説明

洗浄用ノズル及びこれを用いた固体表面の洗浄方法並びに洗浄装置

【課題】必要な洗浄能力が得られる温度にまで加熱可能であり、固体表面の付着物に対する洗浄能力が十分高く、かつ洗浄後の排気に大型の設備を必要とせず、また短時間で洗浄処理を完了することができる洗浄用ノズルを提供する。
【解決手段】加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより得られる自己生成2流体Fを生成する洗浄用ノズル1であって、加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部2と、オリフィス部2の下流側に形成され、オリフィス部2の流路の断面積を拡大し、自己生成2流体Fを生成する拡径部3と、拡径部3の下流側に形成されると共にオリフィス部2の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、自己生成2流体Fを下流側に案内する整流部4とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延鋼板や切削加工品などの機械加工を施した金属から、ドライエッチ加工を施した半導体ウェハまで、種々の固体表面の洗浄度を向上させる洗浄技術に係り、特に、銅をはじめとする金属条、金属板の機械加工後の脱脂洗浄に好適に用いることができる洗浄用ノズル及びこれを用いた固体表面の洗浄方法並びに洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板、ネジ材、歯車、銅条、銅箔、銅線といった金属製品は、圧延や切削、引き抜きといった機械加工によって製造され、所定の断面形状に加工した後、表面の付着物を洗浄処理により除去する。表面の付着物としては、加工に用いる潤滑油や、加工の際に発生する金属粉などがある。
【0003】
また、半導体デバイスを製造する際のウェハや、液晶表示素子を駆動するための電子部品が形成されたガラス基板(液晶用ガラス基板)は、表面にスパッタや化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)などにより形成した薄膜材料に対して、その上にさらに成膜したフォトレジストなどのマスク材料をフォトリソグラフィによってパターニングした後、ドライエッチ加工などにより加工する。その後、マスク材料を除去し、洗浄して、必要に応じて検査工程を経て、次の薄膜材料の成膜へと進む。洗浄の対象となる表面の付着物としては、マスク材料の残渣や、ドライエッチ加工における反応生成物、搬送機構部品との接触に伴って転写される異物などがある。
【0004】
従来の付着物の除去方法として、例えば特許文献1乃至6に記載されているような、2流体スプレーを噴射する技術がある。
【0005】
また、銅をはじめとする金属条、金属板に対する従来の付着物の除去方法として、例えば非特許文献1に開示されているような、有機溶剤に浸漬することにより潤滑油を溶解して除去する技術、液中において被洗浄物に超音波を照射することにより微粒子を除去する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2959763号公報
【特許文献2】特許第3498837号公報
【特許文献3】特開平10−156229号公報
【特許文献4】特開2005−294819号公報
【特許文献5】特開2005−109112号公報
【特許文献6】特開2006−255603号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】すぐ使える洗浄技術(工業調査会、2001年)、p.262、p.137
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
機械加工を施した金属表面の洗浄に特許文献1乃至6の技術を用いる際の問題点は、気体と液体が接触することに伴い液体が蒸発し、蒸発潜熱を奪われ、温度が低下することである。一般に温度が高いほど液体の粘性が低下するので、汚染物質の洗浄液中への拡散も温度が高いほど速い。従って、洗浄能力を高めるためには洗浄液の温度を高くすることが有効であるが、特許文献1乃至6の技術を用いると高温化が困難である。
【0009】
また、半導体ウェハや液晶用ガラス基板の洗浄に特許文献1乃至6の技術を用いる際の問題点は、大量の気体を消費するため排気設備を大型化しなければならないことである。例えば、特許文献4の段落0029には、望ましい気体流量は10〜100L/分(normal)であり、段落0031には望ましい液体流量は100〜200mL/分であると開示されている。1つの洗浄用ノズルがカバーする領域はたかだか直径1cm程度の円であるので、特に液晶用ガラス基板のように大面積を洗浄する場合には、多数のノズルを配置する必要がある。例えば第8世代と呼ばれる液晶用ガラス基板は2160mm×2400mmの大きさを有するので、全面を洗浄するためには、幅2160mmにわたって216個の洗浄用ノズルをアレイ状に並べ、そのアレイで液晶用ガラス基板を上下から挟むようにアレイを配置し、液晶用ガラス基板の長手方向を基板の走行方向と一致させるように液晶用ガラス基板を移動させながら洗浄することになる。即ち、1つの洗浄チャンバ内に配置される洗浄用ノズルは432個となり、それぞれが100〜200mL/分のガスを吐出すると、洗浄チャンバ内に放出されるガスの総流量は43〜86m3/分となる。洗浄チャンバ内にミストが滞留しないようにするためには、洗浄チャンバ内に放出されるガス流量以上の流量で排気しなければならず、装置1台あたりの排気流量は100〜200m3/分にも昇る。このような大量の排気を必要とする設備を工場内に複数台設置する場合、工場全体の排気設備にかかる負担は膨大なものとなる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、必要な洗浄能力が得られる温度にまで加熱可能であり、固体表面の付着物に対する洗浄能力が十分高く、かつ洗浄後の排気に大型の設備を必要とせず、また短時間で洗浄処理を完了することができる洗浄用ノズル及びこれを用いた固体表面の洗浄方法並びに洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより得られる気液2流体(自己生成2流体)を生成する洗浄用ノズルであって、前記加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部と、前記オリフィス部の下流側に形成され、前記オリフィス部の流路の断面積を拡大し、前記気液2流体を生成する拡径部と、前記拡径部の下流側に形成されると共に前記オリフィス部の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、前記気液2流体を下流側に案内する整流部とを有する洗浄用ノズルである。
【0012】
請求項2の発明は、前記整流部の下流側に形成されると共に前記整流部の流路よりも小さい断面積を有する流路を備え、その断面積が下流方向に徐々に拡大するラバールノズル形状であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用ノズルである。
【0013】
請求項3の発明は、前記オリフィス部の内径が、0.2mm以上0.5mm以下である請求項1または2に記載の洗浄用ノズルである。
【0014】
請求項4の発明は、前記拡径部は、その頂角が60度以上150度以下である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄用ノズルである。
【0015】
請求項5の発明は、前記整流部の下流側のノズル先端部の断面積は、前記整流部の断面積と同一又はそれより小さい請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄用ノズルである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄用ノズルにより生成された気液2流体を用いて固体の表面を洗浄することを特徴とする固体表面の洗浄方法である。
【0017】
請求項7の発明は、前記気液2流体の流速を、45m/s以上とする請求項6に記載の固体表面の洗浄方法である。
【0018】
請求項8の発明は、前記加熱及び加圧された水の水温を120℃以下とし、前記整流部の内径を4mm以下とする請求項6又は7に記載の固体表面の洗浄方法である。
【0019】
請求項9の発明は、前記加熱及び加圧された水の水温を120℃より高くし、前記整流部の内径を6mm以下とする請求項6又は7に記載の固体表面の洗浄方法である。
【0020】
請求項10の発明は、前記固体が銅線又は銅条である請求項6〜9のいずれかに記載の固体表面の洗浄方法である。
【0021】
請求項11の発明は、加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより生成する気液2流体(自己生成2流体)を用いて固体の表面を洗浄する固体表面の洗浄装置であって、前記加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部と、前記オリフィス部の下流側に形成され、前記オリフィス部の流路の断面積を拡大し、前記気液2流体を生成する拡径部と、前記拡径部の下流側に形成されると共に前記オリフィス部の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、前記気液2流体を下流側に案内する整流部とを有する洗浄用ノズルを用いて、加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより前記気液2流体を生成する気液2流体発生手段と、前記気液2流体を前記固体の表面に接触させて表面洗浄を行う表面洗浄室とを備えることを特徴とする固体表面の洗浄装置である。
【0022】
請求項12の発明は、前記洗浄用ノズルは、前記整流部の下流側に形成されると共に前記整流部の流路よりも小さい断面積を有する流路を備え、その断面積が下流方向に徐々に拡大するラバールノズル形状であることを特徴とする請求項11に記載の固体表面の洗浄装置である。
【0023】
請求項13の発明は、前記気液2流体の流速が、45m/s以上である請求項11または12に記載の固体表面の洗浄装置である。
【0024】
請求項14の発明は、前記加熱及び加圧された水の水温が120℃以下であり、前記整流部の内径が4mm以下である請求項11〜13のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置である。
【0025】
請求項15の発明は、前記加熱及び加圧された水の水温が120℃を超えるものであり、前記整流部の内径が6mm以下である請求項11〜13のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置である。
【0026】
請求項16の発明は、前記固体が銅線又は銅条である請求項11〜15のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、必要な洗浄能力が得られる温度にまで加熱可能であり、固体表面の付着物に対する洗浄能力が十分高く、かつ洗浄後の排気に大型の設備を必要とせず、また短時間で洗浄処理を完了することができ、しかも、VOC(Volatile Organic Compound)の発生を抑制でき、その結果、労働作業環境の改善、並びに大気汚染への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態に係る洗浄用ノズルを示す図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る洗浄用ノズルを示す図である。
【図3】図1の洗浄用ノズルと従来の2流体ノズルのノズル先端からの距離に対する2流体の温度を示す図である。
【図4】従来の1流体ノズルを用いた自己生成2流体の生成を説明する図である。
【図5】自己生成2流体を用いた洗浄に関するパラメータを示す図である。
【図6】吐出後の液相分率と気相流量を示す図である。
【図7】加熱加圧水の温度に対する蒸気圧と、吐出後の線速度(配管内径10mm)を示す図である。
【図8】気流の流速と水滴除去に必要なスプレー回数を示す図である。
【図9】ノズル径、加熱加圧水温度と、生成する自己生成2流体の線速度を示す図である。
【図10】図1の洗浄用ノズルを用いた固体表面の洗浄設備を示す図である。
【図11】図1の洗浄用ノズル1における洗浄時間に対する表面油分濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0030】
前記した課題のうち洗浄後の排気に大型の設備を必要としないことは、以下の自己生成2流体を用いることによって達成できる。水を主たる成分とする液体を、洗浄ゾーンの圧力P1以上の圧力P0に加圧すると共に圧力P1における沸点以上かつ圧力P0における沸点以下の温度T0に加熱し、その液体を被洗浄物の表面に向けて洗浄用ノズルより吐出すると、その際の圧力低下に伴う沸騰により液滴と水蒸気の混合体、即ち気液2流体が自発的に生成される。本発明者らはこれを自己生成2流体と称することとした。自己生成2流体は、一定時間の後に冷却されて水蒸気成分が凝縮して体積収縮するため、排気への負荷を軽減することができる。
【0031】
また、前記した課題のうち高い洗浄能力は、自己生成2流体の沸騰の過程における体積膨張によって、液滴を被洗浄物の表面に向けて加速することを可能とする構造の洗浄用ノズルを用い、液滴を被洗浄物の表面に衝突させることによって達成できる。特許文献1乃至4には、2流体洗浄の滴液を加速するための洗浄用ノズルの構造が開示されているが、それらの洗浄用ノズルを用いて自己生成2流体の生成を試みても、洗浄用ノズルの管壁からは液滴が滴り落ち、管路の中央付近を水蒸気が通過するのみで、液滴が好適に分散した2流体は得られなかった。本発明者らは鋭意検討の結果、洗浄用ノズルの構造によってこの問題を解決するに至った。即ち、オリフィス部と、拡径部と、整流部とを有する洗浄用ノズルを用いることにより、前記した課題は解決される。
【0032】
ここまで本発明の概要について述べたが、以下、上述の各項目についてより具体的に説明する。
【0033】
先ず、本実施の形態に係る洗浄用ノズルについて、図1を用いて説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1は、加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部2と、オリフィス部2の下流側に形成され、オリフィス部2の流路の断面積を上流側から下流側に向けて拡大し、自己生成2流体Fを生成する拡径部3と、拡径部3の下流側に形成されると共にオリフィス部2の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、自己生成2流体Fを下流側に案内する所定の長さの管状の整流部4と、洗浄用ノズル1から吐出後の噴霧パターンを決定するノズル先端部5とで構成される。本実施の形態では、ノズル先端部5は整流部4と同じ流路断面形状を有しているが、所望のスプレーパターンを得るために、ノズル先端部5の形状は自由に選択することができる。
【0035】
ノズル先端部5の形状の一例を、他の実施の形態に係る洗浄用ノズルとして、図2を用いて説明する。
【0036】
図2に示すように、本発明の他の実施の形態に係る洗浄用ノズル11は、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1において、ノズル先端部5の形状を、流路の断面積が整流部からノズル先端部5にかけて一旦小さくなった後、流体の進行方向に向けて徐々に拡大する、所謂ラバールノズル形状としたものである。
【0037】
この洗浄用ノズル1、11を用いた自己生成2流体の生成を説明する。
【0038】
洗浄用ノズル1、11の使用環境における圧力(静圧)P1以上の圧力P0に加圧され、また圧力P1における沸点T1以上の温度T0に加熱された加熱加圧水が、オリフィス部2を通過すると、拡径部3に近づくにつれて圧力が低下する。即ち、流路方向に圧力勾配が存在する。一方、温度は、流通開始からしばらくは洗浄用ノズル1に熱を奪われて低下するが、一定時間後にはほぼ供給温度T0と等しくなる。その結果、温度T0での蒸気圧を下回ったところで加熱加圧水は沸騰し、水蒸気と水から構成される自己生成2流体Fが生成される。
【0039】
液体は沸騰することによりその体積が膨張し、水の場合、100℃において1700倍程度にも膨張する。例えば、流量18〜280mL/分の水を加熱及び加圧して洗浄用ノズル1、11から吐出させると、流量8〜80mL/分の水と流量10〜100L/分の水蒸気を得ることができる。
【0040】
特許文献4の段落0029には、望ましい気体流量は10〜100L/分(normal)であり、段落0031には望ましい液体流量は100〜200mL/分であると開示されている。しかしながら、別個の配管を通じて洗浄用ノズルに導入した水と気体を用いて2流体を生成する方法では、2つの流体を導入するために洗浄用ノズルの構造は複雑となり、またそれぞれの温度や圧力などのパラメータを独立に制御しなければならない。
【0041】
それに対して、自己生成2流体Fを生成させるための制御パラメータは、加熱加圧水の温度と圧力のみであり、簡単である。即ち、自己生成2流体Fを用いることにより、特許文献4の方法を用いることなく、1つの供給系統からなるより簡便な設備を用いて、特許文献4に記載された望ましい流量の気液2流体を生成することが可能である。
【0042】
オリフィス部2を出た自己生成2流体Fは拡径部3を経て拡径部3よりも下流側の整流部4に到達するが、前記した急激な体積膨張により、自己生成2流体Fはこれをより下流側に案内(ガイド)する管状の整流部4を通過することによってその速度が増す(加速する)。ノズル先端部5に到達した自己生成2流体Fの圧力はほぼ使用環境における圧力P1に等しくなり、温度はP1における沸点T1にほぼ等しくなる。
【0043】
自己生成2流体Fと、100℃の水並びに窒素を用いて生成した通常の気液2流体について、ノズル先端から吐出後の温度を測定した一例を図3に示す。水と窒素からなる2流体と比較して、自己生成2流体Fの方が高温が得られていることがわかる。
【0044】
次に、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1の最適なノズル形状について説明する。
【0045】
既に述べたように、自己生成2流体Fは水のみを供給すれば生成できるので、洗浄用ノズル1として市販の1流体ノズルを使用することが可能である。市販の1流体ノズルの構造を模式的に図4に示す。
【0046】
一般に1流体ノズル30は、スプレー範囲を広げるために扇型や円錐状の噴射パターンを有するものが多く、例えばスプレイングシステムズ製のHB−1/4−VV−SS−80−0050ノズルの噴射パターンは約80度の扇型である。このため、ノズル先端から遠ざかるほど、スプレーパターンの面積は増大する。供給される2流体の体積流量はほぼ一定なので、ノズル先端から遠ざかるほど、線速度は低下することになる。またこの結果、2流体は周囲の大気と熱交換し、温度が低下する。
【0047】
一方、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1は、洗浄用ノズル1の吐出口6とほぼ同じ径を有するほぼストレートな管状の整流部4を有する(図1参照)。即ち、ノズル先端から遠ざかるほど噴射面積が増大するのを防ぐように噴射パターンの拡がりを規制する整流部4が設けられている。このような整流部4の作用により、線速度の低下や温度の低下を防止できる。
【0048】
本発明者らは、さらに洗浄用ノズル1の好適な寸法を明らかにすべく検討を行った。その結果、好適な寸法は次の通りとなった。
【0049】
(1)整流部の下流側に形成されると共に前記整流部の流路よりも小さい断面積を有する流路を備え、その断面積が下流方向に徐々に拡大するラバールノズル形状である。
【0050】
(2)オリフィス部2の内径が、0.2mm以上0.5mm以下である。
【0051】
(3)拡径部3は、略円錐状の形状をなし、その頂角は60度以上150度以下である。
【0052】
(4)整流部4の内径は供給する水の温度と関係し、140℃以上の水を供給する場合は6mm以下である。また、より好適には、整流部4の内径が4mm以下のノズルを用い、130℃以上の水を供給する。さらに好適には、整流部4の内径が3mm以下のノズルを用い、120℃以上の水を供給する。さらにより好適には、整流部4の内径が2mm以下のノズルを用い、110℃以上の水を供給する。
【0053】
(5)整流部4の下流側のノズル先端部5の断面積は、整流部4の断面積と同一又はそれより小さい。
【0054】
以下、最適なノズル形状を考案するに至った詳細について説明する。
【0055】
先ず、加熱加圧水が自己生成的に2流体を形成することについて、より定量的に述べる。
【0056】
加熱加圧水が洗浄用ノズルから吐出する前後のエネルギー収支は次の式1のようになる。
【0057】
【数1】

【0058】
ここで、吐出前の流量を1kg/分として各項の概略値を見積もると、吐出前の運動エネルギー=8.7×10-3J/分、吐出後の運動エネルギー=1.8×103J/分、蒸発潜熱=2.2×106J/分などと、熱エネルギーが支配的である。従って式1は次のように近似できる。
【0059】
【数2】

【0060】
上式から気化率が求まり、その結果、吐出後のミストの気液組成と運動速度を求めることができる。図5に示すように、種々のパラメータを設定し、式2を用いて、供給する水の温度に対して、吐出後のミストの組成並びに速度がどのように変わるか計算した。
【0061】
供給する水の流量を1L/分とした結果を図6、図7に示す。生成した2流体を構成する水と水蒸気のうち、水の比率をモル数基準で表した値を液相分率と定義する。
【0062】
図6に示すように、供給水温度の上昇と共に液相分率は低下し、150℃では0.9、200℃では0.8程度である。このとき生成した気体の体積流量はそれぞれ160、320L/分となり、通常の2液洗浄の運用条件(数10乃至数100L/分)を満足する。さらに生成した2流体(ミスト)の線速度は図7に示すようになり、数10m/秒の速度が得られる。なお、加熱加圧水の温度を変えると対応して蒸気圧も図7に示すように変化する。これは、後述する図10のような設備を用いる場合、タンク内の圧力が変化することを表し、水の温度が上昇するのに伴って液送圧力も増加することを意味する。ここに、供給水の水温は、洗浄用ノズル1のオリフィス部2よりも上流側であって、ヒータよりも下流側に設置した温度計測器により測定したものである。
【0063】
次に、整流部4の最適な寸法に関して説明する。
【0064】
前記したように、従来の洗浄用ノズルを用いても、管壁から液滴が滴り落ちるのみで、ミストが均一に分散した2流体スプレーは得られない。本発明者らは、洗浄用ノズル内の流体の運動を考え、管壁付近における気体の流速が、管壁に付着した液滴を剥離するのに必要な運動量を与えるには不十分であると考えた。
【0065】
そこで、管壁に付着した液滴を剥離するのに必要な気体の流速を求めるために、エアブローの下に配置した回転円板を用いて、さらに回転円板上に液滴を付着させ、その液滴を完全に剥離するには何回エアブローの下を通過しなければならないかを、種々の流速に対して求めるモデル実験を行ったところ、図8に示す結果を得た。即ち、エアブローの下を1回通過しただけで固体表面に付着した液滴を剥離するためには45m/s以上の流速が必要であることが明らかとなった。
【0066】
特許文献4の段落0021〜0029には、ノズル内面壁を移動する液滴を気流によって微粒化することが必要であることが開示されているが、これに必要な気体の流速については何ら開示されていない。つまり、前記の最小流速は本発明者らの検討によってはじめて明らかになったことである。
【0067】
ここで、種々の配管内径と、供給される加熱加圧水温度に対して、生成する自己生成2流体Fの流速はどのようなものになるかを求めたところ、図9に示す結果を得た。これより、45m/sの流速を得るには、加熱加圧水温度110℃のときノズル径4mm以下、加熱加圧水温度120℃のときノズル径5mm以下、加熱加圧水温度140℃のときノズル径8mm以下、加熱加圧水温度160℃のときノズル径10mm以下などとわかる。
【0068】
かかる検討に基づき、種々の内径のノズルを試作し、自己生成2流体Fの実験に供した。目視にてミストの均一性を評価した結果を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
これによると、前記した温度条件及びノズル径の条件の範囲内にあれば、滴り落ちる液滴が生成されることがないことがわかる。図9より45m/sが得られる条件であっても、表1の△で示されるような不均一な状態になるのは、図8で示した自己生成2流体Fの流速は平均流速であり、管壁付近は速度境界層が形成されるために実質的な速度は低下しているためと考えられるが、これらも固体表面の洗浄という意味においては大差のないものと推察される。
【0071】
次に、オリフィス部2の最適な形状について説明する。
【0072】
オリフィス部2は、洗浄用ノズル1を通過する流体の流量を調節する機能を有する。オリフィス部2の内径が小さすぎると十分な流体の流量が得られず、結果として十分な洗浄性能が得られない。一方、オリフィス部2の内径が大きすぎると、流量が過剰となり、加熱するためのヒータが大きくなりエネルギー消費が増加する。
【0073】
本発明者らの検討の結果、1ノズルあたりの吐出流量は供給する水(自己生成2流体Fを生成する前の水)の流量で表すと、0.1〜1.5L/分であった。洗浄用ノズル1への水の供給は、例えば図10のように、ポンプを用いる方法がある。また、他の供給方法として、加熱した水の蒸気圧を利用する方法が考えられる。これらの送液圧力の範囲は0.2〜2MPaであることから、本発明者らは0.2〜2MPaで0.1〜1.5L/分の流量を得るのに最適なオリフィス部2の形状を検討した結果、内径0.2mm以上0.5mm以下であることが好ましいことを見出した。
【0074】
次に、拡径部3の最適な形状について説明する。
【0075】
拡径部3は、流路の内径がオリフィス部2の内径から整流部4の内径に移行する領域である。ここで、内径が急激に変化すると、整流部4の開始点には流れのよどみが発生する。そのため、オリフィス部2から整流部4に、なだらかに内径が変化することが望ましい。本発明者らの検討の結果、拡径部3の頂角が60度以上150度以下の範囲で好適であることが確認された。
【0076】
次に、ノズル先端部5の最適な形状について説明する。
【0077】
ノズル先端部5は、整流部4を通過した自己生成2流体Fが洗浄用ノズル1の外部に吐出される前に通過する領域である。本発明者らの検討の結果、ノズル先端部5の断面積が加速部である整流部4より大きいと、自己生成2流体Fが洗浄用ノズル1から吐出された後に拡散して減速したり、また温度が低下したりするなど、洗浄性能を損なうことが明らかになった。従って、ノズル先端部5の断面積は整流部4の断面積と同一かそれより小さいことが好ましい。
【0078】
また、ラバールノズル形状が好適である理由は次の通りである。
【0079】
ノズル先端部5がラバールノズル形状をなしている場合には、整流部4から自己生成2流体Fの進行方向にかけて、流路の断面積が一旦減少した後徐々に拡大する。それに伴い、自己生成2流体Fは急激な圧縮を受けた後徐々に膨張する。圧縮空気などの通常の気体や、通常の気体によって液滴を加速する通常の気液2流体であれば、ラバールノズル部で圧縮されて圧力が上昇した後徐々に膨張することで、流体速度はさらに加速する。本発明に係る自己生成2流体Fは、ラバールノズル部で圧縮を受けると、気体成分である水蒸気の一部は液化し、その後徐々に膨張することで再度気化する。その結果、気液2流体の液滴の分布が均一になる。このように自己生成2流体Fを生成することで、被洗浄物に対し、より高速で衝突させることができ、より高い洗浄力を得ることが可能となる。
【0080】
なお、特許文献2には、洗浄液を圧縮空気により加圧して噴射することによって得られる超音波の流体を用いて洗浄する際に、ラバールノズル形状のノズルを用いる方法が開示されている。しかしながら、特許文献2には、加圧及び過熱された水を常温下で沸騰させて自発的に2流体を形成させる自己生成2流体のノズルとして、ラバールノズル形状が適していることは何ら開示されておらず、上述の本発明におけるラバールノズル部での自己生成2流体Fの挙動についても特に記載されていない。また、本発明のノズルにおける「整流部」は、特許文献2のノズルにおいて「流路」と表記されているが、流路の上流側の構造については何ら開示されておらず、本発明の如き適切な形状のオリフィス部ならびに拡張部を設けることにより好適な自己生成2流体が得られることについては記載も示唆もされていない。これら本発明特有の作用効果は、本発明者の検討により初めて明らかとなったものである。
【0081】
以上要するに、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1によれば、必要な洗浄能力が得られる温度にまで加熱可能であり、固体表面の付着物に対する洗浄能力が十分高く、かつ洗浄後の排気に大型の設備を必要とせず、また短時間で洗浄処理を完了することができ、しかも、VOCの発生を抑制でき、その結果、労働作業環境の改善、並びに大気汚染への影響を低減することができる。
【0082】
次に、本実施の形態に係る洗浄用ノズル1を用いた固体表面の洗浄方法を洗浄装置と共に説明する。ここでは、一例として銅条の洗浄方法及び洗浄装置を説明する。
【0083】
図10に示すように、リールに巻かれている銅条90は、アンコイラ91より送り出され、洗浄装置92の導入口93より表面洗浄室94の内部に入り、搬出口95より表面洗浄室94の外部に出る。
【0084】
この表面洗浄室94の内部に入った銅条90が、気液2流体発生手段としての洗浄用ノズル1で表面処理されて、表面に付着した潤滑油や金属粉などが除去される。
【0085】
表面洗浄室94内には、加熱加圧水供給手段が接続された洗浄用ノズル1が配置される。加熱加圧水供給手段は、洗浄用ノズル1に接続された配管96に、ヒータ97、流量調節バルブ98、流量計99、圧力調整器、ポンプ100を介して水タンク101が接続されて構成される。ここで、ポンプ100、圧力調整器、流量計99を適切な値に設定することにより、水は洗浄ゾーンである表面洗浄室94の圧力P1以上に加圧され加熱される。なお、圧力の調整はガスによる加圧により液体を圧送することにより行うこともできる。
【0086】
このようにして加熱及び加圧された水は、前記したように洗浄用ノズル1より吐出することにより自己生成2流体Fを生成する。このようにして生成された自己生成2流体を銅条90の表面に接触させることにより、銅条90の表面は洗浄処理される。
【0087】
洗浄用ノズル1から噴射された自己生成2流体Fは、銅条90の表面の付着物を除去した後、その下方の図示しない受け皿に溜まり、受け皿より適宜排水される。自己生成2流体Fはほぼ水から構成されるので、大気に排出しても環境への負荷が小さい。
【0088】
なお、この設備では、図示しない排気ブロアによって表面洗浄室94の雰囲気を吸引し、図示しない排気処理設備に送気している。
【実施例】
【0089】
(機械加工油の除去実験)
実施例1として、図10の設備を用いて、洗浄用ノズル1を用いて生成した自己生成2流体Fを用い、機械加工油の除去実験を行った。
また、実施例2として、図10の設備を用いて、洗浄用ノズル11を用いて生成した自己生成2流体Fを用い、機械加工油の除去実験を行った。
【0090】
洗浄対象は、圧延加工後の銅条で、表面に約200mg/m2の油分が付着している。ノズルを銅条の走行方向と直交する方向に、同一軸上に4個並べ、約10mm×40mmのスプレーパターンを形成した。銅条の走行方向の洗浄領域長さは約10mmであり、また銅条の走行速度は60m/分であることから、洗浄時間は0.01秒となる。供給する水の温度は145℃とし、外部からガスは供給せずに水蒸気の圧力を用いて圧送した。このときの供給する圧力は0.45MPaであり、1つの洗浄用ノズル1あたりに供給する水の体積流量は0.25L/分であった。洗浄後の結果を図11に示す。
【0091】
この結果によれば、洗浄時間に応じて表面油分濃度が低下することがわかる。なお、本実施例では洗浄用ノズル1を、銅条の走行方向と直交する方向の同一軸上に4個並べたが、千鳥状に配置してもよい。
【0092】
次に、比較例1として、市販の1流体ノズル(スプレイングシステムズ製、HB−1/4−VV−SS−80−0050)を用いた実験を行った。その結果を実施例1と共に表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
表2から本発明の洗浄用ノズル1が優れていることがわかる。また、洗浄用ノズル11を用いるとより好適な結果が得られることが明らかである。
【0095】
(異物の除去試験)
実施例3として、図10の設備を用いて、洗浄用ノズル1を用いて生成した自己生成2流体Fを用い、異物の除去試験を行った。
【0096】
また、実施例4として、図10の設備を用いて、洗浄用ノズル11を用いて生成した自己生成2流体Fを用い、異物の除去実験を行った。
【0097】
洗浄対象は、スリット加工を施した銅箔で、50μm以上の異物が800個/m2程度存在している。
【0098】
比較例2として、市販の2流体ノズル(スプレイングシステムズ製、B−1/4JBC−SS)を用い、窒素ガスと水からなる2流体を生成して洗浄を行った。
【0099】
洗浄後に残留する異物数と、洗浄装置からのミストを作業環境に漏洩させないために必要な排気量とによって、本発明の効果を評価した。必要な排気量が少ないほど排気に要するエネルギーは少なくて済み、製造上は望ましい。
【0100】
結果は表3に示す通りである。
【0101】
【表3】

【0102】
残留する異物数はいずれのノズルの場合でも合格であった。特に、ラバールノズルを用いることで異物数をより低減させることができる。そして、必要な排気量の点では洗浄用ノズル1、11を用いる場合の方が1/40程度に低減されており、本発明の洗浄用ノズル1、11が優れていることは明らかである。
【0103】
このような結果から、本発明の洗浄用ノズル1によれば、異物状の汚染も除去することができ、切削加工品などでは加工粉と加工油を同時に除去できることから、設備の集約、小型化、投資効率の向上などの効果がある。
【符号の説明】
【0104】
1 洗浄用ノズル
2 オリフィス部
3 拡径部
4 整流部
5 ノズル先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより得られる気液2流体(自己生成2流体)を生成する洗浄用ノズルであって、
前記加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部と、
前記オリフィス部の下流側に形成され、前記オリフィス部の流路の断面積を拡大し、前記気液2流体を生成する拡径部と、
前記拡径部の下流側に形成されると共に前記オリフィス部の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、前記気液2流体を下流側に案内する整流部とを有することを特徴とする洗浄用ノズル。
【請求項2】
前記整流部の下流側に形成されると共に前記整流部の流路よりも小さい断面積を有する流路を備え、その断面積が下流方向に徐々に拡大するラバールノズル形状であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用ノズル。
【請求項3】
前記オリフィス部の内径が、0.2mm以上0.5mm以下である請求項1または2に記載の洗浄用ノズル。
【請求項4】
前記拡径部は、その頂角が60度以上150度以下である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄用ノズル。
【請求項5】
前記整流部の下流側のノズル先端部の断面積は、前記整流部の断面積と同一又はそれより小さい請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄用ノズル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄用ノズルにより生成された気液2流体を用いて固体の表面を洗浄することを特徴とする固体表面の洗浄方法。
【請求項7】
前記気液2流体の流速を、45m/s以上とする請求項6に記載の固体表面の洗浄方法。
【請求項8】
前記加熱及び加圧された水の水温を120℃以下とし、前記整流部の内径を4mm以下とする請求項6又は7に記載の固体表面の洗浄方法。
【請求項9】
前記加熱及び加圧された水の水温を120℃より高くし、前記整流部の内径を6mm以下とする請求項6又は7に記載の固体表面の洗浄方法。
【請求項10】
前記固体が銅線又は銅条である請求項6〜9のいずれかに記載の固体表面の洗浄方法。
【請求項11】
加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより生成する気液2流体(自己生成2流体)を用いて固体の表面を洗浄する固体表面の洗浄装置であって、
前記加熱及び加圧された水の流量を制御する流路を備えたオリフィス部と、前記オリフィス部の下流側に形成され、前記オリフィス部の流路の断面積を拡大し、前記気液2流体を生成する拡径部と、前記拡径部の下流側に形成されると共に前記オリフィス部の流路よりも広い断面積を有する流路を備え、前記気液2流体を下流側に案内する整流部とを有する洗浄用ノズルを用いて、加熱及び加圧された水を常圧下にて沸騰させることにより前記気液2流体を生成する気液2流体発生手段と、
前記気液2流体を前記固体の表面に接触させて表面洗浄を行う表面洗浄室とを備えることを特徴とする固体表面の洗浄装置。
【請求項12】
前記洗浄用ノズルは、前記整流部の下流側に形成されると共に前記整流部の流路よりも小さい断面積を有する流路を備え、その断面積が下流方向に徐々に拡大するラバールノズル形状であることを特徴とする請求項11に記載の固体表面の洗浄装置。
【請求項13】
前記気液2流体の流速が、45m/s以上である請求項11または12に記載の固体表面の洗浄装置。
【請求項14】
前記加熱及び加圧された水の水温が120℃以下であり、前記整流部の内径が4mm以下である請求項11〜13のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置。
【請求項15】
前記加熱及び加圧された水の水温が120℃を超えるものであり、前記整流部の内径が6mm以下である請求項11〜13のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置。
【請求項16】
前記固体が銅線又は銅条である請求項11〜15のいずれかに記載の固体表面の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−189332(P2011−189332A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110711(P2010−110711)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】