炉管検査用2Dおよび3D表示システム及び方法
炉から収集した検査データを表示するシステムおよび方法を開示する。システムは検査データ(112)を格納する記憶装置(106)を備える。また、システムは、検査データ(112)を炉の物理的ジオメトリと相関させるように、複数のデータマーカで検査データ(112)を分割するようプログラムされるコンピュータを備える。各データマーカは、(曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、および/または直径の変化といった)炉の物理的特徴の位置を識別する。また、好適には、コンピュータ(102)は、分割した検査データの表示を生成するようプログラムされ、表示は炉のチューブセグメントの2次元または3次元表示である。そして、この表示を使用して、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。システムおよび関連方法の様々な典型的な実施形態が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に炉管検査システムに関し、特に、2次元および/または3次元形式で検査データを表示し、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A〜1Cに示すように、炉は一般に、角度のある曲管(各々参照符号20として示す)によって相互接続された直線チューブセグメント(各々参照符号10として示す)を特徴とする数百〜数千メートルの蛇行する配管から構成される。曲管によってチューブセグメントを密に積み重ねることが可能になり、熱の伝達および効率が最大となる。図1A〜1Cには図示していないが、配管の中間の長さの部分を使用して炉の異なった領域に位置する炉配管を相互接続してもよい。配管のこうした部分は炉のジオメトリの一部ではないが、可能な場合、検査工具(以下で説明する)が1回の通過で動作し、プラントのダウンタイムを大きく短縮するよう利用される。
【0003】
プラント保守要員が炉の磨耗部分を修理または交換する必要がある場合、どのチューブセグメントが磨耗部分を含むか、および識別したチューブセグメントが炉内のどこに位置するかを正確に識別することが非常に重要である。さらに、プラント保守要員が炉内の過熱点を縮小または除去し、それによって炉の寿命を延ばしコストと将来のプラントのダウンタイムを削減できるように、炉内の過熱点に関する情報を得ることが重要である。
【0004】
これに関連して、検査工具(参照符号30として示す)をランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで流す炉管検査システムが開発されている。通常、検査工具は、炉を通じて前進する際所定の期間の検査データを収集する(ただし、検査データは代替的に位置に基づく収集システムを介して収集してもよい)。検査データは、炉の内側半径の測定値、炉の壁厚さの測定値、等を含む。そして、収集した検査データを検査工具から抽出し、様々な測定値を較正された工学単位に変換する。最後に、技師は、炉内の薄くなったところや膨らんだところおよびその他の欠陥を識別するため、変換した検査データを検討してもよい。
【0005】
先行技術の炉管検査システムに関する1つの問題は、炉から収集した検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させるのが困難なことである。これは、検査工具が炉を通じて一定の速度で前進しないことによる。むしろ、検査工具は炉を通じて後退して流れることが多く、および/または構造中のある点で瞬間的に動かなくなることもある。また、検査工具は炉内の曲管を通り抜けるのに長い時間がかかることがある。さらに、炉のスケジュールサイズまたは直径が変化し、検査工具の通過を遅らせたり早めたりすることがある。例えば、炉はスケジュール40からスケジュール80に(または逆に)変化して検査工具の通過速度を変化させることがあり、また、炉は内径4インチから内径6インチに(または逆に)変化して検査工具の通過速度を変化させることがある。こうした条件は全て、炉の物理的ジオメトリに関する収集した検査データと検査工具の正確な位置との間の相関(すなわち、マッピングまたはスケーリング)の問題を発生する。その結果、技師は、炉の磨耗部分および/または過熱点の正確な位置を識別できないことがある。
【0006】
先行技術の炉管検査システムに関するもう1つの問題は、検査データが、炉内の問題領域を容易に「知らせる」形で表示されないことである。従来、検査データは1次元表形式で提示されており、これは、潜在的な問題が発生しているかを決定するため技師がデータの各ラインを詳細に調べなければならないという点で不十分である。検査データを検討するこの方法は時間がかかり、非効率的で、配管の1つの部分と他の部分との比較を容易に可能にしないことが認識されるだろう。すなわち、技師は炉の磨耗部分を容易に検出できず、炉の領域では一般的である過熱点が炉の動作中発生しているかを決定することもできない。
【0007】
最近、検査データのスライスを2次元形式でグラフ表示することを可能にし、その際各スライスが炉の短い軸方向部分(例えば、0.3メートル(1フィート)未満)から収集した検査データを備えるデータ視覚化ツールが開発された。検査データのこのグラフ表示は上記で説明した1次元表形式に対する改善ではあるが、技師が一度に見ることができるのは、検査データの1部分だけである。これは検査データの全体的な傾向を識別し、それをプラントの実際の動作に適用しようとする場合大きな問題である。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示するシステムおよび方法に向けられている。システムは、炉を通じて流れる検査工具によって収集した検査データを格納する記憶装置を含む。好適には、検査データは、超音波トランスデューサのアレイまたは回転鏡を備えた単一のトランスデューサによって収集した複数の内側半径および/または壁厚さの測定値を備える。また、記憶装置は、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープおよび/または慣性航法システムといった1つかそれ以上の補助センサによって収集したセンサデータを格納してもよい。
【0009】
また、システムは、検査データに関連する複数のデータマーカを生成するようプログラム可能なコンピュータを含み、その際各データマーカは、(曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化および/または直径の変化といった)炉の物理的特徴の位置を識別する。ある適用業務では、データマーカは、こうした物理的特徴の位置を識別するため検査データの2次元表示を分析したデータ分析者からの入力に基づいて生成される。他の適用業務では、コンピュータは、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータの分析に基づいて自動的にデータマーカを生成する。
【0010】
例えば、炉の曲管の位置は、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータ中の1つかそれ以上の「データの手がかり」を検出することによって識別してもよい。こうした「データの手がかり」の例は、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の変化の増大、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の数の減少、および/または検査工具の中心の変化(これらは全て曲管内で発生しやすい)を含む。他の「データの手がかり」は、検査工具が移動する距離(曲管を発見するため、炉の周知のジオメトリと比較すればよい)、検査工具の加速度(曲管内でより発生しやすい)、および/または検査工具の回転(曲管内でより速い速度で発生しやすい)に基づいて検出してもよい。
【0011】
また、コンピュータは、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データを分割するようプログラムしてもよい。好適には、分割した検査データの表示を生成するようコンピュータをさらにプログラムし、その際表示は炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示となる。適切なチューブセグメントがプラント保守要員によって修理または交換されるように、表示を使用して炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。
【0012】
本発明は先行技術に対するいくつかの利点を有する。例えば、本発明は、多量の検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させる処理および表示の方法論を提供する。さらに、本発明は、炉内の問題領域を迅速に評価し検査データ内の傾向の観察を容易にするため検査データを単一のページ上に表示する便利な方法を提供する。もちろん、本発明の他の利点は当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、図1A〜1Cに示す炉のような、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える炉のための炉管検査システムに向けられている。本発明によれば、検査工具が炉を通じて前進する際検査データおよび/またはセンサデータを収集するよう、検査工具が炉を通じて流れる。以下さらに詳細に説明するように、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータを分析して、各々炉の物理的特徴を識別する複数のデータマーカを生成してもよい。そして、検査データを炉の物理的ジオメトリ(例えば、適切なチューブセグメント)と相関させるように、検査データをデータマーカで分割する。また、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするような形で検査データが表示されることも見られる。
【0014】
炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援するため、多様な異なる種類の物理的特徴を識別してもよい。こうした物理的特徴の例は、炉の曲管、炉の対流部分の外部の隆起した表面(例えば、フィンまたはスタッド)、クロスオーバ配管、サーマルウェル(例えば、中央にねじを切った穴を備えたパイプに溶接したWeld−O−Let)、2つのチューブセグメントの間またはチューブセグメントと曲管との間の溶接部、フランジ、2つのチューブセグメントの間のスケジュールの変化および/または2つのチューブセグメントの間の直径の変化を含む。以下炉の曲管の識別に関連して本発明をさらに詳細に説明するが、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させるため多くの他の種類の物理的特徴を使用し得ることを理解すべきである。
【0015】
検査工具は、炉から検査データおよび/またはセンサデータを収集する多様な異なる装置を含んでもよい。好適には、検査工具は所定の時間に基づくレートでデータを収集する(ただし、検査工具は代替的に、検査工具が所定の距離だけ前進した時データを収集する位置に基づく収集システムを使用してデータを収集してもよい)。時間に基づく収集システムを使用すると、データ密度は、データ収集レートと検査工具が炉を通じて前進する速度とによって決定される。通常の適用業務では、データ収集レートはトランスデューサあたり30〜50Hzの範囲内であり、検査工具の速度は0.3〜0.6メートル/秒(1〜2フィート/秒)の範囲内である(ただし、検査工具が炉を通じて一定の速度で前進しないという事実を考慮すると、平均速度と瞬間速度は大きく変化することがある)。もちろん、他のデータ収集レートおよび工具速度を使用してもよい。ここで、検査工具に組み込み得る様々な種類の装置の例を説明する。
【0016】
通常、1つかそれ以上の超音波トランスデューサを使用して炉から検査データを収集する(ただし、回転鏡を備えた単一のトランスデューサを使用してもよい)。好適には、8、16、32、64または128個のトランスデューサのアレイを検査工具の周囲に配置するが、任意の数のトランスデューサを使用してもよい。各トランスデューサはトランスデューサと炉の内壁との間の距離を測定するよう動作し、それによって、検査工具が炉を通じて前進する際、複数の「内側半径測定値」がトランスデューサによって順次収集される。また、各トランスデューサは炉の壁厚さを測定するよう動作し、それによって、検査工具が炉を通じて前進する際、複数の「壁厚さ測定値」がトランスデューサによって順次収集される。こうした測定値を使用して、炉の点腐食、腐食、変形および/または亀裂といった、炉の内部表面の異常を検出してもよい。こうした内部表面の異常の検出は炉内の問題領域を示すことを理解すべきである。
【0017】
また、超音波トランスデューサによって収集した検査データを使用して炉の曲管の位置を識別し、炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援してもよい。例えば、特定の期間内の内側半径測定値および/または壁厚さ測定値の数の減少は、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供することがある。トランスデューサと炉の内壁との間の角度が数度より大きく変化すると1つかそれ以上のトランスデューサは十分なエネルギーを受け取れないことがあるという事実から、データの欠落は曲管内でより発生しやすい。また、特定の期間内の内側半径測定値および/または壁厚さ測定値の変化の増大は、曲管の位置に関する別の「データの手がかり」を提供することがある。これは、検査工具が曲管を通り抜ける際ある特定のトランスデューサの測定値が他のトランスデューサの測定値と異なりやすいという事実による。さらに、測定値を使用して検査工具の中心の変化を検出し、曲管の位置に関するまた別の「データの手がかり」を提供してもよい。
【0018】
炉から検査データを収集するために使用し得る別の種類の装置はレーザプロフィルメータである。レーザプロフィルメータは、光の集束したビームを表面上に投射し、その動きを位置検知型フォトセンサ上に投影することによって炉の内壁をマッピングするよう動作する。検査工具が炉を通じて前進する際レーザプロフィルメータは回転し、炉の内壁のヘリカルスキャンを生成する。この結果は、上記で説明した超音波トランスデューサと比較してより正確な内側半径測定値(およびある表面積に対するより多数の内側半径測定値)を提供する、炉の内壁のデジタル高解像度画像である。また、こうした測定値を使用して検査工具の中心の変化を検出し、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供してもよい。
【0019】
また、炉からセンサデータを収集する目的で、1つかそれ以上の補助センサを検査工具に組み込んでもよい。また、センサデータは、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供し、炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援してもよい。センサデータは、全てのデータの時間的相関を確実にするため、好適には検査データと同時に収集する。
【0020】
炉からセンサデータを収集するために使用し得る1つの種類の補助センサは軸エンコーダである。軸エンコーダは、炉の内壁に接触し検査工具が炉を通じて前進する際回転するローラホイールを有する。軸エンコーダからの各出力パルスは、検査工具が炉を通じて(6.35ミリメートル(1/4インチ)または12.7ミリメートル(1/2インチ)といった)所定の距離を移動したことを示す。時間に基づく収集システムでは、こうした出力パルスを使用して所定の期間毎に読み取られるカウンタを増分し、カウンタの測定値を検査工具のメモリに格納する。こうしたカウンタの測定値を距離の測定値に変換し、炉の既知のジオメトリと組み合わせて使用して曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。好適には、2つの軸エンコーダを利用して、検査工具が炉を通じて前進する際1つが動かなくなった場合の冗長性を提供する。
【0021】
軸エンコーダが炉内の検査工具の位置の正確な測定を提供しないことがあるのを当業者は理解するだろう。通常、軸エンコーダは、炉の長さの2%〜4%の位置誤差を有する。例えば、3,000メートル(10,000フィート)長の炉では通常60メートル(200フィート)〜120メートル(400フィート)の位置誤差が生じる。位置誤差は一定ではなく、炉の異なる部分の摩擦特性に基づいて変化する。軸エンコーダは曲管の位置に関する正確な「データの手がかり」を提供しないので、曲管の位置の識別を支援するため、他の種類の補助センサを好適には軸エンコーダと共に使用すべきである。
【0022】
炉からセンサデータを収集するために使用し得る別の種類の補助センサは加速度計である。加速度計は、曲管内でより発生しやすい検査工具の加速(すなわち、速度の変化)を検出するよう動作する。時間に基づく収集システムでは、所定の期間毎に加速度計の電圧を読み取り、電圧測定値を検査工具のメモリに格納する。こうした電圧測定値を加速度測定値に変換して曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。もちろん、検査工具が炉を通じて確実に流れるように設計されている場合、曲管内の加速度は、検査工具が遭遇し得る他の加速と大きく異ならないことがある。こうした場合、加速度計は曲管の位置に関する正確な「データの手がかり」を提供しないことがあるので、他の種類の補助センサを好適には使用すべきである。
【0023】
上記で説明した装置(すなわち、1つかそれ以上の超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、軸エンコーダ、および加速度計)は、検査工具に組み込み得る装置の種類の例に過ぎないことを理解すべきである。ロールエンコーダ、ジャイロスコープまたは慣性航法システムといった多くの他の種類の装置も使用し得ることを当業者は認識するだろう。さらに、検査工具に組み込む装置の数は単一の装置(例えば、レーザプロフィルメータ)からいくつかの装置(例えば、超音波トランスデューサのアレイおよびいくつかの補助センサ)まで変化してもよい。すなわち、本発明によれば、任意の種類と数の装置を使用して炉から検査データおよび/またはセンサデータを収集してもよい。
【0024】
ここで図2を参照すると、本発明によって使用し得るシステムの例示実施形態を一般に参照符号100として示す。システム100は、(各々以下に詳細に説明する)様々な処理を行うようプログラムされたコンピュータ102を備える。こうした処理を行うため、コンピュータ102はコンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータ可読命令を実行するよう動作するプロセッサ104を含む。コンピュータ可読命令は好適には、MatLabプログラミング言語を使用してコード化するが、C、C++、C#およびJava(登録商標)といった他のプログラミング言語を使用してもよい。コンピュータ可読媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、従来のハードディスク、CD−ROM、フラッシュROM、不揮発性ROMおよびRAMといった何らかの種類のコンピュータメモリを備えてもよい。本発明と共に使用するのに適したコンピュータの例はパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータおよびマルチプロセッサコンピュータを含むが、他の種類のコンピュータを使用してもよい。
【0025】
また、引き続き図2を参照すると、システム100は記憶装置106を備え、コンピュータ102は、様々な種類の関連データを識別するデータベース108を記憶装置106中に維持するようプログラムされる。この実施形態では、関連データは、(上記で説明したように)各期間中検査工具のメモリからダウンロードした複数の期間110と対応する検査データ112およびセンサデータ114とを備える。関連データは好適にはデータベース108内の単一のテーブル中で維持するが、他のデータベース構成を使用してもよい。コンピュータ102は、記憶装置106中にデータベース108を維持するのに適した何らかの関連データベースソフトウェアを含んでもよいことを理解すべきである。
【0026】
図2の典型的な実施形態では、検査データ112は、8つの超音波トランスデューサのアレイによって炉から収集した複数の検査測定値、すなわち、各期間110についての8つの壁厚さ測定値116a〜116hおよび8つの内側半径測定値118a〜118hを備える。センサデータ114は、1対のエンコーダおよび加速度計によって炉から収集した複数のセンサ測定値、すなわち、各期間110についての2つの位置測定値120aおよび120bおよび1つの加速度測定値122を備える。すなわち、各期間110は、その特定の期間中に炉から収集した合計19の異なる測定値を含むことが分かる。もちろん、異なる適用業務間でデータセットの幅が変化するように、多くの異なる種類の装置を検査工具に組み込んでもよいことを理解すべきである。
【0027】
本発明を実現する1つのアプローチによれば、コンピュータ102は炉から収集した全ての検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。そして、データ分析者は、炉の曲管の位置を識別するため、(好適にはセンサデータ114と共に)検査データ112の表示を分析してもよい。そして、データ分析者からの入力に基づいて、コンピュータ112は好適には、炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを生成するようプログラムされる。好適には、検査データ112に関連するこうしたデータマーカの視覚的な指標を表示上に示す。また、コンピュータ102は、検査データ112を炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムしてもよい。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者は検査データ112の表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。このアプローチの例を以下、「例1」、「例2」および「例3」を参照して説明する。
【0028】
本発明を実現する別のアプローチによれば、コンピュータ102は、検査データ112および/またはセンサデータ114を分析した後、この分析に基づいて、炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを自動的に生成するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、検査データ112を炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムされる。さらに、コンピュータ102は、炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示である、分割した検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。このアプローチの例は以下「例4」を参照して説明する。
【0029】
どちらのアプローチによっても、炉から収集した検査データ112および/またはセンサデータ114中の1つかそれ以上の「データの手がかり」を検出することによって、炉の曲管の位置を識別してもよい。こうした「データの手がかり」の例は、特定の期間110内の壁厚さ測定値116a〜116hおよび/または内側半径測定値118a〜118hの変化の増大、特定の期間110内の壁厚さ測定値116a〜116hおよび/または内側半径測定値118a〜118hの数の減少、および/または検査工具の中心の変化を含む。こうした条件は全て炉の曲管内でより発生しやすい。
【0030】
また、位置測定値120aおよび120bを使用して、各期間110中に検査工具が移動した距離を決定してもよく、これを炉の既知のジオメトリと比較して炉の曲管の位置の識別を支援してもよい。さらに、加速度測定値122を使用して各期間110中の検査工具の加速度を決定し、炉の曲管の位置の識別を支援してもよい。もちろん、本発明により、他の種類の「データの手がかり」を使用して炉の曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。
【0031】
本発明を実現するまた別のアプローチによれば、データマーカは、検査工具からダウンロードしたデータセットに含まれる。例えば、センサの1つかそれ以上は各物理的特徴の位置を検出するため十分に信頼性が高いことがあり、それによってデータセット中の「1」は物理的特徴の検出を示し、データセット中の「0」は物理的特徴の検出がないことを示す。そしてコンピュータ102は、検査データ112を炉の物理的ジオメトリと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示である分割した検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。
【0032】
炉内の問題領域を視覚的に検出するデータ分析者の能力を高めるため、検査データの表示から工具の偏心の影響を除去するのが好適である。工具が炉を通り抜ける際工具のジオメトリは検査工具をパイプのほぼ中心に保持するが、検査工具は重力によって水平なパイプの中心線の下を浮遊することが多い。さらに、曲管を通り抜ける場合、検査工具は曲管に入る際一方に押される傾向を有する。検査工具が完璧に丸いパイプの中心にあれば、各超音波トランスデューサは(点腐食もしくは腐食がないと想定すれば)パイプの内壁まで同じ距離を測定するだろう。しかし、検査工具が偏心していれば、検査工具の周囲の各超音波トランスデューサによって収集した距離測定値には近正弦変化が存在することになる。偏心が測定すべき点腐食または腐食に対して大きな割合のものであれば、表示された検査データを単純に見ることで点腐食の深さまたは腐食を正確に決定することは非常に困難である。
【0033】
この理由から、好適には、データがあたかもパイプの中心線から収集されたかのように表示するようにデータセットを平行移動する。このセンタリング処理は、センタリング基準としてパイプの外部表面またはパイプの内部表面の何れかを使用してもよい。データ分析者がパイプの内壁上の腐食を予想するならば、パイプの外部表面が好適なセンタリング基準である。しかし、パイプの外壁上の腐食が予想されるならば、パイプの内部表面が好適なセンタリング基準である。何れの場合でも、炉内の問題領域を視覚的に強調するように、損傷のないパイプの中心からの半径データ(内側半径データ、または外側半径データ(すなわち、内側半径プラス壁厚さ)のいずれか)を基準にするためにセンタリング処理が行われる。
【0034】
丸いパイプの場合、センタリング処理は半径データを使用して円に適合する最小二乗を計算する。最適な円から最も遠い半径測定値を排除する。そして、適合処理を繰り返し、最適な円から最も遠い次の半径測定値を排除する。さらに、残りの半径測定値が最適な円から事前設定したしきい値の範囲内になるまでこの適合処理を繰り返してもよい。適合処理は、データセットに関連するパイプの中心のx,y位置とパイプの平均半径とを生成する。そして、計算したパイプの中心のx,y位置と半径測定値とのベクトル加算によって、元の半径値をパイプの中心に平行移動する。この適合処理は、内側半径データまたは外側半径データを使用して行ってよいことを理解すべきである。
【0035】
さらに、楕円形のパイプの場合、またはプラントにとってパイプの楕円度を計算することが望ましい場合、適合処理は円の代わりに楕円によって行ってもよい。この適合処理は、大径、小径、パイプの中心のx,y位置、および方向を生成する。さらに、適合処理は円筒に拡張してもよく、その場合適合処理では1つより多いデータのスライスを使用する。
【0036】
ここで、本発明の炉管検査システムをさらに説明する様々な例を提供する。これらの例は、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させ、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするような形で検査データを表示するために使用し得る様々なアプローチを単に例示するために提供されるに過ぎない。もちろん、他のアプローチを使用してもよく、これらの例はいかなる形でも本発明の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。
【0037】
(例1)
この例では、コンピュータ102は、炉から収集した壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はそれを見て、炉の曲管の位置を識別してもよい。そして、データ分析者からの入力に基づいて、コンピュータ102は、表示上に複数のデータマーカを生成し、それによって様々な測定値を炉の適切なチューブセグメントと相関させるようプログラムされる。データマーカの生成後、データ分析者は表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。ここでこの例を図3および4を参照してさらに詳細に説明する。
【0038】
図3を参照すると、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の水平ストリップにわたってプロットされたストリップチャート300を生成するようプログラムされる。壁厚さ測定値は、左から右および下から上に時間的に連続してプロットされる。すなわち、チャートの下左隅は検査工具がランチャ(図1A参照)を離れた時に対応し、チャートの上右隅は検査工具がレシーバ(図1C参照)に達した時に対応する。各期間についての壁厚さ測定値は水平ストリップの高さにわたって垂直にプロットされる。ストリップチャート300上に表示される様々な壁厚さ測定値は凡例302によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、壁厚さ測定値は3.81ミリメートル(0.15インチ)〜8.89ミリメートル(0.35インチ)の範囲内である。
【0039】
また、図4を参照すると、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての内側半径測定値が複数の水平ストリップにわたってプロットされたストリップチャート400を生成するようプログラムされる。ここでも、内側半径測定値は左から右および下から上に時間的に連続してプロットされ、各期間についての内側半径測定値は水平ストリップの高さにわたって垂直にプロットされる。ストリップチャート400上に表示される様々な内側半径測定値は凡例402によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、内側半径測定値は0.00センチメートル〜12.70センチメートル(5.00インチ)の範囲内である。
【0040】
凡例302および402は異なる適用業務について所望によりカスタマイズしてもよいことを理解すべきである。さらに、凡例302および402を使用することの代替案として、ストリップチャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、(グレースケールで表すのとは対照的に)ストリップチャート上でカラーコード化してもよい。
【0041】
ストリップチャート300および400上では、各水平ストリップは60秒の期間を表す。検査工具の速度が0.6メートル/秒(2フィート/秒)であり1トランスデューサ当たりのデータ収集レートが38Hzであると想定すると、各水平ストリップは2,280の異なる期間(すなわち、38Hz×60秒)にわたって36.576メートル(120フィート)の炉(すなわち、0.6メートル/秒(2フィート/秒)×60秒)から収集した測定値を表示することが計算できる。ストリップチャート300および400上には多数の測定値が表示されるため、データ分析者が水平ストリップの望ましい部分をより詳細に検討できるようにするズーム機能が提供される。
【0042】
この例では、データ分析者は、ストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析して炉の曲管の位置を識別する。上記で論じたように、炉の曲管の位置は、ストリップチャート上の1つかそれ以上の「データの手がかり」を視覚的に検出することによって識別してもよい。こうした「データの手がかり」は、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の変化の増大(これは水平ストリップの高さにわたる灰色の異なる影として示される)および/または特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の数の減少(これは水平ストリップの高さにわたる空白またはギャップとして示される)を備えてもよい。
【0043】
ストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析しながら、データ分析者は水平ストリップにわたってマウスを移動させ、ストリップチャート上の適切な位置をクリックすることによって炉の曲管の位置をマークする。データ分析者からのこの入力に基づいて、コンピュータ102は、データマーカを生成し、データ分析者がマークした位置の上にローマ数字(チューブセグメント番号を示す)とそれに続く「×」を配置する。こうして様々な測定値をデータマーカで分割し、測定値を炉の適切なチューブセグメントと相関させる。
【0044】
好適には、データ分析者は、チューブセグメントの曲管または端部がどこに位置するかに関するヒントを提供する、炉の物理的レイアウトの機械製図と共にストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析する。上記で注意したように、炉の物理的ジオメトリは必ずしも均一ではなく、炉の壁厚さまたは内側半径の何れかがチューブセグメント毎に変化することがある。例えば、ストリップチャート300から、チューブセグメント1〜30は一般に1つの壁厚さを有し、チューブセグメント31〜37は一般に別の壁厚さを有し、チューブセグメント38〜47は一般に別の壁厚さを有することが明らかである。同様に、ストリップチャート400から、チューブセグメント1〜37は一般に1つの内側半径を有するが、チューブセグメント38〜47は一般に別の内側半径を有することが明らかである。チューブセグメントの曲管または端部の位置を識別する追加の手引きを提供するため、様々なチューブセグメントの既知の長さをストリップチャート300および400に重ね合わせてもよいことを理解すべきである。
【0045】
ストリップチャート300および400が炉内の問題領域を容易に「知らせる」ことが分かる。例えば、ストリップチャート300から、壁厚さ測定値はチューブセグメント33および34で変化し、チューブセグメント31、36および37で小さく変化していることが(これらのチューブセグメントの長さに沿った灰色の変化が示すように)明らかである。こうした変化はストリップチャート300を一瞥しただけではすぐに明らかにならなかった。潜在的な問題領域はストリップチャート400からも分かる。ストリップチャート300および400を使用して、データ分析者はチューブセグメントの1つかそれ以上に欠陥がありプラント保守要員による修理または交換がなされるべきであると決定してもよい。
【0046】
ストリップチャート300および400は単に、炉内の問題領域を視覚的に検出するために使用し得る表示の種類の例に過ぎないことを理解すべきである。例えば、データマーカの生成後、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、各バーが炉の1つのチューブセグメントを表すバーの積み重ねた組み合わせとして表示してもよい。また、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、チューブセグメントの構造が炉の実際の物理的ジオメトリに一致する3次元形式で表示してもよい。本発明によって他の種類の表示も使用し得ることを当業者は理解するだろう。
【0047】
(例2)
この例では、コンピュータ102は、炉の対流部から収集した壁厚さ測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。詳しく言うと、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の垂直バーにわたってプロットされた図5に示すチャート410を生成するようプログラムされる。各垂直バーは、単一のチューブセグメントからの壁厚さ測定値を表示する。チューブセグメントを正しい方向に配置する(但し、接続曲管は除去する)。
【0048】
この例では、チャート410上に表示した壁厚さ測定値は凡例412によってグレースケールで表されており、測定値は3ミリメートル〜10ミリメートルの範囲内である。チャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値は代替的に(グレースケールで表すのとは対照的に)チャート410上でカラーコード化してもよい。
【0049】
正しい方向で全てのチューブセグメントを見る時、データ分析者は、チャート410上の暗い小斑点が、チューブセグメントの外側に溶接したピン(伝熱面積を増大するために使用する)によって発生したことを決定できる。こうした暗い小斑点は特に垂直バー414a〜414gの長さに沿って優勢である。また、データ分析者は、チャート410上の間隔の開いた暗い染みがチューブセグメント上の外部腐食の領域を示すことを決定できる。この例では、こうした暗い染みの間の間隔は、問題の原因が流体を炉に滴下する少量の漏れのある取り付け具であることを示している。すなわち、図5のチャート410から、炉の問題領域とその原因との両方を容易に決定できる。
【0050】
(例3)
この例では、コンピュータ102は、別の炉の対流部から収集した壁厚さ測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。詳しく言うと、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の垂直バーにわたってプロットされた図6に示すチャート420を生成するようプログラムされる。図5のチャートと同様に、各垂直バーは単一のチューブセグメントからの壁厚さ測定値を表示し、チューブセグメントを正しい方向に配置する(ただし、接続曲管は除去する)。
【0051】
この例では、チャート420上に表示した壁厚さ測定値は凡例422によってグレースケールで表されており、測定値は5.08ミリメートル(0.20インチ)〜11.43ミリメートル(0.45インチ)の範囲内である。ここでも、チャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値は代替的に(グレースケールで表すのとは対照的に)チャート420上でカラーコード化してもよい。
【0052】
正しい方向で全てのチューブセグメントを見る時、データ分析者は、チャート420上の渦パターンが、炉内の流れパターンによって全体的に壁が薄くなっているのを示していることを決定できる。内側半径測定値(図示せず)は炉内の検査工具の回転を示さないので、渦パターンはこうした回転によって発生したものではないことに注意すべきである。また、検査工具は通常重力によって炉内で偏心している。すなわち、検査工具が回転していれば、炉の内壁の最も近くに位置する超音波トランスデューサの測定値は変化するはずである(それはここには当てはまらない)。すなわち、この例では、炉内の流れパターンによって発生した問題領域は図6のチャート420で容易にその存在を知らせている。
【0053】
(例4)
この例では、コンピュータ102は、炉の曲管の位置を識別する複数の複合データマーカ(複数の個別データマーカから導出される)を自動的に生成するため、炉から収集した検査データおよびセンサデータを分析するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、複合データマーカで検査データを分割し、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるようプログラムされる。さらに、コンピュータ102は、分割した検査データの表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこれを見て炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。ここで図7、8および9を参照してこの例をさらに詳細に説明する。
【0054】
図7を参照すると、コンピュータ102は、複数の個別データマーカが線502、504、506、508、510および512上にプロットされ、複数の複合データマーカが線514上にプロットされたチャート500を生成するようプログラムされる。コンピュータ102は、検査データおよびセンサデータ中の様々な「データの手がかり」の検出に基づいて線502、504、506、508、510および512上の個別データマーカを自動的に生成するようプログラムされる。これらの線を各々以下で説明する。
・線502は、特定の期間内の壁厚さ測定値の数の減少を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線504は、特定の期間内の内側半径測定値の数の減少を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線506は、特定の期間内の壁厚さ測定値の変化の増大を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線508は、特定の期間内の内側半径測定値の変化の増大を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線510は、特定の期間内の検査工具の偏心を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線512は、特定の期間内の検査工具の加速を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
各個別データマーカの位置は線502、504、506、508、510および512の上のスパイクで示され、線の上(すなわち線の正側)のスパイクの長さはその個別データマーカについての信頼性の度合の指標であることが分かる。別言すれば、高いスパイクは低いスパイクより信頼性の度合が高い。
【0055】
また、コンピュータ102は、線502、504、506、508、510および512上に示された個別データマーカを結合することによって、線514上の複合データマーカを自動的に生成するようプログラムされる。この例では、1つのデータマーカが特定の期間内の他のデータマーカに対して優位を占めることがないように、個別データマーカを正規化する。一例として、(N=38Hzのレートで得たスライスの数でありM=超音波トランスデューサの数であるとする時)壁厚さ測定値または内側半径測定値の何れかのN×Mのアレイについて、各個別データマーカは、アレイの要素をアレイ中で発見される最大値によって除算することによって正規化してもよい。そして、二乗平均平方根計算を使用して正規化した個別データマーカを結合し、複合データマーカを生成する(ただし、他の種類の計算またはアルゴリズムを使用してもよい)。ここでも、各複合データマーカの位置は線514の上のスパイクで示され、線の上(すなわち線の正側)のスパイクの長さはその複合データマーカについての信頼性の度合の指標であることが分かる。もちろん、複合データマーカは単独の何れかの個別データマーカより信頼性の度合が高いことを理解すべきである。
【0056】
また、チャート500は、軸エンコーダからの積分カウントから導出した検査工具の位置のプロットである線516をも含むことに注意すべきである。線516を使用して、検査工具が炉内の何らかの地点で行き詰まっていないかを検証してもよい。この例では、検査工具が行き詰まった時に発生するであろう線516に沿った平坦な部分は存在しない。1つかそれ以上の平坦な部分が存在するならば、データ分析者はその特定の期間中収集した冗長なデータを手動で除去してもよい。
【0057】
また、図8を参照すると、コンピュータ102は、所定のしきい値に関連する全ての複合データマーカを示すチャート520を生成するようプログラムされる。詳しく言うと、チャート500の線514上に示される全ての複合データマーカを左から右および上から下に時間的に連続してプロットし、チャート520上に示す線522(すなわち、周期的なピークのある線)を形成する。それと対照的に、チャート520上に示す線524は、複合データマーカが炉の曲管の位置の「有効」な指標であるかを決定するために使用し得る所定のしきい値を表す。別言すれば、複合データマーカは、ピークが所定のしきい値の上に位置する時「有効」であり、ピークが所定のしきい値の下に位置する時「無効」である。
【0058】
一例として、所定のしきい値は、(1)50点移動平均フィルタを複合データマーカ(C_DataN)の両方向に適用しベース信号(BaseN)を生成する、その際フィルタを両方向にかけることによって時間遅延を除去する、(2)ブロックサイズ1000の複合データマーカ(C_DataN)の移動標準偏差を計算し、標準偏差アレイ(STDArrayN)を生成する、および(3)ベース信号(BaseN)を標準偏差アレイ(STDArrayN)の2.5倍に加算することによってしきい値アレイ(ThreshN)を計算する(すなわち、ThreshN=BaseN+2.5*STDArrayN)、ことによって生成してもよい。データ分析者はチャート520を分析して所定のしきい値を生成するために使用するアルゴリズムを修正または「微調整」してもよいことを当業者は認識するだろう。
【0059】
この例では、図7および8に示す複合データマーカは、炉の曲管の位置に対応するデータベース中の位置を「指し示す」よう動作するポインタを備える。代替的には、複合データマーカは直接データベース内に埋め込んでもよく、また様々な検査データについてのファイル名を備えてもよい。さらに、データ分析者は単に、検査データを分割するガイドとして複合データマーカを使用してもよい(以下説明する)。また、もちろん、本発明により、他の種類の複合データマーカを使用して、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させてもよい。
【0060】
複合データマーカの生成後、コンピュータ102は、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、複合データマーカで検査データを分割してもよい。また、コンピュータ102は、分割した検査データの表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はそれを見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。この表示は炉のチューブセグメントの1つまたはそれ以上の2次元または3次元表示を備えてもよく、顧客の要求によりカスタマイズしてもよい。例えば、ある顧客は特定のチューブセグメントの長さに沿った5つの等間隔位置での壁厚さを示す表示を要求してもよく、別の顧客は炉の各チューブセグメントについての最小壁厚さを示す表示を要求してもよい。また、もちろん、この情報は、表示に付随する文字によるレポートの形態で顧客に提供してもよい。
【0061】
特定の顧客の要求によってカスタマイズし得る表示の一例を図9に示す。この表示は、対象となる5つの異なるチューブセグメントについての内側半径測定値を示す3次元チャート700を備える(接続曲管は除去する)。チューブセグメントは炉の実際の物理的ジオメトリに一致するような形で表示し、これらのチューブセグメントについての顧客の指定によって標識付けする(すなわち、パイプC4−1、パイプC4−2、パイプC4−3、パイプC4−4およびパイプC4−5)。チャート700上で表示される様々な内側半径測定値は凡例702によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、内側半径測定値は72.64ミリメートル(2.86インチ)〜77.22ミリメートル(3.04インチ)の範囲内である。
【0062】
チャート700は、対象となる5つのチューブセグメント内の問題領域を容易に「知らせる」ことが分かる。例えば、チャート700から、内側半径測定値が(チューブセグメント内の灰色の変化によって示されるように)パイプC4−1、パイプC4−2、パイプC4−3およびパイプC4−5と標識付けされたチューブセグメントで変化していることが明らかである。こうした変化はチャート700を一瞥しただけではすぐに明らかにならなかった。すなわち、チャート700を使用して、データ分析者は、チューブセグメントの1つかそれ以上に欠陥がありプラント保守要員による修理または交換がなされるべきであると決定してもよい。
【0063】
ここで図10Aおよび10Bのフローチャートを参照し、ステップ800〜830に関連して本発明の方法の例示実施形態を説明する。まず、ステップ800では、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータを検査工具から抽出する。次に、ステップ802では、抽出した検査データおよび/またはセンサデータを較正された工学単位に変換する。例えば、超音波トランスデューサによって収集した測定値は時間から距離(例えば、インチ)に変換し、軸エンコーダによって収集した測定値はカウンタ値から距離(例えば、インチ)に変換し、加速度計によって収集した測定値は電圧から加速度(例えば、フィート/秒2)に変換する。他の種類の測定値についての変換も当業者には周知である。そして、ステップ804では、変換した検査データおよび/またはセンサデータをデータベース中に格納する。もちろん、ステップ800〜804は以前に獲得しデータベース中に格納したデータセットの分析のためには必要ないことを理解すべきである。
【0064】
次に、データベース中に格納した検査データに関連して炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを生成する。データマーカは、ステップ806〜812で「半自動的に」生成するかまたはステップ814〜822で「自動的に」生成するかの何れかでよい。
【0065】
「半自動」アプローチを使用すると、ステップ806では、コンピュータを使用して、(好適には単一のページ上の)データベース中に格納した検査データの一部または全てを示す2次元または3次元表示を生成する。ステップ808では、データ分析者は表示を見て分析し、炉の曲管の位置の識別を支援する「データの手がかり」を視覚的に検出する。そして、ステップ810では、データ分析者は、炉の曲管の位置を識別する情報をコンピュータに入力する。最後に、ステップ812では、コンピュータは、データ分析者からの入力に基づいてデータマーカを生成する。
【0066】
「自動」アプローチを使用すると、ステップ814では、コンピュータを使用してデータベース中に格納された検査データおよび/またはセンサデータを分析し、複数のデータマーカを自動的に生成する。ステップ816〜820に示すように、この分析は、検査データおよび/またはセンサデータ中の「データの手がかり」の検出に基づいて複数の個別データマーカを生成するステップと、個別データマーカを正規化するステップと、個別データマーカを結合して複数の複合データマーカを生成するステップとを備えてもよい。そして、ステップ822では、コンピュータは複合データマーカを所定のしきい値と比較して、複合データマーカが炉の曲管の位置の「有効な」指標かを決定してもよい。
【0067】
(ステップ806〜812で「半自動的に」かまたはステップ814〜822で「自動的に」かの何れかで)一旦データマーカを生成したら、ステップ824では検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで分割する。そして、ステップ826では、データ分析者は分割した検査データの表示に関連する情報を入力する。この情報は、望ましい表示の種類(例えば、2次元形式または3次元形式)および表示すべき望ましいチューブセグメント(例えば、全てのチューブセグメントまたは特定のチューブセグメント)に関連する顧客の要求を含んでもよい。ステップ828では、コンピュータは顧客の要求によって表示を生成する。最後に、ステップ830では、データ分析者は表示を見て分析し、検査データ中の全体的な傾向を識別し、かつ/または炉内の問題領域を視覚的に検出する。
【0068】
以上、典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から離れることなく様々な修正をなし得ることを理解すべきである。従って、本発明は、その制限が添付の請求項に含まれない限り上記で説明し例示した典型的な実施形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その1)である。
【図1B】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その2)である。
【図1C】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その3)である。
【図2】本発明に係る検査データを表示するコンピュータシステムの構成図である。
【図3】本発明の第1の例によって炉から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元ストリップチャートである。
【図4】本発明の第1の例によって炉から収集した全ての内側半径測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元ストリップチャートである。
【図5】本発明の第2の例によって炉の対流部分から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元チャートである。
【図6】本発明の第3の例によって炉の対流部分から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元チャートである。
【図7】本発明の第4の例によって炉の曲管の位置を識別するために使用し得る個別データマーカおよび複合データマーカを示す、図2のコンピュータシステムによって生成したチャートである。
【図8】本発明の第4の例によって炉の曲管の位置を識別するため使用し得る適応しきい値に関連する複合データマーカを示す、図2のコンピュータシステムによって生成したチャートである。
【図9】本発明の第4の例によって接続用曲管を取り外した炉の様々なチューブセグメントを示す、図2のコンピュータシステムによって生成した3次元チャートである。
【図10A】本発明に係る検査データを表示する方法のフローチャート(その1)である。
【図10B】本発明に係る検査データを表示する方法のフローチャート(その2)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に炉管検査システムに関し、特に、2次元および/または3次元形式で検査データを表示し、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A〜1Cに示すように、炉は一般に、角度のある曲管(各々参照符号20として示す)によって相互接続された直線チューブセグメント(各々参照符号10として示す)を特徴とする数百〜数千メートルの蛇行する配管から構成される。曲管によってチューブセグメントを密に積み重ねることが可能になり、熱の伝達および効率が最大となる。図1A〜1Cには図示していないが、配管の中間の長さの部分を使用して炉の異なった領域に位置する炉配管を相互接続してもよい。配管のこうした部分は炉のジオメトリの一部ではないが、可能な場合、検査工具(以下で説明する)が1回の通過で動作し、プラントのダウンタイムを大きく短縮するよう利用される。
【0003】
プラント保守要員が炉の磨耗部分を修理または交換する必要がある場合、どのチューブセグメントが磨耗部分を含むか、および識別したチューブセグメントが炉内のどこに位置するかを正確に識別することが非常に重要である。さらに、プラント保守要員が炉内の過熱点を縮小または除去し、それによって炉の寿命を延ばしコストと将来のプラントのダウンタイムを削減できるように、炉内の過熱点に関する情報を得ることが重要である。
【0004】
これに関連して、検査工具(参照符号30として示す)をランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで流す炉管検査システムが開発されている。通常、検査工具は、炉を通じて前進する際所定の期間の検査データを収集する(ただし、検査データは代替的に位置に基づく収集システムを介して収集してもよい)。検査データは、炉の内側半径の測定値、炉の壁厚さの測定値、等を含む。そして、収集した検査データを検査工具から抽出し、様々な測定値を較正された工学単位に変換する。最後に、技師は、炉内の薄くなったところや膨らんだところおよびその他の欠陥を識別するため、変換した検査データを検討してもよい。
【0005】
先行技術の炉管検査システムに関する1つの問題は、炉から収集した検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させるのが困難なことである。これは、検査工具が炉を通じて一定の速度で前進しないことによる。むしろ、検査工具は炉を通じて後退して流れることが多く、および/または構造中のある点で瞬間的に動かなくなることもある。また、検査工具は炉内の曲管を通り抜けるのに長い時間がかかることがある。さらに、炉のスケジュールサイズまたは直径が変化し、検査工具の通過を遅らせたり早めたりすることがある。例えば、炉はスケジュール40からスケジュール80に(または逆に)変化して検査工具の通過速度を変化させることがあり、また、炉は内径4インチから内径6インチに(または逆に)変化して検査工具の通過速度を変化させることがある。こうした条件は全て、炉の物理的ジオメトリに関する収集した検査データと検査工具の正確な位置との間の相関(すなわち、マッピングまたはスケーリング)の問題を発生する。その結果、技師は、炉の磨耗部分および/または過熱点の正確な位置を識別できないことがある。
【0006】
先行技術の炉管検査システムに関するもう1つの問題は、検査データが、炉内の問題領域を容易に「知らせる」形で表示されないことである。従来、検査データは1次元表形式で提示されており、これは、潜在的な問題が発生しているかを決定するため技師がデータの各ラインを詳細に調べなければならないという点で不十分である。検査データを検討するこの方法は時間がかかり、非効率的で、配管の1つの部分と他の部分との比較を容易に可能にしないことが認識されるだろう。すなわち、技師は炉の磨耗部分を容易に検出できず、炉の領域では一般的である過熱点が炉の動作中発生しているかを決定することもできない。
【0007】
最近、検査データのスライスを2次元形式でグラフ表示することを可能にし、その際各スライスが炉の短い軸方向部分(例えば、0.3メートル(1フィート)未満)から収集した検査データを備えるデータ視覚化ツールが開発された。検査データのこのグラフ表示は上記で説明した1次元表形式に対する改善ではあるが、技師が一度に見ることができるのは、検査データの1部分だけである。これは検査データの全体的な傾向を識別し、それをプラントの実際の動作に適用しようとする場合大きな問題である。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示するシステムおよび方法に向けられている。システムは、炉を通じて流れる検査工具によって収集した検査データを格納する記憶装置を含む。好適には、検査データは、超音波トランスデューサのアレイまたは回転鏡を備えた単一のトランスデューサによって収集した複数の内側半径および/または壁厚さの測定値を備える。また、記憶装置は、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープおよび/または慣性航法システムといった1つかそれ以上の補助センサによって収集したセンサデータを格納してもよい。
【0009】
また、システムは、検査データに関連する複数のデータマーカを生成するようプログラム可能なコンピュータを含み、その際各データマーカは、(曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化および/または直径の変化といった)炉の物理的特徴の位置を識別する。ある適用業務では、データマーカは、こうした物理的特徴の位置を識別するため検査データの2次元表示を分析したデータ分析者からの入力に基づいて生成される。他の適用業務では、コンピュータは、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータの分析に基づいて自動的にデータマーカを生成する。
【0010】
例えば、炉の曲管の位置は、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータ中の1つかそれ以上の「データの手がかり」を検出することによって識別してもよい。こうした「データの手がかり」の例は、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の変化の増大、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の数の減少、および/または検査工具の中心の変化(これらは全て曲管内で発生しやすい)を含む。他の「データの手がかり」は、検査工具が移動する距離(曲管を発見するため、炉の周知のジオメトリと比較すればよい)、検査工具の加速度(曲管内でより発生しやすい)、および/または検査工具の回転(曲管内でより速い速度で発生しやすい)に基づいて検出してもよい。
【0011】
また、コンピュータは、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データを分割するようプログラムしてもよい。好適には、分割した検査データの表示を生成するようコンピュータをさらにプログラムし、その際表示は炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示となる。適切なチューブセグメントがプラント保守要員によって修理または交換されるように、表示を使用して炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。
【0012】
本発明は先行技術に対するいくつかの利点を有する。例えば、本発明は、多量の検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させる処理および表示の方法論を提供する。さらに、本発明は、炉内の問題領域を迅速に評価し検査データ内の傾向の観察を容易にするため検査データを単一のページ上に表示する便利な方法を提供する。もちろん、本発明の他の利点は当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、図1A〜1Cに示す炉のような、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える炉のための炉管検査システムに向けられている。本発明によれば、検査工具が炉を通じて前進する際検査データおよび/またはセンサデータを収集するよう、検査工具が炉を通じて流れる。以下さらに詳細に説明するように、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータを分析して、各々炉の物理的特徴を識別する複数のデータマーカを生成してもよい。そして、検査データを炉の物理的ジオメトリ(例えば、適切なチューブセグメント)と相関させるように、検査データをデータマーカで分割する。また、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするような形で検査データが表示されることも見られる。
【0014】
炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援するため、多様な異なる種類の物理的特徴を識別してもよい。こうした物理的特徴の例は、炉の曲管、炉の対流部分の外部の隆起した表面(例えば、フィンまたはスタッド)、クロスオーバ配管、サーマルウェル(例えば、中央にねじを切った穴を備えたパイプに溶接したWeld−O−Let)、2つのチューブセグメントの間またはチューブセグメントと曲管との間の溶接部、フランジ、2つのチューブセグメントの間のスケジュールの変化および/または2つのチューブセグメントの間の直径の変化を含む。以下炉の曲管の識別に関連して本発明をさらに詳細に説明するが、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させるため多くの他の種類の物理的特徴を使用し得ることを理解すべきである。
【0015】
検査工具は、炉から検査データおよび/またはセンサデータを収集する多様な異なる装置を含んでもよい。好適には、検査工具は所定の時間に基づくレートでデータを収集する(ただし、検査工具は代替的に、検査工具が所定の距離だけ前進した時データを収集する位置に基づく収集システムを使用してデータを収集してもよい)。時間に基づく収集システムを使用すると、データ密度は、データ収集レートと検査工具が炉を通じて前進する速度とによって決定される。通常の適用業務では、データ収集レートはトランスデューサあたり30〜50Hzの範囲内であり、検査工具の速度は0.3〜0.6メートル/秒(1〜2フィート/秒)の範囲内である(ただし、検査工具が炉を通じて一定の速度で前進しないという事実を考慮すると、平均速度と瞬間速度は大きく変化することがある)。もちろん、他のデータ収集レートおよび工具速度を使用してもよい。ここで、検査工具に組み込み得る様々な種類の装置の例を説明する。
【0016】
通常、1つかそれ以上の超音波トランスデューサを使用して炉から検査データを収集する(ただし、回転鏡を備えた単一のトランスデューサを使用してもよい)。好適には、8、16、32、64または128個のトランスデューサのアレイを検査工具の周囲に配置するが、任意の数のトランスデューサを使用してもよい。各トランスデューサはトランスデューサと炉の内壁との間の距離を測定するよう動作し、それによって、検査工具が炉を通じて前進する際、複数の「内側半径測定値」がトランスデューサによって順次収集される。また、各トランスデューサは炉の壁厚さを測定するよう動作し、それによって、検査工具が炉を通じて前進する際、複数の「壁厚さ測定値」がトランスデューサによって順次収集される。こうした測定値を使用して、炉の点腐食、腐食、変形および/または亀裂といった、炉の内部表面の異常を検出してもよい。こうした内部表面の異常の検出は炉内の問題領域を示すことを理解すべきである。
【0017】
また、超音波トランスデューサによって収集した検査データを使用して炉の曲管の位置を識別し、炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援してもよい。例えば、特定の期間内の内側半径測定値および/または壁厚さ測定値の数の減少は、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供することがある。トランスデューサと炉の内壁との間の角度が数度より大きく変化すると1つかそれ以上のトランスデューサは十分なエネルギーを受け取れないことがあるという事実から、データの欠落は曲管内でより発生しやすい。また、特定の期間内の内側半径測定値および/または壁厚さ測定値の変化の増大は、曲管の位置に関する別の「データの手がかり」を提供することがある。これは、検査工具が曲管を通り抜ける際ある特定のトランスデューサの測定値が他のトランスデューサの測定値と異なりやすいという事実による。さらに、測定値を使用して検査工具の中心の変化を検出し、曲管の位置に関するまた別の「データの手がかり」を提供してもよい。
【0018】
炉から検査データを収集するために使用し得る別の種類の装置はレーザプロフィルメータである。レーザプロフィルメータは、光の集束したビームを表面上に投射し、その動きを位置検知型フォトセンサ上に投影することによって炉の内壁をマッピングするよう動作する。検査工具が炉を通じて前進する際レーザプロフィルメータは回転し、炉の内壁のヘリカルスキャンを生成する。この結果は、上記で説明した超音波トランスデューサと比較してより正確な内側半径測定値(およびある表面積に対するより多数の内側半径測定値)を提供する、炉の内壁のデジタル高解像度画像である。また、こうした測定値を使用して検査工具の中心の変化を検出し、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供してもよい。
【0019】
また、炉からセンサデータを収集する目的で、1つかそれ以上の補助センサを検査工具に組み込んでもよい。また、センサデータは、曲管の位置に関する「データの手がかり」を提供し、炉の物理的ジオメトリとの検査データの相関を支援してもよい。センサデータは、全てのデータの時間的相関を確実にするため、好適には検査データと同時に収集する。
【0020】
炉からセンサデータを収集するために使用し得る1つの種類の補助センサは軸エンコーダである。軸エンコーダは、炉の内壁に接触し検査工具が炉を通じて前進する際回転するローラホイールを有する。軸エンコーダからの各出力パルスは、検査工具が炉を通じて(6.35ミリメートル(1/4インチ)または12.7ミリメートル(1/2インチ)といった)所定の距離を移動したことを示す。時間に基づく収集システムでは、こうした出力パルスを使用して所定の期間毎に読み取られるカウンタを増分し、カウンタの測定値を検査工具のメモリに格納する。こうしたカウンタの測定値を距離の測定値に変換し、炉の既知のジオメトリと組み合わせて使用して曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。好適には、2つの軸エンコーダを利用して、検査工具が炉を通じて前進する際1つが動かなくなった場合の冗長性を提供する。
【0021】
軸エンコーダが炉内の検査工具の位置の正確な測定を提供しないことがあるのを当業者は理解するだろう。通常、軸エンコーダは、炉の長さの2%〜4%の位置誤差を有する。例えば、3,000メートル(10,000フィート)長の炉では通常60メートル(200フィート)〜120メートル(400フィート)の位置誤差が生じる。位置誤差は一定ではなく、炉の異なる部分の摩擦特性に基づいて変化する。軸エンコーダは曲管の位置に関する正確な「データの手がかり」を提供しないので、曲管の位置の識別を支援するため、他の種類の補助センサを好適には軸エンコーダと共に使用すべきである。
【0022】
炉からセンサデータを収集するために使用し得る別の種類の補助センサは加速度計である。加速度計は、曲管内でより発生しやすい検査工具の加速(すなわち、速度の変化)を検出するよう動作する。時間に基づく収集システムでは、所定の期間毎に加速度計の電圧を読み取り、電圧測定値を検査工具のメモリに格納する。こうした電圧測定値を加速度測定値に変換して曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。もちろん、検査工具が炉を通じて確実に流れるように設計されている場合、曲管内の加速度は、検査工具が遭遇し得る他の加速と大きく異ならないことがある。こうした場合、加速度計は曲管の位置に関する正確な「データの手がかり」を提供しないことがあるので、他の種類の補助センサを好適には使用すべきである。
【0023】
上記で説明した装置(すなわち、1つかそれ以上の超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、軸エンコーダ、および加速度計)は、検査工具に組み込み得る装置の種類の例に過ぎないことを理解すべきである。ロールエンコーダ、ジャイロスコープまたは慣性航法システムといった多くの他の種類の装置も使用し得ることを当業者は認識するだろう。さらに、検査工具に組み込む装置の数は単一の装置(例えば、レーザプロフィルメータ)からいくつかの装置(例えば、超音波トランスデューサのアレイおよびいくつかの補助センサ)まで変化してもよい。すなわち、本発明によれば、任意の種類と数の装置を使用して炉から検査データおよび/またはセンサデータを収集してもよい。
【0024】
ここで図2を参照すると、本発明によって使用し得るシステムの例示実施形態を一般に参照符号100として示す。システム100は、(各々以下に詳細に説明する)様々な処理を行うようプログラムされたコンピュータ102を備える。こうした処理を行うため、コンピュータ102はコンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータ可読命令を実行するよう動作するプロセッサ104を含む。コンピュータ可読命令は好適には、MatLabプログラミング言語を使用してコード化するが、C、C++、C#およびJava(登録商標)といった他のプログラミング言語を使用してもよい。コンピュータ可読媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、従来のハードディスク、CD−ROM、フラッシュROM、不揮発性ROMおよびRAMといった何らかの種類のコンピュータメモリを備えてもよい。本発明と共に使用するのに適したコンピュータの例はパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータおよびマルチプロセッサコンピュータを含むが、他の種類のコンピュータを使用してもよい。
【0025】
また、引き続き図2を参照すると、システム100は記憶装置106を備え、コンピュータ102は、様々な種類の関連データを識別するデータベース108を記憶装置106中に維持するようプログラムされる。この実施形態では、関連データは、(上記で説明したように)各期間中検査工具のメモリからダウンロードした複数の期間110と対応する検査データ112およびセンサデータ114とを備える。関連データは好適にはデータベース108内の単一のテーブル中で維持するが、他のデータベース構成を使用してもよい。コンピュータ102は、記憶装置106中にデータベース108を維持するのに適した何らかの関連データベースソフトウェアを含んでもよいことを理解すべきである。
【0026】
図2の典型的な実施形態では、検査データ112は、8つの超音波トランスデューサのアレイによって炉から収集した複数の検査測定値、すなわち、各期間110についての8つの壁厚さ測定値116a〜116hおよび8つの内側半径測定値118a〜118hを備える。センサデータ114は、1対のエンコーダおよび加速度計によって炉から収集した複数のセンサ測定値、すなわち、各期間110についての2つの位置測定値120aおよび120bおよび1つの加速度測定値122を備える。すなわち、各期間110は、その特定の期間中に炉から収集した合計19の異なる測定値を含むことが分かる。もちろん、異なる適用業務間でデータセットの幅が変化するように、多くの異なる種類の装置を検査工具に組み込んでもよいことを理解すべきである。
【0027】
本発明を実現する1つのアプローチによれば、コンピュータ102は炉から収集した全ての検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。そして、データ分析者は、炉の曲管の位置を識別するため、(好適にはセンサデータ114と共に)検査データ112の表示を分析してもよい。そして、データ分析者からの入力に基づいて、コンピュータ112は好適には、炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを生成するようプログラムされる。好適には、検査データ112に関連するこうしたデータマーカの視覚的な指標を表示上に示す。また、コンピュータ102は、検査データ112を炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムしてもよい。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者は検査データ112の表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。このアプローチの例を以下、「例1」、「例2」および「例3」を参照して説明する。
【0028】
本発明を実現する別のアプローチによれば、コンピュータ102は、検査データ112および/またはセンサデータ114を分析した後、この分析に基づいて、炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを自動的に生成するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、検査データ112を炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムされる。さらに、コンピュータ102は、炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示である、分割した検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。このアプローチの例は以下「例4」を参照して説明する。
【0029】
どちらのアプローチによっても、炉から収集した検査データ112および/またはセンサデータ114中の1つかそれ以上の「データの手がかり」を検出することによって、炉の曲管の位置を識別してもよい。こうした「データの手がかり」の例は、特定の期間110内の壁厚さ測定値116a〜116hおよび/または内側半径測定値118a〜118hの変化の増大、特定の期間110内の壁厚さ測定値116a〜116hおよび/または内側半径測定値118a〜118hの数の減少、および/または検査工具の中心の変化を含む。こうした条件は全て炉の曲管内でより発生しやすい。
【0030】
また、位置測定値120aおよび120bを使用して、各期間110中に検査工具が移動した距離を決定してもよく、これを炉の既知のジオメトリと比較して炉の曲管の位置の識別を支援してもよい。さらに、加速度測定値122を使用して各期間110中の検査工具の加速度を決定し、炉の曲管の位置の識別を支援してもよい。もちろん、本発明により、他の種類の「データの手がかり」を使用して炉の曲管の位置を識別してもよいことを理解すべきである。
【0031】
本発明を実現するまた別のアプローチによれば、データマーカは、検査工具からダウンロードしたデータセットに含まれる。例えば、センサの1つかそれ以上は各物理的特徴の位置を検出するため十分に信頼性が高いことがあり、それによってデータセット中の「1」は物理的特徴の検出を示し、データセット中の「0」は物理的特徴の検出がないことを示す。そしてコンピュータ102は、検査データ112を炉の物理的ジオメトリと相関させるように、データマーカで検査データ112を分割するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示である分割した検査データ112の表示を生成するようプログラムされる。最後に、プラント保守要員が適切なチューブセグメントを修理または交換できるように、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。
【0032】
炉内の問題領域を視覚的に検出するデータ分析者の能力を高めるため、検査データの表示から工具の偏心の影響を除去するのが好適である。工具が炉を通り抜ける際工具のジオメトリは検査工具をパイプのほぼ中心に保持するが、検査工具は重力によって水平なパイプの中心線の下を浮遊することが多い。さらに、曲管を通り抜ける場合、検査工具は曲管に入る際一方に押される傾向を有する。検査工具が完璧に丸いパイプの中心にあれば、各超音波トランスデューサは(点腐食もしくは腐食がないと想定すれば)パイプの内壁まで同じ距離を測定するだろう。しかし、検査工具が偏心していれば、検査工具の周囲の各超音波トランスデューサによって収集した距離測定値には近正弦変化が存在することになる。偏心が測定すべき点腐食または腐食に対して大きな割合のものであれば、表示された検査データを単純に見ることで点腐食の深さまたは腐食を正確に決定することは非常に困難である。
【0033】
この理由から、好適には、データがあたかもパイプの中心線から収集されたかのように表示するようにデータセットを平行移動する。このセンタリング処理は、センタリング基準としてパイプの外部表面またはパイプの内部表面の何れかを使用してもよい。データ分析者がパイプの内壁上の腐食を予想するならば、パイプの外部表面が好適なセンタリング基準である。しかし、パイプの外壁上の腐食が予想されるならば、パイプの内部表面が好適なセンタリング基準である。何れの場合でも、炉内の問題領域を視覚的に強調するように、損傷のないパイプの中心からの半径データ(内側半径データ、または外側半径データ(すなわち、内側半径プラス壁厚さ)のいずれか)を基準にするためにセンタリング処理が行われる。
【0034】
丸いパイプの場合、センタリング処理は半径データを使用して円に適合する最小二乗を計算する。最適な円から最も遠い半径測定値を排除する。そして、適合処理を繰り返し、最適な円から最も遠い次の半径測定値を排除する。さらに、残りの半径測定値が最適な円から事前設定したしきい値の範囲内になるまでこの適合処理を繰り返してもよい。適合処理は、データセットに関連するパイプの中心のx,y位置とパイプの平均半径とを生成する。そして、計算したパイプの中心のx,y位置と半径測定値とのベクトル加算によって、元の半径値をパイプの中心に平行移動する。この適合処理は、内側半径データまたは外側半径データを使用して行ってよいことを理解すべきである。
【0035】
さらに、楕円形のパイプの場合、またはプラントにとってパイプの楕円度を計算することが望ましい場合、適合処理は円の代わりに楕円によって行ってもよい。この適合処理は、大径、小径、パイプの中心のx,y位置、および方向を生成する。さらに、適合処理は円筒に拡張してもよく、その場合適合処理では1つより多いデータのスライスを使用する。
【0036】
ここで、本発明の炉管検査システムをさらに説明する様々な例を提供する。これらの例は、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させ、炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするような形で検査データを表示するために使用し得る様々なアプローチを単に例示するために提供されるに過ぎない。もちろん、他のアプローチを使用してもよく、これらの例はいかなる形でも本発明の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。
【0037】
(例1)
この例では、コンピュータ102は、炉から収集した壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はそれを見て、炉の曲管の位置を識別してもよい。そして、データ分析者からの入力に基づいて、コンピュータ102は、表示上に複数のデータマーカを生成し、それによって様々な測定値を炉の適切なチューブセグメントと相関させるようプログラムされる。データマーカの生成後、データ分析者は表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。ここでこの例を図3および4を参照してさらに詳細に説明する。
【0038】
図3を参照すると、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の水平ストリップにわたってプロットされたストリップチャート300を生成するようプログラムされる。壁厚さ測定値は、左から右および下から上に時間的に連続してプロットされる。すなわち、チャートの下左隅は検査工具がランチャ(図1A参照)を離れた時に対応し、チャートの上右隅は検査工具がレシーバ(図1C参照)に達した時に対応する。各期間についての壁厚さ測定値は水平ストリップの高さにわたって垂直にプロットされる。ストリップチャート300上に表示される様々な壁厚さ測定値は凡例302によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、壁厚さ測定値は3.81ミリメートル(0.15インチ)〜8.89ミリメートル(0.35インチ)の範囲内である。
【0039】
また、図4を参照すると、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての内側半径測定値が複数の水平ストリップにわたってプロットされたストリップチャート400を生成するようプログラムされる。ここでも、内側半径測定値は左から右および下から上に時間的に連続してプロットされ、各期間についての内側半径測定値は水平ストリップの高さにわたって垂直にプロットされる。ストリップチャート400上に表示される様々な内側半径測定値は凡例402によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、内側半径測定値は0.00センチメートル〜12.70センチメートル(5.00インチ)の範囲内である。
【0040】
凡例302および402は異なる適用業務について所望によりカスタマイズしてもよいことを理解すべきである。さらに、凡例302および402を使用することの代替案として、ストリップチャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、(グレースケールで表すのとは対照的に)ストリップチャート上でカラーコード化してもよい。
【0041】
ストリップチャート300および400上では、各水平ストリップは60秒の期間を表す。検査工具の速度が0.6メートル/秒(2フィート/秒)であり1トランスデューサ当たりのデータ収集レートが38Hzであると想定すると、各水平ストリップは2,280の異なる期間(すなわち、38Hz×60秒)にわたって36.576メートル(120フィート)の炉(すなわち、0.6メートル/秒(2フィート/秒)×60秒)から収集した測定値を表示することが計算できる。ストリップチャート300および400上には多数の測定値が表示されるため、データ分析者が水平ストリップの望ましい部分をより詳細に検討できるようにするズーム機能が提供される。
【0042】
この例では、データ分析者は、ストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析して炉の曲管の位置を識別する。上記で論じたように、炉の曲管の位置は、ストリップチャート上の1つかそれ以上の「データの手がかり」を視覚的に検出することによって識別してもよい。こうした「データの手がかり」は、特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の変化の増大(これは水平ストリップの高さにわたる灰色の異なる影として示される)および/または特定の期間内の壁厚さ測定値および/または内側半径測定値の数の減少(これは水平ストリップの高さにわたる空白またはギャップとして示される)を備えてもよい。
【0043】
ストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析しながら、データ分析者は水平ストリップにわたってマウスを移動させ、ストリップチャート上の適切な位置をクリックすることによって炉の曲管の位置をマークする。データ分析者からのこの入力に基づいて、コンピュータ102は、データマーカを生成し、データ分析者がマークした位置の上にローマ数字(チューブセグメント番号を示す)とそれに続く「×」を配置する。こうして様々な測定値をデータマーカで分割し、測定値を炉の適切なチューブセグメントと相関させる。
【0044】
好適には、データ分析者は、チューブセグメントの曲管または端部がどこに位置するかに関するヒントを提供する、炉の物理的レイアウトの機械製図と共にストリップチャート300および/またはストリップチャート400を分析する。上記で注意したように、炉の物理的ジオメトリは必ずしも均一ではなく、炉の壁厚さまたは内側半径の何れかがチューブセグメント毎に変化することがある。例えば、ストリップチャート300から、チューブセグメント1〜30は一般に1つの壁厚さを有し、チューブセグメント31〜37は一般に別の壁厚さを有し、チューブセグメント38〜47は一般に別の壁厚さを有することが明らかである。同様に、ストリップチャート400から、チューブセグメント1〜37は一般に1つの内側半径を有するが、チューブセグメント38〜47は一般に別の内側半径を有することが明らかである。チューブセグメントの曲管または端部の位置を識別する追加の手引きを提供するため、様々なチューブセグメントの既知の長さをストリップチャート300および400に重ね合わせてもよいことを理解すべきである。
【0045】
ストリップチャート300および400が炉内の問題領域を容易に「知らせる」ことが分かる。例えば、ストリップチャート300から、壁厚さ測定値はチューブセグメント33および34で変化し、チューブセグメント31、36および37で小さく変化していることが(これらのチューブセグメントの長さに沿った灰色の変化が示すように)明らかである。こうした変化はストリップチャート300を一瞥しただけではすぐに明らかにならなかった。潜在的な問題領域はストリップチャート400からも分かる。ストリップチャート300および400を使用して、データ分析者はチューブセグメントの1つかそれ以上に欠陥がありプラント保守要員による修理または交換がなされるべきであると決定してもよい。
【0046】
ストリップチャート300および400は単に、炉内の問題領域を視覚的に検出するために使用し得る表示の種類の例に過ぎないことを理解すべきである。例えば、データマーカの生成後、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、各バーが炉の1つのチューブセグメントを表すバーの積み重ねた組み合わせとして表示してもよい。また、壁厚さ測定値および/または内側半径測定値は、チューブセグメントの構造が炉の実際の物理的ジオメトリに一致する3次元形式で表示してもよい。本発明によって他の種類の表示も使用し得ることを当業者は理解するだろう。
【0047】
(例2)
この例では、コンピュータ102は、炉の対流部から収集した壁厚さ測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。詳しく言うと、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の垂直バーにわたってプロットされた図5に示すチャート410を生成するようプログラムされる。各垂直バーは、単一のチューブセグメントからの壁厚さ測定値を表示する。チューブセグメントを正しい方向に配置する(但し、接続曲管は除去する)。
【0048】
この例では、チャート410上に表示した壁厚さ測定値は凡例412によってグレースケールで表されており、測定値は3ミリメートル〜10ミリメートルの範囲内である。チャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値は代替的に(グレースケールで表すのとは対照的に)チャート410上でカラーコード化してもよい。
【0049】
正しい方向で全てのチューブセグメントを見る時、データ分析者は、チャート410上の暗い小斑点が、チューブセグメントの外側に溶接したピン(伝熱面積を増大するために使用する)によって発生したことを決定できる。こうした暗い小斑点は特に垂直バー414a〜414gの長さに沿って優勢である。また、データ分析者は、チャート410上の間隔の開いた暗い染みがチューブセグメント上の外部腐食の領域を示すことを決定できる。この例では、こうした暗い染みの間の間隔は、問題の原因が流体を炉に滴下する少量の漏れのある取り付け具であることを示している。すなわち、図5のチャート410から、炉の問題領域とその原因との両方を容易に決定できる。
【0050】
(例3)
この例では、コンピュータ102は、別の炉の対流部から収集した壁厚さ測定値の2次元表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこの表示を見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。詳しく言うと、コンピュータ102は、複数の期間についての全ての壁厚さ測定値が複数の垂直バーにわたってプロットされた図6に示すチャート420を生成するようプログラムされる。図5のチャートと同様に、各垂直バーは単一のチューブセグメントからの壁厚さ測定値を表示し、チューブセグメントを正しい方向に配置する(ただし、接続曲管は除去する)。
【0051】
この例では、チャート420上に表示した壁厚さ測定値は凡例422によってグレースケールで表されており、測定値は5.08ミリメートル(0.20インチ)〜11.43ミリメートル(0.45インチ)の範囲内である。ここでも、チャート上に示される様々な測定値の間の差を容易に「知らせる」ため、壁厚さ測定値は代替的に(グレースケールで表すのとは対照的に)チャート420上でカラーコード化してもよい。
【0052】
正しい方向で全てのチューブセグメントを見る時、データ分析者は、チャート420上の渦パターンが、炉内の流れパターンによって全体的に壁が薄くなっているのを示していることを決定できる。内側半径測定値(図示せず)は炉内の検査工具の回転を示さないので、渦パターンはこうした回転によって発生したものではないことに注意すべきである。また、検査工具は通常重力によって炉内で偏心している。すなわち、検査工具が回転していれば、炉の内壁の最も近くに位置する超音波トランスデューサの測定値は変化するはずである(それはここには当てはまらない)。すなわち、この例では、炉内の流れパターンによって発生した問題領域は図6のチャート420で容易にその存在を知らせている。
【0053】
(例4)
この例では、コンピュータ102は、炉の曲管の位置を識別する複数の複合データマーカ(複数の個別データマーカから導出される)を自動的に生成するため、炉から収集した検査データおよびセンサデータを分析するようプログラムされる。また、コンピュータ102は、複合データマーカで検査データを分割し、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるようプログラムされる。さらに、コンピュータ102は、分割した検査データの表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はこれを見て炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。ここで図7、8および9を参照してこの例をさらに詳細に説明する。
【0054】
図7を参照すると、コンピュータ102は、複数の個別データマーカが線502、504、506、508、510および512上にプロットされ、複数の複合データマーカが線514上にプロットされたチャート500を生成するようプログラムされる。コンピュータ102は、検査データおよびセンサデータ中の様々な「データの手がかり」の検出に基づいて線502、504、506、508、510および512上の個別データマーカを自動的に生成するようプログラムされる。これらの線を各々以下で説明する。
・線502は、特定の期間内の壁厚さ測定値の数の減少を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線504は、特定の期間内の内側半径測定値の数の減少を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線506は、特定の期間内の壁厚さ測定値の変化の増大を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線508は、特定の期間内の内側半径測定値の変化の増大を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線510は、特定の期間内の検査工具の偏心を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
・線512は、特定の期間内の検査工具の加速を検出することによって生成された個別データマーカを表す。
各個別データマーカの位置は線502、504、506、508、510および512の上のスパイクで示され、線の上(すなわち線の正側)のスパイクの長さはその個別データマーカについての信頼性の度合の指標であることが分かる。別言すれば、高いスパイクは低いスパイクより信頼性の度合が高い。
【0055】
また、コンピュータ102は、線502、504、506、508、510および512上に示された個別データマーカを結合することによって、線514上の複合データマーカを自動的に生成するようプログラムされる。この例では、1つのデータマーカが特定の期間内の他のデータマーカに対して優位を占めることがないように、個別データマーカを正規化する。一例として、(N=38Hzのレートで得たスライスの数でありM=超音波トランスデューサの数であるとする時)壁厚さ測定値または内側半径測定値の何れかのN×Mのアレイについて、各個別データマーカは、アレイの要素をアレイ中で発見される最大値によって除算することによって正規化してもよい。そして、二乗平均平方根計算を使用して正規化した個別データマーカを結合し、複合データマーカを生成する(ただし、他の種類の計算またはアルゴリズムを使用してもよい)。ここでも、各複合データマーカの位置は線514の上のスパイクで示され、線の上(すなわち線の正側)のスパイクの長さはその複合データマーカについての信頼性の度合の指標であることが分かる。もちろん、複合データマーカは単独の何れかの個別データマーカより信頼性の度合が高いことを理解すべきである。
【0056】
また、チャート500は、軸エンコーダからの積分カウントから導出した検査工具の位置のプロットである線516をも含むことに注意すべきである。線516を使用して、検査工具が炉内の何らかの地点で行き詰まっていないかを検証してもよい。この例では、検査工具が行き詰まった時に発生するであろう線516に沿った平坦な部分は存在しない。1つかそれ以上の平坦な部分が存在するならば、データ分析者はその特定の期間中収集した冗長なデータを手動で除去してもよい。
【0057】
また、図8を参照すると、コンピュータ102は、所定のしきい値に関連する全ての複合データマーカを示すチャート520を生成するようプログラムされる。詳しく言うと、チャート500の線514上に示される全ての複合データマーカを左から右および上から下に時間的に連続してプロットし、チャート520上に示す線522(すなわち、周期的なピークのある線)を形成する。それと対照的に、チャート520上に示す線524は、複合データマーカが炉の曲管の位置の「有効」な指標であるかを決定するために使用し得る所定のしきい値を表す。別言すれば、複合データマーカは、ピークが所定のしきい値の上に位置する時「有効」であり、ピークが所定のしきい値の下に位置する時「無効」である。
【0058】
一例として、所定のしきい値は、(1)50点移動平均フィルタを複合データマーカ(C_DataN)の両方向に適用しベース信号(BaseN)を生成する、その際フィルタを両方向にかけることによって時間遅延を除去する、(2)ブロックサイズ1000の複合データマーカ(C_DataN)の移動標準偏差を計算し、標準偏差アレイ(STDArrayN)を生成する、および(3)ベース信号(BaseN)を標準偏差アレイ(STDArrayN)の2.5倍に加算することによってしきい値アレイ(ThreshN)を計算する(すなわち、ThreshN=BaseN+2.5*STDArrayN)、ことによって生成してもよい。データ分析者はチャート520を分析して所定のしきい値を生成するために使用するアルゴリズムを修正または「微調整」してもよいことを当業者は認識するだろう。
【0059】
この例では、図7および8に示す複合データマーカは、炉の曲管の位置に対応するデータベース中の位置を「指し示す」よう動作するポインタを備える。代替的には、複合データマーカは直接データベース内に埋め込んでもよく、また様々な検査データについてのファイル名を備えてもよい。さらに、データ分析者は単に、検査データを分割するガイドとして複合データマーカを使用してもよい(以下説明する)。また、もちろん、本発明により、他の種類の複合データマーカを使用して、検査データを炉の物理的ジオメトリと相関させてもよい。
【0060】
複合データマーカの生成後、コンピュータ102は、検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、複合データマーカで検査データを分割してもよい。また、コンピュータ102は、分割した検査データの表示を生成するようプログラムされ、データ分析者はそれを見て、炉内の問題領域を視覚的に検出してもよい。この表示は炉のチューブセグメントの1つまたはそれ以上の2次元または3次元表示を備えてもよく、顧客の要求によりカスタマイズしてもよい。例えば、ある顧客は特定のチューブセグメントの長さに沿った5つの等間隔位置での壁厚さを示す表示を要求してもよく、別の顧客は炉の各チューブセグメントについての最小壁厚さを示す表示を要求してもよい。また、もちろん、この情報は、表示に付随する文字によるレポートの形態で顧客に提供してもよい。
【0061】
特定の顧客の要求によってカスタマイズし得る表示の一例を図9に示す。この表示は、対象となる5つの異なるチューブセグメントについての内側半径測定値を示す3次元チャート700を備える(接続曲管は除去する)。チューブセグメントは炉の実際の物理的ジオメトリに一致するような形で表示し、これらのチューブセグメントについての顧客の指定によって標識付けする(すなわち、パイプC4−1、パイプC4−2、パイプC4−3、パイプC4−4およびパイプC4−5)。チャート700上で表示される様々な内側半径測定値は凡例702によってグレースケールで表されていることが分かる。この例では、内側半径測定値は72.64ミリメートル(2.86インチ)〜77.22ミリメートル(3.04インチ)の範囲内である。
【0062】
チャート700は、対象となる5つのチューブセグメント内の問題領域を容易に「知らせる」ことが分かる。例えば、チャート700から、内側半径測定値が(チューブセグメント内の灰色の変化によって示されるように)パイプC4−1、パイプC4−2、パイプC4−3およびパイプC4−5と標識付けされたチューブセグメントで変化していることが明らかである。こうした変化はチャート700を一瞥しただけではすぐに明らかにならなかった。すなわち、チャート700を使用して、データ分析者は、チューブセグメントの1つかそれ以上に欠陥がありプラント保守要員による修理または交換がなされるべきであると決定してもよい。
【0063】
ここで図10Aおよび10Bのフローチャートを参照し、ステップ800〜830に関連して本発明の方法の例示実施形態を説明する。まず、ステップ800では、炉から収集した検査データおよび/またはセンサデータを検査工具から抽出する。次に、ステップ802では、抽出した検査データおよび/またはセンサデータを較正された工学単位に変換する。例えば、超音波トランスデューサによって収集した測定値は時間から距離(例えば、インチ)に変換し、軸エンコーダによって収集した測定値はカウンタ値から距離(例えば、インチ)に変換し、加速度計によって収集した測定値は電圧から加速度(例えば、フィート/秒2)に変換する。他の種類の測定値についての変換も当業者には周知である。そして、ステップ804では、変換した検査データおよび/またはセンサデータをデータベース中に格納する。もちろん、ステップ800〜804は以前に獲得しデータベース中に格納したデータセットの分析のためには必要ないことを理解すべきである。
【0064】
次に、データベース中に格納した検査データに関連して炉の曲管の位置を識別する複数のデータマーカを生成する。データマーカは、ステップ806〜812で「半自動的に」生成するかまたはステップ814〜822で「自動的に」生成するかの何れかでよい。
【0065】
「半自動」アプローチを使用すると、ステップ806では、コンピュータを使用して、(好適には単一のページ上の)データベース中に格納した検査データの一部または全てを示す2次元または3次元表示を生成する。ステップ808では、データ分析者は表示を見て分析し、炉の曲管の位置の識別を支援する「データの手がかり」を視覚的に検出する。そして、ステップ810では、データ分析者は、炉の曲管の位置を識別する情報をコンピュータに入力する。最後に、ステップ812では、コンピュータは、データ分析者からの入力に基づいてデータマーカを生成する。
【0066】
「自動」アプローチを使用すると、ステップ814では、コンピュータを使用してデータベース中に格納された検査データおよび/またはセンサデータを分析し、複数のデータマーカを自動的に生成する。ステップ816〜820に示すように、この分析は、検査データおよび/またはセンサデータ中の「データの手がかり」の検出に基づいて複数の個別データマーカを生成するステップと、個別データマーカを正規化するステップと、個別データマーカを結合して複数の複合データマーカを生成するステップとを備えてもよい。そして、ステップ822では、コンピュータは複合データマーカを所定のしきい値と比較して、複合データマーカが炉の曲管の位置の「有効な」指標かを決定してもよい。
【0067】
(ステップ806〜812で「半自動的に」かまたはステップ814〜822で「自動的に」かの何れかで)一旦データマーカを生成したら、ステップ824では検査データを炉の適切なチューブセグメントと相関させるように、データマーカで分割する。そして、ステップ826では、データ分析者は分割した検査データの表示に関連する情報を入力する。この情報は、望ましい表示の種類(例えば、2次元形式または3次元形式)および表示すべき望ましいチューブセグメント(例えば、全てのチューブセグメントまたは特定のチューブセグメント)に関連する顧客の要求を含んでもよい。ステップ828では、コンピュータは顧客の要求によって表示を生成する。最後に、ステップ830では、データ分析者は表示を見て分析し、検査データ中の全体的な傾向を識別し、かつ/または炉内の問題領域を視覚的に検出する。
【0068】
以上、典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から離れることなく様々な修正をなし得ることを理解すべきである。従って、本発明は、その制限が添付の請求項に含まれない限り上記で説明し例示した典型的な実施形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その1)である。
【図1B】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その2)である。
【図1C】ランチャ(図1Aに示す)から炉(図1Bに示す)を通じてレシーバ(図1Cに示す)まで通過する検査工具の概略図(その3)である。
【図2】本発明に係る検査データを表示するコンピュータシステムの構成図である。
【図3】本発明の第1の例によって炉から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元ストリップチャートである。
【図4】本発明の第1の例によって炉から収集した全ての内側半径測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元ストリップチャートである。
【図5】本発明の第2の例によって炉の対流部分から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元チャートである。
【図6】本発明の第3の例によって炉の対流部分から収集した全ての壁厚さ測定値を示す、図2のコンピュータシステムによって生成した2次元チャートである。
【図7】本発明の第4の例によって炉の曲管の位置を識別するために使用し得る個別データマーカおよび複合データマーカを示す、図2のコンピュータシステムによって生成したチャートである。
【図8】本発明の第4の例によって炉の曲管の位置を識別するため使用し得る適応しきい値に関連する複合データマーカを示す、図2のコンピュータシステムによって生成したチャートである。
【図9】本発明の第4の例によって接続用曲管を取り外した炉の様々なチューブセグメントを示す、図2のコンピュータシステムによって生成した3次元チャートである。
【図10A】本発明に係る検査データを表示する方法のフローチャート(その1)である。
【図10B】本発明に係る検査データを表示する方法のフローチャート(その2)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記検査データを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
システム。
【請求項2】
前記表示が、前記炉の1つかそれ以上のチューブセグメントの2次元または3次元表示から構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータがさらに、データ分析者からの入力に基づいて前記データマーカを生成するようプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータがさらに、前記検査データを分析し、前記検査データの前記分析に基づいて前記データマーカを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の測定値を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記記憶装置が前記炉から収集したセンサデータを格納し、前記コンピュータがさらに、前記センサデータを分析し前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するようプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータがさらに、前記データマーカを生成するようプログラムされ、前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記個別データマーカを生成し、
前記個別データマーカを正規化し、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するようプログラムされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するコンピュータ化した方法であって、前記方法が、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカで前記検査データを分割するステップと、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップとを備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
コンピュータ化した方法。
【請求項12】
前記表示が、前記炉の1つかそれ以上のチューブセグメントの2次元または3次元表示から構成される、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項13】
データ分析者からの入力を受信するステップと、データ分析者からの前記入力に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項14】
前記検査データを分析するステップと、前記検査データの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項15】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の測定値を備える、請求項14に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項16】
前記検査データが、前記炉内で所定の期間に収集される、請求項15に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項17】
前記検査データが、前記期間各々の中の複数の前記測定値を備える、請求項16に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項18】
前記データマーカが各々、前記期間の1つの中の前記壁厚さ測定値の変化の増大、前記期間の1つの中の前記壁厚さ測定値の数の減少、前記期間の1つの中の前記内側半径測定値の変化の増大、前記期間の1つの中の前記内側半径測定値の数の減少、前記検査工具の中心の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択されるデータの手がかりを検出することによって生成される、請求項17に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項19】
前記炉から収集したセンサデータを分析するステップと、前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項20】
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、請求項19に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項21】
前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項22】
前記個別データマーカを生成するステップと、
前記個別データマーカを正規化するステップと、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項21に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項23】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項24】
複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示する方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカを生成するステップと、
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるように、前記データマーカで前記検査データを分割するステップと、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記表示が、前記炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示から構成される、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記方法が、データ分析者からの入力を受信するステップと、前記データ分析者からの前記入力に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
センサデータもまた前記炉から収集され、前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数のセンサ測定値を備える、請求項27に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記方法が、前記検査データおよび前記センサデータを分析するステップと、前記検査データおよび前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項31】
前記方法が、
前記個別データマーカを生成するステップと、
前記個別データマーカを正規化するステップと、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項30に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項33】
炉から収集した検査データを表示する方法であって、前記炉が、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える方法において、前記方法が、
前記検査データに関連する前記炉の前記曲管を識別するステップと、
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるように、前記曲管で前記検査データを分割するステップと、
前記炉の前記チューブセグメントの1つかそれ以上について前記検査データの2次元または3次元表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
方法。
【請求項34】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
センサデータもまた前記炉から収集され、前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数のセンサ測定値を備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記検査データおよび前記センサデータを分析するステップと、前記検査データおよび前記センサデータの前記分析に基づいて前記曲管を識別するステップとをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示する方法であって、前記方法が、
前記炉の前記チューブセグメントの1つかそれ以上から収集した前記検査データの2次元または3次元表示を生成するステップと、
前記2次元または3次元表示を分析し、それによって前記炉の前記チューブセグメントの前記1つかそれ以上の中の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
方法。
【請求項38】
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるステップをさらに備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記炉から収集した前記検査データおよびセンサデータを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
前記センサデータを分析し、前記センサデータの前記分析に基づいて、各々前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカを生成し、
前記データマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、を備え、
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、
システム。
【請求項41】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記検査データを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
複数の個別データマーカを生成し、
前記個別データマーカを正規化し、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって複合データマーカを生成し、
各々複合データマーカを備える複数のデータマーカを生成し、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々が前記炉の物理的特徴の位置を識別する前記複数のデータマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、
を備えるシステム。
【請求項1】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記検査データを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
システム。
【請求項2】
前記表示が、前記炉の1つかそれ以上のチューブセグメントの2次元または3次元表示から構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータがさらに、データ分析者からの入力に基づいて前記データマーカを生成するようプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータがさらに、前記検査データを分析し、前記検査データの前記分析に基づいて前記データマーカを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の測定値を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記記憶装置が前記炉から収集したセンサデータを格納し、前記コンピュータがさらに、前記センサデータを分析し前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するようプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータがさらに、前記データマーカを生成するようプログラムされ、前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記個別データマーカを生成し、
前記個別データマーカを正規化し、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するようプログラムされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するコンピュータ化した方法であって、前記方法が、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカで前記検査データを分割するステップと、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップとを備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
コンピュータ化した方法。
【請求項12】
前記表示が、前記炉の1つかそれ以上のチューブセグメントの2次元または3次元表示から構成される、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項13】
データ分析者からの入力を受信するステップと、データ分析者からの前記入力に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項14】
前記検査データを分析するステップと、前記検査データの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項15】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の測定値を備える、請求項14に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項16】
前記検査データが、前記炉内で所定の期間に収集される、請求項15に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項17】
前記検査データが、前記期間各々の中の複数の前記測定値を備える、請求項16に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項18】
前記データマーカが各々、前記期間の1つの中の前記壁厚さ測定値の変化の増大、前記期間の1つの中の前記壁厚さ測定値の数の減少、前記期間の1つの中の前記内側半径測定値の変化の増大、前記期間の1つの中の前記内側半径測定値の数の減少、前記検査工具の中心の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択されるデータの手がかりを検出することによって生成される、請求項17に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項19】
前記炉から収集したセンサデータを分析するステップと、前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項20】
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、請求項19に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項21】
前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項22】
前記個別データマーカを生成するステップと、
前記個別データマーカを正規化するステップと、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項21に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項23】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項11に記載のコンピュータ化した方法。
【請求項24】
複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示する方法を実行するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
各々前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカを生成するステップと、
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるように、前記データマーカで前記検査データを分割するステップと、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記表示が、前記炉のチューブセグメントの1つかそれ以上の2次元または3次元表示から構成される、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記方法が、データ分析者からの入力を受信するステップと、前記データ分析者からの前記入力に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
センサデータもまた前記炉から収集され、前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数のセンサ測定値を備える、請求項27に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記方法が、前記検査データおよび前記センサデータを分析するステップと、前記検査データおよび前記センサデータの前記分析に基づいて前記データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記データマーカが各々、複数の個別データマーカから導出した複合データマーカを備える、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項31】
前記方法が、
前記個別データマーカを生成するステップと、
前記個別データマーカを正規化するステップと、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって前記複合データマーカを生成するステップとをさらに備える、請求項30に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記炉の前記物理的特徴が各々、曲管、外部の隆起した表面、クロスオーバ配管、サーマルウェル、溶接部、フランジ、スケジュールの変化、直径の変化、およびそれらの組み合わせのグループから選択される、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項33】
炉から収集した検査データを表示する方法であって、前記炉が、複数の曲管によって接続された複数のチューブセグメントを備える方法において、前記方法が、
前記検査データに関連する前記炉の前記曲管を識別するステップと、
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるように、前記曲管で前記検査データを分割するステップと、
前記炉の前記チューブセグメントの1つかそれ以上について前記検査データの2次元または3次元表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
方法。
【請求項34】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
センサデータもまた前記炉から収集され、前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数のセンサ測定値を備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記検査データおよび前記センサデータを分析するステップと、前記検査データおよび前記センサデータの前記分析に基づいて前記曲管を識別するステップとをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
複数のチューブセグメントを備える炉から収集した検査データを表示する方法であって、前記方法が、
前記炉の前記チューブセグメントの1つかそれ以上から収集した前記検査データの2次元または3次元表示を生成するステップと、
前記2次元または3次元表示を分析し、それによって前記炉の前記チューブセグメントの前記1つかそれ以上の中の問題領域の視覚的検出を可能にするステップと、を備え、
前記検査データが、超音波トランスデューサ、レーザプロフィルメータ、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の装置によって収集される、
方法。
【請求項38】
前記検査データを前記炉の前記チューブセグメントの適切な1つと相関させるステップをさらに備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検査データが、前記炉の壁厚さ測定値、前記炉の内側半径測定値、およびそれらの組み合わせのグループから選択される複数の検査測定値を備える、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記炉から収集した前記検査データおよびセンサデータを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
前記センサデータを分析し、前記センサデータの前記分析に基づいて、各々前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、前記炉の物理的特徴の位置を識別する複数のデータマーカを生成し、
前記データマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、を備え、
前記センサデータが、軸エンコーダ、加速度計、ロールエンコーダ、ジャイロスコープ、慣性航法システム、およびそれらの組み合わせのグループから選択される1つかそれ以上の補助センサによって収集される複数の測定値を備える、
システム。
【請求項41】
特定の物理的ジオメトリを備えた炉から収集した検査データを表示するシステムであって、前記システムが、
前記検査データを格納する記憶装置と、
コンピュータであって、
複数の個別データマーカを生成し、
前記個別データマーカを正規化し、
前記正規化した個別データマーカの二乗平均平方根を計算することによって複合データマーカを生成し、
各々複合データマーカを備える複数のデータマーカを生成し、
前記検査データを前記炉の前記物理的ジオメトリと相関させるように、各々が前記炉の物理的特徴の位置を識別する前記複数のデータマーカで前記検査データを分割し、
前記分割した検査データの表示を生成し、それによって前記炉内の問題領域の視覚的検出を可能にするようプログラムされるコンピュータと、
を備えるシステム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2008−505308(P2008−505308A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515533(P2007−515533)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019250
【国際公開番号】WO2005/119567
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506397235)クエスト トゥルテック,リミティド パートナーシップ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019250
【国際公開番号】WO2005/119567
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506397235)クエスト トゥルテック,リミティド パートナーシップ (1)
【Fターム(参考)】
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