説明

樹脂組成物

【課題】エポキシ樹脂組成物に求められる基本特性を悪化させることなく、難燃性を付与した樹脂組成物、及びこれを用いた接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上と、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物及びこの樹脂組成物を含有する接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の樹脂組成物に関する。また、これを含有する多層プリント配線板、更にはその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層プリント配線板の絶縁層に使用する樹脂組成物としては、特許文献1に記載されているような樹脂組成物が耐熱性、誘電特性に優れた絶縁層を形成できることが知られている。また、特許文献2にはこの領域で使用しうる難燃剤が提案されている。しかしながら、これらを組み合わせても、難燃性と他の性能の関係がどのようになるかは不明であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開08/044766号パンフレット
【特許文献2】特開2000−212391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、樹脂組成物に求められる基本特性を悪化させることなく、難燃性を付与しうる素材を用いた樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上と特定のエポキシ樹脂を組み合わせることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1](A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[2]樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、(A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上の含有量が2〜50質量%、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする、上記[1]記載の樹脂組成物。
[3](B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂が、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]さらに、(C)無機充填材を含有することを特徴とする、上記[1]〜[3]に記載の樹脂組成物。
[5]さらに、(D)硬化促進剤を含有することを特徴とする、上記[1]〜[4]に記載の樹脂組成物。
[6]さらに、(E)エポキシ樹脂(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を除く。)を含有することを特徴とする、上記[1]〜[5]に記載の樹脂組成物。
[7]さらに、(F)フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリエステル樹脂から選択される1種以上の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする、上記[1]〜[6]に記載の樹脂組成物。
[8]絶縁層に用いる樹脂組成物であって、絶縁層の表面粗度が50nm〜280nmであり、熱膨張率が5ppm〜22ppmであり、誘電正接が0.002〜0.0065であることを特徴とする、上記[1]〜[7]に記載の樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着フィルム。
[10]上記[1]〜[8]に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
[11]上記[1]〜[8]に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする多層プリント配線板。
【発明の効果】
【0007】
シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上、特定のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物により、樹脂組成物に求められる基本特性を悪化させることなく、難燃性を付与しうる素材を用いた樹脂組成物を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、(A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
【0009】
[(A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上(以下(A)成分と言う。)]
本発明において使用されるシアネートエステル系硬化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは500〜4500であり、より好ましくは600〜3000である。
【0010】
シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0011】
市販されているシアネートエステル系硬化剤としては、下式(1)で表されるフェノールノボラック型多官能シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)、下式(2)で表されるビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)、下式(3)で表されるジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
【0012】
【化1】

[式(1)中、nは平均値として任意の数(好ましくは0〜20)を示す。]
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

(式(3)中、nは平均値として0〜5の数を表す。)
【0015】
本発明において使用される活性エステル系硬化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N−ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ化合物のエステル化化合物等の反応活性の高いエステル基を有し、エポキシ樹脂の硬化作用を有するものをいう。活性エステル系硬化剤は、特に制限はないが、1分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物が好ましく、多価カルボン酸を有する化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物から得られる1分子中に2個以上の活性エステル基を持つ芳香族化合物がより好ましく、少なくとも2個以上のカルボン酸を1分子中に有する化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とから得られる芳香族化合物であり、かつ該芳香族化合物の分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物が更に好ましい。また、直鎖状または多分岐状であってもよい。また、少なくとも2個以上のカルボン酸を1分子中に有する化合物が脂肪族鎖を含む化合物であればエポキシ樹脂との相溶性を高くすることができ、芳香族環を有する化合物であれば耐熱性を高くすることができる。特に耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物とフェノール化合物又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましい。カルボン酸化合物としては、具体的には、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。なかでも耐熱性の観点からコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、具体的には、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。なかでも耐熱性、溶解性の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、カテコール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが更に好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが更に一層好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが殊更好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノールが特に好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0016】
活性エステル系硬化剤の製造方法は特に制限はないが、公知の方法により製造することができ、具体的には、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。また、活性エステル系硬化剤としては、特開2004−277460号公報に記載の活性エステル系硬化剤を使用することもでき、市販のものを用いることもできる。
【0017】
市販されている活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むもの、フェノールノボラックのアセチル化物、フェノールノボラックのベンゾイル化物等が好ましく、なかでもジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものがより好ましい。具体的には、HPC−8000−65T(DIC(株)製、活性基当量約223)、EXB9460S−65T(DIC(株)製、活性基当量約223)、DC808(三菱化学(株)製、活性基当量約149)、YLH1026(三菱化学(株)製、活性基当量約200)、YLH1030(三菱化学(株)製、活性基当量約201)、YLH1048(三菱化学(株)製、活性基当量約245)、等が挙げられ、中でもEXB9460Sがワニスの保存安定性、硬化物の熱膨張率の観点から好ましい。
【0018】
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)成分の含有量の上限値は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%が更に好ましく、25質量%が更に一層好ましい。一方、樹脂組成物中の(A)成分の含有量の下限値は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、2質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、8質量%が更に好ましい。
【0019】
シアネートエステル系硬化剤が上記上限値より多いとめっき導体層のピール強度が低下する場合があり、上記下限値より少ないと耐熱性が低下し、熱膨張率が増加し、誘電正接が増加する場合がある。活性エステル系硬化剤が上記上限値より多いと硬化物の熱膨張率が増大する場合があり、上記下限値より少ないと低粗度で高ピール強度を得られない場合がある。
【0020】
[(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂]
本発明において使用される(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂は特に限定されるものではなく、例えば、式(4)で表されるものを用いる事ができる。なかでも、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。また、市販のものを用いる事もでき、市販されているビスフェノールAF型エポキシ樹脂としては、YL7723(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、R1〜R8は水素、フッ素、アルキル基を示し、R1〜R8が水素であるのが好ましい。)
【0023】
樹脂組成物中のビスフェノールAF型エポキシ樹脂の含有量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物中のビスフェノールAF型エポキシ樹脂の含有量の上限値は、樹脂組成物が脆くなり接着フィルムやプリプレグとしての取り扱い性が低下するのを防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%が更に好ましい。一方、樹脂組成物中のビスフェノールAF型エポキシ樹脂の含有量の下限値は、湿式粗化工程において絶縁層表面が低粗度化とめっき導体層の高ピール強度とを両立させるという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、5質量%が更に好ましい。
【0024】
活性エステル系硬化剤のエステル当量とシアネートエステル系硬化剤のシアネート当量とを合わせた総当量と、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂のエポキシ当量との比は、1:0.4〜1:2となるのが好ましく、1:0.7〜1:1.6がより好ましい。当量比が上記範囲外であると、誘電正接を低下させ、熱膨張率を低下させ、難燃性を有することが困難となる傾向にある。
【0025】
本発明の(A)成分、(B)成分を含む樹脂組成物は、湿式粗化工程において絶縁層の表面粗度が小さく、熱膨張率、誘電正接も低いという性質を有する。
【0026】
本発明の(A)成分、(B)成分を含有する樹脂組成物を用いた絶縁層の表面粗度は、後述する<粗化後の表面粗度(Ra値)の測定>に記載の測定方法により把握することができ、表面粗度(Ra値)の値を2割以上減少させることが出来る。本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の表面粗度の上限値は、微細配線を形成させるという観点から、350nmが好ましく、300nmがより好ましく、280nmが更に好ましく、260nmが更に一層好ましく、240nmが特に好ましい。一方、本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の表面粗度の下限値は、導体層と絶縁層の密着を確保するという観点から、50nmが好ましく、70nmがより好ましく、90nmが更に好ましく、110nmが更に一層好ましい。
【0027】
本発明の(A)成分、(B)成分を含有する樹脂組成物を用いた絶縁層の熱膨張率は、後述する<熱膨張率の測定>に記載の評価方法により把握することができ、熱膨張率の値を1割ほど減少させることが出来る。本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の熱膨張率の上限値は、絶縁層と導体層の熱膨張差を小さくするという観点から、32ppmが好ましく、30ppmがより好ましく、28ppmが更に好ましく、26ppmが更に一層好ましく、24ppmが殊更好ましく、22ppmが特に好ましい。一方、本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の熱膨張率の下限値は、実用的であるという観点から、5ppmが好ましく、10ppmがより好ましく、15ppmが更に好ましい。
【0028】
本発明の(A)成分、(B)成分を含有する樹脂組成物を用いた絶縁層の誘電正接は、後述する<誘電正接の測定>に記載の測定方法により把握することができ、誘電正接の値を2割ほど減少させることが出来る。本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の誘電正接の上限値は、電気信号の損失を防止するという観点から、0.01が好ましく、0.009がより好ましく、0.008が更に好ましく、0.007が更に一層好ましく、0.0065が殊更好ましく、0.006が特に好ましい。一方、本発明の樹脂組成物を用いた絶縁層の誘電正接の下限値は、実用的であるという観点から、0.002が好ましく、0.003がより好ましく、0.004が更に好ましい。
【0029】
[(C)無機充填材]
本発明の樹脂組成物は、さらに(C)無機充填材を含有させる事により、絶縁層の熱膨張率をさらに低下させることができる。 無機充填材は特に限定されるものではなく、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、シリカが好ましく、無定形シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカがより好ましく、溶融シリカが更に好ましく、球状シリカが更に一層好ましい。
【0030】
無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、無機充填材の平均粒径の上限値は、絶縁層上へ微細配線形成を行うという観点から、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.7μm以下が更に好ましい。一方、無機充填材の平均粒径の下限値は、エポキシ樹脂組成物を樹脂組成物ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下するのを防止するという観点から、0.05μm以上であるのが好ましい。
【0031】
上記無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
【0032】
本発明における無機充填材は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で表面処理してその耐湿性を向上させたものが好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。表面処理剤としては、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、メルカトプロピルトリメトキシシラン、メルカトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられる。
【0033】
無機充填材を配合する場合の含有量は、エポキシ樹脂組成物中の不揮発成分を100重量%とした場合、樹脂組成物に要求される特性によっても異なるが、10〜85重量%であるのが好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜80重量%が更に好ましく、40〜80重量%が更に一層好ましく、50〜75重量%が殊更好ましい。無機充填材の含有量が少なすぎると、硬化物の熱膨張率が高くなる傾向にあり、含有量が大きすぎると硬化物が脆くなるという傾向やピール強度が低下する傾向にある。
【0034】
[(D)硬化促進剤]
本発明の樹脂組成物は、更に(D)硬化促進剤を含有させる事により(A)成分、エポキシ樹脂等を効率的に硬化させることができる。本発明において使用される(D)硬化促進剤は特に限定されないが、金属系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0035】
金属系硬化促進剤としては、特に制限されるものではなく、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。金属系硬化促進剤としては、硬化性、溶剤溶解性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、特にコバルト(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛が好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0036】
金属系硬化促進剤の添加量の上限値は、樹脂組成物の保存安定性、絶縁性の低下を防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、金属系硬化促進剤に基づく金属の含有量が500ppmが好ましく、200ppmがより好ましい。一方、樹脂組成物中の金属系硬化促進剤の添加量の下限値は、低粗度の絶縁層表面へのピール強度に優れる導体層の形成が困難となるのを防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、金属系硬化促進剤に基づく金属の含有量が20ppmが好ましく、30ppmがより好ましい。
【0037】
イミダゾール系硬化促進剤としては、特に制限はないが、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、 1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0038】
アミン系硬化促進剤としては、特に制限はないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン(以下、DBUと略記する。)などのアミン化合物などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0039】
イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤の硬化促進剤の含有量は、特に制限はないが、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲がより好ましい。0.005質量%未満であると、硬化が遅くなり熱硬化時間が長く必要となる傾向にあり、1質量%を超えると樹脂組成物の保存安定性の低下、熱膨張率が増加する傾向となる。
【0040】
[(E)エポキシ樹脂(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を除く)]
本発明の樹脂組成物においては、(E)エポキシ樹脂(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を除く)を含有させることができる。このようなエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0041】
乾燥後の樹脂組成物の接着フィルムやプリプレグとしての取り扱い性を向上させ、溶融粘度を調整しやすくするという観点から、常温で液状のエポキシ樹脂及び/又は結晶性2官能エポキシ樹脂を配合するのが好ましい。市販されている液状のエポキシ樹脂としては、例えば、三菱化学(株)製「jER828EL」、「YL980」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「jER806H」、「YL983U」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「RXE21」(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「871」、「191P」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「604」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D](ナフタレン型2官能エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製セロキサイド「2021P」、「2081」、「3000」(脂環式エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「ZX−1658」(シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂)などが挙げられる。市販されている結晶性2官能エポキシ樹脂としては、例えば、日本化薬(株)製「NC3100」(2官能ビフェニル型エポキシ樹脂リッチ体)、三菱化学(株)製「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「YX8800」(アントラセン骨格含有型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「YDC−1312」、「YSLV−80XY」、「YSLV−120TE」、「ZX−1598A」などが挙げられる。また、誘電正接を低くさせるという観点から、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体を用いるのが好ましく、具体的には、日油(株)製「マープルーフG−0115S」、「マープルーフG−0130S−P」、「マープルーフG−0150M」、「マープルーフG−0250S」、「マープルーフG−1005S」、「マープルーフG−1005SA」、「マープルーフG−1010S」、「マープルーフG−2050M」、「マープルーフG−01100」、「マープルーフG−017581」などが挙げられる。
【0042】
常温で液状のエポキシ樹脂及び/又は結晶性2官能エポキシ樹脂を配合する場合には、その含有量は特に制限されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。この範囲よりも少ないと、接着フィルムやプリプレグとしての取り扱い性の改善効果が発揮されない傾向となり、この範囲よりも多いと硬化物の熱膨張率が増大する傾向となる。
【0043】
本発明の樹脂組成物に、(E)エポキシ樹脂(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を除く)を配合する場合には、活性エステル系硬化剤のエステル当量とシアネートエステル系硬化剤のシアネート当量とを合わせた総当量と、全エポキシ樹脂のエポキシ当量との比は、1:0.4〜1:2であるのが好ましく、1:0.7〜1:1.6であるのがより好ましい。当量比が上記範囲外であると、湿式粗化工程における絶縁層表面が低粗度化とめっき導体層のピール強度との両立が困難となる傾向にある。
【0044】
[(F)熱可塑性樹脂]
本発明の樹脂組成物には、更に(F)熱可塑性樹脂を含有させることにより硬化物の機械強度を向上させることができ、更に接着フィルムの形態で使用する場合のフィルム成型能を向上させることもできる。このような高分子化合物としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂がより好ましい。
【0045】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールAF骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。なかでも、誘電正接を低下させ、線膨張係数を低くさせるという観点から、ビスフェノールAF骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。フェノキシ樹脂の末端はフェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。市販品としては、例えば、三菱化学(株)製YL7383、YL7384(ビスフェノールAF骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、三菱化学製YL6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)や、その他東都化成(株)製FX280、FX293、三菱化学(株)製YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられる。
【0046】
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0047】
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)社製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0048】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、5000〜200000の範囲であるのが好ましい。この範囲よりも小さいとフィルム成型能や機械強度向上の効果が十分発揮されない傾向にあり、この範囲よりも大きいと(A)成分およびビスフェノールAF型エポキシ樹脂との相溶性が十分でなく、硬化後の表面凹凸が大きくなり、高密度微細配線の形成が困難となる傾向にある。なお本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0049】
本発明の樹脂組成物に、(F)熱可塑性樹脂を配合する場合、熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が少なすぎるとフィルム成型能や機械強度向上の効果が発揮されない傾向にあり、多すぎると溶融粘度の上昇と、湿式粗化工程後の絶縁層表面の粗度が増大する傾向にある。
【0050】
[(G)ゴム粒子]
本発明の樹脂組成物は、更に(G)ゴム粒子を含有させることにより、メッキピール強度を向上させることができる。本発明において使用され得るゴム粒子は、例えば、当該樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分である(A)成分やエポキシ樹脂などとも相溶しないものである。従って、該ゴム粒子は、本発明の樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
【0051】
本発明で使用され得るゴム粒子の好ましい例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は2種以上を組み合わせて使用してもよい。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
【0052】
ゴム粒子の平均粒径は、0.005〜1μmが好ましく、0.2〜0.6μmがより好ましい。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
【0053】
ゴム粒子の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
【0054】
[(H)難燃剤]
本発明の樹脂組成物は、更に(H)難燃剤を含有させることにより、難燃性を付与することができる。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX305等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂、三菱化学(株)製のYL7613等のリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0055】
[他の成分]
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、ビニルベンジル化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物、フェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
【0056】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合する方法などが挙げられる。
【0057】
本発明の樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、接着フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、銅張積層板、回路基板、ソルダーレジスト、アンダ−フィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途の広範囲に使用できる。なかでも、多層プリント配線板の製造において絶縁層を形成するために好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には一般に、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いるのが好ましい。樹脂組成物の軟化点は、シート状積層材料のラミネート性の観点から40〜150℃が好ましい。
【0058】
[接着フィルム]
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0059】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤は2種以上を組みわせて用いてもよい。
【0060】
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、樹脂組成物層が形成することができる。
【0061】
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、導体層の厚さ以上とするのが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層は10〜100μmの厚さを有するのが好ましい。
【0062】
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。また離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを使用してもよい。支持体及び後述する保護フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
【0063】
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。
【0064】
樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
【0065】
[接着フィルムを用いた多層プリント配線板]
次に、上記のようにして製造した接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
【0066】
まず、接着フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0067】
上記ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて接着フィルム及び回路基板をプレヒートし、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の接着フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0068】
また、減圧下、加熱及び加圧を行う積層工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことも可能である。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体層側からプレスすることにより行うことができる。
【0069】
プレス条件は、減圧度を1×10−2 MPa以下とするのが好ましく、1×10−3 MPa以下の減圧下とするのがより好ましい。加熱及び加圧は、1段階で行うことも出来るが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cm2 の範囲、2段階目のプレスを、温度が150〜200℃、圧力が1〜40kgf/cm2 の範囲で行うのが好ましい。各段階の時間は30〜120分で行うのが好ましい。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200(株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
【0070】
接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に硬化した樹脂組成物層(絶縁層)を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、150℃〜220℃で20分〜180分の範囲が好ましく、160℃〜200℃で30〜120分の範囲がより好ましい。
【0071】
絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが好ましい。
【0072】
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、絶縁層の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
【0073】
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱して半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。繊維からなるシート状補強基材としては、例えば、ガラスクロスやアラミド繊維等のプリプレグ用繊維として常用されている繊維からなるものを用いることができる。
【0074】
ホットメルト法は、樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、該樹脂との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいは樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様にして樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
【0075】
[プリプレグを用いた多層プリント配線板]
次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、加圧・加熱条件下で真空プレス積層する。加圧・加熱条件は、好ましくは、圧力が5〜40kgf/cm(49×10〜392×10N/m)、温度が120〜200℃で20〜100分である。また接着フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することも可能である。その後、上記で記載した方法と同様にして、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
<測定方法・評価方法>
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
【0078】
<ピール強度及び表面粗度(Ra値)測定用サンプルの調製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこなった。
【0079】
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、内層回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
【0080】
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、100℃、30分続けて180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化し絶縁層を形成した。
【0081】
(4)粗化処理
絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。この粗化処理後の回路基板をサンプル1とした。
【0082】
(5)セミアディティブ工法によるメッキ
絶縁層表面に回路を形成するために、内層回路基板を、PdClを含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、30±5μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。この回路基板をサンプル2とした。
【0083】
<粗化後の表面粗度(Ra値)の測定>
サンプル1を非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。そして、無作為に選んだ測定点の平均値を求めることにより測定した。
【0084】
<メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定>
サンプル2の回路基板の導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(株式会社ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。
【0085】
<熱膨張率の測定>
実施例及び比較例において、支持体にETFE処理したPET(三菱樹脂(株)製「フルオロージュRL50KSE」を用いた以外は同様にして、各実施例、比較例と同じ樹脂組成物層を有する接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを190℃で90分間加熱することで熱硬化させ、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置Thermo Plus TMA8310((株)リガク製)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均の熱膨張率(ppm)を算出した。
【0086】
<誘電正接の測定>
実施例及び比較例において、支持体にフッ素樹脂系離型剤(ETFE)処理したPET(三菱樹脂(株)製「フルオロージュRL50KSE」を用いた以外は同様にして、各実施例、比較例と同じ樹脂組成物層を有する接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを190℃で90分間加熱することで熱硬化させ、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。その硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し評価サンプルとした。この評価サンプルについてアジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製HP8362B装置を用い空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。5本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
【0087】
<難燃性の評価>
ガラス布基材エポキシ樹脂積層板[銅箔エッチアウト品、基板厚み0.2mm、ハロゲンフリーのコア材、日立化成工(株)製679FG]の両面に実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離した後、その上に同接着フィルムを、同条件にて更にラミネートした。最外層の接着フィルムからPETフィルムを剥離し、190℃、90分の硬化条件で樹脂組成物を硬化させた。その後、UL難燃性の試験用に12.7mm×127mmのサイズに切断し、端面をサンドペーパー(#1200その後、#2800)にて研磨し、基材厚み0.2mm、片側に絶縁層80μmが積層された燃焼性試験用テストピースを作製した。その後、UL耐炎性試験規格(UL−94)に従って、V0、V1の評価を行った。なお、10秒間接炎後の燃え残りサンプルがない場合は「×」と示した。
【0088】
<ラミネート性の評価>
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、導体厚35μmでL(ライン:配線幅)/S(スペース:間隔幅)=160/160μmの櫛歯パターン上にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。ラミネート後に空気が入り込んで樹脂組成物層に穴(ボイド)が発生しているか否かを確認した。ボイドが確認されなかった場合を「○」とし、ボイドが見られた場合を「×」とした。
【0089】
<実施例1>
4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)20質量部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量288、日本化薬(株)製「NC3000H」)10質量部、リン含有エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「TX0712−EK75」、リン含有量2.6%、エポキシ当量355の不揮発分75質量%のMEK溶液)10質量部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、三菱化学(株)製「YX6954BH30」不揮発分30質量%のメチルエチルケトン(以下「MEK」と略称する。)とシクロヘキサノンの1:1溶液)10質量部とをMEK10質量部、シクロヘキサノン5質量部、ソルベントナフサ20質量部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量232、不揮発分75質量%のMEK溶液)20質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「PT30−80M」、シアネート当量124、不揮発分80質量%のMEK溶液)8質量部と共に攪拌混合し、硬化促進剤としてイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(三菱化学(株)製「jERcure P200H50」、不揮発分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.4質量部、ナフテン酸亜鉛(II)ミネラルスピリット溶液(和光純薬工業(株)製、亜鉛8%含有)を3質量%含むアノン溶液(以下、NapZn(II)3%Anと示す。)3質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)75質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、(A)シアネートエステル系硬化剤16質量%、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂15質量%、(C)無機充填材55質量%、(D)イミダゾール系硬化促進剤0.15質量%、金属系硬化促進剤として添加した金属(亜鉛)53ppm、(E)液状エポキシ樹脂15質量%、(F)熱可塑性樹脂2.2質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスをポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm、以下PETフィルムと略す)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80〜110℃(平均95℃)で6分間乾燥した(樹脂組成物層中の残留溶媒量:約1.7質量%)。次いで、樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
【0090】
<実施例2>
4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)28質量部と、フェノキシ樹脂(重量平均分子量37000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10質量部と、シクロヘキサノン5質量部、ソルベントナフサ20質量部に撹拌しながら均一化させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC−8000−65T」、活性基当量223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)40部、硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジンの2質量%のMEK溶液(DMAP−2M)10量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)140質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、(A)活性エステル系硬化剤13質量%、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂14質量%、(C)無機充填材71質量%、(D)硬化促進剤0.10質量%、(E)液状エポキシ樹脂14質量%、(F)熱可塑性樹脂1.5質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0091】
<実施例3>
4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)20質量部と、ナフトール型エポキシ樹脂(エポキシ当量350、新日鐵化学(株)製「ESN−475V」)20質量部、フッ素含有フェノキシ樹脂(重量平均分子量44600、三菱化学(株)製「YL7383BH30」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液、ビキシレノール型エポキシ樹脂と4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノールからなるフェノキシ樹脂)6質量部をMEK10質量部、シクロヘキサノン5質量部、ソルベントナフサ20質量部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量232、不揮発分75質量%のMEK溶液)20質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「PT30−80M」、シアネート当量約124、不揮発分80質量%のMEK溶液)8質量部と共に攪拌混合し、さらに活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC−8000−65T」、活性基当量223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)12部、硬化促進剤として4−ジメチルアミノピリジンの2質量%のMEK溶液(DMAP−2M)1質量部、コバルト(III)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の1質量%のMEK溶液(以下、Co(III)1%MEKと示す)4.5質量部、及び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)140質量部、難燃剤として(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)4部、ゴム粒子としてスタフィロイド(ガンツ化成(株)製、AC3832)4質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
樹脂組成物の不揮発分中、(A)シアネートエステル系硬化剤及び活性エステル系硬化剤13質量%、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂9質量%、(C)無機充填材64質量%、(D)硬化促進剤0.01質量%、金属系硬化促進剤として添加した金属(コバルト)34ppm、(E)液状エポキシ樹脂9質量%、(F)熱可塑性樹脂0.8質量%となる。
次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0092】
<比較例1>
実施例1において、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)20質量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、三菱化学(株)製「828US」、結晶性液状樹脂)15質量部に変更する以外は全く同様にして製造した樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0093】
<参考例1>
実施例1において、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)20質量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、三菱化学(株)製「828US」、結晶性液状樹脂)15質量部に変更し、難燃剤として(三光(株)製「HCA−HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)4部を加えたこと以外は全く同様にして製造した樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0094】
<比較例2>
実施例2において、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)28質量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、三菱化学(株)製「828US」、結晶性液状樹脂)20質量部に変更する以外は全く同様にして製造した樹脂組成物ワニスを使用し、実施例2と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0095】
<比較例3>
実施例3において、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量243、三菱化学(株)製「YL7723」、結晶性液状樹脂)20質量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量169、三菱化学(株)製「828US」、結晶性液状樹脂)15質量部とし、フッ素含有フェノキシ樹脂(重量平均分子量44600、三菱化学(株)製「YL7383BH30」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)6質量部を、フェノキシ樹脂(重量平均分子量37000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)6質量部に変更する以外は全く同様にして製造した樹脂組成物ワニスを使用し、実施例3と全く同様にして接着フィルムを得た。
【0096】
結果を表1に示す。
【表1】

【0097】
表1の結果から、実施例1、2、3で得られた接着フィルムは、形成された絶縁層の誘電正接、熱膨張率、表面粗度が低く、かつ難燃性が付与されていることが分かる。一方、(B)成分を用いていない比較例1、2、3で得られた接着フィルムは、誘電正接、熱膨張率、表面粗度が共に高く、難燃性が劣っていることが分かる。そして、参考例1では難燃剤を添加することにより、難燃性が付与できたものの他の特性の改善効果が乏しく、特にピール強度の低下が顕著に現れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
絶縁層表面の粗度、誘電正接、熱膨張率を改善しつつ、難燃性を付与させることができる樹脂組成物、接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線板を提供できるようになった。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、(A)シアネートエステル系硬化剤、活性エステル系硬化剤から選択される硬化剤の1種又は2種以上の含有量が2〜50質量%、(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(B)ビスフェノールAF型エポキシ樹脂が、4,4'-[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、(C)無機充填材を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(D)硬化促進剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、(E)エポキシ樹脂(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂を除く。)を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、(F)フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリエステル樹脂から選択される1種以上の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
絶縁層に用いる樹脂組成物であって、絶縁層の表面粗度が50nm〜280nmであり、熱膨張率が5ppm〜22ppmであり、誘電正接が0.002〜0.0065であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着フィルム。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする多層プリント配線板。

【公開番号】特開2011−256300(P2011−256300A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132736(P2010−132736)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】