説明

多結晶シリコン薄膜の検査方法及びその装置

【課題】多結晶シリコン薄膜の表面の画像を検出して多結晶シリコン薄膜の表面の状態を観察し、多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査することを可能にする。
【解決手段】多結晶シリコン薄膜の検査装置を、表面に多結晶シリコン薄膜が形成された基板100に光を照射する光照射手段800と、光照射手段800により基板100に照射された光のうち多結晶シリコン薄膜を透過した光または多結晶シリコン薄膜で正反射した光の近傍の多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像する撮像手段820と、この撮像手段820で撮像して得た散乱光の画像を処理して多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する画像処理手段740とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成したアモルファスシリコンをレーザアニールにより多結晶化させた多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や有機EL(Electro Luminescence)素子などに用いられる薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)は、高速な動作を確保するために、基板上に形成したアモルファスシリコンの一部をエキシマレーザで低温アニールすることにより多結晶化した領域に形成されている。
【0003】
このように、アモルファスシリコンの一部をエキシマレーザで低温アニールして多結晶化させる場合、均一に多結晶化させることが求められるが、実際には、レーザ光源の変動の影響により結晶性にばらつきが生じてしまう場合がある。
【0004】
そこで、このシリコン結晶のばらつきの発生状態を監視する方法として、特許文献1には、パルスレーザを半導体膜に照射してレーザアニールを行うとともにレーザ照射領域に検査光を照射し、照射した検査光による基板からの反射光を検出し、この反射光の強度変化から半導体膜の結晶化の状態を確認することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、レーザを照射前の非晶質シリコンに検査光を照射してその反射光又は透過光を検出しておき、レーザを非晶質シリコンに照射中にも検査光を照射してその反射光又は透過光を検出し、レーザ照射前とレーザ照射中の反射光又は透過光の強度の差が最大になったときからレーザ照射前の反射光又は透過光の強度に戻るまでの経過時間を検出してレーザアニールの状態を監視することが記載されている。
【0006】
更に、特許文献3には、基板上に形成された非晶質シリコンをエキシマレーザアニールにより多結晶シリコンに変化させた領域に可視光を基板表面に対して10−85度の方向から照射し、照射と同じ角度の範囲に接地したカメラで反射光を検出し、この反射光の変化から結晶表面の突起の配置の状態を検査することが記載されている。
【0007】
更に、特許文献4には、アモルファスシリコン膜にエキシマレーザを照射して形成した多結晶シリコン薄膜に検査光を照射して多結晶シリコン薄膜からの回折光を回折光検出器でモニタリングし、多結晶シリコン薄膜の結晶性が高い規則的な微細凹凸構造の領域から発生した回折光の強度が結晶性の低い領域からの回折・散乱光の強度に比べて高いことを利用して、多結晶シリコン薄膜の状態を検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−305146号公報
【特許文献2】特開平10−144621号公報
【特許文献3】特開2006−19408号公報
【特許文献4】特開2001−308009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アモルファスシリコンの薄膜にエキシマレーザを照射してアニールすることにより形成した多結晶シリコン薄膜(ポリシリコン膜)の表面には、微細な凹凸がある周期で発生することが知られている。そして、この微細な突起は、多結晶シリコン薄膜の結晶性の度合いを反映しており、結晶状態が均一な(多結晶粒径がそろっている)多結晶シリコン薄膜の表面には微細な凹凸がある規則性をもって周期的に形成され、結晶状態の均一性が低い(多結晶粒径が不ぞろいな)多結晶シリコン薄膜の表面には微細な凹凸が不規則に形成されることが知られている。
【0010】
このように、結晶の状態が反射光に反映される多結晶シリコン薄膜の表面状態を検査する方法として、特許文献1にはレーザアニールした領域に照射した光の反射光の強度変化から半導体膜の結晶化の状態を確認することが記載されているが、インプロセスで結晶化の状態をモニタするものであって、検出光がアニール用のレーザであるために必ずしも結晶の状態が反映された散乱光で検出できるものではなく、結晶の状態が反映されている散乱光を検出することについては記載されていない。
【0011】
また、特許文献2には、レーザアニール中のレーザ照射領域からの反射光をアニール前の反射光と比較してアニールの進行状態をモニタするものであって、特許文献1と同様にインプロセスで結晶化の状態をモニタするためのものであって、検出光がアニール用のレーザであって、結晶の状態が反映されている散乱光を検出することについては記載されていない。
【0012】
一方、特許文献3には、レーザアニールによって形成される多結晶シリコン薄膜表面の突起の配置により反射する光の変化によって多結晶シリコンの結晶の品質を検査することが記載されているが、多結晶シリコン薄膜の結晶粒径の成長に応じて反射光(回折光)の光量及びその分布が変化することについては配慮されていない。
【0013】
更に、特許文献4には、レーザアニールによって形成される多結晶シリコン薄膜表面の突起により発生する回折光を検出することについては記載されているが、回折光検出器で検出した回折光の強度レベルをモニタして多結晶シリコン膜の状態を検査するものであって、多結晶シリコン薄膜の表面の画像を検出して多結晶シリコン薄膜の表面のある領域の突起の状態を観察することについては記載されていない。
【0014】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決して、多結晶シリコン薄膜の表面の光学像を撮像して得た画像から多結晶シリコン薄膜の表面の状態を観察し、多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査することを可能にする多結晶シリコン薄薄膜の検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、多結晶シリコン薄膜の検査装置を、表面に多結晶シリコン薄膜が形成された基板に光を照射する光照射手段と、この光照射手段により基板に照射された光のうち多結晶シリコン薄膜を透過した光または多結晶シリコン薄膜で反射した光の近傍の多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像する第1の撮像手段と、光照射手段により光が照射された多結晶シリコン薄膜から発生した1次回折光の像を撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段で撮像して得た散乱光の画像と第2の撮像手段で撮像して得た1次回折光の画像とを処理して多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する画像処理手段とを備えて構成した。
【0016】
また、上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、多結晶シリコン薄膜の検査方法として、表面に多結晶シリコン薄膜が形成された基板に光を照射し、この基板に照射された光のうち多結晶シリコン薄膜を透過した光または多結晶シリコン薄膜で正反射した光の近傍の多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像し、基板に照射された光により多結晶シリコン薄膜から発生した1次回折光の像を撮像し、散乱光の像を撮像して得た画像と1次回折光の像を撮像して得た画像とを処理して多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エキシマレーザでアニールされて形成された多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を比較的高い精度で検査することができ、有機EL用ガラス基板や液晶表示用ガラス基板の品質を高く維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の原理を説明するための図であって、多結晶シリコン膜が形成された基板に裏面から光を照射したときに発生する1次回折光と基板透過光の関係を示す基板の断面図である。
【図2A】アモルファスシリコン膜をレーザでアニールした時のレーザパワーと多結晶シリコンの結晶粒径と定性的な関係を示すグラフである。
【図2B】波長が0.4μmの光を多結晶シリコン膜が形成された基板に照射したときに基板から発生する1次回折光の回折角度と多結晶シリコン膜の結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図3】(1)から(5)の各基板に対し、レーザパワーを変えてアニールしたときの基板からの1次回折光を1次元のセンサアレイを用いて基板に対してθ2角度で検出したときの、1次元のセンサアレイの各画素の出力をプロットしたグラフである。
【図4】図3の(1)から(5)のグラフのP点とその近傍の1次元センサアレイの出力値の平均値とアニール時のレーザパワーをプロットしたグラフである。
【図5】レーザパワーを変えてアニールした図3の(1)から(5)の各基板に対し、光を基板の裏面から照射し、基板を透過した光の近傍の散乱光の像を1次元のセンサアレイを用いて検出したときの、1次元のセンサアレイの各画素の出力値をプロットしたグラフである。
【図6】図4のグラフでP点とその近傍の画素の出力の平均値と図5の散乱光の像を検出した各画素の出力とを加算し、アニール時のレーザパワーを横軸にしてプロットしたグラフである。
【図7】本発明の実施例における多結晶シリコン薄膜の検査装置全体の構成を示すブロック図である。
【図8A】本発明の第1の実施例における検査ユニットと検査データ処理・制御部の概略の構成を示すブロック図である。
【図8B】本発明の第1の実施例における検査ユニットと検査データ処理・制御部の変形例の概略の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施例における撮像のシーケンスを示すフロー図である。
【図10】本発明の第1の実施例における画像処理のシーケンスを示すフロー図である。
【図11A】本発明の第2の実施例における検査ユニットと検査データ処理・制御部の概略の構成を示すブロック図である。
【図11B】本発明の第2の実施例における検査ユニットと検査データ処理・制御部の変形例の概略の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態として、有機EL用ガラス基板や液晶表示用ガラス基板に形成した多結晶シリコン薄膜を検査する装置に適用した例を説明する。
【0020】
先ず、図1乃至6を用いて、本発明の原理を説明する。
【0021】
図1に示す検査対象の有機EL用又は液晶表示用ガラス基板100(以下、基板と記す)には、基板上にアモルファスシリコンの薄膜110が形成されている。そのアモルファスシリコンの薄膜110の一部の領域にエキシマレーザ(図示せず)を照射して走査することによりエキシマレーザが照射された部分のアモルファスシリコン薄膜110は順次加熱されて溶融する。エキシマレーザが走査された後、溶融したアモルファスシリコン薄膜110は徐々に冷却されてシリコンが多結晶化し、多結晶シリコンの状態に結晶が成長する。本発明では、この多結晶シリコンが結晶の粒径が所望の大きさでそろった状態の正常な膜として形成されているかどうかを検査するものである。
【0022】
図1には、ガラス基板100上に形成されたアモルファスシリコン薄膜110の一部がエキシマレーザアニールされて結晶粒径がそろった状態の多結晶シリコン薄膜120になった状態の基板100に、光源150から照明光151を入射角度θ1で基板100の裏面側から照射して、基板100の表面の側のθ2方向に1次回折光152が発生する状態を示している。
【0023】
このエキシマレーザアニールにより形成される多結晶シリコン薄膜120の粒径は、エキシマレーザの照射エネルギー(レーザのパワー密度と照射時間との積)に依存する。この関係を定性的に表すと、図2Aのようになる。すなわち、アモルファスシリコン薄膜110に照射するレーザのパワーを上昇させていくと、あるエネルギレベルを超えたところからアモルファスシリコン薄膜110の結晶化が進行し始め、多結晶シリコン薄膜120が成長する。そして、照射するレーザのパワーを更に上げていくと、多結晶シリコン薄膜120の粒径が更に大きく成長していく。
【0024】
ここで、多結晶シリコン薄膜120の粒径がそろった状態になると多結晶シリコン薄膜120の表面には、結晶の粒径に応じてほぼ一定のピッチPで突起が形成される(図1の図面に直角な方向にも一定のピッチで突起が形成されている)。この膜表面の突起のピッチPは、多結晶シリコン薄膜120の結晶粒径によって変わる。
【0025】
一方、図1に示した構成において、光源150から発射された波長がλの照明光の基板100への入射角度θ1と、多結晶シリコン薄膜120が形成された基板100から発生する1次回折光の出射角度θ2、多結晶シリコン薄膜120の表面の突起のピッチPとの間には,
sinθ1+sinθ2=λ/P ・・・(数1)
で表される関係が成り立つ。
【0026】
いま、照明光の基板100への入射角度θ1を75度、照明光の波長λを400nmとすると、1次回折光の出射角度θ2と多結晶シリコン薄膜120の表面の突起のピッチPとは、図2Bに示すような関係になる。
【0027】
すなわち、アモルファスシリコン薄膜110をアニールする時のエキシマレーザのパワーにばらつき(分布)や変動(経時的な変化)があると、図2Aに示した関係から多結晶シリコン薄膜120の粒径が変化する。その結果、図2Bに示したような関係から、θ1の方向から照射された基板100から発生する1次回折光の出射角度θ2が変化することになる。従って、1次回折光152を検出する光学系(図1では省略)の1次回折光を検出する角度を固定した場合、多結晶シリコン薄膜120の粒径が変化したときに1次回折光が検出光学系の視野から外れてしまい、多結晶シリコン薄膜120の検査の信頼性を損ねてしまう恐れがある。
【0028】
図3は、エキシマレーザのパワーを変えてアニールした基板100に対して、図1に示すように光源150から出射した紙面に垂直な方向に長い照明光151を照射して、θ2の方向に固定した図示していない紙面に対して垂直な方向に長い1次元のセンサアレイで検出したときの、1次元センサアレイの各素子からの出力をプロットした例を示す。
【0029】
図3の(1)は、エキシマレーザのパワーを一番小さい状態にしてアニールした基板100に、紙面に垂直な方向に長い照明光151を照射して1次元のセンサアレイで検出したときの、1次元センサアレイの各素子からの出力をプロットした例を示す。エキシマレーザの強度分布に応じたアニールの状態が反映された1次元センサアレイからの出力が得られる。図3の(1)の例では、アニール時のエキシマレーザのパワーが不足していたために、1次元センサアレイからの出力でしきい値301のレベルを超える輝度を検出できなかった。
【0030】
図3の(2)から(5)は、(1)の場合に対して順次エキシマレーザのパワーを上昇させてアニールした基板100に照明光151を照射したときの1次元センサアレイの各素子からの出力をプロットしたものである。(5)は基板100にダメージを与えない限界のレーザパワーでアニールした場合を示す。アニール時のエキシマレーザパワーの変化に応じて、照明光151が照射された基板100からθ2の方向に出射する光の分布パターンが変化している。
【0031】
図4は、図3の(1)乃至(5)におけるP点とその近傍(図3の(1)〜(5)においてP点の両側の実線で挟んだ領域)に対応する1次元センサアレイ素子からの出力の平均値とアニール時のエキシマレーザパワーとの関係を表したものである。
【0032】
図4のハッチングを施した部分は、アニール時のレーザパワーが基板100にダメージを与えてしまう限界値以下の状態であっても輝度値のレベルで設定したしきい値以下となって、レーザアニールが不良と判定されてしまう。これは誤検出になる。
【0033】
一方、図1の構成で、基板100に照射された照明光151のうち基板100を透過して点線で示した152の方向に進んだ光のうち直進する透過光(光源150からの直接光)を遮光して透過光の周囲の散乱光を検出した場合、透過光の周囲の散乱光は多結晶シリコン薄膜120の粒径がある程度以上大きくなると粒径の大きさの影響をあまり受けなくなる。
【0034】
図5は、基板100に照明光151を照射したときの、基板100を透過した透過光の近傍の散乱光を検出した1次元センサアレイ素子の出力のうち図3で説明した画素P近傍に対応する領域からの散乱光を検出した素子からの出力値の平均値とアニール時のエキシマレーザパワーとの関係を表したものである。
【0035】
この図から、基板100を透過した透過光の近傍の散乱光は、アニールパワーが低いほど大きく、アニールパワーを上げていくと小さくなることがわかる。
【0036】
図6に、図4に示した1次回折光を検出した結果と図5に示した透過光の近傍の散乱光を検出した結果とを足し合わせた結果を示す。
【0037】
図4の場合は、ハッチングを施した部分が、アニール時のレーザパワーが基板100にダメージを与えない限界値以下の状態であっても輝度値のレベルで設定したしきい値以下となってレーザアニールが不良と誤判定されてしまったが、図6では、アニール時のレーザパワーが高い側でのOK範囲を広げることができることがわかる。即ち、図4に示した1次回折光の検出データからアニール時のレーザパワーの下限値を決め、図6に示した1次回折光の検出データと透過光の近傍の散乱光の検出データとを足し合わせた結果からアニール時のレーザパワーの上限値を決めることにより、アニール時のレーザパワーの設定範囲をより広げることができる。
【0038】
図6に示した例では、図4に示した1次回折光を検出したデータと図5に示した透過光近傍の散乱光を検出したデータとを単純に加算して例を示したが、図5に示した透過光近傍の散乱光を検出したデータに重みを付けて図4に示した1次回折光を検出したデータと加算するようにしても良い。この場合、図6に相当する両方の検出データを加算した結果から、アニール時のレーザパワーが高い側でのOK範囲をより広げて検出することができる。
【0039】
本発明は、上記した原理に基づいて成されたものであって、以下に本発明の原理を実施するための検査装置の具体的な構成について説明する。
【実施例1】
【0040】
本発明に係る有機EL用ガラス基板上又は液晶表示用ガラス基板上のアモルファスシリコン膜の一部にレーザアニールにより形成された多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する検査装置700の全体の構成を図7に示す。
【0041】
検査装置700は、基板ロード部710、検査部720、基板アンロード部730、検査部データ処理・制御部740及び全体制御部750を備えている。
【0042】
検査対象の有機EL用ガラス基板又は液晶表示用ガラス基板(以下、基板と記す)100は、ガラス基板上にアモルファスシリコンの薄膜が形成されており、本検査工程の直前の工程で一部の領域にエキシマレーザを照射して走査し加熱することにより過熱された領域がアニールされてシリコンが多結晶化し、多結晶シリコン薄膜の状態になる。検査装置100は、基板100の表面を撮像して、この多結晶シリコン薄膜が正常に形成されているかどうかを調べるものである。
【0043】
検査対象の基板100は、図示していない搬送手段でロード部710にセットされる。ロード部710にセットされた基板100は、全体制御部750で制御される図示していない搬送手段により検査部720へ搬送される。検査部には検査ユニット721が備えられており、検査データ処理・制御ユニット740で制御されて基板100の表面に形成された多結晶シリコン薄膜の状態を検査する。検査ユニット721で検出されたデータは検査データ処理・制御ユニット740で処理されて基板100の表面に形成された多結晶シリコン薄膜の状態が評価される。
【0044】
検査が終わった基板100は、全体制御部750で制御される図示していない搬送手段により検査部720からアンロード部730に搬送され、図示していないハンドリングユニットにより検査装置700から取り出される。なお、図7には、検査部720に検査ユニット721が1台備えられている構成を示しているが、検査対象の基板100のサイズや形成される多結晶シリコン薄膜の面積や配置に応じて2台であっても、又は3台以上であっても良い。
【0045】
検査部720における検査ユニット721及び検査部データ処理・制御部740の構成を図8Aに示す。
【0046】
検査ユニット721は、照明光学系800、散乱光像撮像光学系820、1次回折光像撮像光学系830、基板ステージ850で構成されており、検査部データ処理・制御部740に接続されており、検査部データ処理・制御部740は図7に示した全体制御部750と接続している。
【0047】
照明光学系800は、多波長の光を発射する光源801、拡大レンズ802、コリメートレンズ803、波長フィルタ804、偏光フィルタ805、シリンドリカルレンズ806を備え、それらが鏡筒部810に収納されている。
【0048】
光源801は、紫外領域から可視領域にかけての広い周波数(例えば、300nm〜700nm)の光を発射するものであって、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを用いる。
【0049】
拡大レンズ802は、光源801から発射された光のビーム径を拡大する。コリメートレンズ803は拡大レンズ802でビーム径が拡大された光を平行光として出射させる。
【0050】
波長フィルタ804は、検査対象の基板100上に形成された多結晶シリコン120の状態に応じて照明する波長を選択するためのものであり、光源801から発射された多波長の光の中から、検査に適した波長を選択できる。
【0051】
偏光フィルタ805は、基板100を照明する光の偏光の状態を制御するためのものであり、検査対象の基板100上に形成された多結晶シリコン120の状態に応じてコントラストの高い画像が検出できるように照明光の偏光の状態を変えられるようになっている。
【0052】
シリンドリカルレンズ806は、光源801から発射されて拡大レンズ802で集光されてコリメートレンズ803で平行光となった光を、基板100上の検査領域の大きさに合わせて効率よく照明できるように照明光束を一方向に集光させてそれと直角な方向には平行光の状態で断面形状が一方向(図面に垂直な方向)に長い形状に成形する。シリンドリカルレンズ806で一方向に集光した光を基板100に照射することにより、基板100上の検査領域の照明光量が増加し、散乱光像撮像光学系820及び1次回折光像撮像光学系830で、よりコントラストの高い画像を検出することができる。
【0053】
散乱光像撮像光学系820は、光源801から発射されて基板100を透過してきた透過光(光源801からの直接光)を遮光する遮光板821、対物レンズ822、波長フィルタ823、偏光フィルタ824、結像レンズ825、イメージセンサ826を備え、それらが鏡筒部827に収納されている。
【0054】
対物レンズ822は照明光学系800で照明された基板100から発生する回折光(1次回折光)を集光するためのものであり、回折光を効率よく集光するために比較的大きなNA(レンズの開口数:)を持っている。
【0055】
波長フィルタ823は、対物レンズ822で集光された基板100からの光のうち特定の波長の光を選択的に透過させるものであり、基板100の表面に形成された多結晶シリコン薄膜の光学特性に応じて選択する波長を設定できるようになっている。波長フィルタ823により、基板100及び周辺からの照明波長以外の波長の光をカットすることができる。
【0056】
偏光フィルタ824は、波長選択フィルタ823を透過した特定波長の光についてその偏光の状態を調整するものである。
【0057】
結像レンズ825は、基板100の表面からの1次回折光による光学像を結像するためのものであって、波長選択フィルタ823を透過した特定波長の光で偏光フィルタ824により偏光の状態が調整された光の像を結像する。
【0058】
イメージセンサ826は、結像レンズ825により結像されたシリンドリカルレンズ805で照明された基板100の表面の一方向に長い領域に形成されたパターンからの1次回折光による光学像を撮像するもので、基板100の照明された一方向に長い領域に合わせて配置された1次元のCCD(電化結合素子)イメージセンサ、又は2次元のCCDイメージセンサで構成されている。
【0059】
1次回折光像撮像光学系830は、対物レンズ831、波長フィルタ832、偏光フィルタ833、結像レンズ834、イメージセンサ835を備え、それらが鏡筒部836に収納されている。
【0060】
対物レンズ831は照明光学系800で照明された基板100から発生する回折光(1次回折光)を集光するためのものであり、回折光を効率よく集光するために比較的大きなNA(レンズの開口数:)を持っている。
【0061】
波長フィルタ832は、対物レンズ831で集光された基板100からの光のうち特定の波長の光を選択的に透過させるものであり、基板100の表面に形成された多結晶シリコン薄膜の光学特性に応じて選択する波長を設定できるようになっている。
【0062】
偏光フィルタ833は、波長選択フィルタ832を透過した特定波長の光についてその偏光の状態を調整するものである。
【0063】
結像レンズ834は、基板100の表面からの1次回折光による光学像を結像するためのものであって、波長選択フィルタ832を透過した特定波長の光で偏光フィルタ833により偏光の状態が調整された光の像を結像する。
【0064】
イメージセンサ835は、結像レンズ834により結像された基板100の表面からの1次回折光による光学像を検出するもので、CCD(電化結合素子)の1次元センサ、又は2次元センサで構成されている。
【0065】
基板ステージ850は上面に検査対照の基板100を載置して、駆動手段851によりXY平面内で移動可能な構成になっている。
【0066】
散乱光像撮像光学系820のイメージセンサ826及び1次回折光検出光学系830のイメージセンサ835からの出力はそれぞれ検査データ処理・制御部740に入力される。
検査データ処理・制御部740は、散乱光像撮像光学系820のイメージセンサ826及び1次回折光検出光学系830のイメージセンサ1165から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換部841と843、それぞれのデジタル画像信号を処理する画像処理部842及び844、画像処理されたそれぞれのデジタル画像信号を処理して画像特徴量から欠陥を判定する欠陥判定部845、判定された欠陥の情報を出力する表示画面847を備えた入出力部846、及び画像処理部842と844、欠陥判定部845、入出力部846、及び光源800とイメージセンサ826及び835と基板ステージ850の駆動部851を制御する制御部848を備えている。また、制御部848は図7に示した全体制御部750と接続されている。
又、図8Bには、変形礼として、照明光学系800を基板100の表面の側に配置した構成を示す。照明光学系800と1次回折光検出光学系830及び散乱光検出光学系820とが機構的に互いに干渉しない場合には、図8Bに示したように照明光学系800を基板100に対して1次回折光検出光学系830及び散乱光検出光学系820と同じ側に配置しても良い。
【0067】
図8Bに示した構成は、照明光学系800の配置が異なるだけであるので、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図8A又は図8Bに示したような構成で、照明光学系800は基板ステージ850に載置された基板100を基板100の裏面側から照明光の入射角度がθ1となるように射方照明し、照明された基板100を透過した光源801からの直接光の周辺の散乱光の像を撮像光学系820で撮像すると共に、照明された基板100から発生した1次回折光による像を1次回折光像検出光学系830で撮像し、それぞれの撮像データを検査データ処理・制御部740で処理して基板100上に形成されて多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する。
【0069】
次に、図8Aに示した構成の検査ユニット721と検査データ処理・制御部740とで、基板100上のエキシマレーザでアニールされて多結晶化した多結晶シリコン薄膜の状態を検査する方法について説明する。
【0070】
先ず、検査を行う前に、予め多結晶シリコン薄膜が形成された基板100を用いて、光学条件の設定を行う。設定すべき光学条件は、照明光学系800の波長フィルタ804による照明波長、偏光フィルタ805による偏光条件、散乱光像撮像光学系820の波長フィルタ823による検出波長、偏光フィルタ824による検出光の偏光条件、結像レンズ825による散乱光像の結像位置などである。これらの条件は、照明光学系800で照明された基板100を散乱光像撮像光学系820で観察して得た散乱光像と1次回折光検出光学系830で撮像して得た1次回折光像とを入出力部846の表示画面847に表示させながら、コントラストの高い散乱構造及び1次回折光像が得られるように調整することにより行われる。
次に、設定された光学条件の下で、基板100上のエキシマレーザのアニールにより形成された多結晶シリコン薄膜の検査領域を検査する処理の流れを説明する。検査処理には、基板の所定の領域又は全面を撮像する撮像シーケンスと、撮像して得た画像を処理して欠陥部分を検出する画像処理のシーケンスとがある。
【0071】
先ず、撮像シーケンスについて図9を用いて説明する。
最初に、多結晶シリコン薄膜の検査領域の検査開始位置が撮像光学系820の視野に入るように制御部846で基板ステージ850の駆動部851を制御して、基板100を初期位置(検査開始位置)に設定する(S901)。
【0072】
次に、照明光学系800で多結晶シリコン薄膜を照明し(S902),照明された多結晶シリコン薄膜の検査領域に沿って撮像光学系820の撮像領域が移動するように、制御部847で駆動部851を制御して基板ステージ850を一定の速度での移動を開始する(S903)。
【0073】
基板ステージ850を一定の速度で移動させながら、照明光学系800で照明された多結晶シリコン薄膜の一方向に長い検査領域を透過した照明光により発生する1次回折光の像を1次回折光像撮像光学系830で撮像し透過光(図8Bの構成では反射光)の光軸近傍の反射光散乱光の像を撮像光学系820で撮像する(S904)。散乱光像撮像光学系820のイメージセンサ826からアナログ信号を出力し、検査データ処理・制御部740のA/D変換部841に入力する。1次回折光像撮像光学系830のイメージセンサ835からアナログ信号を出力し、検査データ処理・制御部740のA/D変換部843に入力する。A/D変換部841で変換されたデジタル信号は画像処理部842に入力されて制御部848を介して得られた基板ステージ850の位置情報を用いてデジタル画像信号が作成され、A/D変換部843で変換されたデジタル信号は画像処理部844に入力されて制御部848を介して得られた基板ステージ850の位置情報を用いてデジタル画像信号が作成されて処理される(S905)。以上の操作を1ライン分の検査領域が終了するまで繰り返して実行する(S906)。
【0074】
次に、検査した1ライン分の領域に隣接する検査領域が有るか否かをチェックし(S907)、隣接する検査領域が有る場合には、基板ステージ850を隣接する検査領域に移動させて(S908)、S904からS907までのステップを繰り返す。検査すべき領域が全て検査を終了すると基板ステージ850の移動を停止し(S909),照明を消して(S910)撮像シーケンスを終了する。
【0075】
次に、図9の撮像シーケンスにおいて、得られたデジタル画像を作成して処理するステップ(S905)の詳細なシーケンスについて図10を用いて説明する。
【0076】
図9の撮像ステップ(S904)で散乱光像撮像光学系820で散乱光像を撮像してイメージセンサ826から出力されたアナログ信号を検査データ処理・制御部740のA/D変換部841に入力し(S1001)、A/D変換部841でデジタル信号に変換し(S1002)、変換された散乱光像のデジタル信号は画像処理部842に送られてデジタル画像信号が生成され(S1003)、生成された散乱光像のデジタル画像信号はシェーディング補正、平均化処理などの前処理が施され(S1004)、画像特徴量が抽出される(S1005)。
【0077】
一方、照明光学系800により照明された基板100から発生した1次回折光の像を検出した1次回折光像検出光学系830のイメージセンサ835から出力されたアナログ信号を検査データ処理・制御部740のA/D変換部843に入力し(S1011)、A/D変換部843でデジタル信号に変換し(S1012)、変換された1次回折光像のデジタル信号は画像処理部844に送られてデジタル画像信号が生成され(S1013)、生成された1次回折光像のデジタル画像信号はシェーディング補正、平均化処理などの前処理が施され(S1014)、1次回折光像のパターンピッチや輝度などの画像特徴量が抽出される(S1015)。画像特徴量が抽出された散乱光のデジタル画像信号と1次回折光像のデジタル画像信号とはそれぞれ抽出された画像特徴量の情報と共に欠陥判定部845に入力されて統合される(S1021)。
【0078】
欠陥判定部845では、それぞれの画像の画像特徴量(例えば輝度値を各画素ごとに1ライン走査分を足し合わせた信号)を予め設定した基準データ(しきい値)と比較することにより欠陥判定処理が行われる(S1022)。この欠陥判定処理において、しきい値よりも小さくて欠陥と判定された領域が、レーザアニールのパワー不足によるものなのか又はパワー過剰によるものなのかを、図4乃至図6を用いて説明した原理に基づいて判定することができる。
【0079】
判定された欠陥を含むデジタル画像データは入出力部846に送れられて散乱光による画像が、基板100上の位置情報と共に表示部847に表示して(S1023)画像処理のシーケンスを終了する。この表示部847に表示される散乱光による画像上には、欠陥判定部845で欠陥と判定された領域が正常な領域と区別できるように表示される。また、入出力部846から入力して欠陥判定基準を変えた場合、その変えた欠陥判定基準に対応して欠陥領域も変化して表示される。
【0080】
上記した構成で検査することにより、本実施例1によればエキシマレーザでアニールされて形成された多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を比較的高い精度で検査することができ、有機EL用ガラス基板又は液晶表示用ガラス基板の品質を高く維持することが可能になる。
【0081】
なお、本実施例1においては、波長フィルタと偏光フィルタとを照明光学系800と散乱光像撮像光学系820、1次回折光像検出光学系830とのそれぞれに設けた構成を説明したが、これらは必ずしも全ての光学系に必要ではなく、例えば照明光学系800だけに波長フィルタと偏光フィルタとを設ける構成にしても良く、又は散乱光像撮像光学系820と1次回折光像検出光学系830とに波長フィルタと偏光フィルタとを設ける構成にしても良い。また、波長フィルタと偏光フィルタとの何れか一方だけを用いるようにしても良い。
【0082】
さらに、照明光学系800にシリンドリカルレンズ805を用いて基板100上の一方向に長い領域を照明する構成で説明したが、これを通常の円形のレンズに置き換えても同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0083】
本発明の第2の実施例を図11A及びBを用いて説明する。
【0084】
図11Aに示した第2の実施例における構成は、図8Aで説明した第1の実施例における構成と、検査ユニット1110の散乱光像撮像光学系1120が照明光学系800から発射された照明光が基板100を透過した透過光の光軸に対して傾いて設置されている点で異なる。
【0085】
実施例2における散乱光像撮像光学系1120は、対物レンズ1121、波長選択フィルタ1122、偏光フィルタ1123、結像レンズ1124及びイメージセンサ1125を備え、それらが鏡筒1126の中に収納されている。
【0086】
散乱光像撮像光学系1120を透過光軸に対して傾けて設置することにより、基板100を透過した透過光の進行方向が散乱光像撮像光学系1120の光軸からずれるためにイメージセンサ1125上に結像されず、イメージセンサ1125は透過光の近傍の散乱光の像を検出するようになる。
【0087】
すなわち、第2の実施例における散乱光像撮像光学系1120では、第1の実施例で説明した散乱光像撮像光学系820の遮光板821に相当するものを設ける必要がなくなり、その分だけ対物レンズ822の受光面を大きくとることができる。その結果、イメージセンサ1125で検出する散乱光の光量を増加させることができるので、検出の感度を向上させることができる。
【0088】
図11Aに示した構成において、散乱光像撮像光学系1120と1次回折光像撮像光学系830から出力された信号はそれぞれ検査データ処理・制御部1140のA/D変換器1141及び1143に入力してデジタル信号に変換され、画像処理部1142及び1144でそれぞれ画像処理されて欠陥判定部1145に送られて画像特徴量から欠陥判定され、入出力部1146から判定された欠陥の情報が出力される。
【0089】
図11Aに示した構成のうち散乱光像撮像光学系1120以外の構成は、検査データ処理・制御部1140を含めて第1の実施例で説明した図8Aに示した構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0090】
尚、図11Aにおいては、散乱光像撮像光学系1120を透過光の進行方向に対して図の下側に傾ける例を示したが、透過光の進行方向に対して図の上側又は横(紙面に直角な方向)に傾けても同様な効果を得ることができる。
【0091】
図11Bは、第1の実施例の図8Bで説明した構成に対応するもので、図11Aの場合と同様に、散乱光像撮像光学系1120を反射光の進行方向に対して傾けて設置した点が異なっている。
【0092】
図11Bに示した構成における各部の作用は第1の実施例の図8Bで説明したものと同様であるので、説明を省略する。図11Bの場合も図11Aの場合と同様に、散乱光像撮像光学系1120を反射光の進行方向に対して図の上側又は横(紙面に直角な方向)に傾けても同様な効果を得ることができる。
【0093】
実施例1および2によれば、多結晶シリコン薄膜を照明して膜表面の凹凸により発生する回折光の像を撮像し、撮像して得た回折光の画像を処理することにより、多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を評価する方法及びその装置を提供することができる。
【0094】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
100・・・基板 700・・・検査装置 720・・・検査部 721・・・検査ユニット 740・・・検査データ処理・制御部 750・・・全体制御部 800、1100・・・照明光学系 820,1120・・・撮像光学系 850,1150・・・ステージ部 1160・・・1次回折光検出光学系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に多結晶シリコン薄膜が形成された基板に光を照射する光照射手段と、
該光照射手段により前記基板に照射された光のうち前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像する第1の撮像手段と、
該光照射手段により光が照射された前記多結晶シリコン薄膜から発生した1次回折光の像を撮像する第2の撮像手段と、
該第1の撮像手段で撮像して得た前記散乱光の画像と前記第2の撮像手段で撮像して得た前記1次回折光の画像とを処理して前記多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とする多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項2】
前記第1の撮像手段は、前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光を遮光する遮光板を有し、該遮光板で遮光されなかった前記前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像することを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項3】
前記第1の撮像手段は、前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光が検出されないように前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光の進行方向に対して傾いて設置されていることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項4】
前記光照射手段は前記光を前記基板の裏面側から照射し、前記撮像手段は前記光照射手段により前記基板の裏面側に照射されて前記多結晶シリコン薄膜の表面側から散乱した散乱光の像を撮像することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項5】
前記光照射手段は前記光を前記基板の表面側から照射し、前記撮像手段は前記光照射手段により前記基板の表面側に照射された光により前記多結晶シリコン薄膜の表面側から散乱した散乱光の像を撮像することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項6】
前記光照射手段は波長選択部を備えて該波長選択部で波長を選択した光を前記基板に照射し、前記第1の撮像手段は偏光フィルタを備えて前記基板からの透過光又は反射光の近傍の散乱光うち該偏光フィルタを透過した光による1次回折光像を撮像することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査装置。
【請求項7】
表面に多結晶シリコン薄膜が形成された基板に光を照射し、
該基板に照射された光のうち前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で正反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像し、
該基板に照射された光により前記多結晶シリコン薄膜から発生した1次回折光の像を撮像し、
該散乱光の像を撮像して得た画像と前記1次回折光の像を撮像して得た画像とを処理して前記多結晶シリコン薄膜の結晶の状態を検査する、
ことを特徴とする多結晶シリコン薄膜の検査方法。
【請求項8】
前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で正反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像することを、前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で正反射した光を遮光し、該遮光により遮光されなかった前記前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像することを特徴とする請求項7記載の多結晶シリコン薄膜の検査方法。
【請求項9】
前記基板に照射された光のうち前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で正反射した光の近傍の前記多結晶シリコン薄膜からの散乱光の像を撮像することを、前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光が検出されないように前記多結晶シリコン薄膜を透過した光または前記多結晶シリコン薄膜で反射した光の進行方向に対して傾いて撮像することを特徴とする請求項7記載の多結晶シリコン薄膜の検査方法。
【請求項10】
前記基板に光を照射することを前記基板の裏面側から光を照射し、前記散乱光の像を撮像することを前記基板の裏面側に照射されて前記多結晶シリコン薄膜の表面側から散乱した散乱光の像を撮像することにより行うことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査方法。
【請求項11】
前記基板に光を照射することを前記基板の表面側から光を照射し、前記散乱光の像を撮像することを前記基板の表面側に照射されて前記多結晶シリコン薄膜の表面側から散乱した散乱光のうち前記基板からの正反射光の近傍の散乱光の像を撮像することにより行うことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査方法。
【請求項12】
前記基板に照射する光は波長を選択した光であり、前記撮像する前記基板からの透過光又は反射光の近傍の散乱光の象は偏光フィルタを透過した光による散乱光の像であることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の多結晶シリコン薄膜の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate


【公開番号】特開2012−80001(P2012−80001A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225676(P2010−225676)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】