説明

渋滞情報表示装置

【課題】簡易な通信構成でリアルタイムに渋滞情報を表示可能な渋滞情報表示装置を提供する。
【解決手段】自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、他車両からの渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、取得された渋滞情報に含まれる渋滞位置が自車両の前方であるかを判定する渋滞位置判定手段と、渋滞位置が自車両の前方であると判定された場合に、検出された自車両の状態を含む自車情報と、取得された渋滞情報に含まれる前方車両情報と、を含む新たな渋滞情報を作成する渋滞情報作成手段と、作成された新たな渋滞情報を発信する渋滞情報発信手段と、作成された新たな渋滞情報を表示する渋滞情報表示手段と、を備えることを特徴とする渋滞情報表示装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて渋滞情報を表示する渋滞情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置は、FMラジオの周波数に合わせて発信するFM多重放送や道路に設置された電波ビーコンや光ビーコンから渋滞を受信し、渋滞状況に合わせて色を変えたり模式図を使って画面に表示することもできる。
【0004】
しかし、上記の渋滞表示方法は、道路に設置された交通量を検出するセンサからの情報を基に渋滞の判断を行なう構成であるため、センサの設置されていない道路では渋滞情報を得ることはできない。また、車両が受信する渋滞情報は、渋滞発生の時刻から数分程度は遅れており、渋滞と表示されていても渋滞が発生している地点に差し掛かると渋滞が解消されていたり、また、その逆の現象もある。
【0005】
そこで、車両の走行状況に応じて効率よく渋滞情報を得ることができる車車間通信装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−038202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の例は、前後を走行する車両に対してそれぞれ問い合わせ信号を送り、その問い合わせ信号に対する応答信号に含まれる速度,位置,ブレーキ情報から渋滞であるかを判定している。また、車両の速度等に応じて問い合わせ信号を送る頻度を可変としている。この構成では、問い合わせ信号の送信タイミングを調整しながら他車からの問い合わせ信号にも応答しなければならず通信処理全体が複雑になるという問題点がある。また、他の車両から受信したデータを基に渋滞であるかを判定しているので、他の車両からの応答信号がない場合は渋滞判定を行なうことができないという問題点もある。
【0008】
上記問題を背景として、本発明の課題は、簡易な通信構成でリアルタイムに渋滞情報を表示可能な渋滞情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための渋滞情報表示装置を提供するものである。すなわち、請求項1によれば、自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、他車両からの渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、取得された渋滞情報に含まれる渋滞位置が自車両の前方であるかを判定する渋滞位置判定手段と、渋滞位置が自車両の前方であると判定された場合に、検出された自車両の状態を含む自車情報と、取得された渋滞情報に含まれる前方車両情報と、を含む新たな渋滞情報を作成する渋滞情報作成手段と、作成された新たな渋滞情報を発信する渋滞情報発信手段と、作成された新たな渋滞情報を表示する渋滞情報表示手段と、を備えることを特徴とする渋滞情報表示装置として構成される。
【0010】
上記構成によって、渋滞の中に入った車両が後方車両に渋滞情報を発信し、その後方の車両がその渋滞情報を受信してさらに後方の車両にリレー式に発信して、渋滞情報を伝達するとともにリアルタイムに渋滞情報を表示することが可能となる。本構成においては、他車両への問い合わせ信号の送信および他車両からの問い合わせ信号を受信する構成ではなく、自車両の前方で発生している渋滞情報を受信した場合にのみ後方車両へ発信する構成であるため、通信関係の処理は複雑とならず通信量も低減できる。また、インフラを整備する必要がないので、低コストで本発明の渋滞情報表示装置を構成することができる。
【0011】
請求項2によれば、本発明の渋滞情報表示装置における他車両からの渋滞情報に含まれる自車情報は他車両の現在位置を含み、自車両状態検出手段は自車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、渋滞位置判定手段は、他車両の現在位置と検出された車両の現在位置とから、取得された渋滞情報に含まれる渋滞位置が自車両の前方であるかを判定する構成をとることができる。
【0012】
GPS等の位置検出手段は車載用ナビゲーション装置等で使用され、車載用ナビゲーション装置の普及率も年々高まっている。上記構成によって、例えば道路沿いにインフラを整備することなく車両の現在位置を検出することができ、渋滞が自車両の前方で発生しているものであるかを判定することが可能となる。
【0013】
請求項3によれば、本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報作成手段は、取得された渋滞情報に前方車両情報が含まれる場合はその前方車両情報を新たな前方車両情報とし、取得された渋滞情報に前方車両情報が含まれない場合は取得された渋滞情報に含まれる自車情報を基に新たな前方車両情報を作成する構成をとることができる。
【0014】
上記構成によって、渋滞情報に前方車両情報が含まれる場合は、その前方車両情報の元となる渋滞情報を送信した車両が渋滞の先頭付近を走行していると判断でき、前方車両情報が含まれない場合は、その渋滞情報を送信した車両が渋滞の先頭付近を走行していると判断できる。よって、常に最新の前方車両情報を保持,発信することが可能となる。
【0015】
請求項4によれば、本発明の渋滞情報表示装置における車両状態検出手段は自車両が渋滞状態にあるかを判定する渋滞判定手段を含み、自車両が渋滞状態にあると判定された場合に、渋滞情報作成手段は自車両が渋滞状態にある旨を含む自車情報を作成する構成をとることができる。
【0016】
上記構成によって、前方車両からの渋滞情報は確実に他の車両へ発信することができるとともに、自車両が渋滞状態にあると判定された場合にのみ自車両の渋滞情報を発信するので通信量を低減することが可能となる。
【0017】
請求項5によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、自車両の速度を検出する車速検出手段と、検出された車速が所定の範囲内にある状態が継続する時間を測定する時間測定手段とを備え、渋滞判定手段は検出された車速が所定の範囲内にある状態が継続する時間が所定の値を上回る場合に自車両が渋滞状態にあると判定する構成をとることができる。
【0018】
車速は車両の各種制御に必須のパラメータで、車速検出手段すなわち車速センサは現在では殆どの車両に装備されている。上記構成によって、道路沿いに通行量検知器等のインフラを整備したり、車外の施設等から渋滞情報を入手することなく簡易かつ低コストな構成で自車両の渋滞を判定することが可能となる。また、他の車両から受信したデータを基に渋滞であるかを判定する構成ではないので、他車両の状態によらず渋滞判定を行なうことが可能である。
【0019】
請求項6によれば、本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報作成手段により作成される自車情報には検出された自車両の現在位置が含まれる構成をとることができる。
【0020】
上記構成によって、当該渋滞情報を受信した他の車両は、その渋滞が何処で発生しているかを知ることが可能となる。
【0021】
請求項7によれば、本発明の渋滞情報表示装置における自車両状態検出手段は自車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を含み、渋滞情報作成手段により作成される自車情報には検出された自車両の進行方向が含まれる構成をとることができる。
【0022】
上記構成によって、当該渋滞情報を受信した他の車両は、その渋滞の発生場所のみならず、自車両の進行方向の車線と対向車線とのうちのいずれで発生しているかを判別することができ、自車両の進行方向前方で渋滞が発生している渋滞情報を受信した場合にのみ他の車両に渋滞情報を発信すればよいので通信量を低減することが可能となる。
【0023】
請求項8によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、自車両が渋滞状態にあると判定されてからの経過時間を測定する経過時間測定手段を備え、渋滞情報作成手段により作成される自車情報には測定された経過時間が含まれる構成をとることができる。
【0024】
上記構成によって、他の車両に渋滞発生からの経過時間に関する情報も発信することが可能となる。
【0025】
請求項9によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、自車両の識別情報を記憶する識別情報記憶手段を備え、渋滞情報作成手段により作成される自車情報には識別情報が含まれる構成をとることができる。
【0026】
上記構成によって、受信した渋滞情報がどの車両から発信されたものかを識別することが可能となり、受信した渋滞情報の内容が前に受信したものと同一かどうかの判定が行ないやすくなる。
【0027】
請求項10によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、道路情報を記憶する道路情報記憶手段を備え、渋滞情報作成手段により作成される自車情報には自車両の現在位置に対応する道路情報が含まれる構成をとることができる。
【0028】
上記構成によって、単に渋滞情報が発信された車両の位置だけではなく、該車両の走行している道路の情報も取得可能となるので、渋滞情報を受信した車両は、渋滞していない別の道路を探したり経路の変更を行なう等の対応処置を余裕を持って行なうことができる。
【0029】
請求項11によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、車線情報を記憶する車線情報記憶手段を備え、渋滞情報作成手段により作成される自車情報には自車両の現在位置に対応する車線情報が含まれる構成をとることができる。
【0030】
上記構成によって、車線が複数ある道路の場合、どの車線で渋滞が発生しているかが分かるので、渋滞情報を受信した車両は、前もって渋滞していない車線に進路変更する等の回避操作を余裕を持って行なうことが可能となる。
【0031】
請求項12によれば、本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報作成手段により作成される自車情報には検出された自車両の車速が含まれる構成をとることができる。
【0032】
渋滞といっても、ノロノロ運転ではあるが一定の車速で走行している状態、ノロノロ走行と停止を繰り返す状態、全く動かない状態というように様々な状態がある。上記構成によって、渋滞の状態の詳細を他車両に発信することが可能となる。また、当該渋滞情報を受信した車両は渋滞の状態の詳細を把握することが可能となる。
【0033】
請求項13によれば、本発明の渋滞情報表示装置における前方車両情報は、当該前方車両の識別情報,現在位置,経過時間,渋滞状態にある場合の車速のうちの少なくとも一つを含む構成をとることができる。
【0034】
上記構成によって、渋滞の先頭付近を走行していると見なされる前方車両情報の走行状況を把握することができる。
【0035】
請求項14によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、他車両から取得された渋滞情報から渋滞距離を算出する渋滞距離算出手段を備える構成をとることができる。
【0036】
上記構成によって、渋滞の位置や速度を取得できる他に渋滞距離も算出できることで、渋滞の詳細を把握することが可能となる。
【0037】
請求項15によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、他車両から取得された渋滞情報から渋滞位置が自車両の前方であると判定され、自車両が渋滞状態にあると判定された場合に、渋滞距離算出手段は取得された渋滞情報の前方車両情報に含まれる現在位置と自車両の現在位置とから渋滞距離を算出する構成をとることができる。
【0038】
上記構成によって、自車両が渋滞状態にある場合には、渋滞の先頭付近を走行していると判断される車両の現在位置(前方車両情報に含まれる)と、自車両の現在位置とから渋滞距離を算出することが可能となる。
【0039】
請求項16によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、他車両から取得された渋滞情報から渋滞位置が自車両の前方であると判定され、自車両が渋滞状態にないと判定された場合に、渋滞距離算出手段は取得された渋滞情報の前方車両情報に含まれる現在位置と取得された渋滞情報の自車情報に含まれる現在位置とから渋滞距離を算出する構成をとることができる。
【0040】
上記構成によって、受信した他車両からの渋滞情報のうちで、渋滞の先頭付近を走行していると判断される車両の現在位置(前方車両情報に含まれる)と、渋滞の末尾付近を走行していると判断される車両の現在位置(自車情報に含まれる)とから渋滞距離を算出することが可能となる。
【0041】
請求項17によれば、本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報表示手段は渋滞距離を表示する構成をとることができる。
【0042】
上記構成によって、何処でどの程度の渋滞が発生しているかを視覚的に把握できる。
【0043】
請求項18によれば、本発明の渋滞情報表示装置は、他車両から取得された渋滞情報から渋滞位置が前記自車両の前方でないと判定された場合に当該渋滞情報を記憶する渋滞情報記憶手段を備え、渋滞情報作成手段は記憶された渋滞情報から道路毎の渋滞情報を作成し、渋滞情報表示手段は作成された道路毎の渋滞情報を表示する構成をとることができる。
【0044】
上記構成によって、他車両から取得された渋滞情報から渋滞位置が前記自車両の前方でないと判定された場合にも渋滞情報を作成することができ、自車両の前方のみならず、自車両の周辺地域の渋滞についても把握することができる。
【0045】
請求項19によれば、本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報表示手段は、車載用ナビゲーション装置に表示された地図上に渋滞情報を表示する構成をとることができる。
【0046】
上記構成によって、何処でどの程度の渋滞が発生しているか地図上に表示されるため、より一層渋滞について視覚的に把握しやすくなる。また、車載用ナビゲーション装置の経路探索機能を用いて、渋滞を回避する経路を探索する等の渋滞回避のための対応処置を講ずることが可能となる。また、車載用ナビゲーション装置は位置検出器を含んでいるので、その位置検出器を本発明の位置検出手段として用いれば、低コストで本発明の渋滞情報表示装置を構成することができる。さらに、車載用ナビゲーション装置は表示器を含んでいるので、その表示器を本発明の渋滞情報表示手段として用いれば、さらに低コストで本発明の渋滞情報表示装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
簡易な通信構成でリアルタイムに渋滞情報を表示可能な渋滞情報表示装置を提供するという目的を、渋滞の中に入った車両が、後方車両に渋滞情報をリレー式に発信することで、インフラを整備せずに渋滞状況をリアルタイムに地図上に表示する構成により実現した。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1に本発明の渋滞情報表示装置における渋滞情報の伝達方法を示す。進行方向Aへ向けて走行中の先頭車両101は自車両が渋滞状態にあると判定したときに、後続車両に向け渋滞情報(自車情報)を発信する。後続車両の車両103は、車両101の渋滞情報を受信し、前方方向(車両101と)の渋滞距離を算出して表示部55(後述)あるいは車載用ナビゲーション装置100(後述)に渋滞情報を表示する。また、車両103が自車両が渋滞状態にあると判定した場合は、自車の渋滞情報(自車情報)と車両101からの渋滞情報(前方車両情報)とを後続車両に発信する。車両103の後続車両である車両105は、自車両が渋滞状態にあると判定した場合は、車両103からの渋滞情報に車両101の渋滞情報(前方車両情報)が含まれていることから渋滞の先頭が車両101であると判定し、車両101の位置から自車位置までが渋滞区間と判断して表示部55(後述)あるいは車載用ナビゲーション装置100(後述)に渋滞情報を表示する。このような渋滞情報の受け渡しを後続車両へ行ない、各車両は、渋滞情報を表示部55(後述)に表示する。
【0049】
なお、車両102、車両104には車載用ナビゲーション装置100を搭載していないので地図上に渋滞情報を合わせて表示することはできないが、文字情報等によって渋滞情報を表示部55に表示することができる。
【0050】
図2は車両105における本発明の渋滞情報表示装置50と車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100との搭載状況を示すブロック図である。渋滞情報表示装置50とナビゲーション装置100とは車内LAN(Local Area Network:後述)27等によってネットワーク接続されている。車両101,車両103も同様である。車両102,車両104は渋滞情報表示装置50のみを搭載している。
【0051】
図3は本発明の渋滞情報表示装置50の一例を示したブロック図である。渋滞情報表示装置50は位置検出器51,演算部52,通信部53,入出力回路54,表示部55,音声合成回路56およびスピーカ57,LAN I/F(インターフェース)58,メモリ59等を含んで構成される。
【0052】
本発明の車両状態検出手段,位置検出手段である位置検出器51は衛星からの電波に基づいて車両105の現在位置を検出するGPS受信機が用いられる。また、ナビゲーション装置100の位置検出器1(後述)のような構成としてもよい。また、ナビゲーション装置100から車内LAN27を介して現在位置データを取得する構成としてもよい。
【0053】
本発明の車両状態検出手段,渋滞位置判定手段,渋滞情報作成手段,渋滞判定手段,時間測定手段,進行方向検出手段,経過時間測定手段,渋滞距離算出手段である演算部52は周知のCPU52a,ROM52b,RAM52c,および図示しないA/D変換回路等の周辺回路を含んで構成される。ROM52bには渋滞情報表示装置50で行なう各種処理を実行するための制御プログラム52pおよびデータが記憶されている。
【0054】
通信部53は他の車両へ渋滞情報を発信する本発明の渋滞情報発信手段である送信部53aおよび送信アンテナ53c,他の車両からの渋滞情報を受信する本発明の渋滞情報受信手段である受信部53bおよび受信アンテナ53dを含んで構成される。通信部53の構成は周知の無線通信機と同様の回路構成をとるため、詳細な説明は割愛する。
【0055】
入出力回路54は渋滞情報表示装置50の各部との信号の遣り取りを行なうもので、周知の信号処理回路等を含んで構成される。
【0056】
本発明の渋滞情報表示手段である表示部55は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、演算部52から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示部55として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0057】
スピーカ57は周知の音声合成回路56に接続され、制御プログラム52pの指令によってROM52bあるいはメモリ59に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路56においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0058】
LAN I/F58は車内LAN27を介してナビゲーション装置100等の他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行なうためのインターフェース回路である。また、LAN I/F58を介して車速センサ23からのデータ取り込みを行なってもよい。
【0059】
本発明の識別情報記憶手段,渋滞情報記憶手段であるメモリ59は、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、渋滞情報表示装置50の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ59は、車両105のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、渋滞情報表示装置50がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0060】
図4はナビゲーション装置100の構成の一例を示したブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0061】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両105の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両105の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両105の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0062】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0063】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0064】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0065】
また、ETC(Electronic Toll Collection:自動料金収受システム)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行なう構成をとってもよい。
【0066】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0067】
描画部87は、HDD21等に記憶された表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0068】
本発明の道路情報記憶手段,車線情報記憶手段であるHDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0069】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0070】
また、ナビプログラム21p,地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0071】
不揮発メモリ9はEEPROMやフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両105のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0072】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0073】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0074】
本発明の車速検出手段である車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両105の速度に換算して、車両105の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両105の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0075】
LAN(Local Area Network) I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行なうためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0076】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0077】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両105の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0078】
図5を用いて、車両105を例として渋滞情報表示装置50の処理の概要について説明する。なお、本処理は制御プログラム52pに含まれ、制御プログラム52pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、渋滞情報の受信がなく(S1:No)、例えば1分以上のような所定の時間以上の間に渋滞情報を受信しない場合(S2:Yes)には、表示部55で渋滞情報を表示している場合(S3:Yes)には、その渋滞表示を消去する(S7)。また、ナビゲーション装置100の表示器10で渋滞情報を表示する構成である場合は、ナビゲーション装置100に対して渋滞表示を消去する旨の指令を車内LAN27を介して送る。
【0079】
続いて、車両105が渋滞状態にあるかどうかの渋滞判定処理(S4,詳細は後述)を行なう。車両105が渋滞状態にあると判定された場合(S5:Yes)には、渋滞情報を作成して他の車両に発信する渋滞情報発信処理(S6,詳細は後述)を行なう。
【0080】
一方、渋滞情報を受信した場合(S1:Yes)には、受信した渋滞情報の記憶等を行なう渋滞情報受信処理(S8,詳細は後述),車両105が渋滞状態にあるかどうかの渋滞判定処理(S9,詳細は後述),渋滞距離算出処理(S10,詳細は後述),渋滞状況判定処理(S11,詳細は後述)を順次行ない、これらの処理の実行結果に基づいて表示部55に渋滞情報を表示する(S12)。また、ナビゲーション装置100の表示器10で渋滞情報を表示する構成である場合は、ナビゲーション装置100に対して渋滞表示を表示する旨の指令と渋滞表示に必要なデータとを車内LAN27を介して送る。そして、上記処理の実行結果に基づいて渋滞情報を作成して他の車両に発信する渋滞情報発信処理(S13,詳細は後述)を行なう。
【0081】
図6,図7を用いて、図5のステップS4,S9に相当する渋滞判定処理について説明する。図6に渋滞の一例を示す。車両(101等)の進行方向Aの中央分離帯C寄りの車線では、地点Bにおいて車線規制が行なわれ、車両101〜103はほぼ停止している。車両101が車線規制を回避するために左側の車線に車線変更しようとしているので、車両104,105の速度も落ちてノロノロ走行となっている。
【0082】
このように、渋滞にはノロノロ走行している状況や停滞している渋滞を考慮する必要がある。まず、車速センサ23により検出される車両105の車速が例えば20km/hのような所定の閾値を下回る場合(S21:Yes)、渋滞時間カウンタを更新し(S22)、渋滞復帰カウンタをクリアする(S23)。そして、渋滞時間カウンタが例えば30秒を超えるような、車速が所定の閾値を下回ることが所定の時間継続した場合(S24:Yes)、渋滞と判定して自車情報(詳細は後述)を作成してRAM52cあるいはメモリ59の所定の領域に記憶する(S25)。
【0083】
一方、車速が例えば20km/hのような所定の閾値を上回る場合(S21:No)、渋滞復帰カウンタを更新する(S26)。そして、渋滞復帰カウンタが例えば15秒以上のように、車速が所定の閾値を上回る場合が所定の時間継続した場合(S27:Yes)、渋滞ではないと判定して渋滞時間カウンタをクリアする(S28)とともに、渋滞復帰カウンタをクリアする(S29)。
【0084】
図8を用いて図5のステップS6,S13に相当する渋滞情報発信処理について説明する。受信した渋滞情報に前方車両情報が含まれていないとき(S41:No)は、自車情報だけを発信する(S42)。受信した渋滞情報に前方車両情報(詳細は後述)が含まれているとき(S41:Yes)は、自車情報と前方車両情報を同時に発信する(S43)。
【0085】
図9に自車情報のデータフォーマットの一例を示す。自車情報には以下の内容の少なくとも一つを含む。
(1)車両ID
自車情報と他車情報を識別するためのコードで、メモリ59に記憶され同じコードが存在しなければコードの形式に特に制約はない。例えば、車体番号やナンバプレート登録番号,渋滞情報表示装置50の機器ID等を使うことができる。渋滞情報表示装置50の機器IDを用いれば、機器メーカ毎に自車情報のデータフォーマットが異なっても、どの位置に何のデータが格納されているかを判別することができる。また、自車情報のデータフォーマットが統一されていれば、車両IDを省略することができる。
(2)道路情報
走行中の道路情報で、位置検出器51で検出された車両105の現在位置データを用いて、ナビゲーション装置100に記憶されている地図データ21mから情報を取得する。例えば、「国道1号線」のような道路の名称や、リンクID等である。
(3)車線情報
位置検出器51で検出される車両105の現在位置を用いて、ナビゲーション装置100から取得したリンク情報に、現在走行中の道路が片側に複数のレーンがある場合、走行中のレーン番号などを格納する。
(4)進行方向
車両105の進行方向は位置検出器51で検出される現在位置の推移から求めることができる。例えば、真北を0°として右回り方向による方位角を用いてもよい。進行方向情報によってその渋滞が自車の進行方向で発生しているかどうかを判別することができる。
(5)現在位置情報
位置検出器51で検出されるもので、渋滞距離を算出するために用いる。ナビゲーション装置100から経度緯度等の現在位置情報を取得して格納してもよい。
(6)渋滞時間
車両105が渋滞状態にあると判断されてからの経過時間である。日時データはGPSから受信したデータに含まれるものを用いる。また、ナビゲーション装置から日時データを取得してもよいし、周知の時計ICを演算部52に含んだ構成として時計ICから日時データを取得してもよい。
(7)渋滞情報
停滞とノロノロ走行を区別するための例えばフラグのような情報である。また、車速センサ23により検出される車速を用いてもよい。
【0086】
図10に前方車両情報のデータフォーマットの一例を示す。前方車両情報には以下の内容の少なくとも一つを含む。前方車両情報の詳細な内容は自車情報と同じであるため、ここでの詳細な説明は割愛する。
(1)車両ID
前方車両の車両IDである。
(2)現在位置情報
前方車両の現在位置である。
(3)渋滞時間
前方車両において渋滞と判定されてからの経過時間である。
(4)渋滞情報
前方車両における停滞とノロノロ走行を区別するための例えばフラグのような情報、あるいは車速である。
【0087】
前方車両情報のうち、車線情報,進行方向は自車情報と重複するため後方車両に対して発信する必要がなく、通信量を低減することができる。無論、前方車両情報のデータフォーマットの構成を自車情報と同じとしてもよい。
【0088】
自車情報と前方車両情報とを常に合わせて発信する構成としてもよい。この場合、前方車両情報がないときは、上記の各データには空欄,NULL,00,FFなど予め定義した本来の情報ではない無効な数値を格納しておく。
【0089】
図11を用いて図5のステップS8に相当する渋滞情報受信処理について説明する。まず、受信した渋滞情報が前回受信したものと同じ内容であれば(S51:Yes)、何もせずに処理を終了する。
【0090】
一方、受信した渋滞情報が前回受信したものと同じ内容ではなく(S51:No)、車両105の前方に位置し「同じ道路」で「同じレーン」を「同じ進行方向」へ走行している車両103(図1参照。以下、「車両105の前方を走行する車両」と略称)からのものである場合(S52:Yes)、該渋滞情報に含まれる自車情報と前方車両情報とをRAM52cあるいはメモリ59の所定の領域に記憶する(S53)。図1の例では、車両105が車両103から受信する渋滞情報には、自車情報として車両103に関する渋滞情報と、前方車両情報として車両101に関する渋滞情報とが含まれる。
【0091】
一方、受信した渋滞情報が車両105の前方を走行する車両103(図1参照)からのものでない場合(S52:No)、受信した渋滞情報から、道路情報,車線情報,進行方向によりグループ分けしてRAM52cあるいはメモリ59の所定の領域に記憶する(S54)。また、1台分の情報(自車情報のみ)と2台分の情報(自車情報と前方車両情報)は区別して記憶する。
【0092】
図12を用いて図5のステップS10に相当する渋滞距離算出処理について説明する。受信した渋滞情報が車両105の前方を走行する車両103(図1参照)からのものである場合(S61:Yes)、以下のように処理を行なう。2台分の情報(自車情報と前方車両情報)を受信した場合(S62:Yes)、上記の渋滞判定処理で車両105が渋滞していないと判定されたとき(S63:No)は、受信した渋滞情報の自車情報と前方車両情報とに含まれる現在位置情報から2点間の距離を渋滞距離として算出する(S64)。図1の例では、車両101と車両103との距離が渋滞距離として算出される。
【0093】
上述の渋滞判定処理で車両105が渋滞していると判定されたとき(S63:Yes)、受信した渋滞情報の前方車両情報に含まれる現在位置情報と車両105の現在位置情報とから渋滞距離を算出する(S65)。図1の例では、車両101と車両105との距離が渋滞距離として算出される。
【0094】
一方、1台分の情報(自車情報のみ)を受信した場合(S62:No)、渋滞情報を発信した車両が「渋滞の先頭」あるいは「さらに前方の車両がナビゲーション装置非装着車両」であると判断され、上記の渋滞判定処理で車両105が渋滞していると判定されたとき(S66:Yes)、受信した渋滞情報の自車情報と車両105の現在位置情報とから渋滞距離を算出する(S67)。図1の例では、車両103と車両105との距離が渋滞距離として算出される。
【0095】
受信した渋滞情報が車両105の前方を走行する車両103(図1参照)からのものでない場合(S61:No)、以下のように渋滞距離を算出して渋滞の規模を求める。まず、上述の渋滞情報受信処理でグループ分けして記憶したもののうち、例えは「同じ道路を同じ方向へ走行している」グループの中で2台分の情報(自車情報と前方車両情報)を含む渋滞情報から渋滞距離を算出する(S68)。次に、2つの渋滞区間がある場合にその2つの渋滞の間の区間(渋滞が途切れた区間)内で1台分の情報(自車情報のみ)を含む渋滞情報が記憶されている場合(S69:Yes)、これら2つの渋滞を1つの渋滞と判定する(S70)。1台分の渋滞情報が記憶されていない場合(S69:No)、は個別の渋滞と判定する(S71)。
【0096】
また、2つの渋滞の間の距離が所定の値を下回る場合には、これら2つの渋滞を1つの渋滞と判定してもよい。
【0097】
図5のステップS11に相当する渋滞状況判定処理では、上述の渋滞判定処理,渋滞距離算出処理の結果から個別の渋滞について、渋滞の起点および終点,渋滞距離,渋滞速度,渋滞区間の通行時間(渋滞距離を渋滞速度で割ったもの)を求める。そして、ナビゲーション装置100から当該渋滞を表示するために必要となる地図データおよび関連情報を取得する。また、ナビゲーション装置100の表示器10に表示する場合には、これらのデータをナビゲーション装置100へ送る。
【0098】
図13,図14は表示部55あるいはナビゲーション装置100の表示器10における渋滞表示の一例である。図13の例では、車両105の進行方向前方の渋滞が表示されている。地図表示領域10aにおいて、車両105の現在位置はGで表され、渋滞区間(E〜F)が地図上で通常の道路表示とは異なる色あるいはパターンで表示され、上記の渋滞状況判定処理で求められた渋滞情報が渋滞情報表示領域10bに表示される。また、図14の例では、車両105の進行方向前方以外の渋滞(55a〜55e)が渋滞の方向(H,J〜M)ともに表示されている。
【0099】
上述の構成では、渋滞情報表示装置50は、ナビゲーション装置100と車内LAN27によりネットワーク接続されているが、ナビゲーション装置100を用いない構成としてもよい。この場合、地図データ21mをメモリ59に記憶する構成としてもよいし、地図データを記憶せずに渋滞情報を例えば「3km先渋滞 5km 20分」というような文字情報のみで表示する構成としてもよい。また、渋滞情報表示装置50をナビゲーション装置100に含む構成としてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】渋滞情報の伝達方法を示す図。
【図2】渋滞情報表示装置と車載用ナビゲーション装置の搭載状況を示す図。
【図3】渋滞情報表示装置の構成を示すブロック図。
【図4】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図5】渋滞情報表示装置の処理の概要を説明するためのフロー図。
【図6】渋滞判定処理を説明するための図。
【図7】渋滞判定処理を説明するためのフロー図。
【図8】渋滞情報発信処理を説明するためのフロー図。
【図9】自車情報のデータフォーマットの一例を示す図。
【図10】前方車両情報のデータフォーマットの一例を示す図。
【図11】渋滞情報受信処理を説明するためのフロー図。
【図12】渋滞距離算出処理について説明するためのフロー図。
【図13】渋滞情報表示の一例を示す図。
【図14】渋滞情報表示の別の例を示す図。
【符号の説明】
【0102】
1 位置検出器
10 表示器
22 HDD(道路情報記憶手段,車線情報記憶手段)
23 車速センサ(車速検出手段)
50 渋滞情報表示装置
51 位置検出器(車両状態検出手段,位置検出手段)
52 演算部(車両状態検出手段,渋滞位置判定手段,渋滞情報作成手段,渋滞判定手段,時間測定手段,進行方向検出手段,経過時間測定手段,渋滞距離算出手段)
53 通信部
53a 送信部(渋滞情報発信手段)
53b 受信部(渋滞情報受信手段)
55 表示部(渋滞情報表示手段)
59 メモリ(識別情報記憶手段,渋滞情報記憶手段)
100 車載用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
他車両からの渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、
前記取得された渋滞情報に含まれる渋滞位置が前記自車両の前方であるかを判定する渋滞位置判定手段と、
前記渋滞位置が前記自車両の前方であると判定された場合に、前記検出された自車両の状態を含む自車情報と、前記取得された渋滞情報に含まれる前方車両情報と、を含む新たな渋滞情報を作成する渋滞情報作成手段と、
前記作成された新たな渋滞情報を発信する渋滞情報発信手段と、
前記作成された新たな渋滞情報を表示する渋滞情報表示手段と、
を備えることを特徴とする渋滞情報表示装置。
【請求項2】
前記他車両からの渋滞情報に含まれる自車情報は前記他車両の現在位置を含み、
前記自車両状態検出手段は前記自車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、
前記渋滞位置判定手段は、前記他車両の現在位置と前記検出された車両の現在位置とから、前記取得された渋滞情報に含まれる渋滞位置が前記自車両の前方であるかを判定する請求項1に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項3】
前記渋滞情報作成手段は、前記取得された渋滞情報に前方車両情報が含まれる場合はその前方車両情報を新たな前方車両情報とし、前記取得された渋滞情報に前方車両情報が含まれない場合は前記取得された渋滞情報に含まれる自車情報を基に新たな前方車両情報を作成する請求項1または2に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項4】
前記車両状態検出手段は前記自車両が渋滞状態にあるかを判定する渋滞判定手段を含み、
前記自車両が渋滞状態にあると判定された場合に、前記渋滞情報作成手段は前記自車両が渋滞状態にある旨を含む前記自車情報を作成する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項5】
前記自車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が所定の範囲内にある状態が継続する時間を測定する時間測定手段とを備え、
前記渋滞判定手段は前記検出された車速が所定の範囲内にある状態が継続する時間が所定の値を上回る場合に前記自車両が渋滞状態にあると判定する請求項4に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項6】
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記検出された自車両の現在位置が含まれる請求項2ないし5のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項7】
前記自車両状態検出手段は前記自車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を含み、
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記検出された自車両の進行方向が含まれる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項8】
前記自車両が渋滞状態にあると判定されてからの経過時間を測定する経過時間測定手段を備え、
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記測定された経過時間が含まれる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項9】
前記自車両の識別情報を記憶する識別情報記憶手段を備え、
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記識別情報が含まれる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項10】
道路情報を記憶する道路情報記憶手段を備え、
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記自車両の現在位置に対応する道路情報が含まれる請求項1ないし9のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項11】
車線情報を記憶する車線情報記憶手段を備え、
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記自車両の現在位置に対応する車線情報が含まれる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項12】
前記渋滞情報作成手段により作成される自車情報には前記検出された自車両の車速が含まれる請求項5ないし11のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項13】
前記前方車両情報は、当該前方車両の識別情報,現在位置,経過時間,渋滞状態にある場合の車速のうちの少なくとも一つを含む請求項1ないし12のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項14】
前記他車両から取得された渋滞情報から渋滞距離を算出する渋滞距離算出手段を備える請求項1ないし13のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項15】
前記他車両から取得された渋滞情報から前記渋滞位置が前記自車両の前方であると判定され、前記自車両が渋滞状態にあると判定された場合に、前記渋滞距離算出手段は前記取得された渋滞情報の前方車両情報に含まれる現在位置と前記自車両の現在位置とから前記渋滞距離を算出する請求項14に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項16】
前記他車両から取得された渋滞情報から前記渋滞位置が前記自車両の前方であると判定され、前記自車両が渋滞状態にないと判定された場合に、前記渋滞距離算出手段は前記取得された渋滞情報の前方車両情報に含まれる現在位置と前記取得された渋滞情報の自車情報に含まれる現在位置とから前記渋滞距離を算出する請求項14または15に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項17】
前記渋滞情報表示手段は前記渋滞距離を表示する請求項14ないし16のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項18】
前記他車両から取得された渋滞情報から前記渋滞位置が前記自車両の前方でないと判定された場合に当該渋滞情報を記憶する渋滞情報記憶手段を備え、
前記渋滞情報作成手段は前記記憶された渋滞情報から道路毎の渋滞情報を作成し、
前記渋滞情報表示手段は前記作成された道路毎の渋滞情報を表示する請求項1ないし17のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。
【請求項19】
前記渋滞情報表示手段は、車載用ナビゲーション装置に表示された地図上に前記渋滞情報を表示する請求項1ないし18のいずれか1項に記載の渋滞情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−148901(P2007−148901A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343971(P2005−343971)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】