き込み/消去用素子WD、読み出し用トランジスタQR、選択用トランジスタQS、および、MISキャパシタCを有する。上記の構成は、本発明者らが検討した、図4、図5を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMbと同様である。従って、本発明者らが検討した、図1〜図3を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMaに見られた、図3を用いて説明した書き込み動作における問題は生じないと期待される。当該メモリ動作の検証は、以下で詳細に説明する。
【0148】
ここで、上記図4を用いて説明したように、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbでは、書き込み・読み出し動作を専属的に担うために別素子とした書き込み/消去用素子WDを、別のウェル(書き込み素子形成用pウェルPWx3)に形成していた。そして、この書き込み素子形成用pウェルPWx3は、第2方向Yに沿った方向に追加する形で、不揮発性メモリセルNVMb内に形成されていた。
【0149】
一方、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリNVMでは、書き込み/消去用素子WDは、読み出し用トランジスタQRと、同一の動作素子形成用pウェルPW1内に、第1方向Xに沿って並ぶようにして形成している。これにより、浮遊電極FGの一部分であり、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWが延在する第2方向Yに対して新たなウェルや、新たな素子を追加することにはならず、不揮発性メモリセルNVMの面積を縮小することができる。
【0150】
ただし、書き込み/消去用素子WDを別素子とすることで、構成上、素子数が増えた本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMにおいて、単に同一ウェル内に書き込み/消去用素子WDを形成するだけでは、第1方向Xへの面積の増大が起こる。
【0151】
このような技術的な課題を、本実施の形態1に例示した不揮発性メモリセルNVMにおいては、以下のように克服している。即ち、正常なメモリ動作を実現できる範囲で、機能的に同一と見なせる半導体領域を共有させることで、素子数増加による面積増大の影響を相殺している。
【0152】
具体的には、動作素子形成用pウェルPW1内において、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとは、第1方向Xに沿って並ぶようにして配置され、両素子は、ソースまたはドレイン領域を共有ソース/ドレイン領域SDCとして共有している。更に、書き込み/消去用素子WDの動作時に必要な、半導体層への給電を担う領域と、動作素子形成用pウェルPW1への給電を担う領域とを、動作素子用ウェル給電領域VSMとして共有している。これにより、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMでは、第1方向Xにおいて、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとを合わせた幅は、MISキャパシタCの幅よりも小さくすることができる。従って、第1方向Xへのセル面積の増大を回避することができる。
【0153】
ここで、上記のように、メモリ動作の信頼性を向上させるために、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、選択用トランジスタQSを用いている。選択用トランジスタQSは、読み出し用トランジスタQRに電気的に直列に接続されるため、動作素子形成用pウェルPW1内に形成されていた。これにより、第1方向Xにおける不揮発性メモリセルNVMの面積の増大が懸念される。これに対し、本実施の形態1では、上記のように、第1方向Xにおいて、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとを合わせた幅は、MISキャパシタCの幅よりも小さくしている。これにより、選択用トランジスタQSを含む動作素子形成用pウェルPW1であっても、その第1方向Xの幅は、キャパシタ形成用pウェルPW2と同程度か、それよりも小さくすることができる。従って、第1方向Xへのセル面積の増大を回避することができる。
【0154】
結果として、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMのセル面積は、本発明者らが先に検討し、上記図1を用いて説明した、セル面積の小さい不揮発性メモリセルNVMaと同程度とすることができる。更に、本発明者らが後に検討し、上記図4を用いて説明した、動作が正常である不揮発性メモリセルNVMbに対しては、ウェルを1つ減らすことが可能となった効果として、第2方向Yに約2/3程度に縮小することができる。
【0155】
そこで、本実施の形態1で例示した構成によって面積の縮小が実現できる不揮発性メモリNVMにおいて、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbと同様、書き込み時に問題の無い動作が可能であるかを、本発明者らは検証した。
【0156】
引き続き図7に示すように、共有部給電用コンタクトプラグCP1および動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2に印加される電圧を動作部供給電圧Vp、読み出し用コンタクトプラグCP3に印加される電圧を読み出しドレイン電圧Vd、ならびに、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4およびキャパシタ用コンタクトプラグCP5に印加される電圧をキャパシタ部印加電圧Vcと、それぞれ表す。以下では、MISキャパシタCへの電荷の蓄積、浮遊電極FGに生じる電位、書き込み/消去用素子WDにかかる電界、および、FNトンネリングにより浮遊電極FGに蓄積される電子の挙動などは、上記で本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて説明したものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0157】
まず、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて問題が無かった、読み出しおよび消去動作について説明する。
【0158】
図8に示すように、読み出し動作時には、例えば、動作部供給電圧Vp=0V、読み出しドレイン電圧Vd=1V、および、キャパシタ部印加電圧Vc=+3Vとする。ここで、選択用トランジスタQSがオン状態である場合、読み出しドレイン電圧Vdとほぼ同等の電圧が読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRにも印加される。従って、読み出し用トランジスタQRは、0Vの共有ソース/ドレイン領域SDCをソース、+1Vの読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRをドレインとして、ゲート電極となる読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの電位によって変化するソース/ドレインIdsを生じる。
【0159】
ここで、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおける読み出し動作に関する説明と同じ理由で、浮遊電極FGの一部である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの電荷蓄積状態は、データ書き込みの有無によって変化する。即ち、読み出し用トランジスタQRは、データ書き込みの有無によって、閾値電圧が変化していることになる。特に、読み出し用トランジスタQRはnチャネル型のトランジスタである。従って、書き込み動作を受けた状態では、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに負電荷である電子が蓄積されており、閾値電圧が上昇していることになる。ソース/ドレイン電流Idsは閾値電圧に対するゲート電位の高低によって著しく変化するから、このソース/ドレイン電流Ids値の違いにより、電荷の蓄積状態、即ちデータの保持状態を判別し、読み出すことができる。
【0160】
図9に示すように、消去動作時には、例えば、動作部供給電圧Vp=+9V、読み出しドレイン電圧Vdは開放状態、および、キャパシタ部印加電圧Vc=−9Vとする。書き込み/消去用素子WDにおいて、MISキャパシタCへの給電により、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWには−9Vの電圧が印加され、動作素子用ウェル給電領域VSMへの給電により、動作素子形成用pウェルPW1には+9Vの電圧が印加されている。従って、浮遊電極FGに蓄積している電子eは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWにおいて、動作素子形成用pウェルPW1に向かって18Vの電位差に相当するエネルギーを受ける。これにより、電子eは書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWをFNトンネリングし、動作素子形成用pウェルPW1に引き抜かれ、データの保持状態を消去することができる。
【0161】
ここで、p型の素子形成用pウェルPW1と、これに接合するn型の共有ソース/ドレイン領域SDCとは、動作部供給電圧Vpによって同時に昇圧される。従って、当該pn接合での寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、独立した給電機構を持つが、開放状態となっているので、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の素子形成用pウェルPW1に接合するn型の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、選択用トランジスタQSがオン状態であっても、ほぼ同電位となる選択素子用ソース/ドレイン領域SDSが開放状態であるため、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。
【0162】
ここで、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいては、図3などを用いて説明したように、書き込み動作時において、信頼性を損なう問題があった。以下では、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMの書き込み動作を、図10を用いて説明する。
【0163】
書き込み動作時には、動作部供給電圧Vp=−9V、読み出しドレイン電圧Vdを開放状態、キャパシタ部印加電圧Vc=+9Vとする。
【0164】
書き込み/消去用素子WDにおいて、MISキャパシタC部への給電により、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWは+9Vにバイアスされる。これにより、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW下の動作素子形成用pウェルPW1には反転層ILが形成される。更に、動作素子用ウェル給電領域VSMへの給電により、動作素子形成用pウェルPW1は−9Vにバイアスされる。従って、反転層ILに発生する電子eは18Vの電位差に相当するエネルギーを受け、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWをFNトンネリングし、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWに注入される。このとき、同じく−9Vにバイアスされた共有ソース/ドレイン領域SDCにより、n型エクステンション領域nx1を通じて、反転層ILに潤滑に電子eが供給される。これにより、浮遊電極FGに電荷を蓄積する、即ちデータを書き込むことができる。
【0165】
ここで、p型の動作素子形成用pウェルPW1と、これに接合するn型の共有ソース/ドレイン領域SDCとは、動作部供給電圧Vpによって同時に降圧される。従って、当該pn接合での寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、独立した給電機構を持つが、開放状態となっているので、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、選択用トランジスタQSがオン状態であっても、ほぼ同電位となる選択素子用ソース/ドレイン領域SDSが開放状態であるため、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。
【0166】
このとき、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaで説明したように、pn接合に係るn型領域のバイアスを開放状態としても、寄生的にp型領域に生じてしまう空乏層DLにおける電界緩和によって、反転層ILの電子eにFNトンネリングに必要な電位差を与えることができず、書き込み不良が起こるという問題があった。
【0167】
この点、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMでは、開放状態としているn型領域は選択素子用ソース/ドレイン領域SDS、または、選択用トランジスタQSがオン状態のときに導通する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRである。これらはいずれも、書き込み時に電子eのFNトンネリングを利用して浮遊電極FGに電荷を蓄積する書き込み/消去用素子WDの構成要素ではなく、構造上も離れている。従って、開放状態にあるn型領域と接合するp型領域で空乏層DLが生じたとしても、書き込み/消去用素子WDでの書き込み動作にはほとんど影響を及ぼさない。結果として、書き込み不良の発生を防止することができる。
【0168】
上記の効果は、読み出し動作と、書き込み/消去動作とを担う素子を異なる素子としたことによる。
【0169】
まず、書き込み/消去動作を専属的に担う素子は、トランジスタとしての機能を必要とせず、ソース/ドレイン領域のように、異なるバイアス条件となる一対のn型半導体領域を必要としない。従って、トランジスタ機能を要する読み出しを担う素子を別素子とすることで、書き込みを担う素子では、反転領域への電子供給層とウェル給電層とに一括して同電位を給電することができる。結果として、給電タイミングのずれによる寄生pn接合の影響を防止することができる。
【0170】
また、読み出しを専属的に担う素子には、書き込み/消去動作時のバイアスを必要とせず、寄生的に生じるpn接合は開放状態とするのが望ましい。ここで、読み出しを担う素子を別素子とすることで、書き込みを担う素子では、電界緩和による書き込み不良をもたらす空乏層DLの発生を防止することができる。結果として、信頼性の高い不揮発性メモリセルNVMを実現することができる。
【0171】
以上のように、本実施の形態1で例示した構成の不揮発性メモリセルNVMによれば、寄生pn接合電流による素子破壊、または、書き込み不良などを引き起こすことなく、書き込み動作を実現することができる。結果として、本実施の形態1で例示した技術により、不揮発性メモリの信頼性の低下をもたらすことなく、集積度を向上させることができる。
【0172】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、1bitの情報を記録する単一の不揮発性メモリセルNVMの構成を例示した。実際のメモリ回路では、このようなメモリセルをアレイ状に配置し、それぞれを結線することで、多bitの情報を記録する不揮発性メモリとしている。本実施の形態2では、上記実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMをアレイ状に配置して用いるメモリ回路を例示する。なお、図13〜図25の説明は、本実施の形態2における不揮発性メモリセルNVMの書き込み動作および消去動作を説明したものである。このとき、選択用トランジスタQSはオン状態にあるとすれば、等価的に、読み出し用コンタクトプラグCP3は読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに接続されているとして良い。従って、図13〜図25の説明では、選択用トランジスタQSはオン状態にあるとし、記載を省略する。
【0173】
図11は、本実施の形態2で例示する、不揮発性メモリセルNVMへの給電方法を説明するために、上記実施の形態1で例示した単一の不揮発性メモリセルNVMの平面図を示したものである。
【0174】
第1に、不揮発性メモリセルNVMの書き込み/消去用素子WDが有する共有ソース/ドレイン領域SDCおよび動作素子用ウェル給電領域VSMには、第2方向Yに延在するビット線(ビットライン、データ線、または、データラインとも言う)BLが電気的に接続されている。即ち、ビット線BLは、共有部給電用コンタクトプラグCP1および動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2に電気的に接続され、これらに給電することができる。
【0175】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、ビット線BLには、動作部供給電圧Vpが印加されることになる。
【0176】
第2に、不揮発性メモリセルNVMの読み出し用トランジスタQRが有する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRには、第2方向Yに延在する読み出しビット線rBLが、選択用トランジスタQSを介して、電気的に接続されている。即ち、読み出しビット線rBLは、読み出し用コンタクトプラグCP3に電気的に接続され、これに給電することができる。また、読み出し動作時には、読み出しビット線rBLに供給された電圧は、制御線(または制御ライン)SLによって選択用トランジスタQSがオン状態とされたビットのみが、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRへ供給される。
【0177】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、読み出しビット線rBLには、読み出しドレイン電圧Vdが印加されることになる。
【0178】
第3に、不揮発性メモリセルNVMのMISキャパシタCが有するキャパシタ用ウェル給電領域VSCおよびキャパシタ用ソース領域SCには、第1方向Xに延在するワード線(ワードラインとも言う)WLが電気的に接続されている。即ち、ワード線WLは、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4およびキャパシタ用コンタクトプラグCP5に電気的に接続され、これらに給電することができる。
【0179】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、ワード線WLには、キャパシタ部印加電圧Vcが印加されることになる。
【0180】
図12に示すように、実際のメモリアレイMemでは、例えば不揮発性メモリセルNVM11,NVM12,NVM13,NVM14などが、第1方向Xの同じ行に配置され、例えば不揮発性メモリセルNVM11,NVM21,NVM31などが、第2方向Yの同じ列に配置される。本実施の形態2で例示するメモリアレイMemは、上記のようなアレイ状の配置によって、構成されているとする。
【0181】
同じ行に配置された、例えば不揮発性メモリセルNVM11〜NVM14などは、同一のワード線WL10によって結線されている。また、同じ列に配置された、例えば不揮発性メモリNVM11〜NVM31などは、同一のビット線BL01、または、同一の読み出しビット線rBL01によって結線されている。そして、ビット線BLまたは読み出しビット線rBLのいずれかと、ワード線WLとを一組指定することで、任意の不揮発性メモリセルNVMを選択することができる。
【0182】
本実施の形態2においては、例えば、図12中でハッチングを付した不揮発性メモリセルNVM22に書き込み動作を施す場合を例示する。図13には、不揮発性メモリセルNVM22における、MISキャパシタC、読み出し用トランジスタQR、および、書き込み/消去用素子WDの断面と、それらへのバイアス状態を示す。以下では、図12と併せて、書き込み動作の説明に用いる。
【0183】
不揮発性メモリセルNVM22に書き込み動作を施すためには、ワード線WL20に+9V、ビット線BL02に−9Vを印加する。ここで、上記実施の形態1において、図9、図10などを用いて説明したように、不揮発性メモリセルNVMにおいては、キャパシタ部印加電圧Vcと動作部供給電圧Vpとの差が、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差となる。即ち、本実施の形態2においては、セルに導通するビット線とワード線との電位差がこれに相当する。
【0184】
従って、不揮発性メモリセルNVM22においては、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間には、約18Vの電位差が生じる。これは、上記実施の形態1において図10を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMへの書き込み動作と同様のバイアス条件であり、書き込み動作が施されることになる。
【0185】
即ち、不揮発性メモリセルNVM22では、上記の電位差を受けたFNトンネリングにより、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW直下の反転層ILから、浮遊電極FGに電子eが注入される。その結果、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧は上昇することになる。
【0186】
図14は、書き込み時間に対する、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の変化を表すグラフ図である。図中にて特性ex1として示しているのが、上記の書き込み動作を受けた不揮発性メモリセルNVM22の特性である。書き込みセルである不揮発性メモリセルNVM22において、書き込み時間の経過とともに、浮遊電極FGに電子が注入され、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が上昇していることが分かる。上記実施の形態1において図8を用いて説明したように、この閾値電圧の違いを利用してデータの保持状態を判別する。
【0187】
ここで、本実施の形態2では、メモリアレイMemにおいて、書き込み動作に必要な上記のバイアス条件を受けていないセルについて考察する。
【0188】
例えば、不揮発性メモリセルNVM11,NVM13,NVM14,NVM31,NVM33,NVM34は、−9Vのビット線BL02および+9Vのワード線WL20の両方に電気的に接続されておらず、電荷の移動などいかなる影響も及ばない。
【0189】
一方、ビット線BL02、または、ワード線WL20のいずれかの給電を受けるセルに着目する。
【0190】
第1に、図12における不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などでは、+9Vのワード線WL20からは外れているものの、−9Vのビット線BL02には電気的に接続されている。従って、不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などは、このビット線BL02からの給電によって、以下のような影響を受ける。
【0191】
図15は、ビット線BL02に接続されている、例えば不揮発性メモリセルNVM12の断面図を示したものである。上記のようなバイアス条件により、動作素子形成用pウェルPW1には−9Vの電圧が印加され、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間には、約9Vの電位差が生じることになる。
【0192】
この9Vという電位差は、上記の書き込み動作時(18V)のように、反転層ILの電子eを、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWに、FNトンネリングにより潤滑に注入し得るほどのエネルギーには相当しない。しかしながら、9Vの電位差で電子eのFNトンネリングが完全に起こらないというわけではない。従って、書き込み時間の経過とともに、浮遊電極FGに注入される電子は徐々に増加していく。
【0193】
再び、図14において、図中にて特性ex2として示しているのが、上記のビット線BL02からの給電を受けた不揮発性メモリセルNVM12の特性である。書き込み時間の経過とともに、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が上昇している。これは、FNトンネリングにより浮遊電極FGに注入される電子の蓄積によるものであるが、ビット線BL02のみによる電位差が9Vと、通常の書き込み動作時よりも小さいため、閾値電圧の立ち上がり、および、飽和も小さい。
【0194】
しかしながら、書き込みの対象として選択されていない不揮発性メモリセルNVM12などにおいて、上記のような閾値電圧の上昇が起こることは、誤書き込みの可能性を有することになる。このように、本来書き込みの対象に無いものの、給電されているビット線BL02列の影響を受けて起こる、不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などにおける読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の上昇を、ディスターブ現象などと称する。特に、上記のように動作素子形成用pウェルPW1への給電で起こるディスターブ現象を、ウェルディスターブ(またはデータディスターブ)現象という。
【0195】
第2に、図12における不揮発性メモリセルNVM21,NVM23,NVM24などでは、−9Vのビット線BL02からは外れているものの、+9Vのワード線WL20には電気的に接続されている。従って、図16に例えば不揮発性メモリセルNVM24の断面を示すように、上記と同様に、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差でFNトンネリングする電子eによって、ディスターブ現象が起こる。
【0196】
ただし、この場合の電位差は以下のようにして当該領域に生じるものである。まず、ワード線WL20の+9Vがキャパシタ形成用pウェルPW2に印加される。これを受け、キャパシタ用ゲート絶縁膜GICを介して対向するキャパシタ用浮遊ゲート電極GECでは、キャパシタ形成用pウェルPW2の正電位に相当する負電位となるように、電荷の移動が起こる。そして、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECを備える浮遊電極FGでは、元の電荷状態を保存するために、浮遊電極FGの一部である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWには、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECに移動した負電荷に相当する正電荷が充電される。上記の、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差とは、この正電荷によるものである。従って、上記の経路の間には電圧降下が起こっており、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差は、キャパシタ形成用pウェルPW2に印加された+9Vに比べて低くなる。
【0197】
ここで、再び、図14において、図中にて特性ex3として示しているのが、上記のワード線WL20からの給電を受けた不揮発性メモリセルNVM24の特性である。書き込み時間の経過とともに、ディスターブ現象が起こっている。しかし、ビット線BL02によるウェルディスターブ現象を表す特性ex2に比べて、その程度は小さい。このように、本来書き込みの対象に無いものの、給電されているワード線WL20の影響を受けて起こる、不揮発性メモリセルNVM21,NVM23,NVM24などにおける誤書き込み現象を、ワードディスターブなどと表現する。
【0198】
上記のように、ディスターブしたセルをそのままの状態で用いると、周辺のセルへの繰り返しの書き込みなどにより、当該セルは書き込み動作を受けていないにも関わらず、読み出し用トランジスタの閾値電圧が書き込み状態と同等になってしまう可能性がある。これは、誤書き込みの可能性を有することを意味する。
【0199】
また、メモリ回路などにおいては、高集積化のための素子面積の縮小の要求から、スケーリング則によって、印加電圧が下げられる場合がある。このとき、上記のように、書き込みを施されていないにも関わらず、ディスターブを受けて閾値電圧が上昇したメモリセルを含んでいると、通常通り書き込みを施したメモリセルの閾値電圧とのマージンが小さくなる。これは、スケーリングの制限となる可能性を有する。
【0200】
従って、本実施の形態2で例示する、不揮発性メモリセルNVMからなるメモリアレイMemにおいて、ディスターブによる閾値電圧の上昇を引き起こさないことが望ましい。以下では、書き込みのためにバイアスされたビット線BLおよびワード線WLのいずれか一方に接続された不揮発性メモリセルNVMにおいても、ディスターブを回避し得る技術を例示する。
【0201】
図17は、本実施の形態2で例示するメモリアレイMemへの書き込み状態を示す平面図である。通常、メモリアレイMemへの書き込みをする際、複数のビット線BL02,BL04,BL07,BL09などに−9Vを印加し、同時に一つのワード線WL40などに+9Vを印加する。これにより、バイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09とワード線WL40とに接続される不揮発性メモリセルNVM42,NVM44,NVM47,NVM49などが、書き込み動作を受ける。なお、バイアスするビット線、ワード線の本数は、それぞれ複数、単数、または、それらの組み合わせであっても良い。
【0202】
このとき、上記図14、図15などを用いて説明したように、−9Vにバイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09に接続されており、かつ、+9Vにバイアスされたワード線WL40には接続されていない不揮発性メモリセルNVM02,NVM04,NVM07,NVM09は、ウェルディスターブを起こす。
【0203】
また、上記図14、図16などを用いて説明したように、+9Vにバイアスされたワード線WL40に接続されており、かつ、−9Vにバイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09には接続されていない不揮発性メモリセルNVM40は、ワードディスターブを起こす。
【0204】
本実施の形態2では、上記のディスターブを防止するために、セルの選択に用いておらず、通常、バイアスの対象とならない、所謂非選択のビット線BLおよびワード線WLに、特定の電圧を印加する技術を例示する。
【0205】
第1に、ワード線WLにおいて、+9Vにバイアスされた選択ワード線WL40以外の、例えばワード線WL60などに、−3Vの電圧を印加する。ここで、ウェルディスターブが懸念されるメモリセルの中で、上記のワード線WL60の−3Vのバイアスを受けるものの一例として、不揮発性メモリセルNVM64の要部断面図を図18に示す。また、図19には、この不揮発性メモリセルNVM64における閾値電圧の、書き込み時間に対する変化を示す。図中では、特性ex4と示した曲線が、当該不揮発性メモリセルNVM64の特性である。
【0206】
書き込み/消去用素子WDにおいて、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差は、ビット線BL04とワード線WL60とに印加される電圧の差であるから、上記の不揮発性メモリセルNVM64においては、約6Vとなる。従って、図14の状態に比べて、書き込み/消去用素子WDにおける電子の注入は少なくなり、閾値電圧の上昇が抑えられる。即ち、上記のように、書き込み動作のためのワード線WLのバイアスを必要としないメモリセルに対して−3V程度の電圧を印加することで、ウェルディスターブを緩和することができる。結果として、不揮発性メモリの信頼性を向上させることができる。
【0207】
ここでは、ワード線WL60に−3Vのバイアスを施し、不揮発性メモリセルNVM64のウェルディスターブを緩和する技術を一例として説明した。一方、書き込み動作のための+9Vのバイアスを施すワード線WL40以外には、全て同様の技術を適用し、不揮発性メモリセルNVM02,NVM04,NVM07,NVM09のウェルディスターブを緩和させることができる。
【0208】
また、ワードディスターブを生じる不揮発性メモリセルNVM40においても、同様の技術により、効果を緩和することができる。
【0209】
再び、図17に示すように、ワードディスターブを生じる不揮発性メモリセルNVM40においては、ワード線40による+9Vの電圧を緩和させるために、それぞれ、書き込み対象ではないビット線BL01,BL03,BL05,BL06,BL08などに、+3Vの正電圧を印加する。これにより、ワードディスターブを緩和させることができる。
【0210】
ここで、上記のディスターブを緩和する技術において、ウェルディスターブを緩和するためのワード線WLへのバイアスと、ワードディスターブを緩和するためのビット線BLへのバイアスは、同時に適用しても良く、特定のワード線WLまたはビット線BLに個別に適用しても、一括して適用しても良い。
【0211】
本実施の形態2では、書き込み時のディスターブを緩和することを目的として、本来バイアスの必要ないワード線WLおよびビット線BLにバイアスを施した。従って、本来書き込み動作時にいかなる給電も受けず、ディスターブを生じることのなかったメモリセル(例えば、不揮発性メモリセルNVM11など)にも、給電されることになる。これにより、当該メモリセルにおけるディスターブの発生が懸念される。
【0212】
これに対し、本実施の形態2では、ディスターブの回避を目的としたビット線BLおよびワード線WLへのバイアスを±3Vとしている。従って、ウェルディスターブおよびワードディスターブの両方を回避する場合であっても、電位差は6V程度であり、問題となる大きな閾値電圧の上昇は起こらない。
【0213】
次に、消去動作時に生じるディスターブの回避技術を説明する。
【0214】
本発明者らの検討によれば、例えば、LCDドライバなどのトリミングを目的として半導体チップの中に形成された不揮発性メモリは、そのトリミングのための情報を保持する領域と、出荷後にデータを書き換えられる領域とを備えていることが要求される。従って、データを書き換える対象の領域を設け、そこでは、一括して情報が消去されることを想定して、不揮発性メモリを構成しなければならない。ここで、本発明者らの更なる検討によれば、この書き換え用の不揮発性メモリを別のチップとする手法では、チップ面積の顕著な増大をもたらし、望ましくない技術である。
【0215】
図20は、同一チップ内に配列された不揮発性メモリNVMからなるメモリアレイMemに対して施される、特定領域の一括消去動作を説明するための平面図である。ここでは、メモリアレイMemを構成する不揮発性メモリセルNVMを、ビット線BLの延在する方向に沿って2つの領域に分け、一方の領域を消去マットEMとして、消去マットEMに属する不揮発性メモリセルNVMeを一括して消去する。他方の領域を非消去マットKMとして、非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkではデータの消去は行わない。図21には、消去マットEMに属する不揮発性メモリセルNVMeの要部断面図を示す。図22には、非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkの要部断面図を示す。
【0216】
上記実施の形態1において図9を用いて説明したように、不揮発性メモリセルNVMのデータを消去するためには、動作部供給電圧Vpに+9V、かつ、キャパシタ部印加電圧Vcに−9Vの電圧を印加する。従って、図20、図21において示す、本実施の形態2における不揮発性メモリNVMeでは、ビット線BL01〜BL09、および、ワード線WL10〜WL50に、それぞれ+9V、および、−9Vの電圧を印加する。
【0217】
これにより、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間には、書き込み時とは逆の極性で、18V程度の電位差が生じることになる。従って、浮遊電極FGに蓄積した電子eはこの電位差を受け、FNトンネリングにより書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWを越えて、動作素子形成用pウェルPW1に放出される。これにより、消去マットEMに属する不揮発性メモリNVMeのデータは消去される。
【0218】
一方、図22に示す非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkでは、ワード線WL60〜WL90から給電される電圧は無いものの、ビット線BL01〜BL09から給電される+9Vを受ける。これにより、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間にも同程度の電位差が生じる。従って、消去動作を受ける上記図22に示した不揮発性メモリセルNVMeほどではないにせよ、浮遊電極FGに蓄積した電子eの放出が徐々に起こる。即ち、ウェルディスターブが生じる。
【0219】
ここで、上記のように、消去動作、または、ウェルディスターブのように、浮遊電極FGに蓄積した電子eの放出が起こると、nチャネル型トランジスタである読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が低下する。そして、次第に書き込み動作を受けていない状態に戻る。
【0220】
図23には、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の、消去時間に対する変化を示している。特性ex5は消去動作を受けた不揮発性メモリセルNVMeの特性を示し、特性ex6は消去動作を受けない不揮発性メモリセルNVMkの特性を示す。消去動作を受けない不揮発性メモリセルNVMkにおいても、消去動作を受けた不揮発性メモリセルNVMeほどではないにしろ、消去時間の経過とともに閾値電圧が低下するウェルディスターブが生じる。
【0221】
上記のように、ディスターブしたセルをそのままの状態で用いると、消去マットへの繰り返しの消去動作により、当該セルは書き込み動作を受けていないにも関わらず、読み出し用トランジスタの閾値電圧が消去状態と同等になってしまう可能性がある。これは、誤消去の可能性を有することを意味する。また、上記の書き込み時に生じるディスターブと同様、メモリ回路におけるスケーリングの制限となる可能性も有する。
【0222】
そこで、本実施の形態2で例示する技術では、図24に示すように、消去の対象とならない非消去マットKMに接続されるワード線WL60〜WL90において、+9Vの電圧を印加する。図25には、このときの非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkの要部断面図を示す。
【0223】
ワード線WL60〜WL90において、+9Vの電圧を印加することによって、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1とはほぼ同電位となり、電位差はほぼ0Vとなる。これにより、不揮発性メモリセルNVMkにおいては、浮遊電極FGから動作素子形成用pウェルPW1への電子の放出はほとんど起こらない。従って、本実施の形態2で例示した技術により、非消去マットKMでのウェルディスターブを緩和することができる。結果として、不揮発性メモリの信頼性を更に向上させることができる。
【0224】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明は、例えば液晶ディスプレイの駆動用集積回路を構成するのに必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】本発明者らが検討した半導体装置の要部平面図である。
【図2】図1に示した半導体装置のx1−x1線における要部断面図である。
【図3】本発明者らが検討した半導体装置に印加する電圧の時間変化を表すタイミングチャート図である。
【図4】本発明者らが検討した他の半導体装置の要部平面図である。
【図5】図4に示した半導体装置のx2−x2線における要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1である半導体装置の要部平面図である。
【図7】図6に示した半導体装置のx3−x3線における要部断面図である。
【図8】図7に示した半導体装置における電圧印加時の状態を説明する要部断面図である。
【図9】図7に示した半導体装置における他の電圧印加持の状態を示す要部断面図である。
【図10】図7に示した半導体装置における他の電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2である半導体装置の要部平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2である半導体装置への電圧印加の状態を示す平面図である。
【図13】図12に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図14】図12に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図15】図12に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図16】図12に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図18】図17に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図19】図17に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図20】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図21】図20に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図22】図20に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図23】図20に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図24】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図25】図24に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0227】
1 半導体基板
2 分離部
3 サイドウォールスペーサ
4 シリサイド層
5 層間絶縁膜
5a,5b 絶縁膜
6 導体部
S1 主面(第1主面)
NVM 不揮発性メモリセル
DNW 埋め込みnウェル(第1半導体領域)
NW 分離用nウェル
PW1 動作素子形成用pウェル(第2半導体領域)
PW2 キャパシタ形成用pウェル(第3半導体領域)
WD 書き込み/消去用素子(データ書き込み/消去用素子)
QR 読み出し用トランジスタ(読み出し用電界効果トランジスタ)
QS 選択用トランジスタ(選択用電界効果トランジスタ)
C MISキャパシタ(容量素子)
FG 浮遊電極
PI 保護絶縁膜
GEW 書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極(第1浮遊ゲート電極)
GER 読み出し素子用浮遊ゲート電極(第2浮遊ゲート電極)
GES 選択素子用ゲート電極
GEC キャパシタ用浮遊ゲート電極(第3浮遊ゲート電極)
GIW 書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)
GIR 読み出し素子用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)
GIS 選択素子用ゲート絶縁膜
GIC キャパシタ用ゲート絶縁膜(第3ゲート絶縁膜)
SDC 共有ソース/ドレイン領域(第4半導体領域)
SDR 読み出し素子用ソース/ドレイン領域(第6半導体領域)
SDS 選択素子用ソース/ドレイン領域
VSM 動作素子用ウェル給電領域(第5半導体領域)
VSC キャパシタ用ウェル給電領域(第7半導体領域)
SC キャパシタ用ソース領域(第8半導体領域)
X 第1方向
Y 第2方向
nx1〜nx6 n型エクステンション領域
px1,px2 p型エクステンション領域
CH コンタクトホール
CP1 共有部給電用コンタクトプラグ(第1導電部)
CP2 動作ウェル給電用コンタクトプラグ(第2導電部)
CP3 読み出し用コンタクトプラグ(第3導電部)
CP4 キャパシタウェル給電用コンタクトプラグ(第4導電部)
CP5 キャパシタ用コンタクトプラグ(第5導電部)
CP6 選択ゲート用コンタクトプラグ
Vp 動作部供給電圧
Vd 読み出しドレイン電圧
Vc キャパシタ部印加電圧
e 電子
IL 反転層
DL 空乏層
BL,BL01〜BL09 ビット線
WL,WL01〜WL09 ワード線
SL 制御線
rBL 読み出しビット線
EM 消去マット
KM 非消去マット
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置技術に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示用装置として広く実用化されている液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などは、更なる高精細化、長寿命化などに向けて開発が進められている。LCDの動作制御には、LCD駆動用集積回路(ドライバIC:Integrated Circuit、又は、単にドライバ)と称される半導体装置が用いられる。
【0003】
LCDドライバには、所望の画像、動画などを高画質で表示するために、画素への電位差を高精度に制御するような、直線性の高い諧調特性が要求される。一方、量産過程を経て生産されたLCDドライバにおいては、構成するトランジスタの特性にばらつきが生じるため、諧調特性も均質ではなくなる。上記のように高精度の諧調特性が要求されるようなLCDドライバにおいては、このようなトランジスタのばらつきは、特に顕著な問題となる。
【0004】
これに対し、本発明者らが検討したLCDドライバでは、製造後にトリミングと称される諧調特性の調整が施され、最適な状態で出荷される。これには、トリマーと称される外付けの可変抵抗などで、諧調のずれている箇所を適正化するのが一般的であった。一方、本発明者らの検討によれば、近年のLCDの需要動向として、移動通信端末などへの搭載が急速に増加していることなどから、LCDドライバ自体の小型チップ化、低コスト生産化の要求などがなされている。従って、本発明者らは、上記のトリミング機能を、LCDドライバの半導体チップ内に予め備え、製造段階で諧調特性を調整し、出荷する技術を検討した。
【0005】
このとき、諧調特性の調整に関する情報を記憶し、出荷後の電源印加の無い状態でもその情報を保持し続けるような、比較的小容量で信頼性の高い不揮発性メモリ(または、電気ヒューズともいう)が必要となる。
【0006】
本発明者らによる上記の検討から、LCDドライバの諧調特性を調節する不揮発性メモリは、LCDドライバと同時に同一の半導体チップ上に形成され、なるべく容易な製造工程で形成されるのが望ましい。例えば、特開2007−110073号公報(特許文献1)には、MIS構造において、チャネル反転領域からのFN(Fowler-Nordheim)トンネリング現象により絶縁膜を透過してくるキャリアをゲート電極に蓄積することで情報を保持する不揮発性メモリのうち、単層の電荷蓄積層を有する半導体装置が開示されている。
【0007】
一般的な不揮発性メモリに比べ、単層の電荷蓄積層により構成される不揮発性メモリは、その製造工程が比較的容易であり、LCDドライバを形成する工程をそのまま利用して製造することができる。製造工程が容易であることは、半導体装置の製造歩留まりの向上や、製品の信頼性の向上に対して有効である。
【特許文献1】特開2007−110073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、LCDドライバと同一の半導体チップに、上記のような単層の電荷蓄積層を有する不揮発性メモリを備える半導体装置を本発明者らが検討したところ、以下に示すような課題が見出された。
【0009】
一般的に、電荷を蓄積することで情報を保持するタイプの不揮発性メモリは、電荷を蓄積する容量部と、書き込み、読み出し、消去動作を行うMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造、またはMIS構造を備える電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)(以下、単にMISトランジスタ)とを有する。通常、上記の書き込み、読み出し、消去動作を行うMISトランジスタは同一のトランジスタである。
【0010】
ここで、上記の単層の電荷蓄積層を有する不揮発性メモリにおいて、書き込み、読み出し、消去動作を同一のMIS構造に担わせたタイプの不揮発性メモリを本発明者らが検討したところ、以下の課題が見出された。
【0011】
即ち、書き込み動作時において、電圧を印加するタイミングによって、誤動作、書き込み不良、または、素子破壊などが起きることが明らかとなった。結果として、不揮発性メモリとしての半導体装置の信頼性を低下させる原因となっていることが分かった。本発明者らの更なる検討によれば、これらは、通常のトランジスタとしての動作を行う読み出し動作用のMISトランジスタと、キャリアの授受を行う書き込み/消去用MIS構造のように、要求される動作特性の異なるMIS構造を同一のMISトランジスタで共用し、同一のウェル内に形成されていることが原因であることが分かった。
【0012】
そこで、本発明者らの更なる検討では、上記の2種類のMIS構造を分け、異なるウェルに形成することを着想した。即ち、不揮発性メモリ1セル内に、容量部を形成するウェル、書き込み/消去用MIS構造を形成するウェル、および、読み出し用MISトランジスタを形成するウェルの3つのウェルを備えた、単層の電荷蓄積層を有するタイプの不揮発性メモリを導入することで、上記課題の解決を試み、信頼性の低下を招く特性上の課題は回避することができた。
【0013】
しかし、上記のようにLCDの更なる高詳細化の要求に、近年のLCDの携帯移動通信端末などへの搭載の需要などが相俟って、LCDドライバには更なる小型化、高集積化が要求されるようになっており、上記のような1セル3ウェルタイプの不揮発性メモリでは、所望の容量を所望の占有面積の中に収めるのが困難であることが分かった。特に、本発明者らが検討した構造の不揮発性メモリでは、例えば2kbitの集積度の実現が困難であることが明らかになった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、同一チップ内に不揮発性メモリを備える半導体装置において、集積度を向上させる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本発明書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願においては、複数の発明が開示されるが、そのうち一実施例を例に概要を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0017】
即ち、共通の浮遊電極を備えるデータ書き込み/消去用素子と、読み出し用電界効果トランジスタと、容量素子とを有する不揮発性メモリセルにおいて、上記データ書き込み/消去用素子と読み出し用電界効果トランジスタとは、半導体基板の主面上に配置された同一の第1導電型の第2半導体領域内において、電気的に接続されるようにして形成され、上記容量素子は、第2半導体領域と分離された状態で、かつ、第2半導体領域に沿うようにして配置された第1導電型の第3半導体領域内に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される複数の発明のうち上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0019】
即ち、同一チップ内に不揮発性メモリを備える半導体装置において、集積度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本発明者らが検討した半導体装置が有する不揮発性メモリセルの構成、および、その特性に見出された課題について説明する。
【0022】
図1は、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaの平面図を示したものである。図1には、不揮発性メモリセルNVMaの構成を分かりやすくするために、半導体領域にハッチングを付し、その他の例えば絶縁膜などは省略して示している。また、図2は図1のx1−x1線の断面図を示したものである。
【0023】
半導体チップを構成する半導体基板1は、例えばp型(第2導電型)のシリコン単結晶により形成されている。半導体基板1の主面S1には分離部2が形成されている。半導体基板1には、その主面S1から所望の深さに渡って、n型(第1導電型)の半導体領域である、埋め込みnウェルDNWxが形成されている。この埋め込みnウェルDNWxには、p型の半導体領域である、動作素子形成用pウェルPWx1およびキャパシタ形成用pウェルPWx2が、第1方向Xに延在するようにして形成されている。同様に、埋め込みnウェルDNWxには、n型の半導体領域である、分離用nウェルNWが形成されている。埋め込みnウェルDNWxの中で、動作素子形成用pウェルPWx1およびキャパシタ形成用pウェルPWx2は、分離用nウェルNWにより分離された状態で内包されている。
【0024】
半導体基板1の主面S1には浮遊電極FGxが形成されている。浮遊電極FGxは、例えば多結晶シリコン(ポリシリコンともいう)などからなるものとする。
【0025】
浮遊電極FGxは、動作素子用浮遊ゲート電極GExMと、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCとを有する。また、浮遊電極FGxは他のいかなる部分にも電気的に接続されないように、所謂浮遊(フローティング)状態となるように配置されている。このようにフローティング状態にある浮遊電極FGxは、データを保持する役割を担う。
【0026】
また、半導体基板1の主面S1には、動作素子形成用pウェルPWx1の一部に平面的に重なるように、かつ、浮遊電極FGxが有する動作素子用浮遊ゲート電極GExMに沿うようにして、選択素子用ゲート電極GExSが形成されている。
【0027】
動作素子形成用pウェルPWx1内には、動作用MIS型電界効果トランジスタQMx、および、選択用MIS型電界効果トランジスタQSxが形成されている。以下、MIS型電界効果トランジスタを単にトランジスタと記す。動作用トランジスタQMxは、不揮発性メモリセルNVMaにおけるデータの書き込み、読み出し、消去等の動作を担う素子である。また、選択用トランジスタQSxは、半導体チップの中で配列されている多数の不揮発性メモリセルNVMaの中から、周囲のセルに干渉せずに上記の動作を施すために所望の不揮発性メモリセルNVMaを選択する役割を担う。詳しい動作に関しては、後に詳細に説明する。
【0028】
動作用トランジスタQMxは下記の構成を有する。まず、上記の動作素子用浮遊ゲート電極GExMを有する。また、動作素子用浮遊ゲート電極GExMおよび半導体基板1の間に形成された動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを有する。また、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部に位置し、動作素子形成用pウェルPWx1に内包されるようにして半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である、1対のソース/ドレイン領域SDxを有する。この1対のソース/ドレイン領域SDxにおいて、ここでは特に、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部のうち、選択素子用ゲート電極GExSが存在する側に形成されている方を、共有ソース/ドレイン領域SDCxとし、もう一方を動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxと記述する。
【0029】
なお、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、各ソース/ドレイン領域SDx,SDSx、または、キャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCxとは、低い不純物濃度で接合深さの浅い半導体領域と、高い不純物濃度で接合深さの深い半導体領域とを含む。例えば、上述の1対のソース/ドレイン領域SDxの場合、接合深さの浅い半導体領域はn−半導体領域であり、接合深さの深い半導体領域はn+半導体領域である。
【0030】
選択用トランジスタQSxは下記の構成を有する。まず、上記の選択素子用ゲート電極GExSは選択トランジスタQSxを構成するものである。また、選択素子用ゲート電極GExSおよび半導体基板1の間に形成された選択素子用ゲート絶縁膜GIxSを有する。また、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCxは、上記の動作素子用浮遊ゲート電極GExMの側方下部から、選択素子用ゲート電極GExSの側方下部まで延在し、選択用トランジスタQSxを構成する要素にもなっている。即ち、当該共有ソース/ドレイン領域SDCxを、動作用トランジスタQMxと選択用トランジスタQSxとの間で共有することで、これらは電気的に直列に接続された状態となっている。また、選択素子用ゲート電極GExSの側方下部に位置し、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCxが形成されていない側の半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である選択素子用ソース/ドレイン領域SDSxを有する。
【0031】
また、各ゲート電極GExM,GExSの側壁にはサイドウォールスペーサ3が形成されている。また、各ソース/ドレイン領域SDCx,SDMx,SDSxの表面、および、選択素子用ゲート電極GExSの表面には、シリサイド層4が形成されている。また、動作素子形成用pウェルPWx1における半導体基板1の主面S1の一部には、p型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMxが、他の構成と分離部2を隔てて形成されている。
【0032】
また、キャパシタ形成用pウェルPWx2内には、MISキャパシタCxが形成されている。MISキャパシタCxは、不揮発性メモリセルNVMaにおいて上記の動作用トランジスタQMxなどへの電圧供給効率を向上させる役割を担う素子である。
【0033】
MISキャパシタCxは以下の構成を有する。まず、上記のキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCを有する。また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCおよび半導体基板1の間に形成されたキャパシタ用ゲート絶縁膜GIxCを有する。また、キャパシタ形成用pウェルPWx2内において、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、p型の半導体領域であるキャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCxを有する。
【0034】
また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCの側壁にはサイドウォールスペーサ3が形成されている。キャパシタ用ウェル給電領域VSCx、および、キャパシタ用ソース領域SCxの表面には、シリサイド層4が形成されている。
【0035】
更に、半導体基板1の主面S1上には、層間絶縁膜5が形成されている。層間絶縁膜5は、絶縁膜5aと、その上に形成された絶縁膜5bとを有している。層間絶縁膜5には、コンタクトホールCHが形成され、その中を埋め込む導体部6によって、不揮発性メモリセルNVMaを構成する所望の領域に対して、シリサイド層4を介して電気的に接続される各コンタクトプラグCPx1〜CPx6を構成している。その中で、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいては、複数個所に存在する上記の容量ウェル給電用コンタクトプラグCPx4、および、キャパシタ用コンタクトプラグCPx5は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0036】
キャパシタ用浮遊ゲート電極GExC、および、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの上面には保護絶縁膜PIが形成されており、その部分にシリサイド層4が形成されないようにしている。即ち、不揮発性メモリセルNVMaの選択素子用ゲート電極GExS上にはシリサイド層4が形成されており、不揮発性メモリセルNVMaの各浮遊ゲート電極GExC,GExM上にはシリサイド層4が形成されないように構成されている。なお、保護絶縁膜PIは、例えば、酸化シリコン膜などによって形成されている。
【0037】
このような保護絶縁膜PIを形成する理由を以下に述べる。浮遊電極FGxは自己性合成のコンタクトを形成するための窒化シリコン膜(絶縁膜5a)で覆われている。この絶縁膜5aは、プロセスの低温化のため、例えばプラズマを用いた化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などで形成される。窒化シリコン膜は導電性を持たないが、膜生成時のガス流量比や、プラズマの立ち上がり具合によっては、僅かに導電性を有することがある。そのような場合、浮遊電極FGxに蓄えられた電荷はこの窒化シリコン膜を伝わって基板に流出する可能性がある。このため、メモリのデータ保持ができないという不具合を起こし得ることが、本発明者らの検討により明らかになっている。このような問題を解決すべく、浮遊電極FGxと窒化シリコン膜(絶縁膜5a)との間に、酸化シリコン膜からなる保護絶縁膜PIを挟む構造としており、浮遊電極FGxから窒化シリコン膜への電荷の移動を防止している。
【0038】
また、この保護絶縁膜PIは各浮遊ゲート電極GExM,GExCのサイドウォールスペーサ3の端部から、ゲート長方向に延在するように形成されている。これにより、不揮発性メモリセルNVMaのシリサイド層4は保護絶縁膜PIに対して自己整合的に形成されることになる。
【0039】
上記のようにして保護絶縁膜PIを形成している理由を、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaの動作用トランジスタQMxを例にして説明する。例えば、保護絶縁膜PIを形成せずに、シリサイド層4をサイドウォールスペーサ3に対して自己整合的に形成した場合、シリサイド層4の端部が、例えば一対のソース/ドレイン領域SDxのn+半導体領域と動作素子形成用pウェルPWx1との接合面に近付いてしまう。さらに、一対のソース/ドレイン領域SDxのn−半導体領域は接合深さが非常に浅い領域であるので、シリサイド層4がn−半導体領域を超えて動作素子形成用pウェルPWx1に達してしまう場合もある。即ち、保護絶縁膜PIが形成されていない場合には、n+半導体領域の上面に形成されたシリサイド層4の端部から、n−半導体領域の下の動作素子形成用pウェルPWx1に向かってリーク電流が流れやすい構成となってしまう。従って、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、保護絶縁膜PIを形成し、シリサイド層4をn−半導体領域から話した構造としているので、リーク電流が流れにくい構造とすることができる。
【0040】
また、保護絶縁膜PIは、半導体基板1の他の領域に形成される抵抗素子等(図示しない)にも用いられている。保護絶縁膜PIによって、半導体基板1や、例えば多結晶シリコン膜上に、選択的にシリサイド層4を形成することができる。これにより、例えば抵抗素子などにおいて所望の抵抗値を得ることができる。
【0041】
以上のように、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、保護絶縁膜PIは上記の効果を同時に達成するものである。
【0042】
次に、本発明者らが検討した上記の構成の不揮発性メモリセルNVMaのメモリ動作に関して、図2、図3を用いて詳細に説明する。以下、動作ウェル給電用コンタクトプラグCPx1に印加される電圧を動作部ウェル電圧Vm、動作素子用コンタクトプラグCPx2に印加される電圧を動作部ソース電圧Vs、選択素子用コンタクトプラグCPx3に印加される電圧を読み出しドレイン電圧Vd、容量ウェル給電用コンタクトプラグCPx4およびキャパシタ用コンタクトプラグCPx5に印加される電圧をキャパシタ部印加電圧Vcと、それぞれ表す。
【0043】
まず、書き込み動作を説明する。キャパシタ部印加電圧Vcを+9Vとすることで、キャパシタ用ウェル給電領域VSCxを通じて、キャパシタ形成用pウェルPWx2に+9Vの電圧が印加される。このとき、MISキャパシタCxのもう一方の電極であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCでは、キャパシタ用ゲート絶縁膜GIxCを介して−9Vに相当する電荷が蓄積される。
【0044】
ここで、フローティング状態にあるキャパシタ用浮遊ゲート電極GExCには、浮遊電極FGxのうち、MISキャパシタCxを構成していない部分から、−9Vに相当する電荷が供給されることになる。即ち、浮遊電極FGx全体の電荷保存のために、動作素子用浮遊ゲート電極GExMは+9Vに帯電することになる。
【0045】
これにより、動作用トランジスタQMxでは、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを介して、動作素子形成用pウェルPWx1に電界がかかる。そして、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMとの界面に所謂反転領域が生じ、少数キャリアである電子が蓄積する。
【0046】
更に、動作部ウェル電圧Vmは−9Vとされているから、動作素子形成用pウェルPWx1と、動作素子用浮遊ゲート電極GExMとの間には、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを介して18Vに相当する電圧が印加されていることになる。そして、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを十分薄くしている。従って、この状態で、反転領域に生じた電子は18V相当の高電界を受け、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMをFNトンネリングにより越えて、動作素子用浮遊ゲート電極GExMに注入される。
【0047】
なお、−9Vが印加された動作部ソース電圧Vsからは、反転領域に潤滑に電子eが供給される。また、選択用トランジスタQSxをオン状態とし、読み出しドレイン電圧Vdに−9Vを印加すれば、こちらからも同様の電子の供給が可能となる。
【0048】
以上のように、浮遊電極FGxには動作用トランジスタQMxの反転領域全面からのFNトンネリングにより電子が注入され、浮遊電極FGxは負に帯電する。そして、浮遊電極FGxはフローティング状態にあるので、その後、特定の電圧印加条件とならない限り、この蓄積電荷を保持し続ける。即ち、以上の動作により、不揮発性メモリセルNVMaセルにデータが書き込まれたことになる。
【0049】
次に、読み出し動作を説明する。まず、キャパシタ部印加電圧Vc=+3Vとした場合、上記と同様に、MISキャパシタCxを構成する一方の電極である、キャパシタ用浮遊ゲート電極GExCに−3Vの帯電が起こる。
【0050】
このとき、浮遊電極FGxが上記の書き込み動作を受けておらず、帯電していない場合、動作素子用浮遊ゲート電極GExMは+3Vに帯電する。また、浮遊電極FGxが書き込みを経て負に帯電していた場合、電荷保存のために、動作素子用浮遊ゲート電極GExMの電位は+3Vよりも低くなる。即ち、動作用トランジスタQMxにしてみれば、書き込みの有無によって、オン状態となる閾値電圧が変化することになる。
【0051】
ここで、選択用トランジスタQSxをオン状態としておけば、読み出しドレイン電圧Vd(=+1V)と動作部ソース電圧Vs(=0V)との間の電位差により、ソース/ドレイン電流が流れることになる。このとき、動作用トランジスタQMxの閾値電圧の高低、即ち、データ書き込みの有無によって、ソース/ドレイン電流の大きさに変化が現れる。これにより、書き込みデータの有無を判断することができ、読み出し動作が可能となる。
【0052】
次に、消去動作を説明する。ここでは、上記で説明した書き込み動作を実行する電圧印加条件の逆の条件とすることで、電子の挙動を全て逆にすることができる。即ち、書き込み動作により動作素子用浮遊ゲート電極GExMに蓄積された電子を、FNトンネリングにより、動作素子用ゲート絶縁膜GIxMを越えて、動作素子形成用pウェルPWx1に放出させることができる。これにより、消去動作が可能となる。
【0053】
なお、上記の消去時における電子の供給源(ソース)は、導体部である動作素子用浮遊ゲート電極GExM側であるから、書き込み動作時のように動作素子形成用pウェルPWx1に反転領域を形成する必要は無く、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdは、消去動作時には開放(オープン、又はopen)状態とすれば良い。
【0054】
以上のようにして、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、データの書き込み、読み出し、消去動作が可能となる。しかしながら、書き込み時における動作不良が、各領域への電圧印加のタイミングのずれによって引き起こされるという問題が、本発明者らの検討により見出された。以下にその詳細を説明する。
【0055】
本発明者らが見出した、書き込み動作時に起こる問題は、主に、n型の半導体領域である各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSxと、p型の半導体領域である動作素子形成用pウェルPWx1とで構成されるpn接合に起因する。本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは両者に対して電圧を印加するため、これらpn接合は寄生ダイオードを構成することになる。
【0056】
ここで、書き込み動作時においては、動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxおよび選択素子用ソース/ドレイン領域SDSxに印加される電圧である、それぞれ、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdは同等である。また、選択用トランジスタQSxがオン状態であれば、共有ソース/ドレイン領域SDCxの電位もこれらと同等となる。よって以下では、同等である各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSxへの印加電圧を、動作部ソース電圧Vsとして一括して記述することにする。また、以下では、便宜上、pn接合の順方向電圧である、n型半導体(各ソース/ドレイン領域SDMx,SDCx,SDSx)側から見たp型半導体(動作素子形成用pウェルPWx1)側の電位を正電位とし、pn接合間電位差ΔVpnと記述する。即ち、pn接合間電位差ΔVpn=動作部ウェル電圧Vm−動作部ソース電圧Vsである。
【0057】
上記において説明したように、書き込み動作時は、動作部ウェル電圧Vmおよび動作部ソース電圧Vsには、共に−9Vの電圧を印加する。従って、通常pn接合間電位差ΔVpn=0Vである。ただし、動作部ウェル電圧Vmと動作部ソース電圧Vsとでは、書き込み時には上記の通り同電圧を印加するとしても、他の動作時には異なる電圧が印加される。従って、これらには別の電圧源から給電することになり、この時の給電のタイミングのずれが、以下の問題をもたらすことが分かった。
【0058】
図3は、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて書き込み動作を行うときの、動作部ウェル電圧Vmおよび動作部ソース電圧Vsの変化を時間timeで比較したタイミングチャート図である。
【0059】
時間time=t1mにおいて、動作部ウェル電圧Vmが−9Vに降圧される。ここで、動作部ソース電圧Vsの降圧のタイミングが遅れ、時間time=t1sにおいて動作部ソース電圧Vsが−9Vに降圧されたとする。このとき、差分時間Δt1(=t1s−t1m)の間、動作素子形成用pウェルPWx1と、例えば動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxとの間には、pn接合間電位差ΔVpn=−9Vの電位差が生じることになる。これは、当該pn接合に対しての逆方向電圧となる。
【0060】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、当該pn接合の逆方向耐圧は−6V程度であり、上記のpn接合間電位差ΔVpn=−9Vでは、耐圧破壊を引き起こす。即ち、降伏電圧以上の逆方向電圧により、アバランシェ効果、ツェナー効果が顕著になり、大きな逆方向電流が急激に流れ出す。このように寄生的に発生する逆方向電流は、例えばラッチアップ現象を引き起こすなど、不揮発性メモリセルの性能を損ねる原因となる。
【0061】
一方、上記と違う状況において、時間time=t2sにおいて、動作部ソース電圧Vsが−9Vに降圧される。ここで、動作部ウェル電圧Vmの降圧のタイミングが遅れ、時間time=t2mにおいて動作部ウェル電圧Vmが−9Vに降圧されたとする。このとき、差分時間Δt2(=t2m−t2s)の間、pn接合間電位差ΔVpn=+9Vの電位差が生じることになる。これは、当該pn接合に対して順方向電圧となる。従って、動作素子形成用pウェルPWx1から、例えば動作素子用ソース/ドレイン領域SDMxを通じて、例えば動作素子用コンタクトプラグCPx2には、当該pn接合の順方向電流が流れる。
【0062】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、例えば動作素子用コンタクトプラグCPx2の先には、+9V以下で動作する素子が多数接続されている。従って、上記のように寄生的に発生する順方向電流は、誤動作や、他の構成素子の破壊などを引き起こすなど、不揮発性メモリの信頼性を損ねる原因となる。
【0063】
そこで、本発明者らの更なる検討として、動作部ソース電圧Vsと動作部ウェル電圧Vmとの間の降圧タイミングのずれが起こった場合でも、上記のような寄生的pn接合で発生する順方向または逆方向電流が悪影響を及ぼさないように、動作部ソース電圧Vsおよび読み出しドレイン電圧Vdを開放状態とする方法を試みた。
【0064】
これに関し、多数の素子を結線することで構成される集積回路において、特定の素子に導通する端子を物理的に完全に開放状態にすることは困難であり、実際には0V程度の固定電位となってしまう。この状態では、動作部ウェル電圧Vm=−9Vを受け、当該pn接合付近には空乏領域が広がる。そして、動作素子形成用pウェルPWx1の電界は上記の空乏領域に集中する。
【0065】
ここで、図2を用いて説明した書き込み動作では、動作素子用浮遊ゲート電極GExM(+9V)と動作素子形成用pウェルPWx1(−9V)との間の電位差(18V)によって、動作素子用ゲート絶縁膜GIxM直下の反転領域から浮遊電極FGxに、電子eをFNトンネリングさせるという方式であった。このとき、上記のように、動作素子形成用pウェルPWx1に供給される電圧による電界が、反転領域以外の場所に集中し、緩和されてしまうと、反転領域から見た動作素子用浮遊ゲート電極GExMへの電位差が18Vよりも大幅に低くなってしまう。即ち、上記の電界緩和が原因で、電子の正常なFNトンネリングが実現せず、書き込み不良を引き起こすという問題が、本発明者らの検討により明らかになった。結果として、不揮発性メモリセルNVMaの信頼性を損ねる原因となっている。
【0066】
これらの問題は、書き込み動作、読み出し動作、消去動作のそれぞれを、同一の素子が担っていることに主因がある。より具体的には以下の通りである。
【0067】
本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMaでは、上記の動作素子として、MIS構造を有する電界効果トランジスタが用いられる。ここで、読み出し動作のためには、ウェルと逆導電型のソース/ドレイン領域を要し、書き込み動作のためには、ウェルと同じ導電型の給電領域を要する。従って、給電のタイミングずれを避けるためにこれらを同一にすることは、異なる導電型を要することから不可能である。更に、タイミングずれの悪影響を防止するために、寄生pn接合に接続される端子を開放状態としても、空乏領域の電解緩和による書き込み不調を招く。即ち、少なくとも、書き込み動作素子と、読み出し動作素子を同一の素子とする本構造では、上記の問題を解決するのは困難であることが、本発明者らの検討により明らかになった。
【0068】
そこで、本発明者らは、書き込み・消去動作用の素子を、読み出し動作用の素子と分け、別のウェルの中に設けた構造を有する不揮発性メモリセルを検討した。その平面図を図4に示し、図4のx2−x2線の断面図を図5に示す。
【0069】
本発明者らが検討した他の不揮発性メモリセルNVMbは、先に図1、図2を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMaと同様の構成である動作用トランジスタQMx、選択用トランジスタQSx、および、MISキャパシタCxを有する。特に、動作用トランジスタQMxおよび選択用トランジスタQSxは同一の動作素子形成用pウェルPWx1内に、また、MISキャパシタCxはキャパシタ形成用pウェルPWx2内に形成されている。上記pウェルPWx1,PWx2は、埋め込みnウェルDNWxの中に、分離用nウェルNWによって分離された状態で、形成されている。
【0070】
これに加え、同一の埋め込みnウェルDNWx内に書き込み素子形成用pウェルPWx3を有する。この書き込み素子形成用pウェルPWx3内には、書き込み用素子WDxが形成されている。これは、書き込み、消去動作を行う専用の素子として、読み出し動作を行う動作用トランジスタQMxと分けて形成されたものである。
【0071】
書き込み用素子WDxは、浮遊電極FGxが書き込み素子形成用pウェルPWx3と平面的に重なる部分である書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWを有する。また、書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWと半導体基板1との間に形成された、書き込み素子用ゲート絶縁膜GIxWを有する。また、平面的に見て、書き込み素子用浮遊ゲート電極GExWを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に、n型の半導体領域である書き込み素子用ソース領域SWx、および、p型の半導体領域である書き込み素子用ウェル給電領域VSWxを有する。また、書き込み素子用ソース領域SWxには、シリサイド層4を介して、書き込み素子用コンタクトプラグCPx7が電気的に接続されている。また、書き込み素子用ウェル給電領域VSWxには、シリサイド層4を介して、書き込みウェル給電用コンタクトプラグCPx8が電気的に接続されている。
【0072】
上記のように、書き込み動作を行う書き込み用素子WDxを、読み出し動作を行う動作用トランジスタQMxと分ける構成としたことで、以下の利点が得られる。即ち、書き込み用素子WDxにおいて、動作用トランジスタQMwのようなソース/ドレイン領域を両方形成する必要がなくなり、少なくとも片方を、書き込み素子形成用pウェルPWx3と同じ導電型の書き込み素子用ウェル給電領域VSWxとし、当該書き込み素子形成用pウェルPWx3への給電機構とすることができる。更に、書き込み用素子WDxを用いる書き込み動作時および消去動作時には、書き込み素子用ソース領域SWxと書き込み素子用ウェル給電領域VSWxとには、常に同様の電圧が印加される。従って、書き込み素子用コンタクトプラグCPx7と書き込みウェル給電用コンタクトプラグCPx8とは、上層において接続され、同時に同様の電圧を印加できる構成として良い。結果として、書き込み動作時に起こる給電のタイミングのずれに起因した、動作不良、素子破壊など、不揮発性メモリの信頼性を低下させる原因を排除することができる。
【0073】
しかし、本発明者らの検討では、図4、図5を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMbは、今後更に要求される高集積化、大容量化に適さないという。なぜなら、構成として3つのウェルを用いており、当初検討した不揮発性メモリセルNVMaが2つのウェルで構成されるのに比べて、表面積が大きいと言えるからである。
【0074】
このように、動作の安定性を考慮すれば、書き込み用の素子と読み出し用の素子とを分けた3ウェル構成の不揮発性メモリセルNVMbが有意であり、集積能を考慮すれば、2ウェル構成の不揮発性メモリセルNVMaが有意であると言える。即ち、LCDドライバに用いる不揮発性メモリにおいて、本発明者らが検討した技術では、信頼性の要求と、高集積化の要求とが、トレードオフの関係にあり、信頼性の低下をもたらすことなく、集積度を向上させるのが困難であることを見出した。
【0075】
次に、本実施の形態1の半導体装置について説明する。
【0076】
通常、半導体装置の製造工程中は、例えば単結晶シリコン(Si)などを母材とした高純度の半導体材料をウェハと称される平面略円形の薄板の状態で扱う。そして、その主面を、後に半導体チップとなる領域に分け、多数のチップ領域に同様の素子群を一括して形成することで、所望の回路機能を有する半導体集積回路を備えた半導体チップを形成する。
【0077】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリは、LCDドライバを形成する半導体チップと同一のチップ内に形成される。以下では、特にLCDドライバを構成する、例えば種々の動作電圧の電界効果トランジスタからなる回路を形成する領域を主回路形成領域と称し、不揮発性メモリを形成する領域を不揮発性メモリ領域と称する。
【0078】
図6は、本実施の形態1で例示する、半導体チップ上に形成された半導体装置のうち、不揮発性メモリ領域に形成された不揮発性メモリセルNVMにおける1セル分の平面図を示したものである。1セルとは、1bitの単位情報を記憶する領域を表す。図6には、不揮発性メモリセルNVMの構成を分かりやすくするために、半導体領域にハッチングを付し、その他の例えば絶縁膜などは省略して示している。以下、平面図に関しては特に断りの無い限り同様であるとする。また、図7は図6のx3−x3線の断面図を示した。
【0079】
半導体チップを構成する半導体基板1は、例えばp型(第2導電型)のシリコン単結晶により形成されている。p型とは、例えばIV族の元素からなるシリコンなどにおいて、ホウ素(B)などのIII族の元素を含有した状態であり、多数キャリアが正孔(ホールともいう)であるような半導体材料の導電型を表す。以下、p型の導電型に関しては同様であるとする。半導体基板1は厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する主面(第1主面)S1および裏面(第2主面)(図示しない)を有する。図6は、例えば主面S1に形成された不揮発性メモリセルNVMの構成を見るために半導体基板1を主面S1側から見た図であり、図7においてはこの主面S1側の要部を拡大して示している。
【0080】
半導体基板1の主面S1には分離部2が形成されている。ここで分離部2は、例えば半導体基板1の主面S1に形成された浅溝内に酸化シリコン等からなる絶縁膜を埋め込むことで形成された、所謂STI(Shallow Trench Isolation)と称される溝型の分離部2であるとする。
【0081】
半導体基板1には、その主面S1から所望の深さに渡って、n型(第1導電型)の半導体領域である埋め込みnウェル(第1半導体領域)DNWが形成されている。n型とは、例えばIV族の元素からなるシリコンなどにおいて、リン(P)やヒ素(As)などのV族の元素を含有した状態であり、多数キャリアが電子であるような半導体材料の導電型を表す。以下、n型の導電型に関しては同様であるとする。
【0082】
埋め込みnウェルDNWには、p型の半導体領域である動作素子形成用pウェル(第2半導体領域)PW1、および、同じくp型の半導体領域であるキャパシタ形成用pウェル(第3半導体領域)PW2が、埋め込みnウェルDNWに内包された状態で形成されている。これらの両pウェルPW1,PW2は、第1方向Xに延在するようにして、かつ、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って並ぶようにして形成されている。また、これらの両pウェルPW1,PW2の不純物濃度はそれぞれ同程度であり、また、半導体基板1の不純物濃度よりも高いものとする。
【0083】
動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2の外周には、それらを取り囲むように、かつ、埋め込みnウェルDNWよりも浅い位置に渡って、分離部2が形成されている。
【0084】
この分離部2の底部には、n型の半導体領域である分離用nウェルNWが形成されている。分離用nウェルは、埋め込みnウェルDNWよりも浅い位置に渡って形成されている。分離用nウェルNWは外部から電気的な導通を取れるような機構を有しており(図示しない)、所望の電位とすることができる。
【0085】
以上の構成により、動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2は、第1方向Xに互いに沿うようにして、かつ、第2方向Yに沿って並ぶようにして、埋め込みnウェルDNWに内包されるように配置されている。更に、動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2は、その外周を取り囲む分離部2とその底部に形成された分離用nウェルNWにより、互いに電気的に分離された状態で配置されている。
【0086】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1、および、キャパシタ形成用pウェルPW2に平面的に重なるようにして配置され、以下に示す構成を有する。
【0087】
第1に、不揮発性メモリセルNVMは、半導体基板1の主面S1において、動作素子形成用pウェルPW1の一部、および、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に、平面的に重なるようにして配置された浮遊電極FGを有する。浮遊電極FGは、例えば多結晶シリコンなどを母材とする導体膜からなるものとする。また、浮遊電極FGは、他のいかなる部分にも電気的に接続されていないような、浮遊状態であるように配置されている。このように浮遊状態にある浮遊電極FGは、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、データを保持する役割を担う。
【0088】
ここで、例えば、一般的な半導体装置における同様のゲート電極を形成する際に、コンタクトを形成するために、導体膜などを形成する工程がある。本実施の形態1においては、上記の浮遊電極FGの表面を、例えば酸化シリコン膜などの保護絶縁膜PIで覆っても良い。これにより、導体膜の形成工程などから保護し、他の箇所からの絶縁性を高めることができる。
【0089】
第2に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、書き込み/消去用素子(データ書き込み/消去用素子)WDを有する。書き込み/消去用素子WDは、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主にデータの書き込みと、消去動作を担う素子である。
【0090】
第3に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、読み出し用トランジスタ(読み出し用電界効果トランジスタ)QRを有する。読み出し用トランジスタQRは、後に詳細を説明するように、MIS型の電界効果トランジスタであり、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主にデータの読み出しを担う素子である。
【0091】
上記のように、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、データの書込みと消去を担う書込み/消去用素子WDと、データの読み出しを担う読み出し用トランジスタQRとを別素子としつつ、1つの動作素子形成用pウェルPW1に形成している。これにより、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMは、上記で図4、図5を用いて説明した、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbにおける、書き込み・消去を担う素子を単独で形成する書き込み素子形成用pウェルPWx3を必要としない。結果として、不揮発性メモリセルNVMの面積を縮小させることができる。
【0092】
第4に、不揮発性メモリセルNVMは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された、選択用トランジスタ(選択用電界効果トランジスタ)QSを有する。一般的なメモリ装置では、半導体チップの中でメモリセルが規則的な配列をなして配置されている。本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMが有する選択用トランジスタQSは、メモリ配列の中から所望の不揮発性メモリセルNVMを選択する際、周囲のセルへの干渉を防ぐために、上記の選択用トランジスタQSがスイッチとして各セル内に配置されている。これにより、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態1において、選択用トランジスタQSは、上記の読み出し用トランジスタQRに電気的に直列に接続されているものとする。
【0093】
第5に、不揮発性メモリセルNVMは、キャパシタ形成用pウェルPW2に形成された、MISキャパシタ(容量素子)Cを有する。MISキャパシタCは、後に詳細を説明するように、MIS構造からなる容量素子(キャパシタ、コンデンサ、カップリングコンデンサ)である。本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいて、主に、書込み/消去用素子WDなどへの電圧供給効率を向上させる役割を担う素子である。
【0094】
以下では、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMが有する、上記第1〜第5の要素に関して、それぞれの構成を詳細に説明する。
【0095】
第1に、浮遊電極FGは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極(第1浮遊ゲート電極)GEWと、読み出し素子用浮遊ゲート電極(第2浮遊ゲート電極)GERと、キャパシタ用浮遊ゲート電極(第3浮遊ゲート電極)GECとを一体的に有している。
【0096】
ここで、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWは、浮遊電極FGのうち、動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なる位置から、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に至るまで、第1方向Xと交差する第2方向Yに延在するようにして配置された部分である。
【0097】
また、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERは、浮遊電極FGのうち、動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なる位置から、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に至るまで、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと距離を隔てて沿うようにして配置された部分である。即ち、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと読み出し素子用浮遊ゲート電極GERとは、動作素子形成用pウェルPW1の配置範囲内においては、互いに分離されている。
【0098】
また、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECは、浮遊電極FGのうち、キャパシタ形成用pウェルPW2の一部に平面的に重なるようにして配置された部分である。
【0099】
ここで、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの第1方向Xにおける幅は、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWおよび読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの第1方向Xにおける幅よりも、大きいものとする。
【0100】
以上のように、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEW、読み出し素子用浮遊ゲート電極GER、および、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECは浮遊電極FGの一部であり、同一層内に配置されているものとする。後に詳細を記述するように、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの基本的な構成要素としては、種々の配線層等を除けば、この一層の浮遊電極FGが導体膜の最上層となる。従って、例えば種々の動作電圧である電界効果トランジスタなどの主回路形成領域への形成と同様の工程で、不揮発性メモリ領域に不揮発性メモリセルNVMを形成することができる。結果として、生産性、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0101】
第2に、書き込み/消去用素子WDは、上記浮遊電極FGの一部である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWを有する。
【0102】
また、書き込み/消去用素子WDは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWおよび半導体基板1の間に形成された、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)GIWを有する。書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0103】
また、書き込み/消去用素子WDは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと読み出し素子用浮遊ゲート電極GERとに挟まれた領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域(第4半導体領域)SDCを有する。共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度は、同じn型の半導体領域である埋め込みnウェルDNWおよび分離用nウェルNWの不純物濃度よりも高いものであるとする。
【0104】
ここで、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCは、平面的に見て、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、共有ソース/ドレイン領域SDC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx1を有する。n型エクステンション領域nx1の不純物濃度は、同じn型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度よりも低いものであるとする。以下、n型の半導体領域であるエクステンション領域の不純物濃度に関しては、特に断らない限り同様であるとする。
【0105】
また、書き込み/消去用素子WDは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCと対をなすことで、上記の書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、p型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域(第5半導体領域)VSMを有する。動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子形成用pウェルPW1およびキャパシタ形成用pウェルPW2の不純物濃度よりも高いものであるとする。
【0106】
ここで、上記の動作素子用ウェル給電領域VSMは、平面的に見て、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、動作素子用ウェル給電領域VSM自体よりも浅い領域に形成された、p型エクステンション領域px1を有する。p型エクステンション領域px1の不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度よりも低いものであるとする。以下、p型の半導体領域であるエクステンション領域の不純物濃度に関しては、特に断らない限り同様であるとする。
【0107】
ここで、書き込み/消去用素子WDに、n型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCを形成している理由を以下に記す。即ち、n型の共有ソース/ドレイン領域SDCを追加したことにより、浮遊ゲート電極下の反転層の形成が促進される。また、電子はp型半導体領域中では少数キャリアであるのに対して、n型半導体領域中では多数キャリアである。このため、n型の共有ソース/ドレイン領域SDCを設けたことにより、注入電子を反転層に容易に供給することができる。その結果、実効的なカップリング容量を増大させることができるので、浮遊電極FGの電位を効率的にコントロールすることができる。従って、データの書き込み速度を向上させることができる。また、データ書き込み速度のばらつきも低減できる。
【0108】
以上が、書き込み/消去用素子WDが有する構成である。書き込み/消去用素子WDは、導体部(Metal)としての書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEW、絶縁部(Insulator)としての書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW、および、半導体部(Semiconductor)としての動作素子形成用pウェルPW1の三層のMIS構造からなる。なお、本実施の形態1においては、上部電極である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWはフローティング状態であり、下部電極である動作素子形成用pウェルPW1は、動作素子用ウェル給電領域VSMにより給電される機構を有する。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0109】
第3に、読み出し用トランジスタQRは、上記浮遊電極FGの一部である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERを有する。
【0110】
また、読み出し用トランジスタQRは、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERおよび半導体基板1の間に形成された、読み出し素子用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)GIRを有する。読み出し素子用ゲート絶縁膜GIRは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0111】
また、読み出し用トランジスタQRは、上記の書き込み/消去用素子WDと共有する形で、共有ソース/ドレイン領域SDCを有する。
【0112】
ここで、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、共有ソース/ドレイン領域SDC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx2を有する。
【0113】
また、読み出し用トランジスタQRは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の共有ソース/ドレイン領域SDCと対をなすことで、上記の読み出し素子用浮遊ゲート電極GERを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である読み出し素子用ソース/ドレイン領域(第6半導体領域)SDRを有する。読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRの不純物濃度は、共有ソース/ドレイン領域SDCの不純物濃度と同程度であるものとする。
【0114】
ここで、上記のように、第2方向Yに延在している読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに対し、これを挟み込むようにして、一対の各ソース/ドレイン領域SDC,SDRが形成されている。更に、共有ソース/ドレイン領域SDCは、上記の書き込み/消去用素子WDと共有する構成となっていた。従って、読み出し用トランジスタQRと、書き込み/消去用素子WDとは、第1方向Xに並んで配置されていることとなる。
【0115】
また、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDR自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx3を有する。
【0116】
以上が、読み出し用トランジスタQRが有する構成である。読み出し用トランジスタQRは、ゲート電極としての読み出し素子用浮遊ゲート電極GER、ゲート絶縁膜としての読み出し素子用ゲート絶縁膜GIR、ソースまたはドレイン領域としての共有ソース/ドレイン領域SDC、および、同じくソースまたはドレイン領域としての読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRを基本構成とするMIS型電界効果トランジスタである。特に、p型である動作素子形成用pウェルPW1の中に形成され、n型である各ソース/ドレイン領域SDC,SDRを有する、nチャネル型の電界効果トランジスタである。なお、本実施の形態1においては、ゲート電極である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERはフローティング状態であり、片方のソース/ドレイン領域である共有ソース/ドレイン領域SDCは、特定の給電機構を有さない。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0117】
第4に、選択用トランジスタQSは、上記の動作素子形成用pウェルPW1の一部に平面的に重なるようにして形成された、選択素子用ゲート電極GESを有する。選択素子用ゲート電極GESは、平面的に見て、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに対して、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと反対側の領域で、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに沿うようにして配置されている。ただし、選択素子用ゲート電極GESは、平面的に見て、キャパシタ形成用pウェルと重なる領域にまでは達しない。更に、選択素子用ゲート電極GESは、浮遊電極FGとは一体ではなく、独立して形成されている。選択素子用ゲート電極GESは、例えば多結晶シリコンなどを母材とする導体膜からなるものとする。
【0118】
また、選択用トランジスタQSは、選択素子用ゲート電極GESおよび半導体基板1の間に形成された、選択素子用ゲート絶縁膜GISを有する。選択素子用ゲート絶縁膜GISは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0119】
また、上記の読み出し用トランジスタQRが有する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に達する領域まで配置されている。そして、選択用トランジスタQSは、上記の読み出し用トランジスタQRと共有する形で、この読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRを、ソースまたはドレイン領域として有する。この構成により、読み出し用トランジスタQRと選択用トランジスタQSとは電気的に直列に接続されていることになる。
【0120】
ここで、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDR自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx4を有する。
【0121】
また、選択用トランジスタQSは、動作素子形成用pウェルPW1内において、平面的に見て、上記の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRと対をなすことで、上記の選択素子用ゲート電極GESを挟み込む領域に位置する半導体基板1の主面S1に形成された、n型の半導体領域である選択素子用ソース/ドレイン領域SDSを有する。選択素子用ソース/ドレイン領域SDSの不純物濃度は、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRの不純物濃度と同程度であるものとする。
【0122】
ここで、上記の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、平面的に見て、選択素子用ゲート電極GESの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、選択素子用ソース/ドレイン領域SDS自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx5を有する。
【0123】
以上が、選択用トランジスタQSが有する構成である。選択用トランジスタQSは、ゲート電極としての選択素子用ゲート電極GES、ゲート絶縁膜としての選択素子用ゲート絶縁膜GIS、ソースまたはドレイン領域としての選択素子用ソース/ドレイン領域SDS、および、同じくソースまたはドレイン領域としての共有ソース/ドレイン領域SDCを基本構成とするMIS型電界効果トランジスタである。なお、本実施の形態1においては、片方のソース/ドレイン領域である共有ソース/ドレイン領域SDCは、特定の給電機構を有さない。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0124】
第5に、MISキャパシタCは、上記の浮遊電極FGの一部であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GECを有する。
【0125】
また、MISキャパシタCは、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECおよび半導体基板1の間に形成された、キャパシタ用ゲート絶縁膜(第3ゲート絶縁膜)GICを有する。キャパシタ用ゲート絶縁膜GICは、例えば酸化シリコン膜などにより形成されているものとする。
【0126】
また、MISキャパシタCは、キャパシタ形成用pウェルPW2内において、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECを挟み込む領域に位置する半導体基板1の第1主面S1に形成された、p型であるキャパシタ用ウェル給電領域(第7半導体領域)VSC、および、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域(第8半導体領域)SCを有する。キャパシタ用ウェル給電領域VSCの不純物濃度は、同じp型の半導体領域である動作素子用ウェル給電領域VSMの不純物濃度と同程度であるものとする。また、キャパシタ用ソース領域SCの不純物濃度は、同じn型の半導体領域である共有ソース/ドレイン領域SDCなどと同程度であるものとする。
【0127】
ここで、上記のキャパシタ用ウェル給電領域VSCは、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、キャパシタ用ウェル給電領域VSC自体よりも浅い領域に形成された、p型エクステンション領域px2を有する。また、キャパシタ用ソース領域SCは、平面的に見て、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECの側方下部に至る領域であり、断面的に見て、キャパシタ用ソース領域SC自体よりも浅い領域に形成された、n型エクステンション領域nx6を有する。
【0128】
ここで、MISキャパシタCに、n型の半導体領域であるキャパシタ用ソース領域SCを形成している理由を以下に記す。消去動作において、n型のキャパシタ用ソース領域SCを追加したことにより、電子をキャパシタ用ゲート絶縁膜GICの直下にスムーズに供給することができる。このため、浮遊電極FG下の反転層をすばやく形成することができるので、p型のキャパシタ形成用pウェルPW2をすばやく−9Vに固定することができる。その結果、実効的なカップリング容量を増大させることができるので、浮遊電極FGの電位を効率的にコントロールすることができる。従って、データ消去速度を向上させることができる。また、データ消去速度のばらつきも低減することができる。
【0129】
以上が、MISキャパシタCが有する構成である。MISキャパシタCは、導体部としてのキャパシタ用浮遊ゲート電極GEC、絶縁部としてのキャパシタ用ゲート絶縁膜GIC、および、半導体部としてのキャパシタ形成用pウェルPW2の三層のMIS構造からなる容量素子である。なお、本実施の形態1においては、上部電極であるキャパシタ用浮遊ゲート電極GECはフローティング状態であり、下部電極であるキャパシタ形成用pウェルPW2は、キャパシタ用ウェル給電領域VSCにより給電される機構を有する。動作等の詳細な説明は、他の構成と併せて後に行う。
【0130】
ここで、上記のように、MISキャパシタCは第1方向Xに延在するキャパシタ形成用pウェルPW2の中に形成されている。また、上記のように、動作素子形成用pウェルPW1は、キャパシタ形成用pウェルPW2と第1方向Xに互いに沿うように、かつ、第2方向Yに沿って並んで配置されている。従って、MISキャパシタCは、動作素子形成用pウェルPW1に形成された書き込み/消去用素子WD、読み出し用トランジスタQR、および、選択用トランジスタQSと第1方向Xに互いに沿うように、かつ、第2方向Yに沿って並んで配置されていることになる。
【0131】
本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMの基本的な構成は、上記の通りである。これに加え、以下の構成を有する。
【0132】
各ゲート電極GEW,GER,GES,GECの側壁には、例えば酸化シリコンなどを主体とした絶縁膜よりなるサイドウォールスペーサ3が形成されている。サイドウォールスペーサ3は、当該各ゲート電極GEW,GER,GES,GECとの導通意図の無い配線などからの絶縁を目的として形成されるものである。
【0133】
また、pまたはn型の半導体領域である、各ウェル給電領域VSM,VSC、各ソースまたはドレイン領域SDC,SDR,SDS,SC、および、多結晶シリコンよりなる選択素子用ゲート電極GESの表面には、シリサイド層4が形成されている。シリサイド層4は、例えばコバルト(Co)とシリコンとの化合物であるコバルトシリサイドなどの導体膜により構成され、外部からの電気的なコンタクトとのオーミック接続を目的として形成されるものである。
【0134】
以上の構成を有する不揮発性メモリセルNVMが形成された半導体基板1の主面S1上には、層間絶縁膜5が形成されている層間絶縁膜5は、例えば窒化シリコンなどからなる絶縁膜5aと、その上に形成された、例えば酸化シリコンなどからなる絶縁膜5bとを有している。この様に、異なる2層の絶縁膜とすることで、例えば、層間絶縁膜5下の半導体基板1の主面S1の任意の箇所に通ずるコンタクトホールを形成する場合に役立つ。即ち、2層の絶縁膜5a,5bのエッチングレートの違いを利用して、自己整合的にエッチングをストップさせ、より緻密な加工を可能にする、所謂SAC(Self Align Contact)技術を適用することができる。
【0135】
また、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、上記のSAC技術により層間絶縁膜5に形成されたコンタクトホールCHを有する。その中を埋め込む導体部6によって、不揮発性メモリNVMを構成する所望の領域に対して、シリサイド層4を通じて電気的に接続される各コンタクトプラグCP1〜CP6を構成している。以下にその詳細を説明する。
【0136】
まず、共有ソース/ドレイン領域SDCに電気的に接続される、共有部給電用コンタクトプラグ(第1導電部)CP1を有する。共有部給電用コンタクトプラグCP1は、共有ソース/ドレイン領域SDCに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx1,nx2に、同電位を給電することができる。
【0137】
また、動作素子用ウェル給電領域VSMに電気的に接続される、動作ウェル給電用コンタクトプラグ(第2導電部)CP2を有する。動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2は、動作素子用ウェル給電領域VSMに電気的に接続されることで、同じp型半導体領域で接合する領域である、p型エクステンション領域px1、および、動作素子形成用pウェルPW1に、同電位を給電することができる。
【0138】
ここで、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、同一セル内の複数個所に存在する上記の共有部給電用コンタクトプラグCP1、および、複数個所に存在する動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0139】
また、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSに電気的に接続される、読み出し用コンタクトプラグ(第3導電部)CP3を有する。読み出し用コンタクトプラグCP3は、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx5に、同電位を供給することができる。
【0140】
ここで、読み出し用トランジスタQRにおける一対のソース/ドレイン領域の一つである、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに給電する場合を考える。本実施の形態1においては、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは選択用トランジスタQSのソースまたはドレイン領域ともなっている。従って、選択用トランジスタQSをオン状態としておくことで、選択素子用ソース/ドレイン領域SDSとほぼ同電位を、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに給電することができる。即ち、本実施の形態1において、選択用トランジスタQSがオン状態であるとき、読み出し用コンタクトプラグCP3は、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに電気的に接続されていることとなる。
【0141】
また、キャパシタ用ウェル給電領域VSCに電気的に接続される、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグ(第4導電部)CP4を有する。キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4はキャパシタ用ウェル給電領域VSCに電気的に接続されることで、同じp型半導体領域で接合する領域である、p型エクステンション領域px2、および、キャパシタ形成用pウェルPW2に、同電位を給電することができる。
【0142】
また、キャパシタ用ソース領域SCに電気的に接続される、キャパシタ用コンタクトプラグ(第5導電部)CP5を有する。キャパシタ用コンタクトプラグCP5はキャパシタ用ソース領域SCに電気的に接続されることで、同じn型半導体領域で接合する領域である、n型エクステンション領域nx6に、同電位を供給することができる。
【0143】
ここで、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMにおいては、同一セル内の複数個所に存在する上記のキャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4、および、複数個所に存在するキャパシタ用コンタクトプラグCP5は、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0144】
また、選択素子用ゲート電極GESに電気的に接続される、選択ゲート用コンタクトプラグCP6を有する。選択ゲート用コンタクトプラグCP6は選択素子用ゲート電極GESに電気的に接続されることで、選択用トランジスタQSにゲート電圧を印加することができる。
【0145】
以上の各コンタクトプラグCP1〜CP6において、同一セル内の複数箇所に存在する同一のものは、上層において全て互いに接続されており、同時に給電されるものとする。
【0146】
以下では、本実施の形態1で上記のように例示した構成を有する不揮発性メモリセルNVMのセル面積についての、本発明者らの検証に関して説明する。
【0147】
本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMは、書き込み/消去用素子WD、読み出し用トランジスタQR、選択用トランジスタQS、および、MISキャパシタCを有する。上記の構成は、本発明者らが検討した、図4、図5を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMbと同様である。従って、本発明者らが検討した、図1〜図3を用いて説明した構成の不揮発性メモリセルNVMaに見られた、図3を用いて説明した書き込み動作における問題は生じないと期待される。当該メモリ動作の検証は、以下で詳細に説明する。
【0148】
ここで、上記図4を用いて説明したように、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbでは、書き込み・読み出し動作を専属的に担うために別素子とした書き込み/消去用素子WDを、別のウェル(書き込み素子形成用pウェルPWx3)に形成していた。そして、この書き込み素子形成用pウェルPWx3は、第2方向Yに沿った方向に追加する形で、不揮発性メモリセルNVMb内に形成されていた。
【0149】
一方、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリNVMでは、書き込み/消去用素子WDは、読み出し用トランジスタQRと、同一の動作素子形成用pウェルPW1内に、第1方向Xに沿って並ぶようにして形成している。これにより、浮遊電極FGの一部分であり、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWが延在する第2方向Yに対して新たなウェルや、新たな素子を追加することにはならず、不揮発性メモリセルNVMの面積を縮小することができる。
【0150】
ただし、書き込み/消去用素子WDを別素子とすることで、構成上、素子数が増えた本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMにおいて、単に同一ウェル内に書き込み/消去用素子WDを形成するだけでは、第1方向Xへの面積の増大が起こる。
【0151】
このような技術的な課題を、本実施の形態1に例示した不揮発性メモリセルNVMにおいては、以下のように克服している。即ち、正常なメモリ動作を実現できる範囲で、機能的に同一と見なせる半導体領域を共有させることで、素子数増加による面積増大の影響を相殺している。
【0152】
具体的には、動作素子形成用pウェルPW1内において、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとは、第1方向Xに沿って並ぶようにして配置され、両素子は、ソースまたはドレイン領域を共有ソース/ドレイン領域SDCとして共有している。更に、書き込み/消去用素子WDの動作時に必要な、半導体層への給電を担う領域と、動作素子形成用pウェルPW1への給電を担う領域とを、動作素子用ウェル給電領域VSMとして共有している。これにより、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMでは、第1方向Xにおいて、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとを合わせた幅は、MISキャパシタCの幅よりも小さくすることができる。従って、第1方向Xへのセル面積の増大を回避することができる。
【0153】
ここで、上記のように、メモリ動作の信頼性を向上させるために、本実施の形態1で例示する不揮発性メモリセルNVMは、選択用トランジスタQSを用いている。選択用トランジスタQSは、読み出し用トランジスタQRに電気的に直列に接続されるため、動作素子形成用pウェルPW1内に形成されていた。これにより、第1方向Xにおける不揮発性メモリセルNVMの面積の増大が懸念される。これに対し、本実施の形態1では、上記のように、第1方向Xにおいて、書き込み/消去用素子WDと読み出し用トランジスタQRとを合わせた幅は、MISキャパシタCの幅よりも小さくしている。これにより、選択用トランジスタQSを含む動作素子形成用pウェルPW1であっても、その第1方向Xの幅は、キャパシタ形成用pウェルPW2と同程度か、それよりも小さくすることができる。従って、第1方向Xへのセル面積の増大を回避することができる。
【0154】
結果として、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMのセル面積は、本発明者らが先に検討し、上記図1を用いて説明した、セル面積の小さい不揮発性メモリセルNVMaと同程度とすることができる。更に、本発明者らが後に検討し、上記図4を用いて説明した、動作が正常である不揮発性メモリセルNVMbに対しては、ウェルを1つ減らすことが可能となった効果として、第2方向Yに約2/3程度に縮小することができる。
【0155】
そこで、本実施の形態1で例示した構成によって面積の縮小が実現できる不揮発性メモリNVMにおいて、本発明者らが検討した不揮発性メモリセルNVMbと同様、書き込み時に問題の無い動作が可能であるかを、本発明者らは検証した。
【0156】
引き続き図7に示すように、共有部給電用コンタクトプラグCP1および動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2に印加される電圧を動作部供給電圧Vp、読み出し用コンタクトプラグCP3に印加される電圧を読み出しドレイン電圧Vd、ならびに、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4およびキャパシタ用コンタクトプラグCP5に印加される電圧をキャパシタ部印加電圧Vcと、それぞれ表す。以下では、MISキャパシタCへの電荷の蓄積、浮遊電極FGに生じる電位、書き込み/消去用素子WDにかかる電界、および、FNトンネリングにより浮遊電極FGに蓄積される電子の挙動などは、上記で本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて説明したものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0157】
まず、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいて問題が無かった、読み出しおよび消去動作について説明する。
【0158】
図8に示すように、読み出し動作時には、例えば、動作部供給電圧Vp=0V、読み出しドレイン電圧Vd=1V、および、キャパシタ部印加電圧Vc=+3Vとする。ここで、選択用トランジスタQSがオン状態である場合、読み出しドレイン電圧Vdとほぼ同等の電圧が読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRにも印加される。従って、読み出し用トランジスタQRは、0Vの共有ソース/ドレイン領域SDCをソース、+1Vの読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRをドレインとして、ゲート電極となる読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの電位によって変化するソース/ドレインIdsを生じる。
【0159】
ここで、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおける読み出し動作に関する説明と同じ理由で、浮遊電極FGの一部である読み出し素子用浮遊ゲート電極GERの電荷蓄積状態は、データ書き込みの有無によって変化する。即ち、読み出し用トランジスタQRは、データ書き込みの有無によって、閾値電圧が変化していることになる。特に、読み出し用トランジスタQRはnチャネル型のトランジスタである。従って、書き込み動作を受けた状態では、読み出し素子用浮遊ゲート電極GERに負電荷である電子が蓄積されており、閾値電圧が上昇していることになる。ソース/ドレイン電流Idsは閾値電圧に対するゲート電位の高低によって著しく変化するから、このソース/ドレイン電流Ids値の違いにより、電荷の蓄積状態、即ちデータの保持状態を判別し、読み出すことができる。
【0160】
図9に示すように、消去動作時には、例えば、動作部供給電圧Vp=+9V、読み出しドレイン電圧Vdは開放状態、および、キャパシタ部印加電圧Vc=−9Vとする。書き込み/消去用素子WDにおいて、MISキャパシタCへの給電により、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWには−9Vの電圧が印加され、動作素子用ウェル給電領域VSMへの給電により、動作素子形成用pウェルPW1には+9Vの電圧が印加されている。従って、浮遊電極FGに蓄積している電子eは、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWにおいて、動作素子形成用pウェルPW1に向かって18Vの電位差に相当するエネルギーを受ける。これにより、電子eは書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWをFNトンネリングし、動作素子形成用pウェルPW1に引き抜かれ、データの保持状態を消去することができる。
【0161】
ここで、p型の素子形成用pウェルPW1と、これに接合するn型の共有ソース/ドレイン領域SDCとは、動作部供給電圧Vpによって同時に昇圧される。従って、当該pn接合での寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、独立した給電機構を持つが、開放状態となっているので、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の素子形成用pウェルPW1に接合するn型の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、選択用トランジスタQSがオン状態であっても、ほぼ同電位となる選択素子用ソース/ドレイン領域SDSが開放状態であるため、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。
【0162】
ここで、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaにおいては、図3などを用いて説明したように、書き込み動作時において、信頼性を損なう問題があった。以下では、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMの書き込み動作を、図10を用いて説明する。
【0163】
書き込み動作時には、動作部供給電圧Vp=−9V、読み出しドレイン電圧Vdを開放状態、キャパシタ部印加電圧Vc=+9Vとする。
【0164】
書き込み/消去用素子WDにおいて、MISキャパシタC部への給電により、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWは+9Vにバイアスされる。これにより、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW下の動作素子形成用pウェルPW1には反転層ILが形成される。更に、動作素子用ウェル給電領域VSMへの給電により、動作素子形成用pウェルPW1は−9Vにバイアスされる。従って、反転層ILに発生する電子eは18Vの電位差に相当するエネルギーを受け、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWをFNトンネリングし、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWに注入される。このとき、同じく−9Vにバイアスされた共有ソース/ドレイン領域SDCにより、n型エクステンション領域nx1を通じて、反転層ILに潤滑に電子eが供給される。これにより、浮遊電極FGに電荷を蓄積する、即ちデータを書き込むことができる。
【0165】
ここで、p型の動作素子形成用pウェルPW1と、これに接合するn型の共有ソース/ドレイン領域SDCとは、動作部供給電圧Vpによって同時に降圧される。従って、当該pn接合での寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の選択素子用ソース/ドレイン領域SDSは、独立した給電機構を持つが、開放状態となっているので、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。また、同じくp型の動作素子形成用pウェルPW1に接合するn型の読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRは、選択用トランジスタQSがオン状態であっても、ほぼ同電位となる選択素子用ソース/ドレイン領域SDSが開放状態であるため、当該pn接合においても寄生電流の影響は無い。
【0166】
このとき、本発明者らが先に検討した不揮発性メモリセルNVMaで説明したように、pn接合に係るn型領域のバイアスを開放状態としても、寄生的にp型領域に生じてしまう空乏層DLにおける電界緩和によって、反転層ILの電子eにFNトンネリングに必要な電位差を与えることができず、書き込み不良が起こるという問題があった。
【0167】
この点、本実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMでは、開放状態としているn型領域は選択素子用ソース/ドレイン領域SDS、または、選択用トランジスタQSがオン状態のときに導通する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRである。これらはいずれも、書き込み時に電子eのFNトンネリングを利用して浮遊電極FGに電荷を蓄積する書き込み/消去用素子WDの構成要素ではなく、構造上も離れている。従って、開放状態にあるn型領域と接合するp型領域で空乏層DLが生じたとしても、書き込み/消去用素子WDでの書き込み動作にはほとんど影響を及ぼさない。結果として、書き込み不良の発生を防止することができる。
【0168】
上記の効果は、読み出し動作と、書き込み/消去動作とを担う素子を異なる素子としたことによる。
【0169】
まず、書き込み/消去動作を専属的に担う素子は、トランジスタとしての機能を必要とせず、ソース/ドレイン領域のように、異なるバイアス条件となる一対のn型半導体領域を必要としない。従って、トランジスタ機能を要する読み出しを担う素子を別素子とすることで、書き込みを担う素子では、反転領域への電子供給層とウェル給電層とに一括して同電位を給電することができる。結果として、給電タイミングのずれによる寄生pn接合の影響を防止することができる。
【0170】
また、読み出しを専属的に担う素子には、書き込み/消去動作時のバイアスを必要とせず、寄生的に生じるpn接合は開放状態とするのが望ましい。ここで、読み出しを担う素子を別素子とすることで、書き込みを担う素子では、電界緩和による書き込み不良をもたらす空乏層DLの発生を防止することができる。結果として、信頼性の高い不揮発性メモリセルNVMを実現することができる。
【0171】
以上のように、本実施の形態1で例示した構成の不揮発性メモリセルNVMによれば、寄生pn接合電流による素子破壊、または、書き込み不良などを引き起こすことなく、書き込み動作を実現することができる。結果として、本実施の形態1で例示した技術により、不揮発性メモリの信頼性の低下をもたらすことなく、集積度を向上させることができる。
【0172】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、1bitの情報を記録する単一の不揮発性メモリセルNVMの構成を例示した。実際のメモリ回路では、このようなメモリセルをアレイ状に配置し、それぞれを結線することで、多bitの情報を記録する不揮発性メモリとしている。本実施の形態2では、上記実施の形態1で例示した不揮発性メモリセルNVMをアレイ状に配置して用いるメモリ回路を例示する。なお、図13〜図25の説明は、本実施の形態2における不揮発性メモリセルNVMの書き込み動作および消去動作を説明したものである。このとき、選択用トランジスタQSはオン状態にあるとすれば、等価的に、読み出し用コンタクトプラグCP3は読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRに接続されているとして良い。従って、図13〜図25の説明では、選択用トランジスタQSはオン状態にあるとし、記載を省略する。
【0173】
図11は、本実施の形態2で例示する、不揮発性メモリセルNVMへの給電方法を説明するために、上記実施の形態1で例示した単一の不揮発性メモリセルNVMの平面図を示したものである。
【0174】
第1に、不揮発性メモリセルNVMの書き込み/消去用素子WDが有する共有ソース/ドレイン領域SDCおよび動作素子用ウェル給電領域VSMには、第2方向Yに延在するビット線(ビットライン、データ線、または、データラインとも言う)BLが電気的に接続されている。即ち、ビット線BLは、共有部給電用コンタクトプラグCP1および動作ウェル給電用コンタクトプラグCP2に電気的に接続され、これらに給電することができる。
【0175】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、ビット線BLには、動作部供給電圧Vpが印加されることになる。
【0176】
第2に、不揮発性メモリセルNVMの読み出し用トランジスタQRが有する読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRには、第2方向Yに延在する読み出しビット線rBLが、選択用トランジスタQSを介して、電気的に接続されている。即ち、読み出しビット線rBLは、読み出し用コンタクトプラグCP3に電気的に接続され、これに給電することができる。また、読み出し動作時には、読み出しビット線rBLに供給された電圧は、制御線(または制御ライン)SLによって選択用トランジスタQSがオン状態とされたビットのみが、読み出し素子用ソース/ドレイン領域SDRへ供給される。
【0177】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、読み出しビット線rBLには、読み出しドレイン電圧Vdが印加されることになる。
【0178】
第3に、不揮発性メモリセルNVMのMISキャパシタCが有するキャパシタ用ウェル給電領域VSCおよびキャパシタ用ソース領域SCには、第1方向Xに延在するワード線(ワードラインとも言う)WLが電気的に接続されている。即ち、ワード線WLは、キャパシタウェル給電用コンタクトプラグCP4およびキャパシタ用コンタクトプラグCP5に電気的に接続され、これらに給電することができる。
【0179】
上記実施の形態1で図6、図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMとの対比により、ワード線WLには、キャパシタ部印加電圧Vcが印加されることになる。
【0180】
図12に示すように、実際のメモリアレイMemでは、例えば不揮発性メモリセルNVM11,NVM12,NVM13,NVM14などが、第1方向Xの同じ行に配置され、例えば不揮発性メモリセルNVM11,NVM21,NVM31などが、第2方向Yの同じ列に配置される。本実施の形態2で例示するメモリアレイMemは、上記のようなアレイ状の配置によって、構成されているとする。
【0181】
同じ行に配置された、例えば不揮発性メモリセルNVM11〜NVM14などは、同一のワード線WL10によって結線されている。また、同じ列に配置された、例えば不揮発性メモリNVM11〜NVM31などは、同一のビット線BL01、または、同一の読み出しビット線rBL01によって結線されている。そして、ビット線BLまたは読み出しビット線rBLのいずれかと、ワード線WLとを一組指定することで、任意の不揮発性メモリセルNVMを選択することができる。
【0182】
本実施の形態2においては、例えば、図12中でハッチングを付した不揮発性メモリセルNVM22に書き込み動作を施す場合を例示する。図13には、不揮発性メモリセルNVM22における、MISキャパシタC、読み出し用トランジスタQR、および、書き込み/消去用素子WDの断面と、それらへのバイアス状態を示す。以下では、図12と併せて、書き込み動作の説明に用いる。
【0183】
不揮発性メモリセルNVM22に書き込み動作を施すためには、ワード線WL20に+9V、ビット線BL02に−9Vを印加する。ここで、上記実施の形態1において、図9、図10などを用いて説明したように、不揮発性メモリセルNVMにおいては、キャパシタ部印加電圧Vcと動作部供給電圧Vpとの差が、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差となる。即ち、本実施の形態2においては、セルに導通するビット線とワード線との電位差がこれに相当する。
【0184】
従って、不揮発性メモリセルNVM22においては、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間には、約18Vの電位差が生じる。これは、上記実施の形態1において図10を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMへの書き込み動作と同様のバイアス条件であり、書き込み動作が施されることになる。
【0185】
即ち、不揮発性メモリセルNVM22では、上記の電位差を受けたFNトンネリングにより、書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIW直下の反転層ILから、浮遊電極FGに電子eが注入される。その結果、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧は上昇することになる。
【0186】
図14は、書き込み時間に対する、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の変化を表すグラフ図である。図中にて特性ex1として示しているのが、上記の書き込み動作を受けた不揮発性メモリセルNVM22の特性である。書き込みセルである不揮発性メモリセルNVM22において、書き込み時間の経過とともに、浮遊電極FGに電子が注入され、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が上昇していることが分かる。上記実施の形態1において図8を用いて説明したように、この閾値電圧の違いを利用してデータの保持状態を判別する。
【0187】
ここで、本実施の形態2では、メモリアレイMemにおいて、書き込み動作に必要な上記のバイアス条件を受けていないセルについて考察する。
【0188】
例えば、不揮発性メモリセルNVM11,NVM13,NVM14,NVM31,NVM33,NVM34は、−9Vのビット線BL02および+9Vのワード線WL20の両方に電気的に接続されておらず、電荷の移動などいかなる影響も及ばない。
【0189】
一方、ビット線BL02、または、ワード線WL20のいずれかの給電を受けるセルに着目する。
【0190】
第1に、図12における不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などでは、+9Vのワード線WL20からは外れているものの、−9Vのビット線BL02には電気的に接続されている。従って、不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などは、このビット線BL02からの給電によって、以下のような影響を受ける。
【0191】
図15は、ビット線BL02に接続されている、例えば不揮発性メモリセルNVM12の断面図を示したものである。上記のようなバイアス条件により、動作素子形成用pウェルPW1には−9Vの電圧が印加され、書き込み/消去用素子WDの書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間には、約9Vの電位差が生じることになる。
【0192】
この9Vという電位差は、上記の書き込み動作時(18V)のように、反転層ILの電子eを、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWに、FNトンネリングにより潤滑に注入し得るほどのエネルギーには相当しない。しかしながら、9Vの電位差で電子eのFNトンネリングが完全に起こらないというわけではない。従って、書き込み時間の経過とともに、浮遊電極FGに注入される電子は徐々に増加していく。
【0193】
再び、図14において、図中にて特性ex2として示しているのが、上記のビット線BL02からの給電を受けた不揮発性メモリセルNVM12の特性である。書き込み時間の経過とともに、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が上昇している。これは、FNトンネリングにより浮遊電極FGに注入される電子の蓄積によるものであるが、ビット線BL02のみによる電位差が9Vと、通常の書き込み動作時よりも小さいため、閾値電圧の立ち上がり、および、飽和も小さい。
【0194】
しかしながら、書き込みの対象として選択されていない不揮発性メモリセルNVM12などにおいて、上記のような閾値電圧の上昇が起こることは、誤書き込みの可能性を有することになる。このように、本来書き込みの対象に無いものの、給電されているビット線BL02列の影響を受けて起こる、不揮発性メモリセルNVM12,NVM32などにおける読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の上昇を、ディスターブ現象などと称する。特に、上記のように動作素子形成用pウェルPW1への給電で起こるディスターブ現象を、ウェルディスターブ(またはデータディスターブ)現象という。
【0195】
第2に、図12における不揮発性メモリセルNVM21,NVM23,NVM24などでは、−9Vのビット線BL02からは外れているものの、+9Vのワード線WL20には電気的に接続されている。従って、図16に例えば不揮発性メモリセルNVM24の断面を示すように、上記と同様に、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差でFNトンネリングする電子eによって、ディスターブ現象が起こる。
【0196】
ただし、この場合の電位差は以下のようにして当該領域に生じるものである。まず、ワード線WL20の+9Vがキャパシタ形成用pウェルPW2に印加される。これを受け、キャパシタ用ゲート絶縁膜GICを介して対向するキャパシタ用浮遊ゲート電極GECでは、キャパシタ形成用pウェルPW2の正電位に相当する負電位となるように、電荷の移動が起こる。そして、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECを備える浮遊電極FGでは、元の電荷状態を保存するために、浮遊電極FGの一部である書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWには、キャパシタ用浮遊ゲート電極GECに移動した負電荷に相当する正電荷が充電される。上記の、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差とは、この正電荷によるものである。従って、上記の経路の間には電圧降下が起こっており、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと、動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差は、キャパシタ形成用pウェルPW2に印加された+9Vに比べて低くなる。
【0197】
ここで、再び、図14において、図中にて特性ex3として示しているのが、上記のワード線WL20からの給電を受けた不揮発性メモリセルNVM24の特性である。書き込み時間の経過とともに、ディスターブ現象が起こっている。しかし、ビット線BL02によるウェルディスターブ現象を表す特性ex2に比べて、その程度は小さい。このように、本来書き込みの対象に無いものの、給電されているワード線WL20の影響を受けて起こる、不揮発性メモリセルNVM21,NVM23,NVM24などにおける誤書き込み現象を、ワードディスターブなどと表現する。
【0198】
上記のように、ディスターブしたセルをそのままの状態で用いると、周辺のセルへの繰り返しの書き込みなどにより、当該セルは書き込み動作を受けていないにも関わらず、読み出し用トランジスタの閾値電圧が書き込み状態と同等になってしまう可能性がある。これは、誤書き込みの可能性を有することを意味する。
【0199】
また、メモリ回路などにおいては、高集積化のための素子面積の縮小の要求から、スケーリング則によって、印加電圧が下げられる場合がある。このとき、上記のように、書き込みを施されていないにも関わらず、ディスターブを受けて閾値電圧が上昇したメモリセルを含んでいると、通常通り書き込みを施したメモリセルの閾値電圧とのマージンが小さくなる。これは、スケーリングの制限となる可能性を有する。
【0200】
従って、本実施の形態2で例示する、不揮発性メモリセルNVMからなるメモリアレイMemにおいて、ディスターブによる閾値電圧の上昇を引き起こさないことが望ましい。以下では、書き込みのためにバイアスされたビット線BLおよびワード線WLのいずれか一方に接続された不揮発性メモリセルNVMにおいても、ディスターブを回避し得る技術を例示する。
【0201】
図17は、本実施の形態2で例示するメモリアレイMemへの書き込み状態を示す平面図である。通常、メモリアレイMemへの書き込みをする際、複数のビット線BL02,BL04,BL07,BL09などに−9Vを印加し、同時に一つのワード線WL40などに+9Vを印加する。これにより、バイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09とワード線WL40とに接続される不揮発性メモリセルNVM42,NVM44,NVM47,NVM49などが、書き込み動作を受ける。なお、バイアスするビット線、ワード線の本数は、それぞれ複数、単数、または、それらの組み合わせであっても良い。
【0202】
このとき、上記図14、図15などを用いて説明したように、−9Vにバイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09に接続されており、かつ、+9Vにバイアスされたワード線WL40には接続されていない不揮発性メモリセルNVM02,NVM04,NVM07,NVM09は、ウェルディスターブを起こす。
【0203】
また、上記図14、図16などを用いて説明したように、+9Vにバイアスされたワード線WL40に接続されており、かつ、−9Vにバイアスされたビット線BL02,BL04,BL07,BL09には接続されていない不揮発性メモリセルNVM40は、ワードディスターブを起こす。
【0204】
本実施の形態2では、上記のディスターブを防止するために、セルの選択に用いておらず、通常、バイアスの対象とならない、所謂非選択のビット線BLおよびワード線WLに、特定の電圧を印加する技術を例示する。
【0205】
第1に、ワード線WLにおいて、+9Vにバイアスされた選択ワード線WL40以外の、例えばワード線WL60などに、−3Vの電圧を印加する。ここで、ウェルディスターブが懸念されるメモリセルの中で、上記のワード線WL60の−3Vのバイアスを受けるものの一例として、不揮発性メモリセルNVM64の要部断面図を図18に示す。また、図19には、この不揮発性メモリセルNVM64における閾値電圧の、書き込み時間に対する変化を示す。図中では、特性ex4と示した曲線が、当該不揮発性メモリセルNVM64の特性である。
【0206】
書き込み/消去用素子WDにおいて、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間に生じる電位差は、ビット線BL04とワード線WL60とに印加される電圧の差であるから、上記の不揮発性メモリセルNVM64においては、約6Vとなる。従って、図14の状態に比べて、書き込み/消去用素子WDにおける電子の注入は少なくなり、閾値電圧の上昇が抑えられる。即ち、上記のように、書き込み動作のためのワード線WLのバイアスを必要としないメモリセルに対して−3V程度の電圧を印加することで、ウェルディスターブを緩和することができる。結果として、不揮発性メモリの信頼性を向上させることができる。
【0207】
ここでは、ワード線WL60に−3Vのバイアスを施し、不揮発性メモリセルNVM64のウェルディスターブを緩和する技術を一例として説明した。一方、書き込み動作のための+9Vのバイアスを施すワード線WL40以外には、全て同様の技術を適用し、不揮発性メモリセルNVM02,NVM04,NVM07,NVM09のウェルディスターブを緩和させることができる。
【0208】
また、ワードディスターブを生じる不揮発性メモリセルNVM40においても、同様の技術により、効果を緩和することができる。
【0209】
再び、図17に示すように、ワードディスターブを生じる不揮発性メモリセルNVM40においては、ワード線40による+9Vの電圧を緩和させるために、それぞれ、書き込み対象ではないビット線BL01,BL03,BL05,BL06,BL08などに、+3Vの正電圧を印加する。これにより、ワードディスターブを緩和させることができる。
【0210】
ここで、上記のディスターブを緩和する技術において、ウェルディスターブを緩和するためのワード線WLへのバイアスと、ワードディスターブを緩和するためのビット線BLへのバイアスは、同時に適用しても良く、特定のワード線WLまたはビット線BLに個別に適用しても、一括して適用しても良い。
【0211】
本実施の形態2では、書き込み時のディスターブを緩和することを目的として、本来バイアスの必要ないワード線WLおよびビット線BLにバイアスを施した。従って、本来書き込み動作時にいかなる給電も受けず、ディスターブを生じることのなかったメモリセル(例えば、不揮発性メモリセルNVM11など)にも、給電されることになる。これにより、当該メモリセルにおけるディスターブの発生が懸念される。
【0212】
これに対し、本実施の形態2では、ディスターブの回避を目的としたビット線BLおよびワード線WLへのバイアスを±3Vとしている。従って、ウェルディスターブおよびワードディスターブの両方を回避する場合であっても、電位差は6V程度であり、問題となる大きな閾値電圧の上昇は起こらない。
【0213】
次に、消去動作時に生じるディスターブの回避技術を説明する。
【0214】
本発明者らの検討によれば、例えば、LCDドライバなどのトリミングを目的として半導体チップの中に形成された不揮発性メモリは、そのトリミングのための情報を保持する領域と、出荷後にデータを書き換えられる領域とを備えていることが要求される。従って、データを書き換える対象の領域を設け、そこでは、一括して情報が消去されることを想定して、不揮発性メモリを構成しなければならない。ここで、本発明者らの更なる検討によれば、この書き換え用の不揮発性メモリを別のチップとする手法では、チップ面積の顕著な増大をもたらし、望ましくない技術である。
【0215】
図20は、同一チップ内に配列された不揮発性メモリNVMからなるメモリアレイMemに対して施される、特定領域の一括消去動作を説明するための平面図である。ここでは、メモリアレイMemを構成する不揮発性メモリセルNVMを、ビット線BLの延在する方向に沿って2つの領域に分け、一方の領域を消去マットEMとして、消去マットEMに属する不揮発性メモリセルNVMeを一括して消去する。他方の領域を非消去マットKMとして、非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkではデータの消去は行わない。図21には、消去マットEMに属する不揮発性メモリセルNVMeの要部断面図を示す。図22には、非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkの要部断面図を示す。
【0216】
上記実施の形態1において図9を用いて説明したように、不揮発性メモリセルNVMのデータを消去するためには、動作部供給電圧Vpに+9V、かつ、キャパシタ部印加電圧Vcに−9Vの電圧を印加する。従って、図20、図21において示す、本実施の形態2における不揮発性メモリNVMeでは、ビット線BL01〜BL09、および、ワード線WL10〜WL50に、それぞれ+9V、および、−9Vの電圧を印加する。
【0217】
これにより、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間には、書き込み時とは逆の極性で、18V程度の電位差が生じることになる。従って、浮遊電極FGに蓄積した電子eはこの電位差を受け、FNトンネリングにより書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜GIWを越えて、動作素子形成用pウェルPW1に放出される。これにより、消去マットEMに属する不揮発性メモリNVMeのデータは消去される。
【0218】
一方、図22に示す非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkでは、ワード線WL60〜WL90から給電される電圧は無いものの、ビット線BL01〜BL09から給電される+9Vを受ける。これにより、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1との間にも同程度の電位差が生じる。従って、消去動作を受ける上記図22に示した不揮発性メモリセルNVMeほどではないにせよ、浮遊電極FGに蓄積した電子eの放出が徐々に起こる。即ち、ウェルディスターブが生じる。
【0219】
ここで、上記のように、消去動作、または、ウェルディスターブのように、浮遊電極FGに蓄積した電子eの放出が起こると、nチャネル型トランジスタである読み出し用トランジスタQRの閾値電圧が低下する。そして、次第に書き込み動作を受けていない状態に戻る。
【0220】
図23には、読み出し用トランジスタQRの閾値電圧の、消去時間に対する変化を示している。特性ex5は消去動作を受けた不揮発性メモリセルNVMeの特性を示し、特性ex6は消去動作を受けない不揮発性メモリセルNVMkの特性を示す。消去動作を受けない不揮発性メモリセルNVMkにおいても、消去動作を受けた不揮発性メモリセルNVMeほどではないにしろ、消去時間の経過とともに閾値電圧が低下するウェルディスターブが生じる。
【0221】
上記のように、ディスターブしたセルをそのままの状態で用いると、消去マットへの繰り返しの消去動作により、当該セルは書き込み動作を受けていないにも関わらず、読み出し用トランジスタの閾値電圧が消去状態と同等になってしまう可能性がある。これは、誤消去の可能性を有することを意味する。また、上記の書き込み時に生じるディスターブと同様、メモリ回路におけるスケーリングの制限となる可能性も有する。
【0222】
そこで、本実施の形態2で例示する技術では、図24に示すように、消去の対象とならない非消去マットKMに接続されるワード線WL60〜WL90において、+9Vの電圧を印加する。図25には、このときの非消去マットKMに属する不揮発性メモリセルNVMkの要部断面図を示す。
【0223】
ワード線WL60〜WL90において、+9Vの電圧を印加することによって、書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極GEWと動作素子形成用pウェルPW1とはほぼ同電位となり、電位差はほぼ0Vとなる。これにより、不揮発性メモリセルNVMkにおいては、浮遊電極FGから動作素子形成用pウェルPW1への電子の放出はほとんど起こらない。従って、本実施の形態2で例示した技術により、非消去マットKMでのウェルディスターブを緩和することができる。結果として、不揮発性メモリの信頼性を更に向上させることができる。
【0224】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明は、例えば液晶ディスプレイの駆動用集積回路を構成するのに必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】本発明者らが検討した半導体装置の要部平面図である。
【図2】図1に示した半導体装置のx1−x1線における要部断面図である。
【図3】本発明者らが検討した半導体装置に印加する電圧の時間変化を表すタイミングチャート図である。
【図4】本発明者らが検討した他の半導体装置の要部平面図である。
【図5】図4に示した半導体装置のx2−x2線における要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1である半導体装置の要部平面図である。
【図7】図6に示した半導体装置のx3−x3線における要部断面図である。
【図8】図7に示した半導体装置における電圧印加時の状態を説明する要部断面図である。
【図9】図7に示した半導体装置における他の電圧印加持の状態を示す要部断面図である。
【図10】図7に示した半導体装置における他の電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2である半導体装置の要部平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2である半導体装置への電圧印加の状態を示す平面図である。
【図13】図12に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図14】図12に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図15】図12に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図16】図12に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図18】図17に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図19】図17に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図20】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図21】図20に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【図22】図20に示す半導体装置における電圧印加時の他の状態を示す要部断面図である。
【図23】図20に示す半導体装置における電気特性の時間変化を示すグラフ図である。
【図24】本発明の実施の形態2である半導体装置への他の電圧印加の状態を示す平面図である。
【図25】図24に示す半導体装置における電圧印加時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0227】
1 半導体基板
2 分離部
3 サイドウォールスペーサ
4 シリサイド層
5 層間絶縁膜
5a,5b 絶縁膜
6 導体部
S1 主面(第1主面)
NVM 不揮発性メモリセル
DNW 埋め込みnウェル(第1半導体領域)
NW 分離用nウェル
PW1 動作素子形成用pウェル(第2半導体領域)
PW2 キャパシタ形成用pウェル(第3半導体領域)
WD 書き込み/消去用素子(データ書き込み/消去用素子)
QR 読み出し用トランジスタ(読み出し用電界効果トランジスタ)
QS 選択用トランジスタ(選択用電界効果トランジスタ)
C MISキャパシタ(容量素子)
FG 浮遊電極
PI 保護絶縁膜
GEW 書き込み/消去素子用浮遊ゲート電極(第1浮遊ゲート電極)
GER 読み出し素子用浮遊ゲート電極(第2浮遊ゲート電極)
GES 選択素子用ゲート電極
GEC キャパシタ用浮遊ゲート電極(第3浮遊ゲート電極)
GIW 書き込み/消去素子用ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)
GIR 読み出し素子用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)
GIS 選択素子用ゲート絶縁膜
GIC キャパシタ用ゲート絶縁膜(第3ゲート絶縁膜)
SDC 共有ソース/ドレイン領域(第4半導体領域)
SDR 読み出し素子用ソース/ドレイン領域(第6半導体領域)
SDS 選択素子用ソース/ドレイン領域
VSM 動作素子用ウェル給電領域(第5半導体領域)
VSC キャパシタ用ウェル給電領域(第7半導体領域)
SC キャパシタ用ソース領域(第8半導体領域)
X 第1方向
Y 第2方向
nx1〜nx6 n型エクステンション領域
px1,px2 p型エクステンション領域
CH コンタクトホール
CP1 共有部給電用コンタクトプラグ(第1導電部)
CP2 動作ウェル給電用コンタクトプラグ(第2導電部)
CP3 読み出し用コンタクトプラグ(第3導電部)
CP4 キャパシタウェル給電用コンタクトプラグ(第4導電部)
CP5 キャパシタ用コンタクトプラグ(第5導電部)
CP6 選択ゲート用コンタクトプラグ
Vp 動作部供給電圧
Vd 読み出しドレイン電圧
Vc キャパシタ部印加電圧
e 電子
IL 反転層
DL 空乏層
BL,BL01〜BL09 ビット線
WL,WL01〜WL09 ワード線
SL 制御線
rBL 読み出しビット線
EM 消去マット
KM 非消去マット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に配置された主回路形成領域と、
前記半導体基板の第1主面に配置された不揮発性メモリ領域とを備え、
前記不揮発性メモリ領域には、
前記半導体基板の第1主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
第1導電型とは逆導電型である第2導電型であり、前記第1半導体領域内において第1方向に延在するようにして配置された第2半導体領域と、
前記第1半導体領域内において、前記第2半導体領域に対し、電気的に分離された状態で沿うようにして、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶようにして配置された、第2導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域、および、前記第3半導体領域に平面的に重なるようにして配置された不揮発性メモリセルとを備え、
前記不揮発性メモリセルは、
前記第2半導体領域の一部および前記第3半導体領域の一部に平面的に重なるようにして配置された浮遊電極と、
前記第2半導体領域に形成されたデータ書き込み/消去用素子と、
前記第2半導体領域に形成された読み出し用電界効果トランジスタと、
前記第3半導体領域に形成された容量素子とを有し、
前記浮遊電極は、
前記第2半導体領域の一部に平面的に重なるように、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に延在するようにして配置された第1浮遊ゲート電極と、
前記第2半導体領域の一部に平面的に重なるように、かつ、前記第1浮遊ゲート電極と距離を隔てて沿うようにして配置された第2浮遊ゲート電極と、
前記第3半導体領域の一部に平面的に重なるようにして配置された第3浮遊ゲート電極とを有し、
前記データ書き込み/消去用素子は、
前記第1浮遊ゲート電極と、
前記第1浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第1浮遊ゲート電極と前記第2浮遊ゲート電極とに挟まれた領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第1導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第4半導体領域と対をなすことで、前記第1浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第2導電型の第5半導体領域とを有し、
前記読み出し用電界効果トランジスタは、
前記第2浮遊ゲート電極と、
前記第2浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第4半導体領域と対をなすことで、前記第2浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第1導電型の第6半導体領域と、
前記データ書き込み/消去用素子と共有するようにして前記第4半導体領域とを有し、
前記容量素子は、
前記第3浮遊ゲート電極と、
前記第3浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第3ゲート絶縁膜と、
前記第3半導体領域内において、平面的に見て、前記第3浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、互いに逆導電型である第7半導体領域および第8半導体領域とを有し、
前記第1浮遊ゲート電極、前記第2浮遊ゲート電極、および、前記第3浮遊ゲート電極は、同一層内に配置されており、
前記浮遊電極は、いかなる部分にも電気的に接続されていない浮遊状態で配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとは、前記第2半導体領域内において、前記第1方向に沿って並んで配置されており、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとを合わせた、前記第1方向における幅は、前記容量素子の前記第1方向における幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1方向における前記第2半導体領域の幅は、前記第1方向における前記第3半導体領域の幅と同じか、それよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルは、
前記第4半導体領域に電気的に接続する第1導電部と、
前記第5半導体領域に電気的に接続する第2導電部と、
前記第6半導体領域に電気的に接続する第3導電部と、
前記第7半導体領域に電気的に接続する第4導電部と、
前記第8半導体領域に電気的に接続する第5導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部とは、電気的に同電位となるように互いに接続され、
前記第4導電部と前記第5導電部とは、電気的に同電位となるように互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルの前記読み出し用電界効果トランジスタには、選択用電界効果トランジスタが電気的に直列に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記選択用電界効果トランジスタは、
前記第2半導体領域に形成され、
前記第6半導体領域を、ソースまたはドレイン領域として前記読み出し用電界効果トランジスタと共有することで、前記読み出し用電界効果トランジスタに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子でのデータの書き換えは、チャネル全面における、電荷のFNトンネリングにより行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に配置された主回路領域と、
前記半導体基板の第1主面に配置された不揮発性メモリ領域とを備え、
前記不揮発性メモリ領域の不揮発性メモリセルは、
前記半導体基板の第1主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
第1導電型とは逆導電型である第2導電型であり、前記第1半導体領域内における前記半導体基板の第1主面において第1方向に沿って延在するように形成された第2半導体領域と、
第2導電型であり、前記第1半導体領域内における前記半導体基板の第1主面において第1方向に沿って延在するように形成され、前記第1半導体領域に対して分離された状態で、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んで配置された第3半導体領域と、
前記第2半導体領域において、前記第1方向に沿って並んで配置されたデータ書き込み/消去用素子および読み出し用電界効果トランジスタと、
前記第3半導体領域に配置された容量素子と、
前記半導体基板の第1主面上に、絶縁膜を介して浮遊状態で形成された浮遊電極とを備え、
前記不揮発性メモリセルの配置範囲内において、前記データ書き込み/消去用素子の第1浮遊ゲート電極、前記読み出し用電界効果トランジスタの第2浮遊ゲート電極、および、前記容量素子の第3浮遊ゲート電極は、前記浮遊電極の一部として一体的に形成されており、
前記第1浮遊ゲート電極と前記第2浮遊ゲート電極とは、前記第2半導体領域の配置範囲内においては互いに分離されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとは、前記第2半導体領域内において、前記第1方向に沿って並んで配置されており、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとを合わせた、前記第1方向における幅は、前記容量素子の前記第1方向における幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、
前記第1方向における前記第2半導体領域の幅は、前記第1方向における前記第3半導体領域の幅と同じか、それよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルの前記読み出し用電界効果トランジスタには、選択用電界効果トランジスタが電気的に直列に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記選択用電界効果トランジスタは、
前記第2半導体領域に形成され、
ソースまたはドレイン領域を、前記読み出し用電界効果トランジスタと共有することで、前記読み出し用電界効果トランジスタに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項8記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子でのデータの書き換えは、チャネル全面における、電荷のFNトンネリングにより行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に配置された主回路形成領域と、
前記半導体基板の第1主面に配置された不揮発性メモリ領域とを備え、
前記不揮発性メモリ領域には、
前記半導体基板の第1主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
第1導電型とは逆導電型である第2導電型であり、前記第1半導体領域内において第1方向に延在するようにして配置された第2半導体領域と、
前記第1半導体領域内において、前記第2半導体領域に対し、電気的に分離された状態で沿うようにして、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶようにして配置された、第2導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域、および、前記第3半導体領域に平面的に重なるようにして配置された不揮発性メモリセルとを備え、
前記不揮発性メモリセルは、
前記第2半導体領域の一部および前記第3半導体領域の一部に平面的に重なるようにして配置された浮遊電極と、
前記第2半導体領域に形成されたデータ書き込み/消去用素子と、
前記第2半導体領域に形成された読み出し用電界効果トランジスタと、
前記第3半導体領域に形成された容量素子とを有し、
前記浮遊電極は、
前記第2半導体領域の一部に平面的に重なるように、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に延在するようにして配置された第1浮遊ゲート電極と、
前記第2半導体領域の一部に平面的に重なるように、かつ、前記第1浮遊ゲート電極と距離を隔てて沿うようにして配置された第2浮遊ゲート電極と、
前記第3半導体領域の一部に平面的に重なるようにして配置された第3浮遊ゲート電極とを有し、
前記データ書き込み/消去用素子は、
前記第1浮遊ゲート電極と、
前記第1浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第1浮遊ゲート電極と前記第2浮遊ゲート電極とに挟まれた領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第1導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第4半導体領域と対をなすことで、前記第1浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第2導電型の第5半導体領域とを有し、
前記読み出し用電界効果トランジスタは、
前記第2浮遊ゲート電極と、
前記第2浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2半導体領域内において、平面的に見て、前記第4半導体領域と対をなすことで、前記第2浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、第1導電型の第6半導体領域と、
前記データ書き込み/消去用素子と共有するようにして前記第4半導体領域とを有し、
前記容量素子は、
前記第3浮遊ゲート電極と、
前記第3浮遊ゲート電極および前記半導体基板の間に形成された第3ゲート絶縁膜と、
前記第3半導体領域内において、平面的に見て、前記第3浮遊ゲート電極を挟み込む領域に位置する前記半導体基板の第1主面に形成された、互いに逆導電型である第7半導体領域および第8半導体領域とを有し、
前記第1浮遊ゲート電極、前記第2浮遊ゲート電極、および、前記第3浮遊ゲート電極は、同一層内に配置されており、
前記浮遊電極は、いかなる部分にも電気的に接続されていない浮遊状態で配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとは、前記第2半導体領域内において、前記第1方向に沿って並んで配置されており、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとを合わせた、前記第1方向における幅は、前記容量素子の前記第1方向における幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1方向における前記第2半導体領域の幅は、前記第1方向における前記第3半導体領域の幅と同じか、それよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルは、
前記第4半導体領域に電気的に接続する第1導電部と、
前記第5半導体領域に電気的に接続する第2導電部と、
前記第6半導体領域に電気的に接続する第3導電部と、
前記第7半導体領域に電気的に接続する第4導電部と、
前記第8半導体領域に電気的に接続する第5導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部とは、電気的に同電位となるように互いに接続され、
前記第4導電部と前記第5導電部とは、電気的に同電位となるように互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルの前記読み出し用電界効果トランジスタには、選択用電界効果トランジスタが電気的に直列に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記選択用電界効果トランジスタは、
前記第2半導体領域に形成され、
前記第6半導体領域を、ソースまたはドレイン領域として前記読み出し用電界効果トランジスタと共有することで、前記読み出し用電界効果トランジスタに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子でのデータの書き換えは、チャネル全面における、電荷のFNトンネリングにより行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する第1主面および第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に配置された主回路領域と、
前記半導体基板の第1主面に配置された不揮発性メモリ領域とを備え、
前記不揮発性メモリ領域の不揮発性メモリセルは、
前記半導体基板の第1主面に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
第1導電型とは逆導電型である第2導電型であり、前記第1半導体領域内における前記半導体基板の第1主面において第1方向に沿って延在するように形成された第2半導体領域と、
第2導電型であり、前記第1半導体領域内における前記半導体基板の第1主面において第1方向に沿って延在するように形成され、前記第1半導体領域に対して分離された状態で、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んで配置された第3半導体領域と、
前記第2半導体領域において、前記第1方向に沿って並んで配置されたデータ書き込み/消去用素子および読み出し用電界効果トランジスタと、
前記第3半導体領域に配置された容量素子と、
前記半導体基板の第1主面上に、絶縁膜を介して浮遊状態で形成された浮遊電極とを備え、
前記不揮発性メモリセルの配置範囲内において、前記データ書き込み/消去用素子の第1浮遊ゲート電極、前記読み出し用電界効果トランジスタの第2浮遊ゲート電極、および、前記容量素子の第3浮遊ゲート電極は、前記浮遊電極の一部として一体的に形成されており、
前記第1浮遊ゲート電極と前記第2浮遊ゲート電極とは、前記第2半導体領域の配置範囲内においては互いに分離されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとは、前記第2半導体領域内において、前記第1方向に沿って並んで配置されており、
前記データ書き込み/消去用素子と前記読み出し用電界効果トランジスタとを合わせた、前記第1方向における幅は、前記容量素子の前記第1方向における幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、
前記第1方向における前記第2半導体領域の幅は、前記第1方向における前記第3半導体領域の幅と同じか、それよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体装置において、
前記不揮発性メモリセルの前記読み出し用電界効果トランジスタには、選択用電界効果トランジスタが電気的に直列に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記選択用電界効果トランジスタは、
前記第2半導体領域に形成され、
ソースまたはドレイン領域を、前記読み出し用電界効果トランジスタと共有することで、前記読み出し用電界効果トランジスタに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項8記載の半導体装置において、
前記データ書き込み/消去用素子でのデータの書き換えは、チャネル全面における、電荷のFNトンネリングにより行うことを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−88090(P2009−88090A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253541(P2007−253541)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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