説明

外観検査装置

【課題】銀メッキが施されたリードフレーム及びリードフレーム封止体の外観不良を確実で簡易に検出可能であるとともに、リードフレーム及びリードフレーム封止体の検査を兼用可能な外観検査装置を提供する。
【解決手段】所定位置に配置された被検査体に向けて青色の光を照射する青色照明部と、被検査体に対して青色照明部と同じ側に配置され、被検査体の画像を撮像する撮像部と、被検査体に対して青色照明部と同じ側に配置され、被検査体に向けて赤色の光を照射する赤色照明部と、被検査体を挟んで撮像部と対向する位置に配置され、撮像部に向けて光を照射する第3の照明部と、被検査体の画像に基づいて2値化画像を生成するとともに、2値化画像に基づいて被検査体における不良の有無を判定する画像処理手段とを備え、青色照明部、赤色照明部及び第3の照明部の点灯を切換えつつ撮像部が被検査体の画像を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC,LSI等の半導体装置の製造過程の中でも半導体チップ等をパッケージとして組立てる組立工程で用いられる外観検査装置に関する。特に、リードフレームやリードフレームを樹脂で封止してなるリードフレーム封止体の外観を検査する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレームは半導体装置の構成部品として用いられている。そして、上記組立工程は、例えばリードフレームのインナーリードの先端部への銀メッキから始まり、ICチップのアイランド上への搭載、樹脂封止、切断分離、外部リードの成形等の多くの工程からなっている。
【0003】
このリードフレームを使用した半導体装置の用途は拡大しており、例えば車の制御部等に搭載されて車の作動を制御する等の重要な役割を担っている。したがって、これらの半導体装置に対してますます高度な品質が求められるようになった。
【0004】
そのため、半導体製造メーカでは様々な品質管理体制がとられている。上記組立工程において、リードフレームや半製品であるリードフレーム封止体の外観検査を実施することも品質管理体制の一つである。この外観検査は、不良品の出荷を防止する目的のみならず、組立工程中で発生する様々な外観不良を発見し不良発生の原因となる工程にフィードバックしてその工程の改善に結びつける目的のためにもその重要性が高い。
【0005】
従来、組立工程における外観検査は作業員による目視検査によっていた。ところが、上記組立工程で発生する不良は人による視認が困難な程小さいサイズのものが多く、検査に熟練を要する等の問題があった。また、最近の半導体装置の小型化に伴ってリードの幅やリード間等が狭くなる等の理由により作業員の目視による検査はますます困難となった。
【0006】
そこで、画像に基づいてこれらの外観検査を自動で行う外観検査装置についての様々な提案がされている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−205974号公報
【特許文献2】特許第2922214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によれば、メッキ表面に600nm以上の波長の光線を照射する照射手段と、照射手段により照射されたメッキ表面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で得られた画像データからメッキ上の欠陥の有無を判定する画像処理・欠陥判定手段とを備え、リードフレームのメッキ欠陥を検査するメッキ検査装置が提案されている。
【0009】
一方、リードフレーム、特にリードの間隔がファインピッチ化されたリードフレームは、素材としてのCu材と、そのCu材からなるリードの先端部分に銀メッキが施された構成のものが多い傾向にある。ところが、特許文献1における600nm以上の光線は、リードの銀メッキ部分からの反射率と、銀メッキが施されていないリード部分からの反射率とは略同じ値(特許文献1の図3参照)である。そのため、照明手段からの光線を照射して得られた画像におけるコントラストだけでは、銀メッキ部分と銀メッキが施されていないリード部分との区別がつきにくいおそれがある。
【0010】
そこで、特許文献1によれば、銀メッキ部分における不良か銀メッキが施されていないリード部分における不良かのいずれかの判定が困難になる虞があるという問題があった。そのため、特許文献1によれば、銀メッキ工程への検査結果のフィードバックが不十分になるおそれがあるという問題があった。また、特許文献1よれば、リードフレームの外観検査は可能であるものの、リードフレーム封止体の樹脂部分の外観検査の可否については定かではない。
【0011】
一方、特許文献2によれば、半導体装置の上方にリング照明と、TVカメラとを配置し、半導体装置の検査項目毎に最適な照射角度のパラメータを事前に求めて記憶し、前記パラメータに基づいて例えばリング照明の上下動をさせるものが提案されている。
【0012】
しかし、特許文献2によれば、事前に半導体装置の検査項目毎に最適な照射角度のパラメータを求めておく必要があるため、例えば多くの不良サンプルを集めてその不良サンプルの不良項目を検出するために最適なパラメータを求める必要があるなど、検査前の準備が煩雑になるおそれがあるという問題があった。
また、特許文献2によれば、樹脂封止後のパッケージ本体の外観検査は可能であるものの、リードフレームの外観検査の可否については定かではない。
【0013】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、銀メッキが施されたリードフレーム及びリードフレーム封止体の外観不良を確実で簡易に検出可能であるとともに、リードフレーム及びリードフレーム封止体の検査を兼用可能な外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、銀メッキが施されたリードフレーム及び樹脂封止されたリードフレーム封止体からなる被検査体の外観を検査する外観検査装置であって、所定位置に配置された前記被検査体に向けて青色の光を照射する青色照明部と、前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、前記被検査体の画像を撮像する撮像部と、前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、前記被検査体に向けて赤色の光を照射する赤色照明部と、前記被検査体を挟んで前記撮像部と対向する位置に配置され、前記撮像部に向けて光を照射する第3の照明部と、前記被検査体の画像に基づいて2値化画像を生成するとともに、前記2値化画像に基づいて前記被検査体における不良の有無を判定する画像処理手段とを備え、前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換えつつ前記撮像部が被検査体の画像を撮像する、外観検査装置である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の外観検査装置において、前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレームで反射された反射光に基づく第1の画像を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の外観検査装置において、前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレーム封止体で反射された反射光に基づく第2の画像を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の外観検査装置において、前記2値化画像は、前記赤色の光が前記リードフレームで反射された反射光と前記第3の照明部からの光とに基づく第3の画像を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の外観検査装置において、前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換える照明部切換手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の外観検査装置において、前記被検査体の画像を保存する記憶部と、前記記憶部に前記被検査体の画像を取り込む画像取込手段とを備え、前記画像取込手段の処理と前記画像処理手段の処理とを並行して行わせることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の外観検査装置において、前記被検査体、前記青色照明部、前記赤色照明部、前記第3の照明部及び前記撮像部は略鉛直線上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、銀メッキが施されたリードフレーム及び樹脂封止されたリードフレーム封止体からなる被検査体の外観を検査する外観検査装置であって、所定位置に配置された前記被検査体に向けて青色の光を照射する青色照明部と、前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、被検査体の画像を撮像する撮像部と、前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、前記被検査体に向けて赤色の光を照射する赤色照明部と、前記被検査体を挟んで前記撮像部と対向する位置に配置され、前記撮像部に向けて光を照射する第3の照明部と、前記被検査体の画像に基づいて2値化画像を生成するとともに、前記2値化画像に基づいて被検査体における不良の有無を判定する画像処理手段とを備え、前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換えつつ前記撮像部が被検査体の画像を撮像する構成であるから、検査項目に応じて青色照明部、赤色照明部及び第3の照明部の点灯を切換えて被検査体の画像を撮像することにより、銀メッキが施されたリードフレーム及びリードフレーム封止体の外観不良を確実で簡易に検出可能であるとともに、リードフレーム及びリードフレーム封止体の検査を兼用可能な外観検査装置を提供できる。
【0022】
また、前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレームで反射された反射光に基づく第1の画像を含む構成であるから、銀メッキ部分からの青色の光の反射率と銀メッキが施されていない部分からの青色の光の反射率との相違によって生じる第1の画像のコントラストに基づいてリードフレームの銀メッキ部分のメッキ不良等を確実に検出できる。
【0023】
また、前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレーム封止体で反射された反射光に基づく第2の画像を含む構成であるから、第2の画像において例えば樹脂クラック等の不良が発生している箇所と樹脂部分の正常箇所とのコントラストに基づいて樹脂部分のクラック不良等を確実に検査できる。
【0024】
また、前記2値化画像は、前記赤色の光が前記リードフレームで反射された反射光と前記第3の照明部からの光とに基づく第3の画像を含む構成であるから、銀メッキ部分からの反射率と銀メッキが施されていない部分からの反射率とが略同じとなる赤色の光及びリード間を通過する第3の光によって例えばインナーリードに発生したリードねじれ等の不良も確実に検査することができ、被検査体をより多くの項目にわたって検査可能とする。
【0025】
また、前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換える照明部切換手段とを備える構成であるから、照明部切換手段を介して検査項目に応じて前記それぞれの照明部の点灯を切換えることが可能となる等の利便性が向上する。
【0026】
また、前記被検査体の画像を保存する記憶部と、前記記憶部に前記被検査体の画像を取り込む画像取込手段とを備え、前記画像取込手段の処理と前記画像処理手段の処理とを並行して行わせる構成であるから、例えば画像処理手段が処理を実行している間に、画像取込手段によって被検査体の別画像を取込むことが可能となり、検査効率の向上及び検査の迅速化を図ることができる。
【0027】
また、前記被検査体、前記青色照明部、前記赤色照明部、前記第3の照明部及び前記撮像部は略鉛直線上に配置される構成であるから、前記青色照明部、前記赤色照明部、前記第3の照明部及び前記撮像部をコンパクトに配置可能となり検査装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について図1及び図2を用いて説明する。
まず、図1を用いて被検査体25としてのリードフレーム10を説明する。図1(a)は、リードフレーム10の平面図である。図1(b)は、リードフレーム10の任意のインナーリードを拡大した図である。
図1(a)に示すように、リードフレーム10は、長尺状の薄枠板11の枠内に、ICチップ(図示せず)等が搭載されるアイランド12を例えば4個一列に等間隔で配列してなる、いわゆる4連タイプとなっている。そして、図1(a)に示すように、各アイランド12周囲に放射状に配置されるインナーリード13、IC等の電極としての外部リード14、樹脂漏れ防止のためのタイバー9等を備える。
【0029】
本実施形態のリードフレーム10は、例えば略2Wt%鉄含有の銅合金製で形成され、図1(b)に示すように、インナーリード13の先端に銀メッキ15が施されている。以下、この銀メッキが施された領域を「銀メッキ領域15」という。図1(b)において、符号18は前記銅合金製の素材部分を示している。
なお、リードフレームは、本実施形態の銅合金製に限るものではなく、例えば42アロイと称される鉄―42Wt%ニッケル合金製であってもよい。また、本実施形態のリードフレーム10は、アイランド12を一列に配置したものだが、リードフレームはこのようにアイランドを一列に配置したものに限らず、アイランドが例えばマトリックス状に配列されたものでもよい。
【0030】
次に、図2を用いて被検査体25としてのリードフレーム封止体20を説明する。図2(a)は、リードフレーム封止体20の平面図である。図2(b)は、リードフレーム封止体20の正面図である。
図2(a)に示すように、本実施形態のリードフレーム封止体20は、上述したリードフレーム10のアイランド12がそれぞれ樹脂封止されたもので、矩形状の樹脂部21を備えている。そして、樹脂部21の各側辺に複数の外部リード14が現れている。なお、リードフレーム封止体は、本実施形態の4連タイプに限るものではなく、例えば樹脂部21毎に切断分離された個片パッケージ(図8参照)であってもよい。また、図2(a)において、上述したタイバー9は、金型等により除去されている。
このように、本実施形態の被検査体25は、リードフレーム10及びリードフレーム封止体20からなる。
【0031】
次に、本実施形態の外観検査装置30の概略構成について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態の外観検査装置30の概略構成図である。図4は、本実施形態の外観検査装置30の一部を説明する斜視図である。
本実施形態の外観検査装置30は、図3及び図4に示すように、青色照明部32と、撮像部34と、赤色照明部36と、第3の照明部38と、画像処理部60と、照明部切換手段70と、被検査体25を支持する支持部40とを備える。
【0032】
先ず、本実施形態の支持部40は、図4に示すように、例えば長尺状の2枚の支持板42と、支持板42と略同じ長さの2枚の案内板43とを備える。そして、支持部40は、図4に示すように、案内板43の板面どうしを略リードフレーム10の幅で離隔させつつ対向配置させるとともに、対向する板面にそれぞれ支持板42を突設させている。その際、支持板42どうしも略樹脂部21の辺の距離で離隔しつつ対向配置される。したがって、後述する第3の照明部38の光が支持板42の間を通過可能となっている。
また、リードフレーム10は、その面を略水平にした状態で支持板42上に載置されるとともに、案内板43に案内されてリードフレーム10の長手方向に摺動可能に構成される。
そして、支持部40は、例えばリードフレーム10を搬送する搬送部(図示しない)とリードフレーム10を収納する収納部(図示しない)との間等の所定位置に配置される。また、支持部40は、例えばベルト(図示せず)等を備え、当該ベルト上に載置されたリードフレーム10をその長手方向に送り可能に構成されていてもよい。
なお、本実施形態の支持部40は、リードフレーム封止体20もリードフレーム10と同様に支持可能となっている。リードフレーム封止体20が上述した個片パッケージからなる場合は、例えば複数の個片パッケージを並列させて載置可能な薄い矩形状パレットを準備し、支持部がそのパレットごと個片パッケージ29を支持する構成であってもよい。
【0033】
次に、青色照明部32は、図3及び図4に示すように、青色の光41を発する複数の青色LED33がリング状に配置されてなる公知のリング形状の照明装置よりなり、その下方に明るさが均一な領域を形成可能な構成となっている。ここで、青色の光41は、その光の波長が例えば略480nmを中心として420nm〜540nmの波長域に分布する光よりなる。
そして、青色照明部32は、図3に示すように、支持部40を通過する鉛直線31に沿った支持部40の上方位置、具体的には支持部40から50mm〜150mm程度上方位置に配置される。
このように青色照明部32は、所定位置に配置された被検査体25、すなわち支持部40に支持された被検査体25に向けて青色の光を照射する構成となっているのである。
【0034】
次に、撮像部34は、例えばCCDを備えるデジタルカメラよりなり、被検査体25からの反射光等を受けて被検査体25の濃淡画像を撮像する。そして、撮像部34は、図3に示すように、鉛直線31に沿った支持部40の上方位置、具体的には、支持部40から200mm〜350mm程度の上方位置に配置される。
このように、撮像部34は、被検査体25に対して青色照明部32と同じ側に配置され、被検査体25の画像を撮像する構成となっているのである。
【0035】
次に、赤色照明部36は、図3に示すように、赤色の光45を発する赤色LED37と、ハーフミラー35とを備え、赤色LED37から略水平方向に照射される赤色の光45をハーフミラー35で真下方向に反射している。すなわち赤色照明部36は対象物に対して赤色の光45を垂直に入射させる同軸落射照明となっている。そして、赤色照明部36は、図3に示すように、鉛直線31に沿った支持部40と撮像部34の間、具体的には、支持部40から60mm〜170mm程度の上方位置であって青色照明部32の直上に配置される。したがって、赤色照明部36からの赤色の光45は、上述した青色照明部32のリングの中を通過して被検査体25に至り、被検査体25から反射された反射光はハーフミラー35を通過して撮像部34に至るのである。ここで、赤色の光45は、略660nmを中心として略610nm〜710nmの波長域に分布する光からなる。
このように、赤色照明部36は、被検査体25に対して青色照明部32と同じ側に配置され、被検査体25に向けて赤色の光45を照射する構成となっているのである。
なお、本実施形態では、青色照明部32はリング形状の照明装置よりなり、赤色照明部36は、同軸落射照明よりなるが、逆に青色照明部を同軸落射照明で形成し、赤色照明部を前記リング形状の照明装置で形成し、赤色照明部の直上に青色照明部を配置する構成であってもよい。また、青色の光、赤色の光が被検査体25表面で反射される際の反射率については後述する。
【0036】
次に、第3の照明部38は、青色の光又は赤色の光を発するLED(図示せず)を備える照明装置よりなり、第3の照明部38の真上方向に青色の光又は赤色の光を照射する。そして、第3の照明部38は、図3に示すように、鉛直線31に沿った支持部40の下方位置、具体的には、支持部40から80mm程度の下方位置であって撮像部34に対向する位置に配置される。すなわち、第3の照明部38は、図3に示すように、被検査体25を挟んで撮像部34と対向する位置に配置され、撮像部34に向けて光を照射する構成となっているのである。
【0037】
次に、本実施形態の画像処理部60は、図3に示すように、記憶部61と、画像取込手段62と、画像処理手段63とを備える。
記憶部61は、例えばハードディスク等の記憶装置で形成され、図3に示すように撮像部34、後述する画像取込手段62及び画像処理手段63と接続される。そして、画像取込手段62の指示により撮像部34が撮像した被検査体25の画像を保存する。また、記憶部61は、後述するパターンマッチングの際に基準となる基準画像を保存する。
【0038】
次に、画像取込手段62は、例えば第1のCPUを備え、図3に示すように、撮像部34、記憶部61、後述する画像処理手段63及び照明部切換手段70と接続される。そして、後述する照明部切換手段70からの信号を受けて撮像部34が撮像した被検査体25の画像を記憶部61に取り込む処理を実行する。
【0039】
次に、画像処理手段63は、例えば第2のCPUやワーキングメモリ等を備え、図3に示すように、画像取込手段62、記憶部61及び後述する照明部切換手段70と接続する。このように構成される画像処理手段63の動作については後述する。
【0040】
次に、照明部切換手段70は、CPUを備える例えばシーケンサからなり、図3に示すように、赤色照明部36、青色照明部32、第3の照明部38と接続してこれらの点灯を切換える。そして、照明部切換手段70は、撮像部34、画像取込手段62、画像処理手段63、搬送部(図示せず)とも接続して外観検査装置30全体のシーケンス制御を行う。このように構成される照明部切換手段70の動作については後述する。
【0041】
ここで、被検査体25の主な外観不良項目について図を用いて説明する。
最初に、被検査体25としてのリードフレーム10の外観不良について図5〜図7を用いて説明する。図5〜図7は、リードフレーム10の外観不良例を説明する図である。
まず、インナーリード13のメッキ不良について図5を用いて説明する。図5(a)及び図5(b)はインナーリード13の先端部の平面説明図である。
図5(a)は、インナーリード13の先端部の一部分にメッキが施されていないメッキ欠け不良16を示している。図5(b)は、正常な銀メッキ領域(図1(b)参照)からはみ出てメッキされたメッキ漏れ不良17を示している。
【0042】
次に、異物付着不良、捩れ不良、えぐれ不良、非貫通のピンホール不良について図6を用いて説明する。図6(a)、図6(b)、図6(d)及び図6(f)はインナーリード13の先端部の平面説明図である。また、図6(c)は図6(b)のA−A´線端面図であり、図6(e)は図6(d)のB−B´線端面図である。
まず、図6(a)は、異物付着不良を示している。より詳しくは、符号19はインナーリード13の側部に付着した異物を示し、符号23はインナーリード13の板面に付着した異物を示している。
次に、図6(b)及び図6(c)は、インナーリード13が捩れた捩れ不良33を示している。図6(c)に示すように、インナーリード13の一方の側部が捲れ上がっている。
次に、図6(d)及び図6(e)は、えぐれ不良24を示している。図6(d)及び図6(e)で明らかなように、インナーリード13の一部分(24)が他の正常な箇所より薄くなっている。
次に、図6(f)は、インナーリード13に発生した非貫通のピンホール26を示している。
【0043】
次に、インナーリード13の形状不良について図7を用いて説明する。
図7(a)は、リード曲がり不良を示しており、符号27はリード曲がり不良が発生したインナーリードを示している。また、図7(b)は、リード間ショート不良の例を示しており、例えばエッチング不良等によるショート箇所28が発生している。
【0044】
次に、被検査体25としてのリードフレーム封止体20の外観不良について図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、リードフレーム封止体20の外観不良例を説明する図である。
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、リードフレーム封止体20の個片パッケージ29部分の平面説明図である。
図8(a)は、クラック不良の例を表しており、符号51が樹脂部21に発生したクラックを示している。
次に、図8(b)は、ボイド不良の例を表しており、符号52が樹脂部21に発生したボイドを示している。
次に、図8(c)は、光沢不良の例を示している。ここで光沢不良について簡単に説明する。樹脂封止金型のキャビティ表面はいわゆるナシ地となっており、このため樹脂部21の表面もいわゆるナシ地模様となっているため、正常な樹脂部21の表面には光沢がほとんど見られない。光沢不良とは、例えば前記キャビティの不良等によって樹脂部21の表面の一部分が光沢を持つ不良である。図8(c)では、樹脂部21の表面に光沢部53を有する様子を表している。
【0045】
次に、図9(a)は、外部リード14における異物付着不良を示している。図9(a)において、符号54は異物を示している。
次に、図9(b)及び図9(c)は、樹脂残り不良を示しており、図9(b)はツノ状樹脂残り55を示し、図9(c)は、外部リード間にまたがるダム状樹脂残り56を示している。
【0046】
次に、被検査体25の画像に基づいて生成される2値化画像について図を用いて説明する。本実施形態において、2値化画像は、第1の画像と第2の画像と第3の画像とを含むが、まず第1の画像について図10及び図11を用いて説明する。図10は、銀と銅における光の波長と反射率との関係を示す説明図である。図11は、第1の画像の例の説明図である。
本実施形態の第1の画像は、青色の光41がリードフレーム10で反射された反射光に基づいて撮像した濃淡画像を所定の閾値で2値化した2値化画像である。
図10に示すように、可視光域(略400nm〜700nmの波長域)の光については、銀からの反射率と銅からの反射率との差は、略480nmの波長の光すなわち青色の光に対して最も大きい。具体的には、銀からの反射率は100%に近く、銅からの反射率はその半分程度である。したがって、青色の光をリードフレーム10に照射し、その反射光による画像を撮像すると、前記画像において銀メッキ領域と銀メッキが施されていない銅合金部分とのコントラストが最も大きくなる。そのため、図11(a)に示すように、前記第1の画像57において、銀メッキ領域の輪郭形状81が正確に現れる。そして、例えば図5(a)で示したメッキ欠け不良16は、第1の画像57において図11(b)のように現れる。また例えば、図5(b)で示したメッキ漏れ不良17は、第1の画像57において図11(c)のように現れる。なお、図11(b)において、符号82は、メッキ欠け不良16に対応した画像を示す。また、図11(c)において、符号83は、メッキ漏れ不良17に対応した画像を示す。
そして、不良が発生していない画像(81)と、メッキ欠け不良16やメッキ漏れ不良17が発生した第1の画像とのパターンマッチングによって、これらの不良を確実に検出できるのである。
【0047】
さらに、発明者らは、青色の光41がリードフレーム10で反射された反射光に基づいて撮像した画像によれば、銀メッキ領域と銀メッキが施されていない鉄―42Wt%ニッケル合金部分とのコントラストが、上述した銀メッキ領域と銀メッキが施されていない銅合金部分とのコントラストより大きい事を経験的に知得した。すなわち、鉄―42Wt%ニッケル合金からなるリードフレームであっても、青色の光41が銀メッキ領域の不良検出に有効なのである。
【0048】
次に、第2の画像について図12及び図13を用いて説明する。図12は、光の色の種類とコントラストを説明する図である。図13は、第2の画像の説明図、特に樹脂部21に関する第2の画像の説明図である。本実施形態の第2の画像は、青色の光41がリードフレーム封止体20で反射された反射光に基づいて撮像した濃淡画像を所定の閾値で2値化した2値化画像である。
【0049】
図12において縦軸は、リードフレーム封止体20からの反射光による濃淡画像において、正常な樹脂部21とクラック51やボイド52が発生した部分とのコントラストの大小を示す軸である。図12に示すように、縦軸に沿って上に行くに従いコントラストが大きくなる。また横軸は、光の色の種類を示している。発明者らは、青色の光及び赤色の光を同軸落射によってリードフレーム封止体20に照射し、それぞれの光の反射光による画像における前記コントラストを調査した。そして、発明者らは、青色の光による前記コントラストが、赤色の光よりも大きいという知見を得た。その理由は、青色の光41の波長と赤色の光45の波長との違いによって、クラック51やボイド52のエッジ部における光の散乱特性に相違が生じるためと考えられる。
【0050】
したがって、前記第2の画像において、クラック51及びボイド52が正確に現れる。例えば、クラック51は、前記第2の画像58において図13(a)のように現れる。また、ボイド52は、前記第2の画像58において図13(b)のように現れる。図13(a)において、符号51´は、クラック51に対応した画像を示す。また、図13(b)において、符号52´は、ボイド52に対応した画像を示す。なお、図13では、符号21´は、樹脂部21の輪郭線を示している。
そのため、上述したパターンマッチング等によってこれらの不良を確実に検出できるのである。
【0051】
また、青色の光41であっても、その反射光による濃淡画像において光沢部53は正常な樹脂部分より明るく現れるので、当該画像を所定の閾値で2値化してなる第2の画像58において、図13(c)に示すように、光沢部53を検出できる。なお、図13(c)において符号53´は、光沢部53に対応した画像を示す。
【0052】
次に、第3の画像について図14を用いて説明する。図14は、第3の画像例の説明図である。具体的には、図14(a)は図6(a)に対応する第3の画像73、図14(b)は図6(b)に対応する第3の画像74、図14(c)は図6(d)に対応する第3の画像75、図14(d)は、図6(f)に対応する第3の画像76を示す。
本実施形態の第3の画像は、赤色照明部36からの赤色の光がリードフレーム10で反射された反射光と第3の照明部38からの光とに基づく画像を所定の閾値で2値化したニ値化画像である。
【0053】
先ず、図14(a)の第3の画像73を例にとって説明する。
まず、第3の照明部38からの光はインナーリード13の間、青色照明部32のリング内、さらにハーフミラーを経て撮像部34に至る(図3参照)。したがって、第3の照明部38からの光のみによれば撮像部34はリードフレーム10のシルエット画像(図15参照)を取得できる。
次に赤色の光、例えば略660nmの波長の光は、図10に示すように、その銀及び銅における反射率は略同じ値を示している。したがって、赤色の光45がリードフレーム10で反射された反射光による濃淡画像において、インナーリード13の銀メッキ領域15と銀メッキが施されていない銅合金部分18との明るさは略一致している。しかしながら、赤色の光45は異物19,23によって乱反射されるので、濃淡画像において異物19,23はインナーリード13よりも暗く現れる。そこで、例えば第3の照明部38の光量を調整することによって、前記画像においてインナーリード13どうしの間の明るさとインナーリード13の明るさとが略同じとなるように構成する。そうすると、濃淡画像において異物19,23の箇所のみがその周囲より暗く現れる。そこで、濃淡画像を所定の閾値に基づいて2値化することにより、図14(a)で示すように、異物19,23の箇所のみが暗い第2の画像73を得ることができる。
【0054】
図14(b)は、上述と同様にして得られた第3の画像74である。図14(b)では、リードフレーム10に照射された赤色の光が捩れ不良33部分に乱反射されるので、捩れ不良33部分のみが黒く現れている。
次に、図14(c)は、上述と同様にして得られた第3の画像75である。図14(c)では、前記赤色の光がえぐれ不良24の部分で乱反射されて、えぐれ不良24の部分のみが黒く現れている。
次に、図14(d)は、上述と同様にして得られた第3の画像76である。図14(d)では、前記赤色の光が非貫通のピンホール26部分で乱反射されて、非貫通のピンホール26部分のみが黒く現れている。
このように、第3の画像(73,74,75,76)によれば、異物(19,23)付着、捩れ不良33、えぐれ不良24、非貫通ピンホール不良26等のように、銀メッキ領域又は銀メッキが施されていない領域のいずれにも発生し得る不良であってもこれらの不良を確実に検出できる。例えば、青色の光の反射光による場合は、上述したように銀メッキが施されていない領域が銀メッキ領域15より暗く現れる。そのため、前記異物(19,23)付着、捩れ不良33、えぐれ不良24、非貫通ピンホール不良26等の不良が銀メッキが施されていない領域に発生した場合に、これらの不良の箇所と銀メッキが施されていない領域とのコントラストが小さくなるので、これらの不良検出が困難になるのである。
【0055】
次に、第3の照明部38からの光によるシルエット画像例について図15及び図16を用いて説明する。図15は、リードフレーム10のリード間を通過した第3の照明部38からの光によるシルエット画像を示している。具体的には、図15(a)は、図7(a)に対応するシルエット画像84を示す。また、図15(b)は、図7(b)に対応するシルエット画像85を示している。
これらのリード曲がり不良やリード間ショート不良が発生した被検査体25のシルエット画像と、不良が発生していない基準画像とのパターンマッチングによってこれらの不良を検出できる。
【0056】
次に、図16はリードフレーム封止体20の外部リード間を通過した第3の照明部38からの光によるシルエット画像を示している。具体的には、図16(a)は、図9(a)に対応するシルエット画像86を示す。また、図16(b)は、図9(b)に対応するのシルエット画像87を示す。さらに、図16(c)は、図9(c)に対応するのシルエット画像88を示している。
これらの異物54の付着不良や、ツノ状樹脂残り55不良並びにダム状樹脂残り56不良等が発生した被検査体25のシルエット画像と、不良が発生していない基準画像とのパターンマッチングによってこれらの不良を検出できる。
【0057】
次に、このように構成された外観検査装置30の動作について図を用いて説明する。図17〜図19は、本実施形態の外観検査装置30で実行される処理フロー例を説明するフローチャートである。
【0058】
まず、照明部切換手段70の動作、すなわち照明切換処理フローの例について図17を用いて説明する。
被検査体25が所定の位置にくると、例えば搬送部(図示せず)からの開始信号が照明部切換手段70に送信される。
この開始信号を受けた照明部切換手段70は、ステップS10において、被検査体25がリードフレーム10か否かの判定を行う。例えば、支持板42のやや上方を水平方向に通過するレーザ光からなる位置センサー(図示せず)からの信号の有無により判定する構成とするとよい。リードフレーム封止体20の場合は樹脂部21が形成されているため、前記レーザ光の通過が樹脂部21によって妨げられるか否かでリードフレーム10か否かを判定できるからである。
このステップS10における判定によって、被検査体25がリードフレーム10と判定した場合は、照明部切換手段70は処理をステップS12に進め、リードフレーム10と判定しなかった場合は、処理をステップS34に進める。
【0059】
次に、ステップS12で、照明部切換手段70は、第3の照明部38に点灯信号を送信し、第3の照明部38を点灯させる。そして、処理をステップS14に進める。
【0060】
次に、ステップS14で、照明部切換手段70は、撮像部34に撮像を指示する撮像信号を送信し、撮像部34にリードフレーム10の画像を撮像させる。そして、処理をステップS16に進める。
【0061】
次に、ステップS16で、照明部切換手段70は、撮像部34から撮像が完了したことを示す撮像完了信号を受けると、当該撮像画像が第3の照明部38の光によるリードフレーム10の画像(シルエット画像)であること示す画像識別情報イ及び、撮像部34から当該撮像画像の取込みを指示する画像取込信号を画像取込手段62に送信する。そして、照明部切換手段70は、撮像部34からの第3の照明部38に消灯信号を送信し第3の照明部38を消灯させ、その後、処理をステップS18に進める。
【0062】
次に、ステップS18で、照明部切換手段70は、青色照明部32に点灯信号を送信し、青色照明部32を点灯させる。そして、処理をステップS20に進める。
【0063】
次に、ステップS20で、照明部切換手段70は、撮像部34に撮像信号を送信し、撮像部34にリードフレーム10の画像を撮像させる。そして、処理をステップS22に進める。
【0064】
次に、ステップS22で、照明部切換手段70は、撮像部34から撮像完了信号を受けると、当該撮像画像が青色の光によるリードフレーム10の画像であること示す画像識別情報ロ及び前記画像取込信号を画像取込手段62に送信する。そして、照明部切換手段70は、青色照明部32に消灯信号を送信し青色照明部32を消灯させ、その後、処理をステップS24に進める。
【0065】
次に、ステップS24で、照明部切換手段70は、赤色照明部36及び第3の照明部38に点灯信号を送信し、赤色照明部36及び第3の照明部38を同時に点灯させる。そして、処理をステップS26に進める。
【0066】
次に、ステップS26で、照明部切換手段70は、撮像部34に撮像信号を送信し、撮像部34にリードフレーム10の画像を撮像させる。そして、処理をステップS28に進める。
【0067】
次に、ステップS28で、照明部切換手段70は、撮像部34から撮像完了信号を受けると、当該撮像画像が赤色の光及び第3の照明部38によるリードフレーム10の画像であること示す画像識別情報ハ及び前記画像取込信号を画像取込手段62に送信する。そして、照明部切換手段70は、赤色照明部36及び第3の照明部38に消灯信号を送信し赤色照明部36及び第3の照明部38を消灯させ、その後、処理をステップS30に進める。
【0068】
次に、ステップS30で、照明部切換手段70は、搬送部にリードフレーム10の送り指示を送信し、搬送部を介して隣のアイランド12の中央近傍が撮像部34直下となるようにリードフレーム10を送る。そして、処理をステップS32に進める。
【0069】
次に、ステップS32で、照明部切換手段70は、一つのリードフレーム10の撮像が終了したか否か(例えばアイランド4個分の撮像が終了したか否か)を判定し、終了していないと判定した場合は、処理をステップS12に進め、終了したと判定した場合は処理を終了する。
【0070】
次に、ステップS34で、照明部切換手段70は、第3の照明部38に点灯信号を送信し、第3の照明部38を点灯させる。そして、処理をステップS36に進める。
【0071】
次に、ステップS36で、照明部切換手段70は、撮像部34に撮像信号を送信し、撮像部34にリードフレーム封止体20の画像を撮像させる。そして、処理をステップS38に進める。
【0072】
次に、ステップS38で、照明部切換手段70は、撮像部34から撮像完了信号を受けると、当該撮像画像が第3の照明部38の光によるリードフレーム封止体20の画像(シルエット画像)であること示す画像識別情報ニ及び前記画像取込信号を画像取込手段62に送信する。そして、照明部切換手段70は、第3の照明部38に消灯信号を送信し第3の照明部38を消灯させ、その後、処理をステップS40に進める。
【0073】
次に、ステップS40で、照明部切換手段70は、青色照明部32に点灯信号を送信し、青色照明部32を点灯させる。そして、処理をステップS42に進める。
【0074】
次に、ステップS42で、照明部切換手段70は、撮像部34に撮像信号を送信し、撮像部34にリードフレーム封止体20の画像を撮像させる。そして、処理をステップS44に進める。
【0075】
次に、ステップS44で、照明部切換手段70は、撮像部34から撮像完了信号を受けると、当該撮像画像が青色の光によるリードフレーム封止体20の画像であること示す画像識別情報ホ及び前記画像取込信号を画像取込手段62に送信する。そして、照明部切換手段70は、青色照明部32に消灯信号を送信し青色照明部32を消灯させ、その後、処理をステップS46に進める。
【0076】
次に、ステップS46で、照明部切換手段70は、搬送部にリードフレーム10の送り指示を送信し、搬送部を介して隣の樹脂部21の中央近傍が撮像部34直下となるようにリードフレーム10を送る。そして、処理をステップS48に進める。
【0077】
次に、ステップS48で、照明部切換手段70は、リードフレーム封止体20の撮像が終了したか否か(例えば4個分のパッケージの撮像が終了したか否か)を判定し、終了していないと判定した場合は、処理をステップS34に進め、終了したと判定した場合は処理を終了する。
【0078】
このように、本実施形態の外観検査装置30は、青色照明部32、赤色照明部36及び第3の照明部38の点灯を切換える照明部切換手段70を備える構成となっているのである。
【0079】
次に、画像取込処理フローの例について図18を用いて説明する。
上述したように、照明部切換手段70から画像識別情報(イ,ロ,ハ,ニ,ホ)及び画像取込信号を受けた第1のCPU(画像取込手段62)は、ステップS50で撮像部34の撮像画像を読み出し、当該撮像画像にそれぞれの画像識別情報(イ,ロ,ハ,ニ,ホ)を付して記憶部61の所定領域に保存する。そして、画像取込手段62は、画像処理手段63に対して画像処理の開始を指示する画像処理信号を送信し、処理を終了する。
このように、第1のCPUは、記憶部61に被検査体25の画像を取込む画像取込手段62として機能するのである。
【0080】
次に、画像処理手段63の動作、すなわち画像処理フローの例について図19を用いて説明する。
上述した画像処理信号を受けた第2のCPU(画像処理手段63)は、ステップS52で、記憶部61の前記所定領域から前記画像識別情報と撮像画像とを読取り、処理をステップS54に進める。
【0081】
次に、ステップS54で、第2のCPUは、その読取った画像識別情報が画像識別情報イか否かを判定し、画像識別情報イと判定しなかった場合は、処理をステップS56に進め、画像識別情報イと判定した場合は、処理をステップS64に進める。
【0082】
次に、ステップS56で、第2のCPUは、前記画像識別情報が画像識別情報ロか否かを判定し、画像識別情報ロと判定しなかった場合は、処理をステップS58に進め、画像識別情報ロと判定した場合は、処理をステップS66に進める。
【0083】
次に、ステップS58で、第2のCPUは、前記画像識別情報が画像識別情報ハか否かを判定し、画像識別情報ハと判定しなかった場合は、処理をステップS60に進め、画像識別情報ハと判定した場合は、処理をステップS70に進める。
【0084】
次に、ステップS60で、第2のCPUは、前記画像識別情報が画像識別情報ニか否かを判定し、画像識別情報ニと判定しなかった場合は、処理をステップS62に進め、画像識別情報ハと判定した場合は、処理をステップS74に進める。
【0085】
次に、ステップS62で、第2のCPUは、前記画像識別情報が画像識別情報ホか否かを判定し、画像識別情報ホと判定しなかった場合は、処理を終了させ、画像識別情報ホと判定した場合は、処理をステップS76に進める。
【0086】
次に、ステップS64で、第2のCPUは、予め画像識別情報イと関連付けて記憶部61に保存しておいた基準画像、例えば欠陥のないリードフレーム10の画像と、ステップS52で読み出した撮像画像(リードフレーム10のシルエット画像(図15参照))との例えばパターンマッチングを実行する。そして、リードフレーム10における不良の有無を判定し、その結果を記憶部61に保存する。その後、処理を終了する。
【0087】
次に、ステップS66で、第2のCPUは、ステップS52で読み出した撮像画像(青色の光によるリードフレーム10の濃淡画像)を所定の閾値で2値化した第1の画像57、を生成する。そして、処理をステップS68に進める。
【0088】
次に、ステップS68で、第2のCPUは、予め画像識別情報ロと関連付けて記憶部61に保存しておいた基準画像、例えば欠陥のない銀メッキ領域15の画像と、前記第1の画像57とのパターンマッチングを実行する。そして、銀メッキ領域15における不良の有無を判定し、その結果を記憶部61に保存する。その後、処理を終了する。
【0089】
次に、ステップS70で、第2のCPUは、ステップS52で読み出した撮像画像(赤色の光及び第3の照明部38によるリードフレーム10の濃淡画像)を所定の閾値で2値化した第3の画像73,74,75,76、を生成する。そして、処理をステップS72に進める。
【0090】
次に、ステップS72で、第2のCPUは、予め画像識別情報ハと関連付けて記憶部61に保存しておいた基準画像、例えば白色の下地のみからなる画像と、前記第3の画像73,74,75,76とのパターンマッチングを実行する。そして、インナーリード13における欠陥の有無を判定し、その結果を記憶部61に保存する。その後、処理を終了する。
【0091】
次に、ステップS74で、第2のCPUは、予め画像識別情報ニと関連付けて記憶部61に保存しておいた基準画像、例えば欠陥のないリードフレーム封止体20の画像と、ステップS52で読み出した撮像画像、すなわち第3の照明部38の光によるリードフレーム封止体20の画像(図16参照)とのパターンマッチングを実行する。そして、外部リード14における不良の有無を判定し、その結果を記憶部61に保存する。その後、処理を終了する。
なお、ステップS74での判定はパターンマッチングによるものに限らず、たとえば外部リード14の長手方向に平行なサーチラインを外部リードの近接位置に設定し、そのサーチライン上での明暗を検出する構成であってもよい。
【0092】
次に、ステップS76で、第2のCPUは、ステップS52で読み出した画像(青色の光によるリードフレーム封止体20の濃淡画像)を所定の閾値で2値化した第2の画像58,59,71(図13参照)、を生成する。そして、処理をステップS68に進める。
【0093】
次に、ステップS78で、予め画像識別情報ホと関連付けて記憶部61に保存しておいた基準画像、例えば欠陥のない樹脂部21の画像と、前記第2の画像58,59,71とのパターンマッチングを実行する。そして、樹脂部21における不良の有無を判定し、その結果を記憶部61に保存する。その後、処理を終了する。
【0094】
このように、本実施形態の外観検査装置30よれば、被検査体25の画像に基づいて2値化画像(第1の画像、第2の画像、第3の画像)を生成するとともに、2値化画像に基づいて被検査体25における不良の有無を判定する画像処理手段63を備え、青色照明部32、赤色照明部36及び第3の照明部38の点灯を切換えつつ撮像部34が被検査体25の画像を撮像する構成となっているのである。
また、本実施形態の外観検査装置30よれば、画像取込手段62の処理と前記画像処理手段63の処理とを並行して行わせる構成となっているのである。
【0095】
これまで説明した実施形態によれば、銀メッキが施されたリードフレーム10及びリードフレーム封止体20の外観不良を確実で簡易に検出可能であるとともに、リードフレーム10及びリードフレーム封止体20の検査を兼用可能な外観検査装置30を提供できる。
【0096】
以上、本発明の実施形態のうちいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらはあくまでも例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。例えば、画像処理手段63としての第2のCPUに画像取込手段としての機能を負担させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態の被検査体の説明図である。
【図2】本実施形態の被検査体の説明図である。
【図3】本実施形態の外観検査装置の概略構成図である。
【図4】本実施形態の外観検査装置の一部を説明する斜視図である。
【図5】被検査体のインナーリードにおけるメッキ不良の例の説明図である。
【図6】被検査体のインナーリードに発生した不良の説明図である。
【図7】被検査体のインナーリードに発生した不良の説明図である。
【図8】被検査体の樹脂部に発生した不良の説明図である。
【図9】被検査体の外部リードに発生した不良の説明図である。
【図10】銀と銅における光の波長と反射率との関係を示す説明図である。
【図11】本実施形態における第1の画像の説明図である。
【図12】樹脂部の画像におけるコントラストを説明する図である。
【図13】本実施形態における第2の画像の説明図である。
【図14】本実施形態における第3の画像の説明図である。
【図15】本実施形態におけるシルエット画像の説明図である。
【図16】本実施形態におけるシルエット画像の説明図である。
【図17】本実施形態の外観検査装置で実行される処理フロー例を説明するフローチャートである。
【図18】本実施形態の外観検査装置で実行される処理フロー例を説明するフローチャートである。
【図19】本実施形態の外観検査装置で実行される処理フロー例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
10 リードフレーム
15 銀メッキ領域
20 リードフレーム封止体
30 外観検査装置
32 青色照明部
34 撮像部
36 赤色照明部
38 第3の照明部
41 青色の光
45 赤色の光
61 記憶部
62 画像取込手段
63 画像処理手段
70 照明部切換手段
57,82,83 第1の画像
58,59,71 第2の画像
73,74,75,76 第3の画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀メッキが施されたリードフレーム及び樹脂封止されたリードフレーム封止体からなる被検査体の外観を検査する外観検査装置であって、
所定位置に配置された前記被検査体に向けて青色の光を照射する青色照明部と、
前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、前記被検査体の画像を撮像する撮像部と、
前記被検査体に対して前記青色照明部と同じ側に配置され、前記被検査体に向けて赤色の光を照射する赤色照明部と、
前記被検査体を挟んで前記撮像部と対向する位置に配置され、前記撮像部に向けて光を照射する第3の照明部と、
前記被検査体の画像に基づいて2値化画像を生成するとともに、前記2値化画像に基づいて被検査体における不良の有無を判定する画像処理手段とを備え、
前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換えつつ前記撮像部が前記被検査体の画像を撮像することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレームで反射された反射光に基づく第1の画像を含むことを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記2値化画像は、前記青色の光が前記リードフレーム封止体で反射された反射光に基づく第2の画像を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記2値化画像は、前記赤色の光が前記リードフレームで反射された反射光と前記第3の照明部からの光とに基づく第3の画像を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記青色照明部、前記赤色照明部及び前記第3の照明部の点灯を切換える照明部切換手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記被検査体の画像を保存する記憶部と、前記記憶部に前記被検査体の画像を取り込む画像取込手段とを備え、前記画像取込手段の処理と前記画像処理手段の処理とを並行して行わせることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記被検査体、前記青色照明部、前記赤色照明部、前記第3の照明部及び前記撮像部は略鉛直線上に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の外観検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−210373(P2010−210373A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56006(P2009−56006)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(393007916)株式会社九州ノゲデン (10)
【Fターム(参考)】