説明

接触帯電装置及びそれを備えてなる画像形成装置

【課題】感光体中に含有される粒子の最大径が1μmより大きな場合でも感光体リークを生じない接触帯電装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体の表面上あるいは導電性支持体の表面に形成した下引き層上に感光層を形成してなる感光体と、表面が感光層と接触しながら回動するように配置され軸と表面との間に導電性弾性体層を有する帯電ローラと、感光体の導電性支持体と帯電ローラの軸部との間に直流の帯電電圧を印加する帯電用電源とを備え、前記導電性弾性体層が、弾性材料中に電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせたことにより帯電電圧によって帯電ローラと感光層の間を流れる電流が曲部的に集中して感光層の絶縁破壊を生じない程度の導電性を有することを特徴とする電子写真プロセス用の接触帯電装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触帯電装置及びそれを備えてなる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等に用いられる電子写真方式の画像形成装置の帯電器には、ワイヤーとケースを用いたコロトロン帯電器や、ワイヤーとケースさらにグリッド電極を用いて感光体の表面電位を安定させるスコロトロン帯電器が多く用いられてきた。特に、スコロトロン帯電器は、ワイヤーと感光体表面の間に配置されたグリッドを用いることによって、感光体の表面電位を安定して制御できるという利点があり、帯電器として幅広く用いられてきた。
【0003】
しかし、これらの帯電器には、5〜8kVの高電圧を印加する必要があり、オゾン発生量が多いという欠点がある。このような欠点を解消すべく、近年、帯電部材を感光体に接触もしくは近接させる帯電器が開発されてきた。接触ローラ帯電器、非接触ローラ帯電器、ブラシ帯電器、磁気ブラシ帯電器等がそれである。これらの帯電器は、一部の注入帯電方式のものを除いて、微小空隙放電による帯電方式を利用している。そして、これらの帯電器は、スコロトロン帯電器の欠点であった高圧電源の問題、オゾンの問題を解決可能な帯電器として現在の主流の帯電器となってきている。ところが、従来のスコロトロン帯電器と比較すると、帯電の均一性についてやや劣り、感光体リーク、即ち感光体層の局部電流集中による絶縁破壊が起こりやすいという欠点があった。
【0004】
接触帯電の帯電均一性については、所望の感光体の表面電位に相当する直流電圧に、帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する交流帯電方式を用いた接触帯電方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、交流電圧を重畳するタイプの帯電器では、直流電圧を用いる帯電器に比べて大きな電流が流れる。即ち、帯電器と感光体の間で生じる気中放電電流が大きい。このために、直流電圧を用いる帯電器に比べて感光体の膜減りが多く、従って、感光体リークを起こし易くなる。また、帯電部材の耐久性が低くなりやすい。さらに、直流電圧印加時における帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧である高圧の交流電圧を重畳させるため、直流電源とは別に交流電源が必要となり、装置自体のコストアップを招く等の多くの問題点があった。
【0005】
感光体リークは、様々な現象が重なって生じる。上記のように感光体の膜減りによる感光体耐圧の低下が原因となる場合もあるが、帯電ローラ表面への異物の付着、汚れや感光体の光導電層の欠陥、あるいは、感光体の支持体表面の異物の付着、汚れ、微細な穴等の欠陥部分に電流が集中して流れ、感光体リークとなることもある。この感光体リークが要因となって、黒点または白点状のスポット欠陥が引き起こされ、著しい場合には、帯電器自体の帯電能の低減や、感光体の軸方向全体に及ぶ帯電不良をきたしていた。
【0006】
特に近年、カラーの画像形成装置、あるいは専用の感光体クリーナー機構を設けないクリーナーレス方式の画像形成方式のマシンが増加する傾向にあり、これに伴って感光体リークの問題が注目されている。何故なら、カラーの画像形成装置使用するカラートナーは、従来のモノクロトナーよりもシリカ等の微細な外添剤量が増えているからである。この微細な外添剤が、クリーナーブレードをすり抜けて帯電部材に付着し、電流が集中する状況を作り出しやすいからである。また、クリーナーレス方式の画像形成装置では、帯電器の前にクリーナーが設けられないので、転写後に感光体表面に残留したトナーやキャリアが帯電部材と感光体のニップに入り込み、電流が集中する状況を作り出しやすいからである。
【0007】
このような感光体リークを防止するためには、帯電部材のクリーニングの確立と感光体の下引き層、即ち感光層と下部の導電性支持体との間に設けられる層をなるべく厚膜化して、支持体表面の凹凸の隠蔽性が高めることが有効である。ところが、感光体の下引き層を厚くしすぎると、残留電位が著しく上昇し、使用に耐え得ないようになってしまうという問題があった。そこで、接触帯電器を用いた画像形成装置において、感光体の下引き層を厚膜化せずに感光体リークを防止する技術として、感光体の導電性支持体の表面を陽極酸化処理することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、蒸着重合により形成されるポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタンよりなる下引き層を感光体に設けることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、電荷発生材料として特定の結晶型のチタニルフタロシアニンを含有する電子写真感光体において、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂よりなる下引き層を設けることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
このように、現在では、接触帯電器を用いた画像形成装置において、導電性支持体処理を施した感光体が多く使用されている。
【0008】
一方、異物による感光体リークを防止する技術に関しては、感光体中に含有される粒子の最大径を1μm以下とすることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。接触帯電による感光体の放電絶縁破壊は、感光体中に含有されている最大粒径が1μmを超える粒子、即ち、感光層に分散されているアゾ顔料やフタロシアニン顔料などの電荷発生材料の凝集物、或は四フッ化エチレン樹脂粉体やフッ化ビニリデン樹脂粉体などの固体潤滑剤の凝集物、或は固形不純物さらには下引層などの中間層中にある支持体切削による切り粉などの固形不純物などが核となって起こるため、感光体中に含有される粒子の最大径を1μm以下とするものである。
【特許文献1】特開昭63−149668号公報
【特許文献2】特開平5−34964号公報
【特許文献3】特開昭64−6962号公報
【特許文献4】特開平3−33856号公報
【特許文献5】特開平2−67575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述のように感光体中に含有される粒子の最大径を1μm以下にするためには、塗工前工程において、塗工液の濾過、遠心分離などを何度も行わなければならないため前工程のコストアップにつながる。また、塗工液を十分に濾過、遠心分離しても、材料によっては、電荷発生材料が塗工中に凝集してしまうため、電荷発生材料の選定幅が狭くなるという問題もある。
【0010】
また、感光体リークを防止するために、前述したような導電性基体処理、例えば、感光体の導電性基体にアルマイト処理や、熱硬化性樹脂のコート等の処理を施した感光体を使用している。このような処理による感光体の下引き層の形成は、蒸着あるいは高温加熱を必要とするため、生産性の面から好ましくなかった。特に、有機溶剤に不溶あるいは難溶であるポリイミド樹脂を下引き層に用いる場合には、塗布適性に乏しいために蒸着重合によって層を形成するか、ポリアミック酸溶液を塗布し加熱して重合させる方法等が使用されていたが、これらの方法は、250℃以上の高温に加熱する工程必要があり、生産性が悪く製品のコストアップ要因になっていた。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、我々は、感光体中に含有される粒子の最大径が1μmより大きな場合でも感光体リークを生じない接触帯電装置の検討を行った結果、すぐれた特性良好な結果が得られたので。また、特殊な導電性基体処理を行うことなく、感光体リークを生じないシステムの検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、導電性支持体の表面上あるいは導電性支持体の表面に形成した下引き層上に感光層を形成してなる感光体と、表面が感光層と接触しながら回動するように配置され軸と表面との間に導電性弾性体層を有する帯電ローラと、感光体の導電性支持体と帯電ローラの軸部との間に直流の帯電電圧を印加する帯電用電源とを備え、前記導電性弾性体層が、弾性材料中に電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせたことにより帯電電圧によって帯電ローラと感光層の間を流れる電流が曲部的に集中して感光層の絶縁破壊を生じない程度の導電性を有することを特徴とする電子写真プロセス用の接触帯電装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
この発明の接触帯電装置は、帯電ローラの導電性弾性体層が、弾性材料中に電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせたことにより帯電電圧によって帯電ローラと感光層の間を流れる電流が曲部的に集中して感光層の絶縁破壊を生じない程度の導電性を有するので、感光体リークの発生が抑制され、しかも交流電圧に比べて感光体の膜減り量が少なく、帯電ローラの寿命が長く、かつ電源のコストが安い直流電圧を帯電ローラに印加して均一性の良好な帯電特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
前記課題を解決するために、発明者は検討を行い、感光体リークを回避するには、帯電部材−感光体間の電界差を減少させるべく直流電圧のみを帯電部材に印加する方法が効果的であるとの知見を得た。しかし、立ち上がり時間が比較的遅い電源を使用した場合、感光体リークが発生する。そこで、更なる検討の結果、帯電部材の基層の導電方式を電子導電性材料とイオン導電性材料の2種類を組み合わせたバイブリッド方式とすることで、感光体中に含有される粒子の最大径を約50μm以下まで感光体リークを起こさず、長期間良好な画像を得ることができることを見出した。
【0015】
この発明の接触帯電装置は、導電性支持体の表面上あるいは導電性支持体の表面に形成した下引き層上に感光層を形成してなる感光体と、表面が感光層と接触しながら回動するように配置され軸と表面との間に導電性弾性体層を有する帯電ローラと、感光体の導電性支持体と帯電ローラの軸部との間に直流の帯電電圧を印加する帯電用電源とを備え、前記導電性弾性体層が、弾性材料中に電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせたことにより帯電電圧によって帯電ローラと感光層の間を流れる電流が曲部的に集中して感光層の絶縁破壊を生じない程度の導電性を有することを特徴とする。
【0016】
ここで、電子導電性材料とは、バインダー材料の中にカーボン等の電子導電剤を添加して分散させた材料のことをいい、電圧が印加された場合に電子が電子導電剤間をトンネル効果によって移動することにより導電性を示す。
また、イオン導電性材料とはバインダー材料の中にイオン導電性を有する導電剤を分散させた材料のことをいい、電圧が印加された場合に分子鎖間をイオンが伝播することにより導電性を示す。
バインダー材料は、例えば天然ゴムや合成ゴム、あるいはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂などであってもよい。
また、電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物等を用いることができる。導電性金属酸化物とは、より具体的には、ZnO・Al23 ,SnO2・Sb25 ,TiO・TiO2などであってもよい。
イオン導電剤としては、例えば、アルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等を用いることができる。ここで、アルカリ金属塩とは、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などであってもよい。さらに、四級アンモニウム塩とは、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩などであってもよい。
【0017】
電子導電タイプの帯電部材の場合、導電性のメカニズムがバインダ樹脂(あるいはバインダーポリマー)中のカーボン間を電子が高電圧により伝わるトンネル効果によるため、電圧を変化させたときの電気抵抗の変動が大きい。また、電子導電剤は、バインダ樹脂中での均一分散が困難であるため電気抵抗のバラツキが大きい。そのため、電圧の立ち上がり特性の遅い高圧電源を使用した場合、導電剤のバラツキが大きいバインダ樹脂中を電子が移動する時間が長くなる。不安定な状態で電子が移動するため、ローラの比較的抵抗の低いあるポイントに電流が集中し、感光体リークを発生させるものと考えられる。そのため、立ち上がり特性の早い高圧電源では発生しなかった感光体リークも、電圧の立ち上がり特性の遅い高圧電源を使用した場合、発生してしまうと考えられる。
【0018】
また、イオン導電タイプの帯電部材の場合、感光体リークに関しては、比較的良好な結果が得られたが、イオン導電性材料が染み出し、感光体を汚染するといった問題があった。
これに対してハイブリッドタイプの帯電部材の場合は、イオン導電性材料が分散されていることによりバインダ樹脂中での均一分散が可能で電気抵抗のバラツキが小さい。そのため、電子導電タイプの帯電部材のように電流の集中が起こりにくく、たとえ、不安定な状態で電子が移動したとしても、あるポイントに電流が集中することがなく、感光体リークが発生しないと考えられる。また、イオン材料の含有量が少ないため、薄い表面層を設けることでイオン導電タイプの帯電部材で問題になったイオン導電性材料の滲み出しを低減することが可能となる。
従って、前記導電性弾性体層が、弾性材料の重量100に対して電子導電材料を5〜50重量部の範囲の割合で添加し、さらに前記弾性材料の重量100に対してイオン導電性材料を0.1〜10重量部の範囲の割合で添加することが好ましい。
電子導電材料の重量割合が前記範囲より小さいと、導電性弾性体層の抵抗率が高すぎて十分な帯電電位が得られない。逆に、電子導電材料の重量割合が前記範囲より大きいと帯電電圧を印加する電源の出力から感光体側をみたときの負荷抵抗が小さすぎて感光体がリークしやすい。
一方、イオン導電性材料は抵抗値を低くする効果が小さいため、重量割合が前記範囲より小さいと、イオン導電性材料を添加した効果が不十分で、十分な帯電電位が得られない。逆に、イオン導電性材料の添加量を前記範囲より大きくしたとしても、イオン導電材料の添加量に比例して導電性弾性体の抵抗が下がらなくなるばかりでなく、感光体表面へのブリードアウト(滲み出し)が問題になる。
【0019】
前記感光層が、1マイクロメートルよりも大きく45マイクロメートル以下の範囲の最大径の粒子を含有する層であってもよい。前述のように、感光体に接触または近接して配置した帯電部材に直流電圧を印加することにより当該感光体を帯電させる画像形成装置において、感光体中に含有される粒子径を1マイクロメートルよりも大きく45マイクロメートル以下の範囲にすることで、長期間の使用に対しても感光体リークを防止することができる。
【0020】
この発明の接触帯電装置は、粒子径が1マイクロメートルよりも大きく45マイクロメートル以下の範囲の粒子を含んでいても、即ち、従来技術のように感光層の粒子径を1マイクロメートル以下に管理しなくても感光体リークの発生が回避されるので、感光体の製造工程で凝集した粒子を感光層材料から取り除く必要がなく、製造工程を簡素化することができる。その結果、生産効率が向上しコストが低減できる。
【0021】
また、前記導電性支持体が、感光層を形成する表面に0.5〜2.0マイクロメートルの表面粗さを有していてもよい。導電性支持体の表面粗さを表すパラメータのうちの最大高さRmax(JIS規格 B 0601−1982)が0.5〜2.0マイクロメートルの範囲内であれば、感光体に照射された露光光が導電性支持体表面からの反射分によって干渉することがなく、かつ感光体リークを回避することができる。
【0022】
さらにまた、前記感光層が、導電性支持体上に形成された電荷発生層と電荷発生層上に形成された層厚が15〜38マイクロメートルの電荷輸送層からなっていてもよい。電荷輸送層の層圧が15〜38マイクロメートルの範囲内であれば、感光体リークが発生することなく、しかもキャリア拡散による画質劣化を生じることがない。
【0023】
前記導電性支持体が、アルミニウムの表面に熱可塑性樹脂を塗布してなる支持体であってもよい。従来の技術では、感光体の導電性支持体にアルマイト処理や熱硬化性樹脂をコートする処理が行われており、それらの処理のために高価な設備が必要であったが、この発明によれば、前記処理に比べて設備が安価な熱可塑性樹脂の塗布によって支持体の表面処理することにより、長期にわたって、感光体リークによる黒点または白点状のスポット欠陥や、残留電位の上昇による画像劣化を防止することができる。
【0024】
前記帯電ローラが、感光層に接する表面に0.5〜14.5マイクロメートルの表面粗さを有するものであってもよい。帯電ローラの表面粗さが0.5〜14.5マイクロメートルであれば、安定した帯電電位を確保することができる。また、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニング性の点でも良好な特性が得られる。
【0025】
また、前記帯電用電源が、帯電電圧の印加開始から帯電ローラ軸部電圧が目標電圧に達するまでの立ち上がり時間が0.02〜90ミリ秒であってもよい。ここで、立ち上がり時間とは、帯電軸ローラ軸部電圧が0Vから目標電圧に立ち上がる際、目標の10パーセントの電圧に達してから、目標の90パーセントの電圧に達するまでの時間をいう。帯電電圧の立ち上がり時間が0.02〜90ミリ秒の範囲であれば、感光体リークの発生を回避することができる。
【0026】
また、この発明の画像形成装置は、前記いずれかの接触帯電装置を備えてなる。
前記画像形成装置が、カラー画像を形成するために互いに異なる色の画像を形成するための複数の感光体と、感光体を帯電するために各感光体に対応して配置された前記接触帯電装置を備える画像形成装置であってもよい。
【0027】
あるいはまた、この発明の画像形成装置は、感光体表面の帯電粒子を現像部側へ吸着して感光体をクリーニングする機能を有する現像部と、前記いずれかの接触帯電装置とを備えてなる。このようにすれば、専用のクリーニング部を設けない、いわゆるクリーナーレス方式を採用した画像形成装置において、感光体と帯電ローラとの間のニップ部に異物が入り込んだ場合でも、帯電ローラが電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせた導電性弾性体層を有するので感光体リークを起こすことがなく、長期にわたって良好な画質を維持することができる。
【0028】
前記の画像形成装置が、帯電ローラ表面をクリーニングする帯電ローラクリーニング部をさらに備えることにより、前記接触帯電装置が感光体のクリーニング機能を有してもよい。このようにすれば、帯電電圧と反対極性に帯電した帯電粒子が帯電ローラでクリーニングされ、帯電電圧と同極性に帯電した帯電粒子が現像部でクリーニングされるので、帯電電圧と反対極性に帯電した帯電粒子に対してもより安定したクリーニングが可能になる。
【0029】
さらに、前記画像形成装置に、転写後に感光体表面に残留したトナーを攪乱するトナー攪乱部材が前記接触帯電装置の手前に配置され、残留トナーがトナー攪乱部材で攪乱された後に接触帯電装置を通過するように構成されていてもよい。このようにすれば、接触帯電装置の手前で残留トナーが攪拌されるので、現像部あるいは現像部と帯電ローラによる残留トナーのクリーニングがさらに容易になり、良好なクリーニング性が得られ、良好な画質が得られる。
【0030】
以下、図面に示す実施形態にもとづいてこの発明をさらに詳述する。
なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態)
本発明を適用する画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置である。そして、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、定着、および除電の各工程を有する電子写真プロセスによって、感光体上にトナー像を形成して記録紙(シート)に転写する機能を有しており、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等の電子写真装置に適用される。また、モノクロ機にも、カラー機にも適用可能である。
【0031】
まず、本発明を適用したモノクロ印字方式の画像形成装置について、図1を用いて説明する。図1は、この発明の接触帯電装置の実施の一態様を示す説明図である。図1に示すように、モノクロ印字方式の画像形成装置10(モノクロ機)は、外部から入力される画像データに応じて、所定の記録紙に対して単色の画像を形成するものである。そして、図1に示すように、感光体1、帯電器20、露光部30、現像部40、転写部50、定着部60、およびクリーニング部70を備えている。
【0032】
感光体1と帯電器20とは、接触して配置されている。そして、帯電器20は、電源から供給される電力により感光体1の表面を均一に帯電させる。感光体1および帯電器20については、詳しくは後述する。
【0033】
露光部30には、発光素子をアレイ状に並べた、例えば、ELやLED書込みヘッドや、レーザー照射部およびポリゴンミラーを備えたレーザースキャニングユニット(LSU)が用いられる。そして、帯電器20により帯電された感光体1を入力される画像データに応じて露光することによって、感光体1の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0034】
現像部40は、感光体1にトナーを供給するための現像ローラ4を備え、トナーにより感光体1に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光体1の表面に画像データに応じたトナー像が形成される。この例では、現像に用いる現像剤として、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いている。なお、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤を用いてもよい。
【0035】
転写部50は、図示しない給紙装置から供給され、Y方向に搬送される記録紙Pにトナー像を転写させる。転写方式としては、チャージャー方式やローラ方式がある。トナー像の転写後、定着部60にて記録紙P上のトナー像を熱融解によって定着させる。
【0036】
クリーニング部70は、転写部50によるトナー像の転写後、感光体1に残留したトナーを掻きとって回収する。なお、クリーニング部70を設ける替わりに、後述するように、帯電兼クリーニング装置や現像兼クリーニング装置を設ける構成としてもよい(図7参照)。
【0037】
次に、感光体1について詳しく説明する。図2は、図1に示す感光体1の層構成を示す断面図である。図2に示すように、感光体1は、導電性支持体1a(例えば、アルミニウム等の金属ドラム)を基体としてその外周面上に下引き層1bが形成され、この下引き層1b上に感光層としての感光受容層1eが塗布されて形成されている。感光受容層1eは、電荷発生層1cと電荷輸送層1dとにより形成されている。このように、感光体1は、導電性支持体1a上に、下引き層1b、電荷発生層1c、および電荷輸送層1dがこの順で形成されている。
【0038】
導電性支持体1aは、感光体1の電極としての役目と同時に、下引き層1bおよび感光受容層1eの支持体としての役目を果たしており、その形状は、円筒状、板状、フィルム状、ベルト状のいずれでもよい。導電性支持体1aの材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノール樹脂パイプ、紙管等の絶縁性物質が挙げられる。体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性を示すものが好ましく、体積抵抗を調整するために表面に酸化処理を施してもよい。
【0039】
下引き層(コート層)1bは、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アルミニウム陽極酸化被膜、ゼラチン、でんぷん、カゼイン、N−メトキシメチル化ナイロン等から形成される。さらに、これらに酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウムの粒子を分散させてもよい。この下引き層1bは、膜厚が約0.1〜10μmで、導電性支持体1aと感光受容層1eとの接着層としての役割を果たす。加えて、導電性支持体1aから電荷が感光受容層1eへ流れ込むのを抑制するバリア層としての役割をも果たしている。このようにして下引き層1bは感光体1の帯電特性を維持するので、感光体1自身の寿命を延ばすことができる。この下引き層は必ずしも必要な構成ではない。導電性支持体1aを適当に表面処理することにより、以下の電荷発生層の良好な接着性を得られ、しかも十分は感光体寿命が得られた場合は下引き層を省略して製造工程を簡略化することができる。
【0040】
電荷発生層1cは、公知の電荷発生物質を含んで形成される。電荷発生層1cの電荷発生物質としては、可視光を吸収してフリー電荷を発生するものであれば、無機顔料、有機顔料、有機染料のいずれをも用いることができる。無機顔料としては、セレンおよびその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物等が挙げられる。有機染料としては、チアピリリウム塩、スクアリリウム塩等が挙げられる。中でも好適なキノン系発生物質は、フタロシアニン系化合物であり、特に、チタニルフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。特に良好な感度特性、帯電特性、および繰返し特性が得られる。
【0041】
また、列挙した上述の顔料および染料の他に化学増感剤として電子受容性物質、例えば、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、アントラキノン、p−ベンゾキノン等のキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等のニトロ化合物、または、光学増感剤として、キサンテン系色素、チアジン色素トリフェニルメタン系色素等の色素を電荷発生層1cに添加してもよい。好ましくは、有機顔料、有機染料等、上記の有機光導電性化合物を用いる。電荷発生層1cは、電荷発生物質をバインダ樹脂とともに適当な溶剤中に分散させ、塗工液を作成する。その塗工液をフィルタと用いて濾過する、もしくは遠心分離などにより、粒子径を制御する。その塗工液を導電性支持体1aに塗布して、乾燥あるいは硬化させて成膜して形成する。電荷発生層1cの膜厚は、約0.05〜5μm、好ましくは、約0.1〜1μmである。電荷発生層1cの形成方法としては、一般に、真空蒸着法、スパッタリング、CVD等の気相堆積法、あるいは電荷発生物質をボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェーカー、超音波分散機等により粉砕し、溶剤中に分散させ、必要に応じてバインダ樹脂を加え、導電性支持体1aがシートの場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティング、スピンコート等、導電性支持体1aが円筒体の場合にはスプレー法、垂直型リング法、浸漬塗布法等によって形成する方法が知られている。
【0042】
上記の電荷発生層1cに用いられるバインダ樹脂としては、具体的には、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、エポキシ、シリコン、ポリアクリレート等の樹脂が挙げられる。
溶媒としては、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロルベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。なお、ここで挙げたもの以外でもよく、アルコール系、ケトン系、アミド系、エステル系、エーテル系、炭化水素系、塩素化炭化水素系または芳香族系溶媒の単独あるいはブレンドしたものであってもよい。ただし、中でも電荷発生物質の粉砕およびミリング時の結晶転移に基づく感度低下、ポットライフによる特性低下を考慮した場合、そのような結晶転移を起こしにくいシクロヘキサノン、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルケトン、テトラヒドロキノンのいずれかを用いることが好ましい。
【0043】
電荷輸送層1dは、公知の電荷輸送物質を含んで形成される。電荷輸送物質としては、電荷発生層1cで発生した電荷を輸送できる有機光導電性化合物であればよい。ヒドラゾン誘導体、ピレン誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、アントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン化合物、ポリゲルマン化合物等が挙げられるが、電荷輸送物質はこれらに限定されるものではない。
【0044】
また、電荷輸送層1dは、電子輸送物質を含有していてもよい。具体的には、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、ジフェニル誘導体、ベンゾキノン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、電荷輸送層1dには、必要に応じて酸化防止剤等の安定剤、レベリング剤、可塑剤を添加することもできる。酸化防止剤としては、一般に、樹脂等に添加して利用される酸化防止剤をそのまま使用することができる。例えば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等を配合して用いてもよい。レベリング剤としては、シリコンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用でき、使用量はバインダ樹脂100重量部に対して、1重量部またはそれ以下が適当である。
【0045】
電荷輸送層1dは、上述した電荷発生層1cと同様の手法および装置を用いて形成される。電荷輸送層1dは、電荷輸送物質をバインダ樹脂とともに、適当な溶媒中に溶解あるいは分散させ、電荷発生層1cが形成された導電性支持体1aに塗布し、乾燥あるいは硬化させて成膜して形成する。電荷輸送層1d用の塗布液は、1種または数種の電荷輸送物質、バインダ樹脂および添加剤を計量し、所定量の有機溶媒に溶解させる。この際、同時に溶解させて作製する方法でもよいが、好ましくは、まず、バインダ樹脂を溶媒中に溶解させた後に電荷輸送物質を投入、溶解させて作製する方法がよい。この方法によれば、バインダ樹脂への電荷輸送物質の分子分散性が向上され、膜中での潜在的かつ局所的な電荷輸送物質の結晶化が抑制されることにより、初期感度の向上、繰返し使用時の電位安定性、良好な画像特性等が付与される。そして、電荷輸送層1dの形成方法としては、導電性支持体1aがシート状の場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティング、スピンコート等、導電性支持体1aがドラム状の場合にはスプレー法、垂直型リング法、浸漬塗布法等が用いられる。特に、生産性やコストの観点からは、浸漬塗布法が好ましい。
【0046】
上記の電荷輸送層1dに用いられるバインダ樹脂としては、例えば、上述した電荷発生層1cに用いられるバインダ樹脂と同様のものが挙げられ、特に制限はない。例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコン樹脂あるいはこれらの部分的架橋硬化物等の公知のバインダ樹脂が使用される。
【0047】
この際、感光体中に含有される粒子の最大径を制御することが重要となる。含有される粒子が50μm以下であれば、帯電部材導電方式をハイブリッドとすることで、長期間、感光体リークが生じないシステムを設計することができる。
【0048】
また、電荷輸送層1dの初期膜厚を15〜38μmに設定することが重要である。膜厚が12μm以下では、電荷輸送層1d中の走行電荷の拡散が少なくなることにより高解像度が得られるものの、感光受容層1eに高電界がかかることにより絶縁破壊が起こり、画像欠陥が多発しやすくなる傾向がある。また、使用時のクリーニング工程による膜削れに対するマージンが少なく、設計上、感光体寿命が比較的短いものになってしまう。また、一般的に接触帯電器に使用する感光体は、スコロトロン帯電に用いる感光体よりも、膜厚が厚く形成される。しかし、膜厚が41μm以上では、感光体寿命を長くできるものの、電荷発生層1cから注入された電荷が電荷輸送層1d中を走行する過程において、電界方向から逸脱する電荷拡散の関与が大きくなり解像度が低下する傾向がある。なお、電荷輸送層1dには、成膜性、可とう性、塗布性等を向上させるために、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0049】
電荷輸送層1dの初期膜厚を10〜41μmに設定した具体例を、後述する実施例8に示している。このように、電荷輸送層1dの厚さを、15μm以上とすることで、感光体の導電性支持体にアルマイト処理や熱硬化性樹脂をコートした高価な感光体を使用することなく、感光体リークによる黒点または白点状のスポット欠陥のような画像欠陥を生じさせず、長期にわたって安定して良好な画質を得ることができる。また、電荷輸送層1dの厚さを、38μm以下とすることで、キャリア拡散による画質劣化を防ぐことができる。
【0050】
次に、帯電器20について詳しく説明する。帯電器20は、電源から供給される電力により感光体1の表面を均一に帯電させるために設けられる。帯電器20としては、接触ローラ帯電器、非接触ローラ帯電器、ブラシ帯電器等の微小空隙放電を利用した帯電器や、注入帯電方式を利用した帯電器を利用できる。なお、帯電ローラ等の帯電部材に、直流電圧のみを印加するタイプの帯電器が最適である。
【0051】
以下では、帯電器20として接触ローラ帯電器を用いた例について説明する。図3は、図1に示す帯電器20の構造を示す断面図である。図3に示すように、帯電器20は、帯電部材としての帯電ローラ2の導電物質が電子導電性材料とイオン導電性材料の両方が混合されていることが重要である。このため、帯電ローラ2を形成する材料、用いる材料の量比、用いる材料の混合状態等の要因に特に限定されない。帯電ローラ2は、導電性支持体2aを基体としてその外周面上に弾性層2bが形成され、この弾性層2b上に抵抗層2cが形成されている。このように、帯電ローラ2は、弾性層2b・抵抗層2cのような被覆層を導電性支持体2a上に有している。
【0052】
また、ハイブリッドの帯電ローラ2を使用することによって、感光体1の導電性支持体1aにアルマイト処理や熱硬化性樹脂をコートした高価な感光体を使用することなく、従来の熱可塑性樹脂によるコートを施した導電性支持体を有する感光体を使用し、かつ感光体中に含有される粒子の最大粒径が45μm以下の場合であっても、感光体リークの発生を防止することができ、良好な画像を得ることができる。
【0053】
導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。さらに、防錆や耐傷性付与のために、これらの金属表面にメッキ処理を施してもよい。ただし、導電性を損なわないことが必要である。
【0054】
弾性層2bは、被帯電体としての感光体1に対する給電や、帯電ローラ2の感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性を有している。帯電ローラ2と感光体1の均一密着性を確保するためには、弾性層2bを研磨して、その中央部が一番太く、中央部から両端部に行くにつれて細くなる形状(いわゆるクラウン形状)に形成することが好ましい。一般的に、帯電ローラ2は、導電性支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えることによって感光体1と当接される。このため、押圧力が中央部では小さく、両端部ほど大きくなっている。したがって、帯電ローラ2の真直度が十分である場合には問題ないが、十分ではない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまうという問題がある。また、A3ノビ対応機種の増加やカラー機の増加により帯電領域が拡大してきているため、導電性支持体2aの両端部のみへの押圧力によって帯電ローラ2自体がたわみ易くなっており、中央部にギャップができるといった問題が起きている。このような理由により弾性層2bをクラウン形状とすることが好ましい。
【0055】
弾性層2bは、ゴム等の弾性材料中に、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物等の電子電導機構を有する導電剤、ならびにアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン電導機構を有する導電剤を適宜添加することによって形成される。
そして、体積抵抗が1010Ωcm未満の導電性を示すように調整されるのがよい。弾性層2bの弾性材料としては、例えば、天然ゴムや、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、さらには、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等も挙げられる。
【0056】
抵抗層2cは、弾性層2bに接して形成され、弾性層2b中に含有される軟化油や可塑剤等の帯電ローラ2表面へのブリードアウト(滲み出し)を防止するとともに、帯電ローラ2全体の電気抵抗を調整するために設けられる。
【0057】
抵抗層2cを形成する材料としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの材料は、単独で用いても、2種類以上の混合であっても、あるいは共重合体であってもよい。
【0058】
抵抗層2cは、導電性または半導電性を有している必要がある。このため、上述した材料に、電子電導機構を有する導電剤(導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)、あるいはイオン電導機構を有する導電剤(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等)を適宜添加することによって形成される。この場合、所望の電気抵抗を得るために、上記各種導電剤を2種以上併用してもよい。ただし、環境変動や感光体1の汚染を考慮すると、電子電導機構を有する導電剤を用いることが好ましい。
【0059】
そして、帯電ローラ2表面の表面粗さRz(十点平均粗さ、JIS規格 B 0601−1982)を15μm以下とした具体例を、後述する実施例9に示している。このように、帯電ローラ2の表面粗さRzを15μm以下とすることによって、常に安定した帯電電位を確保することができ、また、問題のないレベルのトナークリーニング性を確保することができる。これにより、初期画質が良好な画像を得ることができる。特に帯電ローラ2に直流電圧のみを印加する場合には、帯電ローラ2表面の凸部が適度な放電ポイントとなり、常に安定した帯電電位を確保することができる。
【0060】
次に、本発明を適用したカラー印字方式の画像形成装置について、図4を用いて説明する。図4は、この発明の接触帯電装置を備えるカラー印字方式(カラータンデム方式)の画像形成装置の構造を示す説明図である。図4に示すように、カラー印字方式の画像形成装置100(カラー機)は、外部から入力される画像データに応じて、所定の記録紙(シート)に対して多色および単色の画像を形成するものである。そして、図4に示すように、感光体101、帯電器120、露光部130、現像部140、定着部160、クリーニング部170、転写搬送ベルト部150等を備えている。また、給紙トレイ180、排紙トレイ190・191等を備えており、給紙トレイ180と排紙トレイ190との間には、略Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。
【0061】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、KCMYの各色用の感光体101a,101b,101c,101d、KCMYの各色用の帯電器120a,120b,120c,120d、KCMYの各色の露光部130a,130b,130c,130d、KCMYの各色の現像部140a,140b,140c,140d、KCMYの各色用のクリーニング部170a,170b,170c,170dが、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それらKCMYの各色用の4つの画像ステーション(画像形成部)が用紙搬送路Sに沿って並べて配置されている。
【0062】
各色の感光体101a〜101dは、画像形成装置100の略中心部に略水平に並べて配置されている。感光体101a〜101dは、上述したモノクロ機の感光体1と同様にして形成される。
【0063】
それぞれの帯電器120a〜120dは、該帯電器120a〜120dと接触または近接して配置される感光体101a〜101dの表面を均一に帯電させる帯電手段として設けられている。それぞれの帯電器120a〜120dの帯電部材(帯電ローラ102a〜102d)は、上述したモノクロ機の帯電器20の帯電部材(帯電ローラ2)と同様にして形成される。なお、帯電器120a〜120dとしては、図4、図5に示すように帯電部材として帯電ローラ102a〜102dを備えた接触ローラ帯電器の他、非接触ローラ帯電器、ブラシ帯電器等の微小空隙放電を利用した帯電器や、注入帯電方式を利用した帯電器を利用できる。
【0064】
それぞれの露光部130a〜130dには、発光素子をアレイ状に並べた、例えば、ELやLED書込みヘッドや、レーザー照射部および反射ミラーを備えたレーザースキャニングユニット(LSU)を用いる。そして、帯電部材により帯電された感光体101a〜101dを入力される画像データに応じて露光することによって、感光体101a〜101dの表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0065】
それぞれの現像部140a〜140dは、感光体101a〜101dにトナーを供給するための現像ローラを備え、感光体101a〜101dに形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより現像して顕像化する。これにより、感光体101a〜101dの表面に画像データに応じたトナー像が形成される。
【0066】
感光体101a〜101dの下方に配置される転写搬送ベルト部150について説明する。転写搬送ベルト部150は、転写ベルト155、転写ベルト駆動ローラ151、転写ベルトテンションローラ153、転写ベルト従動ローラ152、154、転写ローラ105a,105b,105c,105d、転写ベルトクリーニング部157等を備えている。
【0067】
転写ベルト駆動ローラ151、転写ベルトテンションローラ153、転写ローラ105a〜105d、転写ベルト従動ローラ152・154等は、転写ベルト155を張架し、この転写ベルト155を矢印B方向に回転駆動させるものである。
【0068】
それぞれの転写ローラ105a〜105dは、転写搬送ベルト部150のハウジングの転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。そして、それぞれの感光体101a〜101dのトナー像を、転写ベルト155上に吸着されて搬送される記録紙に転写するための転写バイアスを与える。
【0069】
転写ベルト155は、それぞれの感光体101a〜101dに接触するように設けられている。つまり、転写ベルト155を挟んで、感光体101aと転写ローラ105a、感光体101bと転写ローラ105b、感光体101cと転写ローラ105c、感光体101dと転写ローラ105dとがそれぞれ対向して配置されている。そして、感光体101a〜101dに形成された各色のトナー像を記録紙に順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。転写ベルト155は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0070】
それぞれの感光体101a〜101dから記録紙へのトナー像の転写は、無端状の転写ベルト155の内側に接触している転写ローラ105a〜105dによって行われる。転写ローラ105a〜105dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。転写ローラ105a〜105dは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、記録紙に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、転写電極として転写ローラ105a〜105dを用いているが、ブラシ等であってもよい。
【0071】
また、感光体101a〜101dとの接触により転写ベルト155に付着したトナーは、記録紙の裏面を汚す原因となる。このため、転写ベルトクリーニング部157によって除去・回収するようにしている。転写ベルトクリーニング部157には、転写ベルト155に接触するクリーニング部材として、例えばクリーニングブレード157aが設けられており、このクリーニングブレード157aは、転写ベルト155を挟んで転写ベルト従動ローラ154と対向して配置されている。
【0072】
定着部160は、ヒートローラ161、加圧ローラ162等を備えており、ヒートローラ161および加圧ローラ162は、記録紙を挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ161は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部110により所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ162とともに記録紙を熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。なお、多色トナー像の定着後、記録紙は、搬送ローラ185によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ190上にフェイスダウンで排出されるようになっている。
【0073】
給紙トレイ180は、画像形成に使用する記録紙を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の4つの画像ステーションの下方に設けられている。排紙トレイ190は、画像形成済みの記録紙をフェイスダウンで載置するためのトレイであり、画像形成装置100の上部に設けられている。これに対し、排紙トレイ191は、画像形成済みの記録紙をフェイスアップで載置するためのトレイであり、画像形成装置100の側部に設けられている。
【0074】
そして、記録紙を給紙トレイ180から転写搬送ベルト部150や定着部160を経由させて排紙トレイ190に送るために、略Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。この用紙搬送路Sに沿って、ピックアップローラ181、レジストローラ182、定着部160、搬送方向切換えガイド184、搬送ローラ185等が配されている。
【0075】
搬送ローラ185は、記録紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ181は、給紙トレイ180の端部に備えられ、給紙トレイ180から、記録紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0076】
また、レジストローラ182は、用紙搬送路Sを搬送されている記録紙を一旦保持するために設けられている。そして、感光体101a〜101d上のトナー像を記録紙に良好に多重転写できるように、感光体101a〜101dの回転にあわせて、記録紙をタイミングよく搬送する機能を有している。具体的には、レジストローラ182は、図示しないレジスト前検知スイッチの出力した検知信号に基づいて、それぞれの感光体101a〜101d上のトナー像の先端を、記録紙における画像形成範囲の先端に合わせるように、記録紙を搬送するように設定されている。
【0077】
搬送方向切換えガイド184は、側面カバー186に回動可能に設けられている。この搬送方向切換えガイド184を回動させて実線で示す状態から破線で示す状態にすることによって、用紙搬送路Sの途中から記録紙を分離し、排紙トレイ191に記録紙を排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、記録紙は、定着部160と側面カバー186、搬送方向切換えガイド184の間に形成される搬送部S´(用紙搬送路Sの一部)を通り、上部の排紙トレイ190に排出される。
【0078】
以上のような構成のカラー機においても、帯電ローラ102a〜102dの基層の導電方式を電子導電性材料とイオン導電性材料の2種類を組み合わせたバイブリッド方式とすることで、感光体中に含有される粒子の最大径を50μmとした場合でも、感光体リークを起こさず、長期間良好な画像を得ることができる。このため、感光体製造のコストダウンが可能となる。
【0079】
また、従来では必要であった感光体101a〜101dの導電性支持体にアルマイト処理や熱硬化性樹脂をコートした高価な感光体を使用することなく、従来の熱可塑性樹脂によるコートを施した導電性支持体を有する感光体を使用した場合であっても、感光体リークの発生を防止することができ、良好な画像を得ることができる。
【0080】
次に、本発明を適用し、クリーナーレス方式を採用した画像形成装置(帯電兼クリーニング方式並びに現像兼クリーニング方式を採用した画像形成装置)について説明する。クリーナーレス方式を採用した画像形成装置では、転写後に感光体上に残留したトナーをブレードやブラシ等によりクリーニングする従来のクリーニング装置を省略して、感光体上の残留トナーを現像器もしくは帯電器に回収するようにしており、廃棄トナーの減少、装置の小型化を図ることができる。この画像形成装置は、モノクロ機にもカラー機にも適用可能である。以下では、カラー機に適用した例について、図5、図6を用いて詳しく説明する。
【0081】
図5は、帯電兼クリーニング方式並びに現像兼クリーニング方式を採用したカラー印字方式の画像形成装置を示す説明図である。また、図6は、図5において各色の画像を形成するために感光体およびその周辺に配置される各装置の構成を示す説明図である。図5に示す画像形成装置200は、クリーニング部170a〜170dの替わりに、帯電調整部材としての異物攪乱装置280a,280b,280c,280dが設けられている点で、図4に示す画像形成装置100と異なる。また、異物攪乱装置280a〜280dを設けたことに伴い、帯電器220a〜220dと現像部240a〜240dの構成が図4に示す画像形成装置100から若干変更されている。このため、異物攪乱装置280a〜280dと、この異物攪乱装置280a〜280dに関係する帯電器220a〜220dおよび現像部240a〜240dについて、図6を用いて説明することとし、その他の説明は省略する。なお、図5の各色の帯電器等には、各色に対応して符号の末尾にa、b、c、dの文字を付しているが、図6では末尾の文字を省略した符号を付して全ての色を代表させている。
【0082】
まず、図6に示した帯電調整部材としての異物攪乱装置280について説明する。異物攪乱装置280は、感光体101上の異物の凝集塊を攪乱(攪拌)してほぐすことによって、帯電器220(帯電ローラ202)および現像部240(現像ローラ241)による異物の吸着効率を高めるために設けられている。ここで、感光体101上の異物とは、例えば、転写工程後に記録紙に転写されずに感光体101上に残留したトナー(残留トナー;負残留トナーおよび正残留トナー)や、感光体101の表面に付着した紙粉等の残留異物のことである。
【0083】
図6に示すように、異物攪乱装置280は、導電性ブラシ(トナー攪乱部材)281および攪乱電圧電源282を備えている。そして、転写ローラ105よりも下流側であって帯電器220よりも上流側に配置されている。導電性ブラシ281は、その先端を感光体101の表面と接触するように配設されたブラシであり、感光体101上の異物の凝集塊を攪乱する。攪乱電圧電源282は、導電性ブラシ281に対し、転写バイアスと同極性(+)の直流に交流電圧を重畳した攪乱電圧を印加する。このような異物攪乱装置280により、感光体101上の異物の電荷を調節するようにしている。
【0084】
具体的には、画像形成装置200では、帯電器220によりマイナス帯電された感光体101表面を露光して静電潜像を形成し、この潜像の電荷消失部分に、現像部240によりマイナス帯電されたトナーを吸着させる反転現像を行うようにしている。このため、トナーは、転写領域(感光体101と転写ローラ105の対向部位)までは、略全てがマイナス帯電している。ところが、転写領域を越えて感光体101上にトナーが残留した場合、転写領域では高電圧の転写バイアス(例えば+2kV)が印加されるため、残留トナーの帯電量は幅広い分布となっており、全体としてはプラス帯電となっている。つまり、転写領域を越えた直後の残留トナーは、若干の負残留トナー(マイナス帯電している残留トナー)と、大半を占める正残留トナー(プラス帯電している残留トナー)とが混在した状態となっている。
【0085】
そして、異物攪乱装置280では、導電性ブラシ281にプラスの攪乱電圧を印加することによって、残留トナーをより正帯電側にシフトさせ感光体101上の正残留トナーを増加させて、後述する帯電ローラ202による異物吸着効率を向上させるようにしている。また、この導電性ブラシ281における直流の攪乱電圧により、トナー以外の異物(例えば紙粉)も、プラスに帯電させる。なお、攪乱電圧電源282によって、導電性ブラシ281に交流電圧(交番電圧)を印加するようにしてもよい。
【0086】
次に、帯電器220について説明する。帯電器220は、感光体101を一様にマイナス帯電する機能に加えて、転写後に感光体101上に残留している異物のうち、プラス帯電しているものを感光体101から除去する機能を有している。ここで、プラス帯電している異物とは、正残留トナーおよびプラス帯電した紙粉等である。つまり、帯電器220は、プラス帯電している異物(およびその凝集魂)を、帯電ローラ202の表面に吸着することによって、感光体101の表面から除去する、帯電兼クリーニング装置である。
【0087】
帯電ローラ202は、感光体101に押圧されることによって帯電ニップが形成され、感光体101と連れ周りで回転する。ただし、帯電ニップにトナーが混入するのを防止するために駆動系によって、感光体101の回転方向と同方向に回転(アゲンスト回転)するようにしてもよい。
【0088】
そして、帯電ローラ202は、帯電バイアス電源(図示せず)によって印加される帯電バイアスにより、感光体101表面をマイナス帯電させるとともに、感光体101上に残留しているプラス帯電している異物を電気的に吸着する。
【0089】
クリーニング部材(回収部材)221は、帯電ローラ202に吸着された異物を掻き取って帯電ローラ202の表面を清掃するために、帯電ローラ202に当接するように設けられている。クリーニング部材221の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。なお、画像形成装置200は、クリーニング部材221により掻き取られた異物を現像部240の現像槽内に搬送(回収)する機能も有しており、クリーニングブレードやトナー搬送スクリューを含んでいる。
【0090】
次に、現像部240について説明する。現像部240は、感光体101上の静電潜像を現像してトナー像を形成する機能に加えて、転写後に感光体101上に残留している異物のうち、マイナス帯電しているものを感光体1から除去・回収する機能を有している。ここで、マイナス帯電している異物とは、例えば、負残留トナーや紙粉等である。つまり、現像部240は、マイナス帯電している異物(およびその凝集魂)を、現像ローラ241の表面に吸着することによって、感光体101の表面から除去する、現像兼クリーニング装置である。
【0091】
現像ローラ241は、現像領域(感光体101と現像ローラ241の対向部位)において感光体101にトナーを供給して静電潜像を現像する一方、現像領域よりも上流側において感光体101上に残留しているマイナス帯電している異物を静電的に除去するようにしている。なお、現像ローラ241に吸着されたマイナス帯電している異物(特に負残留トナー)は、現像ローラ241の回転に伴って、現像ローラ241よりも奥に備えられているトナー供給ローラ242により掻き落とされ、攪拌されることによって十分に帯電される。
【0092】
図7は、前述の帯電兼クリーニング方式並びに現像兼クリーニング方式をモノクロ機に適用した構成の一例を示す説明図である。図7に示す構成例は、図5の画像形成装置と比べて現像部分を二成分現像方式とした点が異なるが、その他の構成で大きな相違はない。
【0093】
現像兼クリーニング方式(並びに帯電兼クリーニング方式)を採用したクリーナーレス方式を採用した画像形成装置において、帯電ローラの基層の導電方式を電子導電性材料とイオン導電性材料の2種類を組み合わせたバイブリッド方式とすることで、感光体中に含有される粒子の最大径を45μmとした場合でも、感光体リークを起こさず、長期間良好な画像を得ることができる。このため、感光体製造のコストダウンが可能となる。
【0094】
また、従来では必要であった感光体の導電性支持体にアルマイト処理や熱硬化性樹脂をコートした高価な感光体を使用することなく、従来の熱可塑性樹脂によるコートを施した導電性支持体を有する感光体を使用した場合であっても、感光体リークの発生を防止することができ、良好な画像を得ることができる。
また、導電性ブラシ281を転写ローラ105よりも下流側であって帯電器220よりも上流側に配置、つまり、転写領域と帯電ニップとの間に配置することによって、トナー攪乱効果を確保することができ、長期にわたって安定した画質を得ることができる。
【0095】
(実施例)
以下、本願発明の実施例1〜実施例9、および従来のものとの比較例1〜比較例5を示し、帯電部材の作製、感光体の作製、感光体のリーク確認、帯電部材の表面粗さ測定、画質確認の試験等についての結果を示す。
【0096】
実施例1
<帯電部材の作製>
Φ9の導電性支持体上にイオン材料とカーボンを分散させて半導電性としたNBR層を形成し、その上にカーボンを分散させて半導電としたNBR層を形成することでΦ14の帯電部材を作成した。材料の配合を下記に記す。
−弾性層−
NBR 100重量部
エステル系可塑剤 25重量部
カーボンブラック 45重量部
第4級アンモニウム塩 1重量部
炭酸カルシウム 25重量部
酸化亜鉛 1重量部
ステアリン酸 1重量部
ジベンゾチアゾールジスルフィド 1重量部
テトラメチルチウラムモノサルファイド 1重量部
硫黄 1重量部
−表面層−
NBRラテックス 50重量部
SBRラテックス 50重量部
イオウ系加硫剤 5重量部
カーボンブラック 5重量部
【0097】
<表面粗さ測定>
表面粗さ計(小坂研:SE−30H)を用いて帯電ローラの10点平均粗さ(Rz)を測定した。上記帯電ローラの場合、6.5μmであった。
【0098】
<動抵抗の測定>
帯電部材(帯電ローラ)の動抵抗測定を温度25℃、湿度50%の環境において行った。図8は、帯電ローラの動抵抗を測定したときの様子を説明するための説明図である。測定の手順は以下のとおりであった。まず、帯電部材302と感光体303を実際の条件で圧接した。そして、感光体を実際の条件で回転、移動させ、帯電部材を実際の条件で回転、固定、移動させた。感光体を実際の帯電電位(本実験では、−620Vとした)に帯電させるために電源301を用いて電圧Vaを帯電部材に印加した。この条件下で、感光体に流れ込む電流値Ia(μA)を電流計304で測定した。
次に、感光体の代わりに感光体と同一形状の導電性の円筒電極(ステンレス製)を挿入した。感光体をドラム型の円筒電極に代えた以外は、帯電ローラの円筒電極への押圧力(10.3gf/cm)等は全て上記の実験と同様として、外部電源より電圧を印加した。円筒電極に感光体への流れ込み電流値と同じIa(μA)を流し、このときに印加されている電圧値から抵抗値を算出した。この値を帯電部材の動抵抗R(Ω)とした。上記帯電ローラの動抵抗Rは、2.74×106(Ω)であった。
【0099】
<帯電部材の水の接触角測定>
水の接触角計(協和界面化学:CA−VP)を用いて帯電ローラの水の接触角を測定した。
上記帯電ローラの水の接触角は、94°であった。
【0100】
<動摩擦係数測定>
帯電ローラ1の表面に対して、感光体ドラムの表面材をPETシートに塗布して作製した幅10mmのテープ材を100gの荷重を押し当てて移動させた場合の動摩擦係数を測定した。測定機材として、表面性測定機(新東化学:HEIDON−14D)を用いた。その結果、上記帯電ローラの動摩擦係数は、0.4であった。
【0101】
実施例2
Φ9の導電性支持体上にイオン材料とカーボンを分散させて半導電性としたエピクロルヒドリン層を形成し、その上にカーボンを分散させて半導電としたフッ素ゴム層を形成することでΦ14の帯電部材を作成した。帯電ローラの配合を下記とした以外は、実施例1と同様の測定を行った。
−弾性層−
エピクロルヒドリンゴム 100重量部
エーテルエステル系可塑剤 15重量部
カーボンブラック 10重量部
第4級アンモニウム塩 1重量部
炭酸カルシウム 30重量部
酸化亜鉛 5重量部
脂肪酸 2重量部
ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド 1重量部
テトラメチルチウラムモノスルフィド 0.5重量部
硫黄 1重量部
−表面層−
フッ素ゴム 100重量部
フッ化カーボン 20重量部
アミン系硬化剤 2.5重量部
【0102】
<表面粗さ測定>
上記帯電ローラのRzは、2.5μmであった。
<動抵抗の測定>
上記帯電ローラの動抵抗Rは、9.72×105(Ω)であった。
<帯電部材の水の接触角測定>
上記帯電ローラの水の接触角は、127°であった。
<動摩擦係数測定>
上記帯電ローラの動摩擦係数は、1.0であった。
【0103】
(比較例1)
Φ9の導電性支持体上にカーボンを分散させて半導電性としたEPDM層を形成し、その上にカーボンを分散させて半導電としたナイロン12のチューブを被せることでΦ14の帯電部材を作成した。帯電ローラの配合を下記とした以外は、実施例1と同様の測定を行った。
−弾性層−
EPDM 100重量部
カーボンブラック 25重量部
分子末端変性ワックス 5重量部
ジクミルパーオキサイド 25重量部
エチレングリコールジメタクリレート 2重量部
−表面層−
ナイロン12 100重量部
カーボンブラック 20重量部
【0104】
<表面粗さ測定>
上記帯電ローラのRzは、0.5μmであった。
<動抵抗の測定>
上記帯電ローラの動抵抗Rは、1.97×106(Ω)であった。
<帯電部材の水の接触角測定>
上記帯電ローラの水の接触角は、88°であった。
<動摩擦係数測定>
上記帯電ローラの動摩擦係数は、0.21であった。
【0105】
(比較例2)
Φ9の導電性支持体上にカーボンを分散させて半導電性としたシリコンゴム層を形成し、その上にカーボンを分散させて半導電としたフッ化ビニリデンのチューブを被せることでΦ14の帯電部材を作成した。帯電ローラの配合を下記とした以外は、実施例1と同様の測定を行った。
−弾性層−
シリコンゴム 100重量部
カーボンブラック 7重量部
加硫剤 2重量部
−表面層−
フッ化ビニリデン樹脂 100重量部
ポリウレタン樹脂 5重量部
カーボンブラック 10重量部
【0106】
<表面粗さ測定>
上記帯電ローラのRzは、4.5μmであった。
<動抵抗の測定>
上記帯電ローラの動抵抗Rは、5.71×105(Ω)であった。
<帯電部材の水の接触角測定>
上記帯電ローラの水の接触角は、109°であった。
<動摩擦係数測定>
上記帯電ローラの動摩擦係数は、0.8であった。
【0107】
(比較例3)
Φ9の導電性支持体上にイオン導電性のエピクロルヒドリンゴム層を形成し、その上にフッ素を含有したイオン導電性のエピクロルヒドリンゴム層を形成することでΦ14の帯電部材を作成した。帯電ローラの配合を下記とした以外は、実施例1と同様の測定を行った。
−弾性層−
エピクロルヒドリンゴム 100重量部
四級アンモニウム塩 2重量部
炭酸カルシウム 30重量部
酸化亜鉛 5重量部
脂肪酸 5重量部
エーテルエステル系可塑剤 15重量部
硫黄 1重量部
ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド 1重量部
テトラメチルチウラムモノスルフィド 0.5重量部
−表面層−
エピクロルヒドリンゴム溶液 100重量部
溶剤可溶型フッ素樹脂溶液 40重量部
【0108】
<表面粗さ測定>
上記帯電ローラのRzは、11.5μmであった。
<動抵抗の測定>
上記帯電ローラの動抵抗Rは、3.76×106(Ω)であった。
<帯電部材の水の接触角測定>
上記帯電ローラの水の接触角は、100°であった。
<動摩擦係数測定>
上記帯電ローラの動摩擦係数は、0.33であった。
【0109】
以上の実施例1、2および比較例1〜3で用いた帯電部材の材質及び特性測定結果を表にまとめた。表1は、実施例1、2および比較例1〜3の各帯電部の材質を示す。表2は、実施例1、2および比較例1〜3の各帯電部材の特性測定結果である。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
実施例3
<感光体の作製>
感光体は、直径30mm、全長362mm、表面粗さRmax1.0μmに調整したアルミニウム製の円筒状の導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成することによって作製する。
【0113】
酸化チタン(石原産業(株)製:TT055A)7重量部と、共重合ナイロン(東レ(株)製:CM8000)13重量部とを、メチルアルコール159重量部と、1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し下引き層用塗液を調整した。この下引き層用塗液を塗布槽に満たし、この塗布槽に、上記導電性支持体を浸漬し引き上げ、さらに自然乾燥して膜厚1μmの下引き層を形成した。
【0114】
そして、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.3°に回折ピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(電気化学工業(株)製:#6000−C)1重量部とを、メチルエチルケトン98重量部に混合しペイントシェーカーにて分散処理し電荷発生層用塗液を調整した。この電荷発生層用塗液を各種フィルタにて濾過し、感光体中の最大粒子径を制御した。その後、上記下引き層上に塗布、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
【0115】
続いて、ブタジエン化合物((株)高砂ケミカル製:T405)100重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製:Z300)150重量部と、添加剤として2,6−ビス−tert−ブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)製:スミライザーBHT)5重量部とを混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の電荷輸送層用塗液を調整した。この電荷輸送層用塗液を上記電荷発生層上に塗布し、110℃にて1時間乾燥して膜厚21μmの電荷輸送層を形成した。
上記塗工液を濾過するフィルタを変更し、各種フィルタにて感光体に含有する粒子径を制御して作製した6本の感光体を光学顕微鏡で観察し、含有する最大粒子径の測定をおこなった。また、表3に示すように、含有する最大粒子径の大きさ別にそれぞれ実施例3〜6、比較例4、5とした。即ち、実施例3は、感光層が含有する最大粒子径が0.8μmであるのに対して、実施例4、5、6は、それぞれ感光層が含有する最大粒子径が2.0μm、15.0μm、45.0μmである。また、比較例4、5は、それぞれ感光層が含有する最大粒子径が55.0μm、97.0μmである。これらの感光体を用いて感光体リーク、画質の評価を行った確認結果を表3に記す。
【0116】
【表3】

【0117】
<感光体リーク、画質確認>
図4に示す感光体101および帯電ローラ102を用いた画像形成装置100として、上述のように作製した実施例1の帯電ローラおよび実施例3〜6、比較例4、5の感光体を画像形成装置(シャープ(株)製:AR−C260)を使用して、感光体リーク確認試験を行った。そして、次に示すバイアス等のプロセス条件を除いては、AR−C260の基本条件で試験を行った。帯電ローラ302の感光体301への押圧力を、線圧10.3gf/cmとし、帯電ローラ302を感光体301に連れ周りで回転させた。帯電ローラ302のシャフト部に外部より立ち上がり時間0.1msecの高圧電源を用いて、−1220Vの直流電圧を印加し、感光体301表面電位を−620Vとした。
【0118】
そして、このような画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リーク、画質の評価結果を表3に記す。感光体中に含有される粒子の最大径が0.8〜45.0μmの場合、A3サイズの30000枚コピー後でも感光体のリークや粒子による画像欠陥は目視では確認できなかった。一方、感光体中に含有される粒子の最大径が55.0μm以上の場合、30000枚コピー以前でリークが発生した。また、97.0μmの粒子の場合は、目視による画像欠陥が確認された。
以上の実施例における確認結果より、感光層に含有される粒子の最大粒子径が、従来技術では大きすぎて感光体リークのおそれのあった1マイクロメートルよりも大きく45マイクロメートル以下の範囲において感光層リークを回避でき、良好な画質が得られる。十分なマージンを考慮すると、より好ましくは1マイクロメートルよりも大きく15マイクロメートル以下の範囲である。
【0119】
実施例7
導電性支持体の表面粗さRmaxによる感光体リーク、画質への影響を検討した。
アルミニウム製の円筒状の導電性支持体を、直径30mm、全長323mm、表面粗さをRmax0.2〜3.0μmに調整した以外は、実施例3と同様の製法の感光体を試用した。今回、感光体に含有される最大粒子径は、20〜40μmであった。その後、上記下引き層上に塗布、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
【0120】
図1に示す感光体1および帯電ローラ2を用いた画像形成装置10として、上述のように作製した実施例1の帯電ローラおよび実施例3〜6、比較例4、5の感光体を用いた画像形成装置(シャープ(株)製:DM2515)を使用して、感光体リーク確認試験を行った。そして、次に示すバイアス等のプロセス条件を除いては、AR−C260の基本条件で試験を行った。帯電ローラ2の感光体1への押圧力を、線圧10.3gf/cmとし、帯電ローラ2を感光体1に連れ周りで回転させた。帯電ローラ2のシャフト部に外部より立ち上がり時間0.1msecの高圧電源を用いて、−1180Vの直流電圧を印加し、感光体1表面電位を−600Vとした。
【0121】
そして、このような画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リーク、画質の評価結果を表4に記す。
【0122】
【表4】

【0123】
感光体の導電性支持体の表面粗さRmaxを0.5〜2.0μmとした場合、リークの発生、画像欠陥は見られなかった。一方、Rmaxが0.2μmの場合は、縞模様が見られた。また、Rmaxが3.0μmの場合は、30000枚コピーを行う前にリークが発生した。
以上の実施例における確認結果より、感光体リークを回避でき、干渉縞の影響を受けない導電性支持体の表面粗さは、0.5〜2.0マイクロメートルの範囲が好ましい。十分なマージンを考慮すると、感光体リークを回避するためのより好ましい範囲は0.5〜1.0マイクロメートルの範囲である。一方で、干渉縞の影響を考えると、最も好ましい値は1.0マイクロメートルである。
【0124】
実施例8
感光体の電荷輸送層膜厚に対する感光体リークの影響を検討した。
帯電部材は、実施例1のものを使用し、感光体は、実施例3と同様の製法で電荷輸送層の膜厚を変化させたものを5種類用意した。今回、感光体に含有される最大粒子径は、20〜40μmであった。
【0125】
画像形成装置は、シャープ(株)製:AR−C260の改造機を使用した。帯電ローラ302の感光体301への押圧力を、線圧10.3gf/cmとし、帯電ローラ302を感光体301に連れ周りで回転させた。帯電ローラ302のシャフト部に外部より立ち上がり時間1.1msecの高圧電源を用いて、−1220Vの直流電圧を印加し、感光体301表面電位を−620Vとした。
上記に示すバイアス等のプロセス条件を除いては、AR−C260の基本条件で試験を行った。
【0126】
そして、上記の画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リーク確認試験を行った。結果を表5に記す。
【0127】
【表5】

【0128】
電荷輸送層膜厚21〜38μmにおいては、感光体リークが発生しなかった。ただし、膜厚15μmの感光体ドラムを用いた場合、膜厚が12μmまで減少した時点でリークが発生した。
以上の実施例における確認結果より、感光体リークを回避できて良好な画質が得られる電荷輸送層の膜厚は、15〜38マイクロメートルである。感光体リークを回避する観点から十分なマージンを考慮すると、より好ましい範囲は15〜21マイクロメートルである。さらに画質を考慮すると、最も好ましい値は15マイクロメートルである。
【0129】
実施例9
帯電部材の表面粗さRzに対する画質への影響を検討した。
帯電部材は、実施例1と同様の製法で作製し、表面層に添加してる導電性フィラーの粒径等の調整により、Rzの調整を行った。
感光体は、実施例5で使用したものを用いた。
【0130】
画像形成装置は、シャープ(株)製:AR−C260の改造機を使用した。帯電ローラ102の感光体101への押圧力を、線圧10.3gf/cmとし、帯電ローラ102を感光体101に連れ周りで回転させた。帯電ローラ102のシャフト部に外部より立ち上がり時間30msecの高圧電源を用いて、−1220Vの直流電圧を印加し、感光体101表面電位を−620Vとした。
【0131】
そして、このような画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リーク確認試験を行った。結果を表6に記す。
【0132】
【表6】

【0133】
表面粗さRzが0.5〜14.5μmにおいては、帯電不良等なく、良好な画像が得られた。表面粗さRzが17.3μm以上の場合は、部分的に帯電不良が画像に表れ、問題であった。
以上の実施例における確認結果より、均一な帯電による良好な画質が得られる表面粗さRzの範囲は、0.5〜14.5マイクロメートルである。十分なマージンを考慮すると、より好ましい範囲は0.5〜11.0マイクロメートルである。
【0134】
実施例10
電源の立ち上がり時間に対する感光体リークへの影響を検討した。
帯電部材は、実施例1〜2、比較例1〜3に記載のものを、感光体は実施例5で使用したものを用いた。
【0135】
図4に示す感光体101および帯電ローラ102を用いた画像形成装置100として、上述のように作製した実施例1の帯電ローラおよび実施例3〜6、比較例4、5の感光体を用いた画像形成装置(シャープ(株)製:AR−C260)を使用して、感光体リーク確認試験を行った。そして、次に示すバイアス等のプロセス条件を除いては、AR−C260の基本条件で試験を行った。帯電ローラ102の感光体101への押圧力を、線圧10.3gf/cmとし、帯電ローラ102を感光体101に連れ周りで回転させた。帯電ローラ102のシャフト部に−1220Vの直流電圧を印加し、感光体101表面電位を−620Vとした。この時の高圧電源は、立ち上がり時間0.002msec〜90msecの6種類のものを用いた。
【0136】
そして、このような画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リークの評価を行った。結果を表7に記す。
【0137】
【表7】

【0138】
※感光体リークは発生しなかったが、感光体周期でローラ材料の移行と見られる 画像欠陥が見られた。
以上の実施例における確認結果より、感光体リークを回避できる立ち上がり時間の好ましい範囲は、0.02〜90ミリ秒である。十分なマージンを考慮すると、より好ましい範囲は、0.02〜50ミリ秒である。
【0139】
実施例11
クリーナーレスシステムでの感光体リーク性の検討を行った。
帯電部材は、実施例1、比較例2のものを使用し、感光体は、実施例5で使用したものを用いた。
【0140】
画像形成装置は、シャープ(株)製:AR−C260の改造機を使用した。帯電ローラ102のシャフト部に外部より立ち上がり時間30msecの高圧電源を用いて、−1220Vの直流電圧を印加し、感光体101表面電位を−620Vとし、クリーニングブレードの代わりにトナーを撹乱するための導電性ブラシを設置し、DCバイアス:+500V、振幅:1kV、周波数:250Hzのバイアスを撹乱ブラシに印加した。上記に示すバイアス等のプロセス条件を除いては、AR−C260の基本条件で試験を行った。
そして、このような画像形成装置において、A3サイズ原稿を30000枚コピーした後の感光体リーク確認試験を行った。結果を表8に記す。
【0141】
【表8】

【0142】
帯電部材としてハイブリッドローラを使用したシステムにおいては、感光体リークが生じず、長期に亘って良好な画像が得られた。電子導電性のローラでは、感光体リークが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】この発明の接触帯電装置の実施の一態様を示す説明図である。
【図2】図1に示す感光体1の層構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す帯電器20の構造を示す断面図である。
【図4】この発明の接触帯電装置を備えるカラー印字方式の画像形成装置の構造を示す説明図である。
【図5】帯電兼クリーニング方式並びに現像兼クリーニング方式を採用したカラー印字方式の画像形成装置を示す説明図である。
【図6】図5において各色の画像を形成するために感光体およびその周辺に配置される各装置の構成を示す説明図である。
【図7】前述の帯電兼クリーニング方式並びに現像兼クリーニング方式をモノクロ機に適用した構成の一例を示す説明図である。
【図8】帯電ローラの動抵抗を測定したときの様子を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0144】
1、101、101a、101b、101c、101d 感光体
1a 導電性支持体
1b 下引き層
1c 電荷発生層
1d 電荷輸送層
1e 感光受容層
2、102a、102b、102c、102d、202 帯電ローラ
2a 導電性支持体
2b 弾性層
2c 抵抗層
4、241 現像ローラ
20、20a、120、120a、120b、120c、120d、220、220a、220b、220c、220d 帯電器
21、221 クリーニング部材、回収部材
30、130、130a、130b、130c、130d 露光部
40、140、140a、140b、140c、140d、240、240a、240b、240c、240d 現像部
50 転写部
60、160 定着部
70、170、170a、170b、170c、170d クリーニング部
80 帯電器電源
81、281 導電性ブラシ、トナー攪乱部材
82、282 攪乱電圧電源
100、200 画像形成装置
105、105a、105b、105c、105d 転写ローラ
150 転写搬送ベルト部
151 転写ベルト駆動ローラ
152,154 転写ベルト従動ローラ
153 転写ベルトテンションローラ
155 転写ベルト
157 転写ベルトクリーニング部
157a クリーニングブレード
160 定着部
161 ヒートローラ
162 加圧ローラ
180 給紙トレイ
181 ピックアップローラ
182 レジストローラ
184 搬送方向切換ガイド
185 搬送ローラ
186 側面カバー
190,191 排紙トレイ
242 トナー供給ローラ
280、280a、280b、280c、280d 異物攪乱装置
300 帯電ローラの動抵抗測定装置
301 電源
302 帯電部材
303 感光体
304 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体の表面上あるいは導電性支持体の表面に形成した下引き層上に感光層を形成してなる感光体と、
表面が感光層と接触しながら回動するように配置され軸と表面との間に導電性弾性体層を有する帯電ローラと、
感光体の導電性支持体と帯電ローラの軸部との間に直流の帯電電圧を印加する帯電用電源とを備え、
前記導電性弾性体層が、弾性材料中に電子導電性材料とイオン導電性材料とを分散させて導電性を持たせたことにより帯電電圧によって帯電ローラと感光層の間を流れる電流が局部的に集中して感光層の絶縁破壊を生じない程度の導電性を有することを特徴とする電子写真プロセス用の接触帯電装置。
【請求項2】
前記帯電ローラの導電性弾性体層に含有される電子導電性材料が、カーボンブラック、グラファイトまたは導電性金属酸化物からなる請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項3】
前記帯電ローラの導電性弾性体層に含有されるイオン導電性材料が、アルカリ金属塩または四級アンモニウム塩からなる請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項4】
前記感光層が、1マイクロメートルよりも大きく45マイクロメートル以下の最大径の粒子を含有する層である請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項5】
前記導電性支持体が、感光層を形成する表面に0.5〜2.0マイクロメートルの表面粗さを有する請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項6】
前記感光層が、導電性支持体上に形成された電荷発生層と電荷発生層上に形成された層厚が15〜38マイクロメートルの電荷輸送層からなる請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項7】
前記導電性支持体が、アルミニウムの表面に熱可塑性樹脂を塗布してなる請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項8】
前記帯電ローラが、感光層に接する表面に0.5〜14.5マイクロメートルの表面粗さを有する請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項9】
前記帯電用電源が、帯電電圧の印加開始から帯電ローラ軸部電圧が目標電圧に達するまでの立ち上がり時間が0.02〜90ミリ秒である請求項1記載の接触帯電装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の接触帯電装置を備える電子写真方式の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置が、カラー画像を形成するために互いに異なる色の画像を形成するための複数の感光体と、
感光体を帯電するために各感光体に対応して配置された前記接触帯電装置を備える請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
感光体表面の帯電粒子を現像部側へ吸着して感光体をクリーニングする機能を有する現像部と、
請求項1〜9のいずれか一つに記載の接触帯電装置とを備えることを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
【請求項13】
帯電ローラ表面をクリーニングする帯電ローラクリーニング部をさらに備えることにより、前記接触帯電装置が感光体のクリーニング機能を有する請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
転写後に感光体表面に残留したトナーを攪乱するトナー攪乱部材が前記接触帯電装置の手前に配置され、
残留トナーがトナー攪乱部材で攪乱された後に接触帯電装置を通過するように構成される請求項12または13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−154565(P2006−154565A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347734(P2004−347734)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】