基板処理方法及びマスク製造方法
【課題】高精度なパターン形成が可能な基板処理方法及びマスク製造方法を提供する。
【解決手段】処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの吐出口及び吸引口を基板の被処理面に対向させ、吐出口から処理液を被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を吸引口に吸引することで、被処理面の一部の領域のみを選択的に処理液で処理する。
【解決手段】処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの吐出口及び吸引口を基板の被処理面に対向させ、吐出口から処理液を被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を吸引口に吸引することで、被処理面の一部の領域のみを選択的に処理液で処理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスや液晶ディスプレイなどの製造に用いられる基板処理方法及びマスク製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、洗浄や現像などの各種処理が行われるが、従来、洗浄処理や現像処理は基板の被処理面全面に洗浄液や現像液を供給して行っている。例えば、特許文献1では、一方向に長く延びたノズルをその長手方向に対して直交する方向に走査することで被処理面全面に現像液を供給している。
【0003】
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、パターン寸法は数nmの厳しい精度が要求され、これに伴い、より処理精度を高めた基板処理の必要性が高まっている。
【特許文献1】特開2005−26512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高精度なパターン形成が可能な基板処理方法及びマスク製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記基板の被処理面に対向させ、前記吐出口から前記処理液を前記被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を前記吸引口に吸引することで、前記被処理面の一部の領域のみを選択的に前記処理液で処理することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、マスク基板にパターンを形成する工程と、洗浄液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記マスク基板のパターン形成面に対向させ、前記吐出口から前記洗浄液を前記パターン形成面に供給しつつこのパターン形成面上に供給された洗浄液を前記吸引口に吸引することで、前記パターン形成面の一部の領域のみを選択的に前記洗浄液で洗浄する工程と、を有することを特徴とするマスク製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、マスク基板に形成されたレジストにパターンの潜像を形成する工程と、現像液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記レジストに対向させ、前記吐出口から前記現像液を前記レジストの一部の領域に供給しつつこのレジスト上に供給された現像液を前記吸引口に吸引することで、前記レジストの一部の領域に形成された潜像を現像してレジスト感度測定用パターンを形成する工程と、前記レジスト感度測定用パターンの現像時に得られるレジスト感度情報から現像条件を決定する工程と、前記現像条件に基づいて、前記レジストにおける前記レジスト感度測定用パターンが形成された領域とは異なる領域に形成された潜像を現像してメインパターンを形成する工程と、を有することを特徴とするマスク製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度なパターン形成が可能な基板処理方法及びマスク製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
本実施形態では、基板処理方法として洗浄処理を例に挙げて説明する。洗浄処理は半導体製造プロセスの中で繰り返し行われるが、特に本実施形態ではマスク製造工程における洗浄処理を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る洗浄方法を含むマスク製造における要部の工程を示すフローチャートである。
【0012】
まず、ステップ101として、例えばガラス基板上に遮光膜や半透明膜が形成されたマスク基板に対して、レジストの塗布、そのレジストへの露光(例えば電子線描画)、PEB(Post Exposure Baking)、レジストの現像、レジストをマスクとした遮光膜や半透明膜のエッチング、レジスト剥離、といった処理を順次行い、マスク基板に所望のパターンを形成する。
【0013】
次に、ステップ102として、マスク基板におけるパターン形成面の欠陥検査を行い、欠陥がある場合にはその位置を特定する。ここでの欠陥検査は、マスクとしての光学特性に影響を与える汚染微粒子(パーティクル)がパターン形成面上に付着しているかどうかの検査を行う。そのパーティクルが検出された場合には、パターン形成面上からの除去対象物として、後述する洗浄工程にて洗い流して除去する処理を行う。
【0014】
また、上記検査にてパーティクルが見つかった場合には、その位置を特定する。図2は、マスク基板10における洗浄対象面(被処理面)であるパターン形成面を示し、例えば図示する位置にパーティクル2が見つかった場合には、パターン形成面の四隅(実際に半導体ウェーハに転写されるメインパターンの形成領域より外側の位置)に形成されたマークパターン3を基準としてこのマークパターン3に対するパーティクル2の相対座標を求め、パーティクル2の位置を特定する。
【0015】
一般に、洗浄工程では、マスク基板に付着したパーティクルを除去するために物理的あるいは化学的に基板表面にエネルギーを与えるため基板表面(遮光膜や半透明膜)へのダメージがあり、洗浄処理が施されるとマスク面内の透過率や位相差は変化する。
【0016】
透過率については、図4(a)に示すように洗浄時間が長く(洗浄回数が多く)なると高くなる傾向にあり、位相差については、図4(b)に示すように洗浄時間が長く(洗浄回数が多く)なると小さくなる傾向にある。
【0017】
したがって、洗浄処理を何回か繰り返すと膜の透過率や位相差の変化によって、要求されるマスクスペックを満たせなくなり、洗浄回数に制限がある場合がある。許容される洗浄回数はパターン形成面全面で同じではなく、パターン(膜)の分布に応じて許容洗浄回数の分布も決まる。
【0018】
本実施形態では、1回あたりの洗浄における膜の透過率、位相差、形状等の変化量データを予め取得しておき、これに基づいて所望のリソグラフィ尤度(露光量尤度、フォーカス尤度等)が得られるべく、該当マスクに対する洗浄可能回数のマップ(分布)を求める。この洗浄可能回数分布の一例を図3に示す。
【0019】
例えば、マスク基板10におけるパターン形成面の中央部分に、1回の洗浄も許容されない領域10aがあり、その外側に1回の洗浄を許容された領域10bがあり、その外側の他の領域は2回の洗浄を許容された領域10cとなっている。
【0020】
次のステップとして、先に得られたパーティクル2の位置(マークパターン3に対する相対座標)と、洗浄可能回数分布とを比較参照し、パーティクル2の位置が洗浄可能領域内かどうか判定する(図1におけるステップ103)。
【0021】
そして、パーティクル2の位置が洗浄可能領域内である場合、すなわちパーティクル2が、少なくとも1回以上の洗浄を許容されている領域内に位置している場合、そのパーティクル2を含む領域のみを選択的に洗浄する(ステップ104)。なお、すでに1回以上洗浄が行われた後、再び洗浄処理を行う場合においては、ステップ103の判定においては、残りの洗浄可能回数が1回以上の領域にパーティクル2が位置するかどうかの判定が行われる。
【0022】
図7に示す例では、各パーティクル2はいずれも洗浄可能回数1回以上の領域内にあり、これらパーティクル2を除去すべく、本実施形態では、図5に示すノズル11を用いて選択的洗浄処理を行う。
【0023】
ノズル11は、直方体状に形成され、主要な2方向(X方向とY方向)が規定される。Y方向はノズル11における長手方向であり、このY方向に対して直交するX方向は、マスク基板に対するノズル11の移動方向を示す。
【0024】
ノズル11の内部には、洗浄液の吐出路12、吸引路13、リンス液の吐出路14が形成されている。これらは、それぞれノズル11の長手方向(Y方向)に延在するスリット状に形成されている。
【0025】
吐出路12、吸引路13、吐出路14は、上記X方向に並んで設けられている。X方向のほぼ中央に1つの吐出路12が位置し、その吐出路12の外側にこの吐出路12を挟むように一対の吸引路13が位置し、一対の吸引路13のそれぞれの外側には一対の吐出路14が位置している。
【0026】
吐出路12及び吐出路14は、ノズル下面11aに対して略垂直であるが、吸引路13は、ノズル上面側からノズル下面11aに向かうにつれて徐々に内側の吐出路12に近づくように傾斜している。
【0027】
吐出路12、吸引路13、吐出路14は、それぞれ、吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aとしてノズル下面11aに開口し、ノズル外部に通じている。
【0028】
図6は、ノズル下面11aにおける洗浄液の吐出口12a、吸引口13a、リンス液の吐出口14aの配置関係を示す模式図である。
【0029】
吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aは、それぞれ、Y方向に延在するスリット状に形成され、互いに略平行に形成されている。X方向のほぼ中央に1つの吐出口12aが位置し、その吐出口12aの外側にこの吐出口12aを挟むように一対の吸引口13aが位置し、一対の吸引口13aのそれぞれの外側には一対の吐出口14aが位置している。
【0030】
また、吐出路12、吸引路13、吐出路14は、ノズル上面側で、それぞれ、洗浄液の供給管、吸引排気管、リンス液の供給管に接続されている。また、吸引路13は、使用済みの洗浄液やリンス液を排出する排出系統にも接続されている。
【0031】
ノズル11は、その下面11aをマスク基板の洗浄対象面(被処理面)に対向させた状態で、マスク基板に対して相対移動可能となっている。例えば、本実施形態では、マスク基板側は位置を固定させた状態で、ノズル11が図示しない移動機構にてX方向に直線移動可能となっている。
【0032】
ノズル11とマスク基板とが相対移動可能であればよく、固定されたノズル11に対してマスク基板側を移動させる構成であってもよく、あるいはノズル11とマスク基板側の両方をそれぞれ移動可能な構成としてもよい。また、「移動」は直線移動に限らず、回転移動も含まれる。
【0033】
ノズル下面11a、すなわち吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aは、マスク基板の被処理面に対して、例えば100μmほどの間隙を隔てて対向される。
【0034】
その状態で吐出口12aからは洗浄液が被処理面に向けて吐出される。同時に吸引口13aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された洗浄液は吸引口13aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口13aの下方に至ると吸引口13aに吸引される。したがって、洗浄液の供給エリアは、一対の吸引口13aの内側の領域(図6において太線15で囲んだ領域)に制限される。
【0035】
洗浄液は吐出口12aから次々と被処理面上に供給され、吐出口12aと吸引口13aとの間に相当する距離を流れた後直ちに吸引口13aに吸引されるので、洗浄液供給エリア(図6において太線15で囲む領域)は常に清浄な洗浄液で満たすことができる。
【0036】
また、上記洗浄液の吐出及び吸引動作と同時に、吐出口14aからリンス液の吐出も行われている。リンス液は、マスク基板上の膜の透過率、位相差、形状等に影響を与えない例えば純水であり、洗浄可能回数分布に関係なく被処理面上の全面に供給しても問題はない。
【0037】
吐出口14aから被処理面に吐出され吸引口13aに向かう流れは吸引口13aに吸引されるが、このリンス液の流れは、吐出口12aから吐出され吸引口13aへと向かう洗浄液の流れに対して対向する流れであるため、洗浄液の、上記太線15で囲む領域外への浸出を抑え、洗浄液の選択的供給を確実に行わせることができる。
【0038】
上記ノズル11を用いてマスク基板の選択的洗浄を行うにあたっては、まず、被処理面上にリンス液を供給した後、所望の位置にノズル11を移動させる。
【0039】
図7に示す例では、例えば、まず、実線の斜線で示される領域17aに対向する位置にノズル11を移動させるとする。ノズル11の長手方向(Y方向)寸法は、例えば四角形状のマスク基板10の辺a1方向をカバー可能な長さを有し、その長手方向(Y方向)を辺a1方向に対して略平行にした状態で、前述した吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aを被処理面に対して対向させる。
【0040】
そして、前述したように洗浄液を吐出しつつ吸引を行うことにより、領域17aのみを選択的に洗浄し、その領域17a内にあるパーティクル2を除去する。領域17aは、洗浄が許容されていない領域10aには重なっておらず、且つ領域17aのみを選択的に洗浄するため、洗浄液が領域10aに供給されてしまうことはない。
【0041】
領域17aの洗浄後、まず先に洗浄液の吐出動作を停止した後、吸引動作を停止し、次の洗浄対象領域17bへとノズル11を移動させる。吐出動作を停止させる前に先に吸引動作を停止させてしまうと洗浄液が吸引されず領域17aの外側に広がってしまうので、先に洗浄液の吐出を停止させた後、吸引動作を停止させるようにする。
【0042】
領域17bに対しても前述と同様の洗浄処理が行われ、領域17b内に位置するパーティクル2が除去される。
【0043】
洗浄液の吐出停止、および吸引動作の停止の後、リンス液の吐出を停止し、最後に被処理面上のリンス液を乾燥させ、洗浄処理を終了する。
【0044】
洗浄すべき領域の辺a2方向(上記辺a1方向に対して略垂直な方向)の幅が、ノズル11の短手方向(X方向)より広い場合は、洗浄液とリンス液の吐出及び吸引動作を行いつつ、ノズル11をX方向に移動させて、上記辺a2方向の範囲をカバーする。
【0045】
前述した洗浄が1回目とした場合、その1回目の洗浄で、例えば図7において右下のパーティクル2aが除去されなかった場合、そのパーティクル2aは2回洗浄可能な領域10c内にあるため、そのパーティクル2aを除去するべく2回目の洗浄を試みる。このとき、洗浄が許容されていない領域10aはもちろん、1回洗浄可能な領域10bであっても先の1回目の洗浄にて洗浄処理が行われた領域(図7において領域17a、17bと領域10bとが重なる領域)には洗浄液が供給されないようにする。
【0046】
上記領域17a、17bの洗浄を行ったときのノズル11とマスク基板10との位置関係から、例えばノズル11を90°回転(もしくはマスク基板10を90°回転)させて、図7において1点鎖線の斜線で示す領域17cにノズル下面11aを対向位置させる。この領域17cは、まだ被処理面上に残っているパーティクル2aを含み、且つ2回洗浄可能領域10c内にあるため、この領域17cの洗浄の洗浄処理によりパーティクル2aの除去が可能となる。
【0047】
従来、洗浄処理は被処理面全面に対して行っていたため、洗浄によるダメージが被処理面全面におよんでしまい、所望のリソグラフィ尤度を確保するべく規定される所望の透過率、位相差、パターン形状等のスペックから外れる領域がマスク面内に生じ、マスク製造における歩留まりを低下させる原因の一つとなっていた。
【0048】
これに対して本実施形態では、パーティクルが付着している位置付近の必要領域のみを選択的に洗浄することで、その領域のみにおける、洗浄による露光光の透過率、位相差、形成されているパターン寸法等の変化を考慮すればよいため、パーティクルを洗浄除去可能かどうかの判定を行うにあたっての制限が大幅に緩和される。これにより、洗浄可能回数制限により従来は洗浄除去をあきらめざるを得なかった位置のパーティクルの洗浄除去が可能になり、マスク製造における歩留まり向上を図れる。
【0049】
なお、洗浄液の選択的供給を行うノズルについては、図5、6で示したものに限らず、例えば図8に示すノズル25を用いてもよい。
【0050】
このノズル25は、中心から順に、洗浄液の吐出路21、吸引路22、リンス液の吐出路23が同心円状に形成された3重筒構造を有し、その下面に、それぞれ、吐出路21、吸引路22、吐出路23と通じる吐出口21a、吸引口22a、吐出口23aが開口形成されている。
【0051】
このノズル25も、吐出口21a、吸引口22a、吐出口23aを被処理面に対向させた状態でマスク基板に対して相対移動可能となっている。
【0052】
吐出口21aからは洗浄液が被処理面に向けて吐出される。同時に、吐出口21aの外側を囲む吸引口22aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された洗浄液は吸引口22aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口22aの下方に至ると吸引口22aに吸引される。したがって、洗浄液の供給エリアは、吸引口22aの内側の領域に制限される。
【0053】
また、上記洗浄液の吐出及び吸引動作と同時に、吸引口22aの外側を囲む吐出口23aからリンス液の吐出も行われている。吐出口23aから被処理面に吐出され吸引口22aに向かう流れは吸引口22aに吸引されるが、このリンス液の流れは、吐出口21aから吐出され吸引口22aへと向かう洗浄液の流れに対して対向する流れであるため、洗浄液の、吸引口22aより外側領域への浸出を抑え、洗浄液の選択的供給を確実に行わせることができる。
【0054】
さらに、このノズル25を用いることで円状スポット的に洗浄液を供給可能であるので、図5、6に示すノズル11よりも狭い領域を選択的に処理することが可能になる。これにより、洗浄液の不所望領域への拡散をよりいっそう抑えることができ、パーティクルを洗浄可能かどうか判定するにあたっての制限条件がさらに緩和されたものとなる。
【0055】
なお、前述したノズル11、25において、リンス液は必ずしも吐出しなくてもよい。洗浄液の吐出パラメータ(圧力や流量)と、吸引パラメータ(圧力や流量)とのバランスを予め調整しておくことにより、洗浄液が吸引口より外側に流れ出ないようにでき、必要領域のみの選択的洗浄を実現することができる。ただし、前述したようにリンス液の吸引口へと向かう流れで、洗浄液の外側への流出を抑えた方が、より確実に選択的洗浄を行うことができる。さらに、被処理面上にリンス液を予めむらなく供給しておき、洗浄処理後も被処理面上にリンス液のみがむらなく残った状態とし、その状態から乾燥を行うことが望ましい。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る基板処理方法として、マスク基板上に形成されたレジストの現像処理を例に挙げて説明する。
【0057】
図9は、本実施形態に係る現像方法を含むマスク製造における要部の工程を示すフローチャートである。
【0058】
まず、ステップ111として、例えばガラス基板上に遮光膜や半透明膜が形成されたマスク基板に対してレジストの塗布を行い、そのレジストに対してパターンの露光(例えば電子線描画)を行い、その後PEB(Post Exposure Baking)を行って、レジストにパターンの潜像を形成する。
【0059】
図10は、本実施形態における処理対象マスク基板30のレジスト形成面を示す。レジスト表面は、メインパターンの形成領域32と、レジスト感度測定用パターン33の形成領域31とに大きく分けられる。
【0060】
メインパターンは、実際に半導体ウェーハに転写される半導体集積回路パターンに対応する。レジスト感度測定用パターン33は、メインパターン形成領域32よりも外側であって、マスク基板30における端部に形成される。
【0061】
本実施形態では、パターン潜像を現像するにあたって、まず、レジスト感度測定用パターン33を含む領域31のみを選択的に現像する(ステップ112)。この領域31のみの選択的現像を行うにあたっては、前述したノズル11を用いる。
【0062】
すなわち、ノズル下面11aを領域31に対向させた状態で、吐出口12aからは現像液が被処理面に向けて吐出される。同時に吸引口13aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された現像液は吸引口13aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口13aの下方に至ると吸引口13aに吸引される。したがって、現像液の供給エリアは、一対の吸引口13aの内側の領域(図6において太線15で囲んだ領域)に制限され、メインパターン形成領域32には現像液は供給されない。
【0063】
この領域31の選択的現像処理により、レジスト感度測定用パターン33が形成される。このレジスト感度測定用パターン33の現像処理を実施した後、一旦マスク基板30を乾燥させる。
【0064】
次のステップとして、現像処理されたレジスト感度測定用パターン33について、寸法や膜厚といったレジストの溶解特性に関するパラメータを測定し、この測定データからレジスト感度情報(例えば、パターン寸法、溶解速度等を表す)を算出する(ステップ113)。
【0065】
次に、ステップ114として、上記で得られたレジスト感度情報から、メインパターンが所望の寸法に仕上がるようにするための現像条件を求める。具体的には、図11に示すように、現像条件(例えば現像時間)とパターン寸法の目標値との相関関係を予め得ておき、実際に現像処理にて得られた上記レジスト感度測定用パターン33の寸法から、現像時間の調整(補正)量を算出する。
【0066】
このようにして得られた現像条件に基づいて、メインパターン形成領域32の現像処理を行う(ステップ115)ことで、メインパターン形成用のレジストパターンの寸法精度を向上できる。結果として、このレジストをマスクとして遮光膜や半透明膜のエッチングを行って得られるメインパターンの寸法精度を向上でき、マスク製造における歩留まりを向上できる。
【0067】
特に化学増幅型レジストは、ベースポリマー、酸発生剤、クエンチャー、溶剤等の複数成分から構成され、現状、各成分をまったく同様の割合に調合し製造しても同じ感度の再現性を保つのは難しく、結果としてマスク基板ごとにパターン寸法が異なってしまう問題がある。
【0068】
また、レジストの感度については、それをモニターする手法が確立されていないため、実際にレジストを基板に塗布し、露光、ベーク、現像してレジストパターンを実際に形成しない限り、感度を事前に知ることはできない。レジスト感度という実際に現像してみないとわからないパラメータを得るために、従来は、先行して一枚のマスク基板の処理を行いその基板からレジスト感度に関するデータを得て、そのデータを次回以降の処理ロットの処理条件にフィードバックをかけるといった方法がとられていた。この場合、レジストロット変更の度にその感度を測定する必要があり、特にフォトマスクのような一枚あたりのコストが高い基板を、レジスト感度を得るためだけに用いて犠牲にすることはコスト的に大きな無駄となっている。
【0069】
これに対して本実施形態では、一枚の同じマスク基板30上にメインパターンとは別にレジスト感度測定用パターン33を前述した選択的現像処理を行うことによって形成することで、メインパターンの現像に先立って、予めその基板に塗布されたレジスト感度に関する情報を得ることができ、高価なマスク基板を無駄にすることなく実際の製品として活用でき、コスト低減を図れる。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る基板処理方法として、図12に示すレジスト43の選択的現像処理を例に挙げて説明する。
【0071】
図12(a)は、ガラス基板41上に遮光膜(または半透明膜)42が形成され、さらにその上にレジスト43が形成されたマスク基板を示す。レジスト43には、まだパターン描画は行われていない。また、レジスト43表面上にパーティクル5が付着しているとする。
【0072】
まず、レジスト43の例えば四隅に、電子線描画およびその後のPEBを行って、マークパターン6の潜像を形成する。
【0073】
次に、前述した実施形態と同様に、ノズル11を用いて、レジスト43表面における端部領域7のみの選択的現像処理を行い、マークパターン6を形成する。あるいは、この現像処理に際して図8に示すノズル25を用いてもよい。
【0074】
その後、マスク基板を例えば回転乾燥させた後、レジスト43表面を光学検査し、マークパターン6に対するパーティクル5の相対座標を求め、パーティクル5の位置を特定する。その後、パーティクル5の位置(マークパターン6に対する相対座標)を確認しながら、例えば複数本または1本の針を有する治具にてパーティクル5をレジスト43上からピックアップして取り除く(図12(c))。その後再度光学検査を行い、パーティクルの除去を確認する。
【0075】
その後、図12(d)に示すメインパターン形成領域8に対して、電子線描画、PEB、現像、リンス、乾燥、エッチング工程を行って、所望のメインパターンを形成する。
【0076】
本実施形態によれば、パターン形成処理前のマスク基板を例えばSMIF(Standard Mechanical InterFace)ポッドに移すときにレジスト表面に付着する可能性があるパーティクルの付着の有無をパターン形成処理前に予め検査し、パーティクルの付着が確認された場合には、前述した選択的現像処理によりマークパターン6を形成する。そして、このマークパターン6を基準にパーティクル5の位置座標が特定できるため、パーティクル5をピンポイントでピックアップして除去できる。その後は、パーティクルの付着がない状態でのメインパターン形成が可能となり、歩留まり向上が図れる。
【0077】
なお、パーティクルをピックアップする針の本数や形状は限定されるものではなく、パーティクルのピックアップ除去が可能な構成であればよい。また、その針に帯電機構を設けてパーティクル除去の確実性(効率)を高めることも可能である。
【0078】
あるいは、図13に示すエアーノズル26を用いて、パーティクルをレジスト表面上から除去するようにしてもよい。
【0079】
このノズル26は、中心から順に、エアー噴出路27、エアー吸引路28、エアー噴出路29が同心円状に形成された3重筒構造を有し、その下面に、それぞれ、エアー噴出路27、エアー吸引路28、エアー噴出路29と通じるエアー噴出口27a、エアー吸引口28a、エアー噴出口29aが開口形成されている。
【0080】
エアー噴出口27a、29aからエアーを噴出しつつ、同時にエアー吸引口28aから吸引動作が行われる。エアー噴出口27aからのエアーをパーティクルの周囲に吹き付けパーティクルをレジスト表面から浮き上がらせて、そのパーティクルを吸引口28aから吸引することでレジスト表面上からパーティクルを除去することができる。ここで、吸引口28aの外側を囲む噴出口29aからもエアーが噴出しているため、中心の噴出口27aからのエアーによって飛ばされたパーティクルが吸引口28aより外側に飛散して、レジスト表面上の他の位置に再付着してしまうのを防ぐことができる。
【0081】
[第4の実施形態]
次に、図14を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0082】
図14に示すマスク基板のレジストを例えば4つの領域A〜Dに区切り、各領域A〜Dにそれぞれ評価パターンの潜像を形成しておく。
【0083】
そしてまず、図14(a)に示すように、前述した実施形態と同様な選択的現像方法によって、左半分の領域(領域A及びD)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0084】
次に、図14(a)に示す位置から、マスク基板を90°回転させ、図14(b)に示す位置にし、左半分の領域(領域A及びB)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0085】
次に、図14(b)の位置から、マスク基板を90°回転させ、図14(c)に示す位置(図14(a)と同じ位置)にし、左半分の領域(領域A及びD)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0086】
以上の一連の選択的現像処理の結果、領域Aは3回の現像処理を受け、領域Dは2回の現像処理を受け、領域Bは1回の現像処理を受けたことになる。各回の現像処理時間を同じとすれば、領域Aの現像時間が最も長く、領域Bの現像時間が最も短く、領域Dの現像時間は領域AとBとの間の現像時間ということになる。
【0087】
すなわち、本実施形態においては、前述したような選択的現像処理を複数回(上記例では3回)行うことによって、同じ一枚のマスク基板上で異なる3つの処理条件(現像時間)の評価を行え、3枚のマスク基板のそれぞれを異なる現像時間で処理して評価を行う場合よりも大幅にコストを低減できる。
【0088】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る基板処理方法について説明する。
【0089】
本実施形態では、メインパターンの現像と同時進行で、メインパターンと同じ基板上に形成されたモニターパターンの現像の進行状況を検出して、その検出結果をメインパターンの現像処理にフィードバックさせるようにしている。
【0090】
図15に、本実施形態に用いる現像処理装置の模式図を示す。図15(a)は、マスク基板51の被処理面(レジスト表面)側から見た上面図であり、図15(b)は、図15(a)におけるA−A方向から見た図であり、図15(c)は、図15(a)におけるB−B方向から見た図である。
【0091】
マスク基板51は基板保持機構53によって略水平に保持される。マスク基板51の上方にはノズル54が対向して設けられる。マスク基板51とノズル54とは相対移動可能である。本実施形態では、静止したマスク基板51に対してノズル54が矢印A方向に移動するとして説明するが、静止したノズル54に対してマスク基板51が移動する構成、あるいはノズル54とマスク基板51の両方が移動する構成であってもよい。
【0092】
ノズル54は、移動方向Aに対して略直交する方向に長く延びた形状に形成され、その長手方向に沿って現像液の吐出口(図示せず)が形成されている。現像液の吐出口はノズル下面に開口形成され、レジスト表面に近接対向している。
【0093】
また、ノズル54の長手方向のそれぞれの両端部には、光源と光検出器とを備える反射率測定機構55が設けられている。反射率測定機構55は、図15(c)に示すように、ノズル54の移動方向に沿って並んで設けられた3つの反射率測定機構55a〜55cを有する。ノズル54の進行方向A側から順に、第1の反射率測定機構55a、第2の反射率測定機構55b、第3の反射率測定機構55cが位置している。なお、反射率測定機構は3つに限らず、1つあるいは4つ以上設けてもよい。
【0094】
マスク基板51のレジスト表面におけるメインパターン形成領域より外側の端部領域にはモニターパターン52の潜像が形成されている。モニターパターン52は、反射率測定機構55に対向可能に、ノズル54の移動方向Aに沿って延びるライン状に形成されている。
【0095】
現像処理時、ノズル54はレジスト表面に向けて現像液を吐出しながら、図15に示す例では矢印A方向に移動する。このとき、実際に半導体ウェーハに転写すべきパターンに対応するメインパターンはもちろん、モニターパターン52の現像も行われる。
【0096】
そして、本実施形態では、反射率測定機構55a〜55cによってモニターパターン52の反射率が測定される。モニターパターン52の反射率は、モニターパターン52の膜厚に応じて変化し、したがって、モニターパターン52の反射率を測定することでモニターパターン52の現像の進行の程度がわかる。
【0097】
図16は、上記反射率(縦軸)と、現像時間(横軸)との関係を示す。aは、所望のパターン寸法を得るべく目標とする変化曲線を示す。
【0098】
まず、第1の反射率測定機構55aが、時刻t0で、ある位置xに至り、そのΔt1経過後に第2の反射率測定機構55bが同じ位置xに至るとすると、位置xにて第2の反射率測定機構55bが測定する反射率(モニターパターン形成箇所のレジスト膜厚)は、第1の反射率測定機構55aが位置xにて先に測定した反射率(レジスト膜厚)よりも小さくなる。同様に、第2の反射率測定機構55bが位置xに至った後、Δt2経過後に第3の反射率測定機構55cが位置xに至るとすると、位置xにて第3の反射率測定機構55cが測定する反射率(レジスト膜厚)は、第2の反射率測定機構55bが位置xにて測定した反射率(レジスト膜厚)よりもさらに小さくなる。
【0099】
これら第1の反射率測定機構55a、第2の反射率測定機構55b、第3の反射率測定機構55cが、モニターパターン52上の同じ位置にて測定する反射率差(レジスト膜厚差)からレジストの現像の進み具合がわかる。
【0100】
本実施形態では、現像の進み具合が目標曲線aより速い場合(曲線c)や、遅い場合(曲線b)には、目標曲線aにするべく現像条件にフィードバックをかける。
【0101】
具体的には、反射率測定機構55の測定により得られた現像進行情報は、図17に示す処理装置61に出力される。処理措置61は、現像進行情報に基づいて、上記目標曲線aになるようにするべく、ノズル54の移動速度(基板51との相対移動速度)、現像液の吐出流量、現像液の温度等の現像条件を調整し、移動速度制御部62、流量制御部63、温度制御部64のそれぞれに移動速度、現像液流量、現像液温度の調整量(制御量)を出力する。これらデータに基づいて、ノズル54の移動速度、現像液の吐出流量、現像液の温度等が制御され、この制御のもとメインパターンについての現像が行われる。
【0102】
すなわち、本実施形態では、現像処理時、メインパターンと共に同じマスク基板上に形成したモニターパターンの現像も行ってその現像進行情報を取得しつつ、この現像進行情報に基づいて現像条件を調整するため、レジスト材料の感度や露光装置の状態が変化しても即時的に対応して現像条件の調整が可能となり、メインパターンを所望の寸法に仕上げることが可能になり、近年要求されている数nmレベルの寸法精度の達成が可能となる。また、現像条件の調整量(制御量)を得るにあたっては、それ専用に高価なマスク基板を割り当てることが不要となり、コスト低減になる。
【0103】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0104】
本発明の基板処理方法は、フォトマスクの製造に限らず、半導体ウェーハ上のパターン形成プロセスやカラーフィルタ形成プロセス、ディスク状記録媒体の加工プロセスにおけるパターン形成にも適用可能である。
【0105】
また、前述したノズル11、25において、リンス液の吐出口を別途設けなくても、中央の吐出口から処理液(洗浄液や現像液)と、リンス液との両方を切り替えて吐出可能な構造を採用し、処理終了後にその吐出口からの処理液の吐出を停止させ、処理液に代えてリンス液を吐出させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示すフローチャート。
【図2】同第1の実施形態において、マスク基板上におけるパーティクル分布の一例を示す模式図。
【図3】同第1の実施形態において、マスク基板上における洗浄可能回数分布の一例を示す模式図。
【図4】(a)はマスク面内における透過率と洗浄時間との関係を示すグラフであり、(b)はマスク面内における位相差と洗浄時間との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の実施形態に係る基板処理に用いるノズルの模式図。
【図6】同ノズルにおける被処理面に対向されるノズル下面の模式図。
【図7】同第1の実施形態におけるマスク基板上の選択的洗浄を説明するための模式図。
【図8】本発明の実施形態に係る基板処理に用いるノズルの他の具体例を示す模式図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態におけるマスク基板上の選択的洗浄を説明するための模式図。
【図11】現像時間とパターン寸法との関係を例示する模式図。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示す模式断面図。
【図13】同第3の実施形態においてパーティクル除去に用いることができるエアーノズルの模式図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る基板の選択的処理を説明するための模式図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る基板の選択的処理に用いられる装置構成を示す模式図。
【図16】同第5の実施形態におけるモニターパターンの反射率(レジスト膜厚)と、現像時間との関係を例示する模式図。
【図17】同第5の実施形態における反射率測定結果のフィードバック処理の流れを説明するためのブロック図。
【符号の説明】
【0107】
2,5…パーティクル、6…マークパターン、10…マスク基板、11…ノズル、12a…処理液の吐出口、13a…吸引口、14a…リンス液の吐出口、25…ノズル、21a…処理液の吐出口、22a…吸引口、23a…リンス液の吐出口、26…ノズル、27a,29a…エアー噴出口、28a…エアー吸引口、30…マスク基板、31…レジスト感度測定用パターン形成領域、32…メインパターン形成領域、33…レジスト感度測定用パターン、41…ガラス基板、42…遮光膜、43…レジスト、51…マスク基板、52…モニターパターン、53…基板支持機構、54…ノズル、55,55a,55b,55c…反射率測定機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスや液晶ディスプレイなどの製造に用いられる基板処理方法及びマスク製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、洗浄や現像などの各種処理が行われるが、従来、洗浄処理や現像処理は基板の被処理面全面に洗浄液や現像液を供給して行っている。例えば、特許文献1では、一方向に長く延びたノズルをその長手方向に対して直交する方向に走査することで被処理面全面に現像液を供給している。
【0003】
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、パターン寸法は数nmの厳しい精度が要求され、これに伴い、より処理精度を高めた基板処理の必要性が高まっている。
【特許文献1】特開2005−26512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高精度なパターン形成が可能な基板処理方法及びマスク製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記基板の被処理面に対向させ、前記吐出口から前記処理液を前記被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を前記吸引口に吸引することで、前記被処理面の一部の領域のみを選択的に前記処理液で処理することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、マスク基板にパターンを形成する工程と、洗浄液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記マスク基板のパターン形成面に対向させ、前記吐出口から前記洗浄液を前記パターン形成面に供給しつつこのパターン形成面上に供給された洗浄液を前記吸引口に吸引することで、前記パターン形成面の一部の領域のみを選択的に前記洗浄液で洗浄する工程と、を有することを特徴とするマスク製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、マスク基板に形成されたレジストにパターンの潜像を形成する工程と、現像液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記レジストに対向させ、前記吐出口から前記現像液を前記レジストの一部の領域に供給しつつこのレジスト上に供給された現像液を前記吸引口に吸引することで、前記レジストの一部の領域に形成された潜像を現像してレジスト感度測定用パターンを形成する工程と、前記レジスト感度測定用パターンの現像時に得られるレジスト感度情報から現像条件を決定する工程と、前記現像条件に基づいて、前記レジストにおける前記レジスト感度測定用パターンが形成された領域とは異なる領域に形成された潜像を現像してメインパターンを形成する工程と、を有することを特徴とするマスク製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度なパターン形成が可能な基板処理方法及びマスク製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
本実施形態では、基板処理方法として洗浄処理を例に挙げて説明する。洗浄処理は半導体製造プロセスの中で繰り返し行われるが、特に本実施形態ではマスク製造工程における洗浄処理を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る洗浄方法を含むマスク製造における要部の工程を示すフローチャートである。
【0012】
まず、ステップ101として、例えばガラス基板上に遮光膜や半透明膜が形成されたマスク基板に対して、レジストの塗布、そのレジストへの露光(例えば電子線描画)、PEB(Post Exposure Baking)、レジストの現像、レジストをマスクとした遮光膜や半透明膜のエッチング、レジスト剥離、といった処理を順次行い、マスク基板に所望のパターンを形成する。
【0013】
次に、ステップ102として、マスク基板におけるパターン形成面の欠陥検査を行い、欠陥がある場合にはその位置を特定する。ここでの欠陥検査は、マスクとしての光学特性に影響を与える汚染微粒子(パーティクル)がパターン形成面上に付着しているかどうかの検査を行う。そのパーティクルが検出された場合には、パターン形成面上からの除去対象物として、後述する洗浄工程にて洗い流して除去する処理を行う。
【0014】
また、上記検査にてパーティクルが見つかった場合には、その位置を特定する。図2は、マスク基板10における洗浄対象面(被処理面)であるパターン形成面を示し、例えば図示する位置にパーティクル2が見つかった場合には、パターン形成面の四隅(実際に半導体ウェーハに転写されるメインパターンの形成領域より外側の位置)に形成されたマークパターン3を基準としてこのマークパターン3に対するパーティクル2の相対座標を求め、パーティクル2の位置を特定する。
【0015】
一般に、洗浄工程では、マスク基板に付着したパーティクルを除去するために物理的あるいは化学的に基板表面にエネルギーを与えるため基板表面(遮光膜や半透明膜)へのダメージがあり、洗浄処理が施されるとマスク面内の透過率や位相差は変化する。
【0016】
透過率については、図4(a)に示すように洗浄時間が長く(洗浄回数が多く)なると高くなる傾向にあり、位相差については、図4(b)に示すように洗浄時間が長く(洗浄回数が多く)なると小さくなる傾向にある。
【0017】
したがって、洗浄処理を何回か繰り返すと膜の透過率や位相差の変化によって、要求されるマスクスペックを満たせなくなり、洗浄回数に制限がある場合がある。許容される洗浄回数はパターン形成面全面で同じではなく、パターン(膜)の分布に応じて許容洗浄回数の分布も決まる。
【0018】
本実施形態では、1回あたりの洗浄における膜の透過率、位相差、形状等の変化量データを予め取得しておき、これに基づいて所望のリソグラフィ尤度(露光量尤度、フォーカス尤度等)が得られるべく、該当マスクに対する洗浄可能回数のマップ(分布)を求める。この洗浄可能回数分布の一例を図3に示す。
【0019】
例えば、マスク基板10におけるパターン形成面の中央部分に、1回の洗浄も許容されない領域10aがあり、その外側に1回の洗浄を許容された領域10bがあり、その外側の他の領域は2回の洗浄を許容された領域10cとなっている。
【0020】
次のステップとして、先に得られたパーティクル2の位置(マークパターン3に対する相対座標)と、洗浄可能回数分布とを比較参照し、パーティクル2の位置が洗浄可能領域内かどうか判定する(図1におけるステップ103)。
【0021】
そして、パーティクル2の位置が洗浄可能領域内である場合、すなわちパーティクル2が、少なくとも1回以上の洗浄を許容されている領域内に位置している場合、そのパーティクル2を含む領域のみを選択的に洗浄する(ステップ104)。なお、すでに1回以上洗浄が行われた後、再び洗浄処理を行う場合においては、ステップ103の判定においては、残りの洗浄可能回数が1回以上の領域にパーティクル2が位置するかどうかの判定が行われる。
【0022】
図7に示す例では、各パーティクル2はいずれも洗浄可能回数1回以上の領域内にあり、これらパーティクル2を除去すべく、本実施形態では、図5に示すノズル11を用いて選択的洗浄処理を行う。
【0023】
ノズル11は、直方体状に形成され、主要な2方向(X方向とY方向)が規定される。Y方向はノズル11における長手方向であり、このY方向に対して直交するX方向は、マスク基板に対するノズル11の移動方向を示す。
【0024】
ノズル11の内部には、洗浄液の吐出路12、吸引路13、リンス液の吐出路14が形成されている。これらは、それぞれノズル11の長手方向(Y方向)に延在するスリット状に形成されている。
【0025】
吐出路12、吸引路13、吐出路14は、上記X方向に並んで設けられている。X方向のほぼ中央に1つの吐出路12が位置し、その吐出路12の外側にこの吐出路12を挟むように一対の吸引路13が位置し、一対の吸引路13のそれぞれの外側には一対の吐出路14が位置している。
【0026】
吐出路12及び吐出路14は、ノズル下面11aに対して略垂直であるが、吸引路13は、ノズル上面側からノズル下面11aに向かうにつれて徐々に内側の吐出路12に近づくように傾斜している。
【0027】
吐出路12、吸引路13、吐出路14は、それぞれ、吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aとしてノズル下面11aに開口し、ノズル外部に通じている。
【0028】
図6は、ノズル下面11aにおける洗浄液の吐出口12a、吸引口13a、リンス液の吐出口14aの配置関係を示す模式図である。
【0029】
吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aは、それぞれ、Y方向に延在するスリット状に形成され、互いに略平行に形成されている。X方向のほぼ中央に1つの吐出口12aが位置し、その吐出口12aの外側にこの吐出口12aを挟むように一対の吸引口13aが位置し、一対の吸引口13aのそれぞれの外側には一対の吐出口14aが位置している。
【0030】
また、吐出路12、吸引路13、吐出路14は、ノズル上面側で、それぞれ、洗浄液の供給管、吸引排気管、リンス液の供給管に接続されている。また、吸引路13は、使用済みの洗浄液やリンス液を排出する排出系統にも接続されている。
【0031】
ノズル11は、その下面11aをマスク基板の洗浄対象面(被処理面)に対向させた状態で、マスク基板に対して相対移動可能となっている。例えば、本実施形態では、マスク基板側は位置を固定させた状態で、ノズル11が図示しない移動機構にてX方向に直線移動可能となっている。
【0032】
ノズル11とマスク基板とが相対移動可能であればよく、固定されたノズル11に対してマスク基板側を移動させる構成であってもよく、あるいはノズル11とマスク基板側の両方をそれぞれ移動可能な構成としてもよい。また、「移動」は直線移動に限らず、回転移動も含まれる。
【0033】
ノズル下面11a、すなわち吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aは、マスク基板の被処理面に対して、例えば100μmほどの間隙を隔てて対向される。
【0034】
その状態で吐出口12aからは洗浄液が被処理面に向けて吐出される。同時に吸引口13aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された洗浄液は吸引口13aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口13aの下方に至ると吸引口13aに吸引される。したがって、洗浄液の供給エリアは、一対の吸引口13aの内側の領域(図6において太線15で囲んだ領域)に制限される。
【0035】
洗浄液は吐出口12aから次々と被処理面上に供給され、吐出口12aと吸引口13aとの間に相当する距離を流れた後直ちに吸引口13aに吸引されるので、洗浄液供給エリア(図6において太線15で囲む領域)は常に清浄な洗浄液で満たすことができる。
【0036】
また、上記洗浄液の吐出及び吸引動作と同時に、吐出口14aからリンス液の吐出も行われている。リンス液は、マスク基板上の膜の透過率、位相差、形状等に影響を与えない例えば純水であり、洗浄可能回数分布に関係なく被処理面上の全面に供給しても問題はない。
【0037】
吐出口14aから被処理面に吐出され吸引口13aに向かう流れは吸引口13aに吸引されるが、このリンス液の流れは、吐出口12aから吐出され吸引口13aへと向かう洗浄液の流れに対して対向する流れであるため、洗浄液の、上記太線15で囲む領域外への浸出を抑え、洗浄液の選択的供給を確実に行わせることができる。
【0038】
上記ノズル11を用いてマスク基板の選択的洗浄を行うにあたっては、まず、被処理面上にリンス液を供給した後、所望の位置にノズル11を移動させる。
【0039】
図7に示す例では、例えば、まず、実線の斜線で示される領域17aに対向する位置にノズル11を移動させるとする。ノズル11の長手方向(Y方向)寸法は、例えば四角形状のマスク基板10の辺a1方向をカバー可能な長さを有し、その長手方向(Y方向)を辺a1方向に対して略平行にした状態で、前述した吐出口12a、吸引口13a、吐出口14aを被処理面に対して対向させる。
【0040】
そして、前述したように洗浄液を吐出しつつ吸引を行うことにより、領域17aのみを選択的に洗浄し、その領域17a内にあるパーティクル2を除去する。領域17aは、洗浄が許容されていない領域10aには重なっておらず、且つ領域17aのみを選択的に洗浄するため、洗浄液が領域10aに供給されてしまうことはない。
【0041】
領域17aの洗浄後、まず先に洗浄液の吐出動作を停止した後、吸引動作を停止し、次の洗浄対象領域17bへとノズル11を移動させる。吐出動作を停止させる前に先に吸引動作を停止させてしまうと洗浄液が吸引されず領域17aの外側に広がってしまうので、先に洗浄液の吐出を停止させた後、吸引動作を停止させるようにする。
【0042】
領域17bに対しても前述と同様の洗浄処理が行われ、領域17b内に位置するパーティクル2が除去される。
【0043】
洗浄液の吐出停止、および吸引動作の停止の後、リンス液の吐出を停止し、最後に被処理面上のリンス液を乾燥させ、洗浄処理を終了する。
【0044】
洗浄すべき領域の辺a2方向(上記辺a1方向に対して略垂直な方向)の幅が、ノズル11の短手方向(X方向)より広い場合は、洗浄液とリンス液の吐出及び吸引動作を行いつつ、ノズル11をX方向に移動させて、上記辺a2方向の範囲をカバーする。
【0045】
前述した洗浄が1回目とした場合、その1回目の洗浄で、例えば図7において右下のパーティクル2aが除去されなかった場合、そのパーティクル2aは2回洗浄可能な領域10c内にあるため、そのパーティクル2aを除去するべく2回目の洗浄を試みる。このとき、洗浄が許容されていない領域10aはもちろん、1回洗浄可能な領域10bであっても先の1回目の洗浄にて洗浄処理が行われた領域(図7において領域17a、17bと領域10bとが重なる領域)には洗浄液が供給されないようにする。
【0046】
上記領域17a、17bの洗浄を行ったときのノズル11とマスク基板10との位置関係から、例えばノズル11を90°回転(もしくはマスク基板10を90°回転)させて、図7において1点鎖線の斜線で示す領域17cにノズル下面11aを対向位置させる。この領域17cは、まだ被処理面上に残っているパーティクル2aを含み、且つ2回洗浄可能領域10c内にあるため、この領域17cの洗浄の洗浄処理によりパーティクル2aの除去が可能となる。
【0047】
従来、洗浄処理は被処理面全面に対して行っていたため、洗浄によるダメージが被処理面全面におよんでしまい、所望のリソグラフィ尤度を確保するべく規定される所望の透過率、位相差、パターン形状等のスペックから外れる領域がマスク面内に生じ、マスク製造における歩留まりを低下させる原因の一つとなっていた。
【0048】
これに対して本実施形態では、パーティクルが付着している位置付近の必要領域のみを選択的に洗浄することで、その領域のみにおける、洗浄による露光光の透過率、位相差、形成されているパターン寸法等の変化を考慮すればよいため、パーティクルを洗浄除去可能かどうかの判定を行うにあたっての制限が大幅に緩和される。これにより、洗浄可能回数制限により従来は洗浄除去をあきらめざるを得なかった位置のパーティクルの洗浄除去が可能になり、マスク製造における歩留まり向上を図れる。
【0049】
なお、洗浄液の選択的供給を行うノズルについては、図5、6で示したものに限らず、例えば図8に示すノズル25を用いてもよい。
【0050】
このノズル25は、中心から順に、洗浄液の吐出路21、吸引路22、リンス液の吐出路23が同心円状に形成された3重筒構造を有し、その下面に、それぞれ、吐出路21、吸引路22、吐出路23と通じる吐出口21a、吸引口22a、吐出口23aが開口形成されている。
【0051】
このノズル25も、吐出口21a、吸引口22a、吐出口23aを被処理面に対向させた状態でマスク基板に対して相対移動可能となっている。
【0052】
吐出口21aからは洗浄液が被処理面に向けて吐出される。同時に、吐出口21aの外側を囲む吸引口22aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された洗浄液は吸引口22aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口22aの下方に至ると吸引口22aに吸引される。したがって、洗浄液の供給エリアは、吸引口22aの内側の領域に制限される。
【0053】
また、上記洗浄液の吐出及び吸引動作と同時に、吸引口22aの外側を囲む吐出口23aからリンス液の吐出も行われている。吐出口23aから被処理面に吐出され吸引口22aに向かう流れは吸引口22aに吸引されるが、このリンス液の流れは、吐出口21aから吐出され吸引口22aへと向かう洗浄液の流れに対して対向する流れであるため、洗浄液の、吸引口22aより外側領域への浸出を抑え、洗浄液の選択的供給を確実に行わせることができる。
【0054】
さらに、このノズル25を用いることで円状スポット的に洗浄液を供給可能であるので、図5、6に示すノズル11よりも狭い領域を選択的に処理することが可能になる。これにより、洗浄液の不所望領域への拡散をよりいっそう抑えることができ、パーティクルを洗浄可能かどうか判定するにあたっての制限条件がさらに緩和されたものとなる。
【0055】
なお、前述したノズル11、25において、リンス液は必ずしも吐出しなくてもよい。洗浄液の吐出パラメータ(圧力や流量)と、吸引パラメータ(圧力や流量)とのバランスを予め調整しておくことにより、洗浄液が吸引口より外側に流れ出ないようにでき、必要領域のみの選択的洗浄を実現することができる。ただし、前述したようにリンス液の吸引口へと向かう流れで、洗浄液の外側への流出を抑えた方が、より確実に選択的洗浄を行うことができる。さらに、被処理面上にリンス液を予めむらなく供給しておき、洗浄処理後も被処理面上にリンス液のみがむらなく残った状態とし、その状態から乾燥を行うことが望ましい。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る基板処理方法として、マスク基板上に形成されたレジストの現像処理を例に挙げて説明する。
【0057】
図9は、本実施形態に係る現像方法を含むマスク製造における要部の工程を示すフローチャートである。
【0058】
まず、ステップ111として、例えばガラス基板上に遮光膜や半透明膜が形成されたマスク基板に対してレジストの塗布を行い、そのレジストに対してパターンの露光(例えば電子線描画)を行い、その後PEB(Post Exposure Baking)を行って、レジストにパターンの潜像を形成する。
【0059】
図10は、本実施形態における処理対象マスク基板30のレジスト形成面を示す。レジスト表面は、メインパターンの形成領域32と、レジスト感度測定用パターン33の形成領域31とに大きく分けられる。
【0060】
メインパターンは、実際に半導体ウェーハに転写される半導体集積回路パターンに対応する。レジスト感度測定用パターン33は、メインパターン形成領域32よりも外側であって、マスク基板30における端部に形成される。
【0061】
本実施形態では、パターン潜像を現像するにあたって、まず、レジスト感度測定用パターン33を含む領域31のみを選択的に現像する(ステップ112)。この領域31のみの選択的現像を行うにあたっては、前述したノズル11を用いる。
【0062】
すなわち、ノズル下面11aを領域31に対向させた状態で、吐出口12aからは現像液が被処理面に向けて吐出される。同時に吸引口13aからは吸引が行われるため、被処理面上に供給された現像液は吸引口13aへと向かう流れを被処理面上で形成し、吸引口13aの下方に至ると吸引口13aに吸引される。したがって、現像液の供給エリアは、一対の吸引口13aの内側の領域(図6において太線15で囲んだ領域)に制限され、メインパターン形成領域32には現像液は供給されない。
【0063】
この領域31の選択的現像処理により、レジスト感度測定用パターン33が形成される。このレジスト感度測定用パターン33の現像処理を実施した後、一旦マスク基板30を乾燥させる。
【0064】
次のステップとして、現像処理されたレジスト感度測定用パターン33について、寸法や膜厚といったレジストの溶解特性に関するパラメータを測定し、この測定データからレジスト感度情報(例えば、パターン寸法、溶解速度等を表す)を算出する(ステップ113)。
【0065】
次に、ステップ114として、上記で得られたレジスト感度情報から、メインパターンが所望の寸法に仕上がるようにするための現像条件を求める。具体的には、図11に示すように、現像条件(例えば現像時間)とパターン寸法の目標値との相関関係を予め得ておき、実際に現像処理にて得られた上記レジスト感度測定用パターン33の寸法から、現像時間の調整(補正)量を算出する。
【0066】
このようにして得られた現像条件に基づいて、メインパターン形成領域32の現像処理を行う(ステップ115)ことで、メインパターン形成用のレジストパターンの寸法精度を向上できる。結果として、このレジストをマスクとして遮光膜や半透明膜のエッチングを行って得られるメインパターンの寸法精度を向上でき、マスク製造における歩留まりを向上できる。
【0067】
特に化学増幅型レジストは、ベースポリマー、酸発生剤、クエンチャー、溶剤等の複数成分から構成され、現状、各成分をまったく同様の割合に調合し製造しても同じ感度の再現性を保つのは難しく、結果としてマスク基板ごとにパターン寸法が異なってしまう問題がある。
【0068】
また、レジストの感度については、それをモニターする手法が確立されていないため、実際にレジストを基板に塗布し、露光、ベーク、現像してレジストパターンを実際に形成しない限り、感度を事前に知ることはできない。レジスト感度という実際に現像してみないとわからないパラメータを得るために、従来は、先行して一枚のマスク基板の処理を行いその基板からレジスト感度に関するデータを得て、そのデータを次回以降の処理ロットの処理条件にフィードバックをかけるといった方法がとられていた。この場合、レジストロット変更の度にその感度を測定する必要があり、特にフォトマスクのような一枚あたりのコストが高い基板を、レジスト感度を得るためだけに用いて犠牲にすることはコスト的に大きな無駄となっている。
【0069】
これに対して本実施形態では、一枚の同じマスク基板30上にメインパターンとは別にレジスト感度測定用パターン33を前述した選択的現像処理を行うことによって形成することで、メインパターンの現像に先立って、予めその基板に塗布されたレジスト感度に関する情報を得ることができ、高価なマスク基板を無駄にすることなく実際の製品として活用でき、コスト低減を図れる。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る基板処理方法として、図12に示すレジスト43の選択的現像処理を例に挙げて説明する。
【0071】
図12(a)は、ガラス基板41上に遮光膜(または半透明膜)42が形成され、さらにその上にレジスト43が形成されたマスク基板を示す。レジスト43には、まだパターン描画は行われていない。また、レジスト43表面上にパーティクル5が付着しているとする。
【0072】
まず、レジスト43の例えば四隅に、電子線描画およびその後のPEBを行って、マークパターン6の潜像を形成する。
【0073】
次に、前述した実施形態と同様に、ノズル11を用いて、レジスト43表面における端部領域7のみの選択的現像処理を行い、マークパターン6を形成する。あるいは、この現像処理に際して図8に示すノズル25を用いてもよい。
【0074】
その後、マスク基板を例えば回転乾燥させた後、レジスト43表面を光学検査し、マークパターン6に対するパーティクル5の相対座標を求め、パーティクル5の位置を特定する。その後、パーティクル5の位置(マークパターン6に対する相対座標)を確認しながら、例えば複数本または1本の針を有する治具にてパーティクル5をレジスト43上からピックアップして取り除く(図12(c))。その後再度光学検査を行い、パーティクルの除去を確認する。
【0075】
その後、図12(d)に示すメインパターン形成領域8に対して、電子線描画、PEB、現像、リンス、乾燥、エッチング工程を行って、所望のメインパターンを形成する。
【0076】
本実施形態によれば、パターン形成処理前のマスク基板を例えばSMIF(Standard Mechanical InterFace)ポッドに移すときにレジスト表面に付着する可能性があるパーティクルの付着の有無をパターン形成処理前に予め検査し、パーティクルの付着が確認された場合には、前述した選択的現像処理によりマークパターン6を形成する。そして、このマークパターン6を基準にパーティクル5の位置座標が特定できるため、パーティクル5をピンポイントでピックアップして除去できる。その後は、パーティクルの付着がない状態でのメインパターン形成が可能となり、歩留まり向上が図れる。
【0077】
なお、パーティクルをピックアップする針の本数や形状は限定されるものではなく、パーティクルのピックアップ除去が可能な構成であればよい。また、その針に帯電機構を設けてパーティクル除去の確実性(効率)を高めることも可能である。
【0078】
あるいは、図13に示すエアーノズル26を用いて、パーティクルをレジスト表面上から除去するようにしてもよい。
【0079】
このノズル26は、中心から順に、エアー噴出路27、エアー吸引路28、エアー噴出路29が同心円状に形成された3重筒構造を有し、その下面に、それぞれ、エアー噴出路27、エアー吸引路28、エアー噴出路29と通じるエアー噴出口27a、エアー吸引口28a、エアー噴出口29aが開口形成されている。
【0080】
エアー噴出口27a、29aからエアーを噴出しつつ、同時にエアー吸引口28aから吸引動作が行われる。エアー噴出口27aからのエアーをパーティクルの周囲に吹き付けパーティクルをレジスト表面から浮き上がらせて、そのパーティクルを吸引口28aから吸引することでレジスト表面上からパーティクルを除去することができる。ここで、吸引口28aの外側を囲む噴出口29aからもエアーが噴出しているため、中心の噴出口27aからのエアーによって飛ばされたパーティクルが吸引口28aより外側に飛散して、レジスト表面上の他の位置に再付着してしまうのを防ぐことができる。
【0081】
[第4の実施形態]
次に、図14を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0082】
図14に示すマスク基板のレジストを例えば4つの領域A〜Dに区切り、各領域A〜Dにそれぞれ評価パターンの潜像を形成しておく。
【0083】
そしてまず、図14(a)に示すように、前述した実施形態と同様な選択的現像方法によって、左半分の領域(領域A及びD)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0084】
次に、図14(a)に示す位置から、マスク基板を90°回転させ、図14(b)に示す位置にし、左半分の領域(領域A及びB)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0085】
次に、図14(b)の位置から、マスク基板を90°回転させ、図14(c)に示す位置(図14(a)と同じ位置)にし、左半分の領域(領域A及びD)のみを選択的に現像処理し評価パターンを形成する。
【0086】
以上の一連の選択的現像処理の結果、領域Aは3回の現像処理を受け、領域Dは2回の現像処理を受け、領域Bは1回の現像処理を受けたことになる。各回の現像処理時間を同じとすれば、領域Aの現像時間が最も長く、領域Bの現像時間が最も短く、領域Dの現像時間は領域AとBとの間の現像時間ということになる。
【0087】
すなわち、本実施形態においては、前述したような選択的現像処理を複数回(上記例では3回)行うことによって、同じ一枚のマスク基板上で異なる3つの処理条件(現像時間)の評価を行え、3枚のマスク基板のそれぞれを異なる現像時間で処理して評価を行う場合よりも大幅にコストを低減できる。
【0088】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る基板処理方法について説明する。
【0089】
本実施形態では、メインパターンの現像と同時進行で、メインパターンと同じ基板上に形成されたモニターパターンの現像の進行状況を検出して、その検出結果をメインパターンの現像処理にフィードバックさせるようにしている。
【0090】
図15に、本実施形態に用いる現像処理装置の模式図を示す。図15(a)は、マスク基板51の被処理面(レジスト表面)側から見た上面図であり、図15(b)は、図15(a)におけるA−A方向から見た図であり、図15(c)は、図15(a)におけるB−B方向から見た図である。
【0091】
マスク基板51は基板保持機構53によって略水平に保持される。マスク基板51の上方にはノズル54が対向して設けられる。マスク基板51とノズル54とは相対移動可能である。本実施形態では、静止したマスク基板51に対してノズル54が矢印A方向に移動するとして説明するが、静止したノズル54に対してマスク基板51が移動する構成、あるいはノズル54とマスク基板51の両方が移動する構成であってもよい。
【0092】
ノズル54は、移動方向Aに対して略直交する方向に長く延びた形状に形成され、その長手方向に沿って現像液の吐出口(図示せず)が形成されている。現像液の吐出口はノズル下面に開口形成され、レジスト表面に近接対向している。
【0093】
また、ノズル54の長手方向のそれぞれの両端部には、光源と光検出器とを備える反射率測定機構55が設けられている。反射率測定機構55は、図15(c)に示すように、ノズル54の移動方向に沿って並んで設けられた3つの反射率測定機構55a〜55cを有する。ノズル54の進行方向A側から順に、第1の反射率測定機構55a、第2の反射率測定機構55b、第3の反射率測定機構55cが位置している。なお、反射率測定機構は3つに限らず、1つあるいは4つ以上設けてもよい。
【0094】
マスク基板51のレジスト表面におけるメインパターン形成領域より外側の端部領域にはモニターパターン52の潜像が形成されている。モニターパターン52は、反射率測定機構55に対向可能に、ノズル54の移動方向Aに沿って延びるライン状に形成されている。
【0095】
現像処理時、ノズル54はレジスト表面に向けて現像液を吐出しながら、図15に示す例では矢印A方向に移動する。このとき、実際に半導体ウェーハに転写すべきパターンに対応するメインパターンはもちろん、モニターパターン52の現像も行われる。
【0096】
そして、本実施形態では、反射率測定機構55a〜55cによってモニターパターン52の反射率が測定される。モニターパターン52の反射率は、モニターパターン52の膜厚に応じて変化し、したがって、モニターパターン52の反射率を測定することでモニターパターン52の現像の進行の程度がわかる。
【0097】
図16は、上記反射率(縦軸)と、現像時間(横軸)との関係を示す。aは、所望のパターン寸法を得るべく目標とする変化曲線を示す。
【0098】
まず、第1の反射率測定機構55aが、時刻t0で、ある位置xに至り、そのΔt1経過後に第2の反射率測定機構55bが同じ位置xに至るとすると、位置xにて第2の反射率測定機構55bが測定する反射率(モニターパターン形成箇所のレジスト膜厚)は、第1の反射率測定機構55aが位置xにて先に測定した反射率(レジスト膜厚)よりも小さくなる。同様に、第2の反射率測定機構55bが位置xに至った後、Δt2経過後に第3の反射率測定機構55cが位置xに至るとすると、位置xにて第3の反射率測定機構55cが測定する反射率(レジスト膜厚)は、第2の反射率測定機構55bが位置xにて測定した反射率(レジスト膜厚)よりもさらに小さくなる。
【0099】
これら第1の反射率測定機構55a、第2の反射率測定機構55b、第3の反射率測定機構55cが、モニターパターン52上の同じ位置にて測定する反射率差(レジスト膜厚差)からレジストの現像の進み具合がわかる。
【0100】
本実施形態では、現像の進み具合が目標曲線aより速い場合(曲線c)や、遅い場合(曲線b)には、目標曲線aにするべく現像条件にフィードバックをかける。
【0101】
具体的には、反射率測定機構55の測定により得られた現像進行情報は、図17に示す処理装置61に出力される。処理措置61は、現像進行情報に基づいて、上記目標曲線aになるようにするべく、ノズル54の移動速度(基板51との相対移動速度)、現像液の吐出流量、現像液の温度等の現像条件を調整し、移動速度制御部62、流量制御部63、温度制御部64のそれぞれに移動速度、現像液流量、現像液温度の調整量(制御量)を出力する。これらデータに基づいて、ノズル54の移動速度、現像液の吐出流量、現像液の温度等が制御され、この制御のもとメインパターンについての現像が行われる。
【0102】
すなわち、本実施形態では、現像処理時、メインパターンと共に同じマスク基板上に形成したモニターパターンの現像も行ってその現像進行情報を取得しつつ、この現像進行情報に基づいて現像条件を調整するため、レジスト材料の感度や露光装置の状態が変化しても即時的に対応して現像条件の調整が可能となり、メインパターンを所望の寸法に仕上げることが可能になり、近年要求されている数nmレベルの寸法精度の達成が可能となる。また、現像条件の調整量(制御量)を得るにあたっては、それ専用に高価なマスク基板を割り当てることが不要となり、コスト低減になる。
【0103】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0104】
本発明の基板処理方法は、フォトマスクの製造に限らず、半導体ウェーハ上のパターン形成プロセスやカラーフィルタ形成プロセス、ディスク状記録媒体の加工プロセスにおけるパターン形成にも適用可能である。
【0105】
また、前述したノズル11、25において、リンス液の吐出口を別途設けなくても、中央の吐出口から処理液(洗浄液や現像液)と、リンス液との両方を切り替えて吐出可能な構造を採用し、処理終了後にその吐出口からの処理液の吐出を停止させ、処理液に代えてリンス液を吐出させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示すフローチャート。
【図2】同第1の実施形態において、マスク基板上におけるパーティクル分布の一例を示す模式図。
【図3】同第1の実施形態において、マスク基板上における洗浄可能回数分布の一例を示す模式図。
【図4】(a)はマスク面内における透過率と洗浄時間との関係を示すグラフであり、(b)はマスク面内における位相差と洗浄時間との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の実施形態に係る基板処理に用いるノズルの模式図。
【図6】同ノズルにおける被処理面に対向されるノズル下面の模式図。
【図7】同第1の実施形態におけるマスク基板上の選択的洗浄を説明するための模式図。
【図8】本発明の実施形態に係る基板処理に用いるノズルの他の具体例を示す模式図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態におけるマスク基板上の選択的洗浄を説明するための模式図。
【図11】現像時間とパターン寸法との関係を例示する模式図。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る基板処理方法における要部の工程を示す模式断面図。
【図13】同第3の実施形態においてパーティクル除去に用いることができるエアーノズルの模式図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る基板の選択的処理を説明するための模式図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る基板の選択的処理に用いられる装置構成を示す模式図。
【図16】同第5の実施形態におけるモニターパターンの反射率(レジスト膜厚)と、現像時間との関係を例示する模式図。
【図17】同第5の実施形態における反射率測定結果のフィードバック処理の流れを説明するためのブロック図。
【符号の説明】
【0107】
2,5…パーティクル、6…マークパターン、10…マスク基板、11…ノズル、12a…処理液の吐出口、13a…吸引口、14a…リンス液の吐出口、25…ノズル、21a…処理液の吐出口、22a…吸引口、23a…リンス液の吐出口、26…ノズル、27a,29a…エアー噴出口、28a…エアー吸引口、30…マスク基板、31…レジスト感度測定用パターン形成領域、32…メインパターン形成領域、33…レジスト感度測定用パターン、41…ガラス基板、42…遮光膜、43…レジスト、51…マスク基板、52…モニターパターン、53…基板支持機構、54…ノズル、55,55a,55b,55c…反射率測定機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記基板の被処理面に対向させ、前記吐出口から前記処理液を前記被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を前記吸引口に吸引することで、前記被処理面の一部の領域のみを選択的に前記処理液で処理することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記被処理面上に除去対象物があるかどうかの検査を行い、前記除去対象物が前記被処理面上にある場合にはその位置を特定する工程と、
前記除去対象物の位置が洗浄可能領域内であるかどうか判定する工程と、
前記除去対象物の位置が前記洗浄可能領域内である場合、その除去対象物が位置する洗浄可能領域を選択的に前記ノズルを用いて前記処理液で洗浄する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記除去対象物の位置が洗浄可能領域内であるかどうか判定する工程では、洗浄による、前記除去対象物の位置を含む前記基板領域を透過する光の透過率、位相差及び前記基板に形成されたパターン寸法の変化の少なくとも一つに基づいて判定することを特徴とする請求項2記載の基板処理方法。
【請求項4】
マスク基板にパターンを形成する工程と、
洗浄液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記マスク基板のパターン形成面に対向させ、前記吐出口から前記洗浄液を前記パターン形成面に供給しつつこのパターン形成面上に供給された洗浄液を前記吸引口に吸引することで、前記パターン形成面の一部の領域のみを選択的に前記洗浄液で洗浄する工程と、
を有することを特徴とするマスク製造方法。
【請求項5】
マスク基板に形成されたレジストにパターンの潜像を形成する工程と、
現像液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記レジストに対向させ、前記吐出口から前記現像液を前記レジストの一部の領域に供給しつつこのレジスト上に供給された現像液を前記吸引口に吸引することで、前記レジストの一部の領域に形成された潜像を現像してレジスト感度測定用パターンを形成する工程と、
前記レジスト感度測定用パターンの現像時に得られるレジスト感度情報から現像条件を決定する工程と、
前記現像条件に基づいて、前記レジストにおける前記レジスト感度測定用パターンが形成された領域とは異なる領域に形成された潜像を現像してメインパターンを形成する工程と、
を有することを特徴とするマスク製造方法。
【請求項1】
処理液の吐出口と吸引口とを有し、処理対象の基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記基板の被処理面に対向させ、前記吐出口から前記処理液を前記被処理面に供給しつつこの被処理面上に供給された処理液を前記吸引口に吸引することで、前記被処理面の一部の領域のみを選択的に前記処理液で処理することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
前記被処理面上に除去対象物があるかどうかの検査を行い、前記除去対象物が前記被処理面上にある場合にはその位置を特定する工程と、
前記除去対象物の位置が洗浄可能領域内であるかどうか判定する工程と、
前記除去対象物の位置が前記洗浄可能領域内である場合、その除去対象物が位置する洗浄可能領域を選択的に前記ノズルを用いて前記処理液で洗浄する工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記除去対象物の位置が洗浄可能領域内であるかどうか判定する工程では、洗浄による、前記除去対象物の位置を含む前記基板領域を透過する光の透過率、位相差及び前記基板に形成されたパターン寸法の変化の少なくとも一つに基づいて判定することを特徴とする請求項2記載の基板処理方法。
【請求項4】
マスク基板にパターンを形成する工程と、
洗浄液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記マスク基板のパターン形成面に対向させ、前記吐出口から前記洗浄液を前記パターン形成面に供給しつつこのパターン形成面上に供給された洗浄液を前記吸引口に吸引することで、前記パターン形成面の一部の領域のみを選択的に前記洗浄液で洗浄する工程と、
を有することを特徴とするマスク製造方法。
【請求項5】
マスク基板に形成されたレジストにパターンの潜像を形成する工程と、
現像液の吐出口と吸引口とを有し前記マスク基板に対して相対移動可能に設けられたノズルの前記吐出口及び前記吸引口を前記レジストに対向させ、前記吐出口から前記現像液を前記レジストの一部の領域に供給しつつこのレジスト上に供給された現像液を前記吸引口に吸引することで、前記レジストの一部の領域に形成された潜像を現像してレジスト感度測定用パターンを形成する工程と、
前記レジスト感度測定用パターンの現像時に得られるレジスト感度情報から現像条件を決定する工程と、
前記現像条件に基づいて、前記レジストにおける前記レジスト感度測定用パターンが形成された領域とは異なる領域に形成された潜像を現像してメインパターンを形成する工程と、
を有することを特徴とするマスク製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−295840(P2009−295840A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148940(P2008−148940)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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