説明

半導体装置

【課題】パッドとバンプとの接触端を起点にクラックが発生したとしても、該クラックによって半導体基板が受けるダメージを低減することができる構造を提供する。
【解決手段】第1半導体チップ10において第1パッド部12を貫通して第1絶縁層11cに達する第1トレンチ13を設け、第2半導体チップ20において第2パッド部22を貫通して第2半導体基板21に達する第2トレンチ23を設ける。そして、バンプ30によって第1半導体チップ10と第2半導体チップ20とをフリップチップ接合する。このとき、各トレンチ13、23が、各パッド部12、22にバンプ30が接触した接触面のうちの外縁部に配置されるようにする。これにより、該接触面において各トレンチ13、23よりも内側に進展するクラック15、25を阻止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの基板をバンプでフリップチップ接合した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサチップがバンプを介して回路チップに積層されたセンサ装置が、例えば特許文献1で提案されている。具体的に、特許文献1では、半導体基板で構成された両チップはパッド上のバンプによって各々が電気的に接続され、バンプによって両チップが離間した構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、冷熱環境において発生する半導体基板とバンプとの線膨張係数差や外部応力からの反りが要因となってバンプ/パッド界面に応力が発生し、該応力によってパッドおよび半導体基板にクラックが発生してしまう。このクラックは、パッドとバンプとが接合された部分において、該接合部のうちもっとも外側の接触端を起点に発生し、バンプの径方向およびパッドの深さ方向に進展する。これにより、半導体基板がダメージを受けてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、パッドとバンプとの接触端を起点にクラックが発生したとしても、クラックによって半導体基板が受けるダメージを低減することができる構造の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1半導体基板(11)と、第1半導体基板(11)の上に形成された第1パッド部(12)と、を備えた第1半導体チップ(10)と、第2半導体基板(21)と、第2半導体基板(21)の上に形成された第2パッド部(22)と、を備えた第2半導体チップ(20)と、第1パッド部(12)および第2パッド部(22)の上に配置され、第1半導体チップ(10)と第2半導体チップ(20)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、第1パッド部(12)においてバンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置するバンプ(30)の端部を第1接合端(14)とすると、第1半導体チップ(10)は、第1接合端(14)よりも内側に位置する第1トレンチ(13)を備えていることを特徴とする。
【0007】
これによると、第1半導体チップ(10)には第1接合端(14)よりも内側に第1トレンチ(13)が配置されているので、第1パッド部(12)とバンプ(30)との接合部のうち最も外縁側の第1接合端(14)を起点にクラック(15)が発生したとしても、バンプ(30)の径方向および第1パッド部(12)の深さ方向、すなわち接触面において第1トレンチ(13)よりも内側に進展するクラック(15)を第1トレンチ(13)により阻止することができる。したがって、クラック(15)が発生したとしても、第1半導体基板(11)がクラック(15)によって受けるダメージを低減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、第1トレンチ(13)は、第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0009】
このように、第1トレンチ(13)が一周しているので、クラック(15)が第1接合端(14)のどの位置を起点として接合面の中心方向に進展したとしても、全ての方向のクラック(15)の進展を阻止することができる。したがって、第1半導体基板(11)がクラック(15)によって受けるダメージを確実に低減することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、第1トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされ、接触面の面方向のうち第1の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って少なくとも2本形成されており、第1の方向に沿った少なくとも2本と第2の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0011】
このように、第1の方向に沿った直線状の2本の第1トレンチ(13)と第2の方向に沿った直線状の2本の第1トレンチ(13)との少なくとも4本の第1トレンチ(13)により第1接合端(14)よりも内側を囲っているので、第1トレンチ(13)を第1接合端(14)よりも内側で一周するようにすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、第1トレンチ(13)は、第1半導体チップ(10)のうち第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように、少なくとも第1半導体基板(11)に第1トレンチ(13)を設けることにより、第1半導体基板(11)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、第1トレンチ(13)は、第1パッド部(12)を貫通して第1半導体基板(11)に達するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように、第1トレンチ(13)を第1パッド部(12)および第1半導体基板(11)に設けることにより、第1パッド部(12)内または第1半導体基板(11)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、第1半導体層(11a)の上に第1パッド部(12)が配置されており、第1トレンチ(13)は、第1半導体基板(11)のうち第1半導体層(11a)に形成されていることを特徴とする。
【0017】
このように、SOI基板のうち第1半導体層(11a)に第1トレンチ(13)が形成されているので、第1半導体層(11a)内でクラック(15)の進展を阻止することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、第1半導体層(11a)の上に第1パッド部(12)が配置されており、第1トレンチ(13)は、第1半導体層(11a)および第1絶縁層(11c)を貫通して第2半導体層(11b)に達するように第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0019】
このように、SOI基板のうち第2半導体層(11b)に達するまで第1トレンチ(13)が深く形成されているので、第1半導体チップ(10)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明では、第1トレンチ(13)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、第1半導体チップ(10)の剛性を高めることができ、第1半導体チップ(10)の機械的強度を向上させることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明では、第1半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする。
【0023】
これによると、MEMSデバイスが形成されていることによりアンダーフィルを用いて接合強度を確保できない場合でも、上述のようにトレンチによりクラック(15)の進展を阻止しているので、アンダーフィルを用いなくても第1半導体チップ(10)と第2半導体チップ(20)との接合強度を確保することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明では、第2パッド部(22)においてバンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置するバンプ(30)の端部を第2接合端(24)とすると、第2半導体チップ(20)は、第2接合端(24)よりも内側に位置する第2トレンチ(23)を備えていることを特徴とする。
【0025】
これによると、第2半導体チップ(20)には第2接合端(24)よりも内側に第2トレンチ(23)が配置されているので、第2パッド部(22)とバンプ(30)との接合部のうち最も外縁側の第2接合端(24)を起点にクラック(15)が発生したとしても、バンプ(30)の径方向および第2パッド部(22)の深さ方向、すなわち接触面において第2トレンチ(23)よりも内側に進展するクラック(15)を第2トレンチ(23)により阻止することができる。したがって、第1半導体チップ(10)においてクラック(15)の進展を阻止できるだけでなく、第2半導体チップ(20)において第2半導体基板(21)がクラック(15)によって受けるダメージを低減することもできる。
【0026】
請求項11に記載の発明では、第2トレンチ(23)は、前記第2接合端(24)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0027】
これにより、第2半導体チップ(20)においても、請求項2と同様に、全ての方向のクラック(15)の進展を阻止することができる。したがって、第2半導体基板(21)がクラック(15)によって受けるダメージを確実に低減することができる。
【0028】
請求項12に記載の発明では、第2トレンチ(23)は、直線状にレイアウトされ、前記接触面の面方向のうち第3の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、前記第3の方向とは異なる第4の方向に沿って少なくとも2本形成されており、前記第3の方向に沿った少なくとも2本と前記第4の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、前記第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0029】
これにより、第2半導体チップ(20)においても、請求項3と同様に、第2トレンチ(23)を第2接合端(24)よりも内側で一周するようにすることができる。
【0030】
請求項13に記載の発明では、第2トレンチ(23)は、第2半導体チップ(20)のうち第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする。
【0031】
このように、少なくとも第2半導体基板(21)に第2トレンチ(23)を設けることにより、第2半導体基板(21)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0032】
請求項14に記載の発明では、第2トレンチ(23)は、第2パッド部(22)を貫通して第2半導体基板(21)に達するように形成されていることを特徴とする。
【0033】
このように、第2トレンチ(23)を第2パッド部(22)および第2半導体基板(21)に設けることにより、第2パッド部(22)内または第2半導体基板(21)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0034】
請求項15に記載の発明では、第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、第3半導体層の上に第2パッド部(22)が配置されており、第2トレンチ(23)は、第2半導体基板(21)のうち第3半導体層に形成されていることを特徴とする。
【0035】
このように、SOI基板のうち第3半導体層に第2トレンチ(23)が形成されているので、第3半導体層内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0036】
請求項16に記載の発明では、第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、第3半導体層の上に第2パッド部(22)が配置されており、第2トレンチ(23)は、第3半導体層および第2絶縁層を貫通して第4半導体層に達するように第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする。
【0037】
このように、SOI基板のうち第4半導体層に達するまで第2トレンチ(23)が深く形成されているので、第2半導体チップ(20)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0038】
請求項17に記載の発明では、第2トレンチ(23)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0039】
これにより、第2半導体チップ(20)の剛性を高めることができ、第2半導体チップ(20)の機械的強度を向上させることができる。
【0040】
請求項18に記載の発明では、第2半導体チップ(20)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする。これにより、請求項9と同様の効果が得られる。
【0041】
請求項19に記載の発明では、第1半導体基板(11)と、第1半導体基板(11)の上に形成された第1パッド部(12)と、第1パッド部(12)を貫通して第1半導体基板(11)に達する第1トレンチ(13)とを備えた第1半導体チップ(10)と、第2半導体基板(21)と、第2半導体基板(21)の上に形成された第2パッド部(22)と、第2パッド部(22)を貫通して第2半導体基板(21)に達する第2トレンチ(23)とを備えた第2半導体チップ(20)と、第1パッド部(12)および第2パッド部(22)の上に配置され、第1半導体チップ(10)と第2半導体チップ(20)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、第1トレンチ(13)は、第1パッド部(12)にバンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置され、第2トレンチ(23)は、第2パッド部(22)にバンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置されていることを特徴とする。
【0042】
このように、第1パッド部(12)や第2パッド部(22)とバンプ(30)との接触面のうちの外縁部に第1トレンチ(13)や第2トレンチ(23)が配置されている。このため、第1パッド部(12)や第2パッド部(22)とバンプ(30)との接触端(14、24)を起点にクラック(15、25)が発生したとしても、バンプ(30)の径方向および第1パッド部(12)や第2パッド部(22)の深さ方向、すなわち該接触面において第1トレンチ(13)や第2トレンチ(23)よりも内側に進展するクラック(15、25)を阻止することができる。
【0043】
したがって、クラック(15、25)が発生したとしても、第1半導体基板(11)や第2半導体基板(21)がクラック(15、25)によって受けるダメージを低減することができる。
【0044】
請求項20に記載の発明では、第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、第1トレンチ(13)は第1パッド部(12)を貫通して第1絶縁層(11c)に達するように第1半導体層(11a)に形成されており、さらに、第1トレンチ(13)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0045】
これにより、第1半導体チップ(10)の剛性を高めることができ、第1半導体チップ(10)の機械的強度を向上させることができる。
【0046】
請求項21に記載の発明では、第1トレンチ(13)は、第1絶縁層(11c)を貫通して第2半導体層(11b)に達するように第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0047】
これによると、SOI基板のうち第2半導体層(11b)に達するまで第1トレンチ(13)が深く形成されているので、第1半導体チップ(10)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0048】
請求項22に記載の発明では、第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、第2トレンチ(23)は第2パッド部(22)を貫通して第2絶縁層に達するように第3半導体層に形成されており、さらに、第2トレンチ(23)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0049】
これにより、第2半導体チップ(20)の剛性を高めることができ、第2半導体チップ(20)の機械的強度を向上することができる。
【0050】
請求項23に記載の発明では、第2トレンチ(23)は、第2絶縁層を貫通して第4半導体層に達するように第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする。
【0051】
これによると、SOI基板のうち第4半導体層に達するまで第2トレンチ(23)が深く形成されているので、第2半導体チップ(20)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0052】
請求項24に記載の発明のように、第1トレンチ(13)および第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、直線状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、直線状の各トレンチ(13、23)に平行な方向以外の方向から各トレンチ(13、23)に向かって進展するクラック(15、25)を阻止することができる。
【0053】
請求項25に記載の発明のように、第1トレンチ(13)および第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、同心円状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、バンプ(30)の径方向に進展するクラック(15、25)を確実に阻止することができる。
【0054】
請求項26に記載の発明のように、第1トレンチ(13)および第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、複数の円が千鳥状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、どの方向に進展するクラック(15、25)であっても、規則的に配置されたいずれかの各トレンチ(13、23)によって確実に阻止することができる。
【0055】
請求項27に記載の発明のように、第1トレンチ(13)および第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、複数の円が放射状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、規則的に配置された各トレンチ(13、23)によってバンプ(30)の径方向に進展するクラック(15、25)を阻止することができる。
【0056】
請求項28に記載の発明では、第1半導体チップ(10)および第2半導体チップ(20)のうちいずれか一方または両方は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする。
【0057】
これにより、第1半導体チップ(10)および第2半導体チップ(20)のうちいずれか一方または両方にMEMSデバイスが形成されていても、上述のようにトレンチによりクラック(15)の進展を阻止しているので、アンダーフィルを用いなくても第1半導体チップ(10)と第2半導体チップ(20)との接合強度を確保することができる。
【0058】
請求項29に記載の発明では、基板(51)と、基板(51)の上に形成された電極(52)と、を備えた電子装置(50)と、半導体基板(11)と、半導体基板(11)の上に形成されたパッド部(12)と、を備えた半導体チップ(10)と、電極(52)およびパッド部(12)の上に配置され、電子装置(50)と半導体チップ(10)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、パッド部(12)においてバンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置するバンプ(30)の端部を接合端(14)とすると、半導体チップ(10)は、接合端(14)よりも内側に位置するトレンチ(13)を備えていることを特徴とする。
【0059】
これによると、半導体チップ(10)には接合端(14)よりも内側にトレンチ(13)が配置されているので、パッド部(12)とバンプ(30)との接合部のうち最も外縁側の接合端(14)を起点にクラック(15)が発生したとしても、バンプ(30)の径方向および第2パッド部(22)の深さ方向、すなわち接触面においてトレンチ(13)よりも内側に進展するクラック(15)をトレンチ(13)により阻止することができる。したがって、半導体チップ(10)において半導体基板(11)がクラック(15)によって受けるダメージを低減することもできる。
【0060】
請求項30に記載の発明では、トレンチ(13)は、前記接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0061】
これにより、クラック(15)が接合端(14)のどの位置を起点として接合面の中心方向に進展したとしても、全ての方向のクラック(15)の進展を阻止することができる。したがって、半導体基板(11)がクラック(15)によって受けるダメージを確実に低減することができる。
【0062】
請求項31に記載の発明では、トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされ、接触面の面方向のうち第1の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って少なくとも2本形成されており、第1の方向に沿った少なくとも2本と第2の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする。
【0063】
このように、直線状のトレンチ(13)を互いに交差させることにより、トレンチ(13)を接合端(14)よりも内側で一周するようにすることができる。
【0064】
請求項32に記載の発明では、トレンチ(13)は、前記半導体チップ(10)のうち前記半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0065】
このように、少なくとも半導体基板(11)にトレンチ(13)を設けることにより、第1半導体基板(11)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0066】
請求項33に記載の発明では、トレンチ(13)は、パッド部(12)を貫通して半導体基板(11)に達するように形成されていることを特徴とする。
【0067】
このように、トレンチ(13)をパッド部(12)および半導体基板(11)に設けることにより、パッド部(12)内または半導体基板(11)内でクラック(15)の進展を停止させることができる。
【0068】
請求項34に記載の発明では、半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、第1半導体層(11a)の上にパッド部(12)が配置されており、トレンチ(13)は、半導体基板(11)のうち第1半導体層(11a)に形成されていることを特徴とする。
【0069】
このように、SOI基板のうち第1半導体層(11a)にトレンチ(13)が形成されているので、第1半導体層(11a)内でクラック(15)の進展を阻止することができる。
【0070】
請求項35に記載の発明では、半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、第1半導体層(11a)の上にパッド部(12)が配置されており、トレンチ(13)は、第1半導体層(11a)および第1絶縁層(11c)を貫通して第2半導体層(11b)に達するように半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0071】
このように、SOI基板のうち第2半導体層(11b)に達するまでトレンチ(13)が深く形成されているので、半導体チップ(10)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0072】
請求項36に記載の発明では、トレンチ(13)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0073】
これにより、半導体チップ(10)の剛性を高めることができ、半導体チップ(10)の機械的強度を向上させることができる。
【0074】
請求項37に記載の発明では、半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする。これにより、請求項9と同様の効果が得られる。
【0075】
請求項38に記載の発明では、基板(51)と、基板(51)の上に形成された電極(52)とを備えた電子装置(50)と、半導体基板(11)と、半導体基板(11)の上に形成されたパッド部(12)と、パッド部(12)を貫通して半導体基板(11)に達するトレンチ(13)とを備えた半導体チップ(10)と、電極(52)およびパッド部(12)の上に配置され、電子装置(50)と半導体チップ(10)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、トレンチ(13)は、パッド部(12)にバンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置されていることを特徴とする。
【0076】
このように、パッド部(12)とバンプ(30)との接触面のうちの外縁部にトレンチ(13)が配置されている。このため、パッド部(12)とバンプ(30)との接触端(14)を起点にクラック(15)が発生したとしても、トレンチ(13)によってバンプ(30)の径方向およびパッド部(12)の深さ方向、すなわち該接触面においてトレンチ(13)よりも内側に進展するクラック(15)を阻止することができる。したがって、クラック(15)が発生したとしても、半導体基板(11)がクラック(15)によって受けるダメージを低減することができる。
【0077】
請求項39に記載の発明では、半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、トレンチ(13)はパッド部(12)を貫通して第1絶縁層(11c)に達するように第1半導体層(11a)に形成されており、さらに、トレンチ(13)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする。
【0078】
これにより、半導体チップ(10)の剛性を高めることができ、半導体チップ(10)の機械的強度を向上させることができる。
【0079】
請求項40に記載の発明では、トレンチ(13)は、第1絶縁層(11c)を貫通して第2半導体層(11b)に達するように半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする。
【0080】
これによると、SOI基板のうち第2半導体層(11b)に達するまでトレンチ(13)が深く形成されているので、半導体チップ(10)の深さ方向に進展するクラック(15)を確実に停止させることができる。
【0081】
請求項41に記載の発明のように、トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、請求項4と同様の効果を得ることができる。
【0082】
請求項42に記載の発明のように、トレンチ(13)は、同心円状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、請求項5と同様の効果を得ることができる。
【0083】
請求項43に記載の発明のように、トレンチ(13)は、複数の円が千鳥状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、請求項6と同様の効果を得ることができる。
【0084】
請求項44に記載の発明のように、トレンチ(13)は、複数の円が放射状にレイアウトされたものとすることができる。これにより、請求項7と同様の効果を得ることができる。
【0085】
請求項45に記載の発明では、半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする。これにより、請求項9と同様の効果が得られる。
【0086】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。
【図2】第1パッド部の平面図である。
【図3】第1パッド部の上にバンプが配置されたときの第1パッド部の平面図である。
【図4】第1トレンチの製造工程を示した図である。
【図5】図4に続く製造工程を示した図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。
【図9】(a)は第1パッド部の平面図であり、(b)は第1パッド部の上にバンプが配置されたときの第1パッド部の平面図である。
【図10】他の実施形態において、第1パッド部の平面レイアウトの一例を示した図である。
【図11】他の実施形態において、第1トレンチの深さの一例を示した断面図である。
【図12】他の実施形態において、第1半導体基板に第1トレンチを形成した構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0089】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される半導体装置は、例えば加速度センサ等の力学量センサが設けられたチップと、該センサの信号を処理する処理回路が設けられたチップとがフリップチップ接合されたものである。このような半導体装置は、加速度や角速度等の物理量を検出するものとして、例えば車両等に搭載される。
【0090】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。この図に示されるように、半導体装置は、第1半導体チップ10と、第2半導体チップ20と、バンプ30とを備えて構成されている。
【0091】
第1半導体チップ10は、第1半導体基板11と、第1パッド部12と、第1トレンチ13とを備えている。
【0092】
第1半導体基板11は、第1半導体層11aと第2半導体層11bとで第1絶縁層11cが挟み込まれて構成されたSOI基板である。各半導体層11a、11bとして例えばN型の単結晶シリコンが採用され、第1絶縁層11cとして例えばSiOが採用される。なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、SOI基板が特許請求の範囲の第1半導体基板に対応する。
【0093】
このうち、第1半導体層11aに対して加速度センサや角速度センサ等の力学量センサを構成する可動部や固定部等がMEMS技術によって形成されている。
【0094】
第1パッド部12は、第1半導体基板11の上に形成され、第1半導体層11aに形成された力学量センサと外部とを電気的に接続するための電極である。このため、第1パッド部12は、第1半導体層11aの上に形成された図示しない配線に接続されている。このような第1パッド部12の材質として、例えば純Al、AlSi、AlSiCu等が採用される。
【0095】
第1トレンチ13は、バンプ30と第1パッド部12とが接合された部分において、該接合部のうちもっとも外側の接合端14を起点に発生するクラック15の進展を阻止する役割を果たすものである。
【0096】
このような第1トレンチ13は、第1パッド部12および第1半導体層11aを貫通して第1絶縁層11cに達するように形成されている。この第1トレンチ13の内部は空洞になっている。
【0097】
図2は、第1パッド部12の平面図である。この図に示されるように、四角形状にレイアウトされた第1パッド部12に直線状に第1トレンチ13が形成されている。第1トレンチ13は、直線部13aと、該直線部13aの長手方向に対して直角方向に延設された枝部13bとを備えている。これにより、第1パッド部12は、四角形状のブロックが直線部13aの長手方向に並べられると共に、ブロックの一部が隣のブロックと連結されたレイアウトになっている。なお、直線部13aの端部が図示しない配線に接続されている。
【0098】
直線部13aおよび枝部13bの幅は例えば数μm程度であり、深さは例えば25μm〜50μmである。第1半導体層11aの厚さが例えば25μmであるとすると、該第1半導体層11aを貫通する第1トレンチ13の深さは第1半導体層11aに等しく、したがって25μmである。また、各直線部13aは、例えば数十μmのピッチで配置されている。
【0099】
第2半導体チップ20は、第2半導体基板21と、第2パッド部22と、第2トレンチ23とを備えている。
【0100】
第2半導体基板21は、シリコン基板等の半導体基板である。この第2半導体基板21にはMOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等で構成された集積回路が半導体プロセスにより形成されている。該集積回路は、第1半導体チップ10に設けられた力学量センサの信号を処理するものである。
【0101】
第2パッド部22は、第2半導体基板21の上に形成され、第2半導体基板21に形成された集積回路と外部とを電気的に接続するための電極である。このため、第2パッド部22は、第2半導体基板21の上に形成された図示しない配線に接続されている。このような第2パッド部22の材質は、第1パッド部12と同様のものが採用される。
【0102】
第2トレンチ23は、バンプ30と第2パッド部22とが接合された部分において、該接合部のうちもっとも外側の接合端24を起点に発生するクラック25の進展を阻止する役割を果たすものである。このような第2トレンチ23は、第2パッド部22を貫通して第2半導体基板21に達するように形成されている。
【0103】
本実施形態では、第2トレンチ23のレイアウトは、上記の第1トレンチ13と同じである。また、第2トレンチ23の幅、およびピッチについても、第1トレンチ13と同じである。第2トレンチ23の深さについては、第1トレンチ13よりも深くなっている。
【0104】
バンプ30は、第1半導体チップ10と第2半導体チップ20とをフリップチップ接合すると共に、第1半導体チップ10の回路と第2半導体チップ20の回路とを電気的に接続する役割を果たす。
【0105】
このようなバンプ30は、第1半導体チップ10側の第1バンプ31と第2半導体チップ20側の第2バンプ32とが超音波接合方式や熱圧着方式等によってフリップチップ接合されることで一体化されたものである。すなわち、第1バンプ31および第2バンプ32は、各チップ10、20が一体化される前に、予め第1パッド部12および第2パッド部22の上にそれぞれ形成されたものである。このようなバンプ30の材質としては、例えば、金、銅、はんだ、アルミニウム等の金属が採用される。
【0106】
図3は、第1パッド部12の上にバンプ30が配置された様子を示す平面図である。この図に示されるように、バンプ30は、第1トレンチ13を覆うように第1パッド部12の上に配置されている。つまり、第1トレンチ13は、第1パッド部12にバンプ30が接触した接触面のうちの外縁部に配置されている。
【0107】
そして、冷熱環境において発生する第1半導体基板11とバンプ30との線膨張係数差や外部応力からの反りが要因となって、第1パッド部12とバンプ30との接合端14を起点にクラック15が発生する。
【0108】
このクラック15は、図1に示されるように、バンプ30の側面のうち第1パッド部12付近の側面と第1パッド部12の表面とのなす角度で第1パッド部12内に進展する。該角度は、およそ30°〜45°である。また、クラック15は、バンプ30の径方向であって第1パッド部12の深さ方向に進展する。したがって、第1パッド部12に第1トレンチ13が設けられていない場合、クラック15が第1パッド部12と第1半導体層11aとに進展すると、第1パッド部12および第1半導体層11aの2層が球面状に割れる。これにより、バンプ30は第1半導体チップ10から離れてしまう。
【0109】
しかし、第1半導体チップ10には、第1パッド部12とバンプ30との接触面のうちの外縁部に直線部13aと枝部13bとによって構成された第1トレンチ13が設けられている。このため、直線部13aに対して平行に進展するクラック15については、該直線部13aに対して直角に配置された枝部13bによって阻止される。つまり、枝部13bは該枝部13bに対して平行に進展するクラック15以外のクラック15を阻止することができる。一方、枝部13bに対して平行に進展するクラック15については、該枝部13bに対して直角に配置された直線部13aによって阻止される。つまり、直線部13aは該直線部13aに対して平行に進展するクラック15以外のクラック15を阻止することができる。したがって、クラック15の進展は該接触面の外縁部に配置された第1トレンチ13を構成する直線部13aや枝部13bによって停止し、第1トレンチ13よりも内側に進展することはない。
【0110】
以上により、図1に示されるように、バンプ30と第1パッド部12とが接触した面内において、接合端14にもっとも近い第1トレンチ13よりも内側の第1パッド部12および第1半導体層11aがクラック15によってダメージを受けることはない。
【0111】
第2トレンチ23についても同様に、バンプ30は第2トレンチ23を覆うように第2パッド部22の上に配置されている。つまり、第2トレンチ23は、第2パッド部22にバンプ30が接触した接触面のうちの外縁部に配置されている。これにより、バンプ30と第2パッド部22とが接触した面内において、接合端24にもっとも近い第2トレンチ23よりも内側の第2パッド部22および第2半導体基板21がクラック25によってダメージを受けることはない。
【0112】
このように、各パッド部12、22とバンプ30との接合端14、24を起点にして、バンプ30の径方向であって各パッド部12、22の深さ方向に発生するクラック15、25の進展を各トレンチ13、23によって阻止できるようになっている。
【0113】
以上が、本実施形態に係る半導体装置の構成である。なお、図1ではバンプ30による接合部を一部だけ示してあるが、実際には各チップ10、20に多数のパッド部12、22が設けられており、各々がバンプ30によってフリップチップ接合されている。
【0114】
次に、上記の半導体装置において、各チップ10、20に設けられた各トレンチ13、23の形成方法について、図4および図5を参照して説明する。以下では、第1半導体チップ10に第1トレンチ13を形成する方法について説明する。
【0115】
まず、図4(a)に示す工程では、SOI基板である第1半導体基板11を用意する。第1半導体基板11は、ウェハ状のものである。そして、第1半導体層11aの上に金属膜40を蒸着等により形成する。金属膜40の材質として、Al等を用いる。この金属膜40は、第1パッド部12となるものである。この後、図4(b)に示す工程では、金属膜40の上にレジスト41を塗布する。
【0116】
続いて、図4(c)に示す工程では、第1半導体基板11の所定の位置に第1パッド部12のパターンが形成されたマスク42を配置し、マスク42が開口した位置に対応したレジスト41を露光および現像する。これにより、露光されなかったレジスト41、すなわち第1パッド部12のパターンに対応したレジスト41のみを金属膜40の上に残す。
【0117】
図4(d)に示す工程では、レジスト41からマスク42を外し、該レジスト41をマスクとして金属膜40をエッチングする。これにより、金属膜40から第1パッド部12のパターンを形成する。第1パッド部12のレイアウトは、図2に示されたものになる。そして、図4(e)に示す工程では、第1パッド部12の上のレジスト41を除去する。
【0118】
この後、図5(a)に示す工程では、第1パッド部12を覆うように、第1半導体基板11の全面にレジスト43を塗布する。
【0119】
続いて、図5(b)に示す工程では、第1トレンチ13に対応した位置が開口したマスク44を用意する。そして、第1パッド部12のうち開口した位置すなわち第1トレンチ13の位置にマスク44の開口部分を位置合わせする。この後、レジスト43の上にマスク44を配置し、マスク44が開口した位置に対応したレジスト43を露光および現像する。これにより、レジスト43のうち第1トレンチ13となる位置のみを除去する。すなわち、レジスト43のうち第1パッド部12のうち第1トレンチ13となる部分が開口する。また、レジスト43の上からマスク44を外す。
【0120】
図5(c)に示す工程では、レジスト43をマスクとして、第1半導体層11aをエッチングする。そして、図5(d)に示す工程では、第1半導体基板11からレジスト43を除去する。これにより、第1パッド部12および第1半導体層11aに対して、第1パッド部12を貫通して第1絶縁層11cに達する第1トレンチ13が形成される。
【0121】
上記では、第1半導体基板11に対する第1トレンチ13の形成方法について説明したが、第2半導体基板21対する第2トレンチ23についても同様の工程により形成することができる。この場合、図4(a)に示す工程でシリコン基板である第2半導体基板21を用意し、以下、各工程を行うこととなる。また、第2半導体基板21としてシリコン基板を用いているため、図5(c)に示す工程では、第2半導体基板21のエッチング量を調節することにより、第2トレンチ23の深さを調節することとなる。
【0122】
そして、第1パッド部12の上に第1バンプ31を形成し、第2パッド部22の上に第2バンプ32を形成する。この後、第1半導体チップ10の第1パッド部12と第2半導体チップ20の第2パッド部22とを向かい合わせると共に第1バンプ31と第2バンプ32とを超音波接合方式や熱圧着方式等によって接合する。この後、ウェハを個々に分割することで、図1に示される構造を備えた半導体装置が完成する。
【0123】
なお、図4および図5では、第1半導体基板11に対して第1パッド部12および第1トレンチ13を形成する工程のみを示したが、第1半導体基板11には加速度センサ等のセンシング部の形成も行う。すなわち、第1パッド部12および第1トレンチ13の形成は、第1半導体基板11に形成する他の構造と同じ工程で行っても良いし、単独で行っても良い。第2半導体チップ20についても同様である。
【0124】
以上説明したように、本実施形態では、第1半導体チップ10において第1パッド部12を貫通して第1絶縁層11cに達する第1トレンチ13を設けている。また、第2半導体チップ20において第2パッド部22を貫通して第2半導体基板21に達する第2トレンチ23を設けている。そして、バンプ30が第1トレンチ13および第2トレンチ23を覆うように第1半導体チップ10と第2半導体チップ20とをフリップチップ接合していることが特徴となっている。
【0125】
これにより、第1パッド部12とバンプ30と接触面のうちの外縁部に配置された第1トレンチ13によって該第1トレンチ13よりも内側に進展するクラック15を阻止することができる。また、第2トレンチ23についても同様にクラック25を阻止することができる。したがって、第1半導体基板11や第2半導体基板21にクラック15、25が発生したとしても、第1半導体基板11や第2半導体基板21がクラック15、25によって受けるダメージを低減することができる。
【0126】
さらに、各半導体基板11、21が受けるダメージを低減できるので、各チップ10、20の構造強度や電気接続性を確保することもできる。
【0127】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第1トレンチ13内に充填材が充填されていることが特徴となっている。
【0128】
図6は、本実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。この図に示されるように、第1半導体チップ10において、第1トレンチ13に充填材16が充填されている。充填材16の材質としては、例えばタングステン等の金属や、樹脂等の絶縁物が採用される。この充填材16によって、第1半導体チップ10の剛性が高まり、第1半導体チップ10の機械的強度が向上する。
【0129】
また、充填材16は、図5(c)に示す工程において、第1半導体層11aをエッチングした後、スパッタ法や蒸着法によって第1トレンチ13内に充填材16を充填することができる。
【0130】
そして、上述のように、第1半導体層11aはシリコン層であり、破壊強度が低い脆性材料である。しかし、充填材16は金属等のように、シリコンよりも破壊強度が高い材料である。このため、クラック15によって第1半導体層11aが破壊されても、充填材16が破壊されることはない。したがって、クラック15の進展は充填材16によって阻止される。
【0131】
以上のように、第1半導体基板11としてSOI基板を採用している第1半導体チップ10については、第1トレンチ13に充填材16を充填した構造とすることができる。
【0132】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、各チップ10、20をフリップチップ接合するのではなく、基板に対して第1半導体チップ10をフリップチップ接合した構造が特徴となっている。
【0133】
図7は、本実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。この図に示されるように、半導体装置は、第1半導体チップ10と、電子装置50と、バンプ30とを備えている。第1半導体チップ10は、上記第1実施形態で示されたものと同じ構造である。また、バンプ30は、第1半導体チップ10の第1パッド部12の上に設けられた第1バンプ31である。
【0134】
電子装置50は、第1半導体チップ10から入力された信号の処理を行う装置である。このような電子装置50は、基板51と、該基板51の上に形成された電極52とを備えている。
【0135】
基板51は、各種電子部品が実装されたものである。基板51の材質として、例えばセラミック基板、プリント基板、フレキシブルプリント基板等が採用される。本実施形態では、基板51としてセラミック基板が用いられている。
【0136】
電極52は、第1半導体チップ10と電気的な接続を行うためのものである。この電極52は基板51の上に形成され、基板51上の電気回路に接続されている。電極52の材質としては、タングステン、ニッケル、金めっき等が採用される。
【0137】
そして、第1半導体チップ10と電子装置50とがバンプ30によってフリップチップ接合されている。この場合、バンプ30は、電極52の上に配置されると共に第1トレンチ13を覆うように第1パッド部12の上に配置されている。
【0138】
したがって、第1半導体チップ10では、第1パッド部12とバンプ30との接合端14を起点にクラック15が発生したとしても、第1トレンチ13によってクラック15の進展が阻止される。一方、電子装置50では、基板51がセラミック基板等の硬い材質であるため、電極52にクラック15が発生したとしても、基板51がダメージを受けるということはない。
【0139】
以上のように、第1半導体チップ10と電子装置50とをフリップチップ接合したものにおいても、第1半導体チップ10に発生するクラック15の進展については第1トレンチ13で阻止することが可能である。したがって、第1半導体基板11がクラック15によって受けるダメージを低減することができる。
【0140】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第1実施形態では、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20の両方に第1トレンチ13および第2トレンチ23が形成されたものが示されているが、本実施形態では、第1半導体チップ10に第1トレンチ13が形成され、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成されていないことが特徴となっている。
【0141】
図8は、本実施形態に係る半導体装置の一部断面図である。この図に示されるように、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20のうちの第1半導体チップ10のみに第1トレンチ13が形成されている。
【0142】
そして、第1パッド部12においてバンプ30が接触した接触面のうち最も外縁側に位置するバンプ30の端部を第1接合端14とすると、第1半導体チップ10は、第1接合端14よりも内側に第1トレンチ13を備えている。第1トレンチ13は、第1パッド部12および第1半導体層11aを貫通して第1絶縁層11cに達するように形成されている。
【0143】
図9(a)は、第1パッド部12の平面図である。また、図9(b)は、第1パッド部12の上にバンプ30が配置されたときの第1パッド部12の平面図である。これらの図に示されるように、第1トレンチ13は、直線状にレイアウトされている。
【0144】
また、図9(a)に示されるように、本実施形態では、第1パッド部12にバンプ30が接触した接触面の面方向のうち第1の方向に平行に2本形成され、第1の方向に直交する第2の方向に平行に2本形成されている。そして、第1トレンチ13のうち、第1の方向に平行な2本と第2の方向に平行な2本とが互いに交差することにより、第1半導体チップ10の一部が第1トレンチ13により囲まれている。つまり、第1トレンチ13が一周している。
【0145】
このような第1トレンチ13は、図9(b)に示されるように、第1接合端14よりも内側で一周している。これによると、クラック15が第1接合端14のどの位置を起点として接合面の中心方向に進展したとしても、全ての方向のクラック15の進展を阻止することが可能となる。したがって、1半導体基板11がクラック15によって受けるダメージを確実に低減することができる。
【0146】
ここで、本実施形態では、第1トレンチ13は、図9(a)および図9(b)に示されるように、第1パッド部12全体、すなわち第1パッド部12の端から端まで形成されている。しかしながら、第1トレンチ13は、第1接合端14から内側に向かって進展するクラック15を阻止できれば良いので、少なくとも第1接合端14の内側に形成されていれば良い。すなわち、第1トレンチ13が第1接合端14を横切るように形成されていても良い。したがって、「第1半導体チップ10は、第1接合端14よりも内側に位置する位置する第1トレンチ13を備えている」というときの「内側に位置する」というのは、「第1トレンチ13が少なくとも内側に位置する」という意味である。
【0147】
(他の実施形態)
第1実施形態では、第1、第2トレンチ13、23は直線部13aと枝部13bとで構成されたものになっているが、第1、第2トレンチ13、23は直線部13aのみで構成されていても良い。
【0148】
第1、第2実施形態では、第1半導体チップ10の第1半導体基板11としてSOI基板を採用しているが、第2半導体チップ20の第2半導体基板21として第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板を採用しても良い。すなわち、第2トレンチ23は第2パッド部22を貫通して第2絶縁層に達するように第3半導体層に形成されている。さらに、第2トレンチ23に充填材16が充填されていても良い。この場合、第1トレンチ13内に充填される充填材16と第2トレンチ23に充填される充填材16の材質は同じでも良いし、異なっていても良い。
【0149】
第3実施形態に示された第1半導体チップ10の第1トレンチ13に充填材16を充填しても良い。
【0150】
また、第3実施形態では、第1半導体チップ10の第1パッド部12に予め設けた第1バンプ31を電子装置50の電極52に一体化させているが、電子装置50の電極52にも予めバンプを形成しておき、各バンプを接合して一体化させても良い。
【0151】
さらに、第3実施形態では、電子装置50に第1半導体チップ10がフリップチップ接合されているが、第1半導体チップ10ではなく第2半導体チップ20が電子装置50に一体化されていても良い。
【0152】
上記各実施形態では、図2に示されるように、第1パッド部12や第2パッド部22の平面レイアウトは四角形状であるが、図10(a)のように円形になっていても良い。第2パッド部22についても同様である。また、各パッド部12、22のうち一方が四角形であり他方が円形であっても良い。
【0153】
また、第1トレンチ13のレイアウトは、直線部13aおよび枝部13bで構成されたものではなく、図10(b)〜図10(d)に示されるレイアウトでも良い。
【0154】
具体的には、図10(b)に示されるように、第1トレンチ13を同心円状にレイアウトすることもできる。また、図10(c)に示されるように、複数の円形の第1トレンチ13が千鳥状に規則的にレイアウトされたものでも良い。すなわち、各円は互い違いに配置されている。さらに、図10(d)に示されるように、複数の円形の第1トレンチ13が放射状に規則的にレイアウトされたものでも良い。第1トレンチ13が円形の図10(c)や図10(d)のレイアウトでは、図10(a)のように第1パッド部12が複数に分割されることはないため、剛性を確保することができる。上記図10(b)〜図10(d)のレイアウトは、第2トレンチ23に採用することもできる。また、第1トレンチ13と第2トレンチ23とのレイアウトがそれぞれ異なるようにしても良い。さらに、図10に示された各トレンチ13、23については、各パッド部12、22の上において、各パッド部12、22とバンプ30との接触面のうちの内側には設けずに外縁部にのみ設けるようにしても良い。上述のように、クラック15、25は該接触面の外縁部から内側に向かって進展するため、各トレンチ13、23が該接触面のうち少なくとも外縁部に配置されていれば、クラック15、25の進展を阻止することができる。
【0155】
もちろん、図10に示された各トレンチ13、23に充填材16をそれぞれ充填することもできる。
【0156】
第3実施形態では、第1半導体チップ10に図2や図10に示されたレイアウトの第1トレンチ13が形成されていたが、第4実施形態と同様に、第1半導体チップ10は第1接合端14よりも内側に位置する第1トレンチ13を備えるようにしても良い。この場合、第4実施形態と同様に、第1トレンチ13が、第1接合端14よりも内側で一周するようにしても良い。なお、「内側に位置する」とは、第4実施形態で述べたように、「第1トレンチ13が少なくとも内側に位置する」という意味である。
【0157】
第4実施形態では、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20のうちの第1半導体チップ10のみに第1トレンチ13を設けた場合について説明したが、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20の両方に第1トレンチ13および第2トレンチ23を設けた場合や第2半導体チップ20のみに第2トレンチ23を設けた場合についても同様である。この場合、第2パッド部22においてバンプ30が接触した接触面のうち最も外縁側に位置するバンプ30の端部を第2接合端24とすると、第2半導体チップ20は、第2接合端24よりも内側に位置する第2トレンチ23を備えることとなる。なお、第2トレンチ23において、「内側に位置する」とは、第1トレンチ13と同様に、「第2トレンチ23が少なくとも内側に位置する」という意味である。
【0158】
第4実施形態では、クラック15が第1接合端14のどの位置から接合面の中心方向に進展したとしても、全ての方向のクラック15の進展を阻止できるようにするため、第1トレンチ13を第1接合端14よりも内側で一周させていた。しかし、クラック15によるダメージを低減することができるのであれば、第1トレンチ13が一周していなくても良い。この場合、第1トレンチ13は、図10(b)〜図10(d)に示されるレイアウトでも良い。このようなレイアウトは、第3実施形態において第1トレンチ13を第1接合端14よりも内側で一周させた場合や、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。
【0159】
第4実施形態では、4本の直線状の第1トレンチ13により第1接合端14の内側で一周する部分を形成していたが、第1トレンチ13は第1接合端14の内側のみに形成されていても良い。すなわち、第1トレンチ13は第1接合端14の外側に形成されていてもいなくてもどちらでも良い。これは、クラック15は第1接合端14から接合面の中心側に進展するためである。また、第1トレンチ13の平面レイアウトは一周する形状であれば直線の組み合わせに限らず、リング状でも良い。これは、第3実施形態において第1トレンチ13を第1接合端14よりも内側で一周させた場合や、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。
【0160】
さらに、第4実施形態では、第1トレンチ13は第1の方向および第2の方向に2本ずつ形成されているが、第1トレンチ13の本数は一例であり、各方向に2本以上形成されていても良い。また、各方向に形成される第1トレンチ13の数は同じでなくても良い。このようなトレンチの本数は、第3実施形態において第1トレンチ13を第1接合端14よりも内側で一周させた場合や、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。すなわち、第2トレンチ23は、直線状にレイアウトされ、接触面の面方向のうち第3の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、第3の方向とは異なる第4の方向に沿って少なくとも2本形成されていれば良い。もちろん、各方向に3本以上形成されていても良い。
【0161】
また、第4実施形態では、第1トレンチ13は第1の方向および第2の方向にそれぞれ平行に形成されているが、各方向に平行して形成されている必要はなく、第1トレンチ13は各方向に延びるように形成されていれば良い。すなわち、第1トレンチ13は、第1の方向に沿って形成され、第2の方向に沿って形成されていれば良い。さらに、第1の方向および第2の方向は直交しているが、各方向に形成された第1トレンチ13の交差する角度は直交しているに場合に限らず、傾斜していても良い。つまり、第1の方向と第2の方向とは異なる方向に向いていれば良い。これは、第3実施形態において第1トレンチ13を第1接合端14よりも内側で一周させた場合や、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。すなわち、第3の方向と第4の方向とは直交していても良いし、直交していなくても良い。
【0162】
第3、第4実施形態では、第1トレンチ13は第1半導体層11aを貫通して第1絶縁層11cに達するように形成されていたが、図11(a)に示されるように、第1半導体層11aおよび第1絶縁層11cを貫通して第2半導体層11bに達するように1半導体基板11に形成されていても良い。このように、SOI基板のうち第2半導体層11bに達するまで第1トレンチ13を深く形成しておくことで、第1半導体チップ10の深さ方向に進展するクラック15を確実に停止させることができる。
【0163】
一方、図11(b)に示されるように、第1トレンチ13は第1絶縁層11cに達しておらず、第1半導体層11aに形成されていても良い。このように、SOI基板のうち第1半導体層11aに第1トレンチ13が形成されていれば、第1半導体層11a内でクラック15の進展を阻止することが可能となる。
【0164】
このようなトレンチの深さについては、第2半導体チップ20の第2半導体基板21がSOI基板で構成され、この第2半導体基板21に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。
【0165】
第4実施形態において、第1トレンチ13に充填材16を充填させても良い。もちろん、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20のうちの両方に第1トレンチ13および第2トレンチ23を設ける場合には、第1トレンチ13および第2トレンチ23のうちのいずれか一方または両方に充填材16を充填させることができる。このようにトレンチに充填材16が充填されることは、第2半導体チップ20に第2トレンチ23が形成された場合も同様である。
【0166】
上記各実施形態では、第1トレンチ13は第1パッド部12を貫通して第1半導体基板11に達するように形成され、第2トレンチ23は、第2パッド部22を貫通して第2半導体基板21に達するように形成された構造が示されているが、第1トレンチ13や第2トレンチ23は、第1パッド部12や第2パッド部22に形成されていなくても良い。すなわち、クラック15によってダメージを受けるのは1半導体基板11や第2半導体基板21であるので、少なくとも1半導体基板11や第2半導体基板21に第1トレンチ13や第2トレンチ23を設けておけばクラック15によるダメージを低減できる。
【0167】
例えば、図12に示されるように、SOI基板として構成された1半導体基板11のうちの第1半導体層11aに第1トレンチ13を形成することができる。このように、第1トレンチ13は第1半導体チップ10のうち少なくとも1半導体基板11に形成されていれば良い。また、第2トレンチ23についても同様に、第2半導体チップ20のうち第2半導体基板21に形成されていれば良い。なお、1半導体基板11がSOI基板であって、第1パッド部12に第1トレンチ13を形成しない場合の第1トレンチ13の深さは、図3(a)や図3(b)に示されるように所望の深さに調節することができる。第2トレンチ23の深さも同様である。
【0168】
上記各実施形態では、第1半導体チップ10に可動部等が形成されていることが示されているが、第2半導体チップ20に可動部を有するMEMSデバイスが形成されていても良い。すなわち、第1半導体チップ10および第2半導体チップ20のうちいずれか一方または両方は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものとすることができる。第1半導体チップ10や第2半導体チップ20にMEMSデバイスが形成されている場合、アンダーフィルを用いて接合強度を確保しようとすると可動部がアンダーフィルで埋まってしまう。しかしながら、第1トレンチ13や第2トレンチ23によりクラック15の進展を阻止する構造になっているので、アンダーフィルを用いなくても第1半導体チップ10と第2半導体チップ20との接合強度を確保することができる。これは、第1半導体チップ10と電子装置50とを接合する場合も同様である。
【0169】
上記各実施形態では、第1半導体基板11や第2半導体基板21としてSOI基板を用いる構造について説明したが、第1半導体基板11や第2半導体基板21はSOI基板に限らず、例えば1枚の半導体基板でそれぞれ構成されていても良い。
【符号の説明】
【0170】
10 第1半導体チップ
11 第1半導体基板
11a 第1半導体層
11b 第2半導体層
11c 第1絶縁層
12 第1パッド部
13 第1トレンチ
16 充填材
20 第2半導体チップ
21 第2半導体基板
22 第2パッド部
23 第2トレンチ
30 バンプ
50 電子装置
51 基板
52 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体基板(11)と、前記第1半導体基板(11)の上に形成された第1パッド部(12)と、を備えた第1半導体チップ(10)と、
第2半導体基板(21)と、前記第2半導体基板(21)の上に形成された第2パッド部(22)と、を備えた第2半導体チップ(20)と、
前記第1パッド部(12)および前記第2パッド部(22)の上に配置され、前記第1半導体チップ(10)と前記第2半導体チップ(20)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、
前記第1パッド部(12)において前記バンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置する前記バンプ(30)の端部を第1接合端(14)とすると、
前記第1半導体チップ(10)は、前記第1接合端(14)よりも内側に位置する第1トレンチ(13)を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1トレンチ(13)は、前記第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされ、前記接触面の面方向のうち第1の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って少なくとも2本形成されており、前記第1の方向に沿った少なくとも2本と前記第2の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、前記第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1トレンチ(13)は、前記第1半導体チップ(10)のうち前記第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1トレンチ(13)は、前記第1パッド部(12)を貫通して前記第1半導体基板(11)に達するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、前記第1半導体層(11a)の上に前記第1パッド部(12)が配置されており、
前記第1トレンチ(13)は、前記第1半導体基板(11)のうち前記第1半導体層(11a)に形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、前記第1半導体層(11a)の上に前記第1パッド部(12)が配置されており、
前記第1トレンチ(13)は、前記第1半導体層(11a)および前記第1絶縁層(11c)を貫通して前記第2半導体層(11b)に達するように前記第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1トレンチ(13)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2パッド部(22)において前記バンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置する前記バンプ(30)の端部を第2接合端(24)とすると、
前記第2半導体チップ(20)は、前記第2接合端(24)よりも内側に位置する第2トレンチ(23)を備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2トレンチ(23)は、前記第2接合端(24)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2トレンチ(23)は、直線状にレイアウトされ、前記接触面の面方向のうち第3の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、前記第3の方向とは異なる第4の方向に沿って少なくとも2本形成されており、前記第3の方向に沿った少なくとも2本と前記第4の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、前記第1接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2トレンチ(23)は、前記第2半導体チップ(20)のうち前記第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2トレンチ(23)は、前記第2パッド部(22)を貫通して前記第2半導体基板(21)に達するように形成されていることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、前記第3半導体層の上に前記第2パッド部(22)が配置されており、
前記第2トレンチ(23)は、前記第2半導体基板(21)のうち前記第3半導体層に形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、前記第3半導体層の上に前記第2パッド部(22)が配置されており、
前記第2トレンチ(23)は、前記第3半導体層および前記第2絶縁層を貫通して前記第4半導体層に達するように前記第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2トレンチ(23)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項10ないし16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第2半導体チップ(20)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする請求項10ないし17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
第1半導体基板(11)と、
前記第1半導体基板(11)の上に形成された第1パッド部(12)と、
前記第1パッド部(12)を貫通して前記第1半導体基板(11)に達する第1トレンチ(13)とを備えた第1半導体チップ(10)と、
第2半導体基板(21)と、
前記第2半導体基板(21)の上に形成された第2パッド部(22)と、
前記第2パッド部(22)を貫通して前記第2半導体基板(21)に達する第2トレンチ(23)とを備えた第2半導体チップ(20)と、
前記第1パッド部(12)および前記第2パッド部(22)の上に配置され、前記第1半導体チップ(10)と前記第2半導体チップ(20)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、
前記第1トレンチ(13)は、前記第1パッド部(12)に前記バンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置され、
前記第2トレンチ(23)は、前記第2パッド部(22)に前記バンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
前記第1半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、
前記第1トレンチ(13)は前記第1パッド部(12)を貫通して前記第1絶縁層(11c)に達するように前記第1半導体層(11a)に形成されており、さらに、前記第1トレンチ(13)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第1トレンチ(13)は、前記第1絶縁層(11c)を貫通して前記第2半導体層(11b)に達するように前記第1半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第2半導体基板(21)は第3半導体層と第4半導体層とで第2絶縁層を挟み込んだSOI基板であり、
前記第2トレンチ(23)は前記第2パッド部(22)を貫通して前記第2絶縁層に達するように前記第3半導体層に形成されており、さらに、前記第2トレンチ(23)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項19ないし21のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項23】
前記第2トレンチ(23)は、前記第2絶縁層を貫通して前記第4半導体層に達するように前記第2半導体基板(21)に形成されていることを特徴とする請求項22に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記第1トレンチ(13)および前記第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、直線状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項19ないし23のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項25】
前記第1トレンチ(13)および前記第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、同心円状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項19ないし24のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項26】
前記第1トレンチ(13)および前記第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、複数の円が千鳥状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項19ないし25のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項27】
前記第1トレンチ(13)および前記第2トレンチ(23)のうち少なくとも一方は、複数の円が放射状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項19ないし26のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項28】
前記第1半導体チップ(10)および前記第2半導体チップ(20)のうちいずれか一方または両方は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする請求項19ないし27のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項29】
基板(51)と、前記基板(51)の上に形成された電極(52)と、を備えた電子装置(50)と、
半導体基板(11)と、前記半導体基板(11)の上に形成されたパッド部(12)と、を備えた半導体チップ(10)と、
前記電極(52)および前記パッド部(12)の上に配置され、前記電子装置(50)と前記半導体チップ(10)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、
前記パッド部(12)において前記バンプ(30)が接触した接触面のうち最も外縁側に位置する前記バンプ(30)の端部を接合端(14)とすると、
前記半導体チップ(10)は、前記接合端(14)よりも内側に位置するトレンチ(13)を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項30】
前記トレンチ(13)は、前記接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項29に記載の半導体装置。
【請求項31】
前記トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされ、前記接触面の面方向のうち第1の方向に沿って少なくとも2本形成されると共に、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って少なくとも2本形成されており、前記第1の方向に沿った少なくとも2本と前記第2の方向に沿った少なくとも2本とが互いに交差することにより、前記接合端(14)よりも内側で一周していることを特徴とする請求項30に記載の半導体装置。
【請求項32】
前記トレンチ(13)は、前記半導体チップ(10)のうち前記半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項29ないし31のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項33】
前記トレンチ(13)は、前記パッド部(12)を貫通して前記半導体基板(11)に達するように形成されていることを特徴とする請求項29ないし31のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項34】
前記半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、前記第1半導体層(11a)の上に前記パッド部(12)が配置されており、
前記トレンチ(13)は、前記半導体基板(11)のうち前記第1半導体層(11a)に形成されていることを特徴とする請求項32または33に記載の半導体装置。
【請求項35】
前記半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、前記第1半導体層(11a)の上に前記パッド部(12)が配置されており、
前記トレンチ(13)は、前記第1半導体層(11a)および前記第1絶縁層(11c)を貫通して前記第2半導体層(11b)に達するように前記半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項32または33に記載の半導体装置。
【請求項36】
前記トレンチ(13)には充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項29ないし35のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項37】
前記半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする請求項29ないし36のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項38】
基板(51)と、
前記基板(51)の上に形成された電極(52)とを備えた電子装置(50)と、
半導体基板(11)と、
前記半導体基板(11)の上に形成されたパッド部(12)と、
前記パッド部(12)を貫通して前記半導体基板(11)に達するトレンチ(13)とを備えた半導体チップ(10)と、
前記電極(52)および前記パッド部(12)の上に配置され、前記電子装置(50)と前記半導体チップ(10)とをフリップチップ接合したバンプ(30)とを備え、
前記トレンチ(13)は、前記パッド部(12)に前記バンプ(30)が接触した接触面のうちの外縁部に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項39】
前記半導体基板(11)は第1半導体層(11a)と第2半導体層(11b)とで第1絶縁層(11c)を挟み込んだSOI基板であり、
前記トレンチ(13)は前記パッド部(12)を貫通して前記第1絶縁層(11c)に達するように前記第1半導体層(11a)に形成されており、さらに、前記トレンチ(13)に充填材(16)が充填されていることを特徴とする請求項38に記載の半導体装置。
【請求項40】
前記トレンチ(13)は、前記第1絶縁層(11c)を貫通して前記第2半導体層(11b)に達するように前記半導体基板(11)に形成されていることを特徴とする請求項39に記載の半導体装置。
【請求項41】
前記トレンチ(13)は、直線状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項38ないし40のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項42】
前記トレンチ(13)は、同心円状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項38ないし40のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項43】
前記トレンチ(13)は、複数の円が千鳥状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項38ないし40のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項44】
前記トレンチ(13)は、複数の円が放射状にレイアウトされたものであることを特徴とする請求項38ないし40のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項45】
前記半導体チップ(10)は、可動部を有するMEMSデバイスが形成されたものであることを特徴とする請求項38ないし44のいずれか1つに記載の半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−135739(P2010−135739A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171901(P2009−171901)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】