説明

洗浄装置

【課題】洗浄液が溢れ出ることを防止することができ、且つ微量検体の分析が可能な反応容器も適用対象とする洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置は、洗浄液供給ノズル34と第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48とを備えている。洗浄装置には、反応容器6の内部に先端を挿入した第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間を反応容器の外部で電気的に接続し、洗浄液36の液面高さが、検体及び試薬が入っていた高さを超えた場合にノズル46,48間が洗浄液で電気的に接続されることを監視する導通状態監視手段56を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器を洗浄する洗浄装置に関するものであり、より詳細には、血液等の検体を分析する分析機に用いられる洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析機は、例えば上面を開口とする直方体状の反応容器を備えて成り、反応容器の内部に検体及び試薬を入れ、反応容器を介して検体及び試薬に光を当て、透過光を測定することによって検体を分析している。
【0003】
そのような分析機の中には、反応容器を繰り返して使用できるようにするため、反応容器を洗浄する洗浄装置を備えているものがある。洗浄装置には、例えば洗浄液供給ノズルと第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとが設けられている。
【0004】
洗浄装置で検体分析後の反応容器を洗浄する場合には、反応容器の内部から検体及び試薬を排出した後、洗浄液供給ノズルと第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとを、例えばノズルの軸心に沿って下方向に移動することで、洗浄液供給ノズルの先端及び第2洗浄液吸引ノズルの先端を反応容器の上部に挿入し、第1洗浄液吸引ノズルの先端を反応容器の下部に挿入する。第2洗浄液吸引ノズルを反応容器に挿入した状態では、検体及び試薬が入っていた高さを超えた位置に第2洗浄液吸引ノズルの先端がある。
【0005】
この状態から、洗浄液供給ノズルより洗浄液を反応容器の内部に供給しつつ、第1洗浄液吸引ノズルで反応容器の内部の洗浄液を供給量を下回るように吸引することによって、反応容器の内部に洗浄液を溜める。
【0006】
やがて、洗浄液の液面高さは検体及び試薬が入っていた高さを超える。その後、洗浄液の供給を停止し、洗浄液の吸引を継続することで、反応容器の内部から洗浄液を排出する。
【0007】
洗浄装置は、例えば洗浄液の供給開始とともに第2洗浄液吸引ノズルによる吸引を開始する。よって、第2洗浄液吸引ノズルの先端が洗浄液に浸漬した場合には、第2洗浄液吸引ノズルで洗浄液を吸引して、反応容器から洗浄液が溢れ出ることを防止する。
【0008】
この洗浄装置によれば、反応容器から洗浄液が溢れ出ることを防止しながら、洗浄液で反応容器を洗浄することができる。
【0009】
しかしながら、この洗浄装置には、異物が詰まる等の原因によって第2洗浄液吸引ノズルの吸引量が低下した場合、反応容器から洗浄液が溢れ出る問題があった。
【0010】
そこで、従来の洗浄装置の中には、第2洗浄液吸引ノズルの吸引量が低下した場合でも反応容器から洗浄液が溢れ出ることを防止するため、前述した洗浄液供給ノズル、第1洗浄液吸引ノズル及び第2洗浄液吸引ノズルに加えて液面センサを備えるものがあった。その液面センサは、棒状に形成されている。
【0011】
そのような洗浄装置で検体分析後の反応容器を洗浄する場合には、反応容器の内部から検体及び試薬を排出した後、洗浄液供給ノズル、第1洗浄液吸引ノズル及び第2洗浄液吸引ノズルをノズルの軸心に沿って下方向に移動することで、それらのノズルの先端を前述した洗浄装置と同様に反応容器の内部にそれぞれ挿入し、液面センサを下方向に移動することで、液面センサの先端を反応容器の上部に挿入する。第2洗浄液吸引ノズル及び液面センサを反応容器に挿入した状態では、第2洗浄液吸引ノズルの先端の上方に液面センサの先端がある。
【0012】
その後、この洗浄装置は、前述した洗浄装置と同様に、反応容器から洗浄液が溢れ出ることを防止しながら洗浄液で反応容器を洗浄する。この洗浄装置は、洗浄中、第2洗浄液吸引ノズルの吸引量が低下し、液面センサの先端が洗浄液に浸漬した場合には、洗浄液の供給を停止することによって反応容器から洗浄液が溢れ出ることを防止する(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開平6−230014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、分析機で分析する検体は、人体から採取した血液等の体液を使用する場合が多い。病人、子供及び老人は、人体にかかる負担の軽減を図るため、採取する検体を微量にすることが好ましい。検体を微量にした場合には、検体に対する試薬の割合が決定されているため、試薬も微量にしなければならない。検体と試薬とをそれぞれ微量にした場合には、例えば検体及び試薬の液面高さを確保することができなくなって、分析に支障をきたす事態が想定される。
【0015】
そのような事態は、横断面積が小さい反応容器を使用することで解決することができる。しかしながら、そのような反応容器を使用した場合には、3本のノズル及び液面センサを反応容器に挿入することができない虞れが生じるため、そのような反応容器を上述した洗浄装置に適用することができないのが実情である。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄液が溢れ出ることを防止することができ、且つ微量検体の分析が可能な反応容器も適用対象とする洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る洗浄装置は、複数のノズルを反応容器の内部に挿入した状態でこれらのノズルを通じて洗浄液を給排することにより反応容器を洗浄する洗浄装置において、反応容器の内部に先端を挿入したノズル間を反応容器の外部で電気的に接続し、洗浄液の液面高さが検体及び試薬が入っていた高さを超えた場合にノズル間が洗浄液で電気的に接続されることを監視する導通状態監視手段を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項2に係る洗浄装置は、上記請求項1において、ノズルとして、反応容器の下部に先端を挿入する第1洗浄液吸引ノズルと反応容器の上部に先端を挿入する第2洗浄液吸引ノズルとを備えて成り、第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとの間を電気的に接続する導通状態監視手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項3に係る洗浄装置は、上記請求項2において、第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとを導電性材料で形成するとともに内表面を除いた外表面を非導電性材料で被覆し、反応容器の内部に挿入する第1洗浄液吸引ノズル及び第2洗浄液吸引ノズルを、ノズルの軸心が平行になるように連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る洗浄装置は、反応容器の内部に先端を挿入したノズル間を反応容器の外部で電気的に接続し、洗浄液の液面高さが検体及び試薬が入っていた高さを超えた場合にノズル間が洗浄液で電気的に接続されることを監視する導通状態監視手段を設けたので、導通状態監視手段の監視によって洗浄液の供給を停止することができ、洗浄液が反応容器から溢れ出ることを防止することができる。しかも、この発明によれば、センサ機能のみを有する液面センサを反応容器の内部に挿入せずに、洗浄液の液面高さが検体及び試薬が入っていた高さを超えたことを検知することができるから、横断面積が小さい反応容器も使用することができる。従って、この発明に係る洗浄装置によれば、微量検体の分析が可能な反応容器も適用対象とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る洗浄装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態である洗浄装置を適用した分析機1を示したものである。ここで例示する分析機1は、血液等の検体を分析するものである。
【0023】
分析機1は、鉛直軸2aを中心とする円周上に複数の反応容器6を等間隔に載置する(以下の説明において、隣り合う反応容器6の間隔を1ピッチと称する)ことができる反応容器テーブル2を鉛直軸2a回りに回転可能に備えており、反応容器テーブル2の周囲に、検体分注エリアB、試薬分注エリアC、分析エリアE及び洗浄エリアGを順次構成してある。
【0024】
反応容器6は、上面を開口とする直方体状に形成してある。その反応容器6の側面は透明である。
【0025】
検体分注エリアBは、検体分注位置2bに配置した反応容器6に検体を分注するためのエリアである。検体分注エリアBの近傍には、検体容器テーブル3を設けてある。検体容器テーブル3は、中央に孔を有する円盤状に形成してあり、鉛直軸3aを中心に回転可能に設けてある。検体容器テーブル3の上で、鉛直軸3aを中心とする円周上には、ボトル状の検体容器15を等間隔に載置してある。検体容器15の内部には、例えば血液等の検体をそれぞれ入れてある。
【0026】
検体分注エリアBには、検体分注装置8を設けてある。検体分注装置8は、検体容器15の内部にある検体を分取し、分取した検体を検体分注位置2bに配置した反応容器6に分注するものである。
【0027】
試薬分注エリアCは、試薬分注位置2cに配置した反応容器6に試薬を分注するためのエリアである。試薬分注エリアCの近傍には、試薬容器テーブル4を設けてある。試薬容器テーブル4は、中央に孔を有する円盤状に形成してあり、鉛直軸4aを中心に回転可能に設けてある。試薬容器テーブル4の上で、鉛直軸4aを中心とする円周上には、試薬容器17を載置してある。試薬容器17の内部には、例えば異なる種類の試薬をそれぞれ入れてある。
【0028】
試薬分注エリアCには、試薬分注装置9を設けてある。試薬分注装置9は、試薬容器17の内部にある試薬を分取し、分取した試薬を試薬分注位置2cに配置した反応容器6に分注するものである。
【0029】
分析エリアEは、分析位置2eに配置した反応容器6の内部に入れてあり、試薬に反応した検体を分析するためのエリアである。分析エリアEには、分析手段12を設けてある。分析手段12は、発光部12aと受光部12bとを有している。発光部12aは反応容器テーブル2の内方に配置してある。一方、受光部12bは反応容器テーブル2を挟んで発光部12aと対向するよう反応容器テーブル2の外方に配置してある。
【0030】
洗浄エリアGは、洗浄位置2gに配置してあり、検体分析後の反応容器6を洗浄するためのエリアである。洗浄エリアGの上方には洗浄装置13を設けてある。
【0031】
分析機1は、上記のような構成を有するとともに、入力手段(キーボード)5aと出力手段(モニター)5bとを備えている。
【0032】
この分析機1を用いて検体の分析を行う場合には、入力手段5aによって分析を開始する旨の指令を分析機1に入力する。
【0033】
その入力によって、分析機1は、1回転に1ピッチ満たない分だけ反応容器テーブル2を、図1中、時計回りに回転し、反応容器6をそれぞれ移動する。
【0034】
反応容器6の移動後、検体分注装置8は、検体容器15から検体を分取し、検体分注位置2bにある反応容器6に検体を分注する。その後、分析機1は、反応容器6を移動すること、及び検体分注装置8で検体容器15から検体を分取し、反応容器6に検体を分注することを交互に繰り返す。
【0035】
検体を分注した反応容器6が試薬分注位置2cまで移動した場合には、試薬分注装置9が試薬容器17から分取した試薬を、その反応容器6に分注する。その後、分析機1は、反応容器6を移動すること、及び試薬分注装置9で試薬容器17から試薬を分取し、反応容器6に試薬を分注することを交互に繰り返す。
【0036】
検体及び試薬を分注した反応容器6が分析位置2eまで移動した場合には、分析手段12が検体を分析する。すなわち、分析手段12は、発光部12aから光を出射し、反応容器6を介して検体及び試薬に光を当て、検体及び試薬を透過した光を受光部12bで受光することによって検体を分析する。その後、分析機1は、反応容器6を移動すること、及び分析手段12で検体を分析することを交互に繰り返す。
【0037】
検体分析後の反応容器6が洗浄位置2gまで移動した場合には、その反応容器6を洗浄装置13が後述するように洗浄する。その後、分析機1は、反応容器6を移動すること、及び洗浄装置13で反応容器6を洗浄することを交互に繰り返す。
【0038】
このように、分析機1は、反応容器6の移動と、検体の分注、試薬の分注、検体の分析及び反応容器6の洗浄とを交互に繰り返しながら、検体を連続して分析する。
【0039】
図2は、洗浄装置13を示したものである。洗浄装置13は、洗浄液供給手段22と洗浄液吸引手段23と導通状態監視手段とを備えている。
【0040】
洗浄液供給手段22は、洗浄液貯留タンク31と洗浄液供給ポンプ32と洗浄液供給弁33と洗浄液供給ノズル34と洗浄液供給管35とを備えている。洗浄液貯留タンク31の内部には洗浄液36を溜めてある。洗浄液供給管35の一端は、洗浄液貯留タンク31の内部に挿入して洗浄液36に浸漬している。洗浄液供給管35の他端は、洗浄液供給ポンプ32及び洗浄液供給弁33を介して洗浄液供給ノズル34の基端に接続してある。洗浄液供給ポンプ32と洗浄液供給弁33との間の洗浄液供給管35には、途中から分岐し、洗浄液貯留タンク31に挿入する洗浄液循環配管37を設けてある。
【0041】
洗浄液吸引手段23は、洗浄液廃棄タンク39と洗浄液吸引ポンプ40とドレン弁41と第1洗浄液吸引弁42と第2洗浄液吸引弁43と第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48と第1洗浄液吸引管49と第2洗浄液吸引管50と吸引管51とドレン管52とを備えている。洗浄液廃棄タンク39と洗浄液吸引ポンプ40とは、吸引管51によって接続してある。吸引管51の一端は、洗浄液廃棄タンク39の側壁39aの上部に取り付けてある。洗浄液廃棄タンク39とドレン弁41とは、ドレン管52によって接続してある。第1洗浄液吸引管49の一端は、洗浄液廃棄タンク39の天壁39bに接続してある。第1洗浄液吸引管49の他端は、第1洗浄液吸引弁42を介して第1洗浄液吸引ノズル46の基端に接続してある。第2洗浄液吸引管50の一端は、洗浄液廃棄タンク39の天壁39bに接続してある。第2洗浄液吸引管50の他端は、第2洗浄液吸引弁43を介して第2洗浄液吸引ノズル48の基端に接続してある。
【0042】
洗浄液供給弁33、ドレン弁41、第1洗浄液吸引弁42及び第2洗浄液吸引弁43は、例えば電磁弁を用いることにより、不図示の制御手段からの指示に応じてそれぞれ開閉可能となっている。
【0043】
洗浄液供給ノズル34、第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48は、図3に示すように、ノズル本体部34b,46b,48bと、被覆部34c,46c,48cとをそれぞれ備えている。ノズル本体部34b,46b,48bは、導電性材料で管状にそれぞれ形成してある。被覆部34c,46c,48cは、非導電性材料によって、ノズル本体部34b,46b,48bの内表面を除いた外表面を覆うようそれぞれ形成してある。さらに、ノズル34,46,48は、それぞれのノズル34,46,48の軸心34a,46a,48aが平行になるよう互いに連結してあり、図2に示すように、反応容器6の開口6aの上方で、それぞれの軸心34a,46a,48aがほぼ水平に設けられた支持板55の板面に直交するよう支持板55に取り付けられている。ノズル34,46,48が支持板55に取り付けられた状態では、図4に示すように、第1洗浄液吸引ノズル46の先端が最も下方となり、第2洗浄液吸引ノズル48の先端が最も上方となっている。
【0044】
導通状態監視手段56は、電気導電性測定回路57と、2本の導線58a,58bとを備えている。導線58a,58bの一端は、電気導電性測定回路57にそれぞれ接続してある。一方、導線58a,58bの他端は、第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48の被覆の一部を除去してある個所にそれぞれ接続してある。電気導電性測定回路57は、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間の電気抵抗を測定するものである。
【0045】
このような洗浄装置13が初期状態にある場合には、洗浄液供給弁33を閉じた状態で洗浄液供給ポンプ32を駆動して洗浄液36を循環する。さらに、洗浄装置13が初期状態にある場合には、ドレン弁41、第1洗浄液吸引弁42、第2洗浄液吸引弁43を閉じた状態で洗浄液吸引ポンプ40を駆動し、洗浄液廃棄タンク39の内部を負圧に保つ。さらに、洗浄装置13が初期状態にある場合には、図2に示すように、洗浄液供給ノズル34の先端、第1洗浄液吸引ノズル46の先端及び第2洗浄液吸引ノズル48の先端が反応容器6の外部にあるよう、支持板55を反応容器6の上方に配置する。
【0046】
この初期状態から、洗浄装置13で検体分析後の反応容器6を洗浄する場合には、検体及び試薬を不図示の検体試薬吸引手段で反応容器6の内部から排出した後、支持板55を下方向に移動して、図5に示すように、第1洗浄液吸引ノズル46の先端を反応容器6の下部に挿入し、洗浄液供給ノズル34の先端及び第2洗浄液吸引ノズル48の先端を反応容器6の上部にそれぞれ挿入する。第2洗浄液吸引ノズル48を反応容器6に挿入した状態では、検体及び試薬が入っていた高さHを超えた位置に第2洗浄液吸引ノズル48の先端がある。
【0047】
ノズル34,46,48を反応容器6に挿入したことで、導通状態監視手段56は、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が電気的に接続されるか否かの監視を開始する。単に、ノズル34,46,48を反応容器6に挿入した状態では、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間は、電気的に接続されていない。
【0048】
その後、洗浄液供給手段22では、洗浄液供給弁33を開いて洗浄液供給ノズル34から反応容器6の内部に洗浄液36を供給する。洗浄液吸引手段23は、洗浄液36を供給している際、第2洗浄液吸引弁43を開いて第2洗浄液吸引ノズル48による吸引を行う。
【0049】
洗浄液供給ノズル34で洗浄液36を供給することによって、反応容器6の内部には洗浄液36が徐々に溜まる。
【0050】
やがて、図6に示すように、洗浄液36の液面高さは、検体及び試薬が入っていた高さHを超える。その後、図7に示すように、第2洗浄液吸引ノズル48の先端が洗浄液36に浸漬すると、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間は、洗浄液36によって電気的に接続される。そして、その接続を導通状態監視手段56は検知する。その検知により、洗浄装置13は、洗浄液供給弁33を閉じて洗浄液36の供給を停止し、第2洗浄液吸引弁43を閉じて第2洗浄液吸引ノズル48による吸引を停止し、第1洗浄液吸引弁42を開いて第1洗浄液吸引ノズル46で反応容器6の内部の洗浄液36を吸引する。その後、導通状態監視手段56による監視を終了し、第1洗浄液吸引弁42を閉じてから、支持板55を上方向に移動して初期状態に復帰し、次の反応容器6の洗浄に備える。
【0051】
以上説明したように、この洗浄装置13によれば、反応容器6の内部に洗浄液36を給排することによって、反応容器6の内部に残留する検体及び試薬を除去し、反応容器6を洗浄することができる。さらに、この洗浄装置13は、第2洗浄液吸引ノズル48の先端が洗浄液36に浸漬した場合、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36によって電気的に接続されたことを検知し、その検知によって洗浄液36の供給を停止する。よって、この洗浄装置13によれば、例えば第2洗浄液吸引ノズル48に異物が詰まった場合でも、洗浄液36が反応容器6から溢れ出ることを防止することができる。しかも、この洗浄装置13によれば、反応容器6の内部に挿入する第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48に液面センサとしての機能を持たせ、センサ機能のみを有する液面センサを反応容器6の内部に挿入することを不要にできるので、横断面積が小さい反応容器6を使用することができる。従って、この洗浄装置13によれば、微量検体の分析が可能な反応容器6も適用対象とすることができ、この洗浄装置13を適用した分析機1によれば、検体を微量にすることができる。しかも、この洗浄装置13によれば、センサ機能のみを有する液面センサを不要にすることができるから、部品コスト及び製造コストを安価にでき、それにより、洗浄装置13を安価に提供することができる。
【0052】
加えて、この洗浄装置13によれば、洗浄液36を反応容器6の内部に供給している際に第2洗浄液吸引ノズル48で吸引を行うので、仮に、導通状態監視手段56による監視ができず、洗浄液36の供給を停止することができない場合でも、第2洗浄液吸引ノズル48によって洗浄液36を吸引するため、反応容器6から洗浄液36が溢れ出ることを防止することができる。
【0053】
さらに、この洗浄装置13によれば、第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48を、導電性材料で形成するとともに内表面を除いた外表面を非導電性材料でそれぞれ被覆し、反応容器6の内部に挿入する第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48を、ノズル46,48の軸心46a,48aが平行になるように互いに連結したので、導通状態監視手段56による監視を可能にしつつ第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48とを連結することができる。よって、この洗浄装置13によれば、反応容器6の内部に挿入する第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間隔を狭くすることができ、それにより、横断面積が一層小さい反応容器6を使用することができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態には、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36によって電気的に接続されたことを検知した場合、その検知によって洗浄液36の供給を停止するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、洗浄液36の供給開始から一定時間経過した後に洗浄液36の供給を停止し、その停止の際に、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36によって電気的に接続されているか否かを検知しても良い。一定時間とは、洗浄液36の供給を開始してから、第2洗浄液吸引ノズル48の先端が洗浄液36に浸漬するのに十分な時間である。
【0055】
一定時間経過した際に、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36によって電気的に接続されていることを検知した場合には、反応容器6の内部に洗浄液36を確実に供給できたことが分かる。
【0056】
一定時間経過する前に、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36等によって電気的に接続されたことを検知した場合には、洗浄液36の供給を停止し、検体試薬吸引手段で検体及び試薬を吸引していない旨の警告メッセージを出力手段5bに表示する。
【0057】
一定時間経過しても、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36によって電気的に接続されたことを検知することができない場合には、洗浄液供給弁33を閉じ、洗浄液36を反応容器6の内部に供給することができない旨の警告メッセージを出力手段5bに表示する。例えば、洗浄液供給ポンプ32が駆動しない場合、異物が詰まったことによって洗浄液供給弁33が開かない場合、又は洗浄液供給管35若しくは洗浄液供給ノズル34に異物が詰まった場合には、洗浄液36を反応容器6の内部に供給することができない。
【0058】
従って、洗浄液36の供給開始から一定時間経過した後に、洗浄液36の供給を停止し、その停止の際に、導通状態監視手段56が、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間が洗浄液36で電気的に接続されているか否かを検知すれば、反応容器6の内部に洗浄液36が正常に供給されたか否かが分かる。
【0059】
なお、上述した実施の形態には、検体及び試薬を検体試薬吸引手段で反応容器6の内部から排出するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、検体及び試薬を第1洗浄液吸引ノズル46で吸引することで反応容器6の内部から排出しても良い。
【0060】
さらに、上述した実施の形態には、洗浄液供給ノズル34、第1洗浄液吸引ノズル46及び第2洗浄液吸引ノズル48を下方向に移動することで、洗浄液供給ノズル34の先端、第1洗浄液吸引ノズル46の先端及び第2洗浄液吸引ノズル48の先端を反応容器6の内部に挿入するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、反応容器6を上方向に移動することによって、洗浄液供給ノズル34の先端、第1洗浄液吸引ノズル46の先端及び第2洗浄液吸引ノズル48の先端を反応容器6の内部に挿入しても良い。
【0061】
また、上述した実施の形態には、洗浄液供給ノズル34から洗浄液36を供給することによって、反応容器6の内部に洗浄液36を溜めるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、洗浄液供給ノズル34から反応容器6の内部に洗浄液36を供給しつつ、第1洗浄液吸引ノズル46で反応容器6の内部の洗浄液36を供給量を下回るように吸引することによって反応容器6の内部に洗浄液36を溜めても良い。
【0062】
さらに、上述した実施の形態には、ノズル34,46,48を導電性材料で形成するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、ノズル34,46,48を非導電性材料で形成し、反応容器6に挿入するノズル46,48の内表面を除いた外表面に導電性部材を設け、それらの導電性部材に導線58a,58bの他端を接続しても良い。
【0063】
また、上述した実施の形態には、第1洗浄液吸引ノズル46と第2洗浄液吸引ノズル48との間を電気的に接続する導通状態監視手段56を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、洗浄液供給ノズル34と第2洗浄液吸引ノズル48との間を電気的に接続する導通状態監視手段を設けても良いし、洗浄液供給ノズル34と第1洗浄液吸引ノズル46との間を電気的に接続する導通状態監視手段を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態である洗浄装置を適用した分析機の斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態である洗浄装置を概念的に示した図である。
【図3】図2に示した洗浄装置が備える洗浄液供給ノズル、第1洗浄液吸引ノズル及び第2洗浄液吸引ノズルの断面図である。
【図4】図2に示した洗浄装置が備える導通状態監視手段を概念的に示した図である。
【図5】洗浄液供給ノズルと第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとを、反応容器に挿入した場合を概念的に示した図である。
【図6】洗浄液の液面高さが、検体及び試薬が入っていた高さを超えた場合を概念的に示した図である。
【図7】第2洗浄液吸引ノズルの先端が、反応容器の内部に溜めた洗浄液に浸漬した場合を概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0065】
1 分析機
6 反応容器
34 洗浄液供給ノズル(ノズル)
36 洗浄液
46 第1洗浄液吸引ノズル(ノズル)
48 第2洗浄液吸引ノズル(ノズル)
56 導通状態監視手段
H 検体及び試薬が入っていた高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを反応容器の内部に挿入した状態でこれらのノズルを通じて洗浄液を給排することにより反応容器を洗浄する洗浄装置において、
反応容器の内部に先端を挿入したノズル間を反応容器の外部で電気的に接続し、洗浄液の液面高さが検体及び試薬が入っていた高さを超えた場合にノズル間が洗浄液で電気的に接続されることを監視する導通状態監視手段を設けたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
ノズルとして、反応容器の下部に先端を挿入する第1洗浄液吸引ノズルと反応容器の上部に先端を挿入する第2洗浄液吸引ノズルとを備えて成り、
第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとの間を電気的に接続する導通状態監視手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
第1洗浄液吸引ノズルと第2洗浄液吸引ノズルとを導電性材料で形成するとともに内表面を除いた外表面を非導電性材料で被覆し、反応容器の内部に挿入する第1洗浄液吸引ノズル及び第2洗浄液吸引ノズルを、ノズルの軸心が平行になるように連結したことを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−309739(P2007−309739A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137727(P2006−137727)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】