説明

有機物質の除去のための組成物および方法

基材,例えば電子デバイス基材,例えば超小型電子ウェハまたはフラットパネルディスプレイからの有機物質の除去のために有用な組成物および方法を提供する。最小体積の組成物をコーティングとして無機基材に適用することによって、十分な熱を加え、そして直ちに水でリンスして完全な除去を実現する方法を提供する。これらの組成物および方法は、ポジ型およびネガ型の種類のフォトレジスト、更に電子デバイスからの熱硬化性ポリマーを除去および完全に溶解させるのに特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件は、米国仮出願番号第61/164,195号(2009年3月27日出願)(その開示の全部を参照により本明細書に組入れる)に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的には、基材からの有機物質の除去に関する。特に、本発明はある範囲の組成物を電子デバイス,例えば半導体ウェハおよびフラットパネルディスプレイ(FPD)および他の超小型電子基材からのアモルファスおよび熱硬化性のポリマーの両者の除去に適用する万能の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
種々のポリマー(フォトレジストおよび有機系誘電体が挙げられる)が電子デバイスの製造において用いられる。フォトレジストは、例えば、フォトリソグラフィ操作において半導体装置製造を通じて用いられる。レジストは、フォトマスクを通して化学線に露光する。ポジ作用レジストを用いる場合、露光によって材料中の化学反応が生じ、水性アルカリ中での溶解性の増大がもたらされ、これを溶解させて現像液でリンス除去することができる。ネガ作用物質の場合、露光領域内ではポリマーの架橋が生じ、一方、露光していない領域では変化なしのままである。露光していない領域は溶解に供し、好適な現像液化学物質によってリンスする。現像後、レジストマスクは残しておく。レジストマスクの設計および形状は、レジストのポジ型またはネガ型に左右される;ポジ型レジストはフォトマスクの設計に一致することになり、一方ネガ型レジストはフォトマスク設計と逆のパターンを与えることになる。フォトレジストの使用は、幾つかの洗浄ステップ(次の回路設計プロセスステップを実施する前にマスクの最終的な洗浄を伴う)を必要とする。
【0004】
有機系誘電体は、超小型電子回路に対する絶縁特性を与えるために用いるエンジニアリングポリマーを代表する。これらの化学物質の例としては、ポリイミド(PI)およびポリ−(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)(Hitachi−DuPont Microsystems製)が挙げられる。電子機器用の別の一般的な有機絶縁体は、ビスベンゾシクロブテン(BCB)(USA−based,Dow Chemical Company製)である。これらのポリマーは、従来のスピン、スプレーを用いてフォトレジストと同様の様式にて基材に適用し、またはこれらは、FPDの製造における一般的な実施であるようにスリットコートする。これらの適用理由のために、有機系誘電体はしばしば、スピンオン誘電体という場合がある。ポリマーを適用すると、これらはパターニング工程に進むことができるが、最終的にはこれらの系の全ては最終段階硬化をもたらす。これは、化学的および物理的な特性が変化させることによって、その場の物質を不変に所定位置に固定する。最終物質は、電気回路の性能のために望ましい電気的および物理的の両者の特性を示す。これらの有機系誘電体が完全に硬化した時点で、これらは不変と考えられるため、再加工の要求は、攻撃的な物質,例えば強酸または強塩基の使用を必要とし、これは基材または隣接する金属を攻撃しやすく、またはより実際的には、再加工条件は商業的に可能ではないと考えられる。
【0005】
ポジフォトレジストは、一般的には、ノボラックまたはポリヒドロキシスチレン(Phost)の様々な種類(フロントエンド半導体における高解像度デバイス加工およびフラットパネルディスプレイ製造のために選択されるもの)を基にする。ポジ型系は、世界で製造されるフォトレジストの最大量部分を代表し、多くの製造元が存在する。半導体およびFPDの両者についてのこれらの系の例示的な製造元としては、米国系のAZ Electronic Materials、米国系のRohm and Haas Corporation、および日本の会社であるTokyo Ohka Kogyo Co Ltdが挙げられる。ポジフォトレジスト用途においては、基材をプラズマプロセスでエッチングする。これは不活性および化学的な様々な種類のガスを用い、イオン化された、そして反応性の両者である種を生成する。これはマスクを通って移動して基材中にエッチダウンする。エッチング中、イオン化された、そして反応性の種は、基材の原子と組合せ、副生成物を形成し、そしてその副生成物は減圧されたプラズマ系を介して放出する。これらの同じガス種はまた、フォトレジストマスクに影響を与え、これを所定位置内にベーキングし、そしてまた炭素含有副生成物をプラズマ中に排出する。フォトレジスト副生成物は、プラズマ中で他の種と混合され、そして連続的に基材に向かって降下する。これらの物質は凝縮して、エッチングされた機構の側壁に沿って残渣を形成し、所望の条件を生成し(他に異方性エッチングともいう)、これにより種は高度に制御され、そして側部の損失を殆どまたは全く伴わずに基材中に導かれる。完了時には、このエッチ残渣、更にはレジストマスクを除去することが望ましい。これらは後続のプロセスへの有害な影響を有しデバイス性能の低下またはデバイス不具合を招来する可能性があるからである。しかし、このような残渣およびその関連するレジストマスクは、除去が困難である可能性があり、通常は配合された剥離剤化学物質の使用を含む。
【0006】
ネガ型フォトレジストは、一般的には、より厳密なプロセス条件のために選択することによって、より攻撃的な化学的または熱的な曝露プロセスを用いる場合がある。これらのネガ型フォトレジストとしては、イソプレン(ゴム)、アクリル系、およびエポキシ系の樹脂が挙げられる。環化イソプレン(ゴム)フォトレジストは、これらの高い耐化学物質性のために選択される。これらのフォトレジストの例は、Fujifilm Electronic Materials,Ltd.から、商品名SC−ResistまたはHNR−Resistで得ることができる。ネガ型イソプレン樹脂レジストは、アルミニウム加工において一般的である。ここで簡単な化学物質エッチングを用いて、マスクされた機構を取り囲む金属を除去する。ネガ型アクリル系フォトレジストは、ウェハレベルパッケージングバンプ配合物のために一般的に選択される。供給元としては、米国系のE.I.duPont de Nemours and CompanyのPrinted Circuits Divisionから商品名Ristonで、そして日本のJSR Corporationから、ドライフィルムおよびスピンオン(ウエット)ネガアクリル系が、それぞれ挙げられる。ドライフィルムおよびスピンオンアクリル系は、25〜120ミクロン(μm)(対応するソルダーバンプのパターンに用いる)の厚い層を堆積させる能力を与える。パターンを形成したら、電気めっきまたはスクリーン印刷、それぞれ加熱された酸にレジストを曝露し、または250℃超でベーキングするプロセス、によって金属の堆積を生じさせる。別の一般的なネガレジストである、エポキシ系(商品名SU−8TMで)は、元はInternational Business Machines(IBM)によって開発され、現在は米国の会社であるMicroChem CorporationおよびGersteltec Engineering Solutions(スイス系の会社)により販売されている。SU−8TMは、高アスペクト比(例えば、高さ 対 幅)を有し、そして極めてまっすぐな側壁を示すパターン規定を有する、300ミクロン(μm)を超える厚いパターンのために一般的に選択される。SU−8TMエポキシ樹脂の極めて特異な特徴により、この種のフォトレジストは、大型デバイス(そして最も一般的にはマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)が挙げられる)を製造するために選択される。様々なネガ型フォトレジストは、ポジ型と顕著に異なり、これらの洗浄(除去)の実施は更により厳密である。実際、SU−8TMフォトレジストは、不変系であり、より複雑で、時間がかかり、そしてコスト高の実施によってのみ除去されると考えられると一般的に理解されている。
【0007】
フォトリソグラフィを含む任意のプロセスと同様に、次のプロセスに首尾よく進行させるために基材からフォトレジストを完全に除去することが望ましい。フォトレジストの不完全な剥離は、次のエッチングまたは堆積のステップの間の不規則性をもたらす可能性がある。これは品質および収量の問題の原因となる。例えば、ソルダーバンピングの間、レジスト汚染は、基板アセンブリのリフロープロセスの間に金属ソルダーが金属パッドを濡らし、完成したアセンブリにおける収量損失をもたらすことを防止できる。同じフォトレジスト汚染は、ラインデバイスパターニングのフロントエンドにおける有機汚染として現れ、エッチングまたは堆積のプロセスにおいて全く同じ非湿潤の問題をもたらす。このような不規則性は、どんなに小さいかは問題でなく、最終デバイスの組立ておよび試験の間までの製造全体に亘って、問題を拡大させ続け、条件は、悪い機械的および電気的な接触を招来し、これは高い抵抗および熱、またはより悪くは壊滅的な電気的短絡を生じさせる。
【0008】
これらの化学プロセスの各々全体を通じて、洗浄における最大選択性および高いスループットが不具合なく兼ね備えられなければならないことを理解できる。性能不足、残存物の存在、またはより悪くはプロセス複雑性の浮上に関連するいずれの問題も、全てが収量の低下およびコストの増大をもたらすことになる。
【0009】
ポジ型レジストの化学的性質は、典型的には親水性(極性)およびアモルファス(すなわち、熱硬化および架橋しない)であることが一般的に理解され、そしてこれらの理由により、これらの系は従来の溶媒および/または化学的剥離剤を用いて洗浄(除去)することがより容易であると確信されている。ポジ型の化学的性質の樹脂は、ノボラック(クレゾール、フェノール−ホルムアルデヒド)またはポリヒドロキシスチレン(Phost)のいずれかを基にし、スチレン化コポリマーおよび/またはアクリル系/PMMA(ポリメチルメタクリレート)の選択を有する場合もある。これらの化学構造は、良好な接着を与え、そして多様な表面を固定し、一方で、ノボラック(すなわち、クレゾール、ビスフェノール等)の種々の形で存在する水酸基は、水性溶解性を助ける分子間水素結合を与える。この条件は、光変換中に開始剤ジアゾナフトキノン(DNQ)をノボラック系中で組合せ、一方、Phost系中では、エステルの酸触媒での脱保護が、より可溶性のアルコールを形成する。100℃以下およびこれを含む通常の操作条件の間に使用する場合、これらの系は、極性溶媒中で可溶性のままである。一方、これらのUV−露光は、水性ベース中に可溶な対応物を生成する。
【0010】
ここで示すように、ポジ型レジストは、プラズマ系エッチングのための主要なイメージングマスクとして用いる。このプロセスの間、プラズマ中の種は、マスクを温度150℃超に曝露する間に、エッチング残渣を生成する。エッチング残渣(例えば側壁のポリマー)はフォトレジストの有機構成成分を有するプラズマの副生成物からなることが周知である。残渣の化学構造は基材、金属トポグラフィ、およびプラズマガスの構成成分を含む場合があり、ケイ素、ガリウム、ヒ素、ホウ素、ホスフェート、チタン、タンタル、タングステン、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、フッ素、塩素、更に炭素含有化合物を包含する。ヒドロキシル構成成分を含有するノボラック系において、これらの高温曝露条件は、不溶性種を形成する更なる反応を促進する。水酸基とハライドおよび活性金属とのこのような反応性は、プラズマの特に加熱された、および酸性の条件において、アルキルハライド、エステル、および幾つかの場合では高分子量ポリマーを生成することが公知である(Morrison,R.T.およびBoyd,R.N.,Organic Chemistry,3rd Ed.,Allyn&Bacon,Inc.,Boston MA,Ch.16(1973))。エッチング残渣の従来の洗浄および高温プラズマエッチングの効果に起因する曝露過度のフォトレジストマスクは、プロセスおよび器具に応じて長時間高温で加工される化学的剥離剤の使用を必要とする。
【0011】
バルク樹脂の剥離検討を予測するために用いる典型的な測定としては、ガラス転移(Tg)の熱分析評価が挙げられる。比較的変化しないTg値は、ポジ型フォトレジストおよび同様のアモルファス系で観察される(Fedynyshyn,T.ら,Proc.SPIE 6519,65197−1(2007))。フォトレジストにおけるTgの検出可能な増大は、溶媒における蒸発損失(これはひいてはフォトレジストコーティングの厚みに左右されることになる)の関数であることが観測されてきた。最も特筆すべきは、観測されるTgの増大(放射線照射および熱曝露(ポリマー架橋を伴う)による)である(J.D.D’Amourら,Proc.SPIE 5039,966(2003))。高温曝露ノボラック樹脂およびネガ型系のこのような架橋は、増大したTgの値によって検出可能な、より高分子量の種の存在と一致する。
【0012】
フォトレジストエッチング残渣およびマスクの洗浄(除去)は、有機溶媒、アミン、水、還元剤、キレート剤、腐食防止剤、および界面活性剤で構成された複雑な化学構造の剥離剤の使用を必要とする。還元剤、ヒドロキシアミンは、フォトレジストおよびその残渣の溶解を促進する一方で下地のアルミニウム金属の機構の保護を与える塩基性物質として文献にて広範に列挙されている。剥離剤化学物質の使用における一般的な実施は、大量の剥離剤を洗浄すべき基材に特定温度で既定時間送達することを含む。
【0013】
産業界はアルミニウムを銅で代替して、これらのデバイスにおいて改善した性能を得ることを続けているため、剥離剤の化学構造もまた調整しなければならない。ヒドロキシアミンはアルミニウムデバイスの洗浄に対して許容可能である場合がある;しかしこれは銅に対しては攻撃的過ぎる。銅および低−K(誘電率,K)(例えばCu/低−K)を用いるデバイス構造は、ケイ素を含むエッチング残渣を除去するためにフッ素化系の化学構造を必要とする。アミンおよびアンモニア化合物は、Cuに対する錯化剤であり、銅金属のエッチング(攻撃)が観測されることが公知である。加えて、フッ素化系およびグリコール系の剥離剤化学物質は有害で高粘度を示すと考えられる。
【0014】
ウェハバンピングメタライゼーションマスクの形成において用いるネガ型フォトレジストは、一般的には、アクリル系、スチレン系、無水マレイン酸または関連モノマーおよびコポリマーを含む。このような物質を用いて感光性厚膜を製造する。これらのフォトレジストは一般的に「アクリル系」ポリマー系(主ポリマー鎖の側基により)といい、アクリル系には一般的なビニル基を含む。一般的に、アクリル系フォトレジストのドライフィルム形状は、厳密なプロセス条件に曝露することが必要である場合に選択する。この曝露の結果、ドライフィルムマスクおよび残渣の洗浄は剥離剤検討を与える。ドライフィルム系を除去する場合、材料は典型的には溶解しない。むしろ、多くの化学構造の剥離剤が材料と相互作用して基材からの隆起または剥離の原因になり、懸濁した不溶性のフレークおよび粒子の発生をもたらす。これらの不溶性物質はフィルター汚れおよび加工器具における性能低下を招来する可能性がある。これは、プロセス器具の保守のための休止時間の結果として生産性の顕著な損失を生む可能性がある。加えて、フィルターの不具合または粒子の流失は、最終製品での残渣の形成をもたらし、収量損失の原因となる場合がある。
【0015】
芳香族4級水酸化アンモニウム,例えばベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)、溶媒,例えばアルキルスルホキシド、グリコールおよび腐食防止剤およびノニオン性界面活性剤を含むレジスト剥離組成物は、多くのドライフィルムレジストをウェハ表面から完全には除去しない。同様に、ピロリドン系溶媒,例えばN−メチルピロリドン(NMP)を用いる組成物は、これらが多くのドライフィルムレジストの完全な除去を実現できないという同じ欠点を示す。一般的に、4級水酸化アンモニウムをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)としてNMP中で含む組成物は、多くのドライフィルムレジストを完全には溶解させない。上記の通り、不完全な溶解は、収量損失をもたらす汚染源となる可能性がある粒子を生成する。
【0016】
同様のことが様々なゴム系樹脂のネガ型フォトレジストについても示される。ゴムフォトレジストから生じる残渣およびマスクを洗浄するために用いる剥離剤化学物質としては、炭化水素溶媒および酸(一般的にはスルホン酸)が挙げられる。加水分解されたゴム成分の性能および乳化のために、高い酸性が必要である。代表的な阻害剤としては、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)および関連のトリアゾールであって、隣接する金属構造の攻撃を防ぐものが挙げられる。これらの化学物質のための一般的な阻害剤としては、カテコール、有害かつ発がん性の物質、が挙げられる。更に、この様々な炭化水素剥離剤のためのリンス工程は、イソプロパノール(IPA)または関連の中性および親和性の溶媒を用いなければならない。このリンスの実施は、コストの増大にも関わらず、水を剥離剤の構成成分と混合する間のpH低下に起因して、隣接する金属を攻撃する金属の効果を低下させる。親和性の問題に起因して、炭化水素系剥離剤の使用による廃物を、超小型電子加工技術において通常の有機物流から分別しなければならない。
【0017】
ポリマーおよび残渣の除去の検討に、剥離剤の化学構造の観点から注意を払うことが重要である一方、プロセスの設計および器具の適切な性能に対する同じくらいの努力が必要である。洗浄器具の主要な目的はプロセスにおける制御を与えることであることが一般的に理解される。部品バッチ間のばらつきは器具の操作によって低減される。ユニットによってなされる混合または化学物質の調整が何らなければ、器具の制御のために可能な変数としては、温度、撹拌、および時間が挙げられる。製造ラインにおけるスループットを増大させるという絶えず存在する強い圧力により、プロセス時間の低減が常に強調される。繰り返すが、化学構造の変化がなければ、これは温度および撹拌の増大のみを選択肢として残す。見込みとしては、ポリマーの溶解量の増大によりプロセス時間がより短くなる。しかし、プロセスの目的物に反する他の反応,例えば腐食量もまた、温度および撹拌の増大で増大する。加えて、そして最も重要なことに、有機物質を有する剥離剤化学構造の継続した負荷が存在し(これはバスライフの低下の原因となる)、そして性能低下を示す残留または他の現象の観測を加速する。
【0018】
温度の連続性について、バスライフは温度または撹拌の増大によって促進される場合がある。撹拌を制御して基材構造を保護しなければならず、バスライフ条件は、増大する温度で増大するポリマー溶解によって増大する。工業ガイドライン(SEMI S3−91,Safety Guidelines for Heated Chemical Baths)によって伝達される根本的な安全上の制限が存在する。SEMIに関し、液体超過温度については、液体の通常の操作温度を超える分が10℃以下であるように制御するのがよい。ここで典型的な操作温度は液体の引火点を超えない。多くの会社はより厳しい方針を設定しており、例えば引火点の10℃下で操作し、超過温度は引火点であるように設定する。これらの臨界点等はフラットパネルディスプレイ(FPD)の加工において最もよく見られる。
【0019】
FPD製造プラントにおけるレジストの剥離は、コンベアー上を1つのチャンバーから別のものに移動する大型の基材で起こる。レジストは、スプレー装置によって送達される剥離剤によってパネルから剥離され、ガラス表面全体を流れ、リンス段階に移動し、そこで蒸留、脱イオン、または脱塩された水または代替の溶媒が表面上にスプレーされ、そしてホットエアナイフを含む乾燥段階でプロセスは完了する。剥離は、少なくとも2つの製品タンクによって支持される。これは部品の流れの方向と一致して分離および区別および配置されている。器具に入る基材は、まず第1のタンクにおいて化学物質によって「洗」われる。剥離剤を基材表面上にスプレーし、そしてレジストとの反応時および基材から流し去る時に、これを収集してタンクに戻す。ここでこれを続いて加熱して濾別して、任意の懸濁しており溶解していない物質をバルクの化学物質から除去する。次いで、濾別および加熱された剥離剤をスプレーチャンバーに循環して戻し、ここでこれを連続式(これはレジスト剥離プロセスを最適化する)で基材に送達する。
【0020】
コンベアー上の部品がタンク♯1によって支持された第1のチャンバーからタンク♯2で支持された次のチャンバーに移動するに従い、剥離剤における根本的な純度変化が存在する。タンク♯2についての操作の条件はタンク♯1のためのものと同じであることができるが、存在するレジストの量はタンク♯1についてのものよりも低い。典型的な加工時間はチャンバー♯1によって規定して、レジスト剥離および最大限の除去を最適化するレジストと接触する化学物質のドウェル時間を与える。経時的に、タンク♯1は溶解したレジストのための最大充填容量に到達し、そして内容物の置換を決定することが必要になる。これが生じた時点で、タンク♯1の内容物を送って廃棄し、タンク♯2の内容物で置き換えることになる。タンク♯2の内容物は新しい剥離剤(すなわち純粋な剥離剤)で置き換える。このような様式において、システムは向流式で操作するといわれる。すなわち、部品のプロセス流を化学物質の流れ方向に対して「向」かいまたは逆にする。この実施方式を用いることにより、タンク♯1および♯2はそれぞれ、汚れ、そしてタンクを洗浄する。言い換えると、不所望のレジストをラインの前で濃縮し、一方、最も清浄な化学物質は終点近くに残すことによって、この点の後で、生成物基材をリンスおよび乾燥する。
【0021】
FPD例についてここで与えられる構造は、全てではないとしても殆どがインラインベンチ式器具と、そして多くのバッチ式加工器具と一致する。ベンチ器具において、部品は1つの配置場所から別の配置場所に移動し、一方タンクは固定位置にある。バッチ式器具において、部品は回転するが固定位置にあるままであり、一方化学物質がスプレーによって送達される。2つのタンクが存在することになり、器具は一方または他方からポンプ送りし、「汚れた」および「清浄な」タンクの使用によって向流の洗浄設計を実施する。
【0022】
これらの配合された剥離剤での加工中の選択性を実現するための同等、更には満足されていない要求が存在する。すなわち、より攻撃的な化学物質の使用は、更により少ない時間で所望の洗浄性能を実現するために実施されるため、この実施は敏感な金属および下地基材に対するダメージなしに適合させなければならない。これは、選択肢の多くの酸またはアルカリが、リンス工程中にこれらを水と混合した時点で、系のpHを急速に「急変」させ、基材金属へのガルバニック腐食の原因となるため特に困難な課題である。FPDラインでのリンス段階中、加熱したガラス表面上に水をスプレーする。これは残存剥離剤を含有する。界面活性剤はFPDラインでは用いない。発泡状態が生じ、最終的にフィルターの壊滅的な不具合、乾燥気泡のポンピング、および更に悪くは、あふれた剥離剤(これは電気的短絡を引き起こす場合があり、発火を招来する場合がある)によって製造プラントが汚染されるおそれがあるからである。界面活性剤を用いないため、有機剥離剤から水性条件までの表面張力の上昇に起因する不規則な拡散が存在する。不規則な混合および広がりは、パネル上の瞬間的なデッドスポットの原因となり、これは腐食の加速に影響する。腐食性副生成物および発泡条件は中性溶媒,例えばイソプロパノール(IPA)でのリンスで回避できる。この実施形式は、幾つかのFPD製造元によって許容されるが、高価でかつ可燃性の危険がある。
【0023】
従って、加工されたレジストを迅速な様式で除去する一方で、蒸留、脱イオンまたは脱塩された水でのリンス中の下地冶金への安全性は維持し、そして全プロセスを通じて腐食、抉れ、溶解、鈍化、または他には表面損傷を防止する、改善された剥離(stripping)組成物への要求が存在する。更に、産業界には、「グリーン」になる方に向かってより大きくなる構想が存在する。グリーンプロセスおよび関連の化学物質は、危険な物質の使用および発生を低減または排除するものである。American Chemical Society’s Green Chemistry Instituteによれば、グリーンな化学物質を規定する助けとなる12の原理が存在する。
【0024】
超小型電子加工における高分子物質のこの検討は、本格的かつ強制的な試みを産業界において与える。有機誘電体を用いる場合、硬化したポリマーを、不所望の物質を下地基材から溶解および洗浄することによって有効に再使用するために用いることができるプロセスおよび組成物に対する継続的な要求が存在する。ポジ型のフォトレジストの場合、隣接する金属構造物に不利に影響することなく基材からポリマーを有効に除去するためのプロセスおよび組成物に対する同様の継続した要求が存在する。最後に、ネガ型フォトレジストの場合、プロセスおよび組成物に対して、隣接する金属構造物に対して不利に影響することなく基材から有効にポリマーを除去することへの同じ要求が存在する。これらの物質の全てが有機物由来であるが、これらの化学的性質は種々であり、そして所望の洗浄効果を得るために解決しなければならない特異な試みを与える。
【0025】
特異な組成を有する有機物質の除去の必要性を取り扱うための要望が存在するが、迅速な部品の加工、水でのリンスを、基材への不利な影響なく可能にする器具によって支持されるプロセスを設計する試みも存在する。超小型電子工業に対して、操作の安全性を改善し、化学物質の使用を低減し、そして危険な廃棄物の発生を低減することによるグリーン化への継続した強調が存在する。これらの試みを共に考慮し、特異なポリマーの性能要求または除去されるべき残渣に応じて変わる物質の組成物であって高い性能、高いスループット、グリーンプロセスを、全て所有者の低減されたコストで与えるものを使用する、一貫した統一的なプロセスの提供に対する差し迫った要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
発明の要約
本発明に係る態様は、無機基材から有機樹脂を洗浄するための組成物に関し、該組成物は:
溶媒または溶媒混合物;および
イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せであって、該スルホネート基が芳香核に結合しており、該金属が、リチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択されるもの 0.5質量%超;
を含み;
該溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
別の態様は、無機基材から有機樹脂を除去するための組成物に関し、該組成物は:
有機溶媒または溶媒混合物を約0.5質量%〜約99.0質量%、ならびに
イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せであって、該スルホネート基が芳香核に結合しており、該金属が、リチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択されるものを0.5質量%超;ならびに
洗浄性能を向上させる、少なくとも1種の添加剤を約0.01質量%〜約99.0質量%、
含み、
該溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
更に別の態様は、無機基材から有機樹脂を除去する方法に関し、該方法は:
(i)該有機樹脂を剥離組成物でコートすること、
(ii)有機樹脂の溶解を実現するのに十分な温度までおよび十分な時間、該基材を加熱すること、
(iii)組成物および有機樹脂を除去するのに十分な体積のリンス剤で該基材をリンスすること
を含み;
該コートが、約1000ミクロン以下である該基材の上の剥離組成物の層をもたらす。
【0029】
別の態様は、無機基材から有機樹脂を除去する方法に関し、該方法は:
(i)該有機樹脂を剥離組成物でコートすること、
(ii)該有機樹脂の溶解を実現するのに十分な温度までおよび十分な時間、該基材を加熱すること、ならびに
(iii)該組成物および該有機樹脂を除去するのに十分な体積のリンス剤で該基材をリンスすること、
を含み;
該コートが、スプレーコート、スピンコート、またはスリットコートを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、剥離組成物および剥離方法を提供する。これらは迅速および有効にポリマー有機物質を、無機基材から、金属、非金属、および金属化された非金属の基材から除去する。一態様において、剥離組成物は、水溶性モノマーおよび種々の添加剤を含み、これは熱可塑性または熱硬化性の性質の有機物質およびその残渣を有効に除去する。これは電子加工における超小型回路の製造の基本原理を含む。該方法は、基材上に組成物をコートすること、基材を特定温度に既定時間(有機物質の溶解を実現するのに十分な)加熱すること、そして終わりにリンス剤,例えば水でのリンスによって副生成物を除去すること、の実施を規定する。組成物および方法は協働して、製造において、従来の剥離剤プロセスでは通常見られない性能および他の所望の目標を与える。除去すべき有機物質は、顧客のプロセスに曝露された際に、硬い化学耐性の骨格構造に硬化される場合があるが、本発明は、許容可能な性能を維持することが見出される。
【0031】
組成物および方法は、半導体ウェハ製造に対する特別な適用性(例えば半導体ウェハからの有機フィルムおよび残渣の除去において)を有する。このような有機物質が、たとえば、後エッチングされたウェハ上に、フロントエンド加工中に、またはバックエンドウェハレベルパッケージングにおいて(ウェハバンピングプロセス中)存在する。組成物および方法は、除去できる程度に硬い物質(例えば完全硬化ポリイミドおよびドライフィルムフォトレジストの残渣)をウェハから除去するために特に好適である。
【0032】
本発明は、ポリマー有機物質を基材から有効に除去できる剥離組成物および剥離方法を提供するが、これはノボラック(すなわちクレゾールホルムアルデヒド)およびポリヒドロキシスチレン(Phost)の両者のポジ型フォトレジスト、ネガ型種(アクリル系、イソプレン(すなわちゴム)およびエポキシ(すなわちSU−8TM)等、を包含するフォトレジスト、更に誘電体(ポリイミド、ポリベンズオキサゾール(PBO)、およびビスベンゾシクロブテン(BCB)等)の除去にも適合する。剥離組成物および剥離方法は、他のフォトレジスト,例えば多層フォトレジストおよび化学増幅型フォトレジストの除去もできる。これらの有機物質は、基材(例えば基材(例えばウェハまたはフラットパネルディスプレイ)上の電子装置(金属、半導体、および関連する有機物質等の種々の層および構造を含むことができるもの))の製造において採用される。典型的な基材物質としては、例えば、半導体物質,例えばケイ素、ガリウムヒ素およびリン化インジウムおよびサファイア、更にガラスおよびセラミックが挙げられる。
【0033】
本開示で用語「水拡散性(water-dissipatable)」または「水分散性」を用いる場合、これはモノマー(成分B)に対する水または水性溶液の活性を意味することが理解されよう。用語は、水または水性溶液がモノマー物質をその中および/またはまたはそれを介して溶解および/または分散させる場合を網羅することを特に意図する。
【0034】
用語「剥離」、「除去」および「洗浄」は本明細書を通じて互換的に用いる。同様に、用語「剥離剤」「除去剤」および「洗浄組成物」は互換的に用いる。用語「コート」は、基材にフィルムを適用する方法、例えばスプレーコート、パドルコート、スリットコートまたは浸漬として規定する。用語「フィルム」または「コーティング」は互換的に用いる。不定冠詞“a”および“an”は、単数および複数の両者を包含することを意図する。全ての範囲は端点を含み、任意の順番で組合せ可能である。但しそのような数値範囲が合計最大100%をなすという制約が明確にある場合は除く。用語「質量%」は、特記がない限り、剥離組成物の成分の総質量基準での質量パーセントを意味する。
【0035】
本発明に係る方法は、無機基材を本発明に係る組成物の浴中に浸す(または好ましくは組成物をコーティングとして無機基材に適用することによる)ことを含むことができる。基材を組成物中に浸すか、または組成物を全領域に適用して覆いもしくはコートしたならば、基材の加熱を開始する。速い加熱速度を所望温度に到達するまで生じさせ、そして所望時間の間保持する。これに代えて、基材を中に浸す浴は所望温度に維持できる。リンス剤でのリンス、続いて乾燥工程を行う。実施の全体の方法は、3つの区別される工程、すなわち、コート、加熱、およびリンスを含む。本明細書で用いる用語「リンス剤」は、剥離すべき組成物および物質を除去する任意の溶媒を包含する。リンス剤の例としては、水、アセトン、イソプロピルアルコールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本発明の態様は、それにより本発明に係る組成物または他の剥離組成物を液体コーティングとして、除去すべき物質との直接接触で適用する方法に関する。該方法は、任意の場合に約25℃から約400℃または約100℃から約250℃まで加熱することを含む。温度の変動性は有機物質の性質および厚みに左右される。加熱工程プロセス時間は、約5秒間〜約10分間、約10秒間〜約8分間、または更に約30秒間〜約4分間であることができる。更に、全体プロセス時間は、任意の場合で15秒間未満〜180秒間、幾つかの場合に5分間〜10分間で変えることができる。時間の変動性は除去すべき物質、その厚み、および曝露条件に左右される。例えば、Phostまたはノボラック樹脂については、加熱工程は約15秒間〜約1分間であることができる。しかし、他の、より高度に硬化した樹脂について、加熱工程は約2〜4分間または更により長く続くことができる。有機物質の拡散が完了した時点で、リンス剤(例えば蒸留、脱イオン、または脱塩した水)でのリンスを行うことができる。
【0037】
リンスは、組成物中の水溶性モノマーの存在によって促進される。このモノマーは無機基材から除去すべき有機物質のキャリア系として働く。リンスのために用いるリンス剤は、温度約5℃〜約100℃であることができる。しかし、リンスはまた室温で行うことができ、2つの目的、溶解した有機物質を除去すること、そして基材の温度を次段階の加工を進められるように低減すること、のために実施できる。
【0038】
本発明において用いる物質の組成物は、種々のものの溶媒系となる主要成分を含む。例えば、構造(I)R−CO21からなる群から選択される1種以上のエステル、構造(II)R2−CO224(OC24n−OR3,(III)R4−CO236(OC36n−OR5および(IV)R6OCO27のグリコールエーテルエステル、構造(V)R8OH,(VI)R9OC24(OC24nOH,(VII)R10OC36(OC36nOH,(VIII)R11(OC24nOH,および(IX)R12(OC36nOHから選択されるアルコール、構造(X)R13COR14から選択されるケトン、構造(XI)R15SOR16から選択されるスルホキシド、ならびにアミド,例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン(式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は独立に水素またはC1−C14−アルキル基から選択され、そしてnは1〜10の繰り返し単位を表す。)が挙げられる。更に、好適な溶媒としては、これらに限定するものではないが、ケトン,例えばシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルプロピルケトン、およびメチルアミルケトン、エステル,例えばイソプロピルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、メチルプロピオネート、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、エチル2−ヒドロキシプロピオネート(エチルラクテート(EL))、エチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート、エチルヒドロキシアセテート、エチル2−ヒドロキシ−3−メチルブタノエート、メチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、メチル3−エトキシプロピオネート、メチルピルベート、およびエチルピルベート、エーテルおよびグリコールエーテル,例えばジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、グリコールエーテルエステル,例えばエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、芳香族溶媒,例えばメチルベンゼン、ジメチルベンゼン、アニソール、およびニトロベンゼン、アミド溶媒,例えばN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−メチルホルムアニリド、ならびにピロリドン,例えばN−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、ジメチルピペリドン、2−ピロール、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン(HEP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン(CHP)、ならびに硫黄含有溶媒,例えばジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンおよびテトラメチレンスルホンが挙げられる。これらの有機溶媒は個別にまたは組合せで(すなわち他との混合物として)使用できるが、好ましい溶媒系は、ジエチレングリコール(DEG、Eastman Chemical Company)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DM Solvent、Eastman Chemical Company)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DE Solvent、Eastman Chemical Company)、またはジエチレングリコールモノプロピルエーテル(DP Solvent、Eastman Chemical Company)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB Solvent、Eastman Chemical Company)またはこれらの混合物を含有するのがよい。
【0039】
組成物の態様は、1種以上の溶媒を約0.5質量%〜約99.5質量%で含む。一態様において、溶媒は、溶媒組成物中に約40質量%〜約97質量%、または約60質量%〜約90質量%で存在する。
【0040】
ある態様において、組成物はまた、モノマーを含有し、これは水溶性、水分散性、または水拡散性の特性を示し、約0.5質量%〜約99.5質量%で存在し、そして、これらに限定するものではないが、水溶性または水分散性または水拡散性である、芳香核に付いている少なくとも1つの金属スルホネート基を含有する多官能スルホモノマーから選択されるものに由来し、0.5質量%以上の濃度(すなわち水中のモノマー)と評価され、そしてスルホネート基の金属は、Na、Li、K、およびこれらの混合物である。組成物は、これらの前記したモノマーの1種以上を、約0.5質量%〜約99.5質量%で含む。一態様において、モノマーは組成物中に、約2〜約59質量%、または約5質量%〜約35質量%で存在する。
【0041】
水溶性モノマーの例は、イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せから選択される。ここでスルホネート基は芳香核に付いており、金属は、リチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択される。一般的に、好適なモノマーは、5−ソジオスルホイソフタル酸ならびにその塩およびエステルであり、特に、5−ソジオスルホイソフタル酸のジエチレングリコールジエステルである。
【0042】
組成物に対する添加剤は、100万分の約100部(ppm)〜約99質量%の有機または無機の由来のアルカリまたは酸を含むことができる。例えば水酸化アンモニウム、4級ヒドロキシド,例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、およびベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)、アミン,例えばトリエチレンテトラミン、アルカノールアミン,例えばモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン、元素ヒドロキシド、またはアルコキシド,例えばカリウム3級ブチルヒドロキシド(KTB)、アルキルスルホン酸,例えばメタンスルホン酸(MSA)、トルエンスルホン酸(TSA)、およびドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ギ酸、脂肪酸、硫酸、硝酸、またはリン酸;基材組成物の保護剤として定義される阻害剤,挙げられるものとしてキレート剤、錯化剤、または還元剤であって公知の種々のもの,例えばベンジルヒドロキシド,例えばカテコール、トリアゾール、イミダゾール、ボレート、ホスフェート、およびアルキルまたは元素シリケート、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、および2,4−ペンタンジオン、還元糖、ハイドロキノン、グリオキサル、サリチルアルデヒド、酸,例えばクエン酸およびアスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、またはバニリンの1種以上を含むもの;ならびに界面活性剤であって公知の種々のもの,例えばノニオン性ノニルフェノールおよびノニルエトキシレート、アニオン形,例えばアルキルスルホネート、ホスフェートエステル、およびサクシネートならびにフッ化物系の1種以上からなるもの、が挙げられる。添加剤は、約0.1質量%〜約95質量%、約1.0質量%〜約50質量%、または約5.0質量%〜約35質量%で存在できる。
【0043】
組成物はまた、基材組成物用の保護剤として働く阻害剤を含むことができる。阻害剤としては、キレート剤、錯化剤、または還元剤が挙げられ、公知の種のものの1種以上を含み、挙げられるものは、ベンジルヒドロキシド,例えばカテコール、トリアゾール、イミダゾール、ボレート、ホスフェート、およびアルキルまたは元素シリケート、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、および2,4−ペンタンジオン、還元糖、ハイドロキノン、グリオキサル、サリチルアルデヒド、脂肪酸,例えばクエン酸およびアスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、またはバニリンがある。
【0044】
本発明に係る組成物はまた、界面活性剤を含むことができ、公知の種々のものの1種以上が挙げられ、挙げられるものとしては、ノニオン性ノニルフェノールおよびノニルエトキシレート、アニオン形,例えばアルキルスルホネート、ホスフェートエステル、およびサクシネートならびにフッ化物系がある。
【0045】
基材に対する接触は、組成物を浴に浸すことによって、またはコーティング法を用いて行う。超小型電子加工において、スピンコートはコーティングを基材に適用するために用いる第一選択の方法である。しかし、FPD加工におけるようなより大型の基材のためには、スプレースピンコートおよびスリットコート等の他の方法が存在する。全ての場合において、目的は完全な被覆を実現する方式で組成物を適用することである。通常、殆どのコーティングの適用は、高い程度の均一性に関わる。本発明の方法において、厚みは、典型的には最大値で1000ミクロン(1μm=1×10-6m)オーダーに設定するのがよいが、有機物質が極めて薄い幾つかの場合には、組成物の厚みはより小さいことができる。本発明の一態様において、コーティングは、最大約800ミクロン厚、約200〜約600ミクロン厚、または約300〜約400ミクロン厚であることができる。本発明のために組成物をスピンコートするための一般的な方法は、材料を基材の中央に分配し、装置を低速の回転動作速度で操作(すなわち毎分100回転、rpm、未満)することである。液体の送達は、静的な方法で行うことができ、これにより流体は表面上に「パドル」されることになる。動的な方法もまた用いることができ、ここでは基材が既に動いているときに材料を分配する。新しいプロセスセットアップのための早期段階の間に、rpmおよび時間の実際の条件を、基材を最小限または皆無の廃棄物で完全に被覆することを確保するような様式で設定することが必要な場合がある。この条件はプロセス目的物には無関係であるため、エッジビード形成を心配する必要はない。
【0046】
スピン速度の取り扱いは、超小型電子工業において用いる多くの装置の一般的な焦点である。基材の回転は、これらの特性に対する直接的な作用を有し、そして種々のコーティング結果を与える。低スピン速度では、流体の可動性は低く材料損失は少ないが、基材の被覆の不規則性も生じる場合がある。これに代えて、高いスピン速度は高い可動性および高い材料損失をもたらす。スピンコートは産業界で標準的な方法であるが、経験から、許容可能な厚み均一性の厚いコーティングは、スプレーコート法で実現できる。コートが完了した時点で、プロセスの熱活性化を直ちに進めることができる。
【0047】
熱の適用は幾つかの経路で行うことができる。手動操作については、単純なホットプレートを使用できる。これは基材を1つの位置から別の位置に動かすことを必要とする。自動操作を考える場合には、ベースチャックまたはオーバーヘッドIR熱源(convection source)を用いて熱を適用する間、ウェハを固定したままにすることができる。制御およびスループットに関する実際の人間工学的および事業計画的な懸案事項は、装置設計の分野の当業者によって容易に決定できる。適切な加熱形態が行われたならば、撹拌バッチにおいてまたは直接スプレー接触によってのいずれかで、リンス剤でリンスすることにより組成物および有機樹脂を除去できる。
【0048】
本発明の剥離組成物は、アモルファス有機物質,例えば種々のPhostまたはノボラックのポジ型フォトレジストの上で用いる際、溶解環境を維持することによって機能する。このような場合および曝露条件が150℃以下の中程度の温度を含む場合、最低限の構成成分,例えば溶媒系および水溶性モノマーを含有する組成物は、本発明の方法の条件でコートおよび加工する。十分な温度に加熱する場合、迅速な溶解が生じ、そして組成物中へのフォトレジストの拡散が迅速に進んで完了する。添加剤,例えばアルカリ剤、阻害剤、および界面活性剤を用いて、高度にベーキングされた(すなわち>150℃)フォトレジストを伴う良好な結果を得ることができる。剥離組成物中に含有される添加剤の使用における利点としては、溶解度(架橋フォトレジストの鹸化に起因して)が改善される一方で、剥離およびリンスの工程の間、曝露された金属を阻害剤が保護することを挙げることができる。
【0049】
有機アルカノールアミン化合物は、ポジ型フォトレジストのアルカリ鹸化および乳化に好ましく、1種以上の低分子量の候補物が挙げられ、これは例えばモノエタノールアミン(MEA)、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン(AEEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、またはジグリコールアミン(DGA)、およびこれらの組合せである。ネガ型アクリル系フォトレジストまたは硬化した熱硬化性ポリイミドが除去すべき候補物である場合、組成物は強アルカリ、すなわち、4級水酸化物、金属水酸化物、またはアルコキシドを必要とする。
【0050】
コーティングおよび残渣を除去するためのここで与える検討と同様に、組成物はまた、ネガのイソプレン(ゴム)レジストおよびネガのエポキシ(SU−8TM)フォトレジストの除去のためにも適用される。ポジ型フォトレジストならびにネガ型のアクリル系およびポリイミドを評価してきたが、組成物の選択は除去すべき物質に左右される。ネガのイソプレンについて、化学構造は疎水性(非極性)であり、そして架橋されたゴム系はアルカリに反応せず、酸に反応するのみである。ゴムフォトレジストは、芳香族溶媒および疎水性酸,例えばドデシルベンゼンスルホン酸を必要とする。ネガのエポキシフォトレジストについて、化学構造は親水性(極性)でゴムフォトレジストと同じであり、これらの系もまたアルカリには反応しない。好ましい系は、親水性酸,例えばメタンスルホン酸(MSA)または硫酸を組入れるものである。これらの系は全て、水溶性モノマーを含有し、フォトレジストの適切なリンス、続いて溶解を促進する。
【0051】

本発明を、以下の例によって限定なく更に例示する。与えられる全てのパーセントは特記がない限り質量基準である。これらの例において、本発明の性能および選択性の測定は、産業界によって容易に許容される方法を用いて実施する。そのような場合には、測定は光学顕微鏡によって行い、そして必要な場合には、金属基材上の高感度重量検討によるエッチング速度評価を用い、そして必要な場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたより詳細な検討を行った。以下の例において、シリコンウェハを無機基材として用い、その上に有機物質を適用して硬化させた。表1中の以下の事項は除去すべき有機物質、その調製方法、およびそれらの入手源を表す。
【0052】
【表1】

【0053】
適用可能な場合、有機物質は、Brewer Science,Inc.CB−100コーターを用いたコーティング法、および続いて液体形状のポリマー物質を無機基材に適用するための標準的なプロトコルで適用する。物質をコートしたならば、これをソフトベーク工程に、短い60秒のホットプレートベーク(100℃にて)のために送る。ネガのアクリル系レジストについて、物質を、365nmでの広帯域型の発光および高露光量0.12W/cm2−秒で、30分間の過剰時間、紫外光に露光する。露光後、ウェハを予定したハードベーク温度でレジストに応じた時間、後露光ベークした。ウェハサンプルを作製したならば、これらを試験のために分類する。例2〜5における試験は全て互いに同一に、同じウェハおよび取り扱い方法を用いて行う。各ウェハを作業台で分類する。ここで発明を実証する。本発明の組成物を事前に準備して確保しておく。対象の組成物をウェハ表面の一部に適用することによって本発明の方法を試験する。次いでウェハを直ちに、所望の加工温度で予熱してあるホットプレートに移す。ウェハをホットプレート上に置いた時点で、デジタルタイマーを開始させる。予め設定した時間が経過した時点で、ウェハを取り出して、洗浄ボトルからの、蒸留、脱イオン、または脱塩した水で直ちにリンスする。リンスしたウェハを観察し、そして乾燥させておく。追加の観察を行い、結果を記録する。
【0054】
全ての場合で、モノマーの導入は、事前に形成した原液を添加することによって得た。これらの原液は、親水性溶媒(成分A)および水溶性または水分散性または水拡散性のモノマー(成分B)からなっていた。選択されるモノマーは、種々の多官能スルホモノマーであって、芳香核についている少なくとも1つの金属スルホネート基を含有するものから選択した。これは水溶性または水分散性または水拡散性であり、0.5質量%以上の濃度(すなわち水中のモノマー)と評価される。このようなモノマーは当業者に周知であり、そして5−スルホイソフタル酸のジエチレングリコールジエステル、5−スルホイソフタル酸のエチレングリコールジエステル、5−スルホイソフタル酸のアルキルジエステル、5−スルホイソフタル酸のアリールジエステル、および5−スルホイソフタル酸、のリチウム塩およびナトリウム塩のようなモノマーが挙げられる。他のモノマーとしては、フェノールスルホネート、アルコキシベンゼンスルホネート、およびアリールオキシベンゼンスルホネートの塩が挙げられる。選択された溶媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル(Eastman DM Solvent)、ジエチレングリコールエチルエーテル(Eastman DE Solvent)、ジエチレングリコールプロピルエーテル(Eastman DP Solvent)、ジエチレングリコールブチルエーテル(Eastman DB Solvent)、エチレングリコールプロピルエーテル(Eastman EP Solvent)、およびエチレングリコールブチルエーテル(Eastman EB Solvent)であった。スクリーニング試験において、溶液をモノマーと溶媒とのペアの各々について10、20および30質量%固形分で試みた。これらの原液は、撹拌器、凝縮器、および接続された窒素源を有する丸底フラスコに溶媒を添加することによって調製した。次いで適切量のモノマーを添加し、溶液が得られるまで撹拌しながら混合物を加熱した。
【0055】
表は、洗浄組成物の質量%基準での成分、そして洗浄プロセスの有効性を試験するために用いた洗浄条件の説明を含む。用語「清浄である」は目視検査によるフォトレジスト樹脂の完全な除去を意味し、「清浄でない」は目視検査によるフォトレジスト樹脂の部分的な除去を意味し、そして「変化なし」は目視検査により、フォトレジスト樹脂がプロセス条件下で攻撃されたことを示さないことを意味する。5−スルホイソフタル酸のジエチレングリコールジエステルのナトリウム塩の溶液(I)(ジエチレングリコール(DEG)中)を用いて、以下の例において本発明を例示する。例3は、他の5−スルホイソフタルモノマーの使用を例示する。
【0056】
例1
表2は、表1に説明するようにコートしたノボラック樹脂について行った洗浄検討の結果を含む。樹脂を15分間200℃で硬化させた。洗浄段階についてのプロセス温度は100℃、150℃、および200℃であった。
【0057】
【表2】

【0058】
例2
表3は、表1に説明するようにコートしたPhost樹脂について行った洗浄検討の結果を含む。樹脂を15分間200℃で硬化させた。全ての洗浄組成物は、6質量%のスルホポリエステル、24質量%のDE Solvent、そして残部の70質量%は表4に示す2種の添加剤からなる。洗浄段階についてのプロセス温度は100℃、150℃、および200℃であった。
【0059】
【表3】

【0060】
例1および2は、硬化したノボラック樹脂およびポリヒドロキシスチレン樹脂をシリカウェハから洗浄する本発明の一般的な利用を示す。ポリヒドロキシスチレン樹脂(例2)の場合、全ての洗浄組成物は、100〜150℃で30〜60秒間の洗浄条件を用いた硬化した樹脂の除去において有効であった。ノボラック樹脂(例1)について、洗浄は、樹脂の満足できる除去を実現するためにプロセス温度100℃超を必要としたが、幾らかかの除去は全ての報告された条件下で示している。両者の例において、DE Solventを含有する組成物によって樹脂を除去できたことが見出された。このような溶媒の添加は、種々のコーティングプロセスステップにおいて本発明を利用するために必要な粘度の管理の利益を与えることができた。
【0061】
例3
表4は、20質量%の5−ソジオスルホイソフタル酸(SSIPA)、5−リチオスルホイソフタル酸(LiSIPA)、5−ソジオスルホイソフタル酸のエチレングリコールジエステル(EGSIPAジエステル)、および5−ソジオスルホイソフタル酸のジエチレングリコールエチルエーテルジエステル(DESIPAジエステル)を、ノボラック樹脂およびポリヒドロキシスチレン樹脂を除去するための洗浄組成物として含有する試験組成物に対して行った洗浄検討による結果を含む。樹脂を15分間200℃にて硬化させた。洗浄段階のためのプロセス温度は100℃で60秒間であった。
【0062】
【表4】

【0063】
表4中のデータは、5−スルホスルホン酸および関連のエステルのより低分子量のモノマー塩を含有するエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびジエチレングリコールのエーテルの組成物が、Phost樹脂に対する洗浄組成物として良好に働くが、ノボラック樹脂の洗浄は殆ど成功しないことを示す。
【0064】
例4
表5は、表1に示すようにコートされたポリイミド樹脂について行った洗浄検討による結果を含む。樹脂を15分間150℃で硬化させた。洗浄段階のためのプロセス温度は100℃、150℃、および200℃で、種々の滞留時間であった。結果を以下に一覧にする。
【0065】
【表5】

【0066】
例4は、硬化したポリイミド樹脂は、Phostまたはノボラック樹脂よりも洗浄が困難であることを示唆する。高度に塩基性の物質,例えば2−ピロール、MEAおよびKTBを添加剤成分中で使用することのみが、低温で洗浄されたウェハに対する所望の結果を与えた。洗浄プロセスの温度が200℃に上がらないと攻撃は実証されない。
【0067】
例5
表6は、表1に示すようにコートされたアクリル樹脂について行った洗浄検討による結果を含む。樹脂を15分間150℃で硬化させた。洗浄段階のためのプロセス温度は100℃、150℃、および200℃であった。結果を以下に一覧にする。
【0068】
【表6】

【0069】
例5は、硬化したアクリル樹脂は、Phostまたはノボラック樹脂よりも洗浄が困難であるが、樹脂の満足できる除去のためにはポリイミド樹脂と同様の条件を必要とすることを示唆する。
【0070】
例6
表7は、表1に示すようにコートされたイソプレン樹脂について行った洗浄検討による結果を含む。ウェハを15分間150℃で硬化させた。洗浄段階のためのプロセス温度は100℃、150℃、および200℃であった。
【0071】
【表7】

【0072】
例6で与えられる洗浄組成物は、洗浄組成物の樹脂中への浸透を可能にするために特に疎水性(炭化水素)であるように設計した。ここに示す組成物は適切な性能を与えるのに必要な鍵となる条件を表す。
【0073】
例7
本発明の方法を更に例示するために、上記したような硬化フォトレジスト層を有するウェハを、典型的な浴または浸漬溶解のプロセスによってフォトレジストを除去するのに有用であることが当該分野で説明されている配合物でコートした。配合物は、表8に従って調製し、表1のように15分間150℃で硬化させた、イソプレンコートされたウェハ片に適用した。ウェハ片を直ちに目的温度まで60秒間加熱し、水でリンスした。フォトレジスト除去の有効性を目視検査によって判定した。
【0074】
【表8】

【0075】
例8
配合物を表9に従って調製し、表1のように15分間150℃で硬化させた、アクリルコートされたウェハ片に塗布した。ウェハ片を直ちに目的温度まで60秒間加熱し、水でリンスした。フォトレジスト除去の有効性を目視検査によって判定した。
【0076】
【表9】

【0077】
表8および9に含まれるデータは、多くの異なる配合物を用いて、本発明の方法に係るフォトレジスト除去を行うことができることを示す。場合により、高温は水不溶性の濁りまたはクラストの形成の原因となることに留意すべきである。これは温度の最適化によって緩和できる。
【0078】
本発明のその好ましい態様を特に参照して詳述してきたが、本発明の精神および範囲の中で変更および改変をなすことが可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機基材から有機樹脂を洗浄するための組成物であって:
溶媒または溶媒混合物;および
イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せであって、該スルホネート基が芳香核に結合しており、該金属が、リチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択されるもの 0.5質量%超;
を含み、
該溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
該溶媒が、約40質量%〜約97質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該溶媒が、約60質量%〜約90質量%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
無機基材から有機樹脂を除去するための組成物であって、
有機溶媒または溶媒混合物を約0.5質量%〜約95.0質量%、ならびに
イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せであって、該スルホネート基が芳香核に結合しており、該金属が、リチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択されるものを0.5質量%超;ならびに
洗浄性能を向上させる少なくとも1種の添加剤を約0.01質量%〜約99.0質量%、
含み、
該溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項5】
該溶媒が、約40質量%〜約97質量%であり、該モノマーが、約2質量%〜約59質量%であり、そして該添加剤が、約1質量%〜約50質量%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
該添加剤が、水酸化アンモニウム、4級水酸化アンモニウム、アミン、アルカノールアミン、元素水酸化物、元素アルコキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
該添加剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノメチルベンゼン、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン、カリウム3級ブチルヒドロキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
該添加剤が、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、硫酸、硝酸、リン酸またはこれらの混合物である、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
阻害剤、界面活性剤または両者を更に含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
無機基材から有機樹脂を除去する方法であって:
(iv)該有機樹脂を剥離組成物でコートすること、
(v)該有機樹脂の溶解を実現するのに十分な温度までおよび十分な時間、該基材を加熱すること、ならびに
(vi)該組成物および該有機樹脂を除去するのに十分な体積のリンス剤で該基材をリンスすること
を含み;
該コートが、約1000ミクロン以下である該基材の上の剥離組成物の層をもたらす、
方法。
【請求項11】
該組成物が:
a.約0.5質量%〜約99.0質量%の、有機溶媒または有機溶媒混合物、および
b.約0.5質量%〜約99.0質量%の、少なくとも1種の水溶性、水分散性または水拡散性のモノマー
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該組成物が、約0.01質量%〜約99.0質量%にて洗浄性能を向上させる、少なくとも1種の添加剤を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該溶媒が、約40質量%〜約97質量%であり、該モノマーが、約2質量%〜約59質量%であり、そして該添加剤が、約1質量%〜約50質量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
該モノマーが、イソフタル酸の金属スルホネート塩、イソフタル酸ジエステルの金属スルホネート塩、またはこれらの組合せからなる群から選択され、該スルホネート基が芳香核に結合しており、そして該金属がリチウム、ナトリウム、またはカリウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
該モノマーが、5−ソジオスルホイソフタル酸のジエチレングリコールジエステルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該添加剤が、水酸化アンモニウム、4級水酸化アンモニウム、アミン、アルカノールアミン、元素水酸化物、元素アルコキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
該添加剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノメチルベンゼン、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン、カリウム3級ブチルヒドロキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該添加剤が、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、硫酸、硝酸、リン酸またはこれらの混合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
阻害剤、界面活性剤または両者を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
該基材を温度約25℃〜約400℃に加熱する、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
リンス剤の温度が、約5℃〜約100℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
有機樹脂が、ポジ型フォトレジスト、ネガ型フォトレジスト、多層フォトレジスト、または化学増幅型フォトレジストを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
該無機基材が、半導体ウェハ、フラットパネルディスプレイ、または印刷回路基板を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
該コートが、スプレーコート、スピンコートまたはスリットコートを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
該リンス剤が、水、アセトン、イソプロピルアルコールまたはこれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
無機基材から有機樹脂を除去する方法であって、
(vii)該有機樹脂を剥離組成物でコートすること、
(viii)該有機樹脂の溶解を実現するのに十分な温度まで十分な時間、該基材を加熱すること、ならびに
(ix)該組成物および該有機樹脂を除去するのに十分な体積のリンス剤で該基材をリンスすること、
を含み;
該コートが、スプレーコート、スピンコート、またはスリットコートを含む、方法。

【公表番号】特表2012−522068(P2012−522068A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501990(P2012−501990)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/000770
【国際公開番号】WO2010/110847
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】